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○
池田(行)
委員 第一分科会における審査の経過を御報告いたします。
本分科会は、去る三月十一日、十二日の二日間にわたり審査を行いました。
質疑応答の詳細は
会議録に譲ることとし、ここでは質疑事項のうち主なものを申し上げます。
国会、裁判所、会計検査院及び人事院関係では、国会におけるOA化の推進、国会職員の労働条件の改善、国選弁護人制度の充実、会計検査の指摘事項の事後点検、上級職国家公務員採用時の公平性の確保等について、
総理本府、
公正取引委員会、警察庁、総務庁及び科学技術庁関係では、軍人恩給欠格者の処遇対策、労働時間の短縮と
公正取引委員会の取り組み、交通安全教育の体系的見直し、同和対策の推進、原子炉安全審査基準の見直しの必要性等について、
防衛庁関係では、国際情勢の変化に対応した防衛政策のあり方、中期防衛力整備計画の見直しと防衛費の削減、自衛隊及び米軍基地周辺の安全対策、次期支援戦闘機の日米共同開発の問題点、掃海艇の装備の充実等について質疑がありました。
以上、御報告申し上げます。
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○
志賀(節)
委員 第二分科会における審査の経過を御報告いたします。
本分科会におきましても、三月十一日、十二日の両日審査を行いました。
質疑応答の詳細につきましては
会議録に譲ることとし、ここでは質疑事項のうち主なものについて申し上げます。
まず、法務省関係では、出入国管理のあり方と不法残留外国人対策、日米構造協議における外国法事務弁護士問題、死刑制度の廃止、人権擁護機関の充実・強化と人権侵犯への取り組み、借地借家法の施行と借家契約の更改、法務局・入国管理官署等職員の増員と登記手続等の合理化等であります。
次に、外務省関係では、ガット・ウルグアイ・ラウンドにおける農業交渉見通し、在日米軍基地の整備・縮小、NGO活動の支援強化、JICA・青年海外協力隊員等在外邦人の安全対策、邦人保護業務の拡充と在外公館のあり方、旅券の有効期限の延長、尖閣諸島領有権問題、中国三江平原の農業開発支援、シベリア抑留者に対する補償問題、北方領土返還に伴うロシア住民の取り扱い、国連カンボジア暫定機構等PKOへの我が国の協力体制、人種差別撤廃条約の早期批准、戦後補償十三法における「国籍条項」の撤廃等であり、
大蔵省関係では、エイズ対策・科学技術研究予算の拡充、ODA予算の執行についての調査システムの確立、申告納税者に対する税務調査のあり方、みなし法人課税制度の廃止、カード破産等消費者信用対策、未成年者の喫煙問題とたばこ販売のあり方、自賠責保険における累積黒字・運用益の還元等でありました。
以上、御報告申し上げます。
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○
越智(通)
委員 第三分科会における審査の経過を御報告申し上げます。
本分科会におきましても、三月十一日、十二日の両日審査を行いました。
質疑内容の詳細は
会議録に譲ることとし、ここでは質疑事項のうち主なものを申し上げます。
まず、自治省関係では、政令指定都市の位置づけ、原子力防災のあり方、警察・消防の役割と態勢の充実強化、
平成四年度予算と地方財政との関係、資源リサイクルのあり方、地方公務員の育児休業制度、自治体の貸借対照表・損益計算書の作成の必要性等であります。
次に、文部省関係では、障害者の就学及び進学のあり方、看護婦養成に対する文部省の取り組み方、文化財保護のあり方、同和教育の推進、小・中学校の過大規模校対策、教職員の処遇改善策、学校週五日制導入に伴う地域の対応策、養護教諭の配置改善、禁煙教育、国立大学の研究環境の改善、生涯教育の推進、小児成人病対策、歴史教科書のあり方、学習障害児対策、学校での健康診断の見直し、歯学部における実技指導のあり方、基礎研究の充実、宗教法人のあり方、ホームステイをめぐるトラブル対策等であります。
以上、御報告申し上げます。
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○戸井田
委員 第四分科会における審査の経過を御報告いたします。
本分科会におきましても、去る三月十一日及び十二日の両日審査を行いました。
その質疑内容の詳細につきましては
会議録に譲ることとし、ここでは質疑事項のうち主なものについて申し上げます。
まず、厚生省関係では、看護婦及び薬剤師確保対策、国立病院・療養所の再編成、医療費の保険外負担、歯科医療の保険適用問題、歯科医師及び歯科技工士の養成、身体障害者対策の推進、精神障害者の社会復帰対策、精神薄弱者高齢化対策、エイズ検査及び医療体制の整備、脳死と臓器移植、「同齢者保健福祉推進十か年戦略」の具体的取り組み、老人保健施設入所者対策、寝たきり老人対策、公的年金制度の充実と改善、社会保険診療報酬の改定、政府管掌健康保険の国庫補助率の引き下げ、外国人に対する医療保険制度、緊急医療体制の整備、食品の残留農薬基準、水道の水質基準、廃棄物処理問題、生活福祉資金貸付制度、中国残留日本人孤児問題などであります。
次に、労働省関係では、同和関係住民の雇用対策、指定自動車教習所における労働問題、林業労働者の確保対策、振動病に対する労災補償、単身赴任者対策、労働時間の短縮などであります。
以上、御報告申し上げます。
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○柳沢
委員 第五分科会における審査の経過について御報告申し上げます。
本分科会におきましても、三月十一日、十二日の二日間、審査を行いました。
質疑内容は広範多岐にわたりましたので、その詳細は
会議録に譲り、ここでは主な質疑事項についてのみ申し上げます。
まず、農林水産省関係では、
農業関係において、我が国農業の現状と「魅力ある農業」確立のための方策、農政の抜本的見直しとその方向性、農業の後継者対策、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業交渉の見通しと我が国の対応、米の関税化と食糧管理法との関係、食糧自給率向上のための施策、広域農道の整備促進の必要性、サトウキビ生産の振興策、酪農経営の安定化策、加工原料乳保証価格の算定方針など、
林業関係においては、林業の振興及び後継者対策、林道の整備促進の必要性、台風被害林の復旧対策、木材の価格安定化策、国有林野事業の累積債務対策など、
水産業関係においては、尖閣諸島周辺水域における安全操業の確保、大西洋のクロマグロ資源の将来予測と漁獲規制についての見通し、日ロサケ・マス漁業交渉への対応、漁業共同組合の経営基盤強化及び合併促進の必要性などでありました。
次に、環境庁関係では、
地球サミットに臨む我が国の基本的態度、環境庁の環境省への格上げによる機能強化の必要性、リゾート開発の現状と自然保護対策、水俣病問題の早期解決への取り組み、東京湾等の水質保全対策、トリクロロエチレンによる水質汚染防止対策、長良川河口堰建設に係る追加的環境調査の調査結果、杉・ヒノキ花粉症対策、空き缶・空き瓶の再生利用と処分のあり方などでありました。
以上、御報告申し上げます。
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○
小澤(潔)
委員 第六分科会における審査の経過を御報告申し上げます。
本分科会におきましても、三月十一日、十二日の両日審査を行いました。
質疑応答の詳細につきましては
会議録に譲ることとし、ここでは質疑事項のうち主なものについて申し上げます。
まず、通商産業省関係では、美浜発電所二号機事故等と原子力発電の安全確保対策、太陽電池等新エネルギーの開発促進、都市ガスの安全対策、家電製品の省資源・省エネルギー化、フロンガス使用削減に向けてのスケジュール、空き缶並びに鉄くず等資源のリサイクル対策、旧ソ連支援についての通産省の取り組み方針、アクションプランにおける自動車部品等輸入努力目標、東京一極集中の是正と多極分散型地方拠点都市地域整備の考え方、産炭地域振興対策、靴下製造業産地対策、織機設備登録制度廃止後の中小繊維産業対策、生糸の一元輸入制度と絹繊維産業対策、経済の二重構造と部落差別の関連性、皮革産業の育成・振興についての基本的考え方、貿易研修センターの移転問題、訪問販売化粧品の委託販売についての改善指導、商工中金の貸付業務及び人事考課の現状、特許制度の国際的調和の現状と見通し等であります。
次に、経済企画庁関係では、購買力平価統計の必要性、タクシー運賃値上げ申請についての対応、クレジットの多重債務者の実態、環境問題と経済成長との関係、PL法立法化の検討状況、マルチ商法等悪質商法の実態と消費者啓発の必要性、高齢化社会等に対応した消費者保護行政のあり方等でありました。
以上、御報告申し上げます。
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○
左藤委員 第七分科会における審査の経過について御報告申し上げます。
本分科会も各分科会同様、三月十一日、十二日の両日審査を行いました。
審査の内容につきましては
会議録に譲ることとし、ここでは質疑事項のうち主なものについて申し上げます。
まず、運輸省関係では、整備新幹線の建設促進、新幹線の安全対策、国鉄清算事業団の長期債務償還計画、JR株の売却の見通し、私鉄の複々線化及び立体化の進捗状況、都営地下鉄十二号線の延伸計画の早期実現、首都圏における在来線の混雑緩和策、身体障害者に対する駅舎等の改善、地方路線バス事業の活性化、空港への交通アクセスの整備促進、車検制度の見直し、自賠責保険における運用益の支出のあり方、東京国際空港沖合展開事業の進捗状況、関西国際空港の整備状況、地方空港の整備促進、首都圏第三空港構想などであります。
次に、郵政省関係では、NTTの料全体系のあり方、切手発行政策、同和問題に対する取り組みなどであります。
以上、御報告申し上げます。
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○粟屋
委員 第八分科会における審査の経過について御報告申し上げます。
本分科会においても各分科会同様、三月十一日、十二日の両日審査を行いました。
質疑の詳細は
会議録に譲ることとし、ここでは質疑事項のうち主なものについて申し上げます。
まず、建設省関係では、第十次道路整備五カ年計画の達成見通し、高規格幹線道路及び地域高規格幹線道路の整備、一般国道の拡幅及びバイパスの整備、主要地方道の整備及び国道昇格、立体交差事業の推進、本州四国連絡道路の建設促進及び利用料金の適正化、河川改修のあり方、都市河川の水害対策、湖沼等の水資源利用への取り組み、海岸の侵食対策、「ふるさとの川モデル事業」等の推進、長良川河口堰の建設問題、公団住宅の建てかえ及び家賃の適正化問題、景観保全のための建築基準法の見直し、公園の保全等住環境の整備、都市計画法に基づく開発のあり方、建設業における労働時間短縮、入札制度の改善、中小建設業者の保護、地域改善対策事業のあり方、ゴルフ場の開発問題などであります。
次に、国土庁関係では、地方拠点都市地域の整備等地方振興対策、第二国土軸構想の推進、離島振興対策、リゾート開発の現状などであります。
以上、御報告申し上げます。
-
-
-
○
水田委員 動燃事業団の人形峠事業所に関する質問の保留分について質問させていただきます。
昭和五十五年の九月の四日に動燃事業団と県の間で回収ウランの転換についての実験を行うということで了解が得られておる、こういうことを御説明があったわけでありますが、これは文書による回答があったのかどうか、確認を求めたわけであります。調査された結果、これがあったのかどうなのか、どういう形の了解がとられておったのか、お答えいただきたいと思います。
-
○石渡参考人 お答え申し上げます。
去る三月十日当
委員会におきましての先生の御質問に対して十分な御返答ができませんでした。まず、おわび申し上げます。
その後、回収ウラン転換小規模試験の実施に関しましての岡山県御当局とのやりとりについて動燃事業団内で関係資料を鋭意捜しましたが、転換小規模試験の内容等に関する説明資料は存在いたしましたものの、本件に関する岡山県御当局からの了承したとの回答書は見つけることができませんでした。また、当時の関係者の記憶も確かめました結果、昭和五十五年九月四日の了解は口頭によるものと判断している次第でございます。
-
○
水田委員 一般質問の中でも申し上げたように、天然ウランと回収ウランでは含まれておる核種が全然違うわけですから、そういう点では、量が少ない小実験ということで、これは安易な扱いをしたということは私は問題だろうと思います。昭和六十二年の協定にも、詳しく、回収ウランの中に含まれるものについてどういう環境基準を守るかということについての文書による確認はされていないようであります。
こういうような重要な問題が今日まできちっとした詰めができずにやられてきたということが、大変県民が事業団の仕事に対して不信を持つことになるわけでございます。今後の取り組みについて、事業団としてはそういった問題についてどのように取り組まれるか、お答えいただきたいと思います。
-
○石渡参考人 お答え申し上げます。
この試験の実施に当たりましては、当然のことではございますが、安全を第一に実施してまいったところでございます。
そして、先生御指摘のように、小規模試験の申請について岡山県御当局との間の了解の取りつけ、さらにはそれが文書によっていなかったというようなことに起因いたしまして、県民の方々に不信感、さらには御不安を与えたということについては甚だ遺憾と考えております。今後このようなことがないよう、みずから戒め、誠意を持って慎重に対処いたしたいと考えております。
-
○
水田委員 前回の質問でも申し上げたように、回収ウランの転換について、六弗化ウランというのがいわゆる劇物毒物に指定されておるにもかかわらず、その取り扱いの許可を受けずにやっておった、こういうことが指摘されて、ことしの二月に手続が完了した、こういうことであります。そして、一番最初のときは全く文書にもしない口頭の約束、扱う品物はそれほど危険なものであるにもかかわらず、手続もしてなかった、これはずさんということでは済まないと思うのですね。
そして今、実用化の試験をやろうということで協議をしておるわけですが、こういう経過があるだけに、県民が不安を持って、今百九十万の中百万の署名を集めようということで、反対の運動さえ起こっておるわけです。そういう状況を認識いただいて、県との話、また県民が理解できる状況がない限り、今までの反省があるならこういうことを無理に進めていくべきではないと思うのですが、一つは事業団のお考えと、それからもう一つは、監督官庁であります
科学技術庁長官の御見解をその点について伺いたいと思います。
-
○石渡参考人 お答え申し上げます。
ただいま先生の御指摘のような事態に立ち至っているということは、十分認識いたしております。そのため、まずは県政に責任をとっておられる県御当局と御相談を進め、御指導いただきながら適切な対応を講じてまいりたいと考えております。
また、本試験の重要性、安全性についても県民の皆様を初め、さらには広く一般の方々の御理解を得られるよう一層の努力をしてまいります。
-
○谷川国務大臣 今さら申し上げるまでもございませんが、原子力の開発利用を進めてまいりますにつきましては、安全第一を基本といたしまして、地元の住民の皆さんの理解と協力を得た上で行う、これが基本であると私ども考えております。
委員から、動燃事業団の行為につきましていろいろ地元の皆さんの不信を買うような行為があった、こういう御指摘がございました。私も、これは慎重さを欠いた、適当でなかったと考えておりまして、反省をしなければならぬと思っておるところでございます。
今話がありましたように、今後実施を計画しております回収ウラン転換実用化試験につきましては、このような観点から、本試験の安全性、重要性等に対します地元の皆さんの理解の増進に努めまして、慎重の上にも慎重に進めてまいるように事業団を指導してまいる所存でございます。
-
○
水田委員 ぜひそのようにお願いしたいと思うのですが、最後にこれは
委員長にお願いして、
理事会の方で御検討いただいております再処理回収ウランの転換施設についての許可申請書及び補正書について、これは時間がかかるという御連絡をいただいておりますが、
委員会終わりましても、できるだけ早い時期に資料として出していただくよう
委員長に重ねて要望いたしまして、質問を終わります。
-
○
山村委員長 これにて
水田君の質疑は終了いたしました。
これより締めくくり総括質疑を行います。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
串原義直君。
-
○
串原委員 当
委員会もいよいよ締めくくり総括質疑ということになりました。
日本社会党・護憲共同、公明党・国民
会議、民社党、進歩民主連合四党が一致をいたしまして、去る三月十日、
平成四年度予算案に対する共同修正要求を提出をいたしました。歳出は、社会保障の充実ほか十五項目、歳入は勤労者、パート労働者など、中低所得者に配慮した政策減税等三項目。なお、消費税の是正、地方財政対策、防衛費につきまして修正共同要求を提出をしたところであります。
そこで、この要求は四年ぶりに一致した野党四党共同のものでありまして、国民の期待は非常に大きいものでございました。この要求に対して、自由民主党から回答がございました。その内容は、国民の期待に沿うものではなく、私どもは極めて不満でありますけれども、当面する予算成立も急がなければならない。この予算成立の問題は重要な政治課題でもありますために、我々は今後の政府・自民党の誠意ある取り組みを求めて了承したところであります。
そこで、触れてまいりますけれども、防衛関係につきましては、回答でございますが、「防衛力の在り方については、長期的視点に立ち、防衛力全般につき、幅広く検討する必要があり、短期間に結論を得ることは、困難であると思われますが、検討の結果によっては、防衛計画の大綱の別表等の修正につながり得ることは、政府より、今国会でもお答えしたとおりであります。中期防衛力整備計画の修正については、同計画策定後の国際情勢の大きな変化等を見極めつつ、前広に所要の検討に着手したところであり、その経費規模については、四党の要求を踏まえ、更に下方修正の方向で検討を進めたい」と答えているのでございます。
政府は本
委員会の答弁の中で、中期防の三年後見直しを一年前倒しをする、総額を一千億円プラスアルファ減額するとか、陸上自衛隊の定数を三万人程度削減するといたしておりますけれども、防衛計画の抜本的見直しに着手する考えがあるのであれば、来年度予算案に盛り込まれている新規装備等の開発、調達などは中止ないし延期すべきではないか。最新鋭の装備等を前提として防衛計画の見直しを考えることになり、国際情勢の変化に逆行する方向をとることにもなりかねない。来年度予算案から防衛費の削減に取り組むべきではないかと考えているのであります。
そこで伺うのでございますけれども、ここに言われておりますところの「更に下方修正」とは具体的にどのようなものをお考えになっていらっしゃるのか、まず伺っておきます。
-
○宮下国務大臣
委員の御指摘の修正共同要求についての自民党の回答、冒頭に触れられました。その中に、経費規模につきまして四党の要求を踏まえさらに下方修正の方向で検討を進めてまいりたいということが記述されておるのは御指摘のとおりでございます。
私どもは、現在の中期防におきましては国際情勢の変化等を踏まえて抑制的なものとしてつくったわけでありますが、さらに、この中期防は一昨年の十二月につくられまして、その後旧ソ連邦の解体等々大きな変化がございますので、それらを含めまして前広にこのあり方について検討しよう、特に中期防の中では、この二十二兆七千五百億円の総額の範囲内で必要に応じて修正するということが述べられておりまして、私の方といたしましては、昨年の予算で、昨年といいますか、
平成三年度予算で、中東問題に端を発しまして一千億の削減をいたすことを約束したものでございますので、この一千億は必ず減額修正いたしますということをはっきり申し上げました。そして、なおかつ、この中期防の規定の趣旨あるいは国際情勢の変化等々を考えまして、さらに抑制できるものであれば抑制をしていきたいというのが「下方修正の方向で」という意味でございまして、これから総理の御指示もありまして、中期防の見直し作業について鋭意精力的に詰めていく、こういうことでございます。
〔
委員長退席、
原田(昇)
委員長代理着席〕
-
○
串原委員 答弁をいただきましたけれども、さらに伺いますけれども、「更に下方修正」というのはいつごろまでに結論を出したいと考えていらっしゃるか。明年度の予算で修正をするということでございますか。伺っておきます。
-
○宮下国務大臣 現在の中期防の中には、
平成三年から七年までの中期防でございますから、六、七年、三年後に見直すということが明記されております。私どももでき得る限り努力は鋭意努めてまいりたいと存じますけれども、一年前倒しというようなことになりますと、もう概算要求の時期はことしの八月でございます。したがいまして、防衛庁内部として六月か七月くらいには中期防の見直しをしなければいけないということでございますが、これは物理的になかなか困難でございますし、多方面にわたる検討を要します。そういう意味で私は、鋭意努力をして、総理の御指示もありますから、鋭意努力して検討はいたしますけれども、
平成五年度予算にこの中期防の修正が反映するようにという意味で中期防の策定を前倒しにするということはなかなか困難じゃないかな、こう思っております。
そして同時に、よしんばそれが、中期防の前倒しかできないにしても、こういったいろいろ、本
委員会でも議論されております国際情勢その他防衛上のいろいろ諸問題についての御議論を踏まえて、
平成五年度予算の概算要求をし、決定することは十分可能である、このように考えておりまして、中期防で定められた所定の予定によってこの処置をしてまいりたい、このように思っております。
-
○
串原委員 私ども共同修正要求をした中で、全部重要ではありますけれども、特にその中で重視したのは例のパート減税問題でございました。そこで、この御回答の第二項に、
パート問題については、先般の税制改革にお
いて配偶者特別控除の創設・拡充を行ったとこ
ろでありますが、このような税制の問題の他に
も配偶者手当等給与体系・慣行、社会保障負担
の求め方、企業等における経理処理等様々な分
野にわたって多種多様の問題があると考えられ
ます。
従いまして、今後とも、配偶者特別控除が創
設・拡充されたことについて広く周知されるよ
う積極的広報に努めるとともに、パート労働力
対策について、前記の諸問題を踏まえ、雇用の
安定、労働条件の改善等各般の施策の推進を図
るほか、高齢化社会や人手不足への対応等各方
面にわたる観点から、この問題を研究していく
ため、政府の関係省庁において然るべき検討の
場の設置等を行うこととしますが、更に、我が
党においても政調を中心に各党協議の場を設置
したいと考えています。
こう言われておるのでございます。
そこで伺いますけれども、この関係省庁において検討の場とは、どのレベルをお考えになっていらっしゃいますか、お答えを願います。
-
○羽田国務大臣 ただいまお話のございました四党の修正に対しまして、自由民主党の方から御回答申し上げました。私どもは誠心誠意これを承って勉強してまいりたいと思っておりますけれども、これは、関係省庁と申しますのはまだ確定を私どもしておるところではございませんけれども、少なくも雇用政策上の問題があるということあるいは社会政策上の問題があるということでございますから、これにかかわるところのそれぞれの省庁に加わっていただくことになるのじゃなかろうかというふうに考えております。
-
○
串原委員 今お答え願いましたけれども、関係する省庁の名前を、例えばこの省、この省、具体的にお示し願いたいと思います。
-
○
近藤国務大臣 ただいま大蔵大臣からお話があったわけでありますが、そういった基本的な考え方に基づきまして、労働省といたしましては、パート労働力対策について、雇用の安定、労働条件の改善等各般の施策の推進を図るほか、高齢者社会や人手不足への対応等いろんな観点から、このパートタイム労働者に関する雇用管理や賃金管理等について総合的に研究したい、そういう研究会を早急につくって鋭意検討に入りたいと考えております。
-
○
串原委員 大蔵大臣、今労働大臣からも御答弁になりましたけれども、先ほど大蔵大臣から御答弁になりましたそれにかかわる省庁は今のところこの省庁とこの省庁を考えています、これをお示しを願いたいと思います。
-
○羽田国務大臣 私どもは、やはり非常に幅広い実は問題でございますので、これをどういう関係の、省庁がどんなところが関係するかということを、これから本当に問題はどんなところということを詰めていかなければならないということでございますし、私ども先ごろこの自民党からの案というものをちょうだいいたしたところでございますから、今直ちにここだということを申し上げることできませんけれども、少なくも労働関係にかかわる問題でございますとかあるいは経済運営する機関、こういったところはやはり全部関係してくるであろうというふうに考えておるところでございます。それからもう一つは、労働条件の改善ということなんかがございますから、福祉関係のところも関係してくるのではなかろうかというふうに思っております。
-
○
串原委員 そういたしますと、大蔵大臣、大蔵省、通産省、労働省、厚生省は最低限関係をする、いま一つは自治省等も関係しますか。どうです。
-
○羽田国務大臣 そのあたりのところは、私ども本当にこれから、本当に皆様方に誠意を持っておこたえするのにどうしたらいいのか、これを私どもきちんと誠意を持って検討していきたいということでございまして、まだ役所が確定しておるものではございませんから、どんなところにかかわるのかということを幅広くまず私どもとしても考えてみたいというふうに思っております。
-
○
串原委員 この「然るべき検討の場の設置」ですね。これはいつごろまでに設置したいとお考えですか。
-
○羽田国務大臣 もう直ちにやらなければ、今お話の中に、例えばパート関係の皆さんあるいはそういづた雇用される皆様方にも周知徹底しなければいけないなんという一つの項目もある。これはもう直ちにでもやらなければ、すぐ行動しなければいけないことでありますから、できるだけ早い機会にひとつやっていきたいというふうに思っております。
-
○
