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仙谷委員 ちょっと
お答えになられた視点が違うかと思うのですね。つまり、
現行制度の中で、
法律扶助協会というものを使って
現行制度の中でもやる気があればできるんだというのがまず出発点になっているわけですよ。それを模索してきたのが
家庭裁判所だと思う、
少年事件については。現在、刑事事件についても、弁護士会が弁護人推薦
制度というのをつくったりあるいは当番弁護士
制度というものをつくって、現在の国選弁護人は被告人になってから以降しか付されませんから、それ以前の捜査段階での弁護活動を充実してやろう、そのことが冤罪を防ぐ道である、あるいは冤罪でなくてもその人の
権利を保障する道であるということでやり始めているわけですね。いずれにしてもその部分については、ある期間とかある回数であれば弁護士の方も奉仕でやるでしょう。やっていらっしゃる方、いっぱいおりますから。特に
少年事件の今回問題になったこういう事件を担当されている弁護士さんなんかは、ほとんど持ち出しでやってここまで来ているわけですね。しかし、それがシステムになったら、全部ただということになるとうまくいかないわけですね。そこで、
法律扶助
制度に対する国のかかわり方の問題になるわけでございます。
現在「
法律扶助事業費補助金交付要領」というのが
法務省にあるようですね。この交付要領によって、要するに
日本の場合には、
法律扶助協会に対する国のお金というのは、民事事件の訴訟、民事訴訟の扶助にしか使えないという建前で、今補助金が、何かことしは一億五千万ぐらいですか、微々たるものが補助金として交付されておる、こういうことになっておるわけですね。
ここに
法律扶助協会が外国へ行って調べてきた「英国・ドイツの
法律扶助」という報告がございます。こういうのを拝見しますと、
法律扶助の中でも相当重要視しなければいけないのは、我々は
法律相談と言っていますけれ
ども、
法律上の助言を与えるための財源的な措置、それから刑事事件、我々の感覚からいうと刑事事件のうちの
一つに
少年事件というのがあるのですけれ
ども、
少年保護事件、こういうものがあるわけです。これを事件が始まったときから、つまり警察的に言うと捜査に着手されたときから弁護活動あるいは
少年事件における弁護的な活動が、付添人の活動が始まらなければいけない。そういう観点で言いますと、
日本の場合は
法務省が頭を切りかえていただいて、それは刑事的なことも民事的なことも、
法律相談にも、刑事事件、
少年事件にも
法律扶助が行われるような手だてを考えなければ、弁護士と国民のある種の距離間とかそれから料金の問題つまり資力の問題とか、解決できない問題があるのではないかと思います。
ちなみにイギリスというのは、刑事
法律扶助だけで
日本円で四百二十九億円、当番弁護士
制度に百十億二千五百万円と書いてあります。刑事事件の法的な助言、援助に二十八億五千万円という金が使われておるわけでございます。この当番弁護士
制度のお金なんかはほぼ一〇〇%国庫の補助金、それから先ほど申し上げました刑事事件、刑事
法律扶助というのは九〇%以上が国庫補助であ
る、こういうことになっておるわけです。ドイツも三百三十九億円というお金が、これは全事件を通じて扶助がなされておるわけです。扶助に対する国庫あるいは地方政府の助成措置がなされておる、こういうことになっておるわけです。やはりここまでいくべきではなかろうかというふうに私は考えるわけであります。イギリスの場合には、特に刑事事件の被疑者、被告人の場合、給付を受ける人は全国民の六〇%くらいまで給付を受けられる、そういう水準の高さになっておるというのですね。
もっと言いますと、弁護士の経験からいいますと、今の刑事事件で、本当は刑事事件というのは個人が罰せられますから、個人として今の税制が
前提になる限り、刑事事件の報酬を払えるという人は私はほとんどいないと思いますね。だから、リクルートの江副さんやロッキードの田中さんがどこからお金を捻出してきておるのか、厳密に言えば私は不思議なんですね。可
処分所得がそんなに残るはずがないんですよ、
日本は、フローだけからいいますと。だから、ストックがある人がそれを
処分して弁護士につき込むというのだったら話はわかりますけれ
ども、フローであれば、それはちょっと大臣も自分の給料と税金の
関係をお考えになったら、刑事事件に自分がなったときとかあるいは選挙違反で大量の選挙違反者が出たときにどうするかということを考えて、弁護士に払う着手金、報酬は、これは税金を取られた後の可
処分所得だけということになったら、多分弁護士報酬を払えるという人は僕はいないと思うのです。サラリーマンの方々も、非常に厳しいけれ
ども、預金をしておったものとか、何とか取り崩して持ってきていらっしゃるんだと思うのですよ、刑事事件になったら。
だから、そういう
前提で考えますと、とりあえずは刑事事件についても
法律扶助が出動する、そして資力のある人は資力に応じて返してもらう、こういう
法律扶助
制度の本来のところに返ってこないと、刑事事件あるいは
少年事件、あるいは刑事事件的、民事事件的な
法律相談についてのそういうリーガルサービス、本来の
意味のリーガルサービスを国民が受けられる実体的な担保がないんじゃないかと思うのですね。そこで、私はこの際思い切って、何か参議院の方では林田悠紀夫議員に
法律扶助
制度の充実について質問をされたようでございますけれ
ども、頭を切りかえて本当の
意味での予算というものをつける、そのためには現在のような財団法人
法律扶助協会では困るということならば、やはり
法律扶助の
法案をつくってそういう法人をつくるということが必要なのではないのかな、こう考えておるわけでございます。
そこで、最後に法務大臣に、たまたまきょう話題になりましたのは
少年事件と刑事事件でございますけれ
ども、この
法律扶助を私が申し上げたような方向に向けていく、これからますます複雑多様化する社会において、どのような立場の人もどのような階層の人もリーガルサービスがちゃんと受けられるように実体的に保障していくということをお願いしたいわけですが、法務大臣、いかがでございますか。