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上田耕一郎君 マニュアル
づくりだけじゃ間に合わないと思うんですね。建てかえについてマンション管理センターの報告でさえこうはっきり言っているのに、どうも
建設省の基本方針がまだ定まっていないという状況ですが、これは
都市政策の問題としても
住宅政策の問題としても重要だと思うんですね。もう問題が迫っているのにやや立ちおくれがあると思うんですよ、
建設省のこのマンション問題に対する取り組みに。これは
大臣もよく現状を、マニュアル程度の返事じゃこれはいかぬなということは御認識いただきたい。
それで、先ほど木賃
住宅が東京で八十万戸と言いましたが、木賃
住宅についてはその建てかえ問題その他で公的補助
制度がもう既に始まっているんですよ。やっているわけですよ。みんな、それこそ二戸建てであったり、大家であってもね。
マンションが東京で四十万戸、木賃
住宅の半分あるんですから、
都市政策上も大問題なんで、木賃
住宅に対するそういう国家的な補助が
予算も組んでちゃんと始まっているんですから、マンション問題も同じ考え方で取り組むべきだということを
大蔵省にもよく認識させる必要がある。
大蔵省を認識させるためには、
建設省が今のような態度では
大蔵省も断りやすいですから、そうじゃなくて、
建設省がこの問題についてはもっと明確な態度をぜひとっていただきたいと思うんですね。
建てかえ問題が迫ってくると大問題ですけれども、私はその前に、もう既に多くのマンションが実施しているし、また実施中のいわゆる大規模修繕、外壁の塗りかえ、屋上あるいは給水管等々の修理、これについてもやっぱり公的支援が必要になっていると思うんです。
ここに「昭和六十二年度マンション総合調査結果報告書」というのがあります。一々質問していると時間がありませんからもう自分で言いますけれども、この三十一ページに「大規模修繕工事の実施状況」というのがあるんですね。かなり実施はしているんだが、未実施、もう修繕時期を経過しているのに修繕を実施してないマンションが依然相当数存在しているというんですね。築十九年以上たっているもので屋上防水を二〇%がまだやっていない、給水管工事は四四%がやっていないという、そういうところがあるんですね。何で未実施なのかというと、結局、金なんですよ。
ここにマンション管理センターの相談担当職員の研修テキストがあります。「マンション管理の現況と
施策」というんですけれども、これを見ても、負担能力、つまり修繕積立金、この
制度がないか、あるいはあってもほんの少ししかない、結局、もう本当に修繕をしなきゃならぬのだが金がないというのが未実施似最大の原因だということが非常にはっきり書かれているわけですね。こう書いてあります。「大規模修繕未実施の最大の理由は、修繕積立金
制度自体が存在しないか、
制度はあっても極く少額の積立てしかなく、所要
資金が大幅に不足している」と。そういうことが最大の原因だというんですね。やっぱり金の問題ですよ。
私、きょう質問をするんで管理組合の理事長さんや理事の方々にいろいろ状況を聞いてまいりましたが、皆さんいろんなことで頭を悩ましておられるけれども、管理組合として一番ぶつかるのは
資金問題です。
大団地の場合は管理組合がしっかりしているんで、まだいいですよ。ところが、都心部の古い中小民間マンションではどこでも大体高齢化が進んでいるとか、賃貸化が進んでいて
事務所やなんかに貸しているというところがいろいろありまして、それで理事にもうなり手がない、総会をやっても集まってこないというようなところもあるわけで、いろいろ切実な悲鳴が上がっているところが多い。そういう状況なので、結局、管理組合も余り役割を果たせないで管理会社任せになってしまっている。管理会社が倒産して大問題になっているという例も関西の方に生まれているぐらいです。そういう点で、私は本当に公共的支援が大事なところに来ていると思うんですね。
なぜ公共的支援が必要かという問題も大いに整理する必要がある。
まず第一は、それは
局長も先ほど言われたように、マンションというものが公共性を持っているということだと思う。
