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1992-02-21 第123回国会 衆議院 予算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年二月二十一日(金曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 山村新治郎君    理事 中山 正暉君 理事 原田昇左右君    理事 町村 信孝君 理事 村岡 兼造君    理事 村上誠一郎君 理事 串原 義直君    理事 野坂 浩賢君 理事 松浦 利尚君    理事 草川 昭三君       相沢 英之君    愛野興一郎君       粟屋 敏信君    井奥 貞雄君       池田 行彦君    石原 伸晃君       岩村卯一郎君    小澤  潔君       越智 伊平君    越智 通雄君       狩野  勝君    唐沢俊二郎君       倉成  正君    小坂 憲次君       古賀 一成君    後藤田正晴君       左藤  恵君    志賀  節君       戸井田三郎君    浜田 幸一君       原田  憲君    星野 行男君       増子 輝彦君    松永  光君       松本 十郎君    村田敬次郎君       村山 達雄君    柳沢 伯夫君       井上 普方君    伊東 秀子君       加藤 万吉君    小岩井 清君       新盛 辰雄君    関  晴正君       筒井 信隆君    戸田 菊雄君       時崎 雄司君    日野 市朗君       水田  稔君    和田 静夫君       石田 祝稔君    日笠 勝之君       冬柴 鐵三君    小沢 和秋君       児玉 健次君    神田  厚君       柳田  稔君    楢崎弥之助君  出席国務大臣         内閣総理大臣  宮澤 喜一君         法 務 大 臣 田原  隆君         外 務 大 臣 渡辺美智雄君         大 蔵 大 臣 羽田  孜君         文 部 大 臣 鳩山 邦夫君         厚 生 大 臣 山下 徳夫君         農林水産大臣  田名部匡省君         通商産業大臣  渡部 恒三君         運 輸 大 臣 奥田 敬和君         郵 政 大 臣 渡辺 秀央君         労 働 大 臣 近藤 鉄雄君         建 設 大 臣 山崎  拓君         自 治 大 臣         国家公安委員会 塩川正十郎君         委員長         国 務 大 臣 加藤 紘一君         (内閣官房長官)         国 務 大 臣 岩崎 純三君         (総務庁長官)         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)     伊江 朝雄君         (沖縄開発庁長         官)         国 務 大 臣 宮下 創平君         (防衛庁長官)         国 務 大 臣         (経済企画庁長 野田  毅君         官)         国 務 大 臣         (科学技術庁長 谷川 寛三君         官)         国 務 大 臣 中村正三郎君         (環境庁長官)         国 務 大 臣 東家 嘉幸君         (国土庁長官)  出席政府委員         内閣法制局長官 工藤 敦夫君         内閣法制局第一 大森 政輔君         部長         公正取引委員会 糸田 省吾君         事務局経済部長         青少年対策本部 杉浦  力君         次長         北海道開発庁総 竹内  透君         務監理官         防衛庁長官官房 村田 直昭君         長         防衛庁教育訓練 小池 清彦君         局長         防衛庁人事局長 坪井 龍文君         防衛庁経理局長 宝珠山 昇君         防衛庁装備局長 関   收君         防衛施設庁総務 竹下  昭君         部長         防衛施設庁建設 新井 弘文君         部長         防衛施設庁労務 荻野 貴一君         部長         経済企画庁調整 吉冨  勝君         局長         経済企画庁国民 加藤  雅君         生活局長         経済企画庁物価 小林  惇君         局長         経済企画庁総合 長瀬 要石君         計画局長         科学技術庁科学 長田 英機君         技術振興局長         科学技術庁原子 石田 寛人君         力局長         環境庁長官官房 森  仁美君         長         環境庁企画調整 八木橋惇夫君         局長         国土庁長官官房 藤原 良一君         長         国土庁長官官房 森   悠君         会計課長         国土庁土地局長 鎭西 迪雄君         法務省刑事局長 濱  邦久君         法務省人権擁護 篠田 省二君         局長         外務省アジア局 谷野作太郎君         長         外務省欧亜局長 兵藤 長雄君         外務省経済局長 小倉 和夫君         外務省経済協力 川上 隆朗君         局長         外務省条約局長 柳井 俊二君         外務省国際連合 丹波  實君                 局長         外務省情報調査 鈴木 勝也君         局長         大蔵大臣官房総 日高 壮平君         務審議官         大蔵省主計局長 斎藤 次郎君         大蔵省理財局た         ばこ塩事業審議 谷川 憲三君         官         大蔵省証券局長 松野 允彦君         大蔵省銀行局長 土田 正顕君         大蔵省国際金融 江沢 雄一君         局長         国税庁次長   冨沢  宏君         文部大臣官房長 野崎  弘君         文部省体育局長 逸見 博昌君         厚生大臣官房総 大西 孝夫君         務審議官         厚生省保健医療 寺松  尚君         局長         厚生省生活衛生 小林 康彦君         局水道環境部長         厚生省社会局長 末次  彬君         農林水産大臣官 馬場久萬男君         房長         農林水産大臣官 山本  徹君         房予算課長         農林水産省構造 海野 研一君         改善局長         農林水産省農蚕 上野 博史君         園芸局長         農林水産省食品 武智 敏夫君         流通局長         通商産業大臣官         房商務流通審議 麻生  渡君         官         通商産業省通商 岡松壯三郎君         政策局長         通商産業省通商 藤原武平太君         政策局次長         通商産業省貿易 高島  章君         局長         通商産業省立地 鈴木 英夫君         公害局長         通商産業省機械 熊野 英昭君         情報産業局長         通商産業省生活 堤  富男君         産業局長         運輸省運輸政策 大塚 秀夫君         局長         運輸省自動車交 水田 嘉憲君         通局長         郵政大臣官房長 木下 昌浩君         郵政大臣官房経 山口 憲美君         理部長         郵政省電気通信 森本 哲夫君         局長         労働大臣官房長 齋藤 邦彦君         労働省労働基準 佐藤 勝美君         局長         建設大臣官房長 望月 薫雄君         建設大臣官房総 斎藤  衛君         務審議官         建設大臣官房会 近藤 茂夫君         計課長         建設省建設経済 伴   襄君         建設省都市局長 市川 一朗君         建設省道路局長 藤井 治芳君         自治省行政局公 秋本 敏文君         務員部長         自治省行政局選 吉田 弘正君         挙部長         自治省財政局長 湯浅 利夫君         消防庁長官   浅野大三郎君  委員外出席者         参  考  人         (地域振興整備 田中誠一郎君         公団副総裁)         予算委員会調査 堀口 一郎君         室長     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十一日  辞任         補欠選任   内海 英男君     井奥 貞雄君   小澤  潔君     岩村卯一郎君   越智 伊平君     小坂 憲次君   越智 通雄君     狩野  勝君   鹿野 道彦君     増子 輝彦君   戸井田三郎君     星野 行男君   松本 十郎君     古賀 一成君   日野 市朗君     時崎 雄司君   辻  第一君     小沢 和秋君   中野 寛成君     柳田  稔君 同日  辞任         補欠選任   井奥 貞雄君     内海 英男君   岩村卯一郎君     小澤  潔君   狩野  勝君     石原 伸晃君   小坂 憲次君     越智 伊平君   古賀 一成君     松本 十郎君   星野 行男君     戸井田三郎君   増子 輝彦君     鹿野 道彦君   時崎 雄司君     日野 市朗君   柳田  稔君     神田  厚君 同日  辞任        補欠選任   石原 伸晃君     越智 通雄君   神田  厚君     中野 寛成君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  平成四年度一般会計予算  平成四年度特別会計予算  平成四年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 山村新治郎

    山村委員長 これより会議を開きます。  平成四年度一般会計予算平成四年度特別会計予算平成四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。水田稔君。
  3. 水田稔

    水田委員 まず最初に、きのう、総理総裁を務めておられます自由民主党国際社会における日本役割に関する特別調査会で、いわゆる答申の原案をまとめられた。これは、従来政府が正式に答弁してきた自衛隊の海外への、国連参加の容認とかあるいは海外での武力行使を禁じた従来の憲法九条の解釈とは違った報告がなされておるようであります。与党である自由民主党、そしてまた行政機関の長であります総理として、この問題についてどういうぐあいに対処されるのか。我々は、今の憲法を変えないで解釈だけを拡大していくということは大変危険なことだ、そういうぐあいに思うんですが、総理の御見解を伺いたいと思います。
  4. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 私も、きのうのきょうでございますので関係の方から直接に話を聞く機会はございませんけれども、この調査会起草委員会をつくっておりまして、その起草委員会報告原案というものとして御披露されたと承知しております。したがいまして、これからこの原案をもとに調査会においていろいろ御議論があって、最終的に結論が出ましたときに私に正式に御報告がある、そういう段階の起草委員会報告原案である、こういうふうに承知をしております。  私は基本的に、殊に湾岸危機以来、いろいろ国民の間に広い問題意識が起こりまして、そのことは結構なことでございますし、いろいろな議論が行われることも大変に私は有意義なことだというふうに考えております。ただ、最終的にどのようなものとしてまとまってまいりますの、か、多少まだ時間のかかることでございますので、いろいろな議論がこの調査会の中で進められるものというふうに考えております。
  5. 水田稔

    水田委員 まだ詳しく報告を受けてないようでございますからこれ以上申し上げませんが、ただ国際貢献ということ、我々はやらなきゃならぬけれども、それでそのために憲法解釈を変えるということは、これは本末転倒だと思いますので、その点では政府のこれまでの見解が変わることのないように、これは行政、いわゆる政府の長として、最高の責任者として、そういう立場で対処してもらいたい、ぜひそのようにしてもらいたいと思いますが、総理のそれに対する御答弁をいただきたいと思います。
  6. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 最終報告がまとまりましたときは、よくその内容を聴取をいたしまして検討してまいりたいと思っています。
  7. 水田稔

    水田委員 国の基本的な法規ですから、そして、これまで政府は一貫して方針として決められたことが簡単に変わるようなことでは、これはいけないと思うんですね。ですから、その点では、政府としては、憲法九条については従来の見解は変わらないということで対応されるというのは当然だろうと思うんですが、いかがでしょうか。
  8. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 私ども党内における一つ検討議論過程にある問題でございますので、どういうふうな結論になってまいりますか、それをまた聞いてみたいと思っております。
  9. 水田稔

    水田委員 改めて、政府として、憲法九条に対する見解はこれまでずっと国民に対して、国会に対してということは国民に対して、そういうぐあいに述べられてこられたわけですから、それは宮澤内閣で、宮澤総理は変えないというお考えを表明していただきたいと思うんです。
  10. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 ただいま起こっております問題は、政府の中で起こっておるのではございませんで、私ども党内における一つ調査会がこの議論をしている、その過程にある問題でございますので、議論がひとつまとまりましたら私としてもそれは一遍聞いてみたい、こう思っておりますけれども、ただいま政府について何か問題が起 こっておるというわけではございません。
  11. 水田稔

    水田委員 整理して申し上げます。  総理大臣として、政府として、国民に対して憲法九条は解釈は変えないということでこれまでこられた。しかし、自民党総裁としては自分の党の中の組織でこういう検討がされておる、そうであっても、総理大臣として、憲法九条の解釈は変えないというのか、あるいはその論議によっては考え方が変わるのか、その点を明確に答えていただきたい、こういうことです。
  12. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 私ども党内でいろいろ議論がありますことは、これはそれ自身有意義なことでございますから、その結論をみんなで議論してもらうということは大切なことだと思っておりますが、それはしかし政府に今関することではございません。
  13. 水田稔

    水田委員 それは党内のことだと言われるんですが、内閣総理大臣としては憲法九条の解釈については従来と変わらない、こういうぐあいに受けとめて結構ですか、よろしいですか。
  14. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 先ほどから申し上げておりますとおり、政府考え方、態度について今何か変化が起こっている、そういうことはないのでございまして、党内議論ということでございます。
  15. 水田稔

    水田委員 内閣総理大臣として、憲法九条に対する見解は変わらないというのか、あるいは将来に向かって与党の中の論議によって変わるということなのか。私は簡単に見解を変えるべきではないと思うんですが、総理大臣として憲法九条の解釈は現在全く変わらないということであれば、そのようにイエスかノーかでお答えいただきたいと思うんです。
  16. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 政府についてそういう問題が今起こっておるわけではございません。
  17. 水田稔

    水田委員 総理大臣政府の長である内閣総理大臣一つ自民党という党、これは政党であるけれども現実には総理総裁を兼ねておられる。その党の中での論議が今までの政府見解とは全く違う方向に出てきておる。それに対して、それは聞いてから最終的に自分のあれを決めると言うのですが、これは、国民にとってみれば憲法解釈というのは大事な問題、基本的な問題ですから、それは少なくとも、いろんな論議があろうとも、これまで長年積み重ねてきた政府の九条に対する見解というのは軽々しく変えるべきではないし、それは現実に、これは報道ですからわかりませんが、自民党の中でもそのことは大変危険なことだという御意見もあるようでありますし、あるいはまた外務省も、これは見解を変えるということにはならぬというような報道もされておるわけでありますから、今政府責任者である総理大臣としては、憲法九条を変えないというそのことを、変える考え方は全くないというのであれば、そのようにお答えいただきたいと思うんです。
  18. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 これは御想像いただける、御理解いただけることだと思いますけれども、どの政党におきましても中でいろんな議論がございます。そしてこれは、いわんや起草委員会が起草したということであって、調査会そのもの結論を出したというわけでもなし、またそれから、おっしゃるように党内にもいろんな意見があることでございますから、それは党内にいろんな議論があることは望ましい、いいことで有意義なことと思います。しかし、それが政府について今すぐどういうふうな関係があるかということは今ない、こう申し上げておるわけです。
  19. 水田稔

    水田委員 憲法問題というのは国の基本でありますから、私どもは軽々に解釈で、拡大解釈でどこまでもいくということは一番危険なことだ、そのことは絶対すべきじゃないということを申し上げて、この質問を終わりたいと思います。  二番目の質問でありますが、政治改革の問題について伺いたいと思うんです。  私どもは、この国会を通じて、どうしてなんだろうか、本当に国民政治の腐敗について憤りを持っておることに対してこたえる姿勢がないんじゃないかということを感ずる一番最初出発点というのは、一月二十八日の本会議における私ども田邊委員長質問に対する総理答弁だと思うんです。これはこういうぐあいに答えられておるわけですね。阿部文男議員受託収賄罪容疑で逮捕された事件についてこういうぐあいに答えられているんです。かつて国務大臣の職にありました同僚議員収賄容疑で逮捕されたことはまことに遺憾なことであります、そして、進退については阿部議員自身が判断される問題、こういうぐあいに答えられておるわけです。これはずっと一貫してそうなんです。これは、聞いたのは私だけじゃなくて国民全体が、何とそういう白々しい答弁ができるんだろうか、そういう疑問を持ったと思うんです。  ところで、宮澤総理は一九九一年の十月まではいわゆる宏池会会長をやっておられた。この宏池会というのは自治省に届けられた政治団体だと思うわけですね。正式な政治団体であれば当然、代表者であるとかあるいは機関があって、その機関連営のいろんな役員があるだろうと思う。あるいはまた、金を扱うわけですから、自治省報告された宏池会の収支を見ましても何十億とか何億とかいうのが一年間に扱われておる、当然こういう金銭取り扱い責任者というのが決められておると思うんですね。  ですから、そういう中で事務総長というのがあるわけです。役員の中に事務総長というのがあるんです。それは阿部文男議員がやっておられるわけですね。それが、同僚議員というのか、宮澤総理会長をやっておられるところの事務総長、一般的に考えれば極めて重要な役割を果たしてきた方ではないかと思うんですが、宏池会の中で事務総長というのはどういうような立場なり役割を持っておられるのか、お伺いしたいと思います。
  20. 加藤雅

    加藤国務大臣 事務総長というのは、自民党の各グループ同じだろうと思うのですけれども派閥の中の中堅議員の方、まあ当選五回、六回、七回、その辺の方が派内のいろんな連絡それから他派の意見を聞いたり調整したりという、非公式にそういう調整役をする仕事と思っていただければいいと思います。世話やき兄貴分みたいな、そんな感じではないかなと思っておりますが。
  21. 水田稔

    水田委員 宏池会事務総長が置かれたのが一九八四年の一月からで、初代の事務総長塩崎議員でありますし、それから三代目が、今御答弁いただいた加藤官房長官事務総長をやっておられる。そして、今の事務総長の前が阿部文男議員であったわけですが、これを見てみますと、今中堅と言われましたが、まさに国会の中でも、あるいは自民党の中でもそうでしょうが、派の中でも幹部の方々ばかりなんですね、既に大臣経験者ばかりでありますから。そして、これは私が直接参加したわけではありませんから、報道によりますと、正式の機関ではないのかもしれませんが、党内全体の意思をまとめるために事務総長会議というようなものも実際開かれておる。ということは相当な役割を担っておる役職である、こういうぐあいに受けとめるのが当たり前だと思うんですね。そして、この阿部文男議員事務総長になった時期というのは、まさに宮澤総理総裁選挙党内で激しい選挙の活動をやっておられるそのときでありますから、大変な役割を果たしたわけだと思うんです。そして、恐らく事務総長というのは、選ばれるのは会長でありますから、宮澤会長が、いわゆる宏池会会長自分でお選びになったのだと思うんですね。  そうしますと、いわゆる単なる同僚議員ということじゃなくて、しかも、政党の中の一派閥の問題、そういうぐあいに言われるかもしれませんけれども総裁を選ぶというのは党内の問題です。しかし、事実上はその総裁日本内閣総理大臣になるということですから、事務総長役割というのは大変な役割を担っておる、そういう人だと思うんですね。その人が単にいわゆる同僚議員と言う、その国民に対する説明が、まさに総理が、 今回のようないわゆるリクルートやロッキードや、そして今度の共和事件のような事態に対する問題の認識が余りにもないのではないか、甘過ぎるんじゃないか、そういう国民政治に対する不信がそこから出てくるだろうと思うんですね。  私は、そういう点からこの問題について、単に同僚議員の問題ではなくて、政治改革を本気でやろうと、こう言っておられる総理の足元で起こった不祥事ですから、そのことの反省国民に対してきちっとした上で政治改革ということを言うべきじゃないだろうか、その反省があってしかるべきだと思うんですが、従来の御答弁は、とにかく同僚議員の問題あるいは本人が決める問題。それはもうまさにこの永田町では通用するのかもしれませんが、国民の中では全く通用しない理屈なんですね。  ですから、大事なことは、政治改革というのは国民の常識が永田町で通用するような改革をやらなきゃならぬ。その出発点は、この阿部文男議員事務総長に選んだ宮澤宏池会会長そして今総理の一番の責任だし、そのことの反省というのがなければ、どんなにきれいごとを言っても政治改革宮澤内閣でできるとは私は思えないんです。そのことをまずお伺いしたいと思います。
  22. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 御質問の御趣旨はよくわかりました。確かに同僚議員というふうに本会議委員長に申し上げたのでございます。実態はしかし宏池会事務総長だろうと、そのとおりなんでございます。ただ、本会議の場でございましたから、いわば正式なことでないそういうことを申し上げるのは私が御遠慮しただけであって、この委員会でそのとおりだろうとおっしゃればもうそのとおりなんでございます。  そして、今加藤さんがお答えされましたように、事務総長というのはそういう格好でみんなの推挙で選ばれるのでございます。役所のようなポジションとは違うのでございますが、しかしみんなのやはり推挙で選ばれる大切な仕事でございますのでございますから、決してそれは他人だというようなことを考えておりません。まことに残念なことであったと他人のこととして決して考えておるわけではございません。これは本会議ではそう申し上げませんでしたが、こういう席でございますので、それは率直にそう申し上げます。  それから、それが一つでございますが、もう一つのことは、進退のことになりますと、これは昨日からも申し上げておりましたが、やはりとことん詰めてまいりますと、有権者から選ばれた者、負託を受けた者と負託をした者との間の、まあ他人からは最終的にはやっぱり口を入れることを、いわば他人からは口を入れにくい、そういういわば神聖な関係とでも申します、そういうものがあって、その負託をちゃんと遂行できると御本人が考えるか、何かの事情でできないと考えるか、また、委託を与えた者がそれに値すると考えるか考えないかというところに、まあお互いこの仕事をやっておりますのでその点は御理解いただけることだと思いますが、そういうことがやはり一番最後に残る、そういう意味で私は御本人が決せられるべきことであろうと申しましたので、事を軽く考えておるわけではもとよりございません。
  23. 水田稔

