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1992-05-12 第123回国会 参議院 農林水産委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年五月十二日(火曜日)    午後零時四十分開会     ―――――――――――――    委員異動  四月二十四日     辞任         補欠選任      合馬  敬君     大塚清次郎君      須藤良太郎君     青木 幹雄君      関根 則之君     高木 正明君  五月十一日     辞任         補欠選任      大塚清次郎君     狩野  安君  五月十二日     辞任         補欠選任      鈴木 貞敏君     大島 慶久君      初村滝一郎君     石渡 清元君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         永田 良雄君     理 事                 鎌田 要人君                 北  修二君                 菅野 久光君                 三上 隆雄君                 井上 哲夫君     委 員                 青木 幹雄君                 石渡 清元君                 大島 慶久君                 狩野  安君                 高木 正明君                 星野 朋市君                 一井 淳治君                 大渕 絹子君                 谷本  巍君                 村沢  牧君                 猪熊 重二君                 刈田 貞子君                 林  紀子君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        農林水産大臣   田名部匡省君    政府委員        農林水産大臣官        房審議官     白井 英男君        農林水産省経済        局長       川合 淳二君        農林水産省畜産        局長       赤保谷明正君    事務局側        常任委員会専門        員        片岡  光君    参考人        全国農業協同組        合中央会常務理        事        松旭 俊作君        福岡購買販売        農業協同組合連        合会常務理事   花田 文彦君        秋田かづの農        業協同組合組合        長理事      神田 庄司君        茨城農業協同        組合中央会職員  秋山  豊君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○獣医師法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) 〇獣医療法案内閣提出衆議院送付) ○家畜改良増殖法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件 ○農業協同組合法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 永田良雄

    委員長永田良雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る四月二十四日、合馬敬君、須藤良太郎君、関根則之君が委員辞任され、その補欠として大塚清次郎君、青木幹雄君、高木正明君が選任されました。  また、昨十一日、大塚清次郎君が委員辞任され、その補欠として狩野安君が選任されました。  また、本日、初村滝一郎君、鈴木貞敏君が委員辞任され、その補欠として石渡清元君、大島慶久君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 獣医師法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案に対する質疑は前回終局いたしております。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  獣医師法の一部を改正する法律案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  4. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 全会一致と認めます。よって、本案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。     ―――――――――――――
  5. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 次に、獣医療法案議題といたします。  本案に対する質疑は前回終局いたしております。  本案修正について林君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。林君。
  6. 林紀子

    林紀子君 私は、日本共産党を代表して、獣医療法案に対し修正の動議を提出いたします。  その内容は、今お手元に配付されております案文のとおりです。その趣旨提案理由について、以下御説明申し上げます。  まず第一に、診療施設構造設備に関しては、すべて省令にゆだねるのではなく、施設名法案。に明記しています。その理由は、診療施設構造設備省令に定める基準に適合しない場合には、開設者もしくは管理者に対して、都道府県知事使用制限、禁止し、または修繕、改築の命令を行うことができることから、新たな設備投資を強いられ、経営上過大な負担となるおそれがあるからであります。したがって、診療施設名を明記し、あわせて国は必要な資金確保を図り、基準に適合した施設とするために必要とする経費に対しては融通のあっせんに努めることとしています。  第二に、広告制限に関して、何人も専門科名及び専門対象動物診療施設の名称、獣医師名診療日診療時間及び収容施設の有無を除き、獣医師の技能、治療方法、経歴または学位に関する事項広告してはならないこととしています。なお、獣医事審議会意見を聞いて農林水産省令で定めた事項については、本案と同様広告できることとしています。その理由は、医療法に準じて獣医師学位、称号は削除し、あわせて広告できる事項制限することによって、誇大な広告を規制し、家畜及び愛玩動物飼養者診療を受ける際、獣医師選択を誤らないようにするためであります。  第三に、政府は、獣医療実施状況を絶えず調 査し、獣医療公共的使命の達成のために必要があると認めるときは、営利を目的とする診療施設開設者等に対して、期間を定めて閉鎖命令を行うなど所要措置を講ずることができることとしています。その理由は、本案では、診療施設開設する者は、獣医師とは限らず、企業でも開設できることとなっています。既に企業診療については、雪印乳業が東京都内開設を計画するなどの動きがありますが、こうした企業による診療施設が、開設獣医師経営を圧迫したり、安易な利益追求のみに走り獣医療を混乱させることがないようにするためであります。  最後に、これら修正案内容は、日本獣医師会及び日本小動物獣医師会の皆さんが長年にわたって検討され、また要望されてきた点であることをつけ加えておきます。  以上の趣旨でありますので、委員各位の御賛同をお願いして、提案理由説明を終わります。
  7. 永田良雄

    委員長永田良雄君) これより、原案並びに修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  獣医療法案について採決に入ります。  まず、林君提出修正案採決を行います。  本修正案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  8. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 少数と認めます。よって、林君提出修正案は否決されました。  それでは、次に原案全部の採決を行います。  本案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  9. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 全会一致と認めます。よって、本案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、菅野君から発言を求められておりますので、これを許します。菅野君。
  10. 菅野久光

    菅野久光君 私は、ただいま可決されました獣医師法の一部を改正する法律案及び獣医療法案に対し、自由民主党日本社会党護憲共同公明党国民会議日本共産党連合参議院参院クラブ各派共同提案による附帯決議案提出いたします。  案文を朗読いたします。     獣医師法の一部を改正する法律案及び獣     医療法案に対する附帯決議(案)   近年、獣医師及び獣医療をめぐる情勢は、畜  産業我が国農業基幹的部門への成長、小動  物飼育の増加、食品医薬品等安全性に対す  る国民意識の高まり、獣医療技術発達等激し  く変化し、獣医師及び獣医療に対する国民の  ニーズは、一層高度化多様化している。その  一方、農村においては、一産業動物獣医師確保  の困難な地域が発生し、畜産業への影響が懸念  される事態となっている。   よって、政府は、このような情勢に的確に対  処するとともに、本法の施行に当たり、次の事  項の実現に万全を期すべきである。  一 産業動物獣医師確保し、畜産業振興に   資するため、基本方針及び都道府県計画の策   定に当たっては、畜産関係者及び獣医療関係   者の意見を十分聴取するとともに、各地の実   情に即するよう配慮すること。  二 産業動物獣医師確保難の現状を踏まえ、   産業動物獣医師農村において円滑に獣医療   を提供できる条件の整備改善を図るととも   に、獣医学教育充実に努めること。なお、   産業動物診療施設整備のために新設される   農林漁業金融公庫資金については、産業動物   獣医師による獣医療の提供の確保に資するよ   う適切な運営に努めること。    また、獣医療関連施設相互連携推進に   当たっては、家畜保健衛生所等と共に開業獣   医師を十分活用することにより、効率的に獣   医療を提供するよう配慮すること。  三 獣医師臨床技術向上に資するための臨   床研修制度運営に当たっては、研修受入体   制の充実研修への参加の円滑な推進等に努   めること。また、多様化高度化する獣医療   関係の知識・技術の習得に資するよう産業動   物獣医師高度技術研修体制充実に努め   ること。  四 獣医師診療対象飼育動物については、今   後とも、生産段階で疾病の治療・予防が重大   な課題となっているもの及び人畜共通の伝染   病で問題を惹起しているもので、特に必要な   飼育動物対象とすること。また、急病対策   の重要性にかんがみ、急病技術者の養成及び   技術向上に一層努力すること。  五 衛生上、保安上の観点から定めることとさ   れている診療施設構造設備基準について   は、開設者に過大な負担を強いることのない   よう配慮すること。  六 消費者に対し安全な食品を提供するため、   家畜及び養殖魚への動物用医薬品適正使用   について、さらに適切に指導すること。  七 獣医師等が行う広告については、動物の飼   育者の保護の観点から、今後とも、誇大広告   等によって飼育者選択を誤ることのないよ   う措置すること。  八 獣医事審議会については、臨床研修施設の   指定や基本方針策定等に際して、新たに意   見を聴取することとなることから、その委員   の選任等今後の運営に当たり、広く国民の意   見が反映されるよう十分配慮すること。   右決議する。  以上でございます。何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  11. 永田良雄

    委員長永田良雄君) ただいまの菅野提出附帯決議案議題とし、採決を行います。  本附帯決議案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  12. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 全会一致と認めます。よって、菅野提出附帯決議案全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、田名部農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。田名部農林水産大臣
  13. 田名部匡省

    国務大臣田名部匡省君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上善処するよう努力してまいりたいと存じます。     ―――――――――――――
  14. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 次に、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案に対する質疑は、前回終局いたしております。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  家畜改良増殖法の一部を改正する法律案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  15. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 全会一致と認めます。よって、本案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、三上君から発言を求められておりますので、これを許します。三上君。
  16. 三上隆雄

    三上隆雄君 私は、ただいま可決されました家畜改良増殖法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党日本社会党護憲共同公明党国民会議日本共産党連合参議院参院クラブ各派共同提案による附帯決議案提出いたします。  案文を朗読いたします。     家畜改良増殖法の一部を改正する法律案     に対する附帯決議(案)   政府は、農業を取り巻く情勢がますます厳し  くなっている中で、家畜改良増殖促進が、畜  産経営体質強化畜産物安定供給を図る上  で極めて重要であることにかんがみ、本法の施  行に当たり、次の事項実現に遺憾なきを期す  べきである。  一 我が国家畜の能力をさらに向上させるた   め、各種施策を的確に推進し、受精卵移植等   の新しい技術家畜改良増殖に十分活用する   とともに、国、都道府県及び農業団体等の果   たすそれぞれの役割が有機的かつ効率的に機   能するよう努めること。    併せて、新しい家畜改良増殖技術実用化   を行う家畜改良センターについて、その機能   を円滑に発揮するため、引き続き努力するこ   と。  二 家畜体内受精卵移植技術の一層の普及を図   るため、採卵技術凍結技術等向上普及   に努めるとともに、受卵牛の選定、人工哺育   等について適切な指導に努めること。  三 家畜体外受精卵移植技術の定着を図るた   め、受精卵生産率を高める等の技術の向   上・普及に努めるとともに、屠体と卵巣との   一体性確保、屠畜場における卵巣の採取の   円滑化卵巣衛生的な取扱いの徹底等につ   いて万全を期すこと。  四 家畜受精卵移植技術普及推進に際し、   特定の近縁系統への集中等家畜改良への悪影   響が生ずることのないよう適切な指導を行う   こと。  五 家畜受精卵移植については、優良な雌畜の   利用等促進を図るとともに、優良受精卵の   利用については、国内の需要に的確に対応し   得るよう体制整備に努めること。  六 獣医師及び家畜人工授精師技術向上を   図るため、研修体制整備充実に努めるこ   と。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同を賜りたいと思います。
  17. 永田良雄

    委員長永田良雄君) ただいまの三上提出附帯決議案議題とし、採決を行います。  本附帯決議案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  18. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 全会一致と認めます。よって、三上提出附帯決議案全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、田名部農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。田名部農林水産大臣
  19. 田名部匡省

    国務大臣田名部匡省君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上善処するよう努力してまいりたいと存じます。
  20. 永田良雄

    委員長永田良雄君) なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    、〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  22. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農業協同組合法の一部を改正する法律案及び農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会参考人として全国農業協同組合中央会常務理事松旭俊作君、福岡購買販売農業協同組合連合会常務理事花田文彦君、秋田かづ農業協同組合組合長理事神田庄司君、茨城農業協同組合中央会職員秋山豊君の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  24. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 農業協同組合法の一部を改正する法律案農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案、以上両案を便宜一括して議題といたします。  まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。田名部農林水産大臣
  25. 田名部匡省

    国務大臣田名部匡省君) 農業協同組合法の一部を改正する法律案及び農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案の二法案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  まず、農業協同組合法の一部を改正する法律案につきまして御説明いたします。  農業協同組合法は、昭和二十二年に、農民自主的協同組織としての農業協同組合発達促進し、農業生産力の増進と農民の経済的、社会的地位向上を図ることを目的として制定されました。以来、経済環境農業及び農村をめぐる情勢変化に対応して、農協の健全な育成を通じ農業振興地域発展に寄与し得るよう、所要制度改正を行ってきております。最近では、昭和五十七年に、信用農協連合会員外貸付制限の緩和、内国為替取引に係る員外利用制限廃止等改正措置を講じたところであります。  しかしながら、その後の社会経済情勢変化には著しいものがあり、とりわけ近年の我が国農業及び農村をめぐる状況を見ると、農業担い手不足顕在化農村高齢化の進行等さまざまな課題に直面しており、このような状況のもとで、農協事業組織についても、営農・生活両面での組合員ニーズ多様化金融自由化等への的確な対応が求められているところであります。  今後とも、情勢変化に対応し、農協が本来の使命を果たしていくためには、その自主的努力にまつところが大きいことはもとよりでありますが、制度面においても、農協の行うことができる事業内容充実するとともに、執行体制強化を図る等の改善を進めていくことが緊要となっております。  このため、今般、農業協同組合法の一部改正提案することとした次第であります。  次に、この法律案内容につきまして、御説明申し上げます。  まず第一に、組合事業内容充実を図ることとしており、農業経営効率化等の見地から、受託農業経営連合会も行うことができることとしております。また、高齢化社会に対応して組合が老人の福祉に関する事業を行うことができる旨を法律上明らかにすることとしております。さらに、農協資金地域での活用を図るため、特定農協について員外貸付制限を緩和することとしております。  第二に、組合執行体制強化するため、理事会及び代表理事法律上設置することとするとともに、学識経験者等理事への登用の観点から正組合員以外の理事の枠を拡大することとしております。また、内部牽制による的確な業務運営確保するため、監事の業務会計監査機能拡充等を図ることとしております。  第三に、農協組織整備の円滑な推進に資するため、農協組織の各段階等において活用し得る事業譲渡等の規定を整備することとしております。  第四に、農事組合法人活性化を図る観点から、その設立のために必要な発起人の数の要件を緩和する等の改善を行うこととしております。  以上がこの法律案提案理由及び主要な内容であります。  続きまして、農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案につきまして、御説明申し上げます。  農業協同組合合併助成法は、昭和三十六年に、適正かつ能率的な事業経営を行うことができる農協を広範に育成して農民協同組織の健全な発展に資するため、農協合併促進を図ることを目的として制定されました。以来、七回の延長を重ね、農協合併促進に大きな役割を果たしてきたところであります。  しかしながら、全国的にはまだ市町村区域未満農協が約三割存在する状況のもとで、今後とも農協組合員ニーズ多様化等に対応した健全な事業運営を図るとともに、農業及び農村活性化に積極的に取り組んでいくためには、合併による経営基盤安定強化を図っていくことが喫緊の課題となっております。  このような状況を踏まえ、農協合併を引き続 き促進して農民協同組織の健全な発展に資するため、所要改正を行うこととし、この法律案提案した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  まず第一に、合併経営計画都道府県知事への提出期限を三年間延長して、平成七年三月三十一日までとすることとしております。  第二に、合併経営計画を立て、都道府県知事認定を求めることができる合併の範囲を拡充し、特定専門農協合併を追加することとしております。  第三に、合併経営計画に定めることができる事項として、固定した債権の償却に関する方策を追加するとともに、都道府県知事及び農林水産大臣は、当該方策に従い実施する措置につき助成を行う法人を指定することができることとしております。  第四に、合併経営計画提出期限延長に伴い、都道府県知事認定を受けた農協合併について税法上の特例措置を設けることとしております。  以上が、この法律案提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ、これら二つの法律案につき、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  26. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。  それでは、先ほど決定されました参考人方々の御出席を願っておりますので、御意見を承ることといたします。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところを本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。  農業協同組合法の一部を改正する法律案及び農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお伺いいたしまして、今後の法案審査参考にさせていただきたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。  それでは、これより御意見をお述べいただきますが、あらかじめ議事の進め方について申し上げます。  御意見をお述べいただく時間は、議事の都合上、お一人十五分以内とし、その順序は、松旭参考人花田参考人神田参考人秋山参考人といたします。参考人の御意見の開陳が一応済みました後で、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  それでは、松旭参考人からお願いいたします。松旭参考人
  27. 松旭俊作

