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1992-03-12 第123回国会 衆議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年三月十二日(木曜日)     午前九時三十一分開議 出席委員   委員長 桜井  新君    理事 浅野 勝人君 理事 井上 喜一君    理事 御法川英文君 理事 山口 俊一君    理事 上田 卓三君 理事 田口 健二君    理事 山田 英介君       上草 義輝君    江口 一雄君       大塚 雄司君    大野  明君       高鳥  修君    葉梨 信行君       浜田 幸一君    前田  正君       大出  俊君    佐藤 敬治君       佐藤 徳雄君    嶋崎  譲君       山中 邦紀君    山元  勉君       北側 一雄君    竹内 勝彦君       三浦  久君    和田 一仁君  出席国務大臣         外 務 大 臣 渡辺美智雄君  出席政府委員         防衛庁参事官  高島 有終君         防衛庁防衛局長 畠山  蕃君         防衛庁装備局長 関   收君         防衛施設庁施設         部長      大原 重信君         外務大臣官房長 佐藤 嘉恭君         外務大臣官房審         議官      川島  裕君         外務大臣官房領         事移住部長   荒  義尚君         外務省アジア局         長       谷野作太郎君         外務省欧亜局長 兵藤 長雄君         外務省経済協力         長       川上 隆朗君         外務省条約局長 柳井 俊二君         外務省国際連合         局長      丹波  實君  委員外出席者         外務大臣官房審         議官      須藤 隆也君         内閣委員会調査         室長      富成 敏夫君     ――――――――――――― 委員の異動 三月十二日  辞任         補欠選任   中尾 栄一君     上草 義輝君   吹田  愰君     江口 一雄君   渡瀬 憲明君     前田  正君   綿貫 民輔君     浜田 幸一君 同日  辞任         補欠選任   上草 義輝君     中尾 栄一君   江口 一雄君     吹田  愰君   浜田 幸一君     綿貫 民輔君   前田  正君     渡瀬 憲明君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務  する外務公務員給与に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第二〇号)      ――――◇―――――
  2. 桜井新

    桜井委員長 これより会議を開きます。  内閣提出在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 渡辺総理外務大臣、随分しばらくぶりでございまして、あなたが鈴木善幸さんのときの大蔵大臣をおやりになった、二期おやりになった。最初、二期目もそうでしたかね、べらぼうな歳入欠陥でね、あのときは。私があなたに質問をしたあれ以来ですかな。私はあなたと同期だから、同期のあなたが活躍されているという意味で非常にうれしいわけですが、この国の将来のために御活躍をいただきたい。御期待を申し上げ、かつ激励を申し上げておきたい、こういうふうに思います。  そこで本題、つまりこの法案に入りたいのでありますけれども、その前に、これはあなたに聞かなければ質問にならないので、聞かせていただきたいのです。  横浜が私の地元でございますが、一月ばかり前にあなたが横浜おいでになって講演をなさったわけでありまして、地元は騒ぎになりまして、デノミの話が出てまいりましたからね。これは副総理であるあなたが、しかも大蔵大臣を二期も経験をされているあなたの発言でございますから、私の足元、知った人も多いわけですけれども、この問題について非常な反響がございまして、大出さん、あなた渡辺さんとは同期のはずだが、一遍どこかで聞いてみてくれ、大分あのときに注文を私もつけられまして、機会があれば聞いてみるというふうに答えてあるのです。つまり、あの発言真意というの在、いいかげんにお話しになったのじゃないのだろうと思うので、私もあなたと一緒に長く国会におりますが、何回かぎりぎりのところでデノミの話、議論もしてきているわけでありますが、したがって、まず真意のほどをお聞かせを願いたい、こう思いますが、いかがですか。
  4. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 大出委員とはもう二十七、八年のつき合いでございまして、いろいろ予算委員会理事仲間一緒にやったり、また大変手助けをしてもらったことを感謝をいたします。  デノミのお話というのは、本当に福田さんのとき、大変福田総理大蔵大臣が熱心でありまして、結局日の目を見なかった。私が大蔵大臣になったときも、実は内々検討をいたしました。  デノミをするか、大型紙幣五万円、十万円を出すかということで検討したのですが、どっちもちょっと物価との関係で、当時公定歩合が九%、消費者物価が九%、こういう中で大型紙幣を出すとインフレマインドに拍車をかけるのじゃないか。それから、デノミということがよく知られてないから、デノミをやると宣言すると今のお金が使えなくなってしまうのじゃないかという錯覚を起こす人が三%や五%いるから換物運動が起きるのじゃないか。そうすると物価が九%も高いのにさらにはね上がるというようなことでは大変だなということで、ではデノミを何%でやったらいいか、千分の一にするのか、百分の一にするのかという議論が当時ありまして、千分の一にするのが一番望ましい、そうすればコンピューターもそういじらぬでいいし、みんな三けた単位になって、ノートも大体三けた単位になっているからそれはいいんだが、しかしながら、そうすると日本通貨世界一強い通貨になっちゃう。ともかく、千分の一にすると、当時一ドルが二百四十円か七十円でした、それが一ドルが二十四銭、基軸通貨日本補助貨幣ということでは幾ら何でもこれはまずいじゃないか一じゃ百分の一にしたらどうだという話があったのですが、百分の一にすると多少機械その他を直さなければならぬ。そして、そのほかに一銭としてアルミお金が残ってしまう。一円が一銭になっちゃう、十円が十銭として残って五円が五銭になる。そうすると、細かい通貨を整理しようと思ってもアルミと五円玉が残る可能性があるということなどいろいろありまして、残ったっていいじゃないかという議論もあったのですが、物価の問題ということが一番障害となってやめようということになったのです。  実はその背景がありまして、それで今回は世の中少し明るくすることも必要だろうし、主要国通貨が、百分の一ぐらいにすると大体一ドルが一円三十銭とか二十五銭とか、ポンドが二円何十銭とかマルクが一円か八十銭か、基軸通貨が大体同じくらいのところへ並ぶということも国際国家日本としてはいいのではないか。それから、すぐやるわけじゃありませんから、三年ぐらいかけてやるわけですから、今のうちから言っておけばその間に準備があって、政府が金出さなくても、それによって需要がふえると思う業種は二年の間に先行投資をするであろう。例えば自動両替機とかなんかの先行投資、それは自分の会社の負担において自分たちがやるわけですから、その段階、二年の間はだれも金かかるわけじゃないし、もうけようと思う業者が自分のリスクで自分お金でやるわけだから景気対策にも決して悪い影響は出ないというようなことなど、いろいろございます。  長話になっても恐縮ですからなんですが、簡単に言えば、そういうような背景があって一つの案として検討してはどうかという、まあアドバルーンを上げたという程度のことでありますが、寄ってたかって閣内からちょっとそれはやめてもらいたいという話になりまして、それで私はもうやめちゃったというのが実情であります。
  5. 大出俊

    大出委員 これはやめちゃったで済む筋合いでもない。いろいろな誤解があっちゃ困るわけですね、これは。表に出されたわけですから。渡辺さんがポスト宮澤渡辺政権を視野に入れて物を言ったなんて書いてあるのもありますが、必ずしもそうじゃないと私は思っているのでね。十八日に東京都内講演のときにも、あなたの発言がある。世の中佐川隠しなんという人もあるが、そうじゃない、真剣に考えて物を言ったんだ。この後、山口敏夫君が立って、渡辺政権ができたときの公約にしてもいいという発言をした、これは新聞に出ています。これは恐らく真剣に考えて話をされたんだろうと私は思っているんですね。  また私も何回も、佐藤内閣のときもそうなんですけれども、私も随分一生懸命デノミというものは調べた時期がある。だからあなたの発言があったときに当時の私が調べた資料を読み直してみた。どちらかというとあのころ私は、詳細な検討が要るし世論の同意国民同意が要るけれども考えてみたらどうかなと思った時期がある。  ということがありますので、そういう意味でこれは誤解を避ける意味で少し物を申し上げておきたいんだけれども、これは歴史的に見るとこういうことになるんですね。明治四年に一両、二両という日本の当時の小判、この両にかわって円というものを登場させたわけですね。だから両にかわって日本の円というものができたときに、明治四年ですが、どういう対ドルレートになっていたかというと一ドルが一円なんですよ。私は、福田赳夫さん、上州の方、群馬の方で、私もおやじもおふくろも群馬だものだから仲よくしていたので個人的にあのころ聞いてみた、何であなたはデノミ論者なんだと言って。そしたら彼が主計官のころの話をしまして、戦前は一ドル二円だったと言うんだ。二円だよ、大出君と言うわけだ。今三百六十円なんて冗談じゃないと言うわけですな。それだけでもデノミの価値がある、こういう理論だったんですよ。調べてみたら一ドル二円じゃなくて一ドル一円で出発しているんですね。ところが、古い話だけれども西南の役なんというのが明治十年にあって、このころから円レートが安くなっていったという歴史があるんですね。  それで佐藤内閣のとき、ここのところはいろいろあって表街道で私は見ていたんだけれども、後で調べてみたら実はデノミ問題はぎりぎりまでいっていたんですね。というのは例の一ドル三百六十円の固定レート、これから変動相場にかわっていく。佐藤内閣は三百六十円を死守しようという、佐藤さんが大分その気になっていたでところが大蔵省があきらめた。当時間定相場というのは、これはしょうがない、変動相場にかわっていくのはやむを得ぬと言う。このときに為替レートを切り上げた後のデノミというのを大蔵事務当局が考えたんですね。そこで当時の大蔵次官田中敬さんが詳細な検討をした結果、デノミについての佐藤総理総理大臣としての裁可を仰いだ、総理どうですかと言って。これは後で調べてみたらはっきりしているんですね。しかも時期まで決めている。そうすると円の呼称の単位を百分の一にする、あなたも百分の一と言っておられるんだけれども百分の一にする、そして実施には相当の準備期間が必要だから昭和四十八年の一月からとするというところまで大蔵内部をまとめて、佐藤総理裁可をいただきたい。これは結果的に、佐藤さんの性格もあるのかもしらぬけれども佐藤さんが消極的な姿勢を崩さずに結局日の目を見ないという形になったんだが、大蔵省内部では相当細かい検討を当時からしているんですね。  そこであなたに聞いておきたいのは、幾つかのところでシミュレーションめいたことをやっているんですね。五十一年当時、このころ福田内閣のときですね。一体どういう条件のときにデノミというのは考えるべきものなのかということと、デノミを考えた場合のつまり誘発効果ですね、景気といったらいいのかあるいは需要といったらいいんですか、需要誘発効果をどのぐらいに見るのか、それからデノミコストをどのぐらいに見るのか、二つあるんですね。さっき大臣言っておられたけれども景気浮揚という意味需要創出効果、そしてコストをどのぐらい見るか、ここらのところを、あなたは大蔵大臣をおやりになっているんだし、この間のあの発言の中身からするとお考えになっていてお話しになったんじゃないのかなという気がするので、これは質問なんだから、閣内じゃないんだから、閣内で黙っていてくれと言われたからといったって質問は自由なんだから答えてください。お答え願いたいんですが。
  6. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 実は詳しくそこまで全部詰めてやったわけではありませんが、前のいきさつもございますから。確かに負担が多くふえる、コストがかかるということも事実です。しかしそれは今すぐかかるわけじゃないわけでありまして、何年か後にぼつぼつと、どんなに早くても二年とか一年半、あるいは三年後になるかもわからない。しかし需要をふやすという点ではこれも事実。それが数字的に詰めてどれぐらいのプラスマイナスということまで読んだわけではありません。一つ問題提起でありまして、まず第一、国民拒否反応を示しておればこれは言うべくしてできないことでございますから、デノミというものはそう怖いものではないんですよということを何回か言っているうちにだんだん理解が深まるであろうという程度のことで、そう政策当局と突っ込んだ話し合いをした上で言ったわけではない。だから、私は一つ検討課題として検討してはどうかということを言ったわけであります。したがって細かい数字計算はいたしておりません。
  7. 大出俊

    大出委員 五十一年に、やはり福田さんのときですけれども、いろいろなことがあった後、三和銀行の三和総合研究所が試算をしたデータなどを実は私は当時調べて、ここにありますけれども、細かいことは申しませんが、需要創出といいますか需要誘発といいますか、その効果が細かく検討されておりまして、当時の五十一年ベースで二兆二千九百億円。これには紙、印刷、出版、化学、一般機械電気機器非鉄金属、いろいろこうあるのでありますが、二兆二千九百億円。デノミコストが実際に実施した場合にどうなるか、自動販売機だとか金銭登録機だとか公衆電話だとか事務伝票その他の諸経費だとかざっと計算をされておりまして、こちらのコストが一兆五千億。つまりデノミによる需要創出効果コストというものを当時出している。  あなたが口にされたデノミの問題が今まで戦後しばしば議論されている時期があるわけでありますから、やはりきちっと検討してみる必要がある、私はこう考えているんですよ。ですから、あなたの内閣ができたらという話までここに載っているけれども、それはそれとして、あなたがいいかげんで考えたんじゃないんだろうと思うので、ひとつ真剣に御検討いただきたいなという気がいたします。そこのところはいかがですか。
  8. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 これはある日突然デノミをやってすぐ実行するというわけにはいかぬわけですから、何年間かかかるわけです。これについては賛否両論あるのも事実。それから需要誘発効果コストの問題についても、これも実際はまちまちなんです。みんな同じ数字研究所が出すわけでもありません。この前もそうでした。だけれども、そういうことを大いに議論をしてもらうということが必要だと思って私は言ったわけで、それに対する反論も大いに出してもらって結構、それは賛成だという人があっても結構。  そういうような議論が詰められた結果、やはり今も大出先生言ったように、最初一円が一ドルというところから出発して、それでまあ戦後になって日本の円が下落をして、実際は、実質は三百六十円ところか五百円か幾らぐらいだったでしょう。それを三百六十円で、固定相場で設定をしてもらって頑張ってきたんだが、それじゃ日本が輸出に対して有利過ぎるということもあり、世界の大勢から見て、これは変動相場に踏み切らざるを得ないということになって三百八円ということからスタートしたわけです。  ですから、私は今後ともこの問題は大いに議論を継続してもらいたい、そう思って、私も少し、もっと勉強していこうか、そう思っておるわけです。だから検討は続けたいと思っております。
  9. 大出俊

    大出委員 我が国経済の先行き、いろいろなことが頭をよぎりますが、一ドル一円、明治四年のときは。今一円というのは人も拾いませんけれども、当時は金貨ですからね、これは。歴史を振り返ると、確かに福田さんの言うようなところもある。その意味で私ももっと勉強してみたいと思っておりますが、ぜひ御検討願いたい、こういうふうに思います。  せっかくの法案でございますから、二、三法案に触れて聞いておきたいのであります。  デトロイト公館を置くというわけですね。私は、デトロイトに議員になる前に参りまして、しばらくおったことがあるんです、昔の話でありますが。その時代でもアメリカの自動車産業のメッカ、集中的にある場所でございますから、今までなかったというのが不思議な気がするんですが、どうして今ごろになってつくることにしたんですか。
  10. 川島裕

    川島政府委員 お答え申し上げます。  今まではシカゴ総領事館があの辺を見ていたわけでございますけれども、まさに御指摘のとおりデトロイト、大変な工業地帯でございます。その上、今度デトロイトを考えるに至りましたのは、八〇年代の後半から日本進出企業があの辺で急速にふえたということで、そちらの事情の変更ということから、これはとてもシカゴだけでは見切れない、こういう判断に立ってデトロイトということを考えた次第でございます。
  11. 大出俊

    大出委員 まあ置くことにしたということですから、本来ならもうあって、とっくの昔になきゃならぬ地域でございますから、わけがわかればいいわけでありますが。  もう一つウィニペグカナダでございますけれども、これは妙な記事があったりしまして、渡辺さんが廃止するんならウィニペグだと言ったら途端に廃止になっちゃったというカナダウィニペグの領事館の廃止。私も内閣委員会には随分長いことおったんですけれども廃止というのは初めてでないかというふうに思うのですね。これは国際的に見た穀物相場だ云々だというので、このウィニペグというところはそういう意味では非常に重要な地域。だから、あって不思議じゃないのでありますけれども、これは渡辺さんが廃止するんならウィニペグ廃止しようと言ったらそうなっちゃったと書いてあるんだけれども、そういうことですか。何か理由があるのですか、これは。
  12. 佐藤嘉恭

    佐藤(嘉)政府委員 在外公館の設置の問題につきましては、私ども日本当該地域との関係を十分考慮しながら考えていかなきゃならないということはもう先生指摘のとおりでございます。  ウィニペグにつきまして今般廃止することになりましたのは、私ども、これだけ世界情勢が転回をし、いわゆる外交行政需要がふえてきている、そういう状況のもとで、在外公館の数が多くなれば多くなるほど情報もたくさん入るあるいは邦人保護もきちんと対応できるということで、たくさんあることは好ましいことだと思います。他方、財政当局というか財政状況との勘案をいたしますと、むやみにふやしていくということだけではなかなか説得力のある議論ができない状況も一方においてございます。そういう両方のことを考えながら、全体として外交機能あるいは在留邦人保護の体制が損なわれないような形での再検討というものも同時にしていかなきゃならないだろう。そういう観点から、今回確かにウィニペグ総領事館、廃館いたしますけれども先生今御指摘穀物情報あるいはカナダの、西側の情報等につきましては近接のエドモントンの総領事館でこれをカバーしたいということを考えているわけでございます。
  13. 大出俊

    大出委員 まあいいでしょう。  もう一つ承っておきますが、子女教育手当加算限度額の改定があるわけですね。これを見ますというと、年少子女一人につき月額八万一千円、現行六万三千町、こういうわけですね。ところが別な資料を見ると、月額これは十六万も十七万もかかるところがあるんですね。高校なんかですと、これはベルギーですか十七万九千円というのがありますね。それは確かに日本国内におっても教育費がかるわけでありますけれども、しかしこんなに高くはない。そうすると八万一千円で果たして――在外公館おいでになる方の子供さんを学校に入れるという場合に、国内にいるのと違って、場所によってはどうしても大変な月謝を払わなきゃならぬとなると、大きな持ち出しになるところがあるんじゃないのかな。私はたから、月額八万一千円といわずに実情に応じてもっと上げていいんじゃないのかなという気がするのでありますけれども、なぜこれを八万一千円で抑えるのか。私も随分方々歩いていろんなことを聞いておりますけれども子供さんの日本人学校ができるできないから始まりまして、随分苦労しているんですね。そうなりますと、場所によってはとてもじゃないがこの八万一千円じゃ持ち出しか多過ぎてたまらぬというところだってあるわけでありまして、そういう意味でなぜ八万一千円なのか、一つだけ聞いておきたいのですが、もっとなぜ上げられないのか、実情に応じて。いかがですか。
  14. 佐藤嘉恭

