○堀
委員 今を去る七年前の昭和六十年二月四日、一九八五年二月四日に、私はこの予算
委員会の総括
質問におきまして、当時の増岡厚生大臣に、今の
国民年金はどうして保険料が単一の保険料なのですかということを
お尋ねをいたしました。厚生大臣の答弁は、この対象者の所得が正確に把握されないので、実は単一制をとっております、こういう答弁でございました。しかし、私は、御
承知のように出身が医師でございますし、十七年間診療に従事しておりましたから、
国民健康保険を扱っておりますので、
国民健康保険は、御案内のように応益応能の制度になっているわけでございます。
ですから、その点については議論はちょっと必要だったんでありますが、そのとき私が目的といたしましたのは、営庶業、農業の皆さんの税の申告というものが大変不十分でございまして、最近東京国税局が調査をいたしました約一万五千人の事後調査におきましても、申告漏れが全体の九八%に達しておる、申告漏れによるところの所得脱漏が二一%だというのが実は最近出ておるわけでありますけれども、その傾向は今から七年前も変わらなかったわけであります。ですから、私はどうしても、まず憲法三十条で「
国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」こうなっておるのでありますし、さらに、この所得税の九二%というのは実は給与所得者が支払っておるわけでありまして、これは全部源泉徴収でありますけれども、残念ながら申告納税の皆さんのものは、大量の事後調査の
資料を検討をいたしましても、いずれも当時は大体、申告漏れが九四%程度、そうして申告漏れの所得
金額が二四%程度という平均値が統計に出ておりますので、何とか皆さんにひとつ税を正しく申告していただくためにはEC型付加価値税を導入をして、インボイスによってそれが国税庁にインプットされるならば、公正な税の申告が行われるであろう。しかし、それは増税を目的としたのではなくて、税の公正化を図るための提案でありますから、そのEC型付加価値税で入りました資金は全部、その当時から行われるようになりました老齢基礎年金に全部充当する社会福祉目的税ということで処理をしてもらいたい、こういう提案をして、実は七年になるわけでございます。
実はこの問題、ずっとその後も私は非常に大きな関心を持っておりましたけれども、今度
宮澤さんが
総理になられまして、「生活大国への前進」、「二十一世紀には、我が国も本格的な高齢化社会を迎えます。世の中に余力があるうちにできるだけ社会の基盤を強めていくことが、今を生きる我々の責務であると
考えます。また、生産者中心の視点から消費者や生活者を重視し、効率優先から公正にも十分配慮した社会への転換を図らなければなりません。」「私の描く生活大国とはこその第三に、「高齢者や障害者が、就業機会の整備などを通じ社会参加が適切に保障され、生きがいを持って安心して暮らせる社会であります。」そうして、かなり先の方でありますが、「健康で心豊かに暮らせる長寿福祉社会の構築」、「我が国の人口は今後急速に高齢化に向かい、三十年後には
国民の四人に一人が高齢者という本格的な高齢化社会となることが予測されます。「少しのことにも、先達はあらまほしき事なり。」と言いますが、高齢者の豊富な人生経験や知識は、我々の社会にとって貴重な資産であります。私は、高齢者の方々がこれを社会で生かしつつ、生き生きと安心してその人生を送ることができるような社会をつくりたいと
考えます。このため、雇用・就業環境の整備などにより社会参加を促進するとともに、揺るぎない年金制度を確立し、また、適時に適切な保健・医療・介護が安心して受けられるような社会の実現に向けて真剣に努力してまいります。」こういうふうに実は本
会議でお述べになりました。
私は長くこの問題を温めておりましたけれども、
宮澤総理なら、ひとつ私の提言がここで
国民にお約束になったような形で実現できるものだ、こう
考えて、時間は三十分ばかりでございますけれども、二つの問題を取り上げたいと思います。
