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1992-03-24 第123回国会 衆議院 農林水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年三月二十四日(火曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 高村 正彦君    理事 岩村卯一郎君 理事 金子徳之介君    理事 杉浦 正健君 理事 東   力君    理事 簗瀬  進君 理事 石橋 大吉君    理事 前島 秀行君 理事 藤原 房雄君       赤城 徳彦君    石破  茂君       上草 義輝君    内海 英男君       大原 一三君    金子原二郎君       亀井 久興君    鈴木 俊一君       西岡 武夫君    鳩山由紀夫君       保利 耕輔君    星野 行男君       松岡 利勝君   三ッ林弥太郎君       御法川英文君    宮里 松正君       柳沢 伯夫君    有川 清次君       佐々木秀典君    志賀 一夫君       田中 恒利君    竹内  猛君       辻  一彦君    鉢呂 吉雄君       堀込 征雄君    目黒吉之助君       西中  清君    藤田 スミ君       神田  厚君    阿部 昭吾君  出席政府委員         農林水産政務次 二田 孝治君         官         農林水産大臣官 馬場久萬男君         房長         農林水産大臣官 白井 英男君         房審議官         農林水産省経済 川合 淳二君         局長         農林水産省農蚕 上野 博史君         園芸局長  委員外出席者         厚生省生活衛生 織田  肇君         局食品保険課長         厚生省生活衛生 伊藤蓮太郎君         局乳肉衛生課長         農林水産省経済 須田  洵君         局統計情報部長         農林水産委員会 黒木 敏郎君         調査室長     ――――――――――――― 委員の異動 三月二日  辞任         補欠選任   赤城 徳彦君     池田 行彦君   石破  茂君     越智 伊平君   金子原二郎君     越智 通雄君 同日  辞任         補欠選任   池田 行彦君     赤城 徳彦君   越智 伊平君     石破  茂君   越智 通雄君     金子原二郎君 同月五日  辞任         補欠選任   小平 忠正君     柳田  稔君 同日  辞任         補欠選任   柳田  稔君     小平 忠正君 同月二十四日  辞任         補欠選任   小平 忠正君     神田  厚君 同日  辞任         補欠選任   神田  厚君     小平 忠正君     ――――――――――――― 三月三日  獣医師法の一部を改正する法律案内閣提出第  四四号)  獣医療法案内閣提出第四五号)  家畜改良増殖法の一部を改正する法律案内閣  提出第四六号) 同月十三日  農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律  案(内閣提出第六七号) 同月二日  米の市場開放阻止に関する請願(中島衛君紹介  )(第四一五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月十六日  農山漁村地域への公共投資拡大に関する陳情  書  (第三九号)  農業農村整備事業促進等に関する陳情書外二  十六件  (第四〇号)  米市場開放阻止並びに展望ある農業政策確立等  に関する陳情書外三十一件  (第四一号)  米飯給食によるコメの消費拡大国庫負担の継  続に関する陳情書外二件  (第四二号)  治山事業促進に関する陳情書外四件  (第四三号)  山陰沖漁場における漁業秩序の確保に関する陳  情書  (第四四号)  公海流し網漁業禁止に伴う救済促進に関する陳  情書  (第四五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(畜産問題等)  畜産物価格等に関する件      ――――◇―――――
  2. 高村正彦

    高村委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鳩山由紀夫君。
  3. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 平成四年度の酪農畜産政策価格の決定、いわゆる乳価の時期となりましたので、自由民主党を代表させていただきまして、質問をさせていただきます。  まず、次のような日記から紹介させていただきたいと思っています。  昭和二十年六月十八日 沖山君に案内され、県   より世話を受けた妊牛が今朝産んだ牝子を見   る。  六月二十一日 牛舎付近の井戸を掘り始む。  六月二十五日 牧場の柵を作る。一日で完成。  六月二十六日 沖山君、昨日乳搾りに人を出す   との話なりしに、夕方沖山君自身見ゆるまで   誰も見えず子は飢え、親は乳張り心配す。終   日、畑にて大豆、小豆、どうもろこしの土か   け。  六月三十日 朝と夕二回、雨の中を青草を刈り   背負い籠二個を自分と洽一とで牛舎に運ぶ。  七月一日 朝五時起き、朝食前に青草を刈り牛   にやる。昨日も同様。 こんな調子でずっと日記が続いております。そし て、八月十五日の終戦の日を迎えて、その後もこんな日記がずっと、二十六年、実は追放が解けるまで、また脳溢血で倒れるまで続いておるのです。  実は、この日記は私の祖父一郎が書いた日記であります。後年、一郎みずからが書いた鳩山一郎回顧録の中で、このような本が出ておるのですが、そのころを述懐してこう述べております。   軽井沢時代の話にもどるが、そこで百姓百姓と言って失礼でありますが、  百姓生活を身につけるようになり、そこから  天地自然に対する感謝の念を持つようになつ  た。これは私にとって大変幸福なことであつ  た。最初私は私なりに一人前の百姓をやってい  ると思っていたら、誰からか「朝食前に牛の草  を刈って、牛に食べ物をやった後に帰って自分  が朝食を食べるほどにならなければ一人前の百  姓だと自慢にするわけには行かない」といわれ  た。それから私はそうするようになった。晴雨  に拘らず毎朝欠かさず五時に起きて、牛の草を  刈りに行つた。だから晴耕雨読でなく晴耕雨耕  であつた。もっと続けさせていただきますが、   天地の温か味を身体で感ずるようになって、  ほんとうに百姓生活は幸福だと思った。追放の  苦悩など一度も起きたことがなかった。   百姓生活でひしゝと考えさせられたこと  は、百姓というものがどんなに気の毒なものか  ということである。朝早くから夜遅くまでよく  働くその百姓生活が安定しないのでは、これ  は共産主義の温床になるということだ。恐縮な言葉でありますが、反共主義者でありましたので御理解ください。   しかし農民というものは不幸な目に遭い易い  のだから、政治家矢張り政治をそれに合わせ  て行つて農民を不幸から救い出すように政治  家は十分考えてやらなければいけない。こうい  う所に政治の焦点が合わされなければならない  と、つくづく思ってみたのであった。回顧録の中で、祖父一郎はそのように述べております。  一郎というと、文部大臣は経験をさせていただきましたが、実は農家を六年ほどの間やっておったことは余り知られておらないかもしれません。しかし、じいさんは、そのころの六年が人生の中で、ある意味で一番幸せを感ずることができたときであったと言っております。それはなぜか。天地自然というものを肌で感ずることができる農家の仕事というものに彼なりに納得をしたのだと思います。ところが、そのころからもう、当時もそうであったのでありましょうが、農民生活は決して楽ではなかった。だから、この生活を何とか救ってあげることが政治家としての本分ではないか、そう彼は主張したわけであります。  御承知のとおり、そのころと今とでは農民生活も大きく変わったわけであります。しかし、今でも四%から五%ほどの農家が毎年離農しているという現実をとらまえたときに、やはり農民生活が安定しているとは今でも決して言えないと思います。したがって、祖父の言っているように、農民生活を安定させるために政治家は十分考えていかなければならない、そのことをまず最初に申させていただきたいと存じます。  さてそこで、ガットウルグアイ・ラウンド農業交渉に関してお伺いをさせていただきたいと思います。ガットウルグアイ・ラウンド農業交渉のただいままでの状況をぜひ教えていただきたいと存じます。  この農業交渉は、御承知のとおり、国際化の中で一方では自由競争、しかし国の主権との間のバランスをとる作業だと私は解釈をしております。そんな意味で、我が国輸入国論理というものを堂々とこれからも主張していけばよいわけであります。もともと輸出補助金というものが最大の問題であったにもかかわらず、輸出補助金自体に関しては段階的でいいんだ、部分的だというような話、一方で国境措置に関しては例外なしに関税化しなければいかぬ、こういうダンケルペーパーは、ある意味で公正を欠いていると言わなければなりません。また、経済合理性というものを追求していけば、経済合理性で適合しない地域農業をやめるという話になるのでしょうか。そうなった場合に、世界の人口が爆発的に増加していく現況の中で、食糧問題を本当にグローバルにどうとらえていけばいいのでしょうか。  私たちは決して我々日本のエゴで主張しているわけではありません。正当な論理主張をしておるのであって、卑下する何物も持ち合わせる必要はありません。我が国ガットウルグアイ・ラウンド農業交渉全般に関する政府対処方針を確認させていただきたいと思います。
  4. 川合淳二

    川合政府委員 ウルグアイ・ラウンドにつきましては、御承知のように、三月四日に国別約束表提出したところでございます。現在のところ、事務局発言によりますと、何らかの形で国別約束表を出した国が二十七カ国ございます。ただ、それぞれの国の従来の主張に基づいて出しておりますので、その国別約束表内容はかなりさまざまでございます。したがいまして、これを受けてどういうふうな交渉が今後行われていくか非常に不透明な状況にあります。  御承知の四つのトラックと言われております路線のうち第一、第二、第三、いわゆる市場アクセスの問題、二番目のサービス、三番目の法的な整合性というこの三つ。そのうち第一は、まあまあ頻度がある程度多く行われておるわけでございますけれども、いわゆる第四トラック、私どもが一番関心を持ち、ここで修正について議論をしたい、検討したいと思っている、これについてはまだ開かれていないわけでございます。  そうした中で、御承知のように米・ECの話し合い、交渉ども行われているわけでございますが、今までのところ、私どもが聞くところでは、さしたる進展というふうには私ども聞いておりません。しかしながら、期限的には四月の中旬というようなものが一つダンケル発言から出されております。したがいまして、これから一月ぐらいの間がないいろいろな形での動きがあろうかと思います。私どもといたしましても、そうした情勢を十分踏まえながら対処していかなければいけないと思っております。  しかしながら、これまでにも申し上げておりますように、基本方針は何ら変えておりません。国別表もこれまでの基本方針のもとに出しておりますので、こうした立場を最後まで貫くように努力してまいりたいと思います。
  5. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 今申されましたような基本的な方針を今後ともぜひ貫いていただきたいと思います。  次に、そのガットウルグアイ・ラウンド農業交渉の中で、私どもが一番微妙だと感じさせていただいております米問題に対して触れたいと思っております。  この米の問題に関して、どうも二つの誤った議論がしばしばなされているのではないか。その一つは、部分自由化、いわゆるミニマムアクセスというものをもっと私どもが早く踏み込んで決断していれば、関税化ミニマムアクセスと両方ともひっくるめて攻撃されるようにはならなかったのじゃないかという議論であります。私は、むしろこれは逆でありまして、国内でいろいろと開放議論がされる、されることによってここまで押しつけられてきてしまったのではないかな。もともと米というものは、農業交渉の中で、それこそ交渉全体の中では日本は厳しい状況だと考えておるかもしれませんが、マイナーな議論でありまして、米だけの論理ミニマムアクセス論というところに落着てきたとは到底思えないし、もしできたとするのであるならば、今からでも遅くはないわけであります。  第二の誤った議論だと言わざるを得ないのは、関税化をしても米は大して入ってこないだろう、もし輸入されたとしても、輸入された分国内対策をきちっとしてやればいいんだ、そんな議論でありますが、特にこの後半の部分に関しては、ガットウルグアイ・ラウンドの中で国内支持の二〇%削減という議論も今提案されて議論しているわけでありまして、米農家に新たに手厚い保護を加えてあげるということが極めて難しい状況だと私どもは考えていかなければなりません。その前半の議論、大して輸入されないだろうという話でありますが、関税率の水準がどのようになるのかという話、あるいは削減率も一九九九年までにどのところまで落ちつけるかというような話、数値のことに関しては交渉はまだ何もないわけでありますし、二〇〇〇年以降のことは一切不明であります。たとえ、巷間うわさされております七〇〇%の関税をしばらくの間許されるだろうという議論をしても、このことを必ずアメリカはついてくるに違いありません。その場合、いつまでもたせていただくことができるか、極めて不安にならざるを得ません。また、日本人の口に合わない、おいしくない氷ならば輸入は増大しないとおっしゃいますが、タイやアメリカなどで将来日本向けに米を生産、そして輸入することを魅力的に感ずる方は結構おられるのじゃないか。  そんな環境の中で、米に関しては、特に関税化は不可能であるという初心を今後とも貫いていただきたいと思いますが、政府の対応をお伺いしたいと思います。
  6. 川合淳二

    川合政府委員 米につきましては、私ども交渉最初から終始一貫、既に御承知基本的態度をもって対応してきているわけでございます。  今回提出いたしました国別約束表におきましても、そうした基本的方針のもとに、我が国主張を踏まえて提出しているわけでございまして、これについて私ども従来の方針を踏まえまして、今後とも最大限努力をするということで終始一貫やってきているわけでございますので、今後ともその線に沿いまして努力したいと思っております。
  7. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 努力をぜひお願いをしたいと思います。  ここで、実は外交交渉全般のことに関して一言申し上げたいことがあります。それは結論だけ申し上げさせていただきますと、マスコミ対策をもっとしっかりやっていただきたいということであります。  ゲームの理論などというものを持ち出すまでもなく、外交交渉というのはいかに相手国手のうちを読むか、ここにすべてかかっておるわけでありまして、その中でみずからの手のうちを暴露してしまえば、相手は容易に自分の最高の手を打てるわけであります。これではまず勝ち目はありません。外交交渉内容に関する事柄というものは、交渉に当たるまで絶対に外に漏れるようであってはならないわけであります。  御承知のように、国別約束表関税率数値を書き入れるか入れないか大変な議論があった、それは理解をしておりますが、その内容事前外部に知られたということは、今後の交渉を極めてやりにくくしているのではないかと私は言わざるを得ない。その場合、ぜひ今後は、少なくとも重要な交渉内容というものが事前外部に漏れることのないよう、極力注意を払っていただきたいと思いますが、御見解をお伺いしたいと思います。
  8. 川合淳二

    川合政府委員 これまでウルグアイ・ラウンド農業交渉に関しまして、憶測記事も含めましていろいろな報道がなされたところでございます。率直に申しまして、その内容によりましては交渉自体に非常に影響を与えかねないというようなことも懸念されるようなこともございました。まことに私ども残念に、遺憾に思っているわけでございます。  私ども、いろいろな機会をとらえまして報道関係の方々にこの点を申し入れを行っているわけでございますが、今御発言がございましたようなこと、私ども受けまして、勇気を与えられた感じが。いたしますので、もう一度私ども気を引き締めまして、私ども内部の体制ということも当然ございますので、そういうことも含めまして、この点については十分な注意を払っていきたいと思います。よろしく御指導のほどをお願いしたいと思います。
  9. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 勇気を持ってぜひお願いしたいと存じます。  いよいよ乳価の方に徐々に入ってまいりますが、ガット十一条二項(c)の(i)の見直し明確化の問題に関して触れさせていただきます。  この問題は、ある意味輸入国論理の集約でありまして、私ども生産調整を行っている品目というものは、もし生産調整しないで、例えばECが行っているように輸出補助金をつけて安い値段で輸出をするということも政策として決して不可能ではなかったわけでありますが、私ども世界市場を混乱させるという可能性からとらなかったわけであります。外に迷惑をかけるより、いわば内で我慢をしてもらったわけであります。  そういう意味で、生産調整をしておる場合に、当然生産調整をしておるわけですからスケールメリットを十分に生かし切れない、コスト高になってしまう、これもいわばやむを得ないわけであります。したがって、その意味輸入制限というものを課しているのであって、これは全く正当な論理の展開だと私は思っております。米のみでなく、十一条二項(c)の(i)の見直し明確化というものを大いに主張して実現していただきたいと思います。それによって、例えば基幹的な乳製品輸入制限措置を堅持していただいて、酪農維持発展に努めていただきたいと思いますが、御見解を伺いたいと思います。
  10. 白井英男

    白井(英)政府委員 お答えいたします。  乳製品輸入制限につきましては、私ども生乳生産制限をしているということでございまして、生乳乳製品とは可逆性があるということで一体として考えるべきだということで、私どもガット十一条二項(c)のもとで当然これは輸入制限ができるということで主張をしておりまして、現在その適用要件見直し明確化を提案しているところでございます。  他方、アメリカとかケアンズ・グループ、これは、すべての非関税障壁を全廃すべきであるというような主張をしておりまして、私どもと意見が対立しているわけでございます。  そういう中で、昨年の十二月二十日にダンケル事務局長最終合意案が出されたわけでございますけれども、残念ながら、一つ包括的関税化ということで、私ども、すべて関税化するということはできないということを前から主張していたのでございますけれども、それが認められなかったということと、それから、十一条二項同の見直し明確化の点につきましても何ら言及されていないということでございました。  ではございますけれども、先生今御主張されましたように、私どもとしてはぜひとも、この十一条二項(c)のもとで、現在私どもやっております乳製品につきましての輸入制限を続けていきたいと思っておりまして、世界の中でもカナダとかほかの風で同じようなことをやって主張している国もございますので、それらの国とも連携をとりながら、私どもとしては最終合意主張が認められますよう最大限努力をしてまいりたいと思っております。
  11. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 ぜひ御主張していただいて、実現方努力をいただきたいと存じます。  その関連でありますが、牛肉輸入自由化がされましたが、影響及び対策に関して見解を例えればと存じております。  御承知のとおり、昨年四月、五月、牛肉輸入自由化影響輸入量が増大したわけでありますが、その後は在庫の取り崩し等で、むしろ以降は前年度を下回る輸入量だというふうに伺っております。にもかかわらず、チルド低下が顕著であって、子牛価格が暴落をした、そういうような自由化影響がいろいろと出てきていると伺っております。その状況をぜひ教えていただきたい。  また、価格安定化のために、機敏な調整保管を行うなどの対策もあわせてお願いしたいと思いますが、政府が考えておられる対策をまずお聞かせください。
  12. 白井英男

    白井(英)政府委員 お答えいたします。  昨年の四月に牛肉自由化いたしまして、その結果、今お話しのように、四、五月、一時輸入が伸びたのでございますけれども、その後は量的には伸びてないという状態でございますけれども、質的には、テーブルミートに適しておりますチルド牛肉、この輸入が急増しております。そうすると、国内的にはこれと競合いたします乳用種枝肉価格、特にB2の規格以下のものがこれに競合いたしまして、その価格低下するということになってまいります。この枝肉価格低下したという動向等を反映いたしまして、乳用種子牛価格低下するということになったわけでございます。  それで、それが経営面ではどういうことになったかといいますと、乳用種肥育経営で、枝肉低下するということのために、一年以上の高水準の価格時に購入されました子牛が出荷時を迎えるということによりまして収益性低下する、つまり原料高製品安という事態になりまして、収益性低下するということになりました。それとあわせまして、ぬれ子を生産しております酪農経営で、ぬれ子の価格低下してまいりましたので、酪農経営の収支に影響を及ぼしているということでございます。  したがって、このような状況に対応いたしまして、平成三年度におきましては、自由化対策といたしまして肉用子牛等対策費一千六億円を確保して、子牛価格低下いたしましたことに対して、平成三年度の第一・四半期から第三・四半期につきまして、乳用種日本短角種につきまして、肉用種の子牛生産者補給金、いわゆる子牛不足払いですね、これを交付したところでございます。  それから、乳用種枝肉価格低下いたしましたので、そうすると肥育経営収益性低下したということでございますので、これに対しましては、緊急的な対策としまして助成金所得家族労働費を下回った場合に一頭一万円というのを、第一・四半期から第三・四半期において。さらに経営が悪化する、収益が悪化するという事態が生じてまいりましたので、九月に新しく追加措置を設けまして、所得がマイナスという事態になった場合にさらに一頭につき一万円交付するということで、これはさかのぼりまして平成三年の第一・四半期、第二・四半期において発動をしているという状態でございます。  それから、ぬれ子の価格低下ということで酪農経営大変影響を及ぼしておりますので、ぬれ子につきまして、酪農経営の中で付加価値をつけるというような方向でその収益性の向上を図るというために、乳肉複合経営ということを推進しておりまして、昨年の四月からは、平成二年度に引き続き行います事業をさらに充実、拡充ということでしたわけでございます。  そういうことで対策を講じておりますけれども、いずれにいたしましても、平成四年度につきましても政府予算案におきまして国内対策に万全を期するということで、牛肉等関税収入見込み額、私ども一千六億というふうに見込んでおりますけれども、この見合いの肉用子牛等対策費を計上したところでございますし、今後とも牛肉輸入動向価格動向を見守りながら、適切に対応していきたいと思っております。
  13. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 今お話ありましたように、牛肉輸入自由化影響というものが大変な広がりを見せておりまして、当初予想されていた以上に特に酪農家経営を圧迫していることは事実でございます。ぜひ対策をさらに充実していただきたいと思いますし、そのことに関してまた後ほど御説明をお願いしたいと思っております。  また、これは予想どおりでありますが、牛肉の中でも黒もの和牛などの高級な肉の専用種と乳用種との、ある意味での二極分化というものが顕著に進んできていると思います。例えば、バイオでホルスタインの雌に対して黒毛を二頭双子で産ませるような受精卵移植の技術が開発されているように伺ってはおりますが、大変にこれもコストがかかるというふうに伺っております。このような技術を、それこそ周辺の地域まで徹底して普及させることも、さらに大切になってくるのではないかと思っております。  さてそれでは、乳価の決定に当たっての基本的な考え方を伺わせていただきたいと思いますが、加工原料乳の保証価格は、昭和六十一年以降、一年横ばいのときがありましたが毎年引き下げられておりまして、六年間で一四・八%と大変に下がってきておるわけであります。さらに、牛肉の今申しました輸入自由化影響で、ぬれ子の価格が急降下しております。それによって酪農経営が大変に悪化し、経営意欲がまことに減退、低下をしておると言わざるを得ません。平成四年度は何としても酪農経営者の経営意欲を向上させ、健全経営に導いていくために、まずは乳価の引き上げをお願いしなければならないし、それと同時に、所得確保の各般の対策が同時に必要に迫られていると私は考えております。  まずは、乳価の算定に当たりまして、できれば次の事柄をぜひ御考察していただきたい。  その一つは、酪農家努力をして、例えば生産性を向上させる。そういった生産性の向上分をすべて価格に吸収してしまうのではなくて、酪農家の方にも十分に還元を図っていただきたい。例えば、今では、特に北海道では年間七トンも生産する一頭当たりの乳量の増加分、そういったものを還元していただきたいこと。あるいは、家族労働時間の短縮分をぜひ還元をしていただきたい。そういう問題が一つ。  それから、乳牛の償却費にどうも現実的ではない耐用年数が使われているようだという話があります。採用の耐用年数と現実の耐用年数の間ではどうも二年くらいの開きがあるという主張がなされております。この辺の問題も真剣に修正をしていただけますまいか。  同様に、先ほどから議論しております副産物の子牛価格は実態に即して適正な算定をぜひしていただきたい、相当な暴落分を考慮に入れて直近までの価格で算定をしていただきたい、このように述べさせていただきながら、政府の基本的な方針をお述べいただければと存じます。政務次官、よろしくお願いします。
  14. 二田孝治

    ○二田政府委員 鳩山先生の御質問にお答えいたしたいと思います。  平成四年度の加工原料乳の保証価格につきましては、先生御案内のとおり、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法、いわゆる不足払い法に基づいて、生乳生産条件や需給事情その他の経済事情を考慮して、加工原料乳地域生乳の再生産を確保することを旨として決めることにしております。  加工原料乳地帯でありますところの北海道の最近の酪農事情を見ますと、ぬれ子等の販売価格が低落しております。しかし、一方で生乳生産が着実に増加する等の状況にあります。  いずれにいたしましても、このような点に十分留意しながら、畜産振興審議会の意見を聞いて三月末までに適正に決定してまいりたい、こう思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
  15. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 政務次官よろしく、適正にお決めいただきたいと存じます。  さて、こういう議論をさせていただいておる中でしばしば耳にする話は、例えば米麦価を決めるときとか、あるいは乳価を決めさせていただくようなときに、ガットウルグアイ・ラウンドで今農業交渉をやっておるのだ、この削減に向けていろいろと議論をしている真っ最中に価格の引き上げなどという議論ができるはずないじゃないか、そんな話をしばしば耳にいたします。しかし、そうでしょうか。現実を考えてください。特に一九八九年と一九九一年、この二年間の比較をさせていただいても、農業予算は日本は頑張って削減をさせていただいている、九六%。ところが、アメリカはどうでしょうか。一五%も伸びておりますし、ECに至っては二八%も伸びている。これが現実であります。その中で価格あるいは所得の支持費、特に厳しい部分でありますが、そこは日本は七三%まで抑えている。アメリカも九六%。E Cに至っては二六%も伸ばしているわけであります。特にECに至りましては、輸出補助金をこの二年間でほぼ五%も伸ばしているのが現実であります。  このように、交渉が行われている最中でも、アメリカ、特にECなどは他国に遠慮する必要なく、勝手に農業予算あるいは価格所得支持費を上げているのが現実であります。これがある意味での国の主権ではないかと私は思っているわけでありまして、自国の農業の指導をまず最優先にしていただく、他国に遠慮して小さく身をかがめる必要というのは何もないと私は思っておりますが、御見解があればお聞かせいただきたい。
  16. 白井英男

    白井(英)政府委員 保証乳価等の畜産物の価格問題につきましては、私ども法律制度に基づきまして、その中で、先ほど政務次官の答弁にもございましたように、保証乳価の場合ですと、生乳生産条件、需給事情その他の経済事情を考慮し、加工原料乳地域生乳の再生産を確保するという、この法律の趣旨にのっとりまして適正に決めてまいりたいということでございます。
  17. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 わかりました。  それでは、今後の酪農振興の基本的な方向に関してお伺いをしたいと思います。  先ほどから議論しておりますように、牛肉輸入自由化が行われてチルド牛肉輸入がふえてきた、それによって乳用牛、特に枝肉価格が相当下がり、乳牛価格が大幅に下落したということでございまして、特にぬれ子、初生積などは六十三年と平成四年の間で六二%も減ってしまっている、ほぼ三分の一の値段になったということであります。こうなってしまうと、当然、今まで期待していた副産物としての酪農家の収入が大幅に城となるわけでありまして、このデータによりますと、平成二年は副産物収入二百八十八万円だった、それが平成三年になっては百九十万円に下がっている、さらにこの傾向は拍車がかかってくるのではないかと思われています。一年間でほぼ百万円下がっているわけであります。皆さん方の収入が一年間で百万円も変わることがあるだろうか。当然、これが酪農家の経済を大きく圧迫しておるわけでありまして、これは道内百三十戸の平均のデータでありますから全国の平均とは必ずしも一致しないかもしれませんが、農業所得は二年間で二百九十四万円減だというデータとなっております。  当然、この副産物の収入が減ったということは、乳価算定に当たっては、第二次生産費が全国でも九%増、あるいは北海道では八・五%増だという話で乳価の引き上げの要因になろうかと思いますけれども、しかし、さらに大切なことは、これからいわゆる副産物の収入で私どもが酪農家経営を見込もうと思っても、この見込みは成り立たないであろうということであります。すなわち、副産物の収入というものを当てにしない酪農経営のあり方を本来考えていかなければならないのではないだろうか。すなわち、新しい酪農振興の必要性を今感ぜざるを得ないわけでありますが、酪農振興に臨む基本姿勢をぜひお伺いしたいと思います。
  18. 二田孝治