    水田委員 同僚議員という本会議答弁についてのお答えは理解できますが、後の分は、やっぱり申し上げましたように、一つ政党、政権を握っておる与党の中の主要なポスト、しかもそれはまさに同志としてやってこられたというそのことが、今、この共和の問題だけではなくてロッキード事件やリクルートやあるいは撚糸工連へずっと続いてきた、こういった金にまつわる政治の汚れについて国民が、まさに与党、野党を問わず何だ、こういう批判を買っておるときに、同志であればあるだけに、そのことを政治改革のためにあるいは決断を求めるというのは、これはまさに同志としてはむしろやるべきことじゃないか。それを、一般的ないわゆる選挙民に選ばれたという立場、そして議員という本人の判断、そういうことだけで、きれいごとで済む問題ではないだろう。今国民が見ておる見方というのは、総理のそういう答えこそ、まあ本気で政治改革やる気はないな、こういう受けとめ方になっておるわけですから、この問題はもうこれ以上言いませんけれども、そういうぐあいに私どもは、国民に対してきちっと宮澤総理が、これから政治改革の問題、あるいは共和の問題あるいはまた佐川の問題出るかもしれませんが、そういう中できちっとした対応をしていただきたいということを申し上げて、その点は終わります。  そこで、こういう政治家絡みの問題について、前の検事総長でありました、ずっと前ですが、伊藤栄樹さんが「検察の限界」「国会議員と政党員」、こういうことをやめられた後書かれておるわけです。その中に例を挙げてこういうことが言われておるわけです。「多くの国民が巨悪と見る政治家のいわゆる収賄行為に対応するため検察に武器として与えられているのは、明治四十年に制定された刑法の収賄罪の規定である。」「今日の政治家は、国会議員の側面と政党員の側面を持っており、もっぱら政党員の立場で金をもらった場合は、「公務員がその職務に関して」収受したことにならないから、犯罪にならない。」  これは五億三千万円、阿部文男議員が共和からもらった、こう言われておる。しかし実際には受託収賄では九千万というのは、あとはそういう政党員ですから罪にならない、こういうのと同じようなことであります。「彼の属する派閥の領袖に対する陳情に力を入れるだろうし、金を出すなら、派閥の領袖にドンと出し、大臣にはオシルシだけということにするだろう。その方が実際の効果がある。」肝心の領袖については受託収賄罪が成立しない。「右の例の領袖の行為も犯罪とするような法律があれば、立派な武器となる。」  こういうことでありまして、まさに腐敗防止法を考える場合、当然、今の政府与党関係の法案とかいろんな予算の編成過程を見ますと、まさにこのことが当てはまるわけですね。ですから、公務員の立場でない政党役員立場でやった場合は、それが罪にならないというような抜け道がある。これは当然これを抜け道をふさぐということをやらなければ、いつまでたっても、今の単に定数是正の問題であるとか選挙区の問題であるとかそういうことを幾らやっても、そこからは本当の政治改革は出てこないだろう。まさにこのことが、この伊藤栄樹元検事総長が言われておるようなことをこの政治改革の中で、我々も腐敗防止法の中でこのことをぜひ入れたい、こう考えておるわけですが、総理大臣はこういう政治改革に対する基本的なことについてどういうぐあいにお考えになっておるか、御見解を聞きたい、こういうぐあいに思います。
  24. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 今の問題でございますけれども、仰せになっていらっしゃることは私は一理があると思います。各党間の協議会で御議論をいただきたい問題だと思っておりますが、その背景になっております一つの問題は、本来政党というものが歴史的にやはり権力に対抗する立場からつくられてきた、まあ在野という言葉がございますように、そういう性格を持っておりますからなるべく法の規制を受けない方がいい、自由な方がいいという伝統的な考え方、それ自身は大変に意味があることだと思いますが、そういう問題がございます。  で、他方で、せんだって以来御議論の公費補助というようなことになりますと、これは、政党というものをやはり法律のもとで規定をしなければいけないということに私は恐らくなるのだろうと思います。そうなりますと今度、政党というものをやはり法的な存在と申しますか法律に規定された存在にしなければならないのであろうと私は想像いたします。  ですから、それは政党というものが自由に育ってきた沿革との関連でいろんな問題を持つと思いますけれども、今仰せになりました問題は、したがって、その政党の幹部というものがそういう法的な立場を持つ、そういうことになりますと今のお話にはすぐ進める問題なのであろう、その辺の ところが恐らく協議会で御議論をいただくべき問題ではないか。それしか方法がないと私は申しておるのではございませんが、この問題について我々政党人が考えるべき一つの問題は、そういう従来からの伝統的な考え方というものが一つありますので、それは協議会でいろいろに御議論をいただきたい。  私は御指摘の問題は十分に一理のあることだと考えつつ、そういうことを一つつけ加えさしていただきます。
  25. 水田稔

    水田委員 私は一理あるという問題ではなくて、これは基本的な問題だと思うんです。総理党内でずっとこうやってこられたわけですから、今の与党政府の間でどういうぐあいに法案がつくられる、そのやりとりの関係は御存じだと思うんですね。例えば、きのう私どもの小岩井議員から独禁法に関する報告書を資料として出してもらいたい、そのときにも、じゃあだれが反対したんだ、こういう話が出たんですね。きょうの新聞を見ると自民党が反対している。ですから、法案ができる過程における政党役割というのは特に大変なものですね。  ですから、一理あるというような問題じゃなしに、そこのところに根源があるということをこの伊藤元検事総長は指摘されておるわけですから、それはもう政治改革の基本のところへこの問題を据えてやる、そういうぐあいにぜひやっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  26. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 伊藤さんの言っていらっしゃることは、いわゆる犯罪、腐敗等々を防ぐという意味で理由のあることだと思います。同時にしかし、本当に政党というものを法の規制のもとに置くかということは、また伝統的なことから考えますとなかなかいろいろな問題がある、それもあわせてお考えをいただきたい、こういうことだと思います。
  27. 水田稔

    水田委員 この問題だけで政治改革できる問題じゃないですから、全体的な中で十分お考えいただきたい、こういうぐあいに申し上げておきたいと思います。  そこで、厚生省おいででしょうか。――おいでですね。民生委員というのがありますね。民生委員というのはどういう形で任命し、だれが監督し、どういう仕事をやるものなんでしょうか。
  28. 末次彬

    ○末次政府委員 民生委員の任命につきましては、市町村に民生委員の推薦委員会というのがございまして、そこから都道府県に推薦が上がりまして、最終的には厚生大臣が任命するという形式をとっております。
  29. 水田稔

    水田委員 職務の内容も質問しておるんです。
  30. 末次彬

    ○末次政府委員 民生委員の職務は四点ございまして、第一点は、これは法律の条文を読ましていただきますが、「常に調査を行い、生活状態を審がにして置くこと。」第二点は、「保護を要する者を適切に保護指導すること。」第三点は、「社会福祉事業施設と密接に連絡し、その機能を助けること。」第四点は、「社会福祉事業法に定める福祉に関する事務所」いわゆる福祉事務所でございますが、「その他の関係行政機関の業務に協力すること。」と「前項の職務を行う外、必要に応じて、生活の指導を行う。」これが民生委員の職務でございます。
  31. 水田稔

    水田委員 民生委員の協議会がありますね。で、その組織が政党活動や選挙運動をやることは法的に差し支えないことでしょうか。
  32. 末次彬

    ○末次政府委員 民生委員の協議会そのものについての規定はございませんが、民生委員そのものにつきまして、十六条に「民生委員は、その職務上の地位を政党又は政治的目的のために利用してはならない。」という規定がございます。
  33. 水田稔

    水田委員 これは総理大臣にお聞きいただきたいんですが、ここに、県名を言うとぐあい――県名は言いませんが、厚生省の前の社会局長の長尾立子さんという人が、自民党の恐らく比例代表の予定候補ということだろうと思うんですが、公認されておるかどうかは私まだそこまでは確認しておりませんが、各県の市町村の民生児童委員協議会、そしてその中で、各人に対して、民生委員に対していわゆる自由民主党への入党の申し込み、署名を集める、こういう活動をやっておるわけでございます。これは、ここに本物じゃありませんが、これは写しでありますけれども、まさにそれぞれ原文で、どう読んでみても、県の社会福祉協議会の会長あて、老人クラブ連合会会長あて、民生児童委員協議会会長あて、これは県の、これは出したところは政治連盟になっておりますが、受けた側は全部正式の民生委員なり児童委員の協議会であります。そしてその中で直接民生委員に対して割り当てがされております。ここに全部、割り当ての数もあります。  こういうことが、明らかに今御答弁をいただいたように民生委員政治的目的としての利用をしてはならないという条項にはまさに私は該当すると思うんですが、これは民生委員を監督するのは、いわゆる任命するのは、委嘱するのは厚生大臣で、そして監督するのは都道府県知事、こういうことになっております。これはこの事実を、相当広範囲にわたってこれは行われておるわけですから、全国で、明らかになっておるだけでも、行ったのは何十県がありますけれども実際にこの行為が行われたという県は、九県についてはそれぞれ実態が明らかになっておるわけでありますが、厚生大臣は、この事実は当然御存じだと思いますし、また今お話のありましたように、御答弁のありましたようにこういうことはしてはならないことでありますから、何らかの措置を当然とられた、こういうぐあいに思うんですが、いかがでしょうか。
  34. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 先ほど政府委員から答弁いたしましたとおり、民生委員は私生活に入っていろいろと保護、指導監督を行うわけでございますから、いわゆるプライバシーの問題に立ち入る、こういう意味からしまして民生委員政治目的のためにみずからの地位を利用するということは、これは非常にいけないことで慎むべきことでありますので、職務上の地位の利用ということは、保護指導などの民生委員の職務を利用する、あくまで職務を利用するということでございますから、民生委員がみずからの職務を離れてやることについては、そこまで禁止すべきではないと思っております。具体的には今おっしゃいました例につきましては私も承知いたしておりませんから政府委員からまた答弁をさせますが、したがいまして、本来指導監督がこれは都道府県知事にゆだねられておりますけれども、例えば一カ所に生活保護者を集めて、そしてそういうところでいろいろ選挙運動をやる、これはもう絶対にいけないことでありますが、今のところ私の方で、私が知る限りにおいては幾つかの県を調べてみましたがそういうことはなかったようでございますが、今の具体的なお話のようなことがあれば、私は承知しておりませんので、これはまた政府委員から答弁をさせたいと思います。
  35. 末次彬

    ○末次政府委員 大臣の答弁をちょっと補足させていただきます。  民生委員といいましても、これは参政権でございますから全面的にこれは参政権を制限しているわけではございませんで、職務上の地位を利用するというところが禁止されておるわけでございます。この場合の職務上の地位の利用といいますのは、民生委員は生活保護その他のいわゆる要援護者の保護指導を行うという立場にございますから、こういう要援護者を相手にして、その地位を利用して政治活動を行うということを禁止しているということでございます。したがいまして、民生委員がその職務を離れまして政治活動を行うというところまでを禁止しているわけではないというところでございます。
  36. 水田稔

    水田委員 大臣は、いわゆる生活保護者を集めて民生委員がやる、そんなばかなことをやる者はおらぬですよ。だから民生委員を、いわゆる行政の機構でしょう、協議会も。そこが民生委員個々に署名をとって、そして党へ入れて、そしてその人たちが個々に運動をやるわけですね。問題は、その人が例えば自分が担当しておる生活保護者に対していわば地位利用になる、しかし、上から全 部それをやってきておるわけですから。  これはいわば厚生省ぐるみじゃないかと思われるのは、先ほどもちょっと申し上げましたが、厚生省に関係あるような地方の協議会、全部これを出しているわけですね。県社会福祉協議会、共同募金会、老人クラブ連合会、県民生児童委員協議会、これは割り当ての目標人員まで全部入っておるわけですね。県老人福祉施設協議会、心身障害児者親の会連合会、精神薄弱者育成会、県保育協議会、身体障害者更生授産施設、これは挙げてみれば全部、厚生省所管のところへ全部これは行っているわけですよ。正式に協議会の会長名で市町村の会長に行き、そして具体的にこの署名簿は、これは政治連盟になっているけれども現実には民生委員全部に署名をさせている。まあ反発してやらないと言った人もおるからこれだけばれたわけですけれども、このことが公正な選挙をやるあれになるのか。  ですから私は、厚生省は、今言うように地位利用でなければいいということでは済む問題ではないと思うんですね。こういう選挙がやられる選挙が公正な選挙と言えるのか。一般の人ができるんですか、一般の人がこんなことが。厚生省の高官であったからその地位を利用して、やめたけれども、それでこれだけのことをやっているのじゃないですか。このことをどういうぐあいにお考えか。(発言する者あり)
  37. 山村新治郎

    山村委員長 御静粛に願います。
  38. 水田稔

    水田委員 後でもう一つ例を挙げますが、お伺いしますが、厚生大臣、いかがですか。これは違法でないからこんなものは当たり前だ、こういうぐあいにお考えなのか。好ましくないと言われるのであれば、現実にその組織が使われておる。大臣、お答えいただきたいと思います。
  39. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 私の知る限りでは、山形はか幾つかの県を調査してみましたが、これは民生委員が住民に署名を勧誘したということではなく、また民生委員自体の連名も、民生委員が、個々が自発的にやったということであり、また、依頼に基づくというよりも、民生委員関係においてと申しますか、何かの機会に話があったかもしれませんが、ただ、それぞれすべてが本人の意思に基づいてやっているというふうに私は理解をいたしております。たまたま民生委員が連名で、山形の場合は二十名、判をついておったとかいう新聞報道もありますが、それは個々の意思に基づいてやったということで、上からの指示に基づいてやったのではない、私はそのように理解いたしております。
  40. 水田稔

    水田委員 委員長、この資料を大臣に見ていただきたいと思うのですが。(発言する者あり)
  41. 山村新治郎

    山村委員長 御静粛に願います。
  42. 水田稔

    水田委員 全然関係のない人が、たまたま民生委員が何人かおった人が当たったと、協力してくれと、そういう証拠はどこにもないんです、これは。まさに全国組織を通じて市町村まで行っておるわけです。  局長ですか、今、個々に地位利用したらそれは違反だけれども、そうでないからと言われましたが、これは島根県の例ですが、ある民生委員は、受け持ち地域のひとり暮らしのお年寄りや身体障害者、寝たきり老人に、福祉行政を進めてくれる人だからと立候補予定者を紹介し、十人に会員になってもらった、こういう報道があるわけです。調べたんですか、それ。調べてないということでしょう。
  43. 末次彬

    ○末次政府委員 島根県の事例につきましては、平成四年一月の県議会で、民生委員法第十六条の違反事例は確認できなかった旨の報告がなされておりまして、私どもも島根県を通じましてそういう報告を受けております。
  44. 水田稔

    水田委員 通達を見てもらったのですが、それでもなおかつ、たまたまでしょうか、民生委員が。――見ていただいたら、それ一つしかないですから、返してください、大事なものですから。
  45. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 今政府委員答弁いたしましたとおり、平成四年の一月の県議会におきまして、民生委員法第十六条の違反事例は確認できなかった、こういう報告を受けております。したがいまして、今御指摘なさいました点は、私今拝見しましたので、これは調査して、後刻また御報告申し上げたいと思います。
  46. 水田稔

    水田委員 大臣は報告を受けてないと言われた。だから、私は資料をお見せしたのは、組織的にやられておるという資料をお見せしたわけです。調査して、あったらどうするんですか、これ、私が申し上げたようなことが。
  47. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 ただいまのは社会福祉政治連盟、そういうものがございまして、それが主宰してやったというふうに私は聞き及んでおります。
  48. 水田稔

    水田委員 あなた、私が見てもらった資料をよく読んでないんですか。あの中には政治連盟とは書いてないでしょう。だからお渡ししたんです。島根県民生児童委員協議会会長、この組織を使って、そして市町村民生児童委員協議会会長あてになっている。そして、それがまた末端の民生委員に全部行っておるということを申し上げておるんですから。政治連盟は別の問題ですよ。私が言っておるのはこれですから。
  49. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 今申し上げましたように、このことにつきましては、具体的事例がありましたから直ちに県の方に問い合わせましたところが、そういう回答が、社会福祉政治連盟の名において行っているという回答が返ってまいりました。  しかし今、さっき申し上げたとおり、今初めて先生からそういうのを拝見させていただきましたので、これはひとつさらに調査をいたしまして、また御報告申し上げたいと思います。
  50. 水田稔

    水田委員 今申し上げた資料を委員長もちょっとごらんいただきたいと思うんです。具体的な資料として私が大臣にお見せしたんです。ですから、そういうことがないということを報告を受けて、これから調べるでは、私はおかしいと思う。認めざるを得ぬでしょう、これ。そういうことがあったということは。
  51. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 私も十分承知いたしておりませんので、どうも先生が御満足いただけるような答弁できませんけれども、この社会福祉政治連盟というのは全国一本になっておりまして、この中央の社会福祉政治連盟が各県の支部の対してそういう依頼をする、それが誤って伝えられたりすることはあり得ると思いますから、先ほど申し上げましたように、正確な、ひとつ実態を調査して御報告を申し上げたい、こう思います。
  52. 水田稔

    水田委員 何遍申し上げても、大臣、私は渡したのは政治連盟は全く関係ないです、これ。でしょう。これは、ですから調査して、すぐ調査してください。その報告を私は待ちます。(発言する者あり)
  53. 山村新治郎

    山村委員長 御静粛に願います。御静粛に願います。  水田委員に申し上げます。ただいま厚生省において調査をして正確な資料により御答弁を申し上げます。質問をお続けください。
  54. 水田稔

    水田委員 いやいや、私はこの資料をちゃんとつけて大臣にもお伺いしたし、それに対して何回聞いても政治連盟、政治連盟と言うんです。ですから、そうであるならば、私がうそを言っておることになるんであれば、私はこのまま質問を続けられませんから、確認をした上で、それで正式に答弁ください。それで、その上で質問をさしていただきます。
  55. 山村新治郎

    山村委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十時五十八分休憩      ――――◇―――――     午後三時四十六分開議
  56. 山村新治郎

    山村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。水田稔君。
  57. 水田稔

    水田委員 厚生大臣に私の方から、公に流れた文書の写しをお見せして、そしてその事実の確認を求めたわけであります。調査するということであったわけでありますが、厚生大臣の答弁をまず 求めたいと思います。
  58. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 水田稔先生の御指摘のとおりでございます。今後は公私混同を避け、厳正公平に対処してまいりたいと存じます。
  59. 水田稔

    水田委員 事実上私の資料をお認めになっての御発言でありますから、厚生省に対する質問はこれで終わりたいと思います。  同じようなこれは別な事案でありますけれども、防衛庁について、防衛庁にお伺いしたいんですが、同じく参議院の比例代表で立候補予定の永野参議院議員の後援会が、これは後援会の最高幹部というのは全部元幕僚長であるとか、いわゆる自衛隊の幹部の方々です。それが巡回してということですから、恐らく自衛隊の各隊舎なりあるいは庁舎を回ってだろうと思うんですが、いわゆる寄附の要請に歩いておる。あるいはまた文書で、これは報道ですから確認しておるわけではありませんが、六万人ということですから中堅幹部以上の方だろうと思うんですが、そこへ寄附の要請をしておる。こういうことで、防衛庁はその事実について調査をする、こういう報道がされておったわけでありますが、調査をされたのかどうか。調査をされたのであればどういうことだったのかということを、まず防衛庁長官から御説明いただきたいと思います。
  60. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 先生御指摘の報道があることは私も承知いたしておりますけれども、本件は個々の隊員に対しまして永野議員の後援会が自主的な判断で行ったものでございまして、今仰せのとおり、個々の隊員に手紙を送ったり、あるいは寄附を依頼を行ったのに対し、その趣旨に賛同した隊員が個人として自主的に寄附を行ったものと承知をいたしております。  なお、報道がございましたので、後援会から概略を聞き、また主要部隊からもかかわりのある、有無について確かめてまいりましたが、特段問題になるようなことはなかったと一応承知しております。
  61. 水田稔