    参考人松旭俊作君) 全国農協中央会松旭でございます。よろしくお願いいたします。  先生方には日ごろから系統農協が各般にわたりまして何かと御指導、御支援をいただいておりまして、この機会に厚く御礼を申し上げます。  私からは、今回の農協法並びに農協合併助成法改正に関連いたしまして、系統農協が現下の情勢変化のもとで取り組むべき重点課題について要点を申し上げ、先生方の御参考に供したいというふうに存じます。  まず、農協を取り巻く情勢変化についてでございますが、私から改めて申し上げるまでもないことでございますが、我が国農業は、国際化の進展あるいは経済社会の構造変化が進む中で、担い手の不足や耕作放棄地の増大など大きな困難に直面いたしております。また、農村地域におきましては、高齢化や過疎化の進行によりまして、地域の活力が一層低下しつつございます。  一方、私ども農協事業経営の面におきましても、組合員の意識、ニーズ変化、金融自由化の進展、それから他業態との競争の激化などによりまして、困難性が増大している状況にございます。  こうした状況に対処いたしまして、農協が今後果たしていくべき役割といたしましては、農業面や生活面への幅広く、かつ直接的なかかわり合いをさらに強めて、地域農業振興農村地域活性化に中心的な役割を発揮していきますとともに、多様化高度化する組合員ニーズに的確な対応を図っていくことが今日的に強く求められております。  このため、系統農協の取り組み課題の第一の課題といたしましては、こうした役割を果たしていく上で、必要な事業機能の拡充を図って、取り組みを強化していくということでございます。  まず、農業生産面におきます主体的な取り組みといたしましては、農協の基礎的事業であります営農指導事業、これにつきましては、担い手の確保、育成、農用地の利用調整など地域農業振興に資する営農企画機能の風化、作目別の専門的指導充実、行政と連携した営農センターの設置など営農指導体制整備し、一層の機能発揮に努めてまいりたいと考えでございます。  さらに、これまでの生産コストの低減対策や消費者ニーズに即応した農畜産物の品質向上、安全対策に加えまして、今後の担い手の減少や高齢化の進行に対応して、多様な地域営農集団の育成による集団的土地利用対策の推進、農地信託事業や農地保有合理化促進事業などの農用地利用調整活動の強化受託農業経営事業の拡充、農事組合法人事業運営の弾力化による活用対策に強力に取り組んでまいりたいと考えております。  また、地域活性化対策についてでございますが、御高承のように、都市的地域におきましては混住化や農地の都市的利用が増大しております。一方で山間地域におきましては、過疎化やリゾート開発、そういうものが進んでおりまして、地域別にさまざまな変化が進行しています。  こうした中で、組合員は、営農面だけではなくて、後継者の問題、健康管理の問題、資産管理運用問題など多様な悩みや欲求を抱えるようになっておるわけでございます。したがいまして、農業農村振興に総合的に取り組むことが今の農協に求められているということができると思います。このため、組合員の営農・生活面での将来設計などの意向を踏まえまして、行政等との密接な連携のもとで、営農・生活・地域開発事業の一体的、総合的な対策を進めるむらづくり・まちづくり運動に取り組んでまいります。特に、農村地域におきます高齢化問題につきましては、今後避けて通れない重大な課題でありまして、関係市町村とも十分連携を図りながら老人の福祉事業に取り組んでいくことが重要だと考えております。  なお、信用事業におきましては、さきの金融制度調査会の取りまとめの方向に沿いまして、外国為替業務、国債等の窓販・ディーリング業務などの新しい業務を初めといたしまして、他業態に劣後しない機能を具備していくことが急務となっております。このことにつきましては、今回の農協法改正の中で一定の条件を満たす指定農協の貸し出しについて員外利用規制の特例を設けていただくほか、農協連合会及び農林中金の機能整備につきまして、別途金融一括法により手当てをしていただくようお願い申し上げておりますので、今回の農協二法とあわせまして、特段の御理解、御支援を賜りますようにお願いを申し上げる次第でございます。  第二の課題でございます農協経営管理体制整備強化対策についてであります。  農協合併の進展によりまして、合併農協組合員数や事業規模は格段に大型化いたします。また、経営の中身も複雑なものになり、これに伴って経営のリスクも増大することが懸念されるわけでございます。このため、合併農協事業運営に当たりましては、組合員の意向を十分にくみ上げ、これを事業に的確に反映させるとともに、経営のかじ取りを適切かつ失敗のないようにやっていくことが極めて重要な課題でございます。  こうした観点から、経営執行体制面におきましては、先見性とリーダーシップを備えたトップの確保、常勤理事体制整備を図り、理事会代表理事の責任と権限を明確にした機動性のある執行体制を確立するとともに、高度専門的な業務への 対応や組合員等の適切な意思反映を図るため、学識経験者及び青年層、婦人層からの役員の登用を積極的に推進していく必要があると考えております。  また、内部牽制体制につきましては、監事の権限の強化によります的確な監査の実施と学識経験者の監事への登用等による監査体制整備を図ってまいりたいと考えております。  三つ目の課題でございますが、系統農協組織整備の取り組みに関してであります。  このことにつきましては、昨年三月に全中会長の諮問機関であります総合審議会におきまして、事業二段・組織二段を基本とする将来方向が示され、十月の全国農協大会において決議されたところでございます。  組織整備の最大のねらいといたしておりますところは、組合員の期待と信頼にこたえる立派な農協をつくり上げていくことでおります。このためには、農協合併を積極的に推進するとともに、農協に自己完結的な事業機能の具備と自己責任経営が可能な体制の確立を図っていくことであります。  なお、農協合併推進につきましては、現在各県で意欲的な取り組みが進められておりますけれども、県段階及び全国段階の連合組織といたしましても、農協合併の最大の阻害要因となっております固定化債権の解消対策といたしまして、一定のファンドを造成し、合併促進に努めてまいりたいと考えております。  組織整備のもう一つのねらいでございますが、現在市町村段階の単位農協と県段階及び全国段階の連合組織の三段階から成る事業方式につきまして、農協合併の進展に伴いまして、合理的、効率的な方式といたしまして、原則事業二段に組みかえていきまして、それとともに組織についても、新しい事業方式に対応して農協と統合連合組織組織二段を基本として再編していこうとするものでございます。  ただ、こうした系統農協を通ずる事業組織の改革への取り組みにつきましては、県ごとに農協合併の進捗状況が異なったり、また事業の実態も区々でございますので、一律、一斉に進まない面もございます。したがいまして、それぞれの県や事業の実態を踏まえまして、平成五年三月までに実行方策を策定し、できるところから可及的速やかに実践に移していくこととしているものでございます。  以上申し上げました系統農協の今後の取り組み課題と対策につきましては、昨年十月に開催いたしました第十九回全国農協大会におきまして、「農協・二十一世紀への挑戦と改革」という議案を決議いたしたところでございます。組織の総力を挙げてこの課題に取り組む所存でございます。  どうか諸先生方におかれましては、こうした我々系統農協の取り組みにつきまして特段の御理解をいただき、農協法及び農協合併助成法改正につきまして格別の御支援を賜るようお願い申し上げまして、私の意見とさせていただきます。
  28. 永田良雄

    委員長永田良雄君) ありがとうございました。  それでは、次に花田参考人にお願いいたします。花田参考人
  29. 花田文彦

    参考人花田文彦君) 私は、福岡県購販連の花田でございます。  委員長の御指名に従いまして、主として農業経営受託事業改善、営農指導体制充実を中心とした農業振興への取り組み、並びに農協合併組織整備への取り組みの強化等について意見を申し一上げたいと存じ、御参考に供したいと思います。  参考人としての具体的な意見を申し上げます前に、まず私が所属しておりますJAふくおか購販連の事業取り扱い状況や、その事業基盤であります福岡県の農業の現況について若干触れさせていただきたいと思っております。  まず、福岡県の農業の粗生産額は平成二年度におきまして二千七百四十九億円でありまして、全国に占めますシェアは二・四%でございます。また、本県の農家戸数は十万一千戸で、全国の二・七%のシェアでございますが、その意味では全国の平均を若干下回る状況と存じております。その内容を見ますと、やはり米が七百四十二億円、全体の二七%と断然トップを占めておりますし、東京から西側では第一位の米の生産県であります。次に野菜が六百二十八億円、全体の二三%、畜産が五百六十一億円、全体の二〇%と続いており、以上の品目で全体の七〇%を占めておる状況であります。特に、福岡県におきましては、全国で一、二位を占める品目を拾い上げますと、小麦、ナス、イチゴ、カキ、キウイ、イチジク、種苗、花木、玉露、こういうものがあります。  福岡県の農業生産を担っている十万一千戸の組合員農家と県下六十五の農協並びに農協活動を補完しておりますのが福岡県購販連でございます。福岡県購販連という名称は全国唯一でありまして、他の県ではおおむね経済連という名称になっております。  そこで、購販運の事業取り扱い状況を簡単に申し上げます。平成二年度につきましては取扱高二千百三十七億円となっており、品目のトップは断然やはり米でありまして、政府米、自主流通米を合わせまして五百二十億円に相なっております。次には麦類、畜産と続いております。特に、米につきましてはそのウエートが高い関係から、良質米の生産とともに米の輸入自由化問題、減反問題等に対しましては強い関心を示しているものであります。  以上、福岡県の農業の現況並びにJAふくおか購販連の事業概要なりについて触れさせていただきましたが、この基盤であります農業振興への取り組みにつきまして意見を述べてみたいと思います。  まず第一に、本県は昨年開催の第三十三回福岡農協大会において福岡の食と農を結ぶ運動の総合的な展開を決議し、安らぎと潤いのある地域社会と、命と緑を守る地域農業実現を目指しております。その中で、農業振興では自然と環境に調和したゆとりある農業の創造の展開を図ることといたしております。具体的には、自然と環境に調和したゆとりある農業を創造する地域農業振興計画の策定。次に農業の担い手の確保と育成、組織化による地域農業振興。三番目といたしまして消費者ニーズ農業の国際化に対応する安全、良質、新鮮な農産物の生産と多様な流通の確立。次に集落を基本とした農業生産体制を確立いたしたいと思っております。次に営農指導体制強化による地域農業振興。以上の五項目に取り組むことといたしております。  農業経営受託事業につきましては、これまで出資単協にしか認められておりませんが、本県では平成三年六月の調査で、農作業の一部を組合員に再委託したものを含め、既に実施している農協が二十五農協、今後実施したい農協が三十一農協ありますが、県下全農協の実施には至っておりません。  とりわけ畜産においては、全国的に急速な規模拡大、専門化等に伴い、技術経営指導等について単協での対応が限界に相なっております。県連合会の保有する施設及びノウハウを活用した農業生産の役割を期待する意向が非常に強まっております。このようなことによりまして担い手の育成、経営の効率化、規模拡大の一層の促進を図るため、単協に加えて連合会にもぜひ農業経営受託の事業能力を付与していただきたいと存じます。また、損益計算が複雑なことから、その計算方法の簡素化についてもよろしくお願いいたしたいと存じます。  次に、営農指導体制充実について申し述べてみたいと思います。  本県では、現在、農協の営農指導員の積極的な量、質の拡大に努めた結果、営農指導員数は十年前に比べ一〇八%と増加をいたしております。また、質的向上のため、平成元年度より福岡県独自の営農企画指導士の資格制度を設け、人材育成に努めております。さらに、今後福岡の食と農を結ぶ運動の総合的展開の中で営農指導体制強化し、地域農業振興を図ることといたしております。  具体的には、一といたしまして、農家の営農指導充実強化に努めてまいりたい。二番目といたしまして、営農企画部署の設置と営農指導員の業務の明確化を図ってまいりたい。三番目といたしまして、県下広域営農企画センターをぜひ設置いたしたい。四番目といたしまして、営農指導事業費の財源の確保等につきまして積極的な取り組みをやってまいりたいと思っております。  しかしながら、既に御承知のように、単協におけるその実態は、特に事業の収益性において賦課金では賄い切れず、信用事業等からの繰り入れに大きく依存しておる実情であります。そうしたことにより、営農の指導のための安定的な財源確保は、信用事業の収益性が鈍化してきた昨今の事情の中で最も重要課題として取り組まねばならない問題に相なっております。つきましては、このような営農指導体制充実のため、諸施策を早急に講じていただきますよう、特に要望をいたします。  最後に、合併組織整備への取り組みについて申し述べさせていただきます。  本県における農協合併につきましては、昭和四十八年に旧郡市を単位とする二十三農協構想を掲げて以来、現在九地区が完了し、広域に準ずる地区を加えると十二地区が完了となり、過半数が広域農協体制を整えることができました。その結果、昭和三十六年に三百三十四の農協であったのが現在は六十五農協と、合併が進展をいたしております。  さらに、昨年開催の県農協大会において、農業農村環境の変化に対応するため、二十三農協体制の早期実現のため農協合併促進し、二十三農協体制に即応した中央会・連合会事業組織整備に取り組むこととし、特別決議をいたしました。現在この決議に基づく事業組織整備の実行方策平成五年三月までに策定すべく検討を行っております。さらに、平成六年度末には農協合併完了を目指して努力しているところであります。  組織整備の考え方といたしましては、他の業態との競争激化もあり、最も合理的、効率的な事業方式を確立する必要があります。あわせて物流、南流の合理化による流通経路の短縮化を進めていく必要があると考えております。  そうした意味において、経済事業の場合は、事業、品目、地域の実態に応じて、農協完結、農協と県域の結びつき、農協と全国の結びつき等多様なものがあると思われております。組織につきましては、県域の機能を従来どおり県連合会が担うのか、統合した連合会が担うのか、それともブロック的な組織が担うのか、農協合併の進展等も含めて、地域の実情により違いが出てくるものと考えております。また、販売事業は県域の機能が重視され、購買事業は全国流通品目は全国域、地域流通品目は県域等の違いが出てくると考えております。  いずれにいたしましても、十分組織会員と検討の上、組合員農協にとって最も望ましい事業組織のあり方等を構築し、実行する方策を策定すべく県大会の決議事項の実践推進体制の中で検討することにいたしております。  つきましては、これを促進するために、農協法における事業譲渡規程の盛り込み、並びに農協合併助成法改正についてその実現を強くお願いいたします。  以上をもちまして終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。
  30. 永田良雄

