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1992-05-21 第123回国会 衆議院 逓信委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年五月二十一日(木曜日)     午後三時開議 出席委員   委員長 谷垣 禎一君    理事 川崎 二郎君 理事 佐田玄一郎君    理事 坂井 隆憲君 理事 原田 義昭君    理事 松浦  昭君 理事 上田 利正君    理事 大木 正吾君 理事 伏屋 修治君       赤城 徳彦君    大野 功統君       久野統一郎君    小林 興起君       古賀 一成君    鈴木 恒夫君       深谷 隆司君    真鍋 光広君       松岡 利勝君    森  英介君       山本  拓君    小岩井 清君       輿石  東君    田中 昭一君       武部  文君    吉岡 賢治君       吉田 和子君    坂井 弘一君       鳥居 一雄君    菅野 悦子君       中井  洽君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 渡辺 秀央君  出席政府委員         郵政大臣官房長 木下 昌浩君         郵政大臣官房審 金澤  薫君         議官         郵政省通信政策 白井  太君         局長         郵政省電気通信 森本 哲夫君         局長  委員外出席者         逓信委員会調査 辛島 一治君         室長     ————————————— 委員の異動 五月二十一日  辞任         補欠選任   今枝 敬雄君     久野統一郎君   上田  哲君     輿石  東君   田並 胤明君     小岩井 清君   山下洲夫君     吉田 和子君 同日  辞任         補欠選任   久野統一郎君     今枝 敬雄君   小岩井 清君     田並 胤明君   輿石  東君     上田  哲君   吉田 和子君     山下洲夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  電波法の一部を改正する法律案内閣提出第六  四号)      ————◇—————
  2. 谷垣禎一

    谷垣委員長 これより会議を開きます。  電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤城徳彦君。
  3. 赤城徳彦

    赤城委員 昨日に引き続きまして、電波法の一部改正についてお尋ねいたします。  昨日は、いろいろ各委員から各方面にわたる質問がありましたので、私はもう一度原点に返って、そもそも論といったところでお伺いしたいと思います。  郵政省資料によりますと、今電波利用が非常にふえて大変な状況になってきておる。このまま進みますと、二〇〇一年に無線局数が五千万局を超えて現在の八倍になる。特にその中でも自動車無線とか携帯無線携帯電話ですか、そういったパーソナル化が進んでいるということでありますけれども、一体今どういう現状にあって、このまま放置していくとどういう不都合が生じてくるのか、お伺いします。
  4. 森本哲夫

    森本政府委員 先生示しのとおり、確かにここへ来て、かねてからその傾向はあったのでございますが、直接の当事者がびっくりするぐらい電波利用件数が年々ふえております。  今お話もございました、特に移動通信分野でございますが、結局これは、従前電話機というのは線のついた電話機でございましたが、現代社会の非常に忙しい状況の中で、移動中であっても通信をしたいという要請、さらにまた、それを可能にする技術あるいは社会的な環境が整ったということで、携帯電話は、自動車電話は年約六〇%の伸びでございますし、それから特にMCA、これはいわば移動通信で、周波数をできるだけ有効利用する共同利用システムでございますけれども、これも産業界中心利用がございますが、二五%という高い伸びでございます。  それから、もう一つ着目すべきは、従前電波利用が主として公共分野でございましたのに対して、六十年以降、電気通信改革と相まって産業分野に非常に広がった、そして今申しましたような移動通信という個人分野に広がった。この辺が大変大きい特徴がと思うのであります。去年、平成年度伸びは、全体として一七%の増加に相なっております。ますますこの傾向が強いわけでございまして、実は電波政策懇談会ということで、幅広に電波政策の今後について見通しをいたしましたところ、二〇〇一年には五千万に達するという計算が行われたようなことでございます。  さればといって、私ども行政的な視点でこの見通しを、責任持ったというか確定的なことを、十年先を予想することは困難でございますけれども、この無線局の毎年の伸び、これは去年が一五%、ことし一七%だ。それから特に、さっきも申し上げました自動車電話携帯電話伸びが、今百三十万台超えておりますが、アメリカではこれは八百万台ございます。人口が日本の倍の二億四千万ですから、結局一人当たり普及台数は、千人当たりで二十五台あるという計算でございまして、イギリスでも二十二台、近間の香港あたりでも二十台ぐらいだ、それに比べて日本の今の利用率が大体千人に九台ぐらいだということになりますと、これからの伸びはどうしたってやはり避けて通れない状態にあるだろう。  それから産業界等でも、今のパソコンあたりはすべて有線でセンターとつながっていたりするわけでございますが、これを移動しながら、無線パソコンなんというのも今急激に伸びていることでもございますし、ありとあらゆる、今まで考えられなかった分野電波を導入して、さらに情報化への前進を進めるというような格好になるかと思うのでございます。  こうした電波利用の拡大に伴いまして、今先生の、これからの課題という意味では、この懇談会の報告の御指摘がありましたとおり、一つには、要するに周波数が足りなくなる、これは相当深刻な問題になるという点が一つ。それから、不法無線の増大が大変社会的な存在になってくるという問題が二つ目三つ目は、行政事務が既にもう停滞を始めておるが、さらにこのまま手を打たないと、結局行政サービスが低下してしまうという問題。四つ目には、さればといって、電波がこれだけ社会的に行き渡っても、いわば電波が遮断される空間、例えば田舎の過疎地あるいは都会の中の地下街、こういった遮断空間があるので、こうしたものをきちっと利用できる基盤整備が必要だ。それから、研究開発の充実が必要だ。それから、電波はとりわけ国際的な調整の問題もあるものですから、特に国際化への対応をしっかりやれ。こういう御指摘がございます。確かにこのとおりだ ろうと思っております。  いずれにしても、大変これから先幅広に、大きな重大な問題の解決に向かわなければ立派な電波利用社会の実現が難しい、真剣に取り組まなければならぬと考えているところでございます。     〔委員長退席原田(義)委員長代理着席
  5. 赤城徳彦

    赤城委員 まさに年率で一五%、一七%無線局伸びていく、ウナギ登りという状況だと思います。ただいま御指摘ありましたように、いろいろな問題が出てくる。  さて、それではその問題を解決するために郵政省としてどういうものが必要になってくるか、どのぐらい予算がかかるか、そこら辺のところをお示しいただきたいと思います。
  6. 森本哲夫

