○国務
大臣(
塩川正十郎君) 答弁いたします前に一言、先ほど
山口委員長から申されました点につきまして、お礼を兼ねましておわび申し上げたいと存じます。
実はきょう、閣議は定例の九時からいたしまして九時二十分で終わってこちらの
委員会間に合うように、官房長官もそういう配慮のもとやってくれておったのでございますが、その前段に実は経済
関係閣僚
会議がございまして、非常に活発な議論が行われました。それがため閣議が十分間開会がおくれるというような事態になりましたので、これでいらいらしておったのでございますが、そこへ閣議に入りまして冒頭から、年度末でございますので決裁案件が七十数件ございまして、この決裁案件を済ませて閣議が終わってすぐにこちらへ出席させていただいた、こういうことでございます。その間におきまして約束の九時半は十分承知しておりまして、官房長官もそれを承知の上でいらいらしておったんでございますが、おくれましたことをまことに申しわけないと思っております。
それにもかかわりませず、前例としないということでございますが、
委員長初め
委員の
皆さん方、特に
理事会の
先生方の御理解を得まして、とりあえず定刻に開会していただいたということは、私にとりましても非常に貴重な御配慮をいただいたと思って感謝いたしておるところでございまして、改めましてお礼申し上げたいと存じます。今後とも御
指導をひとつよろしくお願いいたします。
さて、今
岩本さんからお尋ねの
地方財政の
関係についてでございますが、
地方財政が苦しい、そして、交付税は絶対に維持すべきであるということを強く言っておりながら、八千五百億円の大量の資金を国に貸し付けるというような
措置をしたことは非常に矛盾しておるじゃないか、この点についての
質問であろうと思っております。
おっしゃるように、決して
地方財政は楽ではございませんで、その中で八千五百億円を国に貸与するということは、確かにこれは非常な決意のもとで行われたものでございますが、実は、御承知のように、数年前から
地方財政の収入構造は非常に大きく変わってまいりまして、いわば構造改善があった、収入の方の構造は変わったにかかわらず、支出の方の、つまり財政需要の方の構造というものの変化がそれに相呼応していなかった、少しのずれがございました。そのずれが、いわば余裕があるのではないかというふうに見られてしまったといえばそれまでのことかもわかりません。
しかし、私たちといたしましては、収入構造が変わったことに伴いまして財政支出構造もそれにマッチしたものにいたすわけでございますので、そういたしますと、
地方財政には全く余裕がないということになってまいります。しかし、
平成四年度に限りまして、その間におきますところの若干の国との間における調整が必要であろうと思っておりました。
そのことは、要するに、国の方といたしましても
地方財政の中で、例えて申しますと、まあ少しは待ってくれてもよさそうなものがあるではないか、だからそこは少し猶予して国に回してほしいという、そういう要望も実はございました。その中の一番大きなものは財政特例債の償還であったと思っておりますが、こういう資金があるならば少し待ってくれて、ちょっと国に貸してくれぬかということになってきた。それを累計いたしますと、こちらもできるだけセーブいたしましたけれ
ども、八千五百億円相当額になってきたということでございまして、いろいろと世上うわさされておりますけれ
ども、実際はそうじゃございませんで、私たちが大蔵との間で交渉いたしましたのは、実額を詰めた上であの金額になったということでございまして、政策的にああいうものをとっていったということでは決してございません。
そこで、それじゃこれからの
地方財政の運営をどうするのかといいますと、私が先ほど申しましたように、
基準財政需要額を中心といたしました
地方財政の需要というものをこの際しっかりと新しい時代に即したものに見直していくべきときだと私は思っております。現在自治省におきましては非常な精力を傾けましてその作業に取りかかっておるところでございまして、その中心となりますものは大きい柱として二つあると思っております。
一つは、
政府が既に公表しておりまして、現在実施段階に入っておりますところの公共投資
計画でございます。十カ年で四百三十兆円という公共投資
計画でございますが、これと
地方自治体とのいわば仕事の分担ということ、あるいはそれに伴いますところの資金の分担ということ、これは将来におきますところの
地方財政の需要額を見はかっていく非常に大きい要件になってくると思っております。
それからもう一つは、福祉ゴールドプランとよく言われております十カ年
計画でございますが、これを実施に移していきます場合に、実際に
地方と国との負担というものをどの
程度にはかるべきかというのは一切不明であります。これを早急に洗い直して、きちっとした
計画の中の分担を決めていかなきゃならぬと思っております。
そうした場合に、私は中心となるのは
地方自治体ではなかろうかと思っておりまして、そういたしますと、それに伴って権限と財政支出というもので相当の話し合いをして、それで円満に福祉がそれぞれの
地方自治体の独自性を持った福祉として実施されていくようにしなきゃならぬ。私は、この二つの柱は当然
政府部内としても全力を挙げて、
政府部内の問題として解決していかなきゃならぬ、こう思っております。
それからもう一つは、別な観点でございますけれ
ども、戦後四十数年たちましたが、やはり依然として
地方自治体の中に国の出先機関なんだという意識が相当根強いと思うのでございますが、数年前から、自治省が実施いたしましたふるさと創生
事業等、これが一つのきっかけとなりまして、やはり自治体はおれたちのものなんだ、おれたちがやるものだという意識が非常に強くなってまいりました。それに伴いまして、
地方自治体がいわば固有の
事業としてやっていくべきものの発掘をこれからやっていくべきだと思っております。
そういう独自性あるいは豊かな個性を出すためのいわば新しい需要というものが当然考えられる。それは、今までのできるだけ町村の自主性ということを抑えまして、平等平等という意識のもとに
全国の均等を図っていくということに重点を置いた
地方行政から、個性を生かしていくということになるならば、新しい需要を認めていくということもやらざるを得ないのではないか、私はこう思います。といいますのは、私は、これからの
地方財政は、堅実とは申しましても決して余裕のあるものではない、非常に窮屈な状態の中で進めていかなきゃならぬだろうと思っておりまして、今からその
対策を十分に勉強しておるというところでございます。