    水田委員 今、防衛庁長官がお答えのように、個々にやられることについて私はとやかく言っておるのではなくて、この報道の中に重要なことは、巡回してというのは、防衛庁、いわゆる自衛隊の幹部のOBがいわゆる自衛隊の部隊を訪問して要請をしておるということは、自衛隊の中で政党に対する寄附金を求める行為をやっているんですね。そのことをやはりきちっと、単に何にもなしに文書だけ送ってということじゃないと思うんですね、これ。ですからその点は、きちっと調べられても、そのことは法律上問題ではないかということを聞いておるわけですから。
  62. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 お答え申し上げますが、OBの先輩が隊を訪問いたしまして、そこで個々の隊員あるいは何人がおられた場合にも、それにお願いするということは当然予想されることでございますけれども、これはあくまでも、私が申し上げましたように、個々の隊員に対する要請ということでございまして、一般公務員と自衛隊の規制も全く同じでございますから、そのように理解をいたしておるところでございます。
  63. 水田稔

    水田委員 自衛隊法の第六十一条には「政治的行為の制限」という中で「政党又は政令で定める政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法をもってするを問わず、これらの行為に関与しここう書いてあるんですね。ということは、OBの方が自衛隊の駐屯地を訪ねてそこの幹部に会って、それはどういう要請をしたかわかりませんが、その中で寄附行為が行われておる。関与というのはもう明らかなんですね、それは。そうでしょう。そういうことをきちっとお調べになっておるのかということを聞いておるわけです。それであるならば、これはまさに六十一条に違反する行為ではないか。お答えいただきたいと思います。
  64. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 私ども先生のおっしゃられる意味はよくわかりますが、現実の問題として、部隊等に行かれた際に、もしか部隊の指揮官あるいは上司が組織ぐるみでそういうことを指導したとか、あるいはそれを代表して受けてそれを隊員に要請するとかいうようなことがございますれば、私どもこの六十一条の問題になり得るかとも存じておりますけれども、今まで私どもお聞きしたところではそのような組織的な行動はなかった、このように聞いておるところでございます。
  65. 水田稔

    水田委員 私、改めて調査を要求したいと思うんです。なぜならば、回ったということはお認めになるわけですね。巡回した。何で行ったかというと、後援会の幹部として自衛隊のもとの幕僚長などの最高幹部ですね、その方が行って、その中で、私、隊長が、あるいはそこの司令が寄附行為をやったとかなんとかじゃないんです。そこでおって何をしたかというと、「これらの行為に関与しこというのは、そこにおってその人たちがやることを黙って見ることもそれは関与に当たると思うんです、僕は。そのことをきちっと私は調査をして報告いただきたいと思うんですね。お言葉だけで――委員長、不規則発言は禁止してください。  なぜ申し上げるかというと、かつての軍隊、旧憲法のもとの軍隊でも、政治的な関与をしてはならぬと書いてあったのです。それでもあれだけ日本政治をひこずり回すほどやって日本を破滅の極に持っていった。ですから、ささいなことかもしれませんけれども、まさに選挙に絡む問題で金集めに、自衛隊の中に、後援会の幹部といえどもかつての自衛隊のOBが入っていくい入っていき何をするかというと、それは金集めのために入るんですね。黙って帰るか、そんなことはないと思うんですね。それは明らかにそこの隊の責任者にとってみれば関与に当たると私は思うんです。ですから、そういう事実があったかどうかを調査してもらいたいと思うんです。
  66. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 自衛隊といえども国家公務員法と同じ規制を受けるわけでございますけれども、今先生のおっしゃられたような意味で隊に行かれまして個々に要請される、たまたまそこに何人がおられたというようなことはあると思いますけれども、私ども、もしか組織的にそういうようなことがあるとすれば六十一条違反ということになりますので、これは調査をさせていただきますけれども、そのようにいたしたいと存じます。
  67. 水田稔

    水田委員 組織的とか云々は関係ないんですよ。例えば、天幕僚長が駐屯地へ行って一人の兵卒に会ってどうこう言うことは絶対ないと思うんですよ。幹部に会うんですよ。何人であろうとも、何の話をされるのか、これは金集めの話ですよ。聞くだけでも問題だと私は思うんですよ、その隊長がどうこうするということではなく。  だから、なぜこれを言うかというと、今申し上げましたように、かって日本はそれで失敗してきたんですからね。軍が政治に関与するということが一番これから問題になることですから、その点はきちっとやはり押さえるところを押さえておくべきじゃないかと思うから、私はこれは、これ以上申し上げませんが、調査をして、その事実があればこれは六十一条違反であることはお認めになりますね。
  68. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 お答え申し上げます。  六十一条違反になるような事態がありましたならば御報告申し上げます。
  69. 水田稔

    水田委員 いや、そうじゃないんです。私が言っておるのは、巡回されたことはお認めになるんですから、そこで何人かにお会いになっておる事実、それだけでも私は関与だ。だからそういうことがあったかどうかの報告だけで結構です。  それからもう一つは、そういうことがあれば当然法違反ですから、そのようなことのないような自衛隊をきちっと規律ある部隊として指導してもらいたい、そのことを申し上げておきたいと思います。  それからもう一つは、これはもう答弁はよろしいけれども総理、今の問題と含めてお聞きいただきたいんですが、実は、これは松浦というとここの、うちにもおりますから、松浦功参議院議員ですが、消防団長が団員に対して、あるいは市長が市の幹部に対して、あるいはまた私立中高等学校の連合会などへずっと流しておるわけですね、 同じように。これは厚生省の場合と同じような形であります。こういうことがずっと行われておるわけですね。  本来私は、行政というのは政治的には申立てなければならぬ。一番それを求められるのは自衛隊だと思うんですよね。そういうことが現実に、さっき二つの例を挙げて申し上げましたし、また今一つの例を申し上げたわけでありますけれども、七月の選挙を目指して現実に起こっているわけですね。これは一つ政党の中における順位争いの問題で起こっておるのかもしれませんけれども、しかしそのことがどれだけ行政政治関係、癒着という形になって起こってきておるか。このことが、先ほど厚生省で私は申し上げまして、大臣が公私混同のないように、こう言われたわけでありますが、少なくとも政治を正していくという上ではこの中立てあるべき行政選挙に関与するということはあっちゃならぬことだと思うんですね。私はやはり選挙というのは、それぞれの政党勝ち負けはあるにしても、少なくとも公正公平に行われなきゃならぬと思うんですね。  目前に迫っておるわけでありますが、その点について総理大臣は、この今申し上げたようなことで、それが続くとしたならば、公正公平な選挙が行われる――私は行われないと思うんですがね。ですから、そういう点のないように総理大臣の御見解を伺いたいと思います。
  70. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 先ほどお話のありました点のほかに水田委員から新たに御指摘のありました点を含めまして、今後は公私混同を避け、厳正公平に対処いたしてまいりたいと存じます。
  71. 水田稔

    水田委員 総理から公正にという御答弁がありましたので、この問題については終わりたいと思います。  次に、文部大臣はトトカルチョについて、これは報道によりますと大変乗り気で、文部省も検討をしておる、こういう報道があるわけですが、大臣、トトカルチョというのは一体どういうことですか。
  72. 鳩山邦夫

    ○鳩山国務大臣 トトカルチョという話源は、これはイタリア語なのかわかりませんが、カルチョというのはフットボールを意味するというようなことを聞いておりますが、一般にはサッカーくじというような形になるわけですが、今先生が、私がいわゆるちまたでうわさされておりますサッカーくじとかスポーツ振興くじというものに対してどういう気持ちであるかというようなことでありますが、私は現在非常に中立的な立場にあると思っております。  御承知のようにこれは、日本体育協会あるいはJOCの皆様方が各方面に働きかけて、これからスポーツ大国への道を歩んでいく、とりわけ平成六年に広島でアジア大会、そして平成七年が福岡のユニバーシアード、そして平成十年が、二十六年ぶりになるでしょうか、長野の冬季オリンピックということで、こういうチャンスをとらえてスポーツ振興を図っていきたい、そして平成五年からサッカーにいわゆるJリーグというプロのリーグが誕生する、これをとらえて、欧米各国で行われているようなサッカーくじを導入することによって一層のスポーツに対する関心を高めて、また、その財源をもってスポーツ振興を図ろう、こういうことで各方面に働きかけをしておられるわけであります。  現に私のところにもお見えになりましたけれども、それは文部大臣に対する陳情をしたのではありませんで、各党を図られたのでありましょうか、自由民主党総裁宮澤喜一殿あてにこのような文書を提出しましたという報告にお見えになったということであります。  私といたしましては、そういう事柄でありますから、国民みんながある程度賛成をしていただかなければできないことで、国会で申し上げるならば、各党間の話し合いとか了解とかそういうものがいずれできていくならば、というふうに思っておりますから、まあ私から申し上げることではありませんが、もしそのような法案がということであれば当然議員立法というような形をとっていくのでありましょうかと、こんなふうに考えておりますが、まだ各党間の話し合い、あるいは最初に話を受けた自民党の中でどのように話がまとまってきているかも、私は十二分には承知はいたしておりません。
  73. 水田稔

    水田委員 くじですから、これはいわゆるギャンブルの一種であることは間違いないと思いますが、その点はどうなんですか。
  74. 鳩山邦夫

    ○鳩山国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたように、どのような内容になっていくかをまだ私が予測をすることはできない段階でありますから、私から内容について云々をするのは本当はまだ時期尚早であろうかと思っておりますが、スポーツを所管する官庁といたしましては、そういう構想が出てきて各方面への働きかけが始まった以上は、勉強は開始をいたしましょうということで、まだ緒についたばかりでございますが、ある程度の勉強はいたしているわけでございます。  先生、ギャンブルとおっしゃいましたが、ギャンブルの定義とか、じゃあ日本語で賭博といった場合にどうであろうかとか、そういうことは私も詳しく調べたわけではありませんけれども、まあ、もしそういうような制度が取り入れられるようなことがあるとするならば、賭博性の極めて薄いものであったらいかがだろうかというようなことは、私は実際に記者会見等でもコメントをいたしたことがございます。  で、私は昔相当競馬が好きだった時代がございまして、競馬の場合ですと、今馬番というような制度が始まっておりますが、そのような制度になってから馬券を買ったことはありません。ですが、いわば八枠までございまして、八枠までの連勝複式が何通りあるかということになりますと、これは数学で言ういわゆるコンビネーション、8C2でございますから八掛ける七割る二、二十八通り。十六頭まで馬が詰まって各ぞろ目ができたとして三十六通り。三十六通りの中ですと、まあ三点ぐらい買えば当てたいなというのが、私も競馬を一生懸命楽しんでおった時期には考えたことがある。これはまさに、確かにギャンブルだろうと思いますし、公営ギャンブルというのもありますが、例えば宝くじ的な確率のものになりますと、果たしてそれはどうであろうかというふうに考えることがございます。  それから問題は、どれくらいの払い戻しかということも、賭博性という意味では、あるいはギャンブル性という意味では考慮できる話ではないだろうか。競馬の場合は七五%を払戻金に充てているわけでございますが、これをこのスポーツ振興の寄附というような形で、例えば払い戻し率が非常に低いというようなことであれば、これはもう寄附を承知で宝くじを買うとか、そういうようなことも勉強している過程の中で頭には描いておりますが、自民党を中心としてどういう御議論があるかは私の予測できるところではありません。
  75. 水田稔

    水田委員 先ほどの大臣の答弁と含めて、いわゆる長野オリンピックを含めて、その前の競技を含めて、施設をつくるためにギャンブルで金を集めよう、こういうことを今文部大臣は言われたと思うんですね。特にサッカーというのは子供が大変好きな競技なんですね。それを、いかに薄めるといえども射幸心をあぶる行為、それで金を集めるということがいいのかどうか。これはまあ御承知と思いますが、東京オリンピックのときに、そのときにもその論議があったわけです。それはそうすべきじゃない、それは、スポーツ施設についていえば国や地方公共団体が、いわゆる公共団体が面倒を見るべきじゃないかということで、東京オリンピックのときもそういうぐあいにしたわけですね。  特に、子供の教育を所管する文部省は、まあもちろん体育も所管しておるからでしょうが、その所管の文部省であれば殊さらに、私は、スポーツ施設の整備のためにこの射幸心をあぶるギャンブルで金を集めるという考え方は持つべきでない。あなたは競馬が好きだと今私の質問せぬことまでたくさん答えてくれましたけれども、そういう感覚でこの問題をやってもらっちゃ私は困ると思う んですね。ですから、子供の教育を所管しておるわけですから、体育だけじゃないんですから、もっと基本になるのは教育ですから、その所管の大臣として、こういう形で金を集めることはやめるべきじゃないかと私は思うんです。  このことは、文部大臣とそれから総理大臣も、今こういう論議が、まあ議員立法かどうか知りませんけれども、文部大臣は非常にこの点では関心を示して党内論議と、こう言っておりますから、これは総理大臣も、三十九年の東京オリンピックのときにもそういう論議があってそれはやめたことなんですから、それをまた蒸し返すようなことは、本当に必要なら思い切って国が金を出せばいいわけですから、そのことを両大臣、文部大臣と総理大臣にお伺いしたいと思うんです。
  76. 鳩山邦夫

    ○鳩山国務大臣 冒頭申し上げましたように、これは各方面の議論の推移を見守っていくというのが私どもの基本姿勢であって、そのような議論の成り行きを見て私どももいろいろ考えていかなければならないと思っておりますが、事前に勉強はしておかなければならないということで私なりに考えておるところを若干申し述べたわけですが、先ほど私が競馬の話をしましたのは、みずからが競馬を楽しんでおった時期において、こういうものは確かにまあギャンブルとか賭博、国が認めたあるいは公営の賭博という要素は否定できないけれども、そうした要素をほとんどなくすような形も考えられるのではないだろうか。払い戻し率の極めて低いというか悪いというか、賭博としてこれを楽しむことができないようなやり方というものもありはしないかということを申し上げたわけであります。  東京オリンピックの際のことにつきましては、実は十分承知をいたしておらないわけで、これはそれほど具体的な議論にまで大いに発展をするという段階まではいかなかったのではないだろうか、一種のちょっとしたうわさ話、構想程度のうちに終わっていったのではないかなと、実は十分な資料がありませんので、例えば対象が何であったのか、サッカーであったのか野球であったのか何であったのか、そういう点についても私は実は十二分に理解をしておらないところでございます。  国家予算でスポーツのことを大いにやれというのは、先生のお考えと私どもの考えは全く同じでございまして、ただ、そういう観点からスポーツ振興基金もおつくりをいただいて、国が二百五十億、そして民間から今四十何億か集まっておりますから、二百九十億ぐらいにはなってきておりますが、これの一年分の果実ということになりますと、十八億とか十九億とかそういうオーダーになろうかと思っております。実際このスポーツ振興に対して、スポーツ大国になるためには国家予算でももっともっと御配慮をいただきたいという気持ちは持っておるわけであります。
  77. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 一九六四年の東京オリンピックのときにこの話はやはり問題になりまして、実は私は文部政務次官をしておりましたので当時の経緯を多少知っております。結局十分に国民の間で理解が得られないということでさたやみになった経緯がございます。今度また御議論があるとしますと、よほど国民的な合意という、これが得られるかどうか、そこのところを大事に考えながら事を運んでいかれることが大事であろうと思っております。
  78. 水田稔

    水田委員 総理答弁、結構です。  ただ文部大臣に申し上げておきたいのは、この質問をするというのは通告して、お調べになっておると思うんですが、東京オリンピックの際のトトカルチョ論議ですから、これはやっぱりサッカーなんです、サッカーくじですね。そして橋本文部大臣、当時の池田総理大臣が反対して、オリンピック資金は国と自治体が責任は持つと正式な発言をされて、そういうぐあいにざれたわけなんですね。  それから、今振興基金の話が出ましたが、本来言えば、二百五十億と言うけどね、一けた基金の積み立てが少ないんでしょう、本当言えば、もともとの論議から言えば。だからそこから出る果実は少ないわけですね。ですから国が出すというのであればその振興基金の二百五十億は少ないということを文部大臣はもっと声を大にして言うべきだということを申し上げて、この問題、総理の御答弁で慎重に扱っていただきたいということを申し上げて終わりたいと思います。  昨年百二十国会で再生資源の利用の促進に関する法律、いわゆるリサイクル法が制定されたわけです。そして百二十一国会で廃掃法の一部改正が行われて、これは今、省令をつくる最中のようであります。そこで、一つは環境問題ということ、一つは省資源という、資源のない日本がそういうことで資源をリサイクルしていこう、こういう仕組みでこの二つの法律がつくられたと思うのですね。  実際にはどういうことかといいますと、私も東京におって、東京は分別収集やってないなあ、宿舎におって、生ごみと、とにかくあとはそうでないものと、燃えるごみ、燃えないごみも一緒に入るのですね。そういうことで、実際には大都市が特にそういう点、ごみの量の多い大都市が悪いわけで、全体的には分別収集というのは二〇%ぐらいしかできてない。その仕組みをどうやってつくるかということがこれからの課題なんですが、一般廃棄物に対する資源ごみとの分別収集をどういうぐあいに進めて、それからもう一つは、出てくるごみの量を抑えていくということが大事だと思うんですね。  そういう点について、これは省令もつくりつつあるんですが、そういう仕組みをどういうぐあいにやっていこうとお考えになっておるのか。これは厚生省になりますかね。
  79. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 このごみの分別収集、これはごみの効率的な処理の方法であり、減量化に非常に役立つことであります。したがいまして、市町村が定める一定のごみの処理の計画にこれを入れて指導したい。「混ぜればごみ、分ければ資源」というキャッチフレーズでとにかくこの問題は推進してまいります。  平成四年度の予算案におきましても補助金を出すことにいたしておりますし、今お話がありましたリサイクルセンター、これにも補助金を出すというようなことで、いろいろ手を使いながら分別収集についてさらに格段の努力をしてまいりたいと思っております。
  80. 水田稔

    水田委員 この法律で特別管理廃棄物という区分があるわけですが、その範囲はどういう範囲を考えておるのか。  それからもう一つのは、まだ我が国は批准してないと思うんですが、バーゼル条約の四十七品目については、こういうものも当然こういう新しい仕組みを考える中で、危険なものですから、これは当然入れるべきだろうと思うわけですが、その点はいかがですか。
  81. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 現在のところ、これは、爆発性、毒性あるいは感染性、さらにまた人の健康または生活環境に係る被害の生ずるおそれのあるもの、こういうものを政令で指定することといたしておりますが、さらに感染性医療廃棄物、例えば飛散性アスベスト、これはコンクリートでちゃんと枠をつくってあるものはよろしゅうございますが、これが空気中に散乱するようなものについてはこれも指定する。そういうことで今後やっていきたいと思っております。
  82. 水田稔

    水田委員 バーゼル条約の関係
  83. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 このバーゼル条約の廃棄物リストに掲げられております廃棄物につきましては、今後、年次計画でこれを策定していくということでございまして、必要なものにつきましては、特別管理産業廃棄物の中に指定をしていくということにいたしております。
  84. 水田稔