    佐藤(嘉)政府委員 ただいま大出先生から子女教育手当につきまして大変御理解のある御指摘をいただきまして、感謝をする次第でございます。  確かにただいま先生指摘のとおり、ヨーロッパ等々におきましてかなり高額の負担を強いられていることは事実でございます。私どもといたしましては、在外において我々の同僚がこういうことについて心配なく生活できる、あるいはそれの心配がないがために外交活動に一層専念できる、そういう環境をつくっていかなければならないと思っております。すなわち、自己負担を余儀なくされている分についてはできるだけ負担を軽くしていくという努力を重ねなければならないというふうに思います。  私どもの今回の制度改正によりまして自己負担率がどのくらい変わっていくかということを平均的な数字で申し上げますと、現在持っている私ども制度のもとで、すなわち平成三年度でございますが、自己負担率が一〇・五%でございます。今回御審議いただいている改正が行われますと、その負担率が六・二%に減っていくということが数字的に出てまいります。私どもとしては、できるだけこれが〇%になることが好ましいわけでございますが、財政当局とも協議の結果、平成四年度における努力としてこの辺のところが妥当な線かな、先生のただいまの御指摘を踏まえまして、今後とも一層努力をしてまいりたいと考えております。
  15. 大出俊

    大出委員 私も随分、毎年毎年、国対委員長などをやっている時期歩きましたが、細かいことは時間の関係もございますから申し上げませんけれども、随分苦労しているところが多い。だから、これはやはりもう少し考えてあげないと出先で大変なことになる。心配をいたします。したがって、ここのところはぜひ大臣にも気を使っていただいて、もう少しこの実情を調べていただいて、余り大きな負担を、自分で持ち出さなければならぬということのないように、やむを得ずこれはそうなるんだから、ほかに学校がないんだから、アフリカなんか特にいろいろなことになっているわけですから、したがってそういうことも考えてお願いをしておきたい、こう思います。  次に、法案を離れますけれども幾つか承りたいのであります。  これは渡辺さんに聞きたいのですけれども、十日の日に、宮澤総理とあなたが二人だけ、こう新聞には書いてありますが、官邸で打ち合わせをされた。約一時間ぐらい意見交換をした。これからどういうふうにするか、予算が上がったら政治改革はともかくPKO協力法案に全力を挙げようということになったという記事がここにある、新聞記事ですからそうであるかどうかわかりませんけれども。私は、やはりそれではちょっとうまくないんじゃないかな。奈良があり、宮城があり、二回も参議院選挙をやったわけでございます。私どもの方にもいろいろ問題がある方々がおる。今一番対国民という意味で大事なことは、与野党云々じゃなくて総力を挙げて取り組まなければならないのは、政治改革なんだろうと私は実は思っているんです。ところが、いきなりPKOだ、最優先だ、これなんだ。政治改革がどこかに行ってしまっている。ちょっとこれではまずいなという気が私はいたします。  また、私は渡辺さんから、私の寡聞にしてということになるのかもしらぬけれども、余り政治改革に御熱心だという御発言を聞いたことがない気がする。なかなかそれを言いにくいお立場なのかもしらぬけれども、やはりこれは政治改革が当面の急務、どうしてもこれは、それこそ予算のめどがつけば総力を挙げて、与野党挙げてやらなければならぬ筋合いだろう、こう思っているんですが、ここのところは一体どうお考えですか。
  16. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 官邸で総理と私がいろいろ話をしたことは事実。一時間近く話をしているわけですから、一つの話じゃなくて全般について意見を交換いたしましたが、それを全部新聞記者に言うわけにもまいりません。何を話したかということだから、それは何か言わないわけにはいかないのでありまして、PKO法案はもう衆議院を通過して参議院に行っておるわけですから、後は参議院だけの問題です。したがって、これに力を入れることは当然でございます。  一方、政治改革の問題はもちろん、これはやらないというのではなくて、これも全力を挙げてやるわけでございますが、これは何といっても制度の話でございまして、自民党だけでどんどんともかく決めていくという筋合いのものではありません。これはやはり与野党で案を出し合って、それで本当に最初から話し合いの上の案をつくっていくということでございますから、それはもちろん全力を挙げてやることは同じでございますが、まず、政府対与野党という形ではなくて、与党と野党という党の間で話し合いを進めていくということですから、それは党の総裁としては、党と党との間でもっときちっと進めてくれとおっしゃるのは、私は当然だろうと思います。
  17. 大出俊

    大出委員 これは新聞記事だと私は申し上げたんだが、幾つかの新聞、あなたが記者にお話しになったんだと思うのでありますが、似たようなことがみんな書いてあるんですね。つまり、予算のめどがついたら総力を挙げてPKOだ、こういうわけですね。同じようなことが書いてありますよ。だから、そうじゃないんじゃないかと申し上げている、私は。やはりこれがめどがついたら、それこそ今あなた、政治改革は自民党だけでやる筋合いのものじゃない、こう言う。PKO協力法案だって自民党だけでやる筋合いじゃないでしょう、もちろん。きょうの午後ですか、けさの新聞を見ると、金丸さんが各党の党首を歩いて話をする、こういうわけですね。これを見ても、何とか予算のめどをつけたい、政治改革を何とかまとめたい、そしてPKOについての相談もしたい、こういう出方ですよ。  ところが、渡辺さんのこの記者会見というのは、いきなりPKO。これは私どもにすると、二回選挙をやってきているんだし、まず政治改革に全力をと。ましてあなたは副総理なんだし、しかも今までの政府の言い分は、自民党にお願いをして中旬ごろまでに政治資金だとか定数是正だとかめどをつけたい、そういたします、こういうふうに答えておいでになっている。したがいまして、これは渡辺さんにも政治改革にやはり全力を挙げるという姿勢になってもらいたいんだが、重ねて質問しますが、いかがですか。
  18. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 政治改革というのは行政改革みたいなものでして、行政改革、賛成か反対かというと、反対という人は余りないのですよ。これはみんな大賛成。政治改革も、政治改革は大賛成なんですが、どのように、どこを変えていくかということになりますと、そう簡単でないことも事実でございます。  自民党の中だけとってみても、この前の小選挙区法案をつくるときに、それは党内で大変な、約一年近い議論をしても、なかなかすっきりしなかった。それで、まあ出すだけ出させてくれというような話になって、総務会がそういう形でパスして、国会に上程した、これは実際そのとおりでございますから。だから、我々はもちろん全力を挙げてやるんですが、ただ、一方的にやるわけにいかない。これはよく話し合いをしながら、まず政党間の言い分をよく聞いて、そこでひとつ案を練ってもらうというのが今の内閣の考え方でございます。内閣が先に飛び出して法案を提出するということじゃなくて、与野党間で中身について白紙の立場から議論をまずスタートさせてほしいということだろうと思います、私の所管じゃありませんが。そのように理解をしております。
  19. 大出俊

    大出委員 渡辺さんの話を聞いていると、政治改革というのはとても無理だというふうに聞こえる。非常に困難であることは事実ですよ。私が国対委員長をやっているときに、野党間で相談をして、野党の間でも非常に問題はいろいろございましたけれども、倫理委員会などを設置するということを織り込んだ政治倫理法案を野党間でまとめて提出をした、これは百二十一国会。非常に苦労しましたが、やはり提出をしたわけでありまして、つまり困難は承知だけれども、それをまとめなければ政治信頼の回復につながらないと思うから、あなたのように無理なんだという言い方ではなしに、やはりこれはまとめるという努力をあなたも全力を挙げてやっていただかなければ困ると思うから言っているのですが、もう一言答えてください。
  20. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 私は最初から無理なんだと片づけているわけじゃないですよ。ないけれども、現実には、今の政府のこの間廃案になった法案をそつくり出すのならすぐできるのですよ、実際には。だけれども、それではなかなか法案を成立させることは難しいということも事実ですから、何かあれにどういうふうに手を加えるか、それをまず与野党間で話して進めてもらいたいということであって、我々は政治改革を進めなきゃならぬという気持ちは全く同じ気持ちなんです。
  21. 大出俊

    大出委員 全力を挙げてとにかくまとめなきゃいかぬと思っておりますので、少しくどいようですが、質問しておいたわけであります。  次に、例のUNTAC、どう言ったらいいでしょうね、UNTACの明石さんが来られでいろいろ述べておられますね。これを一、二聞いておきたいのですが、国連カンボジア暫定統治機構、UNTACの国連事務総長特別代表、あなたにも会われでいろいろ話しておられるわけですが、これは二十八億ドルの三分の一日本に拠出をしてくれ、こういう話がありますね。このあたりはどういうふうにお考えですか。
  22. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 委細は事務当局から説明させますが、大ざっぱに言うと、二十八億ドルのうち二十億ドルと八億ドルか、大きい方は国連全体の負担金ですから、その負担金についてはこれはもう各地に前例があることでございますので、アメリカはPKO関係三〇%負担する、その他の国、我々は二一・四五%ということになっておるので、これは私はそのルールがあるのですからそれで十分じゃないか、そう思っておるのです。  ただ、それ以外の復興資金とかなんとか、そういうものについてはやはり日本の立場、協力の度合い、いろいろ勘案いたしまして、それも二一・四五でいいとは私は思っておらないので、それはある程度余分に持つことはやむを得ないだろう。ただ、数字やその他はまだ一切決まってはおりません。向こうの願望としては、全体としてアメリカ並みぐらいに持ってもらいたいという気持ちがあることも事実であります。しかし、私の方は、ルールはルールがあるんですから、だからそのルールで持つが、そのルール以外の対象部分、それについては日本幾ら持つかはこれからの御相談であると存じます。
  23. 大出俊

    大出委員 これは立ち上がり資金といいますか、機構をこしらえてさあやろうというのですね。その分担金が一二・四五%、こういうことだと思うのです。分担金は、これは分担するんだから払わざるを得ないわけです。二十八億ドル、こっちの方、この三分の一ぐらい持ってくれと明石さんは言っているのでしょう。ここの問題、事務当局でもいいですが、どうするつもりなんだと聞いているのです。
  24. 谷野作太郎

    ○谷野政府委員 お答え申し上げます。  先般の安保理の決議で正式にUNTACの設立というのが決まりまして、そこでただいま先生がお示しのUNTACめ具体的な規模をどうするかということで、二万人の歴史的に見ても最大の規模を投入する、それに要する経費がすべて含めまして二十八億ドルという数字が取りざたれておりますが、ただいまのところ、私どもの見通しでも最終的な数字ではございませんで、この二十八億ドルについてこれから総会の審議の過程で若干減額されるかなという見通しもあるようでございます。  いずれにいたしましても、ただいま私どもがやっておりますのは、そのうちのとりあえず立ち上がりのために二億ドルが必要だと言われておりまして、そのうちのただいま仰せの一二・四五%が日本の分担金でございますから、それについてただいま財政当局と折衝を重ねておるという段階でございます。
  25. 大出俊

    大出委員 これは今私は述べましたけれども、立ち上がり資金、これは緊急に必要なんですね。二億ドルというのでしょう。この二億ドルを分担をしてもらうということで計算をして日本に一二・四五%持ってくれと、こういうわけでしょう。これは持たざるを得ないでしょう、分担だから。四の五の言ったってしょうがないでしょう、分担がそうなんだから。立ち上がり資金二億ドルといったら、それを割り振ったら一二・四五%日本だというので、これは困りますと言えないでしょう。それは当然なんでしょう。  そうじゃなくて、そのほかに二十八億ドル、多少それは減るかもしらぬけれども、各党も多かれてうちの党にも明石さん来ておられるわけですからね。聞いてみるとそんなに減るわけじゃないのですね、あの二十八億ドルというのは。積算の根拠が全部あるのです。しかもこれはアジアだし、しかもカンボジア問題というのは日本が相当突っ込んだ立場をとってきている。そうすると、払いませんで済む筋合いのものじゃないでしょう。結果的に出さなければならないということになってしまう。だから私は今からはっきりしておきたいんだ。二十八億ドルのうち三分の一といったら恐らく九億ドルぐらいでしょう。そうすると千二百億円ぐらいになりますね。  当該の外務省の皆さんはこれを一体どういうふうにお考えなのか。明石さんとも相当突っ込んだ話をしておられると思うのだが、だから聞いておきたい。だって相当な国民負担になりますよ。それは国民一人千円ぐらいにはなるんだから。そうでしょう。だから聞いておきたい、どうするんだ。
  26. 谷野作太郎

    ○谷野政府委員 まさに仰せのようにアジアでの紛争後の平和維持のための活動の経費でございますから、明石さんの御意向も私ども内々承知いたしております。少なくとも、二一・四五%にとどまらずそれに上乗せして三分の一ぐらいは日本政府でぜひ負担してほしいという御意向も伺っております。私ども外務省といたしましては、分担金の二丁四五%にとどまらず、私ども日本としての姿勢を示すためにも、そういう方向で三分の一いただければ結構なんでございますが、鋭意これから財政当局と折衝いたしたいと思います。
  27. 大出俊

    大出委員 これは、明石さんという人は外務省の立場もわからぬ人ではないはずだと私は思っておるのですよ。優秀な方だからというので外務省が一遍おとりになって、参事官か何かおやりになったんでしょう、何年間か。そして国連でしょう、それでここまでおいでになったんでしょう、あの人は本来次長さんでしょう。外務省が引き取ってお育てになって国連へという方なんですから、そうすると、それなりに外務省の立場というものも日本の立場というものも頭にあって、考えにあってやっておられるわけでしょう。  つまり、三分の一ぐらいなものを持たなければアジアのカンボジアなんだし、日本が今までやってきたカンボジアに対する姿勢もあったわけだから、そういう意味でいえば、私どもはPKO援助協力法案というのは非軍事、民生協力というところに中心を置いて考えているわけですが、だからこういうものについては、やはり積極的な姿勢が日本にあってしかるべきであるという考えを持っているのですよ。そういう意味で聞いているので、本当に思い切ってこれをおやりになるんなら決意のほどをひとつ明らかにしていただきたい。
  28. 谷野作太郎

    ○谷野政府委員 大変お励ましの言葉をどうもありがとうございます。先生のお考えも十分踏まえまして精いっぱい私どもとしては頑張ります。よろしくお願いいたします。
  29. 大出俊

    大出委員 千二百億といったってイージス艦一隻千三百億なんですからね。それは後から申し上げますが、二十二兆七千五百億円の現中期防、七年まで続くわけですが、AWACSを四機買うことになっていますけれども、これは一機三百二十五億ですから、AWACSなんというものは必要ないんだからということになれば余っちゃう。物は考えようでございまして、やはり必要なところには思い切ってひとつ日本の姿勢というのを前面に出していく、形にしていくということが必要だと私は思っている。防衛にかかわる問題は後から申し上げますが、ここのところだけはひとつ御努力を願いたいというふうに申し上げておきます。  そこで、二月二十五日という日、これはとんでもないことが二つ重なった日であります。外務省の姿勢がいかにもなまぬるい、ちょっと腹に据えかねるくらいなまぬるいと私は思っているのです。  それはどういうことかといいますと、日本の三つの領土、そのうちの二つがこの日に問題になっているわけでありますが、一つは尖閣列島ですね。中国の領海法制定の中に取り込んで、中国の領土であると。これはわからぬわけではない。中国が領海法をつくるのにその法律の中に尖閣を入れなければ、尖閣列島は中国の領土ではないということに逆に見ればなる可能性だってある。これは、外務省おわかりだと思う。だから入れざるを得ないんだろうと私は思う。鄧小平さんが前に来られて棚に上がったようになっているのを、領海法をつくるに当たって外しておけば中国領土という主張ができなくなる。だから入れざるを得ない、入れるんだろうと私は善意に解釈をする。  ところが、もう一つの方、韓国とロシア共和国の間で漁業協定に基づいて北方四島周辺の漁業権を韓国に認める、これは私は、韓国も韓国だし、ロシア共和国もロシア共和国だと思うのです。韓国だって、今まで日本の漁船と韓国の漁船とぶつかり合って争いを起こしたことは現在まで何遍もある、ダブっていれば。全く同じところに韓国が出てくるというわけですね。しかも、北方四島というのは固有の領土ということで、私も国対委員長を五年もやっていましたから、毎年毎年九段会館でやる北方領土の日に出かけていっておつき合いしてきている。大きな問題になっていることを知らないはずはない。にもかかわらずということになるれけですよ、これは。兵藤さん、一体これはどう考えればいいのですか。こんないいかげんなことで事が済むと私は思っていないんだが。きちっとすべきものは、領土ですからはっきりするものはしなきゃいかぬ、こう思っているのですが、いかがですか。
  30. 兵藤長雄

    ○兵藤政府委員 ただいま先生から御指摘いたださましたように、事領土問題に関する問題についてはおっしゃるとおりきちっと、ぴしっと筋を通して言うべきことは言う、まことに仰せのとおりであろうと私も存じます。  日本政府といたしましてもそのような認識に立ちまして、この問題につきまして、つまり日韓の漁業協定を私は今御答弁しているわけでございますが、モスクワにおきましては枝村大使、ソウルにおきましては柳大使を通じまして公式にそれぞれこのような今回の日韓の取り決めというものを日本政府としては黙って認めるわけにはいかない、直ちにしかるべき善後策を講じてもらいたいということを申し入れた次第でございます。
  31. 大出俊

    大出委員 ロシア共和国の外務大臣、コズイレフさんといいますか、これは三月二十日に日本にお見えになるんじゃないですか。二十日に来るんでしょう。来られたときに外務省はどうするんですか、大臣にも聞いておきたいんだけれども。こんなことになって、私ども毎年毎年九段会館で北方領土の日で国民運動まで起こそうといって、随分僕らも協力して一生懸命やっている。そうでしょう。いろいろな話し合いが続いている、作業部会もあるでしょう、兵藤さん。一昨年私はあなた方とモスコーへ行ってシェワルナゼさんとも四十分も五十分も、枝村さんが大使になったばかりでまだ信任状をもらっていないというのに。コスイレフさんが来られたときにどうなさいますか。ロシア共和国の外務大臣がお見えになるんでしょう。そこのところをやはりそれなりの決意の上でやっていただかぬと、事領土問題ですから、大臣いかがですか。
  32. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 これは、この前一月の末に私が訪ソいたしましたときに、北方四島の問題についての本格的な交渉をスタートさせるためぜひ今度は日本に来てくれということになりまして、大体二十日、二十一日ということですが、十九日の夜着くことになるかもしれません。当然これは北方四島の具体的な話の段取りを進めるためですから、それが主目的でございますが、当然に今の韓国との漁業交渉の協定の問題につきましては我々はこれに抗議をしていきたい、正式に私からも、そういうつもりでおります。
  33. 大出俊