建設省住宅局自身の昭和五十六年三月の「マンションの管理システムのあり方について」、こういう文書がありますが、ここにはっきりこう書いてある。こういうマンションは「
大都市地域における
住宅・宅地事情の下で、
土地の高度利用を図るという強い公共的要請に応える住形式である」と。単なる一戸建ての
住宅と同一視できない第一の問題が、この
建設省の報告書自身が書いているような公共的要請に応える住形式だということですね。ですから、この点では、単に一戸建ての人と同じで不公平になるからということで公的支援を遠慮するのではなくて、公共性を持っているんだから
都市政策上も公的支援をする必要がある。これがまず第一の問題です。
二番目の公的支援が必要だという問題は、一戸建ての
住宅を持っている方と違って、区分所有者には共用部分についての負担という特別の重い負担があることです。
一戸建ての人はお金があれば自分でぱっと建てかえられるけれども、マンションの場合には大規模修繕にしても建てかえにしても自分では決められないわけですよ。個人の都合で勝手にできない。集団的に決めなきゃならぬということになっていますね。区分所有法にもはっきりそう規定されている。だから、そういう点ではいろんな肉体的精神的負担を区分所有者は持つわけです。
しかも、一定の共用部分の負担があります。廊下、通路、エレベーターもそうです。電気、ガス、水道の共用部分。電気について調べてみますと、一戸建ての場合にはメーターまで
事業者が持つわけです。分譲マンションのときは建物の取りつけ部まで
事業者が持つ、そこから先各戸までは共用になるんですよ。水道もガスもそうです。各戸のところから自分の負担になるんですね。いろんなところに共用部分の負担というのがあるんですね。
私が今度いろんなマンション居住者、理事の方の意見を聞いたら、私道の周りに例えば二十戸家があるのと我々エレベーターの周りに二十軒あるのと同じじゃないか、そう言っていました。それ自体一
地域と見られるマンション、マンション内それ自体が一つの
地域なんだということがこの「マンション管理の現況と
施策」には書かれているんですね。マンションは一戸建てと違う共用部分の負担を持ち、建物が一つの
地域になっている、そういう面があるわけです。そういうのが第二の問題で、一戸建て
住宅所有者にない区分所有者の負担という問題、これは当然考えなきゃならぬ問題だと思うんですね。
三つ目に、高齢者、低所得者、こういう方がマンションが年数がたつにつれてふえるわけだから、高齢者、低所得者に対する支援というのはやっぱり社会の当然の問題だと思うんですね。
私、今三つの問題を指摘いたしました。一つは公共的性格を持っている、二つ目に一戸建てと違う共用部分の負担という問題もある、三つ目に高齢者、低所得者の割合が次第にふえている、こういう三つの問題を考えると、本当に公的支援を強めていくということを
建設省として本気で政策的にも詰めてやっていただきたいと思うんです。
ところが、
建設省の態度が非常に消極的だと思うのは、塩出さんの質問主意書に対する
政府の答弁書もありますし、去年私どもの千葉の方々が
建設省とマンション問題で交渉したときにも幾つかの問題が出されたのに、非常に消極的なんです。例えば先ほど、修繕積立金がうんと少なくて、それで大規模修繕ができないんだと言ったんですが、その修繕積立金の利子が二〇%課税されるわけです。これを減免してほしいという要求が非常に強いわけですよ。
建設省の態度は、これはバランスがとれませんのでマンション居住者にだけ減免するわけにはまいりませんということですが、僕はちゃんと理論を立てればできると思うんです、公益法人だって、財形貯蓄の場合なんかにも減免やっているんですからね。
こういう大問題になろうとしている分譲マンションの修繕積立金の利子に対する課税、これは減免
制度を強く要求する論拠があると思うんです。それから共用部分の固定資産税、これに対する税金を減免してほしいという声も非常に強いのに、
建設省の態度は弱いんですな。
局長、どうですか、こういう点少し前向きに取り組んでいただけないですか。