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1992-01-24 第123回国会 衆議院 本会議 第1号
公式Web版
会議録情報
0
平成
四年一月二十四日(金曜日) ――
―――――――――――
議事日程
第一号
平成
四年一月二十四日 午前十時
開議
第一
議席
の
指定
………………………………… 一
国務大臣
の
演説
――
―――――――――――
○本日の
会議
に付した案件
日程
第一
議席
の
指定
災害対策
を樹立するた
め委員
四十人よりなる特 別
委員会
、
公職選挙法改正
に関する
調査
を行 うた
め委員
二十五人よりなる
特別委員会
、石 炭に関する
対策
を樹立するた
め委員
二十五人 よりなる
特別委員会
、
物価問題等
に関する対 策を樹立するた
め委員
二十五人よりなる
特別
委員会
、交通安全に関する
総合対策樹立
のだ
め委員
二十五人よりなる
特別委員会
、
沖縄及
び北方問題に関する
対策樹立
のた
め委員
二十 五人よりなる
特別委員会
及び土地問題及び国 土の
利用
に関する
対策
を樹立するた
め委員
四 十人よりなる
土地問題等
に関する
特別委員会
を
設置
するの件(
議長発議
)
国会等
の
移転
に関する
調査
を行うた
め委員
二十 五人よりなる
国会等
の
移転
に関する
特別委員
会及び
国際平和協力
及び
国際緊急援助活動
に 関する
対策
を樹立するた
め委員
五十人よりな る
国際平和協力等
に関する
特別委員会
を
設置
するの件(
議長発議
)
宮澤内閣総理大臣
の
施政方針
に関する
演説
渡辺外務大臣
の
外交
に関する
演説
羽田大蔵大臣
の
財政
に関する
演説
野田国務大臣
の
経済
に関する
演説
午後零時二分
開議
櫻内義雄
1
○
議長
(
櫻内義雄
君)
諸君
、第百二十三回
国会
は本日をもって召集されました。 これより
会議
を開きます。 ――
――◇―――――
日程
第一
議席
の
指定
櫻内義雄
2
○
議長
(
櫻内義雄
君)
衆議院規則
第十四条によりまして、
諸君
の
議席
は、
議長
において、ただいまの仮
議席
のとおりに
指定
いたします。 ――
――◇―――――
特別委員会設置
の件
櫻内義雄
3
○
議長
(
櫻内義雄
君)
特別委員会
の
設置
につきお諮りいたします。
災害対策
を樹立するた
め委員
四十人よりなる
特別委員会
公職選挙法改正
に関する
調査
を行うた
め委員
二十五人よりなる
特別委員会
石炭に関する
対策
を樹立するた
め委員
二十五人よりなる
特別委員会
物価問題等
に関する
対策
を樹立するた
め委員
二十五人よりなる
特別委員会
交通安全に関する
総合対策樹立
のた
め委員
二十五人よりなる
特別委員会
沖縄及
び北方問題に関する
対策樹立
のた
め委員
二十五人よりなる
特別委員会
及び 土地問題及び
国土
の
利用
に関する
対策
を樹立するた
め委員
四十人よりなる
土地問題等
に関する
特別委員会
を
設置
いたしたいと存じます。これに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
櫻内義雄
4
○
議長
(
櫻内義雄
君) 御
異議
なしと認めます。よって、そのとおり決しました。 次に、
国会等
の
移転
に関する
調査
を行うた
め委員
二十五人よりなる
国会等
の
移転
に関する
特別委員会
及び
国際平和協力
及び
国際緊急援助活動
に関する
対策
を樹立するた
め委員
五十人よりなる
国際平和協力等
に関する
特別委員会
を
設置
いたしたいと存じます。これに
賛成
の
諸君
の
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
櫻内義雄
5
○
議長
(
櫻内義雄
君)
起立
多数。よって、そのとおり決しました。 ただいま議決されました九
特別委員会
の
委員
は追って指名いたします。 ――
――◇―――――
櫻内義雄
6
○
議長
(
櫻内義雄
君) この際、暫時
休憩
いたします。 午後零時五分
休憩
――
――◇―――――
午後二時二分
開議
櫻内義雄
7
○
議長
(
櫻内義雄
君)
休憩
前に引き続き
会議
を開きます。 ――
――◇―――――
国務大臣
の
演説
櫻内義雄
8
○
議長
(
櫻内義雄
君)
内閣総理大臣
から
施政方針
に関する
演説
、
外務大臣
から
外交
に関する
演説
、
大蔵大臣
から
財政
に関する
演説
、
野田国務大臣
から
経済
に関する
演説
のため、発言を求められております。順次これを許します。
内閣総理大臣宮澤喜一
君。 〔
内閣総理大臣宮澤喜一
君登壇〕
宮澤喜一
9
○
内閣総理大臣
(
宮澤喜一
君)
平成
四年を迎えた
我が国
は、激動する
国際情勢
に適切に対応する必要に迫られ、また処理すべき
内政
の
課題
も山積しております。 このような年の
幕あけ
に当たり、私は、
ブッシュ大統領
を
我が国
に迎え、また、初の
外遊先
である
韓国
で
盧泰愚大統領
と会談いたしました。
米国
とは、同国が今後も
世界
の
秩序構築
のリーダーとしてその
役割
を果たしていくことが必要であり、
我が国
もそれに全面的に
協力
し
共同
の
責任
を担っていくことで合意をいたしました。
韓国
においては、「
アジア
の中、
世界
の中の
日韓関係
」という視点から、
アジア
・
太平洋
の、ひいては
世界
の諸
問題解決
のために、ともに
協力
していくことで一致いたしました。 私は、両
大統領
との
話し合い
を通じて、これらの
指導者
と
国民
がいかに
世界
平和を切望しているかを確認すると同時に、
我が国
への強い期待と担うべき重責に思いをいたし、改めて、身を引き締めて国政に臨む
決意
を新たにしたところであります。 このように、
内外とも
に極めて重要なときに当たり、かつて
国務大臣
の職にあった
同僚議員
が
収賄容疑
で逮捕されたことは、まことに遺憾なことであります。この事件は、
目下司直
の手によって究明が進められておりますが、このようなことが生じたことについて、
国民
の皆様に対し、深くおわびいたします。 将来に向けて対処しなければならない問題を多く抱えている今日、
政治
がこのような事態によって停滞することのないよう、
政治倫理
の
確立
を期するとともに、
政治改革
の
実現
に全力を挙げて取り組む決心であります。何とぞ各党各会派、そして
国民
の皆様の御
理解
と御
協力
を心からお願い申し上げます。(
拍手
)
歴史
は今、第二次
世界大戦
後の
世界
の構図を大きく塗りかえようとしております。
世界
を二分してきた
冷戦構造
に終止符が打たれ、
ソ連邦
が解体し、
朝鮮半島
の
南北対立
も緩和の
方向
に急速に
動き
出しております。
欧州
では統合への
歴史的作業
が着々と進められ、
中東
や
カンボジア
では和平への
動き
が現実のものとなっています。 その一方で、イデオロギーの対立と核による対峙を背景とした
秩序
が崩壊した後、かえって
民族紛争
や
核拡散
への懸念が高まっているように、
世界
は、不
確実化
、
不安定化
の様相も強めております。また、
地球環境
の悪化を初め、難民や麻薬、
人口
やテロの問題など、
人類
が
共同
で取り組まなければならない深刻な
課題
も増大しております。 このように来るべき
秩序
の姿はいまだ明確ではありませんが、大きな
流れ
として
世界
は、平和を求める
人類
の願いがかなう
方向
に進みつつあることは間違いありません。さきの
所信表明演説
で私が、
冷戦
後の
時代
を「新しい
世界
平和の
秩序
を
構築
する
時代
の始まり」ととらえたのも、まさにこのような
認識
に基づくものであります。我々は、このような
流れ
を確実なものとし、
人類
の幸福と
繁栄
、そして地球の将来をかけて、新しい
時代
にふさわしい
世界
の
平和秩序
をつくり出すことに成功しなければなりません。
各国
がそれぞれその国情と国力に相応した
責任
を引き受けながら、手を携えてこの問題に取り組むことが必要な
時代
が到来したのであります。 その中で
我が国
が、大きな
経済力
とこれを背景とする
影響力
に見合って、どのような
責任
と
役割
を果たすかに
国際社会
の注目が集まっております。そしてことし、
平成
四年こそは、
我が国
がこの点で真価を問われる年であります。英知を結集して、積極的、主体的、創造的に、新しい
平和秩序
の
構築
に参画し、この光栄ある
時代的使命
を全うしていかなければなりません。 新しい
世界
平和の
秩序づくり
を進めるに当たって、
世界
の
人々
とともに追求すべき目標として、私は、平和と自由と
繁栄
を挙げたいと思います。このような目標が一体的なものとして追求されてこそ、個人の尊厳が保たれ、真の
人間的価値
が保障されるのだと思います。私は、このような
考え
方に立って、
我が国
の担うべき
責任
と
役割
を、外に対しては、
国際貢献
、内にあっては、
生活大国
の
実現
を通じて果たしていく
決意
であります。 平和は、新しい
国際秩序
の
基本
であります。
冷戦
後の
国際社会
において、
国連
の果たすべき
役割
はますます大きくなっております。
国連中心外交
を展開してきた
我が国
としては、
国連
の
行財政改革
や
紛争予防制度
の
確立
などを通じて、その
活性化
を図るとともに、
安保理
の非
常任理事国
という立場からさまざまな
地域
問題などに
政治的役割
を果たし、
国際社会
からの期待にこたえてまいります。この意味からも、今月末の
安保理首脳会議
には、
国会
のお許しを得て私自身が出席し、
理事国首脳
と直接話し合ってまいりたいと思います。(
拍手
)また、
国連平和維持活動
などに対して十分な
人的貢献
を行う見地から、いわゆる
PKO法案
を、
国際緊急援助隊法
の
改正案
とともに、今
国会
においてできるだけ速やかに成立させていただくようお願いを申し上げます。(
拍手
) 平和を担保する
軍備管理
・軍縮の
動き
は大きく進みましたが、
ソ連邦
の解体に伴う核管理問題や
核拡散
への懸念が生じております。核の
究極的廃絶
を願う
我が国
としては、
関係各国
と
協力
して、核軍縮のための
国際的努力
の
促進
や
化学兵器禁止条約
の本年中の妥結に積極的に取り組み、さらに、核、生物・
化学兵器
やミサイルの
拡散防止
の徹底を図ってまいります。また、昨年、
我が国
などの提案で創設された
通常兵器
の
国連登録制度
は、
通常兵器
の
国際移転
の
透明性
の増大と
自主規制
の
強化
を図る上で画期的なものであり、
我が国
としては、その
効果的運用
に努めてまいります。
日米安保体制
は、
アジア
・
太平洋地域
の平和と
繁栄
に不可欠の枠組みであり、
我が国
としては、今後ともこの体制を堅持してまいります。 また、
平和憲法
の
もと
、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような
軍事大国
にならないという
基本理念
に従い、
文民統制
を確保し、非核三原則を守りつつ、引き続き節度ある
防衛力
の
整備
に努めます。現行の
中期防衛力整備計画
は一昨年末に策定されましたが、その後の
国際情勢
は
ソ連邦
の解体に見られるように激動しつつあります。
政府
としては、このような大きな情勢の変化などを見きわめつつ、
中期防
の修正について前広に所要の検討を行ってまいります。 真の平和とは、単に戦禍がないというにとどまらず、
人々
に幸福を保障するものでなければなりません。したがって、私の言う新しい
世界平和秩序
が目指すところは、自由と
民主主義
が尊重され、
市場経済
の原理に基づく
繁栄
が享受される
国際社会
の
構築
であります。 この意味で、旧
ソ連邦
、
東欧諸国
、さらに多くの
開発途上国
がこの
方向
に沿った
改革
を進めることは、これらの
価値
