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1992-04-23 第123回国会 衆議院 農林水産委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年四月二十三日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 高村 正彦君    理事 岩村卯一郎君 理事 金子徳之介君    理事 杉浦 正健君 理事 簗瀬  進君    理事 石橋 大吉君 理事 前島 秀行君    理事 藤原 房雄君       赤城 徳彦君    上草 義輝君       内海 英男君    大原 一三君       金子原二郎君    亀井 久興君       北村 直人君    佐藤謙一郎君       鈴木 俊一君    西岡 武夫君       鳩山由紀夫君    保利 耕輔君       星野 行男君    松岡 利勝君      三ッ林弥太郎君    御法川英文君       宮里 松正君    柳沢 伯夫君       有川 清次君    佐々木秀典君       志賀 一夫君    田中 恒利君       竹内  猛君    辻  一彦君       鉢呂 吉雄君    堀込 征雄君       目黒吉之助君    倉田 栄喜君       西中  清君    藤田 スミ君       小平 忠正君    阿部 昭吾君  出席国務大臣         農林水産大臣  田名部匡省君  出席政府委員         農林水産大臣官 馬場久萬男君         房長         農林水産大臣官 今藤 洋海君         房審議官         農林水産省経済 川合 淳二君         局長         農林水産省畜産 赤保谷明正君         局長  委員外出席者         参  考  人         (全国農業共同 松旭 俊作君         組合中央会常務         理事)         参  考  人         (宮崎経済農 三宅 一美君         業協同組合連合         会常務理事)         参  考  人         (長野伊南農 氣賀澤隆三君         業協同組合組合         長理事)         農林水産委員会 黒木 敏郎君         調査室長     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十三日  辞任         補欠選任   石破  茂君     北村 直人君   西岡 武夫君     佐藤謙一郎君 同日  辞任         補欠選任   北村 直人君     石破  茂君   佐藤謙一郎君     西岡 武夫君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農業協同組合法の一部を改正する法律案内閣  提出第六六号)  農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律  案(内閣提出第六七号)      ――――◇―――――
  2. 高村正彦

    高村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出農業協同組合法の一部を改正する法律案及び農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。  本日は、両案審査のため、参考人として全国農業協同組合中央会常務理事松旭俊作君、宮崎経済農業協同組合連合会常務理事三宅一美君、長野伊南農業協同組合組合長理事氣賀澤隆三君、以上三名の方々に御出席をいただき、御意見を承ることにいたしております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、審査参考にいたしたいと存じます。  次に、議事の順序について申し上げます。  松旭参考人三宅参考人氣賀澤参考人の順にお一人十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっておりますので、御了承願います。また、参考人委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。  それでは、松旭参考人にお願いいたします。
  3. 松旭俊作

    松旭参考人 おはようございます。私、全国農協中央会松旭でございます。  日ごろ先生方には、系統農協各般にわたりまして格別の御指導、御支援を賜っておりまして、この機会に厚く御礼申し上げる次第でございます。  私からは、今回の農協法並びに農協合併助成法改正に関連いたしまして、系統農協が現下の情勢変化のもとで取り組むべき重点課題についてその要点を申し上げ、御参考に供したいと存じます。  まず、農協を取り巻く環境、情勢でございますが、私から改めて申し上げるまでもないわけでございますけれども、我が国の農業は、国際化進展経済社会構造変化が進む中で、耕作放棄地増大とか担い手不足とか、いろいろな大きな問題に直面いたしております。また、農村地域におきましては、高齢化過疎化進行によりまして、活力低下が一層顕著になっております。一方、農協事業経営の面におきましても、組合員の意識、ニーズ変化金融自由化進展、他業態との競争激化などによりまして困難性増大しつつございます。  こうした状況に対処いたしまして、農協がこれから果たしていくべき役割といたしましては、農業面生活面への幅広く、かつ直接的なかかわり合いを強めていく、そういうことによりまして地域農業の振興や農村地域活性化中心的な役割を果たしていかなければなりません。そして、多様化し、高度化する組合員ニーズに対して的確な対応を図っていくことが今日的に強く求められているわけでございます。  こうしたことから、系統農協が取り組むべき第一の課題といたしましては、こうした役割を果たしていく上で、農協が必要な事業機能拡充を図って、取り組み強化していくことでございます。  その一つは、農業生産面における系統農協取り組みであります。農協基礎的事業であります営農指導事業について体制整備を図り、一層の機能発揮に努めていかなければならぬと考えております。また、これまでのコスト低減対策農産物品質向上安全対策に加えまして、担い手減少高齢化対応いたしまして、農地信託事業農地保有合理化促進事業などの農用地利用調整活動強化受託農業経営事業拡充農事組合法人活性化対策に取り組んでまいりたいと考えております。  また、地域活性化対策につきましては、特に農村地域における高齢化問題が大変大きな問題でございまして、今後避けて通れない課題でございます。このことにつきましては、行政とも十分連携を図りながら、老人の福祉事業に取り組んでいかなければならないと考えております。  なお、信用事業におきましては、さきの金融制度調査会の取りまとめの方向に沿いまして、外国鳥賛国債等窓販ディーリング業務等の新たな業務を初めとして、他業態に劣後しない機能を具備していかなければならないわけでございます。この農協連合会信用事業並びに農林中金の機能整備につきましては、別途、金融一括法により機能整備をお願いすることとしておりますので、本日の農協二法とあわせまして諸先生方の特段の御理解、御支援をちょうだいいたしたいと考えでございます。  第二の課題は、農協経営管理体制整備強化対策についてでございます。  農協合併進展することに伴いまして、合併農協組合員数事業規模は現在より格段に大型化いたします。また、経営の中身も大変複雑なものになってまいります。これに伴って、一方では経営リスク増大も懸念されるところでございます。このため、今後の合併農協事業運営に当たりましては、組合員意向を十分にくみ上げ、これを事業に的確に反映させていくとともに、農協経営のかじ取りというものを適切かつ失敗のないようにやっていくことが極めて重要な課題であると考えております。  こうした観点から、経営執行体制面におきましては、理事会代表理事責任権限を明確にした機動性のある執行体制確立しますとともに、高度専門的な業務への対応組合員等の適切な意思反映を図るため、学識経験者とか青年層婦人層からの役員登用を積極的に推進していかなければならないと考えております。  また、内部牽制体制につきましては、監事権限強化による的確な監査の実施と学識経験者監事への登用等による監査体制整備を図ってまいりたいと考えております。  第三の課題でございます。これは系統農協組織整備への取り組みに関してでございます。このことにつきましては、昨年三月に全中会長諮問機関であります総合審議会において、事業二段・組織二段を基本とします将来方向が示され、昨年十月の全国農協大会で決議したところでございます。  この組織整備最大のねらいといたしておりますところは、組合員期待にこたえる立派な農協をつくっていくんだということで、このためには農協合併を積極的に推進しますとともに、農協に自己完結的な事業機能の具備と自己責任経営が可能な体制確立を図っていくことであると考えております。  なお、農協合併の推進につきましては、現在各県で大変意欲的な取り組みが進められております。県及び全国段階連合組織といたしましても、合併最大のネックになっております固定化債権解消対策として一定のファンドを造成して、合併促進について支援をしてまいりたいと考えております。  組織整備のもう一つのねらいでございますが、現在市町村段階農協県段階連合組織全国段階連合組織、三段階から成る事業方式を、農協合併進展に伴いまして、合理的、効率的な方式として事業二段に組みかえていくということであります。また、組織についても、こうした新しい事業方式対応いたしまして、農協統合連合組織組織二段を基本として再編していきたいと考えておるものでございます。  ただ、こうした系統農協を通ずる事業組織改革への取り組みにつきましては、県ごと農協合併進捗状況が異なったり、事業実態もさまざまでございますので、一律、一斉に進まないという面も当然ございます。したがいまして、それぞれの県や事業実態を踏まえて、平成五年三月までに実行方策を策定し、できるところから可及的速やかにやっていくということにいたしておるものでございます。  以上申し上げました系統農協の今後の取り組み課題につきましては、昨年十月に開催いたしました第十九回全国農協大会におきまして「農協・二十一世紀への挑戦と改革」として決議したところでございます。組織の総力を挙げて取り組んでいく所存でございます。  どうか諸先生方におかれましては、こうした我々系統農協取り組みについて御理解をいただきまして、農協法並びに農協合併助成法改正につきまして特段の御支援を賜るようお願い申し上げまして、私の意見とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手
  4. 高村正彦

    高村委員長 ありがとうございました。  次に、三宅参考人にお願いいたします。
  5. 三宅一美

    三宅参考人 私は、宮崎経済連三宅でございます。  日ごろから諸先生方には農協事業につきまして大変お世話になっておりますことを、この席をかりまして厚く御礼を申し上げたいと思います。  本日は、委員長の御指名に従いまして、私は主として系統経済事業における営農指導事業強化なり、また農業経営等に関します取り組み強化、特に受託農業経営等について御意見を申し上げまして、御参考に供したいと存じます。  参考人としての具体的な意見を申し上げます前に、まず、私が所属をいたしておりますJA経済連役割なり機能、そしてこれも私ども事業基盤であります宮崎県の農業の概要について若干触れさせていただきたいと思います。  宮崎県の農業生産額は、平成二年度におきまして三千七百四十五億円、これは全国第八位で、全国に占めますシェアは三・三%でございます。宮崎県の農家戸数全国の一・八%にすぎませんので、その意味から申し上げますと、我が宮崎県は全国上位農業県としての位置づけをしてもよろしいかと考えます。  さらに、その内容でございますけれども宮崎県の特性は、何と申しましても畜産と野菜を中心といたしました園芸事業にその特徴を求めることができるかと存じます。それぞれの品目農業生産額に占めます割合は、畜産で五四・八%、二千五十二億円でございます。園芸事業で二九・一%、一千九十億円となっております。この二品目で全体の八四%を占めておるわけでございます。その中で特に畜産は、他の品目に比べましてそれ自体が大変に重装備の農業経営形態で、さらに本県農業に占めます圧倒的なシェア。このようなことを考えますと、宮崎県の畜産は、一人一人の生産規模の問題以上に県全体としても大変大きな規模を有していると言えるのではないでしょうか。また、宮崎県の園芸事業におきましても、その焦点を私どもは、投資額は大きいわけでありますが、収益性の高い施設園芸拡大に当てております。  こうした宮崎県の農業生産を担っているのが、六万七千戸の農家組合員と県下二十三農協並びに農協活動補完しております経済連でございます。宮崎経済連は、農協で取り扱います集荷販売数量の約九〇%について販売加工を担っておるわけでありまして、畜産で一千百二十二億円、園芸で七百二億円、米その他で一千十一億円に上っております。こうした事業活動のほかに、経済連農協補完する機能として大きな活動の分野を占めておりますのが、営農指導事業でございます。この点は今回の法改正におきましても課題となっており、意見を含めまして申し述べたいと存じます。  今日の農業における主要課題一つとして、先ほどもありましたが、中核的な担い手中心としました農業労働力減少なり耕作放棄地増大、それから中山間地域活力低下等による農業体質脆弱化進行指摘されております。農協組織自体が克服すべき課題といたしましても、国際化への対応を抱え、競争激化が一段と進行してまいっております中で、農協組織組合員高度化多様化するニーズにどのようにこたえてまいるのか、あるいは農業技術高度化に対し農協組織がどのように対応してまいるのか等の御指摘がございます。これはいずれも連合会機能単協指導機能がこれまで以上に連携をし、より高い次元での指導が可能になって初めて達成される課題だというふうに理解をしております。  また、農協組織では、これまでにも営農指導員中心としてこれらの対応に日夜努力を傾けてまいっておりますが、今申し上げましたような現状で、必ずしも十分な対応ができておるとは申せません。系統組織にとって営農指導機能は、販売事業購買事業信用事業等と有機的に結びつきまして、農協事業全体に相乗的な効果をもたらす基本的かつ中心的な事業として位置づけられております。しかしながらその実態は、多くの人の指摘にもありますように、特に指導事業収益性におきましては信用事業等からの繰り入れに大きく依存をしております。それが実情でございまして、営農指導のための安定的な財源確保、これは信用事業等収益性に陰りが出てきた昨今の事情の中では非常に重要な課題として再び浮上してまいっております。  また、近年の人手不足、こういう状況を反映いたしまして、農協雇用状況も非常に窮屈になってまいっております。一定水準技術なり能力、経験等、こういうものを必要とする営農指導員確保、こういう面になりますとさらに困難をきわめているというのが現状でございます。まして、昨今での技術高度化なり多様化に伴う質の高さが求められていることを考えますと、いずれにしましても県連合会の強力な補完が必要になってくる一このように考えるわけでございます。  次に、畜産経営等補完対策といたしましての受託農業経営県連合会への付与の問題に関しまして意見を申し述べさせていただきます。  農業経営受託事業につきましては、これまでも出資単協にしか認められておりませんが、とりわけ畜産においては急速な規模拡大なり専門化等に伴いまして技術指導等について単協ではその対応が限界となりつつあります。県連合会の保有する施設なり技術、それから資金を活用した農業生産役割期待する意向が非常に強まってまいっております。冒頭に宮崎県農業の特質について申し述べましたが、全国におきましても、特に畜産におきましては施設飼養規模とも大型化進行しております。それは、前にも述べましたように必然的に資金大型化なり技術高度化へつながってまいりまして、人的な対応を含めて単協では十分に対応し切れなくなってきております。  このようなスケールの大型化が進み、技術高度化が進んだ経営体の中での機能のあり方、実態に合致して柔軟に対応できることが何よりも必要だと考えます。また、損益計算が非常に難しい、こういうことでございますので、その簡素化についてもよろしくお願いしたいと存じます。  最後に、組織合併への取り組みについて若干述べさせていただきます。  本県におきましては、第一次農協合併助成法によりまして、当初百十二農協あったものが五十六農協になり、そして昭和四十六年に全国に先駆けて営農団地対応した広域合併、こういう実現について、農協、県連の段階別機能分担、それから合理化効率化を目指して一九七〇年代における宮崎農協基本構想を決議いたしまして、その実現努力してまいった次第でございます。その結果、五十六農協あったものが半分以下の二十三農協に現在減少しております。しかしながら未合併農協が残っておりまして、農協間の規模格差も非常に大きくなりました。県連合会合理化なり効率化も完結に至っていないのが現状でございます。  そこで、昨年開催の県農協大会におきまして、営農生活指導事業強化なり経営基盤強化観点から、十三農協構想を早期に実現をいたしまして、系統を通ずる合理化効率化システムを構築するために実行方策平成五年三月までに作成をしたい、こういうことで努力しているところでございます。そのためにも、ぜひ農協合併助成法改正について、その実現をお願いしたいと存じます。  以上、私の意見陳述を終わります。どうもありがとうございました。(拍手
  6. 高村正彦

    高村委員長 ありがとうございました。  次に、氣賀澤参考人にお願いいたします。
  7. 氣賀澤隆三

    氣賀澤参考人 長野JA伊南組合長氣賀澤隆三でございます。  私たち農協は四市町村にまたがっておりまして、八つの農協合併をいたしました。そうして、ことしでちょうど満二十年を迎えたところでございます。これを契機にしまして、さらに二〇〇一年に向けて長期ビジョンを策定しまして、その第一年度としてスタートしたところでございます。その新しい経営方針は、すてきなライフワークである農業実現しようということ、もう一つは、もっと多彩にさらに豊かな暮らしを実現しよう、そして三つ目に、期待を先取りする事業展開をしようということがその要旨でございます。  たまたまこれと軌を一にしまして、ちょうど三年前から職員中心とした、いわゆる職場のCIをいわば本格的に取り組んでまいりました。その目標は、新共感社会実現に向けてコミュニティーライフ質的向上を図るためのサービスを提供することを使命とするというふうに考えております。そして、地域の人々と触れ合い、最も愛される存在となることを目標といたしております。長期計画とあわせて実行音始めたとこうでございます。  さて、今回御指名をいただきました役割につきまして若干意見を述べたいと思います。  合併助成法延長農協制度改正案等のことにつきましては松旭常務のお話しのとおりでございまして、私たち農協現場から見ましても極めて必要なことだ、かつ時宜を得たことだと思っております。  その中で、営農指導事業は、端的に申し上げて賦課金によって賄うことが原則とされておりますが、実態は毎年本会計からかなり繰り入れをいたしております。したがいまして、ほかの事業独立採算制に対して極めて大きな負担をかけておる実態でございます。その強化のためには、我々の努力も必要でございますが、一層の御支援をお願いするところでございます。  次に、農業経営取り組み強化の問題でございますが、言えば長くなるわけでございますが、現状は各市町村ごと営農センター確立をいたしましてそれぞれ実行いたしております。特に生産者農協行政と三者一体実行をいたしております。  なお、農地保有合理化促進事業あるいは農地信託事業等がそれぞれ現場におりてまいりまして漸次改善をされておるように思いますが、農業担い手の問題は依然深刻、喫緊な課題だと思っております。  従来、国は自立経営規模拡大ということを政策の基本に置いてまいったというふうに思っております。さらに農業法人農協における経営などの担い手の選択肢を拡大するという方向にあると思料をいたしております。私はかねがね持論としまして、もはや個々の後継者には限度があると思っております。集落単位担い手農協組織による担い手確保が現実的だと思っております。かつその時代だと思っております。したがいまして、私は農協農地を取得する道も開いて、そして農協職員がオペレーター、そして農地管理あるいは機械の効率運用、つまり身分の安定した職員実行することができたならば、これはコスト低減等にもつながる競争力を得ると思いますし、従来の極めて複雑な許認可を避けて、最もシンプルな手法だというふうに信じております。  次に、地域活性化対策でございますが、高齢者福祉対策につきまして、私たち農協はここ数年決算時に福祉基金として毎年積み立てをいたしております。加えまして、生活部会組合員の方からの自主的な積立金もあわせまして福祉基金の造成に努めております。その他、自主的に助け合いの制度あるいは介護技術研修等実行いたしております。最近かなりこの方の進展に伴いまして行政といろいろな機能分担について相談をしておるところでございます。長野県は厚生連病院が極めて、自画自賛ですが整っておりますので、将来厚生連病院とタイアップをしまして、新たな施設取り組みを検討したい、しつつあります。  次に、信用事業でございますが、従来この収益は、総合農協におきましては特に営農指導事業あるいは福祉教育等地域活性化についての財源としておるところでございます。しかし、金利の自由化によりましてかなり苦労をいたしております。しかし、自流の運用力強化に努めておるところでございます。しかし、現場の声としましては、先ほどお話のありましたように、各種の公庫資金の貸し付けの事務量などが膨大になっておりまして、これが農協にとりましてはトンネルでございます。そのことも含めまして、これは全部政府資金でございますので、もう少し農協資金を活用してほしいな、さらに、最低限、当面手数料が本当に微々たるものでございますので、この増額をお願いしたいということを率直に申し上げるわけでございます。  次に、経営管理体制でございますが、理事会総代会代表理事会等機能の問題につきましては、先ほど松旭常務の方から話のあったとおりでございますので重複を避けたいと思います。機動性のある執行体制が必要だと思っております。  しかし、役員の選出に際しましては、民主的選挙制というものはやはり私は原則的に必要だと思っております。しかし、それに加えて、女性、青年生産部会代表等機会を開く、この補助的な手段として専任制推薦制を併用することが私の土地の風土としては好ましいと思っております。  合併助成法延長はぜひ必要だと思います。私たち農産物の銘柄を高めて、より競争力をつけ、充実した経営体を維持していきたいと思いまして、今度上伊那、つまり一郡一農協を目指しまして、既に研究を重ね、実現に向けて努力中でございます。よく論議されますことは、これも松旭常務からお話がありましたように、各基金だとか負担金等については損金の方へ算入できるような措置をしていただければ、この促進上本当に助かるなというふうに思っております。  なお、広域合併課題としまして、市町村行政との連携の問題を問われがちでございます。もちろん良好な関係を保つために積極的に手だてはいたしておりますが、この機会に、僭越でございますが、一方、市町村行政の中には旧態依然たるものがあると私は思料しております。市町村の広域行政合併促進に別の面から促進をいただければより幸いだというふうに思っております。  さて、もう一、二分お願いします。  せっかくの機会でございますので、失礼ながら蛇足を加えたいと思いますが、私は昭和三十年から今日まで三十六年間、連続して農協理事を務めてまいっております。それ以前、終戦直後の農協創立以来、集落の運営委員を務めてまいっておりますので、私は青春から今日まで兼職を避けて農協一筋、先ごろの記録では、農協は私の人生というふうに自覚をした次第でございます。  今顧みてみますと、肥料の配給、食糧の供出、近代化、多様化、目まぐるしい環境の変化の中で、地域農業、農村を支えてきたのはまさに農協であると私は確信し、自負するものでございます。しかし、農協は企業努力を問われ、営利を目的としない法人でありながら、現実に赤字を出したら組合長は終わりでございます。極めて特殊な経営責任を持っております。そして、農家の社会的、経済的地位の向上を図ることを使命とはしておりますけれども農協自体の地位は極めて低いというふうに思っております。例えば、行政に対しては隷属的な組織でございます。また、公的性格の仕事をしながら、民間の業者あるいは郵貯等の官業との競争にさらされております。かつ、地域においては幾つかの農業団体がございます。それらの機能とかなり重複、競合をいたしております。農協ではこうしろ、ああしろといろいろ注文、御批判をいただくわけでございますが、その割に――まあ次の言葉は割愛します。  そこで、私の願いは、今後の農協制度の見直しに際しましては、マクロの見地から農協の公的、社会的地位の向上を図れるように、その措置を懇願いたすものでございます。そのことによりまして、全国津々浦々にある農協によりよい職員が集まりまして、彼らの企画力と今まで鍛えてきた実行力によりまして、日本が今抱えておる多くの農業問題の課題をかなりの部分解決できると思っております。農村、日本の活性化に貢献できると信じておる次第でございます。  終わりに蛇足を加えて恐縮に思いますが、得がたい機会でございますので、一言加えまして意見の発表にします。よろしくお願いします。(拍手
  8. 高村正彦

    高村委員長 ありがとうございました。  以上で参考人意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  9. 高村正彦

