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1992-03-05 第123回国会 衆議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年三月五日(木曜日)     午前十時三分開議 出席委員   委員長 谷垣 禎一君    理事 川崎 二郎君 理事 佐田玄一郎君    理事 坂井 隆憲君 理事 原田 義昭君    理事 松浦  昭君 理事 上田 利正君    理事 大木 正吾君 理事 伏屋 修治君       赤城 徳彦君    衛藤 晟一君       大野 功統君    久野統一郎君       古賀 一成岩    鈴木 恒夫君       深谷 隆司君    真鍋 光広君       松岡 利勝君    森  英介君       山本  拓君    秋葉 忠利君       上田  哲君    田中 昭一君       武部  文君    山下八洲夫君       吉岡 賢治君    鳥居 一雄君       菅野 悦子君    中井  洽君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 渡辺 秀央君  出席政府委員         郵政政務次官  笹川  堯君         郵政大臣官房長 木下 昌浩君         郵政省通信政策 白井  太君         局長         郵政省放送行政 小野沢知之君         局長  委員外出席者         参  考  人         (日本放送協会 堀井 良殷君         理事)         参  考  人         (日本放送協会 中野 正彦君         理事)         逓信委員会調査 辛島 一治君         室長     ————————————— 委員の異動 三月四日  辞任         補欠選任   赤城 徳彦君     相沢 英之君   今枝 敬雄君     越智 伊平君   吉岡 賢治君     伊東 秀子君 同日  辞任         補欠選任   相沢 英之君     赤城 徳彦君   越智 伊平君     今枝 敬雄君   伊東 秀子君     吉岡 賢治君 同月五日  辞任         補欠選任   今枝 敬雄君     久野統一郎君   小林 興起君     衛藤 晟一君   田並 胤明君     秋葉 忠利君 同日  辞任         補欠選任   衛藤 晟一君     小林 興起君   久野統一郎君     今枝 敬雄君   秋葉 忠利君     田並 胤明君     ————————————— 二月二十八日  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  通信放送衛星機構法の一部を改正する法律案  (内閣提出第二七号)  有線テレビジョン放送発達及び普及のための  有線テレビジョン放送番組充実事業推進に関  する臨時措置法案内閣提出第二八号)      ————◇—————
  2. 谷垣禎一

    谷垣委員長 これより会議を開きます。  通信放送衛星機構法の一部を改正する法律案有線テレビジョン放送発達及び普及のための有線テレビジョン放送番組充実事業推進に関する臨時措置法案の両案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両案審査のため、本日、参考人として日本放送協会理事堀井良殷君及び日本放送協会理事中野正彦君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 谷垣禎一

    谷垣委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 谷垣禎一

    谷垣委員長 これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上田哲君。
  5. 上田哲

    上田(哲)委員 私は、三十数年前、CATVが小屋がけで始まったころから、このCATVは画像が鮮明であるなどというだけにとどまらず、空中波放送の一方性、巨大性というものに対して、例えば地域性あるいは双方向性などの要素から、いわば文化メディア文化創造としての大きな役割や将来性というものがあるべきだろうという点で注目をしてまいりました。  一九八九年春の通信衛星の打ち上げ以来、それまでと比べて画期的な発展がこの分野に見られることになりました。今回の臨時措置法の根底にある考え方は、そこを踏まえて今後をどう展望するかという時期に差しかかっているという認識だと思います。そういう点では、私は臨時措置法に総括的に賛成をする立場でありますが、その上に立って幾つかの御質問を申し上げたいのであります。  おおよそ理解するところ、CATV現況は、サプライヤー二十一チャンネル、多チャンネルサービス百三十五社、おおよそ四十万世帯、こんなふうにつかんでいいのだろうと思うのですが、これは先ほど来申し上げてきた考え方からすると、発展段階としてどのような状況にあるか、その認識をまずお伺いしたいと思います。
  6. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答え申し上げます。  ただいま上田先生から、三十数年前からこのCATVについて注視していただいたということで感銘を受けております。私自身も、ちょうど二十年前課長補佐として有線テレビジョン放送を担当したものですから、また、宇宙開発事業団の設立事務所に出向しておりましたものですから、当時からCATV衛星通信の将来の発展性についてそう思っていたのですが、今先生のお尋ねのまず現状、現在つかんでおる正式の数字を申し上げますと、有線テレビジョン放送平成二年度末現在で施設数が約五万、加入者数が約六百七十七万世帯でございます。その大半は再送信専用施設でありまして、さらに、そのうち都市型CATV平成三年十二月末現在で許可施設数が百二十五、開局施設数が九十八、加入者数は約五十五万世帯にとどまっております。まず、このように有線テレビジョン放送は現在十分に普及発達していない状況にございます。  と申しますのは、今先生の御指摘ありましたCATVのいろいろな機能から見ましてまだ十分と言えない状況でございますが、しかし、その本来持っております地域に密着したメディアとして大きな役割を果たすことが期待される重要なメディアでありますから、今後、十分な普及を図っていく必要があるということで、今御提出しております本法案により、有線テレビジョン放送番組充実事業推進することとしているわけでございます。  また、御指摘のありましたように、平成元年の五月に通信衛星を利用して全国有線テレビジョン放送事業者放送番組を供給するスペースケーブルネットワークが開始されて以来、それが一つの大きなきっかけになりまして有線テレビジョン放送が急速に普及してきておりまして、有線テレビジョン放送における大規模化、多チャンネル化が進展してきている状況にあります。  このようなことから、今のこういった趨勢を踏まえまして、既存支援措置を強化し、また、本法案による有線テレビジョン放送番組充実事業とをあわせて講じまして、有線テレビジョン放送事業者に対して支援を行っていくこと等によって、有線テレビジョン放送の一層の普及促進が図られるものと考えておりますし、また、今関係方面からその期待を強く寄せられているところでございます。
  7. 上田哲

    上田(哲)委員 おもしろくないな。そんな趣旨説明みたいな話は聞きたくないのですね。時間の制約もちょっと余計加わっていますから。  私が申し上げたいのは、大づかみで数字を申し上げた、こういうつかみでいいのかということですね。これは揺籃期だ、そういう本格段階に向かって、ようやく揺籃期だということの認識でいいのかということをすかっと答えてほしいのと、その上、これはこの現況を踏まえて育成したいという趣旨法案でもあり、そういう基本方針を持っていると理解していいのかということを端的に答えてもらいたい。書いてあるのは読まなくてもいい。
  8. 小野沢知之

    小野沢政府委員 御指摘のありました指示のとおりでございます。
  9. 上田哲

    上田(哲)委員 だから、その総論においては私は賛成なのですが、この法案に即して言うと若干の問題があるのではないかということをちょっと御指摘を申し上げたい。  今度の施設、これは産投からの出資で言うと二つでもって三億円、そうすると一つは一億五千万ということになるのですね。これに無利子の融資だとかいろいろなことが説明されていますから、これも繰り返しませんけれども、本来は五億から十億欲しいところが一億五千万に削られているということになりますと、いろいろなことを全部加算していけば一つ九億円ぐらいになってしまうのです。  この九億円ぐらいで、簡単に申し上げると四つ機能、つまり番組制作スタジオ機能、それから教育訓練機能、それから番組ライブラリー、さらに通信衛星の打ち上げ機能、この四つ機能を持つものが五年間で全国に十カ所、それがこの程度の金額でできるのだろうかということを思わざるを得ない。  これは役所としてはそのように努力しますとしか言いようがないだろうから、この分は答弁を先取りして時間を省きますけれども、私が言いたいのは、全国にこういうものを十カ所つくっても例えば相当大きなブロックに一つですよ。そうすると、百三十五のCATV局が、全部できても全国に十ぐらいしかないところに一泊二日で出かけていって番組つくったり打ち上げたりなんということをやるというのは極めて現実的ではないのじゃないか。だから、気持ちはわかるけれども、本当の利用度はないのじゃないか。それと、空中波でも、東京キー局は別にして地方の放送局では随分空き室があるのですね。だったらそれぞれのところがそういうところを利用するということの方が現実的なのじゃないか。  もう一つ、これも時間の問題があるから急いで申し上げるが、例えば車載局というような移動可能なものをつくった方が金の使い方や効用性からいって利用度が高いのじゃないか、極めて技術的、現実的なこういう問題があると思いますね。これはいかがですか。
  10. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答え申し上げます。  昨年八月以降丹念に予算編成の準備をしたわけですが、その過程全国の相当の地域からこの施策に対してぜひ実現してほしいという要望がございまして、そういったことを踏まえて、利用者は十分いるというふうに踏んでおります。  それから、ただいま御指摘のありました車載局の活用とかそういったものにつきましては、これから検討課題一つとして研究させていただきたいと思います。
  11. 上田哲

    上田(哲)委員 車載局だけもう一つ御質問しておきましょう。車載局、やりますか。この予算の中であれもやるこれもやるはできないのですよ。そうすると、そういうやり方の方に重点を置かないと、実際にはセンターというものを全国に十つくってみたところで余り役に立たない。それだったら、移動可能で、パラボラアンテナなど必要な機材を積んで通信衛星に向けて打ち上げる、そういうものをつくっていくというのが方向性としては非常に正しいのじゃないかなというふうに思うので、重ねてもう一言伺います。
  12. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答え申し上げますが、今度の本事業車載局も整備し得るということで、予算編成過程で整理しておりますが、詳細につきましてはこれからさらに検討してまいりたいというように考えております。
  13. 上田哲

    上田(哲)委員 さっき申し上げたように、総論賛成ですから、その辺は鋭意努力をしていただくということでいいのでありますが、さて根本的な問題に入って、CATVは今後いかにあるべきかということをぜひ考えて、今回の予算幅なんというのは非常に小さいけれども、将来像に結びつく考え方を持っていただきたいから、その基本のところを少し議論させていただきたいのであります。  さっき大変大きな数字も御答弁になりましたけれども、例えば受信者数というのは、NHK受信者数を分母にしてみると二〇%に達しているとか、あるいは五万局CATV局があるというような御答弁があるので、それは大変大きい数字なんですが、実際には、難視聴解消のためにつくったような八例えばNHKにたしか一万くらいありますね、そういうものは関係ないというか、このジャンルには含まれないわけだから、そうすると二十一チャンネル、百三十五局、四十万ということだと、揺籃期というと言葉はこれでいいんですけれども、このままほっといたら実質的にこれは採算がとれないというか、経営が苦しいというか、なかなか発展しがたいというところにまずぶつかると思うのですね。その経営状況はどうなっていますか。
  14. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたスペースケーブルネットが開始されましてから有線テレビジョン放送が急速に普及しておるわけでございますが、スペースケーブルネット推進懇談会報告書によりますと、二十一世紀当初では、スペースケーブルネット対応型のCATV普及全国で一千万世帯を超え、普及率が、NHK受信契約世帯数に対する有線テレビジョン放送加入者数も四〇%に達するものというふうに期待されておるわけでございます。
  15. 上田哲

    上田(哲)委員 局長、そういうのはいいんだ、それはもうさっき済んでいるから。私が聞きたいのは、もう絞って、CATVは四十万世帯を対象にして百三十五社がやっているわけだ。で、二十一チャンネルでやっているわけですよ。そのサプライヤーがあって、CATV局がこれだけあって、四十万世帯有料だということになると、全体の経営状態が苦しいのじゃないか。これは調査をお願いしてあるのだから、もう出ているはずだ。その先の部分じゃなくて、内容をぴしっと答えてもらわなければいけない。
  16. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  有線テレビジョン放送施設運用状況、それから業務運営状況報告書によりますと、平成二年度末で、営利目的とした有線テレビジョン放送事業者百二十五社の総収益は三百二十二億円でございます。これは対前年度比の四八・四%の増加に相当いたします。それから総費用ですが、四百六十三億円ということで、対前年度比六二・五%の増加でございまして、その損失は百四十一億円ということで、対前年度比四九・八%の増加になっております。これを個々の社について見ますと、営利目的とした有線テレビジョン放送事業者百三十五社のうち、平成二年度末に単年度黒字となっている社は四十五社でございまして、これは前年度は三十八社でございます。  そこで、これらを前年度に対比して見ますと、単年度黒字となる社が増加する一方で、新規の有線テレビジョン放送事業者による損失増大等により、営利目的とした有線テレビジョン放送事業者全体の損失幅は増大している状況にございます。このように有線テレビジョン放送事業者経営状況は苦しいという状況にございます。
  17. 上田哲

    上田(哲)委員 苦しいわけですよね。これは今のところ成り立たないのですよ。ですから、百三十五社で損失は百四十一億だ、確かに黒字になっているところも少しはあるけれどもというのが実態であって、しかもその赤字幅が増大しておるというのが数字なんです。CATVというのは、装置産業という言葉で言われるように、例えばケーブル施設大変お金がかかる。その資金回収も非常に難しいというようなことがありますから、経営状態が好転するというのは本来的になかなか難しい要素があるわけです。営利目的とする云々という言葉が今ありました。営利目的とすると言えばそういう感じもするけれども、これは有料テレビなんだ。無料でコマーシャルでやりなさいというのじゃなくて、料金を取っておやりなさいという趣旨で出発しているわけだから、これは有料テレビと言うべきであって、営利目的とするというような言い方になると大変金もうけのためにやっているというニュアンスがありますけれども、それはちょっと気の毒な感じがする。だから、コマーシャルではないんですよ。まあ、コマーシャルも入るでしょうが、料金を取っておやりなさい、料金を余り高くしないためにコマーシャルもお使いなさいというような趣旨だと読み取るべきですね。そうだとすると、それではなかなかやっていけないという状態であり、それで育成するんだというのだとすると、そこをどうするかという問題がもう少しシビアにとらえられていかなきゃならないと思うのです。例えばそういう中でCATV連盟とか番組協議会というのはどういうふうにその辺を感じているかというのを——まだとれてない、じゃそれは後で。困るな、もうちょっとちゃんととっておいてもらいたいんだが、どうもお役所仕事で、そういう部分のところまで行ってない感じがいたします。  そちらの方でまとめられたものをかいま見ると、有線テレビジョン放送事業者経営状況は苦しいので、既存支援措置云々、あわせて有線テレビジョン放送事業者に対して一層の支援を行っていくことが必要であると書いてありますが、これは今言わなかったですね。言わなかったのは何かほかに意図があるかどうか知りませんけれども、育成というのはこういうことでしょう。そうですね。——うなずいておられるから時間を省いて先に行きますが、とするとどうするかという問題が幾つかなければならないんですよ。  二つ三つ、これも時間の関係で取り上げておきますけれども、さっき申し上げたように、装置産業ということになるものだから、例えばケーブル施設についても、これが一番大変なんだから、そうするとそのケーブル施設についても行政手続郵政省建設省国土庁にまたがっているんですね。これは大変なことなんです。こういうものを行政の側で努力ができるものとして何か改善の策はありますか。
  18. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  一つの制度の実施に当たりまして、いろいろな省庁との関係調整が必要でございますが、今までの実態を踏まえましてさらに緊密な連絡をとって円滑な手続が進行するように努力したいと思います。
  19. 上田哲

