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説明員(三井
康壽君) 建設省の住宅局担当の審
議官の三井でございます。日ごろから
遠藤会長初め委員の諸先生方には、住宅
対策につきまして御指導、御鞭撻、御支援をいただきましたことをまず御礼を申し上げたいと思います。
では、資料に基づきまして要点を御
説明させていただきます。
資料の「住宅問題と住宅
対策について」の一
ページをごらんいただきたいと思います。
まず、住宅事情の現状について申し上げますが、その第一は居住水準の現状でございます。囲みの中に書いてございます①が、住宅のストックは、量的には一世帯当たり住宅数が一・二戸となっておりまして充足がかなり進んでいるというのが第一でございます。また、質的な問題につきましても後ほど申し上げますけれども、最低居住水準未満世帯率が、前回の
調査で九・五%と一〇%を切ったということもございまして、着実にその
向上は図られつつあるというふうな
状況でございます。しかしながら、②にございますように、持ち家・借家間での質の居住水準の差はかなりまだ大きいというふうな
状況でございます。
これをデータで御
説明申し上げますと、下の欄が住宅戸数の世帯との倍率を示しております。この表の一番下の欄をごらんいただきますと四十三年の住宅統計
調査、これは住宅の国勢
調査でございますけれども、一・〇一倍となりまして初めて一世帯一住宅という
状況を迎えました。以降四十八年、五十三年、五十八年と逐次この倍率が高くなっておりまして、六十三年の
調査結果では一・一一というふうになっているわけでございます。
次の二
ページをごらんいただきます。居住水準のグラフでございます。
このグラフの前に下の「居住水準の規模」についてまず御
説明申し上げたいのでございますが、右側の同の「最低居住水準」というのをごらんいただきます。居住水準は世帯の人数によりまして住宅の規模を決めているわけでございます。標準世帯は親子四人の世帯、黒枠で囲んでございます。最低居住水準は四人で三DK、五十平米といたしております。全国の住まわれる皆様方にぜひ最低の五十平米は確保したいという意味の水準でございます。
左側の「誘導居住水準」でございます。これは、できればこの水準まで
国民の皆様方に到達していただきたいという望ましい水準でございます。この誘導居住水準には種類が二つございまして、
都市居住型誘導居住水準、簡単に言いますとマンションを考えていただきました水準でございまして、四人、三LDKで九十一平米。二つ目の一般型誘導居住水準、これは戸建ての住宅を想定いたしておりますけれども、三LDKS、このSというのは余裕室ということでございまして、普通の使い方以外に何にでも使っていただけるという意味でございます。百二十三平米、これが四人世帯の誘導居住水準でございますが、こういった居住水準がどの
程度達成できているかというのが上のグラフでございます。
まず、最低居住水準でございます。先ほど申し上げましたけれども、
昭和六十三年の統計
調査で最低居住水準未満世帯は三百五十五万戸、九・五%でございます。それまでの五十八年、五十三年、四十八年は、それぞれ一一・四、一四・八、三〇・四というふうに最低居住水準未満は高かったわけでございますので、着実にこれも解消の方向に向かっているということが言えると思います。
それから、前期の五カ年計画から取り入れられました誘導居住水準でございます。これは上のグラフをごらんいただきますと、五十八年が二千四百八十六万世帯が誘導居住水準未満でございまして七一・六%、これが六十二年
調査で六七・二%まで上がりましたが、三分の二がまだ未満でございます。三分の一は誘導居住水準を超えておられる、こういった
状況にあるわけでございます。
次の
ページをごらんいただきますが、持ち家と借家の格差が大きいということを示すデータでございます。
上の表にございますように、六十三年の総数でのストックの一戸当たり延べ面積は八十九・三平米でございます。これは総数で見ますと歴年ふえていることがごらんいただけると思いますが、内訳で見ていただきますと、持ち家が百十六・八、借家が四十四・三と、三倍ぐらいの格差があるということでございまして、借家の居住水準をいかに
改善していくかというのは大きな課題であるというふうに考えているところでございます。
三
ページの下のグラフは、それを経年的にさらに詳細に持ち家でございますとか貸し家でございますとか、分譲住宅あるいは給与住宅というのを書いてあるわけでございます。
以上が居住水準の
状況でございますが、四
ページに大
都市地域におきます住宅事情の深刻化について述べさしていただいております。