串原委員 いま一点、回答の中の三項、「社会保障の充実、教育環境の整備、土地・住宅対策と公共事業、環境保全・ごみ対策、災害対策、国際協力の推進等多岐にわたって貴重な御意見を頂いておりますが、これら歳出面の御要望については、御意見を参考として、予備費の使用、補正の機会があれば補正予算、
平成五年度以降の予算編成において、重点的に検討・対処してまいります。」こう答えられているのであります。
そこで伺いますけれども、予算を、予算の成立がありました後、景気対策として公共事業等前倒しに発注をしていきたい、こういう政府の御答弁がございました。これは前倒しをするということは、予算全体から見ますと、後半にいささか穴があくという懸念も生まれてくるわけでございます。したがいまして、予備費の使用、補正の機会があれば補正予算をというのは、公共事業等の追加による景気対策も考慮していると理解してよろしいかどうか、伺っておきたいのであります。
-
○羽田国務大臣 この予算につきましては、もう御案内のとおり、こうやって今精力的に御審議をいただいているということもございます。またこれからこの衆議院の方でこれを可決していただきましたら、直ちに参議院の方でも実は御検討いただくということでございまして、今こういうことが必要であればという中での議論であるわけでございまして、それから、前倒しとかそういった措置につきましては、過去にもそういった私たちは経験がございますから、必要があるときにはいろんな対応をしなければいけないので、常々勉強してまいりたいと思っております。
現在でも勉強、いろんなときの事態に対応できるように勉強いたしますということを私ども御答弁を申し上げてまいったところでございまして、そういったものが、もしそういう措置をとるときには、あるときには、まさに景気に配慮してということなんかも含まれることであろうというふうに考えます。
-
○
串原委員 特にこの三項目の問題は多岐にわたっておりますから、積極的に検討していただくことを強く要請をしておきたいわけであります。
そこで、締めくくり総括質疑に入ってまいりたいと思うのでございますけれども、まず政治改革について伺います。
今国会、本予算
委員会が開会になりまして長時間議論をしてまいりました。しかし、今振り返りまして、つくつく遺憾であったと思いますことは、まことに不祥事件が幾つもと重なってまいりまして、明らかになりまして、まさに国民の政治不信はその極に至ったと言ってもよろしいのではないか、こう考えているわけであります。
そこで総理に伺いますけれども、例のリクルート事件、それから共和疑獄、佐川問題等について私どもは、徹底的な真相究明、政治責任の明確化が必要である、こう考えておるわけでございますし、その立場から我が党などが要求してまいりました、名前は一々ここで挙げませんけれども、証人喚問は不可欠のものである、できるだけ速く実現しなきゃならぬ、こう考えているところであります。総理の決意、所見を伺っておきたいのであります。
-
○宮澤
内閣総理大臣 ただいま御指摘になりました幾つかの事件につきましては、おのおの司直の手による取り調べが行われ、あるいは行われつつあり、または既に公判が行われておる等々、それぞれ対応がなされておるわけでございますが、国会、特に当
委員会におかれましても国政調査のお立場からこれらについて御熱心な解明が行われてまいりました。なおこの
委員会におかれましてさらにそのような御審査、解明をお続けになるものというふうに承知をいたしております。
御指摘のように、国民に対して政治に対する信頼を甚だしく傷つけるような結果になりましたことをまことに残念に存じておりますが、これは、私どもがいわゆる政治改革の実を上げることによりまして国民に対して我々の心構えを理解をしてもらうという、そういう努力が大変に必要であるというふうに考えております。
〔
原田(昇)
委員長代理退席、村岡
委員長
代理着席〕
-
○
串原委員 汚職摘発の強化、やみ政治資金の根絶、買収、供応などで議席を得る行為の規制など、政治腐敗防止にかかわる法体系の整備が急務であると私は考えるのであります。
まず、政治倫理の確立についてでありますけれども、我が党は既に政治倫理法案を提案しております。そして緊急提言もいたしているところでございますけれども、政府も我が党の提案を踏まえ、政治倫理の確立に早急に取り組むべきではないか、こう思うのでございますが、見解を伺っておきます。
-
○塩川国務大臣 社会党の方から御提案ございますことは十分承知いたしております。その提案等を構えまして近く衆議院内におきます政治改革協議会が開催されるやに聞いておりまして、まずそこで協議をされまして、大枠の方針を決定していたださましたならば、私は、直ちに役所としてもその枠内に応じまして作業を進めていきたいと思っておりまして、できるだけ早い時期を期待しておるところであります。
-
○
串原委員 また、我が党は既に提案しているところでありますけれども、企業献金の禁止など政治資金の透明化、適正化に取り組むべきでありまして、同時に、政党交付金制度の創設も考えるべきではないか、こう思うのでございます。いかがでしょうか。
-
○塩川国務大臣 仰せのとおりの御提案ございます。各党からも、例えばパーティーの総額を制限すべきであるとか、あるいは受け入れ金額、支払い金額の透明度を幾ら程度に限定して、それ以上のものは全部透明度を明確にする、公開するというような、いろんな各党から提案出てきておりますので、私たちはそれをそれぞれ受けまして、政治決定していただきましたならばその線で解決していく法案を提出いたしたいと思っております。
-
○
串原委員 今お答えになったんですけれども、いま一歩踏み込んで、政党交付金制度の創設ということにつきましては、いかがですか、お考え。
-
○塩川国務大臣 これはまさに非常に大きい政治問題であると思っております。
現行の中選挙区制において実施する場合あるいはこれを制度を変えて小選挙区制において実施する場合と、同じ政党助成法におきましても中身が全然変わってくるように思うのでございます。そしてまた、趣旨も違ってくるように思うのでございまして、したがいまして、制度改正と政党助成法とは切って離せない問題ではなかろうかと思っております。
そういう点についての御審議も、ぜひ私は国会内において議論を公開していただければ結構だと思って期待しておるところであります。
-
○
串原委員 汚職事件で実刑の禁錮刑以外の有罪者に対する公民権の停止ないしは立候補制限を検討すべきではないのか。いかがでしょうか。つまり、公民権停止というのは選挙法によってただいまのところは規制されているわけでありますね。それ以外の実刑、刑を負うた場合に、公民権の停止ないしは立候補制限も検討すべきときに来ているのではないかと考えるのであります。御見解いかがですか。
-
○塩川国務大臣 仰せのとおり、これは検討項目に私は該当する問題だろうと思っております。
しかし、現在まで法曹界等の御意見等を見ました場合に、ただ単に刑法犯によりますところの執行猶予等の方々は、いわば人権はなお尊重すべきであるし、投票という政治に参加する資格というものは、これは極度の非常に重大な人権の問題でもあることでもございますしいたしますので、現在の法曹界の意見等を聞きますならば、公職選挙法違反の事件とそれから一般刑法の事件とによりますところの公民権の扱いというものは、人権を中心にして考えておる、このように思われます。したがいまして、公職選挙法に違反いたしました者についての公民権停止というものと刑法上のものとは別の立場に考えておるように思うのでございますけれども、仰せのように、一般汚職というもの、いわばその罪はいわゆる公職との関係においてどう判断するかということ、一般の刑法ともちょっとまた違うような感じがいたしますが、そこらは十分に検討すべき課題ではないかと思っております。
-
○
串原委員 いま一点伺いますけれども、早急にまず定数是正に取り組んで、条件が整いますならば中期的な課題として比例代表制を検討すべきではないか、こう思っていますが、この点はいかがですか。
-
○塩川国務大臣 原則的に、おっしゃっておることは私たちと大して意見の相違はないと思っております。とりあえず、今違憲状態にあるということに対しましては、これは国民の皆さんに、ぜひ脱却しなきゃならぬと思っておりますが、そのためには一挙に制度改正ともあわせてその実現を図っていくかということにつきまして、いわば時間的な問題もございますし、一般の人、国民の方々の御意見からいいますと、とりあえずはその違憲状態の脱却というものを早くやったらどうだ。
それで、違憲状態の脱却ということは何かということは、要するに国会内において政治参加への権利の保障というものは一対一が一番いいんだろうけれども、現在のように一対三・五六とか分かれておるならば、それをできるだけ近づけていくその努力はやるべきであるというのが違憲状態脱却への努力と、こういうぐあいに評価しておりますから、私は、少しでも一対一に近づけていく努力、これは理想的かもわかりませんけれども、その努力を絶えずやっていくということが望ましいと思っております。したがいまして、今回もできるだけ早く少しでもその違憲状態脱却へのステップを踏んでいただきたい、こう思って念願しておるところであります。
-
○
串原委員 そこで、総理に伺いましょう。
今具体的な点について、自治大臣と数点にわたって触れました。いずれにしても、先ほど申し上げましたように、好ましくない事件が続いて多発してまいりまして、国民の政治不信はその極にある。何としてもこの国会の中で、そうか、ここまで考えたのか、国会は。それならば、もう一度日本政治の信頼回復のためにおれたちも全幅の力を発揮しようという、国民の理解を得られるような機会にしなきゃいかぬ、この国会を、そう思うんです。そのためには、宮澤総理、あなたの何としてもリーダーシップが求められていると私は思う。
熱心に取り組んでいらっしゃるという報道をお聞きをし、その点は敬意を払いますけれども、頑張っていこうという改めて決意をこの際伺いたいんです。いかがですか。
-
○宮澤
内閣総理大臣 串原委員のおっしゃいますこと、また御指摘になられましたことは全面的に私もそのように考えております。一先ほどから御指摘になられましたような幾つかの点、また自治大臣から御答弁を申し上げましたような点等々、私どもの党内でも、実は政治改革本部が中心になりましてかなり詰めまして、連日熱心な討議を進めてまいりました。そろそろ一応の結論に達するところでございますが、私どもの党といたしましては、各党ともこれにつきましてはいろいろ御案をお持ちでございますので、願わくば各党協議会をお開きいただきまして、その上でひとつ合意を願って、合意のできますものから何とかこの国会で御提案をいただき成立をさせていただきまして、そして政治改革の実を上げたい。政府はもとより、このような各党の御努力に対しまして全面的な努力をいたすこともちろんでございますけれども、そのように考えております。
-
○
串原委員 一層の指導性を発揮願うことを期待しておきます。
次に、アジアの安全保障体制と日米安保について伺いたいのでございます。
現在の中期防衛力整備計画決定時に出されました
平成三年度以降の防衛計画の基本的考え方におきましては、一九七六年の防衛計画の大綱策定時において米ソ両国間の関係を中心に各種の対立要因が根強く存在しておりました東西関係は、対話と協調の時代に移行しつつあるとする一方で、総じて大綱策定の際に前提とした国際関係安定化の流れがより進んだ形であらわれつつあると見ることができると国際情勢について述べております。そして、防衛計画の大綱に従いまして防衛力整備を推進することを正当化いたしました。
しかし、大綱策定時にソ連の崩壊を想定していたでございましょうか。現在の中期防決定の際に、東欧の激変、ドイツの統一という事態を目の当たりにしてはおりましたけれども、ソ連の崩壊までは想像していなかったと思うのでございます。それでも、大綱策定時に前提とした国際情勢が今現実化しつつあると昨今の国際情勢を想定し続けるのでございましょうか。これは重要な点だと私は思う。御答弁を願います。
〔村岡
委員長代理退席、町村
委員長代理
着席〕
-
○宮下国務大臣
串原委員の御指摘は、大綱が一九七六年、五十一年の十月につくられて以来のことを経過的に言及なさいました。
そこで、大綱が定められたときも、当時はデタントの情勢であったことは事実です。米ソの対立はありましたけれども大変デタント情勢、ベトナム戦争も終わってデタント情勢であったことは事実でございまして、そういうことを受けまして、国際関係の安定化の努力が続けられているという国際情勢を前提といたしまして、そして平和時における防衛力ということで基盤的防衛力構想を策定したことは御案内のとおりでございます。
ところがその後、御指摘のように、現在の中期防は一昨年の十二月の二十日につくられましたが、今言及されましたその一日前に、
平成三年度以降の防衛計画の基本的考え方というものを安全保障
会議及び閣議で決定をいたしました。これは大綱のいわば情勢判断、これをある程度敷衍したものというように考えておりましたが、私どもは、大きく、その当時東西のドイツが統一されましたし、それから東欧の民主化等も進んでおりました、旧ソ連の崩壊こそなかったけれどもそういう方向も予見されておった、こういう状況の中で、少なくとも大綱策定の際に前提とした国際関係安定化の流れがより進んだものであるという基本的な認識のもとに、こういう判断を踏まえまして、引き続き、基本的には大綱の考え方を尊重すべきものということで中期防が策定されております。
しかしながら、今御指摘のように、閣議決定以降の国際情勢というのは、ソ連の解体に見られますように大きな変化がございます。しかし、これはより国際関係安定化の流れが進んだものと私どもは位置づけております。相当な変化であります。
しかし、そうした中で今私どもは、当
委員会でもたびたび申し上げておりますように、中期防では、国際情勢のさらなる変化を踏まえまして、自衛官定数を含む防衛力のあり方について本中期防期間中に検討をいたします、そして次期防に反映したいということで、目下防衛庁でも鋭意勉強をしておるところでございますが、そのような検討に当たって、当然国際情勢の動向それからその安定化の動き等々を判断をして、検討の対象とすべきもの、このように私どもは考えております。
-
○
串原委員 この点、重要なところですから総理にも伺っておきたいのでありますが、先ほど申し上げましたように、この大綱策定時とは大きく情勢が変わっているということは間違いない国際的事実であります。したがいまして、新しい立場に立った防衛大綱というものを策定し直さなければいけないのではないか、検討し直さなければいけないのではないか、また、すべきである、私はこう考えるのでございます。
それは、立場によって若干の認識の違いがございましょう。しかし、大きな流れは大きく変わっているということもこれは事実であります。現実を踏まえて検討すべきときではないか、こう考えておりますが、総理の所見を伺いたいのでございます。
-
○宮澤
内閣総理大臣 大綱が定められましたのは、サイゴンが陥落をいたしましたそのころでございます。昭和五十一年でございますから、確かに今ソ連崩壊というこのような大きな国際的変化とはまことに違った時代であった、そのことはだれも否定のできないところであろうと思います。
それはそのとおりでございますけれども、ただ、大綱の基本的な思想であります、我が国が軍事大国になるという意思を持っておりませんから、そういう国の方針に従っていわば基盤的な防衛力を整備をする、いわゆる仮想敵というものを持たずに、独立国として最低限何を持つべきかという基盤的防衛力を整備しておこうというその思想そのものは、今日といえども我が国は軍事大国。になる意図を持っておりませんので、意思を持っておりませんので、その思想そのものが私は変わるということはないであろう。
国際情勢が大きく変化いたしましたことは、これはもう
串原委員の言われますとおりでございますから、これから後これがどのように展開をしていくかということも十分考えながら、これからの防衛政策を考えていくことは大変大切なことでございます。それはそのとおりでございますけれども、さっき申しましたような、軍事大国にならずに基盤的防衛力を最小限に我々の安全のために保持していこうという、我々の基本的な思想そのものは変わることはないであろうというふうに考えております。
-
○
串原委員 この点につきましては、また引き続き議論を展開してまいりましょう。
そこで、大綱を初め我が国の防衛力整備の前提としている国際情勢とは、極東ソ連軍を軸としたソ連の動向を第一の要因とし、それと中国、朝鮮半島情勢が主要なものでございます。ロシアが日本を同盟国として規定するような今日の情勢を踏まえれば、極東ソ連軍の質的強化などという文言を持ち出すことはできなくなるでございましょうし、我が国と中国との関係あるいは朝鮮半島の緊張緩和、日朝交渉の継続といった方向を考慮すれば、大綱の情勢認識は、私は根本的にしかも具体的に改めなければならない、先ほどこの点も触れました。
その立場に立って伺いますけれども、それに基づいた防衛力水準というのは、今
防衛庁長官が御答弁になりましたような立場に立った防衛力水準というのは、今私が申し上げましたような国際情勢の変化、情勢認識の流れ、これを踏まえますと、ただいまの防衛力水準というのはいささかナンセンスになるのではないか、こう考える次第であります。御見解を伺います。
-
○宮下国務大臣 旧ソ連とかあるいは中国、韓国などの問題、御指摘ございましたけれども、私どもの防衛力整備の基本的考え方は、軍事的な脅威に直接対抗するというよりも、我が国みずからが空白となって周辺地域の不安定要因にならないようにしようということが基本的な考え方になっております。そして、先ほど申しましたように、防衛力整備計画の大綱で決められた水準というものは、量的にはある程度もうその水準でいいんだ、しかし、軍事技術その他の変化、向上もございますから、質的充実、向上に配慮して整備をすべきもの、このように考えておりまして、独立国として必要最小限度の我が国の基本的防衛政策に沿った基盤的な防衛力の整備を行っておるものでございまして、他国に脅威を与えるというようなものではございません。
したがって、いろいろ近隣諸国の問題等も御指摘もございますけれども、私どもは、近隣諸国の大方の理解もあり、危惧されているというようなことはないのではないか。我が国は、いろいろ従来から機会をとらえまして我が国の防衛政策について説明をしておるところでございまして、この点は、基盤的な防衛力構想というのは今後も維持すべきもの、そして、脅威対抗論でないということを明確にして、この理念自体は正しいものでありますから、これも諸外国にも理解を求めていきたい、このように思っております。
-
○
串原委員 ただいま近隣諸国に対する脅威という言葉も御答弁の中で使われたのでありますが、新しい協調の時代の安全保障を考える場合、軍事的均衡といった発想は私は転換すべきである、こう思うのです。
何よりもアジアの安全保障は、韓国や中国からさえも危惧されておりますように強化が継続され、アジアでも圧倒的な最新鋭兵器を備えている我が国の防衛力をまず削減するところから始めなければならぬ。そして、近隣諸国に対する脅威を率先して取り除いてアジアの安全保障体制の枠組みづくりに力を発揮する新しい時代に入ったのではないか、私はこう思う。いかがでしょう。
-
○宮下国務大臣 私どもは、先ほど申しましたように、我が国の防衛力の整備の基本的な理念は他国との軍事的均衡を求めて整備していくというものでないことは、基盤的防衛力構想ということで申し上げたとおりでございます。
そこで、私どもはやっぱり我が国の安全、それから同時に極東の安全を考えていくということは当然でございまして、これは我が国は必要最小限度の自衛力を保持すると同時に、日米安保体制によって、侵略がもしかあった場合は、大規模な場合には米軍の支援を得、そして核政策その他、非核三原則を我が国は堅持しておりますから、日米安保条約によって米国のそういった抑止力に期待するというのが我が国の防衛構想であるわけでございます。
-
○
串原委員 私は、日本の安全保障体制で最も大事なことは、近隣諸国に脅威を与えない立場に立つべきである。言い方を変えるならば、アジアの友人たち、隣の友人たちから信頼を得られる友人として交際を願い、交誼を願えるような関係を保っていくことがより重要だ。そこから真の、近隣諸国と手を結ぶアジアの安全保障体制というものが構築されるであろう。だから、その立場に立って検討する重要な時期に、国際的な転換期にあるのではないか、こういうことを痛感をしておりますだけに、先ほど私はここで触れさせてもらったのでございます。
その点について、その考え方は基本的に賛成である、そのとおりだと思いますと、こう
長官もお考えになりますか、どうです。
〔町村
委員長代理退席、村上
委員長代理
着席〕
-
○宮下国務大臣 もちろん我が国の安全保障は自衛力だけでもって達成されるものではございません。今御指摘のような政治的な、あるいは安全保障面における信頼関係、信頼醸成関係が基礎になければならないことは御指摘のとおりでございます。
-
○
串原委員 日米安全保障条約に象徴されておりますように、アメリカとの協力、共同対処が我が国の防衛政策の基軸とされてまいりました。私は、一面それは重要なことであったということは認識をいたします。
政府は、アメリカとの協力の維持強化の方向は今後も変わらない、変えないという方針のようでありますけれども、国際情勢が歴史的大転換を遂げるとき、戦後の日米関係はこのままということでよろしいのかどうか、これはやっぱり考えるときにあると私は思います。先ほど申し上げますように、アジアでの新たな安全保障体制を目指して国連中心主義を強調していくというのであるならば、少なくとも日米安保体制も軍事的な同盟関係を中心とするものだけではない方向を模索すべきである、構築すべきである、こう思うのでございます。この点についての見解を伺います。
-
○宮下国務大臣 あるいは外務大臣からお答えいただいた方が適切であるかもしれませんが、日米安保条約の重要性、そしてこれの信頼醸成をさらに高めていくということの必要性は、ブッシュ大統領が来られたときの日米東京宣言等においても述べられているとおりでございます。そして、日米安保条約は軍事的な側面のみを目的としたものでないことも
委員御指摘のとおりでございます。したがって、いろいろ経済的な政治的な諸側面を含んでおることも当然でございまして、より一層日米関係の信頼関係を高めていくということは、これから我が国の安全保障にとっても重要なことであろうと私は考えております。
-
○
串原委員 外務大臣に伺います。
同様の立場で伺うのでありますけれども、先ほど申し上げましたように、アメリカとの関係が重要であることは、これは否定はいたしません。しかし、先ほど申し上げますように、日米安保体制は軍事面における同盟関係、これが中心で進められてきたことだけは事実であります。だが、先ほどから触れてまいりましたように、大きな国際情勢の変化、これを踏まえまして、これからの日米安保体制というものも軍事的な同盟関係を柱とするものでない同盟関係でなければいけないのではないか、その方向に行くことが好ましいのではないか、私はこう思うという意味で今
防衛庁長官にも見解を伺いました。したがって、その衝に当たる外務大臣、あなたの所見を伺っておきたいのであります。
-
○
渡辺(美)国務大臣 好ましい理想的な姿と現実の姿というものは、必ずしも同時に一致するということはありません。ソ連の崩壊が進んでいるという見方はほぼ間違いなかろうと存じます。存じますが、しからば極東におけるソ連の軍というものが大幅に減ったとか、あるいはそういう兆しというものは今のところないわけであって、むしろ西にあったバックファイアなどはみんな極東に持ってきてある、これも事実でございます。ただ、今のところは大きな訓練とか演習とかそういうようなものは余りやっていない、これも事実でございます。しかしながら、いつ息を吹き返すかということについては、これは保証はない。我々はできるだけ、ソ連が軍事大国から平和な国に変わりたいというのであれば、そういうものを応援していこうという態勢にございます。ただし、それは時間のかかることだと私は思います。
日米安保体制というもので日本が今日の繁栄を得たことは
委員もお認めのとおりであって、これは防衛のみならず経済面においても協力し合うということが決まっておるわけでありますから、そういう点はこれからますます必要であろう。東南アジアの状況あるいは極東の状況を見ても、日本が独自でいろいろなことをやるよりもアメリカと一緒でやってもらった方がいい、こういう希望が多い。経済問題にしても、日本が中心でアジアに対していろいろ指導的な役割をやるよりも、アメリカと一緒にやってもらった方がいいというのが現実の姿でございますから、我々はそういう意味においても、日米というものがアジアにおいて一緒にいろいろな面で行動することが現実的だ、こう見ておるわけです。
時間がたって、ソ連が大幅な軍縮をどんどん地上兵力まで含めてやるということになれば、アメリカでも、片っ方では大変な財政赤字を持ち、そして防衛費の削減をするといっても二千八百億ドル余の軍事予算を組んでいるわけですから、いつまでもいつまでも自分の力で世界の警察官をやろうといったってなかなかこれは大変ですよ。だから私は、必然的にアメリカの軍事力というものは減ってくるのではないか。しかしながら、世界の地域における紛争というものが、じゃなくなるかといえば、そういうことは考えられない。現にソ連の兵器がどこの国に売られたんじゃないか、あそこに売られたんじゃないかというような未確認情報はたくさん実際はあるわけでありますから、そういうような世界的な平和の新しい枠組みをつくるということになれば、それこそまさに国連憲章に定められておる、いまだつくったことがないが、将来は国連軍というようなものをつくっていくという時代があるいは来るかもわからない。その過度期の問題でございますから、ここは一挙に短絡的に日本の防衛力を大幅に削減してしまうという時期では今ありません。
ですけれども、大きな流れとしては、望むべくは今先生のおっしゃったような方向に行くように希望もするし、そういうことに我々も努力をしていきたい、さように思っております。
-
○
串原委員 今御答弁を願いましたけれども、私は、国際情勢の変化とともにやはり日米関係というのは質的変化を遂げていかなぎゃならぬ、こう思っているところであります。
そこで、その立場に立って、いささか具体的なことになりまするけれども、日米安保条約と関連して日米地位協定がございます。この問題に触れまして私は、百十八国会、一九九〇年四月十二日、当予算
委員会におきまして、米軍機の超低空飛行訓練の被害と問題点につきまして、長野県の白馬あるいは南信濃、大鹿あるいは長谷などの各村における被害の状況、高遠町もございました、それから徳島県における米軍機訓練の状況、被害等にも触れたことがございます。
