○三上隆雄君 ただいま
大臣から、
先ほど来お答えにあったような同類同質の同じようなお答えがあったわけでありますけれ
ども、今、全中なり
政府が
考えている構想というのは、私はあえて言うならば余りにも大き過ぎはしないか。確かに大きくなることによってのスケールメリットというものは期待できますけれ
ども、これは順調にいった場合のメリットであって、とかく必ずしもそういかない場合が多いんではないかと、こう思うわけであります。
そこで、むしろ最小限の
規模がどの
程度であったらいいかという視点から
考えてみたいわけであります。もちろん
農協経営も
農業経営も人が一番の
基本であります。優秀な人があって、そして土地があって、技術と資本投資をして
農業の
生産性を上げる。立派な
経営感覚を持った人によって
農協経営なり運営がされるわけでありますから、その人をいかに大事にするかということに視点を置くならば、
先ほど来言っていますように、
生産者については、
生産の
段階で現弱小
農協では
営農指導体制ができないから
営農体制の強化をするという、これはいい例であります。そして役員
体制についても、小
規模農協は小
規模農協の私は欠陥があると思いますけれ
ども、その
地域によっては極めて私は優秀な
農協もあるし、有効に
機能して運営している
農協もあると思うわけであります。
例えば、私の
農協を例にとってみたいと思います。私の村は四千百という小さな純農村、弘前市近郊、距離的には近いけれ
ども、純農村の
地域であります。リンゴと米の複合
経営であって、リンゴが
主体の
地域であります。もちろん
行政一本の
組合員が若干
異動があっても七百五、六十という農村
地域であります。そういう
農協は、
生産を
主体として、その
生産の販売
機能を
農協が最大限に発揮して経済の豊かさを
農家に還元できるような、そういう機構の
農協もあってもいいと思うし、それはむしろ
行政一単位が原則であって、そして
生産した物が最も機敏に、適切に販売できる
規模というものが適正であるなどいう
考え方を持っているわけであります。
うちの
農協では、大体リンゴの
生産量が八十万箱というと一万六千トンということになるわけであります。米は約二万俵、二百町歩でありますから二万俵、ほとんどが飯米
程度でありますけれ
ども、実際私も
営農集団、うちの方はリンゴが主でありますから、二十数年前に全
地域が稲作の機械化一貫体系による集団化を実施しました。それで、現在八集団があるわけであります。大体二十町歩から大きいところで四十町歩内外で八集団がございます。全
地域が集団化であります。そして、育苗から植えつけ、防除、刈り取り、ライスセンター、
政府販売という一貫した機械化体系でやって、その余剰能力をリンゴに投資して、リンゴでも全国一表彰を何度も受けた、農水
大臣賞も受けた
地域であります。
したがって、私は、こういうブロック
地域の
農協もあってしかるべきだと。そこにこれからの最も有効な
経営ができるような、もちろんうちの
地域も兼業化が進んでいます。兼業化が進んでいるから、今の稲作集団というものは、大体二十町歩でも四、五十名の農地保有者があって、共同化という形でやっていますけれ
ども、近い将来せいぜい四、五人の、専業化というか、従事者によって
生産法人化させて
経営させたいと、そう思うわけであります。
そうしますと、大体二十町歩で五人としますと、一万円米価であれば、いや私は、一万六千三百五十円、現在の米価で試算してみましたけれ
ども、そうなると、まず一反歩十俵で二十町歩で二千俵とれる。そして、一万四千円掛けまして、一万四千円というのは収穫してライスセンターのこん包と費用だけで一万四千円を手取り若干切ります。そして、それでは二千八百万であります。それから、地代をそれぞれ地権者に払うと、その地代が六百六十万、差し引き二千百四十万になります。
その所得率を五〇%と一応見ます。うちの現在の集団化されたところは所得率が五六%ぐらいいっています。県平均では五四、五%だと思う。一〇%以上うちの集団が所得率が高いわけでありますけれ
ども、しかし、今までの労賃なりそれでは雇いようがないという労働不足もありまして、所得率を五〇%と見たいと思います。そうすると、一千七十万の所得になります。それを、五人ですから、五人で割ると一人に二百十五万、二百十五万の年間所得配分が行くわけであります。それにプラス奥さんがパートで百万。リンゴの兼業で、それに専門に従事しても若干副業的にリンゴの方をやれると思います。その
意味で、リンゴの兼業収入が百万あったとすると四百十五万、奥さんと理想的な
農業従事者と二人で四百十五万という所得が得られるわけであります。この所得が今の労働収入に比較して果たしていいのか悪いのか。これは私はいい方には入らないと思います。
私の立派な
農協で集団化した
地域でもこういう状態であるということをおわかりいただいて、しかし、所得率の五〇%というものは余りにも軽い見方かもしれません。これからのやり方によっては、六〇%となればその分のアップがあるわけであります。あるわけでありますけれ
ども、逆に今の米価の価格の予想というのは下げられる条件がむしろ強いわけであります。ことしの
農業団体の要求は恐らく上げ要求すると思いますけれ
ども、下げ要求があるとすれば、それを見据えた
農業青年は、やっぱり進んだ、優秀な、農水
大臣の賞を受け、そしてまた、朝日賞を受賞した稲作集団で、そのような補助
事業による一貫機械化体系によってもなおかつそういう状態であれば、なかなか私は、
農業の立派な従事者が育つはずがないと、こう思うわけであります。
その
意味で、その点を若干申し上げておきながら、
農協の
経営実態を見たいと思います。
そこで、
農協はやっぱり人づくりであるというわけでありますけれ
ども、
農業の
生産性の実態がそういう状態、そして役員
体制は、
広域化することによって、実際
営農に従事している役員よりも、まあこう言うと弊害があるかもしれませんけれ
ども、とかく大型化すれば役員の選出範囲が
広域化する。したがって、相当な権力の持ち主というか、政治力の持ち主というか、経済力の持ち主というか、そういう傾向の人が出はしないか、現実にそういう
農協が多いんではないかと思うわけであります。ですから、私は、いわゆる適正
規模というのは、その
地域によってそれぞれの条件が異なりますけれ
ども、むやみやたらに大きくすることが必ずしも取り柄ではないと、こう思うわけであります。
そこで、もう
一つは
職員。
農協経営というのは、意識の高い、
生産性の高い
経営基盤を持った
農家組合員と、それから立派な
経営感覚を持った
農協の
経営マン、理事者、そして、それを両方まとめ支えていく立派な
職員が必要だと思います。しかもその
職員が、おとといの参考人の
意見を聞いても、
職員の待遇が極めて劣悪な
状況にあるということを
秋山参考人でしたか申されましたですね。
そこで、その
農協の実態をもう少し聞いてみたいと思いますけれ
ども、この間の参考人の
意見は、高校卒で初任給が十一万四千円、それに比して一般企業は十三万七千円と言いました。大学卒は、
農協で十三万五千円に対して一般企業は十七万五千円。三十五歳の
中堅職員で、
農協の
職員は約二十万に対して一般企業は少なくとも二十五万以上だという、そういう実態なんです。
この実態をどう見て、しかも各県の最低賃金法というものがあって、各県の最低賃金が決められておりますけれ
ども、
農協の
職員のいわゆる最低賃金が今現在最賃法のその県の基準より下回っている
農協がどの
程度あるのか、そしてまた、ぎりぎりの賃金体系にいまだあるのがどの
程度あるのかをお示しいただきたいと思います。