○
大出委員 今、年内に結論を出すと言いましたね。年内に結論を出す、作業部会が
準備段階から入りまして。これは私はどう考えても納得のしょうがないのです。というのは、簡単に言えば、アメリカ側で計画を立てて
日本に押しつける。
日本というのはアメリカの貯金通帳みたいなものになっちゃいますよ、そんなことだったら。
日本は金出せよ、計画はこっちで立てたんだから。出せ、出さなければ承知しない、金あるんだから出せ。このやり方に、しかし仕方がない。しかもこのプロセスを見るとめちゃくちゃだ。
まず
最初に規模を申し上げておけば、今お話がありましたが、この超電導超大型加速器SSCなるものは、大きく表に出たのはブッシュさんの一月の訪日のときなんですが、水面下では昨年からずっと続いていたんだ。そこで直径二十七・五キロ、
局長八十七キロ。どのくらいの大きさかというと、東京の山手線の二・五倍というのだから。山手線は循環線でしょう、この山手線の二・五倍というわけですよ。その広さのところ、しかも地下六十メートルの長円形のトンネル、切り口の直径が三・六メートル、をつくって、その中に約一万個の超電導磁石を並べるというんだ。水素原子核の陽子を逆方向に、光の速さに近い速さで走らせて衝突させることによって四十兆電子ボルト、宇宙ができたころのボルトだというのだけれ
ども、四十兆電子ボルトという宇宙出現直後に近い高エネルギー
世界をこしらえて、破壊された陽子から飛び出してくる新たな素粒子の振る舞いを測定する、こういうわけだね。
八十二億五千万ドル、一兆一千億ですよ。とりあえずなんだ、この
お金は。とりあえず一兆一千億、八十二億五千万ドル、これで始めるというわけです。始まってどれだけかかるかわからぬというわけです。そこで、
日本から十五億ドルから二十億ドル出せ。二十億ドルといったら二千六百億ですよ。百三十円で
計算して二千六百億。これは大変なこと。しかもこれはとりあえずなんだ。あと
幾らかかるかわからぬ、これは。しかも、この電子磁石の現物で出してくれと言っておる。そうすると、これは専門家がここに言っておりますけれ
ども、アメリカの
計算した電子磁石をつくる見積もりよりも、実際にその磁石一台当たりの費用というのはアメリカの見積もりの四倍近くかかる。だからアメリカは、四分の一の見積もりで
日本は磁石をつくって出せと、こう言う。こんなものへ乗っかったらえらいことになるというふうに専門家はここに書いているのです。
しかも、いいですか、これは私は皆さんに申し上げたいのだが、こういうことですよ。ここに全部並んでいるんだけれ
ども、九一年三月、去年の三月ですね、訪米した小沢自民党幹事長にベーカー国務長官が、この今のSSC、これに
日本が乗って金を出してくれ。それから四月に、今度は海部
総理が行ったときにブッシュ大統領がまた、SSCに金を出せ。今度は五月に訪米した
中尾通産相にワトキンズDOE、エネルギー省長官が九月までにと期限を切って、協力の意思表示を明確にしろと言う。ワトキンズという人は私もよく知っているが、海軍の元作戦
部長だ。海軍大将だ、退役しているけれ
ども。今度は五月になったら、去年ですよ、ムーアDOE副長官がブッシュ大統領の海部
総理あての書簡を持って
日本にやってきた、協力しろと。今度は九月になったらワトキンズDOE長官が韓国を訪問して、SSCへのアジア諸国の協力を討議する共同作業グループを設置されたい。これはなぜかといいますと、韓国を初め
幾つかの国へ声をかけて金を
幾らか出させるんだが、全部集めたって一億ドルに満たないのです。これを出させておいて、それを呼び水に
日本に二十億ドル出させようというんだから。十月にはハッパーDOEエネルギー研究
局長と、彼に同行してノーベル賞学者二人、テキサス大のワインバーグ教授とマサチューセッツ工大のフリードマン教授が、文部省、
日本学術
会議、経団連に協力しろと言う。そしてまた、去年の十月になるとブロムリー大統領補佐官がやってきて、ここでもとにかく速やかに協力しろ。そして、九三年に期限切れとなる日米科学技術協力協定を、期限がついているんだからこれは切れるわけですけれ
ども、これをとにかく延長しろ。延長させられたんだ、
日本は。
そして去年の十一月になるとアマ
コスト駐日大使、私もアマ
コストさんがアメリカにいるときからよく知っていますけれ
ども、アマ
コスト駐日大使が、宮澤新
内閣ができた、
渡辺外務大臣をアマ
コストさんが訪れて、米問題とSSC、これをどうしてもやれ。また、次いで来日したベーカー国務長官が竹下元首相に。そしてこのベーカーさんの言い分は、ブッシュさんが
日本に来ると資金協力が正面の大きな議題になりますぞ、やってくれにゃ困る。それで羽田
大蔵大臣に、ガット・ウルグアイ・ラウンド、米の問題、そしてSSCの問題、これを両方とも片づけると言う。十二月になるとワトキンズさんがまた来ている。記者クラブで会見をして、またここでもSSC。この過程で宮澤
内閣はSSCのアメリカの要求をそのまま受け入れる姿勢になっちゃった。そして一月六日にブッシュさんが来たときには、協力します、でしょう。
こういうやり方をされて、恐るべきことですが、
日本はアメリカの貯金通帳じゃないんだから、これは。こういうやり方は、これは表に出ないからだけれ
ども、アメリカがやったことを並べて書いてみると今申し上げたようなことになる、一、二抜けているけれ
ども。こういうやり方は、
日本側はみんな恐れをなしちゃった。恫喝ですよ、
一つの。それでこれに協力する、二十億ドル。向こうの設計の四倍もする磁石の現物出資をしろ。これは皆さん少し考えていただきたいと私は思うのだが、
外務大臣、いかがですか。