    森本政府委員 先ほど申し上げた諸問題のうち、特に不法無線は、いわば電波利用する方の基本にもなるわけでございますし、免許を与えてもそれが混信で使われなくなるというのでは電波行政の根幹にかかわる問題になりますので、特に重大な問題かと思うわけであります。  このために、現在の監視施設というのが、正直。申して、実情、不法無線がはびこる実態に即応するには非常に力不足の状態になっておりますので、ぜひひとつ監視施設を充実する必要がある。これは、人手でそこらじゅう不法無線の探査というのは限界がございますので、監視施設を恒常的に設置をいたしまして、さりとてそれですべてがわかる仕組みには現実技術ではなかなかなりにくうございますが、まずベーシックなところをこの固定監視施設という形で、およそどのくらいのターゲットのところでどんな不法が発生しているかということを押さえた上で個別の監視に入らなければならないわけですけれども、そういう意味合いの、基盤になります監視施設整備が大変大事でございます。  これにつきまして、さらにまたあわせて行政事務、先ほど申しました免許申請件数が、年間、平成年度で約百三十六万件の申請があるような時代にもなりますので、この辺の行政サービスの低下を招かないためには、ぜひ思い切った無線局データベースを活用した総合的な電子システムでの対応行政効率化を図る上で何としても必要だ。こういうことで、私どもとしては、これはずっと先を見渡すというのは非常に難しゅうございますが、少なくともここ両三年、平成五年から平成七年までの間に、この両問題に関して約二百四十億円あればそれなり対応ができるのではないか。  さっき申し上げました、それ以外に周波数深刻化への対応あるいは電波利用基盤整備研究開発、あるいは国際化、こうした諸問題につきましてはなかなか具体的な金額の積算は難しいかと思いますが、それはそれなりの相当の費用はかけなければ十分な対策が難しかろう、こう思っておるところでございます。     〔原田(義)委員長代理退席委員長着席
  7. 赤城徳彦

    赤城委員 本当にいろいろな問題が出てきますし、それに対する対策、これもかなり大がかりな予算が必要になってくると思います。そこで電波利用料、こういうことになってくるわけなのですけれども、今お話しされましたようなことは一般会計予算一般行政経費ですからそちらの予算の方で手当てされるべきじゃないかということがありますけれども、なぜ電波利用料という形で受益者負担をお願いするようになったのか、その理由を教えてください。
  8. 森本哲夫

    森本政府委員 先生案内のとおり、戦前は電波利用は国以外の機関はできなかった。しかし、戦後の民主化ということで、昭和二十五年にできました電波法では、できるだけ広くこれを民間に開放しようということで新しい電波行政が展開されてきたわけでございます。  今日までの間、この開放の結果、御案内のとおり民間放送事業が誕生した、国以外にも免許人をふやそうということで、電力であるとかあるいは輸送であるとかそういう公共分野が主として中心でございましたが、御案内のとおり昭和六十年で電気通信産業をいわば自由化したわけでございますので、有線を使ったり無線を使ったりしてさまざまな事業体が展開をいたしておるわけでございます。同時に、さっき申しました自動車電話携帯電話という新しい移動通信技術現実市民生活に入り込んだ。こんな形で、昭和六十年以降急激に民間利用中心になってまいりました。  これまではお示しのように主として一般財源電波監理行政をやってまいったのでありますが、こうした実態にかんがみ、つまり利用中心民間に移ってきた、さらに今後経費が急増をする、今先生の御指摘のとおりでございまして、こうした問題、従前のままではいろいろ不都合が起きる。とりわけ、今さっきもお話し申しましたように、安定した電波監理電波を使っていただくには相当社会的コストが必要だ。そのためにはどうしても費用負担の問題が出てまいるわけですが、特に電波の世界というのは、特定の免許人がいわば他の希望者を排除して周波数を安定的に確保して使うわけでございますので、その社会的コスト免許人以外の方にも均等にという形ではやはり新たな不公平が生まれるのではないか、必要な部分については免許人にも御負担願えないかというのが、この問題の発端でございます。  特に、諸外国でもこうした電波行政経費に充てるために、電波利用している免許人から一定の料金を徴収するのが極めて一般的にもなっております。今後の我が国の急迫した電波監理行政の問題の解決のためにはぜひこうした制度が必要だということで利用料制度を導入させていただこうと御提案を、お願いを申し上げているところでございます。
  9. 赤城徳彦

    赤城委員 確かに諸外国でもこういう制度をとっているようでありますし、これからの緊迫した電波をめぐる情勢を見ますとやはりこれは必要になってくるのかな、そういう感じがいたしました。  ただ、これからいろいろな対策が必要だ、いろいろな課題があるというふうに言われていますけれども、なぜその中で総合電波監視システム不法無線監視、それからデータベース等、そこを取り上げて電波利用料で補っていくのかなという疑問は残るわけであります。  最初のところに返ってもう一度考えてみますと、無線局数がどんどんふえていく、混雑して混信がふえて、あるいは不法無線がふえて困る。例えてみると、自動車がふえて道路がもういっぱいになってしまった。自動車がふえますと、酔っぱらい運転とか交通事故とかいろいろな障害も出てきます。さあ、その混雑をなくすのにどうしたらいいでしょうか、事故や何かをなくすのにどうしたらいいでしょうか、そういった状況と似ていると思うのです。  では、その道路混雑をなくすためには、一つは車の数を減らすことでありますけれども、車は便利ですから、減らせと言ったから減るものではない。携帯電話なんかも便利ですから、使うなと言ったから使わないでもらえるわけではありません。であれば、次は道路を広げること、道路のないところに新しい高速道路をつくること、こういったことで混雑を緩和するのだと思うのです。  ですから、先ほど課題の中で挙げられましたけれども、新しい電波を開発していって、まだ高い周波数技術的に使えないところがありますけれども、それを使えるようにするとか、今の周波数体系をみんなで使えるように、みんなで乗り合いバスに一緒に乗ろうというような形ですね。そんなナロー化とか小ゾーン化とか言われるような技術だということなんですけれども、そういう新しい技術を開発して、緩やかにみんなで電波を使えるようにしよう、こういう技術開発部分でありますとか、それから先ほど局長が言われました不感地帯、そこへ電波が届くようにしていく。過疎地でも地下でもどこでも使えるようにしていく。これは新しい道路をつくっていくのと同じような電波基盤整備です。  そういったものは大変大きな予算が必要です。そういうこと全部含めて、ではどこを電波利用料でいただいて、どこが一般財源で、それから最後に言いました不感地帯対策ということでは、例えば電波塔とか情報インフラ整備ですから、これは道路をつくるのと同じように公共予算でやるべきじゃないか。郵政省でも二千億の生活関連の中で幾ばくか公共予算を初めて実現したわけでございまして、私はこういう情報基盤整備というのは、まさに道路、鉄道や何かと同じように基盤整備という考え方で公共予算をどんどんふやしていかなければいけないのじゃないか、そういうふうに思うわけであります。  そこで、今の全体について、どういうふうにこれから予算確保していくか、伺いたいと思います。
  10. 白井太