その中で明らかになりましたことは、日本の自衛隊機の飛行訓練もどこをどのように自由に飛んでもよろしいということにはなっていないわけでございます。明確に時の米山政府
委員が答えられているわけでありますけれども、「先生お尋ねの低空飛行訓練というものの定義について明確なものがあるわけではございませんけれども、自衛隊機の飛行につきましても当然航空法の適用が」ございまして、いろいろな法律の規定を遵守しながら飛行し、訓練をしております、こう明確にこの点はなったわけでございます。
そして、外国の例も引用することがよかろうと考えまして、私は、西ドイツに駐留するNATO軍に関する地位協定、これはボン協定というふうに通常呼んでおるようでありますけれども、ここではドイツの国内法によって規制されておりまして、つまり日本における米軍飛行訓練のようにドイツの空を自由に飛んでよろしい——つまり使えない、こういうことになっていることも、政府は私の質疑によって確認、答弁をされたところでございます。
私どもの同僚の
佐藤恒晴議員が過日、日本の航空自衛隊機の墜落にかかわる問題について質疑を相当の時間をかけてやりました。私も聞いておりまして、これは大変なことだな、自衛隊の航空機墜落による被害もさることながら、もしアメリカの米軍機による低空飛行によって、飛行訓練によって事故でも起きたらこれは大変だというふうに考えたのでありますが、その立場で、
佐藤恒晴議員の指摘はより政府においても検討してもらわなきゃならぬ、こう思うのであります。
そこで私は伺いたいわけでございまするけれども、あの私の質疑のときに外務大臣は、私はこういう米軍機だけは自由に日本の空を飛ぶことができるというのは好ましくない、時代も変わってきたことでもあるし、日米地位協定の改定を考えようではありませんか、アメリカ側と話そうではありませんかという立場に立って質問したら、当時の中山外務大臣は、検討いたしましょう、こういう答弁でございました。そして続いて海部総理も、そういう立場に立って御答弁をされました。
私は、あれから二年を経過をいたしまして、先ほど二、三触れておきましたように、この二年間に旧ソ連を含めた国際情勢も大変革があった、米ソの関係にも変化があった、朝鮮半島の動きも変わった、こういう時期でありますだけに、この日米地位協定、アメリカの飛行機、米軍機だけは自由に日本の空を飛び歩くことができる、低空飛行訓練ができるというのはどうも好ましいことではない、改定すべきではないか、改めて私は外務大臣に伺いたいのであります。
率直に言って、私にして言わしむれば、この地位協定は時代おくれの不平等条約ではないかと私は思うのです。アメリカに対して、こういう重要なことは言うべきは言って、話し合うことは率直に話し合って、この際、日米地位協定改定のために取り組む考えはありませんか、こういうことを伺いたいのであります。いかがですか。
〔村上
委員長代理退席、中山(正)
委員長
代理着席〕
-
○
佐藤(行)政府
委員 大臣のお答えの前に当時の事実関係だけ申し上げさせていただきます。
先生のこの予算
委員会での御指摘の際に地位協定の改定の御示唆があったことは承知しておりますし、そのときに一たん中山大臣は、地位協定の改定ということは考えてないというお答えをされたわけであります。その後先生から幾つかの御指摘があったのを踏まえまして、中山大臣も最後に、御意見は十分承りましたのでいろいろ検討してまいりたいということをお答えになられたと承知しております。
それを踏まえましてその後我々、私の前の時代でございますけれども、検討いたしまして、その後我々の結論といたしましては、やはり合同
委員会の運用面を十分充実していくことが大事であるということでありまして、その後の四月後半でございますが、
平成二年のことでございますけれども日米合同
委員会の場で改めて、アメリカ側関係の事件事故の再発防止あるいは低空飛行の制限といったようなことを通じて住民の方々に対する影響を最小限にとどめるようにという申し入れを行い、アメリカ側もその約束をしたところであります。
なお、先ほど来の御指摘で、確かに一般国際法上の建前もあり、在日米軍の訓練等におきまして国内法がそのまま適用になってないという部分はございます。ただ、同時にアメリカ側としては、御承知のとおり、日本の国内法の尊重義務もございますし、私の承知しているところでは、最低安全高度についても尊重していると承知しております。
なお、その後も幾つかの事故、例えば奈良の十津川におけるワイヤーロープ切断事件とかいうこともございましたので、我々としてはきめ細かに、この合同
委員会を使ってアメリカ側の日本の公共の安全の確保のために努力をいたしているところであります。我々といたしましても事故が起こることをよしとしているわけではございませんし、今後とも合同
委員会を十分活用して、安全の確保また住民の方々への影響を最小限にするように努力してまいりたいと思っております。
-
○
渡辺(美)国務大臣 米軍の訓練と自衛隊の訓練というものは、これは裏表、いざというときは一緒にやろうということを前提にしてやっておるわけですから、自衛隊機の飛べるところを米軍機が飛べないというようなことにするのもこれは実際は役に立たないわけであります。しかし、今北米
局長から言ったように、いろいろな、最近こう事故が相次いでいるということについてはまことに残念なことなので、そういうことが起きないように我々は注意を喚起をし、予防措置を講ずるように申し入れをしておるところであります。
地位協定の問題については当面変更する考えはございません。まあ将来の問題は将来の問題として、これはその時点に考えていきたいと思っております。
-
○
串原委員 外務大臣は、当面改定する考えはない、将来の問題としてはまた検討課題であろうと、こういう意味の答弁をされたところでございます。
それで、
局長から、私が質疑をした後検討して、やはり合同
委員会の協議によって運用面で考慮していくということがいいというふうに御答弁になりました。私はこれはよろしくない、運用面で考慮していくということにはおのずから私は限度があると思うんです。日米安保条約に対するいろんな意見も出ておる中でもあり、さらにそれと関連する地位協定の改定ということをきっかけにして、先ほど申し上げますように、日米関係の軸足を少しずつ変えていく努力をしなきゃならぬ、この一ページにすべきだというふうに思う。
先ほど触れましたけれども、我が国の自衛隊の訓練の試験空域、これ詳しく申し上げる時間はありませんけれども、自衛隊ですら試験空域というのがきちっと決められているわけですね。我が国の防衛を担当する自衛隊の飛行機が自由に我が国の空を飛べない、またそれでいいと思うんですよ、そうなっているわけであります。低空で訓練をしてよろしいというのは九カ所、ほかの訓練空域は十四カ所、超音速で飛行訓練やってよろしいというのは一カ所ですね。詳しくは申し上げませんけれどもそういうことになっています。しかし、アメリカ、つまり米軍機だけは、終戦直後に締結をされた日米地位協定、敗戦直後に締結をされた日米地位協定によってどこをどのように飛んでもよろしい、法的にはですよ、そういうことになっているということは、時代の推移とともに検討し直されるべきものである、私はどうしてもそう思う。これは日米の関係を少しずつ好ましい方向に変えていくための一ページにすべきである、こう思うんであります。
外務大臣、あなたもう少しきちっと、腹を据えるという表現がよろしいかどうかわかりませんよ、腹を据えるという表現がいいかどうかわかりませんが、アメリカに言うべきは言う、要請すべきはする、こういうことで、あえて私はさっき不平等条約ではないかというふうに表現しましたが、この日米地位協定、改定に取り組むという姿勢になるべきではないか、再度私はこの点はあなたに伺います。
-
○
渡辺(美)国務大臣 先ほど言ったように、望ましい姿というのと現実はギャップがある。実際問題として、そう決まっておっても運用面で支障のないようにしてもらうということは、当面のことでございます。しかし、いずれにいたしましても、世界の体制が変われば、全体としてどうするかということは、そのときにまた変わっていくのはそれは当たり前のことでございますから、それまでまだ進んでいないと。
日米安保の問題につきましても、こういうような運用の大幅な改善あるいは基地等の返還等、いろいろ問題あるでしょう。ありますが、これには少し時間をかしてもらわなきゃならぬし、もちろん我々は、言うべきことはちゃんと言うし、それから義務は履行する。それは間違いありません。
-
○
串原委員 外務大臣、私は、ただいま私の質疑をしてまいりました立場に立ってアメリカに、とにかくこういう声が日本の国会でも強いという立場に立ってアメリカにまず話をする、こういう姿勢に立とうではありませんか、いかがです。
-
○
渡辺(美)国務大臣 それは話は、こう肩を怒らかして言っておるわけじゃありませんが、我が国の中にはこういうような意見がありますよということはもう新聞でも御承知でしょうというぐらいのことは言っているんですよ。ですから、安保条約を円滑に運用するためにはいろいろ御協力を願わなけりゃならぬ、こういうことももうちゃんと申し上げてあります。
-
○
串原委員 これ、私もそう簡単な話ではないということは承知をしておりますが、まず、先ほど申し上げますように、この日米地位協定改定のために一足前に出てもらいたいし、出るべきであると強く要請をしておきまして、次に移ります。
次に、防衛問題について伺うわけでありますが、
防衛庁長官、あなたは先ほど基盤的防衛力という表現をされて御答弁になりました。この基盤的防衛力とは一体何か、具体的に説明してもらいたい。
-
○宮下国務大臣 先ほども一部申し上げましたが、我が国に対する軍事的脅威に直接対抗するという発想に立っておりません。そういうことを目指すよりも、我が国みずからが力の空白になりまして我が国周辺地域の不安定要因とならないようにすべきであるとの、こういう基本的な考え方に基づきまして、独立国として必要最小限度の基盤的防衛力を整備しようとするものでございまして、先ほど申しましたように、防衛計画大綱の基本的な考え方になっております。
それで、この構想をもう少し申し上げますならば、この構想に基づきまして我が国が平時から保有すべき防衛力の水準の枠組みでございますけれども、これは、一つは、防衛上必要な各種の機能を備えて、後方支援体制を含めましてその組織や配備等において均衡のとれた態勢でいくということがまず必要でございます。そして同時に、平時において十分な警戒態勢をとり得るということ、それから、限定的かつ小規模な侵略までの事態には有効に対処し得るようなものであること、それから、情勢に重要な変化が生じ、新たな防衛力の態勢が必要とされるように至りましたときは、円滑にこれに移行し得るよう配慮された基盤的なもの、これは大綱にもそのような表現を使っておりますが、そのようなものを総称いたしまして私どもは基盤的防衛力と、こう申しておるわけであります。
-
○
串原委員 今御答弁になりましたけれど為、それは、先ほどから触れてまいりましたように、国際情勢が大きく変化をいたしましてもさして変わらないものである、あるいはむしろ一層国際情勢に沿ったものと、我が国の防衛力水準はですね、こういう考え方があるようですけれども、この日米軍事同盟を前提に平時における必要最小限の防衛力とか、今も触れましたけれども、限定的かつ小規模な侵略に独力で対処できる防衛力と言われるものが、周囲の情勢の変化あるいは旧ソ連等々を初めとする軍事力の変化、これと、今お聞きをしておりますというと、ちょっと無関係である、それはそれ、日本は日本、無関係であるというふうに受け取れるような解釈、基盤的防衛力というものに対する解釈、ちょっと私はおかしいと思う。これは見直さなきゃいかぬのじゃないです
か。
-
○宮下国務大臣 全く無関係ということを申し上げているわけではございませんけれども、我が国の防衛理念というものは専守防衛、そして今申しましたような防衛的な基本原則に基づいておるわけでございますから当然無関係ではありませんが、しかし我が国の防衛の基本的考え方というのは、脅威対抗論でありますとか、相手の国がこれだけ防衛力をもっているから我が国もそれに対抗し得るようなものを整備すべきであるとか、そういう観点に立っていないということを申し上げておるわけでございます。
そして同時に、この基盤的防衛力構想に立ちながら防衛費をふやしているのではないかという御指摘もございますけれども、私もたびたび申し上げておりますように、量的には防衛計画の大綱一で、水準としては四次防までの水準でおおむねこれでいいんだという基本的認識を持っております。ただし、旧式の装備を幾ら備えておっても仕方がございません。数量の、数だけではいくわけではまいりません。したがって、軍事技術の進展等に対応いたしまして、所要の数量の、この整備のあり方については更新・近代化ということを考えていかなければ抑止力としての防衛態勢は築かれ得ないわけでございまいまして、終始一貫そういった観点で整備が行われているものでございます。
-
○
串原委員 千海里シーレーン防衛とか海峡封鎖とか言われました防衛戦略というものは放棄したのでございましょうか。放棄したものである、放棄したということであるならば、なおさら現在の中期防中に検討するとされている空中給油機などは必要ないのではないか。まあ空中給油機は必要がないという意味の政府答弁もされておるわけでありますけれども、そうであるとするならば、中期防の見直しによりましてこの空中給油機というのは削除すべきではないか、こう私は思うのです。確答願いとうございます。
-
○宮下国務大臣
委員は今二つの点にお触れたなりました、
千海里のシーレーン防衛は放棄したのかということでございますが、この第一の問題は、我が国は四海、海に囲まれておりまして、資源エネルギー等大きく海外に依存する特性を持っております。したがいまして、有事の際に国民の生存を維持したりあるいは継戦能力を保持するというためには海上交通の安全確保を図ることはまず喫緊の課題でございます。そして、シーレーン防衛と一般に言われておりますけれども、レーンだけの防衛ではございませんで、これは港湾でありますとか海峡、あるいは領海等の。防備、哨戒、護衛等、各種作戦を組み合わせることによって、この累積効果によって我が国の海上交通の安全を図るという趣旨でございまして、シーレーン防衛を放棄するというようなことは全く考えておりません。
で、シーレーン防衛は特定の国をまた対象としているのかというようなお考えもあろうかと思いますが、私どもは、従来から特定の国をこのシーレーン防衛の対象としてきたものではなくて、シーレーン防衛の必要性と最近の国際情勢の変化というものは、一応、間接的には背景としてございましても直接的には関係しないもの、このように思っております。
なお、空中給油機につきまして、二番目の問題でございますけれども、これにつきましては、現在の中期防ではこれが明確に書かれております。「引き続き、空中給油機の性能、運用構想等空中給油機能に関する検討を行う。」ということになっております。中期防におきましてこれが明記されておりまして、この検討をすべく今メンションされておるわけでございますけれども、中期防におきましては、空中給油機の性能でありますとか運用構想等空中給油機能に関する検討を行う際には、やはり有事における空中警戒待機態勢への支援でございますね、そういうこととか、あるいは継戦能力の向上などの観点からの有用性、また平時における訓練支援あるいは輸送体制の整備の観点から有用性が認められております。
また、私が先般当
委員会におきましても国際貢献のために平和的な自衛隊機の使用等も言及をいたしまして、そういったものをも考慮すべきものとして、私個人としては空中給油機というものは必要ではなかろうかということを申し上げたわけでありますが、いずれにいたしましても、その取り扱いはこれから中期防の中で具体的に検討してまいりたい、こう思うわけであります。
-
○
串原委員 私が伺ったのは、このシーレーン防衛、つまり、近海ですね、これはそれといたしまして、私の言っているのは千海里。千海里というと随分遠いわけですね。そこに空中給油機が必要か必要でないかという議論が生まれてくるわけですよ。千海里シーレーンというのは、時代の推移とともにそれほど遠いところまでなぜ防衛戦略の中に入れて考えなきゃならぬのかと思いますだけに、千海里はどうなんですか。
近所の公海はこれは当然といたしましょうけれども、千海里というのはいささか遠いじゃないか。そんなところまで必要あるのか。だから、千海里シーレーンという話がかつて出たので、空中給油機という問題が出てきたのであります、だからいかがでしょうか、こういうことを聞いているわけですね。その点を伺います。
-
○宮下国務大臣 シーレーン防衛につきましては、たしか
鈴木内閣の当時だったと存じますけれども、我が国の周辺海域の場合には数百海里、それからシーレーン帯を設ける場合は千海里ということを申し上げて、そして今日までその整備を図ってまいってきております。もちろんその千海里がどうかという問題はございますが、我が国も御指摘のように例えば中東から油を持ってまいりますけれども、そういった問題に対応してこれを、護衛をそこまでするという能力的な問題等もございますので、これは千海里以上は米軍の支援によるというような前提に立ってこれをやっておるわけでございまして、先ほど申しましたように我が国が資源エネルギーを外国に頼る以上こうした観点もぜひ今後も必要だ、こう私は思っておるわけでございます。
なお、空中給油機につきまして、千海里のシーレーンがあるから空中給油機が必要だということを申し上げてはおりません。それももちろん関連はいたしておりますけれども、先ほど申しましたように、平時における哨戒機能あるいは訓練機能、またさらには私が申し上げたのは、国際協力その他の問題等々総合勘案すれば、機能として各国もかなり保有しておる空中給油機能でございますから、私個人としては必要性があるのではないかということを当
委員会でも申し上げた次第であります。
-
○
串原委員 いま一点触れておきますけれども、私はかつて、前の
防衛庁長官の時代に、当予算
委員会においてAWACSの問題を取り上げて質疑をしたことがございます。このAWACSは、とても性能はいいだろうけれども高い飛行機である、兵器である。当時二百数十億というふうに言われておりましたが、アメリカの情報によりますというと、生産中止になったので恐らく日本で購入しようとするころには七百億円前後という大変高価なものになるという報道があるものであるから、これは考え直すべきではないか、それほど高価なものを買い求めて我が国の専守防衛のために必要なのかどうかという立場で質疑をしたわけであります。
ところが、果たせるかな、その後情勢はそのとおりになってまいりまして、アメリカにおいてはこのAWACSは生産停止ということになりました。このAWACSを装備している国は、世界のどこを見ても幾つもない。幾つもありません。そういうことになってきておりますだけに、この
委員会でも議論されましたけれども、だんだんとAWACSに対する疑問が生じてまいりました。そんなに高い兵器、そして生産中止になっている兵器、
長官も答弁されて、機種の若干変更をして検討しようみたいな答弁をされたけれども、どうしてそれほどこだわっていつまでも検討をなさるのか。私は、この種の兵器は思い切って中止をしておいて、改めた立場で検討していくべきときに来ているのではないか。兵器においても日進月歩と言われます。どういうふうに変化するか私はわかりませんが、いつまでもAWACSではないだろう。この機種、活字にとらわれる必要はないだろう、こう思うのであります。
少し検討をいたしましょうという意味の答弁を
長官されたけれども、私はこの点は、先ほどから申し上げておりますように緊張緩和の時代を迎えておるだけに、思い切ってAWACSはやめます、やめるようにいたしましょう、改めてこの種の問題は検討しましょう、こういう立場に立つべきではないかなと思うのです。いかがでしょう。
-
○宮下国務大臣 AWACSはエアボーン・ウォーニング・アンド・コントロール・システムということでございまして、早期警戒機能と、それから同時にコントロールシステム、これを使命といたしております。
我が国は専守防衛でございますから、なるべく上着陸阻止という基本的な観点で早期にキャッチする必要がございます。今、E2Cというような機種がございます。そして陸上でバッジシステム、これとの連動、指揮所等の連結によって行っているわけでございますけれども、私は先ほど来申し上げておりますように、専守防衛の立場であればあるほど、そういう早期に警戒し情報をキャッチして、同時に空中においてそれぞれのコントロールができるという機能を、これは機数は限定されております、中期防で四機ということを予定しておりますが、こういうものがぜひ必要であろう。その必要性については私はいささかも疑っておりません。これは専守防衛の立場からしても、私は決して看過すべき問題ではないと存じております。
ただし、今
委員御指摘のように、本問題は、私どもが予定しておりました機種が御指摘のように米国で生産中止に一応なっております。したがいまして、私ども早期にこれを調達しようと思いましたけれども、
平成四年度では調査費の計上にとどめております、そして、これは何を調査するかと申しますと、母体となる747、707、これが生産中止でございますから、言われているように附でいいのか、あるいはC130Hの改造型でいいのか、あるいはその他の機種の改造型でいいのか等々、検討すべき問題がございます。
そしてまた費用の点に触れられましたが、余り膨大な、一機途方もないものであっては、費用対効果の面から私もいかがかという感じも、これは率直に感じておりますから、そういう諸点を考慮して、これは機能としては、ぜひ私はそういうものを専守防衛の立場からいえば持つべきものと思いますが、なおこれから検討させていただきたいと思います。
なお、AWACSはごく少数の国しか持ってないのじゃないかという御指摘でございますけれども、これは、アメリカはもちろんNATOあるいはサウジアラビア、その他数カ国でこれを保有しております。そういう点で、決して米国だけが持っている超近代的な兵器であるというような認識は私は持っておりませんけれども、これをぜひ検討対象にして、そして専守防衛の本当の機能的な防衛ができるような、そういう面で考えてまいりたい、こう思っております。
-
○
串原委員 私はこれ以上余りこれは触れませんけれども、
長官、今お話しのように、現在E2Cが装備されているわけです、我が自衛隊には。E2C購入の議論のときには、E2Cで十分である、AWACSはとても大き過ぎて、高級過ぎてしまって日本には必要ない、こういう議論が国会でなされてE2Cを購入したわけであります。当時よりも、私が判断いたしますと国際情勢は緩和の時代に入っているということが一つ。
いま一つは、今若干指摘をされたけれども、アメリカにはAWACSがある、NATOにもある。あとは、私の聞くところサウジアラビアぐらいなものだ。どこの国にも装備されているというものではない。そして生産中止になっているということは、私は、何としても個々の国々の防衛のために必要欠くべからざる機種であるとも思えないという立場で今申し上げたのであります。
検討されるということでありますから、きょうはこれ以上触れませんけれども、先ほど申し上げましたように、ついこの間、そんなに前でなくて、検討を国会でしたときに、E2Cで十分であります、そんなに大きな、大型な、高価な機種は必要ありませんという議論もなされたくらいでありますから、原点に戻ったとお考えいただいて、私は、中止をして、新しい視点に立ってこの種の問題は検討し直すことがよろしい、こう思っておりますことを強調をさせていただいておきます。
次に、農林行政と米の輸入自由化阻止につきまして伺っておきます。
難航するガット・ウルグアイ・ラウンドの今後の見通しを伺いたいのであります。
-
○
渡辺(美)国務大臣 ウルグアイ・ラウンドを成功させましょうというのは加盟国が全部言っていることでありまして、ウルグアイ・ラウンドはやめてしまいましょうという国はどこにもないのです。
ところが、総論賛成ですが、各論になってまいりますと、行政改革みたいなもので、自分のところだけはこれを残してくれ、あれを残してくれということで難航をしていることは事実でございます。しかし、これはワンセットでなければうまくいかないので、農産物だけは全く別扱いだということになれば、今度は発展途上国がそれは承知しないということになって、本当にパンクしてしまいます。したがって、みんな耐えられる程度のところで少しずつ譲り合って、そして、百点はとれないけれども、みんなの少しずつの痛み分けでまとめていくことが世界の貿易の拡大と繁栄のために大切だ、これもみんな大体わかっている。
ですから、そういうようなところに来ておりまして、交渉事ですから駆け引きもありますよ、それは、どこの国でも。最後まで自分のところは一番有利な形をとりたい、それは仕方のないことですよ。ですから、鋭意そういうことで、どこらでまとまるのか。我々は我々の主張、もう既に何回も何回もここで申し上げている主張を今言っておるわけですから、各国の主張も聞きたいということでしばらく交渉が続けられる。これが四月過ぎてもまとまらないということになれば、これまた大変な別な問題が出てくるのではないかと心配をしておるところであります。
-
○
串原委員 いみじくも今、総論賛成、各論反対という表現を使われましたけれども、私はこれが実態だろうと思うのです。各種の話を聞いてそう思う。現実にまた検討してみてもそういうふうに考えられるわけであります。一〇〇%ワンセットであるということで取り組んでいったならば、これはなかなか解決をしない、こう思います。私は今の情勢、外務大臣も御答弁になりましたけれども、車ほど簡単ではないな、特にEC、アメリカとの話し合いの難航状況等々を見ますと簡単ではない、こう考えておりますだけに、まず総括的には日本の国益を、後ほど農業の問題は触れますけれども、農業問題だけではなくて、国益を守るという立場で対処してもらわなきゃいかぬ、こういうことを申し上げておきたいわけであります。
そこで、米の自由化はしない、関税化は受け入れることはできない、この立場で国会も三回の決議をしたり、あらゆる機会に議論をして、今日までその意思を確認してまいりました。農林大臣、この決意に対して改めて伺いたいのであります。
-
○田名部国務大臣 米は我が国国民の主食であります。また、我が国農業の基幹をなすもののみならず、特に
水田稲作は国土の自然環境保全、地域経済の不可欠な役割を果たしておることは御案内のとおりであります。したがいまして、我が国の米につきましては、以上述べましたように、米及び
