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薮仲分科員 運輸省は。——来てない。では、いいです。運輸省が来てないようですから、次の問題に移ります。
歯科の問題についてお伺いしたいのですが、余りもう時間がございませんので、これは
指摘に終わるかもしれませんが、
大臣に聞いておいていただきたいと思います。
厚生省、来ていますね。今度は大丈夫ですね。
私は、この歯科の問題は十年間ずっと
厚生省と論議を続けて、まだこれからエンドレスでやるわけでございますけれども、なぜやっておるかといいますと、この歯科の問題というのは、高齢
時代を迎えて非常に重要でございます。特に、先日もテレビでやったようでございますが、私は十年前からお年寄りの入れ歯、総義歯の不採算、歯科材料の安全性、あるいはまた歯科のレベルといいますか実技の問題等をいろいろと論議を重ねてまいりました。私は素人でございましたので、東京歯科
大学、東京医科歯科
大学、名古屋の愛知学院
大学へと足を運びまして、各教授の教えを請うてまいりました。
きょうはそういうことを踏まえて、
大臣に何点か御質問をしたいわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、先日もテレビでやっておりました。あのテレビを見た途端に、私のところに全国のいろいろな方から、
大学の
先生や臨床の
先生あるいは普通の患者さんに当たる方からもお電話がございました。
どんな意見があったかというと、国家試験から
日本は実技がなくなったそうですね、今の若い
先生は歯を入れられるのですか、歯の治療は大丈夫ですかというような質問もございました。これから若い
先生は入れ歯をつくれるんですねというあのテレビを見た疑問もございました。特に驚いたなというのは、老人ホームでお年寄りが食事をするときに入れ歯を外して食事をした。本当は食事をするのに歯を入れて食べるのに歯を外した。歯医者さんの技術があんなに落ちたんですかという声もございました。あるいは、あのテレビで報道された一千万のうち半分はくあいが悪い。半分悪いということは、二人に一人は入れ歯がいつも痛いのですね。これで大丈夫なんでしょうかという質問もございました。
また、愛知学院
大学が映っておりました。私もあの平沼
先生をよく存じ上げておりますけれども、あの
大学だけは卒業の実技試験をやっておりますが、ちょうどあの
大学のいわゆる実技試験の様子が出ておりました。やはりあれを見て、見学だけではだめですね。ちょうど先ほども運転のお話が
大臣からございましたけれども、運転免許をペーパーだけで取って実技なしで車を運転するのと同じですね、とっても怖いことです、こういう
指摘等々がございました。
きょうは時間がなくて残念ですが、ちょっと、
文部省が今日までこの問題についていろいろ
研究していらっしゃることを通じて、
大臣の御意見を伺って終わりたいと思うのです。
文部省もこの問題は非常に重要視していらっしゃると思うのです。東京医科歯科の
先生を中心にしまして「歯学
教育の改善に関する調査
研究協力者会議長終まとめ」というのが、これは
文部省でおやりになっている。これは御
承知だと思うのです。この中に何点か非常に重要な
指摘がございます。ちょっと読み上げてみたいと思います。「臨床実習の充実 歯学
教育の特質は、臨床実習を重視し、これが体系的に組み込まれているところにあると言える。臨床実習は、
講義で得た知識と技術を、
指導者の下で体験を通して身につけることのみならず、将来歯科医療に携わる者として不可欠な「態度」を体得し、倫理観を確立し、患者とのコミュニケーション技術を習得するために特に重要である。」また「一部の歯科
大学(歯学部)では臨床実習のほとんどが見学あるいは介助という状況となっている。これに対し、各
大学においては、できるだけ学生が自ら実際に患者に手を触れる実技の機会を増加し、卒業までに経験すべき各技法の種類と回数を明確に定める」べきであるという
指摘があります。
また次の
指摘には、国家試験のところが出ております。これは非常に大事だと思うのです。この小椋
先生はアメリカヘ行かれ、歯科の国家試験について述べていらっしゃるのですが、「ある国の試験の内容がその国の年前
教育水準を示す指標の
一つであると判断しても大きな誤りはない。
一般に西欧先進諸国の免許試験における評価水準は、相当高いところに置かれており、特に基礎歯学と臨床の実地試験において相違があると言える。このようなことから見れば、我が国の歯学
教育の水準はかなり向上してきているものの、今後、さらに改善の余地がある」、いわゆる実技が重要だという点でございます。もう
一つ、「歯科医師国家試験の在り方については、
大学の歯学
教育に大きな影響を及ぼしていることから、関係者の間にさまざまな意見がある。臨床能力の評価を行う実地試験がないことや、基礎歯学に関する問題が独自に出題されていないために、教員や学生の関心がどうしても偏ったものになりがちである」。
それから、これは毎日新聞の鶴見
大学の問題でございますが、そのことはおいておいて、この中で
一つの
指摘があります。「歯科医師国家試験が筆記テストだけであることも、こういう風潮をあおっているのではないか。手間はかかるが、面接や実技テストの導入も
検討すべきだろう。」こうあります。
それから、これは小椋教授がアメリカヘ行ったレポートです。この中で大事なことがあります。アメリカでは「筆答式試験で全国統一の試験と各州別またはいくつかの特定地方が集合して行う、臨床実技試験を主体とする」心最初の二種類しかないですね。最初の試験に合格すれば認定書は出します。しかし、後の州の試験に合格しなければ免許証は出しません。免許証がないとその人は開業医になれないのですね。こういう二段構えです。しかも、
先生は、最後のところでこういう
指摘があるのです。「
日本と比べた場合、まさにこの試験
制度は米国の独壇場である。またその試験の内容もかなり高度なものであって、年前
教育期間における彼の高密度な臨床実習を経なければ合格することは不可能であろう。」「米国の歯科医師免許は相当な臨床実技の力がないと取得できないという事実である。」こういう
指摘であります。
この間のテレビでやったのは、ドイツのチューリンゲン
大学のあれですね。あそこは五カ年制の
大学ですが、あそこでは必ず卒業するまでに年間四人の患者を
自分で診る。しかも一年に一個は総義歯をつくる。卒業の実技試験もある。
このことを国会で言うと言ったら、テレビに出ておった平沼
先生が私にファクスをくださいました。そこに、いわゆるこれから実技試験といいますか、卒業実技をやっている
大学ですけれども、実技試験をやると、「残念なことですが、学生の実地臨床
教育の心構えが大きく変わる」。実技の試験があるかないかで全然変わるのです。「インフォームドコンセントと云うことが強調されていますが、実際に患者さんと対応する能力をつけること」が重要であります。習ったことを実際に患者の口の中でやってみないと学んだことが身につきません。基本的技術の修得、レベルの均一化に非常に重要です等々ございましたけれども、私は、
文部省のテリトリーはいわゆるカリキュラムと卒業実技試験をやるかやらないか、国家試験は
厚生省のテリトリーになってまいりますが、きょうは
文部省と
厚生省の御意見をごく簡単に、もう時間がありませんから、聞いて終わりたいと思います。