    白井(太)政府委員 予算全体の問題というよりも、先生のただいまのお話に関連いたしまして、研究開発関係予算でありますとかあるいは生活関連枠とい、つてとで、御指摘になりました公共投資関係予算について、私の担当分野でございますのでお答えをさせていただきたいと思います。  まず、研究開発関係につきましては、これはもう先生がおっしゃいますように、特に技術立国と言われるような我が国におきましては、研究開発というのは大変重要であると思っております。その上、私ども受け持ち分野であります情報通信分野技術というのは、これから情報化社会になっていくと社会情報化がますます進んでいくということからも重要でございますし、それからまた、これから研究開発をすべき余地が非常に残されている分野でもあるというようなことから、大変重要な分野であると思っております。  その分野のうち、極めて基礎的なもの、あるいはフロンティア研究と言われるような本当に未来の技術を先取りするような基礎的な技術分野、そうしたものを私ども通信総合研究所が受け持って研究を進めておるわけでありまして、私どもとしては事あるごとに、ゼロシーリングと言われるような非常に厳しい財政事情ではありますけれども、ほかの分野を少々節約してもむしろそちらの方には回すべきじゃないかというようなことでいろいろやってきておりますが、それにしてもまだ十分であるとは思っておりません。私どもだけではございません、ほかにも直轄の研究機関どもありますので、そうしたところともよく連絡をとりながら、できるだけ予算を充実させるように努力をしてまいりたいと思っております。  それから、生活関連枠の問題でありますが、これは平成年度に初めて予算化されたものでありまして、それまでは情報通信分野について公的な資金を投入して基盤整備を図るというようなことは全然なされていなかったわけであります。決して十分であるとは思いませんけれども、特に山間地域などにおける情報通信基盤整備するためには、国とか地方公共団体がむしろ積極的に自分の仕事として取り組むということが必要だということで、関係方面のいろいろ御理解を得て、やっと平成年度から、金額は十分ではございませんがスタートをさせていただいたものでありまして、私どもとしては、少しでもこれの中身を充実させ、また金額の方もできるだけふやしていくというような努力をしていく必要があるだろうというふうに考えております。
  11. 赤城徳彦

    赤城委員 今お話がありました研究開発のところで、通信総合研究所状況が今どうなっているかという資料をいただいたのですが、これを見ますと、例えば各役所で、これは研究開発人員ですけれども防衛庁の職員が千百八十一人、農水省が五千九百二十人、通産省が三千三百七十三人、科学技術庁でも千六百二人、対して郵政省は四百二十五人、これは平成年度ですからその後ちょっと変わっているかもしれません。予算にしても、一番多い防衛庁が九百二十一億円に対して郵政省は四十三億円、NTTとかKDD研究所と比べましても、NTTが二千四百億、KDDが百六十八億に対して通信総合研究所が四十三億、こういうわけでありますから、これからのことを考えますと、本当に予算なり人員をしっかり確保していかなければならないと思います。ほかの課題もありますし、どうか大臣先頭に、ここら辺の予算人員確保とか、しっかり頑張っていただきたいとお願い申し上げます。  さて、電波利用料の今回の使い先であります電波監視システムとか総合無線局管理ファイルとか、そういった分野についても、これから先を考えますと、先ほどのお話では平成五年から七年まで三年間で二百四十億円必要だ、こういうことでありましたけれども、この先無線局の数もふえます。それだけ免許人申請の数もふえます。不法無線もふえるでしょう。この必要額がどんどんふえていくんじゃないかな。一方で、無線局もふえますから、ふえた分だけ電波利用料の収入もふえてくる、こういうことになりますので、今の見通しと将来また変わってくるんじゃないかなと思うのであります。そこら辺の、将来この電波利用料がどういうふうになっていくのか、また、見直しをどういうふうにしていくのか、お答えをいただきたいと思います。
  12. 森本哲夫

    森本政府委員 先生示しのとおり、今後の電波利用のためにはさまざまな経費が必要でございますが、この法律では、電波の適正な利用確保に関し郵政大臣無線局全体の受益を直接の目的として行う事務についての負担をお願いしておるわけですが、今回、平成五年から七年までの三年間については電波監視、そして総合ファイルの作成、管理に要する費用ということで算定をさせていただいたわけで、この間三年間は私ども変更する必要はないものと考えております。  ただ、平成八年以降、おっしゃるように事情は、三年もたてば様子が相当変わってくるということは十分考え得ることでございますので、私ども今の腹づもりとして、平成八年以降の分については必要な見直しを行う必要がある、こう思っておるわけであります。  特に、実際の見直しというのは、国の手数料一般物価変動とか事情変動もございますので三年ごとに通例行われているわけでもございますので、こうしたことで今回考えておるわけでございます。さればと申して、三年先がどんなふうになるかということが全然不安定でもいけませんので、私らもその点についていろいろな予測も踏んまえておりますが、今後の社会経済の急激な変動というのが起きたり、あるいは物価や賃金といった一般コストアップ要因が特に極端な上昇をするということがなければおおむね今の水準の維持は可能がな、こうは思っておるわけです。いずれにしても、しかし改めて三年先には必要な見直しはぜひさせていただかなきゃならぬことであろう、こう思っておるわけでございます。
  13. 赤城徳彦