水田稲作の格別の重要性にかんがみ、国会決議等の趣旨を体し、国内産で自給するとの基本的方針のもとで対処してまいる所存であります。
今回ガット事務
局長に提出した国別約束表についても、このような基本方針に沿って対応しておるところであります。
-
○
串原委員 外務大臣、担当大臣としてあなたは、米の自由化はしない、関税化はいたしません、こういう立場でガットにドンケル案に対する回答を出したわけでありますが、その立場でこれからも対処をしていくと思いますけれども、決意を伺います。
-
○
渡辺(美)国務大臣 私は、日本の国益をやはり最優先をしていかなきゃならぬ、それは
委員と同じ考え方なのです。大所高所論をもって、どちらが日本の国益になるか。ウルグアイ・ラウンドを日本が壊してしまった方が国益になるのか、それともみんな少しずつ我慢し合ってまとめていった方が国益になるのか。それはいずれにしたって、最終段階ではそういう場面がいずれ来るのですよ、それは早いか遅いかというだけの話であって。どこの国もばばは引きたくない、みんなそうだ。駆け引きもかなりあります。
したがって、私は、本当に困らないように何か接点が見つからないかということでは、それは各国とも腹の探り合いをやっていることも、腹の探り合いなんていったらちょっとこれは語弊がありますが、それはやっているわけですよ、みんな相手のあることでございますから。しかし、我々は、日本を代表して外務省がやるといったって、内閣の方針と離れて訓令を出すはずがない。したがって、いずれにいたしましても、農林省やその他の通産省や、全部で相談をした上で、それは交渉を進めているということであります。
-
○
串原委員 ちょっと言わずもがなみたいな発言もなしといたしませんから、もう一度伺っておきましょう。
外務大臣、米の自由化はしない、関税化は受け入れることはできないという立場でドンケル案に対する回答をとりあえず出しました。日本は出しましたね。したがいまして、先ほど農林大臣から答弁にありましたが、全体的なウルグアイ・ラウンド交渉を成功させるという総論はだれも反対をしていませんけれども、米のこの問題に関しては、農林大臣が答弁された姿勢と日本の政府がガットに回答をした姿勢と踏まえて、関税化は受け入れられません、こういう決意でこれから対処していく、こういうことをいま一度外務大臣の口から明確にお答えを願っておきたいと思う。
-
○
渡辺(美)国務大臣 それは内閣ばらばらじゃありません。農林大臣とも相談しながら、今のところそういう姿勢でやっているということです。——今のところといっても、それはやりもしないうちのやつまで言えませんから、今やっておるということです。
-
○
串原委員 総理にも伺っておきます、締めくくり総括ですから。
今議論してまいりましたように、米の自由化はしない、関税化は受け入れない、このガット交渉の中では日本の国益を踏まえてこの決意で臨んでいくということに対する決意を伺っておきたいのであります。
-
○宮澤
内閣総理大臣 先般国別約束表を出しましたときに、我が国は関税化ということを前提にこの交渉をすることはできないという意思を明確にいたしたわけであります。
-
○
串原委員 そこで農林大臣、基本的に伺いたいわけでありますけれども、この基礎的食糧論を中心とする我が国政府の提案が実現されなければ、今回のウルグアイ・ラウンド農業交渉では日本は全くの完敗になる、こういう危険性があると私は認識しているわけであります。それだけに、我が国の主張を実現してまいりますことは、日本の農業者の問題、農民の問題というよりも、まさに先ほど触れましたように国民全体の課題である、国益である、国としての存立にかかわる重大な問題である、こう考えているわけでございます。したがって、担当であるあなたは、この問題認識の立場に立って今後ともきちっと交渉に臨んでいくというふうに理解しておるのでありますけれども、それでよろしゅうございますか。
-
○田名部国務大臣 お尋ねの基礎的食糧でありますが、国内で生産調整を実は行っている農産物、まあこれについては安定供給、生産制限の実効性を確保しなければならないという観点から、いずれも量的な管理が必要であって、包括的な関税化は受け入れられない、こう主張してきたわけであります。農産物に関する限り、お話しのように輸出をいたしておりませんから、受け入れるものはみんなそれぞれに影響が出てくるわけであります。食糧輸入国としての私どもの立場が交渉結果に適切に反映されるように最大限の努力を傾注してまいりたい、こう思います。
-
○
串原委員 農林大臣、我が国は自由貿易体制の国であるから一番利益を受けているわけであって、ウルグアイ・ラウンド成功のためにも率先して米で譲歩すべきであるというような財界等の一部から声が聞かれるわけでありますけれども、米の自由化、関税化を受け入れただけで貿易摩擦が解消するとか、ウルグアイ・ラウンド交渉が成功するというわけではないと私は思っているのであります。そういう立場に立って、財界の一部等々から、何か米の自由化をしたらウルグアイ・ラウンド交渉が成功するかみたいな意見の出ることを私は大変遺憾に思っているわけでございます。私は、それだけでウルグアイ・ラウンド交渉が成功するなんという簡単なものではない、全体的なものであると考えるだけに、そう思っているわけであります。
そこで、我が国農業の見通しが年々暗くなっております今日、まさに大変なときに来ていると思う。新卒の農業後継者が、先般農林省等々にもお聞きをしたら、昨年度あたりは千八百人前後だというんですね、若者の農業後継者、学卒。これで日本の農業が保持していけるかどうか、大変に心配をいたします。農業後継者の育成を含めて、我が国農業の根幹である米づくりをどう再生させるのか、大きな問題だと思う。
先般同僚議員が質疑をいたしました。
平成四年度、米作転換を緩めたい、緩和したいというけれども、そんなに簡単に緩和できるような状態にはない、米づくり農家が激減しているではないかという立場での質疑もありました。私もそう思う。ことし少し程度減反を緩和しても、米づくりがそう急にふえるようなものではない、こう思っているわけでございます。
そういう立場に立ちますと、重大な危機にあると言ってもいい、日本農業は。その危機にある日本農業をどのような展望を持って切り開いていこうとなさっているのか。米の関税化問題が議論され、この米の関税化回避ということを前提にして、農林省はこれとこれをこうやっていこうと思うという基本的な政策について、この際伺っておきたいと思います。
-
○田名部国務大臣 ウルグアイ・ラウンドがあろうがなかろうが、今お話しのように後継者が非常に不足をしてきておる。今、きょう、あすにおかしくなるかというと、そういうことではないわけであります。しかし、だんだん高齢化が進んで、五年、十年たってきますと、確かに問題が出てまいります。
そこで、何といっても、農業、農村というのは国民生活にとって最も大切な食糧を安定供給をしておる、あるいは地域社会の維持等多面的な重要な役割を果たしておりますが、一番の問題は、御指摘のこの担い手不足、それから高齢化、そして、国際化などによって大きな節目を迎えておるのは御案内のとおりでありますが、何といいましても生産性の向上、特に土地利用型農業について問題があります。
ですから、担い手が少なくなることによって、規模をまず拡大していかなければならないという問題がありますが、いま一つは、やはり農民の意識、これが変わっていきませんとならない。どういうふうに変えなきゃいかぬというと、経営意識あるいは管理能力。したがって、私がいつも申し上げますように、企業的経営のできる担い手を育成していかなければならぬ。何となく農業をやるのではなくて、より利益の上がる、生産性の高いとこう申し上げましたが、そういうところを目指して、これから規模を拡大しながら生産体制をしっかりしたものにしていくということが非常に大
事だ、こう思っております。
また、それぞれ地域の特色を生かした農業の振興を基本にしなきゃならぬ。規模を大きくできるところもありますし、そうでないところもある。その辺はきめ細かに、実情に応じて適地適産も含めてやっていかなければならぬ。
また、いま一つは、後継者といえども快適な生活を望んでおるわけでありますから、生活関連の社会資本の整備を進めていかなきゃならぬ。今も予算にお願いしてありますように、美しい村づくりの推進をお願いしてあります。あるいは多様な就業機会の確保、これをいたしませんと、一極集中排除といってもどうしても都会に集中してまいりますので、やはり雇用の場、そういうものを農業の中でもつくっていくということが大事であろう、こう思っております。
今後、現在進めている農業、農村をめぐるこの施策について、総合的な見直しの結果を踏まえ、ただいま申し上げたような観点から、二十一世紀という新しい時代にふさわしい農業、農村、若い人たちが喜んで農業にいそしめるそんな方向を明らかにしてまいりたい、こう考えております。
-
○
串原委員 とにかく若者が農業後継者に定着をする、こういう方向も生まれてこないと非常に心配であります、日本の将来にとって食糧確保の問題等々から。全力を挙げて取り組むことを強く要請をしておきたいわけであります。
それから、私ども日本社会党が九二年度政府予算案組み替え要求という立場で政府にも要請をしてあるわけでありますが、これは各項目にわたっておりますけれども、その中に国有林野事業累積債務対策費を増額をすべきである、こういう要請をしてございます。私は過ぐる総括質問の中でこの問題にも触れました。この社会党の要請に対してぜひ積極的に取り組むべきではないか。これは山を守る原点と考えまして、要請と同時に大臣の取り組む基本的な姿勢について伺っておきたいのであります。
〔中山(正)
委員長代理退席、
委員長着席〕
-
○田名部国務大臣 四党共同修正要求における各般の歳出面の御要望について、自民党としての回答が四党に示された経緯は十分承知をいたしております。
平成四年度のこの予算においては、国有林野事業の累積債務対策について、前年度に比べて三〇%増に当たる百二十九億を計上しているところであります。従来の利子補給に加えて、退職手当及び借りかえに係る借入金の償還金に対しても繰り入れを行うこととしたわけであります。
つきましては、私といたしましても、非常に厳しい財政事情のもとで、国有林野事業の経営改善を推進する観点から最大限の努力をしたものと考えてはおりますが、なお累積債務対策に係る一般会計繰り入れのあり方については、今後の予算編成において検討をいたしてまいる事柄でありますが、国有林野事業の重要性にかんがみまして、今後とも必要な財政措置について適切に検討、対処をするとともに、自主的改善努力の一層の徹底を図りたい、そして累積債務の縮減に努めてまいりたい、こう思っております。
-
○
串原委員 次に、地震予知と防災体制について伺います。
長崎県の雲仙・普賢岳噴火災害は長期にわたり継続しており、被災された方々は大変な困難に引き続き直面しているのであります。被災者に対する食事給与事業の継続などできる限りの支援対策を行っていくべきではないか、こう考えます。御答弁を願います。
-
○東家国務大臣 雲仙は今なお活発な活動がやまない状況にございます。その中に、既にもう仮設住宅で九カ月、大変御苦労も多いわけでございます。そうした中に、四月三日で延長が、期限が切れるわけでございますから、延長問題等も当然考えていかねばならないことでございます。
公平、公正さを欠かないようにとか、避難者の皆さん方の中に溝ができないように、いろいろな角度から県当局が今個別に調査をいたしております。もう四月三日でございますから、近々に出してくださいということを再三にわたって私どもは要望いたしているところでございます。総理もおっしゃられましたように、前向きに善処するべさであろうと考えておる所存でございます。
-
○
串原委員 ただいま申し上げました、伺いました立場に立って、総理いかがですか、お答えください。
-
○宮澤
内閣総理大臣 この問題は、本来非常に難しい問題であると思っております。つまり、六カ月という期間を一応設定いたしました。被災者の方々にその中で自分の努力をいろいろしていただきたい、これは必要なことでございます。そして、就業の機会もできるだけ私どももつくってさしあげるということであるのですから、そのことを、いわば何とかお互いにそういう目的を達成していきたい。しかし、最大限の努力をしてもなおそういうことが可能でないという方々が実際には出てまいる、現実におられるという事実も、またこれ認めなければなりません。
したがいまして、そういう非常に難しい状況の中で、ベストを尽くしてもそれには現実に限界があるという方々に対しては、それなりのことを考えなければならないだろう。よく県の意見も聞きまして、適切に対処をいたさなければならないと思っております。今
国土庁長官がお答えを申しましたとおりでございます。
-
○
串原委員 総理、総理は就任以来大変に多忙をきわめていることはよく理解できますけれども、あなた、現地へ出かけていって、頑張りましょう、国の方でもできるだけのことをいたしましょう、こういうことも含めて激励してやるべきではないんでしょうか。それを強く私は望んでいる、現地も望んでいるわけですね。できるだけ早く現地へ行って激励してやるべきである、こう思いますが、いかがですか。
-
○宮澤
内閣総理大臣 以前から実はそのことを私も考えておりまして、衆議院におきまして予算の成立をさせていただきましたら、できるだけ早くということを念願をいたしておりますので、できますれば明日にでもと実は考えておるところでございます。
-
○
串原委員 ぜひ行ってあげてください。
いま一つ、制度的になかなか簡単ではないというふうにお聞きをしておりますけれども、長崎県の雲仙岳災害対策基金を政府の拠出によって大幅に増額してやることが大事ではないか、大切な政治課題ではないかというふうに私は思いますけれども、いかがでしょうか。
-
○東家国務大臣 雲仙岳災害基金に対する政府の拠出については、この基金は長崎県が住民の自立支援を行うため設置したものでございますし、国はこれに対し所要の財政支出を講じているところでございます。この基金により長崎県は大変地元のニーズに柔軟に対応し、大変役立っていることだと思いますし、なおまた、これから増額をしてほしいというような御要望があれば、柔軟に対処するというようなことで関係省にもお願いをしているところでございますので、これも長崎県の方で具体的に早くお示しをいただければというふうに考えておりますし、もちろん私どもは、県当局とも十分協議しながら今日進めているところでございます。
-
○
串原委員 現在、日本で地震の事前予知が可能とされておりますのは、マグニチュード八級の東海地震だけと言われています。マグニチュード七級のいわゆる直下型地震については、現状では予知は極めて困難な状況と専門家が言っております。首都圏直下地震の予知、東京を初め首都圏の予知体制の強化、整備を急がなければならないと思う。専門家はそのおくれを強く指摘をしているのであります。
お聞きいたしますと、この予知に対する深井戸、これは三基計画をしているようでありますけれども、専門家は、少なくとも十基程度なければこれは予知体制にとっては不完全である、こういうふうに言われているのであります。その点を含めて、どんな体制で臨んでおられますか、伺います。
-
○谷川国務大臣 地震の怖さにつきましては今さら申し上げるまでもございません。予知は最大の防災という認識のもとに取り組んでおるところでございます。
今お話がありましたように、首都圏は厚い地層で、地表が厚い堆積層で覆われている、それからまた人間活動によるノイズが多うございまして、なかなか悪条件が重なっておりますために、予知が困難であります。このために政府としましては、政府関係機関、国立大学、緊密な連携協力のもとに、首都圏の地震予知の観測、研究を実施しておるところでございます。
特に、今お話がありましたように、広域にわたって深部のデータをとることが重要でありますので、三千メーター級の地震観測施設など、広域の深部観測施設の整備を現在進めております。これによりまして、地震予知能力の格段の向上を図って、首都圏の皆さんが安心して眠れる状態を早くつくらなければいかぬと思っておりますが、財政事情等もありまして、なかなか思うようにまいりませんけれども、できるだけ早く今申しました整備をしていきたいと思ってやっておるところでございます。
-
○
串原委員 都市圏の拡大によりまして大都市周辺の丘陵開発が進む中で、危険が潜在化しております。一九七八年の宮城県沖地震を教訓にしなければいけないときではないか。したがって、急傾斜地における宅地開発の規制等、斜面崩壊対策の整備を急がなければいけないのではないか、こう私は思うのであります。
ここに、中央防災
会議地震防災対策強化地域指定専門
委員会の諸先生方が検討され政府に答申された中にも、「自然斜面のすべり及び崩壊」の中に、「自然斜面のすべり及び崩壊の検討に当たっては、崩壊の可能性、崩壊する土量及び二次災害を引き起す可能性の三点を明確にする必要がある。」なお、現段階においてその強化地域の指定を行うことは無理だけれども、妥当ではないけれども、その防災上の重要性にかんがみて、判定技術の向上等について別途検討することが必要である、こういうふうに指摘されております。私もそう思います。政府の対策、方針を伺っておきます。
-
○山崎国務大臣 お答えします。
近年、大都市周辺の丘陵開発が進んでおりますところから、先生御指摘のような宅地造成に伴う災害の発生のおそれが著しい土地につきましては、都道府県知事が宅地造成工事規制区域に指定いたしまして、宅地造成工事をその許可にかからしめて擁壁や排水施設等に関する技術的審査を行うことにより災害の防止を図っているところでございます。また、都市計画区域内におきましても、同様に都市計画法に基づく技術水準を遵守させることによりまして安全な市街地が形成されるように努めているところでございます。
今後とも、このような丘陵開発に当たりましては、これらの法令の適正な運用を図ることによりまして災害の防止に努めてまいる所存でございます。
-
○
串原委員 大臣、御答弁願いましたが、そういたしますと、今申し上げました対策は現在の法令、規制、これで十分だとお考えなんですか。
-
○伴政府
委員 現在の宅造規制の仕組みは先ほど申し上げたとおりでございまして、地震予知と絡めて今後それをどういうふうに整備していくかということはこれからの検討課題だと思っております。
-
○
串原委員 検討してください。
そこで、軟弱地区における防災対策の整備について伺いたいのでありますけれども、沖積平野、港湾の埋立地など軟弱地帯では地震の震度も甚大と専門家は言っております。特に、液状化災害の危険性は埋立地では非常に大きいと言われているわけであります。一九六四年新潟地震、一九八三年日本海中部地震、一九八七年千葉県東方沖地震などがいい例でございます。新たに埋立開発を行う場合は地盤の液状化対策を視野に入れた防災対策の整備が強く求められると考えられるのであります。
私もいささかこのことについて専門家の先生方にもお聞きいたしまして心配しているわけでありますが、先ほど申し上げますように、中央防災
会議の専門
委員の先生方が答申をいたしました中の三項にもこのことを大きく指摘をしております。「これらの地域」、つまり軟弱地帯ですね、「これらの地域を強化地域に指定し、一般的な震災対策を講じることも一つの方法であるが、液状化現象の特性に鑑み、局所的に効果的な液状化対策を講ずる方策について、別途検討することが必要である。」というふうに指摘をされているわけであります。
私も専門家の先生方の話を聞いて、若干現地を視察したこともあります。専門家でありませんから直ちに理解はできないにしても、ここをこういうふうに埋めて、例えば海を埋めて宅地造成をした、この地域はこういう程度で大丈夫かなという心配をとても抱くわけであります。その意味で液状化対策は非常に重要だ、こう思っているところであります。海に囲まれました日本、特に首都圏におけるこの現状というのは放置できないのではないかと考えておりますだけに、政府の取り組み、方針についてこの際伺っておきたいのであります。
-
○東家国務大臣 埋立地においての地盤の液状化等については大変問題になっていることは承知いたしております。そうした地盤の改良による安全性の確保、なおまた基礎ぐいの打ち込み、構造物の、建築物の安全性等、大変な課題を抱えていると承知いたしております。
今後は所要のそうした問題点を調査しながら、地盤の液状化によって災害が、被害が起きないように、今後とも十分な調査を進めていきたいというふうに考えております。
-
○
串原委員 時間が許せば少し、一九四四年の十二月七日ですか、東南海地震の大地震があって、その際私は村の役場に勤めておりまして、村社の祭典に村長と一緒に参画をしていて大変な恐怖を覚えたことを記憶しております。と同時に、後で知ったのですけれども、私どもの諏訪湖周辺は軟弱地帯、液状化地帯でありましたので大変な災害を受けた。ところが、ある建物は液状化対策を講じておりましたためにびくともしなかったという建物が現存しているわけであります。液状化対策は、一つは技術、対策、方法でもある、こういうことを専門家は指摘しているわけでありますから、今御答弁をいただきましたけれども、国土庁、この取り組みは少し積極性に欠けていると思う。これは積極的に取り組んでください、強く要望をしておきます。
次に、週休二日制など労働時間の短縮について伺っておきたいのであります。
我が国の過労死は何か外国語にまでなっているというふうに、うれしくない話があります。こんなことで、経済大国とか言われ経済競争に勝ったといたしましても、生活のゆとりがなくなるだけで、豊かさからは大変かけ離れていると言ってもいいのではないかと思うのでありますが、中小企業部門を含め、労働時間の短縮に真剣に取り組むべきではないか、こう思います。対策について伺います。
-
○
近藤国務大臣 先生から御指摘がございましたが、豊かでゆとりのある生活を勤労者に実現するためにも時間短縮が大事でございますし、今や日本の労働条件、労働時間というのは、過労死がいわゆる国際語になっているという御指摘がございましたけれども、国際的な関心にもなっているわけでございます。
実は労働省といたしましても、こうした労働時間短縮にはいろいろ御協力をし、また実現を期してきたわけでございますけれども、最近は労働時間は着実に短縮、減少しておりまして、実はこれまでは所定内労働時間はそれなりに減ってきたわけでありますけれども、所定外、残業の方が必ずしも減少しなかったけれども、昨年末からことしにかけてそちらの方も減少している、こういうことでございます。
ただ、政府が五カ年計画の目標としている千八百時間達成には、今のところまだ二千時間を超えてございまして、毎年減っておるのが三十時間を超えておりますが、なかなか簡単じゃない、こういうことでございますので、ひとつこの労働時間短縮のために、労働省といたしましても、週休二日制を実行していただく。有給休暇をとっていただく。そして所定外労働、残業を抑えていただく、こういうことで努力をしておりまして、特にこの国会では労働時間短縮促進のための法律も御審議いただいて、このことによって国全体としての労働時間短縮計画をつくるだけじゃなしに、各企業においても労使が話し合っていただいて具体的な労働時間短縮の計画をつくっていただく。
またこれは地域的にも横並びの問題もございますし、また元請、下請の関係もございますから、そういう業種間の系列の中でも時間短縮ができるように、いろいろ環境整備をしてまいりたいし、またそのために必要な融資制度につきましても、現在中小企業労働力確保法という法律がございまして、最低五・五%から時間短縮のための融資がございますが、ぜひひとつこういった制度を広く活用していただいて、中小企業においても時間短縮が進まれるように今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
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○
串原委員 大臣、今触れていただきましたけれども、特に中小企業間における時短、これはなかなか簡単にいかないというふうにも考えられるわけですね。でありますから、特に中小企業者に対する指導、援助、これには特段力を入れるべきではないのか、こう思うんですね。見解を伺っておきます。
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○
近藤国務大臣 実は、中小企業と大企業の総労働時間を比較してみますと、大企業の場合にはいわゆる所定内労働時間が減っておりまして、すなわち週休二日だとか有給休暇の取得が進んでおるわけでございますが、いわゆる残業、所定外労働時間が結構多い。で、逆に、中小企業の場合にはむしろ所定外労働時間が大企業より少なくなっている。そのかわりに所定内が減ってない。すなわち週休二日制とか有給休暇というものが、先生御案内のように、地方の中小企業を見てもそれほど普及してないわけでございますので、まさに週休二日制を実現してもらう、そういう点では、公務員や銀行の週休二日制、これが浸透していきますと、中小企業においても土曜日働いても意味がないな、こういうふうなコンセンサスがだんだん浸透すると思いますので、そういう総合的な社会環境の整備というのが大事だと思うわけでありますけれども、しかし、そういってもやはり省力化のための投資についてはいろいろ中小企業の場合には困難な面もございますので、先ほど申しましたように、昨年の八月以来中小企業労働力確保法という法律のもとで相当有利な融資制度が現在ございますが、なかなかまだ普及していない面もございます。
ですから、こういう点について関係省庁にも御協力いただいて、もっともっと積極的なそういう融資制度の活用をしていただくと同時に、実は、労働基準行政は末端においても、単に時間短縮を言うだけではなしに、その場合に必要な融資制度はこうあるんだというようなことも積極的に労働基準行政の末端でPRするようにしたらどうだ、こういうことを今検討しておる次第でございます。
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○
串原委員 週四十時間労働規制への移行を法律に従いまして実施すべきであるというふうに思うのでありますが、そして公務員等の完全週休二日制を早期に実現をし、週休二日制への移行の浸透を図るべきだと思います。どうでしょう。
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○
