○
新盛委員 ODAの受益者はだれか、ここは一番の大事なところでして、確かに成功している例もあります。また、悪い例、いわゆる光と陰というので、私どもは一昨年、昨年
ODAの実態を見てみました。本当に悪いのは悪いんです。だから、そうしたことをどういうふうにこれから
政府が十分に目配りをするかというところでございます。
先ほど会計検査の方は出ていらっしゃいませんが、こんな監査の結果を出しておられるんです。
ごみ収集が進まないタンザニアの公衆衛生整備事業、これは無償
資金。時間給水のみのネパール上水道の整備事業。パルプ工場を断念、インドネシア山岳林収穫技術協力事業プロジェクト。発電機がお蔵入り、インド、これは水を掲げて発電所をつくる建設事業ですが、直接の借款になっています。送水一六%どまり、タイ、送水建設事業。こういうふうに会計検査院も指摘しているんですね。そして、なおかつ不透明さがある、非常に問題だ、
政府は再考を促すという内容のものなんですよ。
ここでお聞きしますが、各省庁の大臣にひとつお答えいただきたいのですが、昨年臨時行政改革推進審議会、いわゆる第三次行革審世界の中の
日本部会、この中で、
ODA実施計画で外務、大蔵、通産、経企庁のこれまでの四省庁の独占を批判をして、閉鎖性を改善し、公平性、透明性の確保を求めていくべきである、そして、
ODAに関しては情報公開がほとんどないので
国民に対する説明義務があるんではないか、こういうことも言われているわけであります。
そしてさらに、人道的な配慮でこの
日本の
ODAはやっているのでありますが、ここで問題なのは、いわゆる
政府として、今回の予算を見ますと、これは九一年度の外交青書でも指摘しておられる
ようですが、他の援助国より見劣りがするのが現状と言われているのが、いわゆる借款と無償
資金、この比率であります。これは非常に問題なんだと思いますが、借款の比率が高いのは、
日本の
ODAでは人道的な配慮で援助をしている
政府の立場からすれば、なぜこの贈与の方が低いのか、借款の方が高いのか。勘ぐって言えば、借款は各事業、いわゆる企業が、プロジェクトがJICAを通して介在をしますから甘みがある。
国民の前に知らさない、
資金は援助じゃなくて逆流をしているのじゃないかという批判も出てきているわけですね。
そういうことから見て、恐らく今までのこの予算の
状況を見ますと、贈与比率の低い点、これは
日本の場合は贈与が四八・三%、借款が五一・七%、この比率であります。ここ数年四〇%台が贈与ですね。アメリカは九二・五%、西ドイツが六八・五%、イギリスが九八・一%、フランスが七三・一%、いずれも八八年から八九年の平均でありますが、これは贈与なんです。ほとんど援助というのは贈与な人です。そこに金をやれば大国である、平和の配当である金を配りさえすれば何とかなるという、そういうやり方ではなくて、ちゃんとこれを監視するいわゆる開発庁という
中心をなす省庁がちゃんとポイントを握っているわけですね。そういうこともあって指摘されたと思うのです。
だから、この行革審のいわゆる「世界の中の
日本」、ここで言われているこの閉鎖性、透明性が欠けている、この際一庁体制に直す必要があるのじゃないか、こういうことを言っているわけでして、我が党もこれまで参議院の方で、国際開発協力の事業として、「
ODA基本」をつくってはどうかということを
提起しております。だから、こういう
状況がだんだん醸成されているのじゃないか。
皆さんの
自民党の側でも
加藤前政調会長は、開発庁をつくってほしいということを何か書いておられますね。こういうことに対して、なぜ一庁体制に整理ができないか。一兆七千億の金を使う、これは
国民に対して、公開的な論議をする、あるいは計画に対してそしてまた実行した内容について
報告をする、そして国会で承認を受ける、こういうやり方がなぜできないか。この点について、各大臣、お
考え聞きたい。まず外務大臣。