    赤城委員 さて、電波利用料をこういった対策に充てていくということでありますけれども、その中の不法無線対策について伺いたいと思います。  昨年ですけれども郵政省の皆様にお世話になって電波現地視察に行かせていただきました。羽田管制塔も見てまいりました。そのときに言われたのは、我が羽田空港の管制レーダーは完璧であります、今まで混信とかそういった事件、事故は起こったことがありませんと担当者の方が胸を張っておられました。私たち安心して帰ってきましたら、その直後に、十月の二十三日ですか、その当の羽田電波干渉事故がありましたというような報道がありました。やっぱり完璧というのはあり得ませんし、これだけいろいろ電波がふえできます、世の中に飛び交っできますといろいろな不都合が出てきているんだなということを感じました。  最近の報道でも、違法電波が全国で百万から二百万局飛び回っているなどということで、例えばこんな被害が出ているということが出ています。テレビや電話混信するとかワープロのデータが消滅するとかバーコードの読み取りができない、自動販売機のつり銭の機能が故障する。もうちょっと深刻なのになりますと、今言いましたような航空レーダーですね。これは、羽田では三分間に一機飛び立ったり到着をするそうですから、管制を一歩間違えば大事故につながる。羽田だけでなくて大阪の方でも同じような管制システムの画面が突然消えたなどということがあったそうです。それから防災無線が妨害されたりとか、自動車の走行を制御するコンピューターに混信しますと自動車が暴走を始める、本当にいつ大事故になってもおかしくないような事態だと思うのです。  そこで、今回の電波利用料を使って違法無線監視していこう、チェックしていこうということなんでありますけれども、果たしてそれだけでこういった事態が全部解決しますというのはなかなか難しいのじゃないかなと思うのです。昨日もそういう観点からの御指摘がありました。私も同感でありまして、この対策だけではなかなか難しいだろう。  さっきの例えで言いますと、車の交通事故がある、交通事故があるから取り締まりを強化してやっていきましょう、それももちろん大事なんですけれども、例えば車それ自体の欠陥があるとか運転する人の問題もありましょう。わざとスピードを出してとか飲酒運転しているとか、そういったものもあります。お巡りさんが道路で絹張って見張っている、それにかかるものだけを取り締まっていても、その陰にはその何倍も危険な状態があると思いますし、それは車の側、ドライバーの側だけではなくて、道路構造自体の問題もありましょう。  そういったことを考えますと、やはり電波も同じで、網の目を張って監視してそれだけですべて解決するわけではないと思うのですね。トラックなんかは違法無線でどんどん動いていってしまいますし、なかなか捕まえるのが難しいということになりますと、その根っこから解決していかなければいけないんじゃないか、そういう対策も必要だろうというふうに思うのであります。  不法無線機、大変な出力を出せる無線機が秋葉原では普通に買えると言われています。そういう製造段階で、売らないようにする、つくらないようにする、そういう規制も必要でありましょうし、大事故につながるような大きな問題でありますから、無線機だから余り大したものじゃないというふうなイメージがあると思いますけれども、これは、場合によっては人をあやめることもある、ピストルやナイフと同じように使い方によっては危険なのだ、だから違法無線機を持っているだけで危ないのだよと、持っているだけで規制できるような、そういう方法も何か必要じゃないかな。  それから、いろいろな監視システムをつくりますけれども、これは行政の側、国の側でできるのは限りがあります、全国広いですから。民間の側で今ここでテレビが混信妨害を受けたよとすぐ通報してくれる、そういうことが大事だと思うのですね。一般の方ではどこから電波が出ているかわからないということもあると思いますけれども、例えばアマチュア無線家は知識もありますし、指向性の強いアンテナというのを持っていまして、これをぐるぐる回転させることができますので、大体どの方向から違法電波が出ているかというのをチェックできる機能というのがアマチュア無線にはあるのです。そういうふうな、一般の方とかアマチュア無線家の協力も得て見張っていく、こういうことも大事だと思います。そういった不法無線対策、いろいろな角度から考えられるのですけれども、これからどういうふうにやっていかれるのかお尋ねします。
  14. 森本哲夫

    森本政府委員 おっしゃるように、監視施設のシステムを設置するだけでこの基本的な解決にならないということは、これはもう御指摘のとおりでございます。しかし、今問題はそのシステムすらないということで大変苦闘をいたしておりますので、やはり何よりもまずこういう整備をやらなければならない。  しかしそれだけでは足りないという意味で、おっしゃるように私どもも、不法機器、これがこのごろ大変悪質化をいたしておりますし、したがいまして、不法無線機が改造されたり、あるいは改造をしなくももう市販のものも堂々と売っている事態、この根っこを絶つことを何とか法的な対応として考えられないかということを実は真剣に思っているわけでございます。実は、諸外国でもこうしたものは直ちに取り締まれるという体制をとっている国も多うございます。私どもも随分この問題についてはいろいろやってはまいっておるのですが、現在の残念なところ、こうしたものはピストルとか麻薬とかアヘンだとか、それと完全に同一視できるかどうか、まあこの日本という国としてできるだけ市民的自由というものをたっとぶという建前に立ては、そこまでいきなりジャンプできるかという御指摘が正直言って議論の中で一つの問題として出てまいっておりますので、私どもとしてはそういう問題点を何とか整理をしながらぜひひとつ法的な対応を考えたいということで今一生懸命やっておりまして、引き続きの課題にさせていただきたい、こう思っております。  それで、先生今御指摘のように、こうしたものが売られたり改造されたり、比較的安直な余り罪の意識がないという、そういうことで自分が他にどれだけの損害を与えているか、あるいは社会を不安におとしめているかということについての自覚がないということも一つあろうかと思います。もちろん同時に、過激派等の不法無線によるがごとく、もうあらかじめそのことは十分な意図を持ってやっているさらに悪質なものもあることはもう言うまでもないわけでございますが、いずれにしても、やはりそういう意味で、電波利用というのが目に見えないものだけに、どれだけの影響を与えるかということについてはさらに私ども行政の責任者として広く国民にも周知を、啓発活動を大いにやらなければならない。なかなかこれも予算等の問題もございますが、さらに努力をしてまいりたい。  実は本年度も、電波利用保護旬間ということで、来月の一日から十日まではこうしたことを集中的に国民に訴えるような活動をいたしております。こうした過程で、日本アマチュア無線連盟とか機器のメーカーとか免許人の団体とか、広く呼びかけてやるわけでございます。  それで、今お話しございましたように、電波法八十条では、無線を使う方、免許人の方が非常に違法な無線実態を発見すればこれを郵政大臣に報告をしてほしい、報告しなければならぬということに実は相なっておりまして、アマチュアも専門家でございますし、そういう意味でアマチュア。からもいろいろな情報が寄せられておりますので、実はこれがある意味で現在の不法摘発の大きな材料にもなっておるわけでございます。こうしたことも大いに活用し、さらに、私どもとしては強制権限がありませんで、仮にトラックの中に外形から見ればアンテナがあるなというのがわかっても、そのトラックをとめて中に乗り込んでというようなことになりますと、当然これは捜査機関の協力がなくしてはできないわけでございますので、そうした捜査機関との共同連係動作もひとつ大いに御協力を、理解をお願いしながらさらに強化してまいって、御指摘のようにありとあらゆる手段でこうした不法無線の根絶に努力をしてまいりたいと考えております。
  15. 赤城徳彦