    高村委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。杉浦正健君。
  10. 杉浦正健

    ○杉浦委員 参考人におかれましては、御多忙のところ当委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。また、二法の改正につきまして、系統それぞれの段階の第一線で御活躍のお立場で貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございました。  農業、農村をめぐる情勢は、まさしく変革といっていいほど激しい過程の中にございます。そういった中で、政府といたしましても検討本部を設けまして新しい農業のあり方を検討を始めておるわけでございますし、また、皆様方におかれましては、昨年秋の大会におかれまして名前もJAと改める、三系統段階を二段階に改める、抜本的な農協のあり方について検討を進められるということになっておるわけでございまして、まさに時宜にふさわしいことだ、大いに進めていただきたい、こう念じておるところでございます。  私、昨年農水政務次官を拝命いたしました際に、全国津々浦々とまではまいりませんでしたか、例えば北海道の士幌農協、鳥取の東伯農協、香川の大川農協、青森のリンゴ、山形のサクランボ、果樹、酪農、地元の花等々十指に余る非常に業績を上げておられる農協の視察をさせていただきました。その際共通に言えることは、それらの農協に共通しておりますのは、企業家的精神に富んだすぐれた指導者に恵まれ、農家と一体になって農協経営を進めておられる。そういう姿を拝見し、しかも相当高収益農業、所得も平均一千万、多いところでははるかに超える業績を上げておられるという姿を拝見して、実に力を得たわけでございますが、私どもの今度の法改正もそういった農協のあり方に幾らかでもお助けしようというところに眼目があるわけでございますけれども農協がひとつ今後大いに活性化をして、農業、農村のために中心になっていただくということが、やはり今後の日本の農業のあり方の不可欠の条件だと思われますので、大いに御努力賜りたいと念じておるところでございます。  参考人に順次御質問させていただきますが、一括して質問だけ申し上げさせていただきますので、順次お答え願えればありがたいと存じます。  まず松旭参考人にお伺いいたしますが、JAと改められ、三段階を二段階にするという方針を打ち出されておるわけでございますが、まことに結構なことだ、大いにやっていただきたいと思いますけれども農協系統というのはやはり、基本的には組合員あっての農協でございまして、あくまでも組合員本位の事業経営がなされなければいかぬという点はもちろん申すまでもないところでございますので、あくまでもそういう見地に立って進めていっていただきたいと思う次第でございますが、お伺いしたい点は、こうした考え方で進められていくJAのお取り組み、二段階化等のお取り組みがどういう状況になっておるのか、また今後どの程度の期間でどの程度の目標を達成されるおつもりなのか、お伺いしたいと存じます。  次に、三宅参考人にお伺いいたしますけれども宮崎県におきましては大変すばらしいお取り組みをなさっておられることを承知しておりますし、今お話をお伺いしたところでございますが、今度の法改正におきまして受託農業経営を連合会にも行えるという改正をしょうとしておるわけでございますけれども宮崎経済連におきましてはどのようにお考えか。また、実際どのように活用していこうというお考えなのか、お伺いしたいと存じます。営農指導についても非常によくやっておられるという話をお伺いして、我が意を得たわけでございますが、これについても今後ともどのように対応されていこうとされておるのか、お伺いしたいと存じます。  最後に、長野県の氣賀澤組合長さん、御苦労さまでございました。  伊南農協におきまして早くから広域合併に取り組まれ、いろいろと地域の実情に応じて御苦心なさっておられる状況を拝聴いたしたわけでございますが、農協合併、今後とも広域合併を進めたい、進める方向で御努力される方向のようでございますが、農協合併につきましては、事業基盤強化とスケールメリットという点があると同時に、一方、組合員市町村との結びつきが広くなると希薄になるという御指摘もあるわけでございまして、これにつきまして組合長さんのところは大変うまくやっておられるように拝聴したわけですが、どういう点が必要なのかということ、さらに、さらに広域化した場合にはそのあたりをどのように取り組んでいかれるおつもりか、お伺いしたいと存じます。  それから、老人福祉事業についても大変お取り組みということで感銘を受けたわけでありますけれども、どういうような契機でお取り組みになることになったのか。費用負担について若干お触れになりましたが、もう少し詳細にお伺いしたいと存じますし、この問題は、行政とのすみ分けと申しますか連携が大切だと思うわけでございますが、そのあたりについて御高見を承れればありがたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
  11. 松旭俊作

    松旭参考人 ただいまの先生の方からございました今回の系統農協組織整備について、あくまでも組合員本位でやるべき、全く私ども基本認識はそのとおりでございます。  先ほど組合員期待にこたえる立派な農協づくりと申し上げましたけれども、言葉をかえて言いますと、やはり今度の農協づくりというのは本当に組合員に役立つ、組合員のための農協づくり、当たり前のことではありますが、ややその辺の取り組み、認識が薄れていたということもございます。そういう反省にも立ちながら、先生御指摘のような、もう一度そういう原点に返った意識改革をやっていって、その上で農協を築いていこう、こういう精神でございますので、先生の御趣旨のとおりやらさせていただきたいと思っております。  それから、検討状況でございますが、昨年十月に農協大会が終わりまして、すぐ十一月から全中の中に系統農協組織整備推進本部、これは全中会長が本部長になってやっておりますが、すぐ検討を開始いたしておりまして、その下に専門委員会あるいは事業別の小委員会をつくりまして、実は昨日もやったわけでございますが、延べ十回近く、まあ回数だけがいいわけではございませんが、大変濃密に検討をいたしております。平成五年三月に、必ず組合員期待にこたえられるような実行方策をつくってまいりたいと思っております。  それから、先ほど実行方策をつくって可及的速やかに取り組むというふうに申し上げたのでございますが、いつまでにこれをやるかということでございますが、これは県の合併の進みぐあいがかなりまちまちでございますものですから、さっき一斉に進まないと言いましたが、いつまでにということも必ずしも明確にはいたしておりません。ただ、現在各県が取り組んでいる農協合併構想の中身を見ますと、かなりの県でいついつまでにやろうというタイムリミットを切って大会決議をされておる。私どもは当初、二十一世紀までに一千農協、こう言っていたのですが、各県の今の取り組みの中で、二十一世紀まで、つまり平成十二年までにやろうというような悠長な県はなくなりました。もう、もっとできるだけ早くやろうということでありまして、我々もそうした県の意欲的な取り組みを大いに助長いたしまして、とにかくできるところから早くやっていくということで最大努力を払ってまいりたいと思っております。
  12. 三宅一美

    三宅参考人 ただいまの御質問の受託農業経営についての連合会の問題でございますけれども、現在、畜産の中でも養豚関係を中心に小家畜農家、これが二〇%ぐらい年々減少しておる、一方では経営自体は大規模化しておる、こういうことでございまして、本来農協対応すべきものでございますけれども、こういうふうに非常に投資額も大きい、規模が大きい、こういうことになりますと、勢い農協だけではやはり対応できない、こういう面がございます。内容は、技術なり経営の問題なり資金力の問題、こういうものが限界があろうと思います、このために、今後そういうものに対しまして連合会が一時的に肩がわりをする、こういう形の要望が非常に強まってきておるというのが実態でございます。今回のこの法改正によりまして、この措置が非常に期待をされておるというのが実態でございます。  それから、二番目の営農指導の問題でございますけれども、これは今までもそうでありましたが、今後もやはり中心的な農協事業の中での位置づけ、こういうことには変わりないと思います。ただ、今宮崎で見ましても、系統で七百名ぐらい営農指導員がございまして、一農協大体三十名ぐらい、こういうことで全国の六倍ぐらいの要員を抱えでございます。県の普及員等入れますと約二千名、こういうような規模になっておりまして、それだけ農業に対しまして取り組み強化しておるわけでありますが、今後は質の面において重点的に取り組んでまいりたい、こういう考え方をしております。  また、営農指導員確保の問題が、先ほど申し上げましたが、難しくなっておりますので、これらについても十分県全体での対応、こういうことをしてまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。  以上であります。
  13. 氣賀澤隆三

    氣賀澤参考人 合併農協行政との関係でございますが、先ほど申し上げましたように四市町村ございますけれども、ちょうど伊南地区といいまして、地縁血縁の深いところでございます。それから、四市町村共同の経営体による病院を持っておったりあるいは森林組合もその地域でございますので、日常、農協の関係地域と一致しておりますので、日ごろ大変親密な関係でお願いをしておるところでございます。のみならず、各種のイベントも結構ありますし、また私どもも、市町村長様と議長様や農業委員会長さんとなかなかコミュニケーション、ノミニケーションもたくさんあるわけでございまして、日ごろ意思を通じながらやっております。したがいまして、この営農関係につきましても、先ほど申し上げましたように営農センターを各町村ごとにつくっております。それはみんな行政と一体でございます。それをさらに、伊南全体の中でセンターの協議会をつくっております。それから別途、伊南農業振興協議会というものがこざいまして、これも各市町村ごとに、技術屋を含めて多くの組織を含めた各地区ごとの協議会がありまして、それも最終的に四市町村合わせた伊南農振協でもって、いろいろと発想をし実行をしておるという実態でございます。  しからば、なぜさらに次の合併をということでございますが、率直に申し上げまして他動的なものが一つあります。これは長野県の合併構想の中の二十五農協というのがありまして、その一構想が上伊那一郡農協なんです。しかもその構想に基づいて、他地区においては極めてスピーディーに合併が進んでおるのです。だから本音を申せば、せっかく今まで優位を保った伊南地域が他の農協におくれてはいかないなというものがないことはございませんが、しかし、省ともと一郡上伊那という地域は、極めて作目も類似をしておりまして、すべての行事等におきましても一体的に行っております。たまたま先生方の選挙基盤も一致しておりますので、日ごろ顔なじみの仲間でございます。加えて作物的にも、やはり将来の競争を考えたときに、もう少し銘柄を確保して競争力をつけなければいかぬということが日ごろの念願でございましたので、ただ、伊南という知名度では弱い、地図から見ると伊南という地域はない、伊那谷の農協ということでアピールする必要がある。そうすれば諏訪や浅間と対抗できるぞ、日本と競争できる、こういうような意味におきまして、今冬作目ごとに、うちの技術屋が中心になりまして専門委員会でそれぞれの生産体系マップをつくって検討いたしております。総じて建設的な雰囲気がございますので、近く機関を経てそのような方向へ参りたい。その伊南農協で得た実績をもとにして、一郡一農協の際の農協の姿勢としては、行政に対して積極的なコミュニケーションを図り、提携をお願いして実効を上げたいというふうに考えております。  二つ目の、高齢化社会の問題の動機は何かという御質問がと思いますが、よろしいですか。  実は、これも話せば長いのですが、伊南農協独自に、世間では婦人部と言っておりますけれども、私たちのところは生活部生活班という名前でございまして、ずっと、もう十数年の歴史がありまして、非常に、自画自賛ですが、勉強家が多くて、日常の認識が高いと思っております。そこで特に、来るべき高齢化社会に向けて我ら何をすべきや、特に健康問題、安全問題をテーマに常に講座を設けて勉強しておるわけでございまして、何とかそこにある高齢化社会に対して我々も何かしようという婦人層の強い認識がございました。それに加えて、長野県は厚生連病院が非常に密着しておりますので、御存じかと思いますが、若月院長が参りましたことも一つの契機でしたが、どうかひとつ、例もあることだし、この伊南の地域にも中間施設ぐらいつくってひとつやってみるかな。ただ、施設は楽だけれども、それに携わる人々が大事だ、特にボランティア精神がなければこの機能は効果しませんよというような御指導もありまして、そして生活部会の中で助け合い組織というものが誕生いたしました。これは名前だけではいかぬからということで、先ほど申し上げたように積み立てもしながら進めておるということでございまして、先ほども申し上げました、将来のビジョンヘ向けてみんなで意識を高めながら勉強をしようというのが動機でございました。  今後のスケジュールについては省略させていただきます。
  14. 杉浦正健

    ○杉浦委員 どうもありがとうございました。以上で終わります。
  15. 高村正彦

    高村委員長 堀込征雄君。
  16. 堀込征雄

    ○堀込委員 参考人の皆様には、大変お忙しいところ、ありがとうございます。なおまた、先ほどは大変参考になる陳述をいただきまして、心から感謝を申し上げると同時に、日ごろ農協の運動に大変御努力をされていることに心から感謝を申し上げながら、幾つかの点について御質問させていただきます。  最初に、三宅参考人にお伺いをしたいというふうに思います。  先ほどの御説明で、特に受託農業経営の連合会への期待、よくわかりました。ただし、具体的に単協事業との競合の関係、そういうことをどう分担し、どう調整していかれるおつもりかということが一つであります。  それから第二点に、宮崎経済連、御説明をいただきましたように、販売事業購買事業、非常に前向きに取り組んでいらっしゃる、そして営農指導活動も取り組んでいらっしゃるということがよくわかりました。ただし、今松旭参考人の方から御説明ございましたように、系統農協における事業二段・組織二段という討議が進められているということでございますが、例えば、この販売事業がそういう二段階事業の中で、それだけ特色を持って努力をされているものが果たして二段階の中で広域農協なり全国連の方にうまくつなげるということができるのかどうか。そしてまた、宮崎経済連実態を見ますと、販売品と購買品の調和の中でいわば生産、販売体制資金を生み出し、体制を生み出しやっていらっしゃるというふうに思うわけでございますけれども、この辺を含めて、事業二段・組織二段についてお考え方を御説明をいただきたいと思います。
  17. 三宅一美

    三宅参考人 ただいまの御質問の、経済事業におきます二段階の問題であろうと思いますが、経済事業の場合、販売事業購買事業、こういうふうにあるわけでありますけれども一つは、他の業態との競争が非常に激しい、こういう実態がございます。そういう中で合理的に効率的な事業方式確立する必要がある、こういうふうに思っております。あわせてまた、物流なり南流、こういう面での合理化、流通経路の短縮、こういうものを進めていく必要がおる、こういうふうに思っております。  それから、そういう意味で、経済事業の場合には、事業なり品目、それから地域実態に応じた農協での完結、それから農協と県連との結びつき、また農協全国連との結びつき、こういうものが多様化しておるのでないか、こういうふうに考えておるところでありまして、組織につきまして、県域の機能を従来どおり県連が担う、そうしまして、統合した連合会の県支店でそういう面をやるのか、最も簡素化した県連でやるのか、また、農協合併進展に合わせまして、やはりその地域の実情によって変わってくるのではなかろうか、こういうふうに思っております。  ただいまのは購買でありますけれども販売事業におきましてはやはり県連が主体にならないと、購買事業と違いましてなかなか難しい問題があるのじゃないか。県間の競争等もございますので、そういう面で購買と販売との違いは出てくる、こういうふうに思っております。しかしながら、今後やはり十分検討をしまして、組合にとってどの方法が一番望ましいのかどうか、こういう点については十分検討しながら進めてまいりたい、こういう考え方に立っております。
  18. 堀込征雄

    ○堀込委員 ありがとうございました。  それでは、松旭参考人にお尋ねをいたします。  先ほど御説明の中で、特に今の経営管理体制なり農協事業機能拡大なり、そして農協組織内の総書の答申に触れまして、できるところから可及的速やかにという決意もお示しになりました。  そこで、事業譲渡の関係につきましても今度の法案の中に入っているわけでありますが、率直に言いまして「簡素な県組織」あるいは「広域連合組織」という表現が総書の答申の中にもございますし、先ほどの説明の中にもございました。この具体的なイメージはどういうものを想定をしていらっしやるか。  そしてまた、事業二段・組織二段といった場合に、私ども資料で見る限り、例えば農林中金の資金運用力などにつきまして、今の信連に結集している貯金が全部集まって、今でも貯貸率が都銀に比べてかなり低いという実態にございますのに、それは大丈夫でございましょうかというような心配があります。  それから、ただいまも三宅参考人からございましたように、例えば全国連の販売事業はこれだけ産地間競争が激しくなるという中で、果たしてそういう組織統合などができ得ていくであろうかというような疑問を持つわけでございますが、参考までに御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  19. 松旭俊作

    松旭参考人 まず最初にお話が出ましたが、簡素な県組織、広域連合組織という位置づけでございますが、総合審議会の答申といいますか、これは一つ基本の方針を示しておりまして、実際の実行方策のつくり方というのは事業別にさまざまな形をとるのではないか。また、何しろ県ごと農協合併が進みませんと、それを前提にした話でございますから一斉にはいかないよ、こういう位置づけでございます。  そこで、そうした場合にいろいろ御懸念があるよというお尋ねだったと思います。  一つは、農林中金の資金運用力についてどうなのだということでございました。確かに、今一斉に信連の資金が、じゃ農林中金で全部できるかということになりますと、それはもう物理的にも大変無理があります。ただこれは、例えば全共連をとってみますと、今、責任保有積立金段階的に、計画的に全共連に移しかえている最中でございまして、私どもは例えば全共連方式みたいな形で段階的、計画的に移しかえていくのであれば可能ではないか、こういうふうに考えておりますし、かたがた県の組織整備も多分まだら色に進むことになりますから、そういったところから取り組むにはそれは可能であろうというふうに思っております。  それから、販売事業についてどうかというお尋ねでございましたが、これも現在実行方策ということを検討しておるわけでございますが、販売事業と一言で言いましても、じゃ大消費地の直販をどうしていくのかということとか、じゃ卸売市場に出していくのはどうしていくのかというような、その流通のパターンによって機能分担が変わってくると思うのです。おっしゃるように、例えば市場販売については私どもは今検討の途中でございますが、多分県域の機能ということを中心にやっていくことになるであろう、こういうふうに考えておりまして、その辺は多分先生の御趣旨に、お考えに合っているのではないかというふうに思います。ちょっと舌足らずですが。
  20. 堀込征雄

    ○堀込委員 ありがとうございました。  それでは氣賀澤参考人にお伺いをいたします。  一つは今の問題でございますけれども、今全国連、県連からお考え方ございまして、それぞれの立場から組織整備を進めたいということがございました。単協の立場からいたしまして、一つ広域合併をする、そうするとかなり資金運用力などもみずから力量をつけなければならないというような事態が出るのではないか、そういうことが想定をされるのではないか、こういうふうに思いますが、その辺について不安があるのかないのか。あるいは、多分今の販売は長野経済連を通していろいろな販売戦略、農産物の販売なんかも戦略を練っていらっしゃると思いますけれども、独自の販売ネット、あるいは全国一律のそういうネットになる場合に、どういう方法なりどういうことをイメージしていらっしゃるか、あるいはそういう方向に対してある種の不安は今お持ちであるのかないのかという点が一つでございます。  それから第二点目に、先ほど執行体制強化の中で民主的選挙制基本である、こういうお話がございました。そのとおりだと思います。今度は、理事会権限の明確化だとか代表理事制だとか監査機能強化などが今度の法案に盛られているわけであります。監査機能強化だとか学経理事登用などにつきまして、私が知る限り、全国農協はそれぞれ部落で推薦をして、そしてその人たちが選考委員会をつくって理事さんを選んでくるというような形が大部分ではないかというふうに思いますが、具体的に広域合併になると学経理事登用などが非常に必要になるだろうというふうに思います。その辺は具体策は何かお持ちでございましょうか、いかがでございますか。
  21. 氣賀澤隆三

    氣賀澤参考人 初めの件でございますが、今度の全中といいますか全国系統組織整備は広く町こえますけれども、本来はいい農協にしよう、完結農協にしよう、機能の高い、レベルの高い農協をつくりましょうということが基本でございますので、そのことを重点に考えております。  ただ、長野県の場合は、御承知のように特殊な販売力を持っておりまして、五千億円ですので、北海道に続いて内地一の販売量を持っております。したがって、今までの実績やネットを持っておりますので、あの実績というものはやはり県域として生かしていきたいなという希望を持っております。その中でそれぞれの農協の個性、特性、作目の特徴を生かして、それをトータルの県域の中で販売戦略に生かしていきたいな、こういうふうに思っておりますが、その接点については、これからのことですので効果が上がるように努力したいということより申しかねるというふうに思っております。  それから、後のことでございますが、私もさっき申したような経歴でございますので、私たち農協理事生産者のたたき上げといいますか生産部会のたたき上げのような人が多いわけなんです。したがいまして、風土としては、我々の組織は我々の中から代表者を出して農協をつくり、農協理事者を得て、我々の中から監事を出していくという認識というものほかなり根強いものがあると思っております。しかし、同じ農家といいましてもそれぞれお勤めでございますので、会社等々広い視野に立って、農協経営ということに対して新たな感覚が生じておると思っております。したがいまして、そういうたくましい男たちも、やはり近代的な経営をするには専門的な頭脳も大事だ、また経営的な頭脳、監査的な頭脳も大事だから、やはり学経的な存在もプラスして、従来の土壌に新風を注いで新しい時代へ向けての体制が必要だなという意味においては、学経の理事あるいは学経の監事さんに対する全部がアウトというような拒否反応はないと思っております。しかし、従来の住民感情との調和が大事でございますので、急激に学経の数をふやすとか、また専属の常任監事さんが即よろしいということについてはちょっと時間がかかると思っております。  前後しますが、農協には内部監査機能が創立以来整っておりますので、その方とマッチをしながら新しい方途を模索していきたいというふうに思っております。御指導よろしくお願いします。
  22. 堀込征雄

    ○堀込委員 ありがとうございました。終わります。
  23. 高村正彦

    高村委員長 藤原房雄君。
  24. 藤原房雄

    ○藤原委員 参考人の皆様には、大変お忙しい中おいでいただきまして、また貴重な御意見を賜りまして心から感謝を申し上げる次第でございます。  限られた時間でございますが、それぞれの参考人に何点かお伺いをしたいと思います。  最初に、松旭参考人にお伺いをいたしますが、先ほど、最近の農業を取り巻く諸情勢についてのお話、そしてそれに対します農協取り組みの大事なこと、るるお話がございました。  このたびの農協法また合併助成法改正につきましては、先ほどお話もございましたように、事業内容の充実とか経営管理体制整備とか事業譲渡規定の整備や、また理事会制の法定化を初めとします。その他の問題についての規定が盛られたわけでございまして、これは今日までの総合審議会、そしてまた経済局長の私的諮問機関でございます農協制度に関する研究会の報告、これらのものを参酌いたしましてこのたびの法制定になったわけでございます。皆様方の今日までの討議をなさったことが盛られておる。時代の大きな流れの中にございまして、十分とはいかない面もあろうかと思いますけれども、しかし必要な項目についてはこのたびの改正の中にそれ相当盛られておるのではないか、このように拝察する次第でございます。  先ほど参考人のお話の中にございましたけれども、これから大型化するということになりますと、経営の中身やまた経営リスクの懸念とか、こういうことで経営のかじ取りというのは非常に重要であるというお話がございました。さらにまた、執行体制等につきましても、責任体制組合員の声をよく聞いていかなければならないというお話でございました。これも、今日までも御努力をしていらっしゃったことだと思いますし、今後ともまたさらに御努力いただかなければならないことだろうと思います。  昨日、同僚委員からもいろいろ質疑があったわけでありますが、また本日お話の中にもございましたけれども、最近の農村の実態を見ますと、御婦人の方々が非常に多いわけでございまして、青年の方々にさらに活力を持って活性化する農村のために頑張っていただきたいということと、それから御婦人の営農に携わる方々が非常に大きなウエートを占めておる、こういうことからしまして、農協の役職員、このたびは理事学識経験者、こういう方々、それからまた比率を変えるとかいろいろな手当てが含まれておりますが、現在、全国的に見まして、農協理事、さしあたって理事だと思いますが、こういうところに御婦人の方々がどのくらい携わっていらっしゃるのか。そしてまた、これは各農協ごとのいろいろな実態がございますから、婦人の方が多いからといってすぐたくさん理事になるということではないのかもしれませんが、御婦人の方々が多い農村の現状からしまして、そういう立場に立っての意見の反映を初めとしますいろいろな役割を担うということが非常に大事なことではないかと思うわけでございますが、現状と今後に対するお考えがございましたらお聞きしたいと思います。
  25. 松旭俊作

