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久保田真苗君 これからいろいろと御意見を承らなければならないし、私どもも言わせていただかなければならないと思いますけれども、ともかくあの法案は凍結といっても字面があのように並んでいるということは法律としてふさわしくないことだと私は思いますので、それだけ申し上げておきたいと思います。
次に、ちょっとドミニカの移民の問題を取り上げさせていただきたいと思っているのです。
私、先月ドミニカ共和国に参りました。その用事で行ったわけではないのですけれども、大使館に
お願いして
日本移民の方に何人かお会いしましたし、その後もいろいろ御要望などを承ったのです。それで、この問題は前に公明党の議員さんが熱心にお取り組みいただいた問題なのですけれども、私も訴えを聞きましたからにはやっぱりよい方向で御
協力したいと思いますし、またカリブ海のほんの一角の場所でございまして小さいところでございますけれども、
日本の移民についてこういう問題があるのだということで
大臣の御注意を引いておきたい、こう思うわけでございます。
少し説明になりますが、ドミニカ共和国はカリブ海にあるヒスパニョラ島にあって、その東側約三分の二がドミニカ共和国、西側三分の一が今大変問題を起こしておりますハイチです。
ドミニカ共和国の経済の主軸は農業なのですけれども、一九五〇年代には耕作可能な土地が非常に少なくて、そのために当時の実力者のトルヒーリョ大統領という方が農業開発政策といたしましてハイチ国境に近いところにコロニアというものをつくったわけです。コロニアは一種の集団農場でして、土地のない人、人のいない土地をなくすという標語で取り組んだものというふうに聞いております。ですから、都市の失業者などもコロニアに連れていくとか、そういった零細農民に対する社会政策上の配慮があったのだと思います。これにつきましては、コロニアの数は
計画数で六十二カ所、そのうち十二カ所は外国人の移住者向け、こう言われておったわけです。コロニア入植は成功も失敗もございますけれども、例えばユダヤ
難民の場合は酪農で成功したとか、スペイン移民の場合は六割も帰国してしまったとか、いろいろでございます。
日本の場合ですが、一九五六年つまり昭和三十一年になるのですが、五六年から五九年までの間に二百四十九世帯千三百十八人が移住したということでございます。移住者の募集要項というものが出たのですが、これが問題の発端でございまして、実際の入植条件が非常に違ったという、その問題が三十何年たった今でも消えずに非常な
日本移民の方の思いになっているわけです。
どういう内容かといいますと、その第一が、ダハボン地区が一番
日本移民が多く動いたところですが、そこは三百クレアを無償譲渡するという約束があったのが本当にその何分の一かしか手に入らなかったとか、二番目に、雨が少ない土地で常時水不足でかんがいに困難したということがありまして、移住者は田畑を売って資金をつくって、
一定の要件の資金が求められましたからそれで行ったということもあるのですが、生活困難になりまして、一九六一年になって結局集団帰国者が千三百十八人のうち六百人、南米諸国へ再移住した者が三百七十人、そして残った人が三百三十人という結果でございます。これは
外務省からいただいた
数字でございます。いずれにしても、残留率が二割ちょっとだということになるわけでございまして、いわば非常に惨めな思いをした移民群なのでございます。
このときに
日本の方では、
国内事情からいいますと六百万人の引揚者というのが戦地から帰ってきて食糧難もございましたでしょうし、そういうときに、満員電車を解消することはできないけれども窓をあけるくらいの効果はあるということで移民政策が始まったわけでございます。政府の方では海外移住に関する閣議
決定というのが昭和二十九年、一九五四年七月に行われました。また、
外務省に移民局を設置するというのが昭和三十年、一九五五年に行われ、特殊法人海外移住振興株式会社が設立されたのも同じ五五年です。そして、
日本海外協会連合会というのができまして、これは海協連と略させていただきますけれども、これが今の国際
協力事業団、JICAでございます。年間一万人程度の移民達成ということをスローガンにして一生懸命やった。今申し上げましたことはその背景でございます。
それで
質問ですけれども、まず入植条件についてです。これは三十何年前のことのお話で、必ずしもこういうことを
議論をしてもこれが生きるということにはなかなかなりにくいのですけれども、しかしこれが移民の皆さんの心に強く引っかかって三十何年間執念としてやってこられたという事実からいいますと、やっぱりこの間の事情もいささか明らかにしたいと思うわけです。
入植条件の土地面積三百タレアの無償譲渡ですけれども、
外務省からいただいた資料によりますと、一世帯当たり三百タレアの土地の無償譲渡、ただし世帯員数、作物種類で増減あり、なお入植初年度は百五十タレアはドミニカ政府が開墾整地の上配分し、残る百五十タレアは移住民が開墾というふうになっております。つまり、百五十プラス自主開墾百五十で三百タレアという数が無償譲渡されるということは明らかだと思うのですけれども、
外務省はこの辺どういうふうにごらんになっていらっしゃいますか。