    委員長永田良雄君) ありがとうございました。  それでは、次に神田参考人にお願いいたします。神田参考人
  31. 神田庄司

    参考人神田庄司君) 秋田県のかづの農業協同組合組合長の神田庄司です。  まず最初に、私は秋田県生まれ、秋田県育ち、人生五十年たちました男でございますので、述べる内容の中で秋田弁が出ると思いますが、皆さんからひとつ御理解をいただきたいと思います。  それでは、私からは、特に農協合併助成法改正の必要性、地域農業振興のための農業生産対策の強化及び農協経営管理体制整備強化にかかわる法改正の必要性について意見を申し上げ、先生方にお願い申し上げたいと思います。  最初に、かづ農協の概況を簡単に申し上げます。当組合は、昭和三十八年に十一組合合併によって設立した秋田県では唯一の広域合併農協であります。地域的には秋田県の北東部に位置し、北は青森県、東は岩手県に接し、中心に米代川が南から北に流れる盆地であり、鹿角市を中心とした一つの経済圏、生活圏を形成しております。組合員は現在五千八百人、正組合員戸数四千三百五十戸の大規模組合であります。役員体制は、理事二十名、うち常勤三名、監事六名で業務執行に当たっており、職員数は三百三十二名となっております。  続いて、平成三年度末における主要事業取扱高の状況を申し上げます。貯金残高は二百五十億円、貸出金は百二十二億円で、貯賃率は四八%の状況となっております。販売事業については七十四億円で、米以外の作目は全体の五二%を占めております。購買事業は八十六億円の取扱高で、うち生産資材は全体の六〇%となっております。共済事業は二千百九十四億円の長期共済契約を保有しております。  それでは、今回の農協法改正等についての私の意見を申し上げます。  第一に、農協合併への取り組みと対策の強化について申し上げます。  我が農協は、概況で触れたように、昭和三十八年に十一農協合併によって誕生じ、現在の鹿角市と小坂町を地域とする大規模組合であります。当組合運営上の理念は、「組合員の所得向上とそれによる地域経済への貢献」を掲げ、五カ年の農協基本計画をベースとして施設機能の集中メリットを発揮することにあります。この基本計画を樹立するに当たりまず着手したのは、協同を強化するための場としての施設づくりでありました。その基本となる考えは、「施設組合員を、教育する」ということに立脚しております。すなわち、営農の関連する諸施設整備指導利用施設への再投資、生活に関連する諸施設整備利用推進施設の再整備という流れで、ハード面の整備利用という整備に結びつけをし、取り組んでおります。  これまでの基本計画の流れを大まかに説明申し上げますと、昭和五十四年から同六十年の第一次計画では農業生産施設を重点とし、昭和六十一年から平成二年の第二次計画では生活事業活動の強化に重点を据えた施設充実に努め、それぞれの施設が効果を発揮しております。平成三年から平成七年の第三次計画では農業所得の増大と市場競争に打ちかっことのできる産地の育成を中心に据え、特に肉豚十万頭、肉牛三千頭を常時飼育できる北鹿食肉流通センターの設置に向け取り組んでいるところであります。合併により組合員の営農生活の向上に寄与するとともに、地域社会への積極的役割を果たすことができるようになりました。  合併農協において課題とされます組合員との結びつきにつきましては、集落座談会、あぜ道相談、総代交流会、職員による総員外務の実施等により組合員の意思反映の確保に努めております。  本県では、現在百二の農協があり、平成九年度に十三農協にすることを目標に広域農協合併に取り組んでおりますが、今後、農業をめぐる環境の変化に加え、組合員ニーズ多様化高度化に対応し、組合員の負託にこたえるためには、高水準の事業機能を持つ自己責任経営を確立することが必要であるという認識であります。農協機能強化と多面的なサービス機能を発揮するためには、経営基盤の拡充強化が不可欠であります。  ついては、農協合併を今後さらにスムーズに進めるためにも、農協合併助成法改正についてぜひ実現をお願いいたします。  第二に、営農指導と農用地利用調整の取り組み及び対策の強化について申し上げます。  現在、平成七年度を目標年次とする第三次農協基本計画に基づき農業振興に取り組んでおります。基本方針としては、農業生産体制整備と農 業所得の増大、農地の流動化促進と生産コストの低減、農家所得目標八百万円の実現等を挙げ展開中であります。そのため、農協としては、一元的営農指導体制をとりつつ、生産から販売までの一貫した指導強化するため、営農指導部各課、米穀課、園芸課、畜産課、生産資材課に指導員を配置し、かつ地区指導制をとり、生産者と密着した指導を行っております。  また、市を初め各関係機関の協力を求め、農用地の利用調整等を促進し、生産コストの低減と作目の集約により産地化を図り、市場競争に対応することとしております。  また、地域農業活性化するため、農業後継者の確保、育成については、従来の家としての後継者から地域農業の担い手として育てることが必要であり、農業で生きていこうとする就農者を地域ぐるみで支援し、担い手を中心とした機能地域営農集団の育成に取り組んでおります。  今後は、地域農業づくりとして複合作目の生産振興、土地利用農業の生産性向上対策、農業後継者の確保、育成が重要課題であります。ついては、営農指導事業体制整備への支援強化や農用地利用調整機能強化に向けた取り組みに対する施策の充実を特にお願い申し上げます。  第三に、健康管理活動、高齢者福祉対策への取り組みと対策の強化について申し上げます。  健康管理活動については、鹿角市からの助成金を得ながら、行政と一体となり、人間ドック、貧血検査、血圧測定、大腸がん検診等に取り組んでおります。  今後、厚生連病院との連携を密にし、各種検診の充実、健康教室の開設等、健康管理活動を促進し、高齢化社会に対応して生きがい活動や要介護老人等の関連資材提供等の助長を図ることにしております。  ついては、今後の一層の高齢化の進展を考えると、老人の福祉に関する事業の追加という農協法改正はまことに時機を得たものであり、その実現をお願いいたします。  第四に、経営管理体制強化について申し上げます。  執行体制については、平成三年度より組合長-専務-参事体制を改め、二名の学識経験者の選任による組合長-常務二名の体制に移行したところであります。参事制を廃止し常務制へ移行した趣旨は、組合の行う事業が拡大している上、著しく多様化、専門化している状況の中で、変化する経済情勢に即応した的確な事業運営を行うためには、理事の責任ある業務執行体制強化する必要があるということであります。選任された二人の常務は、前総務部長及び前企画監理課長であり、いずれも四十歳代前半の若手である。これは農協業務の拡大と高度化に伴い、より専門的知識を備えた役員の登用が求められた結果であります。  今後、事業内容高度化、専門化がさらに進むことが予想されることから、それに対応した経営管理体制強化が求められます。  ついては、理事の責任の明確化を図り、機動性のある業務執行体制を確立するため、理事会制と代表理事制の法定化を初めとする経営管理に関する農協法改正について実現をお願い申し上げます。  以上申し上げまして、私の意見を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。
  32. 永田良雄

    委員長永田良雄君) ありがとうございました。  それでは、次に秋山参考人にお願いいたします。秋山参考人
  33. 秋山豊

    参考人秋山豊君) 茨城県の農協中央会の職員で、かつ茨城県の連合会労働組合委員長をやっております秋山と申します。  できるだけ私の経験を踏まえて、単協、県連職員を代表するような発言をしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  私は、自己紹介しますと、茨城県の水戸市近郊にあります瓜連町という小さな町の米プラス養蚕の専業農家の長男です。大学時代農業経済学をやって、うちを継ぎたかったんですが、おやじが、仲間がいないからおまえは農協に出ろというふうに言われまして、集団営農で地域農業を維持していこうと、そういう目的を持って県の農協中央会に入りました。  入会後、営農指導を五年、経営と監査の関係を四年、そして労働組合の専従を二年やりまして、県連及び単協の事業の実態、そして職員、役員の実態というのを赤裸々に見てきた。そういう経験を踏まえまして、今回の農協法改正及び今後の系統農協の再生について一言意見を申し上げたいと思います。  私が申し上げたいのは、今日、系統農協農業あるいは日本の農村の衰退、混迷、こういったものに十分に対応し切れない、あるいは金融自由化の波の中で十分に農協経営を安定できない、こういう不十分さの原因というのは一体何なのかということであります。  私の経験からいえば、それは恐らく人の問題ではないか、そういうふうに感じております。人の問題というのは何なのかというと、系統農協の役員とそして職員だと思います。現在、我々の組織が抱えている問題に対して、役員やあるいは職員の解決の能力なり意欲、そういったものが我々の組織の場合は不足しているんじゃないか、そういうふうに強く感じております。  具体的に役員について申しますと、農家組合員から選任なり選挙で選ばれて、組織の統率力というのはやはり組織代表の役員というのは一番あると思っております。しかし、農協運営改善とかあるいは職員を適正に採用して育てるとか、そういった経営面についてかなり素人の面があるんじゃないか、そういうふうに思います。加えまして、地域の名誉職的な形で就任されて、任期の間事なかれ主義ということで何もせずに終わられる理事もかなりいらっしゃる、そういうふうに見ております。  こういった中で、農家なりが抱えている問題に農協が取り組めない、あるいは職員が悩んでいることがいつになっても解決されない、こういったことが続いて、たくさんの課題農協大会で挙げられたけれどもなかなか実行に移されない、私はそういうふうに考えております。  職員の実態なんですが、管理職の方は組合長、役員を補佐してこれを補うような任務にあるわけですが、必ずしも十分に必要な事項を提言したりあるいはたしなめたり、そういった形になっていない。一部のさすがに参事さんなり部長さんはもう昼夜身を挺して農協のためになされているけれども、全体から見ると少ない。どちらかというと、定年等を意識して前年度踏襲主義の指揮をとられる管理職の方が多いんじゃないか、私どもはそういうふうに見ている。こういったもとで我々一般職員というのは、今、一体自分の農協は何を目指して運動しているんだ、あるいは自分はその中で何をやらなくちゃならないんだ、そういう目的がどうもつかめない。ただ前年どおり、与えられたこと、あるいは先輩から受け継いたことを毎日処理している。こういった中からは、地域農業をどうしようかとか生活事業をどうしようかとか、そういう発想というのはなかなか生まれてこない、そういうふうに思っております。  それで、管理職と一般職のそういった意識の問題についてもう少し触れたいんですが、その原因というのは、役員の姿勢なり率先垂範という問題もあるんですが、それ以上に就労条件が一般の企業なり自治体に比べると非常に低い、こういった中で、職員の労働意欲、こういったものが上がらない、そういうふうに見ております。  ちなみに、茨城の単協の平成三年度の初任給の平均を申しますと十一万四千円なんです、八十八農協なんですが。同じ年の民間企業の高卒初任給平均が十三万七千円で、二万三千円ほど単協の方が低いという状況であります。それから大卒で申し上げますと、単協で大卒で入られる方は少ないんですが、農協の平均が十三万五千円、民間が十七万五千円と実に四万円からの格差が出ているというような状況でございまして、その後の三十歳なり四十歳のポイント賃金も同様の、まあ初任給 ほどはひどくはないんですが、格差が生まれている。こういった、はっきり言って、一言で言うと農協の労務管理、こういったものの対応が非常におくれているというふうに感じております。これがために、職員から労働意欲、あみいは何とか自、分の農協をいう前に自分の生活がみじめで誇りが持てないという状況ですから、仕事に前向きになれない、そういう状況にあるというふうに感じております。  加えて、皆さんも御存じのとおり業務内容推進が多くなりまして、販売担当でやってきたのに推進推進で一体自分が何の担当だか最近はわからなくなっちゃった、こういう支所の職員もいます。中途退職が出ているせいもあるんですが、いなくなった人の分を何でもやらせられる。それで、この組織にいると自分は一体どうなるのかわからないのでおれもやめる、こういう連鎖反応を起こしている農協もあります。  こういったずさんな労務管理と推進の増加によって、本県の中途退職は昨年度は二百九十名から出ました。全体の職員が五千七百十三名で、約五%の仲間が中途で農協を去ったという状況なんですが、ここ四年ぐらい二百名台の中途退職が出ております。しかも、二十代後半から三十代の中核的な、これから農協で中心になっていくという人が退職する、敏感にそういう将来を予測して去っていくというような状況であります。  このようなわけでして、県連でも同じような現象が最近出てきました。特に単協段階に人間的な空白が生じている。私はそのくらいの危機感は持っております。ですから、解決しなくちゃならないいろんな課題、理想、こういったものを幾ら提起しても実践者がいなくては農村に届かない、そのことを強く申し上げたいと思います。  時間もございませんので、広域合併で何とか単協の人的体制を立て直そうという考え方もありますが、基本的には就職した職場で、愛社精神のある地元の農協の職員が合併した農協を支えていくということが私は一番理想だし、できれば県連からの人的支援というのは派遣程度にとどめて、農協の職員だってやる気になって団結すればすごい力を発揮します。これは県連の職員なんかよりもずっと農家のことは知っていますし、チームワークさえよければちゃんとリーダーを中心にして仕事が進むんですね。  ですから、広域合併農協、ちょっと話がずれましたが、広域合併しても前の農協とそういった労働意欲の低さというのは変わらないところが多いんですよ、茨城の場合は。なぜかと申しますと、広域化しますとますます高い運営管理能力がトップ層に求められるのになかなかそれが育たない。組合長が二、三年、四、五人残っていましたり、なかなかトップ層の指揮が固まらないという中で職員は大変不安です。しかも、旧農協の就労条件が、就業時間なんかが切り下げられたりしますので、それで交渉なんかしますと、しょうがない、こういう時代なんだから我慢しろという、何というか割ったような話をされて、本当に大丈夫なんだろうかというような形で、どうも職員自体も帰属意識なり農協を愛する気持ちというのは育ってこないという中で、広域合併農協でも中途退職が大人数で出ているというような状況なんです。  そういう状況で、私としましては最後に訴えたい、加えて具体策もあえて申したいというのは、広域合併組織再編という、こういったものを行う前に、何とか単協、そして県連段階での人の問題を解決していただきたい、これは早急に取り組んでいただきたい。役員の問題は、今回の農協法改正の中で一部端緒があらわれてきましたが、もっと具体的に責任ある執行体制をつくっていただきたい。職員の場合は、早急に就労条件、賃金の問題なり週休二日制の問題に対応していただきたい。これは単に労働組合だから要求しているんじゃなくて、農協の職員がこのままでは育たないですしもちませんので、ひとつ早急に対応していただきたいということであります。  具体策で大変恐縮でありますが、学経役員につきましては、茨城の場合は学識経験理事というのはどういう基準で決めるんだというのがなかなか決まらないんですね。例えば県連の経験者なり県庁の検査の経験者、ですからいつになっても育たない。そういう意味で学識経験者の認定制度のようなものを検討していただきたい。これは農家組合を中心に役員というのは育成すべきですから、農家組合も含めて学経理事というのを育成、認定していくような考え方がいいんじゃないか。それで、常勤役員はそういった方でやっていただきたい。非常勤の組織代表役員はそういった常勤役員を選任するというような形で、マネージャー制みたいな形にはなるんでしょうが、そういう形の方が職員は思い切って仕事ができるんじゃないかなと、そういうふうに思っております。  それから、職員の問題につきましては、先ほども言いましたように、まず賃金の問題で、系統農協内の最低賃金のようなものをこれは労組法とは別に設定していただいて賃金保障を充実していただきたい。それから、完全週休二日制については、もう金融事業もやっておりますので、何とか平成五年度、来年度までには実施していただきたい。それから推進業務を、農協法の設立の趣旨に明らかに反するような推進、あるいは職員ノルマ推進、こういったものは規制していただきたいというのが本音でございます。それでは事業が成り立たないというならば、日常的な契約をとる体制あるいは予約をとる体制というのが農家のためには本来ですので、これに取り組んでいただくよう指導していただきたい。  最後に、協同組合理論というのが軽視されてきた。こういった協同組合理論に基づいた事業改善について、農協、県連内の役員が講師となって職員教育をやっていただきたい。本当に理解して率先垂範する役員とそれを信頼してついていく職員と、そういったものが育たないとなかなかいろんな課題が前に進まないと私は思います。  以上でございますので、ひとつよろしくお願いいたします。
  34. 永田良雄

    委員長永田良雄君) ありがとうございました。  以上で参考人方々の御意見の開陳は終わりました。  それでは、これより参考人方々に対して質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  35. 谷本巍

    ○谷本巍君 参考人の皆さん、きょうは大変ありがとうございました。  初めに松旭全中常務にお尋ねをいたします。  農協の大型合併を行いますと、通常、農家との関係が希薄になると言われてまいりました。きょうここにおいでいただいた参考人の皆さんから、それぞれ営農指導事業、これを強めていかなきゃならぬというお話がございましたのは大変頼もしいことであります。頼もしいことでありますが、例えば平成二年度に全中が行いました合併農協対象としてのメリットですね、この調査を見てみますというと、ベストスリーにランクされておりますのが、信用・共済事業の拡充、施設整備の拡充、経営基盤強化ということでありました。肝心の営農指導や販売力の強化等はその次ということでありました。しかし、そうであっても、合併したことによって営農指導強化されたとか農産物の販売事業が一定程度強化される状況というのがあるというのは好ましいことであります。  さてそこで、これまでの合併を見てみますというと、おおむね市町村内の合併というのが多かったのであります。ということは、全中が行いました調査というのは、市町村内の合併が主たる合併であったという時代の調査でありましたが、果たして、さらに今度は市町村の枠を超えた広域合併になった場合に平成二年度の調査のような結果のものがそのまま出てくるかどうかということについては私は不安を感ずるのです。しかも、今回の合併というのは、今までとは違って組織を二段にしていく。組織を二段にしていくためには、単協自身が一定程度県連の機能を持つという、そういうふうな状況でありますから、かなりの広域合併になるだろうということが想定されます。申し上 げるまでもなく、農業あっての農協なのでありますから、農家との関係の密着度を濃いものにしていく広域合併にするために全中としてどういう具体策をお持ちか、その点について承りたいと存じます。
  36. 松旭俊作