    上田(哲)委員 ちょっと大臣にも一言聞いておかないと先に進まないな。  細かいことは別として、育成というんだから、そうすると、今言ったような、多分ああいうように言っておいて後やらないだろうという答弁じゃなくて、例えば行政郵政省建設省国土庁にまたがるようなそうした問題を解消していく努力がなければならぬだろうと思うのですが、いかがですか。
  20. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 先ほどから先生の御指摘をお聞きいたしておりまして、確かに事務的に答弁しますとああいうことになってしまいますが、現実、そのCATVの苦境といいますか苦しい環境というものは、やはり認可を与えている役所からしますとそのまま放置してはならない。これは政治としては当然そういう考え方でこれから取り組んでいかなきゃならないと思っております。  同時に、認可をするまでの期間であるとかあるいはまたいろいろな段階に長期間時間を要することによって経費は——放送しなかったらお金は入らないわけでございますから、早く放送事業を開始させる、それによって収支の関係をとれるような、少なくとも今御指摘された各省庁との調整ぐらいは、政府間のことでありますから、これは今までよりももっともっと短縮をして、事業者が早く事業開始ができる環境を整える、これは当然郵政省として責任を持ってやっていかなきゃならない業務である、責任である、こう思っております。
  21. 上田哲

    上田(哲)委員 そこで、例えばもう一つ二つ通信衛星トランスポンダーは物すごく高いのですね。このトランスポンダーの高さというのはどのぐらい高いと思っていますか。
  22. 小野沢知之

    小野沢政府委員 一トランスポンダー年間約五億円でございます。
  23. 上田哲

    上田(哲)委員 約五億円と言うけれども、一年契約数字を調べてみますと、一本で三億円から六億円なんですよ。真ん中をとれば五億円という言い方になるかもしれないけれども、そんないいかげんな言い方ではだめですよ。なぜそんな三億円、六億円という差が出ると思いますか。
  24. 小野沢知之

    小野沢政府委員 通信サービスの違いがございますので、まとめて約五億円と申し上げたわけでございます。
  25. 上田哲

    上田(哲)委員 わかってないんだ、これは。もうちょっと勉強しなければ困る。三億円と六億円というのがあるんですよ。どこが違うかというと、故障のときのバックアップが保証されているかどうかということなんです。それが入っていなければ三億円なんだが、それが入ると六億円までいくんです。倍になっちゃうんですよ。わかりますか。
  26. 小野沢知之

    小野沢政府委員 御指摘により、この点について認識を深めたわけでございます。
  27. 上田哲

    上田(哲)委員 そこで問題なのは、このCS放送にはバックアップのところが保証されていないといけないことになっているんです。だから、三億円、六億円あるけれども、CS放送ということになると六億円の方にしなきゃならなくなるんです。そこが問題なんです。問題というか、この三億円と六億円のところはCS放送であるからには仕方がないのです。仕方がないんだが、私が言いたいのは、三億円、六億円そのものがどうかというと、これはアメリカの大体三倍から四倍の金なんですよ。どうして日本の場合のトランスポンダーアメリカの三倍から四倍になるのですか。そこなんです、聞きたいのは。先の話はいいですから。
  28. 小野沢知之

    小野沢政府委員 詳しく存じませんが、それぞれの国の事情が、アメリカならアメリカ日本なら日本であるのかというふうに考えておりまして、後ほど研究いたします。
  29. 上田哲

    上田(哲)委員 まあいいです。勉強してください。せめてこれを半分ぐらいにするというようなことにならないと、これは大変なんですね。この仕事というのはそういうところが講じられていかないとだめだという一例を挙げたわけでありまして、ぜひ御勉強になって、アメリカの三倍、四倍なんということじゃないような方法というのをぜひ考え出していただきたい。  もう一つ言います。さっきちらっと大臣も言われたのだけれども、さて、申請して、許可と届け出があるんだけれども、許可がないと正式のCATV局にならないが、これについての手続の煩雑さというのは無類なんですね。大体三十センチから五十センチの幅の書類を出さないとだめだというのが普通の言い方になっているんです。詳しく調べてもらったので、私の方からそういうところを申し上げた方がいいと思うのだけれども、会社を設立してから許可が得られるまでに要した年月は、一九九一年に許可した三十六社のうち一番かかったのは八年二カ月、これは特別な例でしょうが、最低五カ月というのもある。平均というのはなかなかとりにくいが、大体二年一カ月という数字。それから直近の、二月中にどんどん来ていますから、二月中に許可した六社のうち最高は二年三カ月というようなことになっているようですね。これはそちらで調べてもらった数字でありますから、私はこのとおり受け取るということになるんですが、これはやはりかかり過ぎじゃないか。書類の多さというのは、必要だと言われればそれまでですけれども、ケーブルが入るものだからケーブルの線を引っ張る図面の問題とか、やむを得ない部分もあるが、大変なんですね。だから、全部けしからぬと言うつもりはないが、こうした手続といいましょうか、そういう問題を簡素化、効率化する努力というのが考えられないといけないんじゃないか、こんなふうに思います。
  30. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答え申し上げます。  着任しまして、設置許可に至るまでの期間を短縮しようということで努力いたしまして、先ほど御指摘がありましたけれども、この一年間は平均二年一カ月かかったのが一年足らずということで、今実績を上げております。  なお、御指摘を受けました事務の簡素化効率化等につきましては、法律施行後二十年の経験がありますので、その経験則を踏まえまして改めて真剣に検討したいというふうに考えます。
  31. 上田哲

    上田(哲)委員 これは努力してもらいたいということにしておきます。  あわせてぜひ申し上げておきたいことは、放送法というのはすぐれた法律だと私は思っています。憲法ができたときと同じ時期に民主主義というものを基底に置いてつくられた法律ですから、私はこれは大綱においてすぐれているというふうに思っていますけれども、この放送法の一番大事なところは、放送内容については権力の介入を排除する、何人も放送内容については手を入れてはいかぬというところが非常に大事なところだと思うのですね。これは、先ほどからお話をしているところで、経営が苦しいとか、そこで育成するとかということを言っている限りではいいんですが、同時に行政側の過剰な介入、保護という名における過剰な介入ということになっても困るのでありまして、そういう点ではぜひ一本私としては申し上げておきたい。例えば実施計画の認定を郵政大臣が行う、あるいは国が出資する、こういうふうに行政がかかわる部分があるわけでありますから、これが過剰な介入になってしまってはならないということを保障してもらわなければならない、これはどのように保障することになりますか。
  32. 小野沢知之

    小野沢政府委員 御指摘の点につきましては、この法律案を作成するに当たって最も意を用いたうちの一つでございますが、本法律案が成立して施行されるまでにはなお一層このような点について十分配意してまいりたいというふうに考えております。
  33. 上田哲

    上田(哲)委員 これはもうぜひそうしてもらわなければなりません。  そこで、日本CATVというものがこれから育成されなければならないということを、そういう行政面の問題よりも文化面の問題として私はぜひ議論をしてほしい、今その時期にきたのじゃないかというのが私の今問題意識、きょう質問の趣旨なんでありまして、そういう立場でいいますと、それがいいというわけではないが、アメリカの例というのが一つ参考になるわけですね。  御案内のように、アメリカは実にこのCATV普及率は六〇%なんですね。三大ネットワークを脅かしておるわけであります。過般、湾岸戦争なんかで大変名を上げたCNNなんというのはそういうものでありまして、アメリカの場合はCATV局が一万七百四局である。日本は百三十五である。それから日本は二十一チャンネルでありますが、アメリカは七十チャンネルである。日本は四十万世帯であるが、アメリカは五千六百万世帯である。日本の全世帯数より多いわけですね。普及率が、アメリカが六〇%以上と今申し上げた。日本はその数字でいくと一・五%ぐらいということになっていくのかな。アメリカが手本であっていいなんということを言っているのじゃありませんよ、アメリカは国土も非常に大きいし、発生の経過からいったってこっちから始まったということもありますから、CATVがおくれているのは文化のおくれだなんということを決して言っているわけではない。そういう意味ではありませんけれども、議論すべきポイントとして言えば、CATVの特殊性である専門放送、そして地域放送、そして双方向性放送、それが文化生産としての主体性を強化するといいますか、一方にある空中波放送というものが、普通のテレビが、今一種の限界値に立っているという議論もあります。余り新しいものを開発できないとか、番組の内容についてのいろいろな批判だとか、いろいろなことがあります。これもチャンネルに応じて制作能力がとても追いつかないとか、いろいろなことがあるわけですけれども、一方にそういうものがあるのであれば、当然今申し上げたCATVの活用というのが、空中波テレビというものが一方性、巨大性ということで論難される限りにおいては、それを補完するあるいはそれ以上に独立、独自の文化領域を持つという点などからもっと注目されてもいいものだという面でアメリカの例なんかは考えられていい。日本でも、例えば長野県の諏訪なんかでは水道料金の検針をこれがやるとか、数は少ないけれども双方向性というのも出ていますね。ですから特に、これは後で言いますけれども、二月二十七日のスーパーバードBの打ち上げ以降の新展開から考えても、こういう問題をどういうふうに文化論的に考えていくのかということがなければならないと思うのです。こういう議論はちゃんとやっていますか。あったらひとつ抱負経絡を聞かせていただきたい。
  34. 小野沢知之

    小野沢政府委員 放送行政局長に昨年夏着任いたしましてから、放送行政推進するに当たって最大の視点の一つは、そういう文化創造性という観点から放送メディア等を見ていく必要があるというふうに痛感しておりまして、そういう施策を講じてきておるつもりでございますが、この一月に実はアメリカに行きまして、短い期間でしたがいろいろなところを見てまいりました。その中でケーブルテレビの実情も見て、責任者のお話も随分伺ってまいりましたが、今御指摘のありましたように多メディア・多チャンネル性とそれから双方向通信双方向性、この辺に着眼して、しかも地域密着性ということを背景にしながら真剣に取り組んでいる姿を見て感銘を受けたわけでございます。アメリカの例をそのままに実行するという意味ではございませんが、重要な参考資料としながら、そういったものを踏まえながらさらに勉強を深めていきたいというふうに考えております。
  35. 上田哲

    上田(哲)委員 アメリカの六〇%という数字と比べてみて、日本の将来像というのはどんなふうに考えますか。
  36. 小野沢知之

    小野沢政府委員 何年か前にたしか出た調査統計資料によりますと、二十一世紀初頭に四〇%まで普及するのじゃないかという予測があるのですが、私の直観として、今このままの施策で推移すれば本当に大丈夫かなという気がしたものですから、今有線テレビジョン放送をめぐるいろいろな施策を講じておりまして、そういったことを全部実行して合わせていけば四〇%も可能がなというのが現在の私の直観でございます。
  37. 上田哲

    上田(哲)委員 そうすると、四〇%になる方がいいということなんですか。
  38. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答え申し上げます。  その調査研究報告書でも、あらゆる点を踏まえて郵政省関係調査機関として、調査研究機能としてまとめ上げていただいたものですから、いろいろな点を踏まえていると存じますので、四〇%というめどは二十一世紀初頭として妥当かなというふうに考えております。
  39. 上田哲

    上田(哲)委員 これは非常に難しいところで、繰り返すようですが、アメリカ的なむのがいいのかどうか、これもよくわからない。わからないが、まあ少なくとも、今これだけメディアが多様化、拡大してきている中で、その影響の大きさを考えると、受けっ放しになるようなものでない何かを考えるという側面からCATVというものをしっかり見直してみたいということにはなっていく。これがどうも行政マターでやったりあるいは営業マターでやったり、結局は巨大資本が入ってきちゃうだけにかってしまってもこれは困るわけだけれども、そういうところを注意しながら下からつくっていくといいますか、放送番組をみんながつくっていくみたいなことになっていくといいなというわけで、民族の創造性みたいな、文化創造性みたいなものに資するような方向というものをぜひ添え木してもらわなきゃならぬ。それが四〇%でいいのかどうか、足りるとか多過ぎるとか足りないとかいうのではないのですよ。これは、今から線を引っ張ってどうだということは確かに言いにくい話ではあるのです。  きのうあたり、この質問をするものですから、郵政省のそういう関係の人が来て、うんと長いこと私の部屋で討論会をやりましたけれども、やはり議論が足りぬな、もっと議論しなきゃだめじゃないかというところが大体落ちついたところなので、だからきょうはこの辺でとどめておきますが、行政からどうしようなんということじゃなくて、それも国の仕事の重要な任務であるというお手伝いをぜひやってもらうようにお願いしたいということにしておきます。  もう一つ、BSは放送であってCSは通信である、言葉がちょっと実態に合わなくなっちゃっている。ことしの四月ないし七月から六チャンネルCS放送ということになる。それはそれで一つ段階になるのですが、集中排除という立場で、新聞、放送ではないところというようなことで六チャンネルを設定されましたね。それに対して、新聞協会、民放連から「聴聞準備書面」、これが六月十一日に出ていますね。ここで集中排除というのは当たらないじゃないかみたいなことが言われてもおります。これは難しいところで、一つには、やはりどこかのマスメディアが一切のものを握ってしまう、これはNHKの問題も含めてくるのだけれども、そんなふうにメディアを独占していいのかという問題もあるが、同時にまた、実際にそういうノウハウを持っていたり資本能力があるところじゃないと今経営が順調にいくとはいえないところではなかなかできないのじゃないかというふうな議論もあるとか、これは私もよくわかりません。わかりませんが、今後の方向として、とりあえずスーパーバードB以降のあり方としてどのようにこれから発展させていかれるのかという見解を伺っておきたいと思います。
  40. 小野沢知之

    小野沢政府委員 先般行いました認定は、従来の決定されてきた原則に基づいて認定したわけでございますが、時代の趨勢の変化に伴いましていろいろな状況も変化してきていると思いますし、いろいろな各界の御意見もあります。  そこで、CS放送メディア特性等を考慮した場合に、CS放送に関するこの原則の具体的な運用のあり方につきまして、現在、通信衛星を利用する放送の普及の在り方に関する研究会で調査研究を深めておりまして、近く一定の結論が得られる予定でございますので、そういった結果を踏まえまして、また、各界の御意見等も踏まえまして、検討を行いたい、こういうふうに考えております。
  41. 上田哲

    上田(哲)委員 この問題は、大ざっぱに整理すると、チャンネルの追加ということと集中排除ということと二つあるわけですね。これをもうちょっと整理して説明できますか。
  42. 小野沢知之

    小野沢政府委員 集中排除の原則は、電波の希少性とか、そういったことが一つの根拠といいますか考え方基本になっておると思いますが、BS放送、CS放送、そういったことで多メディア。多チャンネル化してまいりますから、そういったことも考慮の要素に入れながら、また、ソフトの充実だとか、そういったいろいろな点が今調査研究されておりますので、そういったことを総合的に踏まえて結論を出してまいりたい、こういうように考えます。
  43. 上田哲

    上田(哲)委員 難しいので私も今結論を持たないで、したがってお伺いしているのですが、研究会と言われるけれども、これは別に審議会ではないから、答申があって縛られるわけじゃないので、やっぱり郵政省がどう考えるかということは少なくとも並行していなければならない。  繰り返すようだけれども、チャンネルの問題と集中排除の問題というのは別なものであろう、もう一歩突っ込んでいくとすると、チャンネル追加ということはあり得るだろう、しかしそれでも集中排除の原則は貫く、こういうことをおっしゃっているわけですか。
  44. 小野沢知之

