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政府委員(井山嗣夫君) 三つ御質問があるかと存じますが、
一つは、事故の原因
調査の話でございます。
これは私ども事故直後から現地に入りまして、
会社の
関係者、それから車体そのものとかいろんな観点から
調査をしたわけでございますが、現時点のところまだ最終段階に至っておりませんけれども、二つ大きな問題があったと思います。
一つはそのメーンの話でございますが、信号が赤のままになっていたときに、はっきり言いますと無理に列車を出してしまったと、ここのところに人為的な
関係がと思いますが、この辺あたりに問題がないのかということがまず一点ございます。
これにつきましては、日ごろ従業員にどういう教育訓練をしていたかとか列車運行の指揮命令系統がどうなっていたかとか、それから当日の要員がどう配置されてどういう役割を果たしていたかということあるいは列車の具体的な運行
状況などにつきまして具体的にいろいろ調べたわけでございます。現在の時点の若干推察が入りますが、どうもその異常時においてそういう運転取り扱いの点で不適切な部分があったというふうに推測しでおるところでございます。
それからもう
一つの、これは間接原因ということ」になるかと思いますが、その信号機が赤のままで変わらないというところで、信号機が正常な動作をしなかったのではないかという疑問がございます。
この点につきましては、
学識経験者から成ります信号保安システムの
調査検討会というのを部内に設けまして作動
状況の
調査検討を進めております。現地
調査を数回やりましたし、また検討会も五、六回やりまして、いろんな角度からこの信号保安システムの設計がどうなっていたか、それからリレーといいますか継電連動装直の配線だとか軌道回路がきちんと工事上施工されていたかどうか、それから実際にどのような動作をするのかというようなことにつきまして相当細かい
資料も収集いたしまして、現在その整理分析をして何とか原因に至る、ところを勉強して、早く結論を出したいということで今頑張っているところでございます。これらが原因
調査の
関係でございます。
それからもう
一つは、
先生御
指摘の補償の問題でございますが、補償につきましては事故の発生直後から私ども、やはり被害に遭った方々、亡くなった方のお気持ち、それから遺族のお気持ちを
考えてとにかく最大限の
努力をするということで、信楽高原鉄道、実は高原鉄道はかなりの社員が亡くなったりしておりますので、具体的には滋賀県が大株主でございますので滋賀県、それとJR西
日本、この両者を指導いたしまして御被災者相談室ということで約七十名のスタッフで補償のいろんな交渉をさせていただいております。
現在までのところで申し上げますと、亡くなられた方が四十二名ございます。このうち職員が五名おりますので、一般の方は三十七名の方でございますが、その方につきましては約五名の方と今のところ示談が成立しております。それから、けがをなされた方が六百十四名おったわけですが、現時点では四百十五名の方と示談が成立しておるところでございます。
〔
理事松浦孝治君退席、
委員長着席〕
私どもも、これは信楽鉄道自体がスタッフの数、それから財政力が非常に乏しいので、滋賀県に特にお願いいたしまして滋賀県に面倒を見ていただく、それからJR西
日本は
関係者でございますので、これもしっかりやれということでございまして、例えば病院の入院費の立てかえとか葬祭料とか、それから一時的なお見舞いの手当て等々は全部JR西
日本の方に負担をさせてやっている、現時点ではそういうところでございます。
それから第三点の、この事故を契機にどういう再発防止
対策を
考えたかということでございますが、私どもはこの事故がやはり単線で、かつすれ違い運行する鉄道というところが問題だということで、全国のこの種の百三十三の鉄道に緊急総点検を求めまして、全社的に点検をしてもらいました。それから幾つかの
会社、特にこういう第三セクター
会社につきましては私どもの職員が直接
会社に行きまして、その
会社について安全上の問題がないかということを徹底的に洗い出したわけでございます。その結果、おおむね良好ということでございますが、ただこういう緊急時の、何といいますか
対応策のマニュアルと言っておりますが、これがちょっとわかりにくい、理解しにくいようなものがあるというので、これにつきましては
改善をしてもらってわかりやすいものに直してもらったというようなこともございます。
それから、ざらに今後の再発防止の
対策で
一つ問題になりますのは、やはり財政基盤が乏しいとどうしても安全の方にお金をかけないんじゃないかというおそれもありますものですから、特に
赤字の
会社が安全
関係の
投資をするときには、従来、
近代化投資の補助というのがございますが、この制度を拡大いたしまして補助率も若干アップする、それから金額的にもふやす、こういうことを現在お願いしております予算の中で組み込んでおります。
それからもう
一つ予算の中では、そういう中小の鉄道の技術レベルを上げなければならないということで、これは専門家の一種のチームを組んでもらいまして各
会社に
一定期間滞在いたしましていろんな角度から点検していただく、あるいは社員の教育をしていただく、こういうことの予算も組んでおります。
こんなことで、今後この種の事故がないようにということでいろんな各般の
努力を今積み重ねているところでございます。