    参考人松旭俊作君) とかく合併をいたしますと組合員との関係が希薄化するということにつきましては御指摘のとおりだと思います。それは、合併そのものが問題なんじゃなくて、合併の後の仕事のやり方にやっぱり問題があったんじゃないかというふうに思っておりまして、私どもが現在進めております合併構想というのは、現時点では全国で七百八十農協構想になっております。  そういたしますと、現在の農協が大体五つが一つになるぐらいの広域合併になっていくわけでございまして、私どもとしてはそうした広域農協合併推進すればするほど組合員との結びつきを強化する対策をそれ以上に講じていかなきゃいかぬ、それが車の両輪でやっていかなければ、これは先生御指摘のように本当に組合員なき農協になってしまうという、それは大変重大な認識を持っております。したがいまして、これは大会の議案の中にも第一項目として挙げておりますが、組合員との結びつきを基礎とした事業運営の展開を進めていこうということを大きな課題に掲げております。  具体的に申し上げますと、一つは組合員の意向をくみ上げ、それを事業に適切に反映させる仕組みつくり、そういう合併の仕組みをつくっていくということが一つ大事でございますし、もう一つは、日常的に活動面で組合員との結びつきを強化していく。具体的には我々は触れ合い活動を強化しようという対策として打ち出しているんですが、そういう両面の対策を講じていきたい。例えば、一戸複数組合員化の問題であるとか、青年層、婦人層の例えば農協の総代、理事へ登用していく、それは仕組みづくりでございます。それから触れ合い活動の面で言えば、先ほど秋山参考人からも出ておりましたが、とかく事業中心主義でいくそういう推進活動から、相談活動をベースとした総合相談員を設置していく触れ合い活動に転換していく必要があるんじゃないかということもうたっておりまして、そういう点で、先生御指摘の点はもう我々も大変重要な問題だと考えておりまして、取り組んでまいりたいと思っております。  それから営農指導事業でございますが、これにつきましては正直言って今の体制が十分でないと思っております。今、平均で言いますと一組合当たり五・二人営農指導員がおるんですが、五人ぐらいではなかなか十分なこともできないし、営農指導員自体のレベルアップもできないということでございます。ところが、今度五つぐらいの農協が一緒になりますと、一つの農協で二十人あるいは二十五人という営農指導員を抱えることになりますから、私どもはそれを営農センターというような一つの機構の中に集約しまして、行政との連携もその中でとっていく。それから、農協の中のいろんな事業部門があるわけで、そういう事業部門を総合したセンター化を図っていって、営農指導機能のレベルを上げていく、それから営農指導員の資質を上げていく、こういうことで合併農協のそういった面での成果を十分出していきたいというふうに考えております。
  37. 谷本巍

    ○谷本巍君 そうしますと、松旭さん、これは私の持論なんですけれども、広域合併を行えば行うほどできるだけ本所というのはスリム化していって、経済事業によって、合併による経済事業のメリットを農家との接触部門、例えば支所の機能充実するとか、今お話のあった営農指導センターとかあるいはまた生活関連の指導センターとか、そういうところを充実するというような考え方でございますね。
  38. 松旭俊作

    参考人松旭俊作君) 全く先生御指摘のとおり、私どもも組合員との日常的な対応の接点になる機能は、むしろ支所の機能を強めるべきである、そういう視点から指導指針をつくっておるわけでございます。
  39. 谷本巍

    ○谷本巍君 松旭さんも御存じのように、ヨーロッパの生活協同組合が効率化を追求してしまった余りに、事業は肥大化したが、資本と併合されて協同組合機能の実態を失ってしまったといったような経過もあったわけでありますから、ぜひひとつ、今、松旭さんからお話のあった精神でやっていただきたいということをこの際お願い申し上げておきたいと存じます。  次に、花田福岡県購販連常務にお伺いいたしたいと存じます。  先ほどの花田さんのお話の中に自然環境に調和したゆとりある農業を目指した地域農振計画を立てていくんだといったお話がございました。私も全く同感であります。自然を生かした農業とは一体何なのか。それは地域の自然条件を生かすということなのではないかと思うのです。そうした農業を育てていくためには、これまでのような中央集権的な農政ではなくて、地方分権的な分権自治と申しましょうか、そういう農政が必要になってきているんではないかと思いますが、先ほど花田さんが言われましたことと関連いたしまして、農政について何か御注文があればひとつ御意見をこの際出していただきたいと思います。これが第一点であります。  それから、二点目にお伺いを申し上げたいのは、営農指導体制充実ということを先ほど花田さんが強調されました。その中で賦課金だけでは賄っていくことができませんよというお話がありましたが、まさしくそのとおりであります。  そこで、花田さんがおっしゃったことは、諸施策の充実が必要だと言われたのでありますが、私どもが一番聞きたいのはその諸施策の充実の中身なんですね。その点について、どういう中身なのか御教授をいただきたいということでございます。
  40. 花田文彦

    参考人花田文彦君) ただいま谷本先生より中央集権から地方分権べに対する、何か地方で農政に対する御意見がないかという御質問だと、かように考えております。  一例を申し上げますと、今、国で改良普及員、こういう制度があります。そういう中で、農業センサスの農家人口の比例によって農業技術指導だけでの普及員の人数、こういうものが現実に私は行われておるんじゃないかと思います。  地方に参りますと、いろいろ福岡県の場合におきましても、国際化時代対応とか、従来の米から畜産とか果実とか花とか、またふるさとづくりとか、そういうことをいろいろ二十一世紀生き残りへかけている中で、地方分権的な考えの中で、従来の技術指導だけの国の普及員でなく、今後農業を総合的に企画といいますか、二十一世紀へ展望あるふるさとづくりとか、地域の農家の方の文化、生活、そういうコミュニケーションの場をつくる指導といいますか、技術から大幅に膨れた中央へ分権の農政の展開をやっていただかねばいけないんじゃないかと、そういうこと。そのほか米とか麦、畜産とか、言いたいことはたくさんありますが、時間の都合等でそういうことをまずお願いをいたしたい。  それから、営農指導につきましての諸施策の実現ということで、前段申し上げましたように、金融とか共済事業も部門採算で経営が厳しく相なっておりますし、農協みずからこういう営農指導事業をさらに充実強化、汗を出して農家組合員の期待にこたえる営農指導事業をやっていきたい。現在の農協経営状況等を見ますと、これ等につきましては国の一定の財源の助成とか、福岡県におきましても当期剰余金の何%は営農指導費に積み立てて、基金にして今後の農家組合員の期待できる広域的な営農企画指導をしていきたいと思っておりますが、国からの一定のそういう環境保全といいますか、緑を守る、水を守るとか、そういう考えの中で私は地方に国の強力な助成措置もお願いをいたしたい、かように考えております。
  41. 谷本巍

    ○谷本巍君 続いて、神田組合長に伺いたいと存じます。  先ほどあなたの後に茨城県の秋山さんが合併の成果を生かすかどうかということは人の問題ではないのかというお話がありました。私もそのとお りだろうと思うわけです。  神田さんのところの広域合併をされた場合の話として私ども耳にしておりましたのは、あるいは間違っていたら訂正いただきたいと思うのでありますが、四十代の方お二人を学経理事として役員に据えたという話を聞いております。どうも、調査を見てみましても、学経理事というのは単協団体は非常に少ないんですね。ところが、異例にもあなたのところでは大変能力のある学経理事二人を据えられたという評判が立っておるのでありますが、その場合、言うなればある意味じゃ型破りというふうにおっしゃっている話もあるわけでありますから、理事会等で一定の抵抗があったのかなかったのか、それを説得するのにどんな苦労があったかということがあったとすればひとつお聞かせいただきたいということが一つであります。  それから、もう一つ伺いたいのは、その学経理事実現したことによってどんなプラスが生じてきているか、またマイナス点があるとすればその点もぜひひとつざっくばらんに語っていただくことができないかということであります。
  42. 神田庄司

    参考人神田庄司君) まず最初に、自分のことを申し上げますと、私は昭和五十二年、三十五歳で組合長になっております。合併をして十五年目で七代目の組合長でございます、恥ずかしながら。三年で一期だから合わないんですね、二十一年で七代目になるのが十五年で七代目になっておりますので。  そういうことから、実は学経理事を登用したというのは、私の期間中に、私が十数年間組合長をやっている間に理事者とよく相談の上でそういう人材を育てたんです。だから、先ほど谷本先生が言ったとおり、これは人です。あとは何にも言うことありません。そのために私は、理事者は何にも抵抗がなかった、みんなでそういう人材を育てた。じゃ、先輩にそういう人がおらなかったかというと、やはり旧態依然の、七大変わった組合長の育てた、七人で育てた人材は余りよくなかった、一人で育てた人材はすごかったということで、このような人材が生まれた、こういうことが一点でございます。  それともう一つは、学経理事を登用してからどうだかと。まさに昨年の六月からやりましたので、今満一年になろうとしておりますが、だれも、組合員一人も、職員一人も、役員一人も、常務をつくって悪かったという言葉は私には一言も聞こえてきておりませんが、私の裏ではどうかわからないが、私のところには聞こえてきませんので、私は成功したと。なぜかといいますと、先ほどお隣の秋山さんが言いまして、経営者がどうもと、こういう言葉を聞きました。私はそのとおりだと思います。この常務、学経理事をつくってから職員は生きがいを持って頑張っております。  なぜかといいますと、職員よりレベルが上だというんですね、常務は。だから頼りがいがあるとレベルの高いところだから常務に相談に行けるし、レベルの高いところで決裁ができるということだから、すばらしい執行体制になっております。反面、組合員から考えますと、常務に相談すると何でも結論を出してくれる、お金のことでも営農のことでも何でも常務に来いというふうな力強い、そういうふうな理事だということで、これは職員にも頼りがいのある常務だし、理事者はもちろんだし、何か私のことばかり言っているようでありますが、今一年でそういう形になっておりますので、ぜひとも私はこの問題は皆さんから御理解いただきたい。  以上でございます。
  43. 谷本巍

    ○谷本巍君 ところで、神田さん、今度の法改正の中では、学経理事の問題も一つありますし、それからもう一つの問題は、青年それから婦人の理事ということが出ておりますね。これまでの例で見てみますと、どうしても地区代表による理事会構成になるんですね。その結果、地区間の利害関係の問題が出てくるというと理事会は俄然活発になるんだが、地域農業全体をどうしていくかという議論になってくるとなかなか議論が出ない。それだけにどういう理事会を構成していくかということが大事になってきていると思うのですが、あなたのところの理事の構成はどんなふうな状況でありましょうか。
  44. 神田庄司

    参考人神田庄司君) 私のところの理事には青年部代表は一人もおりません。婦人部代表も一人もおりません。ただし、こういうふうな社会情勢でありますので、今後理事会でこの問題をよく協議して、できれば婦人部代表の理事というものも位置づけたらどうかと、その定員の中に。それから青年部という、そういう理事を位置づけたらどうか。あるいは各生産部会、畜産生産部会とか野菜生産部会、果樹生産部会、稲作生産部会というのを位置づけたらどうかということは、総務委員会では今検討している段階でありますので、私は、理事者の理解があり、そして組合員の理解があれば、それを早目に位置づけてまいりたい、こういう考えは持っております。
  45. 谷本巍

    ○谷本巍君 その点、ぜひひとつ全国のお手本になるような活力のある理事会構成について御期待申し上げておきます。  では、次に秋山さんに伺いたいのであります。  秋山さんのお話を伺いながら特に私が感じましたのは、これまでの農協合併を見てみますというと、例えば五つなら五つが合併になるとどうしても一体感に欠ける。ひどいところは事実上無政府的な状況がしばしばこれまで見受けられました。したがいまして、あなたも御指摘になったように、労働生産性が上がらない、逆に落ちていくといったような例も中にはあったわけであります。  ところで、これからの合併というのは、先ほども申し上げましたように今までとは違うわけですね。組織二段化ということをにらみながらやるわけでありますから、相当の広域合併になっていくであろうというふうに思われます。ということは、今までの合併とちょっと違って、合併をしたいからするんじゃなくて、しなければならぬからやらなきゃならぬという合併、これがどうも出てきそうな気がするんですね。そういう状況の中で一体感に欠ける状況というのがかなり出てきそうな気がするんだが、そういう問題を解決していくためには職員の立場から見てどうすれば解決することができるか。あなたの県下全体の農協関係を御存じなんですから、その点について御意見があったらぜひ聞かせていただきたいということが第一点であります。  それから二点目に伺いたいのは、組織二段化を進めるに当たっての県連の職員がどんな対応をしてくるだろうかということであります。  私は非常に不安に思うのです。県連の皆さんが、一部は全国連に、そしてまた一部は単協にというぐあいに移ってもらわなきゃならぬということになっていくわけでありますが、果たしてその点がうまくいくのかどうなのか、実態はどうなのか、その点についてお話をいただきたいと思っております。
  46. 秋山豊

    参考人秋山豊君) 私も広域合併農協の労働組合の設立を二農協指導しました、専従者として。そのとき職員の意識というのを見ますと、自分の農協がなくなる、そういう中でまず就労条件はどうなるんだろう、基本給は、あるいは一時金、ボーナスは、それから退職金は、それから就業時間はと。次は、自分の勤務地というのは、旧来の支所とか旧農協の本所なのかそれとも、大体遠くても十キロぐらいになるんですけれども、新しい本所なのかと。それから、今まで尊敬してついていった先輩方、部長さんなり参事さんなりがどうなるのか、こういった人間的なもの、こういった意識を持って合併前の一年ぐらいは大変不安な時期にあるというふうに見ています。  不幸にして茨城の場合は、合併前に経営者の方から、対象農協組合長さんなり監事さん方か力労働組合の方にそういった就労条件なり勤務条件の提示がなかった。そういった中で、合併直前の半月ぐらいの間に就業時間が土曜日四時になるとか、基本給は現給保障になるとかが急にわかる。そういうのが続いたわけですね。大変にもめました。合併半月ぐらい前に土曜日が四時までになるとか、あるいは退職金が、百カ月あるなんという農 協もあるんですよ、農協の場合は。それが六十カ月になるとか、そういうのが提示されて、勢い今まで労働組合があったところは連帯して、なかったところも参加して争議になりました。その争議の中で、ストライキがあったり、めちゃくちゃ言って初めて役員と話ができた。こういう形ではその一体感というのは生まれてこない。  まずは職員の一体感を出すには、やはり法律で認められた労働組合というものが私は一番いいと思っています。日ごろ上司に言えないことを仲間で集まって、こういうふうに要求しようと言ったからには責任持ってやろうと、みんな納得して要求するわけですね。それに対して経営者から説得されて、妥結して、やむを得ないだろう、これで頑張ろうという形でまた仕事に入っていく。そういう意味では、労働組合農協の中で果たす役割というのは非常に大きいわけなんですね。それがなかなか組合長さん方に理解してもらえなくて、まあ合併という事態だから我慢してくれ、職員は後回したというような形でやられると大変に混乱する。そういう意味で、一体感を出すというのには、労働組合をきちんと認めて、それできちんと要求を受けて誠意ある回答をして、そして職員と役員の間の信頼関係をつくっていく、こういう形でないと二百人にも三百人にもふえた職員と役員との間の信頼関係というのは生まれないと思います。一人一人接触できる時間というのは本当に少ないわけですから、私は、そういう意味で労働組合を十分理解して使っていただければ、まあ使っていただければというのはおかしいんですが、対応していただければ一体感は生まれるんじゃないかと思います。  それから、連合会の職員の状況なんですが、昨年の大会決議があってから大変不安な状況にあるというのは確かであります。私たちの労働組合で行った全国のアンケート結果から見ますと、組織再編で単協に行けと言われた場合、行くと答えたのが全体の五千名からの回答のうち八・八%しかありません。逆に、単協なら退職したいと答えているのが二一・六%いるんですね。これは別に単協をべっ視しているとかそういうわけじゃなくて、一つは自分の入った県連というものに対する。愛着、そういったものと、先ほど私が申し上げました人的な空白のような農協段階での就労条件なり業務内容の悪化、こういったものが前提にあるんじゃないかなと思っております。あと、全国連ならどうなんだと。行くと答えたのが一七・七%ですね。全国連なら退職したいというのが一三%、こういう形になっております。単協でも全国連でもどこでも行くというのは一四・五で、県連に残りたいというのがやっぱり一番多くて二四%というような形でして、最終的には帰属意識の強い県連という職場の機能は私はあると思っているんですよ。  農業とか農協というのは現場に近いほど機能充実されなくちゃならないと思うし、確かに要らなくなった機能はある。ただ、これから広げなくちゃならない地方での融資とか宅建事業とかあるいは福祉事業とか、そういったものはむしろ県連機能の拡充の中でどうなのかなと、そういうふうにも思っていますし、我々の組合員討論会をやったところ、そういう意識が非常に強い。何とか県連の機能を拡充して新規事業に取り組んででもこの職場に残りたい。農協に行って指導だなんてならないですよ。余計者というか、後から来た者という扱いを受けるのは、それは人間の社会ですからしょうがないというのもありますし、分散したくないという気持ちが実態だと思っております。  以上でございます。
  47. 谷本巍

