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説明員(小松一郎君) 御
説明申し上げます。
まず、冒頭に御
指摘のございました
平成二年十月十九日の
予算委員会におきます当時の中山外務大臣
答弁によります
政府統一見解でございますけれ
ども、この
答弁が行われました背景につきまして確認的でございますけれ
ども、御
説明をさせていただきたいと思います。
これは、御案内のとおり、当時
政府が国際連合平和協力法案、このPKO法案の前に国際連合平和協力法案という法案を国会に御
審議をお願いしていたという
経緯がございまして、その中で同法案の第一条におきまして、同法案に基づく協力の
対象につきまして、「この
法律は、国際の平和及び安全の維持のために国際連合が行う決議を受けて行われる国際連合平和維持活動その他の活動に対し適切かつ迅速な協力を行う」、こういうことが書かれておったわけでございます。
また、同じ法案の第三条でございますが、この法案におきまして想定されております「国際の平和及び安全の維持のための活動」という定義がございまして、これは「国際の平和及び安全の維持のために国際連合が行う決議に基づき、又は国連決議の実効性を確保するため、国際連合その他の国際機関又は国際連合加盟国その他の国が行う活動をいう。」、こういう定義になっていたわけでございます。
そこで、サウジアラビアを初めとしまして、その地域に展開をしておりましたいわゆる多国籍軍に対する補給等の協力を平和協力隊が行う、こういうことを想定した
法律でございましたので、あの当時御
質問を国会で受けましたのは、サウジに展開をしておる米軍を中心とする多国籍軍の活動というものは、国連決議に基づくものなのかどうか、そうであるのかどうかという御
質問があったわけでございます。
そこで、それを御
説明したのがこの
政府統一見解でございまして、若干長くなって恐縮でございますけれ
ども、ここで言っておりますことは、当時の国連平和協力法案で想定しておりました協力の活動には大きく分けて二つの範疇の活動がある。
一つは、国連決議に基づく行動、こういうことでございます。これは、例えば典型的には国連の決議に基づいて行われます国連の平和維持活動、俗にPKOと呼ばれているようなものが典型的な活動である。これに加えまして、PKO法案とは異なりまして当時御
審議をいただいておりました国連平和協力法案におきましては、国連決議そのものに基づいて行う活動ではないけれ
ども、国連決議の実効性を確保するために国際連合やまたは各加盟国が行う活動、こういう活動についても協力の
対象として想定をしておる、こういうことを御
説明したわけでございます。
御
指摘のございましたこの統一見解におきまして、サウジアラビアに駐留する多国籍軍が、いわゆる経済制裁決議と呼ばれておりますけれ
ども、決議六百六十、これはイラクのいわゆる侵略行為を平和の破壊だということに認定いたしまして、即時撤退を求めた決議でございます。それから六百六十一号、これはいわゆる経済制裁決議でございます。こういう決議の実効性を確保するということに、そのサウジに展開している多国籍軍は
実態としてそういう寄与を行っているということを、これは御
説明したわけでございます。
そこで、ただいまの御
質問で、国連憲章五十一条に基づきます自衛権の御
質問があったわけでございますけれ
ども、多国籍軍がサウジアラビアに展開する行為自体は、私
どもこれは前にも何度か国会で御
答弁を申し上げておりますけれ
ども、自衛権によって
説明しなければならないような行為ではない。これは、サウジアラビアの、そういうお国の同意に基づきましてその領土に多国籍軍が展開されている、そういうふうに御
説明をしたわけでございまして、展開行為自体に自衛権との関係が出てくるわけではないということを申し上げている次第でございます。