    水田委員 リサイクルする再資源のごみの中で、特定業種に紙とかガラスというのは指定されておるわけですね。ところが、量的には非常に多い、そして一番問題の鉄が指定されてないわけですね。一体、それはどういう理由でなんでしょう か。
  85. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 委員御指摘は、再生資源利用促進法の特定業種に鉄鋼業を指定すべきではないかということだと存じますけれども、御承知のように、鉄鋼業におきまして鉄スクラップを二つの形で使っておりまして、一つは粗鋼を生産をいたします電気炉の段階で使いますのと、それから高炉の段階で使いますのと両方ございます。前者の電気炉につきましては、原料のほぼ全量が今スクラップになっておりまして、それ以上ふやせない、こういう状況にございます。片一方、高炉の方は、現在鉄スクラップを約七、八%、一割弱だと思いますけれども使っておりますけれども、これは品種構成等の関係で、あるいは技術的な問題でこれ以上ふやすのがなかなか困難な状況にございます。したがって、現時点で鉄鋼業をリサイクル法の特定業種に指定いたしまして、鉄スクラップの使用比率を顕著に高めることは技術的に困難な状況にございますので、したがって、指定はせずにほかの手段でこのリサイクルシステムの確立を図ろう、こういうふうに考えている次第でございます。
  86. 水田稔

    水田委員 現在、もちろん、日本の鉄生産量、その消費量というのは大きく変わってきたことも原因でありますけれども、くず鉄の値段というのはまさに暴落いたしまして、これはいわゆる回収業者を通じて軌道に乗せていけば――もちろん、電炉メーカーが使うわけですが、高炉メーカーは自分のところの中で出た品質が大体わかっておるものは使うにしても、ほかの合金鉄等がまざったものはなかなか品質の点で使わないという問題があるわけです。そして、そういう中で自治体が集めて処理をしようにも、今までならそれを幾らか有価物として引き取ってくれた、今逆に金をつけて渡さぬと引き取ってもらえない、こういう仕組みになっておるわけですね。  これは、そこのところは、日本の産業なり全体のあり方が変わったものですから、いわゆる途上国の電炉を、とにかく建設を援助するとか協力をする中で、日本からくず鉄が出ていって、そういうところは自前でできるような、そういう中で日本におけるくず鉄と新しい鉄鋼の生産とのバランスをとっていく。そういうことができないと価格の安定はできないし、それから、仕組みをつくっても、日本の業者が全くもう扱って損するものなら扱いませんから、くず鉄は全くリサイクルの中に乗ってこないということになるわけですね。  そういう仕組みをきちっとつくるべきだろうと思うわけですが、量が多いし、それからもう一つ、私は、例えば物をつくる場合にいろいろなものが鉄にまざるということは、これは品質の点でも後使いにくいわけですから、そこらは分離できるような物のつくり方、そういうことも含めたこの法律を、リサイクル法と廃掃法の改正をやって、新しい仕組みの中で省資源あるいは環境保全ということをやっていこうというのであれば、その仕組みをちゃんとつくった上でやらなきゃ機能しないんじゃないかと思うんですが、それぞれ厚生省と、それからこれは通産省も関係ありますかね、お答えいただきたいと思います。     〔委員長退席、中山(正)委員長代理着席〕
  87. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 委員御指摘のように、ただいまの状況が若干そういう状況になっていると思いますけれども、鉄スクラップの価格が低落をいたしまして、資源を回収する事業活動に困難が生じる、そういう問題が生じていることは私どもも十分認識をいたしておるわけでございます。  そこで、この解決策でございますけれども、私ども、大きく申し上げまして三つのことを考える必要があるかなと考えております。  第一は、やはりスクラップの需給を改善するといいますか、やはり市況が低くなりますとどうしても経済システムに乗ってこないということでございますので、例えばスクラップの輸出の可能性でありますとか、あるいは契約納入をもう少し進めるとか、あるいは高炉での消費比率をもうちょっと高めるというような、そういう対策につきまして、ただいま社団法人の日本鉄源協会に特別部会を設けてもらいまして、そこで鋭意検討していただいているという状況でございます。  第二に、やや中期的でございますけれども、これも委員御指摘のように、いろんな不純物がまじったスクラップをどうやっていい鉄に仕上げていくか、そういう意味で技術開発が非常に大事でございまして、私ども、そういった意味で新製鋼技術といいますか、新しい製鉄技術、こういうものも開発していかなければいけないのかな、つまりスクラップが使えるような製鉄技術の確立ということが必要ではないかと考えております。  第三番目に、さらに個々の現場のシステムをやはり構築をしていく必要があるということで、例えば、ただいま高炉を持っております製鉄所において、近隣自治体の回収したスチール缶スクラップを使用する実験を開始していただく等、関係業界においてもそういう再資源化のシステムづくりというものにも努力をしているところでございます。  当省といたしましては、鉄のリサイクルシステムの確立に引き続き努めてまいりたいというふうに考えております。
  88. 水田稔

    水田委員 もう一つは、今もちょっと出た中で、例えば空き缶ですね。空き缶とか、それから古紙の場合は、地域のボランティアがやっておるわけですね。例えば、市町村によって、市へ持っていくんじゃなしに古紙を集めて業者へ持っていく、後で報告すると一キロ当たり三円とか幾らとかを市が補助する。そういう仕組みで会の運営とかあるいはまたごみを減らすという、そういう役割を果たしておるわけですが、これも同じように、やはり古紙の値段というのがもうがたっと落ちる、そうすると機能しない、そういう問題もあるわけですね。そういう点も、ひとつ鉄だけではなくて、やはり機能するような仕組みを全体のリサイクルの仕組みの中に考えていただきたい。  それからもう一つは、再生資源を使った場合には、コストの点でやはり割高につく、あるいはまた品質の点が劣るという場合があるんですね。ですから、そういう点でコストの低減とかあるいは品質向上、そういった点での援助できることがあれば、国があるいはやるべきではないだろうか、こういうぐあいに思うわけですが、その二つの点を、まとめて時間の関係で申し上げましたが、お答えいただきたいと思います。
  89. 堤富男

    ○堤政府委員 古紙の関係についてお答えを申し上げさせていただきます。  古紙につきましては、おかげさまで世界でも最高水準に達するような古紙の利用率、五二%までいっておりまして、これが最近、品種によっては差がございますけれども、古紙を使用した、俗に再生紙と言っておりますが、こういうものが品質、価格とも大変普通の品物と同じようなものになってきたことがございまして、今後こういうものにつきまして国民的な御理解、先ほど先生からもお話ございましたようなボランティアの活動とか、そういうことを国民運動として起こしながら、幸い再資源化法というような大変立派な法律もいただきましたので、この関係で広報活動を十分やってまいりたいと思っております。  全体の価格につきましては、定点観測をしますとそれほど大きなダウンはございませんけれども、最近紙全体がやや不況の影響を受けまして弱含みにあることは事実でございますが、今後とも国民運動をさらに続けていくようなことを十分やってまいりたいと思っておる次第であります。
  90. 水田稔

    水田委員 私は、一つは、ごみというのは物を買うときに消費者としてどうそれを負担するか、あるいはそこへ住んでおる市民として市民税とかそういう負担をするかという問題がある。もちろん、業者はごみがふえることをできるだけ少なくしていく、そういう負担をしていく、そういうことだろうと思うんですが、大型なごみについて、やはりもう費用負担をどっちがするかということをいろいろ考えたらいいと思うんです。製造業者がこの引き取りの義務をある程度持つ、大型なものについては、そういうことを検討してもいい時 期へ来ておるんじゃないか、そういうぐあいに思うんですが、その点、いかがですか。
  91. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 不十分の点は政府委員が申し上げますが、私ども見ておりますと、例えばちり紙交換なんて全く見なくなりましたし、あるいはくず鉄にいたしましても紙にしましても、いずれも極めて零細な業者がやっておる。したがって私は、くず鉄にいたしましても実際これを使う大企業がやはり本腰を入れる、あるいは紙にいたしましても、パルプ業者が直接乗り出す、そういう形でやっていかなきゃなりませんし、また、粗大ごみ等につきましては、これは例えば、例えばの話でまだ私ども決めておりませんが、自動車であるとか家電のメーカーとか、そういうものが乗り出して、そして系列的にこれをやっていかなきゃならぬのかな。また、地方自治体においても今後これを有料化するためのひとついろいろな、国もこれにつきましてはもちろん相談に乗って一緒にやっていきますけれども、例えば有料化につきましてもどのように合理的にやれるのかなということを早急に協議しながら解決していきたいと思っております。
  92. 小林康彦

    小林(康)政府委員 昨年十月に改正をされました廃棄物処理法の中におきまして、市町村におきまして適正な処理が全国的に困難となっております廃棄物を厚生大臣が指定をし、市町村はその廃棄物の処理について関係する事業者に対し、必要な協力を求めることができるという規定が入ったところでございます。  廃棄物となった製品をつくります製造メーカー等によります回収もこの協力の一形態と考えられるところでございますが、現在、対象といたします廃棄物及び事業者の協力の方法につきまして、生活環境審議会で検討を行っていただいておるところでございます。政省令の作業も急いでおりますが、法の施行時以降、これらの検討結果を踏まえまして必要な措置を講じてまいるということにしておるところでございます。
  93. 水田稔

    水田委員 大臣が一部有料化という御答弁をされたんですが、そこで、これは答弁結構ですから。  一部の自治体なり一部の業者は有料化する、そうでないところは、取られるところはよそに持っていって捨てるわけですね。不法投棄になる心配もあるわけですから、そういう点はそういう制度をつくるときにはよほど全体的に問題の起きないような配慮をしながらやってもらわぬと、逆に、やったところはいいけれども、そうでないところへ皆しわ寄せがいく、こういうことになりますから、そのことを要望として申し上げておきたいと思います。  最後に、このごみ問題については環境庁も環境保全の立場関係がある省庁でございますが、費用負担を含めて環境庁としてどういうぐあいのお取り組みをなされるのか、お伺いしたいと思います。
  94. 中村正三郎

    ○中村国務大臣 議員御指摘のとおり、環境という視点からもリサイクルするということが、自然に対する負担を減らすという意味で、この間から申し上げております環境保全型の社会経済体制をつくるという中で大きな柱になろうかと思います。そして実態は、今厚生省、通産省で御答弁くださいましたように、いろいろ法律をつくって進めていただいておりますが、環境庁といたしましても、今御指摘になりましたようないろんな問題がありますので、これからリサイクル社会というものが定着していくように勉強してまいりたい。今現実には、そうしたリサイクル可能なものにエコマークをつけたり、いろいろやっているわけでございますが、さらに進めて今検討をしてまいりたいと思っているところでございます。
  95. 水田稔

    水田委員 リサイクル問題は終わりまして日米経済問題、特に自動車の問題、もう時間がありませんから、私は、実は自動車の問題とそれから日米技術摩擦の問題を含めてこの倍ぐらい用意したのですが、もうあと十分もありませんから、基本のところだけお伺いしておきたいと思うんです。  いろいろな話をされておるんです、一月の七日から九日まで。そして東京宣言がされ、アクションプランが発表されたわけです。しかし国民から見て、私もそうなんですが、結果は何だったかいな。それはまあ連れてきた人も悪いんでしょうが、三人も大物が来て、自動車を二万台買え、あるいは部品を百九十億ドル買え、こういう話になった。しかもその内容をずっと調べてみますと、かつて半導体の交渉でやったことと同じようなこと。ですから、総理大臣がテレビであれば本当のことを私は言われたと思う。しかし実際にはアメリカはそうではなくて、半導体のときに三品目についての報復をやられた、そういうことにこの約束がまたはね返ってくるんじゃないかという心配をするわけですね。  私は日米関係は大事だと思うんです。ですから、単にけしからぬという話じゃなくて、そういうことで解決するんではなくて、本当に基本的なあり方の問題で、まあ去年アメリカの貿易収支の赤字が三五%減った。それはそれなりの努力をしておるんだろうと思う。それは、アメリカはアメリカなりに努力する、日本日本なりにやはり努力するということが必要だろうと思うんです。  そこで私は、総理大臣、通産大臣に、ああいう形で  と言うのは、なぜならば、自主規制というのはもう十年間やっておるわけですね。これは自由貿易じゃないですよ。だからECが文句言うのは当たり前なんですね。だから私は、日米も大事、だけど日米だけの問題じゃなくて、日本とヨーロッパの問題や日本とアジアの関係とか、そういうものを全体を見ながら、日本がこれだけ世界の各国に影響力を及ぼすだけの経済力を持ったのなら、それはそういう配慮が必要じゃないだろうかと思うし、一番に私が聞きたいと思うのは、総理大臣がこの間のあの約束だけで、本当に日米の関係、自動車の問題も解消の方向へ行くのかどうか。むしろ今までやってきたことは、結果的にはだんだんだんだん日米の関係はお互いの不信感を持つことになっていくんじゃないか。  アメリカでも例えばGMが七万四千人レイオフをしなきゃならぬ。それはなぜかというと、日本の自動車が入ってくるからだと。だから失業するんだ、日本はけしからぬという話になるわけですから。そうじゃなくて、それを解消するために日本は向こうへ自動車産業も出ていってどれだけの雇用を起こしていくとか、そういうことがお互いにフランクに話し合われながらお互いに関係をよくしていく、経済的な関係もですね、そういうことが必要だと思うんです。  時間がありませんから、その点、通産大臣と総理大臣に、この間の日米の交渉の基本的な問題についての基本的な考え方だけで結構です。また細かい点は別の機会に、これと技術摩擦の問題についての私の見解を交えでできるだけ、一遍論議をさせていただきたいと思います。
  96. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 御心配の日米経済摩擦の問題、特にその中で自動車が大変大きな部門を占めております。先般、ブッシュ大統領が日本においでになられて総理と首脳会談が行われ、今後日米関係を大事にしていくと、極めて良好な話し合いが行われたわけでありますけれども、当然のことながら、それは自由主義経済を大事にしていく、こういうことでございます。  その中で、日本の自動車産業が大きな発展をし、またアメリカの自動車業界が大変に今苦境に立っておるという現実の中で、我が国の自動車業界の皆さん方が自主的に、アメリカの保護主義の台頭がこれ以上進まないように、また管理貿易というような批判を受けないように、アメリカの業界の努力の前提の中で、我が国の業界としてこの摩擦解消のためにこういうことをやりたいという努力目標をお互いにつくって話し合いができ上がったわけでありますから、これは両業界の努力によって必ず実現していくものというふうに私は解釈をいたしております。
  97. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 通産大臣がただいまのようなお立場から業界にいろいろ説明をされ、また説得もされたのでありましたが、この業界の方々 は、世界貿易、日米関係というのには殊さら理解の深い方々であったこともありまして、業界自身が各社ごとのいわば自分の方の努力目標というものを、計画をこの行動計画の付表として、みずから設定した計画として出していただきました。また、それを誠実に履行する努力をするということでございまして、この点は十分アメリカ側にも評価されておることと考えております。
  98. 水田稔

    水田委員 今度日米間で合意されたことと違って、アメリカの国内においてもメード・イン・アメリカということで、マサチューセッツ工科大学を中心にした研究の報告書が、アメリカの問題点というのを指摘しておるのがいっぱいあるわけです。まさに私はそうだと思う点が幾らもあるわけです。逆に言えば、日本も競争力が強いということだけで、そういう思いでおるのがいいのかどうかということを疑問に思うのは、これも本当はこの中で細かく質問したかったんですが、自動車産業の労使が今これでいいのかという反省に立って論議をしておるわけですね。  一つは、日本における親企業と下請の関係の単価の決め方ですね。それが今のままでいいのかどうか。あるいは労働時間がこれでいいのか。親会社と下請との関係ではやはり単価の関係で、下請の労働者の労働時間の問題等もあるわけですね。そういう問題というのは国内で、これは通産省だけじゃなくて全体の、労働省もいろいろ絡んで、例えば、本当に日本の労働時間の短縮は労使だけの問題だけでいいのか。じゃなくて、今国際社会における日本のあり方という点で、労働時間の短縮というのは絶対的な実現しなきゃならぬ要件じゃないだろうか。そういう思いを全体で持ちながら対応しなきゃならぬ問題だ。  時間がもう参りましたから、改めてまた日米経済の問題、次は特に技術問題も含めてやらせていただくということを申し上げまして、時間が参りましたので私の質問を終わります。
  99. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 一言つけ加えることをお許し願いたいと思いますが、先般の自動車部品等々の日米間の話し合いはそのようなものでございますが、業界がそういう意味で全力を尽くして誠実な努力によって行動計画に盛り込まれた内容を達成すると言っておられまして、政府としてもそれが達成されるものと確信をしておるわけでございます。
  100. 中山正暉

    ○中山(正)委員長代理 これにて水田君の質疑は終了いたしました。  次に、冬柴鐵三君。
  101. 冬柴鐵三

    冬柴委員 公明党・国民会議冬柴鐵三でございます。  きょう通告いたしました質問に入る前に一問だけ、法務省刑事局長にお伺いをしたいと思います。  例の共和に関する起訴事実を調査いたしておりましたところ、共和という会社の子会社に、共和五大株式会社、こういう会社がありまして、不動産のコンサルタント業務を目的としているわけでありますが、代表取締役は森口五郎氏、取締役には大川久紀氏らが入っておられまして、監査役には森口氏とともに逮捕された十倉正樹氏らが就任をしている会社でございます。  この会社は共和と同じ西新宿に本店があったのですが、平成元年七月二十六日にその本店を千代田区永田町二丁目十番二号、ついこの国会の近くのようでございますが、こちらの番地に移転登記をしております。ちょっとした符合かもわかりませんけれども、同じ地番に、塩崎潤代議士のファミリー会社である有限会社今日社の本店も同じ住所で登記されておりまして、また同代議士が主宰されている政治団体、近代財政経済研究会が同地に事務所を構えているということを自治省にも届けられておられます。これは偶然の符合かもわかりませんけれども、塩崎代議士が阿部代議士を介して共和の森口氏から丸紅への口ききを頼まれて、それに対し二千万の報酬を受けられたかどうか大問題になっているわけでありますけれども、それに基づいて塩崎代議士が丸紅へ出向かれた日が平成元年六月十二日であったと伝えられております。  そういたしますと、その六月十二日に丸紅へ行かれた、その四十日後の七月の二十六日に同じ場所に本店が、共和の子会社の本店が移転している。これは、非常にその間には親密な人間関係がうかがえるわけでありまして、加えて、共和についての和議開始の申し立てをした弁護士の事務所も同じ番地にあるという事実に私は気づいたわけでございます。  そこで法務省刑事局長に一般論としてお伺いをするわけでありますが、このように一つの場所をめぐる人間関係を契機にそういうものについて重要な関心を持って捜査を行うと私は思うわけでありますが、一般論としてで結構ですが、私のこのような認識についての御答弁をいただいておきたい、このように思います。
  102. 濱邦久

    ○濱政府委員 お答えいたします。  一般論としてのお答えということでございますので申し上げるわけでございますが、一般に検察当局がどのような件について関心を持って捜査をしているかということにつきましては、これは法務当局から御答弁申し上げることはいたしかねるわけでございます。ただ、これも一般論として申し上げるわけでございますが、検察当局におきましては、犯罪に当たる事実があると思料いたします場合には適時適切に捜査を行い、適正に事件の処理をするものと考えております。
  103. 冬柴鐵三

    冬柴委員 それでは、きょうの主題に入りたいと思います。  今、我が国の米の問題というものは、ウルグアイ・ラウンド交渉の大詰めを迎えまして世界の注目を集めている、このように考えるわけであります。私は、日本の米そのものの生産という面について政府の考えをただしてまいりたい、このように思うわけであります。  宮澤総理は、施政方針演説で「我が国の農業、農村が今、担い手不足、高齢化、国際化などの進行により大きな節目を迎えています。」このように、私としては正しい認識だと思うわけでありますが、述べられています。私は、この農業とかあるいは農村一般ではなしに、もう一歩立ち入りまして、米、すなわち稲作農家に対し若い人たちがどのような考えを抱いていられるのか、こういう点から検討したいと思うわけであります。  日本の農業人口が年々激減していることはもう周知のとおりでありますけれども、昭和六十四年、これは一月一日付ですから昭和六十四年と言っているわけでありますが、農業調査によれば、稲作のみ単一経営専従者は日本全国で四十四万八千二百三十人と報告されております。問題は、うち十六歳から二十九歳までの人たちの構成でありますが、男子がわずか五千百人、女子が二千四百人しかいないという報告がされているわけです。十六歳から二十九歳までの世代。また、平成三年における農家の子弟の新卒学卒者のうち、就職した人は十五万三千人いられるわけですが、そのうち農業に就業した人はわずかに千八百人。これはまあ相当な話題を呼んだ事実でありますが、そのうち男の子、男子は千七百人、そして女子が百名、百人という、そういう内訳もあります。  これはもう、理屈はともかく、我が国の農業がこれでそのまま、守ると言って守れるのかと考えるような状態にあるように思われるわけでありますが、この千八百人は農業、すなわち稲作だけじゃありません。畜産も果樹も全部含んでの千八百人でありますから、稲作のみの単一経営専従として就農した人はこの千八百人のうち何名であったのか、農水省の方からお答えをいただきたい。
  104. 上野博史

