○
和田教美君
調査会の
最終報告書の
会長案を拝見いたしました。これまでの
最終報告書のスタイルと比べてみますと、これまではどちらかといいますと
各論併記、
両論併記というふうな、
調査会の
安全保障問題に関する
意見の食い違いというふうなものを反映した面がかなり浮かび出ておったわけでございますけれども、それに比べますと、今度の
調査会長案は
二つの
テーマ、特に「
環境安全保障を目指して」という第一
項目の
テーマについては、努めて各
会派の主張にとらわれずに、コンセンサスを求めて共通あるいは一致できるという点について
提言というふうな形で具体的な
提言を出しておられるということは、
調査会の
あり方として
一つの進歩であるというふうに私は
評価をいたしております。
調査会長の御
苦心と、それからそれを支えられました
調査室の
皆様方の御
努力に対して多とするものでございます。
さて、今既にお二人の方々からいろいろな
意見が出ておりますし、私も時間が制限されておりますので、余り具体的なことはこの際は申し上げませんけれども、まず「
環境安全保障を目指して
-「共生と
循環」こという問題について、こういった点をつけ加えたらどうかということを
一つ申し上げます。
それは、平和、安全というふうな問題と、
環境の問題が非常に密接な
関連性があるという点を強調したらどうかということでございます。
この
リポートの
最終案によりますと、
環境の問題も
総合安全保障という枠の中での
一つの
構成要素であるから、そういうかかわりで
環境安全保障の問題を取り上げておるという形になっております。それはそのとおりだと思いますけれども、しかし余りに
総合安全保障の
中身にすべての問題がかかわってくる。例えば
経済も
環境もというふうになってくると、
安全保障そのものの概念がますます拡散していくというふうな
問題点も前々から指摘されておるわけでございます。
そこで、なぜこの
調査会がこの際
環境安全保障を重点的に取り上げたかという点についての
補強、
材料として、今私が申し上げました平和、安全と
環境問題との非常に密接な
連関性ということを強調したらどうかと思うわけでございます。
それは、具体的には、この
調査会の
勉強シリーズの「
参議院外交・
総合安保資料シリーズ ナンバー8」の「九〇年代の
日本の
役割-環境と
安全保障の
あり方こというプリントでございますが、その中で
綿貫礼子さんが、「生態学的安全とは何か」というなかなか
独自性のある論文を書いておりますけれども、それを見て思いついたわけでございます。
綿貫礼子さんは、具体的にどういうことを言っているかというと、「
共生」という問題、これを媒介として平和の問題と
安全保障の問題などを論じておるわけですけれども、
綿貫さんの見解によると、この「
共生の思想が問われるのはこ大体大きく分けて三つあると。「
一つは、自然と
人間の
関係性こであると。「つまり
生態系では生きとし生けるものすべてが「共に生き合って」おり、
人間も決して外側にあるのではないという
関係」。それから
二つ目は、「
人間と
人間との
関係性」。これが
二つあって、「
人間と
人間の
関係性ではとりわけ南と北」との問題、それから「男性と女性さらに
現代世代対将来
世代のかかわり方が重要である。」というふうな区分けの仕方をしております。
この
綿貫理論に基づいて私考えますと、自然と
人間との
関係性で今問われているのは、
人間がしばしば
地球環境破壊など
生態系の
破壊者として行動してきたということであります
川合調査室に調べてもらっているんですけれども、最近
環境庁があるいは
経済企画庁の委託で、
環境問題についての
リポートをまとめるに当たって、その
内容が新聞に
報道されておりましたけれども、それによると、やはり
環境問題の前進には平和が
前提であると、重要であるということが強調されておるというふうに
報道をされておりました。こういうふうに、自然と
人間との
関係でもこの両者の
関係は非常に密接であるということであります。
それからもう
一つ、
人間と
人間との
関係では、今もお話ございましたように、北と南との
関係、
先進諸国が
経済成長至上主義に走って、南の
資源収奪を続けた結果が南の
発展途上国の
貧困、
人口爆発、疫病の多発などにつながっているという問題があり、これらがまた南の
国々の
紛争あるいは戦争の
原因ともなっているという
関係でございます。
環境破壊はもちろんのこと、
紛争にもつながっておるという問題でございます。
それから最近、平和の
配当という
言葉がよく言われております。これは、世の中が平和になってきたんだから
軍事力をなるべく低いレベルにとどめて、それによる平和の
配当を
途上国の
開発あるいは
環境の
保全などに使うべきであるという議論でございます。しかし、その
イニシアチブをまず
日本がとるには
軍縮の問題を真剣に取り上げなければいけないというふうに私は考えるわけでございますけれども、そういう点で見ますと、
軍縮問題どこの
共生とのあるいは
環境との
関係も決して無
関係ではないというふうに言えるわけでございます。
そういう点で、この問題を取り上げることがこの
リポートをこの
調査会がやったということの意義づけの
補強材料になるんではないかと思いますので、その点をまず申し上げたいと思います。
それから、あとの問題につきましては、もう既に時間も参りましたので、後の補足的な
意見の中で二、三申し上げたいと思います。