    大出委員 これはずっと考えてみると、六月に渡辺さんはもう一遍恐らくロシア共和国へおいでになるんでしょうね。というのは、ミュンヘンのサミットは七月でしょう。そうすると、この七月のミュンヘン・サミットというのは間違いなくCIS援助の大合唱になるんじゃないかと思うのです。独立国家共同体、今見ていると、ロシア共和国とウクライナと二つだけの間だって黒海艦隊の帰属一つ考えても、私は防衛の専門家の一人だけれども一つでも間違ったらあれはぶち割れちゃうんですよ。あそこの造船所でつくっている、後から言いますが、本格的な空母をつくっていますけれども、リガなんていうのがありますが、これなんかだってどっちに帰属するんだか大きな問題なんですね。それだけに国際的に見たちぶち割れてどうにもならぬことになるとすると、欧州、日本まで含めた、アメリカもそうでしょうが、西ドイツなんか特にそうでしょうけれども、経済的に大変なことになりますよ。外貨の手持ちが全くなくなりました、引き継いだ借款も一切払えません、争いが起こって一つ間違って難民でも出た日にはえらいことになっちゃう。だから大合唱にならざるを得ないだろうと私は思っているのですよ。だから、その前の六月に渡辺さんはロシア共和国においでになるんだろうというふうに見ている。そして、九月にエリツィンさんが日本おいでになるという予定でしょう。  そうなると、今のうちに領土問題というのははっきりずばっと言っておかなきゃ、先になればなるほどおかしなことになる。これは長い将来を考えてみて、いろいろな極東地域における開発問題その他もある。そのときに、今の二十五日に起こったこの問題が一つの大きな権利として向こう側に残りかねない。そうでしょう。そこまで考えるからはっきりしておいてくれと言っている。この問題はいかがですか。
  34. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 我々としては一刻も早くはっきりさせたい。  現実には、ロシアの中が不安定な状況にあることも事実ですよ。これは我々が手の出しようのない話ですから、願望としては、一日も早くそれぞれの独立した国家との間でしっかりした取り決めが行われて権利義務の継承がきちんとしてということは、それは我々は強く申し上げておりますが、自由になるものではありません。我々は、それはそれとして一応今の政権が継続されるという前提でなければ話は何にもできないわけですから、そういう前提で、今の政権が成功するように世界としては注文をつけながらバックアップしていこう、こうなっているわけです。  我々は、それはそれ、しかし領土問題は領土問題、これは平和条約締結前に解決しなければならない問題だということは一貫して言ってきているわけです。それに対して向こうは、法と正義に従って現実的に解決していこうじゃないかということなので、それでは交渉の余地ありということで作業部会もスタートさせたし、それからコズイレフ外務大臣も来るからそのときにどこまで話が進むか、問題はそこですよ。だから、その前のもちろんいろいろな話し合いもしていますよ、続けてやっていますが、はっきりした表面になる話は二十一日、予算委員会が参議院もあるとか言っておりますが、これは何とかしてでもコズイレフ大臣との会談をひとつ許してもらうようにお願いをしていきたい。そこで、その結果によって私が、五月になるか六月になるかわかりませんが、行くことになるかもしれません。結果によっては行かないかもわかりません。これは一に交渉の進展を見てからということでございます。
  35. 大出俊

    大出委員 コズイレフさんが言っておられるのでしょうね、日本に来てどういうことを話すのだ、極東シベリア開発の提唱などもしたい。コズイレフさんがおいでになる正面の目的は何ですか、それが一つと、あわせて作業部会の、私があなたと一緒にモスコーに行ったときもそうなのだけれども、作業部会のその後の状況というのは端的に言ったらどういうことになりますか。
  36. 兵藤長雄

    ○兵藤政府委員 まず、コズイレフ外務大臣御訪日の目的でございますが、申し上げるまでもなく、私ども日本側から見て最大の重要な問題はソ連から引き継がれました平和条約締結交渉、この重要な第一歩を外務大臣として始めるということが最大の重要な課題であると存じます。それと同時に、過去、ソ連邦との間におきまして外務大臣レベルで、当時は日ソ外相定期協議、今は日ロになるわけでございますが、ここで領土問題、平和条約締結以外の今先生指摘のございました漁業問題も含めましていろいろな二国間の問題、さらには日ロ両方が関心を持っております国際問題について、今般最初の両外務大臣の協議でございますので、広範な意見交換をいたしたいということでロシア側と話をしたところでございます。  それから、第二の御質問の平和条約作業グループでございますが、これは渡辺外務大臣がモスクワ訪問をいたしました際に、コズイレフ外務大臣との間で仕切り直しをいたしまして、日ソ間でずっと八回にわたって行われてまいりました日ソ平和条約作業グループを日ロ平和条約作業グループに編成がえをいたしまして出直す、つまり再出発をする。ただし、八回にわたった歴史的な法律的な非常に詳細な議論を積み重ねてきたわけでございますから、これを踏まえてやろうということが合意されまして、それに基づきまして二月十日並びに十一日、我が方から斉藤外務審議官がモスクワに参りまして、第一回の日ロ平和条約作業グループというものを開催いたしまして、そこでいたしましたことは、さっき申しましたように八回の日ソの平和条約の法律歴史議論を詳細に点検をいたしまして、これを前提にこれから作業を進めていいかどうか。結論といたしましてはよろしい、これを踏まえてこれから作業をしようということを確認し合ったのが最大の成果であったというふうに私は考えております。
  37. 大出俊

    大出委員 確認し合ったというわけですね。心配したところですが、ぜひこれは頑張っていただきたいと存じます。領土問題、日本三つありまして、尖閣、北方四島、竹島、あるわけですが、事領土問題ですから、御決意はわかりましたが、これも一層明確な態度を打ち出して頑張っていただきたい、こういうふうに思います。次の世代へ引き継がなければならぬ問題でもございますので、ぜひひとつお願いしておきたいと存じます。  次に、SSCの問題につきまして少し承っておきたいのでありますが、超電導超大型加速器と訳すのでしょうか。これはどうなのですか、外務省の文書もここにありますが、昨年の十二月十九日にお出しになっているのですけれども、これはべらぼうな金のかかるもの、日本がどのくらい負担すればいいのかということになるわけですね。しかも、後から申し上げますが、これはブッシュさんの今回の大統領選挙にも非常に大きなかかわりを持っているのじゃないかと私は思う、これを見ますと。したがいまして、そこらも含めまして、どういうふうにこれをお進めになるつもりか。ここも作業部会というのがあるようでありますが、現状を簡単に御説明を願いたいと存じます。
  38. 須藤隆也

    ○須藤説明員 御説明申し上げます。SSCのプロジェクトにつきましては、御指摘のとおり物質の究極の構造とか宇宙の起源を解明しようという壮大な基礎科学の大きな計画でございまして、アメリカのエネルギー省の計画によりますと、総建設費約八十二・五億ドルと推定されておりまして、そのうち連邦政府が五十六・五億ドル、地元のテキサス州政府が十億ドル出す予定にしておりまして、残りの十六億ドルがそれ以外の国から期待されているところでございまして、我が国に対しても協力要請がございます。  そこで、この問題は先般ブッシュ大統領が訪日されました際に話し合われまして、作業部会を両国で設立して技術的その他重要な観点を検討する、それから国際的なプロジェクトを編成する方途を考察するということで、年内をめどに作業部会で検討して結論を出すということで合意されまして、準備会合が来週から始まる予定にしております。現状、以上でございます。
  39. 大出俊

    大出委員 今、年内に結論を出すと言いましたね。年内に結論を出す、作業部会が準備段階から入りまして。これは私はどう考えても納得のしょうがないのです。というのは、簡単に言えば、アメリカ側で計画を立てて日本に押しつける。日本というのはアメリカの貯金通帳みたいなものになっちゃいますよ、そんなことだったら。日本は金出せよ、計画はこっちで立てたんだから。出せ、出さなければ承知しない、金あるんだから出せ。このやり方に、しかし仕方がない。しかもこのプロセスを見るとめちゃくちゃだ。  まず最初に規模を申し上げておけば、今お話がありましたが、この超電導超大型加速器SSCなるものは、大きく表に出たのはブッシュさんの一月の訪日のときなんですが、水面下では昨年からずっと続いていたんだ。そこで直径二十七・五キロ、局長八十七キロ。どのくらいの大きさかというと、東京の山手線の二・五倍というのだから。山手線は循環線でしょう、この山手線の二・五倍というわけですよ。その広さのところ、しかも地下六十メートルの長円形のトンネル、切り口の直径が三・六メートル、をつくって、その中に約一万個の超電導磁石を並べるというんだ。水素原子核の陽子を逆方向に、光の速さに近い速さで走らせて衝突させることによって四十兆電子ボルト、宇宙ができたころのボルトだというのだけれども、四十兆電子ボルトという宇宙出現直後に近い高エネルギー世界をこしらえて、破壊された陽子から飛び出してくる新たな素粒子の振る舞いを測定する、こういうわけだね。  八十二億五千万ドル、一兆一千億ですよ。とりあえずなんだ、このお金は。とりあえず一兆一千億、八十二億五千万ドル、これで始めるというわけです。始まってどれだけかかるかわからぬというわけです。そこで、日本から十五億ドルから二十億ドル出せ。二十億ドルといったら二千六百億ですよ。百三十円で計算して二千六百億。これは大変なこと。しかもこれはとりあえずなんだ。あと幾らかかるかわからぬ、これは。しかも、この電子磁石の現物で出してくれと言っておる。そうすると、これは専門家がここに言っておりますけれども、アメリカの計算した電子磁石をつくる見積もりよりも、実際にその磁石一台当たりの費用というのはアメリカの見積もりの四倍近くかかる。だからアメリカは、四分の一の見積もりで日本は磁石をつくって出せと、こう言う。こんなものへ乗っかったらえらいことになるというふうに専門家はここに書いているのです。  しかも、いいですか、これは私は皆さんに申し上げたいのだが、こういうことですよ。ここに全部並んでいるんだけれども、九一年三月、去年の三月ですね、訪米した小沢自民党幹事長にベーカー国務長官が、この今のSSC、これに日本が乗って金を出してくれ。それから四月に、今度は海部総理が行ったときにブッシュ大統領がまた、SSCに金を出せ。今度は五月に訪米した中尾通産相にワトキンズDOE、エネルギー省長官が九月までにと期限を切って、協力の意思表示を明確にしろと言う。ワトキンズという人は私もよく知っているが、海軍の元作戦部長だ。海軍大将だ、退役しているけれども。今度は五月になったら、去年ですよ、ムーアDOE副長官がブッシュ大統領の海部総理あての書簡を持って日本にやってきた、協力しろと。今度は九月になったらワトキンズDOE長官が韓国を訪問して、SSCへのアジア諸国の協力を討議する共同作業グループを設置されたい。これはなぜかといいますと、韓国を初め幾つかの国へ声をかけて金を幾らか出させるんだが、全部集めたって一億ドルに満たないのです。これを出させておいて、それを呼び水に日本に二十億ドル出させようというんだから。十月にはハッパーDOEエネルギー研究局長と、彼に同行してノーベル賞学者二人、テキサス大のワインバーグ教授とマサチューセッツ工大のフリードマン教授が、文部省、日本学術会議、経団連に協力しろと言う。そしてまた、去年の十月になるとブロムリー大統領補佐官がやってきて、ここでもとにかく速やかに協力しろ。そして、九三年に期限切れとなる日米科学技術協力協定を、期限がついているんだからこれは切れるわけですけれども、これをとにかく延長しろ。延長させられたんだ、日本は。  そして去年の十一月になるとアマコスト駐日大使、私もアマコストさんがアメリカにいるときからよく知っていますけれども、アマコスト駐日大使が、宮澤新内閣ができた、渡辺外務大臣をアマコストさんが訪れて、米問題とSSC、これをどうしてもやれ。また、次いで来日したベーカー国務長官が竹下元首相に。そしてこのベーカーさんの言い分は、ブッシュさんが日本に来ると資金協力が正面の大きな議題になりますぞ、やってくれにゃ困る。それで羽田大蔵大臣に、ガット・ウルグアイ・ラウンド、米の問題、そしてSSCの問題、これを両方とも片づけると言う。十二月になるとワトキンズさんがまた来ている。記者クラブで会見をして、またここでもSSC。この過程で宮澤内閣はSSCのアメリカの要求をそのまま受け入れる姿勢になっちゃった。そして一月六日にブッシュさんが来たときには、協力します、でしょう。  こういうやり方をされて、恐るべきことですが、日本はアメリカの貯金通帳じゃないんだから、これは。こういうやり方は、これは表に出ないからだけれども、アメリカがやったことを並べて書いてみると今申し上げたようなことになる、一、二抜けているけれども。こういうやり方は、日本側はみんな恐れをなしちゃった。恫喝ですよ、一つの。それでこれに協力する、二十億ドル。向こうの設計の四倍もする磁石の現物出資をしろ。これは皆さん少し考えていただきたいと私は思うのだが、外務大臣、いかがですか。
  40. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 去年、私が外務大臣になって間もなく、ワトキンズ・エネルギー長官が私のところへ来ました。これは三年越し、足かけ三年だ、トップ会談でずっと言ってきた話でぜひとも今回の予算には計上して協力してほしい、簡単に言えばそういう趣旨でありました。私は、初めて聞いた、そうしたら向こうは怒り出しまして、そんなことはない、もう二年も前からやっているんじゃないかと言うけれども、しかし日本がそれは検討しますぐらいのことは言ってきたのかもしらないけれども、少なくとも、そういう計画を一方的にこしらえて、金が足りないから日本はこれだけ持ってくれ、それはのめませんよと。パートナーシップというからには最初の計画から日本も参加をして、それでこれでやるかやらぬかと、決まったことについては分担金もあらかじめこの程度、こういうことということでやるんならばそれはわかる。しかし、ただもう支度しなきゃならぬからではちょっと国民に説明がつかない。私は実ははっきり物を言っているのです。あなたほど激しくは言わないけれども、大体似たようなことは言っているんですよ。  そこで最終的には、ともかく持ち帰ってもらって、せっかくの話でもあるし、それから民間も入れられるのかどうかも含めて、それでもう一遍事務レベルにおろしてそこで協議をしよう、その結果どうするかの最終判断はそれはいたします。だけれども、向こうの言ってきたことをうのみにのむことはしなかったということだけは知っていただきたいと存じます。
  41. 大出俊

    大出委員 あえて申し上げますが、この背景というのはここに書いてあるけれども、こうなんです。全米各州が名乗りをあげたというんだ、このSSCは。ところがテキサスに誘致された。ブッシュ大統領、ベーカー国務長官の地元なんだ、これは。「ブッシュ再選のための大きな利権なのだ。」というふうにここに書いてある。私が言っているんじゃない、ここに書いてある。「ブッシュ政権はSSC関連工事や研究の発注先を全米の六〇〇社を超える企業、七〇近い大学に広げている」、六百社の企業にべらぼうなプロジェクトで、これは大変な金がかかる。将来幾らかかるかわからないというんだ。だからというのでみんな飛びついてしまう。再選戦略だと書いてある。しかも、ここに「軍産複合体にとって、民生には役立たなくても際限なく予算を食う大義名分のある巨大プロジェクトは、兵器に共通する魅力がある。」と書いてある。そうでしょうね、恐らく。  外務省が出しておる文書がここにあります、日本が参加しないと挫折するかもしれない。十二月十九日の外務省がお出しになった「SSCの日米関係にとっての重要性」、何ですかこれは、外務省。あなた方、これをやらなければ日本が挫折させたことになる、そんなこと言ったって日本関係ないじゃないですか。向こうが勝手に立てた計画じゃないですか。計画に参画していないじゃないですか。そして「既に古河電工、住友電工が超伝導電線の研究開発契約を結んでいる模様」なんだから、そんなものも崩れてしまう。民間企業に何で外務省がそこまでてこ入れしなければいかぬのですか。そうでしょう。これは平成三年十二月十九日の皆さんの文書だ、SSCについての。何とかこれ答えてください。こんなばかな文書がありますか。
  42. 須藤隆也

    ○須藤説明員 SSCプロジェクトの経緯につきましては、ただいま大出先生から御説明ありましたし、渡辺大臣からもお答えありましたように、当初アメリカのプロジェクトとして始めたという経緯はあるわけですけれども日本といたしまして、このプロジェクトが国際的なプロジェクトとして編成され得るならば、協力の可能性検討する用意があるということで、作業部会をつくって、これからいろいろな観点から、技術的な観点も含めまして、それから現物供与が望ましいのか、あるいは資金供与が望ましいのかというような点も含めまして検討することとなっております。したがいまして、電磁石を現物供与するというような話も現在のところ一切決定しておりません。  それから、御指摘の十二月十九日の外務省のペーパーにつきましては、これは作業部会の設置が合意される前のことでございますが、一般論といたしまして、基礎科学分野における日米協力が望ましいという趣旨をいろいろな観点から書いたわけでございまして、SSCそのものに協力すべしという具体的なことを説明したということではございませんで、あくまでも作業グループ、作業部会の結果を踏まえて検討するということにしております。
  43. 大出俊

    大出委員 そんなことはないですよ。この文書を読んでごらんなさい、あなた、そんなことを言って。真の日米協力のテーマとして行うことになったと言う。「日本が参加しないと計画そのものが挫折する可能性も排除できない。」これではまるっきりおどしみたいなものじゃないですか。そして、ブッシュ大統領自身極めて熱心、二回首脳会談で海部総理に依頼をした、総理あて親書を二回発出している、発出するのは向こうさんの御自由だけれども。それで「既に古河電工、住友電工が超伝導電線の研究開発契約を結んでいる」、だからやめたらえらいことになる、これは一般的なところじゃないじゃないですか。極めて具体的過ぎるじゃないですか。普通ならこれは放任できぬけれども、そのつもりはない質問をしているからだけれども。  しかも、これは日本学術会議の近藤次郎さん、日本学術会議の会長さんが、SSCができても実験に成功するかどうかわからないし、何の役に立つかも目下のところ全くわからないと。日本の基礎研究に会もほとんど出さないで、大学なんか見てみろというんだ、これは。何でこんなところにこんな金が必要なんだという大変な疑問を持っておられるわけですよ、専門家の方々が。そうでしょう。  だから、この論文を見ても、まさにその産軍複合体、兵器生産が変わっていく世の中である、巨大なプロジェクトをここでつくる、そこに相当ないわゆる軍需産業を吸収できる、ブッシュさんがそこに乗っかっている、こういう図式ですよね。  私は、これは時間の関係もありますから、とりあえずこのぐらいにしますけれども外務大臣、納得のしょうがないのです、これは。プロセスから、現状から、将来を考えた場合に、渡辺外務大臣、いかがでございますか。まさに日本はアメリカの貯金通帳になりますよ、こんなことをしていると。いかがですか。
  44. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 先ほど私が言ったことと同じなんですが、そういうようないろいろな問題を含めまして作業部会に差し戻しをしたわけですから、そこで専門家の意見等を十分聞いた上で、日米関係も考慮しつつ、最終的な取り扱いを決めていきたいと存じます。
  45. 大出俊

    大出委員 何と言われてもどうもこれは納得のできる筋合いのものではありません。そこだけ申し上げておきます。こんな金を出すべきでない、現物、出資すべきでない、こういうふうに思います。  それから、平和の配当という言葉が最近方々で使われる。確かに冷戦時代から大きな変化でございます。私も長いこと防衛問題を手がけてきた一人でございますけれども、それだけにしみじみ平和の配当という言葉をかみしめたい、そういう気になっています。  そこで、二、三心配な点がありますから触れたいのであります。防衛庁の方にお見えいただいておりますけれども、さっきもちょっと口にしましたが、私は神奈川、横浜というところにおりまして、横須賀の海軍基地、厚木の飛行場などなど、たくさん基地がございます。相模原の補給廠、今もうすべて問題になっている、大変なことになっている。周辺の住民の皆さんからもたくさんの陳情が私のところにも来ている状況になっています。  そこで、ひとつここで触れておきたいのですが、前の中期防というのは十八兆四千億円、今回の中期防が二十二兆七千五百億円でございます。この中に、まずAWACSの方から話したいのでありますが、AWACSは何機考えておられますか。
  46. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 今回の中期防の中で四機の導入を計画させていただいております。
  47. 大出俊