    松旭参考人 現在、婦人の農協役員が何人いるかというお尋ねでございます。  大変恥ずかしい数字を申し上げなければいかぬことになります。現在、農協役員数は全体で六万八千人いるわけでございます。これは農協合併進展によりましてどんどん役員の絶対数が減っておりますけれども現状六万八千人。その中で女性の役員が七十名という数字でございまして、〇・一%ということでございます。このことにつきましては、私どもは大変大きな問題を持っております。先ほども申し上げましたように、青年層婦人層から見放されるような農協では将来やっていけないわけでございまして、私ども農協理事役員への登用、選出という問題、あるいは総代制度をとっておりますから、総代に積極的に青年婦人層を入れていくということを大きな眼目にしてございます。  いずれにしても、我々なりの自己反省で言いますと、今の農協社会というのはどうも家父長制が強過ぎるのじゃないか、あるいは男社会に傾斜し過ぎているのではないかというような反省をいたしておりまして、今御指摘の点については、なかなか難しい点ではありますけれども、これをやっていかなければ本当の組合員意思反映をし得る農協にはなり得ないのじゃないかというふうに思っております。
  26. 藤原房雄

    ○藤原委員 御婦人の方は御婦人の方で婦人部とかいろいろな立場でそれなりの活動をしておりますから、そのことについては私どももわかるわけであります。しかし、今あらゆる分野に婦人の方々の活躍の場、そしてまた意見を述べる場が非常に開かれておる、こういう時代に即しまして、これはちょっと時間のかかることかもしれませんが、ぜひひとつまたこういう点にもお力を注いでいただきたいものと思いますし、そういうことでちょっとお伺いしたわけでございます。  時間もございませんので、次に、営農指導のことについてお二方、三宅参考人氣賀澤参考人からいろいろお話がございました。これは先ほど松旭参考人からもお話がございましたように、組合員期待にこたえる立派な組合をつくるのだということからいたしまして、何といっても農業協同組合、農業営農が立派でなければならぬ、そのためには、消費者ニーズにこたえるということからも、また技術高度化多様化ということからいたしましても、営農指導事業というのは非常に重要なことだろうと思うのであります。先ほど参考人からるるお話があったわけでありますが、この営農指導につきましては、私どももそれなりに勉強させていただいているわけであります。経費のことについてちょっとお触れになっておりましたが、教育情報繰越金とか指導事業収益、また他事業からの繰り入れとかいうことで組合ではなさっていらっしゃる。やはり安定的な財源確保ということが非常に大事なことではないか。また、これから他業種と競争して信用事業というものが行われてくるようになりますと、農協経営というものは非常に難しい面を迎えることになるわけでございます。  それぞれの組合の実態とかいろいろな状況によりましても異なるかもしれませんが、営農指導員確保とか資質の向上、それから普及事業との連携強化役割とか販売事業との適切な連携とか、先ほどるるお話ございましたけれども、こういうことからしまして、財源確保とともに指導員の確保や資質の向上等につきまして、非常に大事なことでありますが、これらのことについて、実態的なことやそれから今後の取り組み、これは非常に時間のかかることだろうと思うのでありますけれども、相当長期な計画の上に立つで取り組んでいきませんと、今日までのお取り組みになっていることはよくわかるわけでありますが、今後についてのさらなるお考えがありましたらぜひお聞かせいただきたいものと思うわけであります。  営農事業そしてまた信用事業等におきましては、さらにまた高度な知識を必要とするわけでありますし、こういうことからしますと、営農が何といっても第一でありますけれども、これから多角的になりますそれらの農協を取り巻く諸情勢対応する人材群というものが、人材の確保、養成、こういうことが非常に大事なことになるのだと思います。これについては今日までもいろいろ御努力なさっておることは私どもも聞いておりますが、現状とこれからのことにつきましてお考えがございましたら、お二方からお伺いをしておきたいと思うのであります。
  27. 三宅一美

    三宅参考人 営農指導の充実と安定財源の問題の御質問だろうと思いますが、営農指導につきましては、先ほど申し上げましたように、やはり何としても質の向上を図っていかなければならぬだろう、こういうふうに思っております。  宮崎の場合を申し上げますと、先ほど申し上げましたように、組織で七百人ぐらいおるわけでありますけれども、全体で二千人ぐらいおる。この人が全部目標一つにしてやることによって営農指導というのは相当充実されるのではないか、こういうふうに思っておりまして、県の方で農業長期十カ年計画ができておりますので、それらを基本にして今営農を進めておるというのが一点でございます。  それと、指導員の確保なり養成問題につきましては、実は私ども中央会の方で主体に営農指導員の資格認証試験、こういうものをやっておりまして、二年度から始めたわけでありますが、百三十九名受験いたしまして六十四名ほど合格しております。一級と二級とありまして、一級の方はどちらかといいますと企画まで入ったものでございまして、二級は飼養管理なり栽培管理技術、こういうものを中心にやっておりまして、そういうものをさらに続けていきながら質を高めてまいりたい、こういうふうに思っております。そういう面で、高度の知識の確保なりを中心に質の向上を図ってまいろう、こういう考え方でございます。  それから財源確保の問題でありますけれども、なかなか難しい問題でございます。今後園芸畜産、こういうものを中心に進めながら事業拡大を図りながら、一面では賦課金制度もございますので、それらをいただきながら、一方では農協全体の財源の中で見ていく。この中心がやはり営農指導でありますから、これに信用なり共済も波及してまいりますので、そういう面を見ながら、経済事業中心になろうと思いますけれども、ほかの事業からの繰り入れというものも必要になってくる、こういうふうに思っておるところでございます。  以上であります。
  28. 氣賀澤隆三

    氣賀澤参考人 長野県下の営農技術員は極めて不足をしております。それを充足するために、長野県中央会が仲立ちをしていろいろあっせんをしておりますけれども、希望に対して極めてわずかな部分しか補給ができておりません。私の農協の場合は全職員の一割が営農技術員でございます。元来営農指導を本領としてまいったつもりでござ います。しかし、ちょうど農業の従事者が減少すると同じように、農業技術員の減少の傾向は免れないというふうに思っております。そこで、これは農協だけで確保できにくい問題でございますが、幸い長野県には系統農協大学がございます。そこで技術員の養成に、もう少し大きい目で育成に努力をしてもらって、その後の充足をしたいというふうに考えておるところでございます。  ただ、問題は内部にもあるのです。今までの営農技術員というものがどういう機能を果たしてきたかということを分析してみますと、何でも営農技術員、営農技術員、都合がよくて、選果場に来い、ライスセンターに来い。労務者の機能と本当の技術者の機能というものはどこで区分されておるかということにかなり不明瞭な点がございます。やはり技術者は技術者としてプライドの持てる機能を持たせることが、今後の採用の上でも必要ではないかなというふうに思っております。  全体の職員にも言えることでございますが、何といっても農協経営基盤確立して対外的に信頼性がないと人材が集まってこないと思います。その大きな手法としては、農協合併による人材の確保ということが大事だと思っております。一言添えましてお答えいたします。
  29. 藤原房雄

    ○藤原委員 以上で終わります。
  30. 高村正彦

    高村委員長 藤田スミ君。
  31. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 参考人の皆さん、きょうは本当にありがとうございます。  まず最初に、松旭参考人にお伺いをいたします。  今回の法改正を受けて行われる組織二段・事業二段、そして農協広域合併という組織再編で心配されているのが、ずばり農協労働者の処遇の問題でございます。全中は、人は絶対減らさないとおっしゃっておいでですが、具体的にどのように保障されるのか明らかにしていただきたいと思います。
  32. 松旭俊作

    松旭参考人 今回の組織整備に関しまして、確かに県連の職員中心に処遇の問題等についていろいろ不安が出ているというようなことでございまして、私どもも、そういった不安は大変大きなマイナス要因になるものですから、こういう連合組織が人的支援を行う場合の対策の考え方、やり方、そういうものを現在整理しつつございます。  基本は、私ども組織整備の代償として系統の仲間の処遇を犠牲にするようなことは考えておりません。農協へ出向することはございますけれども、その場合においても、あくまでも連合組織職員としての身分は保障しなければいかぬだろう。また、いろいろな待遇面もそのことによって損なわれることの古いように、現行の処遇を維持することを基本にしてまいりたい、こういうふうに考えております。  ただ、それでは全体の、現在三十万人いる農協職員、四万人いる連合会の職員、そういった者を一人も減らさなくてやっていけるのかということでございますが、私は、それはまた別の話であると思っております。  組織整備の関係では、職員の身分、処遇は守っていかなければいかぬけれども、長期的に系統農協職員の要員をどうやって確保していくのかという問題については、これは長期の要員計画をつくって、やはり労働生産性も上げながら効率的な農協運営を目指していく必要があろうかと思いますから、人は絶対に減らさないというようなことには、私はそうであるとはここでお答えしにくいわけでございます。
  33. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 歯切れがいいようで少し悪いんですが、簡単に言うと、人、処遇を犠牲にするというようなことは全中としては考えていない、その点はそのとおりに受けとめてよろしゅうございますか。処遇を犠牲にするというようなことは絶対にあってはならない。  もう一つは、長期的な要員計画の中で効率的な組織にするために計画的に考えなければならないこともあるけれども、それは将来の問題であって今は全く考えていない、そういうふうに聞いてよろしゅうございますか。
  34. 松旭俊作

    松旭参考人 前段の部分でございますが、今回の組織整備に関しまして、端的に言いますと、人員整理等の雇用調整は行わないという立場でございます。  それから処遇等につきましては、これは広い意味と狭い意味がございますから、出向等で農協に二年か三年行くことが処遇の悪化になるというふうに、広い意味でとればそこまでは言えないと思いますが、少なくとも、基本的な就労条件といいますか、あるいは給与面の待遇といいますか、こういうものについては現行維持をこれは当然基本として考えなければいかぬ、こういう意味でございます。
  35. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 そうすると、全中としてのそのお考えは、単協に対して指導していかれる、そして単協もそういうことで対応していく、こういうふうに聞いてよろしいでしょうか。  私は、将来の問題についてはここでは触れませんが、現在のこの広域合併を進めるという立場、広域合併を進める過程の中での全中の今お聞かせをいただいたお考えについて、人は犠牲にしないというお考えについては単協指導していただけるのかどうか。
  36. 松旭俊作

    松旭参考人 それは、私どもは、今回の組織整備に関しましての人的支援、そういうものに対する考え方の下敷きは現在検討中でございまして、それは出していこうというふうに考えております。しかし、それはあくまでも全国一つの考え方の下敷きでございまして、県の実情で、やはり実態に応じて考えていただくということになりますが、基本のところはそういうところで我々は指導していきたいと考えております。
  37. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 もう重ねて質問はいたしませんが、出向等については、本人の同意と納得を得て進めていただきたいということを申し添えておきたいと思います。  それでは、氣賀澤参考人にお伺いをいたします。  今、農協労働者の間では、事業推進問題と中途退職問題が大変深刻化していると聞いております。長野県下の農協の中にも大変事業推進に御熱心な農協があるやに聞いておりますが、そこでは農協労働者個人の事業推進状況のデータ、平たく言えばセールスの実績がコンピューターに入っていて、それをもとに事業推進をしているというようなことになっている、こう聞いているわけです。  私ども事業推進というと農用資材、そういうようなものかと思い浮かべるわけですが、実際には、墓石だとか呉服だとか宝石、もちろん共済や貯金などもあるようでありますけれども農協職員になって朝早くから夜遅くまでそういうふうな商品を売り歩いているというような状態の中で、せっかく日本の農業のためにもっと働きたいという期待を持っていたすぐれた職員の方の意欲が喪失していくということも理解ができるわけであります。  先ほど組合長氣賀澤参考人は、農協にすぐれた職員確保できるようにしていかなければならない、大変熱意を込めた御発言でしたけれども、しかし、それと逆行するんじゃないかと考えますが、いかがでしょうか。
  38. 氣賀澤隆三

    氣賀澤参考人 私の農協の場合はという前提で申しますれば、これは、農協経営、運営方針、従業員、労働者に対する出向者の基本の考え方、思想にもよると思うのですけれども、私ども引き継いてきました社風としましては、やはり事業実績を上げるには、もちろん個の集積ではあるけれども、グループによる、全体のグループ活動意識によるレベルアップ、結果として実績に出てくることが大事だというふうに思っております、基本的に。  それから、労働条件等のことにつきましても、常に従業員との対話を重ねて、それぞれ運営、経営上の不均衡、不公正のないように常に相談に心がけ、また、労働組合とも対話を深めて、そういうことに対する将来性について、職業として持続的な意欲を阻害するようなことのないように心がけておるつもりでございます。  世上、農協の中途退職者がふえておるということは否めないことでございますが、私どもの散見するところ、求人パワーというものがすごくありますのでそこへ引かれていく方もおりますけれども、結果としてまた農協へ戻ってくるというようなことなどを見ますと、やはり従業員に、日常の労使関係の良好な関係あるいは農協の将来ビジョンというものに対するお互いの理解を深め合っていくことが大事じゃないかな、そこら辺に少し対話の欠けた点があるんじゃないがなということは反省しておりますけれども、今御指摘のようなことのないように、伊南農協の場合は優秀な職員確保して、そして、労働条件を他の業態に負けないように良好なものにしていきたいというふうに考えております。狭い範囲のことで恐縮でございますが。
  39. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私、今度、広域合併の問題でいろいろな農協を歩きまして、実はこの事業推進問題というのは本当にショックでございました。それであえてお伺いをいたしました。こういうふうに意欲の喪失につながるような、本来の事業推進活動とはかけ離れたあり方というものはぜひ改めていただきたいし、きのうも農水省は、そういうことがないように指導したいと大臣の御答弁でございましたので、そのことも申し添えておきたいと思います。  最後になりますが、農協広域合併が進むならば、多品目少量生産が切り捨てられて、少品目大量生産、つまり一層の産地の大型化促進され、食品流通がいよいよゆがめられてくるのではないかと心配をしているのは、私一人ではないというふうに思うわけです。地場流通がどうなるのか、あるいはせっかくはぐくんできた産直運動はどうなるのかというような不安が広がっているわけであります。現在、もう既に食品流通分野では、産地の大型化と消費地のスーパーなどの大規模化によって、有名な卸売市場での先取り、あるいはまた産直、直接産地とスーパーが取引をする市場外流通というようなものが広がっておりまして、そのために零細な小売業者、八百屋さんなどが市場で農産物を十分確保できなくなってきている、こういうふうな状態が出てきております。そのことは、国民の食卓にとってどうかというと、できるだけいろんな野菜なんかを食べていかねばならないわけですが、大変単純化されておりまして、国民の食生活にかかわることだというふうに私は心配をするわけでございますが、三宅参考人、この点についていかがお考えでしょうか。
  40. 三宅一美

    三宅参考人 広域合併で、食品流通の中で特に産直等の影響、こういう御質問でございますけれども宮崎は、先ほど御説明申し上げましたように非常に合併は進んできております。広域合併方向に進んでおるわけでございます。その中で、御心配は大量生産で大量出荷、こういうことで、そっちの方に偏るのではないか、こういう御心配だろうというふうに思います。  合併によりまして営農指導体制、こういうものが非常に人も多くなりまして中身も充実してまいる、こういうことになるわけでありまして、やはり何といいましても売れるものをつくるというのが基本でございますので、消費者ニーズに合ったものをつくっていく、こういうのが実態でございます。そうしますと、少量生産の作目、これらについても生産組織を育成をいたします。また、それがやりやすくなってくるのではないか、こういうふうに思うわけでありまして、そういう面で、品目に応じた多面的なきめ細かな栽培を指導してまいりたい、こういうことで、御心配の量販店なり、産直なり、こういうものについてはより今まで以上にできるのではないか、こういうふうに確信をいたしております。  以上であります。
  41. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 どうもありがとうございました。
  42. 高村正彦

    高村委員長 小平忠正君。
  43. 小平忠正

    ○小平委員 お三方の参考人の皆さんには、大変お忙しいところを御出席、そして御意見をまことにありがとうございます。私からも質問をさせていただきます。  まず、松旭参考人さんにお伺いをいたします。  今お話しいただきましたその中でのことなんですが、現下の状況は、一つには担い手不足、それから耕作放棄地増大、さらには農協として他業界との競争激化、こういうようなことがお話ございました。確かに大変な問題でございます。したがって、今回のこの農協法改正、さらには農協合併助成法改正を通してその体質強化を図るということでありますが、今回の系統農協組織事業改革に際して私が心配しますことは、組合員農協との間に今後とも密接な関係を保つことが私は重要である、こう思いますし、組合員ニーズに的確にこたえる機能の充実のための改革だ、こうあらねばならない、私はこう考えますが、そこで、今回の農協組織活動基本を今後どこに置かれて進んでいかれるのか、そこのところの姿勢をお伺いいたしたいと思います。
  44. 松旭俊作

    松旭参考人 私、冒頭申し上げました意見に全部共通することでございますが、当たり前のことではありますけれども、やはり農協というのはとにかく組合員が王様なんだという基本的な立場を全部貫いているつもりであります。そのために、その組合員の直接の窓口となる農協系統の中で主役にならなければいかぬということが基本でございまして、広域合併問題というのは、合併問題はあくまでも手段でございまして、目的は今申し上げた組合員主体の農協運動に、もう一回原点に返ってやっていく、もうこの基本に尽きると思います。  ちょっと不十分でありましたら、また追加して御質問いただきたいと思います。
  45. 小平忠正

    ○小平委員 いや、私もそこのところを確認したかったのであります。ともすれば、今の系統の中でそこのところがだんだん手薄になっていくのではないか、こんな心配をしておりますので、やはり原点というかそこの基本を踏まえて、これからの厳しい農業情勢の中での今後の方向をきちんと持っていただきたい、こんなふうに願う次第でございます。  次に、氣賀澤参考人さん、長野県は、私どもお聞きしますところでも、農協組織体系もまず御立派な方に進んでおりまして、全国にもその名が知られておる、これもひとえに参考人初め関係者の御努力の結果である、私はこう思う次第でございます。  そこで、今話されたいろいろな問題点の中で、農協は営利を目的としない、であるけれども、赤字を出せば理事責任を問われる、こんなことも吐露されました。そういうところで、今後農協として農地を取得してその経営にも当たっていきたい、そんなお話もあった。さらには、今回の改正の中で女性にも機会を与えて、そんなこともお話ございました。さらにもう一点、前の質問にもあったわけですけれども農協広域合併に即して、いわゆる市町村行政合併促進も願う、そんなお話もございました。確かに農協は、単に農協という本来のものだけではなくて、最近ではいわゆる農村社会における、その地域において与えられている役割ですとか、また期待されている存在というものが非常に大きいと思います。  そういうところで私は、時間の関係もありまして一点だけ。農協が今後さらに農地を取得するなりしてその経営に当たっていく、そういうお話がございましたけれども、もちろん現に今もそういうのは形を変えてございますが、やはりそこでいわゆる組合員との、それから農協との関係においてそこのところをどのように調和しながら進めていかれるのか、その農協がさらに前に出るという意味合いにおいて御意見をお伺いしたいと思います。
  46. 氣賀澤隆三

    氣賀澤参考人 ちょっと解釈しにくい点もございましたが、私の考えでは、これはまだ実現したということではありませんけれども、今集落営農グループがありますので、集落営農組合というものを基盤にして、そしてそれを今度は農協の方のマクロ営農計画とうまくバランスをとりながら、例えばローテーションの問題なり、また米の品種の問題だとか、米に限らず作目の品種なり、そういうものを協議しながら、地域全体の効率を高めていくような仕組みにしたらな、こういうふうに思っております。あいさつのときにちょっと触れましたことは、そういう要望がたくさんあるんです。もうおれはつくれぬようになったよ、放棄しなしようがないよという人が、こういうときこそ農協が何とかしてくれぬということはないじゃないかという端的な希望があるわけなんです。しかし、それは極力吸収したいわけですけれども、無条件に農協が委任、委託を受けるというわけにはまいりません。ある程度の条件があればそういうことができるというふうに思っております。したがいまして、農協の側から見ると、集落の助け合い営農グループと、それから農協の側から見たそれぞれの政策とのバランスをとりながら、農協一つのリーダー的な役割で効率を上げていきたいなというふうに考えておるところでございます。
  47. 小平忠正

    ○小平委員 農協に今営農指導という、このことは今後とも大事なところだと思いますが、そういう意味では、実際にそういう経営に参画しながら、そこのところをうまく加味しながら、調整しながら組合員との関係を円滑に保っていけるように特にポイントを置いていかれることが私は大事なような気がいたしますので、お聞きした次第でございます。  次に、三宅参考人さんにお伺いいたしますが、宮崎県は農業県であられるわけですね。お話ございましたように、畜産、さらには蔬菜ですか、そんなものを主体にされている、そういう地帯であるとお話ございました。非常に現下の厳しいこの農業情勢の中で御苦労されながらのことであると思います。  私は北海道の人間なんですが、北海道にはホクレンという、経済連のホクレンという名称がございます。北海道は非常に広い範囲で、お米を中心にしまして、畑作から酪農、さらには蔬菜から花卉と多岐にわたってございますが、非常にそういう意味においては北海道も農業県であって、北と南といいますか、そういう地域は違いますけれども農業に抱えている問題は同じであると私は思う次第でございます。  そこで、今回のこの事業組織改革は、全国の画一性を避け、事業の種類、地域の実情等を十分に反映して考えるべきである、私はこう考えるところでありますが、今話しましたように事業の種類によってはそれぞれ違うと思うのでありますが、三宅さんのお考えでは、この経済事業においてはどのような機能分担が理想であると考えておられるのか、そのお立場でひとつお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  48. 三宅一美