    ○二田政府委員 最近の酪農情勢につきましては、鳩山先生がおっしゃいますとおり、生乳生産は増加しているわけでありますけれども、ぬれ子等の販売価格が大変下がっているというようなことは確かなことでございます。御指摘のとおりでございます。  こんなような中で、酪農振興のためには、乳量や乳質の向上等生産性の向上に従来よりなお一層努めてまいる対策を講じていかなければならないと思います。それから、経営の安定を図るための乳肉複合経営の育成もまた大事なことではないか。三つ目は、担い手の確保をねらいとした酪農ヘルパー等の組織の育成。これも、現今ではぬれ子をすぐ販売するような情勢になっております。ですから、保証価格までにいかないというようなことも一つの原因になってくるのではないか、そういった対策をどうしていくのかということもあるのではないか。それから四つ目には、金融政策の面をどうしていくのか。経営不振のため借入金の償還が困難となっておる経営者がおります。そして、こういうような経営に対しましては長期低利の資金を融通する等の措置も必要だろう。これらの各般の対策を今講じているところでございます。  農水省といたしましては、酪農は重要な食糧である牛乳・乳製品の供給源であります。また、我が国土地利用型農業の基軸として位置づけられるものではないのか、そのような観点から、その振興には最大限努力をいたしてまいる所存でございますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
  19. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 二田政務次官、ありがとうございました。  政務次官のお話の中に、乳肉複合経営、また長期低利というありがたいお話がありましたが、金融政策、そのようなものは本当に大事な政策だと思いますので、今後とも拡充していただきたいと思います。  さて、その二つをもう少し伺いたいと思っておるのでありますが、不思議なことがございまして、いわゆる初生牛、生まれてから十日足らずの牡犢でありますか、この値段は平成四年の二月では、このデータによりますと四万六千二百七十三円、四カ月これを肥育いたしますと、保証基準価格というものがありますから乳用子牛価格は最低でも十六万五千円という話になります。四カ月間で、農水省のお話では九万円くらいのコストがかかる。であるならば、なぜ初生牛の段階で酪農家の方は売ってしまわれるんだろうか。まさに乳肉複合経営のいわれだと思いますが、それを酪農家は少なくとも四カ月の間肥育されたらいいじゃないか、そうすれば十六万五千円だから、コストを考えてもこの方が得をするに決まっている。ところがこれがなかなかできない。それはなぜだろうか。いろいろと議論を聞かせていただいておる中で、どうもノウハウというものがまず基本的に違うんだというお話も伺いましたし、スペースがないという話もありましたし、時間もないという話もあった。こんな中で、乳肉複合経営というものを育成を図らなきゃならないということは確かに我々理解しておりますが、その育成を図るためには相当の努力をしていただかなければ普及はしていかないのではないかというふうに私ども感じているところであります。  あわせて、この負債対策のお話、大変ありがたい長期低利の金融政策のお話をいただいたわけでありますが、先ほども申しましたように、北海道の百三十戸の酪農家の平均で見ると二年間で約三百万円の農業所得が減っているわけでありますから、それに伴って借入金の残高も二年間で百八十八万円、ほぼ二百万円近くも増加してしまっている。いわゆるやる気のある大規模な酪農家ほど借金地獄になり経営意欲を失ってしまっているのが現実の姿ではないかと思います。当然のことながら乳価乳価としてきちんと措置をしていただきたいと思いますが、それと同時に金融政策、特に今二田政務次官がおっしゃったような長期的な展望が見える形での金融政策というものを十分に施していただきたいと思います。  以上、この二点に関して政府の御見解、そして対策をお伺いしたいと存じます。
  20. 白井英男

    白井(英)政府委員 お答えいたします。  最初乳肉複合経営の方でございますけれども、ぬれ子の価格、お話しのように六十二年以降かつてない高水準できたのでございますけれども平成二年度にピークになりまして、私どもの得ております数字では、ことしの二月では四万九千円程度、若干回復をしているというようなことでございます。しかしながら、こういうことで価格低下いたしましたので酪農経営大変影響を及ぼしているということでございますので、私どもといたしましては乳肉複合経営、技術的にも難しい問題はいろいろあろうかと思いますけれども、これに取り組んで付加価値を高めていくことによって所得を得ていくということが近道であろうということで、これを推進しているわけでございます。  この乳肉複合経営でございますけれども、これにつきましては、四カ月ほど哺育、育成いたしますと付加価値が向上いたしまして、それと同時に今お話しになりましたような子牛不足払いのお金ももらえるということになるわけでございます。それから肉質といたしましても、例えば乳廃でございますけれども、これを肥育しないで出荷をするというようなことになりますと、そのランクとしては一番低い、ひき肉用のいわゆるC1というランクになるんですが、これを一定期間、三カ月以上ほど肥育いたしますと、C2とさらにそれ以上にランクが改善されるというようなこともございますので、そういうことで乳肉複合経営を私ども推進しているところでございます。  平成二年度にもこれらの措置を講じてきたのでございますけれども平成三年度からは、さらに奨励金の単価を引き上げるとか、新たにぬれ子をおおむね一カ月哺育いたしましてもこれに対して奨励金を出すとかいうことで拡充強化をしてまいっております。現実に私どものこの事業の対象になりました頭数でございますが、平成二年度では七万二千頭ほどでしたけれども平成三年度では、今まだ最終的な実績に上がっておりませんけれども、十四万頭ほどということで倍増しているというような状況でございまして、成果が上がってきているのではないかというふうに考えております。  それから、金融対策の方でございますけれども、金融対策の方につきましても、酪農を急速に規模拡大をいたしますとどうしても固定化負債が残るというような問題がございまして、それらに対しまして私どもとしても従来からいろいろ対策を講じてきているところでございます。一つには、各種の制度資金の貸し付け条件の緩和というようなこととか、あるいは自作農維持資金の中に再建整備資金というのがございますので、この融通措置を講ずるというようなことをやっております。  さらに、酪農経営に対する特別対策といたしまして、昭和五十六年から六十年までの五年間におきまして、酪農経営負債整理資金の融通ということで五百九十七億円を融通しております。さらには、六十三年度からは、借入金の借りかえ資金を低利で融資するということで大家畜経営体質強化資金、これを創設いたしまして、これは平成四年度までにやるという計画で今実施をしているところでございます。あわせまして、個別経営ごとに経営、財務管理及び技術指導、これを的確に行うということでの技術指導を実施しているところでございます。さらには、これまた畜産に限定されたものではないんでございますけれども平成元年の二月から、制度資金の償還の円滑化を図るということで、公庫資金の自作農維持資金の中に償還円滑化資金、私どもリリーフ資金と呼んでおりますが、これを創設して対応しているところでございます。
  21. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 大分御努力していただいているとは思いますが、なお一層の御努力をお願いしないとならないと思います。  データを見せていただくと、酪農家の戸数というのは、いろいろな対策をやっていただいておるにもかかわらず大幅に減っておるわけでございまして、昭和五十五年全国で十一万五千戸の酪農家が、平成三年では六万に減っているわけでございます。年率とすれば五%を超えて減少しているわけであります。御承知のとおり競争社会でありますからすべてが生き残る政策というものを選ぶのは適当であるかどうかわかりませんが、毎年五%以上一つの産業が減少しているということは、これはある意味自由競争の枠を超えた何か原因が存在していると考えていくべきでありましょう。  その中で、皆さん方が一番力を入れていただきたいのは、今後ともやる気があって、特に若くて、酪農経営を支えていきたいという方々、そういう後継者をきちっと育成していただくということであります。また、新規に就農したいという方々の道というものをきちっと開いていただくというようなことでありますが、時間の関係もございますので簡単に御答弁いただければと存じます。
  22. 白井英男

    白井(英)政府委員 答弁させていただきます。  先生お話しのとおり、離農といいますか、畜産農家の減少が続いておりまして、私どもいろいろな理由があるのでございますが、その中の一つには高齢化であるとか、後継者不足というようなことがあるわけでございます。私どもとしましては、若い有能な人、こういう人たちを後継者としてぜひとも確保したいということで、したがいまして若い人たちが希望を持って畜産経営に取り組めるような条件整備を図ってまいりたいということを考えております。そういう観点で、私どもとしていろいろ対策を打ち出しているところでございます。  一つには技術習得等のための研修教育の促進、それから離農しました農場の円滑な継承のための負担軽減、あるいは後継者育成資金の貸し付けとか酪農ヘルパーの育成というようなことをやっておりますが、さらに平成四年度からは新たに酪農というか畜産の特性に着目いたしました担い手対策、これはソフト中心でございますけれども、それらを新たに打ち出したいと思っております。それから農業改良資金を拡充強化いたしまして、一つには農外からの新規就農者も借りられるというような道を開きたいと思っておりますし、それから貸付限度額も引き上げる等々制度の充実を図って、後継者の確保を図ってまいりたいと思っております。
  23. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 続いてお伺いしたいと思うのですが、私が北海道に移り住みまして八年になりますが、その八年の間で、例えばチーズにしてもアイスクリームにしても、味が格段に進歩してきているということは、これは事実だと思います。  ただ、御承知のように、このような品質の向上を図るためにはいろいろな努力があったと思いますし、消費者のニーズとか技術の向上等々あったと思います。その中で、乳質自身が向上したということも忘れられないことでありますが、当然このためには経費負担が向上してきておるわけでもございます。このような消費者ニーズの高度化や多様化に対応した高品質な乳製品を今後とも提供していくためには、乳質の向上を図る対策というものをぜひ強化をしていただきたいと思います。御見解があれば、お聞かせください。
  24. 白井英男

    白井(英)政府委員 お答えいたします。  お話のように我が国酪農が生き延びていく対策といたしましては、一つはコストを下げていくということが大事な点でございますが、もう一つは品質面での、いわゆる消費者ニーズの多様化、高度化に対応した生鮮かつ安全な国産生乳、これを使用しまして、海外の産品と違う差別された産品といいますか、そういうものを生み出していくということもまた大事な点であろうというふうに考えております。  そういう観点から、従来から酪農家に対しましての飼養管理技術とか生乳の品質保持技術の指導ということをやっておるわけでございます。それから、乳質検査機器の導入あるいは優良な乳用牛の導入というようなことによりまして高品質な生乳生産体制を整備するということとあわせまして、高品質な生乳を使用した乳製品の開発促進というようなことをやっておりまして、そういうことによって生乳の需要の拡大に努めてきているところでございます。  今後ともそういう方向で、私ども努力をしてまいりたいと思っております。
  25. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 時間がそろそろ迫ってまいりましたので、実は限度数量のお話も伺いたいと思いましたが割愛させていただきますが、ぜひ拡大の方向で図っていただければと存じます。  基本的なお話でありますが、今度は牛肉の安定価格または肉用子牛価格の算定に関しましてお考えを聞きたいと思います。  まず牛肉の安定価格の考え方でございますが、牛肉の省令規格の卸売価格というものはおおむね安定価格帯の中にいるというふうに伺っておりますが、これも御承知のとおり、和牛去勢と乳用去勢との格差は開く一方のように見受けられます。特に乳雄B2などはキロ八百円を割っている現状でございます。このような折にどのように牛肉の安定価格を決めていかれるのか、基本的な考えをお伺いしたいと思います。  また、肉用子牛価格の保証基準価格というものは、当然のことでありますが、肉用子牛の再生産経営の安定が図られていかれますように適正に決定していただきたいと思いますが、基本的な考え方、政務次官、御答弁いただければと存じます。
  26. 二田孝治

    ○二田政府委員 牛肉の安定価格と肉用子牛価格の算定につきましては、鳩山先生既に御案内のとおり、畜産物の価格安定等に関する法律等の規定に基づき、それぞれ決定されるわけでございます。需給事情その他の経済状況を考慮して、その再生産を確保するということを旨として定めることとされておるわけでございますけれども、明日開催されますところの畜産振興審議会の意見を聞いた上で決定することになっておりますので、そのようにしてまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
  27. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 酪農、畜産に関してあと一つ伺いたいことがあります。  つい先日もテレビで拝見したわけでありますが、アメリカ産の和牛というものが結構利用されているというふうに伺っております。その利用実態はどのような程度のものであるか、お教えをいただきたいと思います。また、それに対する国内での対策というもりをなされておられるのか、伺いたいと存じます。
  28. 白井英男

    白井(英)政府委員 お答えいたします。  先日テレビで出ましたのは、四頭ほどの和牛の雄牛ですね、これが昭和五十年代初頭にアメリカ輸入されまして、これがアンガス種等の雌牛と数代にわたりまして交配して和牛に近いものを作出したということで、アメリカでは和牛と称しまして出されているということでございます。アメリカにおいては、やはり肉質改善というようなことで、この交雑種に対して大変関心が高まっているということのようでございますが、ただ、この牛を利用されまして生産される子牛というのは、言ってみれば雑種Eでございます。  それから、アメリカ日本に比べまして一般に肥育期間が短いということもございますし、それから飼い方が日本みたいに一頭一頭というようなことでなくて、群れ飼いといいますか、そういうような飼い方であるということでございますので、アメリカにおいて日本と同じような、和牛と同じような肉質の牛肉を安定的に生産するというのは難しいのではないかというふうに私ども考えております。
  29. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 最後に、実は私は北海道の日高というところを選挙区に持っておるわけでございますが、牛とは離れて馬の話をぜひさせていただきたいと思います。  今出ておる話が外国産馬の出走制限緩和の問題でございまして、五カ年計画というものをJRA、中央競馬会が提案をしたわけでございます。私もつい四日前に日高に帰りまして、生産者の生の声を聞いてまいりました。御承知かどうかわかりませんが、日高管内におきましては農業生産額の六割を軽種馬産業が占めておるわけでございまして、これはまさに日高の一番大きな産業であることは事実でございます。この中央競馬会の提案しております五カ年計画どおりに外国産馬が出走制限を緩和されていく場合には、特に生産者は壊滅的な打撃を受けると思っております。残念ながら内国産馬と外国産馬の格差というものが歴然と存在している中で、五年間という、いわば生産者にとっては種つけから、そして馬が走るまで、そのワンサイクルの極めて短い期間に、例えば未出走馬の外国産馬が、出走枠を三五%から六五%に広げる、また出走経験のある外国産馬については、今はジャパンカップ、富士ステークスなど二レースであるのですが、それが十七レースまで五年間の間にもし開放されていくことになるとすれば、これは日高の軽種馬生産者が大変に厳しい状況に陥ることは、私は事実だと思っております。そしてそれだけでなく、日高経済全体が大変に危機的な状況になっていくのではないかと言わざるを得ないわけでございます。  国際化というのは、いわば流れでありましょう。世界の潮流だとは思いますが、せめて強い馬づくりというものを、特に日本の中心で、日高で頑張っておるその生産者の方々が努力をして、競争力または経済力というものがついてからにしていただきたい、彼らもそう期待をしておるわけでありますが、この問題に対する農水省の基本的なスタンスをお聞かせいただきたい。  そして同時に、JRA側は私どもに対して、あくまで生産者との合意がなされなければ勝手に行動することはないというふうには言ってくださっております。これは大変にありがたいことだと思いますが、同様にシミュレーションも、いわゆる影響がどのくらい深刻であるかということも一年ぐらいかけて行うシミュレーションをしてくれるという話もいただいておるのです。一方では、しかし生産者側は生き死にの問題でありますから、計画の白紙撤回を今でも主張しているわけであります。むしろこれは、事が大きくなっていきますと、海外から無益な圧力というものが強まっていく懸念すらあります。  農水省として、ぜひこの問題に対して真剣に考えていただいて、むしろ政府間の大きなマターにならないように、柔軟な態度でJRA側と生産者側が話し合えるような土壌づくりというものに協力をしていただきたいと思いますが、御見解をいただければと存じます。
  30. 白井英男

    白井(英)政府委員 お答えいたします。  いわゆる中央競馬会が、外国産馬と内国産馬一諸に競走できるようにする混合競走ですけれども、これは今まで二十年間ほど関係者の理解を得ながら進めてまいりました。段階的な制限緩和をやってきたわけでございますけれども、今回中央競馬会が五カ年計画というようなことで出しましたのは、世界的な潮流となっております競馬の国際化、特にアメリカ等から制限撤廃の要求が来ているというようなこともございます。それから、生産者の側といたしましては、毎年毎年徐々にというようなことじゃなくて、少し長期的な計画を示してほしいという要望もあったというふうに聞いております。  そういう中でまた出されたわけでございますけれども、農林水産省といたしましては、内国産馬中心の競馬というのは、これはやはり今後も堅持していく必要があるというふうに思っておりますが、その際に、国際化にどう対応していくかということは大事な話ですので、関係者が十分協議をしていただきたいと思っておるところでございます。  実は、この十八日にも、私どものところに関係者の方々と北海道農協中央会の会長さんがお見えになりまして、いろいろお話をお聞きいたしました。私どもとしては、早いところ成案を得るというのが大事だと思いますけれども、いずれにしても、関係者の皆さんがきちんと合意できるということが大事だと思いますので、必要があれば私どももその中に入りまして、話がうまく進むようにしていきたいというふうに思っております。
  31. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 ぜひよろしくお願いいたします。  終わります。どうもありがとうございました。
  32. 高村正彦

    高村委員長 鉢呂吉雄君。
  33. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 私ごとでありますけれども、私は先般一月に、我が党の影の内閣の農林政務次官を拝命いたしました。私ども、もう一つ政策をきちんと政府に提示をして、例えば霞が関農政ではなくて、あぜ道の、そしてまた牛舎のにおいがわかる農政の政策を提示するということを基本原則としてやっていきたいというふうに考えておりまして、きょうは二田政務次官が答弁席におりますから、私ども酪農、畜産の政策を提示をしながら政府見解をお伺いしていきたい。     〔委員長退席、金子(徳)委員長代理着席〕  私ども酪農、畜産の政策についても、この間、三月だけでも、影の内閣として北海道に村沢大臣と私も行きましたけれども、現地農家を訪問し、その実態を聞かせていただきました。また、北海道知事初め、北海道農協中央会あるいはまたそれぞれの農業団体、北海道農民連盟の皆さん、あるいはその五百名規模の集会にも参加させていただきましたし、先般は長野県で一日農水省を開催し、田邊委員長を先頭にして、この集会でも酪農家の意見を直接聞かせていただきました。そしてまた先般は、岩手県の北上広域農業開発事業、これは酪農、畜産を政府主導で十九戸が新たに入植をしたという地帯にも行きまして、県庁の皆さんの声あるいはまた酪農畜産家の声を直接聞かせていただきました。そういった観点で、牛舎のにおいがわかる観点から皆さんにも御質問していきたいというふうに考えます。  そこで、まず一点目でありますけれども、きのう、きょうのテレビ、新聞等でも、アメリカのブッシュ大統領とドイツのコールの会談で、このガット農業交渉についても四月末には妥結をしたいという強い表明もされたというふうに聞いております。あるいはまたアメリカEC等の首脳会談、あるいはまたOECDの会談も近く行われるということであります。三月上旬前後のガット交渉が来年にも持ち越すだろうというような非常に悲観的な見通しから、一転急速な進展も予想されるところでありますけれども、しかしながら、日本の立場が一向に見えてこない。これは日本の外交が常にそう言われておるのですけれども、今度の場合も、第四トラック、いわゆる修正項目をこれからやるというようなことも言われておりますけれども、しかし、もう修正項目の審議に入らないというようなことも言われておるわけでありまして、まさに日本の今交渉に臨む態度は、あらしの過ぎ去るのを待っておる、言ってみれば、このアメリカEC交渉決裂を待っておる、犯人捜しというのを避ける、そういう消極的な態度に見られるわけでありまして、特に今、政務次官に基本的な考えをお聞きしたいのでありますけれども日本として、現状を見通して、このガット農業交渉に臨む基本的な戦略、先ほど鳩山委員からもありました。中身の子細については必要ないわけでありますけれども、基本的な考え、どのような戦略で臨むのか。  私は、先般のこの委員会でも農水大臣に、直接アメリカECに行って積極的に首脳会談をしなければ日本の立場は決して打開できないと申し上げ、加藤官房長官にも申し上げました。それは、単に二国間協議に矮小化することではなくて、積極的に日本の立場を表明する、そういう段階に来ておるというふうに強く申し上げたわけでありますけれども、OECDの会談にも甕顧問を派遣するというような事務レベルの問題に終始しておる。私は、国会があるというのであれば、政務次官が直接諸外国に出向くのが今求められている緊急の課題であるというふうに思いますけれども、その点についての御答弁をお願いしたいというふうに思います。
  34. 二田孝治

    ○二田政府委員 鉢呂委員の御質問にお答えいたします。  先ほどからのお話のとおり、大変影の内閣の政務次官といたしまして精力的に活動されておりますことに敬意を申し上げる次第でございます。影と表と手を携えながら、日本農業のために一生懸命頑張りたいと思いますので、まずよろしくお願い申し上げたいと思います。  ウルグアイ・ラウンドのお尋ねでございますけれども我が国は、既に御案内のとおり、三月四日にガット事務局農業に関する国別約束表提出いたしました。この内容は、包括的関税化の考え方は受け入れられないというこれまでの基本方針を貫いているものだ、こう私は解釈いたしております。そして、ダンケル合意案の農業部分についての修正の考えを示して提出されたものでございます。  それから、米国・EC間におきましては、ウルグアイ・ラウンドについていろいろのレベルで協議が行われておりますことは既に御案内のとおりでございます。つい昨日もブッシュ大統領とコール・ドイツ首相との間で会談が行われたところでございます。私もけさの新聞、きのうの新聞でその内容等は承知いたしておるわけでございますけれども、実際は大きな進展はなかったのではないかというふうな情報を得ております。  農業交渉につきましては、各国ともいろいろな困難な問題を抱えておることは御案内のとおりでございます。それゆえにまた、この農業交渉部分になかなかこのウルグアイというものがまとまりがつかない、こういうことではないかと思います。こういう事態でございますので、今後の交渉の成り行きはまだまだ不透明な状況にあるのではないかというふうに考えております。  いずれにいたしましても、我が国としてはどうしてもやはりアメリカEC間の協議の成り行きをよく見守りながら、これまでの基本方針のもとに、我が国、食糧輸入国でございますので、その立場が確保されるよう最大限努力を傾注してまいる考えでございますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  また、私に行ったらどうかというお話でございますけれども、行けと言えばいつでも参りますから、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。以上でございます。    〔金子(徳)委員長代理退席、委員長着席〕
  35. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 状況報告についてはそのとおりだと思います。問題は、日本がどのようにかかわって、積極的に日本の立場を認めさせる、そういう働きかけをするかということでありますけれども、最大の努力をしていくというだけでは甚だ乏しいわけでありまして、行けと言われてということではだめだ、むしろ陰の政務次官も一緒に行こうということで働きかけるぐらいの強い姿勢がなければ、私はこのガットの協議の場において日本の立場を積極的に認めさせるという状況にはなっていかないというふうに、大変重大に思っておるわけでありますから、そういう視点をぜひ政府部内で協議をしていただきたい。むしろ、宮澤総理あたりが積極的に海外に行って日本の安全保障論なり十一条二項の明確化を働きかけるということが必要になっておるというふうに思うわけであります。  そこで中身の話に行きますけれども、実は三月四日に日本が合意案に基づく国別表を出したということであります。その中身については公表されておりません。そこで、今回の乳製品の問題とも関連するわけでありますけれども国内支持削減の問題であります。  従来といいますか、ダンケル合意案においてもAMS、いわゆる支持、保護の総合的な計量手段によって、生産者補助相当額、PSEによって測定する尺度によって行うというふうなことがダンケル合意案にも言われております。それは三つありまして、一つは内外価格差掛ける生産量ではかった市場価格支持を削減していく。二つ目は不足払い、奨励金等の農家への直接支払い、これが二つ目であります。三つ目は、利子補給等の一般補助金であるというこの三つを減らしていくということでありますけれども日本の約束表の提出に当たって、このダンケル案を基本的に踏襲して提出をしたのかどうか、お聞きをしたいのであります。
  36. 川合淳二

    川合政府委員 今お話ございましたように、国内支持部分国別表でございますけれども、ダンケル合意案は、お話もございましたように、原則としてAMSを用いる。削減対象政策を産品ごとに計測いたしまして、六年間で二〇%ということになっております。削減の対象政策といたしましては、今触れられましたように、市場価格支持と不足払い等の直接払い。特に市場価格につきましては、ダンケルペーパーは、市場価格の総額の計算の場合に行政価格と国際価格の差に対象数量を乗ずる、こういう計算をしております。  それと、今三番目にお触れになりました一般政策でございます。私どもといたしましては、この国別表の作成に当たりまして、御承知のように三番目の一般政策につきましては、私ども主張がございます。青の政策あるいは緑と言っておりますが、緑の政策につきましては、私ども主張に基づきましてこの国別表を作成いたしております。  ダンケルの合意案につきましては、今申しました行政価格という表現になっておりますが、これにつきましては必ずしも明確でないところがございます。そういうこともございまして、我が国の従来の主張に基づきましてこの辺を提出いたしておりまして、そういう意味では、ダンケルの合意案そのままで出したということではございません。
  37. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 ところで、国内支持政策削減ということ自体の問題について私は触れたいと思います。  いわゆるガット農業交渉については、各国の貿易の歪曲したものを取り除こうというのがそもそもの発端であります。したがいまして、例えば日本の米ですとかあるいは十一条二項(c)にかかわる部分のものについては、さまざまな安全保障論あるいは地域性、生産調整をしておるというようなことで、関税の例外事項にしていこうというのが日本の基本的な考え方であります。したがって、このような例外事項については、そもそも輸出入の貿易は存しないか、あるいはまた、非常に比重が小さいわけでありますから、したがって、これらの産品に伴う国内支持政策についても、私は、今度のガット削減の対象外である。例えば米が国境措置から外れるということは、米の輸入ということはあり得ないわけでありますから、そういった観点から国内支持政策をどうしようかということは国内事情によるわけでありますから、いわゆる各国がこれを二〇%削減するなんということがそもそも出ないことになります。したがって、それは国内支持政策削減の対象外である、乳製品、脱粉あるいは米については対象外であるというふうに私は思うわけでありますけれども、政務次官、その点の基本的な考え方についてどうでありましょうか。
  38. 川合淳二