    大出委員 これは無理だなという気が私はしているのです。無理をすると、これは後大変な問題が残るというふうに思っていますが、E3ですね、A、B、Cありますけれども日本が買うとすればE3Jになるのでしょう。これをAWACSといっているわけで、これを日本語に訳して何と通常言っていますか。私はしばらく離れているから、空中指令機とかなんとか言いますか。ちょっとついでに答えておいてください。
  48. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 AWACSといいますのは、早期警戒管制機と。
  49. 大出俊

    大出委員 早期警戒管制機ということにしましょう。  そこで、これは本来ボーイングの707が機体ですね。この707の生産ラインは停止をしている、そうですね。
  50. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 そのとおりでございます。
  51. 大出俊

    大出委員 十年前からつくってないんですよ、これは機体を。ちょっと詳しく言いますと、ボーイングという会社は二つに分かれていまして、ボーイング・コマーシャルというのが一つ、もう一つはボーイング・スペースアンドディフェンスグループ。スペース、空ですね。そこで、このボーイング・スペースアンドディフェンスグループ、空を担当している、こちら側がE3、AWACSをつくってきた、707という機体を使って、垂直尾翼の前にレーダーをつけて。ところが、十年間機体をつくっていないので結果的にディフェンスグループの側が押し出された形で生産ラインがなくなってしまった、停止してしまった。昨年の十二月三日にそこらの発表も出ているわけでありまして、私もそれで知っているわけでありますが。  そこで、さてあとどうするのか。たしか七百万ですかね、調査費がついているわけですね。あとの機体をどうするつもりかとずばり聞きたいのですが、いかがですか。
  52. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 御指摘のとおり、707のボディーは生産ラインが中止されました。それにかわるものとして現在いろいろ検討がなされておりまして、幾つかのオプションが考えられております。例えば、現在のE2Cをさらに性能をアップしたもののパージョンがございます。それから、C130の上にしかるべきものを搭載したものというものがございます。それからまた、767のボディーを使ってAWACSの形にしたもの、そのほかP3Cのボディーにまたレドームを載っけたものというようなものが考えられているわけでございます。
  53. 大出俊

    大出委員 これは、E2C、C130、P3Cというのは全然次元の違う機種でございまして、問題になる筋合いのものじゃない。だから、ボーイング社自身も言っているように、今お話しのあった767ですね。後継機種というのは767だというわけですよ、ボーイング社は。これしかないのですよ、どこから考えても、専門的に考えれば、皆さんいろんなことを言っているけれども。今さらE2Cというわけにいかないじゃない。C130というのは輸送機だ。P3C、全然目的が違う。結局ボーイング社の言う767なんです。  それで、附という機体はどういう格好でつくっているのか御存じですか、アメリカや日本で。
  54. 関收

    ○関政府委員 私直接の担当ではございませんが、承りますとこち、ボーイング社がプライムになりまして、日本など幾つかの国も生産に参加をしている機体だと聞いております。
  55. 大出俊

    大出委員 これはボーイング社がメーンですけれども、機体全体の一八%を日本がつくっているのですよ。一八%を日本がつくっている。これは選定していけば附になるのです。ボーイング社がそう言っているんだから。ボーイング社から文書がいっぱい来ているはずなんだ。あなたのところへ行っているかどうか、それは知りません。私は文書を見ている。たくさん来ている。今ここでは使いませんがね、先のこともあるから。前段だけ質問しておきますがね。  全機体の一八%は日本がつくっている。どこがつくっているかというと、三菱、川崎、富士、三つがつくっているのです。ちょうど、コックピットを御存じでしょう。大韓機事件なんかで皆さんも入ってごらんになったんだからおわかりだと思うが、あのときも私が長い質問しましたが、大騒ぎになったコックピット、前の操縦席のところにあるコックピット、このすぐ後ろ、このすぐ後ろから垂直尾翼の前まで、胴体、これを日本がつくっているのですよ。向こうがつくっているのじゃないのですよ。  それで、ボーイングは707を生産ラインを廃止したから767でいってくれというわけですよ。でないとあの形のものはできないというわけですよ。垂直尾翼の前にレーダーを載せるわけですよ。それは、E8JSTARSなんというのもございますよ。しかし、これは二機しかないんで、湾岸戦争に使っていますけれども、長いレーダーをつけて下を見るという機種ですから、これも使えない。結局767しかない。  ただしかし、これは二つ問題がある。  一つは、全部旅客機タイプなんですよ。窓も、みんな窓がある、前後ろに。しかも旅客機というのは非常に薄い金属にしないと成り立たないのです。荷物用の767はない。だから、果たしてこの機種を使って部品を積み込んで大丈夫かという問題が一つある。これは向こう側にもその心配はないわけじゃない。ある。  しかも、二番目に大変なことがある。胴体というのは日本がつくっているわけだから、ボーイング社には胴体の生産ラインがないのですよ。できないのです、ですから。そうすると問題は、この機種は、つまりAWACSというものを買いたいというのは日本だけじゃないのですよ。日本は貿易摩擦の関係もあって買わざるを得ないんだけれども、イタリーだってオーストラリアだってAWACSを買うということでアメリカに折衝しているんだけれども、生産ラインがないからできないというんで今767を使おうかということなんです、ほかの国も。  そうすると、三点目に問題になるのは、日本の四機だけをつくる生産ラインなどを考えたら、こんなものは高くなっちゃってどうしようもないですよ。今のAWACS予算というのは、四機の予算は三百二十五億円なんですよ、日本の見積もりは。二十二兆七千五百億円の中の見積もりは三百二十五億円なんです、四機。日本だけの四機だったら三百二十五億円なんかじゃ買えやしませんよ。七百億近くなっちゃいますよ。成り立たない、そんなことは。ほかの国にも売るということだから成り立つ金額になるわけですよ。  さあ、そうなると、ここに大きな問題は、武器輸出になっちゃいますよ。武器の移転になっちゃいますよ、軍用機なんだから、そうなるとこれは。これは超法規的にというわけにはいきませんよ、法治国家なんだから。武器輸出問題でさんざん議論をしたんだから。河本さんが大臣をおやりになっているころに武器の定義までお出しになった。さんざん議論したところです。そうすると、イタリーだとかオーストラリアとかというところにこれをレーダー載っけて売った場合に、真ん中の胴体のほとんどは全部日本がつくっている。そうでしょう。事があるとすれば、これは湾岸戦争のときもそうだが、出ていくんだから。だからそういう意味で問題がある。私は、だから無理してAWACS、AWACSといつまでも言ってないで、そこのところは、私が今ここで申し上げているのは平和の配当と言っているんで、無理なことはなさらぬ方がいい、そう思います。そこのところは御注意願いたいと申し上げるのだが、二言答えておいてください。
  56. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 幾つかの点について御忠告をいただいたわけでございますけれども、まず価格の点でございますけれども、これはおっしゃるとおり、707のときの生産ラインが閉じるときに、日本だけが四機ということですと、それは三百二十五億ではなくてまさに非常に高い価格になってしまうおそれがあったということでございます。しかし、767というのは、いわば民生用に現在生産もされておりますから、その意味で、ボディーの値段は必ずしも日本の四機ということではなくて、そこにかなりの生産ラインが維持されているとすれば、問題はその上に載せるレーダーの部分をどう組み込めるかという開発経費の問題でございますけれども、それはもし日本の四機だけだとすればその部分は日本の開発費分担という形で負担せざるを得ませんけれども、それは聞くところによるとそれほど多額の値段ではないということでございますので、そこのところは、四機ですべて七百億円になってしまうという御指摘は必ずしもそのとおりではないのではなかろうかという気がいたします。  そこの点も含めまして、まさに御指摘の七百万円を計上しました調査費等で、我々は今後さらに先ほど申し上げました他の候補機種とともに、有効性とともに価格の点からも検討を進めていきたいということでございます。  それから、武器輸出の関連が御指摘がございましたけれども、私どもは、これは通産省の所管でございますので、そこについて公権的な解釈をする立場にはございませんが、一般論として申し上げますと、武器輸出の三原則等につきまして、この原則に言います武器といいますのは、軍隊の使用するものであって直接戦闘の用に供されるものをいうわけで、具体的には輸出される貨物の形状、属性等から客観的に判断されるものということのようでございます。一方、民生用に同等の機能を有するものが存在すれば、いわゆる汎用品であって武器には該当しないというような解釈で行われているようでございまして、通産省の方からもその点についてコメントがございまして、それは今回のものについては武器輸出に該当しないというふうに、少なくとも通産省からは私どもは回答を得ているところでございます。
  57. 大出俊

    大出委員 これは私自身が当時武器問題で大論争をしたときに、河本さんが通産大臣でございましたが、大分取り組んでやりとりをした経緯がございます。ただ、今皆さんは決めているわけじゃないから、767と決めたわけじゃないから、御注意を申し上げた上で、あえて今のお話でおやりになるなら、ボーイング社は確かにレーダ丁を載っけるだけだから武器じゃないと言っているのですよ。言っているのだが、日本の当時のやりとりからすれば、私は武器輸出になる、ほかに売ったら武器の移転になるというふうに思っている、日本の場合は別として。だから、それはお決めになるとすればそのときの議論にしたい。私は、武器輸出に該当する、こう考えています。  それからもう一点、イージス艦は一体どのくらい今、一番艦は進水をして走っているのだろうと思うが、イージスを何隻発注して、何隻買うのですか。
  58. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 一番艦は前中期防でございます六十三年度に契約をいたしました。二番艦目が平成二年度、これも前中期防期間中でございますが、契約をいたしました。それから、三番艦はこの中期防の初年度であります三年度に契約をいたしたところでございます。あと、四番艦目がこの中期防期間中に残余のものとして残されているということでございます。
  59. 大出俊

    大出委員 これも一言だけ私の考えを申し上げておきますが、そんなにまたイージス艦を、これは千三百億ぐらいするでしょう。本来イージス艦というのは、今ある船の型はタイコンデロガ型なんだろうと思うのですが、アーレイ・バーク、後からつくったんだけれどもトラブルがあるからこれはアメリカはやっていないから、古い型なんだけれども、これは本来、アメリカにすれば航空母艦を守るという意味でイージス艦というのは考えたのですよ。ところが、日本は航空母艦を持っていないんだから、大変なべらぼうに高い千三百億もするイージスをこしらえて何を守るんだということになる。それは、何か事があってアメリカの空母が出てきたときに日本の海上自衛隊のイージスがそれを守るというのなら話は別だが、しかしそれは筋でない。  だから、当時イージスを導入するときにいろいろな冗談も飛び出した。当時、八・八艦隊ですよ。八隻で走っていた。十・十じゃない、八・八艦隊。そうすると、八・八艦隊でイージスを入れたらどうなるか。みんな三百億かそこらの小型の船が走っている。千三百億のものが一つ。これは危ないから千三百億を守らなければいけないということになるじゃないか。これが本当の自衛隊だなんという話まで当時あった。  それを今またどんどんふやしてきて、それは幾ら貿易摩擦がといったって私は筋じゃないと思っているのですよ。だから、やはり平和の配当という言葉がしきりに今表に出てくる世の中ですから、AWACSにしろイージスにしろ、この辺でもう一遍考え直す時期なんだろうというふうに思います。  そこで、私の足元、いろいろなことになっていまして、一つずつ承っていきたいのです。  これはどういうことなんですか、横須賀に、フィリピンのスビック、ここの基地を閉鎖するということになって、この要員の千八百名ばかり、これは日本だけじゃないようだけれども日本に持ってくるというわけです、日本、韓国、グアムなどということになるかもしれませんが。  それから、今表に出てきているのは、これは何というふうに発言するのかわかりませんが、AFDM5型のリソースフルというのですか、一万五千トン級の艦船の修理が可能である浮き乾ドック、これは四月ごろに入ってくる。そうすると、これは冷戦が形が変わった、だから横須賀の基地などもそれなりのあらわれ方をするのかな、ところがそうじゃない。基地機能は強化されるばかりである。ついこの間も、横須賀基地に駆逐艦オブライエン、これは三百二十人乗りの八千四十トン、これを追加配備する。これは時間の関係がありますから並べて言いますが、母港ということになるのかならぬのかという問題、この駆逐艦の方は。私のところの議員が文書で質問書を出しておりますけれども、母港という言葉を、母港というのはいろいろな解釈がありますからという返事なんですね。母港でなきゃ何になるのですか。そこらのところはひとつお答えをいただきたい。とりあえず二つだけ。
  60. 川島裕

    川島政府委員 お答え申し上げます。  まず、スビックから引くことに伴ってどういうことになるかということで、これは去る五日に、ラーソン太平洋軍司令官が下院の外交委員会の小委員会で証言したようでございます。小委員会なものですから証言の全文はまだ入手しておりません。報道だけによる次第でございますけれども一つは、スビックの撤退以後修理機能をどうするかというのがあるようでございまして、その関連で横須賀等の可能性もあろうかということを聞いております。いずれにしましても、米軍でまさにその後どうするかということを内部で検討している段階でございますので、確たるところは決まってないというふうに承知しております。したがいまして、部隊がどうこう来るというのではなくて、修理の作業量がふえることがあるのではないかというふうに今のところ考えておる次第でございます。  それから、浮きドックの件でございます。これも報道がございまして、私ども関心を持っているのですけれども、要は横須賀に配備ということではなくて、大体四月から二カ月程度あそこに寄る、回航の途次寄るということのように承知しております。  それから、オブライエンでございます。これは本年の一月十六日にアメリカの方で発表いたしまして、要は海外に艦船の家族を住まわせる計画、海外家族居住計画でございますか、それで既に十隻ばかりそめ家族を住まわせているわけでございますが、それに追加してこのオブライエンの家族も住まわせようということで、これはことしの夏過ぎぐらいに、そういうことで家族を住まわせたいということを考えているようでございます。
  61. 大出俊

    大出委員 家族を住まわせるといって、神奈川県の逗子市のようにその住宅問題で長い争いに住民となっているというところもあるので、簡単にどうも駆逐艦一隻持ってきて家族を住まわせる、こういう考え方はいかがなものかという気がするのです。  そこで、問題はNLP、これを先に聞いておきたいのですけれども、これは三月三日ぐらいからですが、夜間の艦載機の着艦訓練、甲板に着艦する、それを厚木の飛行場で夜訓練をする、夜でないと意味がないというわけで。これが何と二月の初めから三月の初めまでおおむね一カ月。米軍側は一カ月分通して連絡をしているのを、施設庁の側は二つに分けて出したりしまして問題が起こったり、これがちょうど学生の受験の時期でございまして、ここにたくさん苦情が書かれております。気の毒千万だと思う中身がたくさんここにございます。時間の関係もございますが、抗議が殺到している、三十何回も来たり。  これは私が衆議院を始めるころ、だから三十年近く前、既に爆音規制同盟というふうなものもつくりまして、私も何遍か徹夜で爆音の下におったこともある。基地周辺整備法というのを神奈川でまとめまして国に持ち上げて、それがやがて松野頼三さんが防衛庁長官のときに防衛施設周辺整備法というので国が出してきた。なぜその整備法ができたかといえば、防音装置その他に国が金を出してくれなければ困るから。長い経過があって、私も松野さん相手に三日連続質問して、本になったりしております。  つまり、そういう苦労をしてきていて、なおかつ今、もうミッドウェーもインディペンデンスになって、空母がかわっている。だけれども、相変わらずの長期にわたる毎晩毎晩着艦訓練。しかも夕方の六時から十時ですからね。勉強どころじゃないのです、これは。おかしくなるのです、みんな学生が受験の時期で。これは大和、綾瀬、厚木にまたがりますが、大和の市長さんが、もうとにかくいたたまれぬでアメリカへ行って、いろいろ陳情してこられたりしております。私もこの長い年月、かって内閣にいるときに何遍か取り上げておりますけれども、もうこれは何とかしないと。  そこで、硫黄島に練習基地をつくった。来年三月ごろでき上がるわけですが、この硫黄島を一部使う。しかし、硫黄島というわけにはいかない、アメリカ側は。理由はどういうことかといいますと、硫黄島で着艦訓練をやると、経費が多分に余計かかるというわけです。一・五倍とか二倍とかかかる。この間一遍やったのですけれども、船のチャーター料その他一千万円ばかり日本が立てかえたのです、硫黄島のものを。これは地位協定二十四条にかかわるのです。  これは昔も地位協定論争をして、私の質問で統一見解が一遍出たことがある。それを私自身が取り崩した。円ドルのレートの関係でアメリカが金を払えぬと言うから、解釈の幅を広げた。この二十四条を市長さんは超法規的にと言うが、法治国家ですからそういうわけにはいかない。二十四条をどう考えるかということ、そしてかかり過ぎるというなら、その分をどういうふうに持つかということを考えてくれなければ、少なくとも硫黄島を訓練基地にしたんだけれども旧来と何にも変わらぬということになりかねない。そこのところをひとつ、どこでお答え願えますか、外務省か防衛庁が。
  62. 川島裕

    川島政府委員 お答え申し上げます。  厚木のNLPでございますけれども、これは他方において日米安保関係効果的な運用ということで訓練の重要性というのはあるわけでございますけれども、実際問題として、あの厚木の騒音というのは私ども最も心を痛めている案件の一つでございますし、特に今度の場合、まさに受験の二月ということですから、そこは非常に心を痛めたところでございます。  そういうこともあって、硫黄島という話でございます。硫黄島もだんだん整備ができて、これは詳細はむしろ施設庁の話かと思いますけれども、訓練飛行も二月くらいから若干やったりしておる次第でございます。千三百キロですか、遠いがゆえにお金がかかるのでできないという状況、これはちょっとそういう面もあるのかもしれませんけれども、どれくらい持てるかということになりますと、先生よく御承知のとおり地位協定二十四条の話があるわけでございます。  運用の話ということになると、これは日本側が負担することはなかなか難しい次第でございますけれども、ただ、私ども硫黄島の方に移してというのは、まさにあの厚木の現状をかんがみて、できる限りのことをやりたいという考えに立ってのことでございますので、いろいろな関係法令、関係協定の中でどこまで何ができるのかということは、今後とも大いに考えたいと思っております。
  63. 大出俊

