○田英夫君 私も
政府間で蒸し返せると思っているわけではありませんが、
民間の賠償というのはあくまでもその被害を受けた中国なり朝鮮の
民間の方が提起をする。これに対して
日本側はどうしたってこれは
政府が
対応しなければいけないというところで、中国
政府もこのところこの問題については微妙な態度の
変化があるというふうに私は思っています。
きょうは時間がありませんからこの問題はこれ以上触れませんけれ
ども、非常に私は、
日本の国際貢献ということと絡んでこの過去の問題をもっときちんと国民の皆さんまで、つまり
相手国の国民の皆さんも含めて納得できるような解決をしないといけないのではないかというふうに思っていることだけを申し上げます。
次に取り上げたい問題は中国と関連をするをですけれ
ども、
外務省と直接関係ありませんので法務省においでになっていただいておりますが、非常に残念なことなので、大臣はひとつお聞きいただいて、最後に御感想を伺いたいと思います。
中国に取り残されていた
日本人、いわゆる残留孤児という言い方がありますが、そういう皆さんも含めて、あるいは御婦人で中国の人と結婚してしまっていたのでそのまま残ったという人も含めまして、何といいますか、中国残留者、その人が最近帰国をしてきている、孤児を含めて。その人たちが帰ってきて
日本で大変いろいろ。生活に困り
言葉に困り、これに対する
日本社会あるいは
日本政府を含めての
対応というものが十分でないのじゃないだろうかと思われる事件が起こっております。
私がきょう申し上げるのはその
一つの例なのですけれ
ども、もう帰ってきたのは八〇年代半ばですが、
日本人の御婦人が中国人と結婚をしていて、別れてそして
日本に帰ってこられた。まさに残留婦人ですね。そういう形の方が帰ってこられた。そのときに養女とその子供、つまり血はつながっていないでですね。ここにまた非常に法的に難しい問題が出てくるわけですが、つまり
日本人の御婦人を中心に養女とその子供二人、孫ですね、そういう御家族が
日本に帰ってきた。ところが、
言葉がうまく通じない。その孫の一人は中学生で帰ってきたのですけれ
ども、学校へ行ってもなかなか
言葉もできないからなじめない。そして、家が貧しいから働きに出てもなかなかなじめないというような
状況が続いてだんだん屈折した気持ちになって、ついに傷害事件を起こしてしまうのですね。それが一昨年ですか。
そして、その傷害事件を起こしたのも結局同じような運命にあった中国から帰ってきた
日本人の家族、あるいはその本人と同じような境遇の青年たちが一緒になって傷害事件を起こしている。結果的には一年二カ月という実刑判決を受けまして、一年二カ月を勤め上げた上、昨年末に出所したわけです。そうしましたら、これはここから先が
法律の厳しいところですけれ
ども、一年以上の実刑判決を受けた者は刑を終わった後強制退去にしなければならないという
法律があるのですね。これがまた、韓国の場合は七年というふうに特例として認められているわけですが、その他の
外国人は一年以上の実刑判決、こうなっている。一年二カ月の実刑判決ですから、この青年は中国へ強制退去を命ぜられるということで収容所に入れられてしまったわけです。
その弁護士さんから私は話を聞いて、法務省に何とかこれはそう冷たい仕打ちをしないでいただきたいということをお願いして、法務省も例外として仮釈放にしてくださった。これは大変ありがとうございました。本人も収容所から出てきてすぐ私のところにあいさつに来ました。印象としては大変何といいますか、純情な青年という印象を受けたわけです。
ところが、やはり精神的に屈折していた
状況は完全には直っていない。私も、もう絶対にそういう傷害事件というようなことを起こしてはいかぬよと、日常生活を本当に慎重にやってほしいということを言ったのですけれ
ども、つい一週間ほど前にこの青年はまた酒を飲んでバイクを運転している現行犯として警察に逮捕されてしまった。今も留置場に入れられているという状態にあるわけです。これは
一つの例として申し上げました。
これは今のこの新しい飲酒運転ということの処分が出ました後は中国へ強制送還される、こう
法律上はならざるを得ないと思いますが、その点は法務省、そのとおりですか。