まず、①でございます。
先ほど申し上げました居住水準につきましては、全国につきましては今申し上げたとおりでございますけれども、大
都市地域につきましては特に居住水準の
向上のおくれが目立っているわけでございます。とりわけ、借家世帯におきましては四世帯に一世帯が最低居住水準未満である。
それから②でございます。
近年の
地価高騰によりまして、首都圏で見ますと新築マンションの平均価格が年収倍率の八倍というふうに非常に高くなっておりまして、平均的なサラリーマンが良質な住宅を取得しにくくなっている。さらにこの結果、結果といいますか
地価高騰を受けまして、賃貸住宅に対しましても家賃が上昇傾向にある。こういった
状況にあるわけでございます。
これを数字で御
説明申し上げますと、二戸当たりの平均床面積、全国八十九二二平米と申し上げましたけれども、三大
都市圏別の内訳がございます。三大
都市圏の合計で言いますと七十五・四、京浜大
都市圏六十九・五、中京大
都市圏は、これは中京圏の五十キロ圏をとっておりますので、全国より大きな数字になってございますけれども九十五・三、それから京阪神大
都市圏、大阪圏が七十七・七ということでございまして、その他の地域の百二・六と比べまして大
都市地域での二戸当たりの面積は非常に小さい。これは当然のことかもしれませんけれども、そういったデータになっております。
そして、これを居住水準の
状況という観点から眺めてみますと、全国では、先ほど申し上げましたように誘導居住水準の達成していない未満世帯率は三分の二の六七・二でございますけれども、三大
都市圏合計では七二・八と、大
都市圏では未満率が高い。さらに、最低居住水準では全国九・五%が未満率でございますが、三大
都市圏では一二・八%。特に、京浜、京阪神圏が二二%台と高くなっております。先ほど上の囲みで御
説明いたしました三大
都市圏の借家世帯の欄をごらんいただきますと、二四・八%、この方が未満率でございまして、四世帯に一世帯は最低居住水準もまだ満たされていない、こういった
状況にあるわけでございます。
その次が五
ページでございますけれども、住宅価格の年収倍率の推移に関します資料でございます。
六十年からとっているわけでございますが、暦年の
調査でございます。年収につきましては、総務庁の貯蓄動向
調査によりまして京浜地区の勤労者世帯の平均年収を掲げてございます。それから、例といたしましてマンションと建て売りが書いてございます。マンション、建て売りとも不動産経済研究所というところが
調査いたしております。首都圏の新規売り出しのマンションあるいは建て売り住宅の平均価格をここに掲げてございます。六十年、六十一年、六十二年と四倍台あるいは五倍台という年収倍率で推移しておりましたものが、六十三年から年収倍率が非常に高くなってまいったことをあらわしておりまして、
平成二年の倍率では八倍を超えている。マンションで八・〇、建て売り住宅八・五倍と非常に一般のサラリーマンが買いにくくなっている。こういうふうになっております。
こういったことも反映いたしまして、公共賃貸住宅の応募倍率も六十二年を境にいたしまして高くなっておりまして、公営住宅の新規で言いますと六十二年十四・八から
元年、二年と二十三・三、三十二一と上がっておりますし、公団の新規応募倍率も二十一・〇、二十四・九、三十七・二と非常に高くなってきている、こういう現況にあるわけでございます。
以上が最近の住宅事情でございますが、これに対しまして住宅
対策はどういうことをしているんだということの要点を申し上げますと、第一が第六期住宅建設五カ年計画の
推進でございまして、大きな目標は良質な住宅ストックの
形成でございます。このグラフにございますように、年々歳々二戸当たりの住宅規模が上がってきているわけでございますけれども、
昭和六十三年八十九平米、先ほど申し上げた数字でございます。これを第六期五カ年計画の終わります
平成七年には九十五平米、さらにその先の五カ年が終わります
平成十二年、二〇〇〇年には百平米にしたいという考えでございまして、これは日米構造協議におきます公共投資基本計画におきましてもこの数字を使わせていただいているところでございます。
そして、第六期五カ年計画におきましては、先ほど申し上げましたように、(1)の①にございますけれども、誘導居住水準を十年後の
平成十二年には全国で半分の方が達成する、現在は三分の一と申し上げました。そういうことを大きな目標にいたしまして、住宅の融資の拡充でございますとかあるいは公共賃貸住宅の予算化でございますとか、そういったことに取り組むということでございます。さらに、その光といたしまして、全国で半数といいましても大
