○井上計君
大臣も
政府委員ももう大分慎重な御審議でお疲れのようでありますから、簡単にひとつ、もう
法案については同僚議員からも詳細に朝から
質疑が行われておりますし、私、実は検査で病院におりまして、これだけに今来たわけでありますから、詳しいことは省略をして感じておりますことを
意見として申し上げて、またお答えを若干いただきたい、かように思います。
二本の
法案については、
法案の名称も違いますし、目的も違うようでありますが、私は、最終的な目的は実は
一緒だと思うんですね。
伝統産業についてもさらにきか細かく、いわば
地域の長い
伝統を持っている
産業、これの
活性化によってその
産業をさらにこれからもずっと継続していこうという目的、それから
中小企業の集積化については、
地域の
中小企業を
一つの方向に新しい分野への転換を含めながら
活性化していこうということですが、大体似たようなものだ、こう思います。
そこで、率直に私の
考え方を申し上げますと、我が国ぐらい
中小企業に対する
法律、それから
制度等々が多く行き届いた国は先進国中ない、こう思います。これは、アメリカあるいはヨーロッパ、EC等に比べて、
日本ぐらい
中小企業政策、
中小企業の
法律がきめ細かく
実施されている国はありません。私の長い経験からと言うと口幅ったいようですが、私の経験からしてもそう思います。ところが、きめ細か過ぎて、また大変きめ粗くなっておるということも事実であろう、こう思います。
だから、
通産省も
中小企業庁もいろんな面で随分ときめ細かくやっていただいていますが、その実、新しい
制度、新しい
法律にはきめ細かくやってもらいますけれども、そのために、古い五年、十年前にできた
法律についてはどうもその点が少し忘れ去られておる。これは、
通産省・
中小企業庁がというよりも、一般の
中小企業団体やあるいは地方の、県のそれぞれ所管の原課等々がそのようになっておるという嫌いがあるんではなかろうか、こんなふうなことを実は常に感じております。
そこで、具体的にお伺いしますけれども、
伝統的工芸品産業の
振興法については、十八年前この
法律ができました。京都の友禅だとかあるいは西陣だとか、こういうふうなその
地域を代表する、またそれにかわるべきものがないというふうなものについては、この
伝統産業の
法律によってかなり成果が上がっておるという面もありますけれども、その他
地域、地方によってはそういうふうな業種があったのかよくわからなかったというのがたくさんあるわけです。
事実、百七十
幾つの
指定の中には、例えて言うと、和紙なんかはたしか全国で七
地域ですか、そんな和紙があったのかなと一般の人が知らないようなものが
指定されておる。あるいは友禅にしても、京都、金沢、東京、名古屋と四カ所
指定があるわけですね。それじゃ何が違っておるのかと言われると、専門家でもわからぬような状態ですね。それから仏壇にしても、仏壇は全国で十カ所ぐらいですか、確かに仏壇は宗派によって長い
伝統、歴史がありますから若干の違いはありますけれども、それでも
地域で何とか仏壇、何とか仏壇と
指定されておる。じゃどこが違うのか。そこで、
指定された
地域の業種は
自分のところが
指定されれば事足りるというふうなことで、いわば努力しなかったと言うと怒られます、語弊がありますけれども、
指定されたことでもういいんだというふうな業者、団体が多いですよね。
そういうふうな
指定された業者が、いわばいい
意味での
地域間の連絡をとりながらライバル意識を持って、やはりお互いそこで
伝統産業についての持っておる
伝統技術、そういうふうなものを交流するような、そういう
制度がこの
法律に欠けておるんではないかなということが実は私の感じている
一つです。これについて、原課としてはどんなふうなお考えをお持ちかどうか。そこで十八年ぶりにこの
法律を
改正するという
通産省の当然何かおありだろうと思いますけれども、それについてどういうふうな、それがまず展開がそうであったと思いますが、それが
一つ。
それからいま
一つは、昭和三十年代以降、
中小企業政策の中心というか柱は、
省力化であり合理化でありマスプロ化であり、要するに、できるだけ労働力を省いて、そして大量生産によるところのコスト吸収をやることによっての利益、こういうふうなのが
一つ中小企業指導の、あるいは
法律の中心、柱であったわけですね。その中で、
伝統産業というのは、労働集約型の
産業はもうやっていけません、あるいはそういうふうな時代の流れについていけない
企業はつぶれてもやむを得ませんとは言いませんが、事実上一般の空気が自然淘汰やむなしということできたわけですね。
それが、この際、さらに
伝統産業を掘り起こしてどのような方向に持っていこうかということについてのこれからのはっきりとした
方針を
伝統産業に従事する
人たちに明示して、それらの
人たちにやっぱり
伝統産業に従事している夢と誇りとそれから
経済的な安定というものを明示してやらないと、どのような
法律をつくっても私は将来的には余り期待ができないんではないかという危惧を持っておるわけです。これらについてひとつ局長なり
大臣なりどうお答えいただけるか、思いつぎのような
意見になりましたから特別にこうどかというふうな難しい答弁を願わなくて結構ですけれども、こんなふうな
考え方を持っておるということで、あともう
一つ伺いますが、そこでまず第一問、ちょっと
大臣にお尋ねをするということにいたします。