○
氣賀澤参考人 長野県
JA伊南の
組合長の
氣賀澤隆三でございます。
私
たちの
農協は四
市町村にまたがっておりまして、八つの
農協が
合併をいたしました。そうして、ことしでちょうど満二十年を迎えたところでございます。これを契機にしまして、さらに二〇〇一年に向けて
長期ビジョンを策定しまして、その第一年度としてスタートしたところでございます。その新しい
経営方針は、すてきなライフワークである
農業を
実現しようということ、もう
一つは、もっと多彩にさらに豊かな暮らしを
実現しよう、そして
三つ目に、
期待を先取りする
事業展開をしようということがその要旨でございます。
たまたまこれと軌を一にしまして、ちょうど三年前から
職員を
中心とした、いわゆる職場のCIをいわば本格的に取り組んでまいりました。その
目標は、新
共感社会の
実現に向けて
コミュニティーライフの
質的向上を図るためのサービスを提供することを使命とするというふうに考えております。そして、
地域の人々と触れ合い、最も愛される存在となることを
目標といたしております。
長期計画とあわせて
実行音始めたとこうでございます。
さて、今回御
指名をいただきました
役割につきまして若干
意見を述べたいと思います。
合併助成法の
延長や
農協制度の
改正案等のことにつきましては
松旭常務のお話しのとおりでございまして、私
たち農協の
現場から見ましても極めて必要なことだ、かつ時宜を得たことだと思っております。
その中で、
営農指導事業は、端的に申し上げて
賦課金によって賄うことが原則とされておりますが、
実態は毎年本会計からかなり
繰り入れをいたしております。したがいまして、ほかの
事業の
独立採算制に対して極めて大きな負担をかけておる
実態でございます。その
強化のためには、我々の
努力も必要でございますが、一層の御
支援をお願いするところでございます。
次に、
農業経営の
取り組みの
強化の問題でございますが、言えば長くなるわけでございますが、
現状は各
市町村ごとに
営農センターが
確立をいたしましてそれぞれ
実行いたしております。特に
生産者と
農協と
行政と三
者一体で
実行をいたしております。
なお、
農地保有合理化促進事業あるいは
農地信託事業等がそれぞれ
現場におりてまいりまして漸次改善をされておるように思いますが、
農業の
担い手の問題は依然深刻、喫緊な
課題だと思っております。
従来、国は
自立経営、
規模拡大ということを政策の
基本に置いてまいったというふうに思っております。さらに
農業法人、
農協における
経営などの
担い手の選択肢を
拡大するという
方向にあると思料をいたしております。私はかねがね持論としまして、もはや個々の
後継者には限度があると思っております。
集落単位の
担い手、
農協組織による
担い手の
確保が現実的だと思っております。かつその時代だと思っております。したがいまして、私は
農協が
農地を取得する道も開いて、そして
農協の
職員がオペレーター、そして
農地管理あるいは機械の
効率運用、つまり身分の安定した
職員が
実行することができたならば、これは
コスト低減等にもつながる
競争力を得ると思いますし、従来の極めて複雑な許認可を避けて、最もシンプルな手法だというふうに信じております。
次に、
地域活性化対策でございますが、
高齢者福祉対策につきまして、私
たちの
農協はここ数年決算時に
福祉基金として毎年積み立てをいたしております。加えまして、
生活部会の
組合員の方からの自主的な
積立金もあわせまして
福祉基金の造成に努めております。その他、自主的に助け合いの
制度あるいは
介護技術の
研修等を
実行いたしております。最近かなりこの方の
進展に伴いまして
行政といろいろな
機能分担について相談をしておるところでございます。
長野県は
厚生連病院が極めて、
自画自賛ですが整っておりますので、将来
厚生連病院とタイアップをしまして、新たな
施設の
取り組みを検討したい、しつつあります。
次に、
信用事業でございますが、従来この
収益は、
総合農協におきましては特に
営農指導事業あるいは
福祉、
教育等地域活性化についての
財源としておるところでございます。しかし、金利の