    川合政府委員 今までの農業交渉の流れから申しますと、貿易歪曲的な保護、支持につきまして、それの削減を図るという中間合意がございます。そうした中間合意の中から国内支持それから国境措置輸出補助金、この三つの分野でそれぞれの約束をしようというのがダンケル案でございます。  私どもは、先ほど来申しておりますように、我が国基本的方針に基づきましてこの国別表提出しているわけでございまして、国内支持の分野におきましても、小麦、大麦、米を一つのセクターといたしまして国内支持について措置を約束をするという考え方に立っておりまして、それはまさに我が国基本的方針に基づく、従来の方針に基づく対応でございます。  また同時に、我が国は一九八六年、この交渉が始まって以来種々の努力をいたしまして、自主的に国内政策の効率化を図ってきているわけでございますので、そうした点につきましても、我が国の従来の立場に立ちまして各国の理解を求め、かつ主張していくという方針のもとにこの国別表をつくっているところでございます。
  39. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 明快な答弁がないのでありますけれども、先ほどのような私の考え方もあるということで御検討願いたいと思います。  そこで、平成四年度の加工原料乳の補給金、あるいはまた肉用牛の、肉用子牛不足払いについて、これは先ほど言われましたガット国内支持削減のオファーを出しておりますけれども、この削減が今回の乳価の算定の枠組みの中に、制限をされるのかどうか、審議官からお聞かせを願いたいと思います。
  40. 白井英男

    白井(英)政府委員 お答えいたします。  いわゆる国内支持削減の問題でございますけれども、これにつきましては、先ほど経済局長からもお話ございましたように、今、具体的に交渉をこれから始めるという段階でございまして、具体的に数字を申し上げる段階ではないわけでございますけれども、私どもとしましては、これは国際的な農業保護の削減の動き、これを念頭に置いて、必要であるというふうに考えてやってきたものでございます。  なお、今回の保証価格等につきましてどうするかというお話でございますけれども、これは不足払い法に基づきまして、私ども生産調査を踏まえまして、種々の経済事情を考慮しながら決定していくということで考えておるところでございます。
  41. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 どうも不明確なんですけれども、種々の事情を勘案してという中にはガットのいわゆる削減というものが入るのかどうか、明確にしていただきたい。
  42. 白井英男

    白井(英)政府委員 国際的な動きというものは常に念頭に置いて、私ども対応していく必要があるというふうに考えております。不足払い法に「その他の経済事情」ということが書いてございますので、先ほどから申し上げておりますように、今まだ国内支持の二〇%削減につきましてはこれから交渉をするという段階でございます。そういう動きは念頭に置きながら対応していく必要があるということでございます。
  43. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 従来、保証価格の畜産審議会での諮問を見ますとこのようになっておると思いますけれども、このようになっておるかどうか、イエスかノーかで答えていただきたいのですけれども、保証乳価の算定に当たっては、統計情報部の生乳生産費、これは前年の七月から当年の六月による主要加工原料乳地帯、これは北海道になっておるのですけれども、そこにおける平均生産費について、直近三カ月、ですから十一月から一月の水準等で評価がえを行う。これは、労賃等の評価がえを直近の十一月から一月までの三カ月で評価がえをして推定平均生産値を求めて、さらに生産費以外のもの、いわゆる租税公課請負担あるいは集送乳経費あるいは販売手数料等のものを加算して算定する。この形で畜審に諮問をしておると思いますけれども、それで間違いありませんね。
  44. 白井英男

    白井(英)政府委員 平成三年度の保証乳価を決定しますときの算定説明資料の中に書いてございますが、先生今おっしゃったとおりでございます。
  45. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 そこで、国際的な問題ですとかその他経済事情ということを先ほど審議官もおっしゃいましたけれども、従来、私もずっと調べてみました。この畜審に諮問をする算定については、それらのいわゆる計数ではかられない部分については計上しておりません。これは巷間政治加算とかいうことは言われておりますけれども、これは定かでありませんで、計算上はきちっと明確に示されておりますから、いわゆる算定以外のもので枠をはめて、例えば国際的なものというようなことで枠をはめて算定に手を加えるということは一切あり得ないというふうに理解をしてよろしいですか。
  46. 白井英男

    白井(英)政府委員 算定の仕方につきましては、ここに書いてあるとおりでございます。ここに書いてあるとおりといいますのは、算定の説明資料の中に、今先生がおっしゃったとおりに書いてあるとおりでございます。算定の要素の中でどういうものをとるかということにつきましては、その他の経済事情、いろいろ考慮して判断をするということだと思います。
  47. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 それはおかしい話で、要素の中にそういう計数ではかられないものが入るということはあり得ない。そうすると、過去の乳価算定上でそういうことがありましたか。ないでしょう。この計算上、ずっと明確に出ています。ありますか、過去に。
  48. 白井英男

    白井(英)政府委員 過去の算定の中で需給事情がいろいろ変わって、例えば過剰基調なりあるいは不足事情なり、そういう事情によって、例えば、例えばですが、利子のとり方とかそういうのが変わるとか、利率を何を用いて計算するとか、そういうのがございまして、そういうのにつきましては、その他の経済事情といいますか周辺の経済事情、それらを十分に勘案して判断をするというふうなことにしております。
  49. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 例えばというようなことでなくて、きちんと明確にしてください。私はそういうふうに思っていません。過剰なときには、過剰な実態のときにはそういう利率を動かして算定したなどということは初めて聞きました。あくまでもこれは利率でありまして、きちっとした算定に基づいて行われておるのであります。どうですか、そういう政治的なものが加えられたのですか。
  50. 白井英男

    白井(英)政府委員 ですから、法律の中にも書いてございまして、「その他の経済事情」というのが書いてございますから、それらを踏まえて、それに基づきましてそれぞれ算定をいたしますときに、私どもとしましては考えを定めて畜産振興審議会にお諮りしまして判断をしているということでございます。
  51. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 それは重大ですよ。重大ですよ。算定のときにはそういうものは加味してませんよ。してたんですか、それは。その他の事情なんというものは算入しませんよ。計数で示されないようなものを算定の中に入れるなんということはあり得ないですよ。入れたんですか。入れたということは重大ですよ、これは。過剰なときにはそういう利率を動かしてどうしたとかということは重大ですよ。
  52. 白井英男

    白井(英)政府委員 現実に過去のいろいろな算定の考え方の中に、そのときの経済事情によりまして算定の要素のとり方につきまして変更を加えているということはあり得るわけでございます。
  53. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 そういうふうに言い切るのでありますと、私ははっきり言わしていただきますけれども、諮問についてはそういう算定について手を加えるということはあり得ないのです。ただ、審議会の答申において、そういう経済的な事情その他の事情を参酌して、これは妥当でおるとか引き上げるとかということの文章はついておりますけれども、算定の中においてそういうものがしんしゃくされて数字が変更になったということはあり得ないんじゃありませんか。
  54. 白井英男

    白井(英)政府委員 諮問はあくまでも価格について御判断をいただきたいということで諮問をするわけでございまして、私どもの算定資料ということで、説明資料ということで出しますのは諮問として出すのではなくて、あくまでも参考として考えを示すということでございます。
  55. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 それはおかしい。時間がないから、このままもっとこれきちっとしたいのですけれども、それは答弁になってないですよ。  委員長、どうですか。委員長、中断してください。打ち合わせしてきちっとした見解を述べてもらいたい。
  56. 白井英男

    白井(英)政府委員 言葉が不十分で申しわけございませんでした。  先ほど申しましたように、適正な保証価格を決めるということで諮問をお願いするわけでございますが、そのときに私どもとしてこういうふうに考えるということで数字を計算いたしまして、それでそれについての御意見を伺うということでございます。
  57. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 ですから、その算定を出すときに、その数字ではかられない部分、その他経済事情を織り込んでというふうに審議官は答弁されたのですけれども、そうするとそのとおりなんですね。
  58. 白井英男

    白井(英)政府委員 算定説明資料、算定の要素をとりますときに、過去におきましても、その他の経済事情といいますか、それを参酌しながら算定を考えていくということでございましたし、それは、その他の経済事情というのは、当然そこの中に含まれるというふうに考えております。
  59. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 どうも私は、そういう数字をきちっと見させてもらって、そうではない、あくまでもこの数字をはじき出して、それは期間のとり方はいろいろあっても、そんな、経済事情で参酌して過剰になったから利率を調整し、なんということはあり得ますか。そういうもので算定の価格を出しますか、諮問する価格を。  委員長、時間を経過してしまってだめですよ。私は、その経過を聞いているわけですから、何も判断を聞いているわけではないのですから、はっきりさせてください。
  60. 白井英男

    白井(英)政府委員 お答えいたします。  現実に需給事情なり金利の情勢によって、需給事情なりその他の経済事情によって、先ほど私は例示で申し上げましたけれども、金利のとり方につきまして算定の仕方を変えているというのはございます。
  61. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 そうであれば、まさにこの諮問の価格政治的にゆがめられるというふうに言わざるを得ないわけであります。そうすると、あの数字は何ですか。きちんとした数字から出された修正計数もあります。あるいは、金利についてはこういう計数値が出てきます。私は、そういうものであれば一過剰であるからということで変えるのであれば、それは算定の外である。それを明確にしてください。そうでなければ、あの数字はまやかしになってくるのですよ。
  62. 白井英男

    白井(英)政府委員 繰り返しの答弁になりますけれども、現実にそのときどきの情勢によりまして、算定の要素のとり方につきまして変更をしてきているという事実がございます。
  63. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 繰り返しになりますから、もうこれで次の方に移ります。  政務次官にお聞きしたいのですけれども、今言われたようなことで、諮問の算定価格に対して、例えば今回のものでありますと、北海道では生産費が対前年比八・五%増加になったわけです。これは農水省の皆さんは、ぬれ子については前年の乳価で算定をしておるというような言い方、あるいはこの生産資材、金利が下がっておるというようなことを言っておりますけれども、八・五%の大幅な生産費増を圧縮するものではないというふうに私、思っております。  しかし、一方では、国際的な情勢ということを先ほど審議官も言われました。このような国際的な状況なりがその算定の基礎の中に隠れて、数字をまやかすようなことがないように、あくまでも算定は算定で出す。しかしその後にこういう事情があるというようなことであれば、それはそのことをきちんと示すべきである。そうでなければ、算定自体が無意味なものになるではありませんか。どうですか、政務次官。
  64. 二田孝治

    ○二田政府委員 鉢呂議員の質問にお答えいたします。  先ほどから申し上げておりますとおり、これは審議会で法律によって決めるものでございますので、それに出す数字は、やはりいろいろな事情をしんしゃくしながら、参考資料としていろいろなものを添付してやるのではないかな、こう思うわけでございます。  でございますので、今お申しになりました今回の畜産物の価格についての諸指標、こういったものは適正に提出されてあるものであると私どもは考えております。  以上でございますので、審議会で適正な価格を決めていただくということを御期待を申し上げておる次第でございます。
  65. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 これは、諮問については参考資料を出すのではなくて、農水大臣が具体的にこの乳価ですと、何円何がし何銭で諮問をしますというふうに出すわけでありますから、決してこれは参考でも何でもなくて、政府としてきちんとした方針で出すわけでありますから。
  66. 二田孝治

    ○二田政府委員 先ほど申し上げましたとおり、答申についての数字というものはあくまでも厳正中立な、客観的な数字でございます。しかし、それに添付するところの諸先生たちの参考になるための参考資料につきましては、いろいろな社会事情それから国際情勢、そういったいろいろなものを添付するということを申し上げた次第でございます。
  67. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 それは、政務次官はまだあれであって、それは違いますよ。提示する算定価格自体のその基礎資料を出しているにすぎないのですよ。参考資料で何か情勢の概要を示しているわけではないのです。諮問自体、中身を見てください。いや、いいです、もうそんなことをやっていたら時間がなくなって。  皆さん、勉強してください、我々だって真剣にやっているわけですから。違いますよ。諮問自体の基礎をちゃんと出して提示しておるのですよ。何か、その他事情を加味して参考資料を別に出してなにしているわけではないのですよ。  時間がなくなりますから、私、ここでけんかしようと思って出てきたのではなくて、もっときちんとした対応をしてもらいたいということでやっておるわけです。  そこで、三月の十七日にことしの畜審における畜産局長の報告がされました。私どもに文書できよう配付されております。「最近における畜産の動向等について」ということでありますけれども、私は、その「概要」等について、政府の考えは酪農、畜産についてはまだ非常に楽観的だ、非常に安易な見方が随所に見られるわけであります。しかも同時に、それはただ単に楽観的であるというほかに、危機的な状況を見過ごしておる。政府のこの施策が根本的に誤りを犯す可能性が強いという視点で質問したいと思います。  時間がありませんので、こちらで中身を詳しく話します。  例えば、政府は、我が国の畜産は「着実な発展を遂げ」、そのように総括をしております。しかし、最近においては、畜産物の需要の伸びが総じて鈍化しており、生産動向によっては、いわゆる生産が過剰になった場合には、需給の不均衡、これは供給は多くなる、あるいは、価格の低迷を招来しやすくなっておるというふうに論じております。  しかし、この三、四年の経過は、総じて畜産物の実態は違います。これは説明しますけれども、例えば昭和六十年に対して平成二年のデータでありますけれども、まず、畜産物の需要の伸びです。これは消費量、量です。生乳については、これは飲用乳、乳製品生乳換算して一一〇%、二〇%の伸びをしております。食肉、これは牛肉から豚肉、馬肉、羊肉、さまざま加えても一一五、一五%の伸びをこの四年間でしております。鶏卵でさえも一一二%という一二%の伸びをしております。総じて需要は、金額は低迷しておりますけれども、量的には伸びておるのであります。  それから一方、局長報告では、国内生産が過剰化しやすいというふうに言っております。しかし、国内生産を見てみましても、六十年を一〇〇とした生産指数は、畜産総合で一〇三であります。たったの三しか伸びておりません。この中においても生乳が一一〇ということで、生乳については微増をしておりますけれども、しかし、これも需要に追いつかずという実態でありますし、例えば肉用牛についても九三、豚についても九八、採卵鶏についても一〇〇、ブロイラーについても九七ということであります。したがって、生産は総じて停滞をしておるのであります。  一方、輸入の実態であります。例えば国内需要に占める輸入率であります。生乳乳製品については六十年が一八%でした。それが平成三年度はもう三〇%に達する。量で見ましても六十年は百五十万トンであったのが今三百万トンになろうとしている、輸入量です。あるいは食肉についても、六十年は一九%の輸入率が今や三〇%になっております。これは牛肉、豚肉、家禽類も含めて、すべて大幅に倍増しておるのであります。例えば、牛肉についても二八%が四九%に、まさに半分が輸入量になってきておるのであります。  ですから、ここで述べておる原因と結果はむしろ逆でありまして、国内生産が伸びないその結果がこういう需給の逼迫、あるいはまた国内生産価格が低迷しておることが生産を伸び悩ませて、国内の総生産を停滞させて、結局はこの担い手もやめていくという実態になっておるのではないでしょうか。
  68. 白井英男

    白井(英)政府委員 お答えいたします。  我が国の食糧の消費でございますけれども、一人当たりの熱量の摂取、既に日本人の体位とか体格から見ましても満足する水準に達しておるということでございますので、品目間の増減の程度につきましては、従来に比べまして小さいものになっておるということは言えると思います。それから、人口の増加率も従来に比べて低下しているということでございますので、これまでの食生活の多様化等を背景としまして、従来は高い伸びを示してきました畜産物につきましても、需要の伸びは従来に比べまして低下をしてきていると言えるのではないかと思っております。  したがいまして、国内生産なり輸入動向、このいかんによりましては需給の不均衡を招く、あるいは価格の低迷を招くというおそれは従来にも増して高まっているというふうに思っておりまして、この認識は、昨年もそうでございますけれども、ことしも同じだと思っております。  具体的に品目で見ますと、食肉につきましては牛肉の需要は近来になく高く伸びておりますけれども、豚肉、鶏肉、鶏卵、この伸びにつきましては伸びの鈍化あるいは安定的に推移するというような形になってきております。牛肉以外の部門では、その性格からいいまして生産のサイクルが大変短いということや、あるいは増産が非常に容易であるということで、潜在的な生産能力というのが押しなべて需要を上回っているというふうに見ております。したがいまして、計画生産という形で今生産が行われているということでございます。したがいまして、牛肉以外の食肉、鶏卵部門につきましては、常に需給の不均衡なり価格の低迷を招来しやすいということだというふうに認識しております。  それから牛乳・乳製品でございますけれども、その需要は堅調に伸びてきております。五十五年から平成二年度で年率二・九%ということでございまして、これは五十年代前半はもっと高い、年率でいきますと五%というような高い伸びを示しておりますから、それに比べれば伸びとしては鈍化をしてきておるのではないかというふうに思っております。  それで、こういう中で生産者団体が生乳生産を増加するということで需給の不均衡それから価格の大幅な下落、これを防止する、それから酪農経営の安定ということで、昭和五十四年から計画生産ということを自主的にやってきているわけでございます。したがいまして、以上のような事情から、私どもとしましては生乳につきましても潜在的な生産力は需要を上回るというふうに考えておる次第でございます。
  69. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 そこが私どもと違う点でありまして、私どもはこの数年の酪農、畜産の状況は構造的に激変をしてきておるというふうに見ております。潜在的に過剰な、強い基盤にあるというふうな実態ではない。これは酪農についても言えます。  例えば酪農については、頭数についても伸び悩みをしておるのであります。これは閣議決定した長期計画の二百二十二万頭にも到達できないという実態、これは六十年が最高の頭数を占めておる。あるいは先ほど鳩山委員からもお話のありました酪農家の戸数が激減をしておるのであります。十年前の約半分に戸数が減っておる。しかも、北海道は伸びておるといいながら、内地府県においてはこれが停滞ないし低迷をしておるという状況であります。したがって、私は、生産価格がこの数年ずっと引き下げられた結果、むしろ酪農、畜産を担う生産基盤が脆弱化をして酪農家、畜産農家が離脱をしておる。そういうことでむしろ国内の総生産は今後伸び悩みの傾向を示しておる。このご土に対して国がいち早く政策の根本的な手を加えなければ、私は取り返しかつかないというふうに思うわけでありまして、局長報告では、これらの畜産物の安定供給と畜産経営の健全な発展は、生産性の向上など経営体質の強化だというふうに言っておりますけれども、私は生産性の向上だけでは、その追求だけではこの酪農、畜産の危機は突破できないというふうに思うのでありますけれども、農水省の基本的な考えを政務次官にお聞かせ願いたいと思います。
  70. 二田孝治

    ○二田政府委員 我が国酪農は、まだ歴史が浅うございます。そしてその浅い歴史の間に、長い酪農の歴史を有している西欧諸国に競争しながら比肩する規模に達する等、着実に発展してきているんじゃないかな、こう思われるわけでございます。  今後、国際化のもとで我が国酪農の発展と経営の安定を図るためには、まだまだ経営体質を強化して生産性の向上を図っていくことが大変大事であるということは、これはだれでもが認識していることじゃないかなと思います。  このためには、飼料基盤や技術水準、自己資金等の条件が整っている経営においては、安定的に規模拡大を行い、飼養管理体系の機械化や飼養管理の合理化等を図ることが有効じゃないかな、こう思われるわけでございます。  また一方、規模拡大の条件が十分でない経営もございます。そのような経営の中にあっては、その保有する施設や労働力等の有効利用によって、単位当たり乳量の増大や乳質の向上、地域ぐるみでの集団活動による低コスト生産の推進等、創意や工夫によって経営内容の充実に取り組む必要があると考えております。  酪農につきましては、今後とも我が国の土地利用型農業の基軸としての位置づけを明確にして、需要に見合った生乳の計画的な生産を行いつつ、長期的な観点から振興、合理化を図ってまいる考えでございます。
  71. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 言葉としては次官の言われたとおりなんですけれども、しかしそうはなっておらないのであります。この間の酪農の推移だけを見ても、規模拡大、これは着実に達成されておるという農水省のこの局長報告に見られるように、それによっておるのであります。その中身の生産性の向上ということについては、言葉としてはそういうふうに言われておっても着実に酪農に浸透しておらないということが大きな課題としてあると思うのです。  それはもう既に酪農近代化基本方針の中で言っております一頭当たり六千四百キロの乳量というのは、既にもう達成をしておるのであります。しかもこの酪農基本計画の中でも、二戸当たりの飼養規模が西欧諸国並みにもう達した、したがって、生産性の合理化という内的な充実を図ると。この中にも言っておりますように、資源の有効活用により、地域及び経営の実情に即し、経営の推進を図るということで、非常に日本型の酪農を志向しておったはずなのであります。しかし、そういった乳肉複合的な酪農家はどんどん没落をしているという実態ではないでしょうか。私はそこにもっとメスを加える必要があるというふうに思うわけであります。  時間がありませんので次に進みますけれども、先般、酪農の全国基礎調査の速報が発表されました。これは、全酪農家の実に八五%の調査でありますから、現況の酪農家の皆さんの苦労といいますか実態がわかるのでありますけれども、特に後継者は、「決まっていない」という人も含めて六七%の人が、今のところ定かではありません。あるいはまた、経営主自身が酪農の継続について、五年以内に中止をしたいという意向の人が一五・八%もおるのであります。さらに、「わからない」という人も含めると六〇%余りの方が酪農の継続についてきちんとした明確な方向を持っておらないということであります。私は局長報告の、規模拡大が着実に進んでおるというような非常に楽観的な見通しとは異なっておる、今や酪農の崩壊が始まっておると言っても過言でないと思います。  しかも、この調査時点、過去一年間で牛乳を出荷中止した農家が二千四百戸。これは農協の聞き取りで、その半分、四七%が農家をやめておる。経営転換でなくて農家をやめておる。しかも二八%の方が、約三割が四十歳以下の若手、中堅酪農家なのであります。しかも、ECの平均規模であります経産牛二十頭以上の飼養頭数農家が二〇%も離脱しておる。北海道では、五二%の方が経産牛二十頭以上持っている、EC並みでいけば大型の酪農家なのであります。  局長報告の中でも、飼養規模の零細な規模層を中心に減少しておるという表現を使っておりますけれども、ここ数年ずっとその表現を使っておりますけれども、減少はむしろ全階層に進んでおる。もっと深刻にとらえるべきである。数字の魔術で規模が拡大しておるということになっておりますけれども、実態は、全階層が酪農をやめる、あるいはやめたいという意向も持っておるということを真剣に、酪農の抜本的な政策の転換として考えるべきではないかというふうに思うわけであります。  しかもこの調査結果は、酪農家自身の経営対策を個別に課題解決するというようなアンケート調査になっておりまして、酪農の根本的な問題点が明らかにされておりません。例えば機械投資をするとか設備投資をするというふうなことに分類されて、それに答えるような形になっておりますから、明確でありません。  ただ、後継者の確保のために何が必要かという設問に対して調査項目がありまして、その中では、酪農家の皆さんは実に四七%の方が、「見通しの立つ酪農経営」が後継者確保の重大なものである、解決であるというふうに半分の方が答えられております。あるいはまた「生産価格の安定」が三九%、「利益率の向上」が三六%。北海道においては「負債の軽減」が二二%の方が根本的な解決だというふうに、農家みずからが今の酪農情勢を基本的に、根本的なところで見ておるのではありませんか。  これらの調査結果に基づいた農水省の基本的な考え方、これについてお伺いしたいと思います。
  72. 白井英男

    白井(英)政府委員 お答えいたします。  先生が引用されました酪農全国基礎調査でございますけれども、これは全国農協中央会が平成三年度やったものでございますが、二月に中間的な集計をまとめまして分析、分析といいますか、とりあえずの報告ということで私どもに参りましたけれども、いわゆる詳細分析といいますか、クロス集計とかそういうことをまだいたしておりませんので、そこら辺につきましてはさらに分析を加えて、年度明けにでも最終的な報告が参るものと思っております。私ども、それを酪農政策を立案する、考えるに当たって重大な参考資料といたしたいと思っております。  先生今お話しされました離脱農家の点でございます。この約二千四百戸の酪農家につきまして、経産牛の飼養規模階層別の構成が出ております。全国的には大規模農家ほど少ないということで、三十頭以上層は七・六ということでございます。北海道につきましては、経産牛三十頭以上層がそれでも離脱農家の中で四分の一を占めているということでございますが、北海道は都府県に比較して経営規模が比較的大きいということだろうと思います。  それで、今回の調査で私ども、酪農家全体に占めます離脱農家の割合というのをちょっと出してみたのでございますけれども、北海道の場合には、経産牛三十頭以上層では一・一、それ以下の層で、十頭未満で一五・三、十から十九で一〇・一、二十から二十九で五・七ということで、離脱農家の比重としては小さいのではないかと思います。  ただ、傾向といたしましては、私ども畜産統計で規模別の酪農家動向調査をやっておりまして、それによりますと、どうも離脱するのと上に上がるのとの分岐点は、都府県では成畜が大体三十頭層が分岐点になるだろう、北海道では成畜五十頭層が分岐点になるのではないかと考えておりまして、北海道の場合ですと、むしろ五十頭以上層が大幅にふえているというような事態になっております。  離脱の理由でございますけれども、この結果では、一番多いのはやはり後継者不足、それから高齢化とか病気とけがということになっておりまして、私どもやはり後継者対策に、今までも取り組んでまいりましたけれども、これからも真剣に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
  73. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 規模拡大経営拡大をするという視点、これはやはり農水省も考えを改めていただきたい。むしろ経営拡大することによって、急速な拡大が負債を累増させ、経営を圧迫する。あるいはまた小中規模の経営であっても、複合経営なりあるいはまた乳肉複合経営とのかみ合わせで堅実な経営転換ができるような形にせねばならない。そういう意味では、私は、これ以上酪農家を離脱させないための岐路に今来ておるというふうに強調しておきたいと思います。  したがいまして、今般の乳価の算定に当たりましても、先ほども言いました八・五%の生産費増、私は、この八・五%というのは非常に大きい。新聞等では農水省筋からさまざまなことが流されておるというふうに聞きますけれども、私は、この生産費増は、ことしの乳価の下げはあり得ない、八・五%は七円近くになるわけでありますから。私どもも影の内閣として今般初めて農水大臣にも要請をさせていただきましたけれども乳価についても具体的に五円以上引き上げることという一項目をつけ加えて私ども方針を出させていただきました。したがいまして、今答えるといっても、畜審の前ということで明確な答えはないと思いますけれども、この生産調査等あるいはまた酪農家の離脱状態をきちっと踏まえて算定をしていただきたいと考えます。  同時に、これ以上酪農の戸数を減少させないためには、あるいはまた国内の総生産維持発展させるためには、やはりこの辺で、酪農は大変辺境な地にあります。そういった意味で、地域社会の存続のためにも重大なところにある。今般も別海からは商工会も含めて全地域の方が私どもに初めて要請に来たということで来ました。そういう意味では、酪農地帯は酪農が非常に大きな比重を占めておるのであります。そういった観点で、私は、酪農家戸数の減少を食いとめるためにも、乳価の上げはもちろんでありますけれども、直接所得補賞的なものの導入をする、今その時点でないかというふうに考えるわけでありますけれども、この点に対する考え方。  さらには、副産物のぬれ子の価格の暴落がずっと続いております。先ほど審議官は一月が四万九千円に上がったというふうに言われましたけれども、二月、三月はもっと下がっておるのであります。しかも肉用子牛安定基金とは連動しておらない。昨年の委員会でも、十六万五千円で底を支えればぬれ子は上がるというふうに言いました。しかし、一貫してずっと下がっておるのであります。酪農はぬれ子についても牛肉自由化影響を最も大きく受けた。私は、そういった意味では、ぬれ子の価格支えについても明確な方針を出すべきである。従来のような乳肉複合で三千五百円だとか、そういったものではもう価格のバランスがとれておらないのでありますから、直接ぬれ子を買い支える方式を明確に打ち出すべきである。それは同一の牛が、乳用牛子牛のところで支えておるからだめだという議論にはならないというふうに思うのであります。これは連動しておらないということが去年一年間の経過ではありませんか。  この二つについてお伺いをしたいと思います。
  74. 白井英男