近藤国務大臣 実は先生、私は、先憂後楽という言葉がございますので、むしろ一般の国民の方々よりも先に公務員が週休二日になるのはちょっと問題かなという感じを持った時期も過去にございました。しかし、その週休二日というものをやはり全国に、地方まで普及していくためにはお役所がまず模範を示すということが大事だ、こういうことでございまして、今度の国会にも公務員の週休二日のための法律を御審議いただくことになっておりますので、早くこれを御審議いただいて、そういう全体としての週休二日のムードづくりにひとつ政府も先頭に立って行動する必要がある、かように考えております。
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○
串原委員 超過勤務手当、残業手当のつかない、つまりサービス労働などという実態は、労働関係法規の想定するところではないものでありますね。ところが、このようなことが慣例化されてきた、この労働行政、指導というのは、私はお粗末なものであったというふうに思うんですよ。これはきちっと、しっかりと指導しなきゃいかぬと思うんですけれども、見解を伺います。
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○
佐藤(勝)政府
委員 ただいまお尋ねの件、実際にいわゆる超過勤務をしても残業手当が支払われないという事態があるということの御指摘でございます。
私は、もちろん労働基準法に違反をする事実を発見いたしました場合にはこれは厳正に対処をしておるところでございます。また一方におきまして、最近サービス残業と言われるような事態も指摘をされておるところでございます。この問題につきましては、単に法律違反ということにとどまらず、どうも事業主の側におきましては時間管理をはっきりやらない、あるいは労働者の側でそういうことを申し出ることは何となくしにくいような、そういう環境ができているというような問題もございます。したがいまして、この問題につきましては、法違反であるとかないとかという議論ももちろん必要でございますけれども、その前に、そういったものが生ずる土壌というものをやはりなくしていく必要があると思っております。
そのために、昨年、所定外労働削減要綱というものを労働省がつくりました場合にもそのことを指摘をいたしまして、そういうものが生ずることのないように、そういう土壌をなくすということを労使双方、あるいは広く社会一般に啓発、普及を図るという立場で鋭意努力をしている次第でございます。
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○
串原委員 少し時間が詰まってまいりましたから国際貢献につきまして伺いたいわけでございますが、外務大臣、担当として伺いますけれども、PKFへの参加凍結によってPKO協力法案を成立させるという意味の発言を外務大臣は述べられているようでありますけれども、そうではなくて、一たんPKO法案を撤回をして、非軍事、民生、文民を原則とした国際平和協力隊を創設するなど、新しい視点に立った国際貢献法案を提案すべきではないのか、それが国民的な声である、こう私は思うのでございますが、いかがでしょう。
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○
渡辺(美)国務大臣 現在のPKO法案は、用心には用心を重ね、いろいろな歯どめをかけて、本当に平和目的にしか全く使えない法案にいたしてあるわけでありまして、ぜひとも、一部衆議院で修正をされてせっかく参議院に行ってもう審議が始まろうとしておるわけでございますし、その間、非常に国民もよく理解をしていただいておる、我々はそう承知をいたしておるわけでございます。したがいまして、ぜひとも現行のままでひとつ成立をさしていただきたい。
まあ扱い方につきましては、これはそろそろ運転じゃありませんが、若葉マークの運転でも結構ですよと、本当にみんなが安心できるような方法でひとつ運営をいたしたいということもこれから、これからですよ、参議院で審議が始まればそういうことも申し上げてまいろうかなと思っておる次第でございますから、まあ世の中も随分変わってまいりまして理解も深まったことでございますから、やはり順応をして御参加をいただければ大変ありがたいとお願いを申し上げる次第でございます。
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○
串原委員 公式的に御答弁になりましたけれども、理解はますます深まっていないんですよ。逆な方向にある。これはまことに将来の日本の国際貢献にとって好ましくない事態である、こういうふうに考えているわけでございます。
何としても、あの案にこだわり過ぎる、こう思う。国際貢献をしなきゃならぬということはだれも理解しているわけでありますから、みんなが協力をし得る体制をつくらなきゃいかぬ。まして、今のままで、自衛隊の諸君、汗を流しましょうなんと言ってみたところが、そうですかというふうにはとても自衛隊の諸君も考えられないという報道もよく聞く、意見も聞くわけであります。むべなるかなというふうに思う。
でありますから、これは強く締めくくりの立場で指摘をしておくという程度にしておきますけれども、検討をされることを要請しておきたいと思っています。余り原案にこだわり続けてはいけません、こう申し上げておきたいと思う。
そこで、カンボジアの平和と復興への協力、これは外交面におきまして大切な課題になりました。アジアにとりましても重要な政治課題でございます。事態は日に日に前へ進んでいて結構でありますが、カンボジアヘの平和と復興への協力は、まさに軍事ではなく民生面で実力を発揮すべきではないかと思っています。軍事面ではない協力の仕方は、ここではもう項目別に並べる時間がありませんけれども、幾らでもあります。大変な項目を挙げることができます。したがって、民生面で実力を発揮する、協力をしていく、こういう姿勢を堅持すべきであると思いますけれども、いかがでしょう。
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○
渡辺(美)国務大臣 カンボジアに展開されるというのはUNTACでございますが、これは言うならばPKOそのものだと、実体的にはですね、言って差し支えないんです。
もう内戦は、一応トップの間で署名ができて停戦になった、それで再びけんかを始まらないようにしようと、そのためには、やはり七割は武装解除をするというんですから、応じるというんですから、そこに各国の方が入っていって武器をお預かりして武装解除をして、その武器を破壊するか、一時どこかに安全なところに凍結するかはそれはわかりませんが、いずれにしても武器を取り上げるということです。
そうして、あとは三十万人からの難民が国外に逃げておりますから、その人たちをカンボジアに戻す、戻すにしても土地がなければ来れませんし、原野や何かでも何万発埋まっているのかよく実際わからない、かなりの数の地雷が伏せてあるというから、その地雷を取らないと、これは難民の方がけがをするという事態が多いから、地雷の撤去から始まらなきゃならない。それに、タイ側から来る道路、鉄道の整備というものもやらなきゃならぬ。それで今度は開墾をさせる。一方は今度は選挙の準備をして来年は選挙に持っていく。こういう手順でございますから、物には順序があるわけでございます。
それに対してましてアジアの諸国も、インドネシアも外国に軍隊を出したことないんだが、これは戦争じゃないし平和をつくるために出すんだといって、八百五十人ですか、一大隊。それから、台湾も既に数百人の人を出して道路の建設や何かに協力をしている。フィリピンも出しましょう、中国も出しましょう、マレーシアも出しましょう、みんなでもう出そう。米英はもちろん、ドイツも既にもう旗立っているわけですから、そういうように世界じゅうが参加をして国連の族とともに出ているときに、日本だけが行けない、余りにも情けない話じゃないかと、そういうようなことで、我々としては皆さん全部が出られること、世界的に見て平和活動だと言っているのに、日本だけが軍事活動だ、軍事活動だと言ったってですよ、これはなかなか納得が得られないんですよ。
ですから、ぜひとも、戦争に行くわけじゃないし、戦争をさせないようにやる。民間とか別な団体を使ってといったって、組織的に訓練された人を皆、何百人というのを今すぐ集めるわけにもいかない。身分の保障の問題もある。したがって、この法案によって、もちろん民間とか官庁とかからも募集する場合もありますが、組織的なものを送ってやらなきゃならぬ、そのためには総合的に考えた現在の法案をぜひともひとつ通していただきたいというのが我々の考え方でございます。
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○
串原委員 今の議論はまさにすれ違いであります。これは時間をかけて議論をいたしましょう。
そこで、最後に総理、自民党の内部では国連軍への参加が一部の機関の組織を経て取りざたされているようでありますけれども、国連軍をつくるということもそうそう簡単なものではないというふうに思う。アメリカの国防総省の報告書によりますというと、米国一国の指導性、世界的な軍的プレゼンスの維持強化も言明していて、国連もその道具であるという意味の報告がなされています。たとえ国連軍ができたといたしましても、憲法解釈の変更でそんなことを簡単にすべきではない、私はこう思うのであります。総理、いかがですか。
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○宮澤
内閣総理大臣 国連軍ということがよく言われるわけでございますけれども、今の国連憲章を読んでみますと、国連軍というものはどのようなものであるかについて明確な定義がございません。かつて設けられたこともありませんし、また国連憲章の四十三条には、そのために特別協定を設けるというようなことが書いてありますけれども、その特別協定の内容も不明でございます。したがいまして、まあ将来この憲章をちょっと、何といいますか、多少離れた形で、本当に国連自身が国際公務員による一つの戦争防止、平和維持の。ためのものをつくるという、ちょっと今の憲章を離れまして一つの理想形としてのものを考えるというのであればこれは別でございますけれども、今の憲章、あるいは昨年湾岸で行われました、これは多国籍軍でございましたけれども、このようなものとの、その発展、その延長線で考えられている限りでは、それは、我が国が海外において武力行使をすることは憲法で禁じられているということとの私はやはり衝突があると考えておくべきであろう、そう思っております。
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○
串原委員 時間が参りまして恐縮ですけれども、一言、総理。
当初申し上げましたように、私ども四党が共同要求、修正要求をいたしましたことに基づきまして、総理は誠意を持って政府であとう限り、できる限りの努力をしてもらいたいということを強く要請をして終わることにいたしますが、それに対して最後に総理、一言お願いいたします。
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○宮澤
内閣総理大臣 四党の共同修正の御意見がありまして、自民党との間で御論議がありまして自民党より回答がなされましたことはよく承知をいたしております。そのような経緯は政府も十分存じておりますので、この自民党の回答内容を重く受けとめまして、その回答の内容につきまして、今後、誠意を持って適切に対処をいたすつもりでございます。
-
-
○
山村委員長 これにて
串原君の質疑は終了いたしました。
午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時一分休憩
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午後一時
開議
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○
草川委員 公明党・国民
会議の
草川であります。
まず最初に、私ども公明党の基本的な
平成四年度予算案についての態度を申し上げておきます。
後ほど討論でも行いますが、この予算案は国民の期待にこたえたものではない、さまざまな問題提起をいたしておりますが、先送りをすることになり、到底認めるわけにはまいりません。なおまた、政治改革あるいはまた政治腐敗の防止のために、真相追求のために、俗に言う三点セットの証人喚問、あるいはまた共和あるいは佐川急便問題等々の証人要求をいたしておりますが、これは予算案成立後も、ぜひこの予算
委員会において真相究明のために証人喚問等が行われるようお願いをしたいという意思を申し上げて質問に入りたい、こういうように思います。
まず、質問に入るわけでございますが、今からの二問は、実はこれは私ども公明党だけではなくて、民社党の方の御了解を得まして、両党を代表する形になりますが、質問をいたします。
すなわち、二月の二十五日のこの
委員会で行われました塩崎証人の証言について、三月三日、公明党の
冬柴鐵三
委員、民社党の
川端達夫委員が閣僚の資産公開について問題提起を行いました。この件について、両党を代表して政府の見解を求めるわけです。
まず一番に、資産公開における割引債の取り扱いについて、特にこれは閣僚のということになるわけでございますが、二番目に、同様にこの資産公開で流動性預金も公開をすべきではないかという問題提起をしたわけでございますが、この点について官房
長官からの御答弁をお願いしたい、こう思います。
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○
加藤国務大臣 まず最初に、資産公開における割引債の取り扱いについてでございますが、閣僚等の資産公開において割引債が有価証券として公開の対象に含まれることは、この間答弁申し上げたとおりであります。ただ、有価証券について、株式、国債などは内訳として明示しておりますが、割引債については明示していないために、資産公開の対象となる有価証券のうちに割引債が含まれないとの誤解を招く可能性もあったと考えられますので、この点は御迷惑をおかけしたと考えております。したがって、今後の資産公開に当たっては割引債を明示するなど誤解を生じないようきめ細かい配慮をしてまいりたいと存じます。
次に、資産公開で流動性預金も公開すべきではないかというこの間の御指摘でございますが、流動性預金について一定金額以上は公開すべきであるとの御指摘は一つの御意見であると考えます。しかしながら、流動性預金は日々変動があり資産性が乏しいことから、資産公開の趣旨から見て、そこまで公開の対象を広げるのはいかがかという考えもあり、この問題につきましては、国
会議員の資産公開制度に関する動きも見ながら慎重に検討したいと考えております。
-
○
草川委員 今の答弁を我々も了解をいたしますが、特に前段の割引債を明示をするなどの点については、今後の閣僚の資産公開等におきましても誤解の生じないよう配慮されたいということを申し上げておきたいというように思います。
続いて、第二番目の問題でございますが、昨日来の予算修正の問題でございますけれども、この予算修正の自民党からの我々に対する回答の第二項に「パート問題」というのがございます。我々はこのパートの問題については大変強い要請をしておるわけでございますが、このことにひいての直接的な金額的な回答はもちろんないわけでございますが、三番目に「予備費の使用、補正の機会があれば補正予算」云々という項がございますが、この補正予算ないし
平成五年度以降の予算編成にこのパート問題がかかるのかどうか、この点をひとつ自民党の総裁として宮澤総理にお伺いをしたいと思います。
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○斎藤(次)政府
委員 大臣がおられませんので、事務的なお答えをさせていただきます。
昨夜の与野党折衝で自民党から歳出面についてもいろいろの回答があったことは私ども重く受けとめておりまして、今後いろいろな機会に、野党から御要望のあったことについてよく事務的にも詰めて、できるだけ適切に対応したいという考えております。
-
○
草川委員 いずれにしても、きょうは締めくくりでございますので、総理の総裁としての御確認を私は求めておるので、同様なら同様ということも言ってください。——じゃ、後でその確認だけしてください。きょうは締めくくりでございますので、そのことがどうのこうのということは申し上げませんから。
-
○宮澤
内閣総理大臣 大変恐れ入りますが、ちょっと大蔵大臣の意見を聞きまして、きちっとお答え申し上げたいと思いますので、暫時御猶予をお願いいたします。
-
○
草川委員 二番目に、防衛費の削減について質問をしたいと思いますが、防衛費の削減につきましては、衆議院の本
会議あるいはまたこの予算
委員会等々でさまざまな議論が出ておるところでございます。
そこで総理に、この予算
委員会で公明党の
山口那津男議員が質問をしておるわけでございますが、いわゆる防衛費の圧縮規模については、
防衛庁長官は一千億円プラスアルファという旨の答弁をいたしております。総理もその方針に変わりがないのか、御確認を願いたい、こう思います。
-
○宮澤
内閣総理大臣 いわゆる中期防の修正、見直しにつきまして、まだ防衛庁で作業を始めたばかりでございますけれども、現実には湾岸問題との関連で一千億円の削減が決まっております。したがいまして、下方修正という方向でございますと、これに加えてどのような下方修正をするか、そういうふうに私考えております。
-
○
草川委員 じゃ、第二問になりますが、これは
防衛庁長官で結構でございますが、防衛費の削減に向けて防衛計画の大綱の見直しというのが議論になっております。それから中期防衛計画の総額の圧縮ということも議論になりました。また自衛官の定数の減少、減員ということも議論になりました。またAWACSについても議論が出ておるわけでありますし、イージス艦の問題も出ておるわけでございますが、ひとつこの際、中期防の総額の圧縮なり自衛官定数の減、AWACS、イージス艦は一体どういうことになるのか、
長官から御答弁を願いたい、こう思います。
-
○宮下国務大臣
委員御指摘のように、ただいままでにいろいろ議論がなされましたが、防衛計画大綱につきましては、これは現在の中期防で自衛官定数のあり方を含めて防衛力のあり方を検討するということで、これは今中期防期間中に見直しをいたしまして次期防に反映をさせるということをしばしば御答弁を申し上げておりまして、そのとおりにいたしたいと思っております。
そして二番目は、今総理からも御答弁がございましたように、中期防の規模の問題でございますが、これも現在の中期防に御承知のように書かれておりまして、それに従って今千億プラスアルファというように総理もお答えいただきましたが、私もそのとおり心得ております。
それから三番目に、自衛官定数でございますが、今の自衛官定数は大綱別表によりまして十八万人体制でございますが、実際の現在の中期防におきましては、現員の充足その他を考えて十五万三千人以内と定めておりますが、この陸上自衛隊の自衛官定数の問題も大きな検討項目になろうかと存じております。
同時に、AWACSとイージス艦についても、個別の装備でございますが、言及がございました。AWACSにつきましては、私どもは、これは早期警戒機能、そしてコントロールシステムですね。今の地上の指揮所とバッジシステムの組み合わせよりも、あるいはE2Cがございますけれども、それよりも、専守防衛の立場に立った場合は、より情報を早期にキャッチし、そしてそれを効率的に、機能的にコントロールをしていくということがぜひ必要だと存じて、機能的には私は必要だと存じておりますが、この機種は現在生産中止でございまして、なおこれをただいまその取得の可能性あるいは妥当性、特に経費との関係で今検討中でございまして、今の中期防では、これを四機取得することが予定をされておりますが、ただいま鋭意検討をしておる。機能的には私は必要なものだと思っております。
それから、最後のイージス艦でございますけれども、これは今回護衛隊群がございまして、その中にDDGという一種のミサイル搭載艦、これがあることは先生御案内のとおりでございます。この中で、前期中期防で二機調達をいたしております。そして、本中期防ではやはり二機を予定しておりまして、一機は既に発注済みで、あと一機というか一隻残っでございます。このことは、四護衛隊群によりまして我が国の海上安全を保つという組織編成の建前からいいまして、私はぜひこれはもう一隻は必要なもの、このように存じておりますので、御了承いただきたいと思います。
-
○
草川委員 優先順位や防衛力全体の中での位置づけを考えてみえることだと思いますが、特に予算
委員会における市川書記長の発言ではございませんが、新しいひとつ哲学をこの際防衛政策として持つべきではないかというようなことも公明党としては言っておるわけでございますので、ぜひ総理御答弁の、前広にそのような理念というものを早く国民の前に打ち出していただきたいということを強く要望を申し上げておきたいと思います。
その次に、政治改革になるわけでございますが、これは総理にお尋ねをするわけでありますが、
阿部代議士に対して総理はその後辞職というようなことを勧告をされたのかどうか。機会があるならばアドバイスをするというようなことも繰り返し御答弁なすっておみえになりますが、その後具体的な接触をされたのかどうか、お伺いしたいと思います。
-
○宮澤
内閣総理大臣 私自身が接触をいたしたことはございません。
阿部代議士の友人等々がいろいろ気遣っておられることは承知いたしておりますけれども、やはり御本人の意思いかんで、御本人が決めなければならないことであろうということを友人の諸君も考えておられるようでございます。
-
○
草川委員 きょうはこういう時間のない席でございますから、また前回のように長いやりとりになりますので私は避けますが、今の総理の御答弁というのは私は大変不満でございます。今、国民の政治家に対する批判というのは非常に鋭いものがあるわけでありまして、本当に早く身辺をきれいにし、そして国民の疑惑にこたえるというのがお互いに政治家にとって大切だ。特に同僚であり、また、かつてのお仲間であるわけなんで、私は総理というお立場を離れても、友人の一人としても、早くこの問題に一つの結論をつけられることを強く要望しておきたいというように思います。ただいまの答弁は大変不満だということだけ申し上げて、次に移りたいと思います。
その次は、定数是正問題というのがきのうもきょうもいろいろと、与党の中でも問題になっておるようでございますけれども、総理は、この御提言をどのように受けとめられるのか、あるいはまた、具体的にどういうような決意を持って定数是正等に臨まれるのか、お伺いをしたい、こう思います。
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○宮澤
内閣総理大臣 政治改革の問題につきましては、先般、私どもの党の中で、私から政治改革本部に対しまして私の考えていることをお伝えをいたしまして、その後今日まで連続、ほとんど連日、熱心な議論が繰り返されてまいりました。今日午後には結論が出るということを聞いておりまして、ただいまの段階でまだ存じませんけれども、問題になります点は、いわゆる定数の問題あるいは政治資金の問題、政治倫理の問題、国会改革・党改革等々でございますが、そのうち、先般当
委員会でも御議論がありますように、緊急に措置すべきものがございますので、やはり緊急改革と、やや多少時間がかかっても今年の後半に考えるべき本格改革とを分けた上で、党内のこの段階での結論を多分今日じゅうに私のところへ言ってこられるのではないか。
そういたしますと、その上で、各党もいろいろ案をお持ちでございますので、お願いをいたしまして、来週なりには政治改革協議会をお開きいただいて御協議をいただき、そして成案を得たものから、この国会においてひとつ成立をさせていただきたい、こういうふうに私としては願っておるところでございます。
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○
草川委員 それから、これはいささかこういう質問をするのは総理にとって大変失礼かと思いますが、自民党の金丸副総裁は、昨日、社会、公明、民社の党首の方々と会談をなされました。これを客観的に新聞の報道するところを引用いたしますと、予算通過のための環境づくりと、それから今後の政治課題についての提言をされたのではないかと報道されております。
しかし、これを私なりに解釈をいたしますと、こういうようなことが定着をすると、最大政党の自民党にとっては総理・総裁の分離ということになっていくのではなかろうか。首相は、何か、新聞によりますと、歓迎をされておるようでございますけれども、定着をすることはかえって総理の指導力不足と受け取られるのではないか、要らぬ心配でございますが、御感想を賜れれば幸いだと思うので、お答え願いたいと思います。
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○宮澤
内閣総理大臣 何か政策の問題等々で与野党間で決定をいたす必要がありますときには、これは党首会談をお願いいたさなければならないことでございまして、その場合には、当然これは先方様に対する立場でも私自身が御一緒にお話をしなければならない問題でございますけれども、昨日の場合、つまりこの場合は、特定の何かをお互いに議論の上決定しようという場ではございませんで、むしろ現状においていろいろ情報を交換し、意見交換をしようという場でございますので、そういう意味では練達の金丸副総裁においで願うことが大変にいいのではないか、また結果としてもよかったようでございますけれども、私からお願い申し、またその結果についても副総裁から直接に御連絡を受けておるところでございます。
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○
草川委員 結果的にいいか悪いかは、これの実効性が確保されることが我々にとってもきのうの会談の裏打ちになるのではないだろうか、十分注目をしていきたい、こう思っております。大変失礼な質問でございましたので、次に移りたいと思います。
で、PKO法案というものがあるわけでございますし、公明党といたしましては、一昨年来から国際貢献のあり方について本当に熱心な取り組みをしてまいりました。過日のこの予算
委員会で市川書記長は、PKF、いわゆる兵力引き離し等については凍結ということも含めて国際貢献のあり方はどうだろうかという、非常に一つの重要な提言をなすってみえるわけでございますが、このことを含めまして、このPKO法案成立に向けた総理のお考え、対応をお聞かせ願いたいと思います。