    小野沢政府委員 筋論から言いまして、チャンネルがCS等によってどう増加していくかということと集中排除の原則がどうあるべきかということ等勘案して考えなければいけない面がございますが、いずれにいたしましても、今そういったことを全部踏まえまして、調査研究が最後の段階になってまいりましてそういったものを踏まえ、また、各界の御意見とか、いろいろな学会の先生方のいろいろな調査研究結果とか、そういったものを踏まえまして、そう遠からず放送行政局としても結論を固めていきたい、こういうように考えております。
  45. 上田哲

    上田(哲)委員 これは放送局の開設の根本的基準第九条なんですね。これは昭和二十五年の省令なんです。これは電波による放送の周波数が非堂に少なかった時代の考え方ですから、依然として守るべきものもあるだろうし考えなければならないものもあるだろう。その辺のところはひとつ慎重に議論をしてください。それ以上のことは申し上げないというか、今は次の議論にしておきたいと思います。  それでは、時間がありませんので、今までのところをまとめて、現状から将来の、特に放送メディア文化論としてCATVのあり方というものをどう考えるか、大臣から承っておきたいと思います。
  46. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 先生の方がはるかにたくさんな知識経験もお持ちでありまして、私の方が申し上げることが果たして今御質問の趣旨に答えられるかどうかどうもわかりませんが、しかし、少なくとも昨今非常に急激に多メディア・多チャンネルの時代に入ってきている、こういう国民の情報ニーズの高度化に伴って、今ほどもお話ございました衛星放送とかハイビジョン放送とか多チャンネルCATVなどの多彩な放送ニューメディアが出てきているわけで、これから各メディア間の競争が一層加速するということを想定する中で、今回の法案、それぞれひとつ御審議をいただいて、おっしゃられるような趣旨に沿うべく努力をいたしてまいりたいと思っているわけですが、さまざまな放送メディア全国的サービス、地域サービスあるいは総合放送、専門放送、御案内の高画質化や高音質化などの面で、その特性を生かしながらでありますが、私は、視聴者の極めて多様なニーズにこたえた放送ソフト、番組ですね、こっちの方の充実もこれから図られていきませんことには、いわゆるそのニーズにこたえることはできない、あるいはまた多チャンネル化の時代に各局がそれぞれ対応できない、あるいはまたある意味では共存できないというような面も考えてみて、その調和ある発展発達普及ということが大切だと思います。  大変釈迦に説法でありますが、総合的な政策をこれから進めてまいりたいと思っておりますが、あくまでも、放送を国民の豊かな日常生活に役立てていくべく、高度情報社会に備えた大切なこの多メディア・多チャンネル時代というものに対応すべく全力を注いでまいりたいというのが、非常に大ざっぱな言い方でありますが、いまの考えでございます。
  47. 上田哲

    上田(哲)委員 時間が迫っておりますので、BS三号のことを伺いたいと思います。  今度NHKは、新年度、補完衛星を初年度五十億で打ち上げるという御計画でありますが、この議論は後に譲るとして、今飛んでおりますBS三号ですね。私がお伺いしたいポイントは、これは大変なお金がかかる放送衛星。この放送衛星に保険を掛けるわけですね。それで、保険を掛ける、まあ素朴に言うと、この前ぼんぼん落ちたからそんな大きな額のものを保険会社がちゃんと引き受けてくれるんだろうかというふうに思いますね、一般的に。これは、国際的なネットもあるし、ちゃんと保険会社の方はそういうことをやるのだそうでありますけれども、事NHKが今度の補完衛星も全額NHKでやるんだということになると、これはその関心が一層深まらなければならぬという立場で、補完衛星の方は後でやりますけれども、きょうは、今やっている三号の方で実態をひとつ教えていただきたい。  簡単に申し上げると、この三号は、aが一九九〇年八月二十八日に打ち上げられる、bは九一年八月二十五日に打ち上げられる、ほぼ一年の差ですね。これはこういうテクニックの問題でありますから。それで、これには保険が三つあって、打ち上げ前の保険と打ち上げ保険と飛んでいる間の寿命保険、こういうふうになっていて、調べてみますと、三号の場合、aは打ち上げ前保険と寿命保険、それからbは寿命保険だけを掛けておられる。普通に考えると、全部掛けてないと大丈夫かなという考えを持つわけですが、そこは保険料と、それからまあ安全度というのかな、そういう問題をいろいろ考えて、なるべく金をかけないようにやろうというのは、これは相当な努力だと思います。  言うまでもありませんけれども、この保険料というのは全額受信料でやるんだということを、念のためですが確認しておきますが、そこはよろしいですか。一言でいいです、時間がないので。
  48. 中野正彦

    中野参考人 お答え申し上げます。  BS3aと3bについて打ち上げ保険は掛けておりません。これは、財政的な理由ということ、それから、ロケットの信頼性というような問題を総合的に考えまして掛けませんでした。(上田(哲)委員「受信料から出る金かと聞いている」と呼ぶ)受信料で負担をしているということでございます。
  49. 上田哲

    上田(哲)委員 そこで、このaとbというのは、東経百十度の赤道上空三万六千キロのところで〇・二度の差でずっと飛んでいるという、これは大変な精度を持った衛星なわけです。受信料でやるというので、受信者の立場からぜひ信頼したいものだからお伺いするのでありますが、まあ素人考えかもしれないが、aの方が打ち上げ前保険を掛けている、それからbの方は打ち上げ前保険も省略した、これは、aが現用でありbが予備であるということからして多分そういう配慮だと思うのですね。  時間の関係がありますから絞って伺いますが、伺いたいことは、このaが打ち上げられたのが九〇年八月二十八日だ、それから、bが打ち上げられたのがその次の年の九一年八月二十五日だ、それで、双方に掛かっている寿命保険、これは九一年の十月二十四日から一年間だ、こういうことなんですね。そうするとaもbも、aに関しては打ち上げられてから一年二カ月たって保険が掛かる、bの方は二カ月たってから保険が掛かるということになると、この間に落ちちゃったら大変なことになる。これはNHKだけではありませんけれども、総額七百二十億円かかっているわけですから、そういう立場からするとこれはもう大変なことになります。落ちなくても、aに関しては保険金額が八十三億四千万円、保険料率二・五%で、保険期間中の保険金額の低減を考慮して保険料一億九千万円、bは当初の保険金額百三十九億五千万円、保険料率二%で、同様に保険期間中の保険金額の低減を考慮して保険料二億五千八百万円、これはもう払わざるを得ないわけですから、受信料からもこれだけの金が出ていくということになると、NHKとしては、むだな金を使わないために、リスクということはないだろうが、その一年二カ月というのは大丈夫だというふうに考えられたと私は信頼をするのですよ。とすると、伺いたいのは、これは相当大変な計算があるだろう。これはもう素朴に伺うのだけれども、そういう計算というのはどういうものなのか。非常に素朴な質問だから素朴な答えになっちゃうかもしれないが、一年二カ月も保険なしに上を回っていて大丈夫だったのか、それはどういう計算になるとそういうことになるのか。保険料との関係ということになろうと思いますけれども、そこを説明していただきたいと思います。
  50. 中野正彦

    中野参考人 お答えいたします。  まず基本的には、NHK、私どもとしては、衛星放送の安定的、継続的な受信のために軌道上に完全な二機を待機させる、これはもうぜひ必要である、こういう考えでいるわけでございます。したがいまして、二機体制確立のために、BS3a打ち上げのとき、これは2bだけが機能しておりました、その打ち上げのときに、BS3Hの打ち上げをぜひお願いをしたいということでいたわけでございます。それから、BS3bを打ち上げるときも、同様に、新たに補完衛星の打ち上げが必要であるというふうに考えておりました。これは、その直前に3Hが失敗いたしましたもので、そういうことがございました。したがいまして、NHKとしては、総合的な判断によりまして、財政状況あるいはロケットの信頼性の問題等もあわせまして、そのかなり多額に上る打ち上げの保険料については断念をしたということでございます。  それから、寿命保険につきましては、現在、先生お話しのとおり、3a、3bともに、寿命保険、これは保険期間一年ということで保険を掛けでございます。  それから、3aについて若干空白があるではないか、こういう御指摘でございますけれども、この3aについては、これまでの2a、2bの引き取り時のふぐあいの発生がございましたので、そういう状況を勘案いたしまして、これはまたさらに、引き取り五カ月後には3Hが打ち上がるということもございます、それから、大変財政的な問題もございましたので、寿命保険はもう断念したという状況でございます。
  51. 上田哲

    上田(哲)委員 時間がないのです。質問時間が切れますから、きょうは厳しい時間の配分になっていますから。  断念という言葉がありましたから、できるなら掛けておきたかったけれども、経費の節約の上でそこは思い切った、こういうことですね。そういうことですね。——いやいや、もう時間がないんだ。そうですね。——はい。私はわからないものだから、そこのところを、細かいこういう計算だったというところを後で出してください。いいですね。——いや、時間がないから答弁はいいです。いいですね。  それじゃ出していただくことを約束しまして、最後一つ残っていたのですが、CATV連盟とか協議会のあれはありましたか。——ない。なければ、これも時間が切れましたから、時間を守って、この二つ、宿題にいたします。ぜひ後で文書なりで、NHKもそれから郵政側も二つの問題についてお答えいただきたいということです。よろしいですか。——はい。それじゃ、時間が切れましたから終わります。
  52. 谷垣禎一

    谷垣委員長 次に、秋葉忠利君。
  53. 秋葉忠利

    秋葉委員 社会党の秋葉でございます。本日は、通信・放送機構の改正について実は一言感謝を申し上げて、その機構のこれからの仕事についてある程度実質のある質問ができたらと思っておりましたけれども、実はけさの新聞を見て大変びっくりいたしました。現在、政治倫理の問題、政治腐敗の問題、非常に残念ですけれども、政治改革以前の問題ですけれども、こういった政治の世界における疑惑、腐敗が非常に大きな問題になっております。やはり私もこの場で郵政大臣に何点かこの件に関してお伺いをしなくてはならない、そういう責任感を感じておりますので、ぜひ御協力をお願いしたいと思います。  ただ一方的に、事実が全くないにもかかわらず一方的にでっち上げによって、そのことによって空想的な責任をとらされるというのも私はフェアではないと思いますので、事実に即したいと思いますし、それから、私は郵政大臣の心の中まではわかりませんので、最初から悪いことをやろうと考えていたのだろうなどということは決して考えずに、やはりあくまでも善意をもって行動してきたという前提でいろいろお伺いをしたいと思います。この機会に事実関係等についてきちんとした説明をしていただければ、それによって疑惑が晴れれば、国民全体にとってもそれは非常に喜ばしいことなわけですから、そういった趣旨でお願いしたいと思います。  まず最初に、二月二十日、これは予算委員会だと思いますが、同僚の小岩井議員が大臣に質問しております。その内容ですと、例えばリクルート社から新たな問題が出てきた場合どうするかということを小岩井議員が聞いていますが、それに対する答えとして、出てきたときは「相応に対応いたします。」とお答えになっている。今回、きょうの朝日新聞の報道によりますと、二百万円新たな献金が、献金といいますか新たなお金が浮上してきた。これを合わせると未公開株以外全体で一千万円になるということが報じられておりますけれども、まずこれが事実であるのかどうか。少なくともこういった問題が出てきたわけですから、仮に事実ではないにしろこういった報道が出るということで、その相応の対応というのは現時点ではどういうことを考えておられるのか伺いたいと思います。
  54. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 大変どうも、私の不徳から一連の報道がございまして、先般来、当委員会におきましても重ねておわびを申し上げ、そして私の考え方を御披瀝申し上げてきたところでございます。これは先生からも御了察をいただいていると思うのでありますが、今の御質問、けさのその新聞報道でございますけれども、私も調べてみましたけれども、実際に、実は私の方はその事実ございません。いろいろと言われまして、私の方も先生のおっしゃられるように調べてみようと思って調べた。手を尽くしてみて、これ以上実は調べようがないのでございまして、事実確認、事実だけはないということをご理解いただきたいと思います。
  55. 秋葉忠利

    秋葉委員 そういたしますと、この朝日新聞それから週刊文春、両方出ているわけですけれども、事実無根ということですと、やはりそれなりの例えば法的措置をおとりになるおつもりですか、名誉棄損あるいは少なくとも謝罪広告を出せという請求ぐらいはなさるおつもりなんですか。
  56. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 先生、私、予算委員会でも申し上げてきたのです。これは本当に私と秘書との感情の行き違いからこういう問題が出発いたしまして、私も先般自分の真情をここで吐露いたしましたけれども、実際もうすべてがこれは私の不徳でございまして、それは二十年、実際に学生時代から私のところにいた人間、肉親同様以上にやってきた二人の関係がこういう感情の行き違いになったということは、これはもうすべて相手を非難し、あるいはまた、報道された方たちに対して私が悔やみ事も言うことよりも、人間的に私もここは反省の時期だということ一点、本当に心の底からそう思っております。どうぞひとつ御理解いただきたいと思うのであります。
  57. 秋葉忠利

    秋葉委員 実は二百万円以外にも幾つか問題点があります。これは週刊文春の報道です。うわさとしてではありますけれども、「「週刊文春」が渡辺郵政大臣の記事を掲載しなくなったのは、大臣が編集部に”記事差し止め”を申し入れたからだ。」ということが書かれております。実はこれは、郵政大臣としては、もしこれが事実であればゆゆしき問題だということはおわかりいただけると思います。新聞だけがマスコミではありません、放送も非常に大事なマスコミの一部であります。しかもNHKに関しては、予算承認をするといったような形で郵政大臣とマスコミとの間に力関係、歴然たる力関係があるわけですから、仮にこういったことが事実だとすれば、もうそれはそれだけで大臣としての資格がないというふうに私は思います。この点について本当にそんなことがあったのかどうか、事実を確認したいと思います。
  58. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 大変ありがたい機会をいただきました。私は、雑誌社の名前が出ましたので申し上げますが、毛頭文春さんに何の遺恨も、また、今までの、過去いろいろないきさつもございません。私、そういうわけですから、実はどなたも存じ上げないのです、文春の方。これは、本当に私の今の国務大臣としての立場でやっていい行為とやって悪い行為、しかも今前段おっしゃられた問題も含めて、これは私はやはり今そういうことを報道されることがまず恥ずべきだという自分の考えの中から、しかもまだ、そういう考えでありますだけに、まあ少なくとも文春さんに対して私がそういうような働きかけをしたというような事実は全くないと私は確信を持って申し上げることができます。
  59. 秋葉忠利