が
国際社会
の中でより広く受け入れられ、新しい
国際秩序
の基礎となるために極めて重要でございます。
我が国
としても、その
支援
に適切な
役割
を果たしていく
考え
であります。
経済協力
の実施に当たっても、このような観点に配慮してまいります。また、
我が国
がかつて
先進諸国
から学び、あるいは
努力
して蓄積してきた
経済
などに関するノウハウの提供など
知的支援
の展開に努めます。
繁栄
の原動力である
世界経済
は、依然として多くの問題を抱えております。
世界
の
繁栄
の恩恵を最も多く享受してきた
我が国
としては、持てる
経済力
、
技術力
などを積極的に活用し、また、
我が国
の
経済
を
世界経済
と一層調和のとれた構造に転換し、
世界
の
繁栄
と発展に貢献していく
考え
であります。 このため、
経常収支
の動向などを注視しつつ、一層の
輸入拡大
を図るとともに、
外資系企業
や
外国製品
の
我が国市場
への参入を
促進
するなど、幅広い投資、
産業分野
の
国際交流
に努め、調和ある
対外経済関係
の
形成
に努めます。
ウルグアイ・ラウンド交渉
を、早期に、かつ成功裏に終結させることは、多角的な
自由貿易体制
の
維持強化
、さらには
世界
の
繁栄
のために重要な
課題
です。昨年末には
ダンケル提案
も出され、
交渉
は
最終段階
を迎えております。
我が国
としては、他の
主要国
とともに、引き続き
交渉
の成功に向け
努力
する
決意
であります。なお、農業については、
各国
ともそれぞれ困難な問題を抱えておりますが、
我が国
の米についてはこれまでの
基本的方針
の
もと
、相互の
協力
による
解決
に向けて最大限の
努力
を傾注してまいります。 また、我々は、
世界
平和への
流れ
を将来にわたって確実なものとし、その結果生ずる「平和の配当」を、全
人類
、とりわけ、飢餓や貧困、疾病などに悩む「南」の国の
人々
に振り向けていかなければなりません。
我が国
としても、
政府開発援助
の拡充などにより
開発途上国
の
自助努力
を
支援
し、
南北格差
の是正に努めてまいります。 さらに、我々は、
地球環境
、難民や麻薬、
人口
やテロの問題など、
人類共通
の
課題
に真剣に取り組んでいかなければなりません。
我が国
としては、技術や経験の蓄積を生かしつつ、
国連
などの
国際機関
の場において積極的な
役割
を果たしてまいります。 特に、
地球環境
の悪化は
人類
の
生存基盤
を脅かしています。有限な
環境
と資源の中で、持続可能な
開発
を目指す
経済社会
を
形成
していかなければなりません。このため、六月に予定されている
国連環境開発会議
、いわゆる
地球サミット
の成功に向け、
我が国
としても、
各国
と協調しつつ率先して
努力
してまいります。 また、
相互理解促進
のための文化の交流や教育問題、宇宙や
地球そのもの
についての
科学技術
の振興や
国際協力
についても積極的に取り組んでまいります。
日米関係
は、
我が国外交
の基軸であります。日本の戦後の
繁栄
は、
米国
からの善意に満ちた
支援
なしには
実現
できなかったと言っても過言ではありません。また
米国
は、戦後
世界
の平和を支えるため、多くの犠牲を払ってきました。その
米国
は今、少なからぬ困難に直面しており、
我が国
としては、その
苦境克服
の
努力
にできる限り
協力
すべきであります。そして、
両国
が力を合わせ、
世界平和秩序
の
構築
に向けて、地球的な規模の
責任
を
共同
で果たしていくこと、私は、それこそが真の
両国
間のグローバルパートナーシップだと
考え
ます。(
拍手
) このような
認識
に立って、私は、先般、
ブッシュ大統領
と会談し、その成果を
東京宣言
や
行動計画
として発表いたしました。
我が国
と
米国
は、
共通
の
価値観
を基盤として、
日米安保体制
の
もと
、緊密な
相互依存関係
を発展させてきております。このような堅固な
関係
の上に立って、
世界
の平和と
繁栄
のための
協力
と、
地球環境
を初め幅広い
分野
の
人類共通課題
への
共同取り組み
について合意することができました。二
国間関係
についても、
経済
問題を初め、双方の
努力
を通じ、
友好協力関係
を深めていく
考え
であります。
もと
より、こうした
協力関係
を維持発展させていくためには、
両国
の
相互理解
をさらに進めることが重要であることは言うまでもありません。
アジア
・
太平洋地域
の平和と
繁栄
を図るには、この
地域
の持つ
多様性
や活力ある
経済
を十分に生かすことが大切であります。
我が国
は、
域内諸国
との緊密な
協力
の
もと
、
ASEAN拡大外相会議
や
アジア
・
太平洋経済協力閣僚会議
などの
国際協力
の場を通じて、
経済
、
政治
の両面で積極的な
役割
を担ってまいります。
我が国
が、このような
役割
を果たすに当たり、留意すべきことは過去の
歴史認識
の問題であります。
アジア
・
太平洋地域
の
人々
は、過去の一時期、
我が国
の行為により耐えがたい苦しみと悲しみを体験されました。私は、ここに改めて深い反省と遺憾の意を表します。我々は、過去の事実を直視し、
歴史
を正しく伝え、二度とこのような過ちは繰り返さないという戒めの心をさらに培って、
国際社会
の一員としての責務を果たしていかなければなりません。
朝鮮半島
では、
非核化
に向け大きな前進が見られるなど
緊張緩和
に向かう新たな
動き
が生じています。
我が国
の
朝鮮半島政策
の
基本
は、
日韓友好協力関係
の
強化
にあります。今般の私の
韓国訪問
では、二十一世紀に向けた未来志向的な
協力関係
を具体化していくため、
両国国民
の深い
相互理解
と幅広い交流の
促進
を図り、
経済
問題も率直な
話し合い
によって協調を旨とする
解決
を図っていくことで
認識
が一致いたしました。北朝鮮とは、
関係諸国
と緊密な連携をとりつつ、
朝鮮半島
の平和と安定に資する形で、引き続き
国交正常化交渉
に臨んでまいります。
カンボジア
では、
国際社会
の
共同作業
により、和平と復興のための画期的な試みが行われております。
我が国
としても、インドシナ全体の平和と
繁栄
への
協力
を行い、特に、
カンボジア
の復興については、そのための
国際会議
を今年
我が国
で開催したいと
考え
ております。また、今年で
国交正常化
二十周年を迎える中国については、
政治
、
経済両面
にわたる
改革
・
開放政策
への
支援
を行うとともに、間断のない対話を通じ、同国の
国際社会
との一層の協調を促していきたいと
考え
ます。さらに、
ASEAN
、
南西アジア
、大洋州諸国との一層の
関係強化
などを進めてまいります。
冷戦
後の
国際秩序
を
考え
る場合、その帰趨に重大な影響を及ぼすのが旧
ソ連邦諸国
の動向であります。
我が国
としては、これら
各国
が、
内政
、
外交両面
にわたる
改革路線
を推し進めるとともに、条約その他の
国際約束
に基づく義務の誠実な遵守、核兵器の一元的かつ厳格な管理、旧
ソ連邦
の債務の承継などを確保するよう期待いたします。このような正しい
方向
に沿った
改革努力
に対しては、
国際社会
とも
協力
して適切な
支援
を実施してまいります。
我が国
は、
独立国家共同体
の
参加各国
との新しい
関係
を発展させていきたいと
考え
ております。特に、
我が国
の隣国である
ロシア連邦
との
関係
については、法と正義に立脚して、北方領土問題の
解決
と
平和条約
の締結が一日も早く
実現
し、
日ロ関係
が抜本的に改善されることを強く期待いたします。
欧州諸国
は、
米国
と同様、
共通
の
価値
を分かち合う重要な友人であります。本年は、ECにおいて
市場統合
が完成し、その後の
政治
、
経済
・
通貨統合
の拡大のための基礎となるべき
歴史
的な年であります。
我が国
は、昨年七月、このように
欧州
の中核としての
役割
を高めているECと、日・
EC共同宣言
を発表いたしました。私は、その趣旨を踏まえ、双方の間の包括的な
協力関係
を
促進
していく
考え
であります。
中東地域
では、アラブ・イスラエル間の
中東
和平問題の
解決
に向けて新たな展開が見られ始めています。
我が国
としても、近く開催される
地域
の諸
問題解決
に向けた
多国間会議
などを通じて、
湾岸危機
後の
中東
の真の安定のための
国際努力
に参画し、これを
支援
してまいります。 二十一世紀には、
我が国
も本格的な
高齢化社会
を迎えます。世の中に余力があるうちにできるだけ
社会
の基盤を強めていくことが、今を生きる我々の責務であると
考え
ます。また、
生産者中心
の視点から
消費者
や
生活者
を重視し、
効率優先
から公正にも
十分配慮
した
社会
への転換を図らなければなりません。 これらの
課題
にこたえるため、私は、
内政
の最
重要課題
として、「
生活大国
への前進」を掲げたいと思います。
国民
一人一人が豊かさとゆとりを日々の
生活
の中で実感でき、多様な
価値観
を
実現
できる、
努力
すれば報われる公正な
社会
、私は、こういう
社会
をはぐくむ国家を
生活大国
と呼び、その
実現
を目指してまいります。(
拍手
) 私の描く
生活大国
とは、 第一に、
住宅
や
生活関連
を中心とする
社会資本
の
整備
により、
環境保全
も図られ、快適で安全な質の高い
生活環境
をはぐくむ
社会
であります。 第二に、労働時間や通勤時間の短縮により、個人が
自己実現
を図るため、自由時間、余暇時間を十分活用することのできる
社会
であります。 第三に、
高齢者
や
障害者
が、
就業機会
の
整備
などを通じ
社会参加
が適切に保障され、生きがいを持って安心して暮らせる
社会
であります。 第四に、
女性
が、男性とともに
社会
でも家庭でも
自己実現
を図ることのできる
社会
であります。今や
女性
の
社会進出
は当然のことでありますが、その能力と経験を生かすことのできる条件を一層
整備
していく必要があります。 第五に、国土の均衡ある発展が図られ、中央も地方も、ゆとりある
生活空間
や高度な交通、
情報サービス
などを享受できる
社会
であります。 第六に、
創造性
、
国際性
を重んじる教育が普及し、
国民
が芸術、スポーツに親しみ、豊かな個性や香り高い文化が花開く
社会
であります。 私は、このように、
国民生活
の隅々に至るまで、活力と潤いに満ちた
社会
を建設していきたいと
考え
ます。なお、この
生活大国
の
実現
などに向けて、先般、新しい
経済
五カ年
計画
の策定を
経済審議会
に諮問いたしました。夏ごろをめどに一つの
方向
を得たいと
考え
ております。
国民
が快適な暮らしを営むために、
下水道
、
環境衛生
、
都市公園
などの
社会資本
を
計画
的に
整備
することが重要になっております。このため、昨年、
公共投資基本計画
を踏まえて策定した
住宅
、
下水道
など八
分野
の五カ年
計画
では、直接的に
国民生活
の質の向上に結びつくように
十分配慮
をいたしました。
平成
四年度予算においても
生活関連分野
の
社会資本
の充実に重点を置いているところであります。 また、きれいな空気と水と緑に囲まれた美しい
生活環境づくり
や、
廃棄物
の減量、再生、
自然還元
などのシステムの
確立
に取り組み、
環境保全型社会
の
形成
に努めてまいります。 豊かな
住宅水準
を確保するためにも、
社会
の公正さを保つためにも、
土地神話
を打破し、二度と
地価高騰
を生じさせないことが必要であります。
監視区域
の運用の
強化
、
土地税制
の
総合的見直し
、
土地関連融資
の
総量規制
などの
対策
により、既に東京や大阪などにおいては地価の
鎮静化
の兆しか見えてきておりますが、
政府
としては、
土地基本法
の理念を踏まえ、引き続き、
総合土地政策推進要綱
に基づき、
需給両面
にわたる構造的かつ総合的な
土地対策
を講じてまいります。また、特に、