    三宅参考人 今の御質問は組織整備の進め方だろうというふうに思います。  確かに、先生のおっしゃいましたように、宮崎の場合は園芸畜産、これらが中心でございますが、系統農協としましては、やはり組織整備組合員との直接の触れ合い、触れ合う農協事業組織強化、こういうものが基本だろうというふうに思います。そういう意味で、それを補完する連合会が一体となって組織整備に取り組むのだ、こういう宮崎の場合は考え方を整理しておるわけでありまして、まず農協合併を進めまして、高水準の機能を持った農協体制整備をまずお願いをする、こういうことで今進めておるわけであります。  全国で進められておりますもので、先ほど先生がおっしゃいましたように、私も北海道には随分研修に行かしていただいておりますけれども、各県の合併の進度というのは違うわけでありまして、経済事業の場合は、やはりその作物の地域性というのですか、そういうものが違っておる、こういうことから、先ほど申し上げましたように販売事業については県間の競争の問題、営農指導の問題等もございますので、どうしてもやはり県を主体に考えざるを得ないのじゃないだろうか、こういうふうに思っております。また、農協合併進展によりまして、体制整備状況なり、また地域の実情なり事業なり、そういうものを考えまして段階的に進めていっておるというのが実態でございますので、全国的にやはり農協組合員との触れ合い、これに立脚した農協を原点といたしまして、系統全体を通じて事業組織合理化なり効率化、こういうものを目指しながら再編していく、こういうことで考えておるわけでありまして、抽象的でございますが、合併については早急に急ぐ必要があろう、こういうふうに思っておるところでございます。
  49. 小平忠正

    ○小平委員 どうもありがとうございました。終わります。
  50. 高村正彦

    高村委員長 阿部昭吾君。
  51. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 お三方、大変ありがとうございました。  私は、短時間でありますので、氣賀澤参考人さんに主にお願いをしたいと存じます。  私は、実は日本の戦後政治というのは、いろいろな意味で、成功したところ、失敗したところ、感じておるわけでありますけれども、その中で最大の問題は、過疎過密をこれほど深刻にしたという問題が我々政治に携わる者として最大の失敗であった、こういう認識を持っているのであります。農協の第一線の大変大きなリーダーとして長い間奔走されてこられた氣賀澤農協組合長さんのお立場で、氣賀澤農協組合長さんのところの管内で減反水田というのは今どのようになっているのか、どの程度は転作が定着をした、定着はしておらぬがいろいろなこういうことをやっておるという状況をちょっと教えていただければありがたいと思うのです。
  52. 氣賀澤隆三

    氣賀澤参考人 管内の転作率は二八・五%ということでございます。永年作物は主としてリンゴでございます。その他は蔬菜、花卉、キンタケが主軸でございます。
  53. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 それにしても三〇%に近い転作定着というのは大変な御努力だと私は思います。今全国トータルでいうと、まだまだ転作定着率というのは二割にいっていないんじゃないか、いろいろな統計のとり方はありますけれども、私はそう見ているのであります。  そこで、もう八〇%くらいの減反田というものを一体何に転換をするか。飼料作物なりあるいは大豆なり変なりといっても、これは残念ながら経営としてはペイしない。したがって、果樹、蔬菜などというぐあいになりたいわけでありますけれども、ここに全部減反水田というものを転作、その方面にだけ向かったならば、果樹、蔬菜というのは恐らく市場がパンクするであろう、こういう悩みを、私は長い間農村を駆けずってきて痛感するわけであります。  そういう意味で、第一線の大きなリーダーとしての氣賀澤参考人は、日本トータルの、まだ転作が定着しておらない減反田というものをどういう分野に転換をさせるべきだというふうにお感じになっておられるか、ちょっとお聞かせいただければありがたい。
  54. 氣賀澤隆三

    氣賀澤参考人 土地という広義の意味から解釈すると、利用区分というものはいろいろな方法があると思います。農地に限らずということがございますので、農業外の使途についてはそれぞれの為政者、立地に応じたアイデアというものがおのずから生じてくるので、農地のある部分は天はねをするだろうと思います。娯楽施設等々も入っていくというふうに思っております。農地の中へ枠組みを組んでみますと、今言ったように、競争に勝てる転作作目を自主的に前向きにつくる部分と、さもなくば、あと残った水田ということに大別されると思うわけです。  それでは、その水田をどのように効率的に経営していくかということがやはり集落の営農一つの大きな課題だと思います。したがいまして、水田というものについては、これはいろいろなスタイルがありますけれども、それぞれ経営体を工夫して、土地の所有と利用というものを区分して、そして所有者に理解を得て、土地を集団連担化して、そこへ効率の上がる、いわば一口に言えば機械化によってコストをペイできるような方法を考えていく。  しかし、農家の所得という段階になると、それぞれの申し合わせによって、そのことが自分の好き不好きで作目の選択ができないということがありますので、いろいろなルールによって公平な所得の配分ができるような工夫をすることが大事ではないか、こんなふうに考えております。
  55. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 先ほど氣賀澤参考人が、農協職員がオペレーターになって受託事業をというお話がございました。私は、実は大変にそのことに大きな関心を持っておるものであります。  今大体、農村第一線の精神的な担い手はまだまあまあ昭和一けた、戦中派世代、いずれ間もなく戦後世代にかわっていくのであります。戦後世代のほとんどというのは全部兼業化しております。むしろ農業よりも兼業の方に軸足を置いておる。もう十年たったらあるいは十五年たったら、次の世代に世代がどんどんかわっていく際に、少しの田んぼは持っておる、農地は持っておる、生産手段は持っておっても、事実上農業からは縁を切っていく層が相当多く出てくるというふうに、残念ながら、これは日本のマスコミや何かのありようにも問題があると思いますけれども農業を日本のマスコミというのはまるで問題にならない扱いをされる。したがって、次の世代はどんどん軸足を農業のほかに移しつつある。一方、農業の方は相当機械化、技術革新は進んでおりますから、そういう意味で、一方は農業から軸足を農業のほかに移していく。世代の交代のときに、それは決定的に選択を迫られる。  そういう意味で、先ほど氣賀澤参考人が申されました、農協職員がオペレーターになって受託事業をやっている、このことは、残念ながら、真剣に今から、そのときになって泡を食うのではなくて、準備していかなければいかぬ課題だというふうに私は認識しておるのである。  現在、氣賀澤参考人のところで、農協自体で受託をやっておられる大まかな規模と内容についてお聞かせいただければありがたい。
  56. 氣賀澤隆三

    氣賀澤参考人 直接農協が受託を受けておるのは百五十ヘクタールでございますので、全体の割合からは少ないわけでございますが、将来に示唆する参考的な要素はたくさん内蔵しておると思っております。それらも参考にしながら、今先生が農協による直接経営ということについて賛意をいただいたことに大変心強く思っております。  ただ、現状、いろいろな世論を聞いてみますのに、農家が農業経営するのであって、法人が経営をしたなら農業じゃないというような論議もかなりありますので、かなりネックもあるとは思いますけれども、しかし、お話しのとおり、先生十五年、十年と言われましたけれども、もう五年たったらお手上げじゃないかなという切迫感もあるわけでございます。したがいまして、御協賛を得ながら、その際に間に合うように私たち職員営農部員の中で日ごろ勉強を続けていきたいというふうに思っております。よろしくお願いします。
  57. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 私は、実は三十年前の農協法改正によって農事組合法人、たしか農基法に引き続いてこの農協法改正が行われて農事組合法人、この組織づくりに物すごく飛び回った経験がございます。しかしながら、残念ながらあれから三十年たってみるといろいろな問題点にやはり直面しているのであります。今後農協の中における農事組合法人という、この組合員の集団化された、あるいは共同化された状況というものをどのように再構築するかということが重要になってきておるように思うのであります。これらの問題につきましては、きょう実はお答えをお願いするということではなくて、改めて私一度氣賀澤参考人のところの組合の現地にお伺いをさしていただきたいと思っております。  大変ありがとうございました。以上で終わります。
  58. 高村正彦

    高村委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人各位に一言お礼を申し上げます。  参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。  参考人各位には、御退席をいただいて結構でございます。ありがとうございました。  午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時八分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十分開議
  59. 高村正彦

    高村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出農業協同組合法の一部を改正する法律案及び農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を続行します。鉢呂吉雄君。
  60. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 午前中の三人の参考人の御意見も踏まえて、農協法改正について、二日目でありますのできのうの質問あるいは答弁の内容も見ながら質問をさせていただきたいと思います。  その前に、きょうの朝のニュースでも伝えておりますけれども、アメリカのブッシュ大統領とECのドロール委員長がワシントンで会談をしたということが報告をされております。この間渡辺外務大臣の両国に対する親書等のこともございまして、特に最近のガット交渉にかかわる状況について、農水省としてどのように御認識をされておりますか。その辺のことを御報告願いたいと思います。
  61. 川合淳二

    ○川合政府委員 現地時間で昨日、米・ECの首脳会談が行われたわけでございます。その中でウルグアイ・ラウンドについて話し合われたという報道がございました。私どもは今詳細把握に努めておりますが、まだ十分なことをつかんでいるわけではございません。事務的な協議を含めて種々のレベルでの協議が行われてきたわけでございますが、そこの段階ではまだかなり考え方の相違があるのではないがというふうに把握しておりまして、きのうの会談でもラウンドの早期かつ成功裏の終結を図るということについて一致したということを双方言ってはおりますけれども、また両サイドから新たなアイデアを出し合ったというような言い方をしておりますけれども、内容について一致を見たということはなかったようでございます。どうも双方の話からしますと、さらに技術レベルで検討をして、可能な限り早い段階の合意を追求するということが必要だということを合意したと言っておりますので、内容についての具体的歩み寄りがあったというふうには思われないようでございます。こういう状況でございます。  それから、お話がございました外務大臣の書簡につきましては、これは主として内容は米・ECの工業品に対する市場アクセス分野あるいはサービス分野について積極的な対応を促す趣旨で出されたものでございまして、これについては日本側も不十分ではないかというような批判もなされているようでございますが、このことが交渉自体にどういうふうに影響を与えるかということは必ずしも明らかではございません。  ただ、そういうことでございますので、何らかの形で技術的なレベルでの検討というものが米・EC間で持たれますので、我々としても米・EC間だけでこういう話が進むことについては非常に問題があると思っております。  それから、基本的立場として我々が受け入れられない問題があるわけでございますので、今後ジュネーブの方が主体の動きになろうかと思いますが、その辺の動きにつきましてよく情報を把握するとともに、いろいろな機会に我々の立場をさらに主張していくということを続けていきたいと思っております。  現状はそのようなことでございます。
  62. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 私は、数度にわたって大臣に申し上げておりますけれども、この交渉においてもなかなか日本の顔が見えない。ようやく渡辺外務大臣のこのような形があったわけでありますけれども、これも非農業分野に限っての積極さというふうに見えます。今宮澤総理がこの四月の下旬から連休にかけてヨーロッパを訪問する。さらには、ミュンヘン・サミットを前に、このガット交渉を合意したいとコール首相あたりは言っておりますから、大臣も必要とあらばこの主導権を握りたいということを前回の委員会でも表明しておりますので、このミュンヘン・サミットあるいはまた宮澤総理の訪欧に向けて、我が国としてどのように考えておるか、その積極性あるいは対応の仕方等について大臣の御見解を伺いたいと思います。
  63. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 我が国の顔が見えない、こういうことですが、私の方の顔はしっかりしているわけですが、ほかの方が見えないんですね。一体どうしようとしているのか。農産物以外のものも提案をしてない。そういうことで、私の方はもう提案済みであって、これこれは応じられません、これこれは修正してほしい、このぐらいはっきりしていることはないので、妥協しなさいということであれば別でありますが、そうでないわけでありますから、私の方は顔が見えてほかの方はまだ提案をしていない、案を出してないという国の方が多いわけでありますから、どうぞそこのところは御理解をいただきたいと思いますし、何といっても最大の問題は輸出補助金、これが不公平の最たるものでありますから、ここのところは私どもが強く主張しておる。もちろん輸出国のことは非常に色濃く出ておるわけでありますが、輸入する方の立場というものは全く認めておらないということでありますから、その立場に立って主張を今までもしているところであります。  また、総理が訪欧される、議題が何になるかわかりません。わかりませんが、それまでに前進が見られないとすると、恐らく議題になるのかな。なってみても、実務的に詰めないものをトップ同士が集まってこうだと言っても、この種のものはなかなか進まない。政治的にもう本当に決断をするというなら別でありますけれども、決断するにも、その国々の案があって決断というものがある。案がないものは決断しようとしても非常に難しかろうと思います。思いますが、いずれにしても、総理から、話題になるという場合には我が国の立場を関係国に主張していただく。もう既に総理とも相談して出した案でございますので、そのことを総理に対して申し上げたい、お願いをいたしたい、こう思っております。  政府一体となって今取り組んでいるわけでありますから、今後とも食糧輸入国としての私どもの立場が交渉結果に反映されるように最大限の努力をしてまいりたいということでございますので、御了承いただきたい、こう思います。
  64. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 田名部大臣の内向きの顔はよくわかります。しかし、これはあくまでも外交交渉、国際交渉でありますから、外向きに対しての顔、日本が輸入国としてのイニシアチブを、これはヨーロッパにもアメリカにもさまざまな国内の農産物農業問題があるということを踏まえて日本がイニシアチブをとることがこれからなすべきことだろうということで、ぜひよろしくお願いをいたしたいと思っております。  そこで農協法の関係に入りますけれども、今回の大臣の農協法の提案説明の中で、このように述べております。  今日まで、経済環境や農業及び農村をめぐる情勢変化対応して、農協の健全な育成を通じて農業振興や地域の発展に寄与し得る制度改正をなしてきたということで、例えば五十七年には連合会の員外貸付制限の緩和ですとか、今回も高齢化社会に対応した老人福祉に関する事業あるいは農協の員外貸付制限の緩和が提案をされておるところでございます。  そこで、農協法の第一条にはこの法律の目的が記載をされておりまして、「農民の協同組織の発達を促進し、以て農業生産力の増進と農民の経済的社会的地位の向上を」図ることを目的とする、このように明確に目的を述べておりますけれども、この法律の目的は専ら農業、農民について述べておるのでありまして、ここに大臣が提案説明をされました地域の発展に寄与し得る制度改正ということと法との整合性について、お述べを願いたいと思います。
  65. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 先生は専門家でありますから私より詳しいだろうと思いますが、農業者の協同組織としての農協というものは、今お話しのように、ここのところ大変変化が激しい、社会情勢変化をしておる、こういう中で、多様化する組合員ニーズに十分こたえながら健全な事業運営を進めていく、このことが大事でありまして、その活動を通じまして地域農業振興でありますとか活性化に寄与していかなければならぬということが当然のことでありますが、今回の法改正でも、農協が協同組織としての原点に立って今後ともその使命を十分に果たしていけるよう、地域農業生産活動補完地域社会の高齢化への対応強化するための事業の充実、そういうものを図りながら、業務執行体制整備などを図ることと実はいたしておるわけであります。  きのう来、営農指導をもっと強く明記すべきだ、こういう御意見がありましたが、農業協同組合というのは第一に営農をしっかりやる、農家の生産性を上げて健全な農業活動の中で農協というものは立っていかなければならぬことは当然のことであります。ですから、それ以外としてさらにしていかなければならぬことを、この際法律で指定して明確に規定をしながら、そのほかにもこういうこともしていかなければならないという幾つかのことをお願いをしておるわけであります。
  66. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 私は、さまざまな老人福祉ですとか員外貸し付けの緩和、これらの地域社会に農協は寄与する、その根拠をどこに置くのかという点で法律的な根拠、これについて、局長の方からでよろしいですけれども、答えていただきたいと思います。
  67. 川合淳二

    ○川合政府委員 私ども農協の存在をどう考えるか、昨日も御議論がございましたけれども農業者を中心とした職能組合か、あるいは地域組合かという議論があるわけでございますが、それについてきのうも御議論申し上げましたように、やはり農業者ということを中心としながら地域に密着した協同組合というものを模索すべきではないかというふうに思っているわけでございます。  法律的にという御議論でございますれば、農業というものがやはり土地に密着したものである、しかもその地域の中に根差した、ある意味では生業というような言葉もありますが、産業でございますので、確かに法律地域協同組合ということ、例えばでございますが、そういうものにどこで読むかということについて、必ずしもはっきりした規定はないとしても、農業の存在自体地域社会に密着し、かつそれに根差したものであるということでございますので、そこは私ども、今までの法律の中では地域協同組合的色彩があるということについて、今の法律に矛盾するということは考えたことはございませんので、それは農業協同組合という性格の中にそのものがあるのではないかというふうに考えております。
  68. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 今の局長の御答弁は、農業というものは地域的なものであるということで、その地域性の中でそれらに関連するものが事業として行い得るというような御答弁だと思います。  そこで、私はこの数年にわたる農協のこれまでたどった経過を踏まえて、きのう実は大臣も質問に対して、農協経営基盤強化することがまず第一にある、経営基盤のないところに職員の育成もないというような発言がございました。しかし、私は、農協というのは農業を含めて、農業の中で存在をし、その中で経営強化されなければならない、基盤の強化が出てくるんだ、しかし、あくまでも付随的に農民、農業者を含めたその地域の生活的な問題というのは当然あるということでありますけれども、それが主客逆転をして、農協の基盤強化のためにいわゆる非農民の方向事業拡大をしていく、そのことが主体になっていくということは、農協の本質を変質させていくものになっていくのではないかというふうにおそれておるわけであります。  そこで、抽象的なことでなくてお伺いします。今回、老人福祉事業について農協事業に取り込んだわけでありますけれども、今言いました農業者あるいは農業地域地域社会をめぐる事業として、この老人福祉事業のみを取り込んだ今日的な意味合い、もっと例えば農村と都市の交流事業でありますとか、あるいは老人福祉に限定しないさまざまな生活福祉事業というものがあるわけでありますが、これらを一括してこの事業に繰り込まなかった理由。  それから、先ほど言いました付随的に地域振興事業というものをやるのか、あるいは何か経営基盤というようなことで農協の運営の中にこれらの事業を取り込んでいくという、多様なニーズということで、地域によって多様なニーズがあるというようなことでくくられるわけでありますけれども、やはりその辺の一線を法的に、あるいは農水省の指導としても明確にしておく必要があるのではないかと私は思いますけれども、その点に対する御見解をお伺いしたいと思います。
  69. 川合淳二

    ○川合政府委員 農協としてこの老人福祉事業に取り組む意義と申しますか、必然性ということからいえば、やはり我が国全体が高齢化している中で、農村地域は一般に言われるように、二十年も早いペースで高齢化が進んでいるという現実があります。そういう意味では、言い方が適当でないかもわかりませんが、好むと好まざるとにかかわらず農業協同組合も高齢化問題に直面し、それについて対応していかなければいけないという問題が今日起こっていると思っております。したがいまして、やはりこの問題は今後非常に大きな問題として取り組まなければいけない問題でございますので、農協事業として法律的にも明記し、そのことをある意味では国民的にも理解をいただいて、農協がこの問題に取り組んでいくということの必要があるというふうに考えるべきではないかと思っております。  もちろん先日来御議論がありましたようにこの福祉事業というものは本来の行政の分野で主として行われるべきものでございますので、そうした計画の中に位置づけられて行うべきということは当然でございますが、そういう社会的な必然の中で、今回こうした法律的な改正をお願いしているというふうに私ども考えております。
  70. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 これとの関連で、准組合員の考え方をお伺いしたいと思います。  正組合員戸数がここ七年ほど一貫して減少しております。しかし一方で、准組合員は増加の一途でございまして、全組合員の三六%を占めております。神奈川、東京、大阪、静岡、さらには私の北海道でさえ五〇%を超える、半分以上が准組合員ということでございます。この関係の農協制度に関する研究会の報告によりましても、准組合員については、単に経営主義の観点から無原則的に増加させていくことは、農業者の営農と生活が基本という農協理念に照らして問題である、今後も慎んでいくべき、このように述べながらも、また一方地域性もあるというふうに、この研究会報告はまだ結論を出しておりません。  昨日も経済局長は、無原則的にこれを増加させることについては問題ありという発言もございましたけれども、私は、先ほども言いましたような、多様なニーズで各地域農協実態によってということをしばしばきのうも言われておるのですけれども、しかしやはり准組合員についてもここに一つの原則を設けるべきである、無原則的にということであれば、原則をきちんと設けてそれに基づいた指導系統にすべきである、そうでなければ非常に農協の性格があいまいになる、そのように考えますけれども、原則というものは何であり、基準というものは何であり、それをどのように設定するか、そのことについてお伺いをいたしたいと思います。
  71. 川合淳二

    ○川合政府委員 准組合員の問題は、すぐれて地域性のある問題でもあると思っております。先ほど先生の御議論の中で、地域組合と申しますか地域的な組合としての性格が農協にあるとすれば、やはり都市化、混住化というものが進んできておりまして、特にその進み方の著しい地域農協におきましては准組合員がふえてくる、そういうことも一概に否定できない状況があろうかと思います。  そもそも、農協自体が歴史的な経過といいますか、背景を持って今日に至っておりますので、そういう中で、准組合員地域状況から見て非常に多くなっているというところが今御指摘のようにあるわけでございますが、ただ私どもは、先生も今おっしゃっていただきましたけれども経営主義といいますか、無原則にただ組織あるいは経営というような観点からだけで准組合員をふやしていく、そういう事業運営はやはり適当でないのではないか、慎むべきではないかというふうに考えております。  ただ、非常に難しいのは、例えば一律的な基準をつくるとすれば、それは地域によって非常に適応ができないようなところもございますので、やや抽象的な言い方で恐縮でございますが、今のような、昨日もお答えしましたような、無原則に増加させるような事業運営は慎むべきであるということでこれまでも指導してまいりましたし、今後もそういうことで適切に対処してまいりたいと思っております。
  72. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 そのようなおそれを持ちながら、しかしこの増加は、無原則的に准組合員が非常に増加しておる。准組合員といっても、これは員外と言ってもいいわけでありまして、そういった面で問題はあろう。もちろんこれは、研究会報告でも述べていますように、農家組合員の意思を踏まえてこの准組合員について考えるというふうに抽象的に言っておりますけれども、やはり農家の意向といいますか、農協の考え方というのはきちっとしておかなければならないだろうというふうに思います。  時間がありませんので次に進みますけれども、今回の員外貸付規制の問題であります。  法律の第十条の10には組合員以外への資金の貸し付けが既にできるようになっておりまして、例えば地方公共団体、あるいは農村地域における産業基盤または生活環境の整備のために必要な資金、あるいはまた銀行その他の金融機関への貸し付け、これは金融機関への貸し付けでありますけれども、このことができることになっております。  一つは、新たに連合会でなくて単協一定の基準のもとに員外貸付規制を貯金等の百分の十五という形で緩和したわけでありますけれども先ほど言いました十条の10との関係はどういった整合性になるのか。十条の10は、農村あるいは農村地域あるいは農業について限定的に貸し付けをとらえております。今回の規制緩和については、いわゆる農協資金運用を単純に強化するという視点で、補足説明でも述べられておりますけれども、このあたりの関係。あるいは、なぜ信用基盤強化という観点で、この百分の十五ということで員外貸し付けを緩和したのか。あるいはまた百分の十五という考え方は、通常は貸付額の組合員利用の五分の一以内というのが普通でありますけれども、貯金等の百分の十五とした理由。  あるいはまた、現在農協の貯貸率は三〇%以下でありますけれども、このことが加わることによって、いわゆる貸し付けにかかわる組合員外あるいは組合員との比率は変わってくるのではないだろうか、その辺に関してどのように考えておるのか。それから、今の員外貸し付けに伴う今回の貸し付けについては制限をつけないのか、先ほど言ったような農業、農村地帯に対して貸し付けをするというような10の考え方ではなくて、貸付先とか貸付事業として制限をつけないのかどうか、その辺の御見解をお伺いしたいと思います。
  73. 川合淳二

