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1992-05-20 第123回国会 衆議院 逓信委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年五月二十日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 谷垣 禎一君    理事 川崎 二郎君 理事 佐田玄一郎君    理事 坂井 隆憲君 理事 原田 義昭君    理事 松浦  昭君 理事 上田 利正君    理事 大木 正吾君 理事 伏屋 修治君       赤城 徳彦君    大野 功統君       古賀 一成君    深谷 隆司君       真鍋 光広君    松岡 利勝君       森  英介君    上田  哲君       田中 昭一君    武部  文君       山下八洲夫君    吉岡 賢治君       鳥居 一雄君    菅野 悦子君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 渡辺 秀央君  出席政府委員         郵政政務次官  笹川  堯君         郵政大臣官房長 木下 昌浩君         郵政大臣官房審 金澤  薫君         議官         郵政大臣官房経 山口 憲美君         理部長         郵政省通信政策 白井  太君         局長         郵政省電気通信 森本 哲夫君         局長         郵政省放送行政 小野沢知之君         局長  委員外出席者         参  考  人         (日本放送協会 中村 好郎君         副会長・技師長         事務取扱)         参  考  人         (日本放送協会 堀井 良殷君         理事)         逓信委員会調査 辛島 一治君         室長     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  電波法の一部を改正する法律案内閣提出第六  四号)      ————◇—————
  2. 谷垣禎一

    谷垣委員長 これより会議を開きます。  電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上田利正君。
  3. 上田利正

    上田(利)委員 電波法の一部改正法案につきましてこれから質問をさせていただきたいと存じます。  御案内のように、電波法は今までは利用料金というようなものはございませんでしたけれども、今回利用料金を設定をするという形で法案が提示されてきております。今電波というのは空気や水と同じようになくてはならないものになってきておるわけでございまして、私ども日常生活には絶対に欠かせない、こういうのが現在の電波であり、それだけに貴重な有限な資源である、こう思うわけでございます。高度情報化時代に今日突入をいたしまして、電波利用範囲はあらゆる産業分野から、さらには個人の家庭にまで利用される、こういうふうに幅広く利用されておるわけでございます。現在の無線局の数は約七百三十万を超える、こう言われておりまして、郵政省資料によりましても二〇〇一年には実に五千万局近くになるだろう、こういうふうに言われておるわけでございます、  一方、そういう中で、御案内のように不法あるいは違法というような形の中での無線局も非常に多くなってきておる。技術の目覚ましい進歩によりまして高性能の無線設備をだれでもが安くそして容易に入手できる、こういうことから悪質な電波妨害が急増しておる。非常に嘆かわしい状況にあるわけでございますけれども、これを放置をしておくと私ども社会的な機能まで麻痺しかねない状況にまで発展するような危険性をはらんでおるわけでございます。したがって、電波利用における当面の最重要課題不法無線局をいかにしてなくしていくか、不法電波違法電波をどうして防止をしていくか、こういうのが最も重要な今日的な課題だろうと思うわけでございます。  そこで、郵政省お尋ねをいたしますが、最初に三つございますけれども不法無線局の現在の推定数はどのような状況になっておるのか。それからまた、年々不法無線局増加しておるようですが、その増加状況はどんなような状況になっているかというのが一つでございます。二つ目は、この不法無線局によるところの被害状況について明らかにしていただきたい。三つ目は、これらの不法無線に対して電波を監理している立場郵政省としてどのような措置をなされておるのか、その措置状況について三つ目に明らかにしていただきたい。以上三点を最初に明らかにしていただきたい、こう思います。
  4. 森本哲夫

    森本政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生お話しのように、大変電波が身近なものになってまいりまして、とりわけ昭和六十年の電気通信改革以降、自動車電話携帯電話等国民生活に非常に密接なものになってきましたし、とりわけ産業活動には無線利用が欠かせない状態になっておるのは本当に御指摘のとおりでございます。  ただ、こうした無線局がふえたらふえた分だけ、残念なことですが、今御指摘ございましたように不法無線の数がふえてまいっております。この不法無線といいますのは、本来は全部免許を受けて混信のないように交通整理に従って使用しなければならない無線局を勝手に何の免許も受けないでやる、しかも、使う機器についてはもちろん正規のものではございませんで、これを改造したり、あるいは出力をうんと持たしたりして正規電波を発射する無線局に多大の被害を与えておるわけであります。  今これについて、平成年度で私どもの各地方電気通信監理局というところでこの職に当たる人間が年間約三万八千局ばかりの不法無線局を確認をいたしております。これにつきましては、中身に応じまして取り締まり当局に対して告発をいたしております。あるいはまた、そこまで至らないものについては十分な行政指導をいたしまして、今後こうした不法な扱いをいたさないようにというような措置をいたしておるわけでありますが、この無線局の数は、例えば六十二年あたりでは一万三千局ぐらいが捕捉対象でございましたので、ここ数年で三倍近くになっておる、大変頭の痛い問題でございます。  ただ、私どもの限られた職員であるいは警察当局等と一緒に調査をいたしてつかまえた、捕捉をしたのが今の数字でございますが、私どもの今日の電波利用現状から見ますと、捕捉現実にできていないけれども全国にまだまだ多数存在するんじゃないか。これについてはいろいろな手法を用いて推定をいたしておりますが、例えば毎年トラック等の車両に設置された不法無線の設置の率などから推計をいたしますと、この率は毎年毎年ふえております。こうしたデータからしますと、 現在日本全国には百万を超える不法無線局存在するのではないかという推計をいたしておるわけであります。  二番目のお尋ねでございますが、こうした不法無線存在によりまして残念なことに放送とか警察消防とか非常に重要な無線通信妨害を受けております。最近の事例では、例えば平成四年の四月ですからまだごく最近のことでございますが、東京急行電鉄の鉄道事業用無線妨害を与えていたトラック運転手十人を警察が検挙いたしましたのですが、これはアマチュア無線用無線設備を改造いたしまして、大きな出力を伴ってこうした鉄道無線等妨害を与えておる。あるいは同じく平成四年の二月でございますが、横須賀市で救急用消防無線妨害を与えておりました無線販売業者、それから土建業者の方六人を検挙いたしました。いろいろな形での妨害を受けております。それから、妨害を受けたという申告も年々増加をいたしておるわけでございます。  私どもとして、こうした無線局のために現在十四カ所の固定監視施設というのがございますし、それから全国に約四十台の電波監視車というのがございますので、こうしたものを総動員いたしまして、ただ係官というのは御案内のとおり捜査権限はございませんので、できるだけ警察当局捜査機関等協力をお願いして共同取り締まり、あるいは申告に基づく捜査というようなことをいたしまして年間約三千五百局告発をし、さっきも申し上げましたが、検挙に至ったりするような形で対処をいたしておるわけであります。  ただ、最近の様子では、今もお話ございましたように大変技術革新が進んでまいりまして、巧妙に改造された無線機を移動する車に積んで動くものでございますから、なかなか現実にはつかまえがたいというような状態にございますので、私どもとしては、迂遠なようではございますけれども、今やっておりますことを幾つか申し上げますと、やはり電波を勝手に使うと本人が考えている以上に大きな損害を社会に与えているんだという意味で、広く国民啓発といいますか周知活動というか、これはまじめにこつこつやらなければならないということで啓発活動を強化したい。  それから、現に電波を発射する無線機存在が大きな問題になりますので、製造業者だとか販売業者に対しまして、こうした不法無線がはびこらないような措置をこういう販売団体あるいは製造団体に対してお願いをいたしております。それから、捜査機関協力を得て、できるだけ迅速な取り締まりを共同で実施させてもらう。  さまざまな努力活動をいたしまして、今後とも電波利用環境整備を一生懸命やってまいりたいと思っているところでございます。     〔委員長退席佐田委員長代理着席
  5. 上田利正

    上田(利)委員 今局長答弁で、不法無線が百万局くらいあるのではないか、あるいはそれを超えているかもしれない、告発できるのは三千から三千五百局程度と。御努力の中で三万から四万近い、言うなればこの不法無線の摘発、監視を行っておるわけでございますけれども、しかし、百万ということの中ではどうにもならない。  そこで、実は最近の新聞にもちょっと出ておりますけれども、この不法無線を一掃する、もちろんそのために今度の法案が出ておるわけでございますけれども、ただ、どうしても技術が進歩してきておりますから、法の網をくぐるような、不法無線に使用できるようなすばらしい機器製造される。そして、それが店頭で販売される。それを買ってきて改造する。あるいは規制されている周波数を超えて別の周波数帯を使って違法無線というものをやっておる。こういうことですから、そこの時点を、製造者に対しましても、これは技術が進んでおりますから、やはり改造することのできないようなことも研究してもらいながら製造する。それから販売者は、違法だと言われるような、秋葉原の安売り唐とかいろいろございますけれども、そういうものは絶対に販売しない。それは営業の自由権というのがございますから、これはもう大変な問題でございます。  今までも、行政指導というかそういうことではやっておっても、これはどうしたって徹底はできない。したがって、やはり法的対応実施する。これが言うならば世の中に出ていかない、犯罪を犯す前にそれを防止するという基本的な問題がございますけれども、それと同じようにそういう不法なものは売らない。そのことによって、不法無線をかなり抑え込んでいくことができるじゃないか、こう思うわけでございます。     〔佐田委員長代理退席坂井(隆)委員長     代理着席〕  昨年の、郵政大臣私的諮問機関でございます電波政策懇談会報告書の中にも、規制等について法的な措置を図ることが好ましいじゃないか、検討する余地があるではないか、こういうふうに触れられておるわけでございます。  したがって、製造販売時点法的対応実施するというふうな法改正をすべきではないか、こう思うわけでございますけれども、今回のこの法案の中には、残念ながらそういうものは盛られておらないということでございます。本来、やはりこの違法が起こる前にそういう機器販売ができないような法的措置をとるということで法案改正を入れるべきではないか、こう私自身思っておりましたけれども、残念ながら、先ほど申したようにこれに入っておりません。なぜ法案改正条項として今回これを入れなかったのか、この点についてお尋ねをしたい、こう思うわけでございます。     〔坂井(隆)委員長代理退席原田(義)委員長代理着席
  6. 森本哲夫

    森本政府委員 平成三年三月にちょうだいいたしましたこの電波政策懇談会報告では、先生指摘のように、不法無線局対策として電波法の基準に合わない不法無線設備製造それから販売、この段階法的規制を行うことが今日重要な社会的な問題になっている不法無線局対策の上で有効な方策の一つだ、こういう御提言をいただいたわけであります。  私どもとしても、確かに一番有効な方法でもございますし、諸外国でもこうした法制をとっている国もございますので、何とかこうしたことを導入できないかと実は真剣に検討いたしたわけでございます。  ただ、我が国法制で、一種社会的害毒を流すものとして幾つ製造販売規制いたしております法律がございます。例えば、例の麻薬でありますとか覚せい剤それから銃器とか、こういう人の生命、身体に直接害毒あるいは危険を与える非常に違法性の高いものは規制対象になっているわけでございます。今日の電波社会では、先ほど指摘ございましたような不法無線機も実質的には同じ性質のものと考えられるのでございます。しかし、今お話もございましたように、憲法二十二条の職業選択の自由というような問題もございます。確かに保護法益としてこういうものを直接規制対象にしてしまうことについて、いささかの問題点があるという法律的な見解での整理が十分つきかねておる段階でございます。  私どもとしては、確かにこうした、国民一種の罰則をもって強制をするということについて、やはりこれは最小限でなければならぬという御意見もごもっともでございますけれども、一方、非常に悪質化していることも事実でございますので、何とかこの辺の調和がとれないものか、さらに引き続き検討を重ねて、さらにまた他に有効な手だてがないかということも含めまして、今後慎重に検討を進めてまいりたい、こう思っているのが現状でございます。
  7. 上田利正

    上田(利)委員 局長から答弁をいただきました。気持ちは合うと思うのです。ただ、これが非常に法的には難しいと思うのでございます。  先ほどお話がありましたように、やはり不法無線によって警察が逮捕しようとしても警察の、例えば犯罪が起きた、あるいは犯罪が起きそうになっている、そういうものへ飛んでいこうとしてもそれが機能しないとか、あるいは火災だとか災害が出てきた場合に消防が出動しようとしてもそ れが機能しない、あるいは間違った形のところへ行く、こういうことになりますと、不法無線というものは、社会的に一歩間違うと犯罪にまで影響を及ぼしていく、こういうことですから、それだけにぜひ今後郵政省として、大臣中心にしながら、法のどういう形がいいのかひとつ御検討を願いたい、こう思うわけでございます。     〔原田(義)委員長代理退席松浦(昭)委員長代理着席〕  それから、三つ目でございますけれども、これから何点かにつきましてお聞きをしたいと思いますが、電波利用料問題でございます。  御案内のように、今回の法改正によりまして冒頭申しましたように電波有料化、こういう形で法案が提起をされております。それは、免許処理の業務などの電波監理システムにもこれは充当しなければならないし、同時に、今論議をしております不法無線局などに対する電波監理システムを強化充実しなければならぬ、こういう二つの目的を持ちながら今度のこの法案が出て、電波料を徴収する、こういう形で出ておるわけでございます。  その中で、一つは、郵政省が今回電波利用料制度導入するに際しまして、データベース構築とあわせまして電波監理体制整備中心としつつやるということですけれども、ただ、今までの説明の中で私ども聞いておりましたのは、諸外国先進諸国でもこれはやっている。アメリカはまだやっていないけれども、今検討中のようだけれどもということで、イギリスあるいはドイツフランス等先進国実施しておるよ、日本だけではないということも強調されてきました。  ただ、私が調べてみますると、イギリス免許料という形で、一九四九年ですから今から四十三年前にもうこれが免許料という形で導入されておる。うちは免許料、手数料というのがございますけれども、そういう電波料という形で利用者から取っておる。ドイツ電波料というような形で、一九二八年ですから非常に古いのです、これは。もう六十四年前からこれは電波料ということでそういう法律をつくってやっている。フランスを見ましたら、フランスイギリスと同じように免許料ということで、フランスはちょっと遅かったのですが一九五九年、それでも三十二年前に制度として発足をしておるわけでございます。  我が国がこの電波法というものを戦後制定をいたしました。それは昭和二十五年でございましたけれども日本電波法を決める前後の段階で、これらの先進諸国はこのような電波有料化というのを実施をしてきておるということでありまして、最近行ってきたわけじゃございませんでして、ちょっと電波の仕組みというものがヨーロッパ諸国日本と違ったという点もあるでしょうけれども、他の先進国もやっているからやっているからといっても、これはそういうことを盾にして今度有料化していくということにはちょっとならぬのじゃないか。特に世界一と言われる最大の無線局を持つアメリカがまだやっていない。大統領が一応教書の中でそういうものを出しながらということでアメリカでも対処しているようでございますけれども、これだけはアメリカに先んじて我が国有料化していく、こういうことになるわけでございまして、いいことかどうかわかりませんけれども、なぜそういう形で今回この有料化アメリカに先んじてやってきたのか、この点についてお尋ねをしておきたい、こう思います。
  8. 森本哲夫

    森本政府委員 先ほどから先生指摘のように、電波利用が私どもの日々の生活に大変深くかかわってまいっておりまして、今後を展望しますと、こうした状況はますます大きくなってまいるだろう。  しかし、こうした電波利用が円滑に行われるためには、それなりの社会的コストが発生するのはやむを得ないことでございます。その社会的コストといいますか、一種費用をどう負担していただこうかということで、私どもとしましては、効果を享受しておられるのは結局電波を利用しておられる免許人である、特に免許人というのは、その欲しい電波をだれでも無制限に勝手に享受できるのではなくて、やはり他の者の希望を排除して、免許をもらえばある意味で有限希少な電波をいわば独占的な立場で利用できる、そういう一種社会的な利益を得ている、そういう立場にあるということ。  それから、これまでの電波利用は、先生案内のとおり多く公共利用中心でございました。昭和二十五年に、これまで政府しか使えなかった電波というものを広く民間に活用しようということでそれ以来やってまいりましたが、やはり昭和六十年の電気通信改革で急激に民間利用中心が大変進んでいる。  こういう事情を考慮いたしますと、こうした社会的費用負担の公平という点からは、すべてを一般の国民の税金で負担するというのではなくて、免許人にも一定の負担をお願いするという制度が必要だろうということで御提案をさせていただいたのでございます。その参考には、ただいま先生がおっしゃいましたように各国事例は相当古くからなっておりますが、やはりこれは私どもと同じ発想で、いわばこういう考え方が世界の主要国には定着をしているということになろうかと思うのであります。  ただ、今お話もございましたアメリカについては、確かに現時点ではこうした制度導入されてないわけではございますが、昨年でございますが、この電波利用料FCC利用料という言い方になっておりますが、これの創設を内容とする予算法案議会で審議が行われまして、結果的には成立には至らなかったものの、この法案は下院を通過したというふうに承知をいたしております。したがいまして、昨年は成立しなかったのですが、本年二月に提出されました一九九三財政年度に関する大統領予算教書というものの中身を見ますと、本年度においてもFCC利用料導入計画というものが発表されておりまして、今後、私どもの今の情報では、これがいずれ近いうちに議会で審議される、こういう状況だと伺っております。アメリカでもやはり同じ考え方で現在いろいろ検討中だ、こういう状況だと承知をするわけでございます。  特に、隣の国でございます韓国でも、かねてからこうした問題についていろいろ検討を進めておって、私ども定期協議というようなこともやっておるわけでございますが、そうした中で承知をしている事態といたしまして、昨年に電波利用料関連法案というものが議会で成立いたしまして、来年の一月から具体的実施に入る段階だと承知をいたしておるわけでございます。  いずれにしましても、各国ともこの電波利用というのがその国その国の情報化社会構築に大変重要だということで、こういう制度導入を今急な形で進めておるということでございますので、我が国としてもぜひこういう制度が必要だと考えて法案提案をお願いいたしておるわけでございます。ぜひよろしく御理解賜りたいと存じております。
  9. 上田利正

    上田(利)委員 次に、時間の関係もございますからはしょって質問をさせていただきます。     〔松浦(昭)委員長代理退席委員長着席〕  電波料の徴収に当たりまして無線局区分が出ておりまして、郵政省、ここに資料がございますけれども、九区分ということで出されております。九区分にしながらこの電波利用料額算定方法という形で出ておりまして、それぞれ積算といいますか根拠があるわけでございますけれども、この算定根拠として、一つ電波監視体制整備二つ目先ほど申しましたような総合的な電波監理システム整備をやっていく、いわゆるデータベースをやろう、こういうことに必要な額となっておるわけでございますけれども電波監視体制不法無線などをなくしていくための監視体制はすべて共通経費というような形で、どこの無線局も均一という形になっております。これで申しますと、一無線局五百五円という形で出ております。そして二つ目の、データ量等に比例させた額で算定したということで個々の利用額が 出ておる、個別経費というものが出ておりますけれども、この中で見まして、なかなかこれは無線局別といっても態様はさまざまでございますから、大くくりにしなければならぬことは当然であります。個別になどとてもできないことはわかりますから、大くくりにすることはやらなければならぬということで承知をいたしております。  ただ、一局五百円というのが最低でございます。これはアマチュア局等というものが五百円。アマチュア局の場合でも、出力が五ワットあるいは百ワットというようなものもございます。パーソナル無線とかあるいは携帯電話、これはこの区分によりますと六百円ということになっているのですね、一無線局六百円。そういう点から見ますると、アマチュア局が五百円で、こういう携帯電話が六百円なんです、一無線局。やはりこれはそういう点から見るとちょっと矛盾じゃないか。百ワットの出力を持ったアマチュア無線が五百円というようなことになりますと問題じゃないか。  そしてもう一つは、これは余り適当じゃないと思うのでございますけれども調査の結果を見ましても、不法電波を出すというのはアマチュア関係が非常に多いわけでございます。周波数が指定をされているようなところはほとんど不法電波とかいうはうなものはありません。ですから、そういう面からしても、言うならば電波監視不法無線をなくしていこうということになれば、郵政省監理局調査したときに一番不法無線が出てきているところが安くて、そして周波数をやって不法電波を出していないところは高いという料率になっておる。これは問題じゃないか、こう思うわけでございます。しかも、電波共通経費として電波監視という形では一律五百五円でございますけれども、本当はこの違法無線を出しているようなところをもっと高くしなければならぬですけれども、全然電波障害とかそういうものをやっていないところまで共通経費は一律に出している。これはやむを得ないことでございますけれども、だから個別経費のところではもっと考えるべきではないか、こう思うのです。その点についてひとつお聞きをしたい、こう思うわけでございます。
  10. 森本哲夫

    森本政府委員 個々の無線局電波利用料の額と申しますものは、これは先生指摘もありましたところでございますが、電波監視に要する費用というものと、それから総合無線局管理ファイルという形で無線局を今後データベース化いたしまして、それですべての無線局の管理をやってまいろう、こういう構想でおるわけでございます。  最初監視関係は、すべての無線局に均等に負担していただくのが適正であろう。同時に、今無線局免許についてはデータ量に非常に差がございますので、これは均一にまいるとかえって不公平が生じますので、免許に関する事項の情報の量に応じて御負担を願おうということで考えておるわけでございます。  そこで、無線局ごとに総合無線局管理ファイルに記録する免許に関する事項といいますのは、工事設計書とかさまざまな書類で免許審査に必要となる事項とか、それから免許状の記載事項等に相当差がございます。そこで、無線局管理の必要性から、通信の態様ごとに、宇宙無線通信があるいはそれ以外が、あるいは移動無線か固定無線か、あるいは放送がそれ以外かとか、幾つかの無線局の性質に応じまして、着目をいたしまして、こういうデータ量の違いというのがございますものですから、これを利用料額の算定に当たりましていわば区分をいたした、その結果九つになったということでございます。  確かに委員指摘のように、いろいろ個別に見ますと、そうはいっても一くくりになっている中に情報量の大小があるではないかとか、アマチュア無線のところが不法の源泉になっているのではないかとが御指摘ございます。ただ、公平を期する余り余りにも細かく分類いたしますと非常に複雑な制度になってまいりまして、またその分けた段階でお互いの比較ということも出てまいりますので、どこかである程度、制度全体を簡明なものにするために、一種の割り切りということも必要かということで、いろいろ検討しました結果、九つということにいたせば、現実無線局を運用しておられる方々のこれまでの反応でも、ここは大変困るとか違和感が強いとかということは幸い特段際立った対応も出てまいりません。何とかこうした形で御理解を得られぬものかと考えておるわけでございます。確かに難しいことでございますが、区分する以上どこかでこういう問題は出てまいりますが、できるだけ実態に即して、しかもなお制度全体として簡明なものであるという趣旨に沿って分類をしたつもりでございますので、何とぞ御理解を賜りたいと思います。
  11. 上田利正