大都市地域
における
住宅
・宅地の供給に努め、良質な
住宅ストック
や良好な住
環境
の
形成
を図ってまいります。 なお、
総量規制
は今年から解除いたしましたが、今後とも、
金融機関
に対して、
投機的土地取引
などに係る融資は厳に排除するよう指導するとともに、
地価高騰
のおそれが生じた場合には
総量規制
を臨機に発動することにいたしております。 労働時間の短縮や快適な
職場づくり
は、ゆとりある
勤労者生活
の
実現
のため、ぜひとも達成しなければならない
国民的課題
であります。労使の
自主的努力
を一層
支援
するための仕組みを
整備
することなどにより、
完全週休
二日制の
普及促進
、
所定外労働
時間の削減などを推進してまいります。なお、
国家公務員
の
完全週休
二日制については、
平成
四年度のできるだけ早い時点での実施が可能となりますよう、所要の
法律案
を今
国会
に提出することといたしております。
我が国
の
人口
は今後急速に
高齢化
に向かい、三十年後には
国民
の四人に一人が
高齢者
という本格的な
高齢化社会
となることが予測されます。「少しのことにも、先達はあらまほしき事なり。」と申しますが、
高齢者
の豊富な
人生経験
や知識は、我々の
社会
にとって貴重な財産であります。私は、
高齢者
の方々がこれを
社会
で生かしつつ、生き生きと安心してその人生を送ることができるような
社会
をつくりたいと
考え
ます。このため、雇用・
就業環境
の
整備
などにより
社会参加
を
促進
するとともに、揺るぎない
年金制度
を
確立
し、また、適時に適切な保健、医療、介護が安心して受けられるような
社会
の
実現
に向けて真剣に
努力
してまいります。特に、今後一層困難になると見込まれる
看護職員
、
福祉施設職員
、ホームヘルパーなどの確保は重要な
課題
であり、その
勤務条件
の改善、養成の
強化
などに総合的な
対策
を講じてまいります。 次代を担う
子供たち
を取り巻く
環境
も、
出生率
の低下や
女性
の
社会進出
などにより大きな変化が生じております。引き続き、
子供たち
が健やかに生まれ育つための
環境づくり
に取り組んでまいります。 本年は、「
国連障害者
の十年」の
最終年
に当たります。障害を持つ
人々
が家庭や
地域
で安心して暮らすことができるよう、
完全参加
と平等の理念に沿ってきめ細かな施策を講じてまいります。 また、
女性
が男性とともに、あらゆる
分野
で平等に活躍できる
社会
の
実現
を目指して、「西暦二〇〇〇年に向けての新
国内行動計画
」に基づき、
女性
の
地位向上
のための施策を鋭意推進してまいります。 東京一極集中を是正し、多
極分散
型の均衡ある国土の発展を図るため、国の行政機関などの
移転
や首都機能
移転
問題の検討に加え、都市・産業機能の地方分散を進め、特に、来年度からは、地方の自立的成長を牽引し、地方定住の核となるべき地方拠点都市
地域
の
整備
や産業の業務施設の再配置を
促進
してまいります。また、基幹的な高速交通網の
整備
など快適な交通体系の
構築
、
生活
や
地域
に密着した高度な情報・通信網の
整備
、高規格幹線道路を初めとする道路網の体系的
整備
などを行い、人、物、情報の
流れ
が全国的に及ぶ、いわば国土のネットワークの
形成
に努めてまいります。 また、地方の創意工夫に基づく
地域
づくりを図るため、国から地方への権限委譲を図るとともに、ふるさと創生を契機として高まってきた自主的、主体的な
動き
をさらに
支援
し、住民が誇りと愛着を持ち得る
地域
づくりを推進いたします。北海道の総合
開発
と復帰二十周年を迎える沖縄の振興
開発
に、引き続き積極的に取り組んでまいります。 農林水産業は、
国民生活
に一日も欠かせない食糧の安定供給という重要な使命を担っています。また、国土の広範な部分を占め、
国民
のふるさとの地である農山漁村は、緑豊かな自然と伝統文化に裏づけられた、ゆとりある
生活
・余暇空間を提供するなどの機能もあわせ有しております。 こうした使命、機能を持つ
我が国
の農業、農村が今、担い手不足、
高齢化
、国際化などの進行により大きな節目を迎えています。私は、このような事態に対応して、農業を営む方々が、生産活動を
活性化
し、魅力と誇りを持って農業に従事し農村
地域
に定住できるよう、その
基本
的条件を
整備
することが特に重要であると
考え
ます。このため、
経済社会
の中長期の展望を踏まえ、食糧、農業、農村をめぐる施策について、二十一世紀という新しい
時代
にふさわしいものとするよう努めてまいります。また、林業、水産業については、国土・
環境保全
など緑と水の源泉としての森林の働きを増進させる森林づくり、恵まれた海の幸を生かした水産業の振興などに努めてまいります。 教育や芸術文化、
科学技術
は、国家、
社会
のあらゆる
分野
の発展基盤です。 学校教育においては、個性や
創造性
を伸ばし、日本人としての自覚に立って
国際社会
で活躍し貢献できる、心豊かなたくましい
国民
を育成する教育に努めます。また、生涯にわたる学習機会を
整備
するとともに、スポーツや芸術文化の振興を図ってまいります。 さらに、
人類
全体の知的資産を創出し、国際的責務を果たしていくためにも、独創的、先端的な学術研究や
科学技術
の推進を図ることが必要です。高等教育機関の教育・研究
環境
の抜本的な改善や研究
開発
基盤の
整備
、研究交流や
国際協力
の一層の
促進
などを図るとともに、宇宙、海洋、原子力などの
開発
利用を推進してまいります。 市場における公正かつ自由な競争の維持、
促進
については、今後とも、独占禁止法違反行為に対して厳正に対処するとともに、その運用の
透明性
を高めてまいります。 証券・金融をめぐる一連の問題については、既に損失補てんの禁止などを内容とする証券取引法の改正、
金融機関
の内部管理体制の総点検などの対応策を講じました。今後、さらに、利用者のため、証券、金融市場における適正な競争を
促進
するとともに、問題の再発を防止し、市場に対する信頼を回復するため、今
国会
に必要な改正法案を提出するなど、法制上、行政上の総合的な
対策
に取り組んでまいる
決意
であります。 さらに、
国民
が安全で豊かな消費
生活
を営むことができるよう、
消費者
の被害防止・救済のあり方の検討など、総合的な
消費者
行政を推進してまいります。 なお、行政手続法制の
整備
に取り組むなど、公正、透明で信頼される行政を目指します。 昨年、
我が国
は、雲仙岳の噴火、相次ぐ台風の襲来など数多くの災害に見舞われました。とうとい生命を失われた方々やその御遺族に対し、深く哀悼の意を表するとともに、住居を失い、農作物に壊滅的な打撃を受けた方々に、心からお見舞いを申し上げます。 これらの災害による被災者の救済については万全を期するとともに、雲仙岳噴火災害については、これに加え、将来の防災
地域
づくりと
地域
の振興、
活性化
に向けて、現在、必要な
調査
検討を進めております。私は、今後とも、
生活大国
にふさわしい災害に負けない国土づくりを進めてまいります。 最近の治安情勢は、広域にわたる凶悪犯罪の多発、暴力団の市民への脅威、薬物乱用の深刻化など厳しさを増しております。私は、治安の確保は法治国家の根幹であるとの
認識
に立って、今後とも安全な
国民生活
の確保に万全を期してまいります。また、交通事故による死者の数が高水準で推移していることから、交通安全に努めてまいります。
世界
の
平和秩序
の
構築
に貢献していくためにも、また、
生活大国
の
実現
を図っていくためにも、
我が国
の
経済
が健全に発展し続けることが不可欠の条件であります。
政府
としては、今後とも内需を中心とするインフレなき持続可能な成長を図ってまいります。
我が国
経済
は、
住宅
投資の減少などに見られるように、このところ拡大テンポが減速しております。したがって、こうした状況が企業家や
消費者
の心理を大きく冷え込ませないよう、内需を中心に景気に
十分配慮
した
経済
運営を行う必要があります。
平成
四年度の予算編成においては、税収の鈍化など極めて厳しい財政事情の
もと
、歳出の徹底した見直しに努めるとともに、建設公債の発行額の増加や税制面での所要の措置により財源を確保した上で、予算の重点的、効率的配分を図り、景気にも
十分配慮
した予算といたしました。特に公共投資については、
生活関連分野
を中心に、一般歳出や財政投融資、地方単独事業において思い切った拡充を図っております。これは、公定歩合の引き下げなどの施策とあわせ、今後の内需を中心とするインフレなき持続可能な成長の確保に十分に資するものと
考え
ております。
我が国
の財政は、公債残高が
平成
四年度末に約百七十四兆円にも達する見込みであり、依然として構造的に厳しい状況にあります。後世代に多大の負担を残すことなく、再び特例公債を発行しないことを
基本
として、公債残高が累増しないような財政体質の
確立
に向けて
努力
を重ね、来るべき
高齢化社会
においても
経済社会
の活力を維持し、また、
国際貢献
を初めとする内外の諸要請に適切に対応できるようにいたさなければなりません。 地方財政についても、その円滑な運営を図ってまいります。 また、行革審の答申などを最大限に尊重し、規制緩和の推進などに
努力
するとともに、国・地方を通じた
行財政改革
を引き続き推進してまいります。 最近の物価動向を見ますと、その基調は安定した
動き
を示しております。今後とも、原油価格、為替レート、国内需給などの動向を十分注視しつつ、物価の安定に最善の
努力
を尽くしてまいります。また、内外価格差の是正、縮小を引き続き図ってまいります。 雇用に関しては、中小企業や
地域
における人材の確保や定着などのための施策を推進するとともに、
障害者
雇用
対策
の充実
強化
、職業能力
開発
の積極的
促進
などを図ってまいります。 中小企業は、
我が国
経済
の活力の源泉であります。厳しい
環境
の変化に柔軟に対応できる創意と活力に満ちた中小企業の育成を目指し、創造的な事業展開への
支援
や伝統的工芸品産業の振興だと中小企業施策の充実
強化
に努めてまいります。 エネルギーについては、
環境
調和型の需給構造への転換を図り、需要面ではあらゆる部門における抜本的な省エネルギーを推進するとともに、供給面では、石油の安定供給の確保に万全を期する一方、原子力や再生可能なエネルギーなどの
開発
導入により、石油依存度の低減に努めてまいります。原子力発電については、一層の安全性を確保しつつ、立地を
促進
し、
国民
の皆様の信頼感を醸成するよう最大限
努力
してまいります。 以上、第百二十三回
国会
の開会に当たり、内外の情勢を展望して施政の方針を明らかにいたしました。冒頭に申し上げたとおり、
我が国
が激動する諸情勢に機敏に対応し、国政が的確に遂行されるためには、
政治
が
国民
の信頼に支えられて、その機能を十分に発揮することが必要不可欠であります。
政治改革
の
実現
には、まず何よりも
政治倫理
の
確立
を図ることが重要であります。しかし、個々の議員の意識、行動とは別に、
国民
の
政治
不信の根底には、制度上
解決
を要する問題が横たわっていることも事実であり、金のかからない
政治
活動や政策を中心とした選挙が
実現
できる仕組みをつくる必要があります。このため、
政治
資金制度や選挙制度の
改革
が急務であります。また、投票
価値
の格差是正の要請にもこたえられるよう
努力
しなければなりません。
政治改革
協議会における各党間の御議論を早急に深めていただき、実りある合意が得られ、
国民
の
理解
を得て
改革
が
実現
できることを心から期待するとともに、
政府
としても最大限の
努力
を払ってまいります。(
拍手
) 私は、このような
改革
を通じて
政治
が
国民
の信頼を回復し、国家
国民
のため、また
世界
人類
のため、
時代
の負託にこたえ、よくその使命を全うできるよう、真剣に
努力
してまいりたいと
考え
ております。 重ねて、議員各位、
