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参考人(
若林英二君) ただいま御
紹介をいただきました
若林でございます。
地方行政委員会の
先生方におかれましては、
全国隅々の
地方自治体のためにいろいろ御心労いただきまして、心からお礼を申し上げます。
ただいま
上田の
市長さんから格調高いお話がございましたが、それは私
どもにも共通することでございますけれ
ども、重複を避けまして、次元の低いことでございますが、私の町を
中心に
自分で考えておりますことを申し述べたいと存じます。
人口一万五千の小さい町でございまして、私がお話し申し上げましても
皆様の御
参考にはならないかと存じますが、せっかくのお呼び出してございますから、
自分の思ったことを、考えたことを申し述べたいと存じます。
私の町は
栃木県の
国分寺町でございます。
小山市に隣接して、
宇都宮と
小山の間で埋没しようとしている小さな町でございまして、東京から八十キロ、
宇都宮の県庁から二十キロ南にございます。
小山市に隣接して関東平野の
中心になっております。面積わずか二十平方キロ、
人口一万五千、
人口密度七百五十人。国道四号新バイパスとそれから四号線、
二つが貫通しております。
JR宇都宮線の中に
二つの駅がございまして、
自治医大駅と小金井駅であります。昨今、
自治医大周辺がニュータウンの
開発が行われまして、
人口が逐次増加しているというところでございます。
千二百年前に聖武天皇の勅命によって建立されました
下野国分寺と尼寺を初め、大小の古墳が散在して、古代におきましては
下野文化の
中心地だったと言われております。ただ、中世の史実には乏しく、わずかに
徳川将軍の
日光参拝の遺跡が残っているだけであります。
町村合併未
合併の町でございまして、県の試案は、お隣の、今は
薬師寺村はなくなりましたが、
薬師寺村と
国分寺町が
合併する、そういう案でございましたが、
先生方の前では申しわけないんですけれ
ども、両方とも
選挙区が違う。
選挙区が違いますとなかなかこれは大変でございまして、それから郡も違うということで、とうとうこの
合併がならなかったわけであります。そのために今でも貧乏町をしょっているわけであります。
町の西半分は史跡が多くございまして
工業開発ができないということで、
工業団地は、準
工業地帯を含めまして百ヘクタールしかないわけであります。
町の
財政状況でありますが、
平成三年度は
標準財政規模が二十七億八千万円、
基準財政需要額が二十三億五千万円、それから
基準財政収入額が十三億六千万円で、
交付税は九億八千万円ほどいただいております。
財政力指数が〇・五五四、起債が二十八億、しかも、そのほかに
債務負担行為の
借金が五億円ございまして、
大変財政は厳しい。
町長がトイレの電気を消して歩いているような始末でございます。
地方交付税制度に対する
意見を申し上げますが、この
制度は
収支算定方法が非常に精密をきわめていて、極めて難解ではございますが、
地方の伸長、
振興、また公平という原則におきまして大いに役立っていると私は考えております。
それから、今回話題になっております
特例制度における
貸借。
附則第四条
関係の過去における
貸借の
清算内容は、難解で私もよくわかりませんけれ
ども、今回の
附則第三条に基づく八千五百億円の
減額、これは
地方から国への貸しというふうに
理解いたしますが、これは基本的にはやむを得ない
措置というふうに私も考えております。
そのわけは、
地方におきましても余り
財政が去年どことしか違うと、
凹凸がありましては
行政の
運営ができないわけで、
凹凸のない
財政運営が必要だと思っております。
交付税の少ないときに就任した
町長は直ちに困難に直面し、
福祉も
清掃もあるいは消防も後退を余儀なくされるわけであります。また
反対に、
景気のいいときに就任した
町長は、
自分の手腕のごとく吹聴して放漫な経営を行う、そういう危険がありますので、今回のような今行われております貸し借りの
関係はやむを得ないんじゃないかと思っております。
ただ、
地方は
道路とか水路あるいは下水道もまだまだ貧弱でございまして、多大の
借金を抱えておりますのでありますから、
交付税の三二%、
消費税の二四%、
たばこ税の二五%の加算はぜひとも現行の
制度を
堅持していただくように心から
お願いを申し上げる次第であります。
算定方法の
改正で、過去に、昔私がすごく感銘を受けたことがあります。
二十年ほど前に
土地開発基金が創設されて、私
どもの町では五千万円ほど
交付がありました。
駅中心の市街地八十ヘクタールを区画整理するわけでありますが、この中に五百軒の家がございまして、これをこのうち八五%から九〇%移転しなければならない。猛烈な
反対が起こりまして執行不可能という事態が続いたわけでありますが、この五千万円の
土地開発基金を私はフルに活用いたしまして、
買い取り申し出のあった
土地をどんどんとこの五千万円の
お金で約束をいたしまして手金を払って買いまして、そして
町有地を拡大いたしました。
その結果、換地が非常にスムーズになって、現在七〇%移転が完了している。もしこの
お金がなければ、
土地の