都市圏では半数いきませんので、その先はなるべく早くすべての
都市圏で半数を確保したいという目標でございます。したがいまして、当面この五カ年では九十五平米にしたい。
それから、最低居住水準につきましては、先ほど九・五%と申し上げましたが、これもできるだけ早期に解消したいという目標でございます。
それから、次の
ページが戸数でございます。
六期五カ年計画は七百三十万戸の計画でございまして、前期に比べまして六十万戸の増でございます。そのうち公的資金住宅は三百七十万戸でございまして、六期五計の約半分強を公的資金で建てていこう、こういう考え方でございます。
また、
施策の重点分野でございますけれども、細かく申し上げますと大変長くなりますので、ここでは四点だけ、大きな
項目だけ申し上げたいと思います。
一つが、先ほど来申し上げております良質な住宅ストックの
形成、それから良好な住環境の
形成でございます。二つ目が大
都市住宅
対策。三つ目が、高齢化社会に対応しまして、シルバーハウジング・プロジェクトでございますとかいろいろ高齢者
対策としての住宅
対策を講じていく。四点目が地方の住宅
対策でございまして、地方にそれぞれの独自の住宅のつくり方もございますし、そういった伝統とか文化を大事にすることのほか、地域の活性化に資するような地域活性化住宅といったものを大いに奨励
推進し、支援していこうという考えでいるわけでございまして、この四点が今第六期の住宅五カ年計画の柱でございます。
それから、八
ページが大
都市の住宅宅地
対策でございますけれども、一昨年国会で御審議、御成立賜りましたいわゆる大
都市法と言っております大
都市地域における住宅地等の供給の
促進に関する特別措置法によりまして、三大
都市圏におきまして各都府県が協力し合って住宅宅地供給をしようという
制度が整いまして、供給基本
方針を建設大臣が三大圏ごとに定めまして、それを受けまして都府県が圏内の地域別の供給目標量や重点供給地域を決めまして供給量を出します。昨年来ずっと作業を進めまして、都府県の計画までが既にできておりまして、その計画の量は真ん中辺の一の口にございます。十カ年で首都圏で四百三十一万戸、近畿圏で百九十万戸、中部圏八十三万戸、計七百四万戸の住宅を供給する。
住宅地につきましては、首都圏、近畿圏、中部圏それぞれ二万七千五百、一万一千二百、七千六百、合わせまして四万六千三百ヘクタールの供給をする、こういったのを骨子とする
内容でございまして、それぞれ各地域ごとにこれを実現するための
施策、考え方というのを盛り込んで決めているわけでございます。
それから、次の
ページに参りまして、先ほど申し上げました都府県の供給計画でございますけれども、二でございます。
平成三年の秋までに既にすべて完了いたしまして、これに基づきまして重点供給地域を一番最後のハにございますけれども、首都圏、近畿圏、中部圏それぞれ千二百、四百五十、四百カ所ということで供給をしていくということを決めまして、これに基づきまして精力的に住宅宅地の供給をやっていきたいということでございます。
それから最後でございます。時間がなくなってまいりまして甚だ恐縮でございます。
平成四
年度にどういうことをしていくかという予算と
税制につきまして要点をここに掲げてございます。
金融公庫につきましては五十四万戸、前年より一万戸減でございます。貸付限度額の引き上げはここに書いてございますように、通常の利子補給によります三十万円を初めとしまして、特別割り増し、大
都市加算等々の割り増し貸付の引き上げをお願いしておりますほか、公共団体が独自に利子補給を行うような賃貸住宅につきまして、国も割り増し貸付等で応援しようという八百万円の割り増し貸付。
それから公営住宅につきましては、特に賃貸住宅の建てかえの
推進をするために、高齢者のお入りになる際の家賃激変
緩和措置をするとか、先ほど申し上げました地域活性化住宅の
制度を創設するというお願いを予算でしております。
また、住宅・
都市整備公団につきましては、前
年度より一・千戸ふやしまして供給をさせていただきたいということでございます。
それから、市街地住宅密集地区の
整備の
推進でございますとか関連公共施設の
整備の
推進、あるいは高齢者
対策としてここに掲げているような公庫割り増しの引き上げでございますとか、シニア住宅の供給でございますとか等々の
対策を講ずるほか、
税制につきましても生前贈与の特例措置の期限の延長のほか、所得要件を引き上げるあるいはファミリー向け優良賃貸住宅建設
促進税制の創設をする等ということを予算、
税制でお願いをしているところでございます。
よろし。くお願いいたします。