○
鉢呂委員 言葉としては次官の言われたとおりなんですけれ
ども、しかしそうはなっておらないのであります。この間の
酪農の推移だけを見ても、規模
拡大、これは着実に達成されておるという農水省のこの
局長報告に見られるように、それによっておるのであります。その中身の
生産性の向上ということについては、言葉としてはそういうふうに言われておっても着実に
酪農に浸透しておらないということが大きな課題としてあると思うのです。
それはもう既に
酪農近代化
基本方針の中で言っております一頭当たり六千四百キロの乳量というのは、既にもう達成をしておるのであります。しかもこの
酪農基本計画の中でも、二戸当たりの飼養規模が西欧諸国並みにもう達した、したがって、
生産性の合理化という内的な充実を図ると。この中にも言っておりますように、資源の有効活用により、
地域及び
経営の実情に即し、
経営の推進を図るということで、非常に
日本型の
酪農を志向しておったはずなのであります。しかし、そういった乳肉複合的な酪
農家はどんどん没落をしているという実態ではないでしょうか。私はそこにもっとメスを加える必要があるというふうに思うわけであります。
時間がありませんので次に進みますけれ
ども、先般、
酪農の全国基礎
調査の速報が発表されました。これは、全酪
農家の実に八五%の
調査でありますから、現況の酪
農家の皆さんの苦労といいますか実態がわかるのでありますけれ
ども、特に後継者は、「決まっていない」という人も含めて六七%の人が、今のところ定かではありません。あるいはまた、
経営主自身が
酪農の継続について、五年以内に中止をしたいという意向の人が一五・八%もおるのであります。さらに、「わからない」という人も含めると六〇%余りの方が
酪農の継続についてきちんとした明確な方向を持っておらないということであります。私は
局長報告の、規模
拡大が着実に進んでおるというような非常に楽観的な見通しとは異なっておる、今や
酪農の崩壊が始まっておると言っても過言でないと思います。
しかも、この
調査時点、過去一年間で牛乳を出荷中止した
農家が二千四百戸。これは農協の聞き取りで、その半分、四七%が
農家をやめておる。
経営転換でなくて
農家をやめておる。しかも二八%の方が、約三割が四十歳以下の若手、中堅酪
農家なのであります。しかも、
ECの平均規模であります経産牛二十頭以上の飼養頭数
農家が二〇%も離脱しておる。北海道では、五二%の方が経産牛二十頭以上持っている、
EC並みでいけば大型の酪
農家なのであります。
局長報告の中でも、飼養規模の零細な規模層を中心に減少しておるという表現を使っておりますけれ
ども、ここ数年ずっとその表現を使っておりますけれ
ども、減少はむしろ全階層に進んでおる。もっと深刻にとらえるべきである。数字の魔術で規模が
拡大しておるということになっておりますけれ
ども、実態は、全階層が
酪農をやめる、あるいはやめたいという意向も持っておるということを真剣に、
酪農の抜本的な
政策の転換として考えるべきではないかというふうに思うわけであります。
しかもこの
調査結果は、酪
農家自身の
経営対策を個別に課題解決するというようなアンケート
調査になっておりまして、
酪農の根本的な問題点が明らかにされておりません。例えば機械投資をするとか設備投資をするというふうなことに分類されて、それに答えるような形になっておりますから、明確でありません。
ただ、後継者の確保のために何が必要かという設問に対して
調査項目がありまして、その中では、酪
農家の皆さんは実に四七%の方が、「見通しの立つ
酪農経営」が後継者確保の重大なものである、解決であるというふうに半分の方が答えられております。あるいはまた「
生産物
価格の安定」が三九%、「利益率の向上」が三六%。北海道においては「負債の軽減」が二二%の方が根本的な解決だというふうに、
農家みずからが今の
酪農情勢を基本的に、根本的なところで見ておるのではありませんか。
これらの
調査結果に基づいた農水省の基本的な考え方、これについてお伺いしたいと思います。