    ○川合政府委員 一番最初に御質問がありました十条の十項にあります地方公共団体あるいは金融機関などの貸し付けでございますが、これにつきましては、この規制の外というふうに私どもは運用しております。  それで、いわゆる指定農協ということで貯金総額の百分の十五まで拡大することを認めるという改正でございますが、その指定に当たりましては、当然のことながら現在の組合員に対します資金の貸付状況あるいはその他の資金の運用状況、それから貸付審査体制の充実度などが十分にできているかどうかというようなことをよく勘案いたしまして、必要かつ適当と認める農協に限って指定するということになろうかと思っております。  百分の十五の理由でございますが、これは既に信連につきましてこの制度を導入しておりますけれども、貸し付けの原資となる貯金の合計額の六分の一までが員外のもの、いわゆる員内貯金量の五分の一までは員外のものであり得るので、ベースの五分の一で、六分の一という数字が出てまいりますけれども、それが員外のものだということから六分の一がおおむね百分の十五、六分の一の方が大きいわけでございますが、そうした考え方で従来指定信連をつくってきておりますので、その考え方に基づきまして百分の十五という数字を使っているわけでございます。  それから、現在の制度でも貸付先を地区内の農業進展に寄与すると認められる事業を行う小規模事業者に限定して認めているわけでございます。これも先生お話しの点でございます。こういう思想は、今後も続けていきたいと思っております。  いずれにいたしましても、現在の状況から見て、貸付審査体制あるいは内部牽制体制整備ということがなければ、一方でリスクを生ずる問題でございますので、そうしたところを十分指導し、かつ、そうしたことにつきましての体制が整ったということを十分条件づけてこの指定の指導に当たっていきたいと考えております。
  74. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 先ほどの百分の十五というのは系統信連ではやっておったかもわかりませんけれども、やはり員内貸し付け、員外貸し付けとの二〇%、五分の一という観点からいけば、思想が違ってきておるというふうに思いまして、これについては、小さいことでありますけれども、また改めて御質問したい。  そこで、合併に関してでございます。  大臣に合併法の改正趣旨について質問することになっておりますけれども、時間が来ますので省きます。  そこで、合併助成法の中には、その提案理由の中で大臣はこのように述べております。いわゆる今回の合併に取り組む「喫緊の課題」ということで、「その経営基盤の安定強化」にあるのだというふうに言っております。私は今回の目的も、しばしば農協経営の悪化、これは大臣、きのうも言っております。特にこれまで支えてきた信用事業が、金融の自由化に伴って競争激化収益性低下をしてきておるということでありますけれども、その農協経営対策の一環として出されてきておるのではないかという疑念をぬぐい去ることはできません。ここで言っておる「その経営基盤の安定強化」のために何が一番大切か、何が一番大きな、今の中で、苦しいけれども何が大切かということについてお伺いをいたしたいと思います。
  75. 川合淳二

    ○川合政府委員 先生御承知の点でございますけれども、今の農協経営を支えているものは、率直に言って信用事業だと思っております。このことは、私は必ずしも適当でないと思います。しかも、この信用事業を取り巻く環境が、御承知のような環境の変化で、競争激化などによりまして、やや崩れ始めているということがあるわけでございますので、やはり農協として経営基盤、まさに本来的な事業である営農指導その他が適切にできるような、そういう経営基盤をつくっていくということが必要なわけでございます。  したがいまして、そうした観点から立ては、やはり合併を進めていく、当然のことながら合併に伴います幾つかの懸念されるべき問題もあるわけでございますが、経営基盤整備することによって、農協が本来求められている仕事、それが適切にできるという、そういう体制をつくっていく、それが合併に対する考え方ではないかというふうに思っております。
  76. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 局長の御答弁はそのとおりで、私もそのとおりに思います。しかし、実際はそのとおりになっておらない。きのうも論議になっておりますように、信用、共済事業部門が収益低下していく中で、やはり経費節減型といいますか、職員を削減するあるいは経営管理的にさまざまな費用削減をするという意味合いから、経営合理化型として出発をしておる。  例えば、それでは一つ資料を示しますけれども、これも皆さん御承知のとおりでありますけれども単協事業規模別に見た一正組合員当たりの事業分量と系統利用率というデータが出ております。これは農協系統の研究所で出されたものだと思いますけれども、例えば貸付金についても、五百戸未満は三百八十万も借りておるのに、三千戸以上の一人当たりは二百十万だ。貯金についても、五百戸未満は農協に対して一千三百万の貯金をしておるのに、三千戸以上の方は、ならせばですけれども八百六十万。購買、いわゆる生活、生産資材の購買についても、五百戸未満は百四十万、三千戸以上は八十四万八千円。特に販売事業についても、五百戸未満については二百十一万の単協利用をしておるのに、三千戸以上は九十七万四千円だということで、正組合員一人当たりの事業分量にしても、また職員一人当たりの例えば貯金ですとか、こういう販売事業の一人当たりの結果でも、この十年来同じような経過で、むしろ規模の小さい農協の方が、これは単純には比較できないと思いますけれども農家組合員の結集がよいというデータもあります。  そんなことで、局長の言われました営農指導中心として、農産物の販売あるいは購買を中心として、その規模メリットを生かすという方向での合併を推進していくんだという御答弁でありますけれども、今後ますます、この系統の一千農協というようなことからいきますと大規模化が始まるわけでありますけれども、農水省としてどのように指導されていくのか、そのお考えをお聞かせを願いたいと思います。
  77. 川合淳二

    ○川合政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、合併を進めていく一番の主眼は、やはり農協農協として本来の営農指導中心とし、販売事業購買事業、その他の事業を有機的に結びつけて推進していく、そういうことが合併の本旨であるわけでございますので、合併をすることによってそうした問題ができなくなる、あるいは今までよりも状況が悪くなるというようなことであるとすれば、その合併の意味は全くないわけでございます。  したがいまして、規模が大きくなることによって、今先生が御指摘がありましたような状況は、どうしてもその範囲が広がれば広がるほど混在化あるいは農家の多様化が広がりますので、そういうことも起こりがちでございます。先生も今おっしゃられましたように、その数字自体を取り上げてどうということではないとは思いますが、そういうことにならないように、やはり、例えば農協組合員との関係、あるいは市町村との関係といった問題について、十分きめ細かい対応というものを求めていかなければいけないのではないかというふうに思っております。
  78. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 事業の二段階の関係につきまして、これも大臣の御答弁を求めておりましたけれども、時間の関係で後回しにさせていただきたいと思います。  そこで、午前中の参考人の御答弁でも、特に全中の常務さんからは、今後の二段階についての実行方策についてはまだら模様だということで、さまざまな組み合わせも考えられるかのような発言もしておりますけれども、最終の、どういうところに持っていくかということが、先ほどの午前中の御答弁では非常に不明確であったなというふうに私なりに思っております。  そこで、さまざまな段階で、できるところから、県段階からやっていくということでありますけれども、最終の、どこに持っていくんだというきちんとしたものがなければ、県段階でも非常に戸惑うというか、あるいは農協間でも戸惑う。もちろん単協合併の推進度合いによって違うことはわかるわけでありますけれども、二十一世紀を待たずにできるかの発言もありましたけれども、やはり最終のところをどこに押さえるのかというところを、農水省としてもきちんと指導すべきであろうというふうに思っております。  そこで、特に経済事業における経済連役割について、私の意見も言わせていただきます。大変、三段階がペーパーマージン等があるということでコストアップの要因になるかの農家の御批判もあります。あるいはまた、一部非効率性についても取り上げておる面もありますけれども、私は、先ほど言った地域農業の推進という意味合いからいけば、経済連の果たす役割はもっと重要でなければならないというふうに考えております。  特に、今までのデータを見ましても、例えば販売事業についても、取扱高の大きな上位五連の全農に対する利用率、全国に対する利用率は四五%であります。取扱高の下位五連が六五%でありますから、むしろ大きな取り扱いをしておる経済連の方が、いわゆる上部段階を利用しておらない。これは私も経験ありますけれども、六、七年前までは野菜等の青果物の扱いを全農が集約をして行うということで、各経済連が全部この全農に出向して事業をやったんですけれども、とうとううまくいかないで、六、七年前にそれを解散して、各経済連で行うという仕組みに変わった経過もあります。そんなことで、必ずしも経済連役割を過小評価して、全国連という形にならない、むしろ産地間競争というような形に、これからますます作物ごとになるという形からすれば、経済連役割販売事業にとっては重要になるだろうというふうに思っております。  さらには購買部門についても、いわゆる生産資材あるいは生活購買部門でありますけれども、これにつきましても、私は、必ずしも全国一本にすれば、きのうも大型な、えさ等は全農で一括輸入した方がよいのではないかというような議論もありました。しかし、私の見る限りにおいては、従来、全国に集約することが量的な有利性で価格の有利さを発揮できるんだ、そして予約購買ですとかさまざまな全農の価格交渉で農家に利用高配当という形で有利さを発揮できるんだということが言われてきました。しかし今日、価格交渉力だけでは生産資材等のコストが下がっていかないということは、自由市場の経済では原則でございます。  したがいまして、私どもは、各経済連が資材の供給を競争的にしていく、むしろそのことの方が、今日農家のコスト低減という意味合いからいっても方向性があるのではないかというふうに考えるわけでありますけれども、農水省のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  79. 川合淳二

    ○川合政府委員 この農協系統組織組織改革の問題は、やはり組織みずからがどういうふうに改革をしていくかということを中心に議論されるべき問題であろうと思います。  したがいまして、基本的にはそうした具体案が出たところで、私どもの考え方なり対応ということになろうかと思うのでございますけれども、お尋ねでございますので、やや抽象的になるかもわかりませんがお答えいたしますとすれば、やはりこの組織改革は、基本としてはまず単協がある、末端の協同組合が基本にあって、その協同組合がどういうふうに的確に動けるかということで組織が成り立っているわけでございますので、そこを原点に考えるべきだと思っております。     〔委員長退席、杉浦委員長代理着席〕  と申しますのは、やはり合併がどういうふうに進み、その合併によって組合と農協との関係が、いろいろと批判される点がどういうふうに解消され適切に運営されるかということとの関連で、やはり県段階、そして全国段階が考えられるべきだと思っております。  特に経済連の場合は、経済事業自体がいろいろな形、販売、購買、その販売、購買の中にもいろいろな要素が入っておりますので、例えば今御指摘のあったような野菜でございますれば、事実上県段階が携わっているというようなことでございますので、いろいろな形になりまして、組織になりますとそれが一義的にならないという非常に難しい面があろうかと思います。やはり全体としての流れ、物流とか南流の流れとしての合理化、あるいは末端の農家へいろいろなものが届く、あるいはそこから出ていく、それの流通コストと申しますか、組織内でのコスト、これを下げるということが一番の大事なことでございますので、そういう観点でそれぞれお取り組みをいただきたいというふうに私どもは考えているところでございます。
  80. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 時間がありませんので、二つだけ聞きます。  一つは、全農を中心として、単協が全農に直接加入ということが昭和五十年からその道を開いたわけでありますけれども、加入はしておりますけれども利用せずということで、この機能が全く発揮できておらないというふうに私どもも見ておりますが、どのように農水省としては指導しておるのか。  それからもう一つですけれども、特に全農を中心としていわゆる株式会社、全農が出資している株式会社が相当数見られます。例えば全農が経営責任を持ち、その会の機能の一部を分担する会社ということで三十三社、三千九百名の社員を抱えております。三千九百名は、もう既に全農の職員よりも多いということであります。さらには、県連が主体となってそれを支援している会社七十三社、あるいはまた事業の取引関連から。出資している会社三十四社、さまざまな株式会社が全農に付随をして設立をされ、運営されております。  これらに対して、農水省としてはどのようなお考えを持っておるのか、この点についてお聞かせを願いたいと思います。
  81. 川合淳二

    ○川合政府委員 全農への単協の直接加入につきましては、先生から今お話がありましたように三千三百二十一、これは平成二年事業年度末でございますが、会員が入っております。約九〇%の加入率だと思っております。それと同時に、直接利用は行わないという形で現在行われているわけでございますが、私どもこの問題は、やはり単協合併促進という形で進んでいく過程において、もう一度検討されるべき問題であろうと思います。単協が非常に大きくなり、かつ県の経済連との関係あるいは県の連合会との関係の問題とのかかわりもございますけれども、そうした過程で全国連の利用ということも問題になってくるわけでございますので、今回再編整備という形でいろいろ議論されている中でこの問題も議論されるべきではないか、検討されるべきではないかというふうに考えております。  それから、全国連が保有している関連株式会社あるいは関連会社、私ども協同会社というような言い方もしておりますが、これについてでございますが、これは、やはりその事業を遂行するために、例えばある意味では専門化した方が効率的な事業、あるいは特殊な勤務形態を必要とするというようなことで設立されてきたものが多いと思っております。  私どもこのような会社につきましては、やはり会員あるいは組合員に対しまして、こういう協同会社、全額出資という形が多いわけでございますが、そうした会社についても組合員あるいは会員に対しまして透明性のある形で経営が行われるようにという観点に立ちまして、設立運営につきまして一定の届け出を行政庁にするとともに、例えば今の全農の例でございますれば、協同会社の財務諸表なども全農の総会に報告させる、同時に私どもの方にも届け出てもらうというような指導を行っているところでございます。  やはり必要なことは、こうした会社の運営につきまして透明性を持って対応していただきたいということであろうかと思っております。
  82. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 時間がありませんから論議できませんけれども全国連の肥大化がいわゆる民主的な運営というものを阻害しておる、あるいはまた資本の蓄積が上部全国連に残って、そのことが農家の組合員の不信をなかなかぬぐえないという面があろうと思いますから、この点についてはまたきっちり、原則的なものについて論議をしたいというふうに思っております。  そこで、営農指導の関係についてもお聞かせを願いたいと思います。  きのうの局長の発言では、田中委員の質問に対して、本来的な事業であるという点で、農協法の十条には第八項でしたか十項でしたか記載をしているにすぎない。私も田中委員と全く同じ意見をきょうも言わしてもらいたいと思ったのですけれども、まさに本来的な事業であれば、別条項、単独条項をつけて、やはり営農指導事業の大変大切な基礎的な事業だということを明確にし、そこから農協事業運営がすべて発生するように、そういう条項を明確にすべきであるというふうに考えております。  大変歴史のある農協法でありますけれども、この指導事業に対する重要さ、確かに局長は、そのほかの条項でも受託農業経営とかいろいろありますよということは述べておりますけれども、やはり相対的に営農指導事業の重要さ、あるいは本来的なものということで別条項で立てるべきであるというふうに言わせていただきたい。それは、今も営農指導事業が一一%ほど、単協では営農指導を持っておらないというデータもある。あるいは必ずしもこの大型化によって営農指導事業強化されないという点にかんがみて、現代的な意味があるというふうに考えております。  そこで、質問でありますけれども営農指導事業の費用であります。これも、全国でありますが、一農協当たり平成二年度では七千四百五十七万円、これは人件費も含めてでありますけれども、かかっております。このうち約一千数百万は賦課金等で徴収をしておりますけれども、五千七百万円はほかの事業からこれを補てんをしておるという状況でございまして、営農指導事業強化を口では言ってもなかなか、実際農協の運営をしたり、あるいはかかわっておる農家組合員からいってもできないのであります。これは不採算部門ではないわけでありますけれども、まさに農協基本でありますけれども、できない。しかしまた一方、農協営農指導は、戦後一貫して日本の農政をまさに末端で担ってきた、さまざまな転作でありますとか構造改善事業ですとか畜産等についても。私もずっと二十年間いましたけれども、まさに皆さんの農水省から発したさまざまな補助事業、こんなに分厚い書類をつくって出すのが精いっぱいであります。こんなことをやっているからなかなか本来の営農指導に目が向いていかない。そう言えば、そんなことは農家組合員のためにやることだから当然のことであって、そうであれば補助金はやらない、言ってしまえばそのとおりでありますけれども、私は今日的な意味からいって、この営農指導事業を本当に確保して強化するのであれば、やはり国としての基本的な考えがなければならないだろうというふうに考えております。  きのうもお話がありましたけれども、部門ごとの独立性ということからいけば、賦課金をきちんと設定するという指導も大切であります。あるいはまた、剰余金の繰り越し基準を、現行二十分の一を繰り越すことができるというふうになっておりますけれども、もっとこの基準を引き上げて、安定して営農指導事業経費を保持するということを農協の中に位置づけさせるべきである。あるいはまた、税の優遇措置をとるべきだろうというふうに思っておりますし、とりわけ今質問したいのは、国の財政上の支援営農指導事業に振り向けてやるべきだろうというふうに私は思いますけれども局長は首を振っておりますからあれですけれども、御答弁願いたいと思います。
  83. 川合淳二

    ○川合政府委員 営農指導事業の重要性につきましては、あえてお話する必要もないと思います。ただ、私ども農協の本来やるべき仕事はこれであるというふうに考えております。経済事業あるいは信用事業、共済事業、いろいろやっておりますが、そうした事業を行うのは、農協組合員に対して営農指導を行う必要があるからと言っても過言でないのではないかと思います。  したがいまして、この営農指導事業農協が本来的にやらなければいけない事業でございますので、そういう点からいえば、これに要すべき費用はやはり農協が自分で賄うべきものであるということが基本ではなかろうかと思います。いろいろな形での支援というものはあり得るわけではございますけれども、やはり本来的には農協みずからが負担すべきものであるという考え方を私どもは持っております。
  84. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 そのとおりだと思いますけれども、非常に現状は悲観的な要素が強いということで御考慮願いたいと思います。  時間があと六分、七分でありますから、まとめて四つだけ言いますので、三十分までに終わらせていただきたいと思います。  一つは、さまざまな経営管理上の法的な整備をいたしました。しかし法的な整備は、定款等でもう実際やっております。ただ、その法の裏づけがあるということでありますけれども、一番大事なのは、農協の不祥事も多発しております。私の経験では、非常に複雑多岐にわたっている事業を多角的にやっておるという単協段階では、不祥事を未然に防ぐということは非常に大切であるというふうに思います。その観点に立って、今の監査制度というのは非常に自主性を持たせておりますけれども、不祥事が続発することの一つの原因になっておるだろうということで、一つは、きのうも公認会計士の話もありましたけれども、中央会監査が今の法七十三条の十一の二の五項では、中央会の行う組合の監査については、組合の受ける努力という項目があっても、法的に義務化がされておりません。どうしてもこれは決算監査等で法定化をするということを農水省としてお考えをいただきたい。  それからもう一つ系統農協では中途退職者が大変続出をしております。北海道でも、定年が百五十四名に対して中途退職者が八百六名。全国的にも十八歳から三十九歳の中堅職員が全体の四七%、約半分の中途退職を出しておるというようなことで、また新卒の確保についても困難である。このことに対して農水省はどのような原因と対策をお持ちなのか。  あるいはまた、農協職員の、これは単協の労働条件について、一般企業より大変立ちおくれておるというふうに思いますけれども、この労働条件、労働時間、休日、給与について、農水省としてこの実態についてお述べいただきたいと思います。  それからもう一つ農協法の四十八条には総代定数規定に関しての定めがあります。ここでは組合員の五分の一以上を総代として選ぶ、しかし二千五百名を超える組合員の組合では五百名を限度とするという規定があるわけでありまして、昨今の合併が千人規模にとどまらずもっと多い規模、二千五百人を超えるような大規模農協では五百人と限定して、民主的な運営が達成できるのかというふうに憂慮するわけで、そのことについて御答弁願いたいと思います。
  85. 川合淳二

    ○川合政府委員 中央会監査の法定化の問題でございますが、実は、この問題は私ども内閣法制局などとも議論はしているわけでございますが、やはり当然のことながら系統内部の自治監査の性格を持っているわけでございますので、これを義務づけるという法律をつくることは、団体自治と申しますか、そういうことからなじまないという見解がございまして、私ども法定化ということを今までやってきていないわけでございます。やはり内部でお決めいただくことだという解釈といいますか、考え方になっております。  それから中途退職の問題でございますが、これは私どもの立場で答えるべき問題であるかどうかは別といたしまして、やはり農協の将来に対する不安などによるところがかなり大きいわけでございます。たまたま今回、今お話がございましたような組織再編成、自己改革ということに取り組んでいるわけでございますので、一日も早く具体的な対策あるいは方向というようなものを出すことによりまして、こうした見通しというものを持たせるということが何よりの問題ではないか、そういう意味で私どもも御協力を申し上げたいと思っております。  それから労働条件の問題でございますが、農協もいろいろ大小ございますので、一概に比較するわけにはいきませんが、給与の面ではまあまあ一般企業――一般企業と申しましても規模にもよりますけれども、例えば千人未満程度の規模ですと、まあまあ同水準ではないかというようなところでございますけれども、労働時間その他につきましては、やはり農業あるいは農業者という方々を対象としている仕事でございますので、なかなかとりにくい、あるいは時間の短縮あるいは不規則になりがちだということでございますので、その辺での問題があることは私ども承知しております。しかしながら、先ほどの中途退職との問題もあります。やはり職場環境というものからの問題もございますので、この辺は組織内でよく御議論をいただき、特に組合員の御理解をいただくというようなことで、私どももできることは応援してまいりたいと思っております。  それから、総代の定数の問題でございますが、これは先生今おっしゃったような制度になっているわけでございます。この制度そのものの問題もさることながら、やはり農協の透明性と申しますか、農業者に対する、組合員に対する十分な情報提供ということがもう少し徹底されるべきではないかと思っております。例えば、いろいろな部会がございます。こういうものの活性化とか、あるいは総代会出席の率の問題もございますけれども、常時といいますか平時から、総会だけではなくて平時から、農協のいろいろな情報というものを組合員に的確に流していくというようなところからまず始めることによって、この問題の民主的な運営というものが担保されてくるのではないかというふうに考えております。
  86. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 中途でやめられた職員の方のアンケート調査によれば、仕事にやりがいかないという方が二二%、自分に合った職種への転換二七%ということで、まさに農協は本来地域農業振興の核にならなければならないわけでありますけれども、大変今農業と同じように苦境のふちに立っておる。もちろん、自主性は大切でありますけれども、国としての支援営農指導事業実態も口で言うほど簡単ではありませんで、財政的な基盤がないわけでありますから、それらについて農水省として基本に立ち返って、何が必要かということを今後とも基本に据えてかかっていただきたいということを述べまして、終わります。
  87. 杉浦正健