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○
渡辺(美)国務大臣 総理大臣がお答えをする前に、私からお答えします。
いずれにいたしましても、PKO法案は、修正の上参議院に送付されて、これから審議を始めるということでございます。できるだけ多くの人の賛同を得て成立をさせたいという考えには変わりはございません。そういうようなことで、あのPKO法案が現実の問題としてカンボジア和平に役立たせるためには一日も早い成立が必要なわけでございますから、一〇〇%を求めることよりも、うまくそれでまとまりがいいというならば、若葉マークの安全運転から始まってもいいんじゃないかというような感じは持っておりますが、いずれにせよ、与野党の間で話し合いを進めていただきたいと考えております。
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○宮澤
内閣総理大臣 従来から、私といたしまして、まず、このような経済情勢でもございますので、予算案の早期成立をまず最優先に考えてまいっております。これからもさようでございますが、その次に、先ほど
草川委員も言われました政治改革の問題が急を要します。そしてPKOと、今外務大臣が言われましたように、このような我が国周辺の状況でもございますので、何とかこのPKO法は、ぜひこの国会において成案をひとつ得させていただきたい、こういうふうに考えておりますし、またそのために、私といたしましては最大限の努力をいたしたいと考えております。
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○
草川委員 続いて総理にお伺いをいたしますが、国連カンボジア暫定機構の、UMTACの明石事務総長特別代表が来日をされまして、費用の三分の一、すなわち十億ドルの拠出要請がなされたと伝えられておりますが、総理のお考えは、どのようにこれを受けとめられるのか、お答え願いたいと思います。
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○
渡辺(美)国務大臣 正式にそういうような要請状が来たわけではありません。
しかし、分担金の方は、これはもうルールがありまして、日本は二一・四五を持てばいい、しかし、それ以外の復興経費とかいろいろなものがございますから、そういうようなものを含めてアメリカ並みぐらいに持ってもらえないかという内々の希望はあるのでございます。
どうするかにつきましては、今後、費用の中身、何にどう使われるかというようなことなども、やはり大金でございますから、よく聞いた上で、できるだけ協力をしたい、そう考えています。財政上の問題もございますので、閣内でよく相談をした上で、将来、将来といいますか、いずれ返事をしなければならないかな、そう思っています。
-
○
草川委員 じゃあ、今度は総理にお尋ねをいたしますが、去る二月二十七日にエリツィン大統領から宮澤総理あてに、これ多分初めてだと思うのですが、親書が届けられたと伝えられております。また、この中には、今まで使われていない、日本は潜在的同盟国だというようなお言葉もあるようでございますが、北方領土返還への見通しも含めまして、潜在的同盟国だと向こうが書簡に書いてあるようでございますし、その返還のために共同で探求していくという発言もあるようでございます。これをどのように受けとめられておられるのか、お伺いしたいと思います。
-
○宮澤
内閣総理大臣 エリツィン大統領からの書簡を受け取りまして、私といたしましては、ニューヨークで会談をいたしましたときの友好的な雰囲気がそのまま確認されたものと考えますとともに、この両国間の平和条約の締結、領土問題を含みまして平和条約の締結についてのエリツィン大統領の熱意と意欲を感じることができたと考えております。
潜在的な同盟国ということを、余り同盟国ということを厳密に考えなくてもよろしいかと思いますが、両国の間に平和条約ができることになりますれば、これは、潜在的と申さずに、文字どおり友好的なフルの関係ができるということだというふうに考えておりまして、したがいまして、この懸案の処理に私どもも一生懸命進みたい、かように考えております。
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○
草川委員 これも総理にお伺いをいたしますが、実は私、一昨日の外務の分科会で、第二次世界大戦中にナチス・ドイツの迫害を逃れてポーランドからリトアニアに脱出をしてきたユダヤ人に対しまして、日本通過の査証を日本政府の命令に反しまして発給を続け、六千人のユダヤ人の命を救われました旧リトアニア領事館の領事代理杉原千畝さんの名誉回復のことについて外務大臣の見解を求めました。なお、この件については、昨年でございますか、
鈴木政務次官が大変御心配になりまして、リトアニアとの外交関係樹立を機会に飯倉公館で御家族に謝罪をされたと聞いておるわけでございますが、私にとりましては、ぜひ、この名誉回復という意味も含めまして、杉原副領事の勇気ある行動、今日日本にとっても大変大切な行為ではなかったか、こう思うので、これは宮澤総理から二言御見解を賜っておきたい、こう思います。
-
○宮澤
内閣総理大臣 私も、報告を受けておるところによりますと、杉原副領事の行った判断と行為は、当時のナチスによるユダヤ人迫害といういわば極限的な局面において人道的かつ勇気のあるものであったというふうに考えております。この機会に改めてその判断と功績をたたえたいと思います。
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○
草川委員 以上です。この点はありがとうございました。
じゃあ、今度は厚生大臣にお伺いをいたします。
これは、厚生大臣というよりも、政治家山下徳夫先生という意味でお伺いをしたいわけでありますが、山下厚生大臣は、超党派の丸山ワクチン議員懇談会で代表的な立場で、丸山ワクチンが抗がん剤として認められるよう努力をされてまいりました。私どもはその点については大変熟知をしておるわけであります。本日たまたま丸山先生の御葬儀になっておるわけでございますが、丸山先生の業績についての評価をお願いをしたい。あるいはまた、将来への対応についてのお考えをこの際お伺いしたいと思います。
-
○山下国務大臣 丸山先生は、がん患者を救うためにその生涯をがんにささげてこられたのでありまして、丸山ワクチンを愛用した国民は約十四万人いるわけでございまして、まさにこの方々は丸山ワクチンを命綱として頼ってきたわけであります。したがいまして、ここで先生を失ったということはまことに遺憾であり、心から御冥福をお祈りする次第でございます。
私も、
草川先生と志を同じくして努力してまいりました。丸山先生の遺志が生かされまして、丸山ワクチンが抗がん剤として認められるよう、政治家山下徳夫として側面から応援をしてまいりたいと思います。
-
○
草川委員 どうもありがとうございました。
続いて厚生省にお伺いをしますが、丸山先生が亡くなったわけでございますが、日本医科大学を中心として丸山ワクチンの治験が行われておるわけでございますが、今後どうなるのか、継続をされるのかどうか、患者の方々は大変心配しておみえになりますので、厚生省から御答弁を願いたい、こう思います。
-
○川崎政府
委員 ゼリア新薬工業より、今後とも治験は継続されるというふうに聞いております。
-
○
草川委員 どうも、それはありがとうございました。また今後ともぜひ厚生省としての行政的な指導がなされるようお願いをしたいと思います。
残りの時間を、農協問題、特に農協と肥料という問題に絞って御質問したいと思うんです。
今、私ども農家の青年の方々といろいろとお話をいたしますと、優秀な農家ほど農協離れの傾向が目立っております。農協に頼っていては農家経営にマイナスだと考える方が、実は多いわけであります。私は、全農あるいは県の経済連あるいは単位農協の問題について、ここ四年前に肥料問題をやりました。三年前にも農協の段ボール不当取引、すなわち
公正取引委員会の摘発の問題もやりました。昨年は米価の、自主流通米の価格形成問題等を取り上げてまいりました。いずれにいたしましても、農家にとりましては、きょうはこの肥料に絞って質問をいたしますから、簡潔に農林省からお答え願いたいんですが、全農の購買事業における肥料の取扱高、それから末端におけるところの農協系統の化学肥料の流通量及び取り扱い状況を、パーセントだけで結構ですからお答え願いたい、こう思います。
平成二年に絞ってで結構でございます。元年でも結構でございます。
-
○川合政府
委員 申しわけございません、二人で答えさしていただきます。
私の方は、全農の購買事業におきます肥料の取扱高でございますが、二千九百億円、これは
平成元年度でございまして、一〇%のシェアを占めております。
-
○上野政府
委員 化学肥料の流通量はこのところ微減の傾向を続けておりますけれども、
平成二年度の流通量は約五百三十万トンでございまして、このうち硫安が二十一万トン、尿素六万トン、高度化成百八十五万トン等となっております。
流通経路につきましては、農協系と商人系に分かれておりまして、農協系のシェアは、メーカーからの出荷段階で硫安が約七七%、尿素が八二%、高度化成が七四%となっております。小売段階では、肥料全体で、農協系九〇%、商系一〇%というような状況でございます。
-
○
草川委員 末端の農家は、今答弁がありましたように、農協を通じて肥料を買うわけですが、これは九〇%のシェアを持っておる、こういうことになります。
そこで、この肥料というのが一体適正な価格であるかどうかということを、私は本日取り上げたいわけでございますが、それぞれの尿素だとか、硫安だとか、いろいろとございますので、その価格は別といたしまして、大まかに分けまして、これは肥料は肥料年度という一つの仕組みがあるのですが、国内向けの価格と輸出向けの価格について農林省からお答えを願いたいと思うのです。すなわち、メーカーから、日本の化学肥料メーカー
から国内に出荷をされるところの価格と、いわゆるこれは全農購入価格で結構でございます、全農が買うところの購入価格、硫安、尿素、塩安、こういうように分けてお答え願いたい。同時に、輸出価格は一体幾らなのか、これはFOB、船渡しで結構でございますから、その価格について農水省からお答え願いたいと思います。
-
○上野政府
委員 国内向けの価格と輸出向けの価格の比較でございますけれども、全農の場合には消費地での最寄り駅渡し価格、二十キログラムという小袋での価格になりますが、それとFOBは、本船の、ばらによります輸出港本船渡し価格ということで比較をいたしますと、大体国内向け価格に比べまして、硫安では輸出向け価格は三五%、尿素では七七%というような差がございますというような状況になっておりまして、それだけの差があるということでございます。
ただ、今申し上げましたように、荷姿と運送費の差の問題があるわけでございまして、この点の考慮をいたしますと差は小さくなりまして、尿素ではほとんど差がないんじゃないか、硫安では二割程度の差になるんじゃないかというふうに今推定をいたしております。
ただもう一つ、硫安につきましては形質的な差がございまして、国内向けのものは散布しやすいように粒状になっているというのに対しまして、輸出向けのものは粒状のものと粉状のものがまざり合ったばら状態のものになっているということでございます。
私どもは、この安い輸出向けの硫安を国内の市場にも販売をするように今指導をいたしておりまして、現実に二割引きぐらいの値段で国内で小袋詰めで売られておるという状況でございます。
-
○
草川委員 農水省の資料、これ、本日初めてこういうのが、長い間私ども交渉しておりまして出てきたわけですが、硫安はトン当たり二万四千九百円、これが国内価格です、全農購入の。輸出価格が八千八百二十四円、トン当たりです、これが先ほど答弁にありましたように、国内価格と輸出価格の差は三五%、輸出の方が安いわけですね。尿素、トン当たり四万四千七百五十円、輸出価格、トン当たり三万四千四百九十八円、この対比が七七%。それからこれ塩安ですか、トン当たり二万九千五十円、これは国内価格です。輸出価格が一万四千三百九十八円、対比は五〇%。この数字は間違いないですね、今、よろしゅうございますね、ちょっと答弁してください。
-
○上野政府
委員 委員のお読みになられたとおりの数字でございます。それは、私申し上げましたように、ただ、それにつきましては、荷姿であるとか輸送費であるとかいうものの差があるということは申し上げたいと思います。
-
○
草川委員 それで盛んに農水省は、三倍の違いがあるけれども、それは袋詰めだとか、ばらとか、粉だとか、粒だとかの違いによって一概に言えないと、こう言っているのです。確かにそういうことは言えます。しかし、いかにも三倍の価格というのはおかしいでしょう。どう考えたって三倍の価格というのは理解できないんですよ。だから、これは結果としてはお百姓さんが非常に高い肥料を買っているというわけであります。
農業経営の分析をいたしますと、肥料の位置づけというのは非常に大きいんです。これは愛知県の、ちなみに私の、ある市の
平成三年度の普通の田畑の所得標準の一覧表がございますが、稲作、水稲田は十アール当たり収入が十二万六千四百二円、これに対して肥料代が一万五百七十二円、すなわち肥料代が八・四%です。普通の畑の方、麦だとかバレイショだとかというような畑の場合を見ますと、十アール当たり十万八千百九十二円、これは立派な統計でございますけれども、客観的な裏づけがあるのですが、この十万八千百九十二円に対して肥料代が一万一千二百七十六円、すなわち一〇・四%です。この一割近い肥料を少なくとももう少し、二割なり三割なり下げたらお百姓さんは大変喜ぶわけです。残念ながらそれができていない。
ちなみに、なぜできていないかということをそれなりに分析をしていきますと、おもしろいのですけれども、農協の手数料というのが一一・六%、経済連の手数料が二・四%、全農本部の手数料は〇・六%で一四・六%の手数料を取っておるわけです。これに対して一般の商系、普通の商売の方々は、元売、卸等を入れますと、全部でやはり三〇%を超すわけですよ。だから、商売の方がマージンが高いわけですから高く売らなきゃいかぬわけですけれども、実際は低いマージンの農協の方が高いということになる。そこが非常に不可思議なんです。それはなぜかというと、元売の値段、メーカー渡しの値段が、全農系の方と商系と値段が違うわけですよ。そこを我々は分析をしたいわけでございますが、通産大臣、どのようにお答えになられますか。
-
○
渡部国務大臣 主要化学肥料の販売数量は、
平成二肥料年度で約二百十二万トンであったが、そのうち全農向けは約百五十七万トンが出荷されており、そのシェアは約七割でございます。全農への販売価格は肥料年度ごとに決定される統一価格であるのに対し、商社への価格は個々の企業間の取引ごとの条件に応じて決定されておりますので、それぞれの場合によって異なっておるようでございます。
-
○
草川委員 要するに、メーカーの渡しの値段が一般の商系と農協とで差があるというわけですよ。
そこで、手数料が低いわけですから、本来は全農はメーカーから肥料というものを安く買って、そして安く組合員に売らなければいけないにもかかわらず、何をやっておるかというと、逆に商系より高く買っておるのですよ。高く買って、本来は農民にその利益を与えなければ、安く買ってメリットを与えなければならないのに、バックマージンを取っているのです。
すなわち、そのバックマージンの統計を申し上げます。全国農業協同組合の連合会の損益計算書の中に事業収益という項がございますが、事業雑収入、こういう項がございますが、これが統計で出ておりますが、例えばこれは
平成二年の場合でございますが、百七億です。全農の購買の事業扱い高が七兆円とか六兆円とか言っておりますが、大きい金額ですが、この雑収入というのが毎年こうふえてきておるわけでございますが、こういうふえていくあり方を農水省はどのように把握をしておるのか。
それは、全農というものの内部留保になりますから、内部留保で楽かもわかりませんけれども、本来それは農民に還元しなきゃいけないのに、全農という組織が年間百億の金を入れてしまう。これは、いかにも農業協同組合の基本的な精神に私はもとると思うのです。一体、この肥大化した農協組織というものが日本の農業のがんになっておるということを、少なくとも私は、農林大臣はどのように認識をされておるのかお答え願いたい、こう思います。
-
○田名部国務大臣 農協は農業者の自主的な協同組織として、地域の振興でありますとかいろいろ果たしてきた役割も大きいわけでありますけれども、おっしゃるとおり、いろんな意味で時代の変遷に伴った対応ができていないという批判等がございます。
まあしかし農協においては、協同組織としての原点を踏まえた活動を行っていくことが重要だという声も非常に強くなっておりまして、本来の営農活動、指導、そうしたものにもっと当たるべきという御批判がございまして、私どもも今いろいろと指導をいたしておるわけでありますが、このような中で、昨年の十月の十九回農協大会決議によって、みずから事業、組織の見直しを行おうということにいたしたわけでありまして、私どもとしても、農協が協同組織としての原点に立ち返って期待される役割を発揮するよう、こうした自己改革努力に対して的確に指導していきたい。何といっても、農協自身が先取りをして自分のことを改革していくという気持ちがなければ、おっしゃるような多くの批判にこたえていかれない、こう思っておりますが、私たちも十分気をつけて指導
してまいりたい、こう思います。
-
○
草川委員 これは簡単に終わりたくないのですよ。時間があと三分か四分しかありませんので少しはしょりますが、先ほど農林大臣、いろいろと指導しておるとおっしゃっていますが、六十三年度の事業年度で九十三億ですよ、このバックマージンは。
平成元年で九十五億ですよ。
平成二年で百七億と、こうふえていくのですよ。それはなぜかというと、商系の方がマージンが高いから、農協の方がマージンが少ないからその分だけ私にくれ、こういうわけですよ。お百姓さんに渡さなきゃいけないのですよ、本当は。
そういうことを、ずうっと組織としてこれが動いているわけでありますが、農林省はこれは知っているのですよ、ずうっと以前から。だけれども農林省は、お百姓さんの立場に立つのか、全農の立場に立つのかという問題なんですよ。だから、私が最初から言うように、若い農村青年は、問題点をずうっと追及していくとこの農協組織に突き当たると言うのですよ。もっと自由にさせてくれ、そして原価というのを明らかにするようにしてくれよ、幾らでも我々は日本の農業を守ると言っているのですよ。
こういうことを私は毎回言っておるわけでございますが、段ボールだって買えないでしょう、今、単位農協が安い段ボールを。買おうと思うと全部とめられるわけですから。過日公取がだめだと言ったのですが、残念ながら全農、経済連を通じないと段ボールは買えないのですよ、高いマージンを払わないと。私の選挙区なんか段ボール屋はたくさんあるけれども、隣の農協に売ることができない。こういう問題がございますので、ぜひ、公取に実は三問ほど。
それからもう一つ、総務庁にも、農協監察について今後どのような対応をとるかということを言っておりますので、これをあわせて質問をして、それからこの件については、総理、答えてください。この農協問題についての、全農問題についての最終的な見解を、総理、聞いていてどういうように思われるのか、答えてください。それから、もう時間がございませんので、一番最初の税金のことですね、パート減税のはね返りのことについてどうかという、この二問。
それから公取さんには、肥料の取引等において、仮に全農が肥料メーカーに圧力をかけて全農ルートで販売をするよう要請をする、まあ現にしておる例があるのですが、商系の問屋と取引している問屋に対して取引条件等に差をつけて取引をするような場合は独禁法に抵触しないのかどうか、この一問。
それから総務庁には、農協監察をかつてやっておるわけでございますけれども、農家の不満等にもっと関心を持つべきだと思うが、どのような御見解かということをあわせて質問をしたい、こう思います。
-
○糸田政府
委員 具体的なケースはともかくといたしまして、農協につきましては独占禁止法二十四条で適用除外になっておりますけれども、ただしこれにはただし書きがございまして、不公正な取引方法を用いる場合は適用除外にならない、独占禁止法違反であるということでございます。過去にもこの規定を使いまして、例えば系統外ルートでの販売を妨害するといった行為について、これを独占禁止法違反ということで排除措置を命じたケースもございます。こういったようなことから、先生お尋ねのようなケースについても御判断ができるのじゃないかなと思っております。
-
○岩崎国務大臣 先生御指摘の件に関しましては、昭和六十三年に勧告をいたしました農協監察におきまして、組合員のための農協、そういった視点に立ちまして購買手数料等の内容等をきっちり明示するよう、そのように監察の結果、指摘をいたしたところでございます。なお、農林水産省におきましても、私どもの勧告をその方向で受け入れまして、都道府県に指導を行い、その改善措置をとっておるもの、このように承知をいたしておるところでございます。
しかし、農協監察を行った私どもの立場といたしましては、農協における購買事業あるいは販売事業のあり方につきましては、今後とも先生の御指摘の内容を含めまして十分に関心を持ちまして、関係省庁の状況、内容、対応、そういったものをきっちりと見守ってまいりたい、このように考えております。
-
○羽田国務大臣 四党の共同修正の問題でございますけれども、これはパートの問題も含めまして、各般の歳出面の御要望につきまして自民党の方から、御意見を参考とし、予備費の使用、補正の機会があれば補正予算、
平成五年度以降の予算編成において重点的に検討、対処していく旨回答がなされたことを承知いたしております。
このような経緯を踏まえ、私どもといたしましても自民党の回答内容を重く受けとめるとともに、まことにこれは容易ならざることではございますけれども、その回答内容につきまして今後適切に検討、対処してまいりたいというふうに申し上げます。
-
○宮澤
内閣総理大臣 ただいまのパート減税の問題につきましては、大蔵大臣から申し上げましたようにひとつ御承知おきをお願いいたしたいと存じます。
農協のお話は、私も実は詳しくそういうお話を伺ったのが初めてでございましたけれども、伺っておりますと、これはやはり関係各省庁で少し調べてもらいまして、善処をしてもらうべき問題があるのではないかと伺いましたので、よく調べてもらいたいと思っております。
-
○
草川委員 以上で終わりますが、最後に一言要望だけ農林省に申し上げておきますが、先ほど肥料の荷姿の姿によって一概に輸出と国内とを比べるのは問題があるという御答弁がございました。十分承知をしております。ですから、過去一年間の国別の輸出量、ばら積み、粉状あるいは粒状等々で輸出をした場合、国内で販売した場合、それぞれの条件を明示をして細かい報告を後日ぜひ行っていただきたいということを強く申し入れをいたしまして、私の質問を終わりたい。どうもありがとうございました。
-
-
○
児玉委員 総理は、ことしの一月十七日、ソウルでなさった演説の中で、歴史上の一時期に我が国は加害者であり、貴国がその被害者だったという事実があります、こういう演説をなさいました。
この発言には総理のさまざまな思いが込められていると思いますが、その中で、従軍慰安婦の問題も念頭に置かれてのことですか。
-
○宮澤
内閣総理大臣 その部分は歴史的なことを回想して申したわけですけれども、韓国の方々がいわゆる従軍慰安婦として非常な苦しみを経験されたということが事実としてわかってまいりましたので、そのことも思いながら申したところでございます。
-
○
児玉委員 今総理は韓国とおっしゃいましたけれども、朝鮮半島全体だと思うのですが、どうですか。
-
○宮澤
内閣総理大臣 私が申しましたのは韓国でございましたのでさように申し上げましたけれども、その後の調査によりますと、これは韓国に限らないということが正確であろうかと思います。
-
○
児玉委員 日本の朝鮮に対する非常に過酷な植民地支配、そのもとで苦しむ朝鮮民族を日本は侵略戦争に駆り立てました。民族の尊厳とそして性の尊厳、これを踏みにじる最も非人道的な国家的犯罪行為、それが従軍慰安婦の問題であったと私は受けとめております。
総理にお伺いしますが、加害者という言葉、なかなか意味が深いと思うのです。他人に危害を加える者、こういうふうになっておりますが、それは他民族に対して国家的犯罪行為を加えた国、こういう立場で何らかの償いを行う気持ちはございませんか。総理に伺いたい、あなたの言葉ですから。
-
○宮澤
内閣総理大臣 韓国におきましては、そのような事実に対して心から遺憾の意を述べたのでございます。それで、法律的にあるいは政治的に申しますならば、サンフランシスコ講和条約を初めといたしまして多国間あるいは二国間の条約あるいは共同宣言等々で、これらの問題についての国と国との関係は整理をされておる、このように考えております。
-
○
児玉委員 私は、ことしの二月に出された「外交フォーラム」、この中で、外務省でアジア
局長、韓国大使、そして事務次官などを歴任された須之部量三さんがお書きになっているものを大変興味深く拝見したのですが、その中でこうおっしゃっているのです。
これまでの一連の戦後処理を考えると、日本の
経済力が本当に復興する以前のことで、どうし
ても日本の負担を「値切る」ことに重点がかか
っていたからです。いまとなってみると、条約
的・法的にはたしかに済んだけれども、何か釈
然としない。不満が残ってしまう。そのへんが、
今後とも日本の品格あるいは「国徳」とでもい
うべきものが望まれながら出てこないというこ
とにつながりかねないのです。
非常に私は率直な指摘だと思います。
何回かごの
委員会で論議がありまして、今までの日韓経済協かに関する協定、それらをもう嫌というほど伺ったので、宮澤首相が加害者とおっしゃった以上、それに対して何らかの償いをする気持ちはないのか、重ねて伺います。
-
○宮澤
内閣総理大臣 基本的に申しますならば、法律的あるいは条約的にと申しますか政治的にも、国と国との問題は処理をされておると考えておりますが、今後我が国が、過去のそのような反省に基づきまして、どのように平和のために、人道めために働いていくか、これからの我々の行動によってやはりそれを証明していくということが一番大事なことではないかと思います。
-
○
児玉委員 これからの日本の行動によって証明していく、全くそのようにする必要があると思いますね。