    上田(利)委員 局長一つだけ。  三年ごとに見直すかどうかという問題一つございますから問題提起だけしておきますけれども、現行の免許手数料あるいは検査手数料の算定基準というのが、空中線電力等の基準を設けてそれでやっておられるのですね。今度は、データの量とかそういうものは入っていないわけでございますが、電波政策懇談会の中をちょっと見ましたら、電波料については検査手数料や免許手数料などと同じように空中線電力等の基準などを参考にしながらというふうな、報告の中に盛られていたようなあれがあるのです。無線局区分でそういうふうに区分をしていったらどうかということもございます。これは郵政は郵政で今回の九区分にされておりますから今とやかくは申し上げませんけれども、ひとつ今後の検討課題にしていただければありがたい、こういうことだけ申し上げておきます。  それで時間がもう余りございませんから、いろいろと聞くことがたくさんございましたけれども、実は電波利用料は特定財源化されております。私自身あるいは私の党といたしましては、本会議でも申し上げておきましたように、やはり本来特別会計とすべきだ、こういうのが私ども考え方でございますけれども、それは今時間がございませんから論議しないといたしましても、電波利用であるからには、国であろうが、消防や水防用無線であろうが、自治体の防災無線であろうが、利用するからにはすべて公平、公正でなければならない。  言うならば電波を利用する人たちから受益者負担という形でいただくことになるわけでございますが、国だからこれはいいとか、これは重要だから、公共的なものだからいいとか、そういうものではないと思うのです。あまねく公正、公平に、利用する者が国であろうと何であろうと、それによって特定財源化して、そして電波監視不法無線の防止あるいは電波監理システムの確立、こういうことにこの財源を充てるわけでございますから、国だからいいということにはならぬと思うのでございますけれども大臣いらっしゃいませんから政務次官にお尋ねをしたいと思います。  今日、この資料で見ましても、国の無線局数は約十四万局、そして推定電波利用額は約四億円とされております。この電波法法律の第百四条では「国に適用しない。」としている。こういう法律になっておりますが、問題は、国が法律をつくって、それで電波を有料にしますよ、こういう段階でいただくことになりますよという、国がつくった法律で、国が約十四万局の無線局を持っているわけなんですね、国として。その国が一銭も払いませんよ、適用しないというんだな、この法律を。  この間もちょっとヒアリングの中で申し上げましたけれども、旧ソ連邦じゃございませんけれども、ソ連と同じようなまねをして、国は法律は決めるが出さぬぞなどという、そんなことは通らぬでしょう。国はまとめて大蔵省が、各省みんな無線局を持っております、まとめて四億円ですよ、それをやはり特定財源へ出すというのは当然じゃないですか、これは。それを法律百四条では国にはこれは適用しない、この法律は国には百四条で適用しないということですから、やはりそういう形にすべきではないか。  それから、消防や水防用無線についてはさまざ ま論議されまして、これは全額免除ということになりました、法案の中にもございますが。調べますと、無線局数が消防、水防合わせまして約八万局でございます。これのこの算定基準によります電波料を計算しますと、年間一億七千万円、こういうことになる。  それから、自治体の関係の防災無線関係については二分の一という法律案になっておりますけれども、やはり防災無線の関係は八万局ございます。そして、利用料金は算定しますと約四億円、しかしそれが二分の一だから二億円、こういうことになるわけでございますが、これにつきましては、国もそうですけれども消防についても原則として必要であれば地方財源で一億七千万円全国から出せばいいのです。それから、自治体は自治体で、たかがと言ってはいけませんけれども一国と同じ四億円でございます。四十七都道府県全部含めて、あらゆる市町村まで含めて四億円、そのくらいの財源は出して、そして特定財源の中に入れていく。こういうことでなければ、例えばNTTが十億とか十一億ということになります。NHKは三億というようなことになります。民放連も三億、こういうふうになります。それをいわゆる電話料金とか、あるいはNHKの場合だったら受信料に転嫁すれば、一円ぐらいはつけなければならぬということになるわけです。NTTは総予算の中で〇・〇四ぐらいということです。  だけれども、これは本来はそこへ持っていかなければならぬのですが、そうでなくて、会社がそれは出そう、会社の経営の努力の中でやろう。国だって財源がないといったって、財源を会社が節約して一生懸命努力してやると同じように、あるいはNHKが受信料を上げないでやると同じように、政府は予算を節約しても四億円ぐらいのものは特定財源として出していく。自治体もしかりでございます。そうでなければ、権力のある者は出さないで、権力のない一番下の方が出す、これじゃソ連と同じじゃないか、こう言っているんです。だから、それについて政務次官の御見解を賜りたいと思います。
  12. 笹川堯

    ○笹川政府委員 先生から大変厳しく言われたわけでありますが、きょうは大臣の代理で、個人的な意見を申し上げる機会でございませんので、おしかりをいただくかもわかりませんが。  国が他人のために行う公の役務に対し、その費用を償う等のため各種の手数料が徴収されております。これらは国から徴収しないのが一般的といいますか、今までの慣例といいますか通例といいますか、そういうふうになっておりますので、これだけ云々ということも大変難しいんではないかと思います。また、現行の電波法関係手数料につきましても国を適用除外といたしております。電波利用料についてもこれらの例に倣い同様の取り扱いをさせていただきたい、こういうふうに考えております。  なお、国は今後とも歳出面で所要の電波行政経費を見ることになっておりますし、また費用負担の公平に反することにはならないと考えておりますので、ぜひひとつ御理解をいただきたいと思うのです。  また、今先生が言われたように、消防は一億七千万円じゃないか、また防災につきましては四億でありますが、二分の一だから二億円で済むじゃないか、だからもらうべきものはもらって、払うべきものは払ったらいいじゃないか、確かにおっしゃるように大変明快な御質問でございます。  私も個人的にはそういうふうに昔考えておったこともございますが、現実に国の政務次官としていろいろとレクチャーを受けますと、残念ながらなかなか今までの通例を飛び越して、あるいは今度の法律に限ってこうしろということも大変無理でございますので、ひとつ今回だけは御理解賜りまして、なお一層国も行政改革の中で経費の節減は当然していかなければなりませんし、また予算も当然お金でございますので、出したり入れたりする都度にある程度のロスも私はあるのではないかなというふうに考えておりますので、先生指摘のように、会社が一生懸命努力をしているんだから国も当然じゃないか、おっしゃるとおりでありますので、なお一層努力をしてまいりますので、御理解を賜りたいと思います。
  13. 上田利正

    上田(利)委員 政務次官から御答弁いただきました。本当に政務次官、すばらしい政務次官で私も期待しておりますが、今後やはりこれは見直しの際に私言ったようなこともひとつ政府としても検討願いたい。  というのは、やはり国がつくった法律で、国民の皆さん、電波は有限ですよ、そしてそのために妨害電波とかいろいろな不法電波があってはいけません、そのためにお金を出してもらうのです、利用する人たちが一人一人が金を出して、その浄財でこの社会不安をなくし、そして不法電波をなくして国民生活に寄与できるようにするんだ、こういうことですから、これは国であろうと何であろうとやはりやるという基本でないと、人に押しつけて法律をつくって、おれたちはやらぬなどという、つくった人が出さないで、つくらぬ人が出すなどということは、どんなへ理屈を言っても、今までの法体系がどうだと言ったって、人間が、国会がつくった法律だから、猿や何かがつくったのじゃないんだから、日本国会の中でやったんだから、変えれば幾らでもできることですから、ぜひそれをやらないと、例えばこれは余り言いたくないですけれども、難視解消で、NHKもいわゆる国の税金と同じように、言うなれば受信料でもって職員も賃金をもらっているし、みんなやっている。それで番組もつくり放映して見ていただいておる。こういう中で難視聴解消ということで今いろいろと、我々が出した、拠出した受信料でもって、そしてそれはお互いに、見えぬところ、山の中はそれで金がかかってもいい、我々の受信料を上げでもいいから拠出した金でやろうといって、サテライト局や何かが一万八千もあるんですね。こういうところも一局としてこれは今度は電波料を拠出しなければならぬですから、何でそういうところへみんなで出し合った金のやつでまた電波料を取られるんだ、それじゃあんなところは、難視解消などというものはやらないでいれば、あんなものは難視解消をまた解消してもらえば、それだけ電波料を払わないで済むじゃないか、こうなってしまうから、消防も重要、何も重要、国も大切、みんな大切なんです。  あるいは、船舶無線の関係では、遭難自動通報をやらなければならぬ法律になっているわけだ。いわゆるSOSであるとか、ブイですね、これはやらなければならぬ法律ですから、これだって一局としてこれは電波料を払わなければならぬということになる。決めればそれは何ぼでも出てしまうのですよ。二分の一でなくて五分の一にしろとか十分の一、おれのところはいいよ、百分の一でもまけろ、こうなれば始末ができないんだから、やはりこれは一律に、均一に、決めたら国であろうと何であろうと出していただく、こういうことが重要であろうと思いますから、今後政務次官を中心にしてひとつそれら次の段階の中では対応していただければありがたい、こう期待を申し上げておきます。  もう時間がなくなりましたから、言うだけ申します。もう答弁は要りません。  この法律案が成立いたしますと、来年の四月一日からということで大体いく。三年をめどにしながらスタートを切っていこう、データベースやなんかも整えよう。今、言うならば免許申請をして免許を与えていると百三十万ぐらいのあれがいわゆる紙ファイルで台帳ということで出ているわけですね。これを全部打ち込んでいかなければならぬことになるわけです。これも大変なことだと思うのです。しかも九つに分けてやらなければならぬでしょう。区分をして打ち込んでいかなければならぬ。今のファイルになっているものを打ち込まなければならぬわけです。だから、今の職員にやらせるといったってとてもできません。今の免許だけだって、手続をやるだけだってもうとてもどうにもならないという状況にあるわけですから、その要員の問題とか、これから準備していくには大変なことだと思うのです。  ですから、この法案が通った後の言うならフォローといいますかその準備、これは当該の職員組合とも十分話し合いをして、どういう形でやるか。これが実施され、はがきを出したりいろいろすると、おれはそんなものは、免許はとっくにもらったけれども、いや、やってはいないよ、何を言うか、五百円も出すわけないじゃないかとか、今度は払わぬから請求をすれば、今度は電話がかかってきて、何で金を取るんだ、こういうふうな苦情その他も出ると地方監理局がどうしたって混乱してしまうわけです。ですから、そういう点は労使の間で十分話し合って決めていく。それで、大都市だけということで一応スタートを切ろうということですけれども、沖縄を入れれば十一の監理局があるわけでございますから、できればその十一の監理局でその対応ができるようなことも今後御検討いただきたい。  最後になりますけれども先ほどもちょっと触れましたが、やはりこれは国民の理解を得なければなりません。利用者の理解を得ないと、いよいよ実施しても大混乱になってくる可能性がありますから、十分周知徹底が図れるような、法案が通ってしまったからいいぞじゃなくて、通った後がこれは大変であると思うのです。そして、実施するまでの間に、本当にそうだな、おれたちが金を出してそれでこういう形にしようということになるような指導体制を郵政省としてあるいは電気通信局として強めるように最後に要望して、ちょっと時間が超過しましたけれども、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  14. 谷垣禎一

    谷垣委員長 次に、吉岡賢治君。
  15. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 電波法の一部を改正する法律案についてお聞きをしなければなりません。  我が国電波利用の基本法である電波法昭和二十五年に制定をされ、はや四十年経る、こういうことになるわけですが、電波利用は急速な発展を遂げているところです。近年、急速な技術革新によって新しいシステムが次々と実用化されたことに伴い、産業分野のみならず地域社会あるいはパーソナル分野に至るまで飛躍的に拡大をしています。平成二年末には無線局数が五年前の二倍になる六百二十五万局、このようになるわけで、今後も電波利用は一層拡大し多様化していくということが予想されています。  それだけに、電波を簡素な手続で必要に応じて効果的に利用できるように、電波行政の改善、改革は必要不可欠であります。そのための財源確保を、受益者負担の観点から電波利用料制度、こういうことが今回導入されようといたしております。電波法の一部を改正する法律案ということで出されていますけれども、今日までの電波利用の概念を根底から変えるものであるだけに、幾つかの疑問点があります。以下質問をさせていただきたいと思います。  まず、具体的な問題に入ります前に電波利用の観点と動向についてでありますけれども周波数帯別に電波の特性と利用状況についてお聞きしたいと思うのです。電波資源は限られております。有効な利用が求められるのは当然であるところであります。  そこで、VHFは七十六メガヘルツあるいは三百メガヘルツ、UHFは三百メガヘルツ—一千メガヘルツ、こういう中で、テレビや移動体、災害あるいは警察、それからパーソナル等で利用密度が非常に高いというように皆さんの方から伺っているわけであります。それ以外に未利用もしくは利用密度の低い帯域はないのか。あるいは、準マイクロ波帯というのは入れかえたところでありますから低いと思うけれども、どうだろうか。その辺についてまず実情を明らかにしていただきたい、このように思います。
  16. 森本哲夫

    森本政府委員 今、無線については全般に伸びておるわけでございますが、とりわけ著しいのは自動車電話の部分でございまして、例えばこの一年でこうした自動車電話が約六三%の伸びをしているというわけでございます。ただ、今先生指摘のように、自動車電話に限らずあらゆるところの分野が非常にふえております。  今御質問ございました周波数帯ごとの利用状況ということで申しますと、電波というのは、周波数帯といいますか、要するに一秒間に何ぼ振幅するかということでいろいろな分類をいたしておりますが、例えば中波帯と申しますのは、これは地表、地面に沿って伝搬してまいりまして、低い山がありましても山を回り込んで伝わってまいるという性質でございますので、御案内のとおりラジオ放送とかあるいは中距離の船の通信などに使っておるわけでございます。  それに比べて短波帯というのは、どんどん地球から遠く離れてまいりまして電離層に当たってはね返るということがございますので、したがってその性質を利用しますと、日本から発信したのが地球の裏側まで電離層にはね返りはね返りしながら伝わるということで、御案内のとおりこれは国際通信にも使っておりますし、あるいは日本から在外邦人に向けての、あるいは日本状況を全世界の方に知っていただこうという国際放送などの波にはこの波が使われておるということでございます。  それから今御引用もございましたVHF帯というのは、遠距離には適さないわけでございますが、送信機とか受信機あるいはアンテナとかというのは比較的小型にできる可能性がございますので、今各家庭にありますテレビの受信機あるいは自動車電話等の移動通信にこのVHF帯は使っておるわけでございます。この辺が今非常に逼迫をしておるということでございます。  それから、さらに高い領域になりますが三ギガから三十ギガというマイクロ波帯、これは光のようにどんどん直進してまいるわけでございます、途中で障害物があったらだめでございますが。そういう性質を使いまして、この領域は非常に情報量の多い伝送が可能でございますので、固定通信あるいは衛星通信、レーダー、こんなふうな形で使われておるわけで、いずれにしましても各周波数の持っている特性をできるだけ生かしつつ、新しいニーズに対応できるように一生懸命取り組んでおるというのが現状でございます。
  17. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 今お話がございましたように、おっしゃるとおりでございますけれども、我々は今限られた地球、その中における電波資源というものをどうするのか、こういう大きな課題に取りかかっているというように考えるときに、この電波を非常に有効に使い、そしてまた使うための開発というものを進めていかなければならない、このように思っておりますのであえて質問をさせていただきますけれども、今非常に技術的にも難しいけれども、多量な情報の授受が可能だという、いわゆるEHF、ミリ波ですね、三十ギガ以上、これについて開発なりあるいは今試験なりということで利用されている部分がありましたら、現状をお知らせいただきたい、こう思います。
  18. 森本哲夫

    森本政府委員 今御指摘ありましたミリ波帯というのは、先ほどのマイクロ通信なんかに使っておりますマイクロ波帯よりはさらに波長の短い周波数帯でございます。波長の単位が一センチ以下ということでミリ波、こう称しておりますが、ここの領域というのは三十ギガから三百ギガヘルツということになりますので、今使っております。波数の九倍の幅のある大変広い未開拓領域でございます。  もしこういうことが可能になりますと、大変いろいろな利点が出てまいるという期待をいたしております。具体的には、画像とかデータとか、非常に波長が短いものですから、相当大量の、情報量が豊富なことにも対応できるシステムでございます。しかも比較的近距離でも使えるわけでございますので、IDカードあたりをこうした形で使いますことも可能になろうか。それから、今放送局で使っておりますカメラはみんなひもつきでございますがカメラ、ひもの長いのを引っ張って回さなくても、撮った画像をすぐ近くのところの受像機の方へワイヤレスで送達ができる。あるいは自動車のレーダー、自動車の前後につけて衝突防止ということで、ある物に接近しますと警報を鳴らせる。こんな形で非常に有用なことが期待され るということで、現在、通信総合研究所という私どもの研究所がございますが、そこで研究開発を今一生懸命推進をしておりますと同時に、調査研究会ということで広く民間の知恵もいただこうという研究会もいたしております。  それから、こうしたものを実用化する際には標準化が必要でございますので、こうした面での検討という形で電気通信技術議会においても開発方策を今検討をいただいております。もう既にこの関係では、「ミリ波に関する技術的諸問題」ということで、この電気通信技術議会の答申もいただいておりまして、もしこのミリ波帯がうまく利用できますれば、二〇一〇年といいますから、まだ十数年先でございますが、この需要は約一兆円程度が見込まれるのではないかという御指摘もいただいております。  ただ、何せ技術開発をまだ非常にたくさん要する部門がございまして、資金面でもリスクを伴うという問題もございますので、まだ全体には今の状況にとどまっておるわけでございますが、ぜひひとつ本年度あたりを起点にいたしまして、このミリ波の利用技術の拡充ということを進めてまいりたいと思います。  具体的には、平成年度のミリ波の予算を通信総合研究所は約三千万円確保いたしておりますし、それから基盤技術研究促進センターという法人で出資、融資という制度がございますので、このミリ波関係に対して、現在四十七億円の出融資をいたしまして、今民間の研究開発の支援を図っている、こういう状態でございます。ぜひひとつ御支援を賜りたい領域だと考えておるわけであります。
  19. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 電波利用の特性というものは、柔軟性があるだとかあるいは同報性さらには広域性、いわばいつでもどこでもだれでもが移動体通信等で可能だ、あるいは衛星等は広い地域をカバーするということになるわけであります。それと同時に、経済性と迅速性、こういうことの中で大容量の長距離ネットワークというものができ得る。例えばマイクロウエーブなんかを利用したシステムというのはそれに当たるだろうというように思うわけです。また、災害時等では地上の有線よりも非常に信頼度が高い、こういうことも有利な方向としてあるわけであります。  非常に重要なものであるだけに、今日まで郵政省としてこの電波利用について非常に関心を持ちながら、また重要なことだということで運用を図りてこられたというふうに思いますけれども、ひとつ現状と今後の動向について簡単にお答えいただきたいと思います。
  20. 森本哲夫

    森本政府委員 有線の光ケーブルみたいなものは非常にたくさんの情報量を高速で送れるというメリットがございますが、今先生指摘のように、この電波の方は、また有線系とは違った大きな特色がございます。私どもこれを整理いたしまして幾つかに、電波の持っている特性という形で四つばかり挙げることができると思うのであります。  やはり簡便性というか柔軟性といいますか、そういう点が一つだろうと思います。これはケーブルを引っ張るというのは、地下の工事をやって相当の土木作業というものを前提にして相当期間が長期にわならないと二地点間の通信が可能にならないわけでございますが、こういう無線で、あるいは電波を使いますと、送受信のアンテナを二地点に、両方に設置するだけで通信が可能になるわけでございますので、そういう意味で柔軟性、簡便性というのが大きな特徴だ。  それからもう一つ、広域性・同報性ということが挙げられると思うのであります。電波でございますから、うまくその性質を使えば、瞬時にして全国どこへでもあまねくいろいろな方に使えるという形で、今御指摘がございましたが、通信衛星とか放送などにこれは当然のことながら大変大きな強みでございます。最近は大勢の職員を雇います企業なんかで、工場とか本社とか支店とか、同時に社長がいきなりみんなに、職員に呼びかけることができる、こういう同報性で通信衛星なんかはどんどん今浸透いたしておりますし、それからいろいろな営業活動でモデルというか対話みたいな形を、そのやりとりを全国の職員に周知ができるというような、教育訓練にも大変活用されておるわけであります。  それから同時に、経済性という面でこれもまた大きな特長があるわけであります。マイクロ等を使いますと、これはNTTなんかもそうでございますが、テレビの伝送など、全国のネットワークを張りめぐらせて大容量の長距離回線の構築も行われておるわけでございます。  もう一つ、最後に、電波の特性として信頼性といいますか耐災害性といいますか、線を引っ張っておるところは何かのときに切れたり水に遭ったりしますと、そこの間は不通になるわけでございますが、信頼性という点で、日本のような国土の災害の多いところではどうしても欠かせない、そういう重要な特性があろうかと思います。  御指摘のように、こうした特性を十分生かしつつ、そして光ケーブルに代表される超高速、大容量のネットワークとをうまくかみ合わせていくことが今後の情報社会にぜひ必要なシステムだろうと考えているわけであります。
  21. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 今お聞きしましたように、電波周波数帯における利用の動向、あるいは社会に即応するような形での電波の特性を利用する、こういうことが非常に重要であり、また今後大きな課題になってきているわけであります。二十一世紀に向けて無線局数が五千万局にも達するというふうに言われております。それだけに電波行政の重要さはますます増してくるというように思います。  そこで、大臣にお聞きしたいと思います。  電波行政の基本的な考え方、そして今後の課題というものについてお示しをいただきたい、このように思います。
  22. 渡辺秀央

    ○渡辺(秀)国務大臣 今までも御議論があったところでございますが、電波行政というものが今までの私たちの電気通信分野において想像もできない範疇に入ってきている、しかもまたこれが二十一世紀に向けた高度情報社会というものの基盤的かつ不可欠の条件になっていると思うのです。そういう意味で、これからの電波行政の課題と吉岡先生おっしゃいましたが、今森本局長答弁いたしましたように、まさに光ファイバーに代表されるような有線系の通信システム、そして無線通信システム、こういう二つの体系の中でこれから我が国情報化の進展を支えていかなければならないというふうに認識をいたしております。  そういう現状の中で、今までもお話があったとは思いますが、ここでいわゆる利用者電波を使っているあるいは使用しているがために恩恵に浴している人たちが、言うならば電波を利用していないというか、疎外感にあるとは言いませんが、直接関連のない人たちの負担によってこれが賄われることは果たして社会の公正の原則からしていかがなものかという意味合いもありまして、電波利用料制度ということ、もちろん先ほどるる局長から話があったと思うのですが、不法電波の侵入阻止あるいはまた新しい電波の開発、創造というような、そういういろいろな監理システム、監視システム、こういういろいろな問題点があることでもございますが、しかし、もう一つはやはりそういう公平感を私たちは忘れてはならないのではないかという意味で、最低限の電波利用料を確保させていただいて、二十一世紀に向けた電波行政に対する遺漏のない体制づくりをいたしてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。  公共利用中心から、電波というのが、今までともするとそういったものになっておりますが、一般的業務用無線や無線LANのようにあらゆる産業分野での利用あるいはまた個人の利用、そういった利用範囲が拡大されてきている、あるいは自動車電話どもそのように御案内のとおりでございます。  こういった電波利用のニーズの拡大に対応して周波数資源の開発、先ほど申し上げた研究開発やら、そしてもう一度申し上げますが、基盤の整 備、環境の整備、急増する電波利用に対応できるだけの行政システムの構築、そして私たちは、円滑な電波利用の機会を国民がひとしく得ることができるような条件、環境をつくって、二十一世紀の電波行政の今後の推進にひとつしっかりした足取りで第一歩を踏み出したい、それが今回の電波利用料制度の新たな創設の、あくまでこれが第一歩であるというふうに思いますので、御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  23. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 次に、いわゆる円滑な電波利用の実現のためにということでお聞きをしたいと思うのです。  先ほど申し上げましたように電波は有限である、その資源の活用というものは非常に大切だと考えるわけです。今大臣郵政省の方針をお示しいただきましたけれども、資源開発の方針についてどうなのか。それから、周波数の移行を今後考えていかなければどうしようもないという現実が生まれるわけでありますから、その方針について、簡潔にお願いをしたいと思います。
  24. 渡辺秀央

    ○渡辺(秀)国務大臣 もう全く先生のおっしゃるとおりです。周波数の資源の開発、そして固定回線に使用している一部周波数を急増する移動体通信用に振りかえていく周波数の移行、再配分を、こういった一つの財政的基盤を背景にして、これからしっかりと確実に積極的に推進をいたしてまいりたいと思っております。
  25. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 そこで、今、開発をしあるいは周波数移行をさせていくことに積極的に取り組みたいというお答えをいただいたわけでありますが、しかし、これはなかなかのことでございまして、それ相応の研究というものを進めていかなければならない、このように考えるわけでございます。  そこで、研究開発については郵政省の通信総合研究所、ここで進められるというように先ほど局長の方からもお話があったところでありますが、それで十分なのかどうか。例えばそこに投資される研究費あるいは研究員の数等を含めて十分なのか、こういうことについては疑問を持たざるを得ないと思っているところでございますけれども、例えば民間のNTTあるいはNHKさらにはKDD等にも研究所がある。そういうところに国の方向として、今申し上げる研究開発について、いわば研究を委託する、こういうことは考えておられるのかどうか。今申し上げたようなところは現実放送であるとか情報通信であるとかといういわば事業の現場にいるわけで、非常に有効な研究結果が得られるというふうに考える部分もあるのですが、いかがでしょうか。
  26. 森本哲夫

