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参考人(
山本文男君) 私は、
全国鉱業市町村連合会の
会長でございまして、福岡県
添田町長の
山本でございます。
本日の
商工委員会で、
石炭関係八法の
改正のための御
審議に
産炭地域の
市町村の
立場で御
意見を申し上げる
機会を与えていただきましてまことにありがとうございました。
なおまた、平素、
産炭地域の
市町村に対しまして格別な御
高配を賜っていることに対しましても
お礼を申し上げたいと思います。
石炭関係諸法につきましては、かねてより
内容の
改善と
廃止期限の延長について
要望を申し上げていたところでございますが、
政府は昨年六月、
石炭鉱業審議会が今後の
石炭政策等の
あり方について
答申された
趣旨に基づきまして、今国会に
石炭関係八法の
改正案を提出していただきました。さきに
衆議院で、本日は本
委員会で御
審議をいただくことになりまして、この間の
関係の
皆様方の御
努力に謹んで感謝の意をささげたいと思います。私
ども関係市町村といたしましては、
法案の
早期承認を強く願望しているところでございます。
さて、
法案に対しまして総括的に申し上げますならば、
産炭地域の
振興等は長期にわたって
石炭政策や
石炭の
鉱害復旧を効率的に推進されましたので
相応の
成果を上げておると思います。多くの
産炭地域は、まだ
石炭関係諸法の目的を充分に達していないと思っておるところでございまして、もろもろの問題を残している
状況下にあると言ってもいいと思います。したがいまして、必要財源の
確保の上、継続して法的
支援が必要でありますことを冒頭に申し上げたいと思います。
それぞれの各
法案に対します
要望を申し上げさせていただきます。
まず最初に、
石炭政策についてでございますが、先ほどからも御
意見が出ておりましたのですけれ
ども、まず
均衡点の問題でございます。
石炭鉱業審議会の
答申に言っております
均衡点を高い水準に定めていただくよう、しかもできるだけ早くこれを明確にしてくださるよう
お願い申し上げたい。そのことは、
石炭鉱業の
維持存続と今後の
産炭地域の
振興の方向を決定するために少なからぬ影響を持っているからでございます。
二番目は、
構造調整過程の
経営多角化、新
分野開拓についてでございますが、
経営の
多角化、新
分野開拓は、
産炭地域振興の視点より
炭鉱所在地において事業
展開が図られるよう強力な御
支援を
お願い申し上げますとともに、
炭鉱離職者の再
雇用を促進されるよう
石炭会社に強く御指導を
お願いしたいと思います。
その次は、未利用地の活用についてでございますが、
炭鉱跡地の有効利用が
産炭地域の
振興のかなめでございます。地元自治体がこの用地を取得するためには、自分たちの能力を超える多くの制約を解除しなければなりません。これがなかなか難しい
状況下にあることは御
承知のとおりでございますので、容易に活用ができるよう環境
整備をしてくださることを
お願い申し上げたいと思います。
次に、
石炭並びに石油及び石油代替エネルギー
対策特別会計法についてでございますが、昨年末の関税率
審議会において、今後とも原油等の関税を
石炭勘定の財源とすることを決めていただき、その間の
政府の御
努力に敬意を表したいと思います。しかし、
石炭政策を総合的に推進し、また
石炭鉱害が予定どおり解消するなど、法の目的を十分達成するためには、今後とも安定する財源を
確保することが当然なことではないかと思っておるところでございます。これに加えまして、この
石炭勘定を柔軟性のある運営を行っていくことがまた大事なことではないかと思っておるところでございます。
次に、
石炭鉱害二法について申し上げたいと思います。
石炭鉱害復旧の
現状というのは、
昭和二十七年に臨時
石炭鉱害復旧法が制定されて以来四十年にわたり復旧が行われてまいりました。このことは、戦中戦後に国策として大量の
石炭供給が要請されたため広範囲に
石炭採掘が行われた結果、膨大な鉱害の発生となったためでございます。
現行鉱害二法のもとでは、
昭和五十七年に
策定しました
鉱害復旧長期計画に従い、五十七
年度初価格にして五千九百億円相当の
鉱害復旧事業が
実施をされてまいりましたが、
平成四
年度初で残存鉱害量は約三千七百億円と見込まれております。しかしながら、今日まで
鉱害復旧は相当に進捗していると
理解していいと私は思っております。
なお、鉱害
地域における
石炭採掘が終了いたしましてから既に相当の年数が経過をしておりますので、継続してこの
鉱害復旧を行うことにより、今後十年間のうちに累積鉱害が解消できるめどが立ちますので、早期に鉱害のない
産炭地域になるよう私
どもとしては大いなる期待をかけているところでございます。
さて、この
二つの
法案に対しまして、次のように
お願いを申し上げたいと思います。
まず、鉱害二法の
廃止期限の延長でございます。申し上げるまでもございませんが、鉱害二法は国土の保全と有効利用及び民生の安定を図るためのものでございまして、鉱害が残存する限り鉱害二法は存続すべきものであると考えます。
石炭鉱業審議会の
答申にありますように、最も被害の著しい九州においてもほぼ十年以内に累積鉱害が解消できる
状況にあるとされております。累積鉱害の解消のためには、鉱害二法の十年間の延長で最終的な解消を実現していただきたいものだと思っておるところでございます。
その次は、
鉱害復旧の基本的な方向でございますが、