    大出委員 これは長洲神奈川県知事とやりとりをいろいろいたしたこともございまして、硫黄島に訓練基地をつくるということについて、いろいろあるけれども厚木の現状を考えればやむを得ぬなという実は考え方で、できる協力はしようということでやってまいりまして、ようやく来年の春でき上がる。今使えば使える。ところがアメリカ側が、そういうわけにいかない、金が余計にかかると。そんなばかな話があるかということになる。だれが考えたってふざけた話があるかということになる。  今お話があったように、受験の時期ですよ、二月の初めから三月の初めというのは。本当に、防音装置のある家ばかりあるんじゃないんだから。もうやけくそになって、ヘッドホンをくっつけて大きな音を出してひっくり返って勉強やめて寝ちまったなんという手記まである、新聞を見ると。これはむちゃくちゃですよ。受験にも何にもならぬという。オギャーと生まれたときから騒音の爆音の下だった。だけれども、今回のものはまさに暴走族がクラクション鳴らしている状態がずっと続く。昼間は着艦訓練ではないが爆音だらけだ、六時から十時まで、どうしてくれるのというわけです。市だってもう応答に困ってしまっている。時期が時期だし、長いし、連続だし、夜十時までやるというわけですからね。一番最後のところはF14トムキャットですね。新機種ですよね、今のインディペンデンスの。だからこれはおさまらぬ。  だから、余りしゃくし定規に言ったってしようがな。いんだから、アメリカが向こうでやれるようにするにはどうするか、問題はここ一点だけなんだ。もう一遍答えていただけませんか。
  64. 川島裕

    川島政府委員 お答え申し上げます。  要は、米側がどのような経費を負担して、それから日本側がどのような経費を負担するかということ、地位協定、日米間の関係取り決め、いろいろあるわけでございますけれども政府といたしましても、硫黄島においてできる限り多くの訓練、NLPが行われるということが望ましいと考えている次第でございまして、したがって、できることの範囲内で今後とも努力をしたいというのが立場でございます。
  65. 大出俊

    大出委員 きのうもアメリカ局長、今佐藤さんがやっておられるわけですね。審議官川島さん、そうですね。きょうは総理について沖特に出るとおっしゃっているので私の方から電話を入れてしばらく話をしたんだけれども、これは本当に真剣にひとつ、彼も真剣に考えると言っていましたけれども、本当にその気になって考えていただかぬと現在のあの地域の窮状を救えないと思うのですよ、せっかく硫黄島をこしらえても。ですから、厚木、大和、綾瀬にまたがる地域なんですから、被害者たくさんあって、今とみに抗議の電話その他がふえている時期ですので、ぜひひとつ真剣にそこのところは御相談をいただきたい、こういうふうに思います。  それから、横浜でございますけれども、上瀬谷の通信基地というのがございます。これは極東最大と言っていい通信基地でございまして、三沢なんかもありますけれども、極東においては最大の基地だろうというふうに思うわけでございまして、このアンテナがいつの間にか九基ばかり倒されて姿を消す。農耕に携わっている方々との交渉が始められる。どうしたのかといったら、この通信基地のアンテナを建てかえをする、規模も相当なもののようでありますが。したがいまして、東西冷戦というものの形が変わってきている中でなぜなのかという、これは大変広大な地域でございますから周辺住民も非常に多い地域ですが、ひとしく疑問を持ち、かつ、おかしいじゃないか、これは一体なぜなのかという疑問に答えていただきたいと思うのですが、いかがですか。  先ほどの横須賀基地の場合は確かにアメリカ下院の外交委員会の東アジア太平洋小委員会での証言だから、議事録が来ればわかります。だけれども、この瀬谷の方はそういうことじゃない、現実に行われているわけですから。そういう意味で、外務省あるいは防衛庁が確かめる責任があると私は思う、地域住民のために。そう思いますので、お答えを願いたいと思います。
  66. 大原重信

    ○大原政府委員 お答え申し上げます。  米軍の運用上の問題でございまして、当庁は詳細に承知はいたしておりませんけれども、米軍が今回農耕を禁止いたしました区域は、アンテナ地区、作業道路地区、埋設ケーブル地域等でございまして、米軍の保安上、安全上の観点から当該地域の農耕が禁止されたというふうに伺っております。
  67. 大出俊

    大出委員 安全上の観点、つまり工事が始まるという理解ですか。
  68. 大原重信

    ○大原政府委員 お答え申し上げます。  先生御高承のとおりでございますが、この上瀬谷地区の通信施設は、米軍によって一たん昭和二十二年に接収されまして、それがまた解除されまして、二十六年に再度米軍が接収いたしまして、以後、海軍通信施設として使用されているものでございますが、本施設は農耕地として売り払いが一たん予定された後に再接収されましたので、当時の提供の条件といたしまして、米軍により指定された地域内の耕作地の農耕を継続することを認めるというふうになりまして、農耕が正式に認められてまいったものでございます。後に、昭和六十年八月に横浜市の方から、本施設内の農耕地につきまして、生産基盤の充実を図るという観点から、国及び県の補助を得て、民有地及び同市の所有の農道を対象にいたしまして農地整備工事を実施するという計画が上がりまして、当庁の方に共同使用を申請してまいられたわけでございます。  米海軍といたしましては、この際に共同使用を認める条件といたしまして、農地等を整理管理するために現地協定の締結を耕作者側に求められたのでありますが、この協定の案がアンテナ地区を含む農耕を禁止するという内容になっておりました。しかしながら、耕作者側といたしましては、農地の整備を早く進めたいという御意向があったやに聞いておりますけれども、米軍と現地覚書を締結されたというふうに承知いたしております。  しかし、農耕者の間には非常に不満が残っているようでございまして、当庁といたしましては、早急に米側とも調整をいたしまして、農耕者に不利にならないような措置を講じ、また農耕者に不満が残らないような形で処置をしていきたいと考えております。  建設との関係につきましては、直接私は承知いたしておりません。
  69. 大出俊

    大出委員 よくわからぬようでございますけれども、また私も調べます。  もう一つ承っておきたいのですが、米軍の相模補給廠というのがございます。これはベトナム戦争のときにM48などの戦車がここから運ばれてベトナムに出て行ったいわくつきのところであります。ところがこの周辺、川を含めましてトリクロロエチレン、トリクレンですね、その相当量が地下に浸透しているといろいろな検査で出てまいりまして、今非常に大きな騒ぎになってきています。これはいろいろな地域の団体がございまして、ずっと調べていったわけでありますが、こういうことなんです。  昭和二十年代から四十年代、二十年間ぐらい、従業員の皆さんの証言などをずっと集めていくと、補給廠の中に金属の被膜処理工場とメッキ工場があった。被膜、膜を上に張るという意味ですが、被膜処理工場では、戦車や軍用車両の部分を洗浄するためにトリクロロエチレン、これは相当な量なんですね、それから燐酸処理液、これを巨大なタンクに入れて使っていた。トリクロロエチレンだけで一度に四万五千リッターを使っている。メッキ工場でも油脂落としに約二百リッター、トリクロロエチレンを使っていた。ここにずっと細かいことがございます。  外務省も御出席のようでございますけれども、米側との環境委員会その他でもこれは表に出てきているわけです。実際に聞いてみて、従業員がずっといるんだから、生きているんですから、やっていたんだから、わかっているのですよ、ここまで来ると。なぜこんなことになるのかというので県も市もいろいろな検査をした。これは御存じのようにアメリカが、議会が調査に来て、日本は相模補給廠しか調査してないんだけれども、そのレポートがアメリカ側で出て、書いてあるわけだから。相模補給廠とは書いてないけれども、一カ所というのは、調査に来たのは調べてみてもそこしかないのだから。だから、いいかげんなことじゃない。ところが、どうもそういうことはないというようなことを言っているようですが、ここのところ御説明願いたい。
  70. 川島裕

    川島政府委員 お答え申し上げます。  在日米軍基地における環境問題につきましてまさにレイ・リポート、報告が出されまして、そこで、沖縄の嘉手納等々いろいろな基地に汚染問題があるのではないかという言及がございましたので、私どもといたしましても大変懸念を強めましで、それで、御質問にもございましたけれども、三月五日に環境分科委員会を開催した次第でございます。これは環境庁において行いまして、外務省のほか環境庁、防衛施設庁が出ております。それで、一回で済むものではございませんで、今追加データを求めて、向こうがそれを用意しましょうということで、しばらくの間続くプロセスだろうと思っております。  相模補給廠につきましては、まさにトリクロロエチレンの汚染の問題でございます。この第一回目の三月五日の環境分科委員会でもやりとりがございましたが、これにつきましては、米側からは、汚染源は基地の外であることは明白であるというふうに言っております。日本側からは、汚染源の特定のためにはさらにいろいろデータが必要であるということで、これを受けてもうちょっと作業が進む、こういうのが現状でございます。
  71. 大出俊

    大出委員 これを見ますと、アメリカ側が基地の中じゃないと言った。そうすると日本側は、外務省も出ておられるわけだけれども、そうですかなと、そんなことはないのじゃないかと。つまり、裏返せば基地そのものなのじゃないかなという反論めいたやりとりもあって次回、こうなった。  したがって、これはぜひひとつお調べを願いたいと思うのです。地元、当該の市等の担当者に聞けばわかると思うのです。あそこで働いていた方々、私も知った人がたくさんいますけれども、実際にやっていたのだから。だから、それはわかるわけですから。そういう意味で、ぜひこちら側もデータを集めていただいて、アメリカ側が、議会が調査に来て、向こうで発表したから騒ぎになっているんだから、そこのところも含めて、ぜひ調査をして臨んでいただきたい。これは発がん物質ですから、量も多いので地域が大変な心配をしているわけだから、これはぜひひとつ、もう一遍答えてください。
  72. 川島裕

    川島政府委員 まさに環境問題の中でも毒物にかかわる話でございまして、地元が御心配なさるのはもっともでございます。ですから、分科委員会でも鋭意作業をやっておる次第でございますけれども、データの収集につきましては遺漏なきを期したいと思っております。
  73. 大出俊

    大出委員 渡辺さん、今いろいろ騒ぎになっているものだから、地元のことを最後に少し取り上げさせていただきましたが、世の中は国際的にいろいろな変化があって、日本のこの地域の長いこと基地に悩まされた国民の皆さんからすれば、少しでもよくなるのじゃないかなと思うのも私は無理もないと思うのです。旧来の東西冷戦じゃないんだから。だからそうなると、厚木の基地の周辺にしても綾瀬にしても大和にしても、広大な地域だけれども、長い年月悩まされてきたのだが幾らか回数が減るとか少なくなるとか何とかよくなるのじゃないか。それが逆になったのではこれはどうしても我慢がいたしかねるということになりますよ。おまけに長いこと全国一の沖縄を除いては基地県と言われた神奈川でございまして、横須賀も、あるいは相模の補給廠も、あるいは上瀬谷の通信基地もこういうこと。これも何とか幾らかと思っているところに逆にどんどん強化されるというようなことになると、これはやり方をもう一遍ここで抜本的に考えてみなければいかぬなというふうに思っているのですけれども大臣、御感想ございませんか。
  74. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 これは、米ソの協調がここで本格化するということになれば、アメリカとしても財政赤字に悩みながら二千八百億ドル以上の軍事費を出すということはもうおのずから結論が見えた話だと私は思います。しかし、多少時間がかかるでしょう。私は、やはり一年ぐらい過ぎたらばそういう方向で基地の問題も本格的に話し合いをする時期が必ず来るだろうと思っております。
  75. 大出俊

    大出委員 まさにおっしゃるとおりで、本当に国際的な情勢の変化の中で基地問題を振り返って、過去を振り返って抜本的に話し合ってみる必要があると私も思っているわけでございます。ぜひひとつ外務省の立場でお考えをいただきたいな、こういうふうに思うわけでございます。  そこで、もう時間がなくなりましたが、最後に承っておきたいのは、三つばかりあるのであります。  一つは核問題でございますが、ソビエトの崩壊の後それぞれの独立国家共同体、こういうことになりまして、相次くいろいろな情報が乱れ飛んでいる、一々申し上げても切りがないくらい。本当であれば大変なことになるという情報であります。一月の中旬発行のアラビア語の週刊誌「アル・ワタン・アル・アラビ」、旧ソ連イスラム系共和国の一つがイランに核兵器三発を総額一億ポンド、約二百二十三億円で売却したという報道がある。それから新年早々ですが、イタリアの司法当局が旧ソ連製の核分裂物質を中東方面に密輸出しようとしたグループの摘発を発表し、世界の肝を冷やした。しかしこれは幸いイタリアの北部国境近くで押収された。プルトニウムは四グラム。四グラムといったって、これはプルトニウムですと天然、自然にはないんだから、原子炉の中でなければできないんだ。そうすると、四グラムと少ないけれども問題は大変にあることになる。チューリヒで二十九キロのウラニウムが摘発をされた。これは天然ウランだったというのですね。ついこの二、三日前はまたドイツで、やはり密輸になりますか、ウラン脇を一・二キロというのですね。百九十万マルクで、つまり日本円で一億四千六百万円だというのだが、二人のロシア人が売ろうとした。これが捕まったというのですね。  つまり核の流出を非常に恐れている。だからいろんな機関をつくろうというわけです。核頭脳の流出まで含めてつくろうというわけです。そこで、二、三承りたいのです。  一体ソビエトの戦略核、戦術核どのくらいあるのか。二万三千発ぐらいのことを言う人があるかと思うと、四万六千発ぐらいのことを戦術核について言う人がある。アメリカのチェイニーさんが、仮に一万五千発としてもこれを分解処理するとすれば一年間で千五百発ずつ処理しても十年かかる。チェイニーさんの言っているのは一万五千から一万六千ぐらいのことを言うわけですけれども、これはなかなかわかりにくいのかもしれないけれども、一説にはソビエト自体もわかっていないのじゃないか。あるいはそうかもしらぬと思いますよ、セクションがみんな違うんだから。それだけに非常に危険だ。それで、人がつくったものだから分解できないことはないわけです。しかし、どこで分解するかといってみてもソビエトには一カ所しかない。これもはっきりしている。そこで、頭脳流出を防ぐために、あるいは核そのものの流出を防ぐためにどうしたらいいか。御努力のほどはわかっておりますが、ここのところをお答えいただきたいと思っております。  それからもう一つ、通常兵器といっていいんだろうと思うのでありますけれども、通常兵器の売却というのですか輸出というのですか、これも穏やかじゃないと私は思っているのです。実はキーロフ型という垂直離陸型の飛行機を載っけている空母をソビエトは何隻かつくりました。その後、本格的な空母をつくった、ワリヤーグ。ワリヤーグというのは二隻目の本格的な空母。このワリヤーグなどについて、一番艦はトビリシというふうに略されている。二番艦のワリヤーグというのはリガという名になるはずでありますが、これを売りたいというわけですね。どこに売るんだと思って見ると、今中国は確かに海軍をふやしている。中国。もう一つはインド。中国、インドに声をかけて本格的空母のこれを買ってくれぬかというわけですな。これは大変なことですよ。  かと思いますと、ここに、新聞記事なんだけれども、二十八日付のイズベスチヤによるとということで、「カザフスタンの商品取引所で爆撃機などの兵器が五月から売りに出されることになった。アルマアタの商品取引所「パックスアリス」の関係者が明らかにしたもので、戦術爆撃機SU24MKや装甲輸送車」以下、対地上攻撃用の新開発の秘密兵器だとかいっぱいある。これを買ってくれ。これらは一体どう考えればいいかという点、最後に答えてください。
  76. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 本当に何が起きても余り不思議はないようなソ連の状況、本当に困ったことだと私は思います。しかし、手をこまねいているわけにはまいりません。そこで、ドイツのゲンシャー外相等が提唱して、とりあえずソ連の化学兵器等にかかわった学者が海外にどんどん逃げ出さないようにしよう、そのためにアメリカ、EC、日本等が中核になって金をつくってその科学者をソ連国内にとどめさせて、それで平和利用に向けての研究を相当な待遇でやらせよう、これは方向は大体一つ決まりました。  それから通常兵器の輸出も、これはありそうなことだろう。これは登録制度ということは国連で決めてはありますが、確かにどの程度守られるのか、統制が乱れてしまって下でマフィアがかつぎ出すなんということになると、これはなかなかそうはいかない。しかし、これは買った方も登録する義務はあるわけですから、そういうことで、何のためにそれを買うかというようなことについては、やはり目を光らせていく必要がある。  空母の話は知りませんが、これだってそれは考えられなくはないような話でありますから、まずソ連の兵器の一元的管理。我々は応援をする以上は、やはり通常兵器とか、特に原爆兵器等については一元的に管理をしてもらうということを条件、いろいろな条件をつけながら、世界の平和と安全を脅かさない、少なくとも平和に貢献するということとの引きかえでなければ応援はできません。したがって、そういうような話を進めながら、ソ連の内部の大混乱が起きないようにひとつやっていこうではないかという基本的な考え方であります。
  77. 桜井新

    桜井委員長 時間になりましたので、短く簡潔にやってください。
  78. 大出俊

    大出委員 はい。これで終わりますが、広島型原爆、四・五トンで大きいからあれは飛行機でなければ運べない。しかし今流出しているいろいろな情報を見ますと、スカッドミサイルならスカッドミサイル、九百なら九百という距離がありますから、一トン以下の核弾頭をつけられるとすればこれはえらいことになる、絶対兵器になってしまう。これは全く防ぎようがない、軍事的に見ても。  だから、そういう意味では非常に危険な時期だというふうに思っておりますので、日本の立場というのはありますけれども、ぜひひとつ外務大臣、今御答弁いただきましたように、この問題は御努力を願いたい、こう思っております。  以上で終わります。
  79. 桜井新

    桜井委員長 以上で大出俊君の質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十一分休憩      ――――◇―――――     午後一時十八分開議
  80. 桜井新

    桜井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。北側一雄君。
  81. 北側一雄

    ○北側委員 公明党の北側一雄でございます。  今回の法案でホーチミンの方に総領事館ができるということでございます。私も、昨年の夏にホーチミンの方に行かしていただきまして、その際、日本のホーチミンの元総領事館に立ち寄らせていただきました。建物はしっかり残っておりまして、中では現地のベトナムの方が管理人でおられておりまして、このホーチミンというのは、ベトナムで最大の都市でもございますし、経済の中心地でもございますし、今後、カンボジア和平も進展している中で、ホーチミンというのは非常に重要な拠点になってくるというふうに思います。そういう意味でこのホーチミンの総領事館ができることを歓迎をするものでございます。  関連いたしまして、同じベトナムのハノイの方の日本の大使館、この事務所が、私、このハノイにも行かしていただいたんですが、事務所に寄らせていただきましたら、本当に非常に古い建物で、かつ、本当に驚いたのですけれども、戦後日本に建ったアパート建築のようなところの幾つかの部屋を間切って大使館の事務所として使われて、一生懸命仕事をしておられた。野党の私が見ても、これはひどいなと思った次第でございます。ベトナムとの関係は今後非常に経済的な関係も拡大をしてくると思いますし、ベトナムの在ハノイの日本大使館の事務所についてもぜひ移転をされて、立派なところにつくっていただけるようにぜひ要請をする次第でございます。いかがでしょうか。
  82. 谷野作太郎