    赤城委員 おっしゃるように、恐らく改造して強い電波を出している人の中にはほとんどその意識がないのじゃないかな、特にトラックなどで交信していましてラジオに入りますね、そういうのを見ていますと、その自分が出している電波がどこでどういう影響をしているのだということの意識がないのじゃないかなと思うのです。  これは、さっき挙げましたようないろいろな事例がありますし、例えばそのほかにも心臓のペースメーカーで、もし強い電波がペースメーカーを乱すなどというふうになってその人が亡くなるとか、医療機械、高度な手術をしているその医療機械に混信して手術が妨害されてもしものことがある、そういうふうな不幸な事故が起こってからでは遅いのであります。これはピストルとか銃刀、アヘン、そういったものとなかなか同一視できないと。これは程度問題でありますけれども、そういうことにもなり得るのだよということはぜひ今度の啓発の旬間を通じて一般の方にも知らせていただき、また一般の方の協力もいただいて、これ は総合的に進めていただきたいと思うのです。特に、今回利用料をいただくことになりましたので、これは一般の方は期待しているわけですね。利用料を払うわけだからそういった不法電波は一掃されるだろうという期待があるわけですから、これはぜひ総合的な対策で推進していただきたいと思います。  さて、その一般の方の理解というのは、これはやはりいろいろな面で、不法無線対策もそうですし、今回電波利用料をいただくに当たっても、今まで話に出ましたように、電波がこんな状況になっているのだよ、こんな対策が必要です、そういうことも含めて一般の方の協力がなければ電波行政は推進できないわけでありますので、最後に大臣から、そういう国民の皆さんの理解をいただくための心構えといいますか、その点について伺いたいと思います。
  16. 渡辺秀央

    ○渡辺(秀)国務大臣 お答え申し上げます。  まさにこの電波というのは、私ども何のためらいもなくあるいはまた思考力もなく、今まではごく当然のこととしてみんなが使い合ってきた。しかし、よく考えてみると、この電波は国民共有の財産である、しかも有限の財産だということで、これをみんなで大事に考えながら二十一世紀につなぎたい、こんな気持ちが背景にあるということを、もちろん不法電波あるいはまた現実的に、今赤城先生がおっしゃったように、医療関係などで、救急医療などでは不法電波が入って、一瞬時、間に合わないで命をなくするなどということがないとも言えない、そういう非常に大事なものであるということを何としても理解をしてもらわなければならない。  この制度の円滑な導入が図られ、あるいはまた定着させていくのには、平成五年四月一日までの間に説明会の開催を国民への十分な徹底を図るために行ってまいりたいと思っています。  これは、例えば利用者を電気通信管内ごとに集めましてそこで十二分な説明をやる、あるいはまた、今回この制度を想定しながらの予算としては、いわゆる免許人などの関係者への周知・広報費として、わずかな金額ですが、とりあえず五百万、そして電波利用料の収納管理を確実に行うためのソフトウエアの開発で三千二百万円、合わせて三千七百万の予算措置でこのPRあるいはまた収納された電波利用料管理を確実なものにしていきたいと思っております。  いずれにいたしましても、この制度の意義とともに、今後の電波利用の重要性ということを国民がみんなで、国民共有あるいはまた国家財産、これはみんながただでもって勝手に使い合うわけにいかないわけですから、同じ意味で、みんなでひとつ適切なこれからの運用と新しいこれからの高度情報社会を目指した価値観というのをお互いに感じながら、この制度を理解していただくための周知徹底に努めてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。
  17. 赤城徳彦

    赤城委員 終わります。ありがとうございました。
  18. 谷垣禎一

    谷垣委員長 次に、中井洽君。
  19. 中井洽

    ○中井委員 法案の質問に入る前に、ここ二、三日新聞等で簡保の株の長期的な直接運用、ちょうどあの新聞に出ました明くる日、私も大蔵委員会で質問の時間がありましたので大蔵大臣に尋ねたりいたしておりまして、前回の委員会でも少しやったらどうだということを申し上げたわけでありますが、波風を立てるつもりはありませんが、私どもは、長期的に一度十分検討に値する課題だと考えております。  大臣、ああいう騒動の後でお答えにくいかもしれませんし、内部的に御迷惑をかけてはいけませんが、率直にどのようにお考えになっておるか、同時に、今回見送るとしても、十分幅広い運用というものの中でおこたえをいただけるかどうか、お答えをお願いします。
  20. 渡辺秀央

    ○渡辺(秀)国務大臣 まず、今のNTTの株の価格がどうも低迷している、そこからの議論の出発というものと、今先生おっしゃっている簡保資金の適切な、効率的な運用という観点からの出発と二通りあると思うのですね。  私は、まず前段におきましては、これは全く、言うならば簡保資金、国民のとうとい資金を国家がお預かりして、そして国民の生活あるいはまた高齢化社会対応していくための資金としての、国家としての一分野を担っている郵政省の簡保という制度から見ますと、果たしてそういう今の際どいことにこのお金を活用するということはいかがなことか。NTTの企業の将来あるいは発展性、そういうことについて不安を持っているという意味でなくて、少なくとも、変動制あるいはまた自由相場制というか、そういう中における、しかも今日、社会的、経済的に極めてこの株というものに対して不安定的な要素のある中で、そこからの議論の出発はいささかいかがかという危惧があることをまず第一点申し上げておきます。  第二点としての、いわゆるその本来的な効率的な運用をどうするかという、これは私の全く私見です、大変恐縮ですが、私は、今申し上げたような、国民が信頼をしてこの簡保、約八十年ですか、約七十年ですか、この長い間の国民と、利用者と郵政省との信頼関係ですね、これを考えますと、いわゆる元本という国民から預かった元金だけはこれはやはり安定的に確保しておくということが、せめて、私たちの国家企業というか、国家的な営業をやっている立場からしますと大事なことではないか。  そういう意味で私は、その二つの点を種別して、そしてしかも、今回簡易保険局で検討をしている、あるいは検討を始めるということで、まあ内々勉強をしてみるということなら、このことは、大いに今までの惰性を排して活力、活性化を図っていく、簡保資金の運用の効率化を図るという意味においては、しかも、その利益の還元はまさに利用者あるいは加入者に還元していくわけですから、これはもう大いに結構、こういう考えでまいったのでありますが、あのままもろにそれのみというふうに報道されてしまいますと、郵政大臣としての立場からは、私は、いささか慎重を要するということを発言しておかないことには、利用者からと、それからもう一方の民間企業からの立場を考えたときに、まあやむを得ないと実は瞬間思いまして、そういう発言を閣議後の記者会見で申し上げた、これが真相です。いささかの飾りもあれもございません。  ただ、局長の説明を聞きますと、これは報道された人たちにどうのこうのという意味じゃありません、これもお断りしておきますが、やはり幾つかの研究課題の中でという意味で言った、それがそこだけ抜き取られた、こういうことのようでありました。だから私も、それはまあそうだろう、それなら非常によくわかる、研究と検討は大いにやりたまえと。これは、マイナス要因になること、あるいはまた具体的に案がまとまったときには国会で審議されるわけですから、これは簡保法の変更にもつながることですから。あるいはまた、財政法との関係があるかどうかもわかりません、間接的にどうなるかわかりませんが、不勉強ですけれども、しかしいずれにしても、国会で議論になる前に、余り行政面、しかもまだ国民サービスを主体とした我が方が先に出て、そしてまずこの問題提起ありきということは、いささか今日の状況から見て適当と思わない。ただし、若い人たちが今後の簡保の資金運用について大いに勉強することについてはストップをかけることではない、活力、活性化のために大いに勉強はしてほしい、こう申し上げたというのが真相であります。  まあ言うならば、一方的な見解のみの報道とは言いませんが、しかし、局長の真意が全体に伝わっていなかったという局長の釈明を私は素直に聞いて、今後余りブレーキをかける必要もないと思うし、あるいはまた、私もとりわけきつく注意をする必要もない、こんな感じでおりますので、御理解をいただきたいと思います。
  21. 中井洽

