○大島理森君 私は、自由民主党を代表して、
国際連合平和維持活動等に対する
協力に関する
法律案及び
国際緊急援助隊の
派遣に関する
法律の一部改正案に対し、これらに
賛成する
立場から
討論を行います。(
拍手)
今日、約四十五年間続いてきた東西対立の構図が崩れ、
歴史は新たな平和秩序の模索段階にあります。まさに
世界は今、一つの戦後史の大きな曲がり角に来ているのであります。
このような
歴史的転換点にあって、
我が国は、今後、西側
民主主義諸国との
関係の一層の緊密化を図り、友好的なアジア外交を推進し、広く軍縮を推し進めるとともに、
国連を軸とする平和創造と平和
維持の
努力を推進していくべきであります。
我が国は、
国連への
協力を、このような幅広い長期的視点に立って一層推進していかなければなりません。そして今こそ、
国連の旗のもとで、
世界の多くの国の人々と手を携えて、平和を創造し、
維持していく
努力に欣然加わるべきであります。紛争に苦しむ人々を支援し、人類の福祉の増進のために積極的な役割を果たすべきであります。それこそ、
世界の平和の恩恵にこれほどあずかり、そこでこれほどの繁栄を謳歌している
我が国の当然なすべき義務であり、
PKO法案は、この
我が国の当然の義務の当然の帰結であります。(
拍手)
そもそも
PKOは、停戦の合意や受け入れ国の
同意を
前提に、
中立・非強制の
立場で、
国連の権威と
説得により紛争の再発防止をする
活動であり、一九八八年にノーベル平和賞を受賞しております。これまでに
世界の約八十カ国から五十万人以上が
参加し、平和の
維持のために多大な実績を残しているものであります。この
法案は、このような
PKOに、
我が国として今日あとう限りの
協力を行おうとするものであり、まさに
我が国外交の柱である
国連重視の観点からも、何としても
成立を図らねばならないものであります。(
拍手)
一部に、
自衛隊を武装して
海外に
派遣することは
憲法で禁止されているという議論がありますが、
PKOは、そもそも
武力行使を
目的とした
活動ではなく、平和を
維持するための
活動であります。
PKOにおいて
武力行使があるなどということは、
PKOの
実態を全く無視し、また、この
法律の厳格な
規定を故意に歪曲するものであります。(
拍手)停戦の合意、
我が国の
参加に対する
同意、
中立の厳守、
派遣の終了及び
武器の
使用などのいわゆる五
原則を詳細、厳密に定めた
規定、さらに
PKO活動がかりそめにも
武力の
行使や
武力の
威嚇になってはならないとする諸
規定に、不当にも目をつぶるものであります。
PKOは、そもそも
武力行使を
目的とした
活動ではないのであります。
国連の長いこの
活動の
歴史がそれをまさしく証明しているものであります。
武器を持っていくというが、それは護身用のものであります。そしてしかも、それはこの
法律において、万々が一にも自分の
生命が現に危うくなったとき以外に使えないのでありまして、それ以外の
武器の
使用は全く行い得ないものであります。したがって、このような
武器の
使用が仮に万一生じたとしても、
憲法違反だといった非難を浴びるはずは全くあり得ないのであります。(
拍手)
また、
PKOは徴兵制につながるという議論がありますが、これほど
国民自身を愚弄するものはありません。
我が国は、平和
憲法のもとで専守防衛に徹し、徹底した平和国家として生きていくものであります。
PKO法案はこの基本を何ら変えるものではありません。
この
法案は、
国連の普遍性のもとでの平和
活動に
参加し、国際社会の一員としてこの
世界共同体に対し負っている我々の当然の義務を果たしていくのであります。これこそが
我が国の真の平和主義のあり方であり、こうしてこそ真に
我が国自身の平和と安全をより確実なものにし、さらにそれに
世界の平和に真に貢献することができるのであります。
さらに、
我が国の将来を誤らせると言われますが、
世界の平和を求める潮流は、一体今日どのように流れているのでありましょうか。それは、
国連が
世界の普遍的な大義を体現し、平和の創造と
維持にますます大きな役割を果たす。これが
世界の大きな
歴史の潮流の流れていくところであります。
国連の
平和維持活動は、まさにこのような
国連の平和
維持の役割の最重要なものなのであります。
しかも、それはあくまでも暴力と
武力、殺傷力と
武力の
威嚇を全く使わずに平和
維持しようとするものであります。かくして、この
原則にのっとってきたからこそ、これまで幾多の成果を確実に上げてまいりました。これが
