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国務大臣(
中村正三郎君) まず、なぜディーゼルがいけないかということでありますけれ
ども、NOxの抑制ということが極めで大切なことである。そして、構造的にディーゼルエンジンというのは午前中も御
答弁させていただきましたように、圧縮比が非常に高い。そのために窒素が酸化してしまってNOxが多量に出る。それを取ろうとしてもなかなか取る
技術が今ないということが
一つございます。
そして、それではそれだけかと申しますと、ディーゼルエンジンというのは圧縮した高温の空気の中にいきなり生の軽油を噴き込んで燃焼させますから、なかなかきれいに燃えないんです。そこでもって活性酸素という燃えない酸素、燃えないというか化合しない酸素が出てくる。それから燃え残りのいろいろなベンツピレンだとかニトロピレンだとか、燃えたときに起こる、高温のために起こることもある、よく燃えないために起こること等のホルムアルデヒドだとかアセトアルデヒドだとか発がん物質と言われるものが多量に含まれてくる。そのほかわけのわからぬ芳香族、カーボンの化合したものが出てきて、それが真っ黒な煙になって出たりしている車もある。
そうしたものすべてを抑制するために、このディーゼルエンジンの排気ガス浄化の
規制ができないかということで
自動車会社に随分働きかけたんです。ところが、今の
技術ではできないということなんですね。
努力はします、しかしできないと。そこでまず第一にやったのが午前中
お話ししましたS、サルファを減らさないとだめだということで、それはやってくれるということで
通産省にお願いして
対策をとることになったのであります。
それで、ディーゼルがそれじゃなぜいいかということです。ディーゼルの方が燃費がいいよという話になりますが、先ほど
お話ししましたように、ディーゼルエンジンというのは力があると言われているけれ
ども、これはホースパワーで比較すれば容積当たりの力は出ません。これがよく言われている中の間違いであります。だから、セドリックで言えば今二リッターに対して二・五リッターのエンジンをディーゼルだと積む。二五%大きなエンジンを積まなければ同じような性能は出ないんですね。実際には二千四百八十八CCのディーゼルをセドリックは今現在積んでおります。
そういうことを考えますと、二五%大きなエンジンを積まないとだめ。それでもって、実際の燃焼効率はどうかと思って比較してみると、一〇%から一五%ということになってまいりますと、ガソリンを利用することが必ずしもCO2の排出増にはつながらない。
それから、言えますことは、日本において戦争中はまき
自動車、木炭
自動車を使い、戦後はガソリンでバス、トラックを動かしております。しかし、当時はディーゼルの排気ガスからこんな悪いものが出てくるということがわかっておりませんから、ディーゼルでやった方がエンジンもいろんな電気系統がないとか船に積んだりなんかするのも便利だということで、ディーゼルを使おうということになって
昭和三十年代ぐらいからずっとディーゼルがふえてきたということでございます。
そういう車がふえたとき、私実は経験したことなんで御
報告させていただきたいと思いますが、当時運転手が
ディーゼル車を嫌いました。
ディーゼル車はガスも悪いし振動も大きいし加速も悪いと嫌がったんですが、それを無理無理ディーゼルがいいんだから乗ってくれということで乗ってもらった。それではなぜディーゼルがふえたかというと、
原因はただ
一つ、
燃料が安いからです。安いからどんどん使ったわけです。それがもう習い性となってディーゼルの
燃料は安いものだということが定着してまいりまして、そこでどんどん
ディーゼル車がふえた。そのうち、だんだん悪いものを出すということがわかってきて、どうにかしようと思ったけれ
ども加速度的にディーゼルがふえていったと。今は燃費が安いということで
乗用車までディーゼル化が進んでおるという現状であります。
それでは、このディーゼルオイルいわゆる軽油とガソリンの値段の差を縮小したらどうなるかということです。これはアメリカの例を見てみればよくわかると思うんですが、アメリカにおいてはガソリンと軽油にかかる税金がほぼ同じであります。市場価格もほぼ同じであります。そのアメリカにおいては、かなり大型トラックまでガソリンで動いております。ガソリンで動かすと、トルクバンドというので力の出る範囲があれだから非常にトランスミッションを多段化しまして、トラックも十段変速から二十段変速というトラックがある。そして、
ディーゼル車の
総量はアメリカでは減っております。
ところが、日本と同じようにガソリンの方が高くて軽油の方が安い国、一番その差が激しいのはフランスのようでありますけれ
ども、これは
ディーゼル車がふえております。ドイツもふえておる。ほかの国はみんなふえておる。日本もふえております。ですから、こういったことを見てもやはり経済性の
原則から、ガソリンと軽油の値段を同じようにしていけばガソリンの方が静かだししますからガソリンの利用というのはふえていくと思います。
そこで、私は業界を呼びまして、ついせんだってですがこの差をなくしてくれという話をいたしました。そうしましたところ、業界の話は
基本的にはそれには大賛成でありますと。なぜこういう差が出たかといえば、割と近い差でいっていたやつが、石油ショックのときにいろんな物資が値上がりした。石油製品が値上がりした。そのときにやっぱり軽油だとかそれから家庭で使ういわゆる白灯油、こういうものの値段は抑えてくれという行政
指導があったから抑えたと。そのときから格差がついたっ放しになってきているんだという説明でありました。
それともう
一つ、
委員御
指摘になりました税金の点でありますけれ
ども、この税の格差というのもどうだといったら、税の格差を是正することは賛成であります。しかしそれが結果的に増税になっては困るのでそれは反対です。こういうすれ違いの議論でありましたけれ
ども、業界もそれは価格差というのは縮めることに賛成ということでありますので、この点も今
通産省に、そういう方向で直接の監督官庁は
通産省でありますので考えてくれないかということを
お話ししているわけです。
それで、今
大阪の話をされましたけれ
ども、この間、首都圏の
東京、千葉県、埼玉県、神奈川県の知事さんたちによるサミットが開かれました。そこに私呼ばれました中で非常に強烈に言われましたのはこの点であります。ディーゼルに関する税金をガソリンと同じようにしていけ、それから値段の格差をなくしてディーゼルを減らせ、そういうことを特に
東京都知事さんなどから強く言われたということを御
報告させていただきたいと思います。