    ○谷野政府委員 ハノイの大使館の事務所の建物について御関心を持っていただきまして、大変ありがとうございます。  ただいま仰せのように、これからベトナムと日本との関係が大きく発展する状況が見込まれるわけでございまして、そういう状況のもとで、ただいまの事務所は、残念ながら大変貧弱なものでございます。現状を何とか手直ししながら今日まで来ておりますけれども、そのような対応ではもう限界に来ておるということでございまして、ただいまベトナム政府と鋭意折衝中でございます。どこか新しい土地を提供していただいて、そこへ移るということが緊急の課題でございまして、幸いベトナム政府も協力的になってきておりますので、なるべく早い機会に新しいところへの移転を始めたいと思っております。よろしくお願いいたします。
  83. 北側一雄

    ○北側委員 ぜひその旨進めていただきたいと思います。  まず、日本外交のあり方といいますか、非常に基本的なところでございますけれども、これをお聞きしたいと思っております。  御承知のように、今、国際社会の相互依存関係が飛躍的に深まっております。内政と外交、また国内問題と国際問題とが非常に密接に関連し合う。また、高度な情報化の進展の中で迅速かつ的確な判断が常に求められる。迅速性、機動性、正確性、そういうものが今外交に求められているのではないか。さらには、今、世界のさまざまな南北問題とか地球環境問題、また地域紛争が頻発している。そうしたグローバルな問題の解決に向けて、我が国が国際社会の中でより積極的な責務を果たしていくことが求められている。こうした状況の中で、こうした時代の要請にこたえられるような我が国の外交のあり方が今問われているのではないかというふうに私は考えております。  こういう時代の流れの中で、大臣外交のあり方について、基本的に今大きく見直していかないといけないのじゃないかというふうに私は考えますけれども、いかがでしょうか。
  84. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 交通手段の発達、情報のスピード化、こういうようなものも大きな原因でございますが、今や、世界は非常に小さく、狭く、宇宙一家といいましょうか、各国とも相互依存関係が非常に強くなってきております。したがって、昔のように、地球のどこかの地域で戦争が起きても、それを対岸の火事のようなふうに見ることはできません。直ちに日本に影響する。ペルシャ湾岸の衝突は、油の値上げとかそういうような形で直ちに家庭生活にまで影響いたしますし、あるいは中国大陸でどんどん石炭の開発が進んで、火力発電所がどんどんつくられる、野放しで仮に亜硫酸ガス等を放出するということになれば、それは九州や中国に酸性雨となって降ってくるという、一つ二つの例ですが、本当に世界のどこかで何か起きると、それは人ごとではない。こういうような環境問題についても、外交というものは世界的な規模で考えていかなければなりませんし、麻薬の問題をとってもそうでございますし、あるいは景気の問題をとってもそうでございますし、あるいは大量破壊兵器の問題をとってもそうであります。  したがいまして、これからの外交というのは、一国の目先の利益だけでその国の国益になるとは限らないわけであります。我々は、そういう観点から、平和主義を基調として、どの国とも仲よく、お互いに助け合って、日本民族の恒久的平和と繁栄を保持するために頑張っていかなければならぬというのが、一口で言えば基本的な考え方でございます。
  85. 北側一雄

    ○北側委員 やはり外交をこれからさらに重視をしていかないといけない。内政も大切ですけれども、外政をより重視していかないといけない。そのためには、私はやはりそれなりのスタッフが必要であると思うのです。他の先進国、欧米諸国に比べまして、外務省の職員の数というのが余りにも少な過ぎる。今はもう情報の時代でございますので、正確な、きめ細やかな情報の収集と分析、そして外交政策の立案、企画、そして政策決定し実行していく、こうしたことは機動的に行われていかねばならないと思うのです。  こうした観点から、我が国の外務省の定員、特に在外職員の大幅な増員を私は将来的に大きく生み出していかないといけないのじゃないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  86. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 大変御理解のある温かいお言葉でございまして、お礼を申し上げます。  ことしも、おかげさまで皆様の御協力を得て百三十人の増員をしていただいて、実員四千五百何十人というようになってきたわけでございます。かねて、我々、十年以上も前から、せめてドイツと同じぐらいの外交の陣容にしなければならぬということでやってまいりました。  しかし、一方においては、行政の改革、定員削減という網がかかっておるわけでございますから、それとの整合性も持たしていかなければならぬ。やはり人をふやすと、国全体としてはふやせないが、減らすところは減らして、ふやすところはふやすということを言われます。それでは、仮に農林省で穀物の検査員とかそういうようなものを減らして外務省に張りつける、こう言われましても、定数で張りつけるのは結構でございますが、米の検査をしてきた人に、あしたから英語をしゃべれの、ポルトガル語をやってくれの、フランス語をやってくれのと言われても、それは実際できるものではない。口では簡単に、こっちの役所を減らして、こっちの人をこっちに持っていったらいいじゃないかということは、頭の中ではできますが、実際はできない。急激にふやしても、その仕事のできる人をつくっていかなければならぬわけですから、ここで三百、五百仮にふやしてもらったからといって、その人そのものをどこから確保するのか。ということになれば、商社から連れてきたらいいだろうの、やれ学界からとかマスコミから連れてきたらいい、いろいろあるでしょう。そういうことも一部やってはみました。やってはみたけれども、一長一短のところもございます。やはり一挙にというわけにはまいりませんので、人材を養成しながら、なるべく五千人を超える体制にはしていくように今後とも皆さんの協力を得ながら頑張っていきたい、さように考えています。
  87. 北側一雄

    ○北側委員 本当に一挙にはできないことであるとは思うのですけれども、時間をかけまして計画的に人材育成を進めながら外交スタッフを充実させていただきたいとお願いを申し上げる次第でございます。  これに関連いたしましてちょっとお聞きいたしますが、カンボジアの在プノンペン日本大使館、こちらには今川大使、もうカンボジアの権威でございますけれども、今現在この今川大使以下何人の外務省職員が駐在されておられるのか。数だけで結構でございます。
  88. 谷野作太郎

    ○谷野政府委員 プノンペンの大使館は、とりあえず今川大使以下三名で店開きをいたしましたが、最近四人目の職員が着任いたしまして、現在のところ今川大使以下四名で困難な状況のもとで活発に活動してくれていると思っております。  身内のことではございますけれども、ただいま先生からもお話がございましたように、今川大使は、私どもの見るところでも、恐らく世界外交官の中でもこれほどカンボジアの裏表に精通したベテラン外交官はおらないと思っております。
  89. 北側一雄

    ○北側委員 外務省の方では、プノンペンでのほかの国の、特に欧米の国々の大使館でどの程度外交スタッフを有しているのか、掌握しておられるでしょうか。
  90. 谷野作太郎

    ○谷野政府委員 お答え申し上げます。プノンペンには大使館あるいは常駐代表部、日本の場合もそうでございますけれども、そのような施設がございます。米国九名、英国四名、フランス十三名、中国十名、ロシアに至りましては何と三十名、豪州十一名、タイは九名でございます。
  91. 北側一雄

    ○北側委員 今カンボジア問題は世界が非常に注視をしている問題でございます。欧米とかASEANの国々が競って人を派遣する。世界がカンボジアの和平、復興の行方に関心を持っている。特に、国連がカンボジア問題でどれだけの役割を果たしていくのかということを注視している。世界の多くの目がカンボジアに今注がれている。そういう中で日本大使館の外交スタッフが、今一名ふえて四名というふうにおっしゃいましたけれども、これではちょっと少ないのではないかと私は思っております。今川大使がカンボジアの権威とはいえ、今このカンボジア問題については正確かつきめ細かな情報収集が必要な時期でございますので、少なくともこのカンボジア和平の進展が一段落するまではもう少し多い外交スタッフを用意すべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
  92. 谷野作太郎

    ○谷野政府委員 ありがたいお言葉でございます。四名と申しましたけれども、それではとても現状に対応するに困難がございまして、とりあえず近隣のタイから、たしか二名でございましたけれども、職員の出張を得て急場をしのいでおるわけでございます。  いずれにいたしましても、限られた、困難な状況ではございますけれども、確かに仰せのようにカンボジアとの関係、これから将来はいろいろな仕事が待っておりますので、鋭意この大使館、今は常駐代表部でありますけれども、人員の面で強化を図っていきたいと思っております。ありがとうございます。
  93. 北側一雄

    ○北側委員 カンボジアヘの支援策についてお聞きをいたします。  いよいよUNTAC、国連カンボジア暫定行政機構が本格的な活動を始めます。報道によりますと、一昨日の十日に、UNTACに所属するところのPKFの第一陣、たしかインドネシアじゃなかったかと思いますけれども、PKFの第一陣がプノンペンに入ったというふうな報道が出ておりました。UNTACの構成は、一万五千人の軍人、そして三千六百人の文民警察、そして二千人の文官というふうに明石さんもおっしゃっておられましたが、そういう規模。  カンボジアというのは日本に非常に近い国で、歴史的な関係もある。まず、我が国のUNTACへの人的な派遣、これをどう確保していくのかということでございますけれども大臣、これはいかがでしょうか。
  94. 丹波實

    ○丹波政府委員 お答え申し上げます。  今先生もおっしゃったところでございますけれども、UNTACの活動のプロセス、大きな流れといたしましては、地雷の処理あるいはインフラの復旧といったものに始まりまして、難民の帰還が始まる、それからカンボジア各派の武装解除を行う、その後、選挙人の登録を経て最終的には総選挙が実施されて、それに基づいて政府が設立される、こういうのが大きな流れだと思います。  その中でPKFの活動もありますが、特にそのUNTACの任務のうち文民が行う分野としては、行政機関の監視あるいは選挙人の登録、選挙の監視あるいは実施、文民警察による治安活動、それから人権の監視、難民帰還の援助、復興支援といったようなものが挙げられると思います。  日本の貢献ということになりますけれども、率直に申し上げて、現時点で国会にお願い申し上げておりますPKO法案が成立しなければ、要員を本格的に確保し人的な貢献を本格的に行うのは非常に難しいのではないかなと考えておるわけでございます。もしPKO法案が成立いたします場合には、この法案に基づいて海上保安庁あるいは防衛庁を含みます関係行政機関の職員を派遣することができますし、また民間等からの志望者の参加を得て国際平和協力隊を組織することができるわけでございます。そういう意味では、たとえ文民の分野におきましても、本格的な支援をするためにはぜひPKO法案をよろしくお願い申し上げたいというのが私たちの率直なお願いでございます。
  95. 北側一雄

    ○北側委員 これまで日本が選挙監視団に参加したことが何度がございます。私の知っているところでは、八九年の十一月に国連ナミビア独立支援グループに二十七名の選挙監視要員を派遣、さらに九〇年の二月に国連ニカラグア選挙監視団に六名の選挙監視要員を派遣。この二例の選挙監視団に参加した際、具体的にどのような派遣手続でやったのか、答弁をお願いしたいと思います。
  96. 丹波實

    ○丹波政府委員 お答え申し上げます。  先生おっしゃるとおり、PKO活動の関連での選挙監視団として二例ございます。  第一番目のナミビアの場合ですが、これは全部で二十七名をそういう要員として派遣いたしましたが、このうち地方自治体職員二十一名につきましては、外務省員として採用いたしまして外務省員として派遣いたしたわけでございます。残りの六名のうち、外務省員が三名ですから、これはそのまま外務省員として行きました。それから、自治省員の三名の方は外務省に併任して行っていただいた、こういうことでございます。  それから二つ目のニカラグアのケースにつきましては、民間の方が五名、それから外務省員一名。この民間の万五名は外務省員として採用して派遣した、そういう手続でございました。
  97. 北側一雄

    ○北側委員 ということは、軍事部門は別にしまして、仮にこういう文民警察なり選挙監視、行政監視等の文民部門に日本がしっかり参加をしていこうと思えば、これは今までのナミビアとそれからニカラグアの例でもわかりますとおり、外務省に勤めている方は別として、そうでない方は一たん外務省の職員として採用するなりまた併任するなりという形でやらないといけないということですね。
  98. 丹波實

    ○丹波政府委員 お答え申し上げます。  今の二例に関します限りは、私たちが検討した結果そういう方法しかとり得なかったということで、外務省員として身分を取得していただいて派遣した、そういうことでございます。
  99. 北側一雄

    ○北側委員 そういう方法でやるとしたら、先ほどの外務省定員法ですね、この定員の枠内で派遣をしないといけない、定員の枠内でやらないといけないということになりますね。
  100. 丹波實

    ○丹波政府委員 先般のような派遣の仕方は、私はあくまでも便宜的な方法であったと考えております。このようなやり方には幾つかの問題というものがございます。  一つは、先生おっしゃるとおり、外務省にそういう定員の枠があるか。例えば六名とか二十七名でしたら結構ですけれども、これがもっと多い数の単位になった場合に果たしてできるだろうかという問題。  それからもう一つは、ナミビアなんかと違いまして、今度の場合には治安の問題とかそういう問題がございますし、それから外務省員として出ていく場合とPKOに基づいて出ていく場合には、例えば何かあった場合の補償の問題ですとか賞じゅつ金の問題ですとかを考えますと、私、不可能とは申しませんけれども、乗り越えなければならない問題が随分あるなという感じはいたしております。
  101. 北側一雄

    ○北側委員 要するにそういうことでございまして、今までのナミビアとかニカラグアの場合と今回は違うわけなんですね。カンボジアの場合は先ほどの話でもわかるとおり、三千六百人の文民警察、二千人の文官、これは最大規模の時点ですけれども。一方、カンボジアというのは日本から非常に近いアジアの国である、そういうことを考えますと、この二例のような数程度の人的な派遣であれば、これは私は国際社会の中で本当にみっともない話であるというふうに思います。  要するに私が聞きたいことは、仮にUNTACの中の文民警察とか選挙監視などの文民部門で相当数、例えば数百人の程度の派遣をしようとするには、現在ある法律の範囲内で派遣ができるのか、それとも何らかの新たな法律をつくらないといけないのか、いかがでしょうか。
  102. 丹波實

    ○丹波政府委員 完全に勉強し尽くしたわけではございませんけれども、今先生例えば文民警察のことをおっしゃいましたけれども、例えば日本の警察官を外務省員に雇って外務省の職務として現地に出ていって警察業務を行うというのは、私は、やはりこれは法的に考えても大変難しいことなんじゃないか、警察業務に関しましてはまずそっちの方の制約があるのじゃないかと思います。  行政監視とか選挙の面につきましても、先生が今おっしゃったような何百というような単位になってきますと、これは先ほど申し上げたような過去のいわば便宜的な例というものが果たして参考になるのかどうか。それから、現地の事情その地先ほど申し上げたことを考えるとやはり非常に難しいのじゃないかなという感じをとりあえず持っております。
  103. 北側一雄

    ○北側委員 私が心配しておりますのは、このPKO法案は成立をしない、そういう事態になってしまった場合に、結局日本としてカンボジアに本当に数名とか数十名程度の人しか派遣をできない結果になってしまうんじゃないのか、私はそれを一番恐れておるわけでございます。だから、このPKOの法案につきまして、私は、ある程度国民の御理解ができる範囲内でともかく成立をさせて、そして文民にたくさんの人が派遣できるようなことを考えていかないといけないのじゃないのかというふうに思っている次第でございます。大臣、この点いかがでしょうか。
  104. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 全くそのとおりでありまして、まだ国民の間によく浸透していない。政府の怠慢であったのかどうかわかりませんが、我々は根気強く、懇切丁寧に機会あるごとにPKO法案の中身を説明し、その理解を得るように今後とも引き続き努力をしていきたいと考えております。
  105. 北側一雄

    ○北側委員 私は、私個人はPKOは賛成でございます。ただ、国民の御理解を得ながら徐々に進めていかない上いけないのではないのかなというふうなことも感じます。  そういう意味で、先般我が党の方で、とりあえずは小型武器を所持しなければいけないような人の参加については将来的な問題として凍結するというふうな提案をさせていただきました。ともかくこのカンボジア、非常に近い国、歴史のある国でございますので、このカンボジアに多くの人たちが日本から人的派遣ができるように、ぜひその辺の配慮をお願いをしたいというふうに考えます。  ところで、じゃいざ文民を派遣しようという場合に、先ほど外務大臣もおっしゃっておりましたけれども、すぐに文民を数百人出せるかといったら、一遍には出せないのですね。そういう文民派遣のための準備作業、法律じゃなくて事実上の準備作業というのがなされているのかどうか、この点はいかがですか。
  106. 丹波實

    ○丹波政府委員 この点につきましては、今大臣からも御答弁ございましたけれども、私たち政府といたしましては、まずPKO法案の成立ということに全力を挙げて取り組みたいと思っております。そういう意味で、その人員を派遣する場合にはPKO法案を通じた派遣ということを考えておりますので、とりあえずは、本当にPKO法案の成立ということに全力を挙げていきたいというふうに考えております。
  107. 北側一雄

    ○北側委員 いや、私が言っているのは、これ以上質問をいたしませんけれども、仮に成立が何らかの形でできたとしても、じゃ法律ができればすぐに人が派遣できるのかといったら、そうじゃないと思うのです。やはりそのための準備作業を事文民部門については今からしっかりしておかないといけないのではないのか。まあされておられると思うのです。これを今からしっかりとしていただきたい。そして法案成立の暁にはやはり文民を相当数派遣できるように準備をしておいてもらいたい。実際、カンボジアの方はどんどん進んでおりますので、後でというわけにはいきませんので、ぜひその点よろしくお願いしたいと思います。  次に、今は専らUNTAC、PKOの話をさせていただいたわけなんですが、このUNTACとかPKOというふうなものではなくて、別の人的支援、例えばJICAなどからの支援、青年海外協力隊なんかも考えられるかもしれません。こういうJICAなどからの別の人的支援というのは検討されておられますか。
  108. 川上隆朗

    ○川上政府委員 御質問意味での人的協力ということでございますが、御案内のように、既に政府は二度にわたりまして経済協力の調査団をカンボジアに派遣いたしまして、これは一般的な調査団でございましたが、それをさらに近く、もう既に出ておるのが一つありますけれども、農業関係の調査団、それからインフラ整備の一環としての日本橋を調査する調査団、それから医療協力分野の調査団、特に先生指摘の点に一番関係しますのは恐らく医療分野等のニーズをくみ上げて具体的に何ができるかということを検討するという方向が一つあろうかと思いますけれども、そういうことをまず考えております。  それから他方、御指摘の青年協力隊につきましては、今月中にも調査団を派遣いたしまして、先般政府ミッションが出ましたときに、実は先方から青年協力隊の派遣を再開してほしい、これは長い間中断していたわけでございますけれども、再開してほしいという要請がございまして、それに基づきまして、安全対策の問題等がございますので、今度調査団を派遣して、本当に派遣し得るのかどうか、その辺を十分調査してまいりたい、そういうことで人的協力の可能性を探ってまいりたいというふうに考えております。     〔委員長退席、井上(喜)委員長代理退席〕
  109. 北側一雄

    ○北側委員 関連いたしまして、カンボジアにはアンコール・ワットというすばらしい遺跡がございます。アンコール・ワヅト、アンコール・トムですね。先般カンボジアに行ってこられた議連の方からもお伺いしたのですけれども、相当この遺跡が傷んでおるというのをお聞きいたしました。日本でも上智大の石沢先生なんかを中心にしましてこのアンコール・ワットの遺跡救済活動を懸命になされておるわけなのですけれども政府としても、これは非常に貴重なアジアの財産でございますので、このアンコールの遺跡救済の側面的な支援をぜひ積極的にしていただきたいと思います。いかがですか。
  110. 谷野作太郎