    ○中井委員 それじゃ、法案の質疑に入らせていただきます。  郵政省電波監理審議会というのがございます。今回の電波政策に関する二十一世紀に及ぶビジョンを、新しく電波政策懇談会というのをおつくりになって、そこに諮問をして答申をいただいた。ここらはどういうことであったのか、どうしてこの電波監理審議会にお任せをしなかったのか、このことをお聞かせをいただきます。
  22. 森本哲夫

    森本政府委員 当委員会で再々お話があるわけでございますが、この電波利用の仕方というのが、先生案内のとおり、ここへ来て、とりわけ昭和六十年の改革以降急激な変化を遂げております。従前電波利用というと比較的固定的なイメージでございましたが、例えば、最近の運輸業なんというのも、これはクロネコヤマトあたりの例をこんなところで引き合いに出してはいかがかと思いますが、例えばお客様から集荷の案内が来たとすると、センターの方ですぐ無線自動車に指令を出します。今までは無線機でガーガーやっていたのですが、今やデータ伝送で、運転手さんがおりて配達に行っているさなかにでも行く先とビルの何階だというような案内までちゃんとデータ伝送ができるような形になっております。タクシー一つにしたって、もうセンターで今何号車はどこにいるということが全部地図上に把握できる、そんなこと等でさまざまな電波利用が発展してまいりまして、今後は相当様子が変わるだろう。そういう意味合いで、今回電波政策懇談会の目的は、二十一世紀の活力ある電波利用社会というものに対してさまざまな問題を拾い上げようということで、各層各界の方々を集めて、集めてと申しましたが、専門的な見地からいろいろ御審議をいただこうということで、実はその中に、部会にも利害関係人まで含めてこの審議をお願いをした、こういうことでございます。  御指摘のように、当然電波監理審議会は電波の規律に関する重要な審議事項を扱う委員会でございますので、私どもとしてはこの懇談会の得ました結論を、あるいは審議会の開催の途中からもこういう御報告を申し上げまして、そして審議会の方からもさまざまな御意見、御指導を賜りながらやってきたわけでございますので、改めて諮問、答申という形をとらずとも自主的にこの審議会の御意見をちょうだいし、やってまいった、こういう経過でございます。
  23. 中井洽

    ○中井委員 答申が出てから私ども勉強させていただき、新しい電波をつくっていく、それから合理化をしていく、それから監視をする、この三つぐらいの目的のためにこの電波利用制度というものをつくっていくのだ、郵政省も含めて御努力をいただいた。しかし政府内の折衝の中でこの新しい電波をつくる方が飛んでしまった。今回この監視の方と合理化の方だけでこういうものが出てきたということであります。  私どもからすると、新しい電波をつくる、みんなが便利なようにしていくというので金をというのはよくわかるわけですが、どうも監視と合理化だけに金を出すというのはどうしてだ、しかも膨大なお金でありまして、ここらのところをどういうふうにお考えなのか、御説明をいただきます。
  24. 森本哲夫

    森本政府委員 今後の電波社会をきちっと実現するためにはこうしたさまざまな課題があり、それに対応するためにはそれ相応のコストが必要だ、経費が必要だということにはなったわけでございますが、そのうち、いわば免許人に全部利益が返るようなことについては一定の御負担をお願いする、これが利用料制度でございます。どういうものを御負担いただくのが適当であろうかということについてはこれまでさまざまな検討を重ねてきたわけでございますが、最終的に法律では、電波の適正な利用確保に関し郵政大臣無線局全体の受益を直接の目的として行う事務の処理に要する経費を御負担いただこう、こういうことに相なったわけでございます。  実はさまざまなこうした経費は出てまいるかと思うのでありますが、とりわけ当面この経費が急激にふえる部分、同時に受益負担との関係免許人にもよく御理解いただけるような、そういうものを当面利用料としてお願いを申し上げることが適当であろう、こういうことで、今回おっしゃるようにいろいろな御議論はあろうかと思うのでありますが、この二点に絞って受益者負担ということで御負担をお願いしようということに相なったわけでございます。
  25. 渡辺秀央

    ○渡辺(秀)国務大臣 中井委員のおっしゃるのは、新しい電波になぜ予算措置が講じられないかということが主体のようでした。これは結局、新しい電波、これからの電波はこれからの国民が共有していく、恩恵に浴することだ、今電波利用している人は今現在の電波の監理の中であるいは監視の中でやっていかないと利用がしにくい、その分は今の人たち、新しい方は一般会計でその分を見ていくということが妥当ではないか、至当ではないかというのが、正直言いまして昨年の暮れの予算折衝のときの話でした。  私は、新しい電波の資源の開発は膨大な資金がかかりますよ、郵政省予算、三百億をようやく突破した、しかしそれに匹敵する以上になりますよ、それは大蔵省、きちんと考えてこの制度のその分野における予算的措置を認めるということの認識ですな、そこをきちんとしておかないと将来の日本電波というものにおくれが出てくるということをきちんと話しまして、実は出発をさせていただき、一般会計の中で今後平成五年を目指してこれから努力をしていきたいと思いますので、ぜひ御指導をお願い申し上げたいと思います。
  26. 中井洽

    ○中井委員 監視のためにお金を出すわけでありますが、電波監視というのは大変難しくて、年間本当に数%も摘発できていないという話を聞いております。こういう監視のときには警察だとか公安調査庁だとかそういったところと当然協力体制をとっておやりになっているのですか、あるいは電気通信監理局だけでおやりになっておるのですか。
  27. 森本哲夫