石炭鉱業審議会答申に示されておりますように、次の三つの基本的方向に即して
鉱害復旧を
実施することが必要であろうかと思います。
まず、第一点目でございますが、累積鉱害の処理の着実な完了でございます。今後、極力早い段階で、今日まで山積みしております懸案問題等に所要の
対策を講じていただきまして、全国各地の累積鉱害の処理を順次完了することが必要ではないでしょうか。
二番目は、鉱害処理業務の適正な運営でございますが、このことについては、従来より
関係者から厳しく
要望されたところでございますが、かなり
改善されたというふうに私
どもは評価をしておりますが、さらに正常化
対策等は
強化をして、処理の
あり方について適正を
確保する最大の
努力が今後望まれるのではないでしょうか。
三番目は、
鉱害復旧の早期解決に向けての
関係団体の連携と
協力でございます。鉱害処理業務を計画的、効率的に処理するため引き続き
石炭鉱害事業団を中心としての処理
体制とし、鉱害の早期復旧を図るためには、国い地方公共
団体が積極的に
鉱害復旧の推進
努力を講ずることが極めて大切なことでございます。また、法
改正原案でも取り上げております
実施計画
関連だけでなく、
鉱害復旧全体において総合的に
関係団体が連携をして
協力をすることが極めて大事なことだと思っております。
さらに、次でございますが、鉱害処理
対策の
強化についてでございますが、施行困難案件が
鉱害復旧の阻害となっている事実にかんがみまして、これが処理には
関係者との連携
協力の上積極的な
対策を講じ、
鉱害復旧の工事施行環境
整備等を図り、鉱害
関係の行政機関が
一体となって鉱害処理が促進されるよう必要な
施策を
実施することが極めて大事なことだと思っております。
さらに、その次でございますが、累積鉱害の解消後の
体制整備についてでございます。累積鉱害解消後の浅所陥没等の被害については、
答申にもありますように、
地域ごとの法人によるのが適当と思います。法
改正原案にもございますが、
石炭鉱害事業団の
体制から
地域ごとの法人の
体制に円滑に移行していくことが最も順当と考えられます。さらに
体制づくりは、
地域の特性を生かし、支障の生じないように処理
体制の早期確立等
地域ごとの法人の
整備に向けて国と地方公共
団体が
協力することが必要だと思います。
次に、累積鉱害解消後の鉱害地における
地域振興施策の積極的な
展開が行われることや、鉱害の解消に長時間を要する
地域は
鉱害復旧と
一体となった
地域振興事業が推進をされることが望ましいと思います。特に、
地域ごとの法人が
地域振興との
一体的推進に役割を果たすように
配慮されるべきではないでしょうか。
次は、
炭鉱労働者等の
雇用の
安定等に関する
臨時措置法についてでございますが、
石炭鉱業の合理化に伴いまして、
炭鉱離職者に対する法的
支援は、
昭和三十四年より今日まで適切な
措置を講じられて
相応の
成果を上げてまいりましたことは高く評価をしていいと思っているところでございます。
昨年六月の
石炭鉱業審議会は、緊就、開就事業について、就労者の高齢化、滞留化等の
問題点を指摘されまして、所要の見直しを図るべきと
答申されましたが、旧
産炭地域におきましては、全体として全国的には
雇用失業情勢が好転をしている中にあって依然として厳しい
状況下にございます。
福岡県の例だけとって大変恐縮に思いますけれ
ども、現在の有効求人倍率は、日によって変わりますけれ
ども、全国で一・二八でございます。福岡は全体で〇・八五でございます。筑豊
地域では、飯塚地区の一・〇四がわずかながら好転をしておりますけれ
ども、直方地区〇・五八、田川地区〇・七三でございます。景気がもう御
承知のように不況傾向下にございますので、
産炭地域の
雇用情勢は今後さらに深刻となると思われます。したがって、
改善される見通しは現在ではないと、こういうふうに思っております。
このような
状況下でございますので、緊就事業や開就事業は就労の場の
確保になお重要な役割を果たしていると認識をしております。したがいまして、今後見直しを行うにいたしましても、事業に就労している者の実情、
地域の
雇用状況、すなわち
労働不安や
労働砂漠化などの排除や
地域振興の必要性等を十分考慮して、慎重なる
検討が必要かと思っておるところでございますので、特別な御
配慮をいただきますよう
お願い申し上げたいと思います。
最後になりましたが、
産炭地域市町村に対する
財政の
支援でございます。
炭鉱の終
閉山や縮小などの合理化に伴いまして、
産炭地域市町村の
財政は極度に逼迫している
状況でございます。今日まで産炭
地域振興対策の一環として、
産炭地域市町村に対して各種の
財政支援措置が講じられて、脆弱な
産炭地域市町村財政の
改善に寄与をしているとは思いますけれ
ども、依然として
市町村の
財政は困窮している
状況下にございます。もちろん、このためには
市町村の自主的な
財政再建が第一でございますが、厳しい環境下で早期の
改善は望み得ないと思っているところでございますしかるに、
鉱害復旧を初め、
離職者対策、ボタ山、炭柱改良等
石炭後遺症と言われる後始末
整備と
産炭地域振興実施計画の
実施に特別な
財政需要が生ずることになりますので、
財政支援の
強化を
お願い申し上げたいと思います。
以上、要点だけでございましたけれ
ども、私の
意見を申し上げさせていただきました。何とぞ、よろしく御採択くださいますことを
お願い申し上げたいと思います。
ありがとうございました。