国民
の皆様の御
理解
と御
協力
をお願い申し上げます。(
拍手
) ――
―――――――――――
櫻内義雄
10
○
議長
(
櫻内義雄
君)
外務大臣
渡辺美智雄君。 〔
国務大臣
渡辺美智雄君登壇〕
渡辺美智雄
11
○
国務大臣
(渡辺美智雄君) 第百二十三回
国会
が開かれるに当たり、
我が国
の
外交
の
基本
方針につき所信を申し述べます。
国際社会
は今日、
世界
史上にほとんど例を見ない、大きな変革を
経験
しつつあります。
東欧諸国
に続いてソ連においても、共産主義
体制
は崩壊し、
ソ連邦
は今や存在しておりません。東西間の
冷戦
は終わり、多くの国々が、
民主主義
と
市場経済
の導入に取り組んでいます。その一方で、西欧
諸国
は、
統合
に向かって
協力
を深めつつあります。
アジア
・
太平洋地域
でも、
国家
関係
が、
政治
体制
の違いを乗り越えて正常化しつつあり、
経済
面で市場原理に基づいた
改革
、開放が進められています。
カンボジア
や
朝鮮半島
においては、和解と安定に向けて具体的な措置がとられ始めております。 東西間の
冷戦
を
背景
にした
地域
紛争は、アフリカにおいても、中米においても、急速に終わりつつあります。また、イスラエルとアラブとの間の
対立
抗争についても、すべての当事者が参加する
話し合い
が始まりました。軍縮の
分野
でも進展が見られています。 これらの
動き
は
世界
人類
の未来に明るい展望を開くものであります。 しかし同時に、今日の
世界
は多くの困難な問題を抱えています。かつてのソ連や
東欧諸国
は、既に、失業、日常品の不足、インフレといった深刻な
経済
困難に直面しています。また、旧
ソ連邦
は、民族、宗教などによる
対立
や新旧の権力闘争を抱え、極めて不安定な状況にあります。さらに、旧
ソ連邦
内の混乱によって、核兵器などの大量破壊兵器やその関連
技術
の国外への流出や、チェルノブイリで起きたような原子力発電所における事故といった極めて危険な事態が起こる可能性も強く
懸念
されているところであります。
世界
的に見て、今後も、民族や宗教に起因する
対立
、
経済
的な権益や領土をめぐる抗争などが
地域
的な武力紛争に
発展
する危険性は、引き続き遺憾ながら存在しております。むしろ、古い
体制
の崩壊が、ユーゴスラビアに見られるように、それまで抑圧されていた
対立
抗争を激化させるという面も少なくありません。 さらに、
世界
は、
地球環境
を初めとする国境を越えた問題や、
開発途上国
における貧困の問題に対する取り組みを迫られています。 しかるに、頼りにされるべき多くの先進工業国では、自国の
経済
成長の減速、根強い保護主義圧力の台頭などが深刻になってきつつあります。 このように大きく、かつ、激しく変わりつつある
国際社会
の中にあって、日本はいかに行動すべきか。今、我々はこの問いに対して、みずから答えを出さなければなりません。なぜならば、
我が国
の対応が新しい
国際秩序
の
形成
に、直接、間接に大きな
影響
を及ぼすようになってきたからであります。 しかも、
我が国
は昨年末の
国連
総会において、安全保障理事会の非
常任理事国
に選ばれました。今回の選出に当たって
国連
加盟国の圧倒的多数が日本に寄せた
期待
を十分に
認識
しておかなければなりません。 第二次
世界大戦
における敗戦から約半
世紀
がたった今日、日本は、
世界
第二の
経済
大国となるに至りました。しかしながら、
我が国
の戦後の
復興
と
発展
は、
国民
の英知と
努力
、
市場経済
と自由貿易という歴代
政府
の
基本
政策の
もと
で、
米国
を初めとする友好国の援助と
協力
があって初めて可能になったものであります。このことを思うとき、これからの日本が
国際社会
に対してなすべきことはおのずから明らかであります。それはすなわち、国際
協調
の精神の
もと
で、
我が国
の持てる力、すなわち
経済力
、
技術力
を活用することは
もと
より、さまざまな
人的貢献
や知恵をもって、新しい
世界
平和の
秩序
の
構築
に貢献することであると私は信じます。(
拍手
)
世界
の国々における
相互依存関係
が深まっている今日、このような貢献を行っていくことは、
我が国
自身の平和と
繁栄
を確保していく上でも不可欠であります。 新しい
世界平和秩序
を
構築
するための
国際協力
を進めるに当たっては、これまでにも増して日本の特色を生かした
外交
を
展開
することが重要であることは言うまでもありません。このような観点から、
我が国
は、
世界
平和のための
国際貢献
を重視し、
世界
各地の
地域
紛争の
解決
や
地域
的安定への
協力
、
軍備管理
・軍縮の
促進
に取り組んでまいります。それとともに国境を越えた問題の
解決
や
文化
、
科学技術
に関する
協力
などにも力を入れてまいります。 また、
我が国
は、
人類
普遍の原理である
個人
の自由、
民主主義
、
基本
的人権に配慮していかなければなりません。
我が国
がこのような
外交
を
展開
することは、また、
国際社会
の
期待
にこたえることになると私は
考え
ております。 さらに、
我が国
が行う
国際貢献
は、単に資金面での
協力
にとどまらず、
国連
憲章の精神を酌んだ
我が国
の憲法の
もと
で、最大限の人的
協力
を行うべきであります。
我が国
が、額に汚した人的な貢献を含め、幅の広い
国際貢献
を行うことこそが、「平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてみる
国際社会
において、名誉ある地位を占めたい」という
平和憲法
の理想を
実現
していくことなのであります。(
拍手
)
国連
の平和維持活動は、
国連
憲章の精神にのっとり、平和を守るため、
国連
が実績を積み上げてきた活動であり、これまでに
世界
の八十以上の国が参加した
国際社会
に対する汗をかく
人的貢献
であります。継続審議をお願いしているいわゆる
PKO法案
は、まさにこのような活動に
我が国
が積極的に参加できる
体制
を
整備
しようとするものであります。(
拍手
)
国民
の
皆様
の
理解
の
もと
に、この法案を今
国会
においてぜひとも成立させ、
国際社会
における
我が国
の
責任
の一端を果たそうではありませんか。(
拍手
)また、同じ観点から、
国際緊急援助隊法
改正法案についても、今
国会
における成立をお願いするものであります。
冷戦
後の
世界
平和を一層確かなものとするための重要な
課題
は、
軍備管理
・軍縮であります。そうした中で、
我が国
が、原爆体験を持つ
世界
唯一の
国家
として、核兵器の廃絶を究極の
目標
とし、そしてまた、
政府
が、武器やその製造に関連する設備の輸出を慎むという極めて先進的な政策をとっていることは、国際的に誇りとすべきところであります。それだけに、
世界
の国々の関心が、大量破壊兵器の
拡散防止
や
通常兵器
の
移転
問題に向けられている今日、日本がこの
分野
で指導的な
役割
を果たしていくことが、国際的にも大きく
期待
されているところであります。日本が昨年、
通常兵器
の
移転
に関する
国連登録制度
の
実現
に大きな
役割
を果たしてきたこと、そしてまた、他の国に先駆けて、いわゆるODA四指針を決定し、
政府開発援助
の
実施
に当たって、被援助国の軍事支出の
動向
や大量破壊兵器やミサイルの
開発
及び製造の
動向
、そして武器の輸出入の
動向
などを考慮に入れることを明らかにしたことが、国際的に高く評価されたのは、その証拠であります。
冷戦
が終わったこの機会をとらえて、
政府
といたしましては、国際的な核軍縮に関し、一層の貢献を行うとともに、大量破壊兵器及びミサイルの不拡散
体制
の
強化
、並びに
通常兵器
の
移転
問題等の
分野
で、一層積極的な
役割
を果たしていく方針であります。特に
我が国
といたしましては、核兵器不拡散の
分野
で、現行の保障措置制度を抜本的に
強化
するために
努力
をするとともに、
化学兵器禁止条約
の
交渉
を本年中に妥結に導くよう一層尽力をしてまいります。 北朝鮮、朝鮮
民主主義
人民共和国の核兵器
開発
問題は、
我が国
のみならず、
アジア
・
太平洋
、ひいては
世界
の安全を脅かす重大な事態であります。このような
認識
に立って、
政府
は、北朝鮮との
国交正常化交渉
に当たり、北朝鮮が国際原子力機関との保障措置協定を締結し、無
条件
、かつ、速やかに査察を受け入れるよう強く求めてまいりました。また、もし再処理施設があるとすれば、それを撤去することも引き続き求めてまいる心算であります。このような見地から、
我が国
は、
朝鮮半島
における核兵器の不存在の確認を可能とした
ブッシュ大統領
の核軍縮措置、そして、将来にわたって核兵器及びその関連設備の不保持を宣言した
盧泰愚大統領
の決断を高く評価するものであります。また、
韓国
と北朝鮮が
朝鮮半島
の
非核化
に関する
共同
宣言に署名したことは大きな
前進
であります。 旧
ソ連邦
における核兵器の
管理
は、
世界
の平和と安全に極めて大きな
影響
を及ぼす問題であります。
我が国
は、核兵器が厳格な一元的
管理
の
もと
に置かれること、及びロシア以外の新しい独立国が速やかに
非核
兵器国として核不拡散
条約
を締結し、また、そこに存在する核兵器を一日も早く廃棄し、あるいは撤去することを強く求め続けていく方針であります。
国際社会
が大きく
変化
をしておるときだけに、
世界経済
のインフレなき持続的成長を確保することは、これまで以上に重要であります。
我が国
といたしましても、そのために進んで積極的な
役割
を果たしていかなければなりません。また、ブレトンウッズ
体制
の
もと
で、戦後の
復興
をなし遂げ、
世界
第二位の
経済
大国と称されるまでに至った日本としては、多角的
自由貿易体制
の
維持強化
に積極的な
役割
を果たしていく
責務
があります。
ウルグアイ・ラウンド交渉
の
成功
に寄与することは、その重要な第一歩であります。多角的
自由貿易体制
の
維持強化
にとり極めて重要なこの
交渉
は、昨年暮れに最終合意文書案が提示されるという新たな
展開
を経て、現在
最終段階
にあります。仮にこの
交渉
が失敗するというようなことになれば、国際
経済
及び
我が国
経済
に多大な悪
影響
を与えるものと
考え
られます。
我が国
といたしましては、この
交渉
が早期に
成功
裏に終結するよう引き続き最大限の
努力
を払っていく方針であります。
自由貿易体制
下で
相互依存関係
が強まる中で、一国だけの
繁栄
を長続きさせることは困難であります。そこで、
開発途上国
に対する
支援
に取り組んでいくことも極めて重要であります。特に、日本は、
開発途上国
が多い
アジア
・
太平洋地域
に位置しております。また、日本自身、欧米の
先進諸国
から
技術
や知識を学び、その
支援
、
協力
も受けて、近代
国家
として
発展
を遂げてきたという
経験
を持っております。それだけに
開発途上国
の
発展
を
支援
することは、
国際社会
における日本の使命でもあります。 今
国会
で審議をお願いする
平成
四年度の
政府開発援助
予算について、厳しい
財政
事情の
もと
で、第四次中期
目標
の達成に向けて九千五百二十二億円の一般会計予算を計上いたしましたのも、このような
認識
に立つものであります。 今後、
政府開発援助
の活用に当たりましては、
地球環境
、
難民
、
麻薬
などの国境を越えた新しい
課題
に対応する
努力
を行っていくことが重要であります。また、第四次中期
目標
に沿って、援助のハード面のみならず、ソフト面も重視し、質の改善を図るほか、その一層、効果的、効率的な
実施
についても引き続き十分な配慮を払っていく方針であります。 以上のような
外交
を進めていくに当たりまして、
我が国
が、自由、
民主主義
、
市場経済
といった
価値
を共有する先進
民主主義
諸国
との
協調