    森本政府委員 二つございまして、一つは各種の情報を申告、そうしたもので、こういう申告があるぞということで私ども監視部隊が現地に出向きまして探査をして、それで最後は捜査機関の協力を得て逮捕とかいうようなことに相なるわけでございますが、同時にもう一つ道路を走っておるようなときの無線局が非常にふえておりまして、違法無線がふえておりますが、これは私どもだけの力で、道路に出ていって車をとめてというのは非常に困難でございますので、こういう街頭取り締まりの多くは捜査機関と共同して年に何回か行っておる、こういう事情でございます。
  28. 中井洽

    ○中井委員 この中で、例えば私ども持っております自動車電話なんかはNTTが一括してお払いになるのだと思うのですね。アマチュア無線の方々はどういう形でお払いになるのですか、毎年のこのお金。
  29. 森本哲夫

    森本政府委員 御案内のとおり、無線局の種別に応じまして利用料の金額が変わっております。各無線局あてに、免許人あてに毎年納入告知書、あなたの局は幾らの金額をお払いいただきたいということを通達をさせていただいて、受け取られた方はこれを金融機関等でお払いいただく、こういう仕組みでございますので、たくさんの免許を抱えておられる業界は一括してお払いになるでしょうし、個々の免許人は個々にお払いいただく、こういう形に相なろうかと考えております。
  30. 中井洽

    ○中井委員 個々に払われるアマチュア無線等の方々というのは、今で大体どのくらいなんですか。
  31. 森本哲夫

    森本政府委員 例えばアマチュア無線にいたしますと、大体百万人ぐらいが今アマチュア無線の資格、免許を取っておられると承知をいたしております。
  32. 中井洽

    ○中井委員 幾つかありますが、例えば、これは膨大な数であります、本当に徴収できるのか。そうでなくても、免許許可すらみんな逃げてしまって、不法なやつがいっぱいおるのに、今正直にやっている人が本当にこれをお払いいただくのだろうかと私の方が心配いたします。  同時に、百万以上の数の方々の代表の方がこういう電波政策懇談会の中にお入りになっていらっしゃらない、あるいは取り締まりのためにお金を使われるということで、答申の場合にはまた別のことでありましょうが、取り締まり当局、警察等の意見等がちっとも懇談会という中に入っていらっしゃらない。この懇談会の名簿を見たら、どかんと払うところはかり集めて文句ないようにしたというふうに裏をとろうと思えばとれるんじゃないかと私は思います。  私ども、実はこれは、自分でも自動車電話で六百円払えと言われたら、本当に今の自動車電話の形態からいくと、雑音は多い、すぐ切れる、これは絶対拒否します。そういう意味で、電波政策懇談会、つくっている人と大口で使っている人とそれだけがおやりになっていらっしゃる。例えば自動車電話だって一台六百円だ、人工衛星二万九千六百円だ、こんなものあるか。それはNTTがどかっと払うんだし利用者にはかからぬというけれども自動車電話一台に六百円だと言われたら、それじゃ人工衛呈すごいなと思ったら人工衛星はもう安い。そういったところがどうなんだろう。私は、この法案に賛成ですから構いませんが、そういったところを不審に思っております。お答えいただきます。
  33. 森本哲夫

    森本政府委員 こういう新しい制度を創設する以上たくさんの方々の意見を聞く必要がございますので、懇談会には確かにその名簿のように特定の関係者に限らざるを得ない側面がございますが、この過程で実は多くの免許人の方々の団体に意見をお伺いさせていただいたわけです。  例えば今のアマチュアを例にとりますと、日本アマチュア無線連盟という組織がございます。こういう方々にもいろいろ現実にアマチュアの将来が、どういうことの問題点を電波行政上期待をされているかとか、あるいはこうした制度の問題をどう考えるか、あるいは金額をどう考えるかというようなことについても御意見を伺いました。結果的には、新しい負担になるからもろ手を挙げて大賛成というわけにはいかぬにしたって、確かに電波行政を考えればやむを得ない負担であろう。それから、むしろこうした措置で不法無線を退治してもらうというのはアマチュアにとって大変ありがたい、アマチュアは大変迷惑をこうむっている、こんな御意見等もありまして、御理解を得ているわけでございます。  金額につきましては、この算定根拠ができるだけ公平でなければならぬということで、お示しのように、金額は内訳をきちっといたしまして、こうしたことについても、これまでも御説明をさせていただいておりますが、さらに、先ほど大臣が申し上げましたように、免許人等に十分御理解を得るように努力をしてまいりたいと思っております。
  34. 中井洽

    ○中井委員 それじゃこの三年間なら三年間で不法の人たちをどれぐらい摘発できる、これだけの予算をとられてどれぐらい摘発をされる、あるいは摘発できる体制をつくれるとお考えになっていますか。
  35. 森本哲夫

    森本政府委員 実はこの監視の方は、今一番欠けておりますのは固定監視施設でございます。これの整備が急務でないと、さっきも申し上げましたように、いろいろな情報を頼りに部隊が出かけていって、自動車を動かしながら探索をするというのは非常に限界のあるやり方でございますので、常時そうした情報が遠隔制御をしながら、どの方面から、どの範囲で、どんな無線が、違法が発生するかということがきちっと把握できますれば、これは現在の形よりは相当前進できると思っております。計数的に幾らかということはなかなか困難かと思いますが、正直言って、今野放しになっているような部分が相当把握できると思います。  ただし、この三年間でやれる限度はやはり限度がございまして、主として政令都市にこうした固定監視施設を設置させていただこう、次の二期目にはさらにその地域を地方の中枢都市にも拡大させていただこう、こういう計画で順次やってまいりたいと思っておるわけでございます。
  36. 中井洽

    ○中井委員 許可を、免許をお取りになってい各方は百万台ぐらいだ、違法は百五十万ぐらいだ、これではお金を払う方はたまったものではなかろうと思います。せっかくこういう形でお金をお取りになるのですから、効果あるように御努力をいただきたい。  同時に、百万件の方に御通知をしてお払い込みをいただく。事務の簡素化、合理化だといって、これの方がよっぽど複雑で手数がかかるのであります。例えば無線機を売ったときあるいはつくったときに十年分なら十年分もらっちゃうんだ、そういう発想も一遍お考えになられた方が、これ今から摘発をやらなければならないことはならないでしょうが、大変なことだと私は考えておりますので、申し添えます。  それから同時に、合理化という形で今は変わっているのかもしれませんが、実は私もかつて、二十年くらい前に三年ほど無線の許可を持ってある仕事を手伝ったことがございます。本当に細かくて、うるさくてしょうがないのです、無線の許可というのは。あるとき台を三十センチ移したのです。そうしたら調べに来られて、始末書とって、大変でございました、名古屋まで出て行って。毎日ロ報というのを書くのですね。みんなうそを書いています。一年分届けたって、一つの会社だけでこんな書類になる。そういう自分たちの本当に複雑にしてある細かい規則をほっといて、合理化のためにコンピューターを入れるから金だけ出しなさいというのはちょっと違う。手続だとか日々のチェックだとかいう面でもっともっと郵政省自体で合理化できる。利用者が、そんなに手数がかからない、これだったらお金出してよかったよ。お金出して何をやったか、郵政省がコンピューターを入れただけだ、あとの日々の届けから日常の手続というのは相変わらず細かくて難しくて意味がない、こんなのではちっともお金を取る価値がない、こんなふうに私は思いますが、いかがですか。
  37. 森本哲夫

