○
小森分科員 総務庁長官、同
対審答申には、寝た子を起こすなという考え方ではだめだと言っているのです。だから、それを受けて地方自治体に、民間運動団体ももちろんだけれ
ども、
部落解放同盟はもちろんだけれ
ども、例えば学校の
先生の組合とか自治体
職員の組合とか、ずっと一緒になって掘り起こしたわけです。それから、県の
教育委員会なんかも掘り起こして、本当によくやってもらったと思うのですよ。私らが幾ら
部落の出身だといっても、もう五里か七里離れたら面識がないわけです。
ところが、
行政機関だと、
教育事務所単位だったら大体わかるわけです。
小森さん、広島県でいうと神石郡のあの筋とどことどこを私は渡りをつけておるから、一度運動家として入ってみてくれないか、こういうような話があって入って、そして、我々は今まで
差別を受けたためによい
教育を受けられなかった。今の時期は、
差別を受けていたのだからこそ、ここでひとつよい
教育を受けるように歯をくいしばって我慢しようじゃないかといって、寝た子を起こすなの
地域を説得して、別れるときには手を握って涙を流して別れたわけです。本当に字も書けないような
状況であったのが、子供にはかっちりしようということで立ち上がったわけです。しかし、たまたまそういう活動家を得た場所はできるけれ
ども、活動家を得ない場所、あるいは
行政のそれだけの熱意のあるところはいいけれ
どもないところはできないのです。できないから残ってよいということではないのだから。
審議官の言うのを聞いたら、いや法律で決まってから私らはやったのですから。物事は法律から始まるのじゃないのですよ。
同和対策審議会の答申には、同和問題は人間の自由と平等に関する市民的原理の問題であり、人類普遍の原理だと書いてあるでしょう。その人類普遍の原理の欠陥を今議論しておるのに、法から始まっちゃだめじゃないの。それが日本の
部落問題をごまかし続行できておる最後の逃げ場のよりどころなのです。少しは
反省しなさいよ。
何ですか、同
対審答申ができてから法律をつくることだって四年間渋ったじゃないの。そして、十年の法律をつくって前期五カ年、後期五カ年としたけれ
ども、前期後期の本当の総括できなかったじゃないか、
政府はしてないじゃないか。そして、我々がさらに延長と言ったら三年に値切ったじゃないか、三年に値切ってできぬからまた五年の地特法をつくったじゃないか。これにて最後ですと言うたじゃないか。最後にならずに地対財特法になったじゃないか。その地対財特法もこれにて最後だと言ったじゃないか。最後にならなかったじゃないか。もし運動がぼうっとしておったら、とうの昔に君らにごまかされておるわ。恥を全世界にさらすのはいいかげんにやめなさいよ。
日米構造協議の問題でも、アメリカがもう少し日本の
部落問題を知っといてみなさい、これが日本の経済の組み立てのアンフェアな
発生源だということを言い出しますよ。この間もアメリカの何とか放送へ私がインタビューをしたのが出た、全米放送されたのです。そのとき私は経済構造協議のことを言わなかったのです。今、日本とアメリカの
関係は悪くなっているから、余り刺激しちゃいけないと思って。少しは物を考えて言いなさいよ。とにかく、千
部落が残っておったら解決せぬのだから、ありがとうとも何とも思わぬよ、君らが提案した法律は。ごまかしたと思うよ。いいかげんにせにゃいけませんよ。
総務庁長官、今与野党協議をいろいろしていますので、その形を見きわめなければならぬと私は思っておるのです。もうあの法律は出ておるのだから、出たということは、それはもうそのまま事実を認めなきゃならぬから。しかし、それをフォローしてやってどうやってよいものにするかということで、与野党の協議が今行われておるので、それを見きわめなきゃならぬと思うのです。
しかし、私は閣僚たる
大臣に言っておきたいのですけれ
ども、
地域改善対策協議会が、これはどうしても法律が続いて必要だということはもう七月、八月段階で腹を決めておる。腹を決めておるから、来年度予算は組んでおいてくれ、こういう会長談話なるものを出したのです。政治的洞察力のある者は、あそこで何らかの形で法律を継続しなきゃいかぬと地対協は思っておるなと、これはだれにでもわかることなのです。そして、もう十月ごろの段階では、地対協は法律が必要だということを腹決めしておるわけです。