自由化によりましてかなり苦労をいたしております。しかし、自流の
運用力強化に努めておるところでございます。しかし、
現場の声としましては、
先ほどお話のありましたように、各種の
公庫資金の貸し付けの
事務量などが膨大になっておりまして、これが
農協にとりましてはトンネルでございます。そのことも含めまして、これは全部
政府資金でございますので、もう少し
農協の
資金を活用してほしいな、さらに、最低限、当面手数料が本当に微々たるものでございますので、この増額をお願いしたいということを率直に申し上げるわけでございます。
次に、
経営管理体制でございますが、
理事会、
総代会、
代表理事会等の
機能の問題につきましては、
先ほど松旭常務の方から話のあったとおりでございますので重複を避けたいと思います。
機動性のある
執行体制が必要だと思っております。
しかし、
役員の選出に際しましては、
民主的選挙制というものはやはり私は原則的に必要だと思っております。しかし、それに加えて、女性、
青年、
生産部会の
代表等に
機会を開く、この補助的な手段として
専任制、
推薦制を併用することが私の土地の風土としては好ましいと思っております。
合併助成法の
延長はぜひ必要だと思います。私
たちは
農産物の銘柄を高めて、より
競争力をつけ、充実した
経営体を維持していきたいと思いまして、今度上伊那、つまり一郡一
農協を目指しまして、既に研究を重ね、
実現に向けて
努力中でございます。よく論議されますことは、これも
松旭常務からお話がありましたように、各基金だとか負担金等については損金の方へ算入できるような措置をしていただければ、この
促進上本当に助かるなというふうに思っております。
なお、
広域合併の
課題としまして、
市町村行政との
連携の問題を問われがちでございます。もちろん良好な関係を保つために積極的に手だてはいたしておりますが、この
機会に、僭越でございますが、一方、
市町村行政の中には旧態依然たるものがあると私は思料しております。
市町村の広域
行政合併の
促進に別の面から
促進をいただければより幸いだというふうに思っております。
さて、もう一、二分お願いします。
せっかくの
機会でございますので、失礼ながら蛇足を加えたいと思いますが、私は昭和三十年から今日まで三十六年間、連続して
農協の
理事を務めてまいっております。それ以前、終戦直後の
農協創立以来、集落の運営
委員を務めてまいっておりますので、私は青春から今日まで兼職を避けて
農協一筋、先ごろの記録では、
農協は私の人生というふうに自覚をした次第でございます。
今顧みてみますと、肥料の配給、食糧の供出、近代化、
多様化、目まぐるしい環境の
変化の中で、
地域の
農業、農村を支えてきたのはまさに
農協であると私は確信し、自負するものでございます。しかし、
農協は企業
努力を問われ、営利を目的としない法人でありながら、現実に赤字を出したら
組合長は終わりでございます。極めて特殊な
経営責任を持っております。そして、農家の社会的、経済的地位の向上を図ることを使命とはしておりますけれ
ども、
農協自体の地位は極めて低いというふうに思っております。例えば、
行政に対しては隷属的な
組織でございます。また、公的性格の仕事をしながら、民間の業者あるいは郵貯等の官業との
競争にさらされております。かつ、
地域においては幾つかの
農業団体がございます。それらの
機能とかなり重複、競合をいたしております。
農協ではこうしろ、ああしろといろいろ注文、御批判をいただくわけでございますが、その割に――まあ次の言葉は割愛します。
そこで、私の願いは、今後の
農協制度の見直しに際しましては、マクロの見地から
農協の公的、社会的地位の向上を図れるように、その措置を懇願いたすものでございます。そのことによりまして、
全国津々浦々にある
農協によりよい
職員が集まりまして、彼らの企画力と今まで鍛えてきた
実行力によりまして、日本が今抱えておる多くの
農業問題の
課題をかなりの部分解決できると思っております。農村、日本の
活性化に貢献できると信じておる次第でございます。
終わりに蛇足を加えて恐縮に思いますが、得がたい
機会でございますので、一言加えまして
意見の発表にします。よろしくお願いします。(
拍手)