    ○上野政府委員 ただいま委員から御発言ございましたように、新規学卒就農者は平成二年には千八百人でございましたが、これは全体の調査標本が、標本調査でやっておるわけでございますけれども、非常にその結果の集計としては小さな数字でございまして、さらにこれを部門別に分けて集計をするということに統計上の技術的な問題としてたえ得ないという感じがございます。そういう こともあろうかと思うのでございますが、仮にあえて主位部門別に分けて計算をいたしてみましても、年次別に今振れがあるというようなこともございまして、私どもとしてはその部門別の数字までは公表していないという状況でございます。  しかし、あえて、今御質問でございますので、最近三カ年の平均値を用いて試算をいたしてみますと、稲作主位部門に就農した者は全体として二割弱ぐらいじゃないか、かように考えているところでございます。
  105. 冬柴鐵三

    冬柴委員 総理、このような状況でございまして、これも、今の答弁、私注意深く聞いたのですが、稲作を主位に、こうおっしゃっている。私は単一というふうに言っていますからそこにぶれがまたあるわけですが、いずれにいたしましても、非常に惨たんたるものであった。過去には、近い過去ですが、約十万人近い若者が毎年学卒者が就農していたということに比べますと、本当に大変だなと。  それで、もう一つ驚くべきことがあります。六十歳以上の稲作単一経営専従者、こういう人はどれぐらいいるのかと調べてみました。男子が実に十一万一千六百五十人、女子が七万一千六十人。これを先ほど挙げました総数四十四万に対比いたしますと、実に四〇・七六%の方が六十歳以上である。これでは、稲作農業に著しい高齢化と若年層の希薄化が急激に進んでいるということを申し上げたいわけでありまして、このような専従者の年齢構成のうねりといいますか、もう若者の棄農、といっても、農業を捨てるという、そういうような動きすら私はあるように思うわけであります。今までこれに対して農水省どう対応してこられたのか、農水省だけの問題じゃないと思いますけれども。  そしてもう一つ、時間も短いので重ねてお尋ねしますけれども、若年層の中で男性と女性に物すごいアンバランスあること、先ほど挙げましたね。これが深刻なお嫁さん不足というものを招いていると私は思うわけです。農水省は、この嫁不足ということももう早くから始まっています、こういうものについてもどういう施策を今まで講じられたのか、それについても、時間がありませんので、できるだけ短く御答弁をいただきたいと思います。
  106. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 簡単に申し上げますが、特に稲作部門での担い手の高齢化が大変進んでいるわけであります。そのために、全般的にこれを進めていきませんと、何か一つやるといいかというと必ずしもそうでない。そのためには、構造改善でありますとか生産の基盤あるいは生活環境、こうしたものを総合的に進めて、何といっても意欲のある、あるいは能力の高い、そういう後継者を育てていかなければならない。前にも何回か申し上げましたけれども、やっぱり農業自体が、やればもうかる、そういう農業に転換しませんと、苦労ばっかり背負っているというのではなかなか難しいだろうと思います。  まあいずれにしても、「新しい食料・農業・農村」という省内にこの検討本部を設置しておりまして、これで今お話しのようなどういうことをすればこれからの時代を乗り切っていけるか、それを検討したいということと、平成四年度では農外からの新規参入の青年を含める、要するに、農業をやったことがないけれどもやってみたいという意欲のある青年たちに農業改良資金制度の改善等の措置を講じて、これを進めていくつもりであります。  また、もう一つの嫁不足対策ですが、個人的な問題でありまして私もよく嫁を何とかしてくれという相談を受けます。ところが、私の親戚は全部農家ですから、見ておりますと、自分の娘は市役所に勤めているだれかに上げたいとか、自分の息子には農家で育った嫁が欲しい、こういうことであって、後継者についても嫁不足についても、やっぱり農家自身がきちっと育てるという気持ちがないと、これは行政だけではなかなか難しいんですが、農村と都市の若い人たちの交流の場を設けるということとかいろんなことは考えてやっておりますけれども、これもひとつやっぱり住みよい環境をつくりませんと、今の若い人はなかなかこういうところで生活するのは嫌だと、そういう意味で農家の、農村の下水整備をするとか――私はスイスへ行ってみまして、ヨーロッパの農家って、農村は本当に環境がいいんですね。こういうところなら、むしろ町中よりもこういうところに住んでみたい、そういうものをこれからの農村に目指す必要がある、こう考えております。
  107. 冬柴鐵三

    冬柴委員 今日の状態というのはきょう始まったわけじゃないんでして、今までのことをお尋ねしたわけですが、もう一つ抽象的でわかりません。  それで、私、今年度の予算案を見てみました。予算説明書の中にも、政府はその農業の担い手、後継者の育成等対策事業費として、実に総額六百三億八千万円計上していますね、六百三億。そして、その中で今言われたような、農林大臣言われたことも含みますけれども、農業改良普及事業費として三百五十九億円計上していますよ。で、これは聞いていると時間がなくなるものですから、いつから始まったのかなと調べても、昭和二十三年からこれやっているんですね。それで毎年これ三百数十億計上して、そして、もちろんこの事業が担い手だけではないと思いますけれども、担い手ということをこの予算書はきちっと書いてあります。担い手、後継者育成等対策事業費六百三億、これ六百三億、千八百人だけとは申しませんけれども、余りにも費用対効果がバランス崩れているんじゃないか。  私は、これはこの事業が間違っているとかそんなことを申し上げるわけじゃないけれども、まあ二十三年からやっていられるものとしては一度やっぱり考え直して、今、後半で農水大臣おっしゃったような、まあECの方でも、調べてみますと、四十歳以下の人が嫁さんを連れて条件の不利な土地へ入植する場合に相当大きなお金を上げているわけですね。お金をダイレクトに。そして、その後の経費の貸し付けもして、これがやはりフランス一国でも二万人ぐらいその新規参入者をちゃんと実績上げている。そういうところから、私は、ことし農業改良資金助成法の一部を改正する法律を農水省提案されるようですけれども、その思想、僕はいいと思うのですね、今ECがやっているようなことをやろうとしていられるわけですから。  ですから、そうするのであれば、今までのことはやっぱり見直してもいいんじゃないかなという感じもするんです。もっと重点をそっちへ移して、若い人たちにダイレクトに求めるものがいくような形でやるべきではないのかなと。まあ生意気なことなんですけれども、農水省と大蔵省から、まあ予算査定もしていらっしゃるわけですから、抗弁聞いておかないと、言い分を。どうぞ御答弁をいただきたいと思います。
  108. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 直接やられているところが、たしか外国では、数は多くはありませんが、フランスあたりがやっているのかなという気がいたします。  まあ、制度として直接、日本では国が農家に上げるというそういう制度がないわけでありまして、大体改良普及員の、指導して、それがこの若い人たちを育てるとか、あるいは県の農業大学校の設置あるいは運営をする、そういう中で若い人を育てる。まあ間接的にやっておるわけでありますけれども、その中でも農業改良資金制度において無利子の農業後継者の育成資金の貸し付けを行ってきているわけでありまして、いずれにしても平成四年度、先生お話しのように青年農業者育成確保資金を創設をしまして、農外からの新規参入、そういう人たちもやる、あるいは限度額も引き上げる、あるいは償還期間を延長するということもいたしておるわけでありますが、いずれにしても、どういうことが一番いいのか、今省内でいろいろ検討をしております。そういう中でまた一番最も効果がある方法ということで御相談を申し上げたい、こう思います。
  109. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 基本的には今農林水産大臣から お答えしたとおりでありまして、今お話しのとおり、やはり農村社会というのは非常に今大きく変貌しておる。そういうものに対して、経営の相談ですとか、あるいは新しい技術なんかも非常に多く取り入れられる、またバイオなんというものも今だんだん研究されておるということで、そういったものをやはり普遍化していくということが大事であろう。またそのほか、いわゆる農村の中の御婦人方の健康の問題ですとか、あるいは家族のための生活を助長するとか、そういった新しい時代のまた要請というのが農業改良普及の中にあるということでございまして、そういうことで私どもとして協同農業普及事業交付金として三百二十億、それから農業改良普及対策費として三十七億五千四百万というものを今措置をいたしておるということでございます。  しかし、今お話のありましたことは、私どももよく念頭に置きながら、より新しい活力のある農業をつくるためにこういったお金を十分に活用していきたいというふうに思っております。
  110. 冬柴鐵三

    冬柴委員 やはり、若い人にお金を上げても、入植してもその経営が成り立たないのではもうどうにもなりません。根本的にはやはり二戸当たりの耕作地面積が極端に少ないということが理由だと思います。私は、農用地利用増進法というものがありまして、この流動化を促進するための立法措置が講じられているわけですけれども、これは非常にいい思想だし、頑張ってもらわなければいけないのですけれども、実績として遅々として進ますという感を否めないわけです。  私、農業というふうにみんな言うわけですけれども、その中には、もうこれは言い古されたことですけれども、総農家数三百七十八万九千戸のうち、自分の食べぶち、外へ出さずに食べぶちだけつくっている自給農家というものが二二・五%を占めているんですね。そしてまた、いわゆる第二種兼業農家、農外収入の方が多いという、だけれどもそれじゃ農業収入はどれだけかといいますと、平均しますと一年間に四十七万五千円農業所得、そして農外所得が実に六百二十六万円。これが農家と言えるのかなという感じがするわけですけれども、こういう人たちが実にパーセントからしますと五二・七%占めているわけでありまして、私は、この人たちが持っていられる土地というものを流動化を促進して、そして農業で食べていこう、農業に夢を託そうという青年に集約するという、そういう方法しかないんじゃないかなと思うわけであります。  私は、そういう意味で、農用地利用増進法はそれでいいんですが、もう少し今言った面で改善と見直しも必要じゃないかなというふうに思うわけであります。  時間がありません。次に進みますけれども、我が国の米価格が国際価格に比較して大変高いということを言われています。ウルグアイ・ラウンドの交渉を通じてもこれは国民周知のことになっているわけでありますけれども、しかし、生産原価というものをもっと検討せなきゃいけないのじゃないかというふうにも思います。  我が国の、これも昭和六十三年における十アール当たりの一次生産費を見てみますと、これは十三万五千九百八十五円と計算されておりますが、それに占める農機具費というものが実に四万四千六百七十五円、すなわち三二・八五%ですよ。こんなに高い比率を占めているわけであります。これはもういろいろ資料、私勉強もしてきたんですけれども、挙げませんけれども、アメリカとか外国から比べてべらぼうに高い数字です。比率から見ても金額から見ても、べらぼうに高い。これはいろいろな人がこれについて研究をしておられます。同じ機械が農民の方に売られる価格と、それと同じ機械が輸出されている価格と、すごく懸隔がありますよ、物すごく。そういう事実を指摘したいと思うのです。  それで、肥料費について、きょうお手元に、委員長の許可をいただきましてそういうものを配りました。肥料代が、これはある研究者のものでございますけれども、これを見てください。硫酸カリとか塩化カリというのは我が国でつくらずに輸入をしているわけですけれども、これは二十キロという単位で合わしているわけですが、五百七十五円六十銭、CIF、硫酸カリが。それが実に生産者販売価格は千百三十一円になっています。これは輸入価格の一・九六倍に相当しますよ、右側に書いてありますが。それから、卸価格は千百八十二円で二・〇一倍、小売価格は千四百十七円で二・四六倍ですよ。これでは、米の中に占める肥料費が物すごい高いのに、これは農民の責任じゃないように思われるわけです。  それから、いろいろ言いますけれども、硫安は我が国がつくって外国へ輸出していますね。硫安、これは三行目ですけれども。これは実に、生産者販売価格は五百十九円になっていますけれども、輸出は百六十四円八十銭で輸出していますよ。すなわち、輸出価格の三・一五倍が生産者販売価格、卸価格は三・三六倍、小売価格は実に四・二二倍です。それは包装費とかあるいは運賃がかかりますということを言われますけれども、これは僕は非常に常識外れに高い値段ではないか。  私は、こういうものについてもっともっと国民的に検討してこれを下げるような、農家の方々にもっともっと安いものが手に移るような、すなわち機械もしかり、肥料もしかり、そして農業ですね、農業費、これについても国際価格から見て非常に高い。  これについて、公正取引委員会、来ていただいていますか。こういう肥料とか農薬、農機具のような稲作農家にとってはもう必須の生産資材、こういうものは農系、全農系ですか、商社系として売られているようですけれども、この価格設定のメカニズムとかあるいは流通とか、そういうところで独占禁止法上問題はないんですか。従来問題とされたようなそういうことはないんですか。そういう点について一言お答えいただきたいと思います。
  111. 糸田省吾

    ○糸田政府委員 農業資材に限らず物の価格が適正に形成されるということのためには、例えば生産段階あるいは流通段階においてその競争条件を整備しなければならない、かように考えております。  今お尋ねの件でございますけれども、例えば農業資材を農業協同組合が農民のために一括購入をしてそれを販売するというようなことにつきましては、これは独占禁止法の二十四条という規定がございまして、独占禁止法上、特段違法となるようなものではございません。ただし、この規定にはただし書きがございまして、不公正な取引方法を用いる場合は独占禁止法の問題となるという規定がございます。  これまでの例もいろいろあるのでございますけれども、例えば農業協同組合が自分のところの、いわゆる系統のルートによる販売を、そのウエートを一層高めたいといったようなことで、系統外の販売、これを妨害するとか排除するといったようなことが行われている例も間々ございます。こういった場合には、今申し上げました独占禁止法二十四条のただし書きの規定がございますものですから、この規定を経由いたしまして独占禁止法違反となるということもございます。過去の例で、こういったケースについて幾つか排除措置を命じたということもございます。  したがいまして、私どもといたしましても、いわば流通段階における公正で自由な競争を一層促進していきたいという観点からも、こういった規定の厳正な運用に努めていきたい、かように考えておるところでございます。
  112. 冬柴鐵三

    冬柴委員 今言われたように、過去にも例があったようでございますし、私きょう指摘しておきますので、問題の所在を。ひとつ頑張っていただきたい。  もう一つ、これは通産大臣でいいのかどうかわからないのですけれども、ここに、この表に全部括弧書きでパーセントが示されています、括弧書きで。これは、六十一肥料年度の前年度と対比したときに、ドルが二二・五%下落しているのです ね、二二・五%。したがって、その円高メリットというものがすぐ転嫁されれば、二二・五%下がってしかるべきなんですね。  ところがこの価格、この右の②の輸入・輸出の価格のところを見ていただきますと、三五・二%、すなわち二二・五でいいものがもっと下がっているということで、二二%よりもずっと下がっているのに、左側の国内の部分につきましては、二二・五よりも随分浅いところでとまっちゃっているわけですね。これは円高メリットが転嫁されていない事例を示していると思うのですよ。通産省はどういう行政指導を、この場面がぴったりくるのかどうかわかりませんけれども、されたのかどうか、またこれからもされるのかどうか。
  113. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 今の先生のお話、大事なことですからよく調べたいと思いますけれども、全体としては肥料はほぼ七〇%全農が買っておりますから、したがって全農とメーカーの間で価格を決める。しかも、全農が七〇%ということは、全農の方がむしろ肥料会社よりも非常に強い立場で価格を決めるわけですから、当然入っておるものというふうに解釈しておりましたけれども、今数字を見ますといろいろあるものですから、よく検討してみたいと思います。
  114. 冬柴鐵三

    冬柴委員 頑張っていただきたいと思うのですね。  総括して、総理、今若年の層が非常に薄くなり、そして高齢者が物すごく厚くなっているという事実、それはぜひ是正しなきゃいけないし、これは短期的にお金を上げるとかそんな問題じゃなしに、やはり今、米だけつくって五百万年収を上げようと思ったらやはり七ヘクタール要りますね、七ヘクタール。ですから、十ヘクタールぐらいを目指してやはり集めてもらわないと、若者にはちょっと魅力がないのじゃないかなとも思います。そういうことで、日本の米は高い高いと言っておるけれども、その原価構成を調べて、そういう点もやはり考えてもらわなければいけないのじゃないかなと思うのですが、総理のも言葉を伺いたいと思います。
  115. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 やはり、おっしゃいますように規模拡大の推進でありますとか土地基盤の整備、あるいは中核的営農施設の整備、技術開発、それに先ほど農林大臣も言われました生活環境、下水であるとか道路であるとか、そういうことをやはり整備をしていくということが大事であろうと考えております。
  116. 冬柴鐵三

    冬柴委員 では、次の問題に移ります。  ことしの平成四年一月六日の朝日新聞は「飛躍させたい法律扶助制度」という社説を載せられました。また、一月二十四日には、今度は毎日新聞が「法律扶助の飛躍のためには」ということで、二つとも法律扶助飛躍という一つのキーワードが並んだわけでして、この問題、私は予算委員会でも、当選させていただいてからずっと扱わしていただきましたし、そして法務委員会でも八回ぐらいやらしていただいていまして、非常に国民的に認識していただいているようになりつつあるなという喜びも感じているわけでございますけれども、去年の春の連休に、私、駆け足ですけれどもヨーロッパの方へ法律扶助制度の視察をしてまいりまして、相当我が国との懸隔が甚だしいということを実感してまいりました。  なぜこんなにかけ離れてしまったんだろうということもいろいろやりたかったんですけれども、時間がありません。問題は、法律扶助というのは、訴訟を起こそう、あるいは起こされた人が弁護士に頼む資力に欠ける場合に国がそれを立てかえるという、そういう制度でありまして、これは憲法三十二条で、「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」という、それに淵源をする憲法上の国の義務なんですね。ところが、日本の場合非常におくれています。財団法人法律扶助協会というところがやっていまして、国はそこに対する補助金というものを出していただいているわけですね。そういうもので運営されているわけですけれども、この運営が非常に苦しいことはもう何回も指摘しているとおりであります。しかし、そのように朝日、毎日がこれを飛躍さそうではないかという論陣を張っていただいたということは非常に大切な問題だ、非常に地味ではありますけれども非常に大切な問題だと思うわけであります。  そこで、私はこの日本国民性、法文化というものを考えたときに、紛争が起こりましても、これを裁判所へ持っていくというのはもう最後の最後の手段でして、ほとんど八割以上が示談で、裁判所外で話し合いで解決しているわけです。したがいまして、それが正義にかなった解決、すなわち強い者勝ちとか、もう相手の無知につけ込んでの解決とかであってはならない。やはりジャスティス・フォア・オールでなければならない。お金持ちであろうと貧乏人であろうと、そこの解決というものが正義にかなったものじゃなければならない。ですから、そう考えていったときに私は、訴訟になって費用を立てかえるというだけじゃなしに、法律相談ですね、無料法律相談、こういうものをやはり国が本腰を入れてやっていただかなきゃならない時期にもう来ているのじゃないか、このように思うわけであります。  ヨーロッパの事例ですけれども、私が見てきたところで、イギリスではこの無料法律相談につきまして、それ以上のものなんですけれども、百四万一千三百五十一件を一九九〇年には処理をしておられます。百四万。ドイツでは十八万八千二十八件を処理しています。  我が国はどうかということ、それから法務省に、こういうものに対して国として今まで金を出していたのかどうか、一銭も出していないと私は思うのですけれども、無料法律相談についての、法律扶助協会が昨年、一番新しい数字で示していただきたいのですけれども、我が国は何件処理したのか、それに対して費用は幾ら支出したのか、そしてどこからその資金は調達したのか、その三点についてちょっとお伺いしたいと思います。
  117. 篠田省二