値上がり現象のときなどには、
補正予算の手続などをしている間にどんどんとよそへ転売されてしまうわけでありますから、非常に
土地開発基金は有効であったと、今もって感心をしているわけであります。
それから、みずから考えみずから行う
事業、
ふるさと創生一億円。これは
地方におきましても
中核都市への
一極集中が進んでおります。大都会ではネオンが輝いて人に干渉されずに生活することができる。遊ぶところがいっぱいある。だから、若者は
農山漁村を捨てて都へ走るわけであります。この一億円の
事業を私
ども町民は拝んでいるわけでありまして、この
措置は
過疎に悩む
町村の大歓迎するところであります。この一億円の
交付を
機会に、
全国の
隅々まで
ふるさと論議が盛んになった、
愛郷心が起こったと言っても過言ではないと思っておりますのでありますから、この夢がもう一度あればいいと私は思っているわけであります。
次に、
地域づくり推進対策事業。
財政の乏しい
町村におきましては、
緊急性のない
事業、つまりゆとりある
事業については取り組みにくいわけです。
文化的な
事業、ゆとりある
事業、そういう
地域をつくるためにこの
対策は偉大な力を発揮してまいりました。我が町でも
地域づくり推進対策事業のおかげで子孫に残す立派な
ふるさとをつくることができております。
今回の
算定方法の
改正につきまして、
自然環境の
保全、
廃棄物の減量化等快適な
環境づくりに
財源措置をされておりますが、全くこれは当を得ているわけであります。私の町では、
ごみの
分別収集、
リサイクルを一年間実施いたしまして、その結果、町が見違えるほどきれいになりましたし、燃やすべき
ごみは四〇%減量いたしました。けれ
ども、
分別の
費用が焼却して埋め立てするよりも五〇%余計にかかるということがわかりました。
しかも、最近の
鉄類の値下がりによりまして、
リサイクルした品物の処分に追い銭を出さなくちゃならない、こちらから金を出さなくちゃならないという
現象になりまして、町をきれいにするためには、
子供会とかあるいは
婦人会にたくさんの
奨励金を出す必要があるわけであります。ざっと計算いたしまして
清掃費に二億二千万円くらいかかる。
交付税の
事業額で一億八百万円くらいでございますから、大幅な持ち出しになっているわけであります。特に
リサイクルをするということについては、町が小さいから余計に金がかかると思いますが、
分別いたしましても、
リサイクルの資源に対する
収入が少ないということが大きな問題になってまいりました。
道路、
公園の
清掃でございますが、前はボランティアがどんどん
自分たちの
公園を
清掃してくれました。ところが、最近は
公園、
広場が多くなり、かえって
子供が少なくなる。
子供が少ないということはその父兄も少なくなるわけでありまして、
広場の
清掃、除草もこれは大変な金がかかるようになりました。先ほど申し上げましたように、
自治医大周辺の
開発によりまして
都市的な
住民がふえてまいりました。どうして田舎はこんなに暗いんだ、
街路灯をもっともっと増設せよ、
交通安全施設をつくれと、こういう
要望がますます強くなってまいりました。
私の町は
過疎地帯でもありません、
過密地帯でもありません。半島でもなければ離島でもない。
首都圏のただ
一つの町として
事業費補助の
かさ上げが認められているだけであります。この
かさ上げにつきましても、一
会計年度に
事業の
増大を図らなければ、つまり一年間は何にも
仕事をしないで、二年目にその二倍の
仕事をやればたくさん
お金がもらえるというような
基準になっております。そういうことにまいりませんで、平均的にやっていきますとこの恩典にも治せない。
我が町は、前に申し上げましたとおり、
小山市と境界がわからないくらい混然としております。議員の質問では、しばしば
小山市との
行政サービスが違い過ぎる、
小山市では○○
事業は無料だ、手数料は取らない、それから
福祉事業は十分行き届いている、何で同じ
国民が、この
国分寺町はこんなに低いんだ、
町長の腕が悪いんじゃないか、こういうおしかりを受けるわけであります。私はそのたびに、ごもっともであります、来年から同じ水準にしますという答えをせざるを得ないのであります。
もう
一つは、休みが多くなれば
人件費がふえる。最近は
管理職まで日曜の
出勤手当を払わなくてはならなくなりました。休暇を、役場の閉庁を多くして
住民に同じ
サービスをするということは不可能なことでございまして、これはたくさんの金がかかると私は考えております。
小山市は
交付税の分類で言えば甲の四の市でありますが、私の町は乙の三でございまして、
都市近郊の町に対してもどうぞ温かい御
配慮を
お願いする次第であります。
結びといたしまして、今国会に提出されました御
審議中の
地方交付税法等の一部を
改正する
法律案につきましては賛成の
立場でございますが、この八千五百億円の
お金を来年も再来年も貸せ貸せと言われても困るわけでございまして、ぜひとも
地方としては三二%の原則が崩れないように、毎年貸すということは原則が崩れたと同じようになるわけでありますから、ぜひともこの三二%の原則は
堅持されるように
お願いをいたしまして、私の
意見発表を終わりといたします。