    森本政府委員 先ほども申し上げましたが、今回こうした利用料制度の問題についていろいろ御意見をお伺いしましたときに、やはり規制緩和ということについての御要望が大変多うございました。私どもとしても、交通整理をするからにはそれなりのきちんとしたことが必要だということで、これまで大きな行政の枠組みでやってまいりましたが、御指摘のように、個々に子細に見ますと必ずしも現状にそぐわないという面もございます。ぜひひとつ規制緩和全般について前進させたいと思っております。  ただ、一つの悩みは、実はこれまでも規制緩和の精神でやってまいりまして、ある範囲の無線局免許は要らないというふうなことをやりましたのですが、厄介なことにその免許を要らない無線局を使った不法無線がまたはびこるという、それを改造してパワーを上げたり、予想しない事態というのも生じてまいりまして、非常に難しいことでございますが、できるだけその方向でひとつ対処してまいりたい。さっきの無線日誌の問題等もいろいろございましたので、現在、どの程度簡略化できるか検討いたしておりますのできる限り今日の情勢に合うように、電波行政について十分な御理解を得るということが大変大事だと思っておりますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
  38. 中井洽

    ○中井委員 もう一つお尋ねをいたします。  現在七百万局ぐらいの基地が二十一世紀に五千万局ぐらいになる、こういう形で懇談会が報告をなさり、それをもとにこういう利用料制度がつくられているわけであります。これは私どもは、本当にそんな二十一世紀に五千万局までいくのだろうかと一方では思うわけでありますし、これだけのスピードで進んでいますからもっといくのかもわかりません。しかし、まあ三年間利用料制度をやってみようということでありますが、三年先には大体どのくらいの局になるという御判断でこの制度を御提案なさっているのですか、それをちょっと具体的に個々に言ってくれますか。
  39. 森本哲夫

    森本政府委員 五千万というのは電波政策懇談会の推計でございます。現在七百三十万で年率一七%で今伸びているような状態でございまして、さらに私ども、この御負担をお願いする以上、この三年間についてはもう少し厳密に確定する必要があるだろうということで、この対象局数としましては、これは延べ数になるわけでございますが、平成年度に八百三十万局、それから平成年度には九百万局、平成年度には九百七十万局ということで、三年後の数は九百七十万局という数になるわけですが、三年間では総計二千七百万局ということに相なります。
  40. 中井洽

    ○中井委員 自動車とアマチュア無線だけでも三年後にどのぐらいになると予想しているのか教えてください。
  41. 森本哲夫

    森本政府委員 移動無線局ということで八百十九万局を、このうち移動する無線局総計としてとらえております。
  42. 中井洽

    ○中井委員 時間です。終わりますが、特に、郵政省業務の合理化、コンピューターを入札でかえって複雑になった、かえって事務量がふえた、そういったことにならないように発想を変えて合理化にお努めいただきますようお願いをして終わります。
  43. 谷垣禎一

    谷垣委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  44. 谷垣禎一

    谷垣委員長 本案について、日本共産党から討論の申し出がありましたが、先刻の理事会で協議の結果、御遠慮願うことになりましたので、さよう御了承願います。  電波法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  45. 谷垣禎一

    谷垣委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  46. 谷垣禎一

    谷垣委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、原田義昭君外三名から附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を聴取いたします。原田義昭君。
  47. 原田義昭

    原田(義)委員 ただいま議題となりました電波法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     電波法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の各項に留意して、その実施に努めるべきである。  一 電波利用料制度の導入によって、電波行政費が安易に免許者・利用者の受益者負担に転嫁されることなく、一般会計予算による電波行政予算の十分な確保を図り、高度情報社会を支える中核の一つである電波行政の充実に努めること。また、電波利用にかかる国の公平な負担に努めること。  一 電波利用料の徴収に当たっては、関係者への周知徹底を図り、電波利用料の徴収に万全を期するとともに、制度の定着を図ること。  一 電波利用料制度受益者負担の性格にかんがみ、その実施状況等を明らかにすること。また、電波利用料を財源とする施策とその他の施策の区分を明確にすること。  一 不法無線局が急増している実情にかんがみ、監視体制の強化を図るとともに、違法無線機器の法的規制を含め有効な対策を早急に検討すること。  一 電波監視施設整備に当たっては、地域的な公平の観点について配意すること。  一 無線局管理にかかるデータ・ベースの整備に当たっては、その指針を明らかにするとともに、推進体制を整備し、円滑な実施に努めること。  一 周波数資源の不足が一層深刻化する状況にかんがみ、新たな周波数資源の開発を行う等電波利用技術研究開発を一層推進すること。  一 免許者・利用者の要望等を踏まえ、新しい時代に即応した効率的な電波行政の在り方を検討すること。また、検討に当たっては特に国民各層の意見が十分反映されるよう各種委員会の委員の構成に配意すること。  一 電波利用料の実施後の見直しに当たっては、免許者等関係者の意見を十分聴取するとともに、適切な電波行政の推進によって安易な料金値上げとならないよう努めること。 以上のとおりであります。  この附帯決議案は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党の四派共同提案に係るものでありまして、案文は、当委員会における質疑の動向等を参酌して作成されたものでありますから、各項目についての説明は省かせていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げる次第であります。  以上であります。
  48. 谷垣禎一

    谷垣委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたしまう。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  49. 谷垣禎一

    谷垣委員長 起立多数。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、渡辺郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。渡辺郵政大臣
  50. 渡辺秀央

    ○渡辺(秀)国務大臣 ただいま電波法の一部を改正する法律案を御可決いただき、厚く御礼を申し上げます。  本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の郵政行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。     —————————————
  51. 谷垣禎一

    谷垣委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 谷垣禎一

    谷垣委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  53. 谷垣禎一

    谷垣委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後四時十八分散会