    白井(英)政府委員 保証価格につきましては、先ほど政務次官の方からもお答えいたしましたように、不足払い法に基づきまして、加工原料乳地域生乳の再生産を確保するということを旨といたしまして、畜産振興審議会の意見を聞きまして適正に決定するということで、生乳生産部門における生産費を償われるものということで考えておるわけでございます。  それで、ぬれ子なり乳廃牛の価格等の低下に対してでございますけれども収益性が非常に低下してきておるということでございますので、これらのぬれ子なり乳廃牛の持っております資源に付加価値をつけて収益性の向上を図るということで、私ども乳肉複合経営ということで一昨年から実施をしておりまして、昨年四月にはさらに充実強化を図ってきているところでございます。  それ以外にも、酪農経営所得確保ということで、生産性の向上とコスト低下を図る観点から、草地なり飼料畑の造成等によります自給飼料率の向上、それから半群の改良とかによります乳量や乳質の向上、それから技術指導等による飼料管理技術の改善、それから経営の安定を図るための先ほど申し上げましたような乳肉複合経営の推進というようなことでやっているわけでございます。  今先生お話のございました、例の直接的な所得支持政策についてどうだというお話でございますが、各方面からいろいろ議論が出ているということについては聞いておりますけれども、必ずしもどういう形でどういう姿でというようなことは明確ではないわけでございますので、私どももいろいろな観点から分析なり勉強なりさせていただきたいというふうには思っております。いずれにいたしましても、乳価不足払いにおきます保証乳価に加えて、さらに農家所得を直接的に補てんするというのは、なかなかちょっと我が国酪農政策にはなじみがたいのではないかというふうに思うわけでございます。ちなみに、ECが直接的な所得補てんというようなことを打ち出しておりますけれども、あるいは耳ざわりになるかもしれませんけれども、あれはあくまでも支持価格なり保証価格なり、保証価格というのが適当かどうか知りませんけれども、そういうものの引き下げの見合いとしての所得補てんというようなことも考えているやに聞いております。  それから、ぬれ子をいわゆる子牛不足払いの対象にできないかどうかというお話でございますけれども、これにつきましてはぬれ子の持っております特性といいますか、生まれてからこれが肥育用に回るのかどうかとか、それから一般に事故率が非常に高いというような問題もございます。それから、特に雌牛の場合には、やはりはらみ牛といいますか、搾乳牛といいますか、そちらの方に回るとかいろいろございまして、ぬれ子の段階でいわゆる不足払いの対象にするというのは難しいというふうに考えております。
  75. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 農水省は、従来の既定方針どおりというような感じが非常に強いので、さまざまな周辺関連対策もやっておるのですけれども、先ほど言ったような生産の伸び悩みそして戸数の減少ということがとどまるところを知らないわけでありますから、私は抜本的な改善の手を加えなければならない時点だという点で申し上げておるわけでありまして、そういった意味で、特に私は一昨年から申し上げてあります。  皆さんが、一昨年畜審に諮問しております酪農・肉用牛の近代化にかかわる基本方針、これをつくるつくると言いながら、私は三度もこの農水委員会で質問しました。これだけ重大な転換期で、農家が待ったなしで、方向が見定まらないという時点で、基本的な方針をつくるのは皆さんも認めながら、さまざまな理由をつけて一向に具体化をしておらない。大変残念であります。  きょうはこの場で具体的な、いつつくるのかつくらないのか。今の姿勢ではつくらないでそのまま安楽死を待っておるにすぎないのではありませんか。そう見えるのであります。したがって、そのことを最後にお聞きをして質問を終わります。
  76. 白井英男

    白井(英)政府委員 酪畜の基本方針でございますけれども、これは平成二年の三月十六日に畜産振興審議会に基本方針の作成につきまして諮問をしたわけでございます。審議を願っておるところでございますが、これにつきましてはいろいろ研究、分析する事柄が多うございます。特に、前の酪畜基本方針の中にはございませんでした、近代化方針の中にはございませんでした飼料作物生産のための指標作成というようなことで、これにつきましてはやはり相当の研究なり調査なり、そういうものが必要であろうということで、私ども鋭意努力をしているところでございます。  さらに、ガットウルグアイ・ラウンドがどのような進展になるかというようなことも十分視野に入れながら、私どもとしては基本方針の策定を考えていきたいというふうに思っております。
  77. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 終わります。
  78. 高村正彦

    高村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時八分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  79. 高村正彦

    高村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。有川清次君。
  80. 有川清次

    ○有川委員 けさほど同僚の鉢呂委員から基本的な問題についていろいろ質問がちょうちょうはっし行われました。私は、具体的な問題についてお伺いをしてまいりたいと思います。  まず、酪農の関係についてでございますが、昨年の四月から牛肉自由化影響をもろに受けたというのが酪農家の実態だろうと思います。それは乳用牛の枝肉価格が激減をしたためてあり、副産物として所得の三割を占める子牛やぬれ子あるいは廃用牛の価格が暴落をしたところであります。酪農家経営基盤は本来生乳販売によりますけれども乳価低下をしつつあります。昭和六十年に一リットル九十八円九十銭だったものが平成三年四月には八十七円二十銭でありまして、六年間に何と一一%も引き下げられておる現状がございますし、牛肉関税率も本年はさらに一〇%引き下げられて六〇%になっておるところでございます。その上、農産物の自由化問題でのガットウルグアイ・ラウンドの決着もこれからが心配をされるところであり、さらには包括合意案では国内支持二〇%の削減案も盛り込まれております。昭和五十四年以降生乳の計画生産が行われまして、乳量超過で生乳の投棄や経産牛の処分までもされた農家がたくさんあるわけでありまして、その直後には需給が逼迫した。こういう立場で乳製品の緊急輸入が行われまして、酪農家の行政への不信は今根深いものになっておると思います。  こうした酪農の将来不安と不信は後継者の問題を招いたし、また離脱者を大きく増大をさせていると思います。これは、酪農経営収益性に恵まれず、経営存続の魅力が消失しつつある、ここにその根源があるのではないかと思います。それだけに加工原料乳、原料の乳価の、直接的には連動しないと言われておりますが、飲用乳にも影響するその決定いかんと、牛肉自由化による最大の被害者、酪農家の副産物の救済対策、ここが非常に重要だというふうに思います。見通しの立つ酪農経営が欲しいというアンケートにもありましたように、そうした後継者問題を通しての酪農家の意見もあるところでございます。酪農の浮沈は地域経済に及ぼす影響も非常に大きく重要でありますし、酪農の総生産額は米に次ぐ第二位で、全国総生産額の六・四%を占めておるだけに、今日の危機的状況打開のために全力を尽くすべきだと思います。  そこでお伺いいたしますが、先ほど来論議にもなっておりましたぬれ子の価格の問題であります。これまでの三分の一以下に下落いたしまして、現在平均四万五千円程度の相場になっております。生まれてから四日目くらいに今までは出荷していたわけでありますが、最近は一週間が二週間になり、十五日から二十日程度の経過をしないと四万五千円で出荷できない、こういう現状が私の出身地鹿児島では起こっております。その間における酪農家経営負担もあるところでありますが、こうした引き延ばしをされるというのは、四万五千円がさらに引き下げになるのではないか、こうした心配が非常に強くされております。全国的な動向と、先ほども若干述べられましたけれども、今後の対策についてお伺いをいたします。  さらにもう一つは雌の子牛ですけれども、今までは同じようにぬれ子として引き取ってもらっておったのですが、鹿児島県の独特の状況がもわかりませんがほとんど買い手がなくなった。そのために、できるだけ育成牛に回すのだけれども、育成牛になし得ない雌牛、子牛対策について非常に困惑をしている現状がございます。一部には、初妊牛として肥育しながら初妊牛を売る、そういう手だてもされるわけですが、初妊牛の場合に、二十七万という数字の価格もありましたし、三十万前後という状況であり、また初妊牛にもならないような雌子牛の取り扱いをどうするのかということが問題になっておるところでございますので、全国的な状況がどうなっているのかを含めて、対策をお聞かせ願いたいと思います。
  81. 白井英男

    白井(英)政府委員 お答えいたします。  ぬれ子の価格につきましては、昭和六十二年以降かつてない水準で経過してきたのですけれども、昨年の十月四万二千円ということで、私どものあれでは北海道では二月現在で四万九千円ということで若干ぶり返してきている状況でございます。それで私ども子牛のいわゆる不足払い制度を活用いたしましてぬれ子の価格の安定を図るということで制度を仕組んできておりまして、したがって、子牛不足払い制度にいかに加入してもらうかということが大事な要点だろうということでこの加入促進を図ってきているところでございまして、現在の段階では七〇%ほど加入の状況になってきているということでございますが、さらにこの引き上げが大事であろうというふうに思っております。  それで、ぬれ予価格が低迷しているということで酪農経営が非常に収益影響を及ぼしているわけでございますので、乳肉複合経営ということへの取り組みが大事であるということでありますし、子牛の育成農家にとりましては、先ほど言いましたような十六万五千円という最低価格を保証してもらうということが大事でございますので、これらを昨年、一昨年よりさらに今年度は充実をしたところでございます。今後ともぬれ予価格の安定、酪農経営の安定ということで私ども積極的に取り組んでまいりたいと思うわけでございます。  先生後半でおっしゃいました、雌牛でもいわゆる初妊牛にならない牛についてどうするかというお話でございますが、これはやはりぬれ子の雄牛と同じでございまして、いわゆる肥育用として回りまして、それで肉用に供されるということになろうかと思いますが、これにつきましても私ども乳肉複合経営ということの中で哺育あるいは育成、これらにつき助成等を行っているところでございますし、今後も行ってまいりたいと思っております。
  82. 有川清次

    ○有川委員 一応お話はわかるわけですが、複合経営という、まだそこまでほとんどが体制として進められていない。そしてまた、乳雄はぬれ子の場合も最近一カ月は飼ってくれ、こういうふうに強く買う側が要請する実態もございますので、またその間が非常に危険度も高いということで、哺育技術も高めなければならないという課題もあるようであります。これらの問題についてはまだ後でもちょっと触れると思いますけれども、体制をきちっと、一番問題になっておるネックの解消に全力を挙げていただきたいと思います。  次に、飲用乳価についてでありますが、都府県地域では昨年、増産奨励金の切れる十一月以降の対処といたしまして交渉が進められ、実務面では進展しなかったために生産者の不信、不満が高まりまして、このため九州では特定メーカーに対しまして生産者出荷ストというような態勢を構えるなど、中央ではまた一方で中央の団体の粘り強い交渉も続けてもらった結果、大手業者にとって二円を目標として飲用向け乳価の値上げを行うという指示が出されたところであります。生産者みずからの力で値上げを獲得したこの意義は非常に大きかったというふうに考えます。そこで、今年度もこの二円の意義を基本としながらさらに引き上げを求めるところでございますが、飲用乳価の問題について御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  83. 白井英男

    白井(英)政府委員 お答えいたします。  飲用乳価についての国の考え方ということでございますが、生乳取引、これは御承知のように指定生乳生産者団体と乳業メーカーとの間で対等に自由に交渉が行われるということが基本だろうと思っております。  国といたしましては、飲用乳価についてはそのときどきの市乳の需給実勢、これらが背景にありまして、両当事者間で適切な交渉が行われて決定がされるということでそういう期待をしているところでございまして、ことしもそうでしたけれども、今後とも両当事者が十分な議論を尽くして納 得の得られる価格、妥当な水準というようなことで成るよう、私ども必要があれば適切な指導をしてまいりたいというふうに思っております。
  84. 有川清次

    ○有川委員 自由に、自主的に交渉する、あるいはその需給の状態によって変化があるという御回答でありましたけれども酪農経営安定というものは何といっても生産者の乳価の大幅な値上げ以外にないのじゃないか、こういうふうに思います。  現状では八十九円前後の生産乳価が決まり、複雑な流通経路をたどって、消費者に届くときには大体リッター二百円前後、こういうふうになっていると思います。私は、今東京でどうも水がおいしくないということで、銘泉水として自然水の屋久島の縄文水を飲んでおるわけでありますが、この水も一リットル二百円なのですね。非常に手塩にかけながら努力をされて、苦労しながら酪農のコスト低減を図って頑張ってこられたその牛乳が市販の水と価格がほぼ同じである。非常に奇妙な状況があるわけであります。もう少し流通経路の経費の節約やそうしたものが何とかできないものか、こういうふうに考えますが、特に大手乳業メーカー五社の占める今日のシェアあるいは流通経路について御説明をしていただきたいと思います。  また、飲用乳の販売の割合と量販店、スーパーなどへの指導状況など、あればお示しを願いたいと思います。
  85. 白井英男

    白井(英)政府委員 お答えいたします。  飲用乳と銘泉水との価格比較ということでございますが、牛乳は食料品として日常我々生活必需品的に消費しているものでございます。したがって、釈迦に説法でございますけれども、この価格というのは製造メーカーと小売店との間で価格交渉で決まってくるということでございまして、小売店の方の販売の経費とかマージンあるいは消費者の動向、そういうものを踏まえて決まってくるというふうに思っております。  また、銘泉水の方でございますけれども、これは最近水に対する消費の需要、ニーズが多種多様になってきて高度化してきておるというようなことで、銘泉水はどちらかというと嗜好品的な性格を有する商品ではないかと思いますので、飲用牛乳の価格メカニズムなり消費形態と直接比較するというのはなかなか難しいのではないかというふうに考えております。  それから、飲用牛乳の流通の合理化なり処理の合理化なりというようなお話でございます。  飲用牛乳を処理しております工場、半数以上は処理量でいうと日量二トン未満ということで非常に零細でございます。しかも操業度も、私どもの把握しておりますのでは中小乳業で大体四割から五割という操業率になっておりますので、非常に低い状況でございます。それから、最近はスーパー等のいわゆる量販店から多頻度少量の配送とか定時納入とかという要求が非常に強くなってきておりますし、輸送費がかさんでくる、人件費等が上がってきて輸送コストが上がってくるというような状況にありまして、合理化が非常に叫ばれているわけでございますけれども、なかなか難しい状況になっているのでございます。  私どもとしましては、当然メーカーなりが自助努力でいろいろやるということが基本でございますけれども、それに加えまして応援をしておりますのは、一つは乳業者団体による中小乳業者の組織化、物流の合理化というようなことを基本とする合理化計画を策定するような指導をしております。それから、計画を策定しました都道府県で案出荷施設をつくります場合のいろいろな融資とかの支援、これは公庫融資の中にもございますけれども、そういう支援、それから牛乳販売店の団体によります共同の仕入れとか共同の配送、こういったものを推進するためのビジョンの策定とかを指導しておりまして、これに対しまして所要の助成措置を講じているところでございます。  今後とも飲用牛乳の処理、流適合理化のための推進を図ってまいりたいと思っております。
  86. 有川清次

    ○有川委員 なかなか水と牛乳、飲用乳との比較というのは難しいことはわかりますが、ただ余りにも、苦労してこうやったのと、ひょっと持ってきた水とが同価格というのが、同じということについてはうなずきがたい状況があるんじゃないか。ということは、生乳の、飲用乳の価格が安過ぎるという問題も一つには出てくるだろうし、ただ八十九円何がしかのものがその倍以上のお金になって消費者に届く。この間の流通の問題というのは、物流の合理化計画なり指導されておるということでありますが、もっと真剣に考えないといけない問題ではないのかということを感じます。  今やられておる流通の形態のこの価格を支えておる金額というこの辺は、合理化されましても大体限度のぎりぎりのものと思っていらっしゃるのか。かなりまだ努力によって安くなると思われるのか。というのは、安くせぬでも生乳の方を引き上げてもらえばいいと思いますが、どだい、長い間苦労しながら支えてきてつくってきた牛乳の生産者、それは非常に安くて、それが市販に、消費者に渡るときには倍以上の値段になっておるというところに、乳用牛の乳だけではありませんが、すべてのいろいろな今日の自由主義社会における流通に非常に私はひっかかりを思うわけです。  そこで、今最大限度のものであるのか、まだ大きくその流通経路の経費節減ができると思っていらっしゃるのか、その辺についてちょっともう一回お聞かせ願います。
  87. 白井英男

    白井(英)政府委員 先ほども御説明申しましたように、流通コストの中で最近特に輸送コストですか、輸送コストが、非常に人件費等が高騰いたしましてかかって、ふえてきております。それから、消費者の方が逆にいろいろ要求が多いということとの関連もあるんでしょう、あるいは多様化しているということもあるんだと思いますけれども、量販店がやはり品物に対する要求を非常に厳しくといいますか、言葉で言うと多頻度少量というようなことで要求を厳しくしているというようなことですから、それらにやはり期待にこたえる。消費者のニーズが多様化、高度化すると、それに伴っての流通コストといいますか、がかかってくるというような非常に難しい、いろいろ掛かり増しの話がありまして、なかなか一概に、合理化してコストがこう下がりますというようなことを申し上げるような材料を持ち合わせておらないわけでございますけれども、先ほども申しましたようないろいろな施策をもちまして、私どもとしては合理化の方向に行くように努力をしてまいりたいと思っております。
  88. 有川清次

    ○有川委員 輸送コストは水も一緒なんですね、高くなっておるのは。だから私は、節約をする上ではもっと努力の方法があると思うので、物流の合理化、今そうした指導努力をされるということでありますから、そうしたことも一面しっかりやっていただくように要望申し上げておきたいと思います。  次に、酪農生産基盤の促進対策の中央協議会、先ほど鉢呂委員からも言われましたが、アンケートの中で、「規模拡大に対し今後必要とする支援措置」については「ヘルパーの拡充」が全国で五五・二%、都府県レベルでは五七・三%と一番高い率を示しております。  私の出身地では、国が制度を設ける以前から自主的にやられてまいりまして、手あき時間が出る、結婚式でもどこでも旅行でも自由にできるようになった、おかげでうちは嫁に来てくれる人がいないという心配もないという酪農集団もありました。そういう意味では、もっと、働きずくめあるいは牛にくくられ続けた酪農から解放してあげる、こういうことが今後重要だと思いますが、後継者の育成をするために、このヘルパー制度の普及をどのように考えられておるのか。現在の普及状況と今後の指導方針についてお聞かせ願いたい。
  89. 白井英男

    白井(英)政府委員 お答えいたします。  ヘルパー制度の普及の状況でございますが、この制度を、酪農ヘルパー事業円滑化対策事業ということで私ども平成二年度からこれを実施しているわけでございます。全国の規模で酪農ヘルパー事業を実施するその組織の育成、それから都道府県の組織の育成、それから利用組合の組織の育成というようなことで推進をしておりまして、それぞれの段階で円滑化のための事業をやってもらっております。  ところで、実施の状況でございますけれども、来年度までに私どもとしては四十六都道府県で実施を予定しておりますが、現在までに着手しましたところは四十一県でございます。これは、都道府県の段階で事業基金をつくりまして、その運用益といいますか、をもちましていろいろな事業計画を立てて事業運営をするということでございます。  それで、利用組合の方でございますけれども、利用組合としては、三年の十一月まででございますけれども、全国で二百七十四の利用組合ができ上がっております。これは、新しくできたのと、それから、既存のものを編成がえしてできたのといろいろございますけれども、二百七十四という多きにわたっております。  私どもとしましては、これは平成二年から平成四年までの三カ年計画ということでやっておりますので、県の方も財政的な事情もございまして、それぞれ毎年所要額を積んでいるということでございますので、ぜひとも所要額を三年、四年も含めて積むように指導をしてまいりたいと思いますし、それから、ヘルパーの要員ですね。これからますます需要がふえてくると思いますので、この要員の確保、それから利用農家拡大、それから利用組合の組織化をさらに促進するというようなことを重点に置きまして、今後とも強力に進めてまいりたいと思っております。
  90. 有川清次

    ○有川委員 二百七十五ですか、利用組合があるということですが、大体これで酪農家の何%ぐらいが網羅されておるのか。あるいは、平成四年までやるということですが、その段階の到達目標というのはどのように考えていらっしゃるのか。あるいはそうした組織化、なかなか難しい面があるのかどうか。その辺の問題点をちょっとお聞かせを願いたい。
  91. 白井英男

    白井(英)政府委員 先ほど組合の設立の状況を申し上げましたが、これに加入をしております組合員の数でございますけれども、全国で一万七千戸でございます。  それから、組合の設立目標としましては、四年度までに全体で四百三十組合の設立を予定しております。
  92. 有川清次

    ○有川委員 ぜひ四百三十組合の目標を達成をされまして、こうした後継者問題の解決あるいは嫁の問題なり、取り戻していただきたいと思います。  それでは次に、牛肉の安定価格についてでありますが、当然再生産の確保と肉用牛経営の安定向上、これを念頭に置きながら決められていくと思いますが、乳用種の場合、子牛価格が高いときに素牛を購入されまして、牛肉自由化価格が低落した。そうしたために肥育牛農家の皆さんが今甚大な影響が来て、借財がたまっておる、回転資金が足りない、こういう悩みがあるところであります。さらに、このために国の方では肉用牛肥育経営安定緊急対策事業、こういうのを実施をされておるところでありますが、これは三月で期限が切れるわけですね。現地を回って見ますと、まだ五、六カ月はこうしたひずみの状態が続くんじゃないだろうか、こういうふうに言われておりますが、同じような状態が続くとすれば継続する必要があると思いますけれども、この緊急対策事業の継続方を要請しておきたいと思いますが、考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  93. 白井英男

    白井(英)政府委員 御答弁申し上げます。  いわゆる牛肉自由化に伴いまして、乳用種枝肉価格低下した、その枝肉価格の原料になりますいわゆる素牛ですね。素牛が価格高騰時に買い入れたということで、原料高製品安という事態が生じて、それが乳用種の肥育農家収益を悪くしたということでございまして、そのために私どもとしては、平成二年度から既に対策を講じていたわけでございますけれども平成三年度に入りましてさらに改善をいたしまして、奨励金を一頭当たり七千円でございましたのを一万円に上げるという措置を講じたわけでございます。これは要件といたしましては、所得家族労働費、これを下回った場合にこれを出すということにしていたわけでございますが、その後、枝肉価格がさらに低下をしてきたという事態所得がマイナスになるというような事態が生じてまいりましたので、昨年の九月に、そういう事態になった場合にはさらに一頭一万円を追加するという措置を講じたわけでございまして、昨年の第一・四半期、第二・四半期にこの一万円プラス一万円の措置を講じたわけでございますが、第三・四半期以降になりましたら、その原料の方の高かったものから若干安いものの方に移ってまいりましたので、したがって、原料高の高の方が若干低下してきたということで、所得がマイナスになるという事態までには至りませんで、若干経営が改善されてきたという事態でございます。したがって、第三・四半期には一万円プラス一万円の方は出さないで済んだというようなことでございますので、最近ちょっと経営がいい方向に向かってきているということでございますので、私どもそれらの状況をもう少しつぶさに検討させていただきまして、来年度以降どうするか検討させていただきたいと思います。
  94. 有川清次

    ○有川委員 まあ経営がよくなりつつあるということでありますが、地域格差もあるのかもわかりませんけれども、十分そうした肥育牛農家の窮状を救うような対策は必要であれば続けてほしい。ただ、この補てんがあっても牛を出すたびに金を足して出しているという、そういう不満を盛んにぶちまけられておるのが現状でございますし、ここがやはり不十分になりますと、牛肉生産、これに大きく影響するし、また酪農家に及ぼしてくる影響も大きいわけでございますので、十分な配慮、対策をお願いを申し上げておきたいと思います。  次に、肉用子牛の保証基準価格ですが、これも再生産所得の確保ができるように配慮する、こういうことになるわけですけれども、合理化目標価格についてですが、関税価格が引き下げられていく、そういう状況にあるわけでありまして、これに合わせて引き下げられるというおそれはないのか、素牛供給農家の合理化可能な水準にあるのかどうか疑問もあるところでありますので、現行の目標価格を維持すべきだと思いますが、どのようにお考えなのか、価格決定についての基本的な考え方を含めて次官にお願いいたします。
  95. 二田孝治

    ○二田政府委員 鳩山議員、鉢呂議員にもお答え申し上げたわけでございますけれども、先生御案内のとおり、価格の決定に当たりましては、肉用子牛生産安定等特別措置法の規定に基づき、肉用子牛生産条件、需給事情その他の経済事情を考慮してその再生産を確保することを旨としながら定めることとされております。あす開催される予定の畜産審議会の意見を聞いた上で適正に決定してまいりたい、このように思います。よろしくお願いいたします。
  96. 有川清次

