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秋葉分科員 大変前向きな、しかも格調高いお答えをいただきまして、ありがとうございました。
実はそこで、例えばその
審議会でも結構ですけれども、次のようなことができないのか。
それは、私は
経済企画庁というのはいわば行政の中の、少なくとも経済の分野についてはブレーンが集まっているお役所だと思っております。その
経済企画庁が中心になって、例えば今の
環境の問題ですけれども、南と北との間の調整を行うために、例えば現在一番大きな問題の
一つである温暖化ということを
考えますと、大体
三つぐらいの基本的な選択肢があります。
一つは、大体現状維持、それで少し調整を行って、先進国と言われている北側の国々のエネルギーの使用量を例えば一九九〇年程度に抑える、あるいはそれよりもうちょっと少な目にして、現状維持に近い形で調整を行うというような、それが
一つの
方向だと思います。それからもう
一つの
方向は、これは全く逆に、
人間一人当たりのエネルギー使用量を決めて、その上で、幾らかの調整はあるにしても全体的に地球でのエネルギーの使用量を決めていくというのがございます。それからもう
一つの
考え方というのは、これは排出される例えば炭酸ガス、CO2一トンについて幾らといった、例えば百五十ドルというような数字が挙がっていますけれども、そういった排出量に従って税金のようなものを取って、それに従って調整を行っていく。大体大きく分けてこの
三つぐらいの案が有力なものとして出てきているわけですけれども、そのいずにも問題があるということは御存じだと思います。
ところが、非常に残念なことに、こういった問題について何らかの妥協を図らなくてはいけない、妥協案もこういった幾つかの提案に関連して出されていますけれども、現在
日本の
国内で、これは私たち自身の問題であると同時に地球全体の問題であり、二十一世紀の人類全体にかかわる非常に大きな問題なのですが、経済大国となり、世界的な貢献をしたいというふうに
考えている
日本国民の間で、これほど大事な問題についての議論がほとんど行われていない、これは私は非常に大きな問題だと思います。
その理由の
一つが、具体的に、例えばこういう選択を行ったときに、じゃ世界の経済はどうなるんだ、あるいは
日本の経済はどういうふうになるんだ、確かに生活程度は落ちますよ、でもそれはこのくらいで抑えられるのですとか、生活程度は落ちるけれども、でも農村の方はもっともっと元気になってきますよとか、そういったある
意味での経済的な現実性のある、ある程度具体性のある経済的なモデルといいますか予測というものが全然提出されていない。
環境問題については民間のグループ、草の根グループ、市民グループが非常に大きな役割を果たしていることは事実なんですけれども、そういったところではとてもこういった大規模な経済予測を行うだけの力はない。それだけのデータを持っていない、ということを
考えますと、
経済企画庁が経済的な面というところから、この大きな人類的な問題について、その
政策を提示する必要はないと思いますけれども、現在提出されている幾つかの有力な案について、これをとると経済的にはどういうことが起こるんですよ、そういった予測を行って
日本国民の間に大議論を巻き起こす、そのためのデータを提供する、それは、私はPKOどころかそれ以上の世界的な貢献になるのではないか。
その結果、私たちが、それこそ医学の分野ではインフォームド・コンセントということが言われますが、私たちがきちんとした知識を持った上で議論を行って、じゃその中で
日本としてはどういう選択肢をとり、私たちはどういうふうにそういうところに協力していこうかという
政策面での議論が与党と野党の間でできるというような形で貢献できればすばらしいことじゃないかと思うのです。
経済企画庁としては、例えば六月までには間に合わないかもしれませんけれども、大まかなものであれば、企画庁の英知をもってすればこんなことはもう一週間でできてしまうかもしれない。その辺はよくわかりませんが、何らかの形でそういった面で予測モデルをつくるなり、あるいは既存のモデルを応用するような形で何らかのデータというものを示していただくわけにはいかないのでしょうか。あるいはもう既にやっていらっしゃるかもしれません。やっていらっしゃるのでしたら、ぜひそれを御教示いただきたいと思います。