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上田耕一郎君 どうも通産省は、一極集中問題についてもういろんな部門、いろんな組織からこれをとめるためには企業立地
規制が必要だということが出ているのに、それに対して抵抗していると思うんですね。
〔理事石井一二君退席、
委員長着席〕
山崎
建設大臣は、前々回私がそういう主張をしたら、上田さんは企業悪論に立っている、そういうお答えを言われたんですけれ
ども、これは不当だと思うんですね。
東京における企業の立地
規制というのは私だけが言っているんじゃなくて、日本共産党だけが言っているんじゃなくて、例えば経済審
議会、臨時
行政改革推進審
議会、こういうところも言っているんですね。
経済審
議会二〇一〇年
委員会報告、これは九一年六月です。「一〇一〇年への選択」の中の「バランスのとれた東京圏の実現」というところで「都心部では業務立地の抑制を図るとともに」、はっきり
答申ではそう書いてある。それから、「東京都区部等での
事務所の立地抑制」というところがあって、「現在の
状況の下では、今後問題はますます深刻化するものと考えられ、
事務所の立地抑制・分散を早急に推進していく必要がある。
具体的な施策としては、
事務所に対する税・賦課金の導入、
都市計画的手法の活用、東京圏(東京都区部等)における
事務所の新・増設に対する
規制の三つが考えられる。」。
経済審
議会の
委員会で私と同じことを言っているんですから、これは企業悪論に立っていないですよ。
建設大臣もよく読んでいただきたいと思います。
それから、これは臨時
行政改革推進審
議会、三十一ページ、「東京圏からの機能分散」、①が「
行政機関の移転」、②が「高等教育機能の分散」、③ぽ「オフィスの分散」であります。「オフィスについては、
住居地域への進出防止など
都市計画との連携に配慮しつつ、新増設の抑制や
地方分散方策についての
具体的な
検討を急ぎ、早期に実施する。」。
ところが、この前の
地方拠点
都市法は、
地方分散方策だけは取り上げて、新増設の抑制は入ってないんです。
、だから、これはもう党派を超えて、超党派的に
指摘されている国民的課題であり方策だということを
指摘したい。
今、通産省の方は通勤時間の問題な
ども言われました。
東京大学の大西隆助教授が「
地域開発」という雑誌に「オフィス立地の新展開」という連載をずっと書かれている。
これ、なかなか詳細な分析をしていますが、その前に、二〇一〇年
委員会でも、東京のオフィス集中でオフィスがどれだけコストが安くなり、公共投資がどれだけ費用がかかり、これからどれだけかかるかということを書いてあるところがあります。
四十八ページの「東京問題と社会資本
整備」というところ、「東京圏の過密の弊害を緩和するために必要な社会資本
整備量をいくつかの部門について試算すると、少なくともおおまかに一〇〇兆円台と現在の投資規模と比較して巨額なものと見込まれる。」、だから「社会資本
整備のみによって過密問題に対応することには、資源の
配分上も時間的にも厳しい限界があると言わざるを得ない。」。百兆円、それだけこれから金かかる、こういうことになっているんです。
大西助教授の分析は相当詳細にこれを書いてある。オフィス立地によって必要な社会的負担を企業が負担していない、それを公共や従業員の負担にしている、そのために東京の立地コストが一番安くなっている、それが東京集中の要因となっている、「過度の集積により社会的費用が増大するが原因者たる企業が社会的費用を負担していないのである、そう言っておる。安いからどんどんどんどん東京へ来るわけですから、社会的コスト、これは公共と従業員、それが負担しているんです、長時間の通勤で。それから住宅だとか道路だとか、あるいは交通だとか、そういう企業が負担すべきものを東京都や国民が税金で負担しているんです。
この助教授は詳細なグラフを書いています。これを見ますと、住宅を除いて道路と鉄道だけで東京の
事務所従業員一人当たり年額四百万円以上かかっている。東京の
事務所の区部のオフィス従業者数三百万人としても、年額十二兆円。本来企業が負担すべき十二兆円を公共で負担しているんです。
私、この
建設委員会でもかつて
指摘したことがあるんですけれ
ども、一九七二年の経済白書で、都心に就業
人口が千人ふえると社会資本
整備に三十四億円かかる、そういう試算が出たことがあります。デフレーターでずっと二・五倍しますとこれが八十五億円になるんですけれ
ども、区部の
事務所従業者がこの五年間で二十八万人ふえたと推定して二兆円なんです。とにかくそれだけの負担を公共と従業員がかぶっている。その分が安いわけだから、企業は東京にどんどんどんどん来るわけなんです。ですから、経済学的に言って、法則的に言って、こういう事態を是正するためにこの二〇一〇年
委員会等々で言っているような
事務所立地の
規制のために負担金を課することがどうしても必要なんです。企業自身が持つべき当然のコストを持たないで社会的費用を大もうけしているわけだから、当然負担させるということがこの企業の東京の一極集中を是正する上で確実に効果のある方策なんです。
東大の大西助教授はこの連載で「オフィス立地の社会的費用」というところで、最後にこう書かれている。「このメカニズムを断ち切るには、集積がもたらす混雑などの外部不経済を、立地企業に負担させたり、通信手段を活用するなど業務形態を改革するなど相当大胆な現状変革が必要と見られる。」。私はこの結論はもう動かしがたいところにまで来ていると思うんです。
建設省は責任を持っている役所なんですから、そういう大胆な方策に踏み出すべきだと思うんです。
四全総の原案にはこの負担金、入ってたんでしょう。それが結局財界の要望でとられちゃったんです。それも私はここで
指摘したことあるんだが、こういう多くの研究、それから経済審
議会の二〇一〇年
委員会まで述べているような大企業への負担金を課することなどの方策、この当然の方策をとって東京一極集中を是正する段階にいよいよ来ているんじゃないかと思うんですが、
建設大臣、いかがでしょ。うか。