○高崎裕子君 大変心強い
お話で、慎重に検討というのではなくて、前向きに積極的に検討していただきたいということを申し添えて、最後に、ここに私「ミカ子のお留守番」というビデオを持ってきたんです。これは家庭科のビデオ教材の問題にかかわるんですけれ
ども、昨年東京都の
幾つかの中
学校に見本としてこの「ミカ子のお留守番——簡単な食事を整える——」という中
学校向け家庭科ビデオ教材が送られています。一緒に送られてきた企画書を見ますと、このビデオ教材は、中
学校家庭科の教材として、社団法人
日本即席食品工業協会の企画で作成されたもの。そして、企画書には、「一昨年は全国五百中
学校に配付し、多くの
先生方から評価を頂き、また、「
文部省選定」も頂くことができました」と、こうあるわけです。私も、実際このビデオを見たんですけれ
ども、確かに、一番最初に「
文部省選定」という文字がぱっと出てくるので、何となくやっぱり安心感というのがまずそこで出てくるんじゃないかと危惧するわけです。
内容を見ますと、お留守番をする三人のきょうだいがお昼にインスタントラーメンをつくって食べる、これを通して家族で食事をする大切さなどを学ぶという筋になるんですけれ
ども、約二十分のビデオの途中で、日清食品とわかるラーメン工場を
背景に、安くて保存がきく便利なインスタントラーメンというふうな宣伝が行われるわけです。これは一九五八年に開発して、七一年に登場、現在は八十カ国で百五十一億食つくられていますと、ファッショナブルで便利なカップめん、このシェアがふえているということで、
数字やグラフがふんだんに出てくる。帰ってきたお母さんが、具にワカメや野菜、卵を入れて
栄養のバランスがあるわねと褒める。お父さんはJAS適格で添加物が少ないということをたたえるという、至れり尽くせりの
内容です。
私はたくさん問題を感じたんですけれ
ども、インスタントラーメンやカップヌードルは便利で手軽ですが、
栄養が偏るとか、安全性で問題があるとか、いろいろ
指摘していながら、全体としてはインスタントラーメンの宣伝、しかも日清食品とわかる
部分もあっての宣伝というふうに受けとめられる
内容が盛り込まれていて、これが実際授業に活用されて子供が見るということになるとどうなのか。一人の母親としての
立場から見ても大変な疑問を感じたわけですが、こういうことについて
文部省としてはどうお
考えになるのか。
そして、このビデオは現職の
文部省の視学官と教科調査官が監修をして
文部省選定になっている、そして
学校に送られてきている。これも念のため確認したいんですが、数多くある教材の中で特にこれがすぐれたものとして
文部省が選んだものなんでしょうか。今、企業と政治家の癒着の問題だとか、リクルート事件では企業と官庁との癒着という問題も出てくるわけで、現職の
文部省の視学官と教科調査官が特定の業界が作成したものを、たとえそれは教材であっても、笑っていますけれ
ども、たとえそれが教材であっても
文部省がお墨つきをつけるということはやっぱり問題だというふうに私は思うわけです。こういう問題は、新学習指導要領の本格実施を控えて、教材会社から
学校への売り込みがこれから物すごく執拗に行われてくるということが当然予想される中で、厳格過ぎて過ぎるということはないと思いますので、今私が
幾つか出した問題について、それぞれお答えをいただいて私の
質問を終わりたいと思いますので、大臣の感想もぜひお願いいたします。