    ○有川委員 模範答弁で、それ以上は言えないのかもわかりませんが、現場の実態をきちっと踏まえて、関税の引き下げに左右されないような対応をぜひお願いを申し上げておきたいと思います。  次に、酪農家の離農の背景に、都市化の進展や家畜ふん尿公害、後継者不足などがその主な要因にあるようにアンケート等にも出ておるところでございますが、これについて、特に都府県段階ではふん尿処理対策は、このアンケートでも三五・四%という最も高い数字を示しておるわけでありますが、他の畜産分野も含めまして、現在の家畜ふん尿処理の対応の仕方、それらについて御見解をお伺いをしたいと思います。  きょうの日本農業新聞ですか、これを見てみますと、これは豚ですけれども、宮崎県の日南市の例が載せられておりますが、ふん尿処理と悪臭の解決が非常に今問題だ、環境問題で移転や新たな処理施設が求められるようならもう養豚もやめてしまいたい、こういう意見があり、さらに五十頭規模の一貫経営だと一千万円、その規模の施設経費全体が二千五百万円、こういうふうに試算もしておるという状況がございます。苦情の中では悪臭関連が七三%もこの生産農家の周辺であるという問題や、次いで水質汚濁の五二%など、そういう状況があると思いますが、私たちは、農業は環境整備をしながら本当に自然の中で安全なものの生産ができる、こういう立場を常に言っておるわけでありますが、諸外国では、具体的にこれはもう消費者を含めた全体の責任あるいは環境保全のための経費ということで特別な思い切った助成がなされている例が各国にあるようでありますが、そうした立場からどのようにこの非常に難しい問題を考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思うのです。  一つには、現状と指導と対策はどのようになっておるのか、二つ目には堆肥の有効利用一そういう有機農業と健康な土づくりという立場でどのようにすべきだというふうにお考えなのか、あるいは具体的に国は対応されておるのか、指導されておるのか。三番目は、こうしたものを早い時期に完熟させて立派なものをつくるにはどうしても微生物等を活用した、そうした努力が必要だと思います。さらには、最大の問題であります悪臭の除去、これは微生物が非常に大きな効果を発揮している面があるわけですけれども、新技術は具体的に進みつつあるのか、その展望を含めてお聞かせを願いたいと思います。
  97. 白井英男

    白井(英)政府委員 お答えいたします。  畜産の経営に起因いたします環境問題でございますけれども、全体としては減少の傾向にはあるのでございますけれども、逆に経営体も減ってきているということでございますから、率としてはそんなに減ってないというようなことでございますので、私どもとして、この問題、重要な問題というふうに認識しましてこの対応を考えているわけでございます。環境問題は畜産にマイナスイメージを与える、それから後継者難だというような話になっておりまして、大変な阻害要因になるわけでございますから、ぜひともこの問題を適切に処理するように我々としては努力を積み重ねていきたいというふうに思っております。  それから、家畜のふん尿というのは多くの有機物を含んでおりますので、これを堆肥化しまして土壌に還元するということで、リサイクル利用ですね、これを進めることが資源の有効利用の観点からも極めて重要であるというふうに考えます。  したがいまして、私どもといたしましては、一つは耕種農家との有機的な連携でございますね、これを図るということでの家畜ふん尿の利用の促進、それから都市化しました地域におきましては、やはり集団的な経営の移転というのが必要になってくると思いますので、そういったこと。それから三つ目は、やはりそれぞれの地域で同じような問題で難問を抱えながらその解決に努力をしているわけでございまして、あちこちで優良事例も見られてきておりますので、それらを普及するというようなことも大事だと思います。それによって畜産農家の環境保全に対する意識の向上を図っていくというようなことも大事だろうと思いますので、こういった考え方、方向で指導を重ねてまいりたいと思っております。  具体的な事業といたしましては、私ども一つには、畜産農家に対する適切な家畜ふん尿処理技術のための巡回の指導なりあるいは共同利用施設移転に対する助成なり、あるいは個人施設に対する融資とかリースとか、こういったものをやっているところでございます。  それから、堆厩肥の有効利用を推進すべきじゃないかということでございますけれども、先ほども申し上げましたとおり、これは資源の有効利用という観点からも重要であるということで、私どももそれを頭に置きながら今までも施設等に対して助成を行ってきたところでございますけれども、さらにこれを進めてまいりたいと思っておりますが、平成四年度には新たに農協とか市町村とかを事業主体といたしまして、堆厩肥の地域的な需給均衡を図るというようなことでのいわゆるソフト事業を、耕種農家とそれから畜産農家と有機的に結びつける地域の中でのネットワークづくりみたいなものをやってみたい、進めてみたいと思っておりますし、それから従来もやっておりましたけれども、良質の堆厩肥をつくるためのハード事業、これもその中に組み入れまして、一体として事業を仕組んでやってまいりたいというふうに考えております。  それから、第三点目に御質問のございました新技術の点でございますけれども、最近民間レベルでも微生物等を活用いたしまして、においを抑制するとか堆肥化を図るとか、そういった技術がいろいろ開発されております。まだ現実に効果があったとかないとかいろいろ評価を聞くわけでございますけれども、客観的な評価はまだ十分になされていないというようなものも多うございます。それから、一方では、先生おっしゃったように、バイオとかそういう新しい技術を使いましての技術確立が強く求められているということでございますので、私どもとしましても、そういった要請なりそういった現実を踏まえまして、臭気効果それから堆肥化促進効果のあると言われております微生物等につきまして、農家段階での実証展示を行って、その効果を調べて、効果のあるものにつきましては普及をさせていくというようなことを平成四年度から新たな事業として取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  98. 有川清次

    ○有川委員 今御回答をいただきましたけれども、すとんと落ちる対策、うんうまく進んでいるな、よくやっているな、悩みが解決しそうだな、そういうものになってないように感ずるわけです。  いろいろな施策をやるように補助金なりやられておるとは畜産審議会のこの冊子にも具体的に書いてありますけれども、しからばどんな方法であればにおいの問題やあるいは早期に有機肥料ができるという問題の解決策になるのか、そういうことがわからないのですよね。施設の経費だけやったってなかなかうまくいかないんじゃないでしょうか。  同じように新聞に、きょうのものにやはり載っているのですが、園芸農家と牛ふんをむだなく使っておるというので、大体完熟するまで六−八カ月かかって農家がそれをやって売っておる、それで耕種農家がそれを一生懸命買って、非常にいいものができる、こういうのが載っていますが、八カ月もかかれば個人でも大変だと思うのです。これはもう微生物の活用以外にない、私はそう思いますが、そういう意味では、例えば私の出身の鹿児島、畜産地帯ですよね。畜産地帯だけにこの問題は大きな悩みがあるわけです。前にもちょっと述べましたけれども、それを解決するために市がもう三年、四年かかって模索しておるのですね、コンサルタントも頼んで。そして、ことしは基本計画をつくっていよいよ来年からやろうか、ことしももっと思い切って金を突っ込もうかという段階に来ておるわけですが、それはやはり水質の汚濁を含め汚染の問題があるからなんです。そういう意味では、そうした献身的に努力をされておるところは何カ所かモデル的に指定をしながら思い切って金も投入して、みんなにすとんと落ちるような指導ができる体制をばとる必要があるのではないか、このように思います。特に、酪農の場合も規模拡大、規模拡大と言ってい名。戸数は減るが頭数は減らない、それは規模拡大なんですね。その大きな隘路にこのふん尿処理の問題があるわけですから、そのことを特に要請しておきたいと思いますが、もう一回、見解があればコメントをお聞かせください。
  99. 白井英男

    白井(英)政府委員 畜産の環境問題につきましては、解決すべき重要課題であるということで我々も一生懸命になって取り組んでいるわけでございますけれども、なかなかずばりというような解決策が見つからない、いろいろ努力を重ねているという段階でございます。  先ほども対策の中で申し上げましたけれども、やはりいろいろな、役所も努力する、民間の方も努力するという中でいろいろ優良事例と申しますか、解決している例も出てまいりますので、そういう例をやはり一つの参考としながら、それをさらに踏み台としてさらに次のステップにいくということも大事だろうと思っております。先生おっしゃったような鹿屋の例なども一つのこれからの、解決するかどうか、これから取り組んで、今始まろうとしているところでございますから、私どもとしては非常に注目をしているところでございますけれども、そういった事例を私どもも集めて、さらに国のレベルとして新しい施策が打ち出せるものかどうか、それらを含めてこれから検討、研究をしていきたいというふうに思っているところでございます。
  100. 有川清次

    ○有川委員 全国の優良事例とかそういうものが余り都道府県段階で持ち得ないために、自分たちで探って、あそこにあるらしいとか、視察に行ったりしておるのですよ。国の段階でそういうのがあれば、全体的に優良事例を示しながら、皆さんが先進地に学んで解決が進められるように、具体化するように努力を要請しておきたいと思います。  もう時間がなくなりましたので、あとの畜産の豚と鶏卵の問題省きまして、養蚕について一つだけお伺いをいたします。  養蚕は今非常に厳しい状況になりまして、生産費がキロ三千七百円程度を大きく割り込んで、生産農家の皆さん方の中では、キロ単価が二千五百円を割ったらもう養蚕はやめた方がいい、こういうふうな言い方をされる状況になっておりますが、実質は千七百円前後になっているという状況ですね。しかも、中国の絹も、生糸もどんどん輸入される、その制限もどうなっていくのか非常に不安定な状況でございますし、また製品自体も輸入されるという状況でございますので、この辺について養蚕農家の皆さんは大変な不安を持っておるわけです。  私の出身の鹿屋で言えば、昭和五十年に九十七戸あった養蚕農家が、今わずかに七戸です。このうち、回ってみましたが、ほとんどが廃業、転業、こういう動きになっておるわけでありまして、群馬県を中心にして養蚕があり、また農山村で非常に大きな役割を、米と同様に日本農業を支えてきた一つの大音なものだと思いますが、時間がありませんので、今こうした新システムの問題も合意に至っておりませんが、どのように今後養蚕農家の再起を期していかれようとされておるのか、基本的な考え方についてお伺いいたします。
  101. 上野博史

    ○上野政府委員 ただいま委員から養蚕業を取り巻く各種の問題、大体洗いざらい出していただきまして、取りまとめてお答え申し上げたいと思います。  確かに生糸の関係につきましては、このところ価格が一万一千円の水準を割り込むという水準でございまして、農家のコストから見て非常に厳しい状況である、そういう状態にあるというふうに我々も認識をいたしております。このことにつきましては、今委員から御指摘ございましたように、海外からの絹製品の日本への輸入というのが非常にふえておる、質のいいものがだんだん割合を増しているというようなことがございまして、単に生糸の輸入一元化というようなことで全体の需給コントロールができにくいというところから起こっているというふうに思っているところでございます。  しかしながら、私どもとしましては、全体の絹製品につきましても、従来の制度の枠内ではございますけれども、できるだけ需給のコントロールを図るように通産省の方にもお願いをして対応してまいっておるところでございますし、生糸の輸入につきましても、国内の需給を十分考慮に入れながら中国との交渉に当たっているというようなことでやっているところでございます。  それから国内価格安定制度の運用につきましても、現在のこの制度の中でいろいろな工夫があるわけでございますが、生糸業者によります調整保管というようなことも発足をさせまして、価格安定化に努めているというのが状況でございます。  それからまた、生産面で申しますと、最終的にといいますか、長期的な目標のもとでは人工飼料によります養蚕というものを育ててまいらなければならぬというふうに思っておりますし、現在の桑の葉を使った養蚕につきましても、規模拡大を極力図るというようなことで各種の施策を講じよう、あるいは講じているという段階でございます。  需要の開発というのがもう一つの大きな要素でございますけれども、この辺につきましても、ハイブリッドシルク等の推進というようなことで鋭意対応をさせていただいているというところでございますので、いろいろ努力をいたしてまいりたいと思いますので、そういうことでごらんをいただきたい、かように考える次第でございます。
  102. 有川清次

    ○有川委員 どうもありがとうございました。時間が過ぎまして、恐縮に存じます。  伝統農業を守るように頑張っていただきたいと思います。終わります。
  103. 高村正彦

  104. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 午前中からの御質問で、どうも農林水産省は、この畜産の動向についてという御報告もあるけれども、現状の認識が甘いのではないか、また先行きについての見通しについても楽観的なのではないかという御指摘があったけれども、私も本当にそう思います。これはもう、私も北海道のたくさんの酪農畜産農家の方とお話をし、あるいはお訪ねをして現状を見ておりますけれども、まさに切実な現状であります。そして、悲鳴にも似た声が聞こえできます。これをひとつ農水省としてもしっかり受けとめていただかなければ、この酪農、畜産というのはまさに危殆に瀕することになるのではないかと思っております。  ところで、昨年の四月から乳製品牛肉自由化をされました。もちろんこれによってさまざまな影響が出るだろうという予測をされた。されたからこそさまざまな緊急対策というのも講じられたわけでありますけれども、しかし先ほど来お話がありましたような、非常に逼迫した状況まで予想されておられたかどうかであります。たしか昨年の審議のときにも、これは大臣もそうだったと思いますし、当局もそうだったろうと思いますけれども、この自由化によって確かに影響は出るであろうけれども、しかしできるだけ生産者に迷惑はかけないつもりだ、ソフトランディングでいくんだということを約束されたはずだったと思います。しかし、先ほどのお話のように、例えば、ぬれ子の価格が一昨年に比べて現在三分の一以下になっているというようなところまでは果たして予想できたのかどうか。その辺の見通し、今振り返ってみてどうであったのか、率直にひとつ御感想などを含めてお伺いしたいと思いますし、それからそのときに、事前にいろいろと私どもももちろん協力をいたしまして対応策を講じたわけでございますけれども、それが十分に機能してきたかどうか、もしもしていないところがあるとすればどんなところに問題があるのか、それからまた今後そうした対策を、これからの見通しとあわせてどのように対処されるおつもりなのか、評価すべきところはどういうところなのかなとなどについてまずお尋ねをしたいと思います。
  105. 白井英男

    白井(英)政府委員 お答えいたします。  平成三年の四月から牛肉自由化いたしまして、これが国産の牛肉価格低下をもたらす、特に輸入牛肉と競合いたします乳用種、それの下級牛肉影響が顕著に出る、こういうことでございましたので、そうするとそれが引き続き乳用種の子牛価格影響する、さらにはぬれ予価格にも影響するということは、これは予測されたところでございます。こういう事態をできるだけ緩和するといいますか軽減する、影響を少なくするという観点から、肉用子牛生産者補給金、いわゆる子牛不足払い制度、これを実施いたしまして、子牛生産の安定を図るということであったわけであります。  それで、乳用種の子牛価格がいわゆる保証基準価格で維持される、仮定の話としては、一〇〇%といいますか、相当程度子牛が登録されてこの制度に入っておるということであれば、ぬれ子への 影響も相当緩和されるであろうというふうに我々は考えていたところでございます。ところが現在のところは、ぬれ予価格は、生産者補給金、いわゆる子牛不足払いをいたしましたけれども、依然として低落している。最近若干盛り返してきておるということでございますけれども、これは制度発足時には加入率がもう二七%とか非常に低い状態でございましたけれども、最近、制度の趣旨等が普及、周知徹底されるようなことになってまいりまして、全国レベルでは七〇%ほどに戻っておりますし、さらに北海道においては八〇%まで加入率が高まっているということでございますので、その成果が出てきたのではないかと思います。  さはさりながら、まだ加入率が低いという状態でございますので、その効果が十分には発揮されていないというふうに考えておるところでございます。したがいまして、私どもとしましては、この制度への加入促進、これを今後とも真剣になって取り組んで考えていくということをやってまいりたいと思います。  あわせまして、先ほどからも答弁申し上げておりますように、酪農農家所得が減少した、収益性が悪くなったということで、副産物でありますぬれ子の付加価値を高めるというためにいろいろ手だてをしているわけでございますけれども、この手だてにつきまして、その成果が出て、先ほどもちょっと申しましたように全国で七万頭が十四万頭にもなるというようなことで普及もし始めてきておりますので、さらにこれを普及を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  106. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 最近少し上がっているとはいいながら、これはもう千円台ですね。一番高かったときで、これは多少高過ぎたという嫌いもないではないけれども、十四万ぐらいだった。それが現在はもう四万台なんですから、これはもう大変な落ち込み方。  それで、率直に言われて、そうすると審議官、ここまでの落ち込みは予想していなかったということになるのですか、ぬれ子の価格。どのぐらいまで落ちるだろうと予測されていたのですか。
  107. 白井英男

    白井(英)政府委員 具体的に数字でどのぐらいとかというようなことまでイメージしていたわけではございませんが、子牛不足払い制度、これの成果といいますか効果といいますか、それがかなり有効に発揮されるのではないかという期待をしていたことは事実でございます。
  108. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 とにかく今度の生産費の中でも、昨年に比べて九%アップになっている。昨年も一昨年も生産費は全部マイナスで来ていたのが今度は一気に上がった。これは先ほど来のお話のように副産物価格、これが下落をした。これが生産費の中に入っているからだ。こういうことはもう明らかになっているわけです。これは、数字ではその生産費の御報告の中にも出ておりますから、時間の関係がありますのであえて申し上げませんけれども、これもお話のように、それによって粗収入の面でも手取りの所得の面でも酪農家が大変な減収になっている。鳩山委員も具体的な数字を示しておられましたけれども、これは北海道でもそうですけれども、この二年間で平均して二戸当たりで三百万近い減収になっているというのはゆゆしい問題だと思うのですね。それだけ酪農家が脆弱しておるということになります。  それで、従来は、この生乳所得と副産物所得との割合というものは大体七対三ぐらいだったんじゃないかと言われておりましたけれども、それが八対二、あるいは最近では九対一になっているというような現状ですから、ここで生産農家が息を吹き返すためには、どうしても加工原料乳の方の乳価、これによる収入が多くならなければ、これから先行きも多少値上がり傾向はあるとはいいながら、副産物収入というのは余り期待できない。それだけに先ほども鉢呂委員が最後に強調されましたけれども、本年度の乳価決定に当たってはどうしても引き下げなんということにはならないし、どうしても上げてもらわなければならないという要求が強く出てくるわけであります。  私どもがお聞きするところでは、仮にキロ当たり十円の引き上げても、そうしたマイナスをカバーできるかどうかということを言われておるのですね。しかし、現実的な問題として今まで下げ下げで来たものを一気に十円というのもいかがなものか。現実的に考えていただけるものとして、最低のところで少なくともキロ当たり五円は上げてもらわないともうやっていけないというのが、本当に生産者の方々のまさに悲鳴としての要求だと私は思っておるのです。このことを真剣にひとつ受けとめていただかなければならなかろうと思います。  けさの農業新聞を見ますと、その緊急対策として、昨年きまざまな諸手当てがなされました。それらについては財政的な関係もあって引き続き継続されるかどうかということが非常に心配された向きもあったわけでありますけれども、しかしその大方のものが、これはチーズ基金の問題もお尋ねをしようと思っておりますので、これも含めてで結構でございますが、乳質奨励金あるいは国産チーズの基金それから初妊牛の対策、肉用牛の肥育経営安定緊急対策などなどの主要事業の継続、拡充、こういうものが継続になるのではなかろうかという見通しだ。お聞きをするところによりますと、きょうも畜産局長が財政当局といろいろと詰めておられるようにも伺っておるのですけれども、これらの制度の継続性についての見通しはどんなものですか。審議官、今の段階でお答えいただけますか。     〔委員長退席、岩村委員長代理着席〕
  109. 白井英男

    白井(英)政府委員 お答えいたします。  平成三年度の乳価を決定いたします際に、先生今御指摘になりましたようないろいろな制度あるいはその以前から行われていた制度等々がございます。それらにつきましては、私ども、単年度のものもあるし、それから継続のものもございますので、最近の事態を踏まえまして慎重に見直しをしていきたいというふうに考えております。  例えば、今先生御指摘のありましたチーズの振興基金でございますけれども、これにつきましては六十二年度から始めまして、平成三年度までということで期限が切れておりますので、したがいまして、その効果なり実績なりそれから今後必要なのかどうか、それらも含めまして、今慎重に検討しているところでございます。
  110. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 慎重に検討といいますけれども、もう三月いっぱいなんですよね。もう余すところ幾らもないわけだ。もうきょうあたりこれは決めてもらわないと、生産者の人々は本当に心配で心配でどうにもならないというような状況だと思いますよ。もう少しこれははっきり言えませんか。  きょうの農業新聞だと「継続へ」、こういう大きな見出しになっているんですね。これは期待を込めてでしょうけれども、恐らくそうなるのだろうという情報も得られているからだろうと思うのです。もちろんここにも記事として書かれておりますけれども、与党自民党の内部でも大変熱心にこれに取り組んでおられて、強く要求されておる。そうしたことがあって大体継続になるんじゃないか、こういう記事になっているのですけれども、今私が指摘したようなもの、チーズ奨励金だけではなしに、ほかのものはどうですか。これを含めて、もうひとつ具体的にお話しいただけませんか。
  111. 白井英男

    白井(英)政府委員 お答えいたします。  まさしく私ども慎重に検討しているというところでございますが、チーズのお話は先ほどいたしましたけれども、初妊牛のお話でございますけれども、昨年の暮れ、初妊牛が北海道の中で係留されておりまして、それで冬場になりまして野外にまで係留しなければいけない、つまり放牧とか何かが一難しいというような事態になりまして、その事態を解決するための方策といたしましてああいう事業を仕組んだわけでございますが、季節が春になりまして、もう野外で飼養しても十分に対応できるというふうな事態になっております。したがいまして、当初ねらいました制度の趣旨なりな んなりは一応達成されたものというふうに考えておりますので、それらを踏まえて私ども慎重に検討いたしたい、こういうことでございます。
  112. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 政務次官、これは今申し上げましたように、新聞では自民党、与党の方でもこれらの制度継続については積極的だというように私ども受けとめておるのですけれども、今の審議官のお話だと慎重に検討というだけなので、これでは困るのです。もっと積極的にこれは財政当局とも詰めていただいて、それぞれ継続していただけなかったら、去年の見通しが狂っているわけですから、どうしてもやってもらわないとどうにもならないと思うのですよ。この辺ひとつ御決意を出してください。
  113. 二田孝治

    ○二田政府委員 ただいま事務当局に汗を旅させながら一生懸命検討させておるところでございます。できるならばそうなりたいと思っておりますけれども、やはりなかなか難しいところもあるようでございます。一生懸命頑張らせておりますので、よろしくお願いします。
  114. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 難しい、難しくないと言うだけではなくて、冒頭申し上げましたように生産者の方は本当に塗炭の苦しみの中からなんですよ。これをひとつ重く考えていただいて、何が何でもやはり通すという決意で当たってもらわないと、政務次官、これは困ります。大臣にもよく申し上げてください。私どもも応援しますから、これは頑張ってくださいよ。  それから、生産費が発表になったわけですけれども、従来から生産費の算定に当たっては、それからまたこれからの乳価の決定、これにももちろん大きなポイントになるわけですけれども、労働費のとり方、労賃のとり方、これについてはかねてからいろいろな議論がございました。前の近藤農林水産大臣のときにも、この労働費のとり方あるいは労賃のとり方については見直す必要がある、生産者の実情をよく伺って、その要求に応じられるような算定をひとつしたいということを言っておられたと思うのですけれども、今度のこの発表でも労働費の点ではまことに簡単な記述しかございません。  そこで、私どもあるいは生産者の方からかねて要求されておられたようなことが加味されておるのかどうか。例えば、具体的には労働省の毎月勤労統計の産業計の平均賃金を用いて算定してもらいたいとか、あるいは飼料作物の労働費は飼育の副産物労働費と同一の賃金としてもらいたいとか、あるいは飼育及び飼料作物労働費の労働時間合理化部分生産者に還元するという考慮をしてもらいたいとか、あるいは企画管理労働費も適正に評価してもらいたいとか、さまざまな要求が出ているわけです。こういうところが今度は算定方式の中で考慮されておられるのかどうか、これをお伺いしておきたいと思います。    〔岩村委員長代理退席、金子(徳)委員長     代理着席〕
  115. 白井英男

    白井(英)政府委員 お答えいたします。  労働費の算定のお話でございますが、一つは飼育管理労働の話でございます。これは、酪農の飼育労働というのが一年間ずっと拘束されて行われるという非常な特性を持っているわけでございますので、その特性に配慮いたしまして、当該地域の五人以上の製造業の労賃で評価がえをするというやり方でやっております。具体的には、北海道地域の五人以上の製造業の労賃で評価がえをするということでございます。  それから、飼料作物の労働につきましては、農村雇用労賃で物価修正をして算出するということでございますが、このわけは、飼料作物労働といいますのは、飼育管理労働とは異なりまして、飼育管理労働は先ほど申しましたように一年じゅう無休でやらざるを得ない、それから拘束的であるというようなことがございますが、そういう特性がない、他の畑作物と同じような労働であるということで、他の畑作物、例えば麦とか大豆とかこういうものの価格を算出いたしますときに農村雇用労賃を採用しておりますので、これと同じ評価基準ということで考えてやっているところでございます。  それから、企画管理労働費でございますけれども、これにつきましてはいろいろ議論がございましたけれども平成元年度の保証価格からこれを算定するということで導入をされたわけでございます。それで、これの算定につきましては、統計情報部の酪農の企画管理労働に関する調査に基づきましてその実績を出しまして、それで先ほど言いました北海道の場合ですと、北海道の製造業五人以上の規模の労賃で評価がえをするという形でやってきていることでございまして、これらにつきましては、私どもといたしましては、畜産振興審議会の意見を聴取しながらやってきた確立された方式であるということで、適正なものであるというふうに考えてきているところでございます。
  116. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 先ほど私が申し上げたようなことというのは、かねてから生産者の方からは、本当にこういうことを考えてもらっているのだろうかという要求があるのです。畜審の方では偉い方々がいろいろと御検討になるのでしょうけれども、こうした生産者の労働の密度は本当に大変です。酪農、畜産に当たっている人というのは、生き物を相手にして本当に一瞬の緩みもないような状況でやっているわけですから、そうした苦しみを評価されるような労賃評価でなければいけないと思うのですね。この辺のことをぜひお伝えをいただきたいと思うのです、畜審の方にも。  時間がありませんので、次の質問に移らざるを得ないわけですけれども、最近の新聞報道その他を見ても、輸入農産物というのは大変にふえてきております。昨年度は輸入額で、輸入農産物三百億ドル。これは史上最高だと言われておるのですね。アメリカからの輸入というのはそのうちで百六十六億ドル、本当に大きなものを占めています。牛肉輸入についても、今年度は一月までで二十八万九千トンですけれども、年間では恐らく三十三万トンになるだろう、そして来年度は恐らく三十数万トン、四十万トンに近いところまで行くのではないかというようにも言われておるわけですね。  これもまたきょうの農業新聞ですけれども、ことしはまたそうした関税率が一〇%引き下がるということを見越して、大手のスーパー、ダイエーだとかニチイなどは関税率引き下げの先取りフェアをもうスタートさせて、輸入牛肉を大変安く売り出しているというようなことで、これがまたどんどん大きくなってきますと、国内産の牛肉生産者にもまた圧迫感が出てくるのではないかということが非常に心配される、この手当てもしっかりやっていただかなければならないと同時に、こうした輸入物がふえできますと、その安全性の問題が消費者の目から見ても心配になってくるのではなかろうかと思うのです。  そこで、私は一昨年、こういう輸入農産物の安全性点検の体制はどうなっているかということをお聞きをいたしましたけれども、現在、この安全点検の監視体制はどのような体制でやっておられるのかまず一般的にお聞きをし、その次に、特にこの牛肉あるいは乳製品についての監視体制についてお伺いしたいと思います。
  117. 織田肇