を図っていくことが重要であります。 中でも、
米国
との緊密な
協力関係
は
我が国
の
外交
の
基本
であります。日米安全保障
体制
に裏づけされた強固で広範な
両国
の
協力関係
は、
アジア
・
太平洋地域
の平和と安定を確保し、また、他国に脅威を与えるような
軍事大国
にはならないという日本の立場の国際的信頼性を高めるためにも役立っています。したがって、日米間の各種の摩擦、
対立
が伝えられる中でも、
日米安保体制
を
中心
とした
両国
の
協力関係
を一層
強化
するよう
努力
しなければなりません。 今回、
ブッシュ大統領
の訪日を期して、日米
両国
が
東京宣言
を発表して、二十一
世紀
に向けて日米のグローバルパートナーシップの
もと
で、
地球
的、
世界
的な
責任
と
役割
を果たしていく
決意
を表明したことは、時宜を得たものであります。また、日米
両国
が、
世界経済
の安定的
発展
のために、できる限り
協力
し合うことは当然であります。
我が国
は、日米の
行動計画
にあるとおり、自由貿易の原則に立ち、一層の市場開放を含めた種々の措置を決定したところであり、今後その着実な
実施
に努めてまいります。
我が国
は
米国
のみならず、西欧
諸国
とも
価値観
を共有しており、これらの
諸国
とも
関係
を一層
強化
していく必要があります。特に
EC
諸国
は、
市場統合
に続いて、
経済
・
通貨統合
及び
政治
統合
に向けてさらに歩みを進めることによって、ますます一体性を強めようとしております。このように
国際社会
における
影響力
が増大しつつある
EC
諸国
との間で、政策協議と政策調整の緊密化を図っていくことは、
我が国
の
外交
の重要な柱でもあります。このような観点から
我が国
は、昨年七月に日欧
関係
にとって
歴史
的意義を持つ日本・
EC共同宣言
に合意いたしました。今後この宣言に基づいて、
EC
加盟
各国
との二
国間関係
の
強化
に加えて、一体としての
EC
との間でグローバルな観点から幅広い
協力
を推進していく方針であります。
アジア
・
太平洋
諸国
との
関係
について申し上げます。
韓国
、
ASEAN
諸国
、豪州を初めとする
アジア
・
太平洋
諸国
との間で、
地域
の安定、
発展
にかかわる
政治
、
経済両面
の
課題
や
世界
的な問題について、二国間、多数国間でともに
考え
、相
協力
して、問題の
解決
に当たっていくことも、これからますます重要になってまいります。また、日本が二国間のみならず、
ASEAN拡大外相会議
やAP
EC
といった多数国間の協議や
協力
の場に積極的に参加することは、
アジア
・
太平洋地域
の国々と日本との間の
相互
信頼
関係
を高めるためにも重要であります。この
地域
の国々には、過去の
歴史
や日本の存在感の大きさに根差す不安感が依然として残りております。それだけに、将来に向かって日本は、他国に脅威を与えるような
軍事大国
にならないという
基本
方針を堅持していかなければなりません。
朝鮮半島
については、北東
アジア
の長期的な安定を確保するという見地から、
韓国
、
米国
、さらには中国などとも十分な連携をとりつつ、
政治
、
経済両面
において積極的な
外交
を
展開
していく方針であります。宮澤総理大臣が今般
韓国
を訪問したのも、このような方針の
もと
で、日韓
両国
関係
の一層の
強化
を図るためでありました。 また、日韓友好
関係
を
基本
としながら、
朝鮮半島
の平和と安定に資するような形で、引き続き日朝
国交正常化交渉
に誠意を持って臨んでまいります。 東南
アジア
全体の安定と
発展
を確保していく上で、インドシナ半島を
アジア
・
太平洋
の活力ある
経済
発展
の枠組みに取り込んでいくことが重要であります。このような観点からも、
カンボジア
及びベトナムの
復興
と
発展
を図っていかなければなりません。
我が国
といたしましては、
カンボジア
の
和平
協定を真に実効あるものとするため、その安定と
復興
の面で
国連
の活動に積極的に
協力
するとともに、本年、日本で、
カンボジア
復興
のための
国際会議
を主催してまいりたいと
考え
ております。
アジア
・
太平洋地域
の安定と
発展
のために重要なもう一つの
課題
は、
アジア
の友邦としての立場から、十一億余の
人口
を有する中国の
政治
と
経済
の
両面
にわたる
改革
、開放に積極的に
協力
していくことであります。本年は、日中
国交正常化
二十周年に当たります。これを契機に、日中間の
協力関係
を、二十一
世紀
に向けて
アジア
・
太平洋地域
の安定や
世界
の平和に資するものとしていくことが重要であります。私も、このような立場から先般中国を訪問し、二
国間関係
のみならず、
軍備管理
・軍縮、
地域
情勢
、
地球環境
問題等各般にわたって中国の指導層と腹蔵のない意見の交換を行ってきたところであります。 さらに、
民主主義
と
市場経済
に基づく
改革
を進めつつあるモンゴルや
南西アジア
諸国
に対する
支援
やこれらの
諸国
との
関係強化
にも努めてまいるとともに、豪州、ニュージーランドなどとの
協力関係
を
発展
させてまいります。 旧
ソ連邦
の国々の国内的な混乱を回避し、その民主化、
市場経済
導入のための
努力
を、これを
支援
し、
成功
に導くことは、国際
政治
の当面の重要な
課題
であります。このような
認識
に立って、私は、
各国
による対ソ
支援
を調整するため、去る二十二日よりワシントンで開かれた閣僚
会議
に出席し、これらの独立国の抱える問題の克服のために、日本が適切なる
役割
を果たす用意があることを明らかにしてきた次第であります。 また、
我が国
は、旧
ソ連邦
の対外的権利義務を継続するという
ロシア連邦
との間で、法と正義に基づいて一日も早く北方領土問題を
解決
し、
平和条約
を締結し、日本とロシアとの
関係
を長期的に
発展
させる
基礎
をつくっていかなければなりません。このような
認識
に立って
政府
は、民主化と
市場経済
の導入を定着させる
方向
でロシアにおける変革を安定的に
促進
することと、北方領土問題を
解決
することという二つの政策
目標
をともに達成すべく、最大限の
努力
を傾注してまいる方針であります。
東欧諸国
は、深刻な
経済
状況に直面しつつも
民主主義
と
市場経済
の導入に
努力
しており、
我が国
としても引き続き積極的に
支援
してまいりたいと存じます。
中東
諸国
との
関係強化
は、
我が国
にとりて引き続き重要な
課題
であります。それだけに、
中東
の長期的安定の確保には、日本も重大な関心を持っております。来週モスクワで開かれる
中東
和平
問題に関する閣僚レベルの
国際会議
にも、
国会
のお許しを得て、私みずから出席し、日本の
考え
方を伝えたいと
考え
ております。 アフリカでは、多くの国が困難な状況の中で民主化や
経済
構造
調整に取り組んでおります。
我が国
はこのような
努力
を可能な限り
支援
してまいりたいと存じます。先般、
我が国
は、南アフリカとの間で
外交
関係
を再開しましたが、
同国
に自由で民主的な
体制
が早期に
確立
されるよう、働きかけを一層
強化
してまいります。 中南米でも、多くの国が
民主主義
と
市場経済
に基づく
改革
を進めており、
我が国
はこれらの
改革
を可能な限り
支援
してまいります。また、
我が国
は、最近のエルサルバドルの
和平
合意を歓迎し、今後とも、中米
地域
の安定のために
努力
する所存であります。 第二次
世界大戦
の反省の上に立って、恒久の
世界
平和を求めて、国際連合憲章が生まれ、
国連
が誕生しました。しかし、イデオロギーの異なる超大国の
対立
によって、その機能は必ずしも目的どおりには
動き
ませんでした。しかし、
ソ連邦
の崩壊と政策の革命的大転換により、
国連
はその原点に立ち返って、活動しやすくなったと言うことができましょう。超大国間の軍縮や核不拡散が進んだとしても、残念ながら
地域
紛争は絶えません。
難民
、
テロ
、
麻薬
、
地球環境
汚染など、
世界
は克服しなければならない多くの問題を抱えています。今や、
国連
は見直され、大きな
役割
が
期待
されています。 このような中で、安全保障理事会の非
常任理事国
に選ばれた
我が国
は、国際の平和と安全のために
中心
的な
役割
を果たしていくべき立場にあることを肝に銘じつつ、
国連
外交
を
強化
してまいります。その際、
国連
が新しい
時代
に対応できますふう、その機能
強化
と機構
改革
を促していく方針であります。 さらに、
国際社会
は、
地球環境
、
難民
、
麻薬
、
テロ
などの国境を越えたさまざまの問題を抱えており、
我が国
はその
解決
のために
努力
していかなければなりません。特に
地球環境
問題については、本年六月に、気候変動に関する枠組み
条約
や
地球
憲章の採択を目指す
国連環境開発会議
が開催される予定であります。
政府
といたしましても、公害
対策
などに関する
我が国
の
経験
と
技術
をも生かしつつ、この問題に対する国際的取り組みにおいて積極的な
役割
を果たしていく方針であります。 また、全
世界
で千七百万人を超すと言われる
難民
の存在は、
開発
途土
地域
の安定に大きな
影響
を及ぼす深刻な問題であります。
我が国
としては、
カンボジア
避
難民
の帰還の
促進
を初めとする
世界
各地の
難民
問題について、
国連
難民
高等弁務官事務所などの
国際機関
を
中心
とする
国際協力
の一層の推進を図るべく、積極的な
役割
を果たしていく方針であります。 これからの
外交
においては、
文化
や
科学技術
の
分野
における
交流
の
促進
を図ることも重要であります。
文化
交流
は、諸
国民
の間の
相互理解
を深め、信頼
関係
を助長し、安定的な国際
関係
の
確立
に資するものであります。
政府
としては、長期的な視野に立った
文化
交流
の
拡大
に努めていく方針であります。また、
世界
の
文化
財の保護や伝統
文化
の保存等の
分野
でも積極的な
協力
を行っていく
考え
であります。さらに、
科学技術
の
分野
では、外国人研究者の受け入れや国際的な各種研究プロジェクトを着実に進めていくことが重要であります。 以上に申し述べましたように、
我が国
が
国際社会
において果たすべき
役割
は飛躍的に欠きくなっております。激動する
国際情勢
に的確に対応し、機動的な
外交
活動を
展開
していくためには、それを支える
体制
の
強化
が必要であります。私は、臨時行政
改革
推進審議会の第一次答申を受けて、
国民
の
皆様
の御
理解
をも得つつ、
外交
実施
体制
の
強化
に努めていく
決意
であります。 新しい
世界
平和の
秩序
を
構築
していく上で、
我が国
は今までになく幅広い
役割
を果たしていかなければなりません。そのような
外交
の
展開
は、
内政
に直接
影響
をもたらすものであります。 それゆえに、現在の国際
環境
における
我が国
の立場と果たすべき
役割
の必要性を
国民
の
皆様
が御
認識
いただけるかどうかが、与野党の
外交
に対する
共通
の立場ができるかどうかという分岐点になろうかと私は
考え
ております。 私は、
外交
を極力わかりやすいものとして
国民
各位に訴え、
世界
とともに生きるしかない
我が国
の国益を守ってまいる
決意
であります。(
拍手
) 道は近くにあります。誠意を持って実行していけば、至誠天に通ずといいますが、私はそれをやり遂げる
決意
であります。何とぞ
国民
各位の絶大なる御
支援
をお願い申し上げる次第であります。 以上であります。(
拍手
) ――
―――――――――――
櫻内義雄
12
○
議長
(
櫻内義雄
君)
大蔵大臣
羽田孜君。 〔
国務大臣
羽田孜君登壇〕
羽田孜
13
○
国務大臣
(羽田孜君)
平成
四年度予算の御審議をお願いするに当たり、今後の
財政
金融政策の
基本