世界の安全保障のシステムに一つの新しい展開をもたらしたものであります。これは、まさに人類が悲惨な
戦争の惨禍に学んだ結果であり、
戦争の惨禍を深く深く知るからこそ、人類社会はこの平和的手段、非暴力的手段で平和を何とか確保しようとしているのであります。
この
法案は、ほかでもない、こういう
世界の大きな国際協調主義の流れに依拠しようとするものであります。平和を平和的な手段で築き上げ、
維持していこうという
歴史の大きな流れに依拠しようとするものであります。過去四十三年間、ほうはいとして続けられてきたこの大きな国際
協力と国際協調主義の流れの中で、当然
我が国は我々の義務を果たさんとするものであります。
PKOに
参加すれば、
自衛隊が
海外に派兵されて
武力を
行使するなどという社会党、共産党の言い分は、この国際協調に目をつぶり、現に
世界じゅうが知っている
歴史の事実を全面的に歪曲するものであります。(
拍手)四十三年間の
PKOの
歴史の中で、コンゴでの不幸な一点を除き、どこで
PKO参加部隊が
武力を
行使したのでありましょうか。
PKOが軍事
行動をしたという新聞の報道はどこにあったのでありましょうか。どこに
海外派兵だとか軍事
協力だとか軍事
行動等の現実があるのでありましょうか。
去る十四日の新聞各紙に「
お答えください、宮沢
総理。」という大きな社会党の広告が載っておりました。その中に、あなたは
自衛隊を初めて戦場に送った
総理として、
歴史に名を残すのですか、というくだりがあります。きょう、ここに残念ながらおられませんが、私は田邊
委員長に申し上げたいのです。
PKOが
活動する地域、すなわち停戦が合意された地域を、社会党では戦場と言うのですか。
世界のどの国たりとも、そんな曲解をしていません。だれ一人として、これが戦場だというようなことは言っていないのであります。この田邊
委員長の
発言は、
PKO活動に対する歪曲もしくは誤解を
国民の前に堂々と明らかにしたということで、あなたが
歴史上に名を残すつもりですかと私は申し上げたいのであります。(
拍手)
国際社会の圧倒的大多数の
国々が堂々と平和のために
行動しているその
行動を軍事
行動だと決めつけることによって、これらの
国々から勇気と犠牲的精神でもって平和
活動に
参加している
世界の青年らの誠意と献身に、冷笑と嘲笑を浴びせかけているのは一体なぜでありましょうか。(
拍手)
これが一体、平和を希求し、博愛と隣人愛を事とする、
反対する政党の本質でありましょうか。もしそうでないとしたら、わずかばかりの国際的な共同
行動すらも、危険だからやりたくない、危険は他人にやらせて、自分は平和の恩恵だけはぬくぬくと手に入れよう、そういう精神のあらわれでなくて一体何でありましょうか。一体、このような態度で、どうして
我が国が国際社会において名誉ある地位を占めることができるのでありましょうか。(
拍手)
私は、たまたまこの
法案の作成の過程にかかわってまいりました。時あたかも、
世界情勢の構造的変革の時期に当たり、各政党は、この
法律案についての議論を通じ、この
世界の変革にどう対応するべきかという困難で深刻な問題に直面し、それぞれがきちっとした答えを出す責務を負ったのであります。そして、我々は、二年間余りにわたって、
国会内外に真剣な、そして十分な議論をしてまいりました。
残念なことに、
反対する政党においては、この変革の時期にあって、何ら新しい全体的展望と構想を打ち出し得なかったのであります。
世界の変革のときには、みずからもまた変革を図らねばなりません。単に過去にとらわれて、改革をやり遂げなければ、退廃につながると思うのであります。社会党の対案は、何ら
歴史的な展望にこたえようとするものではないのみならず、
世界の今日的現実にも全く適合しないものでありました。すなわち、その
理由は、
自衛隊を
違憲の存在として認めないという限界に由来しているものだと私は思います。(
拍手)
一方、我が党及び
公明党、
民社党の三党は、まずこの
世界の変革を踏まえて、
世界の平和に真に貢献するという
原則で意見の一致を見た上で、
憲法の精神とその枠の中で、具体的にどうすべきかについて、実に真剣な検討を行ったのであります。(
拍手)
それが三党合意の基本なのであります。もともとの三党合意は、
自衛隊とは
別個の
組織をつくるはずではなかったかと言われますが、その当時の三党合意ですら、社会党は
反対されたではありませんか。私は、現に社会党への
説明を試み、御賛同を得ようとしましたが、私の
説明を聴取することすら積極的ではありませんでした。
これが紛れもない過去の経緯であり、これが社会党が三党合意に対して示された態度であります。