そこで私は総理に求めたいのですが、これは被害国があるわけですから、南北の朝鮮の政府ですね、そことの政府間交渉をこの問題で始めるべきだと思いますが、いかがですか。
-
○
渡辺(美)国務大臣 戦争というのは大変な被害を及ぼして非人道的な行為が行われるということは古今東西大体似たり寄ったりのことがございます。我が国も今までいろいろな過去において過ったところもございました。したがって、おわびをするところは心からおわびをしなければならない。しかしながら、どこかの時点で平和条約を結んだり、あるいは日韓のように友好な関係を取り戻すには何かのけじめが必要でありますから、そこで十三年間も交渉した結果決まったのが日韓の経済協力協定であります。その中で、これは賠償ではありませんと、しかしながら、この協定によって、今後政府間でいろいろな請求権というようなものは、一切これは、これによってもう請求はいたしません、一切、完全、最終的に解決ということは、国家間で取り決められた問題であります。
その交渉の過程ではいろいろな議論があったわけです。軍隊にとられた人はどうするのですか、死亡した人はどうするのですか、けがをした人はどうするのですか。それは全部金額にばらばらに見積もるということは不可能だから、だからまとめて無償三億ドル、有償二億ドル、当時の日本の経済規模は、予算の規模は大体六兆か七兆ぐらい、今の十分の一、そういう中で三百六十円レートで一千数百億円のお金を提供することにしたんですから、今の財政規模やGNPから見れば一兆数千億円ぐらいの値打ちがあったろうと思う。だから、そういう関係はもう終わりであります、しかし、個人の請求権までこれは否定するものではないというので、日本の裁判所はその損害賠償要求を受け付けて今裁判をやっているということですから、法律的にはそこで争ってもらう以外に方法はないわけです。
しかし、別の政治問題というもの、人道問題があるんじゃないかとおっしゃるから、私は、社会党の
伊東議員に言ったように、それは、現実にあるわけですからそれは何らかの慰謝といいますか慰労というか何かのことを、何か考えなきゃいかぬなという感じがしているのですという段階であります。
-
○
児玉委員 この後の日本の行動によって理解していただくと、私はまさにそうだと。
こういう問題について同じように第二次世界大戦で、言ってみれば連合国と戦ったもう一方の国である西ドイツ、そこでどんな努力がされているのか。一九五一年の九月二十七日の連邦議会においてアデナウアー元首相の政府声明がありますけれども、その中でアデナウアー氏は、ドイツ民族の名で名状すべからざる犯罪が行われたことに道徳的かつ物質的な償いの義務がある、果てしない苦悩を精神的に静める道を開くため物質的な償いの解決を図る用意がある。私はこの文書を読んで心を打たれましたね。
ナチスの行ったさまざまな犯罪行為、果てしない苦悩を人々に与えた。その人たちの精神的な苦痛、それを静める道を開くために物質的な償いの解決を図る用意がある。今外務大臣は、賠償とは言わないとおっしゃいましたが、私もその点は大体同感です。文字どおりの償いです。それをやる必要があるのではないか。
総理のソウルでの演説のテーマを私拝見しましたら、「アジアのなか、世界のなかの日韓関係」、こういう題でお話しになりましたね。アジアの人々がどんな目で日本を見ているか。
つい先日、二月十三日に京都で開かれた関西財界セミナー、シンガポールの前首相であるリー・クアンユー氏が講演をなさっている。その中で彼はこう言っています。「日本はドイツと違って第二次大戦中に犯した残虐行為について、オープンで率直でない。このため、日本人の本心は変わっていない、という感情的な疑念と恐れを生んでいる」。
どうでしょう、総理、この問題で南北朝鮮政府との交渉を始める、そして日本としては真心を込めた償いをするための特別立法を検討してはいかがですか、総理のお答えを聞きます。
-
○
渡辺(美)国務大臣 北朝鮮との正常化はこれから、今やっている最中でございます。韓国との方は一応決着を見ておるわけです。その後も韓国に対しては今までのいろいろな友好関係にかんがみ経済協力というものを進めて、何度がやってきたという事実はそのとおりなのであります。いずれもそれは日韓の友好関係、それを樹立するために、そういうような過去の問題も頭に置きながらやってきておるということであります。
-
○
児玉委員 この点は重要な懸案としてさらに続けて議論をしたいと思います。
次に、総理の政治姿勢について伺います。
総理は、
渡辺郵政大臣が昭和六十三年の夏以降にリクルート社から献金を受けていた、この事実を御承知の上で
渡辺さんを大臣に任命されたんでしょうか。
-
○宮澤
内閣総理大臣 その事実そのものは私は存じませんでした。
-
○
児玉委員 渡辺郵政大臣は二月の七日、閣議後に行われた記者会見で、昭和六十二年十二月に三百万円、六十三年八月に五百万円を受け取ったことを認めて、首相、官房
長官に報告、陳謝をしたはずです。後者の五百万円は自民党のリクルート問題に関する自民党見解に明らかに触れます。総理は二月七日に
渡辺郵政相からそのことをお聞きになって、なぜ
辞任を求めないのですか、はっきり伺います。
-
○宮澤
内閣総理大臣 官房
長官からそのことは聞き、知っております。過去において起こったことであって、郵政大臣自身が十分にそのことについて御反省をしていらっしゃるということを承知いたしておりますので、私としては殊さら新しい決定をいたす必要はないと思ったのであります。
-
○
児玉委員 それでは国民の宮澤内閣に対する信頼が、今でも損なわれてますが、ますます深刻に損なわれていくことになります。
私は、はっきり申し上げますが、この
委員会でのさまざまな審議の中で、例えば三月七日の予算
委員会、我が党の木島議員の質問に対していろいろなお答えがありましたが、そのときの
渡辺郵政大臣の御答弁を速記を取り寄せて精査いたしました。リクルート社から昭和六十三年八月に五百万円の小切手を受け取ったという事実について
渡辺郵政大臣は、「否定をせざるを得ない環境にもありましたし、否定をさしていただいた。」と答えていらっしゃる。事実を偽ったということをこの予算
委員会の席上で述べているのです。事実を偽り、かつ偽った理由をこれだけあけすけに語って、なおかつ責任をとろうとしない大臣、私の知る限りではこれが初めてです。こういうことを放置しておいたら、また否定をせざるを得ない環境にぶつかったら事実を否定するということになりませんか。
いろいろ立場はあるけれども、私は一つのことを思い出します。昭和六十三年の十二月当時法務大臣をなさっていた長谷川峻さん、この方が昭和六十三年の夏以降、すなわち皆さん方の見解です、いろいろと肝心なところが抜けていて私たちはそれがいいと思ってません、しかし皆さん方のその見解に照らして、長谷川さんは、六十三年の夏以降の十月にリクルート社から後援会費として四十八万円が振り込まれていた、そのことが明らかになったとき、私はうそをつく結果となった、決意一瞬と、こう言って
辞任された。当然のことだと思う。
渡辺郵政相に
辞任をお求めになったらどうですか。
-
○宮澤
内閣総理大臣 渡辺さんがそのことにつきまして、恐らく当時のことを認識されずにおられたのであろう、結果としてそういうことが後になって判明をしたということであったと思いますから、故意に国会にうそを、偽りを言われたというような状況ではなかったのであろうというふうに私は思っております。
-
○
児玉委員 総理は政治家のモラルについて非常に博識でいらっしゃると思いますけれども、欧米の政治家にとっては事実を偽ることが最も恥ずべきことで、最も鋭く責任をとらなきゃいけない事態だ、私はそのように承知をしております。
長谷川さんはどうだったかというと、本当だと思って言っていたんだけれども、結果として後から何がしかのお金が入っていることがわかった、それで決意一瞬ですよ。そのことの是非について私は余りコメントする立場にはないけれども、それが政治家としての道だと思います。
環境が悪ければ、言いにくければ事実が言えないんだという閣僚をあなたは抱えたまま、この後宮澤内閣を進めようとされているのですか、いかがですか。
-
○宮澤
内閣総理大臣 渡辺郵政大臣は恐らくそのことを知っておられなかった、失念をしておられたと思いますが、都合が悪いから申し上げなかったということではない、そういうことではなかったのだろうと私は思います。
-
○
児玉委員 皆さんのけじめはそういった内容のものではありませんね。リクルート社の問題が社会的に大きく明らかになった、そのとき総理自身も関係なさった。それ以降の献金についてということをはっきり言っている。そして、
渡辺さんがこの金返却したということを盛んに強調されているけれども、五百万円の小切手を受け取ったのは明らかに六十三年の八月、夏以降ですよ。返却したということは受け取ったということの何よりの証明ですよ。
そういう問題について、例えば海部前首相はどうであったか。八九年の十月の参議院本
会議で大臣の任命の基準を質問されたとき、海部さんはこう答えています。組閣に際し、閣僚候補者から自主的に申請をしてもらって、自民党のリクルート問題における政治献金等に関する見解及びいわゆるけじめ案に従って対処しているところでございます。
この立場はあなたにはないのですか。
-
○宮澤
内閣総理大臣 先ほども申し上げましたとおり、
渡辺さんが故意で事実を隠しておられたというふうに私は考えておりません。
-
○
児玉委員 全然それは、皆さん方の自民党自身がおつくりになった見解、けじめにも反していますね。そういう態度をあなたがおとりになるというのは、宮澤首相自身のリクルートについての疑惑をいまだに引きずっている。言ってみれば、総理がそうだから内閣全体がこういう状態になっている。この点について引き続き私たちは厳しく追求していくことを述べて質問を終わります。
-
-
○
中野委員 アメリカの政財界のリーダーが日本に対する感情として持っている気持ちの中に二つのキョウイがある、こう述べる人がいます。すなわち、一つは驚異的な経済力を持つように至ったという表現の驚異、もう一つは日本がこれから最大の脅威となるという意味での脅威、この二つの感情を払拭しなければこれからの日米関係というのは決して好転しないであろう、こう言われるわけであります。
昨日、我々野党四党と自民党の間において予算修正に関する自民党側の回答というものがございました。
冒頭は防衛費の問題であります。この防衛費の問題も、論ずるときに、国際社会の軍縮傾向の中で日本もその軍縮の一翼を担うという姿勢で防衛費については考えていかなければなりません。同時に、その防衛費は総合的な安全保障の一環をなすにすぎません。
そう考えますときに、一つの矛盾が生じできます。例えば日米関係は、その軍事費の一部を日米貿易の一部になしているという現実があります。同時にまた、思いやり予算を取り上げるまでもなく、日米関係における経済的な負担の割合があります。トータルとしての軍縮を考えるとき、また防衛費の削減を考えるときに、日米の経済関係もまた抜きにして考えることはできないと思うのであります。言うならば、国際情勢に合わせて、同盟国であります。アメリカとの協議を踏まえながら防衛費の削減の方向を探っていかなければいけません。同時に、しかし日米の経済関係も考慮に入れなければなりません。そのトータルが総合的な安全保障の一環として大変重要な意味合いを持つと思うのであります。
そういう視点に立って、これからのアメリカの二つの日本に対するキョウイ観というものを払拭することも含めて総合的な対策を講ずるとすれば、今何が一番大事だと総理はお考えか、まずお伺いをいたします。
〔
委員長退席、村上
委員長代理着席〕
-
○宮澤
内閣総理大臣 大変難しい問題でございますけれども、基本的に両国が価値観を同じくしている、また、その同じくしている価値観を今後とも、殊に冷戦後の時代において、新しい世界の平和づくりのために推進をしていこう、こういう基本的な立場に立っておるその原点に常に返っていくということが必要であると思います。その立場から、防衛の問題あるいは安全保障の問題、それからお互いの経済関係もその原点に立って常に考えていくということが必要ではないかと思います。
-
○
中野委員 そこで、防衛費の例えば削減なら削減、見直しなら見直し、これに実は注意しなければならない要点が二つあると思います。
一つは、国際情勢が大きく急激に転換しているわけであります。そのスピードに日本が合わないということは、国際社会からの信頼を失うことになります。しかしながら、今申し上げましたように、防衛費の削減はいろいろな経済効果を及ぼしてまいります。そういたしますと、これはある程度中期的な展望を持って計画的にやりませんとそれを消化することができません。時には日本の経済のシステムに影響を与えるでしょうし、日米関係の経済関係にも影響を与えるでしょう。そういう意味では、急いで見直す、そして計画性を持ってじっくりと取り組んでいくというこの二面性が必要だと思うのです。
そこで私どもは、早急に見直し、
平成五年度予算編成からその数字的な及ぼし方をし、それで、それは単年度で一気にやるなんということは到底できないことですから、五カ年計画をおつくりになってはいかがか。そうすれば、それを受けとめる、例えば日米関係や経済構造というものもそれに対応する幅を持つ、しかし、国際社会の動きに対応して、日本としておくれることのない対応を世界に示すことができる、こういう意味で申し上げてきたわけでありますが、いかがお考えでしょうか。
-
○宮澤
内閣総理大臣 恐らくその点の御指摘かと存じました。我が国の防衛に関します調達の中に米国からの調達が相当人きゅうございます。しかもそれは、長期計画と申しますか後年度負担と申しますか、かなり長い間の契約に関するものが相当ございます。そういうものにつきまして、これはアメリカの経済にもそういう形で影響を与えるわけでございますから、両国の間でも十分な協議があって、その上で事を進めていくことが望ましい、恐らくそういう意味での御指摘であろうかと存じますが、それはまさに現実にそうであろうと存じております。
-
○
中野委員 そういう意味では、きのうの野党の申し入れに対する自民党の回答、これはかなり、文言になっておりますから抽象的になっておりますが、私は、今も私が申し上げたような視点に立って積極的に、そして早急におやりになるという御決意があるというふうに考えていいわけでしょうか、再度確認をさせていただきます。
-
○宮澤
内閣総理大臣 前々から申し上げておりますとおり、いわゆる中期防の修正等々につきましてはやや前広に、できるだけ前広にこれを検討してもらうということをかねて
防衛庁長官に私からお伝えをしてあるわけでございますが、防衛庁としても、ただいま
中野委員の御指摘になりましたような観点も含めながら、この私の指示に対して鋭意作業を進めていてくれるものと考えております。
〔村上
委員長代理退席、
委員長着席〕
-
○
中野委員 次に、きょうの報道でございますが、インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙が農業問題、ウルグアイ・ラウンドの問題について新たな報道をいたしているようであります。それは、アメリカの新しい提案に対してEC諸国がかなり期待をしている、またはそのことについてアメリカとECとの合意が近々得られるのではないかという観測記事が載せられているようであります。もしそうだとするならば、これは日本がひとり孤立をしてしまいかねないという危険性が急激に高まったと言わざるを得ません。これを果たして今後どう対応していくのか。
私は、その問題の裏腹の問題でありますけれども、経済の見通しも、そして現在の農業対策も同じことが言えると思うのであります。見通しを甘く、対応を何もしないということになりますと、これは大変なことになります。見通しは、それなりの戦略が必要でありますからそれなりの物を言うとしても、しかしその陰において、例えば経済対策や農業活性化のための農業総合政策というものは、抜かりなく、抜け目なくやっておかなければいけないはずであります。今、その農業政策についてもそういう抜かりない構造がとられているかどうかということを私どもは大変疑問に思いますし、そしてまた、日本の農業者もそのことに一番大きな不満を感じていると言わなければならないだろうと思うのであります。
そういう意味では、ウルグアイ・ラウンドの今後の見通し、アメリカとECとの話し合いがいよいよ急激にどうなっていくのか、そしてまた、日本の農業対策はいかなる事態が生まれてもきちっと対応できる、そういう対策が講じられているのか、そのことについての御見解をお伺いいたします。
-
○小倉政府
委員 先生の御指摘の最初の部分につきまして、事務的なこと、事実の確認というようなことでちょっとお答えいたしますが、確かにベーカー
長官とECのドロール
委員長が数日前に会談したということは事実でございます。そこでウルグアイ・ラウンドについても話し合われだということも事実でございますが、そこで話し合われた内容といいますのは、第三国間のことでございますめで私ども全部確認したわけではございませんが、まあ従来と比べまして大きなそこで進展があったというわけではない、いろいろ話し合ったということであって、必ずしも大きなそこで、今までのような氷が全部解けたとか、そういうところまではいっていない、こういうふうに理解しております。
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○田名部国務大臣 お答えをいたしますが、ウルグアイ・ラウンドがあろうとなかろうと、現状のままで日本の農業がいいかというと、いろいろな問題を抱えています。
今、新しい食料、農村、農業という、省内で検討いたしておりますのも、二十一世紀に若い人たちが本当に意欲を持って日本の農業というものをやっていただく、それには、何といっても経営感覚を持ち企業的なセンスでやっていかなければ大変だということでこれはやっております。
だから、ウルグアイ・ラウンドの絡みでやっているのかというと、決してそうではなくて、ウルグアイ・ラウンドの方は、国会決議もございますし、いろいろと国内で自給する、こういうことで今折衝しているわけですから、だれも予測がつかない。大変な事態を迎えて、私ども必死になって頑張っているわけでありますが、いずれにしても、交渉しているときに一方では何かこうやるということでは本当に集中して戦いに臨めるかということで、私どもはもうこれ一点に絞ってやっている。しかし、一方ではそういう新しい体制もつくっていきたい、こういうことで頑張っているわけであります。
-
○
中野委員 いついかなる事態になろうとも、それに負けないだけのものを用意しておくことも、またこれは総合安全保障でございます。
そういう意味では、ウルグアイ・ラウンドで妥協するから、可能性があるから対策を講じるというのではもちろんあってはなりません。むしろ本来なすべきことがなされていなかったことにいろ。いろな問題が起こっているのではないかということを指摘しておきたいと思うのであります。
同時にまた、アメリカとECが話し合いがつくかもしれない、そこまでいっていることではないという御報告もありましたが、私は、そういう甘いものではない、こう思っております。国際間の駆け引き、交渉、これは随分と激しいものが行われているはずであります。そういう中で、日本がそのアメリカとECの中に割って入る、時にアメリカと組み、時にECと組み、時にケアンズと組んで、多数派になって対策を講じていくという積極的な外交姿勢というものが当然必要であろうと思うのであります。そういう視点に立っての具体的な行動をとっておられますか、いかがでしょう。
-
○田名部国務大臣 私の方でも三度にわたりましてそれぞれの国に日本の考えていることを伝えてまいりました。また同様に、アメリカとECも深い隔たりがあって、それぞれに全部あるわけですから、そういうことではまずアメリカもECも話し合いをする、あるいは、カナダとも個々に話し合いをする、そういう中でどういうふうに積み上がってくるかということは、これからの問題だというふうに考えております。
私ども、手をこまねいているわけではなくて、早々に日本の案というものはこういうことですということをお出ししておりますので、私の方は、各国が全部わかっている。あとは、おくれて出した国が、今までわかっていなかったものがだんだんこういうことで反対というのが明らかになってきておるわけでありますから、それを踏まえて、今ECとアメリカが盛んに交渉、話し合いをしているというふうに受けとめております。
-
○
中野委員 最後にパート問題でありますが、これはまた昨日の自民党さんからの回答によりますと、政府は政府で検討する機関をつくる、協議の場をつくる、また、党は党として政調を中心に各党間協議の場をつくりたいというお答えでございました。その他の施策についてもそういうことが行われるであろうと思いますし、約束はぜひお守りをいただきたいと思います。
一つ問題は、現在の労働力不足そして景気対策等々を考えますときに、また、中小企業対策を考えますときに、これはパート減税という視点だけではなくて、パート問題、むしろ積極的にパート対策と言った方がいいのかもしれません。そのことは大変欠かすことのできない要素でありますと同時に、女性が社会で活躍する場を曲がりなりにも広げる一つのよすがであることも事実であります。そのためには急務を要すると思っているわけであります。
例えば、我々は百万円の限度枠を百十万円にせめてまず上げたらどうかとこう申してまいりました、パート減税については。これらについても、減税となりますかどうかは別にいたしましても、少なくともことしの年末には、減税であれば年末調整ができるとかというふうに早急な対策が必要であります。政府として審議会を設けてやるわけではないようでございますから、実務担当者が集まって検討するということのようでありますが、早急に結論を出し、早急な対策を講ずるという前向きの姿勢をお持ちなのかどうか、確認をしておきたいと思います。
-
○羽田国務大臣 四党修正の問題につきましては、私どもも党の方から報告をいただいておるところでございまして、自民党の方から御回答を申し上げましたこと、これを我々は誠実に進めていきたいと思います。
なお、このパート問題につきましては、それこそ各場所におきまして皆様からいろいろと御意見があったことでございまして、私どもといたしましては、これは減税というのは実際に非常に難しい、しかし、いろいろなその見方があるでしょうということでございますので、直ちにやはり行動に移すべき問題もあろうと思っておりますから、この問題について皆さんの御理解を得られるようなことをするために積極的に努力をしていきたいということだけ申し上げておきたいと思います。
-
-
-
○楢崎
委員 先ほど
草川委員が先にやられたのですけれども、私は、どうもきのうの与野党の首脳会談、新聞に出ている一部では党首会談というふうに最初聞いておりました。私は、金丸副総裁と野党の党首が会われて会談されること、これは、話し合いはいいことですよ、それを悪いとは言ってないんですね。ただ、党首会談であるならば、党首である宮澤総理が会談をされるべきではないか、いつ与党は総・総分離をはっきりされたのであろうか、そういう疑問を感じるのです。私は、宮澤総理のために、そういうことはきちんとなさった方が、政治的なリーダーシップの上においても重大ではなかろうか。
なお、一言つけ加えるならば、これは野党三党も、党首が会談するのですから、当然宮澤総理に会談を申し込むべきではなかったか、これは私はそのように考えます。総理のお考えを聞いておきたい。
-
○宮澤
内閣総理大臣 年末に予算の編成につきまして党首からお話を伺う、あるいは何か特定の政治の課題、政策の課題がありまして、党首同士でその妥結を図るといったようなときにはまさに党首会談でございます。その場合には私自身がその責任を持たなければならないと思っておりますが、昨日のようにお互いに情報を交換をし合うというようなことは、これもまた大変に有意義なことでございますしばしば行われるということが私は望ましいことであって、厳密な意味での党首会談ではございませんけれども、有意義なことと思っております。
-
○楢崎
委員 じゃ、総・総分離は行われていないんですね。
-
-
○楢崎
委員 次に、昨日の新聞の朝刊社説に、「国会を蝕む汚染の広がり」、こういう題で社説が載っております。その中に、他党のことで失礼ですが、社会党では、「上野代議士の疑惑とは別に、東京佐川急便の不正事件にからんで議員二人の名前が報道されている。この時期に三つも不祥事が重なったのは、偶然とは思えない。」という一節があります。私も偶然とは思えないのであります。この社説を書いた方の意味と、私が偶然と思わない、その意味が違うかもわかりませんが、余りに上野代議士の、もうやめましたけれども、リークというのはタイミングがおかしいんじゃありませんか。宮城の補選の投票日の朝、朝刊に出たでしょう。これは真里谷、ゴルフ場開発会社ですよね、それから麻薬の問題があってマル暴関係があるから、警察はとっくにつかんでおったはずです。そして懐にそれをおさめておって、ちょうどいい時期にこれをリークする。私は余りにもこのタイミングのよさに、政治的リークについて、政治的な意図を感ぜざるを得ないのです。そうじゃなかったら幸いですが、余りにもタイミングがよ過ぎる。投票日の朝でしょう。
だから司法当局の方にお伺いしますが、こういうやり方は私はよくない。本人のことのよしあしを言っているのじゃないのです。このリークの仕方についてですね。それを申し上げたいのです。どうでしょうか。
-
○塩川国務大臣 それは楢崎さんの全くの私は杞憂だと思います。偶然にそうなったんだろう、事件の進行上そうなったんだろうと思いますけれども、そういう政治的意図を持ってリークしているということは警察当局としては絶対ございませんし、そんなことも過去にあったと私は聞いておりません。
ただ、現在まだ染谷容疑者を捜査をしている進行中に、いろいろな会社の関係の方々あるいはその周辺から出てきたということ、これは我々はかり知れないところでございますけれども、警察当局に確かめましたところ、まだ全然そういう染谷容疑者と上野前代議士との関係等のところまで捜査は十分に進んでおらないということを聞いております。したがって、そのリークがあり得るということはないと思っております。
-
○楢崎
委員 ただ、客観的にはそうだれでも思いますよね。そうだれでも思います。それを申し上げておるわけです。——いや、私だけだったらいいですよね。
次に、私は、最近のいろいろなスキャンダルに、政治的なスキャンダルも含めて、ゴルフ場が登場する。そういう意味で、私は総括でも宝塚ゴルフ倶楽部の問題をやりました。これは非常に複雑ですから、今後とも関係官庁なりあるいは関係自治体に対する調査を継続したいと思います。