的な
考え
方について所信を申し述べますとともに、予算の大綱を御説明いたします。 戦後四十年余の間に、
我が国
経済
は、
国民
のすぐれた英知とたゆみない
努力
により、二次にわたる石油危機など幾多の試練を乗り越え、
世界
にもまれに見る目覚ましい
発展
を遂げてまいりました。 この間、
国際社会
における
我が国
の地位は急速に
向上
し、今や、激動が続く
国際情勢
の
もと
で、その地位にふさわしい
役割
を果たしていくことを強く
期待
されております。 今後、
我が国
の進むべき道は、これまでに達成した
経済
的成果を生かしながら、国内的には、
国民
の一人一人が
生活
面での豊かさを実感できるよう、
国民生活
の一層の質的
向上
を
実現
していくとともに、対外的には、
世界経済
の安定的
発展
のために
我が国
にふさわしい貢献をしていくことにあると
考え
ます。 最近の内外
経済
情勢
について見ますと、
我が国
経済
は、
個人
消費や設備
投資
に依然底がたさが見られるものの、
住宅
建設の減少などに見られるように、このところ
拡大
テンポが減速しつつあります。しかしながら、雇用
情勢
については、有効求人倍率が高い水準にあるたど、依然引き締まり基調で推移しております。また、物価の
動向
を見ますと、国内卸売物価は引き続き落ちついており、
消費者
物価についても、その騰勢は鈍化しつつあります。このような状況から判断すれば、
我が国
経済
は、いわば完全雇用を維持しながらインフレなき持続可能な成長に移行する過程にあるものと
考え
られます。 国際
経済
情勢
を見ますと、先進国は、全体として景気の減速局面からの回復の過程にあり、本年は昨年よりも高い成長が見込まれております。しかしながら、依然
米国
経済
の景気回復の足取りが重いことなどから、全体の回復のテンポも緩やかなものとなると見込まれております。他方、今後の
世界
的な資金需要の高まりへの対処は引き続き重要な
課題
であり、このためには
世界
的な貯蓄増大が重要であると指摘されております。また、累積債務問題につきましては、引き続き
解決
に向けての
努力
を必要といたしております。旧ソ連につきましては、昨年末で連邦が消滅し、各共和国による
独立国家共同体
がスタートしておりますが、
経済
・金融などの面で深刻な問題に直面しており、国際
金融機関
の
協力
を得て適切な調整・
改革
政策を
実施
していくことが重要であると
認識
しております。 私は、今後の
財政
金融政策の運営に当たり、このような最近の内外
経済
情勢
を踏まえ、二十一
世紀
に向けて
我が国
が進むべき道を展望しつつ、以下に申し述べる諸
課題
に全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。 第一の
課題
は、内需を
中心
としたインフレなき持続可能な成長への円滑な移行を図ることであります。このような観点から、景気には
十分配慮
した
施策
を
実施
することといたしております。
平成
四年度予算編成に当たりましては、こうした見地から、極めて厳しい
財政
事情の
もと
でありますが、
時代
の要請に的確に対応した財源の重点的、効率的な配分を図り、特に公共
投資
については、国・地方を通じ最大限の
努力
を払っております。すなわち、まず一般歳出における公共事業
関係
費について五・三%の伸びを確保するとともに、
財政
投
融資
計画
においても、公共事業
実施
機関について一〇・八%の伸びとしております。さらに、地方単独事業についても、一一・五%と高い伸びを見込んでおります。 一方、金融面では、昨年七月、十一月、さらに十二月末と三度にわたって公定歩合の引き下げが行われたところであります。この間、市場金利は低下を続け、これを受けて
金融機関
の貸出金利も低下してきております。さらに、最近の
地価
の
鎮静化
傾向等にかんがみ、昨年末をもって
金融機関
の不動産業向け貸し出しに係る
総量規制
を解除いたしましたが、これは宅地供給や
住宅
建設の適切な
促進
等に必要な資金の円滑な供給に資するものと
考え
られます。 また、今後とも、
主要国
との政策
協調
及び為替市場における
協力
を通じ、為替相場の安定を期してまいりたいと存じます。
国民
各位におかれましては、
我が国
経済
の先行きに自信を持って
経済
活動に取り組まれますことを
期待
いたしておるところであります。 第二の
課題
は、
財政
改革
を引き続き強力に推進することであります。
平成
四年度予算においては、
財政
改革
を推進する等の観点から、まず既存の制度、
施策
について見直しを行うなど歳出の徹底した節減合理化に努め、一般歳出についてはその増加額を前年度同額以下とするなど、可能な限りの
努力
を払ったところでありますが、当面の厳しい税収
動向
、
財政
事情に対応するため、建設公債の発行額を増加させることといたしました。 この結果、
我が国
財政
は、公債残高が
平成
四年度末には約百七十四兆円にも達する見込みであり、また、国債費についても歳出予算の二割を超えて政策的経費を圧迫するなど
構造
的な厳しさが続いております。
財政
改革
の目的は、本格的な
高齢化社会
が到来する二十一
世紀
に向けて一日も早く
財政
が本来の対応力を回復することにより、今後の
財政
に対する内外の諸要請に適切に対応し、豊かで活力ある
経済社会
の建設を進めていくことにあります。 したがって、今後の
財政
運営に当たっても、後世代に多大の負担を残すことなく、二度と特例公債を発行しないことを
基本
として、公債依存度の引き下げ等により、公債残高が累増しないような
財政
体質をつくり上げていかなければなりません。このため、引き続き
財政
改革
の推進に全力を傾けてまいる所存であります。 第三の
課題
は、調和ある
対外経済関係
の
形成
と
世界経済
発展
への貢献に努めることであります。
世界経済
は、貿易や直接
投資
の
拡大
とともに
相互依存関係
をさらに深めつつあり、もはや、一国の
経済
は、他国との円滑な
経済
関係
なしには成り立たないという状況にあります。このような状況の
もと
で、
国際社会
において重要な地位を占める
我が国
は、調和ある
対外経済関係
の
形成
に努めるとともに、
世界経済
の
発展
のために積極的に貢献していく必要があろうと
考え
ます。 先般の日米首脳会談におきましては、日米
両国
が、他の
先進諸国
とともに、今後とも物価安定を伴った持続的成長に資するよう
協調
的
努力
を続けていくことの重要性が再確認されたところであります。 保護主義的な
動き
を回避し、多角的
自由貿易体制
を
維持強化
することは、
世界
各国
の
経済
発展
と
国民生活
向上
の
基礎
であります。このような観点から、ウルグアイ・ラウンドにつきましては、
各国
と
協調
しつつ、
成功
裏に終結するよう
努力
することが重要であると
考え
ます。 関税制度につきましては、市場アクセスの一層の改善を図る等の見地から、保税
地域
制度の改善、石油
関係
の関税率の引き下げ等の措置を講ずることといたしております。
経済協力
につきましては、
開発途上国
の自助勢力を
支援
するため、
政府開発援助
の着実な拡充と資金還流措置の
実施
に努めているところであります。 累積債務問題につきましては、新債務戦略を積極的に支持し、
所要
の
協力
を行っていく
考え
であります。 旧ソ連
地域
に対する
支援
につきましては、新しい
体制
の
もと
で
市場経済
への移行を
促進
し、種々の
改革
を
支援
するため、他の先進
主要国
とも
協調
しつつ、適切な
支援
を進めていくことといたしております。 第四の
課題
は、金融・資本市場の自由化、国際化を着実に進展させるとともに、証券及び金融をめぐる諸問題に適切に対応することであります。 金融・資本市場の自由化、国際化は、
国民
の金融に対するニーズにこたえるとともに、
我が国
経済
の
発展
に寄与するものであります。また、金融に関する制度等について国際的な調和を図っていくことは、
世界経済
において
期待
される
我が国
の
役割
を果たす上でも大きな意義を有するものと
考え
られます。 このような観点から、これまでも逐次各種の措置を講じてきており、特に、預金金利の自由化につきましては、遅くとも
平成
六年中に自由化を完了すべく
努力
いたしているところであります。 また、
我が国
の金融制度及び証券取引制度につきましては、有効かつ適正な競争の
促進
を通じ、内外の
利用
者の利便性の
向上
をもたらすとともに、国際的にも通用する金融制度及び証券取引制度を
構築
することが極めて重要であり、このため、金融制度
調査
会答申、証券取引審議会報告等を踏まえ、金融・資本市場における各種の業務
分野
への参入等を含む金融制度
改革
を推進する必要があると
考え
ます。 こうした中で昨年、証券及び金融をめぐる一連の不祥事が発生し、
我が国
の証券市場や
金融機関
に対する内外の信頼が大きく損なわれたことはまことに遺憾なことであり、極めて深刻に受けとめたところであります。 これまでも、一連の不祥事の実態解明、再発防止策等について検討を行い、昨年の臨時
国会
においては、緊急に措置すべき事項として損失補てんめ禁止等を内容とする証券取引法等の
改正案
を成立させていただくとともに、
金融機関
の内部
管理
体制
の総点検を早急に行うことなどを内容とする対応策を講じたところでありますが、その際、これらの問題に関し、臨時行政
改革
推進審議会及び
国会
の
特別委員会
より、制度、行政の各般にわたる総合的な対応策を講ずべきであるとの御指摘をいただいたところでございます。
政府
といたしましては、これらの答申及び諸決議を最大限に尊重するとの
基本
的
考え
方の
もと
、このような不祥事の再発防止及び
我が国
の金融・資本市場に対する内外の信頼回復を図るため、法制上、行政上の総合的な
対策
に取り組んでまいる
考え
であります。すなわち、より公正で透明な証券市場等の
実現
に向け、新しい検査監視
体制
の創設を含む
所要
の措置を講ずるとともに、金融・資本市場における有効かつ適正な競争を
促進
すること等を目的とした金融制度
改革
を進めることとし、
所要
の
法律案
を今
国会
に提出すべく、現在鋭意準備を進めておるところでございます。 次に、
平成
四年度予算の大要について御説明いたします。
平成
四年度予算は、極めて厳しい
財政
事情の
もと
で、歳出の徹底した節減合理化や税外収入の確保に努めるほか、建設公債の発行額を増加させ、税制面においても
所要
の措置を講ずることといたしました。またその中にあって、
社会資本
整備
の着実な推進や
国際社会
への貢献を初め、
時代
の要請に応じ、限られた財源を重点的、効率的に配分するよう努めることとして編成いたしたところであります。 歳出面につきましては、一般歳出の規模は三十八兆六千九百八十八億円となっており、これに、地方交付税交付金、国債費等を加えた一般会計予算規模は七十二兆二千百八十億円となっております。
国家公務員
の定員につきましては、第八次定員削減
計画
を着実に
実施
するとともに、増員は厳に抑制し、一千三百七十二人に上る行政機関職員の定員の縮減を図っております。 次に、歳入面について申し述べます。 税制面では、まず、土地の相続税評価の適正化に伴う相続税の負担調整として課税最低限の引き上げや税率区分の幅の
拡大
等を行うことといたしております。 また、課税の適正公平の確保を推進する等の観点から、企業
関係
租税
特別
措置の一層の整理合理化、みなし法人課税制度の廃止、赤字法人の欠損金の繰り戻し還付制度の適用の停止、海外
関係
会社からの過大借り入れへの対応措置としての過小資本税制の導入等の措置を講じる
考え
であります。 さらに、当面の厳しい税収
動向
、
財政
事情に対応するため、
国民生活
、
国民
経済
に配慮しつつ、新たに必要最小限の措置として、法人
特別