    秋葉委員 この問題は、今、個人の不徳の問題あるいはその個人の問題ということで解釈をされていますけれども、私は、実はそれ以上の問題を抱えていると思います。すなわち、郵政大臣という公の立場で、立場があるわけですから、その点から考えますと、そもそも郵政大臣に対してこういったうわさが流れるということは、これは郵政省全体の官僚の皆さん、あるいは郵政省という存在そのものが一つの疑惑の対象になる、あるいはこの報道が誤りであれば、誤った報道の対象になっているということだと思います。その点を、現在郵政大臣として公の立場ではっきりとした態度を表明して、少なくともこの点については郵政省がきちんとしたことをやっているのだということを、マスコミを通して、あるいは公の場で表明すべきだと私は思います。  例えば、私が考えておりますのは、郵政大臣として、憲法に保障されている表現の自由を守る、あるいはマスコミの報道の自由を守るという態度にいささかも変わりはないし、その立場からこんなことは一切していないという声明をお出しになった上で、万一そのようなことがどこかであり、発覚したら、それは郵政大臣としての公の立場で、例えば辞任であるとか、あるいはそれ以上のことが必要かもしれません。そういった厳しい態度、責任を持って郵政省の潔白さということ、そして表現の自由を守るというその態度を表明すべきだと思いますけれども、そういったことをおやりになるおつもりはありますか。
  60. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 大変示唆に富んだ御指導をいただきましたが、私は郵政省の名誉のためにどうすべきか、そして郵政職員三十万人、関連するNTT、NHK、KDD等を対象として三十万、合わせて六十万人の職員の皆さんに、どう私は自分のそういった問題や事実でないということを表明するかという問題は、これから研究をしてまいりたいと思いますが、しかし先生にぜひ御理解いただきたいのは、私はどなたとも接触もしておりませんし、また、文春のどなたとも電話もいたしておりません。したがって、まさにおっしゃいました表現の自由、報道の自由それらが行われている最大の——何といいますか、私どもが所管する役所責任者として、私はそういう行為などは毛頭、みじんもやってはいけないと思ってまいりました。しかるがゆえに、先ほど申し上げた、私自身がまず、相手を非難するよりも、自分が恥ずべきであり、自分の不徳を考えるべきだということが優先されるべきだということが今でも変わらない心境でございますし、どうぞ御理解いただきたいと思います。
  61. 秋葉忠利

    秋葉委員 私の申し上げているのは、今私としては別に衷情報をもっているわけでも何でもありません。事実を確認してそういうことはありますかとお聞きした以上、郵政大臣が言われることを私は全面的に信用しております。  そこで、ですからそういう事実がないということを前提として私は質問しているのですが、それを私が問題点にしているのは、これは郵政大臣個人の問題ではないということです。つまり、郵政省が表現の自由をどのように解釈し、それに対して大臣以下郵政省がどのような態度をとっているかということです。表現の自由、報道の自由というのは非常に曲げられやすいということ、これまたおわかりだと思います。こういった疑惑が出てくるたびに、改めて行政として我々は表現の自由を守るためにきちんとしたことをやっているのです、これからもその態度は堅持しますということを表明しなくてはいけない。しかもその表明の仕方も、ただ単に個人としてではなくて、公の立場で、それこそ大臣のいすをかけたコミットメントでなくてはいけないということを私は申し上げているので、その覚悟がおありかどうかということ、一言で結構です。
  62. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 覚悟はございますが、その方法については検討させてください。
  63. 秋葉忠利

    秋葉委員 それでは、検討をお約束いただきましたから、次に移りたいと思います。  裏口入学の疑惑というのもございます。これに関して、裏口入学のあっせんをし、お金をその謝礼として受け取った事実があるのかどうかということをまず確認したいと思います。
  64. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 各委員会予算委員会でもこの委員会でも申し上げましたが、まず、その事実はございませんということを申し上げさせていただいて、そして入学に関しての相談にはあずかりました。それから、相談に来られる人たちは全く第三者でなくて、私の後援者、支持者でございますので、私は親切に話も承りましたし、それから、いやしくもあっせんというようなことの誤解を招かないように、私は絶えず、今の大学のシステム、そして入学というのは受験者本人の力ですよ、代議士に頼んだからといって入学できるなんと思ったら大間違いだ、ここも必ず私の面会者には口を添えて、もうこれは本当に何人たりとも私に会った人は全部それは証言してくれると思います。それほど私は誤解を招かないようにやってまいりました。しかし、こういうようなことが報道されたことは、先ほど申し上げたように、私の至らないところでございます。
  65. 秋葉忠利

    秋葉委員 予算委員会の質問に答えて、裏口入学のあっせんはしたことはないけれども、合否の発表以前にその合否を知らせるということはやったという意味のことをお答えをなさっているわけですけれども、その合否を事前に知らせるということはおやりになったわけですか。
  66. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 これは私がやったというのではなくて、できるだけ早く合否を知りたいという親の気持ちがあるので、それは、まあ秘書がと言ってはいけませんけれども、私はもう二月とか受験期というのは国会が一番忙しい時期ですから、とても私の手に余ることでもございますし、そうやって進学相談の人に会うことすらなかなか時間がとれません。お互いそういう時期だと思うのです。ですから、結局秘書が、秘書が秘書がになりますけれども、できるだけ早く教えてあげたいために、まあお願いをしたというようなことがあるいはあったかもわかりません。あるいはまた、その発表の日に田舎からわざわざということで、そんなことしなくてもいいじゃないかというけれども、見に行って連絡をしてやる。言うならば後援者、支持者と私との関係ですから、そういう親切なことをやることが当然だという、この考え方で秘書がそういうことをやってきたということも聞いております。
  67. 秋葉忠利

    秋葉委員 今のお答えはちょっと常識的に考えて余り納得できないところがございます。お答えが善意だとしても、まず秘書とそれから政治家との関係ですけれども、秘書が個人として、つまり政治家の名前なしに個人的に行動をとって、例えば今おっしゃったようなことができるはずがありません。あるいはあるのかもしれませんが、そうであれば、そして仮に秘書がそれほど悪い人間であれば、別に政治家の秘書という立場ではなくて、自前で悪いことをやって金もうけをすればいいわけですから、やはり政治家という名前があるから、それを利用することによって具体的にそういう行動をとったということになるわけですから、それに対してやはり政治家本人が責任をとる必要があると私は思います。  それから、親切に教えている、電報、合格発表をかわりに見てやるというのも、それはそういうことがあるかもしれません。しかし、ほとんどの大学では最近は電報を大学自身がします。あるいは、そういうことがなかった昔から、我々の学生のころから電報を打って、例えば「サクラチル」あるいは「オメデトウ」といったような電報を打つ業者がいました。非常に安い値段で一それこそこの週刊誌に報道されているような金額を出さなくても、ほんの千円、二千円あるいは五百円というお金でそういうことをやってくれる。ですから、そういうことを考えますと、今のお答えは常識的に考えて余り納得がいかない。恐らくそういった方にいろいろな親切なことをする、その事実があったんだというふうに今のお答えからだと考えざるを得ないところでございます。  合否を事前に知らせるということ、それは可能かもしれませんけれども、やはりそれも日本の現在の受験制度、それを考えますと非常に大きなルール違反だと思います。特に、多くの受験生あるいは受験生の両親を考えた場合には、非常に大きなルール違反だ。しかも、郵政大臣はその場合に大学の当事者ではありませんから、当事者でない政治家がそのくらいの力を振るうのであれば、では、郵政大臣が直接その長たる郵政省内においてはもっと親切なことをやっているんだろうという疑惑が生じて当然だとおもいますし、恐らく常識的には庶民の感覚ではそういったことが行われているんだろうというふうに解釈して、その上でいろいろなことを考え始めるというふうに私は思います。そういったところが常識的あるいは庶民的な感覚だというところはおわかりいただけますでしょうか。
  68. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 先生、ちょっと私の発言が誤解を招いたかもわかりません。お許しください。  それは、私が事前に知らせるということは、先生にはもう釈迦に説法ですけれども、今ここはもうとにかく各大学というのは教授会がすべての判定の基準を持って判定会議をやっておりますね。ですから、判定会議を経なければ、これはとても知らせられるものじゃありません。したがって、私の方が何かその判定会議の前に事前にキャッチしてそして連絡するというようなことは、あったとは私は承知していないのです。したがいまして、私が終始一貫申し上げてきたことは先生にも御理解、後援者、支持者と代議士との関係というのも御理解いただきたいのでありますが、そこは本当にちょっと子供じみている丁寧さだと言われればそれまでですけれども、実際に選挙区も離れておりますのでそういう行為をやってきた。そして電話で即日すぐに連絡してやるというようなこと、それは実際にやってきたことですから、電報で頼めばいいじゃないか、こうおっしゃいますけれども、そこはひとつ理解していただきたい、こう思うのです。あくまでも、言うならば入学のご相談を受けた、そのことの見返りで金品を要求したり、あるいはまた特別の、私が秘書に命じたり指示をしたりというようなことは全くありません。これはぜひ御理解をいただきたいと思います。
  69. 秋葉忠利

    秋葉委員 今の最後の私の質問にはお答えいただけませんでしたけれども、それは庶民の感覚というのはそういうものだ、あるいは常識的に考えるとそういうことになるというのはおわかりいただけると思います。  それでもう一つ、その点はあれなんですが、現在の政治倫理あるいは腐敗の問題について、私たち政治家がともかくこの問題、すべての国民から納得のいくような形で説得力を持って我々が政界の浄化をしようとしている。それをわかっていただくためには、大事なことが幾つかありますけれども、少なくとも金銭に関してはきちんとした記録をとっておくこと、さらに、それを公表すること、公表をした上で、最終的な判断は、もちろん法律的な判断がありますけれども、それ以上の判断、政治的な判断あるいは倫理的な判断、道義的な判断というところも当然あるわけですが、最終的にはそれは国民の判断にまつということがある意味で一つの原則ではないかと思います。その点については賛成していただけますでしょうか。
  70. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 基本的に私は先生考え方と今後の考え方に対して理解はできます。今後の方向として、やはり政治家としてはそこまで考えて、私生活とあるいは政治活動と一緒にするようなことのないように、あるいはまた支持者の御好意だけにもう甘え続けないというようなこともあわせて大切なことだというふうに思っております。
  71. 秋葉忠利

    秋葉委員 今のお答えから逆に申し上げますと、今のお答えの中で、それでは私が申し上げた、例えば金銭の授受についての正確な記録を実はとっていなかったということを第一点はお認めになるということだと思います。それから第二点としては、秘書を、私の不徳のいたすところというふうにさっきおっしゃいましたけれども、少くとも下に、自分のもとで仕事をしている人間、その人間の管理能力に関して非常に大きな問題があったということもお認めになりました。さらに、先ほどの発言の中で、これは郵政大臣個人の問題ではなくて、公の立場としての郵政大臣、つまり郵政省を代表する公人としての責任があるということも御理解いただけたというふうに思います。  その点を実はかなり損なっているというところも、表現の自由というところからお答えいただいたわけですけれども、実は幾つかの、例えば記憶違いということがおありになった。それから、これは東京宝映テレビというのですか、そこから秘書の派遣に関して税金の申告漏れがあった。それから郵政大臣の方では、リクルート株以外献金はないということがあったにもかかわらず、後に実は献金のあったことが判明した。今回の場合にも、先ほどは否定なさいましたけれども、そういう過去の幾つかの過ちがあるということになると、実は今回のことも記憶違いである可能性、これを全面的に否定するわけにもいかない。我々の考えとしては、その前の例があるから今回の場合も事によったら記憶違いではないかというふうに考えざるを得ないところもあるのですけれども、それを全部私がこれを合わせますと、まず記録というところ、あるいは公表というところ、その管理能力が本当にあるのかどうかというところ、政治全体に対しての信頼を著しく損なっているというところ、どれ一つをとってもそうですけれども、この全体をとって考えてみますと、やはり政治倫理の確立のために、あるいは郵政省の名誉のためにそれ相応の決定をされて、きちんとした公人としての責任のとり方をなさるべきではないかというふうに常識的には考えられるのですけれども、その点はいかがでしょうか。
  72. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 前段の金銭の明細はなかったということを私は認めたということは、先生、済みませんけれども、それは私、認めておりません。これは予算委員会でも、政治資金規正法に照らしてきちんとそれは報告されているというふうに申しております。したがいまして、その点はひとつ私の方の答弁がもし誤解を招いたら御訂正を願いたいというふうに思います。  管理能力の問題はもう先生の御指摘のとおりで、これは確かに管理能力という以前の問題というふうに私は申し上げさしていただいてきたつもりでございます。  三番目の政治責任、要するに今後どういうふうにするんだ、こういうことで、責任の問題はどう考えるか、こういうことだと思うのでありますが、私も本当にこの問題に対応しながら、実際自分でも情けない気持ち、あるいはまた非常に恥じ入る気持ちで、二十一世紀に向けた郵政行政の非常に大切な時期に、私のこういう不徳のいたすところから報道された、そしてまた皆さんに、父兄の皆さんや、あるいは大学の皆さんや受験生や、あるいはまた秘書と代議士との関係とか、先ほど申し上げた郵政関係含めて六十万の皆さんにいろんな心配と御迷惑、御心労を煩わした。その点については私も政治家として、これは大きな試練というか、あるいはまた今の問題点を克服しながら、私は政治家として何とか政治活動の中でこの補いをさしていただきたい、こうお願いをしてきたところでございますし、今までもそのように、実は郵政行政の中で微々たることではございますが、対応して、努力をいたしてきたというつもりでございます。どうぞひとつ御理解を願いたいと思います。
  73. 秋葉忠利

    秋葉委員 最後に一言。私はあえてどういった責任をとれということは申し上げませんでしたけれども、今郵政大臣の方から御自分の言葉ではっきりと管理能力がない、それ以前の問題として、要するに人間のあるべき姿として、人間関係をつくる上でも不徳のいたすところという表現をお使いになりましたが、そういった管理能力以前の問題においても非常に欠点があるということをご自分の言葉でおっしゃったわけですけれども、郵政省という非常に大きなお役所、そして全国の郵便局員を含めると恐らく最大の、官庁としては一番大きな方に入る郵政省の長、まさに管理の頂点にある郵政大臣が、私は管理能力がないということをおっしゃっている。それはまさに御自分でその郵政大臣という仕事、これは名誉とかそういったことではなくて一つ仕事として、プロフェッショナルな仕事として不適格であるということを御自分で言っているということにほかならないと思います。私は郵政大臣に対して個人的な恨みつらみがあって申し上げているのではありませんけれども、どのような大臣がそれを言われたとしても、自分は管理能力がない、それも言われたら、もうそれは、それでは大臣はやめてくださいということを国会議員として国民の名においてやはり要求せざるを得ないと思います。そのところの決意をぜひ示していただきたい。
  74. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 どうも失礼しました。  私は、この問題を大きなエネルギーにして、そして貴重な体験といたしまして、秘書と代議士との管理、要するに事務所の管理という意味で私は実は申し上げたわけでございまして、それはまあもちろん広義の意味もございましょう、深く深く反省をして、何とかこれからの政治活動でこの問題について克服をしてまいりたい、補い尽くしてまいりたい、こう思っております。どうぞお願い申し上げます。
  75. 秋葉忠利