ただ、私はゴルフしないからわかりませんが、される方多いと思います、大臣で。ゴルフ場の許認可というのは何ホール以上ですか。どなたでも結構です。——時間がないということですから。案外これは知られてないんじゃないでしょうか、案外。ゴルフの達人でも知られてないと思います。これは時間がない。私は知っているから。言いませんがね。
最後、時間が参りましたので、この前の私の質問の中で、山下大臣しか答弁する方がいなかったから、私はあのときにごめんなさいと言ったわけですよね。あなたが主役じゃないんだということも言っているし、十分これは、私は要望書を出して、これには答えられたがいいですよと、そう言ったはずですよ。その辺は十分頭に置いて——私のところへきのうこの西尾という人からこういうものが来ました。これは相手方にやってくださいよね。私にやるんじゃなしに、この西尾という人は。
それからもう一つつけ加えておきますが、おっしゃる前に。この西尾という人は、恐らく名刺もこの人がつくったんじゃないかと思うのですよ、あなたじゃなくて。そう想像している。なぜならば、これは昨年の四月初めごろ、そこの赤坂の料亭「
佐藤」というのがありまして、それで、ここで落選された議員の励ます会があった。十人ぐらい出られておる。そこに、問題にしました三恵工業所の石川という人が西尾という人から呼ばれて行っているのです。そこには十人ぐらい参加者がおった。政治家の方もおられます。そこでどうも平河経済研究会の名刺を見せて信用をさせていろいろ問題が起こった。もし、そこに出ておる政治家がだれか、私は言いませんけれども、この「
佐藤」というのは三五八五−八二〇一、電話番号言っておきますから、電話がけられればどういう政治家が出たかわかると思います。
以上、もし弁明されるんだったら、
委員長にぜひ特別にお願いしたいが、一言だけ私も発言を許していただきたい、後で。
-
○
山村委員長 楢崎君、持ち時間が終了しております、残念ながら。
-
○山下国務大臣 先日の当
委員会においての楢崎
委員の御質問に対して、調査の上お答えをするということになっておりましたので、次の三点についてお答えをいたします。
第一点は、西日本鉱業株式会社の渕上さんという方の手形の件であります。
楢崎
委員に、よく相談してと言われましたが、相談という意味は私にはよくわかりませんが、私は西尾さんに来てもらって事実関係をただしました。その結果、楢崎
委員が手形詐欺ではないかとして取り上げられました約束手形については、楢崎
委員が渕上さんという方の一方的な主張を、事実関係をよくお調べにならないで安易に取り上げられたもので、実際は既に当事者間で和解が成立しておるのであります。
この件について西尾さんは、昨年十月十四日、楢崎
委員の発言の中にあった渕上さんに対して、法に訴えるとの内容証明を発送されていると聞いております。
第二点は、平河経済研究会の件であります。
この件については、塩崎議員に対しどういうことかと尋ねてみました。塩崎議員からは、あなたにまで迷惑をかけて済まないという言葉がございました。塩崎議員自身、自分が会長であるということは知らなかった、ましてやあなたが副会長であったことなど私は全く知らない、こういうことでありました。もちろん、これは会合も一度も開かれてないということであります。極めて不本意な感じを持っておるのであります。
第三点は、過剰融資及び病院にかかわる手形事件のことでありますが、このことについては私の全くあずかり知らぬことであります。なお、西尾さんからは、これらを含むその他の件についても事実に反し、また病院の手形については裁判所において係争中である、このように聞いておりますので、念のために申し添えておきます。
また、西尾さんは、楢崎議員の先日の質問について、名誉を傷つけられたとして、法的手続をも考慮している旨の通知書をきのう楢崎議員に発送されたと伺っております。
-
○
山村委員長 これにて楢崎君の発言は……(楢崎
委員「院内の発言について院外でそういうことができますか。それだけはっきり言っておきます」と呼ぶ)これにて楢崎君の質疑は終了いたしました。
これにて締めくくり総括質疑は終了いたしました。
以上をもちまして
平成四年度予算三案に対する質疑はすべて終了いたしました。
—————————————
-
-
○
児玉委員 私は、日本共産党を代表して、
平成四年度、一九九二年度予算三案につき政府がこれを撤回のうえ編成替えを求めるの動議について、提案理由及び概要を御説明いたします。
まず、撤回、編成替えを求める理由についてです。
一九九二年度政府予算案は、老人医療自己負担の引き上げ、政管健保、国保への国庫負担の引き下げ、生活保護費の三年連続削減、地方交付税の大幅減額など国民の負担を一層強化するものです。今、国民生活は、過労死の不安、老人差別医療、大学、教育の荒廃など深刻な事態が広がっています。これは、自民党政府の臨調行革路線、軍拡路線によってもたらされたものであります。こうした路線を継続し、国民の願いに反する政府予算案の撤回と抜本的な組み替えを強く求めるものです。
次に、編成組み替えの概要について述べます。
第一は、国民生活優先の予算に転換することです。世界に例のない長時間、過密労働をなくすためには、労働基準法の抜本的改正が急務です。米輸入自由化を断固拒否し、食糧の自給率向上、価格保障制度の充実、農家負債の抜本的な軽減措置など、日本農業再建の道を示すことです。今年は国連障害者年の最終年、障害者の働く権利、教育、福祉、社会参加の保障など抜本的な障害者対策を実行し、新たな十カ年計画の策定を求めます。深刻な大学の現状を解決するために研究費、施設設備費の大幅増額、私学助成の抜本的な増額を求めます。
第二は、冷戦構造を前提とした防衛計画の大綱、中期防を撤廃し、新たな正面装備の発注の中止、米軍への思いやり予算廃止など大胆な軍縮政策を実行し、軍事費を半減することです。従軍慰安婦への補償問題では、時の権力が行った歴史的な犯罪行為の責任を明らかにし、補償のための特別立法をつくることを検討すべきです。国家補償の見地に立つ被爆者援護法の制定、シベリア抑留者問題の根本的解決を要求します。
第三は、庶民のための緊急減税の実現、大企業優遇にメスを入れ、貧しい人ほど負担が重い消費税は廃止すべきです。とりあえず国民の負担を軽減するために生活必需品の完全非課税を実現すべきです。
国債の大増発を食いとめ、大企業優遇の不公平税制に大胆にメスを入れて歳入を確保するとともに、歳出面では大企業補助金の大幅削減、大規模プロジェクトなどを根本的に見直すべきです。
以上が動議の概要です。
委員各位の御賛同を期待して趣旨弁明といたします。
-
-
○
山村委員長 これより討論に入ります。
平成四年度予算三案及び
児玉健次君外一名提出の動議を一括して討論に付します。
討論の通告がありますので、順次これを許します。
原田昇左右君。
-
○
原田(昇)
委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております
平成四年度予算三案について、政府原案に賛成し、日本共産党から提出された、編成替えを求めるの動議に反対の討論を行うものであります。
平成四年度予算は、内外の諸情勢を踏まえ、国際貢献、生活大国など喫緊の課題の実現を図るとともに、来るべき二十一世紀をも展望して編成されたものでありまして、現状において行い得る、最良、最善の予算であると考えるものであります。
以下、政府原案に賛成する主な理由を申し上げます。
まず、賛成の第一は、公共投資の拡充等、景気に配慮した予算となっていることであります。
平成四年度予算は、生活関連分野を中心とした社会資本の整備に重点を置くなど公共事業関係費の拡充を図り、一般会計、財政投融資、地方単独事業において、思い切った伸びを確保しております。
これは、適切な金融政策の実施と相まって、今後の内需を中心とする持続可能な成長への移行を図るとともに、景気対策としてもまことに時宜を得た最善の措置であると高く評価するものであります。
賛成の第二は、生活に直結した施策の推進を図り、社会保障関係費の充実等、国民生活の質的向上を目指した予算となっていることであります。
政府が策定いたしました「高齢者保健福祉推進十か年戦略」いわゆるゴールドプランは、本年で三年目を迎え、本年も、ホームヘルパーの大幅な増員、特別養護老人ホームの緊急整備等の措置を図るなど、すべての国民が安心して老後を送れる社会の実現に向け、その施策を着実に推進しております。
また、医療面においても、ナースセンターの創設等福祉人材の確保に努めるなど、国民医療のための環境整備が着実に推進されていることは、極めて適切な措置と言えます。
このほか、中小企業対策費、農林水産関係費、文教及び科学技術振興費等、めり張りのきいた予算措置が講ぜられており、これらについても評価するものであります。
賛成の第三は、先般のソ連邦の解体に象徴されるような、昨今の激しい国際情勢の変化を十分踏まえた予算となっていることであります。
平成四年度の政府開発援助予算は、量的には、国際公約である第四次中期目標の最終年として、その達成に十分な規模を確保するとともに、質的にも、無償の増額や技術協力の拡充等が図られております。
また、ODA以外でも、旧ソ連地域への支援、地球サミットの推進等地球環境保全への協力、国連平和維持活動支援強化拠出金等、国際社会への貢献を最重要課題とする我が国の姿勢を内外に示したものであります。
また、防衛予算は、
平成二年に策定した中期防衛力整備計画を踏まえ、最近の国際情勢をも勘案し、効率的で節度ある防衛力の整備に努めております。防衛関係費の三・八%の増加については、そのほとんどが四年度以前に契約したものの支出に充てる経費と隊員のための人件糧食費等のいわゆる後方の充実を図ったことによるもので、冷戦時代の終えんといった最近の国際情勢をも十分に反映した妥当な規模になっていると考えるものであります。
以上、政府原案に賛成する主な理由を申し述べました。
最後に、我が国の財政については、
平成四年度末の公債残高が百七十四兆円にも達する見込みであり、国債費が歳出予算の二割を超えるなど、依然として構造的に厳しい状況にあります。来るべき高齢化社会においても経済社会の活力を維持し、かつ、国際貢献等の内外の諸要請に適切に対応できるよう、政府におかれましては、今後とも財政改革を一層強力に推進されんことを強く要望する次第であります。
狂お、日本共産党提出の編成替えを求めるの動議につきましては、各般の考え方に大きな隔たりがあり、到底容認できないものであり、断固反対であります。
以上をもちまして、私の討論を終わります。(拍手)
-
-
○
野坂委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました
平成四年度予算三案に対して反対の討論を行います。
予算案に反対する理由の第一でありますが、景気後退に対処できる予算案ではないということであります。
最近、自民党・政府首脳や財界からは、予算を早期に成立させ、公共事業の前倒し発注が景気対策上必要であると再三にわたり指摘されております。しかし、公共事業を早期に執行すれば景気対策になると発想すること自体、旧態依然と思います。むしろ景気対策の観点から申しましても、生活重視の観点から要求した私ども四党の予算修正要求を大胆に受け入れるべきだったと言わなければなりません。景気対策の面でも中身のない予算案をそのままにして、公共事業を前倒しをすれば景気が浮揚できるといったような考えは、いかにも選挙目当てで場当たり的であります。
反対理由の第二、生活重視への転換が不十分であるということであります。
今、貿易摩擦への根本的な対処策として、また国内的な要請からも生活大国が言われており、生活重視への政策全般にわたる転換が急務となっておるのであります。
その観点から一般公共事業を見ると、住宅対策や下水道等若干の生活重視の評価もできるものでありますが、しかしこれは本当に微々たるものであり、従来の固定した予算配分から転換したとは到底言い得るものではありません。
社会保障関係費も、総額十二兆七千三百七十四億円、対前年度比五千二百四十六億円の増でありますが、伸び率で四・三%であります。久々に一般歳出の伸び率を下回っております。在宅福祉施策の充実が目立っておりますけれども、予算抑制を目的化するような態度は改めるべきであります。
第三に、防衛費が増額されていることであります。
米ソ間の核軍縮を初めとした大胆な軍縮の進展、米ソなどでの軍事費の大幅削減等々という国際環境を踏まえれば、防衛費をふやすこと自体問題なのであります。
先ほどもお話がありましたように、AWACS等は、アメリカでは製造中止になっておるものを調査費の計上等もなされております。今防衛計画の大綱や中期防衛力整備計画の見直しに早急に着手し、軍縮計画を明らかにするとともに、来年度についても防衛費の大幅な削減に取り組むべきであります。
以上、指摘しましたように予算案は、歴史的転換期にあって我が国が直面する諸課題に適切に対応できているとは到底言い得ないであります。したがって、私どもは予算審議の過程で予算案の問題点を追及した。また、生活重視、国際協力推進の観点を重視して、実現可能で必要最小限の予算修正を野党四党共同で要求したのであります。その幾つかは前向きの回答があったものの、予算案が修正されなかったのは極めて遺憾であります。
今求められているのは国民の期待にこたえられる政治のリーダーシップであります。この大切な時期に、参議院補欠選挙にも示されたように、自民党政治への不信は、リクルート、そして今回の共和・佐川問題などによって決定的な段階を迎えております。このような状態では、歴史的な課題への対処などできるはずがありません。政治への国民の信頼を回復することが急務であり、そのためには疑惑の全容の徹底的な究明と政治責任の明確化が不可欠であります。
私どもは、今後とも政治不信の払拭に向け、疑惑の解明、政治責任の明確化、政治腐敗の根絶に全力を挙げて取り組む決意であります。今こそ政治改革を断行しなければなりません。政府・自民党に対しても積極的な対応をこの際強く求める次第であります。
なお、共産党から提出されました予算案の組み替え動議については、私どもとの見解を異にしておりますので反対であることを申し添えて、私の討論を終わります。
以上であります。(拍手)
-
-
○
石田(祝)
委員 私は、公明党・国民
会議を代表して、ただいま議題となりました
平成四年度予算三案につきまして、反対の討論を行うものであります。以下、主な理由を申し述べます。
反対理由の第一は、予算案に対する四野党修正共同要求に対し、具体的な回答がなかったことであります。
私たち四野党は、パート減税の実施、家賃控除制度の導入、防衛費の圧縮、社会保障の充実等を内容とする予算修正要求を提出いたしましたが、予算案の修正に至らなかったことはまことに遺憾であります。四年度予算案については、生活重視、国際協力の推進等において不十分であるとの認識から必要不可欠で実現可能なものに絞って要求しましたが、少なくともパート減税と家賃控除制度の導入については、実現すべきであることを強く要求するものであります。
反対理由の第二は、総理の生活大国の実現の公約が予算案に十分反映されていないことであります。
国民が豊かさを実感できないのは、生活関連社会資本の整備が大きく立ちおくれていることが大きな一因です。高齢化社会を目前にして生活関連社会資本の整備は急がなければなりません。しかし、予算における公共投資は生産優先時代の配分比率をそのまま踏襲し、事業別、各省庁別に固定化されたままであり、ほとんど変わっておりません。
昨年から設けられた生活関連重点化枠も三年度と同額の二千億円であり、生活大国実現に不可欠な生活関連社会資本整備を重視したものとは言えないのであります。
反対理由の第三は、予算案には景気対策が十分盛り込まれていないことであります。
景気は、ここに来て在庫調整が長引く様相を示すなど、諸経済指標は悪化しております。四年度経済の焦点である設備投資は、さきの日銀短観等を初め最近の調査ではマイナスになっており、景気回復は大幅におくれることが懸念されます。
政府は、財政による景気対策について公共投資を手厚くしたと説明しておりますが、政府固定資本形成の伸び率は、名目成長率を下回り、公共投資の四年度の伸び率は三年度の伸びを下回っており、公共投資が後退を鮮明にしている経済を引っ張っていく形にはなっておりません。これでは財政の景気調整機能は作動せず、景気対策は不十分と言わざるを得ないのであります。
反対理由の第四は、豊かな社会の建設に不可欠な社会保障関係費が不十分であることであります。
社会保障関係費は三年度より伸び率が低下し、一般歳出の伸びをも下回っております。ホームヘルパー対策など若干前進した点も見られますが、在宅の寝たきり老人を抱え、介護や経済的負担と闘っている家族に対する介護手当が認められておりません。また、保健、医療、看護面における総合的なマンパワーの整備や高齢者の雇用、就労条件等の整備充実も高齢化社会に向けて極めて重要かつ緊急の課題ですが、こうした面でもとても十分とは言えない状態であり、不満であります。
最後に防衛費についてでありますが、三・八%の増加となっております。しかし、東西冷戦構造の崩壊を反映し軍縮が世界的な潮流になっていることを認識していれば、予算編成段階で防衛費をさらに圧縮できたはずであります。
予算案審議を通じ、防衛大綱、中期防の見直しによる防衛費の下方修正を政府は明らかにしましたが、防衛費については、当面、中期防の見直しの中で国民にわかりやすい形で正面装備をさらに二千億円以上圧縮すべきことを強く申し上げておくものであります。
以上、
平成四年度予算三案に反対する主な理由を申し述べました。
なお、日本共産党が提出した編成替えを求めるの動議には、意見を異にするため反対いたします。
以上、討論を終わります。(拍手)
-
-
○
吉井(英)
委員 私は、日本共産党を代表して、一九九二年度政府提出の来年度予算三案に反対、我が党提出の予算編成替えを求める動議に賛成する討論を行います。
反対の第一は、軍事費の削減という世界の大勢に逆行し、軍事費を増額していることであります。
冷戦の終結、ソ連の解体という情勢のもとで、アメリカ、イギリス、ドイツなど主要国は、兵器削減、軍事費削減に具体的に踏み出しています。ところが、政府予算案は、この世界的な軍縮の流れに逆行し、削減どころかF15戦闘機七百二十七億円を初め八千六百五十億円にも上る正面装備の新規調達を行おうとしているのであります。
また、米軍への思いやり予算は、初めて二千億円を突破、十四年間で三十二倍、中小企業対策費を上回る規模になっています。これは、米側負担を明記した地位協定にも反するものです。さらに、PKO事務局経費の計上は、自衛隊海外派兵ノーの国民の意思を無視したものであり、断じて容認することはできません。
今こそ、冷戦構造を前提とした防衛計画の大綱を廃止し、二十二兆七千五百億円に達する中期防による軍拡五カ年計画を直ちに撤廃し、本予算案に計上されている軍事費を半減すべきことを要求するものであります。
第二は、対米貢献、大企業優遇の仕組みを温存していることであります。
世界で一、二を争う規模に膨らんだ政府開発援助は、その八割以上を占める二国間援助の半分以上がアメリカの軍事戦略重点国への援助に充てられているように、アメリカの世界戦略の補完の役割を果たしています。
また、大企業への補助をふやした上に、NTTの政府持ち株配当までも、一般会計に計上しないで産業投資特別会計を通して大企業に資金を注ぎ込む制度を温存しているのであります。しかも、その配分が補助金の受け手である財界に全くゆだねられており、こうした配分方法は到底容認できるものではありません。
第三に、臨調行革路線の継続であります。
この一月からの老人医療費の大幅引き上げに加えて、来年度予算案では、国立大学の学費値上げや三十五人学級の計画見送り、食管予算の十一年連続の削減などが行われようとしています。加えて、制度発足以来初めて政管健保の国庫負担率の大幅引き下げ、さらには国保事務費の地方負担など、国民と自治体に新たな負担を押しつけようとしています。
臨調行革路線の最大の特徴が、国庫補助金の削減と、国民と自治体への負担転嫁にありましたが、来年度予算案はこれを継承、拡大さえしているのであります。
私は、日本共産党が提出いたしました予算編成替えの動議こそが、自民党政治の枠組みを根本的に改め、国民生活優先、大企業の民主的規制、思い切った軍縮の実行、消費税の廃止など、国民の暮らしを守る真の道であることを申し述べまして、討論を終わります。(拍手)
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○
中野委員 私は、民社党を代表して、ただいま議題となっている
平成四年度予算三案に対し、反対討論を行います。
なお、日本共産党提出の動議につきましては、見解を異にいたしますので、まず反対の意を表しておきます。
我が党は、生活・文化先進国づくり、緊急景気対策の実施、安易な増税反対、新たな行財政改革推進、世界平和や地球環境保全等の国際協力推進の基本的姿勢に立って、我が党単独及び野党共同の修正案を政府・与党に提出するなど、国民の期待にこたえる予算案を編成するよう求めてまいりましたが、この要求が受け入れられず、政府予算案に何ら修正が加えられなかったことは極めて遺憾であります。
以下五つの理由によって反対の意思を表明いたします。
反対の第一の理由は、省庁の縄張り、与党の権益が優先され、国民生活向上に寄与する内容とならず、宮澤内閣の生活大国の公約にも違反するものとなっていることであります。とりわけ、公共投資の固定的、硬直的配分が根本的に改められることなく、いわゆる生活関連枠の継承、新たな別枠の設置という小手先の施策にとどまり、公共住宅一下水道、都市公園、都市駐車場、高齢者にやさしい町づくりなどの社会資本整備が軽視されていることはまことに残念であります。
また、労働時間短縮、看護婦、ホームヘルパー増員や関連施設の拡充、文化、スポーツ施設の充実などが不十分な内容となっていることは問題であります。特に勤労者からの要望が強いパート、内職者減税、家賃控除などの政策減税を政府・与党が拒否したことは、国民に対する裏切り行為と言わざるを得ません。
反対の第二の理由は、安易な増税措置が盛り込まれていることであります。歳入欠陥を理由とした法人特別税、普通・小型乗用車の消費税の割り増し税率などの増税は、
平成三年度限りで撤廃するべき措置を事実上延長したもので、公約違反を犯し、国民を欺く以外の何物でもありません。景気をさらに悪化させることをも憂慮するものであります。
反対の第三の理由は、景気対策が不十分なものとなっていることであります。甘い経済分析を続け、対策を後手後手に回してきた政府の責任は極めて重いと言わざるを得ません。金融と財政のバランスある景気対策を講じ、特に抜本的な承継税制の確立や人材確保策など中小企業対策を強化すべきと考えます。
反対の第四の理由は、行財政改革の断行が欠落していることであります。行革をないがしろにし、増税などで国民にツケを回すことは言語道断と批判せざるを得ません。今日の最重要課題は、中央集権体制の打破、総合調整や国民生活に視点を置いた省庁の再編、地方の権限強化と自主財源確立、国際情勢に即応できるシステムづくりなど、日本の行政機構を根底から見直すいわゆる行政改革五カ年計画の策定、実施であり、この断行を政府に強く求めます。
反対の第五の理由は、地球環境や経済支援など国際協力の面でも不満足な内容となっていることであります。ODAについては、旧ソ連などに対する人道的支援、地球環境保全等に重点を置いて拡充するとともに、その内容を厳しく吟味すべきです。防衛費については、現下の国際情勢にかんがみ、世界の軍縮の一翼を担うという立場から、防衛大綱、中期防を見直し、これを聖域化せず、効率化を図り極力抑制するため、まず五カ年の防衛費削減計画を策定し、
平成五年度予算に反映させるよう求め、私の討論を終わります。(拍手)
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○楢崎
委員 私は、進歩民主連合を代表いたしまして、社公民三党と同じ立場から討論を行いたいと思います。
まず、野党四党が合意をいたしまして共同予算の修正案を提出したという事実は、たとえ今回は実らなかったといたしましても、今後の政局を展望する意味におきまして非常に画期的な意義がある、このように私どもは高く評価をいたしておるところであります。
なお、賛否いずれになるにしても、予算を執行する上においては、国民の政治に対する信頼ということが基礎にならなくてはならない。したがって、この予算
委員会の審議を通じていろいろ出ました政治的な諸疑惑に対しては、引き続きこの予算
委員会を通じて徹底的に解明されるということを確認いたしておきたいと存じます。
なお、進歩民主連合自体の修正案は用意をいたしておりましたが、経過でおわかりのとおり、社公民連の四党の共同修正の中に収れんをされましたから、私はあえてここで申し上げませんが、賛否につきましては、社会党、公明党、民社党、同じような大同小異の理由で討論をそれ以上省略をいたして、賛否の態度は共同歩調をとりたいと存じます。
終わります。(拍手)
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○
山村委員長 これより採決に入ります。
まず、
児玉健次君外一名提出の
平成四年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
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○
山村委員長 起立多数。よって、
平成四年度予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました
平成四年度予算三案に関する
委員会報告書の作成につきましては、
委員長に御一任願いたいと存じますが、御
異議ありませんか。
〔「
異議なし」と呼ぶ者あり〕
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○
山村委員長 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
去る一月三十日の審査開始以来、終始真剣なる論議を重ねていただき、本日ここに審査を終了するに至りました。
これもひとえに各党の
理事並びに
委員各位の御理解と御協力のたまものと存じます。ここに深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手)
本日は、これにて散会いたします。
午後三時十二分散会
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