    ○谷本巍君 私の持ち時間既に来てしまいました。秋山さんから今出た御意見というのは非常に大事なことだろうと思います。松旭さんにも花田さんにもそうした点などを踏まえてひとつ御奮聞いただきたいということを申し上げながら、私の質問を終わります。
  48. 三上隆雄

    三上隆雄君 それぞれ全国連、県連、そして模範的な単協、そして農協で働く職員の方の御意見を伺ったわけでありますけれども、前段のお三人さんは今回の法律をぜひとも早期に制定させていただいて、その実現に向けてというお話だと思います。私も現状の実態からいってそうあってほしいなと思うわけでありますけれども、逆な立場で若干質問を申し上げたいと思います。特に、生産農家に近い立場の御三人にお尋ねをしたいと思います。  今、日本の経済は、それぞれ独占、寡占化し、あるいは系列化して、それに対応すべく、組織として生産者の団体みずから、大型化してそれに対応しなきゃならぬという現実があるわけでありまして、それに伴って合併の必要性もあります。しかしながら、農協というものは、いかにして農業生産を上げて、その販売を有利に販売して、そして農家組合員に対して所得を還元することによって、それが一番適切な機能できる状況、規模というものがいわゆる適正規模だと、こう私は思うのであります。  その意味で、私は福岡県のこの購買販売連合会という名称、全国唯一だということを聞いて驚いたわけでありますが、そのことをまずひとつお答えいただけませんか。なぜそれを経済連と称しないか、それからまず。
  49. 花田文彦

    参考人花田文彦君) 御指摘の件につきましては、会員組織組合長としていろいろ御意見があるわけですが、福岡県の場合は園芸連というのが別にありまして、全国でそういう経済連の中に園芸連というのは七県ぐらいあると聞いておりますが、できるならば福岡県も組織整備、そういうものを取り進める中で、ひとつ近いうちに合併したとき、名称を経済連とか福岡農協連とか、そういう意味等で、対等合併という意味か、そういうこと等で名称は従来のままの名称に今日までさせていただいて、そういう園芸事業なり、あと藺販連とか酪連とかいろいろありますので、そういうような格好であわせて名称も検討をしていったらどうだろうかというような気持ち等で、現在はそういうことに相なっております。
  50. 三上隆雄

    三上隆雄君 そこで、花田常務さんにお尋ねいたしますけれども、さっきの前段の質問に返りますが、大型合併、しかも広域合併ということで、行政単位も市町村を超えて合併しているというケースが出てきているわけでありますけれども、常務さんはどの程度の規模が一番適切だと思いますか。あるいは、作目によって、地域の環境によって違うと思いますけれども、常務さんの守られる範囲内で、こういう品目の地域にあってはこの程度、あるいはこの地域にあってはこの程度という、大ざっぱでもいいですからお答えをいただきたいと思います。
  51. 花田文彦

    参考人花田文彦君) 福岡県の場合は、昨年の十二月十二日の福岡農協大会で、二十三構想で平成六年度末に実現いたしますということに相なっております。いろいろ審議の中では福岡県一農協というような考え方等もありましたが、現在が二十三を言いまして、十年以上かかって六十五農協に相なっているから、まず二十三をひとつ実現しようというふうに県大会で決定をいたしております。その中で会員の御意見の中では、金融は一農協が将来は五百億から七百億円保有し、販売では最低百億円、購買でも最低百億円とか、共済の保有高三千億とか、いろいろそういうモデル的なひとつ指標を持って、経営の合理化、農家組合員の期待にこたえる完結型の農協をつくっていきたいとか、それから職員の今後の教育、給与の問題、そういうもの等もあわせて総合的検討をしていくべきでないかと、こういう御意見たくさんありますが、そこそこの地域の、福岡県は都市化している地域、平たん地域、山間地域、いろいろ分かれておりますので、前段申し上げますように、当面は二十三をひとつ早急に実現して、会員、農家組合員の期待にこたえられる完結型の農協に早く努力して、その結果五農協になるのか一農協になるのかわかりませんが、まず二十三構想を実現するというふうな考えで取り組み、取り進めをいたしておるところであります。
  52. 三上隆雄

    三上隆雄君 そこで、秋田県の神田組合長さん、 農協もまた組合長の御高名も拝聴しておりますけれども、ただいま福岡県連の花田常務さんが言われたその規模からいきますと、神田組合長さんのところも規模からいったら大きいとは言えない。貯金の扱い高も約半分、農産物の扱いも必ずしも理想的ではないと思うけれども、そこまで合併して、今構想されているその大型合併組合長はどういう考え方をお持ちですか。
  53. 神田庄司

    参考人神田庄司君) 秋田県の農協は十二農協構想を出しておりますが、既に私のところができておりますので、十二の農協ができればいいわけです。  私は組合長として申し上げますと、正組合員数は一万人、職員は千人、この農協が私は将来の適正なる農協だろうと、こう考えております。  なぜかといいますと、千人ぐらいの職員の規模の農協にしないと優秀な職員が農協に来ないと私は考えておりますので、そうしますと、当然立派な組合長も来ないし、立派な常務もでき上がらないと思いますので、私は将来はそういうことを考えております。  以上です。
  54. 三上隆雄

    三上隆雄君 さすがスーパー組合長、立派な御発言です。  私は最終的には生産者の手取り収入が一番多くなるような生産規模というのが一番いいと思うんですけれども、稲作については、これは売り方も政府へ売ればいいわけですから、これは案外簡単であると、こう思うわけですけれども、しかし米についても今いろいろ産地間競争が、この競争の是非は別ですよ、その議論は別にしても、現実に産地問競争が出ている。果物、畜産にしてもしかりであります。  そういう中で、そんなに単協を拡大して、勢い系統二段階ということは全国一本という形が想定されるわけでしょう。それに対して組合長はどういう考えをお持ちですか。
  55. 神田庄司

    参考人神田庄司君) 今、三上先生は大きくなるといろいろな点で何か不安があるんじゃないかなという声であると思いますが、私は現在自分がやっている農協を見ますと、稲作についてはあきたこまちという立派な米がありますので、これについては現在の我が農協組合員は体を張ってあきたこまちの生産に取り組んで、その流通体制は食管法の中でやられておりますが、一部の自主流通米というのが秋田県は多くなりまして、それで産地精米等でやっているからこの問題は私は大丈夫だと。  そこで、もう一点は、果樹とか畜産とか畑作の問題です。  私たちの農協は、畜産についてはもう既に産地から生体、」生き物で東京、名古屋、大阪に豚とか牛を運ぶ時代はもう終わるだろう。何といっても産地で生産された畜産についてはその土地で処理して、そして大消費地に供給していかなきゃならないということを考えて、今、食肉流通センター構想を出して、畜産農家はその目標に向かって一生懸命活力を出して働いております。これも一つはやっぱり農協が大きいからできるものであって、小さい農協はどんな人が組合長になってもできないと私は思っております。  また、畑作については、これはいろいろな作物が昔はあった。もう一つは、営農指導、営農指導という言葉が使われてきました。今でも使っております。しかし、今までの営農指導というのは、生産するための、物をつくるための営農指導農協の営農指導であった、また行政の指導であった。ところが現在、我が農協をとってみますと、もうかる作物、つくれば絶対もうかる作物をつくる人がだんだんにいなくなってきたということです。要するに、それは専業農家でございます。  私たちは、営農指導というその中で今一番農協が悩んでいるのは、専業農家をつくる、人をつくる営農部門が重要な課題になっていると私は認識して、この問題については今一生懸命農協が取り組んでおります。物をつくるには指導員を採用すればつくれますけれども、人をつくるにはこれはなかなか今難しい問題であります。口があるものだからいろいろな条件が出てきます。作物は言わないです。口があるから、その条件を農協が今度全面的に受けて立つとなると、リンゴにしろ野菜にしろ絶対に私はそれだけの強い農協をつくれば、一〇〇%というのは難しいが、いろいろな面で私は農家には問題なくやれると思います。  もう一点は、座談会等は昔は集落座談会あるいは何座談会をやりましたが、今は農家も兼業農家になっておりますので、私たちは、農業に一生懸命取り組む生産部会、婦人部、青年部のその組織の中で昔の座談会方式をとって、そしてその人力が集落に帰って、農協組合長はこういうことを言ったよ、あるいは部長がこういうことを言った、常務がこういうことを言った、キュウリをつくると反当幾らもうかるぞ、そしてこれをやると農協が資材をただで貸しますよと、そういうものが生産している農家から集落のある機会でどんどんどんどん私にかわって集落に行って話をしておりますので、だんだんに何かそういう方向になっておりますので、これからの農協というのは、農協がどうやって人をつくるかというのが課題じゃないかなと、こう思っております。
  56. 三上隆雄

    三上隆雄君 大変立派な御指導ありがとうございます。  そこで、今までとかく大農協合併によって、優秀な組合、大型農家ほど農協から離脱していくという傾向があるわけですけれども、組合長さんのところはそういう傾向はありませんか。
  57. 神田庄司

    参考人神田庄司君) 皆さんの所属する農水省の立派な職員の方も我が農協へ来ておりまして、いつもびっくりします。なぜかづ農協は大型農家が離れないのかと。それは組合長が立派だからですかと。そうじゃない。農協がそういう生きがいのある農協をつくったから組合員は離れない。ほかの農協はわからないが、我が農協はそのとおりでございますので、そういう心配はございません。
  58. 三上隆雄

    三上隆雄君 そこで、神田組合長には現実の話よりも将来に向けて若干お話をしたいと思います。  今、一般労働者は、週休二日制度、そしてまた年間一千八百時間という目標を掲げて、政府も働く者も経済人も一緒になってそれに向けてそれぞれの立場で努力しているわけでありますが、今置かれた条件の中で、それから想定される経済の動向の中で、組合長の発想からいったら他産業が求めるそういう状況がつくり出せると思いますか、そしてあなたの農協の後継者が現実に育っておりますでしょうか、その辺を。
  59. 神田庄司

    参考人神田庄司君) うちの方は今の一千八百時間にはちゃんとその範囲内ででき上がっております。週三十九・五時間になっておりますので、週四十時間という労働省が出しているのよりもちょっと下がっておりますので、その対応は現在やっておりますから、大丈夫でございます。
  60. 三上隆雄

    三上隆雄君 いや、農家ですよ、農家。
  61. 神田庄司

    参考人神田庄司君) 農家の千八百時間ですか。これはちょっとまだ私は調べておりませんのでわからないです。後ほどよく調べたいと思います。
  62. 三上隆雄

    三上隆雄君 大変ありがとうございました。  時間の関係もあるので最後になるかもしれませんけれども、秋山参考人にお尋ねしたいと思います。  それぞれの参考人の方から、今回の法改正をして速急にそれの実施に入っていただきたいという大勢でありますけれども、あなただけは必ずしもそれを歓迎していない。まあ、そう言われると立場上厳しい面もあるかと思いますけれども、やっぱり今どこの農協も若い者が、しかも優秀な人ほど農協に就労しないという、そういう傾向は、農業の実態を見抜いて、将来の日本の農業に光がないとすればそれを支える農協にも限界があるだろうということから、それともう一つ、現状の労働条件が極めて厳しい状況下にあるという、そういう両にらみでなかなか優秀な職員が入らない。入ったとしても中途退職するというケースがある。わけですから、それについて、先ほど谷本先生も 若干触れましたけれども、もう少し言い足りない面があったらひとつ率直に申していただきたいと思います。
  63. 秋山豊

    参考人秋山豊君) 私は今回の法改正は基本的には賛成でございます。と申しますのは、先ほど言ったような責任ある役員体制の芽が出てくると思いますし、あわせて私が言ったような職員の就労条件の改善にもきっと対応していただけると、そういうふうに信じておりますので。  なぜ私がそこまでこだわるかと申しますと、過去何回も農協大会でいろんな決議がなされてもなかなか完全に実施されてこなかった原因というのは、やはり実践するポイントポイントに人がいないということだと思っているからです。私の師匠とする町の、町長になってしまったんですが、ずっと農協職員をやっていた方も、全国連からおりてきて、単協で婦人部の結成、加工事業の創設、共同購入と取り組まれて、いかに農協労の段階で農家を組織して要望にこたえて新しい事業なりを組むかということが大変かというのを身をもってわきで見ておりました。  そういう意味で、農協段階に優秀な職員をそろえると一言では言いますが、これは県連、全国連以上の知識とバイタリティーを持った職員じゃないとなかなか本当の農業問題の解決なり農村問題の解決なんというのはできないんじゃないか。そのくらい、口で言うのは簡単ですがやることは難しいので、ぜひ三段階挙げてその問題に常に取り組んでいただいた上でいろんな施策に入っていただきたいという考えてあります。  営農指導の問題にしましても、私も営農指導をやりたかったわけですが、農協に営農指導員がなかなか育たない、いい営農指導員が出てくると金融課とか管理課に回されてしまうとか。それで、いろいろ見ていますと、今結論的に言っているのは、まず農協の購買事業の例えば配送の省力化とか、それから伝票処理なんかも非常に手間がかかっているとか、非常にむだなところで夢中で働いているわけですね。そういった省力化、特に購買部門ですね。それで、購買部門の損益改善をして何とか金融、共済に世話にならなくてもひとり立ちする、かつ営農指導員を一人出せるぐらいの部門損益を出す。それから、販売部門も手数料が二%以下で部門損益が成り立つわけないんですが、農家の要望もあってこれでずっとやっているわけですね。ですから慢性赤字です。  この辺も農家の方に指導賦課金が出せないというんならば、販売手数料なりその販売部門の状況というのをよく理解していただいて確立していただきたい。そういった中で営農指導、生活指導というところの財政的裏づけをして、かつ今言ったような非常にハイレベルな知識とバイタリティーを持った人間を確保しなくちゃなかなか育たないと。  伊南農協へ行ってびっくりしたんですけれども、営農指導課長が物すごい知識と経験と力を持っていてあのリンゴの集団団地をつくったという。ああいう人間が全国に何人もいないと本当の農協にはならないと思っております。そういったことをぜひ農協段階でプランナーになってやる方、神田組合長だったら私はできるんじゃないかなと思うんですが、神田組合長のような方が千八百名いれば日本の農協は再生するんじゃないかなと思いますが、ぜひお願いしたいと思っております。
  64. 三上隆雄

    三上隆雄君 まだ若干時間がありますので、最後にまとめて松旭全中常務にお願いしたいわけです。  生産現場では大変苦労があって、今の農政と経済の仕組みではどうにもならぬという見方があるわけであります。私はこういう持論を持っているわけであります。今の日本の農政というか価格構成のあり方ですね、生産段階に一定の価格を、価値を与えないと私はまともないいものができないと思います。生産する段階を無視して、加工、流通に重点を置けば、原料そのものが悪質化したものがあって、また安全でないものもこれは出てくる可能性が十分あるわけであります。  ですから、安全なものを消費者に提供するという立場で現状の生産者、一定の経営努力をした生産者には一般企業並みの賃金を付与できるようなそういう状況をつくるにはどうしたらいいかということと、これは若干農協法に触れる問題ですけれども、単協の組合長が今こんな質問をしているんです。農業委員農協理事の任期だけは三年だ、あとは全部四年で、何でこういう差別をするのかという極めて素朴な質問を受付で、よしきた、私もそれを取り上げてみましょうということで来ましたから、この任期についての御見解をいただきたいと思います。
  65. 松旭俊作

