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政府委員(
赤保谷明正君) 体外受精卵移植における受胎率の向上対策といいますか、そういうことですが、体外受精卵の移植の技術、これは高度な複合技術でございまして、受胎率の向上に関係する要因は多々あると思います。多々あると思いますけれ
ども、体内受精卵の移植と同様」に良質な受精卵の
確保、それから受卵牛の
確保、こういうことが重要であろう。さらに、技術の問題ですから、すぐれた技術者の養成ということが重要であろうと思います。
このために、良質な受精卵の作出、それから受卵牛の選定技術の確立だとか、あるいは熟練技術者の養成のための実地に訓練をする
体制の
整備、それから、技術
水準の向上あるいは技術開発の促進等を図るためのいろんな施策を講じているところでございます。
現在、体内受精卵の移植につきましては、年間の受胎率が五〇%以上で、受精卵で生まれる子供、産子が五十頭以上、五〇%以上の受胎率で、五十頭以上年間に生まれている、そういう機関が、これは体内受精卵移植ですが、
平成元年度は二十一機関ございましたが、二十一カ所、それが
平成二年度には三十機関に増加をしている。これに準ずるようなかなり成績のいい機関もふえております。また、
全国平均の受胎率も着実に向上をいたしております。それで、体外受精卵の移植の受胎率については、現在体内授精に比べてやや低いのは事実でございますけれ
ども、今後着実に向上していくものと見込まれております。
それから、体外授精の普及の見込み、実験
段階を通り越して応用、実用化の
段階に既に入っております。
昭和六十年に第一号の子牛が生まれて、その後急速に技術開発が
進展してきまして、
平成二年度には六百二十一頭の子牛が
生産されるようになっております。
この
家畜の体外受精卵の移植の普及の見込みでございますけれ
ども、この技術は体内受精卵移植技術を基礎とした、いわば派生的な技術でありますので、その開発が
家畜の体内受精卵移植の場合と
比較しても、より短期間で急速に発展を遂げているということがあります。
それから、主として、既に屠殺された雌畜の未受精卵を利用するということでありますので、屠殺されるまでの間の増俸等の成績がわかっております。枝肉評価の結果もわかっております。そういう結果を踏まえて実施できるために、より効率的な
家畜の改良増殖を可能にするという、そういう特色も持っています。
それからさらに、
家畜体外受精卵は、主として従来は利用されなかった内蔵物、その途上の副生物の卵巣から
生産されるものでありまして、そういうものですから、しかも和牛資源の
拡大の促進に寄与するというような特徴がございますので、今後とも着実に普及していくものと見ております。
それから、受精卵の手数料とか技術料、受精卵の
価格にしろ、そういうことでございますが、体外受精卵の
生産コスト、これは
生産規模等によって異なりまして、一概には申し上げにくいんですが、現在の技術
水準を前提としてあえて試算をしてみますと、一方から二万円程度になるんではないかと見込んでおります。
それから、体外受精卵の販売
価格は、体内受精卵と同様に、父牛、母牛、おやじさんとおふくろさんの評価
水準によって相当の幅があるということが予想されるわけですが、受精卵全体の供給量の増加だとかあるいは体外授精技術の向上等によりまして、平均的には低下していくものと考えております。
それから一方、今、
獣医師と
人工授精師の受精卵の移植の技術料、これは一万円ないし一万五千円程度でございます。これは人工授精技術料が七千円ないし八千円であるということと
比較をしまして、受精卵の移植技術が人工授精技術よりもやや慎重を要するというか、衛生的な取り扱いを要するというようなことから、そういうことを考慮すればこの
水準はまあ妥当であるというのか、両者の間には一定の開きがあるのは当然であろうと思います。いずれこの技術が確立普及をしてきて、それで腕のいい方とそうでない方、そういうようなことによっておのずと適正な
価格が形成されてくるのではないかなという気がしますが、今のところ受精卵の移植技術につきましては一万ないし一万五千円、人工授精の技術料については七千円ないし八千円、そういう
水準のようでございます。