○
越智(通)
委員 証券
局長のおっしゃる、いわば分析はわかるんですけれ
ども、投資大衆と申しますか、明るい
見通しを与えるような説明になかなかなりにくい、また難しいだろうと思いますね。
それで、今三月の相場が決算対策で売りが出て危ないかという御説明がありましたけれ
ども、これは逆の見方もありまして、決算が終わって四月が危ないという見方もあるわけでございまして、株の先行きが
見通しが悪ければ、
企業経営者が決算が終わって四月になってから処分をして、その金をより有効な方へ回そうという経営態度が出てくる可能性もあるんですが、そこを今議論してもしようがありません。
心配しているのは、株価が下がると、さっき申し上げたBISの規制上、銀行の自己資本が下がるということでありまして、したがって貸し出しもまたきつくなると、こういうわけで、BISの規制というのは、実は株がだめなら銀行だと言いたいところなのに、株がだめだから銀行もだめだという連鎖反応を起こす可能性がある。可能性というか、そういう仕組みになっているところが、先ほど来申し上げているBISの問題点なんですが、ぜひ証券市場を活性化してそういう、何と申しますか、危惧、不安、
いら立ちというものを解消しないと、なかなか経企庁がお考えになっているように、割と今度の景気後退が、浅いことは浅いと思うんですけれ
ども、短くて済むよというところが心配てしょうがない。アメリカの例に見るように、なべ底になっちゃったら困る。上がったんだか下がったんだかわからない、たらたらっとこう、長いことなったら困るんじゃないか、そういう
意味ではやはり証券市場もぜひ積極的に、
大蔵省を中心に対策を早急にお考え、また打ち出していただきたい。
そんな中で、
金融を緩めたり
金利を下げたりすると、またバブルが来るんじゃないかと。だけど、それはやはりバブルがなぜ起こったかという構造の分析にもかかわるわけでありまして、あのころ一番問題になったのがいわゆるノンバンクでありまして、このノンバンクの問題を実際にはよく解明されてないのが問題じゃないか。
総理、私
ども古くに
大蔵省にいた者は、ノンバンクという言葉が実は正直言ってわからないんですね、実際には。銀行
局長さんにちょっと聞いてみたいんですけれ
ども、銀行法には第六条というのがございまして、「銀行は、その商号中に銀行という文字を使用しなければならない。」これはみんな守っています。「銀行でない者は、その商号中に銀行であることを示す文字を使用してはならない。」「銀行という文字」という言葉と、「銀行であることを示す文字」というのは
意味が違うんだと思うのですね。
いわゆるノンバンクという方、三万ぐらいあるそうですが、私は百社の名簿は持っております、トップ百社ですね。それでトップ三百で、一%で全体の
資金量の八割、
資金量何ぼあるかといったら、大きく見ると百兆です。小さく見て七十数兆です。これは旧相互銀行よりも多いんです。要するに、全国銀行の中でも、都市銀行、地銀に次ぐ
資金量でございますから。そしてこの中で、この間、個々の名前を言っちゃ悪いかもしれませんが、新聞にたまたま載りました日貿信。日貿信というのは危なくなったんで六行が助けに入るというのが書いてありました。
金利減免など検討、日貿信に
金融支援。日貿信というのは、
総理御存じかと思いますが、台湾銀行の方々が残っておつくりになったノンバンクでございますが、ここの貸し出しか一社で一兆三千億。これは減って一兆三千億円。前は一兆四千とか五千やっておった。こういうとこら辺が、日貿信は信という字しか使っていませんが、その百社の名簿を見ると、非常に多くはファイナンスという字を使っています。約百社のうち三分の一がファイナンス。銀行という文字に当たるみたいな
感じがするんですけどね。いきなりバンクと言っている人はいないんですけれ
ども、あとクレジットとか何か。
こういう機関、いわゆるノンバンク、種類は八つあるんでございますよ。
消費者向け無担保貸金業者、
消費者向け有担保貸金業者、事業者向け貸金業者、銀行系クレジットカード会社、信販会社、流通・メーカー系クレジット会社、不動産関係
金融会社、リース会社、それに住宅
金融専門会社、それまで入れると九ってあります。住宅
金融専門会社の人に言わせると、自分たちをノンバンクと呼ぶのはやめてくれと、不愉快だと、こうおっしゃいました。ある会長さんがですね。
その中で、住宅
金融を入れて九十八兆二百億、除けば八十四兆。その中で一番事業向けが多いのが四十四兆。事業向けの貸金業者というのは何だというと、貸している金の半分以上が事業用なんです。
消費者のためのクレジットや何かだったら五万円だか二十万円だか貸しているのです。こういうところは違うんです、億で貸しているんですから、億で。今の日貿信というのはその事業用向けの貸金業者でございまして、その百社のトップからいえば全体を通じて五位です。五位で一兆三千億ですから、上のはもっとでっかいんです。
そういう関係でやっているこのノンバンクをどういうふうにコントロールしていくか。これは非常にいいことだという見方もあるのです。
金融機関の頭は、何というか、悪い言い方かもしれませんが、頭がかたくなっているのに対して、この方々は非常にどんどんどんどん新しい
金融の方法を考える、柔軟だと。それから、
金融機関の足らぬところを補完してやっているんだと、だからいいんだと、こういう議論もあるんですけれ
ども、九十八兆の