    参考人松旭俊作君) 最初の御指摘の点につきましては、確かに今の農業農村をどう持っていくかというもう基本論の問題に絡んでいくだろうと思うんです。私どもも今度の農協大会で日本農業の再構築というものを大きな課題として出しておりますけれども、その中では、私ども系統の主体的な取り組みはもちろん強化するんですけれども、それだけではもうどうにもならぬところに来ているという危機感がございまして、これについては今の農水省の方でも新政策本部で御検討いただいておりますけれども、私ども全中といたしましても、系統の中の協議機関をつくりまして、新しい農業農村政策のあり方について提言をし、また関係官庁へ要請をいたしておりまして、今、先生おっしゃったようなことを含めましてそういう新しい農政、構造政策の樹立が必要だというふうに思っております。  それから、ちょっと任期の問題につきましてはどういうふうにお答えしたらいいんでしょうか、議員の任期四年、系統が三年、しかし商法は二年ということもございますから、そこのところの不突合をどうすればいいかわかりませんが、一般的には世の中の動きといたしましては商法の方の原則二年というような傾向にあるんじゃないか。しかし、系統の場合は余り短期政権は好ましくないから三年というふうなことでお認めいただいているんではないかと思いますが、その辺ははっきりいたしませんが、私なりにそういうふうに理解いたしております。
  66. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 参考人の皆様方には大変貴重かつ有益な御意見の御教示をいただきまして、心から厚く御礼を申し上げます。私に与えられました時間は三十分でありますので、五点ほどお伺いしたいと思いますので、できるだけ簡潔にお答えをいただければありがたいと思います。  まず第一は、花田参考人神田参考人のお二方に現場の実態に即してお教えいただきたいのであります。  申すまでもなく、今私どもが地方におきまして一番困っているのは、私は鹿児島でありますが、北であろうが南であろうが東であろうが西であろうがどこも困っているのは、農家に若い人が入ってくれない、農業に後継ぎがいない、いわゆる担い手問題と花嫁さんの問題。この二つは私どもも地方の現場で本当に苦しんだわけでございますが、花田参考人のところ、あるいは神田参考人のところでこれらの点につきまして、何かこういうことをおれのところではやっている、これで比較的うまくいっておるということがございましたらお教えいただきたい。なければお答えいただかなくても結構でございます。  なお、それに関連しまして、いわゆる多様な担い手の育成、確保という問題から、先ほど花田参考人のお話の中では、福岡県の購販連の場合がなり農業経営の受託が盛んであるようでございますが、さらに一歩進んで、私どもの田舎の方では、むしろ農協自体がみずから農業経営ができるような、そういう所要制度改正等までいくべきじゃないかと、こういう御要望といいますか、御意見もあるようでございますが、この点についてのお二方の現場からの御意見をお伺いできればありがたいと存じます。
  67. 花田文彦

    参考人花田文彦君) これはもう全国的な農協の対応でありますが、担い手と今後の育成対応、それから受託農業経営に対してどういう取り組みをやっているかという御質問だと思います。  特に福岡の場合につきまして、担い手の問題等につきましては、農業が魅力ある農業、希望の持てる農業、これが基本でないかと、かように考えまして、昨年の農協大会でそういう諸政策、対策を掲げておるところであります。特に農業の後継者育成につきましては、現在具体的にどういう取り組みをしているかと申し上げますと、まず青壮年の専従型農家、こういう分け方をいたしまして、こういう方には新技術の導入とか情報の提供、資金援助を積極的に行い、企業的な農家を今後日指していっていただこうと。  二番目は専業自立型農家。これは経営基盤を確立して後継者の育成に努めさせること。三番目に高齢、定年後とか都市からUターンして帰られた農家、こういうものへの対応といたしまして、農業の基礎知識、生きがいとか仲間づくり上が、そういう研修の場とか営農指導をひとつ強めていこうと。  それから兼業従事型の農家につきましては、生産から販売指導その他の農業に関する支援を積極的に行い、農業の存続化に努めさせていく方策。  五番目は女性専従型農家。これへの対応では、組織的な生産指導とか生活指導を行い、農業の担い手としての育成強化に努めてまいりたいと。そして、現在あります生産組織の育成と再編、特に青年部、婦人部、そういう組織強化を図る。地域農業振興とあわせまして、現在あります農事組合のあり方を、現在のニーズに対応できた農事組合の再編をして、地域農業活性化を図ってまいりたいと。  こういう考えとあわせまして、福岡県は前に申し上げましたように米が大きなウエートを占めております。福岡県にはカントリーエレベーター、全国一の五十二基を持っております。ライスセンター等で、米は全体の六〇%はこういうカントリー、ライスセンターでいたしております。それ。で、農協が五十二基のカントリー、ライスセンターで機能分担をいたしまして、農協がもう米麦の種子は全部買ってやって、カントリーでそこで苗にまでして、農家は田植えをして収穫する。そういう機能分担をして、年とった人でもそういう稲作、土曜、日曜日の農業ができるとか、機能分担を明確にして、育成なりコスト低減、そういう方策等も行っております。  それから、受託経営につきまして福岡県で今考えておりますのは特に畜産でありまして、まず三つの考え方をいたしております。産地育成型の受託農業経営、それから担い生育成型の受託農業経営、それから再建型、もう赤字でどうにもならない負債農家。そういう産地育成型と担い手今後育成と再建型の受託農業経営を考えて、特に当面は畜産、豚農家を中心にこれら三つの方式でやって、地域の養豚農家、畜産農業振興を今後図っていきたい。  米につきましても、今県下で二農協でそういう田植え作業とか田んぼを耕して収穫までのこと等もやっておりますので、今後福岡県も都市化が進みますので、受委託事業農協とあわせまして県連がそういう補完機能をぜひやって、地域農業振興、担い手対応なりそういうものをあわせてやっていきたいと思っております。
  68. 神田庄司

    参考人神田庄司君) 先生もよく御存じかと思いますが、昭和三十年代、私たちは中学校を卒業したとき、私たちの同級生が、私は次男繰り上げ長男でありますので農業につきましたが、私の同級生の皆さん、次男、三男坊は、長男のところにおって、田んぼを分けて、畑を分けて農業をやらせると長男が飯を食えない、そういうことで涙を流して田舎の電車で東京にどんどんとあのころは私たちの優秀な人材が東京へ来ました。そして私は農家に残りました。しかし今度は、私の年代のその長男の子供たちが「お父さん、農業は嫌いだ、東京へ行く」と、こうなってしまったわけでございます。  そういう中で私たちは、今、後継者、担い手を一番心配しております。これは今どんなことを言ったって私は今の段階では難しいと思いますが、しかし認識の持ちようだと。人を説得できるような農協形態をつくれば必ず私はこの問題は解決できるということで、今、先ほど三上先生にも言われたが、流通体制、あるいは加工部門、あるいは生産体制、そういうもの、あるいは生活面、いろいろな面に対応できるような農協の姿ができれば私は立派な後継者が生まれるということを考えております。  ただし、昔のようにそこの、私の家を継ぐ後継者じゃなくて、地域全体を継ぐ後継者というもので私たちは考えております。そのためには、必ず農業で飯が食えるような農業振興関係者の皆さんの協力を得て農協がひとつ裸になって取り組めば、私は必ず優秀な人材もしくは東京六大学を出た人も鹿角には来るような農業になるんじゃないかなということでもって今一生懸命頑張っております。  もう一点は、受託関係についてでありますが、これはうちの方は畜産、畑作は全然ないわけです。稲作農家に占める受託率は全体の大体八%です。委託については稲作農家に占める農家割合は六八%。これは稲作に限っております。あとの方はこういうことがないような状態になりますので、あとは私が言ったとおり、地域の後継者ができれば私は自然とそういうのが生まれてくるだろうと、こう思って今頑張っている次第でございます。
  69. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 ありがとうございました。  農協自身がみずから農業経営できるような、そういう仕組みに持っていくべきだという点については直接お答えをいただかなかったんですが、この点についてはどちらからでも結構でございますが、一言だけお教えいただけませんか。
  70. 神田庄司

    参考人神田庄司君) 私のところも、それは今いろいろとこの農協法改正に当たり、その二段階方式等の段階でかづ農協理事委員会で検討しております。私の方は、地域の後継者になる、受委託できる、委託できるような、その後継者をつくるということです。これを真剣につくっていく。そしてその人方がちゃんともうかる、農業で生活できる、そういう後継者をつくりたい。  しかし、それは幾ら頑張っても、もし百人つくるものが五十人しかできなかったと、幾ら頑張っても。そうしますと、あとの分は私は農協がやる。という考えを持っております。それは農協の職員にして、そしてちゃんとした保障をして農業をやっていかなきゃならない。そのためには、労働時間等にも十分制約されると思いますが、どうしてもできなければ私は農協がその分を補っていくという考えも今検討中でございます。そういうふうな考えです。
  71. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 次に、第二点といたしましては、第十九回全国農協大会の議案書、「農協・21世紀への挑戦と改革」、大変立派な御労作でありまして、私もこれを拝見して教えられるところが大きかったわけでありますが、この中で私どもが看過できないと思いますのは、この中の九十二ページにも掲載されておりますが、組合員農協帰属意識調査、こういったものを見ておりましても、若い人たちの農協離れというものが明らかでございますし、あるいは組合員農協利用率の低下、こういったことも指摘をされておるようでございます。  これらの点についての反省も込めて、また先ほどからお話がございますような広域大型合併によって、このような若者の農協離れあるいは利用率の低下ということが、組合員との結びつきが希薄化する、こういったことで拍車をかけるんじゃないかと、こういう懸念も十分にあるわけでございますが、この点につきましては、先ほどのお答えにもありました市場機能強化を初め、日常活動の中で営農生活指導、こういった中で十分な配慮がなされておるところであると思いますので、これらの点につきましては、さらにそれがそのとおり行われるように希望をする次第でございます。  これに関連をいたしまして、既に一郡一組合実現しておられますかづ農協の実態につきまして、神田参考人の方にお伺いをしたいと思いますのは、特にこういった一郡一農協と申しますよう な場合に、地域農業振興計画をおつくりになる。それに基づいて地域一体としての農業振興というものを図っていかれる、あるいは広く農業だけではなくて、農村振興ということも、地域振興ということもこれから進んでまいるわけでありますが、恐らくかづの郡、私も存じませんが、かなりの町村あるいは市もあるのかもしれませんが、それぞれの市町村が農政あるいは農業に取り組む取り組み方も区々であろうと思うんです。あるいは場合によってはいわゆる補助率も違うかもしれない。そういう場合に、広域農協としては一体としてやりたい。ところが、個々の市町村が足並みがそろわないという場合に、そういうようなことがあって御苦労なすったことがあるかないか、そういうこともあって何らかの対応策というものを講じておられるか、御経験がございましたらお教えいただきたいと思います。
  72. 神田庄司

    参考人神田庄司君) 私たちの方は、市と町があります。そういう中で農協が一つでありまして、私たちは昭和五十四年に、まあ大学の名前を出すというのはどうかと思いますが、北の組合農協が西の大学、京都大学の先生方に依頼しながら、私たちは五十四年に農協基本計画をつくって、今回は第三次の基本計画もつくりまして、今日に至っております。  その内容は、活動面、農業をやるためのいろいろなその施策の中で活動面、現場は農協がやるというその一つの考え方を持って計画をしております。それと政策問題、農業政策、先生方にこれをお願いして、いろんな政策問題は、これは行政の主導でやってくださいと。現場は農協が主導でやりますよということを、分担をきちっとやっております。そして、何といっても組合長と市長と町長が仲がよくなるということは、これは絶対不満も出ないし、またそれによって職員も一体になっておりますので、私がなった暁にはそういう点はなかったと思います。  以上です。
  73. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 ありがとうございました。  次に、第三点でございますが、これは花田参考人秋山参考人にお願いをいたします。  これまでもそうでございますが、農協の活動の今後の基礎になります事業活動というのは、基本的に、生活指導もありますが、営農指導であろうと思います。この営農指導につきましては、それぞれの現実の実情に即したきめの細かい営農指導というものが必要になるわけでございますが、同じくこの資料を見ておりますと、また先ほどもお話がございましたように、現在全国で、平成元年の数字のようでございますが、一万九千二百六十七人の営農指導員、一組合当たりは五・二人ということでございますが、まだ設置してない組合の比率が一一・八%ある、こういうことでございまして、営農指導員の質量両面にわたる充実強化、その活動のための財政基盤の確立がいよいよ、必要でございます。  特に、この点につきまして、先ほど花田参考人のところでは、既にこの営農指導の面につきまして営農企画指導士と、こういった制度もつくって取り組んでおられるようでございますが、私が心配いたしますのは、先ほどお話がございましたように、この営農活動というものの財源が、今はほとんど共済・信用事業からの余剰金の一部の繰り入れ、これをもとにしてやっておられるようでございますので、これが先細りになってきますと、兵糧攻めで兵糧が切れて営農指導活動が十分にできない。この点につきましての今後の財源対策という基盤の強化ということについてどうお考えになって取り組もうとしておられるのか、お教えをいただきたいと思います。
  74. 花田文彦

    参考人花田文彦君) 今後営農指導充実強化をして地域農業振興を図っていきたいというような考えで、一番の根っこはやはり財源でないかと、こういうことを申し上げ、国へも助成要請をした発言をいたしておりますが、特に本県といたしましては、広域営農企画センターの運営の安定確保を図りますため、まず福岡県の方に、行政の方に応分の基金の拠出を今後基本的にお願いをいたしたい。    〔委員長退席、理事北修二君着席〕  それから、連合会にはいろいろ信連とか共済連、購販連、園芸連とかありますので、連合会でも応分の基金を拠出する。それとあわせまして、単位農協におきましてもその基金を拠出していただきまして、その基金でできるならば今後営農の基本的な財政基盤の確立を図っていきたい。かように考えておりますし、現在におきましては、福岡県では現在四十七名の営農企画指導士がおりますし、これとあわせまして、通年の講座を受けた者が二百二十五名おりますので、こういう者の今後の資質の強化、育成強化、それから広域合併農協には二十三はぜひこの広域営農企画センターを設置したいと思っておりますので、財源確保にはひとつ県、連合会農協、でき得るならば国等でも日本の農業振興のためにこういう基金をぜひお考えいただければ幸いだと、かように思っております。
  75. 秋山豊

    参考人秋山豊君) 営農指導員の体制は、私は支所単位に地域の土地の利用調整とか労働力の不足の調整をできる指導員が一人、これは営農団地とか農業団地主言われる規模からいうと農家戸数で三百戸から五百戸ぐらいなのかなと、田んぼの集まりなんかもあるんでしょうが、こういうところに一人マネージャー的な営農指導員がいるべきじゃないかなと思っております。  あと、合併農協では本所に畜産、酪農とか養豚とかそれぞれかなりの専門的な知識を持った指導員が必ず一人ずついる。野菜についても、その産地によって葉物とか果樹とかあると思うんですが、それぞれいる。さらにその上に企画営農ができる総合的な力を持った営農指導員がいる。そういう形で全体を網羅すべきだと思っております。  合併しない農協については、なかなか本所に専門的な指導員を置いて、かつ支所にももう一人指導員というわけにはいかない。実態を見てみますと、経済連の支所に営対課というのがありまして、肥料、農業の相談と同時にかなりの技術的な栽培指導ができる指導員が、茨城の場合は県の農業試験場とか改良普及所の所長さんとかOBの方が嘱託でおられますし、合併しない農協についてはああいう形で補完しながら指導体制をつくるべきだと思っております。  お金の面については、基本的には五百戸の農家が一万ずつ出せば一人の営農指導員の五百万という人件費は支えられるわけなんですが、なかなか農家の人というのはそういうことに関してはお金を出したくないというのがどうも実態のようでありますが、私は基本的に農家の人がその趣旨を理解してお金をちゃんと出す、それで営農指導員もそれにこたえるという形が理想なのかなと思います。    〔理事北修二君退席、委員長着席〕  それから、農協自体の内部努力というのもまだ足りないと思っております。例えば購買品の在庫が一年間の平残で一億以上も持っているなんという民間企業はどこにもないと思います。これは、農家が買いに来たらいつでも持っているということで、一億からの肥料とか農業の在庫を倉庫に抱えているわけですが、今の物流からいえば翌日には補充が経済連からききますし、その一億の資金の運用利息だけでも七百万から上がるわけであります。ですから、営農指導員が一人十分雇える。あるいは購買未収金というのもありますが、こういったものも一億以上ある。これはなかなか、できたときに払うということで一気に半分とかというわけにはいかないにしても、農協自身もやっぱりきちんと内部努力しなくちゃだめだと。その上で、どうしても足りない部分は、先ほどから松旭常務とか花田常務の方から出ているように、一定のファンド、営農指導基金、あるいは生活指導も含めてやらないと農村の婦人の理解というのは私は得られないし、まず若い婦人の理解を得るためにも生活指導事業というのは今後かなり重視しなくちゃならないと思っていますから、そういうのを含めますと、営農指導基金と言われる国挙げての制度があった方がよりいいだろうと思っており ます。  以上でございます。
  76. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 ありがとうございました。  時間が大分迫ってまいりましたので、最後に一問お伺いをいたしたいと思います。  今回の法改正農協経営管理体制整備が図られるわけでございますが、今後農協が大型化してまいる、あるいは事業内容も拡大し、あるいは専門複雑化してくる、こういうことになりまして、特にこの事業の適正な運営のためにも、中央会の監査機能充実強化、それと農協自体の内部監査機能強化ということが何にも増して重大となってまいります。私も県知事時代に鹿児島市農協問題で大変苦い苦しい経験をいたしまして、もう嫌というほどこの検査あるいは監査機能充実ということが大事だということを痛感いたしておりますが、それだけに今度の農協機能が拡大されるに伴いましてのこの監査機能の問題、幾ら声を大にして申しましても言い過ぎることはないと思います。  この点に関連しまして、時間がなくて恐縮でございますが、できるだけ簡略に松旭参考人に中央会としてのお取り組み、また神田参考人には農協の内部監査の強化策につきまして、お考えがございましたならばお答えいただきたいと存じます。
  77. 松旭俊作