    森本政府委員 御指摘ございますように、私ども郵政省通信総合研究所、通総研と略称しておりますが、通総研での研究の問題、それから御指摘のようにNTT、KDD、NHK、通信関係にもたくさんの技術者がいて、やはりそれぞれ電波の研究を一生懸命やっていただいて大きな役割をそれぞれ分担しておると思うのであります。  ただ、この際私どもとして、今大臣からも申し上げました、先生からも御指摘のある話の周波数資源の開発、それから周波数帯の移行、再配分の問題につきまして、具体的には、今方向としては、さっき申し上げましたミリ波帯みたいに今まで使えなかった周波数を開拓するという仕事が一つ。それから、今まで使っているのではございますけれども、もっと効率よく、同じ周波数を倍にも三倍にも使うということになりますと、実質的には新たな周波数資源を生み出されたと同等でございますので、そういう有効利用技術。それから、今一生懸命新しい領域として取り組んでおりますが、インテリジェント技術。これは今までの有効利用とはちょっと発想を異にいたしまして、例えば自動車電話等では幾つかの基地局を持って、その傘下に入ってきた、エリアに入ってきた自動車がその基地局と連携をとりながら次の基地局に移っていくというようなシステムで、幾つかエリアをこしらえて基地局をやっておりますが、これは今固定になっております。それを例えば自動車の量に応じて周波数を自動的に検知いたしまして再配分してしまう、そうすれば、この霞が関かいわいあるいは永田町かいわいは昼間は忙しいけれども夜は閑散になってしまうから、その波を銀座の方で使うとか、そういうインテリジェント技術とか、技術といいましてもいろいろな分野にわたるわけでございますので、そういう意味で今御指摘のございました通総研では、いわば民間ではすぐ手が出せないような非常にリスクのある長期的な基礎的な分野、こういう研究を今主眼にいたしておるわけです。  今申しましたナロー化とか狭く使うとか、そういう技術については、これはメーカーとかを含めまして比較的民間ではアプローチしやすい分野でございますので、こうした意味でそれぞれいわば分担を、比較的実用化に近い部分は民間にお願いし、そういかない部分は基礎研究の部分で受け持つ。もちろん、この間の連携が必要でございますので、私どもとして、行政としてはこうした形での連携をうまくとっていくことが大変大事だろうと思っております。ただ、研究所同士の委託ということは現実にはなかなか難しいようでございますが、今後いろいろな方策でできるだけ日本周波数資源がトータルとしてうまく生み出せますように、なお一層の連係動作については私ども行政としても視野を広げて対処してまいりたいと考えておるところでございます。
  27. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 いわば電波利用基盤、これを強化していかなければならないという観点からいえば、例えば官の方でやるやるというふうに言ったとしても限界もあるということを考えると、民間の活用というのは十分考えなければならぬ、私はそういうように思っているわけで、あえて言わしていただいているわけであります。  電気通信事業というのは民営化されました。情報通信の社会資本の整備というのは、いわば国の措置、こういうことでは電気通信事業者に対して特段の何の助成措置もないわけですね。ほかのところはかなりありますよ。例えば、皆さん方からいただいた資料を見ましても、一般会計の補助で日本道路公団だとかあるいは鉄建公団には事業助成費、租税特別措置として電気事業者には使用核燃料再処理の税金の減免措置あるいは原発工事の償却に対しても、あるいは渇水期の基金としてでも、さらには私鉄事業者にもある。そして、株の売却益、これは航空事業者に対してでありますが、関西国際空港の整備ということで産投の関係である。しかし、電気通信事業者には一向にないのですね。NTTの例をとりますと、大蔵省は十兆円も株を売って、極端に言ったら郵政省管轄の電気通信事業にいわば微々たることしか投資をしないというようなことになっているわけでございます。  私はなぜこんなことをあえて言わしていただくかといいますと、電波行政を進めていく、そしてそれを本当に開かれたあるいはだれでもどこでも使えるようにという社会にしていく場合、かなりの大きい投資が必要だ、このように思っているわけでありまして、そうなりますと、今の状況の中では随分問題だ。先ほどから利用料の問題が出ておりますから、それは後で聞くとして、それ以前の問題として、どういう基盤整備を図っていかれるのかということについて非常に私は財政的な面で今疑問に思っておりますので、その点についてどのように郵政省として大蔵省との折衝なりそういうものを続けていこうとされておるのか、聞いておきたいと思うのです。
  28. 白井太

    ○白井(太)政府委員 多少話が前後いたしますけれども、私ども情報通信基盤の整備が必要だということをいろいろなところで申し上げたり訴えたりしておるわけでありますが、いわゆる社会資本としての情報通信基盤の整備という問題は、これからますます世の中の情報化というのが進むと言われている今日においては、国民生活全般にわたりましてそうした基盤の整備をしていくということが大変重要だと考えております。  これも、ただいま吉岡先生おっしゃいましたように、電気通信事業につきましては、市場原理のもとで電気通信事業を営むということで制度昭和六十年に大幅に変わりましたので、基本的に は、電気通信に用います各般の設備等の設置は、個々の企業活動の一環としてそれぞれの事業を行う方が設備の整備を進めるということが原則であることは当然でございます。  ただ、市場原理にゆだねられますだけに、経済的に非常に成り立ちにくいような地域の施設の整備ということになりますと、そのままにしておいたのでは事業をやっておられる方がそちらの方の施設の設置がなかなかしにくいというような状況も出てくるわけでありまして、私どもとしては、簡単に申し上げますと、そうした山間地域等で非常に事業の採算に乗りにくいようなところにつきましては、むしろ情報通信の基盤の整備を事業者任せにせずに、国でありますとかあるいは地方公共団体がむしろ積極的に自分の仕事としてその整備を進めていくということがこれからの世の中にとっては大事なことではないのかということで、先生のお立場からいたしますと、大変細々とした状態だとは思いますけれども平成年度から格差是正事業というのも始めさせていただいておるわけであります。  ただ、現在のそうした予算規模とかあるいは事業規模というので十分だとは私ども決して思っているわけではございませんで、そうした国なり地方公共団体による施設の整備ということは、まさに平成年度に初めて緒についたばかりでございますので、私どもとしては、これからの世の中の推移というのも十分考えながら、方向としてはそうしたものについて国としての責任も十分あるという考えのもとに整備に大いに力を入れていきたいというふうに考えておるところでございます。
  29. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 情報通信や放送というものは、地域社会のいわば経済的な社会的な発展に欠かせない、特に地方における地域振興あるいは情報格差の是正というものに電波が果たす役割というものは非常に大きい、このように思っておるところでございます。今自動車電話等は全国土の三〇%にすぎず、過疎地域は全然まだ未整備だというような状況ですし、民放の難視が四十万、あるいは都市の方では六十八万に及ぶ受信障害があるというふうに言われているわけでございます。  そこで、できれば大臣にお答えいただきたいと思うのですが、電波の基盤を全国土的に整備していこうというその考え方について、お持ちなのか、いやいや、細々と今の状況でやっていくということなのか、ちょっと基本的な部分についてお聞きしてみたいのです。  といいますのは、今民間に電気通信の基盤というものをゆだねているという状況の中で、限界が来るのです。NTTが御案内のとおり公共性というふうに言いながら、経営的に下方修正を何回もしなければならぬという実情に追い込まれていった場合に、過疎地域等いわば利益が上がらない地域、こういうことが出てきますと、そこは見捨てられるという可能性を持っているだけに、郵政省としても基本的にどうお考えなのか。特に、有線よりも無線の方が、いわば山間僻地といいますか、そういうところには非常に投資効果があるというだけに重要だと思いますので、聞いておきたいと思います。
  30. 渡辺秀央

    ○渡辺(秀)国務大臣 お答え申し上げます。  まさに地域振興にはこれから電波、無線、こういうシステムを波及させないことには恐らく効果が出ないだろうと思いますね。これはそういう意味では衛星放送どもその一つかもわかりません。しかし、現実に山間地、僻地あるいはまたこれから都会から地方に、週休二日という新しい時代に入ったりしますと、人間の憩いの場を求めていく、そういうところに通信網というものがきちんと存在していないことには、文化国家でありあるいはまた高度情報社会を背景とした憩いの場であるとかあるいはまた余暇の利用とかというようなことにはなりませんですね。  そういう意味で、地域の振興における自動車電話あるいは携帯電話、無線呼び出しなどの電波利用の基盤整備ということにおいて、地域間の情報通信格差ということがあってはならない。これは、先ほど白井局長が細々とという言い方をしましたけれども、まさに細々という感じでありますが、しかし一歩ずつ前進をさせていかなければいかぬというふうに思っておりますし、今年度もおかげさまである種の予算確保は先生方の御支援によってできたということでございます。  さらに、地方電気通信監理局などで地域振興のための電波利用の観点から調査研究をさせまして、地域の特色を生かした電波利用システムをそれぞれの監理局でひとつ検討させる、現在それが大いに進められているところでございます。今後ともそういったことを大いに推進して、そして地域間の電波格差のないように、あるいはまた高度情報社会のいわゆる基盤となり得るように懸命に努力をして、先生おっしゃるように、細々と、あるいはまた非常に懸念されるというその懸念を一掃すべく、そういう意味でもまさにこの電波利用料制度というのは画期的な第一歩だと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思うわけです。
  31. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 電波利用料制度が画期的だ、それにすべてをゆだねていくということになってはなりませんけれども、当然のこととして、社会資本の充実ということは国の施策として進めていただくように特に要望しておきたいと思います。  さて、今言われました電波利用料についてお聞きをしたいと思います。  電波利用について行政経費の負担のあり方についていろいろあると思うのですが、目的税方式だとか、あるいは公物、公のものの占用料であるとか手数料であるとかというふうにいろいろ方法があったと思うのですが、いわば無線発信局を根拠とした利用料というように今回位置づけられた根拠は何かということをお聞きしたいわけであります。  私はなぜこのことを聞くかといいますと、割り当て周波数帯根拠にした方が非常に有利だ。例えば、割り当てられたそれぞれの民間なりそれぞれの企業なりにいたしましても、それを高度利用しようではないかというようなことでの促進にもつながっていくということ等もあわせ考えるときに合理性があるように考えておったのでありますけれども、なぜ利用料の問題につきましては発信局を根拠にされたのか、お聞きしておきたいと思います。簡単でいいです。
  32. 森本哲夫

    森本政府委員 これはいろいろ法律的に、こうした負担をいただくものについては、御案内のとおり税で目的税みたいな形というのも考えられるわけでございます。ただこれについては、一種の特定のサービスに対して、反対給付じゃなくて、その担税力といいますか、能力に応じて徴収するというのが一般的でございますので、電波利用料としては共益的な行政事務経費をお願いしようということになると、ちょっと租税という形はとれないか、あるいは占用料という形は御案内のとおりございます。河川とかの公物等についてその独占的な使用の権利を設定する場合には、その使用の対価として徴収されるというケースがございますが、電波の方も、確かに今先生一部お触れになりましたように、ある周波数帯を独占してしまうという意味では公物に似た性格はございます。  しかし、電波の利用にはさまざまございまして、アマチュアとかパーソナルというのは一つの波をうんと共用をしておるという実態もございますので、これを一律に公物の占用利用というふうにはいかないだろう。あるいは先進国でちょっと始めておるのですが、入札制という形で今おっしゃるように限られた周波数を有効に利用するというような方策もニュージーランドとかオーストラリアで始まっておりますが、やはり我が国ではまだ公共性をどう確保していくかとかあるいはかえって既得権益化しないかとかいろんな問題もございまして、今御提案さしていただくように、結局この性質を考えますと、免許人全体のための共益的な行政事務経費をいわばその利益を受ける免許人に応分の負担をいただく、こういう形でございますので、広義の意味の手数料の一種として御提案をさしていただくのが現状日本の各制度と の整合性の面からもあるいは免許人の御理解をいただく面からも最適であろうと思って御提案をさしていただいている次第でございます。
  33. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 次に行きますけれども、行政経費の総額というものを勘案して決定されたと思います。ここで一般会計の平成三年で電波行政経費というのは幾らであったのか、あるいは手数料、電波検査料、五年置きの再免許のときの手数料等収入は幾らであったのかということを明確にこの際お聞きをしておきたいのです。  それはなぜかといいますと、一般会計における電波行政経費というものが政府予算であるわけでありますけれども電波利用料を取ったからそれを減じるというようなことがあってはならないというように私は考えるからであります。その点について明確にお答えいただき、決意をもう一つ伺っておきたいと思います。
  34. 森本哲夫

    森本政府委員 お尋ね平成年度電波関係行政経費は総額百四十億円でございます。それから、同じく三年度電波関係の手数料の総額は約九十億円に相なっております。もちろん今回お願いをいたします電波利用料と申しますのは、いわば共益的な費用免許人負担においてお願いするわけでございますが、国として電波関係行政経費を確保する必要性には、これはいささかもこうした制度ができるからといって変わりはないものと考えておるわけであります。
  35. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 今後無線局がどんどんふえていくという趨勢の中でこの利用料もどんどんふえていく、収入がふえていくということになりますから、それをいいことに、いわば国の情報通信あるいは電波基盤を整備するということを怠ってはならないというように思っておりますので、あえてお聞きをしたわけであります。  さて、次にお尋ねします。  特定財源にするということでございますが、利用料の使途というものを明示されていくということになろうかと思うのです。利用者に透明性をどう保証するかということが大きな課題になると思いますので、具体的にどう明示されるのかお聞きしておきたいと思います。
  36. 森本哲夫

    森本政府委員 大変大事な点でございますので、この点について、受益者が御負担いただいたものがきちんとその目的に使われるようにするということで、御提案申し上げておる法律改正案の百三条の三では、この趣旨というものを法律上明確にさせていただいているところでございます。電波利用料というものをちょうだいしました部分は電波利用共益費用の財源に充てることを政府に義務づけておる条文でございます。  同時に、そうは申しましても、単年度できちっと入った収入と支出が見合うというのは現実問題ではなかなか予算執行の問題として困難であろうということで、電波利用料と共益費用、支出の方でございますが、それと年度間の格差を調整するための過不足規定も入れまして、趣旨がきちっと明確になるようにさせていただこう、こういう点が一つでございます。  それから同時に、幾らの歳入が入って幾ら支出したかということも、金額の面も客観的にわかることが必要かと考えておりますので、具体的な書きぶり、どういうふうに表現するかは今後の予算編成過程の問題になるかと思っておりますが、こうした歳入額と歳出額を予算書上明確にいたしたいということもあわせ考えておるわけでございまして、こうした手段を用いまして、御指摘のような透明性の確保に努めたいと考えているわけでございます。
  37. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 次にお聞きしておきたいと思いますけれども先ほど質問が出ておりました国や自治体が電波利用料を特定財源から減免される、その根拠は公共性と収益性がないから、こういうふうに新聞報道等でも言われています。  それではアマチュア無線は収益性はあるのか、またNHKやNTTあるいはNCCにはその事業に公共性はないのか、どうお考えなのか、簡単にお聞きしておきます。
  38. 森本哲夫

    森本政府委員 先ほど上田先生からも御指摘のあった問題でございますが、まず国を適用除外にいたしている理由でございますが、これは今の法律体系で国が徴収するこの種同等の手数料というのは全体で約百四十ばかり種類がございまして、これは皆法律根拠を置いているわけでございますが、国が他人のために行う公の役務に対してその費用を賄うそういう手数料については、国からは徴収しないというのがこれまでの長年の一般的な姿でございます。現に電波関係手数料についても現在徴収しておりません、したがって、利用料についてもこれと同等の措置をさせていただこうということでございます。  ただ、先ほどからも申し上げておりますように、だからといって費用負担の公平を欠くことのないように、電波行政経費を見るという形で対処してまいりたいと思っておるわけでございます。  簡単にということでございますので、もう一つ地方自治体の免除の問題でございますが、実は無線局というのはそれぞれ各種、各般にわたっていろいろな目的がございます。しかし、消防、水防という防災上必要な無線局というのは、専ら国民の身体、生命、財産の保護だけを目的とする無線局でございます。もちろん他にもこうした災害に用いられるような無線局はあるわけでございますが、例えばNHKのように、公共放送というのがあって、その附帯的な形でこういう災害にもお使いいただくという意味で、そういう意味で目的が非常に違った性質だという点が大きな理由でございます。
  39. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 政治的にはわかるわけですが、今の考え方が本当に科学的でしょうか。もっと言えば電波そのものが有限性を持っておる、また公共性を持っているのです。それをどれほどの幅で使い、あるいは一周波で使う、使用しているわけであります、利用しているわけであります。皆さんがおっしゃっているのも利用料となっているわけです。そこを使途について云々すべきなのか、私はそういう発想を持っております。電波自身が公共性があるのです。それを使うということ、利用するということに対してあまねく公平に取っていくという発想に立たなければ問題じゃないのでしょうか。先ほど今回の利用料の取り方について無線局数でいかれましたけれども周波数帯でいくべきだというふうに私があえて言った根拠はこういうところにも出てくるわけであります。  私はそういう意味で、いろいろなことがあるけれども、国や自治体が利用しておるには間違いない、そのことについて払わない、免除される、このことについて随分問題を感じます。そういう発想に立っていただかなければ、本当に今後の電波行政の先行きが不安だ、このように思っているところでございます。ひとつお答えいただきたいと思います。
  40. 森本哲夫

    森本政府委員 確かに構成の仕方として、国もあるいはその他の法人も、これはひとしく電波を使う必要に応じてさまざまな無線局免許されていることは御案内のとおりでございます。そういう意味では、国もそれぞれ負担するというのが一番わかりやすい制度であることは確かだと思うのでありますが、仰せこれも一つ法律制度でございますので、さっき申しましたように、国が国から徴収するという形は、これまで百数十にわたる手数料については一切ないわけでございますので、これと従前の手数料とは違うということを明確にするということも現実問題としてはなかなか困難でございます。(吉岡委員「そんなことないよ、これは手数料と違うじゃないか、利用料じゃないか」と呼ぶ)法律的な意味合いでは広義の手数料の一種だということで従前の手数料と変わりはない、そういうことで、おっしゃるような形にすれば明確には違いないわけでございますが、全体の法体系の中でこういう整理にせざるを得なかった。ただ、だからといって国がいわばその分免れる、費用負担の公平を欠くということにならないような措置はぜひしていかなければならぬ、こう思っているわけでございます。
  41. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 御本人も矛盾を感じながら答弁をしておられると思いますよ、はっきり申し上げて。  それならば、次にお聞きします。  国の各省庁が一定のバンド幅を持って電波を利用しておられる、それはやはり明らかにしていただきたい。そして、未利用やそういうものがありましたら開放してもらいたいのですよ。無料だというのだから、そのくらいのことを厳密にやっていくというのが郵政省のあるべき姿だと私は思っているわけであります。例えばそれぞれの省庁に、バンド幅はありますけれども現実に使っているのと予備のとあります。例えば予備回線のことを考えたら、各省庁でその予備回線を共通に使うということができないのか、こういうことだって出てくる。そういうことによって電波の資源が民間の皆さんや困っている部分に回せるということがあるわけです。そういうことを真剣にお考えになる考えはございませんか、明確にしておきたいと思います。
  42. 森本哲夫

    森本政府委員 御指摘のように、国や自治体では本部といいますか、出先との連携のため、マイクロ波を使って固定通信回線を設営したり、あるいは地方自治体が出先の業務用車両と本部との間の移動通信のための彼と、さまざまな防災行政無線を初めとする無線の波を使っておるわけでありまして、こうした各省全体にわたる問題については、具体的な、端的な例を申し上げますと、公共無線において一番幅の広い周波数帯でございますマイクロ波帯、これも幅の広い分野でございますが、現在こうした公共用無線については、二ギガヘルツ帯、六・五ギガヘルツ帯、七・五ギガヘルツ帯、十二ギガヘルツ帯、こういう各帯域の中で合計約千百メガヘルツの幅で分配されておるわけであります。  これは公共用の無線ではございますが、現実には民間の電力会社とかガス会社のやはり同様の目的のマイクロ波といわば共用を図っておるわけでありまして、そういう意味で御懸念のような退蔵、死蔵になっているということにはなってないと私ども確信をいたしております。しかし、おっしゃるように周波数が逼迫をいたしておりますので、こうした点についての配慮をさらに真剣に加えて、死蔵なり退蔵なりがあってはならないということで対処してまいりたいと思っております。  特に、免許というのはある期間が来たら再免許という形でもう一遍その免許の必要性をチェックいたしますので、その際に十分なヒアリングを行う、あるいは監視施設による発射状況調査というようなものもございますし、それからまた検査にも参るというプロセスもございまして、そういう点の実態についての把握を十分行って、おっしゃるような形が結果として生じないように最大限の努力を払ってまいらなければならないと考えておるわけであります。
  43. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 各省庁のテリトリーがあって、おれのところは、おれのところはというふうにやっておられるわけです。そのことをやはり統一的に、国の部分はどういうふうにやるのかということは当然考えていかなければならぬことだと思います。  死蔵はないんだ、未利用はないんだと言い切れるなら言い切ってほしいと思います。あるいは、ありますよ、幅の中で、これだけ利用する予定だということで、現実に使っている部分と緊急の場合に切りかえる周波数とそれ以外の周波数もあるはずです。そういうものをやはりきちんとして、金をもらってないのですよ、もらわないとおたくは公言しておるわけだ、それなら利用についてきちんとさせていただきましょう、この姿勢なくして郵政事業、電波行政進めますか。私はそういうふうに思っているわけで、ぜひ各省庁の実態の調査を早急にし、それについて検討を加えていただく、こういうことについてお約束いただきたいと思います。
  44. 森本哲夫

    森本政府委員 この電波の部分は技術開発要素も非常に大きゅうございまして、例えば前段階免許したときに比べて新しくまたナロー技術が開発されて周波数が生み出される、となると……(吉岡委員「難しいことは言わぬでいい、結論だけ言ってもらったらいいのだ」と呼ぶ)そういうこともございますので、今後官庁関係についてはひとつ十分配慮をしてまいりまして、調査もその趣旨で実態把握に努めまして、本当に死蔵が起きないように対処してまいるつもりでございます。
  45. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 死蔵と言われますと見解がいろいろ難しゅうございますから、未利用の部分を十分活用していくということで御理解をさせていただきたいと思います。  さて、次に行政事務の簡素化の問題でございます。私はここで取り上げたいのは、無線の機器の定期検査についてであります。  無線局の設備というものも技術革新に伴って品質が大変よくなっている、こういうように思っておるところでございます。改善の方向としていろいろ言われておりますけれども免許付与局の範囲の拡大であるとか技術基準の適合証明制度対象の拡大あるいは検査制度の簡素化ということがうたわれています。  そこでお尋ねをしたいのです。  今無線局定期検査規則第四条、この別表第一号によって、無線機の種別により定期検査が一年ないし五年の周期で行われております。第九条によりまして定期検査手数料は局種別あるいは空中線の電力の強弱によって決められておりますけれども、その金額は一万一千円から四十六万円にも達するわけであります。各種あるわけです。この定期検査について、無線機器の信頼性の向上を踏まえ、手数料金額の低廉化や周期の延長ということを含めて検査手法を見直していくという考えはないのか、このことについてお尋ねをしたいと思うのです。  なぜこのことを強く聞くかと申し上げますと、今回のいわゆる利用料の導入によって利用者のメリットというのはごくわずかしかないという現実の中で、この辺を模索していかなければならぬのではないかというように思っているところでございますので、ぜひ真剣なお答えをいただきたいと思います。
  46. 森本哲夫

    森本政府委員 これまでも御趣旨のような形で相当真剣には取り組んできたつもりでございますが、今御指摘の定期検査の期間の延長については、最近の機器の性能向上という問題現実にございますので、これについてはひとつ十分前向きに取り組んでみたいと思っております。
  47. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 ぜひお願いをしたいと思います。これは実施が来年ということになっているわけで、それまでに整備を図って妥当性を十分出していただく、こういうこともあって国民の皆さんあるいは利用者の皆さんが納得がいくという方向になるのではないかと思いますので、よろしく御検討をいただきたいと思います。  続きましてお尋ねしたいと思いますが、皆さんの資料をいただいた中で、電波法百二条の十三によって電波有効利用促進センターを指定する、こういうことになっているわけでございますけれども、現在指定は財団法人の電波システム開発センター、これのみなのかどうか、ちょっと聞いておきたいと思います。
  48. 森本哲夫

    森本政府委員 現在指定をいたしますのはこの現行の財団法人だけでございまして、ほかにはございません。
  49. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 財団法人の電波システム開発センターというところに郵政省の方は一般会計で七千万円の予算をつけたり、あるいは電波行政について助言というか情報をもらったりということにしようではないか、こう言っておられるわけでございますが、条文を読んでみますと、毎事業年度に事業計画及び収支予算を作成し、郵政大臣に提出しなければならないというふうになっておりますので、その辺についてまた資料としていただくことを約束してもらえればありがたいと思うことと、具体的にどのような業務を行っているのかわかりやすく、例えば検査業務をやっているとか、そういうことでお答えいただきたいと思うのです。
  50. 森本哲夫

