○遠山説明員 お答え申し上げます。
四点ほどあったと思いますけれ
ども、まず、養護学校における
就職指導でございますが、心身
障害児について社会自立の達成を図ることは特殊教育の重要な目標であり、養護学校の中高校部における職業教育や進路指導の果たすべき
役割は重要というぐあいに文部省としましては考えているところでございます。
そのため、養護学校におきましては、心身
障害児の社会自立につながる職業教育、あるいは進路指導の充実を図りつつ、教員が実際に企業を訪問をして理解を得る等によりまして、多様な進路先の確保に努めているところでございます。
また、文部省におきましても、
昭和六十三年から心身
障害児職業自立推進のための
調査研究というものを都道府県に委嘱をしまして、
雇用環境の変化ですとか、時代の要請等に対応した職業教育、あるいは進路指導のあり方、それから労働あるいは福祉等の関係機関との連携のあり方等につきまして
調査研究を行っていただいております。また、その成果をまとめまして、ほかの県でも参考にしていただいているところでございます。
また、指導要領におきましても、今回
改正をした中におきまして、
精神薄弱者の養護学校の高等部におきまして、新たに職業教育に関する教科を新設する等の改善を行っているところでございます。
それから、
精神薄弱者等の生活指導の関係でございますが、心身
障害児が学校を卒業後、社会で円滑に生活をしていくためには、社会における心身
障害児に対する理解と心身
障害児の社会性の育成が重要であるわけでございます。
そのために、心身
障害児が同年代の小中高校の
障害のない児童生徒や地域の人々と活動をともにする交流教育というのが非常に大切になるわけでございます。学習指導要領でもこうした機会を積極的に設けるように新たに
規定をしているところでございまして、文部省としては、この線に沿ってさらに指導をしてまいりたいと思います。
それから、聾学校における聴覚
障害者に対する手話の教育でございますが、現在の文部省の
考え方を申し上げますと、手話は聴覚
障害者の間でコミュニケーションを円滑に行う上で大変有益な方法でございます。言葉が耳から入らずに言語の習得に困難のある児童生徒に対しては、まず、言語習得期におきまして言葉を豊かに身につけさせるということが一番大事であろうかと思います。そのために、音声言語による教育がまず第一に必要であるという
考え方でおるわけでございます。
こうした
考え方から、聾学校におきましては日本語を言語として身につけさせることを主眼としまして、主として聴覚活用ですとか、説話、あるいは発言、発語による意思の疎通を図るいわゆる口話法による教育を行っているところでございます。それから、次第に年齢がたつに従って、すなわち中学部あるいは高等部におきましては、コミュニケーション活動に関する指導の一層の充実を図るという
観点から、口話法による指導のほかに手話による指導を徐々に進めているところでございます。こうした方法が基本的には一番いいのではないかというぐあいに考えているところでございます。
それから、聴覚
障害者についてはそういう作文能力の面で問題があるのではないかというお話がございましたが、確かに、聴覚
障害者については声が聞こえない、あるいは聞き取りにくいという
障害があるわけですから、
健常者と比べまして日本語の習得そのものに困難があるわけでございまして、そのために作文能力についても
健常者に比べて劣るという場合が間々あるわけでございます。
そのために、聾学校の小中学部の在籍者のために、
一般の国語の教科書のほかに、特に言語指導用の教科書を無償で配付をしまして、それを用いて言語力を伸ばすための教育を行いまして作文能力の向上を図っているわけでございます。具体的に申し上げますと、小中学部では養護・
訓練という時間がございます。週二、三時間でございますが、そういう時間を活用して言語能力の向上あるいは作文能力の向上のための指導をしているわけでございますので、さらにこれらの指導を充実してまいりたいと思います。
以上でございます。