    参考人松旭俊作君) 今度の農協づくりの基本というのは、自己責任経営体制の確立ということを随所に言っているわけですが、まさに自己責任というのはそういうリスクをきちっと自分で管理することが自己責任であろう。それはハッピーなことはハッピーなわけですが、やはり厳しい事態にきちっとかじ取りをしていくということが本来の趣旨であろうと思います。  したがいまして、そういう意味で農協の内部監査体制につきましては、これは大型合併が進めば進むほど従来にも増して力を入れていかないと、さっき申し上げましたように一つ一つの農協資金量が八百億になります。七百八十農協になりまして、一番大きい農協は六千億にもなる。こういうように農協が大きくなったときに一つでも農協がこけたら、これは先生御指摘の鹿児島どころで一はなくなるわけでございまして、私どもも十分心して進めたいと思います。ただ、残念ながら先生方にいろいろ御心配をおかけしております一、二そういう事故がまだ現時点でも出てくるというようなことから、私どもといたしましては、平成四年度から三カ年計画の運動といたしまして業務運営体制整備全国刷新運動というものに取り組みたいと思っております。  その趣旨は、今回の法律改正執行体制経営管理体制整備強化法律改正を契機としてそれの体制の確立運動を進めたいということと、一方で経営の内部リスクをきちっと管理できる体制を構築していくというようなことをねらいとして全国刷新運動をスタートさせました。  もう一つ、その一方で、要は信用事業の部門でいろいろ問題も多いわけでございまして、こういう全国刷新運動に呼応して、信用事業におきましてもリスク管理運動というものをあわせて展開するように今全中中心に各連にお願いして取り組みを進めておるところでございます。よろしくお願いいたします。
  78. 神田庄司

    参考人神田庄司君) 私の方の内部監査制度は昭和五十九年に導入しております。現在の職員は、専任は一人、兼任は三人でやっております。そして農協経営状態は毎月決算を打っております。月次決算を毎月打っております。その月次決算に従った内部監査あるいは日常の購買未収とか貸し付け、いろいろなそういうような関連に対して外部職員が計画的にやっております。また、直接組合長が理事のいろいろな点についても監査しろということも指示をした例もありますし、一職員を徹底して監査、尾行じゃないが監査をせいということもやりまして、今のところこの内部監査については私はいい方向に行っていると、こう思っております。
  79. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 参考人の方には大変御苦労さまでした。いろいろ有益な話を聞かせていただきまして、ありがとうございました。  なお、私の質問は、もう前の先生方がいろいろ質問されたのと非常にダブりますので、簡潔にお答えいただければありがたいと思います。  まず、順番にお伺いしまして、松旭参考人にお伺いします。  先ほども谷本委員でしたかお話がございましたけれども、農協の職員というよりもむしろ役員の方に対する女性の登用というふうなことに関して、全中としてはどんな方向で考えておられるのか。実際の組合員は別にしても、農業従事者としては女性が半分あるいは半分以上ということだろうと思いますので、その辺どうお考えでしょうか。
  80. 松旭俊作

    参考人松旭俊作君) このことに関しては、余り胸を張ったお答えができないのが残念なんです。現在農協の役員は全国で六万八千人いるんですが、女性の役員の方はわずか七十人しかいらっしゃらないというようなことで、私どもとしては先ほどから御説明しているようにこれは問題だというふうに思っております。  私なんか地方でよく話をする機会がありますが、農協はどうも家父長制度が基本になっていて男社会じゃないか、私はこれからは御婦人とか若い人に見放される農協は将来はない、そのくらい重大な問題意識を持って取り組んでまいっていきたいと思っております。
  81. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 それから、営農指導員ないし営農センターのお話をされたわけですが、この経費の問題について、先ほど鎌田委員の質問に対し、花田参考人秋山参考人から一応御意見があったわけですが、この営農指導員ないし営農センター経営の経費の問題に関して、全国中央会としてはどういうふうにお考えでしょうか。
  82. 松旭俊作

    参考人松旭俊作君) これは現在、一農協当たり営農指導の経費というのは約七千万円かかっておりますが、そのうち農協の持ち出し分が六千万ぐらいあるわけでございます。基本は、応益負担の原則ということからすれば、そういう指導を受けた組合員が賦課金を出していくというのが基本なんでしょうけれども、現実にはそうしゃくし定規な料率設定もできませんから、農協がある程度他の事業収益から出していかなきゃいかぬだろうと思っています。  したがいまして、やり方としては、私ども、現在営農指導ファンドをつくる場合に教育情報積立金というのがありまして、毎年の剰余金の二十分の一以内で積み立てるということになっておりますが、この積み立ての幅を大きくしていただきたいということと、それからこれは有税積み立てでございますから、こうしたものについては、ある一つの計画的な取り組みがなされる場合については非課税措置のようなことを今後御検討いただければというふうに思います。  それからまた、県によりましては、営農ファンドというようなものについて関係県、市町村の応分のいろいろ御協力が得られればさらにいいというふうに考えておるわけでございます。
  83. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 さらに、続いてお伺いしますけれども、広域合併推進ということと県連合会組織との関係についてはどういうふうにお考えでしょうか。広域合併を進めていって、極論すれば県単位の広域合併だということになると、それと県連合会とどういうことになるのか。要するに、広域合併推進ということと県連合会との関係について、全中としてどう考えておられるんでしょうか。
  84. 松旭俊作

    参考人松旭俊作君) 広域農協合併が進めば進むほどといいますか、自己完結的機能の具備ということを言っておりますが、連合組織機能農協合併の進展の度合いに応じで農協みずからが取り込んでいくということが必要なわけでございます。したがいまして、その農協合併の程度にもよるわけでございますけれども、極端な場合は一県三農協構想という県もございます。そうなりますと、一県にもう三つしか農協がないということになれば、じゃ一体県域の機能というのは何が残るんだろうかということになります。したがいまして、私ども、今その実行方策の下敷きとしての考え方 を検討しておるところでございますが、多分農協合併の進展度合いに応じて県域機能がだんだん少なくなっていくというような構造方程式になるんではないかというふうに考えております。
  85. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 先走った質問かもしれませんけれども、先ほどの系統農協組織を二段階にするということは、一口に言えば県連段階が消えるのかもしれません。仮にそういうことをお考えの二段階ということだとした場合には、中央会は全国中央会と県中央会との関係についてはどうお考えなんでしょうか。
  86. 松旭俊作

    参考人松旭俊作君) この組織整備の基本的な方向は総合審議会というもので出しておるわけでございますが、事業連につきましては、農協と統合連合組織組織二段を将来方向としようと。中央会につきましては、これも総合審議会の議論の中で全部統合中央会にする検討もしたんですけれども、最終的には農協と統合連合組織ということになると、そうすると農協と統合連合組織の距離があき過ぎるではないか。その農協の代表機能、意思反映機能というものを県の中央会がまとめて担っていく必要があるんではないか、あるいは県行政への対応を県中が担うべきであるというような観点から、スリムな県中は残すという方向で整理をされております。
  87. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 松旭参考人にはありがとうございました。  あと、花田参考人に一点だけお伺いしたいと思います。  先ほど鎌田先生からもお話があったんですが、今回の法改正にも関連して、県連合会農業経営の受託をする、しないというような問題に関してお伺いしたいんですが、先ほど御説明はあったんですが、よくわからないのでもう一度お伺いしたいんですが、県連合会農業経営の受託をすると。いうふうな場合に、県連合会としてその受託するような受け入れ態勢というか、そういうものはどうなっているのかとか、あるいはそういう必要性。というものがどういうことになっているのか、簡単にお答えいただきたいと思います。
  88. 花田文彦

    参考人花田文彦君) 受委託農業経営につきましては、もう会員内に強い要望等があっておりますので、今回の農協法改正ができますと早急に県連合会としてもこれが取り組みにかかるということで、一例を挙げますと、畜産等では連合会ではミートセンターとかいろいろなセンター等を持っておりますので、福岡県の場合も畜産開拓農協というのがありまして、そこではもう今後経営が困難な特に乳雄の飼育、こういうのは農家ではもう困難と、農協でやると。そういう専門農協でも技術施設、ノウハウのものがありませんので、ひとつそれは県連合会等で今後やっていただかないとそういう大型専業畜産農家の生き残りはできないというようなこと等いろいろ言われておりますので、この法案が通った時点では、早急にそういう連合会が受委託事業をできる体制整備に持っていきたいと。  それから、完全週休二日制等になりますと、生き物でありますので、ヘルパー制度等、連合会組織で、農協だけでは仕組みができませんので、県でそういう組織化をしていただきたいとか、そういうことを言われておりますので、平成四年度の事業ではそういう取り組みを今企画なりやらせていただいて、今後対応いたしたいと思っております。
  89. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 ありがとうございました。  神田参考人に一言だけお伺いしたいと思います。  先ほど鎌田委員からもお伺いして、御答弁もいただいたんですけれども、かづ農協として農業経営の受託をされているのかいないのか、それはどうなっているんでしょうか。
  90. 神田庄司

    参考人神田庄司君) 今の時点ではやっておりません。
  91. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 はい、わかりました。  時間が非常に二十分しかなくて短いものですから、ほかの人は十分の人もいるんですが、秋山参考人にお伺いしたいと思います。  私はよく知らぬものですからお伺いするんですが、いろんな労働条件の決定は具体的には単位農協農協理事者との交渉で決めるんですか、それとも、労働時間、給与、いろんな問題についての労働条件の決定はどことの交渉で決まるんですか。
  92. 秋山豊

    参考人秋山豊君) 各農協単位で労使で決めております。  ただ、県によっては、埼玉とか、県連の中央会レベルに報酬審議会とか、一定のことしのベアの基準とかを審議するような機関を設けて農協基準を示しているような県もございます。
  93. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 じゃ、どうして、先ほどのお話で、高卒であれ大卒であれ民間の平均給与に比べて低い、幾ら交渉しても高くならぬのでやむを得ぬと、こういうことなんですか。それとも全体的に県連合会あたりでこういう基準でいけとかどうとか、そういうことのために給与の基準というのが低くなってしまっているのか、その辺はどうお考えなんですか。
  94. 秋山豊

    参考人秋山豊君) 農協の基本給で言いますと、一時金が、民間が大体、公務員でも五・五カ月ぐらいだと思うんですよ、夏のボーナスが二カ月の、冬が三・五ぐらいないしは三カ月の、期末が〇・五の。農協の場合は大体七カ月から持っているんですよね。一時金なら経営が悪くなったときはいつでも切れるという配慮もあったわけですが、私どもの県の中央会は、その一時金を二カ月分基本給に繰り入れなさい、それじゃないともう基本給保障ができないということを二年ぐらい前からかなり指導しているんですが、なかなか組合長さん方とか参事さん方は理解していただけないというか、取り組んでくれないという。それで、八十八農協のうちの大体二十農協ぐらいしかまだやっていない。一つそういう原因があります。  それで、繰り入れてもまだ先ほどの二万とか四万というのの半分ぐらいしか埋まらないんですが、これは地域経営者側に適正な賃金水準という感覚がまずないというところがあります。労働組合で市町村の賃金なり県職の賃金を調べてきて提示して初めて、いや、ちょっとまずいかなというように感じられる組合長さん方が多いです、我が県では。  従来、どうも労務管理というものに対して理事なり参事が取り組むべき責務があるという、そういう感覚がちょっと薄いんですね、農協の場合は。これは労働組合の責任もあるんですが、そういうことが高じまして実態が非常に低いという現状であります。
  95. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 それから、ほかの方々からもいろ。いろお話が出ているような広域合併だとかあるいは農協二段階制とか、こんなようなことに対して職員はどういうふうに考えているか、不安というか、を持っているか。  ただ、これだけ合併しても職員数はかえって減るんじゃなくてふえておりますね。まあ、あなたのところがどうかは知りませんけれども、全国的に見ると、随分合併はしているんだけれども、単位農協の職員数は減っているところか倍増しているぐらいの状況にはなっているんです。いずれにせよ、そういう状況は別にして、広域合併あるいは農協二段階制というふうなことについての農協職員の所見はどんなようなところにあるんでしょうか。
  96. 秋山豊

    参考人秋山豊君) 率直に申し上げまして、まあ偉い方々が決められたことなんだなというような。なぜかと申しますと、職員とかは県連も農協も協議に参加しておりません。説明なり研修会を受けましたが、我々も農協の運動者であるにもかかわらず、こういったでかい問題について職員としてどう考えるんだというような前段の意見聴取とかそういったものが余りなされていない。ですから、我々としてはどうしても労働組合を通して自分たちの要求をまとめ上げて提出しないと、わからないうちに自分の仕事とか勤務先が変わってしまうという、そういう不安が非常に今は強いです。
  97. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 農業協同組合農民組織なんで すから、まず農民がすべてのことを決定するというところに参画せにゃならないし、そしてまた、実際に運営していくのは組合の職員、理事ですから、その辺の方々意見を集約していろいろ事を運んでいかないとなかなかうまくいかないだろうと思います。  いずれにせよ、参考人の四人の方にはありがとうございました。  終わります。
  98. 林紀子

    林紀子君 参考人の皆様にまずお礼を申し上げます。  私は、お答えもいただくのを含めまして十分しかございませんので、大変申しわけありませんが、最初に質問をさせていただきまして、順次お答えをいただけたらと思います。  全中の系統農協組織整備推進本部、ここが組織整備の基本的な方針として三つの中間報告、「新たな事業方式・全国連直接利用について」、「合併農協組織事業運営のあり方について」、また、「人的支援にかかる基本的考え方について」というものをまとめて、七日の全中理事会で了承されたと伝えられております。  一方、農協合併につきましてはさまざまな意見があります。例えば、京都でのアンケート調査を見せていただきましたが、「合併は必要ない」と答えた組合員が五四・五%。その理由は、経営基盤強化する方法はほかにもある、農協の事務所や施設が遠くなると不便である、農協が大きくなると組合員の結束が弱まるなどとなっております。また、新潟県でも、組合長四十二人へのアンケート調査では、「広域合併を進めるべきだ」と答えた組合長が二一%、反対に「合併は避けるべきだ」が三八%、また、「行政区規模程度の合併は進めるべきだ」という人が二九%というふうに伺っております。  そこで、まず松旭参考人にお聞きしたいのですが、三つの中間報告というのはどのような内容なのでしょうか。また、今後このようにさまざまな意見がある中で、これを下敷きに農協全体の合意形成を図りながらどのように農協合併を進めていくのか、合併による問題をいかに解消していくのか。この辺をお聞きしたいと思います。  次に、花田参考人にお聞きしたいのですが、三つの中間報告のうちで、事業二段方式の実現に向けた新たな事業方式・全国連直接利用の検討方向、特に経済事業についてですが、県連合会組織の一員としてこれについてはどういう御見解をお持ちかというのをお聞きしたいと思います。  次に、神田参考人にお聞きしたいのですが、大変自信にあふれたお話をいろいろお聞かせいただきましたが、農業協同組合というのは、本来農家組合員が共同して農業経営と生活を守っていくという、企業とは違った大変すばらしい豊かなものがあると思うわけですけれども、この農業協同組合というメリットをどのように運営に生かしていくのか、一番基本的なところになると思いますが、お聞きしたいと思うわけです。  それから秋山参考人、いろいろ皆さんから御質問がありましたので重なるかもしれませんが、茨城県でも広域合併が進んでいるというふうにお聞きしております。広域合併について評価する点があるかどうか、どのような御見解をお持ちかというのをそれぞれお答えいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
  99. 松旭俊作