    ○篠田政府委員 それではお答え申し上げます。  まずドイツ及びイギリスにおける法律相談の関係でございますけれども、これはただいま委員が御指摘になったような数字でございます。  それで、ちなみにその金額でございますけれども、ドイツにおきまして助言、援助のために国庫から支出した金額は、一九八九年度中の金額でございますが、二千百六十四万七千七百六十五ドイツ・マルクでございます。邦貨に換算いたしますと、一マルク八十五円で換算いたしますと、日本円にして約十八億四千万円でございます。それからイギリスの場合ですけれども、これは、金額は一九九〇年度でございますけれども、国庫支出金は七千二百一万六千ポンドでございます。それで日本円に換算しますと、一ポンド二百五十円で計算いたしまして約百八十億円となっております。  次は、日本における状況でございますけれども、我が国で財団法人法律扶助協会が行っております無料法律相談は、協会が公表している資料によりますと、昭和四十九年から開始されております。それで、現在全国三十七支部で行われているという状況でございます。  各支部の常設法律相談で取り扱った平成二年度の相談件数は一万七千百二十七件、そのほかに巡回法律相談によるものが二千三百七十三件、電話による法律相談が二千九百八十件、これらを合計いたしますと、二万二千四百八十件という数字になっております。  それで、法律扶助協会が行っております無料法律相談の資金でございますけれども、この相談のために平成二年度中に支出した金額は五千五百五十四万二千五百四十円ということでございます。  その資金の調達でございますが、日本船舶振興会の補助金四千四百四十三万四千円、協会本部の一般会計からの繰入金一千百十万八千五百四十円で賄われているという状況でございます。
  118. 冬柴鐵三

    冬柴委員 法文化あるいは伝統、そういうもの が違いますから、私、単純に比較してどっちがいいとかそんなことを短絡的に言うつもり全くありませんけれども、イギリス、人口では半分ぐらいだと思うのですけれども、年間百八十億円を法律相談のために拠出をして、そして百四万件のこういう相談に応じて、まあ正義へのアクセス、いわゆるそういうところで裁判の前に解決をしている。ドイツも十八億円、これは裁判所がいろいろ事務をやっていますから、事務費は全部国庫、別途出ているのですが、弁護士に払ったものが十八億円ということでございまして、ここも十八万八千件。  それに対して日本は、二万二千件、いろいろ努力しているわけですけれども、その費用が五千五百万。それも国庫からはいただいてないわけで、日本船舶振興会から四千四百万というものを受けて何とかやっている。これは、我が国は世界に誇るべき成文法を持っているわけですけれども、権利を与えられた人がそれを知り得ない、資力が乏しいがゆえにそれを十分に行使できないということになりますれば、これは絵にかいたもちであって、世界に我が国は誇るべき成文法典を持っていますということは言えないのじゃないか。私はそういう意味で、ぜひ飛躍をさせてほしい。  大蔵大臣と総理からそれぞれ一言ずつ答弁をいただきまして、同僚議員にお譲りしたいと思います。
  119. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 今冬柴先生の方から御指摘がありましたように、我が国では在野の法曹の協力のもとに民間団体によって実施するのが望ましいという基本的な考え方が確かにあったようであります。しかし、今御指摘がございましたように、裁判を受ける権利というのはまさに法のもとに平等であるという基本的な人権であろうというふうに考えております。  いずれにいたしましても、この無料法律相談等につきましては、今法務省の方でも検討されておるということでありますから、私どももその検討結果というものを踏まえながら適切に対応しなければいけないと思っております。
  120. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 大蔵大臣の言われましたとおりでございますが、法務省における検討をよく見守りたいと思っております。
  121. 冬柴鐵三

    冬柴委員 では、私のは終わります。
  122. 中山正暉

    ○中山(正)委員長代理 この際、日笠勝之君から関連質疑の申し出があります。冬柴君の持ち時間の範囲内でこれを許します。日笠勝之君。
  123. 日笠勝之

    ○日笠委員 ちょっと最近川柳に凝っておりまして、まず御紹介をしておきたいと思います。「今日もまた共和共和で日が暮れる」という、まさにそういうようになりましたけれども、やはり共和事件についてまずお尋ねを申し上げたいと思います。  地域振興整備公団、共和からの八億円の申し込みが平成元年三月十三日にございました。この共和の申し込みに対しまして、いわゆる保証人が二人立てられておるわけでございます。一人は松浦勝利さんという社長さん、もう一人は森口五郎さんという当時取締役・東京支店長、こういう事実にはまず間違いございませんか。
  124. 田中誠一郎

    ○田中参考人 私ども、公団の融資に当たりましては……(日笠委員「間違いがあるかないかだけでいいです」と呼ぶ)間違いございません。
  125. 日笠勝之

    ○日笠委員 この森口五郎という方は、平成元年三月十三日に申し込みをされた時点では、昭和六十二年に青森県三沢市における不燃物処理工場のいわゆる汚職事件関係者でございます。すなわち刑事被告人である。それも贈収賄という、涜職罪と言うべき、大変恥ずべき刑事被告人であった。そういう方が保証人になっておる、こういうことを知った上でこの垂オ込みは受けられたのでしょうか。
  126. 田中誠一郎

    ○田中参考人 私ども融資に当たりましては、通常その企業の経営上責任ある役員を連帯保証人として徴するわけでございますが、先ほど先生御指摘のとおり、共和につきましては、社長の松浦勝利、取締役の森口五郎、これは共和の経営上責任ある役員ということで徴したわけでございますが、当時同社の経営状況は比較的順調でございましたので、特に外部機関に調査依頼はしておりませんので、私ども汚職事件に関連した被告人であるという事実は承知しておりませんでした。
  127. 日笠勝之

    ○日笠委員 承知してないと言ったって、現実に青森地裁で裁判中の方であったわけですね。すなわち、融資をする際の審査が甘かったんではないか房副総裁は経営が順調だったと言いましたね。しかし、昨日のこの予算委員会で我が党の草川理事が指摘したように、共和は当時粉飾決算をしておったわけですね。昭和六十二年四十一億円、昭和六十三年五十九億円、この垂オ込みをした平成元年では百四十五億円、こういう粉飾決算をしておった企業が経営が順調というような、どうしてそういう認識になるんでしょうか。  そしてもう一つ、この共和は、取締役・東京支店長でなくて会長の労働省出身の岡部さんという方もいらっしゃったんです。そういう方が、会長、社長が保証人ということならまだわかります。私が申し上げたいのは、ずさんな審査、国の機関として税金を使うわけですから、そのことをお認めになりますか。
  128. 田中誠一郎

    ○田中参考人 私ども、今先生御指摘のとおり財投資金を扱っておるわけでございますので、慎重に審査をしているつもりでございます。当時は、私ども決算書類を徴しておりますが、これはほかの金融機関、税務当局にも提出されているものでございまして、御指摘のような粉飾決算であるというのは当時実は認識しておらなかったわけでございます。  もう一つ、岡部会長でございますが、実は岡部会長は六十二年の十一月に会長に就任されましてまだ日が浅いということもございまして、経営面に影響力がある両名を連帯保証人という形で徴したわけでございます。
  129. 日笠勝之

    ○日笠委員 経営力のある方が保証人になる、その森口五郎という方が刑事被告人であった、裁判中であった、汚職という大変重たい罪の被告人であったということでしょう。これは通産大臣、そういうふうな審査、融資、これは今後改むべきである、やはり財投から扱う融資でありますから慎重にやるべきである、私はこう思いますが、素直にどうですか、素直に。
  130. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 私どもにかかわる部門は、この地域振興整備公団の目的で、産炭地域、非常に経済的に疲弊して、その地域振興また雇用の確保に大変役立つという目的でこれは行われたものというふうに承知をいたしておりましたし、またそのときも刑事被告人になっておったということは、私、大変不勉強で申しわけありませんけれども、今お聞きしたところで、それは余り感心したことでありません、もとより。それは私の今まで認識しておったのは、不勉強で申しわけないのですが、当時は地域に大変役立つという期待を持ってこの事業が行われて、その後残念なようなことが起こったというふうに解釈しておりましたから、そういうことであれば、これは我々、絶対信用しておった人が残念ながら期待に外れる場合もあるし、これは死ぬの生きるのといって一緒になった夫婦でも後で別れる場合もあるので、そういうようなことかと思っておりましたが、今御指摘のように、それは刑事被告人になっておるようなという状態の中で行われておったというようなことであれば、今後重々反省していかなければならないものと存じます。
  131. 日笠勝之

    ○日笠委員 これは、ここに青森地裁の裁判記録もあって、間違いなく当時裁判中であったということでございます。ひとつ今後そういう融資については、特に福岡の稲築町へ工場をつくるという、東京の会社でございますから、この会社は一体本当にどうなんだろうか、また保証人はどうなんだろうかという、外部の調査機関を使ってでも慎重にやるべきではないか。  これが八億円というのは、相当何か公団におきましては上限ぎりぎりぐらいの普通であれば金額だそうですね。それがすっといくということは、やはりそこで何か関与があったのかなという疑いも持たれるわけなんです。疑いが持たれるので、 疑いがあるとは言ってませんよ。そういうこともございますし、今後慎重な融資ということで行っていただきたいことをお願いして、どうぞお引き取りいただきたいと思います。  それから、これは閣僚の皆さんも関係ないというような顔をされていますけれども、この森口五郎被告人が三沢の汚職事件関係での刑事被告人であった。そういう中にあって鈴木総理も、そしてまた阿部文男容疑者も、それから大変申しわけございませんが山下厚生大臣も、いわゆるお会いになって食事をされたり、若干の金品をお祝いということで受け取られたとか、当時刑事被告人だったんですね、ちょっと政治家として、私は、ガードが甘かったんじゃないかな。政治家としてのモラルといいましょうか、刑事被告人とつき合うという、その方が呼んだからといって、この九州にできた新工場のパーティーにのこのこ出かけていく。先ほどおっしゃったように実際の経営的な責任者だったんです、森口五郎という方は。そういう意味で私は、政治家のモラルもきちっとこれからは考えていかなければいけない。  その証拠に、丸紅と共和との架空取引がございましたね。そのときに丸紅の役員もこう言っておるわけです。商社マンは活動を縛り過ぎるといい成績は残せないが、汚職事件の被疑者らと取引を続けるなんて当然あるべき警戒心に著しく欠けていた、商道徳としても、このように言われるわけでございますから、まさに政治家はもっともっとモラルが高くなければいかぬわけでございますので、このことはきちっと指摘をしておきたいと思います。  それから次に、二十五日の火曜日でございますか、当予算委員会で法務省からこの共和汚職事件の中間報告がある、こういうことでございますが、その中間報告の内容でございますけれども、これはどうなんでしょうか。私どもがいろいろ聞いている範囲では、五億数千万円というお金がいわゆる阿部被告に流れた、そのうちの九千万円がいわゆるわいろということで立件をされておるわけです。残りの四億数千万円というお金は未解明なんですね。今度の中間報告ではこの未解明分もきちっと報告されるんでしょうか、法務省。
  132. 濱邦久

    ○濱政府委員 お答えいたします。  この株式会社共和をめぐる刑事事件につきまして、東京地検が捜査した結果につきましての御報告を来る二十五日にするようにという国会からの御要請があることはもちろん承知しておりますし、その時点におきまして、その東京地検におきまして捜査した結果を御報告するつもりでございます。その御報告の内容につきましては、ただいま検討しておるところでございます。
  133. 日笠勝之

    ○日笠委員 これは委員長に要望したいのですけれども委員長いないけれども委員長に要望したいのですが、ぜひひとつこの未解明と言われている四億数千万円もあわせて中間報告できちっとされるように、このことをひとつ督励をしていただきたい。  なぜかならば、未解明のままですと、じゃ一億何千万というのは鈴木総理に行ったんじゃないのかとか、二千万円は証人喚問でお越しになる塩崎さんに行ったんではないかとか、また宏池会の方に、うわさによると五千万行ったんではないか、いろいろなことが言われているわけですが、いわゆる灰色の部分が本当じゃないか、こういうことになるわけですね、解明されないと。ぜひひとつこれは法務省に委員長の方から、この四億数千万と言われておる未解明部分をきちっと、わかる限り中間報告に盛り込むべきである、このことをお願いしたいのですが、いかがでしょうか。
  134. 中山正暉

    ○中山(正)委員長代理 御要望の趣旨を政府側に伝達いたしておきます。
  135. 日笠勝之

    ○日笠委員 それと、どうしてもこれは、未解明部分は国税庁の出番になるとも思いますね。国税庁もこれについては関心を持っておられるかどうかだけお聞きしておきたいと思います。
  136. 冨沢宏

    ○冨沢政府委員 私ども適正公平に税を執行するという使命を持っております立場から、新聞その他報道されました事実については、資料として常に関心を払っておるところでございます。
  137. 日笠勝之

    ○日笠委員 次は、また川柳ですが、「ぬかるみは共和・佐川と果てしなく」ということでございますから、今度は佐川問題をちょっとやらせていただきたいと思います。  これは自治省さん、ちょっと時間がないので、私の方からこれから申し上げることが事実であるかないかだけ追認をしていただければと思います。  それは、自民党政治資金受け入れ団体と言われております財団法人国民政治協会へのいわゆる佐川グループからの献金実態でございます。ざっと申し上げます。  東京佐川急便、昭和六十二年五十万、六十三年、元年、二年と五十万ずつ、合計二百万。大阪佐川急便、平成二年、これはちょっと金額小さいのですが、三万六千円。九州佐川急便、昭和六十三年七百五十六万、平成元年六万、平成二年十二万、トータル七百七十四万。佐川物流サービス、昭和六十三年七百五十万。佐賀佐川急便、昭和六十三年百二十五万。長崎佐川急便、昭和六十三年七百五十万、平成二年三万、トータル七百五十三万。肥後佐川急便、昭和六十三年七百五十万。  トータルいたしますと三千三百五十五万六千円というふうに官報から調べましたけれども、これで間違いございませんか。
  138. 吉田弘正

    ○吉田(弘)政府委員 あらかじめ御通告をいただいておりましたのが、今言われました各社からの昭和六十三年、平成元年及び平成二年の三年分の収支報告ということでございまして、今先生、六十二年分も含めてでございますので、私の方から申し上げますと、その収支報告書の確認につきまして、国民政治協会から提出されました六十三年、平成元年及び平成二年の収支報告書を確認いたしますと、東京佐川急便から、昭和六十三年五十万円、平成元年五十万円、平成二年五十万円の合計百五十万円。大阪佐川急便から、平成二年三万六千円。九州佐川急便から、六十三年七百五十六万円、平成元年六万円、平成二年十二万円の合計七百七十四万円。佐川物流サービスから、昭和六十三年七百五十万円。佐賀佐川急便から、昭和六十三年百二十五万円。長崎佐川急便から、昭和六十三年七百五十万円、平成二年三万円の合計七百五十三万円。肥後佐川急便から、昭和六十三年七百五十万円の寄附を受けた旨の記載がございます。
  139. 日笠勝之

    ○日笠委員 昭和六十二年の東京佐川の五十万を入れればトータル三千三百五十五万六千円ということなんですね。  そこで、どうもこれは昭和六十三年に集中をしておるわけなんですね。ちょうどこれは、いわゆる佐川グループにおけるいろんな問題がございまして、業務改善勧告、行政処分等があった直後、献金が集中しておるわけなんです。  私は、こういう佐川疑獄事件とか今言われておるわけでございますし、大変失礼ですが、社会党の方は北陸佐川からの三百万円は返却されたわけです。総理は品位ある国家、こうおっしゃるわけですね。政権与党であるわけでございますし、その総裁でもあるわけですので、こういう企業献金とか団体献金というのはやはり禁止していかないと、何かスキャンダルな事件が出るたびにその金は一体どこに流れたのだろう、それはどこの政党なんだろう、だれだろう、こういうことにも相なります。私どもは、企業、団体献金は禁止ということを主張しておりますし、総理そのものはどのようにお考えですか。
  140. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 それは、今のお話の続きですと、いかにもという感じで伺っておるのですけれども、一般に申しまして、企業も社会的な存在として政治的な活動をすることはできるわけでございますので、それを全部禁止することがいいかどうか。ただ、乱に流れますと、つまり節度を超えますとやはり国民的な批判を買うわけでございますから、そこは守られなければならないと思います。
  141. 日笠勝之

    ○日笠委員 どうですか、お返ししようという気 はございませんか。いただいた献金を返そうというお考えはございませんか、佐川グループ、政治献金を。
  142. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 私が受けておるわけではありませんで、今のお話は国民政治協会と……(日笠委員「そういうふうなお考えはございませんか」一と呼ぶ)いや、それは協会で御判断されることかと存じます。
  143. 日笠勝之

    ○日笠委員 渡辺外務大臣、みやこし馨さんという方はどういう方でございますか。
  144. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 もと大蔵省におりまして、それで、新潟県の何区だったかな、あれは。(日笠委員「四区」と呼ぶ)四区が、四区から代議士に立候補した方であります。
  145. 日笠勝之

    ○日笠委員 その方の選挙公報があるのですけれども、これは昭和六十一年の選挙ですが、経歴のところに「通商産業大臣渡辺美智雄秘書となり、現在に至る。」こうあります。これは選挙公報ですから、間違えますと詐称ということで当選も取り消しということにも相なりかねないわけですが、このみやこし馨さんという方は、これは公職につこうとした人でございますし、みやこし馨後援会というのがございますね。  これは、新潟県選管の届け出を見ますと、この方は非常にレアケースでございますね。昭和六十一年、みやこし後援会に届けた分の中で、北陸佐川急便から百五十万、東京佐川急便から同じく百五十万、それから森口五郎さん、先ほど言いましたね、あの方からも百五十万という、共和、佐川ミックス版の非常にレアケースなのでございます。昭和六十二年にも東京佐川から百五十万。同じく創越金から百六十万。この創越金も昭和六十一年に東京佐川から百五十万受けておるわけですね。これは、何かこういうことについて、外務大臣、御存じですか。
  146. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 それは知るはずがありません。私の秘書の名前を使ったというのは、立候補する人は、使いたい人は使いなさいということになっていますから、使った人はたくさんございます。
  147. 日笠勝之

    ○日笠委員 ちょっと今の発言は、選挙公報に載せる略歴に使いたい人は使え、そういう選挙をされておられるのでしょうかね。現実に応援にも行かれたのでしょう。
  148. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 選挙応援には参りませんが、講演に行ったことはあります。
  149. 日笠勝之

