○金子(満)委員 計画倒れというのはこういうことなんですよね。責任の所在は明確になっていると思うのです。計画が非科学的であったのか、それとも行政
指導の面に欠陥があったのか、どちらかだと思うのです。両方かもしれません。いずれにしても、達成できないということで、これは一般の
企業なら倒産ですよ、立てた計画が全く進まないんだから。
そういう中で、国際的にも
日本の長時間過密
労働、そしてよく言われるように、過労死まで言葉が国際語になっているというのですが、そういう点で若干私は具体的に
指摘してみたいと思うのです。
これはILOの機関誌で、一九九〇年第二号ですが、全文は、非常に長い、二百ページもあるのですが、その中で「働く時間−新しい勤務態様の政策と実例」というのがあります。この中で
日本に触れたところがあります。それは、
ヨーロッパその他の国々で時間
短縮がこのところずっと進んでいる、しかし、そういう中で
日本はどうか。「
日本の事例は、先進工業
諸国の以上の傾向とは、非常に異なっている。これには、文化的要因が非常に大きく影響しているとはいえ、
日本の長
労働時間と、それが一九七五年以来減少してこなかったという事実は、きわめて重要である。
日本における
労働時間編成の実情は、本報告が取り上げる
諸国の中では、根本的な変化からもっとも遠い位置にある。」というのが
日本だ。これは、ILOが機関誌で
指摘をしている内容であります。
しかも、そういう中で
日本における
日本ILO協会、これは去年の十二月号でありますか、その中でも、ILOの問題で「
労働時間
短縮をめぐる国際的動向」というのがありますが、ILO本部の
労働条件部のマルティーノという方が次のような文章を寄せています。「
日本は、目下、年間総
労働時間を一八〇〇時間に
短縮するためのキャンペーンを進めているが、他の
先進国では、週の
労働時間が問題とされているので、容易に比較できない。
日本の過
労働時間は、今のところ四六時間ないし四四時間ということだが、
ヨーロッパ諸国では、四〇時間を下回っているところが多い。」そして続けて「
日本だけがそこに達しないという特殊な状態にある。」とまで言われております。
さらに、先般これは各
新聞やテレビに報道されましたが、先月三十日に、ドイツでは年間総
労働時間が千五百時間を割って千四百九十九時間になった、このように報道されています。同時に、ドイツでは「
労働組合は過
労働時間を現行の三十五時間から」既に三十五時間になっていますが、「三十五時間から三十時間への
短縮を目指しており、
労働時間の
短縮はさらに進む見通し。」こう書かれています。
これが最近私がピックアップした幾つかの内容なんです。
そこで、これは
労働大臣に聞くのが一番いいと思いますけれども、この俗称
促進法は五年の時限立法なんですよね。だから、入り口はどうであっても出口のところはどういう状態にするのか。目的ですよ。この五年間で千八百時間にはできなかったわけです、また五年延長で十年間です、これは。ドイツはもう千五百時間を割ったという中で、悠長なあれを掲げているような格好になるんだが、それにしても千八百時間にするためには、
週休は二日とは言っているわけですが、
労働時間はどのようにし、そして今度は時間外
労働の上限はどのくらいにするのか。審議会、懇談会、そっちの方へずっとやっておいたのでは行政が何もイニシアチブをとれないわけですから、そういう
意味で、主管
大臣として
労働大臣が少なくとも出口のところではこれこれにしたい、そのようにすれば千八百時間あるいはそれをさらに割り込んでくることになるが、そういうような目標を今
考えているかどうか。もう過去四年間でうまくいかなかったのだから、またできないということになると同じ石にまたつまずくことになるわけですね。その点をひとつ、今
考えていることを目標として数字で挙げていただきたいと思うのです。