ところが、十一月の何日でしたか、社会党の田邊
委員長の質問に対して宮澤総理にどういう答弁をさせたのですか。最後まで、総理
大臣を使ってでも起死回生の策、というのは
小山審議官などの言う起死回生の策ですよ、どうやってこの法律めいだろうか、めぐというのはわりますか、広島弁でよくわからないかもわからぬが、壊す、どうやって壊してやろうか、どうやってブレーキかけてやろうか。総理
大臣はわからぬものだからピエロになって、今
一般行政への円滑な移行ということで法律の延長は考えておりません、そういう答弁に終始一貫したでしょう。
事情を知っておる人は、同僚の代議士は私に言いますよ、あれはどうなったの
小森君、大体の
状況を君から聞いておったがどうなったのか、総理
大臣はああ言っておるが。こう言うから、私は、総理
大臣がわかっておらぬのだ、官僚が、総理
大臣がわかっておらないのをいいチャンスにあんな文章を読ませている、こういうふうになっておるのですよ。きょう私は具体的な問題で
一つ一つ詰めないのは、与野党協議に私は期待しておるのです。
だから、所管庁の
大臣として経過というものを踏まえてもらいたいと思うのです。これでは総理
大臣がピエロじゃないですか。広島県出身ですよ。広島県の財界も、中国電力とか広島銀行とかマツダとか、常務、専務クラスが来て、やってくださいといって総理
大臣に頼んでいますよ。社会党の広島県選出の国会議員も、総理
大臣にやってくださいと頼んでおるよ。総理
大臣の価値がないじゃないの、総理
大臣が読み上げたことと事実が全然違うといったら。今度私が個人的に会ったら言おうと思うのです、総理
大臣、あなた官僚にだまされちゃだめぜと。実に一国の総理
大臣をお粗末に扱うといってもほどがあるよ、
審議官。考えてくださいよ、あなたは。根性玉をかえなさい、根性玉を。
部落差別を解決して何を損をすることがあるのか。そんなに
差別が残したいか。
この間、衆議院法務
委員会である社会党の代議士が言いましたよ、法律がどうしてこんなに小刻みなんですかな、意地悪しているのじゃないのですかと。ほう、なかなかうまい言葉を使うたなと私は思った。
総務庁長官、どうしてもこれは我々だけがよくなったのではいかぬのよ。組織されたところだけよくなったのではいかぬのよ。というのは、組織されないところもというよりは、むしろもうおくれているのだから、組織されないところこそよくして全体のレベルが合う。そして日本の社会の中で、まだいろいろほかにも問題もありますけれ
ども、
部落差別のごとき無権利、低賃金労働者の供給源がある限り、我が国社会の二重構造はなくなりません。我が国社会の二重構造がなくならなければアメリカとの経済摩擦はいつもぎくしゃくします。
それは、日本は技術がすぐれておって、一生懸命働いてアメリカよりも優位な
状況になるということは、アメリカがそんなことをいちゃもんつけてはいけませんよ。それは逆にこっちが説得しなければならぬけれ
ども、日本社会の中にアンフェアなことがあってアメリカが文句を言うときには、それは我々は直さなければいかぬでしょう。私はきのう通商産業
大臣にそれを説いたのです。
総務庁の役人
どもの悪だくみということを、政治家サイドでもう少し見抜いてもらわなければいかぬのであります。
ひどいのは、
大臣御承知かどうか知らぬけれ
ども、これは
啓発センター何とかせいと言っておるでしょう、地対協の
意見具申で。民間運動団体と協力できるようにせいと言っておるでしょう。これはもう
差別はなくなった、
差別の法律は要らぬのだ、もう何もやらぬでもいいんだということを言うような、そういう宣伝機関をつくろうと思って
啓発センターをつくったのです。我々の反対に遭って、大蔵省から出た金だけで運営しておる。ほかのところは余り金出さぬ。それでもう立ち枯れみたいになっておる。それを地対協が知っておるから、民間運動団体と協力しなければ地方自治体も経済界も協力しないよ、だから何とかしなさい、こう言っているのですね。ところが、その