    ○織田説明員 輸入食品の安全性確保は国民の健康を守る上で極めて重要であり、従来から輸入食品の監視体制の整備充実に努力してきたところでございます。  現在の輸入食品の監視体制につきましては、全国二十六カ所の検疫所におきます輸入食品監視窓口におきまして一百四十三名の食品衛生監視員が食品安全確保業務に従事しております。また平成三年度には、農業等高度な検査を集中的に実施する検査センターを横浜検疫所に設けたところであります。
  118. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 一昨年お尋ねしたときよりは検査員の数も確かにふえてはおると思うのですが、同時に検査の対象物件もふえているはずですね。対象物件は、件数でどのくらいありますか。
  119. 伊藤蓮太郎

    ○伊藤説明員 お答え申し上げます。  先生お尋ねの、特に食肉、乳製品について御説明させていただきますと、従来より、輸出国の規制の状況とかいろいろな情報収集に努めておりまして、それで問題があるもの、例えば食肉の抗菌性物質でありますとか、そういう問題のあるものについては輸入時の検査を強化するというような施策をとってきております。ちなみに平成二年度の輸入につきましては、抗生物質、抗菌性物質など二千七百十検体検査しまして、いずれも抗菌性物質は検出されていないという状況です。
  120. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 お答えがちょっと簡単過ぎるように思えるのだけれども、それで万全なのかな、どうも不安に思います。  さっき検査所の数と検査員の数はお話があったのですけれども、検査対象物件、これは一昨年私がお尋ねしたときには、たしか検査の対象になる件数は六十万件ぐらいある。そんな多いのだったら、あのときで九十八名ぐらいだったとお聞きしていたと思いますけれども、できるのかと言ったら、書類審査でずっと落としていって、直接に検査するのは十三万件ぐらいなんだ、それでもこれではとても足りないということを私は言ったわけですけれども、現在の対象件数はどのくらいになっていますか。
  121. 伊藤蓮太郎

    ○伊藤説明員 説明がちょっと言葉足らずで失礼しました。  食肉について御説明させていただきますと、一昨年、平成元年が届け出件数約十万件でしたが、平成二年は届け出件数、そう変わっておりません、同じく十万少々であります。ただ、その前の六十三年が八万八千件ですから、それ以降相当ふえているということが言えようかと思います。それで、全体の届け出件数でいきますと六十三万件、それ全部について書類審査をしました。その中で疑わしいもの、先ほど申し上げましたような抗菌性物質の汚染の可能性の高いようなもの、そういうものを検査するわけです。食肉について検査をしましたのが、平成二年度、届け出十万百六十三件に対しまして一万九千二百四件、一九・二%でした。その中で、抗菌性物質など食品衛生法に違反するということが明らかになりましたものが六十七件という状況になっております。
  122. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 時間が参りましたので、この問題も本当はもっと突っ込みたいのですけれども、これはまた別の機会にやりたいと思っております。いずれにいたしましても、年々輸入農産物はふえてくるのは間違いないことであります。この検査をしっかりやっていただかないと、これは安全性の点ではまことに問題が出てくるだろうと思います。  そしてまた、ガットとの絡みでも、きょうは時間がなくてお答えいただけませんけれどもガットの成り行きいかんによっては、何といっても自由化を推し進めるという方針を持っているわけですから、その中でこの輸入農産物の安全性の基準が緩和されるのじゃないか、検疫・衛生措置、これもまた国際的に平準化されるのじゃないかという心配が一般にあるわけでして、こういうことのないようにしっかり検疫体制あるいは検査体制を強めていただくということをやってもらいたいということを要望しておきたいと思います。  最後になりました。もうくどくど申し上げる必要もないと思いますけれども、先ほど来申し上げましたように、また、お話も出ておりますように、畜産、酪農状況は今まさに危殆に瀕しているんだという実情をしっかりと把握していただきたい。そして、この畜産酪農農家が生き延びるためには、畜産物価格のこれ以上の下げなんということになったらどうにもならぬ。数字でもお示しいただきましたし、見通しもありましたけれども生産者が減ることはあってもこれ以上ふえることはないのではなかろうかと思っております。ヘルパー制度の活用などももっと充実していただくようにしていただかないと、今、春闘真っ最中ですけれども、勤労者の方々は労働時間が短縮されるのに、畜産、酪農生産者については労働時間が一向に短縮されない。宮澤総理が言っておられるようなゆとりのある生活なんというのはとても及びもつかないというような状況になる。これでは酪農、畜産の将来は本当にお寒い状況なのでありますから、こういうことにならないように頑張っていただきたいと思いますし、畜産の審議会の方にも、今年度の乳価については上げの方向で考えてもらうように、どうかひとつ強力にてこ入れをしていただきたいということを強く申し上げて、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  123. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員長代理 堀込征雄君。
  124. 堀込征雄

    ○堀込委員 午前中の鉢呂議員の質問の中で、加工原料乳の乳価決定に当たって、算定要素はいろいろな経済事情をしんしゃくをして決めるのでその都度変わることがあり得る、過去にもそういうことがあった、こういう答弁がございました。私も、この乳価だけではなしに、米価やいろいろなときに一夜にして農林省の、資本利子が変わったり地代が変わったり、こういうことを経験してきているわけでありまして、そういう意味では、一体何を根拠にどういうふうに決めていくのかという点について、朝以来の議論を聞いていますが、私はまだ理解ができない点が非常にあるわけであります。特に不足払いの関係につきましては、生産条件、そして需給事情その他の経済事情をしんしゃくして決めるんだ、こういうふうに答弁をされました。そして、その他の経済事情の中には、算定の要素の中には今の国際交渉ガット状況ども当然考慮に入る、あるいは念頭に置いてやるんだ、こういう答弁がございました。  そうしますと、私ども生産費はこうなっている、それから需給事情はこうなっているということはわかるのですけれども、それでは、ガット国別表にどういうものを出したんだということがわからないと、私どもも納得できないし、全国の生産農民の皆さんあるいはこの問題に携わる人々も納得はできない、こういうふうに思うのです。そこで、ガット国別表に、例えば今度の乳製品にかかわる部分をどういうふうに提出をしたのか、ここへ出せますか、出せませんか、あるいはその資料についてなぜ出せないのかという点について明確にしていただきたいと思います。
  125. 川合淳二

    川合政府委員 お話のように国別約束表を三月四日に提出いたしました。交渉はまさにこれからでございます。この国別約束表につきましては、ガット事務局の方から、お互いにこれから交渉に入ることになっておりますので、秘扱いというふうにされることになっております。したがいまして、この中の詳細につきましては差し控えさせていただきたいわけでございますけれども、私どもは、従来から申しておりますように、基本的な考え方は従来から全然変えておりません。これに基づいて出しているわけでございます。  今お話しの問題は、これからまさに交渉が進められ、合意ができるとすれば、そのときに私どもはそれは公表を当然すべきものだと思っておりますけれども、現在はそういう交渉の途中にあることもございまして、またガット事務局から国際的な扱いとしてそういう扱いになっておりますから、そういう取り扱いをさせていただいているということでございます。
  126. 堀込征雄

    ○堀込委員 それでは国際交渉もありますからそのことはともかくとしまして、乳製品関税化あるいは米の関税化、こういうものについては受け入れられない、無記入にした、こういう答弁が先日の委員会でございました。例外なき関税化については、特に乳製品の場合は加工原料乳生産者補給金等暫定措置法がやはり数量にかかわる法律だということで、食管法と同じく関税化を受け入れる場合は改正が必要だということは、私、先日の委員会で質問をいたしまして、そういう答弁もいただきました。それはそれでいいのですけれども、例えば牛肉関税率の記入でありますが、これは基準年の一九八六年−八八年以降に自由化をして今関税率を減らしつつあるわけでありますが、牛肉については例えば関税率の記入並びにその際の削減予定などは計算の基礎に入ったのでございましょうか、いかがでしょうか。
  127. 白井英男

    白井(英)政府委員 今牛肉関税のお話がございました。今回、国別表で出しました関税のオファーの考え方につきましては、一般関税につきまして原則三〇%、品目によってはこれより低いものを出すという形で出しておりまして、個別品目ごとの具体的な関税の引き下げの件につきましては、先ほど経済局長からもお話がございましたように、交渉事項というようなことでございますので御勘弁をいただきたいと思っております。
  128. 堀込征雄

    ○堀込委員 ただ、牛肉関税については七〇%、六〇%、そして五〇%という経過を踏みながら自由化を受け入れたという経過がございますから、今答弁できないということでございますけれども、これをさらに削減をしていくというような方向で出しているとすれば、これはやはり問題ではないか、こういうふうに思います。  それでは国別表についてちょっとお伺いいたします。  一昨年出したオファーがございます。この場合、牛乳・乳製品はユニットAMSで記入をしていますけれども、昨年実績が大体一八・一%、そして九〇年から九六年までに八・六%を削減をしていくんだ、こういうオファーリストを提出しているはずであります。そうしますと、今度の国内支持政策は二〇%の削減でございますから、おおむね国際約束の八六年—八八年を基準にした削減は完了をしているのではないかというふうに私ども見るわけでありますが、今度はトータルAMSで出していますから多少違うのでありましょうけれども寸少なくとも一昨年のオファーリストを見る限り、私ども乳製品に関しては既に国際約束の分はほぼ完了している、こういうふうに見るわけでございますが、いかがでございますか。
  129. 川合淳二

    川合政府委員 先ほどちょっと御質問がございました、一班に自由化を決定し、実行に移している件についてでございますが、これは私どもは既定方針としてとられている方針を踏まえて国別表提出しております。  それから、今のお話でございますが、国別表の中の国内支持につきましては、私どもは今後の政策の展開になるべく弾力性を持たせたいという方針提出しているわけでございます。  今具体的な品目についてのお話がございましたが、実はアメリカ国内支持の数字に関しまして、ほとんど影響ないということを国内に説明をいたしたことがございます。それにつきまして、ECから非常にこの点を指摘されまして交渉の火種となっている実態がございます。したがいまして、こうしたことにつきましては、今後本格化する交渉に私ども入るわけでございますので、その辺につきましては差し控えさせていただきたいということを先ほどから申し上げているところでございます。
  130. 堀込征雄

    ○堀込委員 しかし、今例えば加工原料乳の価格の問題を議論しているわけであります。トータルのAMSでしますと、国際価格との比較がございますから必ずしも明確ではありません。しかし、補給金単価の面で見ますと、例えば八六年は十八円三銭、八七年十五円八銭、八八年十三円三十二銭。したがって、補給金単価の面で見ますと、基準の三カ年をとって、例えば昨年の十一円三十五銭という補給金単価を見ますと、私はこの基準年から比較をしまして、単価の面で見る限り国際約束の二〇%は完了している。したがって、ことしの補給金単価をこれ以上、例えばさっきのようにその他の経済事情で国際環境を考慮する、たとえそういう立場に立ったとしても、引き下げるべき要因にはならないのではないか、こういうふうに認識をしておりますが、いかがでございますか。
  131. 白井英男

    白井(英)政府委員 お答えいたします。  ダンケルの最終合意案に沿います国内支持についての削減の考え方というのは、御承知のことでございましょうけれども、内外価格差に価格支持の対象数量を乗じたもの、それプラス不足払い額等のいわゆる黄色の財政支出額との合計額という形になっております。先生先ほどからおっしゃっております、一昨年出しましたオファー案は、まさしくユニットAMSでございますので、そうすると、価格が主たるバロメーターということになります。今度の場合には価格掛ける数量でございますから、端的に言うと限度数量というトータルで考えるということでございますので、単純に比較するのはなかなか難しいのではないかというふうに私ども認識しております。
  132. 堀込征雄

    ○堀込委員 私は、要するにこの数カ年の乳価の歴史を見まして、今国際環境の問題も、その他の経済事情を考慮をしてということでガットの情勢も念頭に置いてという発言がございましたから、しかし、そういうことを念頭に置いたとしても、この間、国際約束のできる二〇%の削減は十分済んでいるのではないか。したがって、ことしの乳価決定に当たってガットの情勢を念頭に置くことについては、少なくとも大幅に、物すごく何十円も引き上げるという話なら別でありますけれども、必要ないのではないか、こういうふうに思うわけでございまして、なかなか歯切れのいい答弁ではありませんけれども、そういう点も念頭に置いて乳価の決定をいただきたいと思います。国際交渉上いろいろなことがあって明確にできないということでありますけれども、私どもは、そういう意味では今度の畜産物価格はもうガット削減約束をクリアしている、したがってそれにこだわらず畜産価格を決めればいいのではないかというふうに理解をいたします。  もう一点でありますが、アメリカ・ドイツの首脳会談もございました。大分アメリカECの接近が取りざたされているわけでありますが、問題は、ダンケル案を修正をさせる交渉、つまり第四トラック交渉が開かれなければ私どもの米の問題あるいは乳製品、でん粉の問題も解決されないということだろうと思いますが、第四トラックの開催に向けてどういう状況になっているか、どういう努力をされているか、御答弁をいただきます。
  133. 川合淳二

    川合政府委員 今お話ございましたように国別表が一応提出されたわけでございます。けさほども御報告申し上げましたように、事務局の報告では二十七カ国、まあ曲がりなりにもと言った方がよろしいかと思いますが、出ているようでございます。これをめぐりまして今後どういうふうな展開になるか、率直に申しまして不透明なところが多いわけでございますが、我が国といたしましては、その国別表の中で修正を要すべき点につきまして明確に示しながら国別表を出しておりますので、第四トラックを開くのを手をこまねいて待つということではなく、まず私どもの考え方を再度各国に理解を求めるべく、三月上旬にも審議官クラスを各国に派遣して理解を求めることをいたしました。現在、今週はOECDの農業会議が開かれます、そこに私どもの国際部長が出席することになっておりますので、そこを通じましてさらに私どもの基本的考え方の理解を求めるべく各国と接触を持ちたい。同時に米、ECとの関係が何よりも重要でございますので、それにつきましての情報収集にも当たりたいということで対応しているところでございます。
  134. 堀込征雄

    ○堀込委員 ぜひそういうことで修正努力のために第四トラックの開催を展望する必要があるんではないか、こういうふうに思います。  それで、価格政策決定の問題でありますが、今、来年度予算案が衆議院を通過いたしまして参議院で予算委員会が開かれているわけであります。そこでお伺いをいたします。この予算案と今度の畜産物価格はどういうふうに連動するか。具体的に言いますと、今年度予算に加工原料乳の単価及び限度数量の積算根拠はどういうふうにのせてございますか。
  135. 白井英男

    白井(英)政府委員 お答えいたします。  加工原料乳に係ります指定生乳生産者団体補給交付金、この予算でございますが、その基礎となります保証価格、基準取引価格それから限度数量、これは毎年度末の畜産振興審議会の議を経て決定されることになりますので、したがいまして従来概算決定時、まあ十二月になるかと思いますけれども、それには前年度の価格、数量を用いまして算出しました予算額、これを計上しているところでございます。四年度の予算につきましても同様の考えでございます。
  136. 堀込征雄

    ○堀込委員 要するに、衆議院を通過した予算案の中には単価十一円三十五銭、限度数量二百四十万トンの予算を計上してある、こういうことでございますね。加工原料乳不足払い等の予算額およそ二百七十億ですか、これに事務費がプラスされて、そして事業団の補給金勘定充当額からこれは補てんするという形になっているわけでございましょうか。そういうことですね。予算上見まして、事業団の補給金勘定の例えば昨年の三億四千九百万円、これは非常に幅のある数字だ、したがって今年度予算以上に、つまり十一円三十五銭以上に加工原料乳価格を引き上げても余裕のある数字だ、こういうふうに見てよろしゅうございますか。
  137. 白井英男

    白井(英)政府委員 保証価格なり基準取引価格なり限度数量につきましては、先ほど申しましたようにこれから畜産振興審議会の議を経まして適正に決定されるということでございますが、先生の御質問の意図は、もし平成四年度予算に計上している予算で不足する場合どうするんだということだろうと思いますが、仮定の話でございますので答えにくいのでございますけれども、じゃ過去にそういう不足した場合どういうことをしたかということを事例的に申し上げますと、いろいろなケースがございますけれども一つは補正予算によって増額したということがございます。二つ目は他の事業からの流用によって充当したというのがございます。それから三つ目が畜産振興事業団の資金から充当したという方法がございまして、それぞれの状況に応じて対応しているということでございます。
  138. 堀込征雄

    ○堀込委員 ありがとうございました。つまり、加工原料乳価格を引き上げても予算上は大丈夫だ。それから、国際関係を考慮するといいますが、二〇%の国際約束の削減率は大体クリアしてきているのではないか、こういうことが明らかになってきたというふうに解釈いたします。したがいまして、ことしのいろいろな条件を考えますと、私は、加工原料乳の価格は、生産費が上がっている中で、その他の経済事情、その他の需給事情とかいろいろ考慮をしても、どうしても上げの条件しかないのではないか、こういうふうに思うわけであります。政務次官、いかがでございましょうか。もうどうしても引き上げしか国民や農民に説得力がないのではないか、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  139. 二田孝治

    ○二田政府委員 ただいまのところ、先ほどから申しておりますように畜審の方で慎重な審議をいたしておるというのが現況でございます。ですから、その結論が出るまでの間は上がるとか下がるとかと言うことは、これはやはり難しいのじゃないかな、こう思っておりますので、よろしく御理解のほどをお願い申し上げたいと思います。
  140. 堀込征雄

    ○堀込委員 きょうの答弁としては仕方がない面があろうかと思います。しかし朝からこれだけ農水委員会の審議をして、各議員の方々が、やはりことしは生産費も上がっているし上げるべきだという趣旨の質問をいたしました。したがって、私は、きょう大切な一日をみんなで演説会をやっているわけではないわけでございまして、審議会の意見も結構でございますが、国会の意見も十分配慮をして、十分聞いて、引き上げに向けて大臣ともども次官にも努力をいただきたい、こういうふうに思います。  そこで、大分時間がなくなりましたのでもう一点だけ、豚肉の問題でありますけれども、大変危機的状況になっておりまして、戸数減が一七%、これは年々コンスタントに減っているわけでありまして、大体六、七千戸ずつ毎年減っている、とうとう三万六千戸になっているわけでありまして、このままいくとあと五、六年で日本の養豚は滅びるのではないか、こういう状況にあります。この豚肉の生産減が各県地域の食肉センターなどの経営にも非常に大きな影響を今与えているという状況がございます。何といっても差額関税制度の維持を図りながら、公害対策、病気対策、こういうものをきめ細かく展開することが必要だというふうに思います。この豚の危機的状況についていろいろな政策をお聞きしていますが、ぜひ農水省の方で、特に運用対策といいますか、基本的な考え方、政策の運用について、養豚をもう一度再生するというような考え方がありましたらお聞かせをいただきたいと思います。
  141. 白井英男

    白井(英)政府委員 答弁申し上げます。  豚の飼養農家、これが大幅に減少している、しかも飼養頭数も減少しているということでございまして、特に平成元年に一時的に収益性が悪化したということで拍車がかかったのではないかと思います。特にそれ以外に考えられることといたしましては、先生御指摘のような環境問題、これが大きいのではないかというふうに思っております。私ども、こういう状況を踏まえまして、養豚の一層の生産性、品質の向上、経営の合理化、これを進めたいと思っております。  具体的には、一つには、環境保全対策といたしましてのふん尿処理、これの適正な処理、それから堆肥の有効利用。それから二つ目は、オーエスキー病等の疾病対策、衛生対策、これを強化していきたい。それから三つ目は、優良種豚の改良増殖の推進、これをやっていきたい。四つ目は、経営管理技術なり飼養管理技術、これらの改善指導をやっていきたい。それからやはり豚肉の消費拡大、これが大事でございますので、これにも力を入れていきたい。それと経営安定化のための長期低利資金、これの融通等を図ってまいりたいというふうなことで対策の充実強化に努めてまいりたいと思っております。
  142. 堀込征雄

    ○堀込委員 ぜひ、具体的な施策を通じながら、養豚の問題についても配慮をお願いしたいと思います。  それでは、あと時間がありませんから、養蚕の問題に移らせてもらいます。  いずれにしても、先ほどもちょっとございましたが、明治以来日本の発展を支えてきた養蚕、製糸が今大変危機的な状況にございます。新たな対応策をとらない限り、もう大変な事態になっていることは明らかであります。養蚕農家四万四千戸が実に五年間で半減をしておる、こういう事実もあるわけでありまして、この原因はも至言うまでもありません、生糸価格の低迷であります。これ一つに尽きるわけであります。一万一千円を割り込んで一万七百円、こういう相場になっているわけでありまして、このまま推移をすると十年後には日本から養蚕がなくなってしまうだろう、こういうふうに言われています。いずれにしても、輸入製品の急増だとか流通段階の問題だとか、いろいろあるわけでありますが、特に、事業団が今一元輸入をやっているわけでありますけれども、二次加工品を含めていろいろな輸入がやはり生糸の相場を下げているんではないか。この輸入対策について考え方がありましたらお聞かせをいただきたいと思います。
  143. 上野博史

    ○上野政府委員 まず織物の関係でございますけれども、この関係につきましては、このところ割に数量的には輸入の水準というのは落ちついているというふうに考えております。ただ、質的にいい物が入ってきているというのが国産の生糸と相当競合していて難しい問題を起こしている、こういう状況にあるんだろうと考えております。  この絹織物あるいは絹の二次製品につきましては、これは自由化品目でございますのでなかなか輸入の抑制というのは難しいわけでございますけれども、絹織物につきましては、これを所管いたしております通産省で、主要国との二国間協議あるいは輸出入取引法に基づく輸入承認制というような措置を通じまして対応をしてまいっておりまして、私どもといたしましても、我が国の蚕糸絹業の一体となった発展を図るという見地に立って、通産省と連絡をとりながら対応してまいりたい、かように考えておるところでございます。  それから生糸の問題につきましては、中国との輸入数量協定の交渉などを行っているわけでございますけれども国内の需給状況を十分に考慮に入れながら対応してまいっておる、両国間の意向というのが相当隔たりがございまして、まだ結論を見ておりませんが、私どもとしては国内状況を十分に踏まえながらやりたい、かように考えている次第でございます。
  144. 堀込征雄

    ○堀込委員 それで、輸入の増大、急増しているということと需要の低迷、こういうことがある。今ありましたように、輸出国の中国が二〇%近く値下げをしたというようなこともあって輸入が増大をしている、こういう問題があることはわかりました。適切な対処をいただきたいと思います。  もう一つ、この製糸あるいは絹業、問屋、小売という流通ルートがございますが、この間に例えば信用不安といいますか思惑といいますか、そういうものがあって、特に先物価格から下がっていっているんだ、こういう事態があるのかないのか。どうもそういうふうにあるような気がするわけでありまして、本来需給関係で決まる価格が需給以上に冷え込んでいるというようなことがそういう流通段階の信用不安みたいなところから起きているんではないか、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  145. 上野博史

    ○上野政府委員 現在の生糸の需給事情の低迷といいますか価格の低迷、これの原因についてはいろいろなことが言われているわけでございまして、総需要が非常に少なくなっている、和装に対する需要が低迷をしている、あるいは全体としての経済の低迷が高級な呉服類の売れ行きを妨げているというようなことも言われているわけでございます。そのほかに、今委員御指摘のように、流通業界に一部信用不安、これは必ずしも生糸関係商品の取引に伴って起こったということではございませんで、このところのバブルがはじけたというような、そういう形での問題の一態様かというふうに我々聞いておるところでございますが、そういうことによりまして流通業者の一部に信用不安のおそれのあるものがあるというようなことが、言われていて、全体として生糸の取引が手控えられているというような事情があるというふうに新聞等でも報じられているわけでございます。この辺の信憑性についてそう的確に調べる手だてもないわけでございますけれども、そういうような心理的な面がかなり生糸の取引に影響を与えている面はあるんじゃないかというふうに考えているところでございます。
  146. 堀込征雄

    ○堀込委員 そこで、農林水産省も後押しをしまして繭、生糸取引の新システムの導入というようなことを検討して、この低迷する糸価、何とか引き上げようということで関連団体が努力をした経過がございました。結果的にこれは失敗に終わったというふうに報道されているわけでありますけれども、このシステムによりますと、製糸業界に乾繭の輸入を少しふやすとか大分ふやすとか、あるいは織物業界には輸入生糸の数量をふやすとか、そういうことだというふうに言われています。結果は、特にある業界の反対で振り出しに戻ったというふうにお聞きをしているわけでありますけれども、しかし、逆にこれで業界の方も乾繭や輸入生糸の拡大ができにくくなったんではないかというふうにも考えるわけでありますけれども、農水省、このシステムの導入についてどういうお考えでございましょうか、考え方を聞かせてください。
  147. 上野博史

    ○上野政府委員 今委員からお話のございました養蚕、製糸、絹業の三団体の話し合いによりまして新しいシステムを取り込むということ、これは要するに繭なり生糸の取引というものの価格をできるだけ安定させる、しかし、国内の繭なり生糸が需要に満たない、減少するというような事態に対応して適切に輸入の生糸の供給も行っていくというような内容のものであったわけでございますけれども、これはお話しのように余り最終的にうまくいかなかったということでございます。  ただ、現在の蚕糸絹業を取り巻く非常に厳しい事情に対応してまいるためには、関係業界が十分に話し合いをしましてコンセンサスによる協調を図っていく、その中から解決策を模索していくということは大変望ましいわけでございまして、私どもとすれば、業界の中に一部検討の継続を望む声もあるというふうにも聞いておりますので、業界の意向を踏まえながら引き続き努力をするということであれば、そういう可能性があればそうすることについてもやぶさかではない、かように考えておるところでございます。
  148. 堀込征雄

    ○堀込委員 昨年の委員会の私の質問で、農水省は当時、安定上位価格と安定基準価格の中心価格のちょっと上の、昨年の今ごろの相場が一万三千三百円程度であって、これが非常に望ましい水準で、大体安定水準だ、繭の価格にすると二千円程度で、これも農水省としては望ましい水準だ、こういうふうに答弁されました。今はこれに比べて大変な事態になっているわけであります。今年度の価格決定に当たって、やはりどうしても考慮をいただかなければならない、こういうふうに考えますけれども、ことしの価格決定に当たっての認識あるいは基本的な考え方について最後にお伺いをいたします。
  149. 二田孝治

