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政府委員(
金子史生君) お答え申し上げます。まず初めに、
先生の先ほど
労働力不足と長時間
労働が鶏と卵の
関係になっているのではないかという点に関しましては、私もそのとおりだと思います。
それから、先ほど
先生の御
指摘の五百
トン程度の船ならば甲板部が六人、機関部が三人、合計九人が常識的な線ではないか、こういう
お話でございますが、私
どもで実態
調査をしておりますのでその
数字を御紹介申し上げますと、二百
トンから五百
トンの
船舶、これは四百九十九総
トンが主体、主力になるかと思いますけれ
ども、その
平均二百
トンから五百
トンの船の
平均が、先ほど
先生御
指摘のように、甲板部が三・一人、機関部が二・三人、その他事務部等が〇・二人ということで、五・六人というのが実態的な
平均になっております。
そこで、これが
船員法との
関係でどういうことかということでございますが、
船員法には定員の
関係では二つの規定がございまして、
一つは六十九条で、一日当たり八時間の
労働時間が守られるかどうか。こういう
観点から見てみますと、甲板部三・一人というのがどういう評価になるかということでございますが、これは甲板部でもって三直体制を組む、二十四時間以上航行している
船舶であれば三直体制を組むというのが八時間
労働を守るための
条件でございますから、常識的には。そういたしますと、それは三掛ける一でもって三人で、その八時間
労働を守るという
観点からはよろしいわけでございます。最低限です、これは。
それからもう一方、七十条の
関係で航海の安全を確保するための定員という
観点からどうか、こういうことでございますが、これにつきましては航海当直基準をまず守れるかどうかということがその判断の基準、基本となるわけでございますので、航海当直基準上は七百総
トン未満の船につきましては単独当直というものが認められるという解釈を私
どもとっておりますので、それでいきますと三直制であると三掛ける一ということで、七十条の
関係からも七百総
トン未満の船につきましては甲板部の当直体制が三人あれば少なくとも最低基準は満たすということでございますから、三・一人ということであっても六十九条、七十条の
観点からは少なくとも違反というのは直ちには出てこないのではないか、違反ということにはならないのではないかというのが私
どもの解釈でございます。
それから、機関部の方につきましては、先ほど
先生も御紹介がありましたように、二・三人というのが実態でございまして、これは
先生は三人がやっぱり常識的な線ではなかろうかというふうに
お話がございましたが、機関部につきましては、アラームが例えば装置されているという船につきましては、これは常時機関室に張りついているとかそういう必要はないわけでございますので、これは
船舶職員法上定められている機関長と一等機関士が乗っておればいい、そういう
船舶職員が二名乗っておればいいというのが最低の基準でございますので、そういう
観点からしますと、この二・三名というのは違法状態が生ずるかというと、そうではないというふうに私
ども考えておりますので、
先生御
指摘のような
数字が望ましいということは事実でございますけれ
ども、
内航海運の経営問題とかいろいろな実態を総合的に勘案いたしますと、必ずしもこの
船員法上の
観点から照らしますと違法ではないということになりますので、そういう実態との兼ね合いからやむを得ない面もあるのではないかというふうに考えております。