    ○杉浦委員長代理 辻一彦君。
  88. 辻一彦

    ○辻(一)委員 農協二法について若干初めに質問いたしたいと思います。  まず、改正案は連合会に受託農業経営の道を開くということが第一の改正点になっておりますが、連合会による受託農業経営の道が、将来法人、企業等に土地、農地の所有の道を開くことにならないか、こういう懸念が一部にはかなりあるわけであります。私もそういう懸念を持ちますが、将来とも実質的に企業等の農地所有が起こらないと言えるのか、また、その歯どめはどのように保障されているのか、この点を念のために伺いたいと思います。
  89. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 連合会が受託農業経営を行うことができるとするのは、御案内のように、担い手の育成、規模拡大促進観点から、連合会が畜産等の分野で果たしている機能を活用していこうとするものでありますが、これはあくまでも農家の協同組織による営農体制整備を図っていくということであります。  先生お話しのように、将来法人、企業の農業参入というお話でありましたが、これは私も自分の考えている段階ですが、一体農家の若い人たちが例えば何かをやろうというときに、身分がしっかり保障されて他産業並みの所得が得られる、そういう農業基盤をつくりたい、私はそう思うのですね。思うのですけれども、実際にやれるだろうかという不安が一方にあります。何でもかんでも企業が参入するとは思いませんが、物によってはあるいは効率的な農業で、あるいは生産したものを加工して――これを申し上げるのは、私の身近な例でこういうことをやっている人たちのことを見ますと、やはり合理的といいますか、本当に経営感覚にのっとってやっている例というものはあるのですね。     〔杉浦委員長代理退席、委員長着席〕 特に、畜産でありますとかそういう面では、飼料それから肥料、いろいろやって、えさ等も自分のブランドというか、これはほかには一切社内秘密で出さないで少量で効率を上げるとか、いろいろそういうものも考えられるし、しかし水田等にはそういうものは参入しないであろう。  いずれにしても、本当に土地の問題はあります。土地の問題はあるようですが、これは本当に農家が嫌だというものは無理にやることはないのでありますが、みんなが考えてやはりこういうことで一緒にやった方がいろいろといいということもあるのかな。そして金と物と人、資金力がなければいかぬ、あるいは経営というかそろばん勘定がいいとか、そういう不足しているものを補いながら本当に一体となってやれることというのはあるのかないのかわかりませんけれども、ただ何となく零細な、規模が小さいそういう人たちだけで何か道を開こうと思ってもなかなか道は開けないのではないかな。いろいろ考えて、別にこれは参入しようとして考えているわけではありませんが、いずれにしても、本当に農家の人たちのためになっていいという方法があるのであれば、あえてそれはだめだということも言えないのではないかな、そんな感じであります。  別にそこまでを考えているわけではなくて、何といっても農家、農民の人たちの立場で、押しつけるとかやれとかということではありませんし、本当にそういうことをもう少し私も勉強してみたいと思うし、別にこだわっているわけではありませんが、いずれにしても、何とか農業の展望が開けるようにしていく方法はどういう方法があるのかということだけは、私は自分でいろいろ悩み、どれがいいかということを今考えておりますので、決して最初から法人を考えてこうしようという気は全くございません。
  90. 辻一彦

    ○辻(一)委員 豚だとか鶏、先ほどの答弁のように、畜産の分野にはこういう企業的な経営がもう既に随分行われているということも事実ですし、それから、大型の畜産農家が倒産をして引き受け手がないという場合に起こり得る受託農業経営一つの連合会あたりの課題になるのではないかと思われますが、問題は土地利用型の農業にも、結局土地を中心にする、そこにもそういうような考え方を及ぼしていった方がいいとお考えかどうか、その点はいかがですか。
  91. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 それは、採算性というものを計算した上でやろうとしても、実際には土地基盤、土地利用型の農業にそういう企業の人が来て田植えをしたり稲刈りをしたりということは、想像しても不可能だと思うのです。しかし、全体として何人かで組んでやると本当に効率がいいとかなんとかというのは別でありますけれども、その場合には、一体株式会社として土地はどうするのかという問題があるわけです。しかし、いずれにしても土地は農家の人が持っておるわけでありますから、そのことをどうするかという問題はあるにしても、それがなくて一緒になってうまくやれますよと言ってくれる法人があるのかどうか、それは、私もそこまでは自分でもあり得ないかなと思っておりますが、ないとは思います。
  92. 辻一彦

    ○辻(一)委員 大臣はいろいろいい方法をやってみよう、こういうような考えのようでございます。きのうのこの委員会で論議された内容は、私も全部聞いてなかったのでよくわからないのですが、農業新聞に出されておりますね。これを見ると、農林大臣は大筋大体今のような御意見であったのでしょう。構造改善局長はこう言っておるのです。株式会社化すると株式の譲渡で土地を取得をしようとする人が出てくる、こういう否定的な見解であったということでありますが、ここらは農地という点からいうと非常に大事なところで、それから、こういう行き詰まっておるというか頭打ちの中で、日本の農業をこれからどういう形に考えていくか。企業形態をも取り入れて土地の所有を将来認めていくというような方向を考えるのか、あるいは、あくまで農地は農民に帰属するものとして、その中での考え方で考えるのか、これはこういう論争を今やってもどうかと思いますが、基本的な考えとしては大変大事なので、農水省内で、この二つの答弁を見ると若干意見が違うような感じがするんですが、そこらはどうなのか、ちょっとお伺いいたします。
  93. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 局長の答弁したことはそのとおりだと思います。ただ、私の気持ちとしてひっかかるものがそういうところにありまして、土地は農民のものでありますから、投機目的に使うとか他に転用するとか、そういうことは絶対できないような歯どめでもあって、それでよくて、本当に農民のために一生懸命やりましょうというのがあるのかどうか、これはわかりません。わかりませんが、最初からもう全然だめですという議論ではなくて、十分考えて、本当にこういうやり方なら農民のためにもなるし、農民の足りない分野を企業が十分補って、資力もあるし研究もするし、いろいろなことでうまくいくということであれば、何もあえて絶対だめということではなくて、それもあくまでも農家の人たちがお決めになることであって、こっちからやりなさいとかこうしなさいということではないと私は思うんですね。ですから、別にやるつもりで言っているわけではなくて、最初から拒否してこういう方法ということではなくて、十分幅広く検討して、うまくいく方法があるならばということで私の考えを申し上げていもわけでして、決して、きちっとお答え申し上げろということになると、きのうの構造改善局長の役所的な答弁になるだろう、そう思っております。
  94. 辻一彦

    ○辻(一)委員 その考えはわかりますが、株式会社の農業経営への参入を認めると、かつては個人が土地を集中して地主というのができて農地を保有したんですが、今度は新しく株式会社、企業による農地の所有ということが起こってくるんじゃないか。農業のこの状況を見ると、行き詰まっていくと耕作放棄地、いろいろなところが出てきますから、将来一つ枠を緩めるといろいろなことが懸念されるので、これはひとつ十分検討してやっていただきたい、このように思います。  それから、この問題に関連して、受託農業経営事業における連合会と、単協合併しても、単協との分担は大まかに言ってどういうようなのか。これはきのう論議されたのかもわからぬのでありますが、あえて重複をしても伺いたいと思います。
  95. 川合淳二

    ○川合政府委員 この受託経営事業は四十五年にできた制度でございますが、基本的にはやはり単協が受託すべきものだと思っております。ただ、昨今、大臣からお話しいたしましたように畜産、特に中小家畜、まあ養豚が一番多いのではないかと思いますが、の分野などにおきましては、既に単協ではなくて連合会が飼料の購入とかあるいは経営指導というようなものを行っている部分があるわけでございまして、こういう部分に限って連合会が受託をするというケースを想定しているわけでございます。したがいまして、これは単協ができないものを補完的に連合会が受託するという考え方で行うべきものと思っております。したがいまして、競合関係にあるようなものにつきましては、当然単協が受託すべきではないかというふうに考えております。
  96. 辻一彦

    ○辻(一)委員 まず受託農業経営の出発は単協から、そこがカバーし切れないところを連合会がやる、こういうような御趣旨のように答弁を聞きまして、それはわかりました。  そこで、国内の状況を見ると耕作放棄地がどんどん拡大していく、三十万ヘクタールと言われておりますが、今後これがさらに拡大する可能性が随分あると思うのですが、農協がどういうものを対象にして委託を受け、受託農業経営をやるかということですが、こういう耕作放棄地等が対象になる場合に赤字になる懸念がかなりあると思うのですが、そのことについて二、三伺いたいと思います。  私は北陸の米の方なので、農業を見る場合にどうしても米作地帯からの発想が中心になるのでありますが、そういう偏りはありますが、自分たちの近辺の集落等を見た場合、よい農地は大体専業農家が個人的に拡大をしていく一つの対象になる、これは三ヘクタール、五ヘクタールあるいはまた大きくなる農家もあると思う。しかし、個人の規模を広げる道はそう簡単ではないですね。そこで第二のタイプは、集落を中心にした協業化、共同化の道、専業農家が中心になって周辺に兼業農家を結集していくという道ですね。この二つのタイプがありますが、大変採算が合わぬというか、いろいろな事情もありまして、そういう条件の悪いところは耕作放棄地という形で残り、それが耕作放棄によって受託農業経営となる可能性がこれから相当考えられるのじゃないか、こういう感じがします。  ところが、受託農業経営といえば農協がやるのですが、昔のように夜明けから星空までというわけにはいきませんが、それでも普通の仕事に比べると農家の作業時間は朝から夕方まで相当やるのですが、農協の中で、朝八時から夕方五時か五時半ですね、そういう形で経営をやった場合に、普通のところでも容易じゃないのに、条件の悪い耕作放棄地等々集めて経営したときには、これは明らかに赤字になってしまうのではないか、赤字になる可能性が非常に強い。ところが、この形の受託経営は中山間地域ではこれからさらに拡大する可能性が非常に強いのじゃないか。  そこで、この場合に、前に法改正で決まっておりますが、損益を委託者帰属主義でやっていけるのかどうか、赤字が出たら委託した人に赤字を負担してもらうというやり方ですね、続くのかどうか、それをどうお考えになるか、まず伺いたいと思います。
  97. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 放棄地等で受託農業経営を行う、基本的には、こっちにも少し、こっちにもばらばらとあっては、これは効率的な農業経営というのはできないと思うのですね。しかし放棄地でありますから、そうまとまってすぱっといかない。私どもは、何とかそういうものを集約したい、集約して、受託でありますからそれぞれが農機具等は準備する必要がない、生産性を上げてコストの低減を図るというのが基本でありますが、現状はそういってないところもあるし、あるいはそういうものも引き受けて大きな規模に、隣の人が受けてやるとか一緒になってやるとかということになれば別でありますが、いずれにしても御指摘のように、したがって農協の赤字が拡大するということにはならない、かかった分はちょうだいするわけでありますから。ただ、受託農業経営事業については損益の計算がどうなるか。あるいは今みたいなところだと、かえって受託した方がかかり過ぎて請求される場合もあろうかと思いますが、そういうことにならぬように、やはり一定規模にしていく以外には、両方満足させるということはなかなか難しいと思うのであります。  何にしても、担い手不足しておることに対応しなければいかぬし、経営効率化等を進めていくという観点から農協事務の取り組み体制整備して強化していくということをいたしませんと、放棄したままになることは間違いない。いろいろ苦悩いたしておりますが、何とか新しい検討会の方で、そういうものも含めて集約した形の中でやっていけないかどうか、あるいは損益計算が難しいということもありますから、そういうことも簡略化できないかどうか。しかし、きちっと出してあげませんと、損したのかもうかったのかといって争いにもなりますから、そこのところは限度があると思いますが、まあ大体この程度だとこうだというところでわかっていただければ簡略化もできると思います。いずれにしても、この新しい制度の方でこういうこともきちっと含めて検討をいたしておりますので、いま少し時間がかかると思いますが、御了承をいただきたい、こう思います。
  98. 辻一彦

    ○辻(一)委員 この改正法、前に受託農業経営というのは内容として成立しておりますし、それから今度は連合会にそれを適用しようというわけですが、単協受託農業経営事業というものは、これからずっと増大する耕作放棄地等々を抱え込んで何かやっていこうというような考え方があるのかどうか、その点をまずちょっとお伺いしたい。
  99. 川合淳二

    ○川合政府委員 耕作放棄地などの条件の悪いところで、一つはそういうところの農業をだれが担うか、担い手の問題だろうと思います。これは今大臣からお話がございましたように、まさに私どもが内部で検討を続けている一番の大きな問題であるわけですが、それを農協受託農業経営という形で行うのがいいか、あるいは第三セクター論をおっしゃる方もおられますし、農協みずからが経営したらどうかというふうにおっしゃる方もあります。  ただ、いずれにいたしましても、今大臣からお話ありましたように、条件の悪い土地が、しかも分散錯圃で非常に散らばっていてということでありますとすれば、これはなかなか、どういう形態でありましても受け切れないということになろうかと思います。したがいまして、そういう意味では、土地利用の集積ということを一方でやりながら、それをだれが受けていくかという問題になろうかと思います。農協が受託経営という形でこういうことを受けるにいたしましても、それの条件整備ということが当然必要になってくるのではないかというふうに考えております。
  100. 辻一彦

    ○辻(一)委員 あちこちに飛んだ耕作放棄地を抱え込んだらこれは大変なことだから、なかなか容易でないということはよくわかります。それでは、今三十万ヘクタール、これからどんどん拡大する可能性がある、まあ、どんどんとはちょっと言い過ぎですが、なお拡大する可能性のあるこの耕作放棄地、こういうものを一体とうしていくのかという考え方ですね。一つは、農協の条件がある程度合えば、農協受託農業経営事業の中で抱え込むこともできると思うけれども、三十万ヘクタール、あるいはさらに拡大する耕作放棄地を抱え込むことはとてもできない。しかし、日本の中で三十万ヘクタール、さらにはどんどんふえていくとすればこれは大変な問題だけれども、これを一体どう考えるのか、どうする考えか、このことをちょっと伺いたいと思います。
  101. 川合淳二

    ○川合政府委員 非常に難しい問題でありますけれども、取り組まなければいけない問題だと思います。そういう場合に、既に放棄されている土地でございますから、その所有者はかなりそれについて耕作をする能力がないわけでございます。そういうものを集めるある種の機関と申しますか、そういうものもやはり必要でしょうし、もっと端的に言いますれば、利用権を集積するということをまず進める、そういう仕組みというものも必要ではないかと思います。その上に立って、だれが担い手となってやるかということでございますので、その二つの面、要するに集積の面と担い手の面、これを有機的に検討していかなければいけないのではないかと思っております。
  102. 辻一彦

    ○辻(一)委員 時間がありませんから深く入りませんが、中山間地等における耕作放棄地というのはこれからだんだんふえていくと思うのです。農業の採算ではなかなか合わないところですが、しかし、日本の国土保全や環境保全という観点からいえば、水田を維持するということは非常に大事だと思うのですね。そういう点で、中山間地帯等における環境保全維持水田といいますか、そういうような構想で国土保全のためにここらの問題を考えていく、こういうような考え方はないのかどうか、お伺いします。
  103. 馬場久萬男

    ○馬場政府委員 確かに、中山間地域等、条件の悪い地域の水田をどうするかというのは非常に大きな問題だろうと思います。我々の基本的な考え方は、そういう自然的、経済的に不利な条件の地域におきましても、それぞれの地域の特色を生かして何とか積極的に付加価値の高い農業が展開できないか、あるいは活性化を図ることができないかということで、いろいろな施策を講じているわけでございます。  先生御指摘のような環境保全のための水田、これについて、そういう農業生産と別の観点から評価して何か援助ができないか、こういうことでございますけれども、抽象的にいいますと、実はそういう考え方というのは大変わかるというか、わからないわけではないのですが、じゃ具体的にどういう水田を、また環境保全という観点から見てどういうふうに評価するのかといいますと、なかなか難しいものがございます。中山間地域にはもちろん畑地もあるわけでございまして、水田だけ取り出してやるのかとか、そこに営まれる農業もどういう農業ならいいというふうに言うのか、そういう意味で、いわば内容がちょっと、もう一つはっきりしないとなかなか御意見を申し上げることにならないわけでございます。  いずれにしましても、そういう中山間地域農業をどうしていくかということについては、我々今、将来への新政策の検討の中でも大きなテーマとして検討させていただいているところでございます。
  104. 辻一彦

    ○辻(一)委員 この問題については、今問題を投げかけておくということにとどめたいと思います。  農協二法の論議の最後に、若干ほかの時間をとりたいのですが、農協合併によって、大型化に伴う農協組合員の意識の希薄化、乖離をどうするかという問題をひとつ伺いたいと思います。  これは私の個人的な体験ですが、私は北陸の農村ですけれども、おやじが農協組合長を昭和二十二年から二十五年ぐらいまでやっておりました。もう四十五年も前ですが、農協青年部というのがあって、その運動を自分がやった記憶があります。その当時の農協は、一つの村に一つ農協で、地下足袋を履いて、泥靴のまま農民が気楽に農協へ行って相談をする、そういうことができた。まあ当時の話ですが、私たち若い者も宿直室にどぶろくを持ち込んでわいわいやりながら、夜を明かしながら論議をした、そういう雰囲気が村の農協にはあったのですね。それから十年足らずして、市単位で十幾つの農協合併したのですね。そうすると本部ができる、もうそこへ地下足袋を履いて行くというわけにはいかなくなる、そこに農協本部役員組合員である農民との意識の希薄化というのですか、ある種の乖離がだんだん出てくる、そういう状況が今の農協にずっとあると私は思うのです。  今度はそれに輪をかけたように大きく広域化して範囲が広がるわけですから、一市数町村あるいは二市数町村という範囲で農協合併される。私の県でも七つか八つに農協合併するという計画で論議をしています。そうすると、いわゆる組合員農協本部の役員との意識の希薄化、乖離は、ますます拡大する傾向が強くなっていく。こういうものをいかに密着さすかということをやらないと、きのうもうちの委員が言っておりました、ヨーロッパ等における協同組合がしっかりやりながら崩れていった原因は、そういう意味の一つの民主主義の欠如というか不十分さと、それから、銀行等が乗り込んできたというお話がきのうもありました。私は、その意識を密着化さす、近づけていくということが大型農協の場合に非常に大事なことじゃないかと思いますが、そういう問題意識を持っているかということと、それに対してどういうような対応を考えているのかということを伺いたい。
  105. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 おっしゃるとおり、私たちの子供のころの農協というのは、本当に家族的なつき合いをしておった、祖父たちがよく歩いて行ったり、その後は自転車で行くぐらいでありましたから。しかし、それでいいのかというと、農家の負担というか、本当に農家のことを考えていきますと、やはり今のままではどうしても効率が悪いという面があると思うんです。合併によるメリット、デメリット、いずれもあると思います。しかしながら、小さい農協があちらこちらにあると土地の利用ももったいないし、あるいは人の効率も悪いし、悪いものですから待遇もよくならないし、いろんなデメリットというのがあると思います。組合長さんもいっぱいいるし、あるいは電話も一農協にはそれだけのものが必要だしということを考えると、合併によってそんなに必要でなくなるということ等もあると思うんでありますが、何といっても先生お話しのように、合併というものは組合員にメリットがあるものでなきゃならぬというふうに考えまして、事業あるいは経営の効率的な運営を進めていく、あるいは組合員の日常活動に適切に対応していくために支所の機能を充実をしていく、完璧にとはいかぬまでも、そういう体制をとってやっていかなきゃならぬ、これは指導してまいりたいと思います。  合併によって、農協の広域化に伴って今申し上げたように事業運営効率化期待されるわけでありますが、一方そういう希薄化という問題がありますので、このため野菜とか畜産などの各生産部会活動を活発にしていくとか、そういうことも指導していきたい、あるいは地域の特性に応じた適切な営農指導確保するために必要な対策を講ずることとしているところでありまして、引き続きこの辺には十分心して指導してまいりたいと思っております。
  106. 辻一彦

    ○辻(一)委員 きのう農協組織のところでお話が多分出たと思うのですが、合併した我々の近辺の農協でも、前は単位農協九村で相当よくやっていた農協合併して本所に集中する。その支所にはなっておりますが、そこには数名おるだけで、前のような九村単位ぐらいの活発な活動が、あの陣容ではしっかりした農協でもなかなかやれなくなっています。さらに今度は大型になったときに、支所等の一番その地域、農民と密着しなければならないところがまた薄くなってくるのではないか。そうすれば、それは言葉では幾らきれいなことを言っても実際としてはまずます離れる懸念がある。そういう意味で、組織的にも支所活動であるとか、そういうものによほどしっかり力を入れる、こういうことを何らかで保証していかないと、実際は希薄化はさらに拡大するのではないかと懸念しますが、具体的なその保証策というか対策は幾らか考えていらっしゃるか、いかがですか。
  107. 川合淳二

    ○川合政府委員 合併農協でうまくいっているという言い方がいいかどうか、合併の効果が十分あらわれているような農協におきましては、かなりきめ細かい、先ほど大臣が言われました作目別の部会とかあるいはテーマ別の協議会とかいうものをつくって運営しております。やはりそういうことによりまして、大きくなった地域の中で、いろいろな特性のある地域があるわけでございますので、そういう地域性を持った扱い、それから横割りといいますか、一つの作目についてかなり専門的にやっている人の集まりの協議会をつくるというようなことをやることによりまして、かなり組合員農協との間の関係を緊密、かつ組合員意見も的確にくみ上げているというような事例が幾つかあります。したがいまして、そうしたところの優良事例をよく見習いまして、そうした対策を講じていくという指導をしていくというふうにしたいと思っております。
  108. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これは非常に大事な問題だと思います。だから、ますます大型化をする農協本部役員組合員の距離ができる限り縮まるように十分な対策、努力を、これはもう具体的に考えて、農協がやっていただくことでありますから、ぜひひとつ努力をいただきたいと思います。  農協二法は以上で終わりますが、この機会に、全国業協同組合連合会がえさの関係で関係が深いのですが、そういう関連からして飼料穀物、トウモロコシ等の輸入問題について、若干意見も申し上げて伺いたいと思います。  日米の貿易摩擦が今飼料穀物の分野にまで広がってきたということがずっと報じられておりますが、二月の下旬、日米構造協議でアメリカが、飼料穀物の、特にトウモロコシの日本の輸入が伸びないのは日本政府の規制や全国業協同組合連合会や配合飼料工場の流通制度に問題があるからだと、日本市場の閉鎖性の代表的な事例としてトウモロコシ等の飼料穀物を取り上げたのは、私は全く驚くべき現状認識の誤りだと思っております。アメリカのいわば言いがかりとも言うべきこういう誤りを国会で明確にしておくということも、この際必要でないか、こう思って二、三点を質問したいと思います。  まず、八六年から九〇年ぐらい、五、六年の食肉輸入の推移はどうか。全部細かい数字を聞くとなかなか大変だと思いますから、六十一年ごろの量と平成二年ぐらい、どういう変化があるかというような形で、まず食肉の輸入がどういうように推移をしておるかということを伺いたいと思います。
  109. 赤保谷明正