    ○谷野政府委員 先生も御案内のとおり、アンコールの遺跡といいますのは、かの地におきまして国民の象徴としての意味合いを持っておると伺っておりまして、このような貴重な遺跡の保存のためあるいは修復のために日本としてもできるだけの協力を行いたいということでございます。  とりあえずは、ユネスコに文化遺産保存のための日本信託基金というのがかねてからございますけれども、ここを通じまして、アンコールの遺跡に対しましてこの基金から、例えば専門家会合の開催のための経費あるいは資料の整備のための経費等々のために三十七万ドル相当の協力、支出を既にいたしております、このような協力は引き続き続けていきたいと思っております。
  111. 北側一雄

    ○北側委員 昨日、UNTACの明石事務総長特別代表が国際平和協力特別委員会で、UNTACの総額、これは推計でございますけれども、二十八億ドルの経費の分担につきまして、日本の国連の予算分担率一二・四五%に加えて、総額として三分の一程度負担をぜひしてもらいたい、また誘い水の役割を果たすため早期の資金拠出を決定してもらいたい、そういう意見、希望を述べられておられました。政府はこのUNTACの財政支援についてどのようにお考えなのか。
  112. 丹波實

    ○丹波政府委員 お答え申し上げます。  このUNTACの経費につきまして国連として現在までのところ決定しております費用は、立ち上がりの経費と言われる二億ドルでございます。この二億ドルにつきましては確定いたしておりまして、各国がそれぞれ分担金率というものを持っております。日本の場合には二一・四五%。したがいまして、日本政府といたしましては国連に対してこの二億ドルのうちの二丁四五%、イコール二千五百万ドルの支払いの義務というものを既に負っております。この経費につきましては、財源状況その他を勘案しつつできるだけ早く支払うということで現在検討を進めております。  ちなみに、現在まだ確定はしておりませんけれども、国連事務当局としてUNTACの総体、全体として十九億ドルという数字検討いたしております。確定はいたしておりません。それに加えまして、復旧に要する費用として八億ドル、それから難民帰還部門として一億数千万ドル、これを非常に丸い数字としてとらえれば約三十億ドルぐらいになろうかと思いますけれども、このうちあくまでも日本が一二・四五%という比率で支払わなければならない、もし十九と決まった場合、支払わなければならない数字がこの十九でございます。あとの八億ドルと難民帰還部門の一億数千万ドルにつきましては自発的に拠出していくということでございます。  政府といたしましては、これが決まった際にはそういう国際社会あるいは国連における期待、他方において日本政府としての財政状況、そういったことを考えて、どの程度の貢献をするかを検討してまいるという姿勢でございます。
  113. 北側一雄

    ○北側委員 このカンボジアと日本との地理的な関係、また歴史的な関係、また経済的な状況を考えましても、やはり私は相当な支援をしなければいけないというふうに考えます。どうせやるなら、どうせ相当な財政支援をするならば、後から出すのじゃなくて、きのうの明石さんのお話じゃないけれども、こういうのは先にやるぞということを意思表示していくということが非常に大切なんじゃないか。何か言われて、後で何か嫌々出したようになるよりも、どうせ出すなら私は早く相当額の支援というのを意思表示すべきじゃないかということをお願いする次第でございます。大臣、その点いかがですか。
  114. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 たくさん持つことも結構ですが、国民負担に直接つながる問題でもございますから、ただ多ければ多いほどいいというわけにもいきません。四囲の状況等、各国の状況等を見ながら、日本もそれに恥ずかしくないものは持つというような形にならざるを得ないでしょう。もう少し様子を見たいと思っております。
  115. 北側一雄

    ○北側委員 それでは、時間も余りございませんけれども、カンボジアの問題はこれぐらいにいたしまして、お隣のミャンマーの情勢に対する対応についてお聞きをいたします。  ミャンマーにつきましては、御承知のように九〇年の五月に総選挙が実施されまして、アウン・サン・スー・チー女史が率いるNLDが八割近くの議席をとりました。ところがその後いまだに民主的な政権移譲がなされていない。また、スー・チー女史も軟禁状態が続いている、こういうことで今日に至っているわけでございます。  私は、ミャンマーに対して日本というのはさまざまな影響を与え得る数少ない国の一つじゃないのかなというふうに思っております。政府が、これまでももちろんなされておるわけなのですけれども、このミャンマーの民主化への支援、さらにはスー・チー女史の早期釈放のための支援について、どのような対応をとられ、またとろうとなされているのか、御答弁をお願いいたします。
  116. 谷野作太郎

    ○谷野政府委員 ミャンマーにおきましては、ただいまお話しのとおり、九〇年五月に総選挙が行われましたけれども、その後予定されておりました民政移管が遅々として進まない状況でございます。私どもはそのような状況は大変遺憾なことというふうに認識しておりまして、これまでもいろいろな機会をとらえまして、現地あるいは東京におきまして、とにかく約束されたことでありますから、一日も早く現政権、軍事政権から民政移管へ進展を促すという努力を行っております。東京におきましては、柿澤政務次官も過般、東京のミャンマーの大使をわざわざ呼びまして、日本のそのような気持ちを伝えたこともございますし、それに先立ちまして外務審議官を現地に派遣しまして、同じような努力を行いました。そういう努力の中で、ただいまお話がございましたアウン・サン・スー・チー女史の身柄の問題につきましても、私どもの懸念をるるいろいろな機会に伝えてきております。  何分外からの仲介とかあるいは介入ということに非常に強い反発を示す国柄ではありますけれども、そんなことは十分に念頭に置きながら、しかし、果たし得る役割を日本としても十分果たしていかなければいけないと思っております。
  117. 北側一雄

    ○北側委員 このミャンマーの問題につきましても非常に世界が注目していることでございますので、積極的な役割を日本政府は果たしていただきたい。特に欧米の国々がなかなかミャンマーに対して影響を与えることができないというふうな状況にあるようでもございますので、そういう意味で本当に日本の立場というのが重要だと思います。積極的な対応をお願いする次第でございます。  さらに、最近このミャンマーの問題で、イスラム教徒の少数民族に対するミャンマー国軍の武力攻撃ということが報道をなされております。国境を越えてバングラデシュの方に入っておる、難民が十万人以上発生をしておるというふうなことが言われております。これについてはどのように事実を掌握をなされておるのでしょうか。
  118. 谷野作太郎

    ○谷野政府委員 私ども、ミャンマーからバンクラデシュへの大変多数の難民の流出、このような状況に対して大きな懸念を持っております。現地では二月二十二日から二十四日まで、現地に、バングラデシュにおります私どもの大使館員を派遣いたしまして国際機関とも意見交換を行う、あるいは難民キャンプも視察を行うという形で事実の把握に努めておりまして、各種の報告を既に東京は受けております。  他方、UNHCRという機関がございますけれども、このような状況に対しまして、三月十日にこの問題に対して国際的な支援を行うべきであるという呼びかけがございまして、これに対して日本としてどういうふうに対応するかということを検討中でありますが、これに先立ちまして、日本の赤十字から国際赤十字を通じまして、二月の二十日のことでございますけれども、既に九百四十億円の援助が実施されました。  私どもは、冒頭申し上げましたように、大変この事態を心配いたしております。いずれ十万人を超え十五万人にもなろうかという難民の規模でございまして、そのような大量の難民の流出につきましては、私ども心配、懸念をいろいろな機会にミャンマー政府に伝えておりまして、この問題の早期解決を要請いたしてきております。
  119. 北側一雄

    ○北側委員 十万人余りの難民、これは毎日毎日ふえておるというふうに報道をなされております。この問題につきましても積極的な政府の対応をお願いをいたしまして、質問を終わります。  以上でございます。
  120. 井上喜一

    ○井上(喜)委員長代理 次に、三浦久君。
  121. 三浦久

    ○三浦委員 外務大臣にお尋ねをいたします。  政府開発援助、ODAの問題についてであります。九二年度のODA予算は、財政投融資、特別会計を含めて一兆八千七百九億円となっております。ODAの日本の実績は、そういう意味では今や世界の中でもアメリカと肩を並べるまでに至っております。この日本のODAに対して国際的にはいろいろな批判がございますね。また、多くの国民がODAの使途についても強い関心を持っているところであります。  こうした状況のもとで、昨年の四月、当時の海部総理は、開発途上国の軍事支出等と我が国政府開発援助のあり方についての四基準をお示しになりました。  初めに伺いますが、渡辺外務大臣は、この海部内閣が示した四基準について、どのような見解をお持ちになっていらっしゃるでしょうか。
  122. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 私は、妥当な指針であると考えます。
  123. 三浦久

    ○三浦委員 我々は海部首相が示した基準のうち、被援助国の民主化の促進及び市場志向型経済の導入の努力というこの基準については、その国の民族自決権、これを否定するものだという立場から批判的な見解を持っておるわけですけれども、それはさておきまして、今外務大臣が妥当な基準だと言われたその基準が、一九九二年度のODAの執行に当たってどのように具体化されているのか、お尋ねをいたしたいと思います。     〔井上一喜)委員長代理退席、委員長着席〕
  124. 川上隆朗

    ○川上政府委員 お答え申し上げます。  四基準、御案内のとおり、軍事支出にかかわるもの、それから大量破壊兵器等にかかわるもの、それから武器輸出入及び民主化、市場経済の導入努力、人権、自由の保障といったことでございますが、これは基本的には我々大きな外交努力の一環としてとらえるべき、いわば息の長い、中長期的な課題ということで粘り強く外交努力として先方政府、途上国政府に働きかけていくべき性質のものであるという理解でございます。  基準そのものは、御案内のとおり、軍事支出に関しましてもこれは絶対額あるいはパーセンテージといったようなものでとらえるにいたしましても、なかなかその基準になる尺度というものを定めることは難しゅうございます。それから当然のことながらそれぞれの国にはそれぞれの国が置かれた安全保障の環境というものもございますし、防衛政策をそれぞれみずから定めて遂行していくという権利は当然あるわけでございますから、そうしたいろいろな状況を勘案いたしまして、かつ、とりわけ二国間の全体的な関係というものを十分にらみながらODAの政策、今申しました四政策を運用していくということになろうかと思います。  そういうコンテクストにおきまして、とりわけ、例えば明白に過大な軍事力、軍事支出を行っているといったような国がございますれば、その途上国といたしまして開発予算が軍事予算に食われるというような面が非常に多くなってまいりますので、我々援助国側といたしましても、そういうときには注意を喚起し、警告を場合によって発出し、援助政策に必要に応じて反映させていく、こういうのが一般論ではないかと考えられます。  さて、具体的な適用でございますが、これは我々そういう基本的な息の長い政策として今後粘り強い努力を続けていくという姿勢でございます。  他方、いろいろな経済協力の政策対話を初めといたしまして、それのみならず、例えば首脳会談、外相会談の席といったような場でも、我が国のこのような基本的な政策をしかるべく先方政府に伝えていくという努力を既にこの一年間続けてまいった次第でございます。さような粘り強い努力を続けていく過程におきまして、先ほどのような姿勢を徐々に反映させていくということになろうかと思います。
  125. 三浦久

    ○三浦委員 それではもう少し具体的にお尋ねをいたしますけれども、軍事支出の動向について八五年、八七年、八八年を「ミリタリー・バランス」で見てみますと、日本がODAを供与している国で国家予算に占める軍事費の割合が一〇%を超えている、そういう国が十七カ国あります。その中で特に軍事費の割合が高くなっているトルコ、エジプト、ジョルダンは、いずれも中東貢献策として打ち出した二十億ドルの経済援助の恩恵を受けた国々であります。今言われたように、それぞれの国でそれぞれの事情があるにせよ、途上国で軍事支出の割合が高ければ国民生活の犠牲につながるというのが常識だろうと私は思うのです。  そういう意味で、軍事支出との関係でこのODAの見直しの検討対象になっている、そういう国はどこかございますか。
  126. 川上隆朗

    ○川上政府委員 ただいま御説明申し上げましたように、軍事支出をはかる尺度、基準といったものは大変難しい面があろうかと思います。  今先生がお挙げになりました国々は中東の国々でございますけれども、中東は、安全保障という観点からは、いろいろな環境から見て確かに御指摘のようにそれぞれの国、軍事支出の割合が多うございます。しかしながら、それはそれなりに理由があるという面もあるのではないかということでございまして、いずれにいたしましても、我々は、四指針にもきちっと書いてございますが、いわば軍事支出を動向ということでとらえる、トレンドということでとらえまして、トレンドが明らかに軍事支出がどんどんふえているというような状況にある国、これは明らかにだれの目で見てもおかしいではないかといったような議論のコンテクストでとらえていくということになるのではないかと思います。  そういう意味におきまして、そういう一般論を背景にいたしまして対象になっている国があるのかというお尋ねでございますが、そういう意味では対象はすべての国でございまして、我々はその四基準を打ち出しました後、直ちに世界全部に訓令を発しまして、我が国のこのような基本的なODAにかかわりますスタンスというものをそれぞれの国にしかるべきレベルからきちっと通報して、先ほども申しましたように、いろいろな機会にそれをリマインドしているというのが今の状況でございます。
  127. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、全部の国が対象だということは、結局特別な国に対して今までのODAをもっと減額をしようというような検討はしていらっしゃらないというふうに承ってよろしいのでしょうか。
  128. 川上隆朗

    ○川上政府委員 すべての途上国に関しまして今申しましたような視点から我々経済協力を毎年、額はみんな違いますけれども、先方と政策対話をするコンテクストで、プロジェクトを精査しながら一定の経済協力をやっていくということを先方との話し合いのもとに行うわけでございますが、そのコンテクストで今のような視点というものを十分これから反映させていくという努力を行うわけでございますから、先ほども申しましたような動向という点から見て、だんだんその点の政策が反映されることになる国が出てくる可能性もあるのではないか。ただ、今の時点でどうかと言われますと、何分にもまだ一年ぐらいでございますし、先ほど冒頭申しましたように、これは息の長い、粘り強い努力を要する大変大きな外交課題でございますので、そういう点でいま少し時間がかかるのではないかという感じでおります。
  129. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、来年度予算の執行に当たっては具体的な見直しというような国はないというふうに承っておきましょう。  武器輸入の動向、これも同じようなことなんですが、アメリカ国防総省の統計資料で見ますと、日本のODA供与国のうちで武器輸入が五千万ドルを超える途上国は二十一カ国に上っております。タイ、パキスタン、ケニアなどは日本のODAの額と武器輸入額がほぼ匹敵しているというような状況になっております。日本のODAがその国の武器輸入代金として直接供与されるわけではありませんけれども、結果的には日本のODAによってその国の浮いた予算が武器輸入に回されることになるということは否定できないと思うのです。日本国民も決して豊かではございません。世界で第二番目の経済力を持っているとは言われておりますけれども、一人一人の国民は決しで豊かさの実感がないということが今大きな社会問題になっているわけです。ですから、このような国々に我々の税金などをODAとして支出するということは国民としては納得しがたいという気持ちを持つのは当然だと思うのです。こうした国々に対するODAは、基準からいえば具体的に見直していくということが必要だと思いますけれども、この点はいかがお考えでしょうか。
  130. 川上隆朗

    ○川上政府委員 武器輸出入と援助との関係についてお尋ねでございますが、我々は基本的に、その指針にも書いてございますように、政府開発援助の実施に当たりまして、国際紛争を助長しないという観点から武器輸出入の動向、これも動向でございますが、十分注意を払っていくという姿勢でございます。  他方、先ほどと似たような側面があるわけでございますが、途上国の武器輸出について、我が国自体が独自のデータを有していないということもございますし、事実関係の把握、適正な水準の判断等には困難が伴うわけでございます。また、武器輸出それ自体が直ちに問題になるのではなくて、国際紛争を助長するような武器の輸出が問題になるというとらえ方をしているわけでございますが、こういうことで先ほどの軍事費とのパラレルで申しますと、途上国の武器輸出が国際紛争を助長しているというようなことが極めて明白になったような場合、あるいは被援助国が大量破壊兵器との関係でいえば核兵器を開発、保有しようとしているということについて国際的な強い疑惑が存するといったような場合には、我が国の懸念というものを先方に十分伝えるとともに、たび重なる申し入れにもかかわらず態度が変わらないといったようなことがあれば、当然のことながら、先ほどと同じように我が国の援助政策を、国民の、納税者の観点からも説明がつかない、御指摘のような方向から見直していくということになろうかと思います。
  131. 三浦久

    ○三浦委員 この四基準というのは海部総理が国会の予算委員会でお示しになったわけですけれども、イラクのようなああいう国々が地域紛争を起こすというようなことを未然に防止したいということでODAのこういう基準をつくったんだと思うのです。  そうしますと、武器輸出の問題について見ますと、途上国であっても武器の輸出をするというようなことは、地域紛争を防止しなければならないという観点からいって絶対に許してはならないことだというふうに私は思うのです。武器輸出が五千万ドルを超える国は中国とかブラジルとかチリとかエジプト、この四カ国ございます。最も武器の輸出をしている大国というのはアメリカなんですけれども、こういうODAの供与を受けている国々が武器の輸出をする、そして地域紛争の発生の原因をつくっていくというようなことは絶対にしてはならぬことだ。ですから、こういう武器輸出国に関しては、私はODAは供与しない、そういう方針を立てて、それを厳格に実行するということが今緊急に求められていると思いますが、外務省はどういうふうにお考えでしょうか。
  132. 川上隆朗

    ○川上政府委員 若干繰り返しになって恐縮でございますが、我々もまさに基本的な視点は同じでございまして、紛争を助長しないというような視点から武器輸出入というものをトレンドでとらえて、先方に対して必要な申し入れを粘り強く行うことによってこの武器輸出という、非常にこれは難しい側面もあろうかと思います。と申しますのは、武器を輸入したいという国が、国の安全保障上あることも事実でございますので、安全保障の権利というものはどこの国もあるわけでございますから、そういう側面から見てやや難しい側面もあろうかと存じますけれども、基本的には先生の御指摘のようなことでこの指針をつくらしていただいた次第でございます。
  133. 三浦久