    参考人松旭俊作君) 第一点の全中の中にございます組織整備推進本部で検討いたしておりますものは、今、先生御指摘の三点セットでやっておりますが、これはあくまでも途中経過でございます。したがいまして、全中理事会にも途中経過として報告をしているということで、案がついたままでございまして、まだこれから県とのいろんな相談をしながら、事業別にも相談をしながら下敷きをつくっていこうと考えておりますので、ちょっと中身については、まだそういう途中経過であるので、ひとつ説明を省略させていただきたいと思います。  それから二番目の、合併の必要性みたいな、あるいは組合員の意向みたいなお話がございましたが、これは私どもは、広域合併を今やっていくその今日的な意義というのは、一つは、農協を大きくしないとこれから組合員のいろんな多様、高度なニーズに十分対応できない。例えば、さっき御指摘ありましたように、まだ営農指導員を一人も置いてない農協が一一%ございます。農機具の修理センターを置いてない農協が四〇%というようなことで、やっぱり小さかったら機能整備ができないんです。ですから、我々は、今の農協の問題点というのは、余りにも機能格差があり過ぎるところに今の広域合併を進めていかなきゃいかぬという背景が一つあるということ。  それから、二番目に大きなポイントは人材の確保、育成でございます。これは神田組合長もおっしゃったとおりでありますが、農協地域の中でステータスをきちっと上げていかなければ人は来ません。これは私どもは大変なことだというふうに思っております。したがいまして、立派な農協をつくるというのは、そういうステータスを上げていくという趣旨も含めて申し上げておるわけであります。  それから、事業運営を効率化していくという視点もございます。ただ、一方で組合員にそういう意見があるということは、私どももこれは重要な問題だと思っております。なぜかといいますと、これは谷本先生も最初御指摘があったように、合併したらとかく組合員とのコミュニケーションが疎遠になるじゃないか、そういうことは、さっき申し上げましたように、広域合併に力を入れる以上に農協組合員との結びつき強化を図っていかなきゃいかぬと考えております。  それから、我々が聞いております組合員の不満というのは、合併のメリットが全然組合員に返ってこないじゃないか、合併をすればいろんないいことがあると言っていたのにメリットがないというような御不満はよく耳にいたします。それは、今度組織整備の、先生のお手元に差し上げた全国連直接利用というのがございまして、ある合併を達成した農協には全国連と直接結びついた取引をやっていただこうということで、そうなれば、例えば肥料、農薬とか、そういった生産資材についても大規模合併農協組合員は安く手に入るというような合併メリットを組合員にもたらす措置もあわせて講じていきたいということでございます。
  100. 花田文彦

    参考人花田文彦君) 事業二段階方式につきましては、もう基本的にそうあるべきと思っておりますし、これをこういう方式に持っていくには、県連、連合会の中では特に経済事業、こういう物の物流とかを扱っているのは各県の経済連でも施設を、福岡の場合も約七万五千坪から八万坪の施設を持って対応している。そこから六十五農協に肥料、農薬とか農機とか物流の拠点に相なっている。  それから、行政とのかかわり合い、その地域で豚とか果実とか野菜とか、地域の県の行政との深  いかかわり合いがあるというようなこと等で、方では産地間競争が、米にしましても畜産物にしても、よその県との産地間競争が熾烈に行われておるということで、一挙に農協と全国連への統合には時間がかかるんじゃないか、また、会員もそこまで一挙にいける者といけない者、いろいろな御意見等がありますので、より農家の立場でそういう物流コストを低減して、効率化のためにはひとつそういう体制、あり方に早く持っていきたいということで、福岡県の場合は平成四年度中に県連のあり方を委員会でひとつ整備、検討するということに相なっておりますので、その検討の結果によりまして、そういう取り組みをさらにやっていきたい。  それから、全国連の直接事業につきまして、いろいろこれは今全中から言われましたように、肥料、農薬等ではもう直接、中の県連はなくして、コストとか物流ですね、そういうものを低減した方がよくないかという、品目によっていろいろそういうものはあります。一方では逆に、そういうことをしたらコストが高くなるし、農家組合員の期待にこたえられないというような問題等もあり ますし、県の連合会としては、そういうできるものだけの一部を直にしてもなかなか、それは県の連合会経営もありますし、会員の理解、了解も得なけりゃいけませんので、そういう直接利用等につきましては、極力そういうコスト低減とか、農家組合員に安いものの供給には努力いたしますが、福岡県なら福岡県一つの物の考え方が統一できた時点で全国連直接利用と、そういう形で取り組みが進められていくんじゃないかと、かように思っております。
  101. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 参考人に申し上げますが、恐縮ですができるだけ簡潔に御答弁をお願いしたいと思います。
  102. 神田庄司

    参考人神田庄司君) 私は共存同栄という言葉を使っております。その地域にともに生きて同じく栄える、共存共栄じゃなくて同栄です。不公平なく同じく栄えるということです。そういうのが協同組合のメリットだと。だから一人は万人のため、万人は一人のためという言葉がおりますが、この言葉も大分古くなっておりますけれども、これがやっぱり真実じゃないかなと思います。  そうしますと、これは当たり前なことでありますが、営農面活動にメリットが大きくあるということが一つでございます。  もう一点は、生活面活動についての精神的豊かさ、これが大きいんじゃないかなと。例えば、農協事業によってそこの地域の物価が抑えられる、あるいは貸付金利が抑えられる、共済事業に有利性があると。もしそれがなかったならば民間等に自由にされるだろうと思いますので、そういう点は個人でやれないものを共同でやるということで、私はこういうのが農協じゃないですかと、こう思っております。
  103. 秋山豊

    参考人秋山豊君) 合併の評価ですけれども、構成農協で一番レベルが高いところに合わさるということなのかなと思います。それは、事業方式でも給与の面でも一番いいレベルのところに合わさる可能性が強いと。例えば、貸し付けに関する優秀な部長さんが小さい農協からでかい農協の金融部長になると、一気に貸し付けとか貯金が伸びたりします。そういう意味で合併の効果というのはある。もう一点は、利用者が多くなりますので、広域的なカントリーエレベーターとか集荷場とか保冷施設とか、そういったものが持てるということも施設面で言えると思います。  ただ、要はやり方だということで、茨城県で広域合併した三農協のその後の経緯を見ますと、確実に県の平均を上回っているのは預金利回りぐらいでして、組合員利用等の販売高あたりを見ますと、一農協は共販センターをつくって大変伸びたんですが、違う農協に関しては取り組みが混乱したために落ちたというようなこともありまして、要は合併してからの混乱期にいかにどういう確実な対策を打つかということだと思っております。
  104. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 私も、お忙しい中、参考人の方においでいただいたので、一点ずつお尋ねをしたいと思います。時間が十分でございますのでよろしくお願いをいたします。  実はきょう、私、参考人の皆さんのお話を聞いておりまして、最後の秋山参考人がおっしゃったいろんな御意見、非常に我がことのようにというか、身につまされるような思いで聞いておりました。  と申しますのは、私は議員になる前に県の共済連の顧問弁護士を十五年務めてまいりまして、ある意味では県連あるいは単位農協の職員の方の日常生活、あるいはその人たちが持っている悩みといいますか、そういうことを非常に身近に感じつつきたものですから、農協の一つの組織を考えますと非常に上と下との風通しが悪い、そして人事の交流も非常に不透明なところが多いということを常々外から見ておりまして、まあ勝手なことを申し上げさせていただきますと感じておりました。とはいっても、考えてみると農協組織というのは、日本のビッグビジネスと何ら変わりのないような、考えてみれば巨大な組織であります。そこには大きな社会的な役割を果たしていると同時に、逆にいろんな方から批判を受ける。それも大きいからであります。  私、まず松旭さんと花田さんと神田さんに、いわば経営者のサイドから次の質問についてお答えをいただきたいと思います。  いろいろ役員について学識経験者を入れなきゃいかぬ、あるいは学識経験者というのはどういう定義でどうなんだと、本当に学識経験者と言える人が入っているのかとか、いろんなことがあります。さらに、理事の中に女性の理事は一体いるのか、婦人部、青年部の声を吸い上げる、そういうパイプはでき上がってきているのかというと、それもなかなか容易ではない。  そういうことについて厳しい秋山さんの御批判を私もお聞きしたわけでございますが、松下とか日立とか、そういう大きな企業を取り上げるまでもなく、日本のトップ企業で成功した企業は、人事の交流について非常に努力を払っている。例えば、関連企業にどんどん出向させる、あるいは場合によっては研修と称して短期の国内留学的なシステムをどんどん投入している。つまり、農協の場合も、全国的な組織あるいは県単位の組織、あるいはいわゆる単協と言われる組織の中でも、国内留学といいますか、県内留学といいますか、どんどん人事の入れかえをやれば、そこに新しいものが芽生えてくるし風通しもよくなる。そういうふうなことは何も法律で決めてもらわなくても、あるいは外から批判を受けるまでもなく、やろうと思えばできるわけですね、いとも簡単に。そして代々同じ組合の同じところにいると、どうしても参事や常務や組合長には物が言いにくい、あるいは陰で物を言うだけになる。それから、外から来る人ですばらしい人がいれば、ああいう人がおる農協はどうやっているんだろうかということにもなる。  そういう観点から、既に実施をしている、あるいは実施ができないはずはないのかどうか、その点について御感想でも結構でございますので、御意見を求めたいと思います。  それから秋山さんには、今回の改正、私も賛成でございます。今回の改正の中で福祉事業が入ることになりました。これは農協の職員から見ると、考えようによっては労働強化あるいはおっしゃる低賃金の中でのいろいろな労働環境の悪化につながりかねないところを持っております。  しかし、先ほど秋山さんもおっしゃいましたが、そういうマイナスで見るんじゃなくて、農協職員。にとってはこれは挑戦すべきテーマであるというようなことをおっしゃいましたので、その点でも。う少し御意見を承りたい。  以上にて私の質問を終わります。
  105. 松旭俊作

    参考人松旭俊作君) 人事交流のことに関しましては御指摘のとおりでございまして、現状でも全国で約半分近くの県で農協と県連の間の人事交流が進められております。約三百人近くもう現状でもいるわけでございます。  それで、今度の私どもの組織整備対策の中で提唱しておりますことは、最大のねらいは、立派な農協をつくるということはイコールこれは立派な人的体制整備していく、人材を確保していくということであるわけでございまして、今度の対策の中に連合組織から合併農協に対して人材派遣をする、そういう人的支援に取り組もうということを大きな対策の柱にいたしておりまして、それは人事交流そのものではありませんけれども、まさに連合組織の職員と農協が一体となった人的体制を確立していくという趣旨でございまして、そういうことの中で風通しがよくなる、あるいは共通のパートナーシップが生まれていくというようなことが期待されるんではないかというふうに考えております。
  106. 花田文彦

    参考人花田文彦君) 御指摘のように、系統農協は従来は農家中心で外へ出てなく事業をしておった、また食管制度の中におんぶしておった、そういう歴史、経過等がありますので、役職員の意識改革ということで、JAになった時点で、ひとつ意識改革して、特に地域消費者、国際化時代でありますので、そういうものを十分勉強、研 修し、職員にもそういう機会を多く与えていきたいということ等で、今後他の企業なり特に福岡県内、Fコープとかグリーンコープとかいろいろ生協等々のつながり等もありますし、そういうものに出向してお互い地域の農畜産物の特色あるあり方を研修するとか、そういう交流もさらに系統外へのもの等深めていきたいし、内部におきましても、今後そういう国際化時代に対応できる職員というか、こういう意識改革にさらに努力をやっていきたいと、かように考えております。
  107. 秋山豊

    参考人秋山豊君) 福祉事業につきましては、組合員が老齢化していて、御存じのように農村の老齢化は都市部よりも速いですし、今後農協は当然取り組まなくちゃならない事業だろうと思っておりました。  ただ、ノウハウを持っている農協が恐らく全国でも、私が知っている範囲では東広島市農協とか佐久病院とか限られた系統あるいは農協しかないんじゃないかなと思っております。今度茨城でもし取り組むとなれば、基本的には在宅の福祉というか巡回だと思うんですが、共済連と医療機関の厚生連が一つの年金保険、年金共済なりとの接続の中で、事業としては共済連が主体的になって厚生連が医療的な補助をして一つのノウハウをつくって農協指導員なりを育成していく方向なのかなというふうに見ていますけれども、直接ボランティア的な指導員を農協が抱えてやる力のある農協も出るとは思うんですが、県全体では私はそういう形で取り組んだ方がいいんじゃないかなと思っております。
  108. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私が最後でございます。途中で抜けまして大変申しわけございませんでした。お許しください。  今まで御四名のそれこそ自信に満ちた御答弁を拝聴いたしまして、私の表敬の心は、さすがはと、この一語に尽きると思っております。  それで、ずばり一言というお気持ちで松旭参考人にお尋ねしたいのは、農業協同組合合併は順調に進んでおるでしょうか、困難な点ほどんな点でしょうか。詳しいことは要りません。  次に、花田参考人にお聞きしたいことは、財源確保が非常に大事だということを強調しておられる、そのことが非常に私の脳裏に焼きついております。その財源確保はどのようにして確保していらっしゃるか。  それから神田参考人にお聞きしたいことは、この法案が成立することによってあなたの夢と希望がどのように開けてくるんでしょうか。  次に秋山参考人にずばり、労働組合のことを大変気にしておられる場面が私の耳に響いております。いわゆる労働組合の弱体化につながるのか、この合併と労働組合との関係が気になりますので。  以上一言ずばりおっしゃっていただけば結構でございます。
  109. 松旭俊作

    参考人松旭俊作君) それじゃ、簡単に結論だけ申し上げますと、農協合併組織整備の議論を系統全体の中でやり出してから機運が大変盛り上がっておりまして、大変順調に進んでおるというふうに申し上げたいと思います。  それから、困難なところは何かということでございますが、最大のと二ろは農協の間で財務バランスが違う。こっちの農協に固定化債権がある、こっちの農協はないというようなそういう財務バランスが最大の阻害要因になっているものですから、その辺につきましては、冒頭申し上げたように県、全国段階にそれぞれファンドをつくって、そういう固定化債権を少しでも消す努力を連合組織としても努力してやってまいりたい、こう考えております。
  110. 花田文彦

    参考人花田文彦君) 今後の二十一世紀の農業振興には営農企画が最大の課題だと、かように思っておりますので、ぜひこの財源確保には県なり連合会なり系統農協が一体となりまして、ひとつこれが確保に最大の努力を重ねてまいりたい、かように思っております。
  111. 神田庄司

    参考人神田庄司君) 私は農家のために一生懸命やる気を出している組合長でありますので、私のようなやる気のある組合長であればこの法案が通ればすばらしい地域農業振興ができ上がる、こう考えております。  もう一点、財政問題でありますが、皆さん先生方はどうも、こちらの先生方も言いましたが、農協の財源というのは信用と共済に頼ってきた、こういうことでありますが、我が農協昭和五十四年の基本計画の時点から、十年前から信用共済収益に頼る農協の時代はやがては終わってくるだろう、それに頼ったってだめだよということで私たちは第三の収益部門ということでやってきておりますので、それは生産・生活購買事業ということでやってきまして、利益率、収益から費用を引いた利益率では信用は一一・二、共済は一五・七、購買は六二・四%、まさに我が農協は信用共済に頼らないでもう完全に第三の収益部門、生産・生活購買収益で農協が成り立っているということを御報告申し上げたいと思います。
  112. 秋山豊

    参考人秋山豊君) 合併に際して労働組合を統一合併するのは大変なことであります。県の産別なりが必死になって弱体化しないようにつくり直すという中で、長野にしても茨城にしても島根にしてもよくいっていると私は見ております。ただ、経営者の方で誤解されている方が、幹部の方を管理職なんかに登用されたり、引っこ抜いたりするところがあるんですが、私は逆だと思っております。労働組合が強いところほど経営が強いという傾向がありまして、それだけ職員の団結力があるということが経営にも非常にいい効果があるということをきちんと認めていただきたいなと思っております。
  113. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 以上をもちまして参考人方々に対する質疑は終わります。  参考人方々に一言御礼を申し上げます。  本日は、御多用中のところ、本委員会に御出席いただき、長時間にわたり有意義な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。本委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。  本日の審査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十九分散会      ―――――・―――――