    秋葉委員 最後に一言、秘書の管理能力がなければ三十万の……(渡辺(秀)国務大臣「事務所の」と呼ぶ)事務所のですね。ですから、そういう非常に小さなところでの管理能力がない人が非常に大きな機構の管理能力があるかどうかというところは、例えばアメリカの大統領選挙では常に問題になるところです。それが日本の政治だけは違っているという理由は私は成り立たないと思います。ですから、今の事務所の中におけるそういった能力がないということをお認めになった以上、それはより大きな問題に対する管理能力があるということは私は論理的には主張することが不可能だと思います。とりあえず予算委員会の方で要求大臣になっておられるようですので、次の質問に移りますけれども、きょうは時間がありませんのでまた後刻もう少し事実をそろえた上で質問を続ける権利を私は留保しておきたいと思います。  通信放送衛星機構法の一部を改正する法律案について、残りの時間で質問をしたいと思います。  まず、この機構法の目的並びに名称を改めるということですけれども、これは実は私たちが過去のこの委員会で何度となく主張を繰り返してきたところであります。例えば百二十国会で電気通信基盤充実臨時措置法の審議がありましたけれども、その場でも申し上げましたし、あるいは衛星放送受信機を購入する際の補助金といいますか、補助措置においてもそのことを申し上げました。あるいは特定通信・放送開発事業実施円滑化法、この時点でも申し上げてまいりました。つまり、法の精神とそれから実態とが非常に大きく変わってきてしまっている。精神だけではなくて、法がきちんと特定している事業内容と実態が変わっている。法とそれから現実との乖離を埋めることによって政治に対する有権者一人一人、国民全体の信頼を取り戻す、法律によって政治が動くんだという信頼感を取り戻す意味で非常に大事ではないかということを私は申し上げてきたわけですけれども、私たちの主張を——私たちの主張だけでは恐らくないと思います、郵政省の中でもそういった御意見がずっとあったのだと思いますけれども、これを取り入れて今回の改正をしていただく。これですべて解決するわけではもちろんありませんけれども、とりあえずこの姿勢に対して、改正に対しては、ここで感謝をする。感謝という表現がいいのかどうかわかりませんけれども、歓迎いたしますし、我々の主張を真っ正面から聞いていただけたということでこれは感謝をしたいと思います。  それで、その点についてまず今回の機構の目的それから名称の変更、それは一体何のためにやるのかというところをとりあえず一番最初に総論として伺いたいと思います。
  76. 白井太

    ○白井(太)政府委員 今回御審議をいただいております法律案の立案につきましては、ただいま秋葉先生おっしゃいましたように、過去何回かにわたります当委員会での御議論を踏まえまして、立案の仕方についていろいろ考えさしていただいたということでございます。  ところで、今回の法律案の内容でございますが、一口に申し上げますと、我が国における情報通信分野の技術開発の必要性にかんがみまして、通信・放送衛星機構にこの技術開発を行うという業務を追加するということ、それからそのことのために機構法の目的も変え、また機構の名称も変えるということにさしていただいているというのが今回の法律案の一口に申し上げた内容でございます。
  77. 秋葉忠利

    秋葉委員 結局、この機構の中で研究開発を行うということですけれども、例えばNHK、NTT、ほかの組織の中にも研究所がございますし、郵政省の中にも研究所もございます。そういった既存の研究所との仕事役割分担といいますか、ただ屋上屋を重ねるということになってしまっては意味がないわけですから、そのあたりはどういうふうにお考えになっているのか、伺いたいと思います。
  78. 白井太

    ○白井(太)政府委員 情報通信の分野にだけ限ってみましても研究というのはいろいろな場で行われておりまして、一般の民間企業でももちろん行われておりますし、ただいまお話に出ましたようなNTTあるいはNHKの研究所においてもいろいろな研究テーマに取り組んでおることは御指摘のとおりでございます。それからまた、私どもの郵政省にも通信総合研究所というのがございまして、そちらの方でもかなり基礎的な研究を続けておるわけでございます。  ところで、今回機構に研究開発業務を本来の業務として加えたゆえんは、そうした研究はあるわけですが、一口に申し上げますと、どちらかというと現在の体制の中ではなお若干欠けると言わざるを得ないような部分について、今回通信・放送衛星機構の業務として追加をさせていただくということにしたわけでございます。もちろん各研究機関の間で厳密な分野調整があるというような性格のものではございませんが、やはり大学には大学らしい、あるいは国の研究所には国の研究所らしい研究のテーマあるいは研究への取り組み方というのがあるわけでございまして、そうしたところのいわばすき間を埋めるような形での研究をしたいというのが、今回この機構で研究開発を行いたいということで法律を提案さしていただいた理由でございます。
  79. 秋葉忠利

    秋葉委員 そんな消極的な理由でこういう研究ということをやっていただいていいのか、ちょっと今不安になってまいりました。いろいろな研究所がある、すき間がある、すき間を埋める。研究開発というのはすき間を埋めるためにやるものなんですか。
  80. 白井太

    ○白井(太)政府委員 言葉が不適切でそのような御指摘をいただいたこと、私大変寂しいのでありますが、今回法律案を提案さしていただきました一番のもとになりましたのは、実は昨年の六月に電気通信技術審議会の方で答申をいただきまして、その答申を受ける形で今回のような法律の改正案を提案をさせていただいたわけですが、その昨年六月に出ました電気通信技術審議会の答申の中でも、答申の文言をそのまま申し上げさせていただきますと、「基礎研究をある実用的目標のもとで一層促進させるための、基礎研究から応用研究への橋渡しを行う研究開発の強化が必要である。」ということで、そのような研究開発の強化のためには、やはり同じ答申の中で、新たな体制の整備が必要だというような御指摘をいただいておるわけでございます。そのようなことを今回の法律案の中身として具体的に盛ったということでございます。
  81. 秋葉忠利

    秋葉委員 そこの、そうですね、橋渡しというのもよくわからないところがありますが、ただ、研究の分野それから研究者の数、そういったものがふえていく趨勢にあること、それから今後ともふやさなくてはいけないというところでは私は大筋では賛成ですので、あえて今のお答えに対して異を唱えませんけれども、後に時間がありましたら、この電気通信技術審議会答申についても、内容について幾つかお尋ねしたい点がございます。  ともかくそういう目的で研究所をつくった。それで、今回の法案の中には入っていませんけれども、具体的な初めての事業として高度三次元画像情報の通信技術というテーマを取り上げる、そういうふうに伺っております。まず、なぜこういった研究テーマを取り上げたのかというところを伺いたいと思います。  法案と今のお答えと合わせますと、その研究テーマを選ぶに当たって、これは大枠の三つの基準があるように私は理解しております。一つは、通信・放送技術の水準の著しい向上に寄与する先導的な研究開発であること、それが一つです。それから二つ目が、基礎研究から応用への橋渡しであること、それが二番目です。三番目が、民間では実施できないあるいは実施していない研究であること、そういうことだと思います。そういった基準。それ以外にも、まだ研究分野というのは非常に多いわけですから、その多い研究分野の中でなぜ高度三次元画像情報の通信技術というものをテーマとして選び、五年間にわたって毎年一億三千万くらいだろうと思いますけれども、その後では上がるのかもしれませんが、その予算をつぎ込んで研究を行うことにしたのか、その決定の基準といいますか、さらに目的を伺いたいと思います。
  82. 白井太

    ○白井(太)政府委員 ただいま先生がおっしゃいました基準として挙げられた三つの点は、まさに法律の文言からも出てくることでございますが、先生指摘のように私どもとしては、法律を通していただき、予算が成立させていただいた場合には、平成四年度からまず三次元通信の研究開発を大きな研究テーマとして取り上げたいと考えております。  そのような結論に至った過程と申しますか、どうしてそうなったのかということを若干申し上げさせていただきますと、ただいまの三つの基準にも関連するわけでありますが、一つは、研究の対象としてのテーマがいわば技術として先端性を持つかどうかということがもちろんございます。この点につきましては、先ほど申し上げました技術審議会の答申でも実は大変多くのテーマが列記されておりますが、そのうちの一つであることは間違いないわけでありまして、これからの情報通信の技術に関してはかなり先端性を有するものである。それから、研究開発への取り組みについて、抽象的に申し上げますと、緊張性があるとか、できるだけ急いで取りかかる必要があるということ、あるいはそういう取りかかる必要があるのにまだその取り組みが一般的に不足していると考えざるを得ないというようなこと、それやこれやを実は考えでこのような結論に至ったわけであります。  もちろんそういう結論を得る過程におきましては、実は予算の本当の原案をつくる昨年の夏の段階からいろいろな方の御意見も伺ったり、あるいはほかの研究機関でどういうテーマに取り組んでいるのか、あるいは現在全く取り組まれていないテーマなのかどうかというようなこともいろいろお話を伺ったりしました。それから、個々の企業ではなかなかそういうものについてすぐ実用化に向けて取り組むというようなこともちょっとやりにくいというようなこともいろいろお話の中から伺うことができましたので、そのような結果として三次元通信のテーマを取り上げようというふうに実は思った次第でございます。
  83. 秋葉忠利

    秋葉委員 幾つか問題があると思いますが、一つは、今なかなか企業ではやりにくい、ほかのところでやっているかどうかわからないというお話なんですけれども、実はこの電気通信技術審議会答申を見てみますとこの三次元の話が出てまいります。八十八ページの三次元画像の符号化、それから処理技術というところです。これは直接通信ではありませんけれども、これがなければ通信もできないわけですから。そこのところで取り組みで出てきているのが、アメリカではMITのメディアラボ、それから日本ではATR、東大、NTT、メーカーというところがこれをやっている。そうすると、緊急性、企業でやりにくいといったところでかなり問題が生じるのではないかと私は思うのですけれども、この点はいかがですか。
  84. 白井太

    ○白井(太)政府委員 実は、技術のことについて秋葉先生に申し上げるのは私非常に口はばったいような感じがして気が引けるわけでありますが、非常に俗っぽい言い方をさせていただきますと、通信というものももちろんトン・ツーに始まりまして、音声が伝わるようになったあるいは画像というような二次元の通信が可能になるようになったというような経過をたどっておることは申し上げるまでもないわけでありまして、これからの通信がどういうふうな方向に向かっていくだろうということについては、やはり一つの大きな方向として三次元通信というものに通信の新しいメディアとしての方向というのがあるのではないかというのがどうも一般的な考え方のように私には思われるわけでございます。もちろん、そうした三次元通信というのが実際に実用に供せられるということになりますと、三次元の立体像というのが遠隔地にそのまま送れるということになりますので、それはそれで大変いろいろな分野での利便をもたらすということになるとは思うわけでありますが、ただ、そこに至るまでにはかなりの段階を踏んでいかなければならないということのようでありまして、そういう研究にまずは取りかかるということについて、やはりかなり急いで取りかかる必要があるだろう。技術の開発についてあえて申し上げますと、競い合いといいますか競争というような場面も考えてみますと、一日も早くこうした次の世代の通信というテーマについても研究に取りかかる必要があるのではないかというような気持ちが私どもの中にあったわけでございます。
  85. 秋葉忠利

    秋葉委員 今のお答え、私が申し上げた企業でやっていない、やらないものというふうにおっしゃったけれども、実際、企業、ほかの研究所でやっているじゃないかということに対するお答えなわけですから。そういたしますと、結局、企業でやるかどうか、ほかのところでやっているかどうかというのは、一応帳簿上は格好がつかないからそういうふうに言っているけれども、実質は、ほかのところでやっていてもこれがある意味でおいしい技術だったら早く参入しないとまずいから、ともかくそこに打って出て研究して負けないようにするというのが実際の研究目的であるというふうに伺いました。時間がだんだんなくなってきていますので、手短にそういうふうに解釈してよろしいのでしょうか。もしそうでなければ、今私が具体的に申し上げた研究所あるいはNTTは企業ですから、そういったところでやっている研究とどのようにこれが違うのか。企業がやっていないという条件は本当に生きているのか。生きていないのだったら、それは外して、もっと正直に研究開発の題目を決めるような基準を新たに設けられたらどうか。そういった点について伺いたいと思います。
  86. 白井太

    ○白井(太)政府委員 釈迦に説法でございますが、あえて申し上げますと、いわゆる立体画像の通信とか放送については幾つかの企業で研究もなされておりますし、あるいは場合によっては展示なども行われるというような計画があるやに聞いておりますが、ただ立体画像とかあるいは立体通信についてもいろいろな方式が考えられるようでありまして、私どもがホログラフィーを用いた立体通信というふうに申し上げておりますのは、これはかなり立体画像あるいは立体通信という面では非常に進んだといいますか、あるいは究極の立体通信と言ってもいいかもしれないようなものであるようであります。若干方式の違いがいろいろありまして、別の方式については幾つかの研究機関等で研究が行われているというようなお話も伺っておるわけでありますが、私どもが研究のテーマとして取り上げようとするのは、方式がちょっと異なるということのように聞いておるところでございます。
  87. 秋葉忠利

    秋葉委員 残念ながら、それではテーマの話になりません。テーマというのは一体どういう分野の仕事をやるかということで、そこで方式が違ったらそれは違うテーマで、それで企業では扱っていないということにはならないと思います。今おっしゃっているのでは、要するに方式が違っていても、最初からだめな方式やるわけないわけですから、ほかのところでやっているのに比べて少してもいい、つまり競争力をつけるための研究をやるという答えにしか最終的にはとれないと思います。それではまず企業でやっていないというところの意味が全くないと私は思います。  それからもう一つは、実はこれは最近の技術関係、特に日米関係において強調されてきたことですけれども、日本の基礎研究におけるコントリビューションが非常に少ない、貢献度が少ないということが言われてきております。日本は、日本株式会社という大きな組織の中で一体になって、政府がそもそも応用研究に金をつぎ込んで、そして企業がやっている研究にも補助を与えて、政府主導で新しい製品技術、製造技術というものを磨いた上で、欧米の基礎研究をそのまま、基礎研究のプールには一切貢献をせずにその成果の上に立ってうまい汁だけを吸っているという批判がございます。そのことについては十分御存じだと思いますけれども、今のお答えですと、つまりほかの企業でも同じようなことをやっているよ、方式が違うよ、だけど、郵政省ではわざわざ法律を改正して新しい研究を始めて、それは何かというとMITでやっている方式とは違う、日本独自の、そして競争力のあるもので、それを今度アメリカに売れば金がもうかるような技術をやっているよというふうに、これは欧米からの批判の対象になるようにしかとれないのですけれども、その点についてはお考えになっているのでしょうか。
  88. 白井太

    ○白井(太)政府委員 どうも技術のことについて秋葉先生のおっしゃるのに何か反論するような形になって、非常に申し上げにくいのでありますけれども、あえて申し上げますと、この機構で行おうとしております研究開発というのは、先ほど申し上げましたように、基礎から応用への橋渡しということでありますが、特に企業が行います、端的に申し上げますと製品化を前提とした開発というようなところまでもちろんやるということではございませんで、企業がそうした分野で、ある意味では実用研究をするところまでのつなぎを産学官が一緒になってやりたいというようなことでありまして、ただいま先生がおっしゃいましたような形でのものを私どもとして考えておるわけではございません。
  89. 秋葉忠利