そこで、今申し上げた中の後半のところでありますけれども、「「少しのことにも、先達はあらまほしき事なり。」と言いますが、高齢者の豊富な人生経験や知識は、我々の社会にとって貴重な資産であります。私は、高齢者の方々がこれを社会で生かしつつ、生き生きと安心してその人生を送ることができるような社会をつくりたい」、こういうふうにおっしゃっていますが、実は、これはもう大分昔からあるのでございますけれども、在職老齢年金という制度が実はございます。この在職老齢年金というのは、実は、在職したままで年金をいただくようになったらばそのときにはその年
金額を減額をする、こういう制度なんでございますね。ところが、私がこの前新聞の投書欄で見ましたら、退職をして、会社をやめて二年ばかり実は年金だけもらっていた、しかし、ある友人からあなたの力をひとつうちの会社に生かしてくれないかということで、月給はわずか十五万円ぐらいだけれども手伝ってくれないか、こういう話があったので手伝おうと思ってその会社に勤めました。ところがそうしたら、今の在職老齢年金の適用を受けて、十五万円もらったのが、十三万五千円年金削られて、ネット一万五千円しか実はもらえない、こういうことになったので、幾ら何でも一万五千円を働くために一カ月働く気にならないのでやめた、何とかしてほしい、こういうことでございます。
そこで、この在職老齢年金というのはかなり古い制度でございまして、昭和四十年六月に実は創設されているのでありますけれども、これは当時はまだ五十五歳定年という時代でございましょうから、そういうところで引き続き仕事をしておるという者を頭に置いて
考えたと思うのでありますが、これは実は退職年金なんですね、今の厚生年金は。そこで、今のように会社をやめて他のところへ就業するというのなら、もう退職年金の問題片がついているわけでして、今
総理がこの中でおっしゃったように、新しい働く場ができてそこへ働くというときに、そうしたら今の在職老齢年金を削るという話は私は論理的に非常に問題がある、こう
考えておるわけでございます。
ですから、この問題について、この前払たまたま皇居で小沢辰男さんと御一緒になりました。偶然でございますけれども、小沢辰男さんと私は大正五年十二月七日、同じ日に生まれておりまして、これを教えていただいたのは
竹下さんですけれども、ですからそういう
意味で小沢さんは、私が
議員になりましたころは厚生省の保険
課長をしておられまして、そのころからのおつき合いでございますが、非常に親しくいたしておりますが、小沢さんにこの話をいたしました。これもう在職老齢年金の問題はやめて、その会社にいる人は別です、新しい会社に勤める人には年金は年金で差し上げて、給料は給料でもらえるようにするのが正しいんじゃないでしょうかという
お話をしたら、いや、堀さん、あなたの言うとおりだな、小沢さんもそういう
お話でございました。
これについてきょう直ちにどうするということを伺う気はありませんけれども、今
総理がお約束になったこのこと、要するに老齢者が生き生きと自分たちの能力を生かして働ける場所を
総理は
国民にお約束になったのでございますから、ぜひこの今の発想からしましても、退職年金じゃなくて、新しいところに就業している場合にはこれは在職老齢年金の適用をやめて、少なくとも年金は年金で差し上げる、新たな就業の労働力はそれで報酬をいただく、こういうことにしていただけば、六十歳以上の方がたくさん私は仕事につかれる可能性が開けてくると思います。私も今大正五年十二月七日と申し上げましたから現在七十五歳でございますが、
総理もたしか七十三歳ぐらいじゃございませんでしょうか。私は最初に
総理にお会いしたのは昭和三十四年の、当時文教
委員をしておりまして、当時非常に若い参議院
議員の文部政務次官として、私は
委員会で
宮澤総理に最初に
質疑をさせていただいたことがございますが、大変すばらしい、若いけれどもクリアなすばらしい参議院
議員がおられるなとそのときに感じたことでございますけれども、その後長い間、
経済企画庁長官、通産大臣、大蔵大臣と、経済
関係で御一緒しておりますが、どうかひとつ
総理の英断でこの問題に対しての適切な処置をお願いしたいと思いますが、いかがでございましょう。