    森本政府委員 今御要請のございました資料については、別途提出をさせていただきたいと思い ます。  センターの事業といいますのは、新しい電波利用システムの実用化に当たりまして電波を効率的に利用しようという観点から幾つかのことをやっておりますが、基本的にはここのセンターは電波の利用に関する調査研究、開発、それから一般の方への電波利用に関するコンサルティングを行っております。それから、当然のことながら電波利用に関する情報の収集、資料の収集、こうしたこともやってございますし、それをまた一般の方に提供申し上げるという仕事もやっておるわけであります。  それからまた、電波を使う際にはどうしてもこういった特性から標準規格というものをつくらなければならないわけでございますが、ここの財団はこの面で大変大きな仕事をいたしておるわけであります。その他さまざまな電波利用のための仕事を担当しております。こうした照会・相談業務の件数も年々伸びて、支援をしていることが十分利用者に受けとめられておる実態になっているかと考えているわけであります。
  51. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 時間がありませんので、先に進みます。  電波利用の国際化についてでございますが、電波は国境を越えるわけであります。通信には方式あるいは運用の統一、こういうものが必要になってくるわけで、ITUの国際ルールに従うのは当然のことであります。先進国として国際協力体制の整備を図ることが必要だというように郵政省もお考えになっているというように思っております。  私は、実は五月二日から五月十六日までの期間、朝鮮民主主義人民共和国あるいは中国の吉林省を視察してまいりました。そこで、技術的な支援だとかあるいは投資だとかというものを、電気通信に関することで随分求められたのでございます。環日本海の経済圏、こういうことが今熱い視線を浴びつつあるわけでありますが、とりわけ、UNDPが、中国、朝鮮、ソビエトの豆満江流域経済圏を形成をしていく、これに国際自由貿易圏といいましょうか、いわば香港やクアラルンプールのようなことをやっていこうということで、そのインフラ整備に三千億ドルを投入しようというような、いわば青写真を今進めておられるわけでありますが、この点について、郵政省として国際的な問題ということ、あるいは日本が非常に湾曲した列島になっておりますから、その豆満江流域からはまさに五百海里で北海道から九州まで全部届くわけです。そういう状況で、これが具体化すれば非常に重要な位置を持ってくるというように思いますけれども郵政省としてそれらについてお考えがあれば、例えばそれについて研究してみようとか参画してみょうとか、そういうお考えがあれば聞かせていただきたいというふうに思います。
  52. 森本哲夫

    森本政府委員 今の先生お話については私ども十分承知をいたしてはおらないわけでありますが、また改めてもう少し詳しく御参照させていただく機会が得られますればありがたいと思っております。  ただ、この近隣諸国について、先生案内でございますが、ネットワークの整備がなかなか進展してないわけでございまして、これを従前のような電話のネットワークを構築するといいますと、非常に巨額のお金とそれから長い時間がかかって、早急に国民間の通信を円滑に行おうという開発途上国については非常に困難に逢着をしておりますが、そういう面で今、日本で最近急速に普及いたしております自動車電話携帯電話あるいはそれの簡易版というシステムは、途上国で大きな設備投資がなくて急速にネットワークの立ち上げが可能になるということで大変関心を呼んでおりますので、私どもとしては、APTというのがございまして、アジア・パシフィック・テレコミュニティー、アジア太平洋電気通信共同体、こういう組織に呼びかけましてこういうセミナーを日本で開催いたして、大変好評でございました。ことしはできますれば、各国にそれぞれ行って、電気通信政策の首脳者あるいは電気通信の総裁とか、そういう方々と直接コミュニケーションを図りながら途上国の支援ができればありがたい、こう思って、そういう努力もいたしておりますので、ひとつまた御理解を賜りたいと思います。
  53. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 最後になりますが、今回の電波法の一部改正ということで、かなり課題の大きかった利用料問題等が含まれているわけでございます。私が幾つ指摘させていただいたと思いますが、実施が来年度からということになっておりますので、それぞれの議員からも指摘もございましょうし、私ども指摘させていただいた問題等について十分検討を加え、御賢察いただく中で、利用者が本当に納得できるような方向を出して、その上で実施していただきますように心から期待をしてというより要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  54. 谷垣禎一

    谷垣委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  55. 谷垣禎一

    谷垣委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。鳥居一雄君。
  56. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 引き続き、電波法一部改正案につきまして質問してまいりたいと思います。  電波法の一部改正のねらい、周辺の課題、これらを総覧いたしまして、無線局免許のあり方という今日的に極めて大きな課題があります。端的に、特に東京・関東、大阪・近畿圏、陸上通信の免許の申請、免許、このふくそうぶりといいますか、特に簡易無線、各種業務と言われております。務用無線、いわゆる各種無線並びに簡易無線、この二つの業務が具体的な例だと思うのです。東京・関東では各種業務の申請をいたしまして大体三カ月。MCAを含めて各種無線と総称して呼ばれているようでありますが、MCAの集中基地方式に対して業務用無線の分散基地方式、この二色あって、分散基地方式の方は自前でアンテナを立てる、二十メートルという規制があります。これは空中線電力が十ワットという規制の中で免許の申請が行われ、許可が出る、こういう形になっているわけですが、実際問題としてMCAで一・五カ月、各種無線の一般で約三カ月。これは早く免許を与えては権威がなくなってしまう、こんなお考えなんでしょうか。この積滞を解消するためにどういう御苦労をされているのか、まず現状と、関東電気通信監理局でことしに入りましてから受け付けた件数、そして審査の進行中のもの、このあたりの実態について数字を出していただきましたので、それとあわせてぜひお答えをいただきたいと思います。
  57. 森本哲夫

    森本政府委員 御指摘の無線の利用については、当然のことながら免許を正しく受けて、それから秩序に従った運用をしていただかなければ電波利用社会というのは成り立たないわけでございますが、ただここへ来て、今お話ございましたように、急速に申請件数がふえておりまして、処理のスピードよりは申請のスピードの方が増しておるといいますか、そういう意味一種の渋滞というか積滞を起こしておるという現実は御指摘のとおりでございます。  今御質問もございましたように、関東電気通信監理局でこの一月から四月まで簡易無線については千六百九件の申し込み受け付けをいたしまして、これはこの期間内に全部済ましております。それから各種業務用無線は、九十五件を受け付けて七十五件処理いたしまして、結果的には二十件ばかり残りました。この各種業務用の中にはタクシーとかそういうのは省いてございますが、それらは百八十件ぐらい受け付けておるわけであります。さらにまたMCAについては、三千四百四十三件受け付けて三千三百十八件、約百件ばかりを残した状態に相なっておるわけであります。  全体として見ますれば、主として業務用の無線の処理には関東の場合でしたら大体一カ月半、簡 易無線でしたら二週間ぐらいということになっておりますが、北海道とか信越とか比較的閑散な地域も念のために調べてみたのでございますが、これは関東は一カ月半かかるのに対して北海道では三週間、信越では十日ぐらい、簡易無線ならば信越だったら二日で処理できるというようなこともございますので、要するに、基本的には事務処理量が大変ふえて、さらにまた混信等の技術計算が非常に複雑になってまいりまして大変苦慮をいたしておるところでございます。  データを見ましても、かつて一九八〇年、十年前では一年間の申請件数というのは十七万件でございましたが、現時点、最近の九〇年というようなことになりますとこれが八十三万件になっておるわけであります。何とかこの事態は真剣に対処しなければ、免許を受けたい方、電波を使いたい方に大変な御迷惑がかかるということで心痛をいたしておりまして、具体的には、御案内のとおりのようなデータベース構築でひとつ抜本的な対策を講じたい、こう思っておるわけであります。
  58. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 これらの局の申請というのは、直接免許を受けるべき人が申請をするというのではなくて、メーカーなり販売店なりの代理人がやるわけですね。その皆さんの声は、まことに複雑で不要なデータの要求をされる。一部にMCAでOCRシート方式、合理化ができ上がっているけれども、その他の各種業務の間では依然として旧態依然、十年一日のごとく複雑な、窓口の皆さんも不要だと言っているような資料の要求、膨大な資料の要求がなされる。幾ら今回の措置データベースができたとしても、免許の申請時におけるこれらの不要なさまざまな書類というものの見直しを行わない限りにおいてはこれらの免許のスピード化というのは事実上無理だろうと思うんですね。  一つはOCR方式の全面的な導入に向けての検討一つは不要な要求はしない。電波法六条で免許の申請、七条で速やかに審査をするんだ。審査の基準については四つの条件があります。技術基準に適合すること、割り当てすべき周波数があること、もう一つ無線局開設の根本的基準に適合すること、それから財政的な基盤があるかないかまで見るわけですね。この四項目に照らして局の審査をやろうというのに、一つは不必要な書類の見直しという点、見直しをやらない限り今度のシステムを導入しても積滞の解消にはつながらない。無線局のいわゆる諸元をデータベースにします、こう言っていますけれども、申請時の添付書類というのはまことに複雑怪奇な書類です。まずこれの見直し、いかがですか。
  59. 森本哲夫

    森本政府委員 現在こうした書類については、法律が定めたところを受けまして、具体的には省令であるとか規則であるとかという形で、個々の審査担当官の恣意で書類が区々になるということにはならないような仕組みにはしておるわけでございます。これは当然、免許をするゆえんは混信のない秩序ある電波発射システムの構築をしたいという趣旨でございます。ただ、確かに一つの時代、ある時代にはそれが必要であっても、ある期間経過した場合に、すべてがすべて十年もその後もなお引き続き同じような状態であるかどうかということについては、私どもとしても絶えず自戒をしながら仕事のやり方の見直しをいたしておるわけであります。  御指摘のような問題は、正直申して免許人の方から今回の電波利用料制度の創設に関しましていろいろ御意見を承った過程で私どもも聞いておるわけでございますので、申請時の記載項目について、さらに削減できるものはあるかないかとか、あるいは添付図面、これは結構大量のものにもなりますので図面の方を省略というか統合といいますか、二つか三つの項目を一つの書面で代用してしまう、そんな問題もぜひ考えていかなければならぬと思っております。これは決して一般論ではなくて、電波利用料制度導入することでもございますので、ひとつ真剣に取り組んで、過分な負担にならないように、必要最小限のものに絞るように対処してまいりたいと思っております。
  60. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 その申請時の書類関係の見直しというのは大事なポイントの一つだと思います。  それから、申請しまして、MCAの場合で一・五カ月。一・五カ月の中身をたどってみますと、受付してからずっと積んであるわけですね。免許に当たって、免許するかしないかというその事案についての審査は半日あればできる、それが一カ月半かかる、こういうのは今度のシステムによると改善できるのですか。私は、一カ月半の渋滞というのはコンピューターを導入しても余り変わらないんじゃないだろうか。要するに、電波というのは免許してあげるもので、電波監理に当たる省の皆さんのお上という意識が変わらない限り、権威がなくなってしまうような、もし一つのひずんだ考え方があるとすれば、これはなくならない、こんなふうにも思うのですが、どうなんですか、実際。
  61. 森本哲夫

    森本政府委員 なかなか手厳しい御指摘でございますが、よもや私どもお上意識で、電波免許に職員がそんな意識で従事していることはないと思っております。  むしろ、今政策全体の展開は、できるだけ電波というものを使って、そして我が国の経済社会の発展に寄与できるようなところにいるんだ。かつては確かに電波行政というのは一種警察行政みたいな、交通の警官みたいな仕事でございましたが、先ほどから議論がございますように、電波情報化社会の重大なツールとして今日の日本経済を支える、さらにまたそのウエートが大きくなってくるということになりますれば、従前のような感覚では対処できない。むしろ電波をもっと使っていただいて、日本の産業社会に貢献できるような位置に我々はいるんだというようなことを、私自身も地方の電気通信監理局の職員を集めての話でいろいろそうしたベースで議論をいたしておるところでございます。御指摘のようなことが万が一あってはならぬわけです。  ただ、先ほど大臣が地方の振興に当たって申し述べましたように、できるだけ創意工夫というようなこともやってみようということで、例えば、今金沢あたりではこうしたものを観光産業に役立てられないかということで、観光客が駅へおりられましたら駅の前の観光案内所のところでポケットラジオを貸していただく。そしてある庭園に参りますれば、この庭園の由来はいつどうなんだ、見どころはこういうことでござるとポケットラジオのイヤホンで微弱なFM放送が傍受できる。あるいは、救急医療について、乗った患者のデータをすぐ病院に送受信できるような形にして、行く先の受け入れ態勢を確保してもらう。いろいろな創意工夫が各電気通信監理局で行われておりまして、なかなかこれを一般化するにはそれなりの道筋が要るわけでありますが、いずれにしてもそんなことも従前になかった機運で動いておりますので、決してお上意識では、万が一あっては困りますし、断じてそういうことのないように、さらに職員一層身を引き締めて、重大な免許事業にかかわっているのだということをひとつ今後徹底させてまいりたい、こう思っているわけであります。
  62. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 免許を与えてやるんだ、こういう意識はやはり払拭しなければならないことだと思うのです。お役所にいろいろな窓口があるのですが、意外だなと思うのは税務署は極めて評価が高いわけです。郵便あるいは貯金、簡易保険、非常に評判がいい。余り大きな声では挙げられませんが、登記所の窓口は評判が悪い。あるいは、郵政省の中でも特別会計の方はいいけれども一般会計の電波が評判が悪いというのは、やはりそこに潜在的な意識というのがあるのではないのか、こんなふうにも実は思うわけです。  具体的にもうちょっと掘り下げて申し上げたいと思うのですが、一方の簡易無線はいわゆる空中線電力五ワット以下という規制、一方の業務用無線の方は十ワット、これは行政指導出力が決まる、地形その他あるいは目的、こういうことで決まってくるわけですけれども、この業務用無線の方は従事者資格が必要で、簡易無線の方は従事者資格が必要ない、こういうふうになっているわけ です。したがいまして、業務用無線の一種であるMCAも実は三級の陸上特殊無線技士の免許がなければ免許をしないというような形になっているわけです。  しかし、実際問題、よく見てみると、電波法違反がどっちから出てくるのか。MCAは、もうユニットになっていてさわりようがないわけです。むしろ簡易無線が五ワット以下といいながらも出力を上げてみるというのが過去にあり、しかしそっちの方は簡易だということで従事者資格不要という形になっているわけです。時代の移り変わりとともにMCAも普及してまいりました。一々従事者資格を取得する必要があるのかないのか。この点についてどうでしょうか。見直す方向でぜひ検討すべきではないのか、このように思います。これが第一点。  もう一つは、まあ当分の間やむを得ないという立場に立ってこれを考えてみましたときに、日本無線協会という郵政省の指定された団体が講師を派遣しまして講習会をやって、免許を与える、こういう方式になっています。必要ですから、MCA免許を取ろうと思いますとどうしても従事者資格を取らなければならない。この資格を取るために二日ないし三日の講習を受けます、法規と無線工学。この協会から講師を派遣をしてもらうわけです。講師の方の中にはもう八十歳を超える方もいらっしゃる。しかも、もうてんてこ舞いの忙しさ。講習を持ちたいという企画を持ってから三カ月余裕を見ないと、今とてもじゃないけれども応じ切れない。全国各地に支部がありますけれども、トータル六十人ほどの皆さんでこの講習会をやっているようです。これを増強しない限り、この積滞解消の一つの星といいますか、積滞解消はできない、そういう現状にあります。講習会制度を存続させるならば、これをぜひ強化しなければならないと思います。この二点について、いかがでしょうか。
  63. 森本哲夫

    森本政府委員 無線従事者の問題が一点ございましたが、これも現状でも、このMCAについて確かに御指摘のようなこともございましたので、過去には割合リジッドにこの従事者の配置については考えておったのでございますが、もう既に、最近の利用者の増高ということ、それから利用者の利便というものを考慮する必要があるということで、営業所等に置かれる基地局にこの無線従事者が配置されてあれば、そして無線日誌が備えられてあれば、個々の陸上移動局には無線従事者の配置は要らないというようなことにも改めておるわけであります。  具体的な今のMCAということでなくて、さらに幅広に無線従事者制度のあり方についてもかねがね内部でいろいろ検討いたしております。ただ国際的な、GMDSSが変わってみたりいろいろな変動もございますので、そうした新しい技術革新が起きるということも踏まえまして、できるだけ簡易な形で全体が運営できるようにいたしたいと思うのであります。  ただ、先生の御指摘のように、いわゆる簡易無線でありますとか、あるいは免許不要局というのをいたします途端に、その領域でいわば不法無線が急増するという、つまり規制緩和をいたしますと、それをいいことに、だれでも簡単に機器さえ手に入れば無線のオペレーションができるという、それが、機器不法に改造したり出力を大きくしたりして大きなガンになってしまうという、そこのところが実は大変頭の痛いところでございますので、規制緩和をしながら、なおかつ不法のものを発生させないような仕組みというものをどういうふうに考えていくか、構築していくかというのは、ひとつそこを重点に置きながら、おっしゃるような方向でぜひ考えてまいりたい、努力をしてまいりたいと思います。  講習会については、私、無線協会の具体的な日程とか人数とかの知識はちょっと今手元にございませんのですが、強化をしろ、こういう御指摘でございます。積滞をしていることは決していいことじゃないと考えておりますので、さらにまたこれは調査をいたしまして、利用者の御不便、御不満にならないような体制を組んでみたいと思っております。
  64. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それで、五人以上で講習会が開ける。例えば四十人の場合、経費の主催者の負担がどういうふうになるか、担当講師に対する講師代の支払いをどういうふうにするか、これは一応決まっているんですけれども、二日になるのか三日になるのかということの違いは、出張先がかなり離れていて、半日つぶれるか、つぶれないか。講習そのものは二日半、三日にわたってもトータル二日半程度。その丸半分、五割に相当するのが実は無線工学なんですね。両日にわたって六時間、無線工学。二日間で無線工学を履修して試験に通る。最終的に試験をやる、マル・バツの試験をやるのですけれども、結論からいって、無線工学を時間をかけてひとつ実力を養っていただくということの上では、全く中途半端と言わざるを得ない内容ですね。講習自体、設問を想定して、こういう問題が出たらこういうふうに答えていただきたい。講習を終わった後でやる試験の答えを教えているみたいなものなわけですね。だから、どんな意味があるのかということになってくるわけです。無線工学自体、今日的にはもう講習の目的からいって意味をなさない。パネルを外して中の修理をしなければならないなんという部分は一切ありませんし、ユニットとして故障があれば交換するという形で、従事者の役割というのはパネルの操作しかないわけですから、これはやはり見直す必要があるのではないのかというのが一点。  それからもう一つは、先ほども申しましたが、簡易無線と業務用無線、いわゆる各種業務。一方には電波法上業務日誌の義務があるんです。簡易無線の方には業務日誌の義務はありません。義務日誌で記載をする中身というのは、なぜ業務日誌ができたのかな、これは発想が海上通信なんです。海上通信の船舶における業務日誌、遭難に遭ったときに業務日誌をたどって遭難の原因が何だったのか、こういう発想で、海上通信においてはそれなりに意味があったと思うのですけれども、陸上における各種業務でこの業務日誌がどんな意味があるのか。毎年一月から十二月まで通話の回数みたいなものを報告をまとめまして、翌年の一月の月末までに地方電気通信監理局に提出ということになっておるわけですね。これは、提出を受けても電気通信監理局では見ないというんですよ。だから、もう完全に死文化して、つまらない要求を免許人に対して付加している、こういうふうに思えてならないわけです。これもやはり見直す必要があるのではないのか。あわせてお答えをいただきたい。
  65. 森本哲夫

    森本政府委員 講習会については、先ほど答弁申し上げましたように具体的な内容を十分把握しかねておりますので、さらに調査をいたしたいと思うのであります。  確かに、今日、無線工学の知識をちょびっとばかりやってどれだけわかるかという一つ問題提起ではございますけれども、しかし、先生案内のとおり、新しい最近の技術導入によりまして、非常に機器の操作が簡単になりました。かつては、よくいろいろなことを知って調整をしないと使えなかったのが、ボタン一つ押すだけで、スイッチ一つ入れるだけでいろいろなことが可能になりまして、結果、そのことによる無線通信全体への妨害をどの程度自分が与えているかというようなことについての知識が欠如しているということも、今日の不法無線の急増の一端にもなっていると私ども考えておりますので、無線がこういうふうに出ていくんだけれども、ここはしっかりしてないとこういう問題が起きるんだという意味合いで、私ども、現在の講習について、わずかな時間であっても、その無線通信の秩序の維持の重大さということを与えようとして、植えつけようとしてやっておるものだと理解をいたしております。しかしそれが過度にわたってみたり、実際のところ余り無意味なものになってしまっていたりしたのでは確かに意味がございませんので、改めてそういう趣旨、目的に沿っているか見直してみたいと思っております。  それから、今お話しのもう一つ問題の無線業務日誌のことでございます。これについてもかねがね中で議論をいたしておりまして、きょう御指摘を受けたわけでありますが、これはひとつ関係規則の改正を行いまして、陸上移動分野を中心にしてこの無線日誌の備えつけの必要性について改めて精査をして結論を得たい、こう思っております。御理解を賜りたいと思います。
  66. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 あわせて、免許の管理の上からいって集中管理方式がとられたわけですね。ランクからいくと簡易無線よりもランクが高いはずの業務用無線、いわゆる各種業務ですね、こっちの方が集中管理で、片方が免許の有効期間満五年というのをきちんと見ているわけです、免許の日から五年間。このランクが高いはずの各種業務の方は、平成三年の六月一日から満五年ということですから、集中管理方式は十把一からげで、それは郵政当局としては便利かもしれません。しかし、利用者立場に立つと、免許されて更新まで二カ月しかないという人も出てくるわけですね。  これは、無線局免許のあり方というのを改めて問わなければならない。見直す必要が大ありだ。印紙代たかだか九千円じゃないか、こう言われるかもしれませんが、これは免許を受ける立場の人がどう受けとめるかという問題になるわけです。今度の無線局管理情報システム、これが導入される前提として、今抱えておる矛盾の見直しをきちんと徹底して行うべきではないのか、このように思うわけです。  おわかりだろうと思うのですが、各種業務の方は平成三年六月一日から五年間有効ですから、途中で免許を受けた人は平成八年の六月一日、満五年たたなくても免許更新ということなんです。だから、六月一日にあと一カ月というところで免許になれば一カ月で五年分ということになるわけですね。これは電気通信監理局は極めて都合のいいお話だと思うのですが、やはり免許対象一つの重み、これを考えますと、見直す対象である、こう思うわけです。いかがですか。
  67. 森本哲夫

    森本政府委員 今御指摘の業務用無線の一斉再免というのは、むしろ利用者負担軽減を図ろう、それから免許処理がスムーズにいくというつもりで実施をして、それはそれなりに利用者からの一定の評価を得ている側面もあるわけでございます。  ただ、結果的に今御指摘のような形で免許期間が短くなってしまう、そうすると結局再免を早くやらなければならないというのはまことに不都合な話にもなりますので、利用者のためによかれ、あるいはこちらの都合もあったのかもしれませんが、今やった制度の欠缺というものを洗い出しまして、場合によってはもとに戻す方向といいますか、全部が全部やったらまたかえって混乱も起きるかと思うのでありますが、実質的に短くなるという欠点をどうやって補うか、ひとつそんな問題が生じないような措置を工夫してみたいと思っております。
  68. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 今度の電波有料化制度導入によりまして、一つの目的としまして無線局の管理情報システムの構築、初年度七十五億円を見込み、三年間トータルで二百四十億円、このうち約百十億円をシステム構築のために充てよう。  このシステムに期待されるものなのですが、現にコンピューターシステムがあるわけですね。現在あるコンピューターシステムは新しいシステム導入によって併存していくんだという御説明です。徴収事務のために充てていこう。そうしますと、それでは新しいシステム導入によって免許申請から三カ月かかったのがどういう期間の短縮が図られるのか。シミュレーションでも何でも結構です、この期待にどういうふうに郵政省としてはおこたえになる考え方でしょうか、それが一つ。どのくらい期間が短縮できるのかということです。  それからもう一つ、新しいシステム構築で最も大事な点は混信計算ができるのかどうかということだと思うのですね。データベース無線局の諸元を入れるなんというのは従来でもやっていることで、どこでも、例えば外郭団体の有効利用センターでもやっておりますし、だからせんじ詰めるところ混信計算ができるのかできないのか、この期待にいつごろの時点でこたえることができるのでしょうか。
  69. 森本哲夫

