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政府委員(
松野允彦君) まず、今回の
改正法による
監視委員会の設置が、そうでなくても低迷をきわめております
株式市場に悪い影響を与えるんではないか、つまり追い打ちになるんではないかというような
意見があることは、これはいろんなところに出ておりますから私も承知しております。
しかし、私
どもは基本的には、今の
株式市場が低迷している原因の最大のものは、やはり公正な
市場ではなかったんではないかという
投資家の
不信感があるわけでございまして、そういう
不信感を払拭することが
株式市場の活性化の、決して近道とは申しませんけれ
ども、一番正当な道ではないかというふうに考えているわけです。
したがって、即効性がすぐ上がるかどうかということから言いますと、それはなかなかすぐ即効性が上がるというふうに申し上げるつもりはございませんが、やはり本来の健全な
株式市場に戻し、かつそれを発展させていこうとすれば、どうしてもこういう
監視機能を
強化し、あるいは自主
ルールの
強化、自主
規制機能の
強化もあるわけでございますけれ
ども、そういったことによってまず公正な
市場だということをつくり上げていかなければいけないというふうに考えるわけでございます。
そこをおろそかにして、ただ
市場の活性化を図るためにはある程度公正さに目をつぶるというようなことであれば、これは全然本末転倒でございまして、その点について我々は、一時的にそれが
市場の低迷を仮に長引かすとかいうようなことがあったとしても、個人
投資家は大量の
金融資産を持っているわけでございますから、個人
投資家の
株式市場に対する
信頼感を回復することによって、それの中に
株式が組み込まれていくということは中長期的には公正な
市場であれば十分考えられることであるというふうに考えるわけでございます。大部分の
証券界の
人たちはそういう
考え方をとっているということを先ほど申し上げたわけでございまして、それは中には御
指摘のような
意見の方もあろうかと思います。
それから、いろいろと御
指摘、御批判がございました。確かに
行政の対応の問題というものは、今回の
一連の
不祥事の中で
行政が
責任がなかったと申し上げるつもりは決してございません。ただ、そもそも
損失補てんという問題は、もちろん
通達を出して指導をしたわけではございますけれ
ども、本来は
自己責任原則という
証券投資の基本的な原則というのがやはりあるわけでございまして、それがいろいろな事情、財テクとかいろんな事情で、あるいは過当な営業姿勢、投資勧誘、あるいは一任的な行為というようないろいろな原因でそれが守られなかったということは非常に残念なことでございますけれ
ども、そういった
損失補てんという問題についての
考え方というものは、
行政としてこれを認めるというような
立場にあったというふうには私は受け取っていないし、承知していないわけでございます。
業界と
行政との
関係というのは、
監督行政を通じていろいろな面で接点がございます。しかし、やはり基本的にそういうような
自己責任原則にもとるような行為、いわば
証券市場の基本的な
ルールというものにやや甘かったというような点があったことは事実だろうと思うわけでございます。
また、大口ファンドについても御言及がございました。この問題はやや誤解があるわけでございまして、もともと大口
投資家向けの
株式投資信託というのは、大手
証券会社がっくり上げて私
どもに持ってきた商品でございまして、何も私
どもがつくり上げた商品ではございません。これは大手
証券会社が、現在の
株式市場を考えた場合にこういう商品が売れるのではないかということで投資信託委託会社と相談をし、商品設計をしたわけでございまして、我々としてはそれに対して、商法で
禁止されている脱法的な行為にならないようにしなきゃいけないという指導をしたわけでございます。その指導は今も基本的には変わっていないわけでございまして、基本的に大口
投資家向けのこういう
株式投資信託というものの商品のニーズがあるかどうかというのは、これは
証券会社なり投資信託会社が判断をする問題でございまして、その判断に立ってこういうものが持ち込まれてきたということが事実でございます。
それに対して、我々は今申し上げたような対応をし、しかし一方でそういうニーズがもしあるのであれば、そういうニーズに対応するためにこういう商品をつくるということも
意味がある、
市場の活性化に
意味があるということで対応してきているわけでございます。
それから、
損失補てんと損害賠償の
関係でございますが、これは証取法を
改正いたしまして
損失補てんを罰則が適用となるような行為として
禁止行為にしたわけでございます。その中で、しかしやはり
証券の営業マンが違法な行為、不当な行為をする、非常に行き過ぎた勧誘をするというようなことを通じて
投資家とトラブルが起こるということは、これは避けがたいことでございます。そのトラブルに対してまで
損失補てんであるということで
法律で一切補てんができないということになるのは、これは営業マンのそういう違法、不当な行為というものを前提に考えますと、
投資家保護にかえって欠けるというようなことにもなるということで、一定の場合には
損失補てんにならないということで私
どもが
法律の中で除外例を設けたわけでございます。
その除外例は、あくまでもいわゆる
証券事故、つまり営業マンの連法、不当な行為によって
投資家に損害が出た場合で一定の手続を踏んだ場合にそれに該当する、こういうふうな位置づけをしているわけでございます。したがいまして、御
指摘のように、例えば仮に営業マンが非常に行き過ぎた勧誘をして、しかもそれが営業マンの勧誘行為として不適当な行為である。これは
証券業協会にも営業マンの守るべき
ルールという規則がございます。そういったものに反するような勧誘行為が行われ、それによって
投資家との肝でトラブルが起こるということになりますと、これはケース・バイ・ケースではございますが、そういう場合には
証券事故として一定の手続を踏んで
投資家の損害が補てんされるということにはなっているわけでございます。
これはいろいろなケースがございますから一概には申し上げられないわけでございますけれ
ども、今御
指摘のような御懸念は、大部分はそういうところで解消するんではないかというふうに考えているわけでございます。