    ○赤保谷政府委員 食肉の輸入の推移でございますが、主要なものを申し上げます。  牛肉でございますけれども、その輸入量は、昭和六十一年度の十八万八千トンに対しまして、それからだんだん伸びていますが、平成二年度には三十八万四千トンに増加をしたところです。自由化が昨年の四月に行われました。三年度は、その前にずっと入っていまして在庫もたまっていたというようなこともありまして、平成三年度は四月からことしの二月までの十一カ月間でございますけれども三十一万トン、対前年同期比では、この期間だけは一一・七%の減、それまではふえております。  それから豚肉でございますけれども、これは既に昭和四十六年に自由化されておりまして、昭和六十一年度が二十万四千トン、それから平成元年度は三十六万六千トンにふえております。二年度は若干減りましたが三十四万二千トン、三年度、これは四月から二月まででございますが、三十九万九千トンで、前年度同期比で見ますと二八・六%の増。  それからブロイラーでございますけれども、三十七年に自由化されて、円高等を反映しまして増加傾向で推移をいたしております。昭和六十一年度十八万七千トン、それから平成二年度に飛びまして二十九万七千トン、それから平成三年度、これは四月から二月まででございますが、三十六万トンというふうにふえております。
  110. 辻一彦

    ○辻(一)委員 食肉輸入の推移を見ると、今の数字からいうと、牛肉ではもう既に六十一年から平成二年で二十万トン増、それから、そのうちアメリカは六万二千トンが十六万四千トンという内訳になっております。相当ふえている。豚肉も十四万トンないし十六万トンふえている。それから鶏肉も十万トン以上ふえている。こういうように四十五、六万トンから五十万トン近い輸入増が食肉全体であるという、輸入がこういう形で確実にふえているということは、第一に非常に大事な点だと思います。  第二は、それではこの間の家畜の飼養頭羽数は同様な年次、大体どういうふうに推移しているか、これについて伺いたいと思います。
  111. 赤保谷明正

    ○赤保谷政府委員 我が国の家畜、家禽の飼養頭羽数でございますが、畜産物需要の堅調な伸びを背景に増加傾向で推移してきだところでございますが、近年は家畜の種類ごとに若干の差異はございますものの、総体的に見るとその伸びは鈍化をいたしております。  家畜の種類ごとにちょっと見てみますと、六十一年から平成三年度までの飼養頭羽数の推移ですが、乳用牛につきましては六十三年までは微減、その後は微増に転じまして、六十一年の二百十万頭から平成三年度には二百七万頭となっております。それから肉用牛につきましては、平成元年以降肉専用種を中心に増加をしまして、昭和六十一年の二百六十四万頭から平成三年には二百八十一万頭に増加をいたしております。豚につきましては、平成元年までは増加傾向でございましたが、二年は微減、三年は減少をしておる。六十一年の千百六万頭から平成三年には千百三十四万頭となってございます。それから採卵鶏でございますが、六十三年までは微増、その後は横ばいで推移をしておりまして、昭和六十一年の一億七千二十万羽から平成三年には一億七千八百四十五万羽となっております。それから最後にブロイラーでございますが、六十一年の一億五千五百七十九万羽に対しまして、平成三年には一億四千二百七十四万羽となっております。
  112. 辻一彦

    ○辻(一)委員 今の数字をざっと見ると、大筋で言えば横ばいということですね。採卵鶏が七百万羽ほどふえているけれども、ブロイラーが五百万羽ほど減っている。全体を見れば横ばいということが言えると思うのです。  そうしますと、我が国では消費生活がずっと向上して、食肉の需要はずっと伸びている。ところが、伸びた分は輸入の食肉によって賄われる、吸収されている。したがって、国内の家畜の飼養頭羽数は食肉類の輸入の増に抑えられて、畜産の伸びは頭打ち、伸びていない、こういうことがこの数字から言えると思うのです。  それでは三つ目に、この間の飼料の需給状況。言うならば、これは大部分外国のえさに頼っておりますから、飼料穀物の輸入状況はどうか、簡単で結構ですからお伺いしたいと思います。
  113. 赤保谷明正

    ○赤保谷政府委員 日本の飼料穀物のほぼ全量、九九・八%、ほとんど一〇〇%ですが、それを海外からの輸入に依存をしておりまして、平成二年度で見てみますと、飼料穀物については千七百十五万トンを輸入をいたしております。  それから昭和六十一年度以降のその推移を見てみますと、翌年の六十二年度は飼料需要の増大に伴って増加をしましたけれども、最近におきましては飼料需要の伸びの鈍化を反映しまして、ほぼ横ばいで推移をしております。そういう状況でございます。
  114. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私ちょっと補足すると、今資料をもらったのを見ると、そのうちトウモロコシは、例えば六十一年は七百六十万六千トン、これは非常に不作の間だったのです。それから翌年は一千九十三万九千トン、約一千百万トン、アメリカのトウモロコシが九〇%を占めておる。平成二年では一千八十一万八千トンですか、これで九一%を占めている。言うならば、えさもそれほど伸びていないけれども、若干伸びている。そのうちトウモロコシでは九〇%を依然としてアメリカが占めている、こういう数字が出ております。  そこで、さっき三点伺ったことから言えることは、一つは、国民生活が向上し消費生活が向上すると肉類の需要は伸びているということ、第二は、しかしその食肉需要増、消費の増加分はほとんど輸入の食肉類の増加によって吸収されている、第三は、したがって国内家畜の飼養頭羽数は横ばい、さらに畜産は全体にいろいろな困難な状況の中で頭を打っているという状況にある、第四は、ゆえに飼料穀物の輸入もまた横ばい、伸びない、これは自明の理だと思うのです。当然のことだ。この論理から、食肉の輸入がふえればえさが減るのは当然だ、こう言っても言い過ぎではないと私は思うのです。  どうもアメリカ側は、牛肉や食肉をもっと輸入しろ、輸入の牛肉、食肉に押されて国内の家畜は停滞をする、飼養頭羽数も横ばいなのに、食べるえさをもっと買え、こういうことですね。肉はこのままどんどん買えといって、我が国も自由化によってできるだけ輸入をふやしている。しかし、そうすればえさを食べる口の方が、家畜の方がだんだん横ばい、減っているのですから、食べるえさがふえるはずはないのです。しかるに、この輸入が足りない、もっと輸入しろ、こういうことは、この論理からいうと無理難題だ、私はこう言わざるを得ないが、大臣、どうお考えになりますか。
  115. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 おっしゃるとおり、肉の輸入がふえればえさの方が減るのは当然でありますし、アメリカが言っているのは私もこの前聞きまして、肉を入れないでくれればそれはえさを買うし、どっちかでありまして、それは牛だって食べる量の限度というのはあるわけですから、そう肉もどんどん入ってくるがえさもうんと食うというわけにはいきません。これは我々の方も同じでありまして、米の消費が拡大しないというのも、ほかのものを食べるものですから、消費拡大拡大といってもおのずから胃袋は限界がありますので、そういうことがどうしてアメリカがわからぬのか。しかも相当量アメリカから輸入しておるにもかかわらず、どうも私も聞いておってアメリカの考えていることはさっぱりわかりませんし、事務レベルでいろいろと話をしておるのですが、こういうことは何回も話をしなくても一回聞いたらわかってくれそうだ、こう思うのでありますが、先生のおっしゃるとおり、私もそう思っております。
  116. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私と大臣の共通点ですからわかりますが、こういう日本の畜産実態を無視をして、その飼料穀物の輸入が、アメリカからいえば輸出が伸びないのは、日本政府の規制や全国業協同組合連合会や飼料工場の流通制度に問題がある、だからこういう規制を外せば、ひどいレポートが出ておりますが、飼料は四割安くなる、四割ですね、それから五百万トンふえるだろう、こういうわけです。日本のえさは千八百万トン、アメリカから一千万トンほど買っておるのでしょうから、半分がふえる。これは随分実態とかけ離れた論理を向こうは展開しておりますが、こちらの方の実態は一体この問題についてどうなんですか。簡単で結構ですから聞かせてください。
  117. 赤保谷明正

    ○赤保谷政府委員 今先生おっしゃいましたようなことをアメリカが言っております。私どもの方も、まともに地道な議論をして、日本の実情をよくわかってもらおうと一生懸命議論しているのですが、大臣が今御答弁申し上げましたように、なかなかわかってもらえない。何か日本の飼料穀物の輸入制度をおおよそみんな廃止してしまえば、今おっしゃいましたように五百万トン入る。だけれども、日本の制度そのものが過酷な制度であれば別なんですけれども、合理的な制度でありまして、そこをきちっと説明しているのですけれども、なかなかわかってもらえない。さらに専門家レベルで引き続き理解を深めてもらうための話し合いをしようということを、今持ちかけているところでございます。
  118. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私もちょっと勉強してみたのですが、その配合飼料の承認工場制度は厳しい規制で輸入の障壁になっておるのかどうか、これはいかがですか。そんな長い説明でなくて結構です。
  119. 赤保谷明正

    ○赤保谷政府委員 配合飼料承認工場制度は、トウモロコシ等の飼料原料が無税で農家に渡るようにということで制度ができておりまして、そこでは以前は農林省の推薦制度とかございましたけれども、今はそういうことは一切ございません。自由に入ってこれる。何でそんな悪口を言われるのかさっぱりわからぬ、ちょっと言葉はあれですけれども、そんな気がいたしております。
  120. 辻一彦

    ○辻(一)委員 この承認制は、推薦すればどこでもやれるようになっている。これはもう随分緩和されていると思いますが、それでは、この点数制度あるいはトウモロコシの関税割り当て制度等が厳しいネックになっている、これはいかがですか。
  121. 赤保谷明正

    ○赤保谷政府委員 点数制度も、飼料用のトウモロコシ等が他用途に転用されないようにするために、魚かす、魚粉、油かすなどの副原料をまぜるということでありまして、それは当然えさにするときにはそういう副原料をまぜるわけですから、これもまた過重な負担をかけているとは思っておりませんし、トウモロコシの圧扁加工、これも無税で入ってくるわけですが、これも他用途に転用しないように、どうせあれはかたい皮ですから、圧扁してそれで家畜にやらないと消化もよくないということで、特に過重な負担をかけているとは思っておりません。
  122. 辻一彦

    ○辻(一)委員 アメリカの方は、規制緩和、流通制度を改善すれば四割安くなる。ちょっと実態から離れた感じがするのですが、そんな可能性があるのかどうか。いかがですか。
  123. 赤保谷明正

    ○赤保谷政府委員 製品の価格を一〇〇にしますと、配合飼料の原料が大体六割ないし七割を占めている。原料自体で六割ないし七割を占めるわけですから一四割安くなるということは、製造販売経費は一切償えない、むしろ原料代さえ償えないようなそういう話でございまして、まことに理不尽な話だと思っております。
  124. 辻一彦

    ○辻(一)委員 そういう矛盾のある話を日米構造協議の場に議題に出してくるという考え方はどうなんですか、向こうさんの。
  125. 赤保谷明正

    ○赤保谷政府委員 先ほども申し上げましたように、アメリカは日本の配合飼料は高いといろいろ言っておりますので、そういう今申し上げましたような何とかの制度をやめれば安くなるとかそういう話じゃなくて、地道に、この制度のどこが悪いんだ、言ってみると。それで、そういう地道な話をこの前もやったわけですが、なおまた十分理解が得られていない。それで、さらに今、専門家レベルで話し合いをしようという持ちかけをしているところでございます。
  126. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これはもう遠慮せずに反論する必要がありますが、どういう反論をきちっとやっておるのですか。
  127. 赤保谷明正

    ○赤保谷政府委員 アメリカに対しても反論いたしておりますし、日本の農家の方々に誤解をされると困る、これを非常に私は心配していまして、日本農業新聞とかそういうところの御協力を得て、具体的な名前を言っていいかどうか、我が方の考え方も日本の国内にもPRをいたしております。  それで、アメリカに対しましては、アメリカが本件については日本の飼料制度なり畜産現状についての認識が不足しているということを指摘しながら、我が国は飼料穀物のほぼ全量、もう一〇〇%に近い量を輸入しておりまして、その輸入を制限するような実態にありませんと、地道に事務的によく話をしています。  それから、近年の飼料穀物の輸入の伸び悩み、これは我が国の輸入制度が原因ではありませんで、畜産物消費の伸び悩みだとか食肉の輸入量の増加等が主な原因であること、そういうことを詳細に説明をしているところでございます。
  128. 辻一彦

    ○辻(一)委員 大臣に最後に一言これを伺いたいのですが、二、三十分ですけれども短い時間で、実態はもう十分御承知のことを、私も、わかっているものの、一遍この国会の場で論議をする必要があるだろう、こう思ってあえて申し上げたのですが、アメリカ側が主張する論理はどうもおかしいというか、論理が合わないということははっきりしていると思うのですね。こういう誤った認識を放置しておいてはいけない、対処を厳しく、きつくすべきだと思うのですが、所管大臣としての所信を伺いたい。
  129. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 アメリカは、何か制度でも変えるともっとどんどん伸びて、安くすれば畜産振興がもっと行われもだろうという考え方で、販売に問題があるとかいろいろ言っているようでありますが、そこのところは随分説明するのですが、向こうはもう先入観としてそう思っていますから、消費者にもっと安い物が提供できるはずなのにという考え方なんですね。  しかし、私の方で言いますと、逆に畜産農家に安価な飼料を提供するために、飼料用のトウモロコシ等について、これは他の用途に流用されては困りますが、されないように条件をつけて関税を免税しておるということでございますが、したがって、必要量は制限なく輸入されているわけです。また、国内においても、自由な競争のもとで流通販売を行っているというのも実態であります。  ですから、あとは、もっと肉の需要がうんと伸びて、そして必要なれば入ってくるだけのことであって、そこのところがどうしてもアメリカは、この飼料穀物に関して、アメリカ側が取り上げているような問題は私たちはないと思っているのです。この問題に関して、従来からアメリカ側と非公式な意見交換会議を開催する尊いたしておりますが、なかなか先ほど申し上げたように理解を得られないということでありますけれども、まあ継続してこのことはわかってもらえるようにしていきたい、こう思っております。
  130. 辻一彦

    ○辻(一)委員 最後に一問伺いますが、それは大臣に伺いますが、予算の分科会のときにもちょっと申し上げたのですが、三月下旬のOECDの農相理事会に参加してもらっていいんじゃないかと。しかし、国会の都合で行けなかったのは残念だと思いますが、それはやむを得なかったとして、OECDが打ち出した地球環境と共存する農業政策の転換という方向は、非常に大事な主張であり、流れであろうと思うのですね。  私も、前にちょっと申し上げたと思いますが、六十二年にバリのOECDの本部のヴィアット局長に、農業保護削減の計量手段等を開発してガットの旗振りをOECDがやっておった当時、論議に行ったことがありますよ。そして、そういうような土地改良や基盤整備等の保護削減をやることはもってのほかだ、こういう論議をしたことがあるのですが、そのOECDが今度は、あれから何年かたちましたが、今環境問題を一番最初に掲げてやっていくという考え方、この変化は新しい、また大事な流れでないか。だから農業を環境との関係においてとらえれば、ガットが打ち出したような精神、考え方だけではいかない農業のあり方があるのではないか。これはこれから大きな流れになることを期待し、我々もいろいろな場でこれを論議し、具体的な政策にも積み上げなくてはならない、こう思っておるのですが、この大きな流れの変化について、農林大臣、どう把握していらっしゃるか、一言伺って終わりたいと思います。
  131. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 環境問題は世界的な問題になってまいりまして、国によっては多少差があると思いますが、いずれにしてもバングラデシュの水害でありますとかさまざまな問題が起きております。私どもも、環境が大きく農業問題の中で取り上げられたということは本当にすばらしいことだ、開発途上国等はもうどんどん森林を伐採して農地にしていく、焼き畑をする、そういうことを本当に、輸出をしたい、いや反対だというだけの議論ではなくて、地球全体のそういう観点からの議論が深まっていくということは大賛成であります。  特に、私ども日本は島国でありますから、森林は水の問題で考えると大変重要なのですね。森林が伐採されて水が全部流れると、あっという間に海に流れますから、よその国のように国と国が隣接して何とかやりくりということのない、そういうところに住んでいる私たちから見ると、森林の保全というものは国民の命だと言ってもいいほど大事な部分だと私は思います。  そういうことからすると、今回のOECDの会合で環境というものをこれだけ取り上げてくれたということは、私は非常にいい会合だった。行けなくて残念でありましたが、こういう観点から、これからも地球全体の環境というものを守りながら、食糧の安定的な供給という面もいま少し地球規模で議論をしてほしい、人口の増加に伴って食糧の不足している国々のことも含めて、そこから一体米はどうするか、自由化するかしないか、そういう議論を十分やっていくべきだというふうに考えております。
  132. 辻一彦

    ○辻(一)委員 じゃ、終わります。
  133. 高村正彦

    高村委員長 西中清君。
  134. 西中清

    ○西中委員 最初に、信用事業について若干お伺いをいたしたいと思います。  農協は、従来から信用事業部門の収益で他の部門の赤字を補う、こういう形でまいりました。近年の金融自由化進展に伴う競争激化、信用リスクの増大によりまして、その構造が少し陰りが出てきたように思います。さらに、今回の改正で、貸し付けの拡大や金利の自由化など信用リスク、金利リスク等の増大を招くことが想定をされます。したがいまして、これに対応した個々のリスク管理対策の強化とあわせて、業務執行体制内部牽制体制の充実等が重要な課題となっておるし、またその改正も行われておるわけでありますけれども、まず、こういった問題について政府の基本的な指導方針を伺っておきたいと思います。
  135. 川合淳二

    ○川合政府委員 今お話ございましたように、金融をめぐる状況農協側からいえば、信用事業をめぐる状況は非常に厳しいものがあるわけでございます。金利の自由化一つとりましても資金コストの上昇につながるものでございまして、そうした面からこうした金融制度改革の流れに沿った体制というものをとっていかなければいけない。ということは、同時に競争条件の整備ということで、他業態と同様の事業内容の充実をするということが必要であります。しかしながら一方で、これに対応するとしても、経営の健全性の確保ということが非常に大事でございまして、リスク管理体制、ひいては経営管理体制整備ということが必要なわけでございます。したがいまして、この両面で今回の改正を通じて対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  136. 西中清

    ○西中委員 今回の改正で、信連は証券子会社、信託銀行子会社の設立による証券業務、信託業務への参入、また本体での一部信託業務の扱いができるとしておりますけれども、具体的にはどのような形でこれら業務に参入することになるのか、お伺いします。
  137. 川合淳二

    ○川合政府委員 今回の金融制度調査会の答申などを踏まえました金融制度全体につきましては、系統機関につきまして、いわゆる垣根問題につきましては信託それから証券問題がございます。これは他の業態と同様でございますが、農林中金につきましては子会社方式、それから信連につきましては子会社方式あるいは本体での実行、そして農業協同組合につきましては本体での実施というような仕分けになっております。  当然のことながら、こうした対応につきましては、能力のあるといいますか体制整備されたところから実施する個別の認可等になろうかと思いますが、そういうことで対応していくという案になっているわけでございます。
  138. 西中清

    ○西中委員 こういった事業以外にも、また新しいさまざまな施策が盛り込まれて改正が行われているわけですが、いずれにしても高度な金融知識と一定業務体験がなければ、そうすぐに手をつけられるというふうな業務ではないと思いますが、現実問題として信連の段階または単協等で、こういった業務にどの程度手をつけることができるのか、そういうところがあるのかないのか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
  139. 川合淳二

    ○川合政府委員 現在まだ具体的にその希望等について私ども意向を聞いているという段階にありませんので、数字的には把握いたしておりませんけれども、相当程度につきまして、そうした能力のある信連あるいは農協があるというふうには考えております。制度法律の成立によりまして実施に移される段階で、具体的に対応してまいりたいと思っております。
  140. 西中清

    ○西中委員 次に、都道府県知事が指定した単協については貸し付けの員外利用分量の制限の拡大をされておりますけれども、なぜこの拡大をしなければならなかったのか、具体的に理由をお伺いをいたしたいと思います。  それから、員外への貸付能力の拡大は、よりリスクに対する管理の強化が必要とされますけれども、これはどのような点で担保するのか、知事の指定要件等で何らかの強化策がとられるのかどうか、その辺を伺っておきたいと思います。
  141. 川合淳二

    ○川合政府委員 今回、員外利用制限の緩和あるいは貸出規制の緩和をお願いしているわけでございますが、これは貸し出しにつきまして、農協によりまして状況は違いますけれども、貯貸率が著しく低下しているという事実、それから地域の金融機関として地場産業などの地域振興に資する資金ニーズ対応する必要がある、それから、既に特定の農協につきましては、現在の枠につきましてかなりそれが制約要因になっているというようなことから緩和をしようとしているわけでございます。  しかしながら、当然のことながらこの問題はリスクも伴うものでございますので、そうした意味では資金量等、それから体制など十分な整備がなされている農協につきまして、私どもの方で基準を示しまして、それから都道府県と御相談をしながら指定していく、そういう形をとりたいと思っております。
  142. 西中清

    ○西中委員 それから、今回の改正で、信連及び単協が信託業務のほか外国為替業務、国債等の窓口販売、ディーリング業務、私募の取扱業務を行う場合、及び信連が地方債、社債等の募集の受託等の業務を行う場合は行政庁の認可を受けなければならない、それから、信連及び信用事業を行う単協は、信用事業の種類及び実施方法を定めた信用事業規程を策定し、行政庁の承認を受けなければならないという規定を設けておりますけれども、こうした認可行為で十分なチェック機能を果たすことができるのかどうか、その辺の判断はどうされておるか。また、認可後の業務の適正な運営に対してどういうような指導をしていかれるつもりか。その辺の御説明をいただきたいと思います。
  143. 川合淳二