啓発センターの「翔べ熱気球」という子供らに配って読ます漫画の本の中に、日本には
部落差別はもうないと書いてある。ないのにどうして
同和対策をやらにゃいかぬのか。ないと言ってそう思わせて
同和対策をぶち切ろう、こういう考え方なんですね。これは後ほどまた機会を改めて言いますけれ
ども、事ほどさように、悪巧みが込み入っているんですよ。
それで、これは
法務省の一部官僚と組んでおる。きのう、私は渡辺外務
大臣に言うた。人種
差別撤廃条約の問題を議論しようと言うたら、あそこに
法務省がおるからあれに言えといって、外務
大臣のあの人の人柄じゃろうが、あごでこうやってやるからね、それは、あんたがやりよるのはあれに言えということじゃろうと思うけれ
どもね、いけぬのじゃ。外務省国連
局長は、人種
差別撤廃条約を外務省としてはやりたいのです、この前の中山外務
大臣も、やりたいのですと言うた。ことしはだれが邪魔しよるかということを追及せにゃいかぬ思って私が上手に追及したら、
法務省が反対しよると。
法務省が反対するのは、人種
差別撤廃条約では
差別を
規制しなさいとなっておる、
差別を
規制したら
部落解放運動が勢いを得てくる、それでは困る。それで相談しよるわけ、
総務庁と。
総務庁の方は
部落問題を必死に抑える、こっちは人種
差別撤廃条約を必死に抑える。そんなことに政権担当の自民党が、そしてその自民党がつくった
内閣が、えどかされたらだめよ。はっきり申し上げておきますけれ
ども。
私らは、確かに徳川封建幕府以来抑圧されてきた。だから問題を解決したい。しかし、問題を解決したいが、個々人、能力のある者は、うまく
自分だけ一生涯何とか生きていく道ぐらいは探す力を持っておるんですよ。助けてくれというのじゃないんですよ。要するに、みんなと一緒によくなろう、しかし、そのみんなと一緒によくなろうという気
持ちは、日本という国が、ひいてはアジア全域が、世界の人類が、全体円満に平等にやっていくような道を探そう、こういうことでやっているんですよ。それを偉そうに、
部落の者のためにやっとるんだという気
持ちがあるから、何とかして抑えよう、何とかして抑えようと。
はっきり言っておきますが、ほかの省庁、みんな困っていますよ。あなた方の
対応で困っていますよ。怪
文書みたいなものを途中で流して。去年の七月だった。もう法律の延長はないからそのつもりでというような意味の
文書を流した。
総務庁へ間いに行ったら、いや、これはうちからは出ておりませんと。どこから出るんですか。何遍も何遍も、
一般行政への円滑な移行ということで法を打ち切るという作戦を、四月、五月、六月と立てて、どうしてもいけぬものじゃから怪
文書を流した。
啓発センターをつくるときも怪
文書を流した。自治体から何ぼお金を取る、財界から何ぼお金を取るという怪
文書を流した。これはだれが出したんだと聞いたら、いや、うちからは出ておりませんと。俗に言う、味をきいてみるわけ。前近代的な、まことにいびつな
行政が行われておるのです。
そこで、私、ちょっと一方的にしゃべったことになりますが、太政官布告が一八七一年に出ている、今から百二十一年前に出ておるでしょう。その当時の奈良県葛上部柏原枝郷
岩崎村の阪本清五郎に、隣村の庄屋が使いをよこし、お上の都合で五万日の日延べになったと言うたんです。五万日日延べは、御承知のとおり百三十七年と百何十日か、二百日かぐらいでしょう。今は太政官布告が出て百二十一年、もう十六年ある。庄屋がつくりごとを言うたことが、日本の
行政施策がまずいために、あれとほぼ同じ形になっているんですよ。この調子でいったら、庄屋が五万日日延べと言うたが、今の
総務庁の態度だったらもう一方日日延べになりますわ。問題解決つきませんよ。
いろいろ苦情宣言うたようですけれ
ども、閣僚として
総務庁長官、あなたの部下を信頼されることも、もちろんそうしなければ仕事ができないと思うけれ
ども、粗筋はでたらめばかりやっていますよ。これはまたじっくり
長官に会って私は話したいと思います。
きょうは、これで終わります。