    ○二田政府委員 繭糸の価格決定に当たりましては、繭糸価格安定法第三条の規定によりまして、繭糸行政価格は、生糸の生産条件、需給事情その他の経済事情を考慮して定めることとなっているのは御案内のとおりだと思います。したがいまして、平成四年生糸年度の繭糸行政価格の決定に当たりましては、これらのことを十分考慮しつつ、関係方面の御意見も参考にいたしながら、蚕糸業振興審議会に諮った上で適切に決定してまいる所存でございますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
  150. 堀込征雄

    ○堀込委員 終わります。
  151. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員長代理 藤原房雄君。
  152. 藤原房雄

    ○藤原委員 最初に、ウルグアイ・ラウンドにつきましてお尋ねをしておきたいと思うのであります。  昨年の十二月、ダンケル・ペーパー、この例外なき関税化、これが最終合意案として出されたわけでありますが、それに伴いまして三月、それぞれの国別の約束表というのが提出をされる、こういうことであり、そしてまたダンケルの発言の中にもありますように、ガットも四月の中旬までにはまとめなければならない、こういうことが言われておるわけであります。  この今日までの経過の中で、いろいろないきさつがございますが、最近特に私どもが注目をいたしておりますのは、アメリカEC、これが最近いろいろ協議をいたしているようでございまして、これらのことにつきましては農水省としてはどのようにこの協議を見ておるのか。我々の今日までの認識ですと、アメリカECがこの協議の中では容易に話し合いがつく状態にはない、こういうことでありますが、農水省としてはどのように受けとめていらっしゃるのか、まずこの辺についてお伺いをしておきたいと思います。
  153. 二田孝治

    ○二田政府委員 藤原先生り御質問にお答え申し上げたいと思います。  前にも申しましたとおり、この三月四日にはガット事務局農業に関する国別約束表提出いたしましたところです。この内容は、既に御案内のとおり、包括的関税化の考え方は受け入れられないということをはっきり意思表示をいたしております。それから、ダンケル合意案の農業部分についての修正の考え方を示しつつ提出いたしたものでございます。  最近、米・EC間におきましては、ウルグアイ・ラウンドにつきまして種々のレベルで協議が行われております。つい先日も、ブッシュ・アメリカ大統領とコール・ドイツ首相との間で会談が行われたという報道がなされておるわけでありますが、農水省の考え方といたしましては、大きな進展はなかっただろうというふうに判断をいたしております。  農業交渉につきましては、各国ともいろいろの困難な問題を抱えている現状から、今後の成り行きは不透明な状況にあると考えております。例えばドイツのコール首相とブッシュ大統領と話し合われた問題が、そのままフランスにすんなり受け入れられるのか、スイスに受け入れられるのか、いろいろなEC間でのあつれきもございますので、やはりなかなか困難な問題じゃないだろうかな、こういうふうに思うわけでございます。  いずれにせよ、我が国といたしましては、アメリカEC間の協議等を十分に注目いたしながら、これまでの基本方針のもとに食糧純輸入国としての立場が確保されるように最大限努力を傾注してまいる所存でございますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  以上です。
  154. 藤原房雄

    ○藤原委員 随分大きい声で力説なさって、本当におっしゃるとおりなら私も心配してこういう質問をしないのですけれども、ブッシュ・コールの首脳同士の話し合いを初めとしまして、いろいろなこういう動きがある。私が心配するのは、ECアメリカとの間、またECの中、こういう中で非常に相入れないといいますか問題のあることはよく存じておりますが、しかし、何とかまとめようというのが当初の話でございましたし、また、それぞれまとめていこうという意思の上に立ってこの話し合いをしてきたわけであります。そういうことからいいますと、今日までのガットのいろいろないきさつをかんがみますと、日本は他力的といいますか、日本が主体的に先導的な役割というのは果たしたことがないわけで、あっちを見てこっちを見てそうした中でという状況判断、いい言葉で言えば状況判断なんですが、そういう中で自分の、日本の国の立場を主張する。しかし、最終的にはなかなかその主張が通らぬという道筋というのは今まで何度も経験しておるわけであります。そういうことからいいまして、日本の頭越しにアメリカEC、これらのところが、期間もそうたくさんあるわけじゃありませんから不透明であるということは私どもそう認識はいたしておりますけれども、何がきっかけになってどこまでの話が進むのか、こういうことで、日本の頭越しにやられるようなことがないのかどうかということを危惧しておるわけでありまして、そういう点で認識をお伺いしたわけであります。  まあ過去の状況等については、ジュネーブにおきましてそれぞれ担当の方々がいろいろな様子については的確に情報を把握し、そしてまた農水省ではそれらのものを分析してのただいまの政務次官の御答弁であろうかと思うのでありますけれども、不透明とはいいながら、いろいろな動きのあるそういう中、ひとつ慎重に状況判断をし、そして日本の頭越しといいますか、日本が置き去りになるようなことのない的確な判断が、そしてまた的確な対応のできるような、こういうことで、これからの一日一日というのは非常に大事であろうかと思いますので老婆心ながら申し上げておるのでございますが、いかがでしょう。
  155. 川合淳二

    川合政府委員 ただいま政務次官から御答弁申し上げましたことに尽きるわけでございますが、お話しのように非常にわかりにくい面がございます。先ほど政務次官からも御答弁ございましたように、各段階でECアメリカの接触があるわけですけれども、コール・ブッシュの直前にも高級事務レベルの会議がございまして、私どもがうかがい知るところでは、ここでは従来と同じような問題がございまして、これについての大きな進展はどうも見られなかったのではないかというような情報でございます。  ただ、今お話もございましたように、一つのターゲットとして四月中旬、あるいは、きのうはコール首相は四月いっぱいというようなことを言ったようでございますけれども、各国ともに、ウルグアイ・ラウンドをまとめることについて、何とかしなければいけないという気持ちは持っているわけでございますので、これから最終局面にだんだん差しかかるわけでございますが、私どももそうした動きを十分いろいろな角度から把握いたしまして、緊張感を持って臨んでいかなければいけないというふうに思っております。
  156. 藤原房雄

    ○藤原委員 次は、十二品目につきまして、乳製品輸入数量制限、これがガット違反ということで、六十三年の二月、パネルで裁定があったわけでありますけれども日本はこれを断りまして、乳製品、でん粉、雑豆等につきます十一条二項(c)の明確化ということを主張し、カナダとともにこれを訴えておるわけでありますが、今や日本の国も、乳製品を初めとしますこの十二品目につきましては、食生活の中でなくてはならない、非常に大きなウエートを占める今日になってまいりました。また、国も乳製品を初めとしますこれらのものに対しましては相当な力を入れてこの二十年、三十年やって、酪農振興を初めとします諸施策によって、今日日本の国の主要な産業といいますか、位置づけに置かれるようなところまで来たわけであります。  こういうことからしまして、米の陰に隠れておるといいますか、米の問題については随分いろいろ議論があって、当委員会でも議論になりますが、乳製品輸入制限の堅持ということにつきまして、関税化の反対、こういうことにつきまして、変わらざる姿勢を貫く、これからもこの姿勢を貫いていくというこの決意のほどをお伺いしておきたいと思うのであります。
  157. 白井英男

    白井(英)政府委員 お答えいたします。  乳製品輸入制限問題につきましては、昨年の十二月二十日に出ましたダンケル・ペーパー案の包括関税化の例外なしという話とか、十一条二項(c)が何ら含まれてないということからいきまして、私どもはこれは絶対のめない、今の十一条二項(c)に基づく輸入制限を今後も維持、堅持していかなくちゃいけないということで、カナダ等と連携をとりながらこの姿勢を堅持していくという考えでございますが、先ほどからお話し申し上げていますように、例外なき関税化と、もう一つ十一条二項(c)の明確化という二つのハードルがございまして、なかなか大変でございますので、私どもますます努力をしてまいりたいと思いますので、ぜひとも御理解と御支援をお願いいたしたいと思います。
  158. 藤原房雄

    ○藤原委員 過日、予算委員会の分科会でも大臣にお伺いいたしまして、大臣もこれらの問題につきましてはきっぱりと決意のほどを申し述べておりましたが、先ほどお話がございましたように、だんだん大詰めに参りまして、非常に厳しい状況の中にあるということでさらにまた慎重な対応を迫られておるんではないかということで申し上げたわけであります。  次に、きょうの主題でございます加工原料乳の保証価格につきまして、先ほども同僚委員のいろいろな質疑等をお聞きしておりましたが、私も、二十六日ですか、委員会がございましたときに、この乳価の問題についてもいろいろ申し上げました。また予算委員会の分科会におきましても申し上げたところでございます。  今回の審議会に当たりまして畜産局長の報告があるわけでありますけれども、この中には現在の状況等についてもるる申し述べておりますが、その中で、一つ自由化によりまして乳用種等の子牛価格低下をしたということを挙げております。また経営面のことにつきましては、乳用種肥育経営についての収益性低下したということや、酪農経営についても、ぬれ予価格低下等によって収益性低下をした、こういうことがこの局長の報告の中にもございます。  そのほか、現状認識やいろいろなことにつきましては、昨年牛肉自由化ということに踏み切ることになりました。それに対する対策ということで確かにいろいろ対策が講じられたわけでありますが、それは牛肉自由化に対してどういう影響があるかということについて諸施策が講じられたわけであります。しかしながら、昨年自由化になり七〇%、ことしの四月一日から六〇%の関税、来年は五〇%ということになるわけでありますが、こういう状況の中で、牛肉輸入自由化に伴う対策としては余りこれを真剣にといいますか、予想もしなかったといいますか、こんなに急激にぬれ予価格低下をするという、暴落をするということは考えていなかったと思うのであります。これが酪農経営収益性に非常に大きな影響を及ぼすことになった、私どもはそう見ておるのですが、農林省としましては、ある程度の変動はあるかもしれないけれども、ぬれ予価格についても相当な暴落があると見ておったのか、そこまでのことについては見ていなかったのか、その辺ちょっとお伺いしておきたいと思うのです。
  159. 白井英男

    白井(英)政府委員 お答えいたします。  昨年の四月一日からの牛肉自由化に伴いまして、輸入牛肉と競合いたします乳用種の下級牛肉、これの値段が低下いたしまして、そういたしますと、それの供給元でございます乳用種の子牛価格、これが低落する、さらにその供給元でございますぬれ予価格が低落するということでございまして、この結果ぬれ子の価格は、昭和六十二年以降かつてない高水準で推移をしてきたのでございますけれども、昨年の十月には四万二千円ということで最低のレベルになりまして、その後、本年の二月時点では四万九千円ということで、若干でございますけれども上がってきております。  私どもは、牛肉自由化いたしますときに、この影響をできるだけ緩和するということで制度をいろいろ仕組みまして、その中の一番の大事な制度がいわゆる肉用子牛生産者補給金制度でございます。これを活用いたしまして、子牛価格が安定をいたしますれば、当然ぬれ子の価格も若干の影響はあるとしてもそれほどの影響はないだろうということで期待をしたところでございますけれども、残念ながらこの子牛不足払い制度への加入がなかなかよう進みませんで、そういうこともございまして、私どもの予想以上にぬれ子の価格が低落したということでございます。
  160. 藤原房雄

    ○藤原委員 子牛生産者補給金制度、これは前からあってそれなりの活動をしておったと思うのでありますが、加入率が現在は北海道で八〇%ですか、都府県で七〇%ということでありましたが、しかし今私がお聞きしているのは、実際酪農家の方々の乳用初生牛、ぬれ子の価格がこんなに急激に下がるということは、当初として予想もしていなかったと思いますし、またそれはこの補給金制度によりまして四カ月、十二カ月育てればその制度に乗るという、そういう上でのお考えであったんだろうと思います。しかし、これは牛肉自由化という観点から見てどういう影響があるかということが主なる視点であって、酪農全体としてこんな急激なぬれ子の価格の暴落というのは想像はしていなかったんではないかと思います。これは急激な、二年前、非常に高い値であったことは事実でありますけれども、いずれにしましても、これだけ急激な暴落をするということになりますと、当然酪農経営に大きな影響を及ぼすことは当然のことでありまして、そういうことからいいますと、今日、今回のこの乳価決定に当たりまして、やはり先月の二十六日の委員会でも、また分科会のときにも申し上げましたが、酪農家のサイドに立ったぬれ子対策というものが、やはり何らかの方途というものがございませんと、激変緩和の措置がございませんと、酪農経営というのは非常に大きな影響を受ける。私も何度も同じことを言って申しわけないのですけれども、大規模経営の、そして専業でなさっている大規模経営の方ほどぬれ子の数が多いわけでございますから大きな影響を受ける、こういうことで、私は過日も申し上げたところでございます。この辺について、制度があるんだ、そういう見方だけではなくして、やはり当初の考え方からしますと、ここに一つの焦点を当てた何らかの対応がなければならないというふうに認識していただかなければならぬと思うのですが、いかがでしょう。    〔金子(徳)委員長代理退席、簗瀬委員長     代理着席〕
  161. 白井英男

    白井(英)政府委員 お答えいたします。  ぬれ予価格低下状況に対しまして酪農経営大変影響を受けているということで、この経営の安定を図るということからぬれ子の哺育、育成、これを行いまして付加価値を向上するということで、乳肉複合経営、この取り組みを推進しているところでございます。またさらに、酪農家みずからが子牛不足払いの制度に加入する、というのはどういうことかといいますと、自分のところで産まれましたぬれ子を四カ月以上哺育、育成いたしまして、この制度に入ってその補給金制度の対象になるということでございますけれども、そういうことも推し進めているところでございます。  なお、先生は御承知のことと存じますけれども生産価格生産調査をいたしまして、ぬれ子の価格が下がると、ぬれ子の価格の変化が当然そこに反映されるわけでございまして、それをさらに最近の状況を踏まえまして、ぬれ子の価格動向を見た上で生産費が、生産費といいますか保証価格が決まってくるということでございますので、当然保証価格の中にそのような動向が織り込まれてくるということであるということをつけ加えさせていただきます。
  162. 藤原房雄

    ○藤原委員 補給金制度によりまして、それに乗るためには最低四カ月は哺育する、そんなことも当然わかっておりますし、さらに、哺育すればということでありますけれども、こういうところでの議論では、確かに哺育すればそういう制度に乗っかるということですが、多頭化、百頭も百二十頭も成年を扱って搾乳をやっている、家族労働でまた百頭ぐらいですと大体五十頭ぐらい子供が産まれるというその扱いをするということは、こういうところの議論ならいいかもしれませんが、現場的にはこれは非常に難しいことでありまして、できることならもうやっていて、こんな議論なんかしないのですよね。先月から今月の初めにかけて私ども各地回りましたけれども、どこへ行っても出る問題は、そして大きくやっている農家の人ほどこの問題については悩んでおるといいますか深刻な問題として受けとめておる。これはどういう形にするかという、当然これは今度の生産調査の中に出てまいりますから保証価格に反映されるわけでありますし、そういうことからいいますと、ここのところちょっと円安傾向もございまして、飼料費が少し安くなったから下げ要因だとかいろんなことを農林省でも言っておるようですけれども、それらのものに比較し得ない。ここのところ、ちょっと円安、こういう状況の変化等も考えますと、当然この乳価の保証価格というのは上げてしかるべきであって、そうでなければ、今日まで営々として続けてまいりました酪農経営というものは本当に継続し得ないというのが現地での非常に厳しい意見であります。  私は、このことを反映されるのは当然のことだと思いますけれども、新しく出てきた問題として、この制度の一つの欠陥といいますか、ここに焦点を当てた考え方というのは今までなかったのですけれども、ぬれ子に対する、特に大規模な経営の方々に対します制度として、農水省としましても、乳価を大幅に上げるならいざ知らず、大幅でない小幅にしましても、ここのところについての考え方、乳肉一体ということであれば、殊のほかここらあたりに焦点を当てた施策というのは必要ではないか、こう思うのですけれども、いかがでしょう。
  163. 白井英男

    白井(英)政府委員 お答えいたします。  酪農家が、特に大規模な酪農家がみずからのところでぬれ子を哺育、育成するというのは、労働力等の観点からいってもなかなか難しいのじゃないかという菊話がございました。まことにそのとおりだと思いますし、なかなか難しい話だろうと思います。私どももそういう点はよく理解ができますので、私どもとしてはそういう難しいところにつきましては、農協等が中心になりまして共同哺育という形で進めるというような方策も提案をしているところでございます。  現実に私ども事業の中で一番乗りやすいといいますか、利用している形がこの共同哺育の育成でございます。共同哺育の育成は全体の中でも、先ほど申しましたけれども、全体が十四万四千頭ございますけれども、このうちの六万頭ほどが共同哺育というような形でなされておりまして、そちらの方の姿といいますか、形といいますか、それが伸びているということでございます。
  164. 藤原房雄

    ○藤原委員 共同哺育の制度もあることは、また施設に対しましての補助、こういうことがあることも現地でも十分知っておりますし、それをやろうかどうかということについて地元ではいろいろな議論をしておる。ただで建つわけではございませんし、補助があったといいましても当然自己負担はあるわけでありますし、また管理をするとかその後の手だてのこともあるわけでありますから、一体これは、こういうことがあって共同哺育というものをすべきかどうか、特に頭数が多いところにおきましては相当大きなものになる、その負担をどうするかということがいろいろ問題になっておるわけであります。こういうこと等も制度的には全然ないとは言いませんけれども、今こういうことがしばしばあるとは思いませんが、しかし政府方針というのも大規模化を目指し、そして多頭化飼育の方向に進んでいるわけでありますから、家内労働でできる限界というのがあるわけでありまして、そういうことの中での環境というものを見定めながら、こういう問題についても可能性というものを、ひとつしっかり現地を踏まえての対応策を講じていただきたい。  いずれにしましても、今回は大きな保証価格の上げ要因として、また価格の引き上げというものにつきまして、私どもは、先ほど同僚委員からもるるありましたので同じことを繰り返しませんが、主張したい、このように思う次第であります。  さて、加工原料乳の限度数量についてでございますが、昨年も緊急輸入で三回、国内生産調整をしている中で、バター、脱粉を輸入いたしました。輸入というものを前提にして需給計画を立てているわけではないと思うのでありますけれども、ここ数年はずっと輸入が続いておる。最近は消費も順調に伸びておるという中でのことでありますけれども、そういう全体的な傾向の中で枠を拡大すべきだという、これも生産者の方々の強い声があるわけでありますが、このたびの乳価の決定に伴いまして生産者の生乳供給確保、こういうものを管理する、こういう上からも限度数量というものを、やはり適正に枠を拡大するべきではないか、このように強く主張したいと思いますが、いかがでしょう。
  165. 白井英男

    白井(英)政府委員 今の限度数量の問いにお答えする前に、先ほど保証価格のお話で、ぬれ予価格低下で上げ要因上げ要因というお話がございますので、下げ要因の方も若干お話を申し上げておいた方がいいのではないかと思いますので、お話し申し上げます。  飼養農家の頭数規模がふえていることとか、それからえさの価格が下がってきていることとか、光熱料金が下がってきていることとか、そういうような下げ要因もございまして、それらを踏まえまして現在いろいろ検討をしているところでございまして、いずれにしても二十六日の畜産振興審議会にお諮りしまして決定をしてまいりたいということでございます。  それから、限度数量の点でございますけれども、限度数量につきましては、畜産振興事業団は加工原料乳生産者補給金等暫定措置法、これの定めによりまして、指定乳製品価格が安定指標価格の上下一定割合を基準に変動したときに乳製品の買い入れ、売り渡しをするということでございます。  それで、指定乳製品の売買操作を実施するかどうかということは、ときどきの国内価格動向によって判断をするものでございますけれども、従来から国内価格の安定を図るという観点で適切に対処してきているところでございます。それで、昨年の場合ですと、前半に飲用乳の方が需要が伸びましたのに比較いたしまして生産の方がそれに伴わないというような事態が生じまして、したがって加工乳製品の需給が逼迫したというようなことで輸入をせざるを得なかったということでございます。  それで、先生のお話の限度数量でございますけれども、これは一つは、生産者補給金を交付しても確保すべき加工原料乳の最高限度を定めるということで、生乳生産事情、それから飲用牛乳及び乳製品の需給事情その他の経済事情を考慮するということでございまして、これも同じく二十六日に開催されます振興審議会にお諮りをいたしまして適正に決定をしてまいりたいと思うわけでございますけれども、いずれにいたしましても、飲用牛乳の消費の動向なり、それから乳製品の消費の動向なり、こういったものを慎重に見きわめまして、私どもとしては、データを収集し検討した上で決定をしてまいりたいということでございます。     〔簗瀬委員長代理退席、委員長着席〕
  166. 藤原房雄

    ○藤原委員 言質をとられるのではないかと思って、慌てふためいて下げ要因もございますと一生懸命言っておりましたが、それらのことについては私どももいろいろなデータをいただいておりますからよく存じておるところです。しかし、こんな大きな急激な暴落といいますか、こういうものに対しまして、それなりに価格に反映がされてなければ農水省に対して不信を抱くだけじゃなくて、政治に対する不信といいますか、今日まで営々としてやってきた生産者の方々の立場に立ちますと、やはり諮問して答申を受ける審議会の存在というものは一体何だったろうかというこんな不信感を抱くことのないような正確なデータのもとにきちっとひとつ価格を決定していただきたいものだ、こう思うわけであります。  今度の牛肉自由化に伴いまして、畜産経営の安定体質強化対策ということでいろいろな施策がとられておりますし、そのほか酪農経営につきましてもいろいろな事業がございますが、これが今年度限りというそういう事業が非常に多いものですから、この継続というものをぜひすべきである。これは生産者の方々が声を大にして訴えておりましたので、これらのことを一つ一つやる時間もございませんが、一つは、乳肉複合経営体質強化事業、指定助成事業ですけれども、それと酪農経営経産牛活用対策事業、これも指定事業ですが、三年度には二十三億円、これを継続すべきだということでありますけれども、延長とともに、単価が非常に低いということで実態に合った制度に充実をすべきであるということ。先ほど来私がいろいろ申し上げたわけでありますが、大規模農家ほど影響を受けやすいという、こういう実態に即した形で新しい視点に立った延長、充実というものをぜひひとつ考えていただきたい。それから肉用牛肥育経営安定緊急対策事業、これは平成三年は百二十億、これも四年の三月で期限が切れることになっておりますが、これもひとつ実態に即して延長していくべきである。それから酪農安定特別対策事業の中に国産チーズの生産振興、このための政策がとられておりますが、これも先ほど同僚委員にいろいろ言っておりましたが、チーズ基金というものですが、これも三月で期限が切れることになっておりますが、これはいずれも延長ということでしなければ、酪農がこういう非常に大事なときに来ておるだけに、希望を持って取り組んでいけるように諸施策を進めていただきたい。  これは審議会に諮って決定するということでありますけれども、しかし、一番農水省の中で事務的な立場でお仕事をなさっている事務次官やまた審議官もきょういらしているわけでありますから、その方向性だけはひとつ明示していただきたいもの、こう思うのであります。いかがですか。
  167. 白井英男

    白井(英)政府委員 お答えいたします。  今御指摘になりましたいろいろな関連対策事業でございますが、これらにつきましては、これらの制度あるいは事業ができましたわけ、趣旨、それから効果、そういったものを慎重に吟味いたしまして存続なりあるいは新規に行うなりにつきまして検討をしてまいりたいというふうに思うわけでございます。  それから、関連対策は畜産振興審議会の諮問を経てというお話でございましたけれども、事実は、畜産振興審議会の方から附帯意見といいますか、というようなことでの意見の申し出がございまして、私どもそれを参考にして対策を考えていくという形になるわけでございます。
  168. 藤原房雄

    ○藤原委員 そのほかに、三年度から地方段階でやっております畜産経営体質強化推進のための対策としまして畜産経営体質強化緊急特別指導事業、指導を強化しようというこういう指定事業もございますが、これらのことにつきましても、畜産経営の体質を強化する経営、財務の管理指導事業というのは非常に大事なことであろうかと思います。これらのことについても継続をして指導をしていく体制というものをしっかり進めていただきたい、このように思うわけであります。時間ももうございませんから、これは要望として申し上げておきたいと思うのであります。  いずれにしましても、先ほどから同僚委員からもるるございましたし、私がまた長々申し上げるまでもないと思いますが、ここのところずうっと二、三年、離農率というのは北海道でも二・四%ですか、こういうすごい大きな規模で離農をなさっております。その離農のよって来る原因といいますか離農要因というものは、いろいろなことが言われておりますけれども、やはり後継者がいないということや老齢化、こういうことが一つの大きな要因として言われておるわけであります。それから、何といっても将来に見通し、希望が持てない、こういうことも一つの大きな要因として挙げられております。  去年の建議に対する対応として述べられておりますものを見ますと、こういう制度をこのようにいたしておりますという記述があるだけで、ちょっと希望の持てるような、希望のわいてくるような状況にない。建議の中では、「我が国酪農をめぐる現下の情勢にかんがみ、希望の持てる酪農経営の確立を目途として、長期的展望に立って我が国酪農の安定及び健全な発展を図ること。」ということがございます。また「当面、」として、「経度牛及び乳用初生牛の経営内利活用等酪農経営の安定に必要な対策を緊急に実施すること。」これに対する「対応」というのが出ておりますけれども、若い人たちや、また今一生懸命努力している酪農の方々に対しまして希望の持てるような、制度上の仕組みも大事なことでありますけれども、もう少し農林省もこういう面について考慮してはどうかという気がしてならないのです。  それから、離農の要因としまして、後継者不足が北海道で四四%、高齢化が二九%、ほかによい仕事があったというのは北海道では九%ですが、都府県では二三%になっております。労働力不足、これは家族労働でありますから、一人でもぐあいの悪い方がいますと継続ができない。こういう非常に厳しい中で、多頭化の中で悪戦苦闘している、こういうことであります。  こういう実態等の上に立ちまして、今回のこの審議会におきます決定というのは非常に重要な意味を持つと私は思うのであります。総括的に、これらのことについてちょっとお伺いしておきたいと思います。
  169. 白井英男