    秋葉委員 その線引きのところが非常にあいまいなんですけれども、今おっしゃったところでは、やはりホログラムというのはあるわけですし、それの高度化の一応基礎的な理論というのはもう既にかなりの部分あるわけです。ですから、それを実用のところに持ってくるというのは、いわゆる製品化するための努力の第一歩なわけですから、もうそれは、大きく分ければ要するに応用の方に入れられてしまうというところだと思います。  ちょっと時間がありませんので、もう一つ、本質的な点だと私が考えている点について問題点を指摘したいと思うのですが、三次元画像というのが時代の趨勢、先端的な技術だというふうにおっしゃいましたけれども、そもそも三次元画像を何に使うということを想定していらっしゃるわけですか。三次元画像に対する必要性というのが本当にあるものかどうか。私は、三次元画像というのはいわばおもちゃの範囲ではないかというふうに考えております。それは歴史的にいろいろなことを見てもわかるのですけれども、なぜおもちゃを一つふやすためにこれだけの高額の金を使わなくてはいけないのか。これは必ずしも通信の分野に入りませんけれども、さまざまな分野で研究をなさらなくてはならないことがたくさん残っています。  例えばこの答申の中でも、この通信・放送機構がすべきこととして、もう非常にたくさんの研究項目がありますけれども、例えば、人工衛星の高精度姿勢位置決定技術、これがやはり重要な一つの分野としてここにリストされているわけです。やっているのはどうもアメリカらしいけれども、企業ではやっていない。例えばこういった問題を取り上げるのであれば、通信・放送機構としてはやはり最適の研究テーマではないか、少なくとも第一歩というところでは十分考えていい問題ではないかと思います。  あるいはこれは全然違うところですけれども、高性能電波暗室というような技術がございます。これも恐らく全く別種類ですけれども、こういった研究所でやっておかしくない。  あるいはもう一つ、これはもう少し社会的な問題になりますけれども、社会的共有記憶システムの実現というようなものがございます。これも記憶の共有というところですから、通信というところがかなり本質的に技術として入ってくる。  ともかくこの一冊を読んだだけでも、簡単に見ただけでも、こういった幾つかの、三つも四つもこの機構にふさわしいと思われる研究テーマがあるわけです。  そういったものを排除して、私にとってはともかくおもちゃとしか思えないような三次元画像の研究を行うというところがどうしても納得がいかない。将来この技術を開発することによって何か社会的に本当にみんなが喜ぶようなメリットがあるのかどうか、その辺はどういうふうにお考えになっているのでしょうか。
  90. 白井太

    ○白井(太)政府委員 先ほど来申し上げております三次元通信についての研究というのが実りまして、実際にこれが実用に供されるということになりますと、これは医療分野でも教育分野でもいろいろな利便をもたらすということが考えられるというのは先ほど申し上げたとおりでありますが、ただ、それを申し上げたといたしましても、三次元通信というのが本当に実用に供されるというのはまだまだ先の話でありまして、むしろ技術という面から考えますと、三次元通信というのは、いわば通信の技術のいろいろな技術の総合的な成果の上に成り立つものではないかというふうに思われるわけでありまして、実際に実用に供されるまでの間の研究ではございましても、それを進めるということは、通信関係の技術全体のレベルアップにもやはり役立つだろうとかいろいろなことを考え、また、かつ、これは先ほどの繰り返しになりますけれども、いろんな研究所がありまして、そういう研究所でいろいろな形で取り組んでおられるようなことは一応さておいて、余りどこも取りかかっていない、しかもこれから先必要だというようなものとして上げたのが三次元通信だったということでございます。
  91. 秋葉忠利

    秋葉委員 私は、将来仮にこれができても、本当に社会的に役立つような用途が恐らく見つけられないだろうということを申し上げているわけで、医療というのは、例えば人工知能の研究の初期にもそうでしたけれけども、目的がないときに医療というのはいつも上がってくるわけです。医療と言えば大体だれでも納得してしまう、こういうところで使われてきたいきさつがある。それが全く信用できない理由です。具体的な利用方法がない限り納得できません。  それから三次元の画像の歴史というのを見てみますと、写真術が発明されたのが十九世紀の半ばごろですけれども、それ以来ほぼ三十年周期で実は三次元の画像という流行があるのです。遊びとしての流行です。例えばウォークマンのような技術に見られるように、遊びでもそれが本物の技術になって社会に定着していくという例はあるのですけれども、それはやはり社会的な必要性と本当に結びついている、その時代と結びついているからというところがあるわけですけれども、三次元画像の場合には全くそういうことがございません。例えば十九世紀の後半、これは写真術ができてから十年、二十年たったころですけれども、例えばパリのサロンというのがありました、文化人が集まるようなところ、そこに夜集まって、サロンの中で立体画像というものをみんなで楽しむ、そういう流行がありました。しかし、それがともかく一つの流行で、瞬間的な流行でおさまってしまった。今度は、今世紀の初めになって、フィルム状になって、フィルムとしてまた三次元画像というのが流行した。それもまたおさまった。その後出てきたのが第二次大戦後、今度は映画となって、それからワイドスクリーンになって三次元の映画というのが出てきました。  しかしながら、その例でもおわかりのように、すべての場合にただ単に遊びになってしまって、それで最終的には社会的に本当に有用な用途とは結びつかなかった。これは、やはりこの歴史を見ると、三次元の画像というのは、それはやってもいいですけれども、ほかにもっと喫緊なニーズがあるときに、やはりこれはどうかなというふうに当然考えられていい技術だと私は思います。そういった慎重さがまるっきりなくて、とりあえずこれに飛びついてしまったというところが私はちょっと安易過ぎたのじゃないかと言うと言葉が悪いですけれども、もうちょっと慎重さが必要だったのじゃないかという気がいたします。  時間がありませんので、とりあえずもしできることであれば、こういったテーマの絞り方についても、きちんとしたシステムをつくった上でさらにより適切なテーマを選ぶように再検討をお願いして、私の質問を終わります。
  92. 谷垣禎一

    谷垣委員長 午後零時四十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時一分休憩      ————◇—————     午後零時四十分開議
  93. 谷垣禎一

    谷垣委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田中昭一君。
  94. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 きょうの議題であります通信・放送衛星機構の一部改正と有線テレビジョン放送に関連をする臨時措置法二つ法案について、私どもは原則的におおむね賛成の立場でございます。したがって、この二つ法案の中身などについてより十分に理解をし、解釈の相違などがないように若干質問をしたいと思います。さらに、この法律に関連をいたしまして、将来の展望などについてもある程度御見解などもお聞きをしたい、こういう立場で質問をいたしたいと思っております。  そのまず第一でありますが、通信・放送衛星機構が今回の改正によりますと通信・放送機構というふうに名称が変更になる。さらに、その中身についても、私はかなりの変更があるのじゃないかな、こういうふうに受けとめておるわけであります。もともと、通信・放送衛星機構の本来の設立の目的というのは、通信衛星及び放送衛星の位置、それから姿勢などを制御する、そして宇宙における無線通信普及発展、電波の有効利用だ、これが明確になっているわけでありまして、したがって「業務」の第二十八条の第一項でも、その第一号で通信衛星の問題など、第二号でもその問題を明記をしているわけでありまして、したがって機構の本来の目的というのは衛星が主なものでありまして、もっと極端にいいますと衛星調達法人などとも言われたわけであります。したがって、今回のこの名称変更によりまして衛星がなくなってしまうわけでありまして、追加業務として新たに高度通信、それから放送研究開発の充実などが追加になっていく、こういうことになるわけであります。  私は、ここでお聞きしたいのは、これは機構の単なる名称変更とかあるいは追加業務ということでなくて、機構の本来的な性格づけが変わっていくのではないかな、こういうふうに理解をすべきなのかそうでないのか、そこのところを少し明確にしておいた方がいいのではないかな、こう思っておるわけであります。  昨年三月、第百二十回の国会におきまして基盤法というものを議論をし決定をいたしました。その際の附帯決議におきましても、機構についてはこういうふうに附帯決議がなされておるわけです。「通信・放送衛星機構については、現在及び将来の電気通信・放送に係る諸施策を勘案し、今後の情報化の進展により有効な役割を果たせるようそのあり方について総合的に検討を行う」こういうふうに附帯決議で明記されたわけであります。この考え方は円滑化法実施の際にもそういう附帯決議が付されておるわけでありまして、したがって、先ほど申し上げましたように、これは単なる名称変更であるとか追加業務ではないのじゃないかな、こういうふうに私は理解をした方がいいのではないかなという気も実はするわけで、そこのところをもう少し明確にしてほしいと思うのです。  もしそうだとするならば、第一条の目的について、今までの後ろの方に「並びに」ということでつけ加える、こういう整理の仕方ではいけないのではないかな、機構の性格づけ、位置づけなどについて、将来展望も含めてこの際もっときちんとした方がいいのではないかな、こういうふうに受けとめざるを得ないのですが、ここのところについて、考え方を明らかにお聞きをしたいと思います。
  95. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 先生の今御質問の中の後段の部分局長の方から答弁させていただきたいと思っておりますが、まさにこの法律につきまして、先生が御指摘されましたように平成二年の五月三十日のいわゆる円滑化法案、そして平成三年の三月六日の基盤充実臨時措置法案、それぞれの附帯決議、これを言うならば当委員会における一つの意思として郵政省としては受けとめまして、この附帯決議を十分に考慮に入れた今度のこの法律案としてまとめたつもりでございます。  この機構が情報化の進展に一層貢献を果たすことができるようにこの研究開発業務等あるいはまた通信放送分野の関係、これら一連の業務が遅滞なくしかもまだ、将来に向けて前進、発展し得るように配意してまいりたいと思っておりますので、どうぞ基本的な点における御理解をお願い申し上げたいと思います。
  96. 白井太

    ○白井(太)政府委員 ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、今回の改正案の立案に当たりましては過去何回かにわたります当委員会での御議論を踏まえて法律案の内容をつくらせていただいたと思っております。  ところで、今回の改正によりまして確かに通信・放送衛星機構、これは名称が変わりますが、この機構の業務というのは拡大するわけであります。私どもとしては、一口に申し上げまして機構の役割が広がった、本来の業務として研究開発を行うということでございますので機構の業務の範囲が広がったということになるわけであります。  ところで、法律の条文の書き方として、研究開発の部分を「並びに」ということでつけ加えるというようなやり方ではない別のやり方もあったのではないかというような御指摘がただいまあったわけであります。実は、この点については確かにいろいろな議論もしたわけでありますが、とりあえずは研究開発というのを本来の仕事としてやることにするということから御指摘のような表現になったわけでありまして、あるいは別のやり方としては、いろいろな仕事が何でもできるというような文言の書き方もあったかと思いますけれども、一般的には法律の条文の書き方としてはそこまで漢とした書き方にできないのではないかというような意見もあったりいたしまして、結果的には御提案申し上げているような条文に落ちついたということでございます。
  97. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 関連してお聞きをしたいのですが、今回機構の追加業務としまして大綱三つ追加されているようであります。高度通信・放送研究開発の実施、特定研究開発基盤施設に対する出資、それから海外からの研究者の招聘、大きく分けましてこの三つを第二十八条の本業務として追加をする、こういうことになるわけであります。  ところが一方、後ほど若干お聞きをしたいのですけれども、今回、いわゆる有線テレビジョン放送番組充実事業推進に関する臨時措置法が新しく同時に提案をされておる。それからこれは改めて、本委員会がどうかわかりませんけれども、別途提案される予定の地方拠点都市整備事業に対するもの、この二つは特例法としてこの機構の業務になる、こういうことになっているわけです。過去、第百十八回の国会で議論になりまして制定されました特定通信・放送開発事業実施円滑化法案、それから先ほど申し上げました電気通信基盤充実臨時措置法、この二つが機構が行う業務として特例法で実施をされておる、こういう状況にあるわけです。今申し上げましたように、本則で追加業務として提起されるものと、機構の中に取り込まずに特例法で定めるもの、この二つの区分けの仕方といいますか、それは大体どういう考え方に立っておるのか、よくわからない点でございます。したがって、本業務とする場合と特例法とする業務との区分けをする考え方といいますか、基準といいますか、そういう考え方について少しわかりにくい点がございますから、お聞かせをいただきたいと思うのです。  これは機構を名称変更しまして、今後、通信・放送機構として日本における電気通信あるいは電波事業その他、位置づけとしてはかなり重くなっていく中で、こういう形での追加、特例法というやり方、個々ばらばらでは非常にわかりにくい点があるのではないかなという気がするわけでして、ここのところはなぜ本則として、通信・放送機構としてきちんと整理をしていくということにならないのか。この辺は扱い方としてどういうふうになっているのか、仕組みについてお聞きをしたいと思います。
  98. 白井太

    ○白井(太)政府委員 一口に申し上げますと、機構法そのものを変えてそういう業務を取り込むことにするかどうかということの決め手は、その仕事を機構の本来の業務とするかどうかということだというふうに申し上げていいのではないかと思います。  ところで、ある業務を機構の本来の仕事とするのかどうか、あるいは区分けをする場合の考え方はどうなのかということになるわけであります。これは一つの基準がありまして、この物差しで右か左かを判断するということではないわけでありますが、幾つかの要素を実は考慮に入れまして特例業務か本来業務がの区分けをしておるということでございますが、区分けの考え方として私どもは幾つかの点を考慮に入れております。例えば一つは、その仕事が臨時的なものであるかどうかというようなことも一つの基準でございます。それからこの仕事というのが、機構の行うところに着目をいたしましたときに、その法律の本来の目的というのが、例えば政策支援だけにとどまるというような側面的な役割を果たすというのが機構の役割だというような場合でありますとか、あるいはさらに、一つ法律をつくりますときにその法律考え方全体としては大きな枠組みがありまして、その枠組みのごく限られた一部について機構とのかかわり合いが出てくるというような場合も別の法律で措置をするというようなことをやっておるわけでございます。  これを多少具体的に当てはめて考えますと、昨年は基盤法を通していただきましたが、これは臨時的な法律だという位置づけをさせていただいておりました。それから一昨年のいわゆる円滑化法あるいは開発法とも呼んでおりますが、この法律の場合は、御案内のように新規事業の振興を図るというような目的からこの法律全体の枠組みができておりまして、その新規事業を起こす人に対して機構が側面的に支援措置を講ずるという役割を果たすというような種類のものでございました。それから、ただいまこれも先生冒頭におっしゃいましたように、今国会で御審議を別にお願いしております拠点都市の整備法案も、またこの場で御審議をいただいておりますCATV関係法律案も、どちらかというと円滑化法のようなケースと大変よく似ておるわけでありまして、特に拠点地域の整備などにつきましては、拠点地域の整備のためにかなり長い条文の法律案を御提案申し上げておりますが、通信・放送衛星機構にかかわる部分というのはその中でごく限られた部分であるというようなことから、別の法律で措置をするというようなことをさせていただいておるわけでございます。きちっとした物差しでぴしゃっと判断をしておるということではないと思いますが、考え方ということからするとそういう考え方で整理をさせていただいておるということでございます。
  99. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 考え方としてはわかりました。  これは第一問目の質問と関連があるわけですけれども、今回のこの機構法の改正によりまして機構の業務として追加されておるのは、通信・放送技術の水準の著しい向上に寄与する先導的な研究開発を実施をする、基礎研究から応用への橋渡しを図る、それから通信・放送技術に関する研究開発のための基盤的な施設の整備を推進する、こういうことになっているわけで、これは今後の通信・放送技術の進歩などを考えた場合には非常に重要な、大変大きな業務の追加である、こういうふうに思っているわけです。  そこで、郵政省考え方を、簡単で結構ですから四点ぐらいお聞きをしたいと思います。  その第一は、郵政省として今後限りなく発展をしていく今後の通信・放送に関連をする技術開発であるとか研究開発についての基本的な考え方、これをひとつ明確にしていただきたいというのが一つであります。  それから第二点は、この研究開発とか技術開発というのは膨大な費用を実は要するわけでありまして、そういう膨大な費用を要する研究開発、技術開発などについてこれを機構に行わせるということの要因といいますか、どこにメリットがあるのかというところを少しお聞かせをいただきたい。  三点目として、今の質問と関連をするのですが、民間などでは実施困難な研究開発、こういう文言があるわけですが、これは一体どういうことなのか。  それから四つ目に、郵政省としても技術の開発とか研究開発で、例えば既存通信総合研究所などがございますが、これらとの関連性などについてお聞きをしたいと思うわけで、今後の郵政省としての通信・放送技術の研究開発などについて今申し上げました四つの視点から考え方をお聞きをしてみたいと思います。
  100. 白井太