    ○川合政府委員 今回の今お話がございましたような証券業務あるいは信託業務などの参入につきましては、具体的には法制度が整い次第、私どもと大蔵省との間で一つの基準をつくって認可などを行っていくということになろうかと思っております。  当然のことながら、こうしたことにつきまして十分な審査体制あるいは事業能力体制というものが整っているということが条件になるわけでございますが、同時に、その対象となります信連なり単協経営状況というようなものも十分審査してやっていかなければいけないと思っております。  現在こうした基準づくりに入っておりますが、法成立の暁には、そうした点につきましてさらに具体的に指導をしていくということになろうかと思っております。
  144. 西中清

    ○西中委員 何といっても合併規模も大きくなることでございますから、リスクという点については相当これは気をつけていかなければならない問題でございますので、この辺のところは十分細かい配慮をしっかりとやっていくようにしていただきたい。  信連及び信用事業を行う単協が、その保有する資産等に照らして自己資本の充実が適当であるかどうか、さらに、その他経営の健全性を判断するための基準を定めることができるというふうに、大臣の権限といいますか、これは述べられておりますけれども、具体的にどういうことを決めようとされておるのか伺っておきたいと思います。
  145. 川合淳二

    ○川合政府委員 信用事業を進める上で、自己資本の充実ということは非常に大事なことでございます。金融制度調査会の報告でも、協同組織金融機関の自己資本の充実につきまして報告されておりまして、自己資本の充実を図れということを言っております。その手段として、例えば優先出資制度の検討などということを言われているわけでございます。  御承知のように、農協系統組織の出資方式は、組合員、あるいは信連ですと会員の出資ということでございますので、この方式、ある意味では閉鎖された中での出資を求めるということでございますので、どうしてもその自己資本の充実という点でなかなか進まないという面がございます。そこで、この優先出資制度というものについて検討しろというような報告をいただいているわけでございます。  この制度につきまして私ども検討を始めておりますが、いまだ結論が出ているわけではございませんので、今回の一括法あるいは農協法改正には改正案として出してはいないわけでございますが、自己資本の充実という点につきましては非常に急を要することでもございますので、私どもといたしましては検討を十分いたしまして、また成案を得た段階では御相談させていただきたいというふうな段階にあります。     〔委員長退席、金子(徳)委員長代理着席〕
  146. 西中清

    ○西中委員 農協資金固定化債権ということがよく合併でも問題になっておりますが、これはどのくらいあると推定されておるが、数字がございましたならばお教え願いたい。
  147. 川合淳二

    ○川合政府委員 実はこの固定化債権系統全体のお話でもありますし、金融機関としての信用に関することでもございますので具体的な数字は申し上げられませんが、昨日来お話がございますように、例えば合併などに際しましてはこの問題が非常に支障になっているというようなことでございますので、私どももこの固定化債権の処理につきましては十分意を用いていかなければいけないというふうに考えている問題でございます。
  148. 西中清

    ○西中委員 これもお答えはいただけないと思いますけれども、有価証券等の運用が三兆八千二百億円というふうに聞いておるわけですが、このところの株価の低迷でそれなりに損失が出ているんだろうと思うのですね。ですから、この辺のところの運用についてもう一度考え直しておかなければならないんじゃないか、今そういう大事なときではないか、このように私は思っておるのですが、損失の金額はよろしいですけれども、今そういう問題についてどういうお考えにあるか伺っておきたいと思います。
  149. 川合淳二

    ○川合政府委員 申すまでもなく、平成三年度決算につきましては、年度末の株式市場のあのような動向から見ましてかなりの評価損が発生しているものと予想しているところでございます。  今後株価の状況がどう続くかということは別にいたしましても、先ほど来お話がございますように、金融関係の厳しい環境変化の中で、やはり今までとはもう一つ違った意識でこの問題に対処していかなければいけないと思っております。私どもといたしましても、財務基盤の充実は当然でございますけれども経営効率化合理化というような面でもう一度見直しをすべく、必要な指導を強めていきたいと思っております。     〔金子(徳)委員長代理退席、委員長着席〕
  150. 西中清

    ○西中委員 その点では共済事業も同じことが言えると思うのですよ。有価証券が八兆七千九百九十三億円、運用資産全体の四五%を有価証券が占めておる、こういうことでありますと、やはり数字はどうも言っていただけないようですけれども、私としてはそれなりに危惧を持つわけでございまして、この点もあわせてお考えをいただきたい。  そこで、その共済でございますけれども、伸び率が低下傾向にございます。しかも競争激化それから市場が成熟しておるということで、新規需要の開拓が非常に難しくなってきている。そのために、今後とも新商品の開発や運用体制整備を図って、組合員ニーズ対応した保障の提供、事業運営の一層の効率化努力する必要があると思うのですけれども、どのように御指導なさっていくか伺っておきたいと思います。
  151. 川合淳二

    ○川合政府委員 共済事業は損害あるいは生命共済があるわけでございますが、事業の性格からいいまして、比較的長期の間資金をお預かりするという性格でございますので、ともすれば単年度、単年度の動きというものが表面に出ないままにいくという、そういう懸念されるものもあるわけでございます。しかしながら、こういう金融情勢でございますので、やはり毎年度、毎年度厳しい対応をしていくということが必要であろうかと思います。  ただ、共済事業につきましては、既に資金運用につきましてかなり一元的な運用をしょうというようなスケジュールを持ちましてその第一ステップに入っておりまして、運用面でも効率的な運用をすべく既に着手しておりますので、こういう方向ども含めまして、効率的な運営ということに努めていくとともに、今お話がございました本当のニーズに沿った商品というものの対応ということにも心がけていくように指導をしていきたいと思っております。
  152. 西中清

    ○西中委員 ある報道によりますと、宮城信連が九一年度決算で経常赤字を出したことから、決算承認団体の指定を受けたというふうになっておりますが、この決算承認団体というのは幾つぐらいあるのでしょうか。
  153. 川合淳二

    ○川合政府委員 まことに申しわけございませんけれども、金融機関に関します個別の問題でございますので、その数については御容赦いただきたいと思います。
  154. 西中清

    ○西中委員 宮城県のことは事実でございますか。確認しておりますか。
  155. 川合淳二

    ○川合政府委員 現在、信連の決算につきまして私どもお聞きをしている段階でございます。一部そういう報道もなされております。私どもも今具体的にその内容をお聞きしている段階でございますが、御承知のような金融情勢の中で厳しい決算を余儀なくされている信連も出てこようかと思っております。十分内容をお聞きの上、適切な指導、それから適切な合理化あるいは効率化を図っていただくように、私ども対応してまいりたいと思っております。
  156. 西中清

    ○西中委員 質問にちょっとお答えいただいていないようですけれども、そういうことで調査をされているというのですから、大きな赤字を出している主な理由というのは大体わかっているのでしょう。どういう理由でこういうことになってきているのかということですね。
  157. 川合淳二

    ○川合政府委員 その辺につきましても、今私ども具体的にお聞きしている段階でございますが、運用あるいは株式の問題などがやはり相乗的にあらわれたものではないかというふうに思っております。現在、詳細につきまして調査をしているところでございます。
  158. 西中清

    ○西中委員 ほかにも心配な県が、信連があるのじゃないかというふうに思っておりますが、その点はどうなのでしょう。ほかの県では安心しておっていいのでしょうか。
  159. 川合淳二

    ○川合政府委員 こういう状況でございますので、私ども各信連につきまして現在お聞きしているところでございます。私どもが今そういう段階でございますので、詳細を把握しているわけではございませんが、その状況をよくお聞きした上で私ども対応を考えてまいりたいと思っております。
  160. 西中清

    ○西中委員 この種の問題は余りみんな口にしたくないことでございますけれども、しかし、やはり何といっても、こういう金融機関の大事な点はやはり信用ということでございますから、その点は厳正な取り扱いをしていただくということが、そして信頼を取り戻すということが大事だろうと思うのです。そういう点で、ひとつ今後の対処を誤りなきようにしていただきたいと思います。  次は合併の問題ですけれども先ほどちょっとお話がありました。合併合併ということで、いろいろな合併の目的は一応理解できるわけですが、これ、合併して本当に農民のためになるんかいなという、また一面そういう思いも強く出てくるわけでございまして、とりわけ農協組合員の関係性が非常に希薄なもの、遠いものになっていく、こういう心配が強くするわけでございますが、その点、政府はどういうふうにお考えか、伺っておきたいと思います。
  161. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 おっしゃるとおり、確かに合併することによって希薄化というものは出るのではないかということは、そのとおりだろうと思います。ただ、若干違いますのは、昔の場合と交通手段が大分変わっておるということが一つあります。私の身近なところで見ておりますと、六十五歳以上の方々は車の免許を持ってないという方も多いようですね。ですから長男のお嫁さんに乗っけてもらうとかなんとかということはありますから、その面ではちょっと心配があります。しかし、それでは昔ほど農協にいろいろなもので依存しておるかというと、農外収入も結構多くなっていますので、そういう面ではすべて農協で何かを購入するということではなくて、身近なところで買っているということもあります。ただ、特殊なものについてはやはりどうしても農協との接触が多くなるという面はあります。ありますけれども現状のままでも大変だということで、その合併のメリットというものが組合員に適切に及ぶようにしなければならぬということはもうそのとおりでありまして、経営効率化もそうでありますが、何といってもこの支所の機能を充実をするように、そして万遺漏ないようにきめ細かな対策を立てていただくように指導しておるところであります。  また、合併による広域化に伴って、今申し上げたことで希薄にならぬような対策もとっていかなければならぬし、野菜、畜産などの各生産部会、こうしたものを大いに活用して指導して、地域の特性に応じた適切な営農指導確保するために必要な対策を講じていきたいということで、まあ一生懸命とにかく取り組みをするように、私どももしっかりと指導をしてまいりたい、こう思っております。
  162. 西中清

    ○西中委員 そこで、農水省は、平成元年四月に次官通達を出されて、合併推進に当たっての留意事項で二つの条件といいますか、いずれかに該当するということで二つ示されておるのは、一つは、合併後の組合の地区が市町村の区域以上であること、もう一つは、合併後の組合の正組合員戸数が千戸以上であること、こういうことであれば合併はよろしい、妥当である、適当である、こういう判断をするのだというようなことを書かれておりますが、これは今も、今日まで合併し続けてきて変わりがございませんか。その点どうでしょうか。
  163. 川合淳二

    ○川合政府委員 合併規模につきましては、本来的にその地域によりましていろいろな条件が違いますし、それから、組合員が営んでおります営農状況あるいは生活面の利便というようなこともいろいろでございますので、画一的にこういう基準というものはなかなか出しにくいわけでございます。  ただ、一つの考え方といたしまして、余り小さい形では、せっかくいろいろな苦心をされまして合併されてもということで、一千戸未満の組合あるいは市町村区域の一部を地区とする組合、こういうところからまず合併をしていくということでございまして、そのときに市町村単位程度になるのが第一段階ではないかということで、逆に言いますと、こういうところを解消していこうという基準的なものを持っているわけでございますが、こういう形になればいいというのはちょっと一律には言えないということを思っておるわけでございます。
  164. 西中清

    ○西中委員 状況変化しておりますから、なかなかその辺は難しいし、これをしゃくし定規にやっておるとは思いませんけれども、これはよく見ますと、「以上であること」、「以上であること」と並んでおるのですが、小さい方は大体これ以上の方が望ましいという下限を示しておると思うのですけれども、上の方といいますか、大きさとしてはこの辺まではいいよ、これ以上でかいのはだめなんだというふうな考え方はないのですか。
  165. 川合淳二

    ○川合政府委員 私ども、この辺は系統組織の御議論を待ちたいと思っております。今いろいろ御議論がある中で、例えば非常に大きな規模としては県に一つというような議論さえされておりますものですから、そういう議論をよく待ちたいと思います。  ただ、そのときに、大きさではなくて、実はその組合がどういう機能をそれによって果たしていくか、組合員との関係はどうなるかということが一番大事なわけでございますので、その辺も含めまして今議論、検討されています状況を見守っていきたいと思っております。
  166. 西中清

    ○西中委員 私どもの方の京都でもやはりそういう議論をされているようで、一つになるというようなお話を聞いておるわけですけれども、まだ確定したわけじゃないですけれども、これは極めて幅のある話だなという、各県でいろいろ違いが出てくるだろうと思うのですね。主体的にはやはり農協のメンバーの皆さん方がお決めになるということが主体だと思うのですね。ただ、余りいろいろな、さまざまな形が出てきて果たしてどうなのかなという危惧もまた一面あるわけでございまして、その辺もひとつこれから慎重にお考えをいただきたいな、こういうふうに思っておるわけでございます。  ですから、例えば京都の場合ですと、農協の預金高は、全部合わせますと九千四百八十九億円と膨大な金額になりまして、信用金庫なんかと比較しましても、第十二位の埼玉信金と肩を並べるというような巨大な金融機関になるわけですから、そうするとやはり社会的に影響が物すごく大きいんじゃないかな、こういうように思います。  いずれにしても、単に大きくなればいいんだとか集まったらいいんだとかいうようなことではなくて、さまざまな影響が出てくるわけでございますし、同時にまた、大きければ大きいほど社会的責任もまた大きくなるという一面もございますから、農協の幹部の皆さん、執行体制、執行部の皆さん方が、これまた質を維持していくということに大変な労力が必要だと思うのですね。そういったことをあわせまして、この合併というものは派生する問題が極めて多いので、どうかひとつ真剣な、慎重な取り扱いを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。  以上です。
  167. 高村正彦

    高村委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  168. 高村正彦

    高村委員長 これより両案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。杉浦正健君。
  169. 杉浦正健

    ○杉浦委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党及び進歩民主連合の各党を代表いたしまして、農業協同組合法の一部を改正する法律案及び農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案の両案につきまして、一括して賛成の討論を行います。  まず、農業協同組合法の一部を改正する法律案について申し上げます。  近年の我が国農業及び農村は、担い手不足の顕在化、高齢化進行等さまざまな課題に直面しております。  このような状況のもとで、農協が本来の使命を果たしていくためには、農協事業組織についても、営農、生活両面での組合員ニーズ多様化金融自由化等への的確な対応が求められているところであり、その自主的努力とともに、制度面においても、農協の行うことができる事業内容の充実やその執行体制強化等の改善を進めていく必要があります。  このため、今回の法改正は、連合会による受託農業経営事業の導入、農村の高齢化対応した老人福祉事業の明定化、理事会及び代表理事の設置等による経営管理体制強化事業譲渡規定の整備農事組合法人制度の改善等の措置を講じようとするものであり、組合員の負託にこたえ得る農協確立という観点から、ぜひとも必要な措置であると考えます。  次に、農業協同組合合併助成法の一部省改正する法律案について申し上げます。  先ほども申し述べましたとおり、近年の我が国農業及び農村はさまざまな問題に直面しており、その活性化に積極的に取り組んでいくためには、農協経営基盤の安定強化が喫緊の課題となっております。しかしながら、全国的にはいまだ脆弱な小規模組合が多数存在しているといった状況にあり、今後とも、経営基盤強化を図るため、農協合併を引き続き促進する必要があります。  このため、今回の法改正は、合併経営計画の都道府県知事への提出期限室二年間延長するとともに、合併対象農協の範囲の拡大合併経営計画に定める事項として、固定した債権の償却に関する方策の追加、当該方策に従い実施する措置につき助成を行う法人の指定、税法上の特例措置等を定めようとするものであり、合併の一層の促進を通じて農業協同組合の体質強化を図る観点から、ぜひとも必要な措置であると考えます。  また、法改正事項の実施に当たって留意すべき事項または一層の努力を要する事項等につきましては、各委員質疑に対する農林水産大臣及び政府委員の答弁を通じて遺憾なきを期して対処することが明らかにされたところであり、さらに、両案に対し、具体的かつ詳細な附帯決議も付されることとなっておりますので、これらの諸点を踏まえ、今後の政府の一層の努力期待いたしまして、両案に対し賛意を表するものでございます。  何とぞ、各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げて、賛成討論といたします。(拍手
  170. 高村正彦

    高村委員長 藤田スミ君。
  171. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、日本共産党を代表して、農業協同組合法の一部改正案及び農業協同組合合併助成法の一部改正案に対して、反対の討論を行います。  まず、農協法の一部改正案についてであります。  反対の最も大きな理由は、今回の改正案が農協合併助成法改正案とともに、金融の自由化による総合農協経営の危機と、農産物自由化農業切り捨て政策に基づく農業、農村の荒廃、農協経営基盤の弱体化を、農協広域合併農協の企業的経営の一層の導入、組織再編で乗り切ろうとする目的でなされるものであり、農協の民主的運営を保証する条件を一層弱めるものです。また、農協運動の主人公は組合員であり、農協事業の原点は組合員の要求実現のための協同活動であるとする協同組合活動基本原則を大きく後退させるものであるという点であります。  反対の第二の理由は、事業譲渡規定の新設についてであります。  この規定は、これまで農協県連合会全国連合会の三段階で進めている事業農協全国連の二段階にするために、県連合会事業単協などに譲渡するための規定であり、このことにより、県連合会全国連に統合する中央集権的な再編を行い、結局は組合員のための農協にという農協本来の目的から離反することになりかねないものであって、認めることはできません。  第三に、経営管理体制の変更についてであります。  これは、これまでの総会中心の運営を理事会中心にし、その結果起こる組合員意向と離れた運営を監事機能拡充、内部牽制機能強化でカバーしようとし、模範定款例や民法の準用のものを、株式会社等の運営を規定する商法の準用に移行するものですが、それは、農協事業組織全体を企業化し、それを運営面にも持ち込むもので、賛成することはできません。  なお、受託農業経営事業能力の連合会への付与、農事組合法人制度制度変更は、今日農水省が、農協自身による農業経営のあり方については今後の新政策の検討における農業担い手方向づけとの関連においてさらに検討を進めていくものとするとして、農協による農業経営という方向性を否定していない状況のもとでは、農協による農業経営拡大や家族経営中心農業否定につながる可能性があることを見逃すわけにはいきません。  次に、農協合併助成法一部改正案についてであります。  反対の第一の理由は、本法の改正農協法改正などと歩調を合わせ、広域合併を上からの行政指導型に推し進める役割を担うものであるという点です。それは農協法の理念にも、農協合併助成法の目的にも反するものであり、質的にも規模的にも農協の変質を一気に促進するものであり、容認できません。  第二に、本法の改正農協の民主的手続を後退させる点であります。  これまで、合併経営計画を立てるには、組合員の半数以上が出席する総会において三分の二以上の議決を必要としていたのに対し、総代の半数以上が出席する総代会において三分の二以上の議決によっても樹立することが可能となります。組合員に大きな影響を与える合併に当たり、総代会の議決のみで合併を可能にすることは、組合員が有する平等の議決権及び組合員の利益と要求に基づき自主的に決定することを決めた農協の原点と民主的手続を大きく後退させるものだと言わざるを得ません。  以上、反対の理由を述べて、討論を終わります。
  172. 高村正彦

    高村委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  173. 高村正彦

    高村委員長 これより採決に入ります。  まず、内閣提出農業協同組合法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  174. 高村正彦

    高村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、内閣提出農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  175. 高村正彦

    高村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  176. 高村正彦

    高村委員長 この際、両案に対し、杉浦正健君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党及び進歩民主連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。堀込征雄君。
  177. 堀込征雄

    ○堀込委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党及び進歩民主連合を代表して、農業協同組合法の一部を改正する法律案及び農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     農業協同組合法の一部を改正する法律案及び農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   最近の我が国農業・農村を取り巻く内外の厳しい諸情勢に対処して、足腰の強い農業の育成と活力ある農村社会の形成を図ることが喫緊の課題となっている。   このような状況の下で、農業者の協同組織としての農協は、組合員の負託に応え、地域農業の振興や地域活性化に積極的に取り組むとともに、金融の自由化等他業態との競争激化対応して、その組織事業機能及び経営管理体制強化が求められているところである。   よって政府は、両法の運用等に当たっては、左記事項の実現を図り、農協が本来の使命を達成できるよう、その指導、監督に万遺憾なきを期すべきである。       記  一 農協農業生産に関する各種事業強化拡充するとともに、特に、組織活動の原点である営農指導事業については、組合員ニーズに応え、その円滑な推進が図られるよう、目的積立金の造成等安定的な財源確保営農指導員の資質の向上、普及事業との連携強化等について所要の措置を講ずること。  二 連合会による受託農業経営事業については、単協機能補完する観点から行われることを基本とし、連合会と単協との間で十分調整すること。    また、地域農業担い手確保する観点から、引き続き、農事組合法人事業活動活性化に努めること。    なお、新規就農者の減少農業就業者の高齢化進行耕作放棄地の増加等の現状にかんがみ、協同組織による農業経営のあり方について検討すること。  三 農協地域活性化に関する事業への取組みを強化するとともに、老人の福祉に関する事業の実施に当たっては、市町村等との機能分担を明確にし、十分な連携を図るとともに、人材の育成その他の実施体制整備に必要な措置を講ずるよう努めること。  四 信用事業に係る業務能力の拡充、指定単協に対する員外貸出規制の緩和等に当たっては、業務の健全かつ適切な運営を確保するための措置を講ずること。    また、先般一部農協で発生した金融不祥事等が再発することのないよう、責任ある業務執行体制確立するとともに、検査体制の一層の強化を図ること。    なお、金融の自由化国際化進展対応し、農林中央金庫を含め農協系統についても、自己資本の充実に必要な措置を早急に検討し、その実現に努めること。  五 理事会制及び代表理事制の法定化、監事権限強化理事と使用人の兼職等経営管理体制強化に係る改正の趣旨を、役職員をはじめ組合員にも十分徹底させ、その実効を期すること。    また、学識経験者等の理事への登用促進するとともに、青年層婦人層の幅広い意向を反映した組合運営に努めること。  六 農協系統組織事業組織の再編・整備に当たっては、組織の自主的な協議を尊重し、組合員理解を得るとともに、事業の種類、地域の実情等に十分視点をおいた方向で推進すること。  七 農協合併の推進に当たっては、画一的な基準によらず、地域の実情を反映させるとともに、組合員の意思に基づきその理解と納得のもとに行われるよう措置すること。    また、専門農協については、その特性等に十分配慮し、合併体制整備を図ること。  八 農協合併に伴う固定化債権対策については、農協系統内部において十分な協議を行い、推進法人等の機能が十分に発揮されるよう措置し、その実効を期すること。  九 農協大型化に伴い、農協組合員農協市町村行政との関係が希薄化することのないような各般の措置を講ずること。   右決議する。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手
  178. 高村正彦

    高村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  杉浦正健君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  179. 高村正彦

    高村委員長 起立多数。よって、両案に対し附帯決議を付すことに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田名部農林水産大臣
  180. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。     ―――――――――――――
  181. 高村正彦

    高村委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  182. 高村正彦

    高村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  183. 高村正彦

    高村委員長 次回は、来る五月十三日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十八分散会