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堂本暁子君 ただ、今までこれはまだ
批准もされておりませんし、それから実際に
外務省から翻訳すら出ていない
段階ですけれども、
日本の官庁の中でこの前文を使いまして、このような解釈だからということで女性の問題についての避妊の問題ですとか中絶の問題にこの前文を持ち出されることがございました。そういったことは大変に不正確な法律並びに条約の解釈だと思いますし、まだ
批准もされていない
段階でそういうようなことが行われたわけなので、私たち女性の側といたしましては
批准する前にこの解釈をきちんと
確認させていただきたいと思ったわけです。
それだけではなくて、まだ
日本の中ではどうしても男性優位の社会制度が根強く残っておりますし、いわゆる子供の権利そして保護の対象として
考えられたとき、どちらかといいますと女性の生き方や社会的な地位がその伝統的な性役割分業に縛られている、そういう社会です。女性は子供のために犠牲になることがとうといのだというような
考え方が非常にやはりまだ多い。女性の人権よりも子供の人権の方が優先することを余儀なくされるような傾向が多々ございます。それだけにこの点は十分に
確認させていただきたかったということです。
それから基本的人権と人権の平等を保障することを建前としている憲法、それから
国連の人権条約のもとでも、人権の保障の基本原理のもとではすべての者は性別や年齢に
関係なくひとしく人権の主体として法的な地位が認められている。ひとしく人権が保障されなければならないということは当然のことなのですけれども、それが子供と女性というのは、たまたま、たまたまではなくて子供を妊娠する側の性である女性の場合には、子供の権利それから女性の権利という両方のものが非常に微妙なところで厳密に決められ、そして解釈されなければならないということがございます。それだけに、子供の権利条約が
批准される前にぜひきょう法務省にも
外務省にもこの点を私としては
確認させていただきたかった。
なぜならば、差別撤廃条約の中でもこれは男性女性ということは限らない形で、十六条の(e)項ですけれども、「子の数及び出産の間隔を自由にかつ責任をもって決定する同一の権利並びにこれらの権利の行使を可能にする情報、教育及び手段を享受する同一の権利」というのが女性に認められております。この女子差別撤廃条約、
日本の民法、憲法、そして今度の子供の権利条約という中でこの前文、先ほど丹波
局長から御
説明があったように、大変宗教的な理由でこれは最後に入れられた数文字なのですけれども、そのことが不条理な使われ方をしないように
確認させていただきたいと思いました。
法務省の方、お急ぎのことと思いますので、これでこの件は終わりたいと思います。ありがとうございました。
次に、本命に移りましてUNCEDのことに入りたいと思っております。
今回、私もニューヨークヘ行っていまして、本当に
外務省の皆様、
局長方も若い方たちも大変なお仕事で夜遅くまで御苦労であったし、大変に骨身を惜しまず働いていらっしゃるのを見ておりまして、本当に頑張っていただきたいと思っております。
その中で幾つか
考えたことがあるのですけれども、
国連全体の傾向と申しますか、特にUNCEDの場ではNGOの
動きが非常に活発でございました。公式な
会議にも出席をし、それから発言もしている。そういった中で、今まで
国連と申しますと国家の主権を代表する
政府の代表によって構成されている。今もそうですけれども、冷戦の終結後、
世界はそういった地理的な単位で分けているだけではないような違った
一つの局面というか、違った次元の分け方があらわれてきたのではないかと思うほどに新しいNGOという存在があらわれてきたように思います。
特に地球環境はボーダーレスな問題でございますから、対応も国家間の利害の駆け引きとかそれから南北の利害の駆け引き、これが最後は大変多うございまして、本当に妥協と省略と切り捨てで何とかブラケットを、括弧をなくしていく
作業に終始していたというように私には見えました。しかし、そういった国の間の駆け引きとかそういうものと別に新しい枠組みとして市民が台頭してきている。その市民がまた地球環境の保全に果たす役割、これも大変大きいのではないかと思っています。
そういった市民、地球のすべての市民が
合意されたことを実行しない限り地球環境も守れないのではないかというふうに思いますが、特にオゾン層、森林、それから生物の多様性、あるいは海洋、途上国の貧困の問題、飢餓の問題などそういった問題を多くNGOは出してきているわけですが、すべての人がこういった問題に取り組まない限り解決しない。
そういった視点から大変おもしろく思いましたのが新しく出たアジェンダ21です。このアジェンダ21の主要グループの
強化、
日本語にするとわけがわからない
日本語になっちゃうのですけれども、言ってみれば市民団体、それから女性、先住民、若者と、環境と開発の重要な役割を
考えてこのグループのUNCEDへの参加、それをアジェンダ21の各部分に反映して独立した項目として設定しよう、それから環境と開発のある場面に参加を促進しようということがこの四つのグループに関して決議されて、そして新しく今回の最終準備会のためにアジェンダ21の中で主要グループの
強化というのが出てきたわけです。
ここにアジェンダ21がありますけれども、このアジェンダ21は主要グループというのが九つ入っています。今のNGO、女性、先住民、若者のほかに、例えば企業ですとか労働組合ですとか、それから科学者とか地方自治体とかいろいろな、ボーダーレスな中でそういったむしろ違った分け方で入っている。実際に全体
会議の中でNGOが発言したり女性が発言したりするのですが、そのグループは
世界じゅうのいろいろな国の人が
一つのグループになって並んでいる。今までだといつも国単位で、
日本なら
日本、
アメリカなら
アメリカと並んでいたのがそうではなくて、
アメリカの人もインドの人もインドネシアの人も一緒になって女性のグループを形成しNGOのグループを形成し若者のグループを形成している。そういった中でみんな発言をしている。大変おもしろい
動きだなと思いました。これも公式の正式の
会議でそういったNGOの人たちがどんどん発言をしていく場を与えられていた。
私はきょう、特に
日本の場合はこういう
動きに対して比較的おくれていると申しますか、
政府の対応が遅いのではないかということを危惧しながら御質問したいと思っております。
まず、このアジェンダ21ですけれども、こういった主要グループの
動きについては
国連局としてはどのように取り組んでおられるか、その点から伺わせてください。