○菅野悦子君 私は、日本共産党を代表し、ただいま
趣旨説明のありました
議院運営委員長中西啓介君
解任決議案について、
提案者に対し質問をいたします。
第一に、
中西啓介君
解任決議案の
趣旨弁明で指摘されている点、
中西君が、
参議院から
送付されてきた国連平和維持活動
協力法案、いわゆるPKO
法案について、本院での
趣旨説明、
質疑の
要求を踏みにじって、PKO
特別委員会への
付託を強行した問題です。
言うまでもなく、本
法案は、憲法の平和原則をじゅうりんし、戦後日本の進路を根本的に変えてしまおうというものです。しかも、重大なことは、
参議院における自民、公明、民社三党の
修正が、新たな憲法上重大な
内容を加えたということです。その一つは、自公民三党
修正で「平和維持隊に参加」という規定が盛り込まれていることです。平和維持隊、いわゆるPKFは、
国会の政府
答弁でも、国連において明確な定義がないことを認めています。なのに、その国際活動の規定を突如盛り込んだのです。さらに、「参加」という問題です。従来の政府統一見解では、「参加」とは、国連の指揮下に入り、その一員として活動するということであり、
政府原案の
協力法の体系とは異質のものであります。
さらに、自公民三党
修正の事前承認についても、七日以内に議決するよう努めるという規定が盛り込まれています。これは
国会の審議権を不当に
制限するものであります。
こうした重大な
修正が加えられて、
参議院より
送付されてきた本
法案は、文字どおり重要な新しい
法案として、一から本格的に審議するのは、言論の府、
国会の当然の
責任であります。(
拍手)日本共産党は、この立場から、本格審議の出発点として、本
会議趣旨説明、
質疑を
要求したのであります。
ところが、我が党のこの
要求に対し、自公民三党は、前例がないの一点張りで反対しました。前例がないのは、むしろ自公民三党
修正による本
法案自体であり、こんなことで、すべての代議士の前で
法案の
説明、
質疑を行う権利を踏みつぶすことなど、断じて容認できません。(
拍手)
しかるに、
中西啓介君は、自公民三党の言い分に同調して、
理事会で合意のないまま、しかも、
委員会開催の通知すらせずに、抜き打ち的に
議院運営委員会を開会し、この本
会議趣旨説明、
質疑の
要求を踏みにじって、PKO
特別委員会への
付託の強行を行ったのであります。このように、手続も、各党合意という
運営の民主的ルールも全く無視した
中西啓介君の態度は、本来、公正、中立な
運営を使命とする
議院運営委員長の任にふさわしくないと思いますが、いかがでしょうか、御見解を求めます。(
拍手)
第二に、昨日のPKO
特別委員会での特別
委員長による強行的審議打ち切りと不当な採決を、
中西議院運営委員長が追認して、本日の本
会議開催を決定したことについてであります。
昨日のPKO
特別委員会で、林特別
委員長は、一方的に
質疑終局の採決を強行し、多くの
委員の
質疑続行の
要求を無視して、PKO
法案の採決を強行しました。自公民三党は、
質疑は十分行われたと言っていますが、これは全くの偽りであります。
委員会付託を強行して、審議したのはわずか二日、時間にして十二時間にすぎないではありませんか。しかも、再
修正の
提案者である自公民三党が相当な時間を消費したのであり、全く審議は尽くされておりません。
また、採決強行の一時間前に、宮澤首相自身が日本共産党の東中
議員の質問に答えて、国連で検討されているPKO
特別委員会報告に関する資料の
委員会への
提出を約束いたしました。この国連資料は、審議の対象となっているPKO自体の性格や
内容が大きく変化しつつあることを示すものであり、この資料の検討を抜きにしてPKO
法案の採決を行うことは許されません。資料の
提出を待ってさらに審議を行うことが当然必要であったと考えます。(
拍手)この点について、
提案者の見解を伺います。
さらに、我が党
委員は、国連
特別委員会に日本代表として出席した角茂樹氏の参考人招致を
要求しましたが、林
委員長は、この点についても、お預かりすると明言しました。国連
特別委員会の報告書によれば、日本代表は、国連が予防的措置を強化するよう主張したとされており、これは、PKOを一層危険な方向に変質させることを積極的に後押しするものであり、極めて重大です。日本代表を参考人として招致することは、PKO
法案の審議に不可欠なことであります。
このように、首相の約束した資料の
提出もされず、参考人招致についての
理事会での検討もされていない状況のもとで、さらに、質問を希望する
委員が多数存在しているにもかかわらず、
理事会の合意もなく、
委員長が一方的に
質疑を打ち切って採決を強行するなどということは、議会制民主主義を踏みにじる暴挙であると言わなければなりません。(
拍手)
以上のように、PKO
特別委員会での審議が全く不十分であり、審議終了などと言えるものではないことは明白であり、この
法案を本
会議に上程することは断じて許されません。
委員会に差し戻して、さらに審議を行うのが当然であると考えます。
しかるに、
中西啓介君は、不当な採決を追認し、本
法案の本
会議上程をも強行的に決めたのであります。
事は、
議員の審議権を、問答無用として奪い去ったPKO特別
委員長の行為を追認するのかどうかという大問題であり、
中西君の態度は、当然弾劾さるべきと思いますが、いかがでしょうか。
第三に、昨日の
特別委員会の強行採決の核心は、自公民三党の幹事長、書記長が決めたシナリオが
委員会に押しつけられ、その外圧に屈してシナリオどおりの演出がやられたという問題についてであります。
自公民三党は、
委員会審議が始まった十日、幹事長・書記長会談を開き、もう審議を尽くしたからと言って、十一日にPKO
特別委員会の
質疑打ち切り、採決強行の段取りを決めました。問題は、その合意された自公民のシナリオに沿った
運営を、事もあろうに、
国会の正規の機関であるPKO
特別委員会に押しつけたことであります。昨日の事態は、そのことを事実をもって裏づけています。
しかも、自公民三党の会談では、十一日の審議は二時間でいい、もしくは譲っても四時間だとか、それをPKO
特別委員会の
自民党の理事が譲って六時間にしたのはけしからぬなどということまで話し合われているのであります。これは、その会談に参加した
政党の機関紙が報じているところなんです。
こんなことは前代未聞のことではありませんか。
委員会の審議がどこまで進んだかの判断は
委員会自体がやるべきでして、三党の幹事長、書記長が勝手に結論を出してシナリオを押しつけるというのは、
国会にとってはまさに外圧であります。これは、
国会の自殺行為にほかなりません。こんなことを許せば、議会を三党で支配することになり、議会制民主主義からいって絶対許すことはできないのであります。
提案者の御見解をお伺いして、質問を終わります。(
拍手)
〔
阿部未
喜男君登壇〕