    森本政府委員 今入っておりますスターズというシステムがあるのでございますが、これは正直申してこれからやろうとしておりますデータベースの部分には極めて非力な存在になっておりますので、今回計画をいたしますような形で御理解を賜りたいと思っております。  実際のところ、現在の無線局免許の処理というのは、結局個々の無線局につきまして、免許人の方が御用意いただいた申請書とかあるいは工事設計書といったものを簿冊の形にして無線局原簿という格好にいたしておるわけで、個々の免許人単位に今やっておるわけでして、結局周波数管理とか監視とか検査だとかという際にはこれを全部引っ張り出しまして、いわば事務処理の大半が現在手作業でございます。そういう状態では、今どこでもやっておるデータベース化というお話でございましたけれども、何とかせめて効率化を図るためには、ぜひこの諸元のデータベース化というのは必要でございます。  平成年度から三年間に、現在あります無線局、それからこれからふえるであろう無線局をすべてデータベース化をいたしまして、データベース構築いたしまして、各地方局は現在十一局ございますが、これを全部ネットワーク化したシステムにいたしたい、こう思っております。私ども、これはでき上がりますれば相当な威力を発揮するものと。ただ、先ほどの御指摘のように書類を積んでおるだけではどうにもならぬとか、あるいは職員の意識がお上意識で、まああした、待たせておけばいいんだとかいうことであっては何の意味もないことは御指摘のとおりでございますので、そこの意識改革はこれはもう当然重要なことでございますが、現在の手作業によるロス、大妙手間暇のかかる仕組みをぜひひとつきちっとした、どこでも行われているようなシステム化をやってみたい、やらなければならない、こう考えているわけであります。  混信計算の問題でございますが、実は今のステップでは当初からいきなり平成五年にすべてが完成するわけにはいかないわけで、今申しましたように、現在の無線局をここへ収納するということがまず第一にならなければ、混信計算もデータベースをもとにの仕事になるわけでございますので、ひとまず三年間に入れましたらば、その混信計算が自動化できるように次のステップでできるだけ早急に着手したい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  70. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それでは、陸上における免許行政見直しを含め、ぜひ鋭意取り組んでいただきたいと思いますが、海上につきまして一応当面の課題を取り上げ、お答えをいただきたいと思います。  ことしの二月から導入が始まりましたGMDSS、海上遭難安全システム、これは二月から導入が始まりましたから、早ければ検査が半年後ということで八月ごろからぼちぼち船検初めこの検査が始まるというような、今、目下進行中。  それで問題は、船舶安全法上からくる運輸省の縄張り、電波法からくるところのGM関連機器郵政省の縄張り、この縄張り根性というのがもうまるっきり丸見えという分野というふうに言って間違いないと思うのですね。GM関連機器一つ機器に銘板が二枚張られるという指摘をいたしました。昨年の十月です。ぜひ運輸省と郵政省との間で話し合いを進め、検査の重複した、同じような検査を両方が別々にやらなければならない、そういうのを改善すべきではないのかという問題提起をいたしました。そして、一つのものの呼び名が二つというのは、これはもう端的にそれを物語る例なんですね。  具体的に申し上げないとならないと思うのですが、例えば郵政省は、「インマルサット高機能グループ呼出受信機」というのに対しまして、それに運輸省は「高機能グループ呼出受信機」という 名前をつけているわけです。これは、法律であると法律改正を伴うわけですけれども、規則あるいは省令ということで用語が決まってくる場合には話し合いによって統一ができる余地があるわけですから、問題提起をいたします。郵政省が「非常用位置指示無線標識」に対しまして、同じものを運輸省が「遭難信号自動発信器」というふうに呼んでおります。それから、郵政省が「無線電話警急自動受信機」というのに対しまして、運輸省は「無線電話遭難周波数聴守受信機」、同じことを指しているのですよ。用語は大して変わっていませんよ。これは枚挙にいとまがありませんよ。至るところに出てくるのですよ。このGMDSS導入に当たって何種類かの機器が船舶に搭載される、その無線通信機器というのは数の上からいってそうないわけですよ。そうない無線通信機器そのものが全部この看板二枚張らないとならないわけですよ。呼び名が二つあるわけですよ。これ、何とかなりませんでしょうか。     〔委員長退席松浦(昭)委員長代理着席
  71. 森本哲夫

    森本政府委員 確かにGMについては、過去二回電波法を改正いたしまして、これについて先生からいろいろな御指摘がございました。今のお話は名称の問題で、確かに両省間で幾つかについては名前が違う、共通しているものもございますけれども、違うことは確かでございます。  結局この名称の違いというのは、それぞれ船舶は船舶の安全、それから郵政省無線機器の正常な発射という視点でその設備自体を法体系の中でどうとらえるかという違いがございますし、それからその機器を、同じ郵政省なら郵政省、運輸省でほかにも使っている、こういうこともございまして、何といいますか、ある程度やむを得ない側面もあるわけでございまして、私どもとしても、このGMの方はいわばメーカーが介在するし、それから利用者というか船主といいますか、そういう方も関与されるわけでございますので、結果としてGMという新しい制度がこういうことでつまずいてしまうとか、何だ同じものだったのかというような無用な混乱が生じたり不便が生じたりというのは本意じゃございませんで、今申しますそれぞれの法体系というか、それぞれの行政体系の中でやむを得ないところは最低限として、できるだけ統一できることについてはひとつやってまいりたいと思います。相手のあることでございますので、全部運輸省の名前にしろと言われるとこれは郵政省も上がったりになりますのですが、何かその辺でいい調和点を見つけながら努力をしてまいりたい、こう思っております。
  72. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それは確かに相手のある交渉ですから、全部譲っちゃうということを申し上げているのじゃないのです。話し合いです。なるべく統一できる方向で努力をする、もう極めて単純なんですよ。  郵政省の方は「捜索救助用レーダートランスポンダ」、運輸省の方は捜索救助用というのを外して「レーダー・トランスポンダー」、この違いは何か。これは郵政省の方があえて「捜索救助用」と頭に乗っけたんです。これは違うことを目的にしているんじゃないですか。レーダートランスポンダーでいいのに、運輸省が「レーダー・トランスポンダー」ときたらば郵政省としては違う呼び名をつくらなければまずいとわざわざ頭に持ってきたんじゃないですか。そういう意識が根底にあって自然発生的に、自然発生的じゃない、もう起こるべくして起きている現象がこの二つの呼び名ということじゃないんですか。だから、一つ機器二つの呼び名はやはりおかしいという発想で事に当たるべきだと思うのですよ。それが一つ。  それから、船舶は陸上保守、海上保守それから二重化、こういう三つのうち、外航船に関しては二つ選択ということになりまして、外国の港へ入って保守契約によって保守をする、こういうことが往々にしてあるわけですね。ところが、プレートに英語が入るのを運輸省は絶対だめだ、郵政省は入っても差し支えない、こういう立場なんです。国際化がどんどん進み、外国の港も入ります。これは何の機械だかわからないというのじゃしょうがないんで、万国共通の英語読みでプレートができるようにしよう、これは時代の要請だと思うのです。運輸省との話し合いで、漢字じゃなきゃだめだとかあるいは片仮名じゃなきゃだめだという発想はぜひ改めるべきだと思うのです。プレートにこだわるのですけれども、プレートは、銘板というものは端的に背景にある検査の二重のもう大変なことやら何やらを象徴する一つなんですよ。いかがですか。
  73. 森本哲夫

    森本政府委員 機械の名前と言えば、私ども日常使う際は単純な機械の名前でいいと思うのでありますが、法令上義務づけなきゃならないとか設置を強制されている機械というのは、何が国民にとって、具体的にその機械は何だということが、だれが見たって明らかにする必要があるわけでありますから、当然法律用語というのは他と識別が可能なように、ほかに同じものがないようにせざるを得ないという点は一つあろうかと思うのであります。  それで、今レーダートランスポンダーの事例をお引きになりましたが、船舶安全法では端的には「レーダー・トランスポンダー」一本で確かにいいようでございますが、私どものGM関連で「捜索救助用レーダートランスポンダ」と名前をつけましたのは、実は別に同じ「レーダートランスポンダ」が航空機用にあるわけでございます。それで、したがって、単にレーダートランスポンダーとしたら、航空機の問題どこのGMで備えなければならない問題とが外見上は同一のものになってしまうという問題がございまして、確かに変だねとおっしゃいますが、私ども一応こういう必要性があって区分をいたしたわけであります。  ただ、これに含めていろいろなことがあるぞということでございますので、さっきのようなスタンスでさらに共通名称ができるかどうか、ひとつ大いに努力をしてまいりたいと思いますが、ただ得手勝手にとか、私ども存在を主張したいためだけだというふうに考えていただくと、これはちょっと大変残念なことだと思うわけであります。
  74. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 建前はちゃんと承知しているのですよ。だけれども現実にこんな違いなら用語の統一をしたらどうなんだろうというのが一般の感覚ですよ。だから、郵政省立場はあると思うのですよ、電波法からくる立場なんですから。ただ、さっきも申し上げたかと思うのですが、郵政省が「デジタル選択呼出専用受信機」、運輸省が「デジタル選択呼出聴取装置」、聴取装置か専用受信機かという違いなんです。これもやはり統一できる感じですね。だから、建前は建前、法律が違うこともよく承知した上です。銘板が二枚になることを一枚にするのだという発想で話し合いをぜひ進めるべきだと思います。  なお、型式検定、型式認定、GM関連の機器について電波法関連で厳重な検査をやりながら、船舶安全法上また同じ目的で同じような検査をやる。これは両者の話し合いによって、電波法に基づくデータ整理をしたならば向こうはやらなくて済む、こういう形にすべきではないか。この話し合いをぜひ進めるべきだという主張をいたしました。その後話し合いは進んでいるのでしょうか。
  75. 森本哲夫

    森本政府委員 重ね重ね同じような視点での御指摘でございまして、確かに先生からの御指摘ございまして、できるだけ関係者の負担を減らそうということで、御承知でございましょうけれども、レーダーにつきましては、運輸省と郵政省との間は相互承認を前提にいたしまして、運輸省の行う型式承認にその機器が合格しておれば郵政省の行う型式検定は不要にする、こういう格好の措置をもう既に実施をいたしました。  それから、去年の秋になるわけでございますが、秋以降の扱いが始まりましたこのGM関連の機械につきましては、要するにデータの活用ということが一つ考えられるということで、郵政省の型式検定をやります際には、運輸省がもう既に先にやってしまってその型式承認のときのデータが 使えるというのがあれば、使えるような格好で郵政省が性能試験を行う、こういうようなことも既に始めて、全体として簡素化で、その限りにおいて関係者には大変好評のようでございます。  先生の御指摘のおかげでございますが、GMというのは諸外国でも共通のシステムでございますので、さらに諸外国ではどんなことになっているかということも見きわめながら、運輸省との間ではできるだけ密接な連絡をとって、適切な対処ができるように、さらに今後ひとつこの面でも頑張ってまいりたいと思います。
  76. 渡辺秀央

    ○渡辺(秀)国務大臣 承っておりまして、実際日本の縦割り行政の一面と二重行政的な一面も、正直申し上げまして、先生と同じような感触で私も聞いておりました。  この電波法電波利用法という新しい今回の法律を御審議いただくのを契機にしまして、これはぜひ私も運輸省の方とも、大臣とも話をしてみよう。もっと平たく言いますと、実は閣内でも、例えばもう一つ一皮むいた話が、法律でも眠っている法律もあるのです。全然利用していない、もう使用済みの法律がそのまま生きているのですね。そういうこともありますので、実は話し合いをしております。  それとこれとは若干違いますが、しかし現実一つ機器二つの呼び名、二つのネーム板をつけなければいかぬというようなことは先進国としていかがなことかという感じがいたしますので、事務当局に積極的にひとつ話し合いを持ってもらうように私からも督励をし、また運輸省だけであるのかどうなのか、そこら辺のところももう一度よく当局と話し合って、御意思に沿って努力をしてみたいと思いますので、御了承を願いたいと思います。     〔松浦(昭)委員長代理退席委員長着席
  77. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 次に、マリンVHF、国際VHF、プレジャーボートがいよいよ使えるようになったいわゆる百五十メガ帯の周波数帯について伺いたいと思います。  六月中に瀬戸内海の海岸局ができ上がって、開局に向けて現在急ピッチで進んでいます。今シーズン、一年の中で二カ月ぐらいしかプレジャーボートのシーズンはないということで、もし間に合うというような形であれば非常に有効だと思います。いまだに型式検定の検定規則ができていない。これは一体どういうことなのか。見通し、また海岸局の免許、これをいつ免許するのか。新聞報道によりますと、既に申請は出されているということでありますので、これを伺いまして、質問を終わりたいと思います。
  78. 森本哲夫

    森本政府委員 私どもとしても、いわば国際VHFはもともと大変厄介なシステムでございますが、最近のレジャーブームあるいはリゾートブームというようなことで、その中で安全に、快適にレジャーを楽しんでいただこうということで思い切ってマリンVHFというものを提案をし、成案を得まして、その後準備を進めてきたわけでございます。これにのっとって、例えば香川県で初めて申請があるというのは、御指摘のとおり近くその海岸局についての工事を完成したいというようなことでございます。  これは国際VHFでございます以上、やはり当然それなりのきちっとした型式検定というものが必要でございますので、省令の改正を合いたしておりまして、近く官報掲載をやりたい、今月中には何とか可能になると思います。  提案してから多少時間がかかりましたが、やはり国際VHFという重要な周波数を使う以上は不正使用というものを極力防止しておかなければならないという問題で、先ほどから議論いたします不法電波とか不法なオペレーションというものがないように、必要な場合に機器の特定を行うための自動識別装置、ATISという言い方をしておりますが、これを技術基準につけ加えておく必要があるというようなことがございまして、若干時間がかかったわけでございます。今のところ、この型式の関係あるいはメーカーの関係もほぼ準備が終わっておりますので、七、八月ごろにはシーズンを迎えまして、マリンのVHFの導入には支障はない体制になっているものと考えておるわけであります。
  79. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 終わります。ありがとうございました。     —————————————
  80. 谷垣禎一

    谷垣委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本放送協会副会長・技師長事務取扱中村好郎君及び日本放送協会理事堀井良殷君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 谷垣禎一

    谷垣委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  82. 谷垣禎一

    谷垣委員長 次に、上田哲君。
  83. 上田哲

    上田(哲)委員 今改正案を、言論、表現の自由を中心質問したい。  今改正案は制度の創設であります。明確な理論性を議事録上にとどめなければならない。制度の本旨は、電波利用に対する法制による料金制度導入である。郵政省は、電波に固有な属性の一つである表現の自由と法制関係をどのように理論づけていますか。
  84. 森本哲夫

    森本政府委員 電波は、もう改めて申すまでもないことでございますが、通信とか放送とかというメディアを通じまして、高度情報化社会について必須の手段でございまして、しかも、最近の動向を受けて非常にその分野の利用が増大をいたしておるわけであります。これは先ほどからも議論になっているところでございますが、ただしこの電波は有限な資源である、希少性がある、しかも混信を排除しなければ使い物にならないという、他に類を見ない一種の自然資源、天然資源でございますので、事柄の性質上、この電波をできるだけ公平にかつ能率的な利用をしてもらうため、そしてまたこれが公共の福祉につながるよう、電波法上必要な電波監理というものを行っているわけでございます。  今お話しのこのメディアを、新聞とかラジオあるいはテレビとか、そういう言論報道機関においても電波利用というのはここのところ大変急激に伸びておりまして、私ども今のデータでは、ちょっと古くなりますが二年度末では、NHKの無線局全体で二万五千、民放放送事業では約二万七千になっておるわけでありますが、いずれにしてもこうした電波利用について、いろいろな障害が起きることを防止をして、そして我が国情報化の進展に誤りなきを期したい、こういう趣旨でございまして、それには社会的コストがどうしても伴うものでございますから、一定の費用負担というものを免許人にお願いしょう、こういうことでございます。  私どもとしては、こうした効果によって通信あるいは放送関係者が、いわばこれまで手薄であった無線局の混信という弊害から免れる、そういうための施策だ。同時にまた、あるいはコンピューターの導入によって免許の処理期間を短縮しよう。そういう意味で、通信あるいは放送関係者が新規サービスだとか新しいメディアの確立についてできるだけ期間が短縮できた形で行えるようにしたい。  いずれにいたしましても、そういう意味で、お尋ね国民の表現の自由とかあるいは報道の自由には、一定の負担を願う結果それなりの寄与ができる、資する、こういう制度になっているものと考えておるところでございます。
  85. 上田哲

    上田(哲)委員 まことに理路低劣でありまして、承る限りでは、一に混信の防除、二に利用の効率化、三に利用者負担ぐらいの説明しかなかったわけで、言論、表現の自由に対するあり方はいかにという理念は欠落をしていると言わざるを得ません。  もう少し具体的に聞きますが、表現の自由と料 金制度関係をどのように理論づけていますか。私は理論づけを聞いておるのです。
  86. 森本哲夫

    森本政府委員 こうした制度を御提案申し上げまして、先生の御指摘は、それが表現の自由にどういう影響を及ぼすのか、あるいは表現の自由を妨害しないのかということについての、現在の制度がどういうふうな形になっているかというふうに解するわけでございますが、私ども上しては、こういう負担をお願いして、その負担していただいた経費がどこに使われるか、何に使われるか、それから負担額が行政の恣意によって増加していくということであってはならないので、これの負担について公明あるいは透明性が確保できるようにいたす、さらにまた全体の手続を透明性が持たれるようにいたしたいということで、現在法案でお願いをいたしていますように、利用額の法定化その他特定財源化、あるいは法律において使途を明確化という形で全体の仕組みを構築したつもりでございます。  もちろん、この関係に招きましては、あらかじめ、先生の御指摘のような電波関係者は、通信の事業者もおれば放送あるいは言論という関係者も多々いらっしゃるわけでございますので、各般にわたる言論機関等についても、いろいろこの制度の創設について御意見をお伺いして、今申しましたようなことを十分注意しながら制度を創設しなきゃならぬということで今回の御提案をさせていただくような次第になったところでございます。
  87. 上田哲

    上田(哲)委員 一口で今の話を聞くと、つまり金が取りたいという言葉になるだけなんです。制度の創設なんですから、とりわけ法制の一部改正に基づいていかなる保護法益があるかという点が法理論的には議論されなければならないはずであります。今、最後の言葉を承りますと、放送もあれば通信もある、保護法益は一律でないということを言われたように受け取ることになります。  しっかりした議論をしたいと思うので、ではもう少し突っ込んで聞きますが、受益者負担制度の理論的根拠、それと言論、表現、報道の自由との関係をどう理論づけますか。
  88. 森本哲夫

    森本政府委員 先ほども触れさせていただきましたが、電波免許を受ける方というのは非常に希少な資源を他に優先して、免許を受けることによって他の人の使用を排除いたしましてその電波の発射する目的に沿った形で運用をしていただいておる、これは放送、通信含めてのことになると思うのでありますが、しかしそういう結果、他の者の電波利用を排除して特定の周波数を、いわば独占的といいますか、その周波数帯に関する限りはこれを安定的な格好で使用いたしておるわけでありますので、このような免許人周波数の利用を確保するために必要となる社会的コスト、これの負担をだれがどういうふうにしていくかという点が基本的な問題かと考えるわけでありまして、この辺は免許人免許人以外の方との公平という問題が大事になってまいります。  先ほどから話が出ていますように、今非常に急激に電波利用がふえてまいりまして、電波利用の安定的な確保を図るには、今まで以上に急激な社会的コストの増高ということも出現してまいりました。そこで、今回御提案申し上げるような形で、しかもその御負担については、国会も関与していただく中で透明性を確保し、行政の恣意に流れることのないような負担制度を創設させていただく。この結果、今お話しの言論、表現の自由との関係ということになるかと思うわけでありますが、今十分ではございません。混信の問題に関して監視の施設を充実して、報道機関等が御利用になる場合に、無線局の混信という非常にマイナス面を除去して、いわば弊害から保護をするということになります。  さらにまた、今不法無線で、受信者側に立ちますと、国道沿いなどで……(上田(哲)委員「その辺はいい」と呼ぶ)はい。そういう問題で受信者も混信から保護される、こんな問題もございます。  さらに、先ほども触れましたが、もう一つのコンピューター導入による免許処理期間の短縮等行政事務の簡素化、迅速化というような形で、言論報道機関がメディアとして電波を有用に使えるという効果が言論、表現の自由に寄与する、こういうふうに整理できるかと考えるわけであります。
  89. 上田哲

    上田(哲)委員 そういうふうには整理できないのです。あなたの答弁では結果としては言論報道機関にも法益が及ぶという。そういう議論は今していないのです。私は言論報道機関とこの制度創設との原理の関係を聞いているのです。そこに絞ってきちっと理論体系を構築してもらいたいとあらかじめ提起しておいたのだが、まるでそこに伝わってくるものがありません。しきりに話が拡散してしまうのだが、絞って、整理してお伺いすることにします。  通信と報道機関とはという言葉がありましたからもう一遍そこを聞きますが、そうすると、つまりこの一部改正、新しい制度創設による保護法益は一般通信と言論報道機関とでは違うことになるのですね、差異があるのですね。
  90. 森本哲夫

    森本政府委員 これは冒頭に申し上げておく必要があったかと思うのでありますが、電波利用者というのは、御指摘のように通信もございますれば放送もございます。さらにまた自営の業務で、例えば電力事業を安定的に営む音あるいは消防のように人命救済あるいは身体、生命、財産の安全等を担当する方もいらっしゃいます。すべての無線局を通じてすべての無線局免許人にいわばはね返るような利益の確保を目的として、その共益費的な形での御負担を願おうというのがこの制度の趣旨でございます。  その中で、今お尋ねのような報道機関との関係いかんということでございますので、私、いわばその部分を切り出して御説明を申したつもりでございますが、そういう意味では、免許人の受ける利益はこの制度によっては各機関均等である。何に使うかということにウエートがあるのではなくて、無線局という属性に照らしてみて均等なような、あるいは無線局各自がどうしても今後安定的な形で電波を利用する上で不可欠な法益というものを均等に受けていただこう、これが今回の電波利用料制度でございます。
  91. 上田哲

    上田(哲)委員 繰り返しますが、絞っている質問ですから、どうぞ拡散しないようにしていただきたい。あなたは負担問題を言っているのです。法益の問題を言っているのじゃないのです。いいですか。私はお尋ねしているので、主張しているのじゃありませんよ。  今おっしゃった例をそのままとれば、消防、防災などの部面と表現、報道の部面上全く一律な対象として考えるのか、差異があるのか、少しずれるけれども、改めてそれに答えてみてください。
  92. 森本哲夫

    森本政府委員 電波利用料によって行う施策というのは大きく二つございまして……(上田(哲)委員「そっちはいい」と呼ぶ)はい。ですから、その結果受ける法益については、免許人にひとしく均等に返るというものであると理解をいたしております。
  93. 上田哲

    上田(哲)委員 一律だと、じゃ、そこから議論を進めましょう。  そうしますと、今法益と負担との混乱の説明が見られたのですが、整理していきます。いいですか、私は一般論じゃなくて、言論報道機関の話に絞っているのですから、もうここから先はちゃんと絞って答えてくださいよ。  そうすると、言論報道機関に対する料額の決定の基準は何なのですか。おっしゃるように一律論なのですか。他の電波利用者との基準に差異はあるのですか、ないのですか。
  94. 森本哲夫

    森本政府委員 そういう意味では他の免許人と言論機関との間に差異は設けてない制度でございます。
  95. 上田哲

    上田(哲)委員 もう一つ。  そうすると、徴収された電波利用料金の使い道、使途は、あなたが言う今までの一般通信と言論報道機関とでは違うのですか。
  96. 森本哲夫

    森本政府委員 この利用料として集められた経費の使途も無線局の目的いかんによっては違いは ございません。
  97. 上田哲

    上田(哲)委員 料額基準も使途も一律という考えで進めてきたという。  ところが、具体的に見ますと、じゃそれぞれの料額の決定は、少なくとも出てきた料額はまちまちですから、どういう基準から出てきたか。そういうことになると、その説明は非常に難しくなるのです。時間がありませんから、それは次の各論に移りますが、少なくとも今までの説明ではすべて一律である、法益も一律を目標とし、そのために負担も一律とする、集めた金の使途も一律である、こういう説明になるのですが、まず負担には当然差異が出てきているわけです。その辺のところは実情的にはそうはいかない。  まずそこを押さえた上で、各論に入りたいと思いますけれども、ちょっと言論報道機関以外に範囲を拡大すると、例えば横並びの省庁がありますね。横並びの省庁の料額徴収というのは、まず料額の決定から大蔵省が決める。つまり官庁側の基準でやるわけですね。それはあなたの言われるような一律基準で進んでいますか。
  98. 森本哲夫