税の創設及び普通乗用自動車に係る消費税の税率を四・五%とする特例措置をお願いすることといたしております。なお、湾岸
支援
のための法人臨時
特別
税及び石油臨時
特別
税並びに普通乗用自動車に係る消費税六%の経過措置は、
平成
三年度末に失効させることといたしております。 税の執行につきましては、今後とも
国民
の信頼と
協力
を得て、一層適正公平に
実施
するよう
努力
してまいる所存であります。 公債発行予定額は七兆二千八百億円としております。なお、借換債を含めた公債の総発行予定額は二十八兆七千七百八十億円となります。
財政
投
融資
計画
につきましては、現下の
経済
情勢
も踏まえ、
社会資本
の
整備
、
国際社会
への貢献、
地域
の
活性化
等の政策的要請に積極的にこたえ、資金の重点的、効率的な配分を図ったところであります。 この結果、
財政
投
融資
計画
の規模は四十兆八千二十二億円、前年度当初
計画
に対し一〇・九%の増加となっており、また、資金
運用
事業を除いた一般財投の規模は三十二兆二千六百二十二億円、一〇・八%の増加となっております。 次に、主要な経費について申し述べます。 公共事業
関係
費につきましては、
社会資本
の
整備
の重要性にかんがみ、また、あわせて景気にも配慮することとして、その拡充を図るとともに、これまでNTT株式売り払い収入の活用によって行ってきた
社会資本
の
整備
の
促進
を図るための事業につきましても、これを確保することといたしております。公共事業の配分に当たっては、
生活関連
重点化枠などを通じて、
環境衛生
、
住宅
、
下水道
、公園など
国民生活
の質の
向上
に資する
分野
に重点を置くとともに、
地域
の実情に十分な配慮がなされるよう対処してまいる所存であります。特に、
住宅
対策
については、
住宅
金融公庫における貸付限度額等の引き上げ、
地域
活性化
住宅
の供給、公共賃貸
住宅
の建てかえの推進など
施策
の拡充を図っております。なお、
平成
三年度末に期限の到来する治水治山の各五カ年
計画
及び新たに策定される森林
整備
事業
計画
については、おのおの適切に
計画
を策定することといたしております。
社会
保障
関係
費につきましては、二十一
世紀
に向かって活力ある福祉
社会
を
形成
していくことが重要な
課題
であります。このため、将来にわたって安定的かつ有効に機能する制度を
構築
していく必要があり、このような観点から
政府
管掌健康保険制度、雇用保険制度の見直し等を行うことといたしております。また、すべての
国民
が安心してその老後を送ることができるよう「
高齢者
保健福祉推進十か年戦略」を着実に推進するとともに、保健医療、福祉
関係
の人材確保方策を講じるなど、
国民
に身近な
施策
についてきめ細かな配慮を行っております。 文教及び科学振興費につきましては、教育行政に係る国と地方の
役割
分担の見直しを通じた初等中等教育と高等教育との間での財源配分の見直しを進め、高等教育、学術研究の改善充実、公立学校施設
整備
事業費の確保、生涯学習の推進、芸術、
文化
、スポーツの振興などの
施策
の充実に努めるとともに、
基礎
的、創造的研究を初めとする
科学技術
の振興のための
施策
を推進することといたしております。 中小企業
対策
費につきましては、
地域
中小企業の創造的
発展
支援
、中小企業の物流
共同
化、効率化への
支援
などの
施策
の内容の充実を図ることといたしております。 農林水産
関係
予算につきましては、農業を取り巻く内外の諸
情勢
を踏まえ、生産性の
向上
等を
基本
とする農業の
展開
を図り、
我が国
農業の産業としての自立性を高め、あわせて農山漁村の
活性化
に資するための
施策
を推進することといたしております。
経済協力
費につきましては、第四次中期
目標
、他の経費とのバランス等を総合勘案し、
政府開発援助
予算について七・八%増といたしており、また、効果的、効率的な援助とするため適正な評価やその内容の一層の改善を図ることといたしております。 防衛
関係
費につきましては、
中期防衛力整備計画
の
もと
、現下の厳しい
財政
事情や国際
関係
安定化に向けてさらに
動き
つつある
国際情勢
等を踏まえ、極力その抑制を図るとともに、その中にあって後方
分野
の充実に努めるなど
防衛力
全体としての均衡がとれる態勢の維持
整備
を推進することといたしております。 エネルギー
対策
費につきましては、
地球環境
保全及びエネルギー
関係
での
国際協力
の重要性を踏まえつつ、中長期的観点に立った総合的なエネルギー政策を着実に推進することといたしております。 地方
財政
につきましては、中期的な地方
財政
の健全化策を講じつつ円滑な地方
財政
運営のため
所要
の地方交付税総額を確保した上で、地方交付税の年度間調整としての特例措置等を行うことといたしております。なお、地方公共団体におかれましても、歳出の節減合理化をさらに推進し、より一層効率的な財源配分を行われますことを要請するものであります。 以上、
平成
四年度予算の大要について御説明いたしました。本予算が現下の諸
情勢
に果たす
役割
に御
理解
を賜り、何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願いを申し上げます。(
拍手
)
我が国
は、二十一
世紀
には、
世界
にも例を見ない本格的な
高齢化社会
を迎えることとなります。こうした
時代
においても、
国民
の一人一人が、また、その
子供たち
が幸せを感じることができるような、真に豊かで活力に富み、国際的にもふさわしい
役割
を果たし得る
経済社会
を創造していかなければなりません。そのためには、今
世紀
の残された期間に、しっかりとした礎を築いておくことが必要であります。 ただいま申し述べました諸
課題
を一歩一歩着実に
解決
することにより、来るべき二十一
世紀
に向けて私たちに課せられた
責任
を精いっぱい果たしてまいりたいと思います。こうした今日の地道な
努力
は、必ずや新
時代
の一層の
発展
と
繁栄
につながるものと確信をいたしております。
国民
各位の一層の御
理解
と御
協力
を切にお願いを申し上げる次第であります。以上であります。(
拍手
) ――
―――――――――――
櫻内義雄
14
○
議長
(
櫻内義雄
君)
国務大臣
野田毅君。 〔
国務大臣
野田毅君登壇〕
野田毅
15
○
国務大臣
(野田毅君)
我が国
経済
の当面する
課題
と
経済
運営の
基本
的
考え
方について所信を申し述べたいと存じます。
国際社会
の
動き
を見ると、昨年は、湾岸における武力行使を初めとして
ソ連邦
の
解体
など激動の年でありましたが、一方では、
EC
が
統合
への
動き
を強めるとともに、
アジア
・
太平洋地域
における
協力
の進展も見られました。本年は、これらの
動き
を踏まえて、新しい国際的
秩序
の
形成
に向かって
前進
していくべき年であります。 特に、
経済
面について見ると、
地球環境
、資源エネルギー、
人口
問題など
地球
的規模の
課題
に対処し、持続可能な
発展
の
基礎
条件
を整えつつ、
市場経済
と自由貿易を基軸とした
世界経済
の安定的
発展
の枠組みを
確立
していく必要があります。 こうした中で、貿易、
投資
、人、情報などさまざまな面で
国際社会
とのつながりをますます強めてきている
我が国
は、その
国際社会
へ及ぼす
影響力
の増大を十分に踏まえ、
地球
市民としてその
責任
を果たしていく必要があります。その際、
国際社会
の新たなルールづくりの中で、その
経済
規模に見合ったリーダーシップを発揮していくことが必要であります。 他方、
我が国
経済
は、着実な
経済
発展
の結果、今や、一人当たり
国民
所得は
世界
の最高水準にありますが、その成果が
国民生活
の豊かさに結びついているとは必ずしも言えません。このため、
経済社会
のあり方を、生産や
効率優先
の企業
中心
的なものから
消費者
や
国民生活
を重視したものへと転換すると上もに、質の高い
生活環境
の創造や潤いのある
生活
の
実現
を図り、
国民
一人一人が豊かさとゆとりを実感でき、多様な
価値観
を
実現
できる公正な
社会
としての
生活大国
の
実現
を目指す必要があります。 その際には、今後の
人口
の急速な
高齢化
への対応を進めるとともに、
労働
力供給制約への対応など内需
拡大
の中長期的持続のための
基礎
条件
整備
や、
国民生活
の質的
向上
のための
構造
調整を一層積極的に推進していくことが必要であります。特に、
世界
的に
市場経済
が
経済
活動の
基本
原理となりつつある現在、
経済
のグローバル化に対応した、より透明、公正な市場メカニズムの
確立
の重要性は従来以上に高まっており、一層の規制
緩和
等により、公正で開かれた
経済社会
構造
をつくり上げていかねばなりません。このように
生活大国
づくりを目指すことは、決して
我が国
が自国のみに関心を向けていくことを
意味
するものではなく、
経済社会
をより公正で開かれたものとすることなどを通じ、
我が国
が調和のとれた
対外経済関係
を
形成
し、さらには
世界経済
の
発展
にもつながっていくものであります。 次に、内外の
経済
の現状と
平成
四年度の
経済
運営の
基本
方針について申し述べたいと存じます。 まず、
世界経済
の
動向
を見ますと、
先進諸国
では、アメリカは、景気は回復はしているものの、そのテンポは依然緩やかであり、このところやや停滞感があらわれております。西欧は、ドイツでは金融引き締め等を
背景
とする内需の鈍化などから、このところ景気は調整局面に入っている一方、フランスでは景気は緩やかに
拡大
し、イギリスでは緩やかに回復に転じつつあります。
アジア
・
太平洋地域
においては、一部景気の基調が弱い国もあるものの、総じて
拡大
を続けております。旧
ソ連邦
・
東欧諸国
では、
市場経済
への移行を目指す中、生産の減少、失業の増大、インフレ加速の
懸念
などの問題が一層深刻化しております。 しかしながら、
先進諸国
では、アメリカ、イギリスなどを
中心
に、今後、景気が総じて緩やかに回復するものと見られることなどから、本年の
世界経済
は全体として昨年よりも高い成長が見込まれます。 一方、保護主義的な
動き
には根強いものがあるとともに、
発展
途上国の中には多額の累積債務を抱え依然困難な状況にある国があるなど、さまざまな
課題
が残されており、これらに対し、引き続き適切に対処していかねばなりません。特に、
世界経済
の再編成の中で、今後
世界
的な資金需要の高まりも予想される中で、
世界
的に貯蓄を増大することが重要であります。 次に、
我が国
経済
の
動向
を見ますと、
住宅
建設が減少傾向を続けてきたことなどに見られるように、このところ
拡大
テンポが減速しつつある中、失業率は低く、
労働
力需給は引き締まり基調で推移しており、
個人
消費は堅調であります。また、物価の基調は安定しております。このように
我が国
経済
は、これまでのやや過熱ぎみの高い成長から、堅実な消費、健全な企業行動に支えられた、インフレなき持続可能な成長経路に移行する過程にあると言えます。 これらの内外の
経済
動向
を勘案しますと、
平成
三年度の実質
経済
成長率は、三・七%程度になるものと見込まれます。また、物価については、卸売物価は〇・四%程度の下落、
消費者
物価は二・九%程度の上昇になるものと見込まれます。 以上のような状況を踏まえ、私は、
平成
四年度の
経済
運営に当たりましては、特に次の諸点を
基本
的な柱としてまいりたいと
考え
ております。 第一の柱は、内需を
中心
とするインフレなき持続可能な成長を図ることであります。
政府
としては、このような成長経路への円滑な移行を図るため、減速により企業家等の心理が大きく冷え込まないよう、景気に
十分配慮
した
施策
を行うことが必要であると
考え
ております。
平成
四年度の予算編成は、近年にない厳しい
財政
事情の
もと
、このような
認識
