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田名部国務大臣 獣医師法の一部を
改正する
法律案、
獣医療法案及び
家畜改良増殖法の一部を
改正する
法律案の三
法律案につきまして、その提案の
理由及び主要な
内容を御説明申し上げます。
まず、
獣医師法の一部を
改正する
法律案につきまして御説明いたします。
最近の飼育動物に関する保健衛生及び畜産業をめぐる情勢を見ますと、畜産業が
我が国農業の基幹的部門へと成長を遂げるとともに、一般家庭における小動物の飼育が広く普及しており、獣医師による的確な診療の提供はますます重要となってきております。また、獣医療技術につきましては、新たな診療機器の普及、動物用医薬品の開発等により、その高度化が進展してきております。他方、家畜飼養の多頭化に伴いその疾病が多様化、複雑化する等新たな動物に関する保健衛生上の問題が生じてきているほか、安全な畜産物の生産のための動物用医薬品の適正使用等が重要な問題となっております。
このような最近における飼育動物に関する保健衛生及び畜産業をめぐる諸情勢の変化にかんがみ、動物に関する保健衛生の
向上及び畜産業の発達を図り、あわせて公衆衛生の
向上に資するため、この
法律案を
提出した次第であります。
次に、この
法律案の主要な
内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、獣医師の活動
範囲が拡大し、その果たすべき
役割が多様化してきたことを踏まえ、獣医師の任務を明確化することとしております。
第二に、獣医師の臨床技術の
向上を図るため、診療を業務とする獣医師は、免許取得後も、獣医系大学の附属
施設である診療
施設または
農林水産大臣の指定する診療
施設において、臨床研修を行うよう努めるものとすることとしております。
第三に、畜産物生産の多様化及び疾病に対する的確な防除の
必要性の増大に対応するため、獣医師の診療対象飼育動物を追加することとしております。
第四に、安全な畜産物の生産を図るため、獣医師がみずから診察しないで投与または処方することができない医薬品として、農林水産省令で定める医薬品を追加することとしております。
第五に、複雑、多様化する疾病に的確に対応するため、獣医師は、診療をしたときは、その飼育者に対し、飼育動物に関する保健衛生の
向上に必要な
事項の指導をしなければならないこととしております。
第六に、外国の獣医学校の卒業生等の獣医師国家試験の受験に適切に対処するため、獣医師国家試験予備試験
制度を設けることとしております。
第七に、獣医師国家試験に関する事務その他この法律及び獣医療法によりその権限に属させられた
事項を処理させるため、農林水産省に獣医事審議会を置くこととしております。
以上が、この
法律案の提案の
理由及び主要な
内容であります。
続きまして、
獣医療法案につきまして御説明申し上げます。
適切な獣医療の
確保につきましては、これまで
獣医師法に基づき、診療
施設の開設の届け出を義務づけるとともに、獣医師の業務に関する広告についてその適正を
確保するための
措置を講じてきたところであります。
しかしながら、近年、産業動物獣医師の
高齢化が進む等獣医師の
確保が困難な
地域が発生し、畜産業への影響が懸念されるようになってきております。また、エックス線装置の普及、診療
施設の
整備の進展等に伴い、診療
施設が一定の水準を満たし、かつ、それについて適切な
管理が行われることが要請されるようになってきております。さらに、獣医師や診療
施設の業務に関して適切な情報を飼育動物の飼育者に提供していくことが重要となっております。
このような情勢の変化を踏まえ、適切な獣医療の
確保を図るため、この
法律案を
提出した次第であります。
次に、この
法律案の主要な
内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、診療
施設を開設した者は、開設の日から十日以内に都道府県知事に届け出を行うこととしております。また、診療
施設の構造設備は、その手術室やエックス線診療室について、農林水産省令で定める基準に適合したものでなければならないこととしておりますとともに、開設者は、みずから獣医師で診療
施設を
管理する場合のほかは、獣医師にその
管理をさせなければならないこととしております。さらに、往診診療者等につきましても、以上の
事項を一部適用することとしております。
第二に、
農林水産大臣は獣医療を提供する
体制の
整備を図るための基本方針を獣医事審議会の意見を聞いて定めるとともに、都道府県はこれに則して都道府県
計画を定めることができることとし、当該都道府県
計画に基づいて診療
施設の
整備を図ろうとする者がその診療
施設整備計画について都道府県知事の
認定を受けた場合には、農林漁業金融公庫からの長期低利の資金の貸し付け在受けることができることとしております。
第三に、獣医師または診療
施設の業務に関する広告につきましては、何人も獣医師または診療
施設の専門科名、獣医師の学位または称号を除き、その技能、療法または経歴に関する
事項を広告してはならないものとしております。また、この場合でも、獣医事審議会の意見を聞いて農林水産省令で定めた
事項については、これを広告することができることとしております。
以上が、この
法案の提案の
理由及び主要な
内容であります。
最後に、
家畜改良増殖法の一部を
改正する
法律案につきまして御説明申し上げます。
家畜の改良増殖は、畜産経営の
体質強化を図り、畜産物の安定
供給を図る上での基本となるものであり、
我が国における家畜の改良増殖を
推進するため、種畜検査、家畜人工授精、家畜体内受精卵移植に関する規制等を行ってきているところであります。
しかしながら、近年の家畜改良増殖の
状況を見ますと、一バイオテクノロジー等先端技術の開発が目覚ましく、家畜体外受精卵移植の技術は既に実用化の段階に達しております。
また、これら畜産新技術の進展に伴い、家畜改良増殖における雌畜の重要性が増大してきております。
このような情勢の変化に対応して、家畜改良増殖の一層の
促進を図るため、この
法律案を
提出した次第であります。
次に、この
法律案の主要な
内容につきまして、御説明申し上げます。
第一に、家畜体外受精卵移植に関する規定を
整備することであります。
家畜体外受精卵移植の健全な発展と円滑な普及を図る
観点から、家畜卵巣の採取の用に供する家畜の雌は、伝染性疾患及び遺伝性疾患を有しないことについての獣医師の診断書の交付を受けたものでなければならないこと、家畜卵巣の採取、家畜未受精卵の採取、処理、家畜体外授精、家畜体外受精卵の処理、移植を行う者の資格を定めること等家畜体外受精卵移植に関する規定を
整備することとしております。
第二に、都道府県の家畜改良増殖
計画の
計画事項の追加であります。
優良な雌畜を家畜改良増殖に有効に活用していくため、都道府県の家畜改良増殖
計画に、従来の優良な雄畜の利用等に関する
事項に加え、家畜受精卵移植の用に供する優良な雌畜の利用等に関する
事項を追加することとしております。
以上がこの
法律案の提案の
理由及び主要な
内容であります。
何とぞ、これら三つの
法律案につき慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますように
お願いを申し上げます。