    森本政府委員 電波利用料の額というのは、これは何に使うかということとの関連におきまして、さっき申しましたように、ひとしく無線局の共通の利益になるような形の経費として負担願いたい。具体的に、委員がさっき不要だとおっしゃいますが、一つは、混信の防止、不法対策ということでございますので、これは局の規模、大小を問わず、その受益は共通であろうということで均一にいたしております。  もう一つの、コンピューターによる無線局管理ということになりますと、無線局の中には、非常に規模の大きい無線局もありますれば、非常に出力の小さい、占有している周波数も極めて小さい、そういう無線局もございます。そこで、そこにつきましては、データベースに入力するには、それなりに規模の大きい無線局がそれなりに多大の負担が全体としてかかってしまう、規模の小さい無線局は小規模なコストで済むということに着目いたしまして、全体の無線局を九つに分類をいたしまして、そうしていわば費用負担の公平を図って御負担を願おう、こういうことにしておるわけでございます。これが前段でございますが……
  99. 上田哲

    上田(哲)委員 そんなこと聞いてないのです。答えが質問と違うから、もう一遍言いましょう。  運輸省が使う、文部省が使う電波料料金については、これはテクニカルの問題だけれども、大蔵省が一括して決めるわけですね。その大蔵省が決める基準が何かということが、それ自体大きな議論になるのですが、少なくとも郵政省が決めるのじゃないでしょう。例えば、例として余りぴったりこないけれども、幾ら国だって、酒やたばこの値段は役所だけ別の料金を決めるというわけにいきませんね。電波の利用料を大蔵省だけが勝手に決めて、各省庁分を一括して財源処置をするというようなことは、言ってみれば、自分たちの料金は自分だけの基準で決めるということになる。  そういう部分を一つだけ、あえて取り上げるのだが、一律だ一律だとおっしゃるけれども、一律だと言えるような基準が適正化されていないという問題はいっぱいあるわけですよ。私は、言論報道機関に対するものは、法益において、あるいは料額の決定や使途その他において差異を設けるのか設けないのかということを設問したが、設けないと言われるから、設けないという立場から議論を進めるのですが、一律とは言えない状況存在しているじゃないかということを指摘するにとどめておきますよ。  その上で先に進めるのですが、もう一遍言論報道機関に絞ってお話をしていくから、そういう面で答えてください。  一般的に心配されているところも、この新制度は、監視とか取り締まりとか、先ほど来よく言われる。しかし、監視取り締まりという権限が郵政省に授権され、ここに料金徴収制度の創設が一緒になってきますと、郵政省に権限の拡大、そしてそれが言論報道機関への介入のおそれが高まってくる。この問題は当然に懸念されるところです。時間を省きましょう。郵政はそんなつもりはありませんと答えるに違いないし、このことで長い時間とられては困るから、大臣から、そんなことはありませんと一言先に聞いておきましょう。一言でいい。
  100. 渡辺秀央

    ○渡辺(秀)国務大臣 上田先生のおっしゃるとおり、全くそんな意図もございません。また、懸念のないようにやってまいります。
  101. 上田哲

    上田(哲)委員 そこは当然なんですが、それでも懸念しなければならないのは、新制度は、電波の高度情報社会の位置づけの高まりと公共の福祉の増進を理由だと言っているのですが、一般に、電波割り当ての許認可というのが、業界への影響力の拡大という懸念をもたらします。これに利用料金制度が加味されると、行政の恣意的な料額の運用ということも出てくるのではないか。行政の恣意的な料額の運用によって、郵政省に頭が上がらぬというようなことになっていくということもやはり心配しないわけにはいかない。大臣の一言で、私はそこはしっかり押さえて前へ行くことにするんだが、制度的には十分かどうか、これも時間の問題で細かい議論をここではしません。制度的には大丈夫だと、胸をたたければたたいてみせていただきたい。議論を先に進めます。大臣
  102. 渡辺秀央

    ○渡辺(秀)国務大臣 先生は重々承知しておられて、今後のことを御心配されての非常に細やかな御質問を御指導の中にいただいていると受けとめさせていただいて、ちょっと御答弁させていただきますが、要するに、私昨年の予算折衝のときに、電波を今現在利用し、そして言うならば受益者、その人たちが今後の電波に対しての責任、そしてこれをさらに発展させるための今日的混乱と、そしてある意味では今日的な混乱を招かないように整理をしておく必要がある。  したがって、今の電波に関して、今現在出されている電波とその利用している人たちは、それはひとつぜひ御料金をいただきましょう。しかも過重な負担にならないように。しかし、これはやがて今の電波で、議論が出ていますように、とても足りない問題点がある。いわゆる電波の資源開発という課題はある。それは言うならば国民全体の、今後のこれからの国民に対する課題でもあり、問題で、将来の子孫に対することでもあるので、これはひとつ一般会計で見ましょう。実は先生、こういう理論構成になっておるわけであります。  したがって、私は、この一般会計から、これからの電波の資源開発に関する、研究開発に関するそれらの問題に関しては膨大な費用が必要ですよ、大蔵大臣おわかりですね。郵政省の資金の規模というのはどれくらいか。それを相当上回る、今現在の予算を上回るような予算規模で新しい電波の資源開発あるいは研究開発をやっていかなければならないという時代に直面している、そのことを御承知いただいて、今現在の電波の監理システムあるいはまた監視、そしてスムーズな電波利用ができる体系をつくっていきたい、こう私は申し上げたのです。ちょっと余分になりましたが、御理解をいただいた上での御指導をいただきたいと思います。
  103. 上田哲

    上田(哲)委員 ちゃんと責任を持ってやるという言葉を重く受けとめて先に行くのですが、これまでの事前の郵政省の説明では、今回の一部改正、新制度の創設の中にはまだ検討が間に合わなかったものもあるということでした。例えば製造販売規制する立法例の保護法益は、人の生命、身体の安全、健康の保護といったものがほとんどであり、不法無線機器の製造販売規制はこれと比べてバランスを欠くのではないかとの見解がある。郵政省は、事前のその指摘に対しては、他の立法例との整合性にバランスを欠くものがあったという点で検討が十分間に合わなかったという説明がありましたね。そうですね。だから、後に残すという問題もある。これは検討を続けるということですね。
  104. 森本哲夫

    森本政府委員 今先生お話しになりましたように、非常に難しい要素がございます。国民の権 利義務の制約にかかわる問題でございますのですが、引き続きなお検討を続けていきたいという状況にございます。
  105. 上田哲

    上田(哲)委員 だから、欠けるところもある、そこで今後も検討を続けるという。  そうすると、その残っている検討点の中を私はぜひ問題にしておきたい。再び強調しますが、言論報道機関に関するものに絞っての質問をします。きょうはここに民間放送連盟と日本放送協会の代表を参考人として出席を求めましたが、民放連の方はどうしても都合がつかないということで事前の御説明がありましたから、NHKだけに問題を絞ります。  私は、NHKとは、放送法に基づき報道の自由を保障されている極めて公共的な性格の特殊法人であると理解します。こういうことからすると、今回の電波利用料は免除をすべきものだと考えるのです。これまでの説明だと、NHKと郵政省の間では水面下で長い話し合いがあったようでありまして、三億円というところに落ちついたという現況があるようです。私は、当初二十億円、やがて十五億、十億、そして三億円になったからまあこの辺でいいやという話とは違うだろうと思うのです。元来、こういうものは適当な金額で折り合って、そのかわりに見返りをどうするということではなくて、NHKは放送法の趣旨に基づくあり方からして、金額の多少でなく、これは性格上取られるべきものではないという立論があってしかるべきではないか、こう思っています。NHKはこれについてどう考えていますか。
  106. 中村好郎

    ○中村参考人 NHKといたしましては、電波需要の増大の動向でございますとかあるいは電波利用料に関する世界の趨勢からいいまして、この制度の創設につきましては、当初から必ずしも否定するものではないという立場に立った上で、あまねく全国放送を普及することを使命として設立され、全国放送局を建設し、良好な電波を届けるべくおのずから受信環境を整備してきたNHKの公共的な性格に照らして、負担については慎重な検討を要望してまいったわけでございます。  しかしながら、長い間の郵政省とのいろいろな交渉経緯の中で、この電波利用料の基本的な考え方につきまして、これを利用する者について平等に負担をするという精神を私どもも理解をいたしまして、負担額につきましていろいろまたお話し合いをしてきたわけでございます。その結果、先ほど先生お話しになられましたような年間約三億程度というようなことでお話を承っております。しかし、私どもといたしましては、貴重な受信料からの財源で運営しているわけでございますので、受益者負担として負担をした電波料の分につきまして相応の受益の還元をしていただきたいということをただいまも要望してきているところでございます。
  107. 上田哲

    上田(哲)委員 今の答弁はまことに不満ですな。十五億円じゃ困るけれども三億円ぐらいならいいだろうという話とは違う。つまり受信料制度に対する電波利用料の立論のあり方が違うということを主張すべきではないか。どうもやはり郵政省は怖いものだから、どうだい二十億円と言われて、困ったな、十五億円、それも困る、三億円、それならよかろうということではいかがか。郵政省が圧力を加えたといったら正確でないかもしれないが、NHKは、日ごろ郵政省に対しては強いことは言えない立場だから、これぐらいにまけてくれたらもういいんじゃないかというところで折り合うようなことがあってはならぬ。私はそのことを言いたいのですよ。郵政大臣もうなずいておられるからこれは心強い。私はここは放送法と電波法関係についての立論の問題だと言っておるのです、郵政の味方をしないとかNHKの味方をするとかという次元ではありません。  立論のあり方として、NHKは放送法に基づいて受信料を徴収している。受信料制度の論拠は、営業利潤を追わない公共放送性の財政基盤論にあると思います。いいですね。その受信料から電波料を受益者として徴収するということは、受信料の非利潤性を否定することになります。ここがポイントなんです。さっきから一律だとしきりにおっしゃっている。法益の差異は認めないということになり、それが負担の差異もないという一律性が強調されている。そういう中からすればこういう負担優先論になってくるのでしょう。しかし、大きく言えば言論報道機関、とりわけ放送法に基づいて設立されているNHKの受信料の性格から見ると、これを受益者という一律性の中で徴収するということは理論的におかしいのではないかということを私は追及したいのです。
  108. 森本哲夫

    森本政府委員 この利用料というのは、先ほどからの繰り返しになるようで恐縮でございますが、電波の安定的使用を確保するために電波免許人にいわば免許人全体の利益に返るような経費の御負担を願おう、こういう制度でございますので、原則としてすべての免許人にその負担を願う。その受益という意味合いは、免許を受けたその電波の使用目的が十分に達せられるような、そのことが受益だということでNHKにも免許人としての御負担をお願いしたわけでございます。
  109. 上田哲

    上田(哲)委員 非常に危険を含む解釈です。この受益者負担がなければNHKは放送の十分を期し得ないという解釈を放送法に持ち込むことになります。
  110. 森本哲夫

    森本政府委員 現在の状況では、不法無線がいろいろ妨害をいたしておりまして、テレビの受信者に対して不法な過大な電波を発射して良好な受信を妨げているという事態もございまして、これも今回の措置によりまして、できるだけ迅速で的確な監視を行って受信者にとっても良好な受信状態構築しようということにもなりますので、そういう放送法が設けられた、NHKが設けられたその趣旨を侵害する、あるいはその趣旨についてその本義を損なうような制度では決してないというふうに私ども理解をいたしておりまして、先ほど副会長がお話しのありましたような形で御負担をお願いしようということであります。
  111. 上田哲

    上田(哲)委員 放送法は、受信料という唯一の基盤の上での電波放送を無条件な形で保障しているのです。条件づきの放送ということにはならない。そこに新たな条件として混信妨害電波の排除という名目で、他の法律の基準による料金徴収の条件をつけなければ全き放送ができないという解釈が挿入されてくることになってはならない。放送法は、他の法律によって保障される法律ではなくて、憲法から発する全法体系の中で放送の純粋性が保障されているはずです。こういう立場からいうと、にわかに他の法体系によってこうした立論がなされるということは極めて危ないというふうに言わざるを得ません。  具体的に言いましょう。例えば防災無線、これは何で免除されるのか。抽象論は困るから根拠法を言ってください。
  112. 森本哲夫

    森本政府委員 防災無線は、災害対策基本法によって設置をされている無線局でございます。
  113. 上田哲

    上田(哲)委員 NHKも災害放送をいたします。NHKの災害放送も同じく災害対策基本法の規定に基づいて行うものであります。一律というならば、この無線局が何で除外例になるのか、つまり、一方は免除され、一方は免除されないのですか。
  114. 森本哲夫

    森本政府委員 地方自治体の防災を免除いたしましたのは、この無線局が、この法律の百三条の二第二項、第三項にも記述しているところでございますが、消防、水防、その他防災上必要な通信を行うことを目的として地方公共団体が開設いたします無線局は、他の無線局と異なりまして、地方公共団体が専ら国民の生命、身体、財産を災害から保護するための、そのための法的な任務を遂行するために設けられた無線局である。同時にまた、さっき申しました災害対策の見地から、自治体みずからその設置をすることが法律上不可欠になっておる。こういう視点で、この地方公共団体の防災関係無線局というのは、目的において異なっておる。  確かに、先生指摘のように、NHKも、公共放送としてこの防災情報の伝達には極めて有効な役割を果たしておることは、これはもう御指摘の とおりだろうと思うのでありますが、ただいま申しましたように、専ら国民の生命、身体、財産の安全の確保を目的とした無線局とは、その性質が異なるものだろうというふうに考える次第でございます。
  115. 上田哲

    上田(哲)委員 甚だしく牽強付会であります。目的達成に不可欠だとあなたは言われる。目的達成に不可欠だということがこの補完解釈であるならば、NHKの防災放送というのは国民の生命、安全を図るために不可欠だとあなたも言わないのですか。NHKは十八時間に及ぶ放送をしていますから、十八時間全部を防災に使うはずはありません。しかし、例えば単一目的ダムと多目的ダムの例のように、その一つの目的を別なものとして区分することはできないはずです。国民の生命、財産の安全を災害時に図るために放送の果たす役割というのが、しかも同じく災害対策基本法によって行われるという立場においては、そのためのみに設立された小範囲の無線施設の内容とNHKと、選ぶところはないはずではありませんか。一律性という立場からいったらおかしいではありませんか。理論的には成り立たない。
  116. 森本哲夫

    森本政府委員 お話のように、本来の目的があって、災害時にその持てる特性を生かして、災害情報の伝達あるいは災害の予防に大きな効果があるということは、これはNHKの場合もしかりでしょうし、あるいはNTTのような電気通信事業者、あるいは東京電力というような電力事業者、こうした事業者も、本来の目的のほかに、いざ緊急事態が発生したときに果たす防災上の役割というのは、これは同じであろう。ただ、違いますのは、地方公共団体が設置いたします無線局自体の目的は、その防災、災害予防のみを目的とする、そこが違うということを先ほどから申し上げておるところでございます。
  117. 上田哲

    上田(哲)委員 これは無理ですよ。事業主体別に一律論の除外例を言い立てるのは、論理的には成り立ってない。先ほど来、まだ不整合なところがあるから検討すると言われるんだから、それ以上はちょっと待ってもいいのですが、基本的な問題はどこに来るかというと、電波の公共性についての議論が足りない。放送法によって規定されている受信料の非受益性、これを他の法律である電波法によって否定してしまう、こういうことは電波法による放送法の否定でありまして、電波法放送法との法体系の二律背反を生むことになるんです。これは法体系上の矛盾です。  いいですか。放送法を貫徹しようとすれば、電波法が邪魔になるんです。電波法のこの部分を貫徹しようとすれば、放送法は譲らなければならない。法体系上の理論整備ができていないんです。だから、先ほど来言われた一律性論というのも、そこで理論的に破綻してしまうことになるし、差異を設けるというなら、また差異を設けるという理論構築は大変な問題になってくる。郵政省が大福帳からどんぶり勘定で始まっていたこれまでのあり方をコンピューター化するなどということ、あるいは高度情報社会に即応するというふうな目的意識の中で、この程度のことが混乱をしたまま、弱いNHKにどうだといって、NHKもまた十億が三億にまけられたからいいところだろうなんということで、受信料の中の一円分しか負担にならないのだからなどという説明では、私は、放送法体系の基本を失うことになると思う。この理論的整合を示してください。これは、政府のもう少しく高い次元の統一見解がないと困る。基本に触れることになります。  繰り返しますが、言論報道機関と新制度創設の問題に絞って聞いているんですから、その部分について、郵政は答えられないと思うのだ、私は。その法体系の二律背反についてどのような整合を図るかということを検討すべきだと思うのだが、いかがですか。
  118. 森本哲夫

    森本政府委員 先ほどから放送法からの問題提起がございますが、確かに先生指摘のように、NHK自体は視聴者からの受信料で成り立っている特殊な法人には違いがございませんが、同時にNHKは、他の機関と同じく一つ社会存在として、各種の手数料であるとかあるいは租税だとかというような負担をしておるものだと理解をいたします。  現実に、現行法の電波法でNHKが新たに放送局を設置したいといったときには、免許手数料というものはこれまでもちょうだいいたしておるわけでございます。今回の、共益的な一種負担金ではございますが、これも、一対一に対応する従来のような手数料ではございませんが、全体として共益的な形で御負担をいただくという意味では手数料の一種でございますので、そういう意味では従前の御負担とは特別の差異はないもの、この結果、こうした先ほども触れました受信者が良好な状態で受信できるということになれば、むしろ放送法の目的にも合致する、あるいはその方向に行く制度であろうというふうに解しておるところでございます。
  119. 上田哲

    上田(哲)委員 ちょっと、これはとんでもないことです。これはとんでもないことだ。NHKが新たな施設をつくろうというときに、共益費であるとかさまざまな共益費的負担が行われるのは当然であります。  しかし、電波自身の利用料とは違いますしきりにお話しになるのは、混線であるとか不法電波妨害であるとかを排除するためだ、十分な放送を確保するために講ずる処置だと言う。電波本来が持っている公共性、そして、その電波に特殊な法律をもって公共放送を命じているあり方からすれば、この電波自身に利用料というものが、他の私企業、一般利用者と同列、一律な認識と基準の中で課せられるということは、法体系上、成立しない考え方整理しなければならない考え方だと言わなければなりません。  もう時間がなくてこれ以上詳しい議論ができないのは残念ですが、大臣、私はやはりここを検討すべきだと思うのです。そこで、ぜひ郵政だけではなくて内閣法制局その他ときちんと整合された見解をお出しいただきたい。あわせてNHK側からも見解を承っておきたい。
  120. 渡辺秀央

    ○渡辺(秀)国務大臣 大変大きな命題をいただきましたが、少なくとも今のこの法律を御提示させていただいてこの場で御理解をいただき、そして新しい制度に向かっていくわけでありまして、今までの、全くゼロのところから出発するわけですから、おっしゃられる各方面一あるいはまた前後左右から見回してみるということは確かに必要であろうと思いますし、またそのようにしてこの法律案を我々としてはつくり上げてきたつもりであります。  しかし、法は一〇〇%間違いないというものでもないとも思います。遺漏がないか、もちろんこれは新たな出発ですから、そしてしかもこれからの経験の中でもまた新たな問題提起もあるかもわかりません。そういう意味で、先生の御指摘を、私先ほど申し上げたように、とにかくそういう言論の自由あるいは報道の自由そういうもののいささかの懸念のないように、あるいはまた遺漏のないようにこの制度によって運用はいたしてまいります。  その間まじめに今問題提起されましたことを勉強いたしてまいりたいと思っておりますが、ぜひひとつ御理解をいただいて、この新しい時代に向けての電波の監理と運用、そして新しい電波の創設という——道路ができた、舗装しなければならぬ、あるいはまた、言うならば信号機も必要で、しまいにはお巡りさんもいなければ危ないねというようなこの過密な交通体系を見ましても、さらにそれでも交通法というものが必要であると言われる。実は私は就任したときにそういうことを申し上げたのですが、まことにアバウトな言い方ですけれども、しかし具体的にゼロから料金をいただく、それが今言うような新しい制度の中でお金をいただいて、そしてそれを目的を達するためにそこに対する原資としてすべてを使わせていただく、こういうことでありますから、ぜひ御理解をいただいてこの新たな創設の出発をひとつ御指導の中で御了承賜りたいと思うわけでございます。  大変大きな課題と、そして言うならばそう余り 長い期間許されない問題提起をいただいたと認識いたしますので、よろしく御理解を賜りたいと思います。
  121. 上田哲

    上田(哲)委員 結論として、放送法と電波法にかかわる政府統一見解を出していただく、これをお約束いただかないと私はこの法案に賛成いたしません。
  122. 渡辺秀央

    ○渡辺(秀)国務大臣 御趣旨に沿って努力いたします。
  123. 堀井良殷

    ○堀井参考人 私どもNHKといたしましても、公共放送立場というものを基本に、これまでもこの電波利用料制度につきましていろいろな機会に意見も申し上げてきたところでございますし、また今後のことにつきましても、もちろん公共放送といたしまして放送法に基づく自主性あるいは言論報道としての不偏不党の原則、それを守っていく、私どもはそういうことがいささかも揺るがないように努力してまいるということは当然でございまして、ただいま先生の御指摘等につきましても、今後の法案の審議も含めまして検討の推移を十分見守っていきたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  124. 上田哲

    上田(哲)委員 終わります。
  125. 谷垣禎一

    谷垣委員長 次に、田中昭一君。
  126. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 この今回新設をされる電波利用料問題については、相当何回もレクチャーなども行っておりまして大方理解をしたつもりですけれども、大切な問題ですからさらに考え方などについて幾つお尋ねをしてまいりたい、こう思っております。  まず、この電波利用料が制定をされますと幾ら取られるのか、それはどういう算定方式で取られるのかというのがやはり必要になってくると思います。したがって、まず第一として電波利用料の算定の方法について若干御見解をお聞きしたいと思います。  昨年三月に電波政策懇談会からこの利用料の問題について提言があったと思いますし、これを受けまして郵政省が、当初電波利用料算定方法として私どもがお聞きしましたのは、無線局の種別、占有周波数の帯幅、それから空中線電力を基礎として使用周波数帯などを勘案して算定をする、こういうふうに提案があったのではないかと理解をしたわけです。この算定方式が消えまして、大きく変わりまして、今回正式に提案になっておるのは、一つ不法違法電波監視と防止の費用、これは均等割で取る、そしてコンピューター化される電波行政事務費用分として、入力されるデータ量によって九つの段階区分をして料金を設定する、こういう提案になっているわけであります。  したがって、二、三点お聞きをしたいのですが、その一つは、電波政策懇談会などの提言がありまして当初考えました算定方式が、今回提案になりました算定方式になぜ変わったのかということをお聞きしたいのです。何が問題であったのかというのをお聞きしたいと思います。  それから、これももう既に議論が出されておりますけれども、今回のこの新しい算定方式で問題がないのかどうなのか、どういう問題点を認識されておるのか。例えば固定局のマイクロ局とテレメーター局との関係とか放送局の親局とサテライト局の問題とか、アマチュア局の場合でも五ワット局と百ワット局との関係、それからパーソナル局であるとか携帯電話アマチュア無線との比較では問題があるのではないかなどという問題提起があるわけです。これは、一定の大くくりで区分しますと若干の矛盾が出てくるのはもう仕方がないことだというふうには理解をいたしますけれども、この新しい算定方式で何を問題点として認識をされておるのか、これを二つ目にお聞きしたいと思います。  それから三点目は、当初の算定方式と今回新しく提案をされた算定方式では収入総額としてはどれぐらいの開きになるのか、これをお聞きしたいと思います。  四つ目、これも本会議質問いたしまして郵政大臣からの御答弁もいただいておりますけれども、私どもは、二つの手数料を一本化して電波利用負担金として国の負担と受益者負担を明確にすべきである、こういう提言を実はいたしました。この点について、御回答いただいておりますけれども、再度見解をお聞かせいただきたいと思います。  以上四つの点について、簡単にお答えをいただきたいと思います。
  127. 森本哲夫