金融が現実に行われている。この問題に対して、例えばここに大口規制があったら、このノンバンクにかけていたらばこういうことにならなかったかもしれない。しかしもろにだあっと貸している。
まして問題は、この百社の中で調べましても銀行の系列に属しているのが、まずこれも三分の一あります。おまけに冠でございます。その銀行がすぐ想定されるように何銀ファイナンスとか何銀クレジットとか、こう言っているわけでありまして、こうなると、銀行行政というのは銀行と名のついたところだけで、そこから出している出先、このファイナンス会社の、ノンバンク会社の特徴は、預金は集めておりません。預金を下手に集めれば出資法違反になります。金はどこから取ってきているかと彼らの
資金源を調べますと、概数ですけれ
ども七七%が銀行からの借り入れなんです。そしてあとの十数%、二〇%足らずが事業会社から出しているのがあります。これはトータルですから。特定のファイナンス会社を見れば一〇〇%あれですね。自己資本がトータルで四%です。だからよそから借りてきた、ほかの銀行が預金者から集めた金がこっちに流れ、そこで貸すだけをやっている、こういう
感じでございまして、さっき
金利が下がったという
お話をされているときにも実は申し上げたかったんですが、銀行の方でお調べになっている
金利というのは、このノンバンクに貸す窓口の
金利をおっしゃっているんで、ノンバンクからさらに借りている
消費者はもうちょっと高いんでございますよ。高くなきゃこのノンバンクの人たちの飯代が出ない、食いぶちが出ない。したがいましてもっと高い金で動いているんじゃないか。
こういうところが実は、この方々が一番貸したのは何だというと、不動産なんです。このノンバンクの九十兆あるいは八十兆と言われているものの貸出先があれなんです。じゃ、銀行はどのくらいノンバンクに渡したか。さっき九十兆の七七%と申しましたから七十兆ぐらいのものを貸しているわけですが、その七十兆ぐらいの銀行の貸し出しは銀行プロパーが不動産屋に貸したのとどのぐらい違うんだといったら、こっちに、ノンバンクに貸した方が多いのです。銀行はストレートに自分の窓口から不動産業者に貸したよりも、ノンバンクに貸したのが多い。ノンバンクから不動産屋に行っている。そうすると、銀行の窓口で不動産貸し付けを一生懸命抑えてみても網の目は逃れている。そういう
意味では、
金融の仕組みから見るとこの問題をなぜ取り上げられないのか、
金融制度調査会では実は余り語られておりません。実際は去年の六月の答申でございました。討議はもっと前に行われたのでしょう。実態がよくわかってなかったのかもしれませんが、今こそこのノンバンクという存在についてもう一歩踏み込んだ態勢をとらないと、私は今後も
金融が乱れるもとになるのじゃないかな。
こういうものに対して、実はさっきの
金融機関の焦げつき以上にこっちが危ないのだといううわさが流れているわけですよ。ノンバンクの会社、何とかファイナンス、何とかクレジットの方はそれの
一つのあらわれ、新聞に載っちゃったのが日貿信。日貿信ではどのくらい危ないかというと一兆三千億の貸し出しの一割が焦げつきだ、千三百億です。六行が入っているのです。そしてこのノンバンクの方々は、
総理ぜひおわかりいただきたいのですけれ
ども、ファイナンスという名前ですけれ
ども物すごく小人数でやっているのですよ、人件費を稼ぐために。日貿信の社員は、一兆三千億貸しているのですけれ
ども、これは会社四季報にもはっきり載っています、二百四十何名の社員しかおらないのです、職員は二百四十何名しか。一兆円というのは、漁協と漁信連の貸している金が一兆三千億ぐらいですからね。オール漁協、羽田蔵相は農業お詳しいから、オール漁協の貸しているのと日貿信一社で貸しているのは同じぐらいです。そして実際に貸し出しのやっている方々はわずかな人数。そこから出てくる心配は何か、ろくな審査はしてないな、こういうことです。融資に当たって、できないなと。確かに、銀行からOBの方が天下って、そういう
金融のセンスはお持ちになっている経営者がいるのでしょうけれ
ども、それだけの人手でそれだけの貨し出しをやって十分に目が届くはずがないじゃないか。
そうすると、そこの危なくなったときに、一体
大蔵大臣、各銀行に命じてそれを助けに行くのですか。日貿信は六行が出ると言ったのですが、六行出たけど金を出したとは書いてない。六行はいわば探りに行った、見に行ったというか検査に行ったのじゃないか。ここは
大蔵省の銀行検査ももちろん入りません。そして去年の夏の法律で報告だけ求めるようになって、やっと今私が御説明しているような数字がある程度つかめてきたというのが現状なんです。もちろん
日本銀行も考査局は取引先じゃないから考査に行かない。ただ、さっき申し上げたように百社の三分の一が銀行の冠の出先なものだから、銀行まで行って、あのおまえのところの子会社はどうやっているのだと聞いているということで、随分隔靴掻痒以上の迂遠なコントロールといいますか、あれしかできていない。これをもっと自由にしておけという議論もあるのですよ、実際問題は。通産
大臣もぜひ聞いておいていただきたいのですけれ
ども、そういう議論もある、ノンバンクの扱いについて。だけど、ここについて今御説明をし、
総理初め皆さんに御理解もいただき、問題の所在を深刻にぜひ受けとめていただきたいと思ったので申し上げましたが、本件について
大蔵大臣また
日銀総裁から御所見があれば、方針があれば伺わせていただきたいと思います。