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上田耕一郎君 実際には
オフィスビルがますます
東京に
集中しつつあります。
週刊東洋経済臨時増刊の五月二十九日号ですが、「
首都圏ビッグプロジェクトの総・未来図」に十八のプロジェクトの写真とプランが載っています。一々申し上げませんが、この中でも例えば
東京臨海副都心
計画、これが大変なもので、八九年四月に発表されました
事業計画によると、延べ床面積七百ヘクタール、そのうち業務系二百五十ヘクタールというんです。これは
一極集中や
オフィスビル何とかかんとかいって、こういう二百五十ヘクタールもの業務系の床面積をやろうとしているんですよ。
しかも、極めて重大なことは、
東京都の
計画は最初はそうではなかったんです。国が押しつけたんです。そのことは、担当の当時の横田副知事が副知事をおやめになってから、朝日新聞の連載で「僕は裏方」の二十三回目、十一月八日付ですけれ
ども、かなり詳しく書かれている。
「初期の案の柱は、
オフィスや
住宅ではなかった。パラボラアンテナが並び、通信衛星を
利用して大量の
情報を速く、安く交信できる、そんな青写真だった。」、これが
東京都の構想だったんです。
ところが、「八六年春、自民党の特別
調査会が民活をねらう政策を打ち出した。
オフィス不足の打開策を臨海部に探ろう、という内容だった。その秋、副総理だった金丸さんも臨海部を視察、
鈴木知事も案内役に立った。」と。このとき、金丸副総理だけじゃなくて、民活担当
大臣の天野
建設大臣、綿貫
国土庁長官も一緒に視察して、写真まで出ています。それで、「
国土庁も都に来て、「早く都の構想をまとめてくれ。金丸さんに報告しないといけない」とせっつくようになった。金丸さんの秘書官から築地の料理屋に呼ばれた都の幹部もいて、都と国の合作のような形で、
オフィス中心の
都市づくりが加速されていった。」。
国土庁だけじゃないですよ。
建設省も書かれている。「次は、
住宅をもっとつくれという話が
建設省を中心に出てきた。」。そして途中の八七年六月の基本構想は定住人口四万四千人だったんだが、
建設省に言われて「定住人口は五万一千人に変えた。
国土庁や
建設省は再三、「六万人に増やせないか」「七万人はどうか」などといってきた。「これ以上増やすと、過密だ」と、都の担当チームは反発した。副知事だった僕のところにも
建設省の
住宅局長がやってきて「なんとか増やしてくれ」という。」、それで「六万人に増やした。テレポート構想から六年ちょっとなのに、
オフィスが加わり、
住宅も柱に、と変ぼうした。自治体の
計画に国がこれほど言ってくるのは、異例中の異例だ。臨海副都心は都内に残された貴重な
土地。理想的な
都市とは何か、都はじっくり構えて当たるべきだ。」。
やめてからこういうことを書かれるんじゃ残念だと思うが、まあ書かないよりいいです。担当副知事のときになぜこういうことを都民に明らかにしなかったかと思うんです。
ですから、金丸さんが吹き上げれば皆さんは上から自治体に押しつけていく。どうもそういう体質がやっぱりお役所にはあるんですよ。皆さん方、日本の官僚機構は非常に優秀だけれ
ども、優秀なだけに上から降ってくると自治体にこうやって押しつけるんですよ。
国土庁も来る。
建設省の
住宅局長が副知事に会いに来る。もっと人口をふやせ。どうやって、これ、過密をなくそうというんですか。
臨海副都心
計画、私は現地も見たし、シンポジウムもやったんですけれ
ども、本当にひどいと思うんですよ。
東京一極集中是正と言って、嫌がる
東京都に国が二百五十ヘクタールもの業務系の
オフィスビルの床面積をつくらせようということをやっているわけでしょう。ところが、バブル経済崩壊で
東京都は財政的にも困るような
状況になった。だれが責任とるか。
こういうことの反省をしなかったら、今度の
法律、
地方の自主性を非常に尊重する、各府県の知事が
計画を立てるということを皆さんおっしゃるが、実際にはこういう今までやってきたこと、そういう発想の仕方、行動の仕方、また日本のこの政治、建設行政、
国土行政にある構造的な仕組みの深いところを皆さん方は本当に反省しなければ、
法律でこうやって自主性を認めます、尊重しますなんて言われたって信用できないじゃないですか。悪いと思ったら、この臨海副都心
計画、
東京一極集中でめちゃめちゃにしようとしているものを、今度は国がイニシアチブをとってやめさせるべきですよ。それをやめさせたら私も信用しますよ。
どうですか
国土庁、それから
建設大臣。