    ○三浦委員 この四つの基準をトレンドとしてとらえるということについて私反対するわけではありません。しかし、何ら現実的に実効がないということでは、これは意味がないわけですね。  ですから私は、そういう意味で、このODAが人道主義的な立場で行われるとか、またこの四つの基準を徹底してやっていくとかということの障害、その障害は今あなたが言ったことのほかにもう一つあると思う。それはやはり日本のODAというのがアメリカの戦略援助の肩がわりという、そういう枠を脱していないということだと思うのですね。例えば私調べてみましたら、日本のODA供与国のうち、軍事費が高い割合の国とか武器の輸出入の多い国は、ほとんどがアメリカの軍事援助を受けているアメリカの軍事戦略重点国であります。つまり、日本のODA主要国は、アメリカの軍事戦略重点国なんですね。軍事費支出等の動向という基準を厳守すれば、アメリカの要請にこたえられなくなってしまう、こういうことが私はやはり皆さん方の考え方の中にあるんじゃないかというふうに思います。  したがって、このODAのやり方を従来のアメリカの軍事戦略重点国から転換する必要があるというふうに思います。これは何も私だけが言っているのではなくて、宮澤総理は施政方針演説の中で南北格差の是正ということを強調しておりますし、外務省自身も本来のODAのあり方については、開発途上国の貧困とか飢餓等の諸問題を看過し得ないという人道的な配慮という立場をとっておられますね。私は、その立場を貫くということが必要だというふうに考えておるわけであります。  そこでお尋ねいたしますけれども日本のLLDC向けのODA、LLDCというのはもう皆さん方の方がよく御承知で、後発開発途上国ですね、LLDC向けODAの全ODA比率では、日本はDAC、DACというのは援助供与国です、DAC十八カ国の中では何番目になるんでしょうか。
  134. 川上隆朗

    ○川上政府委員 お尋ねの点は、LLDC向けの二国間援助が二国間援助全体に占める比率ということで理解してよろしゅうございますか。そういう意味でございますと、DAC十八カ国のうちの十六番目ということでございます。
  135. 桜井新

    桜井委員長 三浦君、時間がないですから簡潔に願います。
  136. 三浦久

    ○三浦委員 時間が来たので、あと一問だけお許しいただきたいと思います。  私は、このODAのLLDC向けの比率が少ない理由についてお尋ねしようとしたのですが、時間がありませんのでもうやめます。  私は、世界の多くの人々が、五分の一の人々が依然として一日一ドル以下で生活しているというそういう状況にあるわけでありまして、そういう意味では、我が国のLLDC向けのODAというものの比率をもっともっとふやしていく必要があるというふうに思いますが、その点についての御見解を承って質問を終わります。
  137. 川上隆朗

    ○川上政府委員 LLDC諸国に対する援助というものを基本的に拡充推進していくという立場は政府のこれまでの立場でございます。最近、残念ながら対ミャンマー援助それから対アフリカ援助がいろいろな理由からかなり滞っている面がございまして、アフリカ諸国がLLDCの六割近くを占めております関係上、これは政情と関係するわけでございますが、数字的に若干伸び悩みが見られるというのが現状でございます。
  138. 三浦久

    ○三浦委員 終わります。
  139. 桜井新

    桜井委員長 御苦労さまでした。  次に、和田一仁君。
  140. 和田一仁

    ○和田(一)委員 昨日、衆議院の国連平和協力特別委員会にUNTAC代表の明石さんが来られまして、これから展開されるUNTACの活動その他についてのお話がございました。これに関連して若干外務省にお伺いしたい、こう思うわけでございます。  お話を伺いましても、今度のUNTACの活動全体というものほかってない大変な規模と内容であるということがよくわかったわけでございます。従来の単純な兵力引き離しであるとか停戦監視であるとかいうのに加えまして七割からの武装解除をやって、そしてさらに十数年にわたって戦火に逃げ惑った難民、三十数万の国外難民あるいは十数万の国内難民、こういった人たちの定住地を決めて戻すという仕事、これはほとんど九〇%が農民というわけですから、戻って農耕をしていかなければいけないのですが、そういう定住地を決めるということ一つでも大変だと思うのですね。  これは、もちろんかんがい等が全然荒れ果てているし、行くべき土地も、前に住んでいたところにはもう戻れない。ここへ戻っても、もう既に人が三年もいればその人のものになるというような、そういうことであればとても戻れない。新しい土地を決めてそこへ戻さないと定住できない。そういうところは、土地はあっても地雷だらけであって、とても危なくて、ここだよと言っただけでは戻れない状態。したがって、そういう地雷を処理するという大変な作業も残されている、これもやりましょう。そして、そういった難民を定住させた上で、登録をして新しい選挙をやって、この選挙を通して憲法制定議会をつくって、そしてこのUNTACの仕事は終わるんだ。こういうことを一年、来年の四、五月の総選挙までにやろうということでああいう規模のUNTACが決まった、こういうふうに思うわけでございます。これは、今までにない新しい国連の仕事として大変有意義なことだという、重大な意義のあるものとして位置づけて、それに取り組む意気込みも大変大事なものがあるように伺いました。  ただ、それを計画どおりやるのにはやはり考えなければいけない大きな困難な面がある。一つは財政的な面である。もう一つは人的な面の確保、この二つが挙げられたと思うわけです。そして、それはいずれにしても何とかするにしても、そういう中で、やはり国連、ニューヨークでも、またワシントンでもカンボジアでも、このUNTACに対する期待は非常に大きいし、そのUNTACの中で果たしてもらいたい日本の役割というものは非常に期待が大きい、こういうふうにお話がございました。  そこで、私はそういったお話を踏まえた上でお聞きしたいと思うのは、先ほど来もお話がございましたけれども、非常に困難だと言われる財政の面、この財政の面で前回外務委員会でも私は外務大臣にお伺いいたしましたが、もちろん二丁四五%のこの分担率は当然のことであるが、それを超えてやるというお話がございました。きのうの明石さんのお話では、全体の三割ぐらいの負担をニューヨークも考えているし、ワシントンも期待しているのじゃないか、こういうことでございました。その全体の三〇%というのを、大臣も、分担率は当然のことであるが、これはルールに従ってやるとおっしゃいました。それを超えた分、つまり拠出の分については、明石さんは、できれば、三割出していただくにしても、こう決まったから出してくれ、では出しましょうというのではなくて、カンボジアの和平、復興に対して日本が期待に沿えるような形でむしろ率先してその拠出をお願いできないか、期待しているというような意味の御発言がございました。  この点について、もう一回私もお尋ねしたいと思うのですが、総額二十八億ドルと言われるような、あるいはそれ以上かもしれないと予想されるようなこの経費全体につきまして、十九億ドルが分担の分ですか、これは分担率でいいとしまして、そうなると、拠出の分というのをどれぐらい出したら全体の三分の一になるのか。私は、それをできるだけ早く、そういう意味では期待にこたえるような姿勢を見せるべきだ、明らかにすべきだと考えておるのですが、いかがでございますか。
  141. 丹波實

    ○丹波政府委員 UNTACにつきましての先生の分析、事実関係、おっしゃるとおりだと思います。このPKOの費用の負担につきましては、先生御自身今おっしゃいましたとおり、二通りの出し方が決まっておりまして、一つは分担金、それからもう一つは各国の任意の決定に任せる任意拠出金でございます。  この分担金につきましては、現在までのところ国連として決定しておりますのは、当面、立ち上がりの経費として必要な二億ドルということでございまして、これにつきましては、既に日本政府に対しては一二・四五%の負担ということで約二千五百万ドル、可及的速やかに支払わなければならないという義務が発生しております。この立ち上がり経費を含めまして、現在国連事務当局の中で十九億ドルという数字議論されております。最終的な決定は見ておりません。しかし、もし十九億ドルというものが決まった場合には、これはミニマム、日本としては二一・四五%の分は支払わなければならない、こういうぐあいになっております。  それに加えまして、復頭部門につきましても八億ドルという数字が事務当局の数字として現在検討されております。それに加えまして、難民帰還部門が一億一千六百万ドルかかるであろう。ただ、この一億一千六百万ドルのうち既に三千七百万ドルが集まっておりますので、現実にアピールとして既に発出されておりますのは七千九百万ドルであるということでございます。そういう意味で、この復旧部門の八億ドル、それから難民帰還部門の七千九百万ドルにつきましては各国の任意の拠出に任せるということでございます。  この十億ドルが、いずれ近い将来あるいは若干下がった数字になるかもしれませんけれども、決定された暁には、昨日来明石代表が日本に対して国連としての期待あるいは国際社会としての期待を表明されております。そういうことも念頭に置き、かつ日本政府財政状況というもの、それから事がカンボジアであるという、そういう幾つかの側面の問題を検討して決めてまいりたいというのが現在の考え方でございます。
  142. 和田一仁

    ○和田(一)委員 要するに、復興とか難民、そういう任意の拠出の分についての期待が、これは分担率以上。もちろんこの拠出分について大臣は応分のことを考えている、こういうお考えだったと思いますが、それをできるだけ早く明らかに表明することによって、他の国々も、日本は今度は本気だな、そういう意味の国家としての考え方をはっきり早目にすることが大事だと思っておりますが、大臣、いかがでしょうか。
  143. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 少しスピードを速めることは全く大事だ。  この間、政府専用機の閣議があったのですが、私は、いつ飛ばせるのですかと聞いたら、来年の今ごろだ。飛行機はいつ来たのですかと聞いたら、去年の十一月だ。何でそんなに時間がかかるのだ、いや、法律もないし、これから法律をつくって今度国会に出して、それから訓練をして、安全でなければ飛べないから一年はかかる。これを聞いて、民間会社だったらとっくにこれは倒産ですねと宮澤総理も言ったけれども、本当に倒産。本当に、こういうのはもっと融通きかして何かできないのかということがたくさんあります。  先生のおっしゃることは、例えば今度旧ソ連に対する支援をするという場合も、日本人が困っているから政府専用機で連れ出しに行くことはできます。しかし、政府専用機でついでに薬品や食糧持っていくのはだめです。空っぽで飛んでいって、向こうの日本人だけ連れて帰ってくる。幾ら法律がどうの、理屈が少し多過ぎて、こういうのはもう少し現実的国益にかなうようなことを何とか考えられないかと言うのだけれども、法制局は頭がたいなんて言ったら、私は外務大臣だからそんな言葉は使えませんが、もう少し何か柔軟な対応ができないものだろうか。  いずれにいたしましても、理屈だけつかえちゃっておって、現実離れしていることが非常に多い。こういうのは、やはりこういう時代で目まぐるしく変わってくるときに迅速に対応しなければなりませんから、与野党の皆さんの御了解も得て、むだのないような予算の執行というものをぜひとも一緒になって考えてまいりたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
  144. 和田一仁

    ○和田(一)委員 UNTACのことを伺ったのですが、政府専用機の運用についても御見解をいただきました。私もこれは非常に気にしておりまして、これはまた一遍、ぜひ早目に有効に使えるように大臣にお願いしたいと思っておったのですが、今もう少しUNTACのことでお尋ねしたいと思います。  今、PKOが、国内ではこれはこの国会で通るかどうかなんですが、通そうという決意のようですが、通ったら、このPKO法案が成立したら、このUNTACには間に合うとお考えかどうか、ここをちょっとお聞きしたいのです。
  145. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 これはいつ成立するかが問題でございますが、もうあすにでも成立するというのなら話は別でしょうけれども、なかなか新しい展開の第一陣には全部は間に合わないだろう。しかし、六カ月ごとに入れかえだということでございますので、入れかえ時期には今国会で成立しておれば間に合うだろう、私はそのように考えます。
  146. 和田一仁

    ○和田(一)委員 UNAMICの規模そのものは先般決まったわけですけれども、これだけの規模になると予想されていたかどうか。予想されていたとしても、このPKOが通ってできるだけ早く対応するといった場合に、どの規模の日本としての対応が可能なのか。その辺も、間に合わせたいという気持ちがあるならば当然それはそろそろ検討しておられると思うのですが、間に合った場合にはどの規模のものをお出しになるつもりか、お伺いしたいと思います。
  147. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 これもやはり役所はしっかりしていますから、法案が通る前にそんなことを始めるとまた何かしかられるのじゃないかというようなことで、検討はしておるのかどうかよくわかりませんが、まだしっかりした具体的な計画というものをきちっとすぐこれだけ出すような準備というようなことは始めていません。頭の上ではいろいろ考えられると思います。
  148. 和田一仁

    ○和田(一)委員 きのう明石さんのお話でも、さっき私が冒頭に申し上げたような順序で新憲法制定議会ができて、そして新しい行政機構ができ上がったら、要するにカンボジアはカンボジア自身、銃ではなくて議会で新しい国づくりをするんだ、それまでお手伝いするんだ、こういうお話がございました。したがって来年の四、五月に総選挙が行われたならばその後はUNTACは一応任務終了、こういうことになろうと思いますが、アジア全体のことを考えればカンボジア問題というのはそれからが大変だ。そこから自立して、立ち上がっていくカンボジアをどう日本が支えていくか、この復興の過程が非常に大事になるな、これは相当息の長いものではないか、私はこう考えているのです。万が一PKOが間に合わない、なるべく早くやって間に合わせたいが一年でUNTACは終了するとなると、その間に合わない分をその後のことで何とかしていかなければいけない立場でしょうが、その点についてのお考え、どういう面でどうやったらいいか、私はたくさんあるような気がするのですが、お考えがあればお聞かせいただきたい。
  149. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 私としては、まだ国会が、衆議院はもう済んでいるわけですから参議院でこれから審議をするわけで、予算が参議院で通過をすれば、これはもう通そうと思えばそんなに一カ月も二カ月もかからないし、通していただけないということならそれはだめだ。しかし我々はなるべく早く通していただくために全力を尽くしてまいりますので、今法案が通らなくなったということを考えてはおりません。なるべく法案を通していただくということで準備を進めていきたいと思います。
  150. 和田一仁

    ○和田(一)委員 それはいいんですが、その通った後の、要するにカンボジアのこれからの復興について日本がいろいろな援助をする面があるだろう。通って、十分和平の、来年の四、五月までのUNTAC活動の中で日本もそれ相応の分担をして仕事ができればそれは結構ですが、それだけでなくその後もある、私はこう考えておって今お聞きしたわけでございます。  それにも関連して、きょうは在勤法の法案審議なんですが、やはり出先の情報収集ということがこれから非常に大事だと思っております。さっきもお話がございましたが、在外公館の手薄さというもの、これはどうしても強く感じます。ぜひともひとつ拡充していただきたい。  大臣、さっきちょっと勘違いされて御答弁いただいたわけですが、政府専用機の使い方が今度は自衛隊法改正によってちゃんとするようになるようですが、やはり非常に遅いですよね。こういうものの使い方に対しても対応が遅い。これを要請するのは外務省なんですね。外務大臣の要請があって自衛隊の移管された政府専用機を使おう、あわせてC130も使えるようにしようという内容のように伺っております。そうなると外務省の出先の判断、これが外務大臣の要請になって政府専用機その他が使えるようになるんですけれども、やはりこの出先機関の情報収集というものは非常に大事だと私は感じております。大臣、この政府専用機が外務省の要請によってこれから使われるようになる。おっしゃったように、買ったはいいがなかなか使えない、使うためにこれからだというような政府の対応の遅さを指摘されましたけれども、これは目的がはっきりしたらぜひ早く対応できるようにしていただかないといけない。対応の遅さが何事についても批判されておるわけでございます。そういう意味では、さっき大臣おっしゃったようにぜひこれは急いでいただきたい、強く要望させていただきたいと思います。  きょうは在勤法でございますので、先ほどのお話のようにカンボジアの出先が四人になったとおっしゃったわけですが、まだまだ十分ではないな、こういうふうに思っております。どうぞ、そういう意味でも善処していただくようにお願いしたいと思います。いかがでしょうか。それをお願いして、終わらしていただきます。
  151. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 これもお役所仕事といいますか、法規則どおりやるとするとそうなるんでしょうが、東南アジアだって何十人という外務省の出先があるんですから、みんながそんなに忙しいわけじゃないんだから、一つ公館で二人ぐらいずつ出したら幾らでも分担してとりあえず暫定的に間に合うのではないか。家がない、家がなかったらテントでも張ったり、あそこは寒くはないんだからプレハブでも持っていってぶっ建てれば一カ月ぐらいでできてしまうわけだから、何かそういう方法を講じて、三人とか四人とかでなくて、立ち上がりのときが大変なんだからもっと人をふやす、そこは臨機応変にひとつやるように今後さらに指導をしていきたい。後で国会でしかられるとかそんなことばかり言っておって、しかられたときはこっちが謝るから。実際は、やったことがそう違法性のあることではないし、妥当でないことでもやったんなら別だけれども、多少の融通は、その程度のことは話せばわかるんじゃないか。外務委員会の理事会とか何かに話してもいいことだし、そういうようなことで、もう少し機敏に適応するように今後とも一層努めてまいりたいと思っております。
  152. 和田一仁

    ○和田(一)委員 お願いいたします。  終わります。
  153. 桜井新

    桜井委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  154. 桜井新

    桜井委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  155. 桜井新

    桜井委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  156. 桜井新

    桜井委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、浅野勝人君外三名から、四派共同提出に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。山田英介君。
  157. 山田英介

    ○山田委員 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党の各派共同提案に係る附帯決議案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について引き続き検討の上、適切な措置を講ずべきである。  一 激動する国際情勢に迅速かつ的確に対応し、世界の平和と繁栄のため我が国がその国力にふさわしい国際的責任を果たし、積極的な外交を展開するため、外交実施体制、特に在外公館の基盤整備・機能強化に努めること。  一 我が国外交の第一線拠点にふさわしいものとなるよう、長期的計画に基づき、在外公館事務所及び公邸の整備・拡充を進めるとともにその国有化の推進に努め、併せて在外職員宿舎の整備に努めること。  一 海外での事件、事故及び戦乱、クーデター等の緊急事態に備え、在外公館の緊急事態対応能力の強化に努めること。  一 緊急事態に際しての邦人の救援保護を含む邦人の安全確保を図ること。また、在外邦人の医療対策に一層配慮すること。  一 世界的に治安状況がますます不安定となってきている傾向にかんがみ、在外職員が安全にその職務を遂行しうるよう警備・防犯対策の強化に努めること。  一 在外公館における外交活動の能率促進のために通信体制の強化・事務機器等の近代化に努めること。  一 在外職員、特に自然環境等勤務環境の厳しい地域に在勤する職員が、安んじて活発な外交活動を展開しうるよう、勤務・生活環境の整備、待遇の改善等に努めること。  一 館員による活発な外交活動を支援するため、在外公館における質の高い現地職員の確保・増員に努めること。  一 海外子女教育の一層の充実を期するため、在外日本人学校及び補習授業校の整備・拡充、教師の増員、父兄の子女教育費の一層の負担軽減に努めるとともに、帰国子女教育の充実のための制度改善及び施設の整備等の対策を総合的に推進すること。  本案の趣旨につきましては、当委員会における質疑を通じて既に明らかになっていることと存じますので、説明は省略させていただきます。  よろしく御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  158. 桜井新

    桜井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  159. 桜井新

    桜井委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。渡辺外務大臣
  160. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 ただいま在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案を御可決いただきまして、まことにありがとうございました。  また、本法案の御審議の過程においては、外交活動の基盤強化につき、深い御理解と貴重な御提案を賜りましたことに対し、厚くお礼を申し上げます。  法律案と同時に可決されました附帯決議の内容につきましては、御趣旨を踏まえ、できる限りの努力をしてまいる所存でございますので、今後とも皆様の御支援方よろしくお願い申し上げます。まことにありがとうございました。(拍手)     ―――――――――――――
  161. 桜井新

    桜井委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  162. 桜井新

    桜井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  163. 桜井新

    桜井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時五十三分散会