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木庭健太郎君 きょうは
修正案に対する
審議でございます。
この
PKO法案を
考えてまいりましたときに、もう既に二年近く
審議をさせていただき、総理もほぼ、きょうまでやれば、本会議含めて百時間のおつき合いでございます。かなりの時間を
審議することができてきたと私
どもは
認識をいたしております。また、
社会党も自分たちのベストの案として対案を御提示になり、その成立へ向けて一生懸命今御努力をされているだろうと私は思います。決して廃案ありきというような
考えではない、きちんと
参議院の良識として
審議を進めたい、私
どもはそう願っておりますし、
社会党もそういう気持ちでやっていらっしゃると思います。
修正案については、私
どもの
考え、今、
小川委員もおっしゃいましたけれ
ども、本質的には変わっていない、欺瞞だ、いろんなお言葉がございました。私
どもは何とか国際貢献をしていきたい、その枠組みをつくりたいという中で、より多くの
合意をということで
各党間話し合いをし、ぎりぎりの努力をし、これまでの
審議の経過を踏まえましてこの
修正案を出させていただいた側の一人でございます。いわば
修正案というのは何かといえば、
政府原案がある、もちろん
社会党の案も十分検討させていただきました。その中で、
一体どこに接点があるのか。我々としては、やはり国際貢献をしていく上では
自衛隊の活用というのはやむを得ない、そうなると
社会党の対案にはどうしても納得することができない、その中で、
政府原案をもとにして、いわばそれにどういう縛りをするか、
政府原案をどれだけマイナスにするかというのが私たちが今回出した
修正案と
考えているわけでございます。
そもそも、私
どもこういう
PKOの問題を
考えましたのは、本当にあの湾岸戦争のさなか、またその後でございました。私も湾岸戦争道後のサウジアラビア、イラン、イラクに行ってまいりました。その中で一番感じたことは何か。確かに私
どもは、多国籍軍、いわば
武力行使を伴うものに
自衛隊を送ることについては
憲法違反だと
考えておりますし、絶対に反対です。しかし、あの湾岸戦争が終わった後に私がサウジアラビアに行って見たものは何か。あの油の流出しているペルシャ湾にも立ちました。そこで各国が停戦後何をやっていたか。もう世界各国の人たちが集まって油回収の作業をしていたわけであります。いなかったのは
日本人だけでございます。(「
日本も油回収に行っておるよ」「失礼だよ」と呼ぶ者あり)今、
日本も後で行ったという
お話が後ろからございました。それは、当初私たちが行ったとき、そういう人を送る枠組みがなかったのであります。ですから、
国際緊急援助隊法をある
意味では少し拡大
解釈をしていただいて、ようやくおくれて油回収のための人を出したのであります。
そういう現実を見たとき、戦争、紛争が終わった停戦後、
日本としては
人的貢献をする枠組みがないな、何とかこれをやらなくちゃいけないというのが私たちの今回のこの
法案に対する態度でございました。
国際貢献というのはいろいろあると思います。
社会党さんもおっしゃっております。ODAもある、環境の問題もある、識字率の問題もある、さまざまな問題があります。それに対して
政府がきちんとやっているか、不十分なところは、私
どももいっぱいあるし、そのことについては指摘をさせていただきたいと思っております。ただ、それ以上に私たちが一番
考え、悩まなくちゃいけないのは、停戦後、紛争後、そういうときに、人々が一番困っているときに
日本として何ができていたのか、ほとんど何もできなかった、それをどうにかつくらなくちゃいけないというのが私は今回のこの
法案に生きている
部分だろうと思います。私たちは、この中で、国連を中心に行われた
PKOの問題を
考え、
憲法の範囲内でぎりぎりどこまでできるかということを検討したわけであります。
今回の
審議を通して
社会党の案も十分見させていただきました。しかし、非軍事、民生、文民という分野でいってしまうと、どうしても現在の
PKOに対応するには非現実的であり無理だ。これはカンボジアのUNTACを見てもまさに明らかでございます。もし、非軍事、民生、文民に限定してしまえば、例えばUNTACの場合は、今の形で言えば文民警察と選挙監視しか、ごく限られた部門しか参加できないのが現実なのでございます。やはり私
どもは、UNTACの本格
協力ということを
考えればいろんな手段を
考えなくちゃいけないと思うし、その中でこの
PKO法案というのが出てきたと思います。しかも、UNTACの現地から今非常に要望が強いのは、輸送、通信、それからインフラ整備、いわゆる建設の部門でございます。確かに軍事的色彩薄い分野ではございますけれ
ども、今カンボジアの現状を見て各国がどう対応しているか。あの厳しい気候、また紛争が終わった後の不安定な
状態の中で、結局各国とも軍人を出さざるを得ないというのが今の現状なのであります。
私は、
社会党の方がボランティアのことを一生懸命言っていただきました、NGOのことも言っていただきました、非常に大切なことだと思っております。ただ、それだけでいいのか、私はそう言いたいんです。本当にNGOでありボランティアがその場で一生懸命より多くの分野に貢献できるようにするならば、やはりUNTAC、
PKOに
日本としてどれだけできるか、この視点を忘れてしまえばまた湾岸戦争のときと同じような繰り返しになると私には思えてならないのでございます。
私は、確かに
小川先生と違いまして
戦争経験者じゃございません。戦争を知らない世代でございます。しかし、
日本がこれから二十一世紀へ向かって、私たちの時代のときに本当に
国際社会の中でどう生きるかということを
考えるときに、やはりこの
法案というのをしっかり見据えていかなくちゃいけないと私
どもは
認識しております。しかも、我が党としては
国民の
理解、アジアの
理解ということで
凍結ということも訴え、
皆さんの
合意の中でこの
修正案が出てきたわけでございますけれ
ども、この
修正案を出されたその背景について詳しい
お話を伺いたいと思います。