    ○白井(太)政府委員 まずお尋ねの第一点でございますが、研究開発についての基本的な考え方はどうかというお話でございます。これについてはいろいろな考え方があるわけでありますが、まず私どもの考えの基本にありますのは、いわば技術立国としての我が国においての技術開発の必要性というのはもう各方面から指摘されておるところでございまして、私どもの受け持っております情報通信の分野もそうした技術開発の余地が大変多く残されている分野であるということも疑いの余地がないところでありまして、そうした研究開発というのがどんどん活発に行われるような環境整備をするというのが一口に言って国の大きな役割ではないかと思うわけでございます。その環境整備のためには、必要な予算を確保するとかあるいは必要な仕組みをつくるとか、いろいろなことがあるわけでありますが、一口にまとめますと環境整備をするというのが大きな課題ではないかと思っております。  それから、費用その他の点から考えて機構で行う場合のメリットというお尋ねでございました。この点につきましては、必ずしも、これからこの機構で大変多額の費用をつぎ込んで研究開発を行うことができるのかということになりますと、これはそんなに大きなお金をつぎ込むというようなことは現実問題としてはそんなに簡単なことではないと思います。研究開発につきましては、できるだけこの予算が確保できるというのが望ましいことは当然でありますけれども、しかし、これは予算の事情もありまして、欲しいだけ予算が獲得できるというものではございません。ただ、機構で行う場合のメリットというのは、今回の研究開発の目的でもありますいわば産学官が一緒になりまして比較的自由な形で基礎研究から応用への橋渡しをする研究をしようということであります。これが「実用化に資する」というような言葉法律上表現をさせていただいていることでありまして、そういうことから考えますと、それは予算はあればあるにこしたことはないのだけれども、そんなに多くの金が初めからなくてもそうしたことはできるのではないかというのが考え方の底にあるわけであります。  それから、民間で実施困難だというのは具体的にはどういうことだというのが三つ目のお尋ねであったかと思いますが、実は民間で行う研究開発というのは、一口に言いますと、やはりそれぞれの企業の経営目的であります、端的に申し上げますと、例えば製品開発のための研究などに見られますように、どちらかというと実用化に重点を置いた研究開発というのが基本的な考え方としてはあるのではないかと思うわけでありますが、そうしますと、実用化にはなかなかすぐは結びつかないような研究というのは、どうしても民間企業ですべてやっていただくというわけにはまいらぬわけでありまして、あえて申し上げますと、民間企業が実用化のための研究をしてみようかなという気持ちになるまでのところの研究を、実は先ほど来申し上げました産学官、いろいろな方が一緒になって集まりましてそこまでの道筋をつけるというようなことをさせていただいたらどうかということでございます。  それから、最後四つ目に通信総合研究所との関係はどうかというお尋ねでありましたが、通信総合研究所においてもいろいろな研究をさせていただいておりますが、一口に申し上げますと、やはり国の研究機関であるということから、基礎的な研究あるいは極めて先端的な研究に重きを置きまして研究をしているということでありまして、こちらの方の研究というのは、どちらかというと実用化とかあるいは実用化に結びつけるというような考えが大変薄いわけでありまして、こちらの方の研究も今回お願いしております機構で行うものとはやはりちょっと性格が違っておるのではないかと考えておるところでございます。
  101. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 そうしますと、今の答弁を整理をさせていただきますと、民間などでは、これは費用の関係などもありまして、実用化に結びつかないものの研究というのはなかなか進まない。それから、総合研究所など官のやる、国のやるといいますか、の場合にはむしろ逆で、これは基礎的な、余り実用化にならないようなそういう研究を中心にやっていく。そこで、機構がやる、今回新たに追加をされる技術開発、研究開発ですが、これも初めから大きな費用というものは望めないということなんですね。産学官合同で自由にやる、こういうメリットがある、こういうことですが、今後ほどこが中心になるのですか。郵政省としての技術の開発であるとか研究開発というのは、やはり今回追加される機構が中心的な役割を果たしていく、こういうふうに理解していいのですか。
  102. 白井太

    ○白井(太)政府委員 御提案申し上げております法律の形からすると、確かに先生おっしゃいましたように機構が中心になって行うということになります。ただ、機構そのものが現在直接技術のノウハウを持った研究者を抱えておるとかそういうことではありませんので、実際の運用といたしますと、機構と私どもが十分連携をとりながら取りかかるということになるわけでありますが、さらに、私どもといたしましても、郵政省だけでこれからの研究の方向づけをするとかあるいは研究の仕方について決めていくということについてのノウハウをすべて持っているというわけでもありませんので、私どもとしては、部外の有識者の方々にいろいろ御相談をさせていたださながら研究の仕方というのをだんだんと詰めていくというようなやり方を考えたいと思っております。
  103. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 機構の名称が、いわゆる衛星中心の業務、その衛星というのが名称から消えてしまう。で、新たに今後極めて重要な通信・放送技術開発などが入ってきた、こういう状況だと思うのですね。それで、冒頭の質問で申し上げましたように、質が少し変わってくるというふうに理解をしていいかという質問をしたわけです。  そこで、関連をしましてお聞きをしたいのは、昨年の末、これも年の瀬も迫ったころ、臨調、行革審などの提言を受けまして閣議が開かれておりまして、「平成四年度に講ずべき措置を中心とする行政改革の実施方針について」ということを閣議決定をされておるようですね。これは郵政大臣、参加をしていると思うのです。この行政改革の実施方針についてという閣議決定の中で、この機構について、一つは名称を変更すること、これが決められておる。もう一つは、目的を整序して改組することということが書かれておるわけですね。同時に、機構の管制業務について、平成七年度を目途に民間法人化するというふうに閣議決定がされておるわけですが、ここで指摘をされている管制業務というのは、今日までの機構の業務としては非常に重要な業務であったのじゃないかな、こう実は思っているわけです。  そこで、一つは、目的を整序して改組するという閣議決定をどういうふうに受けとめられておるのかということと、二つ目に、管制業務の民間法人化というのはどういうところから出てきておるというふうに受けとめられておるのか。郵政省として、管制業務というのは民間法人化にふさわしいと思われるかどうか。それから三つ目に、郵政省として、民間法人化というのはどういうふうに解釈をされておるのか、この三点についてお聞きをしたいと思います。
  104. 白井太

    ○白井(太)政府委員 まず、昨年末に閣議決定をいたしました平成四年度の行政改革の方針について、確かに先生が御指摘になりましたような記述がございます。これは、実は今回法律案を提出させていただいておりますし、また御審議をいただいております来年度予算案の中身というのを踏まえましてあのような閣議決定の記述になったものであります。したがいまして、一口に申し上げますと、機構について、名称も通信・放送機構と変えるし、目的についても、業務内容にふさわしい目的に書きかえるということだというふうに申し上げてよろしいかと思うわけでありまして、今回の御提案申し上げている法律案でありますとか、あるいは御審議いただいております予算案の内容が具体的なこの閣議決定の内容のものとして出ておるというふうに御理解をいただいていきたいと思うわけであります。  それから、二つ目のお尋ねは、衛星の管制業務というのは非常に重要だと思うが、これは一体民間法人化になじむのか、ふさわしいのかというようなお尋ねであったかと思います。  先生の御指摘のように、衛星の管制業務というのは今日においてもこの機構の極めて重要な仕事一つでありまして、確かに形の上は機構の名称から衛星というのがとれたということになるのでありますけれども、これは私どもの申し上げ方をお許しいただけるならば、衛星の管制も含んだ名前になっているということで御理解をいただきたいわけでありまして、私どもとしては、衛星の管制の業務というのが極めて重要なことはこれからも変わらないというふうに思っております。しかし、この民間法人化をするということで、それでは管制の方がいいかげんになるのではないかというようなことをお尋ねになるとすると、それは決してそうではないわけでありまして、民間法人化ということはいずれしなければならないことではありますけれども、民間法人化することによって管制の仕事がおろそかになるというようなことは絶対ないようにしなければならないというふうに考えております。  ところで、今のお話に関連いたしまして、民間法人化というのは一体どういうことなのか、その解釈はどういうことかというようなお尋ねが三つ目の御質問だったように思います。  この民間法人化につきましては、御案内のように昭和五十八年の臨調の答申、最初の臨調の答申で出た宿題でありまして、実はそのとき、民間法人化をすべきだと指摘された法人の数というのは十七、八あったように記憶をいたしておりますが、実は民間法人化されないまま残っておる法人というのが、現在、この機構を含めまして多分二つだったと思います。したがいまして、私どもとしては、機構についてはいずれ民間法人化をするということは宿題として残っておりますし、政府としてもいずれは民間法人化するんだということは方針として決めておるわけであります。ただ、その民間法人化というものの仕方というのはどういうことかというと、これはいろいろあろうかと思うわけでありまして、一口に申し上げますと民営の株式会社にしろということまで言っているわけではないというふうに理解をいたしております。  一口に申し上げますと、管制業務というのが政府の資金あるいは政府お金に余り依存をすることなく行えるようにする、あるいは別の言葉で申し上げますと、管制業務について自立化をさせるというようなことが民間法人化をするということのためにはどうしても必要なことでありまして、そういう前提を満たしますならば、どういう民間法人化がいいのかというのは、それぞれの仕事の内容に応じまして民間法人化のやり方を決めればいいということではないかと理解をいたしておりまして、衛星機構につきましては、具体的にどういう方策でもって民間法人化をしたらいいかということを平成七年度までに具体的に決めていきたいというのが政府の決めた方針であるわけでございます。
  105. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 それでは、これはまた別途いろいろお聞きをする機会があると思いますし、時間もございませんので、次にCATVに関する臨時措置法の関連について少しお聞きしたいと思います。  今日のCATVの現状でありますが、再放送は別にいたしまして、自主放送を行っているCATVですね、これは施設数とか加入者数とか、調べればわかるのですけれども、特に自主放送を行っている放送内容といいますか、加入者の分類といいますか、どういう放送を主に行っているのか、それは地域別な分布状況などについてどういうことになっておるのか、ここのところを一つとしてはお聞きしたいと思います。  それから二つ目は、CATVの将来展望の問題です。午前中も若干議論があったと思いますが、今日歩メディア・多チャンネル時代を迎えておるわけでありまして、私が知る範囲におきましても、九二年中に通信衛星CS利用のCS放送がスタートする。これは、これで六チャンネルふえるわけであります。現在私どもが東京で見ているテレビは地上波が七チャンネルと衛星放送が三チャンネル、十チャンネル、これに今申し上げましたCS放送チャンネルを加えますと十六チャンネルになる、そういうふうに見込まれておるわけです。  また、九七年打ち上げのBS4が打ち上げられますと、これも八本のトランスポンダーが搭載されておるというところから、かなりのチャンネルがふえる、五つぐらいふえるのではないかというふうに聞いております。  また、近き将来ディジタル帯域圧縮という技術が完成をした場合に、放送衛星が一チャンネルで四チャンネル、カバーできるというふうに聞いているわけです。そうしますと、BS4だけで三十二チャンネルとれるというようなことを考えていく場合に、九〇年代半ばになりましてCS放送ももっとふえるということになりますと、将来家庭で見られるチャンネルというのは優に五十を超す、こういうように状況が多メディア・多チャンネル時代を迎えるという中で、第一問に関連があるのですが、CATVが今日、再放送は別にして、どういう放送の内容になって、それがどういう性格、地域分布になっておるのかという関係と、こういう多メディア・多チャンネルでテレビを見ようとすれば、五十チャンネル以上入ってくる中で、それにCATVが食い込んでいくという場合に、どういうCATVとしてのメリットがあるのかないのか。衛星テレビと比べてCATVのメリットあるいはデメリットという問題はどういうふうに理解をすればいいのか。これは時限立法となっているという問題との関連もあるのではないかなという気もいたしますけれども、そういう意味で将来展望をどう見るのかという関係など含めまして、少しこのCATV関係についてお聞きをしたいと思います。
  106. 白井太