    ○日笠委員 いわゆる応援をしよう、こういう意思ですね。どうも、中曽根派から渡辺派にかわられて、ずっとそのまま過去二回出られて、二回とも落選中、また三回目も頑張ろうかというような方でございますが、渡辺派でございますから、きちっとこういう肩書なども、私は、副総理でございますから、使いたい人は使ってどうぞなんてことのないように……(渡辺(美)国務大臣「今までね」と呼ぶ)今までですか。今後はひとつ気をつけていただきたい、こう思います。  それから、時間も駆け足で参りましたので、渡辺郵政大臣、もう連日針のむしろで、御苦労さまでございます。私は入学あっせんのことを聞くわけじゃございませんで、いわゆる総理が施政方針演説で生活大国と言われた中に、いわゆる生活者、消費者重視の行政確立ということがございますね。私は、もうかつて何回かいろいろな委員会で取り上げてまいりまして、おかげさまで郵政省の方もNTTの方も御理解をいただいて、いわゆるテレホンカードという、退蔵を非常にたくさんしますね。恐らく閣僚の皆さんも十枚や二十枚持っておられると思いますけれども、このテレホンカードで事業用であれ家庭用であれ電話料金支払いに充てるように、こういうことでこれは実現をしておるわけです。  しかし、その後電話使用料だけじゃなくて、回線使用料だとか電報だとか、極端に言えば消費税まで要は払えるようにしたらどうかという声が二、三来ておるわけでございますが、今後の対応をひとつ明確に、郵政業務に関することでございますから、お願いいたします。
  150. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 ただいま日笠議員から御指摘をいただきましたが、まさに今まで郵政省にいろいろ御指導いただいてまいりました。また現実に、今申されましたように、このテレホンカードを支払いの、通話料についてだけでありますが、とりあえず支払いに充てるということで、一歩前進をすることができました。  昨年またさらに三月二十七日にこの予算委員会で御質問がございまして、今の御趣旨の発言はなされているわけでございます。当時郵政大臣は、その日笠議員の意向に対しまして、鋭意NTTを指導したいと考えている、こういう答弁をいたしているようであります。  テレホンカードによる電話料金の支払いに充当の範囲拡大問題というのは、まさに利用者の便利の向上に資するものでありまして、大変望ましいと考えております。できるだけ早期に実施するようにNTTを指導したいとは思っておりますが、実はこのNTTの関連だけではなくて、テレホンカードの利用範囲が拡大されるということによって金券的性格が増すことに伴う若干の実は税務手続の問題がございます。その問題を克服することは、大蔵省の理解も得なければなりません。これからまた委員の強い御発言を背景にいたしまして、大蔵当局、国税当局の理解を得て、御趣旨をできるだけ早く実現をいたしてまいりたい、こう思っております。よろしく御理解いただきたいと思います。
  151. 日笠勝之

    ○日笠委員 大蔵大臣、大丈夫ですね。
  152. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 郵政当局の方と十分お話ししてまいりたいと思います。
  153. 日笠勝之

    ○日笠委員 クレジット破産とかクレジット地獄とか言われております。最高裁の調べによりますと、平成三年度は破産件数が二万五千九十一件、これはいわゆるサラ金地獄と称した昭和五十九年の二万六千三百八十四件に次ぐハイペースでございます。そのうちの自然人、いわゆる個人といった方がいいでしょうか、の自己破産総数が二万三千二百八十四件ということでございます。クレジットによる多重債務者、また、若い人が多いとか、こういうことで今大変な社会問題にもなっておるわけでございます。  そこで、このことにつきましても実はもう何度か委員会等で取り上げましたので、少しちょっと観点を変えまして、プライバシー保護ということでお聞きをしたいと思います。  前回の質問で、通産省、大蔵省の皆さんの方も、いわゆる対策はきちっと立てたい、こういう前向きな御答弁が出ました。いわゆるどういうふうな対応がと一口で申しますと、ホワイト情報というのですか、いわゆるきちっと返しておる方の利用歴までコンピューターに入れて、それを今三つございますね、銀行系と、いわゆるノンバンクなんかの系列、貸金業系列とクレジット系列、この三つの情報センターがお互いに相互乗り入れでやろう、こういう方向にまで今行きつつあるわけでございます。これは大変前向きな私は対応だと評価をいたします。  ただ、そこで問題になってくるのがいわゆるプライバシー保護なんです。先日も生命保険会社の信用個人情報が流出したとか、こういうことはしょっちゅうございますし、私どものところへも、どこで聞かれるか知りませんけれども、いろいろなダイレクトメールも来ます。  そこで、このプライバシー保護という一点に限って通産省、大蔵省に、どのような今後対応をとられるのか、この一点に限ってお答えをいただきたいと思います。
  154. 土田正顕

    ○土田政府委員 大蔵省の方からまず御説明を申し上げます。  この個人の信用情報につきまして、プライバシー保護の観点から慎重な取り扱いが必要であるということは、まことに御指摘のとおりでございます。こうした観点から、貸金業規制法におきましては、信用情報機関からの情報を資金需要者の返済能力の調査以外の目的のために使用してはならないという規定がございます。また、それぞれの信用情報機関は、会員業者に対しまして、情報の登録に当たって事前に消費者の同意を得るこ と、それから情報を与信判断、信用を与える、供与する判断以外の目的に使用しないことなどを厳しく義務づけまして、プライバシー保護に配慮しておりますところでございます。  さらに、関連して非常に大きな重要な問題だと思いますのは、本人から情報の開示請求があった場合には、本人であることを確認の上情報を開示いたしまして、万一にも誤った情報が登録され続けることのないように措置を講じておるところでございます。
  155. 麻生渡

    ○麻生政府委員 通産省の方でございますが、通産省が主として扱っております割賦販売、これにつきましても、割賦販売法におきまして、信用情報の適切な使用につきまして、今銀行局長からお話がありましたような、同じような趣旨の規定がございます。この規定の方向に沿いまして、現在日本クレジット産業協会、ここにおきまして消費者団体とも十分連絡をとり、またその意見を聞きながら、自主的な管理体制の強化を行っておるということでございます。
  156. 日笠勝之

    ○日笠委員 加盟各社は、それぞれの社内規定というのは整備がされているのでしょうか。通産省さん、どうでしょうか。
  157. 麻生渡

    ○麻生政府委員 これは平成四年一月の二十二日現在調査をいたしておりますが、二百八十九社対象になっておりますが、三十五社は具体的な個人情報の保護措置についての対策を講じております。また百九十六社につきましては、現在具体的な案を検討中というような形になっております。
  158. 日笠勝之

    ○日笠委員 大蔵省の方はどうですか。そういう加盟各社が社内規定というものをきちっと整備されているのでしょうか。これがないともうノーガードでございまして、情報が流出する、こういうことになるのですが、いかがですか。
  159. 土田正顕

    ○土田政府委員 このプライバシー保護に関する一種の社内規定的なものと申しましては、例えば全国信用情報センター連合会、全情連と普通言っておりますが、そこでは倫理綱領というものを定めております。それで全備連の会員であります信用情報センターは、「この倫理綱領の精神にのっとって信用情報の整備充実に努めるとともに、公正かつ的確でプライバシー保護に配慮した適正な業務運営に努め」云々というようなことで、「この精神を周知徹底させなければならない。」ということを取り決めておるようでございます。
  160. 日笠勝之

    ○日笠委員 今後通産関係と大蔵関係の信用情報センターが相互乗り入れするとなれば、やはり加盟各社の社内規定というか、整備、これが非常に重要でございますね。つい先日も、かの有名な筑波大学の学生百六名が学生ローンの会社から一億三千八百万を借りて学外団体のプライムに融資して返済が焦げついておる。筑波大学の学生さんですらこのローントラブルに遭っておるわけですね。そういう意味では、ひとつ今後は一回の利用限度額を下げるとか、そういうようなことも踏まえて、通産、大蔵よく連携をとってこの対策を真剣に考えてもらいたい。このことを通産大臣、決意をひとつお願い申し上げます。
  161. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 極めて重要な問題でありますから、真剣に検討してまいります。
  162. 日笠勝之

    ○日笠委員 続きまして、いわゆるリース債権、クレジット債権、これを小口に分割して商品化して流動させていこう、こういう動きが今ございますし、現実日本リースなんか既に何億円でございましたか販売をしておりますね。そこで、これは世上いろいろと言われております、証券化関連商品とも、名前はまだ正式にはついていないそうですが、債権小口商品だとかいろいろ言われておるようでございますけれども、ネーミングすらまだわかっていませんが、これを大蔵、通産両省の何か縄張り争いのようなそういう報道がなされておるわけです。  そこで私は、これは投資家保護という観点から、また健全な市場を将来育成していかざるを得ないという立場から、今後この問題について、大蔵、通産、それから建設もそうですね、農水もそうなんですね、この四省庁でよく話をして  余り業界の皆さんが発行したから、どこかの省庁からえらく怒られて、そんなことをするんならもう元栓の金融機関の方からの貸し出しを絞るとかとめるとか、何かそういうふうなうわさ話も聞こえてきておりますが、大蔵大臣、そういう話があるのですよ。  そういうことで、この問題についてはこれから、大蔵省は証取法の中へ取り込もうというお話もございますし、通産の方は、いや、新たに建設、農水と立法すおんだとか、こういうふうなお話があるようでございますが、今後大蔵省対三省と、いわゆるその投資家保護、健全育成ということ、それから、余り業界をそういうことで袋たたきに寄ってたかってすることのないように、これはやはり慎重に、そして先ほど言った観点を最優先して、本当に実りあるものにしてもらいたい、かように思いますが、大蔵大臣と、代表して通産大臣、一言ずつお願い申し上げます。
  163. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 まさに先生御指摘のとおり、これは健全な市場、また投資家保護、これが我々の目標であって、今先生御指摘のような証券取引法の改正案については、これは現在各省庁間で調整中であって、一部に何か通産省と建設省と農林省が反対の意見書を大蔵省に出したというようなことを耳にしておりますけれども、そういうことはこれはありません。最後は大臣が決めることですから、これは隣に毎日おりますし、ときどき休んでいただくときはゆっくり話もできますから御安心をいただきたいと思いますし、証券関連商品の販売に関する規制については、これは通産省としてリース・クレジット債権の小口化販売に関する規制法案を提出すべく、これはまさに先生御指摘のような問題を真剣に考えて進めておるところでありますから、今後これについては引き続き関係省庁との調整を努めて、笑われるようなことのないようにしたいと思います。     〔中山(正)委員長代理退席、委員長着席〕
  164. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 今通産大臣からお話ありましたように、私ども関係省庁と十分調整をしていきたいと思っております。
  165. 日笠勝之

    ○日笠委員 最後に、これも私の多年の持論でございますが、外務大臣も今度新しくなられましたので、外務大臣、ちょっとお伺いをいたします。  総理、施政方針演説の中に、化学兵器禁止条約の本年中の妥結に積極的に取り組む、こう施政方針で述べられていますね。化学兵器のことです。これは私、卓見だと思います。日本は海部総理のときにも、通常兵器の国際的な移転について国連へ通告をするとか、こういう大きな一つのリーダーシップをとったことは、これは評価をしております。宮澤総理もそういう旨のことを施政方針演説でおっしゃっている。  それから、先日の安保理サミットがございましたね。ここの最終宣言を見ますと、これにもやはり化学兵器に関し各国は、ジュネーブ交渉が検証システムを含む世界的規模の化学兵器禁止条約の年内の締結で合意するとの観点から同交渉の努力を支持する、こう言っていますね。それからブッシュ大統領も年頭教書で言っているのです。エリツィンさんも先日そういうことを言いました。  ということは、米、ロ、日本と、こういう俗に大国がこの化学兵器の禁止条約は年内に、ジュネーブで今会議をやっておりますが、ぜひ早期締結をやろう、こういうことでございます。ぜひ私、これは日本の国がまさにリーダーシップをとらなきゃいけない。海部総理が国連で演説されて今できましたような通常兵器の移転の問題のような、私は第二歩として国際的貢献もこれまたすべきだと思うのです。  ところが、いろいろお聞きしますと、ネックになっておりますのは、やはりこの本部機構をどこに置くのか、何か二千人ぐらいの規模ですか、その人件費を含めた年間一億数千万ドルという費用はどこが出すのとか、こういう問題がネックになっている。もちろんその他派生的な、枝葉的なことはあるのでしょうけれども。  そこで外務大臣、副総理でもございますし、後で総理にも決意のほどを一言お伺いしますが、どうでしょうか、早期に締結をするこのリーダーシップを日本がとるべきであるということ、この辺の御確信と、それから、そういう本部機構を、なんでしたら、国連大学以外に目立った国連機関はございませんし、日本にそういう本部機構を誘致する、そして費用も、一億数千万ドルということであれば、日本もその大方を負担しましょう、こういうふうなことでリーダーシップをとっていく、そういう御決意はございませんですか。
  166. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 これは総理が施政方針で言ったことでございますから、これは外務省はもちろんのこと、年内妥結を目指しまして一生懸命やりたい、実現するように。そこで、今財政上の問題、負担の問題等重要問題でございますので、これについても真剣に議論をし、応分のことはやっていきたい、かように考えています。  本部の事務局問題は、既にオーストリア、オランダ等が誘致の意向を表明しておりますので、我が国ということはいかがなものか。これらについては十分国際情勢を見ながら考えていきたいと思っています。
  167. 日笠勝之

    ○日笠委員 総理に最後にお答えいただく前に、通産大臣、これは私昨年も国会質問させていただき、通産省は、化学兵器への転用可能な施設であるとか機器であるとか原材料ですね、これについてやはり日本は輸出大国で、いろんな輸出入業者のことを考えれば大変な負担になるということは重々承知でいながら、貿易管理令で相当厳しく制約をいたしました。これは高く評価をいたします。今後さらにそういうふうな輸出入業者に対する管理指導とか、こういうことはどのように考えておられるか。  それから最後に総括して、総理のこの化学兵器早期締結についての御決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  168. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 我が国は従来から条約交渉の進展のために常に積極的に貢献してきておりますし、今後とも引き続き他の西側諸国とも協力しながら、本条約交渉をリードし、条約交渉の早期妥結に積極的に努力してまいる決意であります。
  169. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 施政方針演説で申し上げましたとおり、本年中の妥結をさらに推進してまいります。外務大臣からあとは申し上げたとおりでございます。
  170. 日笠勝之

    ○日笠委員 終わります。
  171. 山村新治郎

    山村委員長 これにて冬柴君、日笠君の質疑は終了いたしました。  次に、井上普方君。
  172. 井上普方

    ○井上(普)委員 夜も大分だけてまいりましたが、私、常日ごろから考えておること、あるいはまた、実は宮澤総理の「美しい日本への挑戦」という本を拝読いたしまして感じたこと等々をひとつ御質問してまいりたいと存じます。  この本のお考え方の総括につきましては最後に申し上げることといたしまして、先般宮澤総理はまず外国訪問を韓国をお選びになりました。私はアジア重視のために非常にいいことではなかったか、このように感心いたしておるのであります。しかしながら、御存じのとおり、いろいろな問題が出まして、新聞報道あるいはマスコミには本意ならざることも出てまいりました。しかしながら、これはやはり我が国の過去、併合時代の恨みというものは私は残るんであろうと思います。しかもその上へもってまいりまして、昔から言われておりますように近隣外交の難しさというものも、私もある程度わかるつもりであります。しかしながら、これを、何と申しますか、誠実に努めていく、話をし続けていくこと、これによって初めて近隣外交というのは成立するんじゃないだろうか、このように考えるものでございますので、なお一層のひとつ近隣外交に御努力願いたいことをお願いする次第であります。  そこで、私は、何と申しますか、日本が将来いかにあるべきかということを考えますと、アジアを中心にする外交といいますか、これを最大限に重要視しなけりゃならぬのじゃないだろうか、このように考えるものであります。しかしながら、御存じのとおり、アジアというのは何世紀にもわたり植民地支配を受けてまいりました。しかし、その植民地支配をやってきた人たちの中には、依然としてアジアは我々の植民地である、日本が手出しをしてはならぬというような意識があるんじゃないかというように私どもには思われてならないのであります。これがなければ幸いでありますが。  そこでひとつお伺いするんですが、一昨年でございましたか、一昨年の九月にASEAN外相会議におきましてマハティール提案というのがマレーシアの総理から出されました。すなわち、ASEAN六カ国のみならず、香港、台湾、中国あるいは韓国、日本、ビルマまで入った十六カ国でひとつEAEGというものをつくろうじゃないかという提案がなされました。当然今までの動きからいたしまして日本は入ってもらいたいということは、これは望むのは当然であろうと私は思うんでございますが、これに対しましてアメリカから強い反対の声が上がったのも私は存じております。  さらには、昨年の国連総会においてマハティールさんは、アメリカがこれほどまでに厳しい反対運動をEAEGに対してやるのは、まさしくこれは人種差別じゃないかとまで発言せられたと承っております。その後、マハティールさんはこれをEAECに変えたようでありますが、すなわちコーカスに変えたようでありますが、しかしこれに対しまして、我が日本は何も返答をしておらないのであります。反響をしておらないのであります。昨年も天皇がマレーシアを御訪問になったときに、マレーシアの国王がこれに対して日本も参加してほしいという強い要請があったけれども、まあ政治に対して申立てなければならぬ天皇さんですから、これはもう発言しないのは当然のことだと私は思いますが、しかし今東南アジア、あるいはまたこれはマレーシアだけじゃなくてインドネシアあるいはタイ、ここいらからもこのEAEGあるいはEAECに日本は入ってくれという強い希望が出されておるやに承るのでありますが、日本政府としてはどういう考え方で進まれるのかお伺いいたしたいと思うのであります。
  173. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 EAECに対してアメリカが不快感を持ったのは事実でございますので、我が国といたしましては、やはりアジアだけ固まるということはあってはならない。開かれたものでなければならぬ。既にAPEC、環太平洋でそれはあるわけでございますから、そこからアメリカやカナダなどを抜いたものだけを日本が今それにかかわるということは適当でないということで、ともかくとりあえずAPECがあるんだからそこの中で一緒にやろうじゃないか、排他的のことには賛成できませんというのが我々の態度でございます。
  174. 井上普方

    ○井上(普)委員 ただいまもお話がありましたが、APECにしましても、最初はニュージーランドあるいはオーストラリアとアジア諸国が一緒になろうじゃないかという発言で、グループをつくろうという発言でございました。そして、それをっくりかけたところが、いや我々も入れなきゃ、アメリカが入らなきゃということでアメリカが横やりを入れて、そしてAPECができた経緯がございます。  このアジアの諸国が、これが一つのグループをつくろうというのは至極当然の話ではないかと私は思うし、また国民もそのように思うと思う。というのは、御存じのとおり、アメリカにおいては北大西洋自由貿易圏なんというのをつくって、あそこらでは固まっている。余りにも得手勝手過ぎるんじゃないですか、アメリカは。私どもは、そういうようなことからいたしまして、どうしてもアジアに対して日本は何らかの発言をしなきゃならぬ時期が来ているんじゃないか。それはアメリカに対しまして、アメリカは日本にとりましては重要な国ではございます。しかしながら、そこには、このまま日本は今までのようにAPECに入っておるからそれでいいじゃないかというよう なことではこれは済まない時期がやがて来るんじゃないだろうか、むしろアジアの孤児になるんじゃないだろうかという心配の余り私はお伺いいたしておるのであります。  やはりここで日本外交は、アジアに対しましてもう少し大きい、兄貴分としてと申しますか、一員としての考え方を示す時期が来たんではないかと思うんですが、総理、いかがでございます。まあ総理がしゃべったらまたアメリカがきゃあきゃあ言うこともあるかもしれませんけれども、これは将来の日本にとりまして重要な問題だと思いますので、あえてお伺いするわけでございます。
  175. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 これからのアジアの将来を考えてまいりますと、ASEAN各国それからNIES、我が国会わせまして十カ国、恐らくそのGNPは二〇一〇年あるいは二〇二〇年、そのあたりで世界最大になる可能性のある大きな潜在力を持っておると思います。しかしそのためには、私思いますのに、これらの地域はできるだけ開かれた地域である必要がある。伝統も違いますし、宗教も違いますし、経済発展段階も違いますので、それが、多様性がかつては弱みだと言われましたけれども、むしろ強みであるというふうに私は思い始めておりますので、これらの地域はできるだけだれに対しても開かれた地域であることが地域のためになるであろう。それは仮に、おっしゃいましたように、いわゆるNAFTA、北米のブロックが多少内向きになることがあるとしましても、私は余りそこはないと思いますけれども、ECは多少あるかもしれません、そうであっても、アジアはむしろ開かれた地域であるところに私はその本当の発展性があるというふうに考えております。これが考え方の基本でございます。  そこで、マハティールさんのおっしゃっていらっしゃることは、いろいろ沿革的にわかることもございますし、また、ひょっとして今の段階ではそんなに、当初考えられたほどこだわりを持っておられない点もあるのかもしれない。これはひょっとして、どうでございましょうか、せんだって東京においでになりまして私一時間ほどずっとお話をしておりましたけれども、余りそういう話を強くはされませんでした。ということは、問題を投げかけられたそのことの意味は関係者がよくわかってきたということから、多少広く物を考えようとしておられるのであろうかどうであろうか、それははっきりはいたしませんでしたけれども、いずれにしても、広くアジアの地域を開かれた地域にするということについてはマハティールさんも御異存がないように私は思いました。  それで、他方でアメリカ自身は、これは自分は太平洋国家であるというふうに考えておりますし、また、事実そうでございます。事実そうでございますから、大きな意味でその太平洋国家同士が開かれた関係を持つということは、私はみんなのためにいいことではないかというふうに考えております。したがいまして、いわゆるマハティール構想をめぐりましてちょっとここのところいろいろぎくしゃくがございました。確かにございましたけれども、それはしかし、落ちついて考えてみると、みんなお互いに将来のアジアを考えればわかるはずのことであって、我が国はそういう理解の増進のために努力をすることがいいのではないかというのが私の基本的な考え方でございます。
  176. 井上普方