    白井(英)政府委員 お答えいたします。  酪農家の戸数が統計情報部の畜産統計によりますと、近年ほぼ五%で減っている、北海道では三%弱の割合で減少しているということでございまして、特に成畜でいいますと一頭から九頭層、これの減少率が高いようでございます。成畜五十頭以上層の大規模層につきましては、北海道も都府県も増加をしているという状況でございます。規模拡大が図られているということだろうと思います。  それで離脱の要因でございますけれども、これは全国農協中央会が行いました酪農全国基礎調査、これによりますと、平成二年に酪農を離脱した農家が二千四百戸ございます。その理由としまして、後継者不足が四四%で最も多いわけでございまして、次いで高齢化というのが三三%、それからほかによい仕事があったというのが二三%、労働力不足が二二%というようなことになっております。この辺の数字は、私ども毎年農政局を通じて調査をしているわけでございますけれども、これとも大体符合をするわけでございます。  私ども農林水産省といたしましては、酪農の安定的発展、これを図りますためには後継者を初めといたします担い手の育成、確保が重要であるという認識を十分いたしておるところでございまして、このために、一つは技術習得等の研修教育の促進、それから離農いたしました農家の農場、これを円滑に他の農家に引き継ぐための措置、後継者育成の資金の貸付、酪農ヘルパーの育成等を実施しているところでございますけれども、さらに平成四年度には新たな措置といたしまして、畜産というところに着目いたしまして、畜産が生産期間が長いとか施設等に多大な資本を要するとか多岐にわたる専門技術を必要とするというようなことがございますので、それに着目した担い手対策を総合的に実施しようということで仕組んでございます。それとあわせまして、農業外からの畜産への就業者、これに対しましても農業改良資金を貸し付けられるような制度を仕組もうというようなことで新たな仕組みをつくろうとしているところでございます。  それから、先ほど申し上げました、全国農協中央会の調査結果、これは中間報告でございますので、クロス分析等をいたしましてさらにその最終的な結果が出てまいりましたら、私ども、その結果をよくよく分析させていただきまして、今後の後継者対策に生かしていきたいというふうに思っております。
  170. 藤原房雄

    ○藤原委員 非常にきつい仕事である、生き物を飼っているということですから、酪農家や畜産農家というのは大変でありますが、それに対して農林省のいろいろな努力によりましてヘルパー制度というのが推進されているわけでありますけれども、今後のヘルパー制度の推進についての方途といいますか、お考えをひとつ聞いておきたいと思います。  時間もありませんから、まとめて申し上げますが、できるだけコストを低減化させるということの上に立ちまして、さっきもお話ありましたけれども、後継者の方々が育たぬとかなんかというのはやはりいろいろな諸条件があるのですが、土地改良、畑かん事業をやりますともう二十年も三十年もかかって、巨額の投資をした負担を負いながらなかなかできませんとか、年間二千キロから三千キロぐらいしか走らないトラクターとか農業用のトラックの車検が町中を何万キロも走るものと同じであるとか、こういう環境というものをやはりある程度整備してあげなきゃならぬだろうと思いますし、農民の味方というのだったら、農林省がこういう他省庁にかかわる問題についても真剣に討議していかなきゃいかぬと思うのです。  特に、私申し上げたいのは、中山間地の指定についてでありますけれども、これは農山漁村振興緊急対策実施助成金交付事業ということでなさっていらっしゃるようでありますが、傾斜の度合いとか山林の比率とか、こんなことで決まっているわけでありますけれども、これは厳格にということになりますと、どこかで線は引かなきゃならないのかもしれませんけれども地域になっているところとなっていないところでは、それを受ける受益というのは違うわけであります。農業団体も、二十一世紀の農業バックアップ資金ということで、この面についても条件不利地域対策資金ということで考えているようでありますけれども、一たん決めますとこの見直しというのはなかなか難しいのかもしれませんが、発足して二年そこそこということですから、こういう制度ができた以上は、やはりそれをもとにしてある時点で見直すようなことも必要ではないか。隣の村がなってうちの村がならない、こういうこと等も、どういうあれがあるかということについてもいろいろ御検討いただく、こういうことで、そういう条件整備や、やりやすい環境をつくるということも非常に大事なことだと思うのであります。  それから、金融制度につきましても、負債対策を初めとします制度につきましても、大家畜資金等につきましていろいろ制度がございますが、ポスト大家畜資金といいますか、この後の問題についてもぜひひとつ御検討いただきたいと思うわけであります。  後ろ向きの話になるかもしれませんけれども、最近酪農経営は非常に多頭化し、北海道の場合は牛一頭に一町歩ということですから、百頭いれば百町歩の草地造成、こんなことが基準になっているわけでありますけれども、そういうことで投資が非常に大きい、こういうことからしまして、信用保証制度、現在ありますけれども、この制度もぜひ充実を期していかねばならないのではないか。今日のような連帯保証というようなことではなくして、多様化に即した形の制度というものをぜひ御検討いただきたい。  行政というのは、何か問題が起きなければそれに対してなかなか対応しようとしない一面がございますけれども、これだけ大きな変化の中にありますから、今申し上げた何点かにつきましてはぜひ御検討いただきまして、今後の酪農振興の糧にしていきたいものだ、このように思う次第でございます。これらのことについて御答弁を求めます。
  171. 白井英男

    白井(英)政府委員 酪農のヘルパー制度でございますけれども、この事業酪農の産業としての特殊性といいますか、労働が周年で拘束性が強いという特性、それから事故とか病気とかが起きた場合に経営の安定が図りにくいというような点、それから将来にわたっては後継者が必要だ、それを確保するためにぜひとも必要というようなことで、私ども平成二年度から事業を仕組んでおります。  本事業におきましては、ヘルパーの養成研修とか、それからヘルパーが活動しますときの器具機材の整備に要します費用とか、そういったものにつきまして助成をしているところでございますが、平成二年度から四年度までということで事業基金を造成するということでやってきておりまして、私ども、このヘルパー事業につきましてはさらに普及充実を図ってまいりたいというふうに考える次第でございます。  それから大家畜経営体質強化資金でございますけれども、これは六十三年度から借入金の借りかえ資金を低利で融資するということで実施をしておりまして、平成四年度までこの事業を行うということにしております。したがいまして、現在実施中でございますので、私どもとしては、四年度までの実施の経過を見ましてそれ以後の対応については検討してまいりたいと思っております。
  172. 川合淳二

    川合政府委員 融資に際します保証保険制度についてのお話がございました。私ども従来からこの制度の重要性にかんがみまして予算措置を講じてきておるところでございますが、四年度におきましても基金造成の出資などの予算を講じております。こういう時期でございます。引き受け基盤の強化ということが非常に大事だと思いますので、今後とも努力してまいりたいと思っております。  中山間につきましては、先生御承知のように、二年度にこの制度をつくりまして、三年度に入りまして貸し付けも順調に増加しております。この制度をつくるときにも御審議いただきましたように、この状況をよくつかみながら今後の対応を考えたいと思っておりますので、今先生お話がございましたようなことを含めまして、十分実態を把握してまいりたいと思っております。
  173. 藤原房雄

    ○藤原委員 政務次官、るる申し上げましたが、それらの諸施策を着実に進めてこそ酪農の堅実な推進があると思うのであります。一つのことですべてがというわけにはいかないだろうと思うのであります。そういう点では多角的ないろいろな要素があるわけでございますが、ぜひ適正価格、また限度数量等の決定に当たりましては、この現在の現状というものを正確にひとつ把握をなさいまして、慎重にひとつお決めいただきたい、このことを最後に申し上げまして、政務次官の御決意を伺って終わりたいと思います。
  174. 二田孝治

    ○二田政府委員 たびたび申し上げますように、原料乳の保証価格につきましては、不足払い法に基づき畜産審議会の意見を聞いて三月末までに決めさせていただきたいと思っております。  先生がただいまいろいろお述べになりましたことにつきましては、私どもも十分に参考にしながら御意見に沿うように頑張りたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  以上でございます。
  175. 藤原房雄

    ○藤原委員 以上で終わります。
  176. 高村正彦

    高村委員長 藤田スミ君。
  177. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 最初に政務次官にお伺いをいたします。  ことしの畜産物価格の決定に当たっては、牛肉自由化二年目、ことしは関税率が六〇%に下げられる中で、これまでの畜産政策が果たして本当に日本の畜産の発展にとって妥当なものであったのかどうか、そこまで問われるものだと言えると思うわけです。特に牛肉自由化は、日本の畜産業に深刻な打撃を与え、その傷口は年々広がっているありさまであります。酪農家にとっては、ぬれ子の大暴落、もうただ同然の値段になっているわけです。さらに乳廃牛についても、乳牛の法定耐用年数六年の中で、今は乳質規制をクリアするために四年から、さらに四年未満というような短い期間で乳廃牛になってしまう。その乳廃牛価格枝肉価格低下で大きく値が下がっている状態であります。人間でいえば二十四歳そこそこで廃牛になるわけですから、これは資源的にも問題がありますし、牛にしてもかわいそうなことだというふうに思いますが、酪農家はこのような収入が大きく下がる中で必死に乳牛の乳量をふやし、飼養頭数をふやし、労働時間をふやして何とか経営を維持している状況にあります。  この労働時間というのは全国平均で年間四千三百二十九時間、三百六十五日働きづめの信じられないような過酷な労働であります。また、規模拡大のための重い負債、後継者も、先ほどから報告されておりますけれども、全国調査では、後継者のいる酪農家は三二%しかいない、こういう深刻な事態に直面しています。こういう中で、酪農の継続意向を持っている酪農家は全国で四二%しかいないという状況にあるわけであります。北海道では、前途を悲観した後継者が自殺に追い込まれています。まさに政治が命を絶つほどの希望を奪っている中でこういう悲劇が生じているわけであります。  一方では牛肉輸入自由化をし、他方では酪農家に規模拡大生産性の向上を押しつけてきた今の酪農政策は、もう行き詰まっているとしか思えないわけであります。私は、その点で政策の転換の時期に来ているのではないかと考えますが、政務次官の御所見をお伺いしたいと思います。
  178. 二田孝治

    ○二田政府委員 我が国酪農につきましては、短期間のうちに長い酪農の歴史を有する西欧に比肩する規模に達するなど、着実に発展してまいってきております。  今後、国際化のもとで我が国酪農の発展と経営の安定を図るためには、経営体質をなお一層強化して生産性の向上を図ることが重要であると思います。このため、飼料基盤や技術水準、自己資金等の条件の整っている経営においては、安定的な規模拡大を行い、飼養管理体系の機械化や飼養管理の合理化等を図ることが有効であると考えておるわけでございます。  一方、規模拡大の条件が十分でない経営にあっては、その保有する施設、労働力等の有効利用によって単位当たりの乳量の増大や乳質の向上、地域ぐるみでの集団活動による低コスト生産の推進等、創意工夫によって経営内容の充実に取り組む必要があると考えております。  酪農につきましては、今後とも我が国土地利用型農業の基軸と位置づけておりますし、需要に見合った生乳の計画的な生産を行いつつ、長期的な観点から振興、合理化を図ってまいる考えでございます。
  179. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 余り私の言うことがわかっていただいていない。  質問を続けていきますけれども、着実に発展をしてきたそれを、並み並みならない酪農家努力を、あなた方が自由化を進めながら、規模拡大だ、生産性向上だ、そういう政策を一方で打ち出しているために大きな矛盾が生じて、もうどんな手を打ってもにっちもさっちもいかないところに来ているのじゃないか、だから私は根本的な政策の転換をということを言っているわけです。  それで、これも先ほどから何度も出ておりますが、ガットウルグアイ・ラウンドについては現在膠着状態になっておりますけれども、依然アメリカECとの協議は断続的にではあっても続いております。政府は、乳製品についても米と同様に関税化を受け入れられないということで、国別表は空欄でガット提出したようですが、乳製品、でん粉については現在日米協議の枠組みも残っているわけです。米と同様に断固とした対応が求められていることは言うまでもありませんが、今後のラウンドの見通しと乳製品での対応について明らかにしてください。
  180. 白井英男

    白井(英)政府委員 乳製品輸入制限につきましては、ウルグアイ・ラウンドにおきまして、生産制限を行っておる品目について一定の条件のもとで輸入制限を認めるというガット十一条二項(c)でございますね、これの適用要件見直し明確化を提案しているところでございます。これに対しましては、アメリカ、ケアンズ等いわゆる食糧の輸出国、これらの国はすべての非関税障壁関税化するという考えとともに、この十一条二項(c)自体を廃止すべしということで我が方と真っ向から対立をしているわけでございます。  こういう中で、昨年の十二月二十日にダンケル事務局長からの合意案が出されたわけでございますけれども、その中には、考え方としては包括的関税化ということになっておりますし、十一条二項(c)の見直しの考えも全く載っていないということでございます。したがって、我が方としてはこの包括的関税化には賛成できないということでこれの修正を求めておりまして、包括的関税化の反対、それから十一条二項(c)の見直し、これをぜひとも認めてくれるようにということで、我が国と、カナダとかスイスとかそれからノルウェーとか立場を同じくする国がございますので、これらの国にも働きかけて協調態勢をとりながら、我が国の考えが最終合意に盛られますように最善の努力をしてまいりたいと思っております。
  181. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ダンケル提案というのはあくまでもたたき台ですし、ダンケル提案というのは拒否できるわけですし、日本の酪農業を守っていくためにも拒否しなければならないものだ、私たちはこれまで主張もしてきましたし、それから去る十二日の日には大臣にそういう立場で申し入れも行いましたけれども、断固とした姿勢を貫いていただきたいということだけ申し上げておきたいと思います。  今酪農家経営は、さっきも言いましたように牛肉自由化乳価の五年連続引き下げによって大変大きな打撃を受けております。乳価は八三年にキロ当たり九十円七銭だったのが九一年には七十六円七十五銭にまで引き下げられているわけです。これが多くの酪農家生産をやめ、後継者がいなくなった大きな原因であります。農業者が安心して生産を続け、青年が農業に意欲を持てるようにするためには、農産物価格を通じて生産にかけた労働が正しく評価されるかどうかということが重要なかぎになっているというふうに考えます。  私どもは、乳価に労働者並みの労働報酬を保証した場合に必要な追加財源はどれぐらいかかるかということを試算してみました。乳価で労働者並みの労働報酬を保証した場合には、キロ当たり八十三円八十四銭。現在七十六円七十五銭ですから、その差額は七冊九銭です。そして、対象乳量を二百五十万トンというふうに仮定をいたしますと、二百一億二千五百二十万円の追加財源でこの価格が達成されるわけであります。乳価についても労働者並みの労賃が得られるように価格保証を行うべきだと思いますが、政務次官にお伺いをしておきたいわけです。  さらにもう一つは、ことしの乳価決定に当たっては、その最も基本的算定要素になる第二次生産費が、九一年牛乳生産調査を見ると前年よりも七・六%上がっているわけで、これはここ五年間で初めての事態であります。まさに今こういうときだからこそ、乳価を大幅に引き上げなければならない切迫した事態になっていると思います。その点で、乳価を大幅に引き上げるという点についてお答えください。
  182. 白井英男

    白井(英)政府委員 御答弁申し上げます。  酪農家の労働の中で主要な労働でございます飼育管理労働につきましては、従来から他の労働と違った性格を持つ、どういうことかといいますと、一年間ずっと拘束的に働かなくてはいけないという特性を持っておりますので、私ども、この生産調査の中では農村雇用賃金ということになるわけでございますけれども、これを主要加工原料乳地域の製造業五人以上の規模の労賃、具体的には北海道の製造業五人以上の規模労賃で評価がえをいたしまして算定をしているところでございます。  それから、平成三年度の生産調査が出てまいりまして、これは御承知のように平成二年の七月から平成三年の六月までの生産費を調査したものでございます。その調査結果として、副産物でございますぬれ子の価格が十二万円から六・八万円に低下したということで、二次生産費で申し上げますと北海道の場合に八・五%でございましたか、上がっているということでございますけれども、三年度の保証価格を算定いたしますときにぬれ子の価格は既に八万円というようなことで織り込んでございます。それから、その後飼養規模が大変拡大をしておりますこととか、飼料価格とか金利が低下しておりますというようなことのコストの引き下げの要因もございますので、統計情報部でやっております生産費の上昇が直ちに保証価格の水準と結びつくものではないということにつきましては御理解をいただきたいというふうに思う次第でございます。
  183. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 おかしいですよ。今回生産費がふえた原因というのは、牛肉価格の暴落で酪農所得の三割程度を占めていた副産物収入が大幅に減ったためでしょう。あなた方はこれまで副産物収入がふえているという理由で価格を引き下げるということでは大変積極的だったわけです。それをどうして、こんなにまで副産物価格、つまりぬれ子の価格が下がってしまっているのに、他の要因で下がっているものがあるから必ずしも引き上げることには連動しないというような物の考え方になるのですか。都合のいいときだけぬれ子が上がったから引き下げるんだと言って、都合が悪くなるとほかのものが下がっているから値上げをするわけにはいかないんだ、こういうふうになってしまうじゃありませんか。納得できませんよ。
  184. 白井英男

    白井(英)政府委員 加工原料乳の保証価格につきましては、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法に基づきまして生乳生産条件、需給事情その他の経済事情を考慮しまして、加工原料乳地域生乳の再生産を確保するということで今までも決めてきたところでございますし、ことしもそういうことで畜産振興審議会の意見を聞きまして決めてまいりたいと思っております。
  185. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 その御答弁、とても、よっしゃ、わかったというわけにはいかないのです。しかも酪農家の労働時間、もう一度この問題を取り上げてみたいと私は思いますが、政府提出された畜産関係の資料を検討してみました。搾乳牛一頭当たりの家族労働時間に対して乳用牛の平均頭数を掛けていったわけです。そうすると驚くべき数字が出てまいりました。年間で九一年が四千三百二十九時間になるわけです。三百六十五日一日も休みなく働いたとして、一日当たりの労働時間は十一・八時間、こういう時間になります。一日も休まなくてしかも十二時間労働、こんなことで若い人がついてくると思いますか。労働時間ですから多分奥さんとかおじいさんとかそういう皆さんが働いた時間も入る可能性がある、こういうふうに考えられるわけですが、統計情報部で確かかましたらそのほとんどは専業従事者の時間、こういうことでありました。さらに問題は、振り返っていけばこの時間が年々ふえてきているんです。七五年には一日当たり六・四時間です。八〇年には八・五時間、八五年には十・五時間、八六年には十・九時間、八九年は十一・四時間、そして九一年は十一・八時間、こういうふうに急増をしているんです。今労働者の時間短縮が叫ばれている中で、それと全く逆行する事態であって、非人間的な労働時間になっているというふうに言わざるを得ないわけです。こういう点を考えても、規模拡大だとか生産性向上だとかそれ一辺倒の酪 農政策の犠牲に酪農家はなっている、こういうふうに言わざるを得ないわけです。この政策に限界が見えているとは思いませんか。
  186. 白井英男

    白井(英)政府委員 御答弁申し上げます。  酪農経営の労働時間でございますけれども、これは労働の特性といいますか、毎日搾乳をしなければいかぬというようなこと、そういうことでどうしても一年じゅう縛られるというようなことで、畜産の中の他の畜種に比較いたしましても時間が多いということは事実でございます。したがって、私ども酪農の労働の特性からくるこういう労働時間が大変多いというようなことにつきましては、この軽減を図ることが大変重要であるという認識をいたしておりまして、このために飼養管理体系の機械化とか飼養管理の合理化、これによりまして労働時間の短縮を図りたいというふうに考えております。また、酪農家が休日を確保したいとか、それから酪農家に突発事故が発生するというような場合に、酪農家にかわりまして飼養管理をいたします酪農ヘルパーを派遣するというようなことで酪農家の労働の軽減を図ってまいりたいということで、酪農ヘルパーにつきましては平成二年度から新たな事業を発足させまして、その労働の軽減を図るべく努めているところでございます。
  187. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 きょうの新聞では、時間短縮の促進法案というのが閣議で決定された。目指せ千八百時間、こういうふうに出ております。現在たしか二千百二十四時間、酪農家はその倍働いても現在でもまだ働かなければならぬ時間が残っているのです、一般の労働者と比べたら。日本の労働者は働かされ過ぎだといって問題になっている。それで政府は千八百時間を目指そうと法案を出された。千八百時間と比較をしていったら二・四倍も働くのです。これは本当に大きな矛盾だというふうに政務次官は思われませんか。私は、最後にこの御答弁を求めて、時間がありませんのでもう一問だけ聞いて、最後に御答弁ください。  もう一つは、輸入牛肉のホルモン剤の使用問題です。  御承知のように、ホルモンというのは人間の体内で微妙な量でも作用して、それが天然タイプであろうと合成タイプであろうと食品として摂取された場合には、人間のホルモン作用に大きな影響が出てまいります。そんなものは出てこないという科学的な保証はないわけです。そして、ホルモン剤の場合は、発がん性だとか慢性毒性だとかそういう毒性評価とともに人体に与えるホルモン作用というものがこれまで毒性評価として問題にされてこなかったものであるわけで、私は早急に安全評価を行うべきだと思います。とりわけ、ホルモンのバランスが崩れている病気を持っている人たちにとっては当然影響が大きいわけでありますから、その安全評価が求められています。さらに言えば、そういう人たちが、その牛肉がホルモン剤を使用しているのか、それが天然であろうと合成であろうと、そういうものを確認する権利がある。つまり、表示をするべきだというふうに考えます。もちろん、ホルモン剤の問題があればそれは即刻使用禁止することは重要でありますけれども、その前段になるものがなされていない。そこで、私は厚生省に御答弁を求めておきたいと思います。
  188. 伊藤蓮太郎

    ○伊藤説明員 お答え申し上げます。  牛の飼育時に使われるホルモン剤の安全性については、そのホルモンが食肉中に残留するかどうか、またその残留が人体にどのような影響があるかについて検討の上評価する必要があろうと思います。厚生省としましては、食肉中の残留ホルモンの検査方法の開発でありますとか、輸入品を含めた食肉のホルモンについて残留実態を調査しておりますが、現在のところ問題となるような残留は認められていない状況であります。  それで、先生特に御関心をお持ちでありました、ホルモンによる疾患をお持ちの方がホルモン剤を使って飼育したと見られる牛の肉を食べた場合に、さらに症状が悪くなるというようなことがあるのではないかというようなことをおっしゃられたかと思います。そういうホルモンの代謝でありますとかあるいは分泌、それらに異常のある患者さんがホルモンを使ったと見られる牛の肉を食べて、それで異常がさらにひどくなったとかいうような事例でありますとか、あるいはそのようなことが懸念されるというようなことについて専門家の意見があるというようなことは、これまでのところ私どもの方としては承知していないわけでありますが、もしも、仮にでありますけれども、そのような専門家の意見があるとしますれば、その意見の根拠でありますとかその内容でありますとか、そういうようなことを精査しまして、現在食肉の残留ホルモンについては安全性、安全対策のための検討を進めておりますので、その中で専門家の意見を聞くなどして検討していくことにさせていただきたいと思っております。
  189. 二田孝治

    ○二田政府委員 酪農経営は家族経営を主体にしておりますし、また何しろ生き物を扱うものですから毎日毎日が、搾乳労働も必至であるし、大変な時間を食う仕事である、こういうことを認識しております。しかしながら、このような酪農の特性を踏まえながらも、やはり労働時間の短縮ということを重大なこととして考えていかなければならない、こういうふうに認識をいたしております。そのためには、今度酪農ヘルパーの制度とかいろいろな諸制度を導入しながら、今世界的な潮流でありますところの労働時間の短縮に向かって種々勉強いたしておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
  190. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、まともに調査もしないで、そういうふうな事例も意見もないというのはとんでもないことです。目下検討会を持ってホルモンの問題について検討しておられるということですから、ぜひ検討を深めていただきたい。特に輸入牛肉に大きな問題があるわけです。だから、そういう点もよく検討の中で深めていただきたいということを申し添えて私の質問を終わります。ありがとうございました。      ————◇—————
  191. 高村正彦

    高村委員長 この際、東力君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党及び進歩民主連合の共同提案による畜産物価格等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。有川清次君。
  192. 有川清次

    ○有川委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党及び進歩民主連合を代表して、畜産物価格等に関する件(案)の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     畜産物価格等に関する件(案)   我が国農業の基幹的部門である畜産業は、牛肉輸入自由化による影響が顕著に現われる中にあって、需給の不均衡、畜産物価格低下、さらには畜産農家戸数の減少など、一段と困難な情勢にある。   よって政府は、平成四年度畜産物価格の決定に当たっては、右の諸情勢を十分認識し、左記事項の実現に努め、畜産経営の健全な発展と消費者への畜産物の安定供給に万全を期すべきである。       記  一 加工原料乳保証価格については、最近における乳用初生牛等副産物価格の低落等に配慮し、また、長年にわたり生乳生産調整を実施している実情を踏まえ、酪農経営の安定のために最も重要な課題である生乳の再生産を確保することを旨として決定すること。    加工原料乳限度数量については、国産生乳供給の十分な確保を旨とした生乳需給計画の下、適正に決定すること。  二 豚肉・牛肉の安定価格については、再生産の確保を図ることを旨として、経営の安定に資するよう適正に決定すること。特に、牛肉の安定価格については、肉用子牛合理化目標価格を考慮することによって急激な変化が生ずることのないよう、措置すること。    また、最近における乳用種等の枝肉価格の低落に伴い乳用種肥育経営等の収益性が悪化している現状にかんがみ、引き続き肉用牛肥育経営の安定対策を推進すること。  三 肉用子牛の保証基準価格については、繁殖農家の再生産の確保を旨として適正に決定し、合理化目標価格については、我が国の肉用子牛生産の実態に十分配慮し適正に決定すること。    また、肉用子牛生産者補給金制度の活用、乳肉複合経営の推進などにより、肉用子牛生産安定を図るとともに、酪農経営の安定に資すること。  四 ウルグアイ・ラウンド最終合意文書案において、例外なき関税化が提案されていることに対処し、基礎的食料は国内産で自給するとの基本的方針を堅持することはもとより、我が国酪農の健全な発展及び地域経済の振興を図る観点から、基幹的乳製品輸入制限措置を堅持するため、ガット第十一条二項C(i)の見直し明確化について、我が国の要求が実現するよう最善を尽くすこと。  五 消費者ニーズに即した安全で良質な国産乳製品を消費者に提供するとともに、酪農経営の安定を図るため、乳質の向上及びナチュラルチーズ等高付加価値乳製品生産の推進に努めること。  六 都市化の進行に伴う糞尿処理等の畜産環境問題が、飼養規模の拡大等による生産性の向上と経営の安定を阻害する大きな要因となっていることにかんがみ、環境保全対策を推進すること。    また、豚のオーエスキー病の清浄化を図るため、総合的な防疫対策の推進に努めること。   右決議する。  以上の決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
  193. 高村正彦

    高村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  東力君外四名提出の動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  194. 高村正彦

    高村委員長 起立総員。よって、本動議のごとく決しました。  この際、ただいまの決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。二田農林水産政務次官。
  195. 二田孝治

    ○二田政府委員 ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従い、最近の畜産をめぐる情勢を踏まえつつ、十分検討してまいる所存でございます。(拍手)
  196. 高村正彦

    高村委員長 ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  197. 高村正彦

    高村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  次回は、来る二十六日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十三分散会