    森本政府委員 電波利用料は、受益者負担考え方に立って免許人からちょうだいをいたそうとする広義の手数料でございますが、そういう性格を踏まえますと、利用の額の算定に当たりましては、免許人のために行われます各種の行政事務にかかります費用それぞれについて、費用の内容であるとかあるいは電波の利用形態等を勘案しつつ、原則としてすべての無線局の間で公平でなきゃならぬ、公平な負担でなきゃならぬ、こう思っておるわけでございます。  確かに電波政策懇談会では、今お話しのように、無線局の種類だとか使用している周波数だとか空中線電力とか、そういう具体的な特徴をつかまえての額の提言というのがございましたが、私どもこの考え方について全否定をしておるわけじゃございませんが、具体的な検討をいたしておりますと、このとおりよりはその考え方を、つまり無線局の規模の大小ということをやはり考慮に入れながらやらなきゃならぬ、そういうふうな精神を受けまして今。回具体的な形でお願いをしておるわけであります。  特にまた、政策懇談会では同時に提言がございまして、算定方法については、徴収主体である行政側から見てもあるいは負担する免許人の側からもできる限り簡明なものが望ましい、こういう御指摘もございましたので、今回提案をさせていただきますように、監視に要する費用については、その効果から見たらすべて免許人には均等になるだろうからこの部分は均等にさせていただく、データベースの部分に関しては、無線局の複雑さといいますか、大きさに応じてそのデータ量が違ってまいるということで、これに着目をいたしまして今回のような区分けにさせていただいたわけでございます。  具体的にこれに問題点はないかという御指摘でございますが、今申しましたような形で整理をいたしました結果、確かに個々に子細に見ますれば、こちらに入ってこちらがどうだとかいう問題も、御指摘もあろうかと思うのでありますが、今申しました、できるだけこれを忠実にやろうとすると種類をうんと細分化しなきゃならない。した結果、かえって公平の面での議論というのはまた一面出てくるという要素もございますので、今の分類でいわば最大公約数的な形で御負担願うことが望ましいのではないか。幸いにしてと申しますか、これまで明らかにしておりますような区分につきまして、大きな異論といいますか、反対論というのも提起はされない状態でございますので、大方の御理解も得られるのかと、もちろんこの区分については今後とも電波利用形態の推移というのもございますから十分注視はしていかなきゃならぬと思いますが、ひとまず今回お願いする形については適切なものというふうに御理解を賜りたいと思うわけであります。  それから三点目の、収入総額についてのお尋ねでございますが、私ども今回の具体的な金額としまして、平成五年、六年、七年のこの三年間の収入総額は二百四十億円という見込みをいたしてお願いをしておるわけであります。  平成八年以降につきましては、その時点で見込まれます無線局の数がどうなっているかとか、あるいは共益費用がどんなふうな事態になるかによって、そういうことを勘案して、必要に応じましてまた国会での御審議をお願いをしなきゃならぬと思っておりますが、現時点におきましては、今後の無線局の形態あるいは増加の見込みあるいは費用の見込み等から見て、社会経済の急激な変動がなければ、一般的なコストアップ要因を除いて今回の電波料の額の水準を維持しても予定している施策についての実施は支障がないものではな いかというふうに考えているわけでございます。  それから四点目のお尋ねでございますが、今後電波政策に必要な施策についてはもう御理解いただいているところだと思うのですが、この行政経費の費用負担という点から、今回の利用料というのは、特定の免許人というのを対象とせずに免許人全体に受益が行われる経費という形で考えておるわけでございます。  先生指摘のような現行の手数料につきましては、申請者ごとに特定の個人を対象として個別に行われる国の役務にかかわる費用負担していただくというわけでございますので、免許申請料が出されて、添えて、免許が拒否されても、これはまあ徴収するべき性質のものでもございますので、そういう意味で、この二者については中身が異なる、こういうふうに考えて今回の整理にさせていただいた、ぜひ御理解を賜りたいと考えるわけでございます。
  128. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 そこで、今御回答がございました電波利用料の算定の方法で、今後徴収されて財源ができるわけですけれども、二番目にこの利用料収入金の使途、使い方について少しお聞きをしたいのですが、提案ではこの電波利用共益費用の財源として、一つ電波監視体制整備二つ目は総合的電波監理システム整備、この二つを柱として特定財源化するということが電波法百三条で明確になっているわけです。  当初の提案では、利用料の使い方については、今申し上げました二つでなくて、もう一つあったと思うのですね。それは、周波数資源の開発であるとか周波数有効利用技術の開発であるとか、それから周波数の移行の促進であるとか、いわゆる周波数が逼迫をしている、この逼迫への対応を電波有効利用促進計画を策定をして行っていくんだ、これにも使っていくんだということが提案になったんじゃないかと思うわけで、むしろ今後移動体分野を中心とする周波数というのは急増していくだろう、こういうものに対する考え方が非常に前面に出ていたのではないかな、こういうふうに実は理解をしたわけですが、これがなくなりまして、先ほど申し上げましたような電波監視システムそれから電波監理システム、この二つ整理をされて、これに必要なお金をいただく、こういうふうに変わったわけですが、この周波数逼迫への対応という問題については、今後一般会計で処理するのかどうなのか、それはもう利用料金の使途という中からは消えてしまったのかどうなのかということをひとつお聞きをしたいと思います。  それから、この周波数逼迫への対応というのは非常に重要なことで、これが利用料を使って今後対応するということがなくなったというふうに理解を今回の提案でするわけですけれども、別途の提案では、これらの業務については電波法百二条の中で電波有効利用促進センターの業務として追加をする、こういうふうになっているわけです。簡単で結構ですが、電波利用促進センターの現状と性格、それから今回の利用料との関係が財政的にあるのかないのかを含めまして、その辺少しお聞かせをいただきたい士思います。
  129. 森本哲夫

    森本政府委員 御指摘のように、この問題のいわば母体みたいな形になりました電波政策懇談会報告では、周波数逼迫に対する深刻化、その対策はどうか、それから電波利用基盤の整備も必要だ、研究開発環境の整備充実も必要である、さらにまた国際化への対応も必要だ、各種の御提言をいただいたわけでございます。しかし、制度検討過程におきまして、やはりこういう各般にわたる部分を全部一括して盛り込むということは、新しい制度でありますだけにできるだけその内容が御理解を得やすいものでなければならぬ、それからまた、負担いただく費用とその効果というのがある程度直接目に見えるような形のものでもないと御理解がいただきにくいのではないか、こういう形でいろいろ整理をいたしまして、結果として今後急激な費用増加が見込まれ、そして免許人にとっても受益がわかりやすいという意味で今お示しのこの二点に絞らせていただいて電波利用料の使途というものを考えたい。残ります問題、今利用料の使途に含まれない各般の問題につきましては、やはりそうはいっても今後の電波利用を確保するために重要なものでございますので、今後ともその一層の充実を図るように必要な予算の確保には全力を尽くしてまいりたい、こう考えております。  それから、二点目のお尋ね周波数逼迫のための具体的な業務として電波有効利用促進センターに新しい事業等をお願いするわけでございますが、このセンターも近年の無線局利用とは決して無縁ではございませんで、非常に無線局がふえる、あるいは免許人がいろいろな方がふえる、それから無線の混信が起きる、こういう点で主として相談業務を中心にして電波の有効かつ適切な利用の促進を図ろうということで、国会におきまして昭和六十二年のことでございますが、電波法改正によりまして混信調査等についての照会・相談業務を行う公益法人として現在の電波有効利用促進センターというものが指定をされたわけでございます。この法人は、現在固定マイクロ回線とか衛星通信回線の無線局についての相談業務を行っておりまして、相当免許人の間でも有効性が認識されまして大変活用していただいておるところでございます。  ただ、今お話しの電波利用料関係という意味合いで申すならば、このセンターに業務追加いたしますことと利用料との関係というのは直接ございませんで、あくまでも今後の電波利用を確保するためにセンターの業務範囲をできるだけ拡張して今日の実情に印すようにしたい、こういうのが趣旨でございます。
  130. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 例えば、今回電波利用料を徴収をして行おうとしておる総合的な電波監理システムあるいは電波監視の体制を充実をする、こういうものも郵政省電波行政予算、一般会計で賄ってもこれは全然おかしくないわけですね。今回この周波数逼迫の問題は、当初は利用料を徴収してそれからやろうとしておったんだけれども、これを落として監理システムと監視システムの二つに絞った。そういうことになった場合、利用料でやろうと当初考えておった周波数の逼迫というのは今後は一般会計で賄っていく、こういうふうに整理されるわけですね。  そうすると、大変失礼な言い方だけれども郵政省の一般会計というのは全体の予算から見れば占有率が物すごく低いわけです。平成年度ようやく三百億に上がったという程度。これは後ほどもちょっと触れたいと思うのですが、郵政省より少ないのは宮内庁と会計検査院ぐらいしかないような状況ですね。だからこの利用料金を取って、本来一般予算でやらなければならない監理システムとか監視システムをやろう、こういうわけで、そうなった場合に、一般会計は少しずつはふえてきておるわけですが、電波行政の中では中心になる総合的な監理システムとか監視システムはもう利用料金を取って特定財源化してやるんだからということで逆に一般会計は減ってしまってほかの対応がしにくくなるということにならないのかどうなのか。その辺は郵政大臣の力量といえば力量でしょうけれども、その辺の考え方を少しお聞かせをいただきたいと思います。
  131. 山口憲美

    ○山口(憲)政府委員 予算にかかわる問題でございますので、ちょっと私から御説明させていただきますが、ただいま先生指摘の点は、具体的には平成年度の予算編成の中で形になってあらわれてくるというものでございます。したがいまして、今ここでこういうふうにというふうなことを申し上げる準備はまだできてはおりません。しかしながら、今回これから夏に向けまして平成年度の作業に入っていく際に、従来と違います点は、電波利用料につきまして、特定財源としてこういうものができたということでこれをどういうふうに扱っていくのかということで、我々はこの問題について細心の注意を払っていかなければいけないなというのが一つの点でございます。  それからもう一つは、ただいま先生から御指摘がございましたその他のいわゆる一般財源の方で賄う経費につきまして縮小になるのではないかと いうことでございますけれども、私どもとしましては、申し上げるまでもありませんけれども、電気通信分野というのはこれからますます発展をしていく、あるいは行政としてのニーズが高まっていくというふうなことでございますので、こういった予算の確保には遺漏のないようにやっていきたい。この夏に概算要求していかなければいけませんけれども、この二点を今時に私どもとしてはみんなで心していろいろ勉強している、こういうふうなことでございます。よろしく御支援賜りたいと思います。
  132. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 郵政省がそうおっしゃるわけですからぜひ頑張っていただきたいと思います。  そういう収入金によって今後監理システムなり監視システムが充実をしてくると思います。総合的な電波監理システム整備する、これは相当金額が高いようです。それから電波監視システムを整備をする、こういう提起になっておるわけですが、その場合、具体的にどういうところが問題でどういうところをポイントにして今後整備をしていこうと考えておられるのか。それから、そういうシステムを導入した場合の効果、導入整備のテンポ、このあたりについて少し具体的な御見解をお聞かせをいただきたいと思います。
  133. 森本哲夫

    森本政府委員 不法無線対策として予定をします施策の問題点として考えておりますのは、今の監視周波数帯というのは現に使われている周波数帯域を全部カバーしていないという問題がございまして、そういう意味では周波数を拡大しなければならぬ。それから、現在の固定監視施設というのが一部の都市だけに限定されて、しかも狭いエリアになっているという問題。それから、監視車という形で移動監視を行うには非常に限定された監視体制監視車の数が少ないものでございますから、そういう問題がございますので、これをぜひ段階的な整備を図って今後の不法無線対策を強化したい、こう思っておるわけでございます。  現在この計画では、利用料というものが成立いたしますれば、平成五年から七年までの三年間に、監視可能周波数というものを三ギガヘルツ程度までに拡大した遠隔方位測定設備ということで、いわば遠くからリモコンできるような、無人で、人力を余り要しない形での監視施設をこの三年間で政令指定都市の大部分に整備をする。同時に、これから開港されます、そして日本の大きな足になります関西空港の監視施設の整備、それから今申しました移動監視車の増強、こういうことに対処いたしたいと思っております。  それからもう一つの総合的電波監理システムでは、平成五年から七年までの三年間に、すべての無線局、これは現在七百三十万ございますが、これもこの三年間には相当増加してまいるとは思いますが、この無線局をすべて網羅するデータベース構築して、地方単位に今電気通信監理局が十一カ所ございますので、このコンピューターと全国ネットワークを図りたい、こういう計画でございます。  これ以降につきましては、無線局の増大によってまだ事務量もふえてまいりますので、技術進歩に対応したこの監理システムの見直しであるとかネットワークの拡充等を図りたいと思いますし、さらに監視施設についても、今言いました全国主要政令都市のほかに地方の中核都市までを含めての固定監視施設の拡大を順次図ってまいりたいと思います。  いずれにしましても、こうしたことで、両システムができ上がりますれば、無線局の諸元の検索であるとかあるいは電波の発射源の把握が大変速くなって、検査事務であるとか、あるいは先ほどからいろいろ御指摘をいただいておりますようないろいろな各種の行政事務の効率化、混信妨害不法の摘発というようなことが可能になりまして、できるだけ早期な手だてが講じられるのではないか、こういうふうに期待をいたしておるところでございます。
  134. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 先ほどちょっと触れましたけれども、一般会計で今後は対応される周波数逼迫への対応は。これは、電波需要というのはますます増大をするわけで、周波数の移行であるとか周波数資源の開発というのは非常に重要な業務になってくるだろう、こう思うのですが、電波有効利用計画をつくってこれに積極的に対応する、こういう考え方のようですが、これの具体的な対応策についても少し見解をお聞かせいただきたいと思います。
  135. 森本哲夫

    森本政府委員 確かに周波数が今は非常に逼迫をいたしまして、今NTTあるいは新しいニューカマーが提供いたしております自動車電話の八百メガ帯が非常に、不足をいたしておりまして、これもディジタル方式を導入してまずさらに収容可能台数をふやしたいと思っておりますが、それでもここ何年かのうちにはパンク状態になるだろうということで、さらに高い周波数でございます一・五ギガヘルツ帯というものを、これは世界に先駆けた使い方でございますが、これをディジタル方式でやりたいというようなことでやっておるわけです。  さらにこれを全体として整理をいたしますと、一つは、さっき申しました一・五ギガのあたりが使われていなかったのですが、さらに高いところの周波数を含めまして、あるいはミリ波みたいなミリ単位の周波数というものを、今使われていないわけでございますが、こうしたものを実用化する技術の開発。それから、既に使われてはおる周波数なんですが、これを狭帯域化といいますか、ナロー化といいますか、あるいは多重化といいますか、そうした各種の技術で全体としての量をふやす。あるいは、従前固定通信に使っておった周波数を逼迫する移動周波数に使う技術を開発する。実は、技術的には固定の方が楽でございます。二点間を静止した状態電波を発射して連絡をするというのは楽なのでございますが、移動体を追っかけながら、位置確認しながらというのは大変難しい技術でございますが、そういう移動体への開発の努力というものを二点目に考えたい。  さらにもう一つ、これは新しい領域でございますが、一種の人工知能を擁したような技術で、こうした形での周波数有効利用技術の開発を行いたい。いわばそのときそのときの周波数を使う目的である客観条件が変動いたしますことをあらかじめシステム全体が予知をいたしまして、その状況に応じて全体の周波数の効率化を図る。例えば自動車電話なんか、込んでいる事態と、それから暇なときとでは、同じ周波数が、従前のような固定的な割り当てでまいりますと、暇な、すいているときはいわば周波数が死んでおるということにもなりますので、こうした状態を解消して、周波数帯を隣の領域にもやったりとったりできるような形で、全体としての周波数の効率を上げるような形にいたしたい。主として今後の周波数逼迫対策については、こうした技術を活用してぜひひとつ今後の対応を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
  136. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 次に、これもレクチャーの段階でおおむね解明をいただいたわけですが、再度、もう少しすきっとしたい立場でお聞きをしたいのですが、電波利用料の未徴収及び減免措置についてです。  一つは、今回の電波利用料について国の関係省庁からは徴収しないということになっているわけですね。これは、ほかにも質問がございましたから簡単に申し上げますが、しかし今回導入する利用料は特定財源化するということを明確にした上で、今回の制度では受益者負担と特定財源化を基本にしている、こういうことから考えた場合、国の機関について利用料を徴収しないという点について、どうもすっきりしない点が残るわけで、ここのところをもう少しすっきりお聞かせをいただきたいというのが一つであります。  それからもう一つは、改正法案百三条の二の第二項の消防と水防については徴収をしない、同じく三項で防災については二分の一徴収をする、こういう基準に区分けをされておるわけですけれども、徴収しないということと防災の場合には二分の一徴収というところについて、もう少し見解をお聞きをしたいと思います。
  137. 森本哲夫

    森本政府委員 最初問題は、国の関係省庁からは徴収しないという点についてのお尋ねでございます。  国がこれまでも各種の公の役務をいろいろ提供いたしまして、その費用を賄うための各種の手数料というのはたくさんの数があるわけでございます。しかし、これらは国からは徴収しないというのが一般的な仕組みでございまして、これは理屈はいろいろございますのですが、手数料というのはそういうものだということで、つまり一方でつけて一方でまた払ってということで、徴収コストが結果として余分になってみたりと、いろいろな理由がございますが、いずれにしても、そういう形で、現行の電波関係の手数料についてもこれは国は適用除外になっております。今回の、いろいろ御指摘もございますが、利用料についてはこれも同様の例にせざるを得ない、こういうことでございまして、ただ、再々繰り返してございますように、だからといって国が費用負担についてらち外にあってそこから逃げてしまうということにならないように、今後とも歳出面で所要の電波行政経費を見て費用負担公平に反することにならないようにいたしたい、こう思っておるわけでございます。  それから二点目のお尋ねの地方自治体の防災関係についての免除とそれから半額の負担問題でございます。  これは先ほどからも議論をさせていただいておるところでございますが、地方公共団体が設置します消防、水防等の無線局の目的というのは、他にたくさんございます無線局と最大違いますのは、この無線局は専ら地方公共団体が設置をいたしまして、国民の身体、生命、財産の保護を目的とする公的任務を達成するための無線局である、それから地方自治体みずから整備をしなければならぬということが法律上義務づけられている、それから電波法におきましても、災害通信においてこうした地方の防災無線については特別な扱いになっておるという点からこういう措置をいたしたわけでございます。  なお、消防、防災の用に供する無線局は専ら水防と消防の目的に特化した通信を行うのに対しまして、その他の防災行政無線というのは、いざというときには当然本来の目的に使うのでございますが、しかし、緊急時だけ動かすというのは現実になかなか困難でもございますので、平素防災目的以外の行政目的に使うことも可なりということで今日まで推移をしてきました。電波利用料をできるだけ例外なく公平に負担していただくということならば、この形だけという、そういう実態に着目すればこれについても全額免除ということでは均衡を欠く次第でございますので、防災行政無線については半額御負担をお願いするという形でできるだけ多くの方々に均等の負担をお願いじょう、こういう趣旨ででき上がった制度でございます。御理解を賜りたいと思います。
  138. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 時間もありませんが、電波行政などに取り組む基本的な姿勢について本会議でも問題提起をいたしました。電波の利用のための電波行政というのは、今後の高度情報化社会を支える柱でもあって、極めて重要な役割を担っていると認識をしているわけです。しかし、先ほども少し皮肉めいて申し上げましたけれども、予算措置を含めてそういう改善の努力というのが非常に乏しいのではないか、重視されていないのではないか、こういう思いがあるわけです。  今回利用料を徴収して実施しようとする電波利用関連の業務のコンピューター化なども、率直に言うともっと早く手をつけるものではないかな、また電波監視の設備なども相当機器的にもおくれているのではないかな、今の状況では包括的な全国的な電波監視というのは不可能に近いのではないかな、私はこう思うわけで、これについて余りにも予算額というのは少な過ぎるのではないかな、それはシーリングに縛られた結果ではないか、予算編成のあり方について問題があるのではないかな。先ほど申し上げましたけれども郵政省の昨年度の予算は二百九十三億ですね、占有率でいきますと〇・〇四%、こういう状況。これではやはり高度情報化社会を担う郵政省としての役割は果たして果たされていくのかどうなのかという実は疑義がございます。  かつて郵政省は郵便、保険、貯金、郵政三事業を中心にして業務遂行をしてきたわけですが、今や電波放送、電気通信、法律でいいましても電波法放送法、電気通信事業法、高度情報化社会の中で政策をリードする、指導するという役割を担っているのじゃないか。高度情報化社会国民の利便とか福祉の増進とか、そういうところを重視し着目をするということが極めて必要で、これが単に金もうけのためだけに使われて、国民生活とか福祉には関係がない、こういう状況にはしていかないということを考えた場合に、すべて民間、そして民間の競合状況の中でそれがなされていくということではいけないのではないかなというふうにとらえた場合に、郵政省としてはもっと高度情報化社会国民生活という問題などについて積極的な姿勢に立つべきではないか、そういう意味では、私どもが提供している予算枠の問題などについてももっと積極的に取り組むべきではないか、こういう提言を実は本会議でもしたわけですけれども、この点について、大臣の再度の御決意などもお聞かせいただきたいと思います。
  139. 渡辺秀央

    ○渡辺(秀)国務大臣 先ほど予算に関して山口部長から来年度に向けての郵政省としての姿勢を申し上げました。私先ほど答弁の中でも若干申し述べましたけれども、今また田中先生が極めて率直に御質問の中でおっしゃっていただきましたが、郵政省の一般会計予算というのは、ことし初めて三百億を突破したということでして、ある一市の財政の規模よりも少ない、こんな状態であります。  そういう中で、新しい二十一世紀に向けた電波の資源開発あるいはまた技術の開発というようなことに果たして対応できるか、まことに心細い感じでありまして、これは私が予算折衝で大蔵大臣とやったときの問題点でありますので、田中先生の御質問に答える中でこの記録にも明確にしておかなければいかぬと思ってまずそのことに付言をいたしたいのでありますが、電波の監理、監視、これは大蔵当局が言うように利用者負担、受益者負担だ、であるならば、今前段に申し上げた新しいこれからの二十一世紀に向けてのことは国民全般に及ぼす問題である、したがって、それは一般会計から考えよう、こういうことでそちらの分野の予算要求というのは分かれたわけです。それで一般会計の方、こうなっているわけで、平成年度に向けての予算要求は非常に大変だと私は思いますね。しかし、私はそのことに思いをいたして、一般会計に対する現状を大蔵大臣あるいは主計当局にそのときに申し述べて、このことに関しての一般会計の負担を、そしてまた郵政省に対する御理解を篤とこの場でお願い申し上げておくということで、大蔵大臣もわかった、こういうことに実はなっておるわけで、それを背景にしてこれから郵政省は五年度に向けて努力をしてもらわなければいかぬ、こういうことで一つのグラウンド、基盤づくりはいたしてあるというふうに確信をいたしております。  そこで、シーリングという先生の御指摘問題提起でありますが、言うなら財政再建の中で、中曽根内閣当時からやってきた一環として、平成二年に財政再建ができた、赤字公債依存脱却ということができ上がったわけですが、依然として国の財政は現況の状態であるので、歳出の膨張抑制を図っていくための措置としてこれはある程度理解せざるを得ないと思うのです。  しかし、我々電気通信行政に対するニーズも、まさにこの法案のように一層増大してきておる。私は、先生が御心配され、御懸念されるということを本当にありがたく大きな応援として考えさせていただきながら、郵政省としては、事情の許す範囲でということよりも、積極果断に、このシーリングということは現況における予算要求のシーリングであって、新しい時代に対応していく予算要求は、やはり思い切ってこれからは財政当局 と、厳しい財源の中ではあるけれども、取り組んでいくべきではないか。これからの概算要求の時期を迎えるに当たりまして、私は事務当局に大いに叱咤いたそうと思っておる次第でございます。行政ニーズの変化に応じた必要な予算の確保に最大限努力をいたすことをお誓い申し上げて、先生のまた御指導と御声援をお願い申し上げる次第でございます。
  140. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 大臣の力強い御決意がございましたので、御健闘を期待をしたいと思います。  あと少し時間がございますが、今後の電波行政のあり方といいますか、検討課題といいますか、そういうものについて若干の御見解もいただきたいと思うのです。  今日、電波利用を含めまして電気通信分野総体の技術革新のテンポというものは極めて速いし、また大きく変化をしてきておる、こういうふうに認識をいたしておりまして、従来のように、通信は一対一で主に有線通信で双方向性、それから、放送は一対不特定多数で主に無線通信だ、こういう構造が最近は大きく崩れかけておる、崩れかけておるというよりも崩れてきておる。有線無線を問わず、目的に応じていろんな形の大きなネットワークが自由に構築できる。このようなネットワークが形成できるわけですから、これによって今までと違う電波・電気通信事業活動というものが拡大をされてきている。特に、電気通信市場が自由化されまして、競合の状態がどんどん進んでいるわけで、そういう中では、電波利用を含めまして新たな事業機会を見出して、そこに参入をしていこう、こういうことが非常に多種多様、大きくなってきているのではないかな、こういうように認識をするわけです。  時間もありませんが、そこで、先ほども若干申し上げましたけれども、電気通信事業法、放送法、電波法、この三つが大きな柱で今の電気通信・電波事業というのは運営されているわけですけれども先ほど申し上げましたように、通信と放送、有線と無線、こういう問題を総合的に把握をして、今後における情報化社会におけるインフラ整備をしていくということが必要ではないか。こういう法の見直しなどについてどういうふうに今後考え、検討されていこうとしておるのか、こういう点について少し考え方をお聞かせをいただきたいと思います。  それから、電波というのは、今日までずっと国による計画的管理、配分制度というのがあるわけで、これが今日の今申し上げましたような情勢の中で硬直化してしまって、そのために経済的には新規参入が非常にしにくくなったり、あるいは電波利用の既得権者の利益がむやみに保護視されたり、そういうものがありまして、規制緩和であるとかあるいは事務の簡素化であるとか、そういう意見がいろいろございます。例えば、一例をとりますと、電波法七条による無線局の開設の根本的基準なんというのは、極めてミクロで難し過ぎるわけで、そういう意見提起などもございます。それからさらに最近では、市場の論理に任されない公共的なものを明確にして固定をした上で、その他については市場メカニズムを導入した方がいいのではないかなというそういう意見などもございます。そういう意味では今後これらをめぐる議論というのは非常に活発になってくるし、また必要になってくるのではないかな、こういうふうに思うわけです。  時間がございませんので舌足らずになりましたけれども、これらを今後郵政省としてはどういう方向で検討をされようという準備がおありなのかどうなのかを含めて、最後にお聞かせをいただきたいと思います。
  141. 森本哲夫

