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木宮和彦君 なかなか一朝には物にできる問題だとは私も思っておりませ人。ただ、今
国論を二分しておりますが、いろんな
意味で世の中がだんだん変わりつつあることは間違いありません。
湾岸戦争以後は、やはり
日本の
立場というものが
国民に広く、最近の世論調査でもある程度
PKOについての賛成がふえていることも事実でございます。
これは同じ我が自民党でも
憲法あるいは
海外派遣について是とする人と非とする人があるわけでございます。昨年の十一月十六日の朝日新聞には「アリの一穴」ということで後藤田元官房長官が、当時、中曽根
内閣が掃海艇を出すときに、それはアリの一穴で、歴史の流れを知らない人の見方だと。例えば今から六十年前の満州事変も柳条溝でもって
戦争が始まって以来、それがついに第二次大戦に発展して
日本は敗戦になったわけでございますから、そういう苦い経験があるわけで、我が自民党の中にも無論それを慎重にやれという
意見もあります。
逆にまた、それはどうもアリの一穴の論は情結論じゃないかと、これは小沢一郎元幹事長のお
考えでございますが、むしろ
日本は「
世界との協調を絶った途端に孤立し、「いつか来た道」になってしまうと。これは満州事変後ですか、松岡洋右が
国際連盟を脱退して
日本が孤立してしまい、ついに
世界を相手に
戦争せざるを得なかった。今回の
PKOも、
世界の小国も大国もみんな参加して、そして協調して
世界平和をやろうというときに、
日本だけがやらないよと言い切れるのか。それによって、かつて
国際連合を脱退したときと同じように
日本が
世界の中でもって孤立するんじゃないかという私は危惧を持っております。決してこれは極論じゃございません。
これは田邊
委員長が昨年の九月。一日に小樽でもって記者会見をしておりまして、その中で、
PKOのかかわりについてこう言っております。何らかの形で
自衛隊の能力、経験が加わる必要があると、こう言っている。(「だから
法案出しているじゃないか」と呼ぶ者あり)
自衛隊ですよ、
法案じゃないですよ。
自衛隊の能力、経験が加わることが必要であると、社会党の田邊
委員長さんもこう言っていらっしゃる。
それからまた、これは衆議院
議員に新しく誕生した松原脩雄さんという人が、「私は、
国連中心主義は国是に近いものと
考え、
PKO活動を高く評価している。」、「
憲法が禁じているのは国権の発動たる
武力行使だ。
PKOは
国連の指揮下だから、PKFも本来は
憲法違反ではない。」、こういうぐあいに明確に社会党の同志の中にも、一回生でありますが、松原脩雄さんは、昨年の十一月二十日の朝日新聞に……(「それはいろんなのがおるよ」と呼ぶ者あり)それはそうですよ、自民党にもいますし。だから、社会党さんの言うことも、中にはそういう人も多勢いるんですからもう少しやはり論議を深めていくことが必要だ。もう入り口でもってシャットアウトするような、あるいは新聞によると牛歩をやりたいという、それもちょっとおかしな話ですが、私がそれを言ったわけじゃない、新聞やテレビでそう言っておったというだけで、別に決してそれがどうのこうのじゃございませんが。
これは
国際的にもそうなんですね、やっぱり二つに分かれています。盧泰愚さんは、
日本国会で
審議中の
PKO法案の背後にある
考え方は
理解するが、アジアの国々の
考え方を整理すると
日本の役割は
経済を中心とした非軍事な面で
貢献してほしいということは、ことしの正月に
宮澤総理大臣と会見した折にそうおっしゃいました。中国の江沢民さんも、
日本の青年にはかつての軍国
主義が中国に大きな害を与えたことを
理解してほしいと。これは昨年の八月に北京に行かれた小渕さんにお話しになったことでございます。
確かに昨年の前半そういう
意見が非常にたくさんありましたが、カンボジアの停戦がある程度実際的になってからというものはやや趣が変わってきたんじゃないかと思います。その
一つは、フン・セン首相が、
国連の名のもとで軍事的
貢献をすることは、
国連と無
関係に第三国に
自衛隊を
派遣することとは違うよと、こういうぐあいにことしの三月二十三日に
宮澤総理大臣にフン・セン首相がおっしゃったと。
これも新聞記事でございますから、私は直接話したわけじゃありませんから真偽のほどは知りませんが、私の見聞きする新聞からの情報だとこういうふうに
国際的にも分かれているし、自民党の中でも今かれているし、社会党さんの中でも分かれているんですから、この問題というものは、私はそういう
意味で
オール・オア・ナッシングではなくて、やはり双方が話をしてそれを凍結するなり、ある程度外務大臣のおっしゃるように青葉マークのような
状況でやったらどうだということは私は非常にいい御
意見だと思いますけれども、一遍にはいきませんが、ひとつぜひこの際
PKOについては
野党の皆さんにも御
理解を賜って、そしてぜひひとつこの
法律がいち早く可決して、そのかわり私はむしろこの問題は、
法律をつくるときに非常にぎゃあぎゃあ言うよりも、できてから後のアフターケアが一番大事じゃないかというような気がいたします。
どうも
日本人というのは「のど元過ぎると熱さを忘るる」で、入学試験でもそうですが、入るときはあの手この手で、私も困り切っていることがありますけれども、入学するときや会社へ入るとき、あるいは認可をもらうときにはあの手この手で、一生懸命予備校へ行って勉強したり徹夜で勉強したり、あるいはいよいよそれでも足りなければ金を持っていったり物を持っていったりして何とか横からでも入ろうという、そういうのが
日本人の習性なんですが、入っちゃうと親も知らぬ顔、学校も知らぬ顔、
政府も知らぬ顔というのはこれは困るんでして、むしろ入ることよりも入ってからのことが私は本当に大事だと思うんですよ。
そういう
意味で、今回のこの
法案は、私は通すことよりも通った後に何とか、衆議院には安全保障
委員会がありますが参議院にはないんですよ、参議院もやっぱり安全保障
委員会をつくってその都度その都度チェックしていく機能をつくるべきじゃないかなというような、これは私の希望でございますが、
政府あるいは社会党の
先生とうですか。私の今の
意見は間違っておったら御
指摘賜りたいし、ぜひひとつ御感想があればゆっくりお話しいただきたいと思います。