    ○井上(普)委員 日本とアメリカとの今の関係から申してそれ以上のことを総理に要求するのは無理であろうということを存じ上げながら、実は質問しておるのです。  我々は、今のASEANのこの経済発展あるいはまたNIESの発展、やがてこれも中国にも経済発展が及んでくるでありましょう、その際に日本がこのアジアにおいて畏敬せられると申しますか、そういうような地位をあり続けたい、これらが私らの考え方なんであります。それでなければ将来はない、こういう考え方からあえて私は申し上げるのであります。  今はそれ以上申し上げることは差し控えさしていただきたいが、どうか、今宮澤さんは韓国に御訪問あって、そしてアジア重視の姿勢をお示しになったと私は考えております。誠実にアジアの諸国と交際せられんことを心からこいねがっておる次第であります。  続いて、国連外交についてお伺いいたします。  国連外交につきましては、私は、国連て一体何だろうか、実は思うんですよ。国連外交、国連外交言うが、一体何だ。というのは、余りにも大国が国連を利用し過ぎている。去年の湾岸戦争の際には、それまでアメリカは国連への分担金は滞っておって払いもしなかったのが、九月になってから払う、そして国連のもとに行っておるということで、多国籍軍を編成して、そして大義名分をつくって行った。  確かに私は、イラクのやり方については私も不届きだと思うし、国際社会からは非難さるべき事柄である、こうは思います。しかし、余りにも国連を利用し過ぎたんじゃないだろうか、アメリカは。その後も一体分担金なんというのは順調に払っておるんだろうか。今国連、これを直さないかぬ時期が来ているんじゃないだろうか、もちろん敵性条項も含めて変えなきゃいかぬ時期が来ているんじゃないだろうか。  それで「美しい日本への挑戦」の中にも宮澤さんは、これは国連はちょっといまひとつというお言葉を書いておられますわな。先日も実は外務の委員会におきまして、一体国連をどういうように改組したらいいんだ、どういうように強化したらいいんだということを聞きますというと、いや、PKOに参加することが、それが国連強化になるんだなんてあほなことを言う局長もおるんです。国連、一体本当の姿といいますか、理想像としたらどういうふうに直せばいいですか、今一つ一つお示し願いたいのです。
  177. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 もう釈迦に説法ですから長話はいたしませんが、国連ができたとき、世界の大国がもう戦争は二度とやるまい、そして大戦後の地図は力では変えることは絶対させまいという大変高い理想のもとにつくったわけですよ。しかし米ソの対立というものがあるから、チューバの革命だとかベトナム戦争とか朝鮮戦争とかいっぱい起きまして、必ずしもその創設したときの精神が立派に果たせなかった。  ところが、米ソともに軍事大国にはなったが、一方は財政赤字という問題もあり、片っ方は非常にまたいろんな問題もあり、そこでやはり国連というものを、この間の湾岸戦争を契機としてもう一遍見直して、そして局部戦争というようなものを防止をし、あるいは起きた場合は速やかに停戦をさせ、そしてなにしようということですから、私は二十一世紀に向かって、要するに軍縮を、超大国の軍縮がどんどん進んでいった場合の世界の平和に対する保障というものをだれが一体与えていくのかというような場合においては、やはり国連ができたときのあの精神に基づいたやり方が見直される。そして、もう時代も四十五年以上過ぎておりますから、当然に直すべきものはもっとあるでしょうし、やはりみんなで助け合っていく。それが単に軍事面だけのみならず、あるいは環境の問題にしても、麻薬の問題にしても、難民の問題にしても、一国だけではなかなか片づかない問題が多いわけですよ。  したがって、そういう点から見ても、国連の強化あるいは見直しというものは当然私は議題に上っていいことだ。PKOもこれは大事なことでして、やはり日本もこれに参画するということは、非常に今後いろいろ発言をする中においてもやりやすくなることは当然だと私は思います。
  178. 井上普方

    ○井上(普)委員 国連の見直しと申しますかやり直しというのは、私は緊急の課題だろうと思うのです。幸いにして日本も安保理事国に入っておるようでございますから、ここらあたりはひとつ発言してほしいと思うのです。この点ひとつ強く要求いたしておきます。  そこで、ともかく日本とアメリカとの間がぎくしゃくぎくしゃくする、これは何だ。この間も自 動車の連中を連れてきて、ブッシュさんは選挙運動に日本に来られたんじゃないかと言う人もおる。また私は、宮澤さんと一対一でお目にかかったときの話は、世界情勢なりあるいはまた平和の問題等々につきまして、これは十分お話しになったんじゃなかろうかと思います。あれは新聞、マスコミに伝わっておりませんが、恐らく、一国の代表同士が話し合ったところではそういう話が十分に行われたんだろうと私は想像いたしておるのでありますが、紙面には余り出てきてない。しかし、東京声明の中には、共同声明の中にはその片りんがうかがわれるようなところがございます。それはそれといたしまして、日本とアメリカとの間はやはり私は仲よくしなきゃ困る。なぜ困るかといえば、世界の基軸通貨であるドルがひっくり返ったらこれこそ大変なことになるから、私は大事にせにゃいかぬなと、こう思っておるのであります。  そこで、いろいろアメリカと日本との間に今まで、四十四年でしたか繊維交渉、宮澤さんには苦い交渉と言われていますけれども、この繊維交渉から始まって、あるいはその次は鉄鋼でございましたか家電でございましたか、あるいはまたその次にはICでございましたか、次から次へとともかく経済摩擦というものが起こってきている。しかし、経済摩擦をそのたびそのたびに管理貿易的な手法においてともかく処理してまいりました。結果、アメリカが保護してまいったそれらの業界というのは一体どうなったか。これはまさに今凋落して、自動車は別にいたしましても、ちょっと息を吹き返してきたのが鉄鋼関係じゃないかと思いますが、そういうような状況になってきておる。こういう実態をアメリカの諸君に十分忠告する必要があるのじゃないのだろうかと私は思うのであります。  今度の自動車も、政府が関与しない、業界の自主規制だ、自主的な要求だと言いますけれども、まあそれはそれでございましょう、これはもうはっきり申して、政府が強く要求して、そしてそれに管理貿易的な姿を見せないためだけにあんなことを言っておる。まあ通産大臣もさっき言いよりましたが、これは政府が管理したら、また日本は管理貿易だなんて言ってたたかれるのは嫌だからこれは言わぬだけの話であって、完全に管理貿易ですよ。こういうようなことを片方ではやりながら、日本とアメリカとのほころびを少しずつ繕い繕いしながら今日まで来たのじゃないかと私は思います。また、それが今までの日本政治には必要であったかもしれません。  しかし、それを相手方にやはりわからす時期が、これが大切な時期が来たんじゃないだろうか。例えて言いますならば、今度の大統領選挙についても大分日本たたきが少なくなってきた。アメリカの産業政策を、これを直さにゃいかぬのじゃないかというような論議が大分出てきたと承っておりますけれども、いい傾向だな、本当のことがわかってくれるんだなという気が私にはしてならないのであります。  だがそこで、日本とアメリカとの間に日米構造協議というものをやってきた。私は、この日米構造協議というのは海部内閣で始めたのだが、これが内政干渉の最たるものだと私は思っておる。しかし、あのときの雰囲気として自民党政府は、この日米構造協議というものをやって、そして、何ですか、一番よく言われるのでございますけれども、公共事業を四百三十兆円、十年間に実施する、それでひとつという約束といったら約束ですか、これは対米公約じゃろか、対米約束になるのかどうか、私は約束じゃないと思っておるのですけれども、やっておる。  で、このときに非常に不合理なものが出てきたのですね。日本はアメリカに対してそういうようなことは約束するが、それじゃアメリカ側は一体何を約束したのだと言ってこの前も中山外務大臣、当時でございましたが、お伺いいたしましたら、いやそれは双子の赤字を減す努力をいたしておるのでございます、具体的に言えば、メートル法をひとつ実施する。アメリカがメートル法をやる。日米構造協議でメートル法が出てきたんかいなと思って感心したのですよ。これはアメリカの対外貿易、輸出のためにはメートル法がいいというのでメートル法を日本側が強く要求したのでしょう、メートル法が採用されたという話を聞いたのですが、それがそのときには、まあ鬼の首をとったと言ったら語弊がありますが、さも麗々しく当時の、おととしてございますか、私ども国会には御報告になりました。  そこで、私もきのう、いや、きのうというよりこの間うちからこの日米構造協議というフォローアップ委員会がつくった案を見てみたのでございますけれども、これを見てみると、ぞれはなんですな、メートル法も余り進捗してないのですな。あれだけ麗々しく当時外務大臣は言いましたけれども、ここに報告がございます、メートル法についての。あんまり成果を上げてないのですね、これは。ただ、日本側はアメリカに対しまして言いわけを盛んにやっている。  そこで、一つ。お伺いしたいのだが、「一九九一年度の公的総固定資本形成」、すなわち公共事業は「総計約二十八・九兆円に上るものと見込まれる。」こう去年の五月に、すなわち今年度ですね、には書いてあるのです。今度の予算でこれに相応するのは一体どれくらいになるのですか、お伺いしたいのですが。
  179. 長瀬要石

    ○長瀬政府委員 公共投資基本計画におきます公共投資の額と申しますのは、先生御案内のように公的固定資本形成に用地費等を加えたものでございますけれども、そのような意味合いにおきます公共投資総額につきましては、これはさまざまな、例えば国民経済計算でありますとかそのほかの基礎的なデータが必要でございまして、そのような意味合いにおきます公共投資の額につきましては、現時点では数字としてまだ確定をしていない、こういうことで私ども考えております。
  180. 井上普方

    ○井上(普)委員 これは異なことを承ると言わざるを得ぬじゃないですか。これだけの、あなた、去年は予算を組みながら、これに対応しようという予算を審議しよるときに、これが計算できてないというのはおかしいじゃありませんか。
  181. 野田毅

    ○野田国務大臣 今担当局長から申し上げましたとおり、いわゆる経済見通しといいますか、このGNPの計算ベースでいきます公共投資というものの概念と、この中には実は土地代とかそういうものは入っておらないわけであります、いわゆるIGベース、政府投資ベースでありますが、それとこの社会資本、いわゆる公共投資十カ年計画、同じ公共投資という言葉を使っておるものですからやや紛らわしいのでありますけれども、御案内のとおり、この十カ年計画というものは、そのほかに用地費が入るとか、それからいわゆる民間事業に対する政府からの補助金、こういったもの、あるいは政府、いわゆる公的事業に対する逆に民間からの負担金といいますか、そういったものの実は出入りの計算がございます。あるいはそのほか、特に地方の事柄があるものですから、直ちにこれと対応するという数字ではないということで御理解をいただきたいと思います。
  182. 井上普方

    ○井上(普)委員 それでは、アメリカに対しましては、去年の五月ですよ、フォローアップ委員会の第一次報告、五月には出しているのですね。この総計約二十八兆九千億に上ると見込まれる、この内容をひとつ示してください。
  183. 長瀬要石

    ○長瀬政府委員 日米構造協議の中間報告につきましては平成二年の四月に閣議了解がなされておりますけれども、その中におきましては、平成二年度におきます予算、財投、そのほかの措置を総合勘案いたしまして、IGベース、つまり公的固定資本形成のベースにおきます額といたしまして総計約二十六・三兆円ということが示されているわけでございますが、これは先ほど申しましたように、公共投資基本計画におきます公共投資とは異なる範囲でございます。
  184. 井上普方

    ○井上(普)委員 公共投資と違う。公共投資には考え方が幾つもあるのかもしれません。しかし、この内容が今までのでわかりますか、我々に。わからぬから聞いているのです。だから去年の分を 聞きましょう、こう言うのです。二十八兆九千億円の中身を示してください、こう言うのです。無理ありますか、私が聞いているのに。その明細をひとつお示し願いたい。ことしはまだできませんと言うが、それはできておるのだろうと思うのですけれども、これについてはお話がない。だから、この二十八兆九千億円の内訳をひとつ示してください、こう言っているのですよ。決して無理な注文でも何でもないと思うのですが、いかがでございますか。
  185. 長瀬要石

    ○長瀬政府委員 平成二年度のIG、政府公的固定資本形成の額につきましては、先ほど二十六・三兆円、こう申しましたけれども、これは平成二年の日米構造協議の段階におきます見通し数字でございます。  これにつきましては、現時点で実績といたしましては二十八・六兆円ということでございますが、これは国民経済計算としてそのような公的固定資本形成全体の額を推計をしているというものでございます。(井上(普)委員「もう一遍言ってください。国民……」と呼ぶ)国民経済計算、GNP統計でございますけれども、この国民経済計算の中におきまして公的固定資本形成、こういう項目があるわけでございますが、これを各種統計から推計をして出しているわけでありまして、その平成二年度におきます公的固定資本形成の額が、ただいま申しました実績の現時点での数字では二十八・六兆円、こういうことでございます。
  186. 井上普方

    ○井上(普)委員 私ら、どうもわかりにくい。公共投資は四百三十兆円出す、こう言って約束している。ところが、今になってみたらそれが二十六兆三千億円、これをベースにしてつくっておるのです。二十六兆三千億円のベースをひとつ示してくれ。あるいは、二年度のこの二十八兆九千億円に修正したのでございましょう、その内容を示してほしい。一体国は何ぼ使ったんだ、あるいはまた自治体は一体幾ら使ったんだ。こういうように税金で使う分が公的公共投資だと私は思っている。勝手に違うような定義をせられては困る。それが対外的な公約になられては困る。どういう理由でこういう数字が出てきたのか、これを明確にひとつお示し願えるのがこの国会の責務だろうと思うのだ。だから私は聞いている。
  187. 長瀬要石

    ○長瀬政府委員 お答えをいたします。  四百三十兆円と申しますのは、公共投資基本計画にございますように、重ねて申し上げて大変恐縮でございますけれども国民経済計算におきます公的資本形成に用地費、補償費等を加えたものでございます。  実は、公共投資基本計画の策定過程におきましては、過去十カ年の実績見込み額が二百六十三兆円、こういうことでありまして、おおよそその一・六倍程度と申しますか、それが四百三十兆円でございますけれども、つまり、過去十カ年に対して一九九〇年代の十カ年間には一・五倍強と申しますか一・六倍程度の公共投資を行うことによりまして、社会資本の充実を図り、欧米諸国に比べてそれほど遜色がないような社会資本の整備をしよう、そのことはまたマクロ経済的に見ましても可能である、このようなことから四百三十兆円というものが出てきたというふうに理解をいたしております。
  188. 井上普方

    ○井上(普)委員 いいですか、ここにあるのは、これは、港湾計画それから海岸計画、空港計画、住宅計画、下水道計画、廃棄物処理施設の計画。五カ年計画です。都市公園の計画、交通安全の計画等々を列挙しているのです、全部。政府の計画のとおり、ここには片方書いてあって、今言っておる経済企画庁の説明というのは私は何が何だかわからない。どういう計算でやられたのかわからない。もっとはっきりさせてほしいと思います。
  189. 野田毅

    ○野田国務大臣 今、五カ年計画、それぞれお話ございました。これは、一応十カ年計画というものは、そういったそれぞれの長期計画というものは、公共投資十カ年計画ということを頭に置きつつ、それぞれ事業ごとに、これからさらにまた御審議をいただく法案もあるわけであります、五カ年後。これはもう御案内のとおりであります。  したがって、直ちにそれぞれ各事業ごとの五カ年計画のトータルとこの数字がぴたり合うというものではないことはもう御案内のとおりだと思いますし、さらに先ほど局長から御説明申し上げましたけれども、かなり用地費あるいは補償費の系統がありますので、これが大体過去の経験でいきますと、おおむね一五%前後程度のそういったものが入っておる、いわゆる十カ年計画の中には。そういったことをもひとつ勘案をしていただきたいと思っております。
  190. 井上普方

    ○井上(普)委員 だから、この中身をひとつ詳細に知らしてほしいと私は言っておる。二十八兆九千億円です。二十八兆九千億円をアメリカに報告しているんですよ、これ。ところが、その中身についてはあんな話では話にならぬじゃないですか。当然、積み上げてこれだけになったということでなけりゃならぬはずだ。ところが今のような話で、これは対外公約と称せられては私は困ると思うのですよ。これはとてもじゃないが、内容を示せと言えば今のようなお話です。政府が出す公共事業は幾らだということをお示しになっていただかなきゃ話にならぬじゃないですか。
  191. 野田毅

    ○野田国務大臣 先ほど御説明、局長から申し上げたと思うのですが、いわゆるIGベースと言っておりますが、公的資本形成の計算は、これは率直に申し上げて、いろいろの統計から推計という形で入ってくるわけであります。そして同時に、片っ方の方は一応、何といいますか、ことしの部分は予算に関連する部分は一応積み上げ的な形で計算はしておるわけであります。そこにおいて若干、先ほど申し上げたとおり、公的資本形成という問題と、それから社会資本、公共投資十カ年計画のやっとは多少違うわけなんですよね。それで、そのことをアダリカも承知をいたしておることだと思っております。
  192. 井上普方

    ○井上(普)委員 だから私は、二十八兆九千億円の中身をひとつ示せと、こう言っているのですよ。示してほしいというのは無理ですかな、これ。どうです。そこでこれを詳細にわたって示していただかなきゃ次の質問はなかなかできぬじゃありませんか。
  193. 長瀬要石

    ○長瀬政府委員 お答えいたします。  先生御指摘の平成二年度におきます公的固定資本形成の額二十八・六兆円の内訳につきましては、これは手元に今持っておりませんけれども国民経済計算の中におきまして、国、地方、公的企業に分けまして、そのベースでの内訳、これは国民経済計算で公表されているものでございます。その数字、その限りにおきましてはお示しをすることが可能でございます。――お答えをいたします。  二十八・六兆円と申しますのは公的固定資本形成の額でございますけれども、これにつきましては一般中央政府、地方、それから公的企業、このような内訳がありまして、さらに若干その中で細分があるものがあるわけでありますけれども、この額は、平成元年度につきましては年報が出ているはずでございますが、平成二年度についてその全体としての年報があるかどうかちょっと確認をしなければなりませんが、それにつきましては確認をいたしまして、内訳につきましては、現在統計が確定している限りにおいてお示しすることは可能だと考えております。
  194. 井上普方

    ○井上(普)委員 この構造協議をやったのは、これはおととしですから、二年ですよ。平成二年の事柄ですね。ところが、統計じゃ何じゃいってわけのわからぬこと言って、そしてこの二年のやつは集計中と言ってやな、あるいは三年、ことしは四年でしょう、これ。二年おくれているのに、だがこれの計算ができてない。それで海外に対してはこういうような約束据える、できてましたと言うんだから、アメリカも相当なものだけれども、これは日本政府も相当なものだなと思わざるを得ぬのですな。  まあしかし、それはそれとして、こういうようなことで、私は、これをお示ししていただかなけ れば――あと下水道の問題とかあるいは何とかいうことを質問しようと思っておりました。だから出しておりますが、これを出していただかぬ以上は、私の方はちょっと質問はいたしかねますので、ひとつ委員長において御処置願いたいと思うのです。
  195. 山村新治郎

    山村委員長 井上君の残余の質疑は、後日行うことといたします。  次回は、来る二十四日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時三分散会