○田英夫君
カンボジアの現実をごらんになるとおわかりになると思うんですが、今のお答えでは私は大変不満であります。
カンボジアに対して、アジアの経済的に豊かな国であると言われる日本として本当に心のこもった援助をしようというならば、今のようなことにはなってこないはずであります。
治安ということ、もちろんこれは大切ですけれども、この問題は後で触れたいと思いますが、二国間のつまり相手が、今おっしゃるとおり、私も申し上げましたが、SNCという形です。これはしかし、少なくとも機能し始めている、これは事実であります。いわゆるクメール・ルージュの中に一部強硬な
人たちがいるということも事実であります。今、治安が乱れているということはその部分であります。ですから、今川大使ともじっくり
話し合いましたが、今川大使は逆に大変楽観的です。こういうところもぜひ連絡をとり、現実を直視していただいて、緊急援助ということをぜひ
政府の課題にしていただきたい。これはお答えをいただこうと思いません。ひとつ宿題にしていただきたいということを
総理にお願いをしておきます。次に、
選挙監視というのが非常に今度のUNTACの中でも重要な日本の役割になるだろうと思います。
これは
報道によればと言わざるを得ないのが残念ですが、
報道によると、公明党の方々が要求しておられるいわゆるPKFの凍結ということになってその部分には自衛隊が行かないという、そういう話が出てきているんですね。実は、これを一日も早く、修正をするなら、何党か知りませんが、話し合って
修正案をここへ出していただかないと、私どもは実はPKFのことに非常に問題があると思って指揮権その他取り上げておりますけれども、実際はその部分が凍結してしまうというならこの我々の今の
議論というのは一体何なのか、非常にむなしくなるわけですね。このことをぜひこれは真剣にお
考えいただきたい。
これは実は
政府に申し上げてもしょうがないことなんですね。こっち向いて言わなくちゃいけない、あるいはこっちも向かなくちゃいけないんですが、関係各党の間でもっときちんとはっきりしていただきたいというのが私どもの気持ちであります。
審議する対象がないんですね。きのうの公聴会だって実はおかしな話なんです。あれはちゃんと
法律で、公述人は賛否を明らかにするということになっておりますが、どの
法案に対して賛否を明らかにしているのか。
私は、一生懸命で
議論をしたらその部分は凍っちゃった、いやしかし、凍ったというのは、凍結というのは、電子レンジじゃないですが、チンといえば出てきちゃうんですから、自衛隊の洋服を着たのがあらわれるということを
前提に
考えればそれは私ども
議論できますけれども、そういうことだということをこの際申し上げておきたいんです。
そこで、どっちに転んでもというところで申し上げれば、
選挙監視というのは、凍結されようとあるいは
社会党案が通ろうと、
選挙監視というものは極めて重要な部分になります。
自治大臣さっき立たれましたが、それは構わないんです。実は自治省はまだその問題については立ち入って参加していないということでありまして、外務省の
野村さんのところでこの問題はやり方を
考えているということでありますから、それで結構なんですが、そのくらい実は自治省、
大臣がおられないから言うわけじゃありませんが、自治省はまだ真剣にこの
選挙監視ということを担う場合に日本としてどういう関与の仕方をしたらいいのかということを勉強していないですね。これは勉強していなかったら絶対うまくいくわけないですよ。国内で整々として
選挙が行われている日本でもなかなか大変なのに、この間のフィリピンも、聞いてみますと大変な
選挙ですね。それどころじゃないですよ、
カンボジアは。
今、問題点を若干申し上げますが、今度プノンペンへ行っても、中央市場というのがありまして、これはもうにぎわっています。物資もタイなどから流れ込んで、まことに日常生活のための生活物資は豊富であります。そこで、よく東南アジアなんかでも売っている金ぴかぴかの女性の装身具、指輪だとかネックレスだとかいうそういうものを売っている店がだあっとあるが、これは全部ベトナム人。そう言われてみると、なるほどそういう顔つきだなと思いました。
それから、例えばプノンペン市内でも家が今建築ラッシュです。そういう家を設計し、つくる技術者というのはほとんどがベトナム人であります。あるいは漁船、つまり海で魚をとる仕事も大部分がベトナム人、そして
カンボジアに住んでいるわけです。合計何十万と言われる。そして、さっきも申し上げたように、
カンボジアの人は九〇%が農民なんですね。
そういう状況の中で、このベトナムの何十万の
人たちは
選挙権があるかといったら、これはベトナム人ですから、国籍は明らかにベトナムですから、ただ
カンボジアに住んでいる。華僑の
人たちもたくさんいます。当然、華僑の
人たちは
カンボジアでも経済の流通、経済を握っている。こういう状況の中で、さあ
選挙だと。そこへもってきて、三十七万と言われる難民がまだ、果たしてことしじゅうに引き揚げられるか極めて疑問です。これから六月から十一月まではほとんど交通が途絶するほどの雨季になるわけです。川があふれ湖の大きさが倍になるという。トンレサップという大きな湖が大きさが倍になるそうです。そういう状況の中で、難民の帰還はますます延びるでしょう。
そこで、例えばソン・セン氏は、クメール人民民族解放戦線の議長といういわゆるソン・サン派の大将ですが、この人がたまたま五月十一日にシンガポールに行ったときに記者会見で話しているのは、
カンボジアにいるおよそ百万の、彼は百万と言っているんですね、百万のベトナム人を来年の
選挙までにベトナムに帰還させる必要がある、こう話ったという
報道があります。
それからもう
一つ、いわゆるキュー・サムファン、クメール・ルージュの議長ですが、これは直接私に話してくれたんですが、入植者と称して
カンボジアにいる数十万、彼は数十万と言いました、数十万のベトナム人のうち、もし
カンボジア人と偽って投票する人がいたら大変なことになる。しかし、彼は帰せとは言っていないんですね。それは住んでいていいという方が正しいでしょう。住んでいていいけれども、投票はできない。ところが、偽って投票しようとした場合に、まさに
選挙監視の
人たちはベトナム人か
カンボジア人かの区別はつかない、それができるのは我々お互い同士だけなんだ、こう言っております。
ですから、日本から何十人かの地方自治体の人が行ったとしても、それは恐らく難しいでしょう。私は、何度かベトナムにも行き
カンボジアにも行きましたから、そう言われてみればわかるという、さっき申し上げたような程度の区別はつきますけれども、こういう状態の中で、もうさまざまの困難が
選挙ということに対してはある。来年の四月末か五月に総
選挙をやるとUNTACは言って、明石さんもそう言っておりましたが、私は無理じゃないか、こう思います。
そういう状況の中で、ここから先は
野村さんしかいないそうですから
野村さんに答えていただきたいんですが、どういう準備をしているんですか。