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大野(功)
委員 近藤大臣の御
説明を伺いまして、安心すると同時にがっかりしたのであります。安心の方は、これで国際的な
日米間の友好な
関係が保たれる、こういうことでありますけれども、一方がっかりしたのは、
日本の
労働力についてまだいろいろ問題があるな、また、非常に示唆に富むお話でございました。第一に、
購買力平価で
考えると格差が大きくなる。このことはやはり
日本の物価が高いということであります。それからもう一つは、
労働時間で見るとさらに格差が大きくなる。これは
日本の
労働時間がかなり長引いていて、しかも効率の悪い
労働をやっている、つまり、かなりの部分でだらだら働きがあるのではないか。もう一つの問題として、
産業の部門別に見ますと相当ばらつきがある。まさに、
近藤大臣のおっしゃっていたことは
日本経済の根本的な問題点に迫るようなお話でございました。
生活大国への道を着実に歩むためには、やはり問題点である物価の問題、
労働時間の問題、そしてまた住宅、資産格差の問題、いろいろありますけれども、その中で
労働行政がとにかく真剣に取り組んでいかなければいけないのは物価の問題、そしてまた
労働時間の問題等であると思います。どうぞひとつ大いにこれから御検討くださいますようにお願いいたします。
次に、
経済の構造
変化の中での
労働市場の問題であります。
ただいま
日本の
経済というのは大きな変革期にあります。例えばよく言われることでありますけれども、サービス化であります。一九六五年にはGDPのシェアが第三次
産業は五〇%であったものがもはや六四%になっている。サービス化の問題、それから
国際化の問題、ストック化の問題、ハイテク化の問題、そしてまた
労働市場も大きく変わってきております。生産年齢人口に占める五十五歳以上の方々のシェアを見ますと、一九六五年では一八・五%であったのが今二九%になってきています。
高齢者の問題であります。それから、女子の
雇用化率を見てみますと、二三・二%が今もう三五・四%になっている。一説にはもう五〇%になっているのではないか、こういう説もあるわけであります。また、
雇用者に占めるパート比率でありますけれども、パート
労働者、これは一九六五年には六%であったものが今一五・一%、パートが
労働市場を支えている、このように大きく
変化してきているわけであります。
そこで、お尋ねしたいのでありますが、今大変な人手不足の
時代になっている。ところが、一方においては時短という要望が強く出てきております。
労働時間を短くしてもっともっとゆとりの時間で
生活を享受していきたい、エンジョイしていきたい、これは当然の流れでございます。しかし、この二つの流れというのはまさに相反する問題でありまして、経営者から見ればもう猫の手も借りたいような人手不足、一方、働き手の方はなるべく多くの時間をゆとりに充てたい、こういう相反する問題点でございます。このギャップを埋めていくのはやはり
労働大臣のお仕事でございます。今申し上げましたように、
労働市場は大きく
変化しております。一つは
高齢者の問題、一つは女子の
労働力の問題、もう一つはパートの問題、こういう問題が出てきておりますけれども、この三点についてお
考えを伺いたいと思います。
まず、女子
労働力の問題でありますけれども、
育児休業法ができておりますが、これをぜひとも円滑に執行して
実施していってもらいたい。それと同時に、やはり
女性の場合は育児の問題がありますから、例えば会社、工場等において託児所をつくる、そういうことについて政府の救いの手を差し伸べていくべきではないか、この点についてお尋ね申し上げたいと思います。
それから二番目、
高齢者の場合は有効求人倍数で見ますと、普通平均いたしますと一・四か五くらいのところでありますけれども、
高齢者、ここで言う
高齢者とは六十歳から六十四歳までの方でありますが、ちょうど会社を引退して第二の人生に入るにしては少しまだ元気がある、働きたい、こういうような年齢層でございますけれども、この場合は有効求人倍数が〇・一か〇・二にしかすぎない。つまり、十人のお年寄りの方が働きたいと言っていながら実際に雇ってもらえるのは一人か二人にすぎない、こういう状態であります。もっともっとこの
高齢者の
雇用、
労働力を活用していく必要があるのじゃないか。それについてどのような解決策があるのか。具体的にこれまで
シルバー人材センターがありましたが、実際活用されているのかどうか。そしてまたシルバーワークプラザという構想もありますけれども、今後どのように活用されていくのか。
第三点はパートタイムの問題であります。パートタイム求人倍数は四・〇。パートで人を雇うというのはもう大変難しい
状況になってきているわけでありますけれども、まさに女子
労働力を引き出すことと相関連してこのパート
労働力を引き出していくことが今後の大きな問題ではないか、このように思っているところであります。
今、パート減税につきましては百万円が限度となっておりまして、きのうも本
会議で御質問が出ていたようでございますけれども、百万円という限度でありますとやはりどうしても二つの問題があるのじゃないか。一つは、百万円まで働いて、後それ以上働きますと御主人の月給にも影響してきますから、もうそこでやめてしまう、せっかくの
労働力がそこで活用できなくなってしまう、このような問題点があると思います。もう一つは、他人の名義を利用して、働いているんだけれども働いていない方の名義を利用して、そして税金逃れをしている、このような問題点が出てくるわけでありまして、どうしたってこれは
経済の実態にそぐってお刀ません。もっともっとこのパート減税の限度額を引き上げていかなければいけない。きのう総理のお答えでは課税の公平の
観点からそれは今できない、こういうお話でありましたけれども、しからば、給与所得控除あるいは基礎控除等を引き上げてその辺もうまくやっていく。そうしないと、これはもう
日本の
経済がもちません。
労働力をもっともっと引き出していくためには、
女性の
労働力、パートタイムの
労働力を引き出していくためには、このようなパート減税の限度額を例えば百五十万円くらいにまで引き上げてもらいたい。この点についてぜひ
大臣の御所見を伺いたいと思います。