を踏まえて行われたところであり、特に公共
投資
については、
公共投資基本計画
の着実な
実施
にも資するよう、国・地方を通じ最大限の
努力
を払っております。すなわち、一般会計予算の一般歳出における公共事業
関係
費について五・三%の伸びを確保するとともに、
財政
投
融資
計画
においても公共事業
実施
機関について一〇・八%の伸びとしているほか、地方
財政
においては、地方単独事業について一一・五%の伸びが見込まれております。これらは、昨年行われた三次にわたる公定歩合の引き下げなどの
施策
とあわせて、現下の要請に十分こたえるものであります。また、昨年末の不動産
融資
の
総量規制
の解除が
住宅
供給などのための円滑な資金供給に資するものと
考え
られ、これらの諸措置により、内需主導型の景気の持続的
拡大
のための
財政
金融面からの必要な
条件
は十分整ったものと
考え
ております。
国民
各位におかれましては、一層の自信と活力を持って
経済
活動に当たられることを強く
期待
をいたしております。
政府
といたしましては、今後とも、物価と雇用の安定を図ることを
基礎
とし、
主要国
との
経済
政策の
協調
にも配慮しつつ、適切かつ機動的な
経済
運営に努めてまいります。 物価の安定は
国民生活
安定の
基本
要件であり、
経済
運営の
基盤
となるものであります。
平成
四年度についても、物価は引き続き安定的に推移し、卸売物価は〇・二%程度の下落、
消費者
物価は二・三%程度の上昇になるものと見込まれます。今後とも、原油価格、為替レート、国内需給等の
動向
を十分注視しつつ、物価の安定に最善の
努力
を尽くしてまいります。 金融政策については、内外
経済
動向
及び国際通貨
情勢
を注視しつつ、適切かつ機動的な運営を図る必要があると
考え
ております。 また、中小企業
対策
を円滑に推進するとともに、高年齢者の雇用
就業機会
の確保等各種の
労働
力需給の不均衡の改善に努めてまいります。
平成
四年度の
我が国
経済
は、以上のような
政府
の
施策
と民間
経済
の活力が相まって、
個人
消費が着実に増加すると
考え
られるほか、設備
投資
も総じて底がたく推移すると見込まれるなど、引き続き内需を
中心
としたインフレなき持続的成長を
実現
し得るものと
考え
られます。この結果、
平成
四年度の実質
経済
成長率は三・五%程度になるものと見込まれます。 第二の柱は、
経済
発展
の成果を
生活
の
分野
に配分し、豊かさを一層実感できる多様な
国民生活
の
実現
を図り、
生活大国
の
形成
を目指すことであります。 まず、
国民生活
の
基盤
をより一層充実させるために
公共投資基本計画
等を踏まえ、
国民生活
の質の
向上
に重点を置いた
社会資本
の
整備
に努めてまいります。 また、近年の
地価高騰
により、大都市において一般の勤労者が
住宅
を取得することが著しく困難となるなど、
地価
水準の適正化は現下の最
重要課題
の一つであり、
住宅
・
社会資本
の着実な
整備
、内外価格差の是正、対日直接
投資
の
促進
等のためにも極めて重要であります。このため、
土地基本法
の
理念
の
もと
に、
地価
税を初め
土地税制
の適正な
運用
に努めるとともに、土地
利用
計画
の
整備
充実等の
構造
的な
土地対策
を進める一方、金融面においては、
地価高騰
のおそれが生じた場合に不動産
融資
の
総量規制
が時期を逸することなく効果的に発動される仕組みを設けております。これらに加え、居住水準の
向上
等のため、
大都市地域
における
住宅
・宅地供給を
促進
してまいります。同時に、
東京
一極集中の是正と魅力ある
地域
づくりを図るため、
東京
からの諸機能の分散、地方都市の
整備
、農山漁村の
活性化
等に努めてまいります。 次に、
労働
時間の
短縮
に向けて、
国民
的コンセンサスの
形成
と労使の
自主的努力
に対する指導、援助等を通じ、
完全週休
二日制の普及を図るとともに、連続休暇の普及
拡大
、
所定外労働
時間の削減等を図ってまいります。 さらに、
我が国
の
生活関連
の物価水準を見ますと、諸外国と比べて依然として割高であり、このことが
国民生活
の豊かさを実感できない要因の一つとなっております。この内外価格差問題については、
政府
・与党内外価格差
対策
推進本部の決定に基づき、各般の
施策
が着実に
実施
されておりますが、引き続きその是正・縮小を囲ってまいります。
消費者
行政につきましては、
消費者
を取り巻く
環境
の
変化
に対応し、
消費者
がより安全かつ豊かな消費
生活
を営むことができますよう、
消費者
保護
会議
で決定した
施策
の積極的かつ総合的な推進を図ってまいります。特に、製造物
責任
制度については、
経済社会
の
変化
に対応した被害者救済の実効性確保等の観点から総合的な検討を行うことが緊急の
課題
であり、
国民生活
審議会において引き続き精力的な検討をお願いしているところであります。また、
消費者
教育の一層の充実や
国民生活
センター等を通じた情報提供などを積極的に推進してまいります。 また、中長期的なエネルギー需給の
動向
等を踏まえ、
地球環境
問題等に留意しつつ、省エネルギー・省資源の一層の推進を図り、資源やエネルギーを大切にする
社会
の
構築
を図ってまいります。 第三の柱は、国際
協調
型
経済
構造
への変革を推進し、保護貿易主義の抑止と
自由貿易体制
の
維持強化
に向け率先して
努力
するとともに、調和ある
対外経済関係
の
形成
と
世界経済
活性化
への積極的貢献を行っていくことであります。 このため、OTOすなわち市場開放問題苦情処理推進本部の活動等を通じて市場アクセスの改善を図るとともに、輸入品の
我が国市場
への定着などを図り、貿易の
拡大
均衡による国際的に調和のとれた対外均衡を目指してまいります。 また、対日直接
投資
を
促進
するとともに、
投資
受け入れ国との調和に配慮した海外直接
投資
を推進し、直接
投資
についても
拡大
均衡に資するよう一層の
環境
整備
に努めてまいります。 さらに、
ウルグアイ・ラウンド交渉
の
成功
に向けて一層の貢献を行い、
交渉
が
成功
裏に終結した後はその成果の着実な
実施
に
努力
をしてまいります。
日米関係
については、
我が国
にとって最も重要な二
国間関係
であります。先般の
ブッシュ大統領
訪日の際にまとめられた
東京宣言
においても、
両国
間で一層緊密なパートナーシップを
構築
することといたしておりますが、今後とも、日米の良好な
経済
関係
の維持
発展
のために
努力
してまいります。また、
欧州諸国
との
関係
につきましても、日・
EC共同宣言
等を踏まえ、その
協力関係
の
強化
に努めてまいります。
発展
途上国への
経済協力
については、援助に対する
国民
の
理解
をより深めるとともに、諸外国に対しても
我が国
の援助政策を明らかにするため、援助の
基本理念
、
考え
方を一層明確にしてまいります。また、
政府開発援助
の第四次中期
目標
に基づき、
経済協力
の拡充と効率的かつ効果的な推進を図るとともに、累積債務国等に対する資金還流を
促進
してまいります。さらに、
政府開発援助
の
実施
に際し、引き続き
環境
面への配慮に努めてまいります。
アジア
・
太平洋地域
については、その力強い成長の持続が
世界経済
の
発展
にとって重要であることから、
経済
、貿易、
投資
、人づくり等さまざまな
分野
での
協力
を一層推進するとともに、域内の
経済
情勢
、政策
課題
等についての対話を進めてまいります。 旧
ソ連邦
地域
については、その
経済
の安定及び
市場経済
への円滑な移行を
促進
することが、
世界経済
の安定にとって極めて重要でありますことから、今後の各共和国の
経済
改革
の
方向
等をも踏まえ、適切な
知的支援
等を進めてまいります。
東欧諸国
についても、適切に
市場経済
への円滑な移行を
支援
してまいります。
地球環境
については、その維持改善が
世界経済
の持続的
発展
にとって不可欠であります。このため、
我が国
としては、
環境
の保全と
経済
の安定的
発展
との両立を図ることを
基本
とし、その知識
経験
や
技術力
、研究
開発
力を駆使して、国際的
協調
の
もと
、問題の解明と
解決
に貢献してまいります。 以上、
我が国
経済
が当面する主な
課題
と
経済
運営の
基本
的
方向
について申し述べてきましたが、これらの諸
施策
を進めていくに当たっては、中長期的な展望が必要なことは言うまでもありません。
我が国
経済社会
を取り巻く
情勢
は、ここ数年の間、
冷戦
体制
の終結を初めとして大きく
変化
しており、内閣の
基本
方針を新たな
経済
計画
として速やかに
国民
にお示しする必要があると
考え
ております。このため、
政府
は、去る一月十四日、新しい
経済
計画
の策定について
経済審議会
に諮問を行ったところであります。
計画
の主要な
課題
については、第一に、
国民
一人一人が豊かさとゆとりを実感でき、多様な
価値観
を
実現
できる公正な
社会
としての
生活大国
の
実現
を目指すこと、第二に、二十一
世紀
を展望し、
生活大国
の
基礎
となる活力ある
我が国
経済社会
の
発展
基盤
を
整備
すること、第三に、
地球
的規模の
課題
への取り組みを通じ、
地球
の平和と
繁栄
に積極的な
役割
を果たすこと、この三点であり、今後、
経済審議会
においてこれらを
中心
に精力的に御議論いただく予定であります。 冒頭にも述べましたとおり、
我が国
は、その
国際社会
における地位にふさわしい
役割
と
責任
を積極的に果たし、
世界経済
活性化
に積極的に貢献していくことが必要となっております。 また、今後の
我が国
の
経済
運営に当たっては、
生活大国
づくりを目指し、中長期的に持続可能な内需主導のインフレなき成長を続けていくことが極めて重要であり、
我が国
経済
が
世界経済
の中で占めるウエートの大きさを踏まえると、それが結果としても
世界経済
の安定的
発展
にも資することとなると
考え
ております。 こうした
生活大国
づくりを目指す際には、
個人
、企業、
社会
の間のよりよい
関係
を
確立
しつつ、
男性
、
女性
を問わず
国民
一人一人の
多様性
に満ちた生き方、個性や持ち味が尊重されるとともに、
高齢者
や
障害者
が生き生きと暮らせるような
社会
をつくり上げていくことが大切であります。 私は、このような多様なライフスタイルの自由な選択を可能とするような、豊かで、潤いのある、公正で開かれた
経済社会
づくりを目指して
努力
していくつもりであります。 これらの内外の諸
課題
に対処していくためには、これまでの制度、
考え
方などを大きく
変化
させるとともに、それに伴い痛みや負担を負うことが必要となる場合もありましょう。また、我々にとって
経験
の乏しい仕事に敢然と立ち向かわざるを得ない場合もあるでしょう。しかし、
我が国
が、
国際社会
の中でその能力にふさわしい地位を占めるとともに、
国民
一人一人が生き生きと暮らせるような
社会
をつくり上げていくためには、困難があっても、これらの諸
課題
に力強く取り組んでいくことが必要であります。
国民
の
皆様
の御
支援
と御
協力
を切にお願い申し上げる次第であります。(
拍手
) ――
――◇―――――
木村義雄
16
○木村義雄君
国務大臣
の
演説
に対する質疑は延期し、来る二十八日午後一時から本
会議
を開きこれを行うこととし、本日はこれにて散会されることを望みます。
櫻内義雄
17
○
議長
(
櫻内義雄
君) 木村義雄君の動議に御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
櫻内義雄
18
○
議長
(
櫻内義雄
君) 御
異議
なしと認めます。よって、動議のとおり決しました。本日は、これにて散会いたします。 午後三時五十七分散会 ――
――◇―――――