    森本政府委員 第一点の電気通信事業法、放送法、電波法、これで律するところについて、従前の枠組みではいろいろ難しくなってきたのではないかという御指摘、確かにおっしゃるような側面はだんだん濃厚になってまいりまして、せんだっても放送法について委託放送事業なんという従来にない事業者も出現をしたわけでございますので、今後とも、この問題は世界各国とも似た形でいろいろ悩みながら対処いたしておるわけでございます。同時にまた、新技術の登場ということもございますので、こうした面を踏まえまして、大きな視野で、この法制が新しい事態の対応に当たっておくれることにならないよう、ひとつ十分幅広に見直してまいりたいと考えております。  特に具体的にお話ございました規制緩和とかあるいは手続の簡素化とかという問題については、もう当面日々の問題でございますので、できる限りこれはひとつ迅速に対処をしてまいりたい。とりわけ利用料ということで新しい制度になるわけでもございますので、力を入れてまいりたい。  なお、根本的基準の問題につきましても、いわば無線局開設の基本的な省令でございます。絶えず現行の事態に即応できるように見直しを引き続きさせていただこうと考えておる次第でございます。
  142. 渡辺秀央

    ○渡辺(秀)国務大臣 今局長から答弁したとおりでございますが、通信、放送の法制度化について検討を行いながら、対応に誤りなきを期してまいりたいと思っております。
  143. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 終わります。ありがとうございました。
  144. 谷垣禎一

    谷垣委員長 次に、菅野悦子君。
  145. 菅野悦子

    ○菅野委員 徴収する電波利用料算定根拠なんですけれども一つは、違法電波監視を目的とした総合的電波監視システムの整備負担分として、これは全免許人に平等に負担してもらうということと、それから再免許などの事務処理を迅速にする総合的電波監理のシステム整備負担分というのは、インプットする情報量の違いによって算出をされているというふうに聞いているのですけれども、昨年までのこの利用料算定に対する郵政省考え方とこの現在の姿というのが非常に大きく違うのではないかというふうに思うわけなんです。  例えば昨年十一月九日ぐらいにいろいろ各紙が報道しておりますけれども、そのときには利用料というのは、一つは発信する電波出力、それから電波の利用時間、それから使用する周波数とその幅というふうなことを基本要素にして算定するというふうにおっしゃっておられたのですね。私も郵政省の担当者からそういうふうにお聞きしておりましたから。だから、なるほどな、そういう考え方もあるなというふうに思っていたのですけれども、随分違ってきている。  さっき言いましたように、二つ考え方というのですか、算定のやり方というのが出ていますから、随分変わったというふうに思うのです。これは単に料金をどう決めるかという問題だけでなくて、この電波利用料の性格にかかわる問題ではなかろうかというふうに思うのですけれども、なぜ基本的な考え方がこんなふうに大きく変わったのか、そこをまずお伺いしておきたいと思います。
  146. 森本哲夫

    森本政府委員 今お話ございました無線局の種類とか使用する周波数とか空中線電力、あるいは占有周波数帯域幅というような御提言は、実は電波政策懇談会というところで御指摘があったわけでございまして、私どもとしては、今日御審議をお願いしている中身は基本的にはこの発想は変わっていない。先生変わったとおっしゃいますが、実は変わってはいない。  端的に申せば、できるだけ公平性を確保するには、きちっとした物差しで、お互い彼我の間に不公平が生じないように考えろ、それにはこういう物差しが一つ考えられるのではないか、こういう御指摘でございました。これの考え方は、無線局の大きさといいますか巨大さといいますか、あるいは複雑さといいますか、そうしたことに着目しての御提言であったわけでございます。  これをベースにいたしましていろいろ詰めてみました。詰めてみましたが、さっき先生も御理解いただいておりますように、利用料でお願いする金額というか負担していただく行政事務は、一つ監視であり、一つデータベースである。そうとしますと、監視の部分は、いわば無線局の大小によって受ける利益が違うというものではなくて、これは彼我ひとしくみんな一緒である。混信 や妨害を免れる利益は個々には判断しがたい。むしろこれはできるだけ公平という点で均等にお願いできるのではないか。  もう一つデータベースの方は、やはり今申しましたこういう懇談会の提言の精神で具体的な技術的な詰めをいたしましたが、データベースだということをきちっと整理をいたしまして具体的な算定をいたしますと、これはむしろデータベースに入る、入力する情報量をベースにした方が免許人全体の理解が得やすいのではないか。特にこの懇談会の提言でも、算定方法については、行政主体の都合だけではなくて、負担される側の免許人側からもできる張りわかりやすい簡明なものである必要がある、こういう御指摘も受けておりますので、最終的に今申し上げたような形で整理をさせていただく、これが免許人の理解を得るすべだというふうに考えておるわけでございます。
  147. 菅野悦子

    ○菅野委員 基本的な考え方が変わったから額の方も変わったのかなと私は理解しているのですけれども。  主要な免許人負担額も大きく変わったわけですね。昨年の十一月ぐらいのところでは、例えば二十日の朝日などの報道では、最も大口のNTTで年間八十億、放送局は、民放キー局で約一億、アマチュア無線家などで数百円程度ということになって、郵政省年間の総収入を百五十億から二百億円と見込んでいる、こういうふうに言っているわけでございますし、二十八日付の日経もほぼ同じような報道になっているわけです。  ところが、総収入の見込みは二百億から七十五億、七、八十億ということで三分の一強に減っている。それぞれの分担も随分違っておりまして、大口といいますか、営業用などの大手企業の負担は大幅に減っている。例えばNTTは七、八十億から十一億に減っておりますし、そういうふうに減っているにもかかわらず、アマチュア無線などは逆に変化がない。さっきから論議されております国や自治体は無料になったり減免になったということなんですけれども、どうしてこうなったのかなということも実は疑問に思っているのです。
  148. 森本哲夫

    森本政府委員 新しい制度でございますから、相当早くからいろいろな準備をして、いろいろな作業を積み重ねるわけでございます。昨年の秋に、先生がおっしゃったように新聞報道のようなことはございましたが、決してこれは確定した形で私ども発表したわけではございませんで、いわば作業の経過を間接に聞いたりして、さもありなんとかこんなことではないかということがだんだんあんな形になっておるわけでございまして、あくまでも私ども、最終的な形で整理をいたしまして、この法案でお願いしたのが基本的な姿でございます。  ただ、一つ言えますのは、先ほどから御議論がございますように、共益費的な事務として周波数資源の開発ということを頭に入れておったという時代もございます。こうした経費をどのくらい見込むかということもいろいろ検討しておったのですが、最終的な整理で、申し上げましたように、免許人に御負担願うのは、理解がしやすく、受益と負担関係が明白であるような経費に整理をさせていただく必要があるだろうということが一つございましたので、現在、最終的な金額としましては、この二つに関する限り、全体としては作業経過からもそう変わってないと思っておるわけでございまして、総収入は、平成五年から七年の三年間で約二百四十億円お願いしたい。  これは今、一つの試算をさせていただくとするならば、平成年度時点で、電気通信事業者全体で十八億円、NTTで十億円、NHKでは三億円、それから民放も、数多くございますが、全体としての負担は約三億円、こんな試算になるかと、これはもちろん具体的な金額を無線局に応じてやっていただくわけでございますから、およその試算でございます。
  149. 菅野悦子

    ○菅野委員 私は、電波出力とか利用時間とか利用周波数の帯とかいうものを勘案すれば電波利用の実態というのは非常に近いというふうに思うのですけれども、しかし、今出されておる料金体系はそうなっていないと思うのです。できるだけ近づけているとおっしゃっているのですけれども、そんなことはない。  例えば、放送局は一律二万九千七百円になっています。首都圏、関東平野をカバーしているような東京タワーもそのお金、また過疎地で数十戸を対象にしているような難視解消用の、ミニサテライト局も同額、こういう状況があるわけですから。また、さきに説明がありましたように、違法電波監視するシステムの負担というのは一律五百円で計算されているのですけれどもアマチュア無線パーソナル無線のように周波数帯を共用して出力が小さいものと、放送やマイクロ回線などのように周波数帯を占用して、しかも出力も大きくて、かつ二十四時間使いっ放しという無線局も全く同額の負担というのは利用実態を反映しているというふうには思えないのです。それで利用料、これはどうもようわからぬ。  ですから、電波国民共有の資源とされているわけですから、その資源を大量に使っている者がそれにふさわしい負担をして初めて、ふさわしい使用料としての料金体系になるのじゃないか。現実は非常に不合理だと私は思うのですけれども、その辺いかがですか。
  150. 森本哲夫

    森本政府委員 先ほども触れましたが、こういう新しい制度免許人ごとの公平が大変大事だ、そういう点についての理解が得られなければこういうシステムは成り立たないだろう。そういう意味で、一番公平に負担いただく物差しは何かということで大変腐心をしたつもりでございます。  先ほどからも申しておりますように、電波利用料で御負担願う中身二つあって、一つ監視の方は、無線局のいろいろな種類にかかわらず受ける利益は均等だということで、監視費用はどの無線局をとっても一つだ、共通だというふうに整理をいたしますとするならば、もう一つデータベースによる部分は、いわば無線局管理の必要性に応じて必要なデータを入れなければならないわけでありまして、その必要なデータ無線局の種類に応じて違ってまいるわけでございます。それは宇宙通信をやる局かそうでない局か、あるいは放送業務を行う局かそうでない局か、それぞれの現在あります各種の無線局区分に従ってデータ量が違ってまいりますので、そこに着目をいたしまして現在の区分にさせていただいた。  もちろん、これだけかとおっしゃられれば、これを十にも二十にもしてしまえば、さらに明確にその違いというのがはっきり浮かび上がると思うのですが、この種の区分というのは、余りに数多くの複雑さを招来いたしましても、かえってまた新しい不公平という観念も出てまいりますし、幸いなことに、こうした点について多くの免許人の方から、まあこういうところかなということで、大きな異論もちょうだいもしていないわけでございますので、ともかくこういう形が一応現行の状況の中では最も適切だ、こう判断して額の算定をさせていただいているところでございます。
  151. 菅野悦子

    ○菅野委員 その情報量の問題なんですけれども、東京タワーの情報量と難視聴解消用の過疎地のサテライト局の情報量、これは随分違いますよね。情報量ということから見ても実態を反映していない、非常に不公平だというふうに私は思うわけです。  もっと矛盾しているのは、先ほどから消防無線と防災無線の話は出ておりますし、この点では消防無線などは公共性が高いということで減免されたというふうに言われております。  ここで私はもう一つ不思議だなと思いますのは、船舶安全法で義務づけられております緊急用の無線機器、これは利用料を丸々取られるんですよ。これは例の、遭難時に救命ボートから位置を知らせるためにぱっと発信するというあの無線機なんですけれども、ことしの正月にヨットレースで沈没事故があったとき、うまく作動しなかったと問題になったあれなんですが、あの無線設備もこの法案では「移動する無線局」ということで利用料を徴収されることになるのです。専ら国民の身体、生命の安全のために使用される、最も公共性 が高いということですよね、この無線局もまた、にもかかわらず、その命綱とも言える緊急無線は利用料徴収、その対象になっているわけですから、その辺もなぜこういう差ができるのかなというのがよくわからないのです。御説明いただけますか。
  152. 森本哲夫

    森本政府委員 これは先ほどから繰り返しておるわけでございますが、この消防とか水防とかというのは、それのみを目的にしておる無線局でございまして、しかも災害というのは一たん起きましたら大変な被害が広範に及ぶわけでございますし、そういう意味で本当に国民を災害から保護するというのは、ある意味で地方公共団体にとってもいわば存立の基本的な目的だ、それといわば裏腹になっている無線局だ。しかも、その無線局はいわば住民の税金によって賄われていると言っていいと思うのでありますが、そういう意味で、他の無線局と同一視するわけにはいかないのではないか。  確かに今お話ございましたように、遭難とかあるいは緊急通信等に用いられる無線局もこれはございますが、もともとこうした無線局は船舶の安全のためなんです。船舶がみずからの安全のために設置をしているわけでございまして、消防や防災が、広く国民全体の、地域住民全体の防災あるいは安全というものに着目して設置される無線局とはその点で差があると考えるわけでございます。  いろいろな無線局の性質論をやり出せば切りがないのでございますが、ひとしく均等に御負担いただこうというのがもともとこの制度でございますので、そうした、やはりどうしても除外するあるいは適用の対象から外すということは、いわば最小限の御理解を皆さんに得られなければならない、そういう意味で目的が違うという点が一つございますことを御理解賜りたいと思います。
  153. 菅野悦子

    ○菅野委員 目的は同じなんではないだろうかなと私は思うのです。  また、この利用料の基本に受益者負担ということで説明をいただいております。そのために、約半分は違法電波監視用に使用されるということのようなんですけれども違法電波というのは言うまでもなく電波法に違反した行為でありまして、法を守って電波を利用している者が違法行為によってその権利などを侵害されないようにするというのは、これはむしろ行政の責任だというふうに思うのです。ところが、この法律というのは、違法行為への監視取り締まりを受益者負担で行おうというふうにしているのではないかというふうに思うのです。  簡単な話、この論理でいけば、例えば空き巣ねらいが徘徊する、また痴漢が出没して困るんだ、何とか取り締まりしてくださいというふうに住民が申し出る、ではその費用を出しなさい、負担しなさいというふうに言われているようなものじゃないかなというふうに思うのです。  ですから、法律を守っている者が違法行為で妨害を受けたときに、それを取り除いてもらうことを受益者負担というふうに言えるのかな、違法行為をなくすこと、すなわち法律がきちんと運用されることを受益者負担の論理の中に求めるということは、非常に無理があるのではないかというふうに私は思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。
  154. 森本哲夫

    森本政府委員 電波免許について、国民全部が免許人であるとするならば、またこの問題については違った発想があったかもしれぬと思うのであります。今日年々数がふえているとはいえ、電波免許を受ける方々というのは国民のほんの少数でございます。しかも、その方々は、他に希望がある方を排除して免許人になって、特定の周波数についていわば独占的な使用権というものを事実上設定している、いわばそういう特別な地位にあるわけでございます。  そうした電波が今日の状況の中で安定的な形で予期どおり電波の発射を行えるには、それ相応の社会的コストがどうしても発生してまいる。その負担をどうするかというのがこの問題の原点でございまして、これを国民の税金全般によってやるとするならば、ある意味で不公平ができる、負担についての不公平が生じる。しかも、その費用はどんどん膨らむまうな形に推移をしている、こういう状況でございますので、電波の受益者がその受益の限度に応じて一種の共益費的な負担金というものを御負担願う、そのことでひいては国民全般が利益を受ける、こういう制度をお願いしようというわけでございますので、お話の空き巣ねらいの取り締まりに金を出せという筋のものとは、ちょっと性格が違うかと存じておるわけではございます。
  155. 菅野悦子

    ○菅野委員 電波利用という閉ざされた世界の話だというふうにおっしゃりたいのだと思うのですけれども、例えば運送業者が運輸省から路線免許を受けずに、地域免許しか持っていないのに路線業務をやっている、こうした違法行為の取り締まり監視というのはその運送業だ竹の問題ですよね。でも、その場合、それを取り締まるのに、受益者負担だから業者全体にお金を出しなさいというふうに監視料などの支払いを求めないのと私は同じだと思うのです。  だから、ちょっと今の御説明では納得できないのですけれども、さらに問題なのは、受益者負担として利用料を徴収する、そして監視システムをつくって、今相当問題になっております違法な電波を取り締まるということなんですが、これは本当になくすことができるのかどうか。郵政省は、その利用料徴収によって監視システムを整備すれば、違法電波をなくす、少なくとも大幅に減少させるということははっきり約束できるのでしょうか。
  156. 森本哲夫

    森本政府委員 若干、誤解があったらいけませんので、さっきの質問あるいは今のお話に敷衍させていただきたいんですが、電波取り締まりをすべてこの利用料でお願いしようとしているわけじゃないので、現実不法の無線を使っているトラックの運転手がいた、これを検挙をして、そして必要な法的な処罰の対象にする仕事は、これは警察官でなければできないわけでございます。私どもがお願いしているのは、そうした不法無線を摘発、発見するための設備あるいは経費、こういうものを電波利用料という形で、免許人の利益に返るんだから、その限りにおいて御負担がお願いできないかというのがこの趣旨でございます。  現在、先ほどからもお話をさせていただいておりますが、これまでの設備では急速な増加に対応できないでいるわけでございまして、しかも一方、機器製造というのは、LSIだとかICだとかという電気通信技術あるいは電子技術、こうしたものに支えられてどんどん廉価になってしかも技術的には大変精度の高いものが使われて、しかもそれがこの法体系にそぐわないという非常に今日の日本の持っている難しい側面があらわれておりますので、このまま本当に放置をしておけば大変な社会になってしまう、日本情報化社会構築が非常に困難になってしまう、こういう趣旨合いで御理解を得たいということでございますので、この点について新しい監視のシステムを当然ハイテクの技術を使ってやるわけでございますから、どこでどんなふうに不法無線が行われているか、従前の人手頼りのシステムよりははるかに前進した形で摘発ができる体制になる。  もちろん、これだけですべてというわけにはまいりません。広く国民全体がこうした違法電波の使い方についてはこれはまずいことだということの自覚も必要でございましょうし、あるいは産業界の協力ということも必要でございましょうし、各般の努力がなきゃならぬことは当然でございますけれども、まず一番、存在の確認というのが出発点だ。そういう意味ではこれは大きな効果を発揮できる、こういうふうに考えているわけでございます。
  157. 菅野悦子

    ○菅野委員 私も、最終的な摘発は警察がやるというのはよく承知しております。しかし、違法があるということをきちっと掌握して、そこまではっきりずうっと狭めて追い詰めていくのはやはり職員であろうというふうに思うのです。  そこでお聞きしたいのは、実際に電波監視に当たっている地方電気通信監理局の職員の問題なんですけれども、実際はこの十年間というのはずうっと定員が減り続けてきていますね。千七百九十八人から千六百三十一人と一割近くこの十年間で減っております。  だから、私がお聞きしたいのは、利用料の導入後にこの定員をふやす計画があるのかどうか。その中でもとりわけ違法電波取り締まりに当たる人数というのはどの程度ふえるのかということを、もし御計画があればまずお聞きしたいということと、それから、こういうふうなどんどん定員が削減されてきたという中で電波法違反事案の摘発件数というのは大幅に減っていますね、この間。昭和五十六年四千二百七十三件あった摘発件数が平成年度は二千八百六十八件ということで、三千件前後に減ってきております。違法行為は、この間の論議の中にもありましたようにこれずっとふえているわけですから、そういう点では、逆に摘発が減っているというのは、これは大変な事態だというふうに思うわけなんです。  郵政省に持ち込まれた混信とか妨害などの苦情報告件数、平成年度で千七百七十一件、同年の調査件数は八百七十三件にすぎない。苦情が来て、原因が判明し排除された件数ではないわけですね。苦情が来ても半分は調査にすら行けないという、これが今の実情なんですよ。ですから、利用料をいただくわけですから、この具体的な体制はどうなるのか、その辺を含めてぜひ伺いたいと思うのです。
  158. 森本哲夫

    森本政府委員 確かに、この監視の要員というものはここ十年の間どんどん増員ができるという状態ではございませんで、基本的には国民の税金で御負担願うものですから、行政の簡素化ということで十分な状態でない。しかも、彼らは一生懸命努力をいたしますが、今お話がいろいろございました、摘発の状態が必ずしも成果が上がっていない。これは決して怠けておるわけじゃございませんで、先ほども申し上げました、不法無線の体質が非常に悪質化しているあるいは巧妙化している。さらに、最近のモータリゼーションとの関係無線機を自動車に搭載をする、こういう使い方をいたしますと、なかなか現実には把握が難しくなります。件数の面でも、その努力が必ずしも数字の上で比例してあらわれるということにはならない、そういううらみがございます。  そこで、今回こうした形で、できるだけ人間の労力なしでハイテクの技術を使って、こうした不法な、悪質な電波の発射源というものが特定できるという体制になりますれば、全体が先ほども申しましたように大変変わってまいろうかと思います。もちろん、こうしたものを動かすというか、制御をしてそして摘発に結びつけるのは、これは機械じゃなくて人間でございますので、この点について必要な人員の確保はぜひ図っていかなきゃならない、こういうふうに考えておるわけであります。
  159. 菅野悦子

    ○菅野委員 確かにおっしゃいましたように、電波監理の現場の話を聞きますと、幾ら機械が入っても人がふえなければ摘発はできないというふうに訴えています。確かに、機械を整備して発信源のピンポイントをずうっと特定できるように狭めたいということのようですけれども、その電波料をいただくときはまだ今の現状ですから、五キロから七キロの誤差、これはもう仕方がないというふうな状況にあるわけです。平成五年四月から三年間、ここでは政令指定都市プラスアルファぐらいのところの整備ができて、結局平面を、平野部を大体全国押さえられるというその設備をつくろうと思ったらやはり十年かかるというふうに言われているのですね。  ところが、もうこれは電波料を取っていくわけですから、しかも本当にその摘発ということになりますと、私も聞きましたけれども、列車妨害なんかのときには大体三人組の一組態勢、二十四時間を監視で頑張っても、そういうのはもう物すごい意識的な妨害ですから、電波を切ったり発信したりということでなかなかうまいこといかぬ。だから、一件列車妨害を摘発するのに一カ月かかったというふうなことがあるわけで、本当にこれは簡単でないわけなんですよね。  ところが、そういう違法電波の摘発のために受益者負担電波料をいただきます、こうなりますと、どうしても出す方は期待が高まります。出したんやから、違法電波なくならへん、どないしてくれるんだ、こういうことで多分現場は大変になるんじゃなかろうかというふうに思うわけなんです。私が聞いたところでは、そんな苦情がわあっと来たら、もう全部課長に対応してもらいますというふうに冗談言っているというふうな状況があるわけで、やはりそういうふうな理由で電波料を取った上からは、今おっしゃったように、やはりきちっと本当に対応していくということが必要なわけで、だから、人員もまともにふやさないで、監視システムの整備だけで違法電波をなくせますというふうには私はとても言えないというふうにも思うのです。  そういうことで、電波の利用料などを考える場合に、やはり国民共有の資源である電波を、何の目的でどれくらい使っているかということを基本に据えて私はやはり考えていくべきではなかろうかというふうになお思うのですけれども、その点ではいかがでしょうか。それをお答えいただいて質問を終わります。
  160. 森本哲夫

    森本政府委員 仰せのとおり、やはり最後は、幾ら設備を投入しましても、人手の、しかも人の意識の問題だろうと思っております。電波行政が大変これから重要な役割を果たす以上、係官の一人一人に至るまでが与えられた責務の重大さというものに思いをいたして、しっかりと対応していかなきゃならないのは御指摘のとおりでございます。まして、利用者に大きな期待が生まれることも十分覚悟して当たらなきゃならないと考えておるわけでございます。
  161. 菅野悦子

    ○菅野委員 終わります。
  162. 谷垣禎一

    谷垣委員長 次回は、明二十一日木曜日午後二時五十分理事会、午後三時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十一分散会