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武藤(嘉)
委員 それから、次に進みまして、二国間の問題に少し入らさせていただきたいと思います。
総理、
総理は、たまたまことし一月七日にブッシュさんがお越しになり、そしてまたこの間向こうでお目にかかられた。一月の間に二回
首脳会談をおやりになったわけでございます。
日本は
アジアの一員でございますから、
最初に韓国へ御訪問になったのは大変よかったと思います。いろいろの不幸な出来事がたまたま、不幸な出来事というか非常に残念なことが、
日本としても恥ずかしいことが表へ出まして、大変つらいお立場であったかと思いますけれども、いずれにしても、隣国を御訪問になったということは私は一番よかったと思います。
同時に、
アジアの一員であると同時に、
日本はやはり
日米を基軸にしてこれから
世界のためにやっていかなきゃならないというのも当然でございましょうが、とりわけ、先ほど申し上げましたけれども、この
冷戦構造が終わった後、今経済は疲弊しておりますから、やはり経済を
中心として
日米がこれからやっていかなきゃならない。特に、
ソ連が昨年崩壊をし、七十年以上の共産主義の歴史に終止符を打ったわけでございます。今
世界の人たちは、共産主義、あるいは社会主義と言うと社会党から怒られるかもしれませんが、まあ要は共産主義、社会主義という管理社会、そういういわゆる管理経済ではうまくいかない、いわゆる自由主義経済あるいは資本主義経済の市場経済原理、競争の原理を導入してこそ経済は発展するんだということを今
世界の人たちはわかってきたんじゃないかと思うのですね。ですからお隣の中国でも、共産主義の国家でありながら特別区を設けて、経済特別区を設けて、そこは自由経済だよ、自由貿易だよとやっております。キューバのような国でも最近変わりつつあると承っております。そういう点で、私は、
世界の国々も、やはり自由主義いいな、やはり市場経済原理を導入して我々はやっていかなければいけないなと今思いつつあると思うのでございますね。だからゴルバチョフさんもおっしゃったし、それでお気の毒に、余りやり過ぎちゃってゴルバチョフさんはおやめになっちゃったんですけれども、私は、ゴルバチョフさんはすばらしかったと思いますね。
ソ連にああいうことを目覚めさせたということは、私は大変な功績だろうと思うのでございます。
いずれにしても、そういうときに、それじゃ自由主義、資本主義の総本山はどこかといえば、これは
アメリカでございます。その
アメリカが残念ながら今ちょっとおかしくなってきちゃったわけでありまして、私は、
アメリカよ強くなれということを、もう一昨年通産大臣をやらしていただいたときから、
アメリカ人の指導者に会うたびに申し上げてまいりました。あなたのところが先生だよと、おれのところは生徒なんだと。今から三十何年前に
日本に生産性本部をつくれと、そうしておれのところの生産性本部と、ちょうどそのころ参議院にお出になっておられましたけれども、そして
日本に生産性本部をつくって、その生産性本部を通じて
日本の労働者、
日本の経営者、どんどん
アメリカヘ来い、みんな生産性向上運動を教えてやるといって教えてくれたわけでございます。それで、それを忠実に守って今日まで来たから、資源のないこの
日本の国が今日の経済大国になったんだと私は思っている。もちろんその間に西ドイツでも労使協調というのが出てきて、労働組合の中にももうストライキはやめようという空気も出てきたことも、これは事実だろうと思います。いずれにしても、どちらかといえば、主たる原因はやっぱり
アメリカから生産性向上運動を教えられたからだろうと思うんでございます。
実は私、
総理もお忙しかったものでございますから、ブッシュさんにお目にかかられる前に、ぜひブッシュさんにおっしゃってくださいよと。同じ
アメリカ人でも、いわゆるマネージがうまくいっている工場ではいいものできているんですよ、マネージがうまくいってないところはいいものができないんですよ、例えばGMとかフォードとかクライスラーが最近うまくいかなくなったのは、マネージが悪いんだと。それでもまあ多少はよくなってきたと思います。あのベトナム戦争直後あたりが一番悪かったと思うんでございます。ところが、
日本のトヨタとか日産とか本田の
アメリカの工場は全部労働者は
アメリカ人です。
アメリカ人が
日本のトヨタ、本田、日産でできるよりもいい車をつくっているわけです。だから決して
アメリカ人が、労働力とか労働者が悪いんじゃなくて、その人たちをいかにうまく使うかが問題なんですと。うまくGMもクライスラーもフォードも、もう少し昔の生産性向上運動に立ち返っていただいて、そして経営者もその会社のためにと。
アイアコッカさんみたいに、赤字になってつぶれかかっていても十億円も十五億円もボーナスを取るような、そういう経営者はいけないと思いますね。あるいは労働者も、何か自分たちの条件は全米自動車労働組合がやってくれるから、何も会社はどうだっていいやじゃ、これはいけないと思うんです。やっぱりそういうことをきちんとマネジメントをやり、経営者も労働者も一体となって消費者のためにいい車をつくるんだと、こういう気持ちにならないとなかなかいいものはできませんよということをぜひひとつ。
私はトヨタなり本田なり、みんな工場を
アメリカで見てまいりまして、
日本でつくっているよりも立派な工場ができております。本田の工場もトヨタの工場も、
日本のトヨタ、本田の工場より新しいもんですから、非常に能率がいいわけでございます。すばらしい車ができておるわけでございましたので、それをぜひブッシュさんに申し上げてくださいと言ったんでございますが、ブッシュさんはお気の毒に来られたときに倒れられちゃったんで、おっしゃったかどうか、ちょっとその辺をお聞きをいたしますが、おっしゃっていただきましたでしょうか。