    ○白井(太)政府委員 大変申しわけございません。先ほど私お答え申し上げたとき、ちょっと数字の間違いがございましたので、訂正をさせていただきたいと思います。  五十八年の臨調答申で民間法人化の指摘をされた法人は実は二十ありまして、そのうち今までに民間法人化を済ませているのが十八で、残っておるのが二つということでございますので、訂正をさせていただきたいと思います。
  107. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答え申し上げます。  まず、自主放送を行う有線テレビジョン放送でございますが、施設数が三百六十九、加入者数が約百二万世帯というのが現状でございましで、これを管内別に見ますと、関東、信越それから沖縄の各管内において普及率が高いという現況でございます。  また、次にお尋ねの放送内容のことでございますが、これは後ほど将来展望にもかかわってまいりますが、放送の再送信を行うほかに、地域情報チャンネルやニュース、スポーツ、音楽等各種専門チャンネルを有しておりまして、これによって多様な情報を提供しているということでございます。  なお、いろいろなケースがございますけれども、自主放送において幼児向け専用のチャンネルや、映画とか囲碁とか将棋とか趣味に特化したチャンネルなど、特定の視聴者層を中心に想定したチャンネルを有しているものがございます。  なお、これからのCATVを含め衛星放送とか中波とか、いろいろなメディアの多メディア・多チャンネル化の趨勢については、大筋で先生が御指摘なさったような趨勢をたどっていくのではないかということで、そういったことを想定しながらいろいろな施策を講じているわけでございます。先般私がアメリカヘ出張して、短い時間でございましたけれども、現地を視察して、関係者といろいろ議論したのでございますが、今ケーブルテレビの事業者は真剣でございまして、例えば顧客管理のサービスだとか、あるいはチャンネルの選定にしましても、いろいろな人たちが集まっていろいろ議論して番組を選定するということで、これからCATV事業が生き抜いていくためには地域密着性に主眼を置いて衛星放送とまた違った味のものをさらに工夫して出していかなければいけないということで真剣に議論していた姿を見て感銘したわけでございますが、そういったことで私どもいろいろな勉強をいたしまして、CATV事業者とともにその発展普及を図ってまいりたい。そういう意味では、CATV事業者の方々から現在の制度において何か将来を見据えた施策が欲しいという意見がございましたけれども、今回の法律案はそういう意味では一つの開拓に当たるということで評価を受けているわけでございます。  また、最後のお尋ねの時限立法にした理由との関連でございますが、そういう意味で衛星放送を中心として時代が急激に変化いたしますので、十年以内にそういうめどをつけて、その間にこの事業の実施を徹底してまいりたい、そういう趣旨でございます。
  108. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 わからないこともないのですが、こういう多メディア・多チャンネル時代におけるCATVのメリットといいますか、金をかけてもCATVがもっと積極的に発展するように努力する、こう言われるわけですが、その費用の面を含めまして、あるいは国民の皆さんのニーズを含めましてCATVというのは一体どういうふうにメリットがあるのか、そこのところをもう少しお聞きしたいと思います。
  109. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答え申し上げます。  CATVの特質と申しますか特別な機能として、双方向通信の可能性と多チャンネル機能、これがあると思いますが、この辺の二つを見据えた事業を行っていくということがポイントになると思います。  それからもう一つは、スペースケーブルネットということで、衛星放送が発達してまいりますが、それを受けるということで、そういったあたりがケーブルテレビに加入するメリットになるんじゃないかというように考えております。
  110. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 時間が参りましたので、最後に、今回提案の臨時措置法の第三条で、郵政大臣がいわゆる番組充実事業の内容などについても基本的な指針を定める、こういうふうに明記されているわけです。まず番組を作成する、この事業に対して指針を作成して提起をするということなんですが、指針作成の基本的な考え方、これが放送の内容とか放送の自由との関連で問題点は出てこないのか。第三条で明記する郵政大臣が作成をする指針について、この基本的な考え方を最後にお聞きをしたいと思います。
  111. 小野沢知之

    小野沢政府委員 二点ポイントがございますのでお答えいたしますが、まずこの基本方針は、第一点としてこの法案目的を敷衍するとともに、郵政大臣が本事業の実施計画を認定する際の基準とするためというのが目的でございます。そこで、事業の公益性を確保する観点からの実施者の要件とか、本法案の第二条に基づく事業の具体的内容とか、事業の実施地域事業の健全な実施方法等について定めるものでございまして、そういう意味で御指摘の放送内容への介入、自由な放送への介入になるものではないと判断しております。  それから二点目の観点といたしまして、この事業は、先ほど申し上げましたけれども、放送番組を制作する者からの強い要望がございまして、それに基づいて放送番組の制作業務環境整備を行うという事業でございまして、本事業により制作された放送番組は、有線テレビジョン放送事業者の番組編集権のもとで編集され、放送されるということから、基本指針が放送内容への介入、自由な放送への介入になるものではないというふうに考えております。
  112. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 時間が来ましたからこれで終わります。ありがとうございました。
  113. 谷垣禎一

    谷垣委員長 次に、鳥居一雄君。
  114. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 引き続き御質問を申し上げたいと思います。  CATV放送番組充実事業、これに対しまして支援策を講じていこう、こういう臨時措置法案でございます。CATVの現状につきましていろいろ見てみました。まず、ソフト充実という面で地域発展を図っていく必要性、そんな背景から、ぜひ地域におけるソフト制作能力を拡充していこう、こういう背景だと思うのですが、現状におきまして放送番組制作機能、これが東京に集中しているということなんですけれども、どんな状況になっておりますでしょうか。
  115. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答え申し上げます。  放送番組の制作機能の東京一極集中の現状でございますが、幾つかの民間調査機関の調査結果によりますと、プロダクションの数で六四・五%、プロダクション労働力人口で八二・六%が集中しているということで、物的観点それから人的観点から見て集中の現象が顕著であるというふうに考えております。
  116. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 余り説得力がないのですが、要するに東京一極集中排除を番組制作機能の上から今回ねらっていると思うのです。そうしますと、今回の支援策でどんなようなことが期待できるのでしょうか。
  117. 小野沢知之

    小野沢政府委員 ケーブルテレビ事業者の方々からいろいろな意見をお伺いしておりますが、ハードのほかに、これからは多メディア・多チャンネル化を迎えてソフトの面について行政サイドが力を入れてほしいという要望を強く受けておるわけです。そういう意味で、放送番組の制作、流通、そういった面について力を入れてほしいということで、そういったことから今回の法案の立法措置を重要施策として考えたと言うことでございます  そういうことで、単独の事業者ではなかなかできないことをこういった促進事業を行うことによって、多くの方々がそれを利用することによってソフト面を中心として事業の充実を図ることができるということで、かなりの成果があるだろうというふうに考えております。
  118. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 御説明によりますと、もし今回の法案が成立をいたしまして新年度で予算措置を講ずることができる、こういう形になりますと、ある二カ所においてこの事業がスタートすることになる。もしこのペースでいくとすれば、十年という間に二十カ所、こういうふうに受けとめておりますが、今の郵政省として考えている構想、二十カ所の事業所の期待、これはそんな感じでしょうか。
  119. 小野沢知之

    小野沢政府委員 私どもの計画としまして、十年間の時限立法で一年度に二カ所程度逐次実施してまいりまして、十年間で二十カ所程度これを整備するということでございます。そうしますと全国で二県ちょっとぐらいに一事業ということになりますが、事業採算性の観点、それからこれを利用する人の利便さからいってその辺が一つのめどだろうというふうに判断してこういう計画を立てているわけでございます。
  120. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 この支援策によってこの普及率の予測を立てておりますけれども、二十一世紀を目指しまして、この普及率の予測の上でどういう効果が定量的に出てくるものなんですか。
  121. 小野沢知之

    小野沢政府委員 昭和六十三年度に出たある報告書があるわけです。これはスペースケーブルネット推進懇談会という放送行政局長の懇談会で調査研究していただいたものですが、その報告書によりますと、二十一世紀当初には有線テレビジョン放送の加入契約者数がNHK受信契約数の約四〇%にまで普及されると予測しているわけです。このときには今回の法案で御審議をお願いしております事業は想定しておりません。そういった意味で、こういった事業を新規に開拓して実施していくことによってこの四〇%という数字が達成する確度は高まるものだというふうに考えているものでございます。
  122. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 二〇〇一年で普及率四一%、千三百二十三万加入、この予測の推移をたどっていくのだろうと思うのですけれども、支援策によってこのカーブに全く影響はない、こんな感じですか。
  123. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えを申し上げます。  実は有線テレビジョン放送の整備はこれにかかっているわけで、そういう意味でこの発達が非常に気がかりだったのです。この四〇%という数字は昨年確認して、よほど頑張らなければこの数字は難しいなという感じがしていたのですが、先ほど申し上げました今回の事業の実施、それから先ほど先生指摘になりました衛星放送の発達普及、こういったことが考えられまして、四〇%達成の見通しは、確度は高まってきているというふうに考えております。
  124. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 CATVについて、情報通信の世界では将来に向けての基幹的なインフラストラクチャーである、こういう受けとめ方をしております。  先ほど来の議論の中にもありましたけれども、六十チャンネルという極めて伝送容量が多い、しかも完全双方向性というものがもし実現、利用できるような形になりますと、極めて付加価値の高いネットワークができ上がる。確かに難視解消という立場からネットワークが始まったことも事実だろうと思います。しかし、一方におきまして、アメリカにおけるこのCATVのネットワークというのは大変な広がり方である。それはそれなりに、いわゆる多チャンネルでどれを選択するのかというのは、ユーザー側から極めて多岐にわたる、バラエティーに富んだ選択の自由がある。しかも双方向という魅力、ホームバンキングであるとか、あるいはテレメータリング、ホームセキュリティー、ありとあらゆる期待される高度情報時代のバラエティーに富んだそういうサービスの提供を受けることができる。したがって、支援策によって、どちらかというと難視解消という立ち上がりではあったけれども、都市型のCATV発展というのは今揺籃期で、将来に向けましてバラ色の広がり方をしていくことは、アメリカにおける場合を見てみましても大きな期待が寄せられているのだろうと思うのです。それで、この支援策、将来に向けまして郵政省としてCATV発展のための支援策をどういうふうにしていくのか、お考えをぜひ伺いたいと思います。
  125. 小野沢知之

    小野沢政府委員 今先生から御指摘、御提言いただきましたように、CATV発展可能性というのは十分あるというふうに私は考えております。これから双方向通信あるいは多チャンネルとか、そういった特性を持っているわけですから、ケーブルテレビの特性として一たん施設設置されますと、いろいろ不可欠の存在として定着をしていくという存在でございますから、そういう意味でいろいろな支援策とかいろいろな可能性が初めて明らかに出てきたというふうに考えているわけでございます。  これからの支援策についてでございますが、まず今回御審議いただいております有線テレビジョン放送番組充実事業をしっかりと実施していきたい、充実さしていきたいということ、それから、これまでいろいろな支援措置を税制上とか金融上とってまいりましたけれども、そういったことの充実、その効果的な運用、これを図っていきたいということでございます。  なおまた、実際にやっているのは一カ所なんですが、双方向機能の活用ということについて、これが一つのポイントとなるというふうに考えております。現在学術情報センター教授の浅野先生を座長といたしまして、昨年の秋からCATVの高度利用に関する調査研究会、技術的問題を中心としてですが、双方向機能を利用したサービスの形態、それからそれを実施するために必要な施設の技術的条件等について調査研究を行っておりまして、これは五月にまとめる予定ですが、そういったことでいういろな面で力を尽くして、CATVについて明るい展望を切り開いていきたい、こういうふうに考えております。
  126. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 CATV普及発展策というのは、一つは六十チャンネルが有効に生きる、そういう伝送容量を持ちながら宝の持ちぐされみたいな形にならないために、ソフトの充実というのは極めて大事な要因だと思うのです。今回の場合に間接支援という形なんですが、番組制作会社に対して直接支援というのは、これはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  127. 小野沢知之

    小野沢政府委員 番組供給事業者に対する支援措置としては、財投の長期低利融資制度等がございます。
  128. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 これで十分機能するというお考えですか。さらに拡充が必要ではありませんか。
  129. 小野沢知之

    小野沢政府委員 それぞれ制度の目的、内容等がございます。今申し上げました長期低利融資制度、これは主として施設の整備を対象として直接個別に番組供給事業者に対して支援措置を講じているものでございますが、今回の措置は、直接番組供給事業者に対して支援措置を講ずるものではなくて、共同利用施設を整備して、有線テレビジョン放送番組充実事業を行おうとする者に対して支援措置を講ずるものでございます。これは先ほどから申し上げますように、これから今まで手つかずだったソフト面について力を尽くすということで、そういったことで従来の支援措置と効果的に連携させることによりまして全体的な発達普及を図ってまいりたい、このように考えております。
  130. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それで、どうもイメージがいま一つなんです。一号業務、二号業務、三号業務、四号業務、この一から西までの業務をやる者に支援をする。東京に一極集中だ、集中だ。しかし、地方におけるCATV事業を進めていく上で、今回の支援措置がどういう効果をもたらすのか、これがはっきり見えてこないわけです。一極集中というのが是正されるなんというふうに考えていらっしゃいますか。ちょうど放送事業者と、東京から配信される、いわゆるスペースケーブルネットを通じて配信を受けるその中間に立って何か作業していくということであるのであって、これは言われているとおり、一極集中の是正には余り効果はない。しかしCATV事業者にとっては、かわってやってくれるそういう作業現場なりそういうのができ上がることによって、ないよりあった方がいい、こんな感じですか。
  131. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答え申し上げます。  今までこの分野での支援措置はゼロの状況でございまして、ゼロと比べて幾つかということは大きな進歩でございまして、そういう意味でこの施策を大事に育てていきたいと考えております。したがいまして、東京一極集中の弊害の除去がこの施策のみによって実現するとは考えておりませんが、大きな意味を持っていくものというふうに考えておりますし、また、そのほかにどんな施策がとり得るかにつきまして、放送ソフトの充実に関する調査研究会を今行っておりますから、この中で無線放送だけじゃなくて有線放送のことも絡めながら研究しておりますので、そういったことを受けてさらに研究を深めたいというふうに考えております。
  132. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 あるCATV事業者がネットワークの付加価値を高めるために第一種電気通信事業者とあわせて業を営む、こういう場合に、郵政省としての対応、これはCATVの高付加価値化を目指すものであって歓迎し、処理は円滑に進めていく、こういうお考えに立つのでしょうか、それとも既存の第一種事業者との兼ね合いを考え、抑える方向でしょうか。
  133. 小野沢知之

    小野沢政府委員 電気通信局の所管の問題とも絡みますが、私としての見解を申し上げますと、今諏訪市のケーブルビジョンが一つこれを行っております。昨年その施設を見学に参りまして、地域密着性その他で随分有効に機能しているなどいう感じを受けました。したがいまして、そういう成功例を体験しながら、立脚しながら、今先生指摘のような大きな制度としての問題、方向を考えたい、このように考えております。
  134. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 ソフトの充実ともう一つ普及促進していくための決め手はネットワークの高付加価値化という課題だと思うのですね。それで、今局長答弁のレイクをとってみたいと思うのですが、レイクが一種電気通信事業者になって水道料金の検針がテレメータリングでできるようになった、さらにまた、ホームセキュリティーであるとかこのあたりまでなんだろうと思うのですね。将来に向けては例えばうちの中で列車の指定をし、宿泊場所の指定をし、オンラインの銀行の引き落としをし、旅行計画全部うちの中ででき上がって休暇を楽しむ、こんなようなことが具体的にできる、そういうのがもう間近だと思うのですね。このネットワークはそういうネットワークだと思うわけですよ。いろいろな利用の仕方があるんだろうと思うのですが、一つは銀行との接続あるいはJTB、交通公社との接続というふうな形になってまいりますと、競合するメディアが出てくるわけですね。郵政省としてはどういうふうにお考えでしょうか。
  135. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答え申し上げます。  まだ確定したお答えを申し上げるところまで勉強しておりませんで恐縮でございますが、いろいろな経験からいたしまして、ある仕事とかあるメディアとかは、それに現実に携わっていて一番真剣なところが一番パイオニアとしての役目を果たしていくと思いますので、外国でいえばアメリカ事業者でいえば先ほどお話がありましたレイクシティ、この辺の動向を十分見きわめます。  なお、制度上、実態上のいろいろな問題につきましては、幸い有線電気通信を所管するのは郵政省でございますし、有線テレビジョン放送を所管するのも郵政省でございますから、連絡がとりやすい体制にありますので、よく連絡をとり合って調査研究をしてまいりたい、問題点を解決していきたい、このように考えております。
  136. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 もう一つこのCATVをめぐりまして、CATVのネットワークというのは非常に地域独占性が強い。これは非常にお金のかかる設備投資がなされ、その地域におけも競争原理というのは、システム上働きにくい状況にあると思うのです。それで、マスメディアの集中排除、アメリカなんかの場合には三大ネットワークはCATVからは外れてもらう、こういう原則が確立されているわけですが、CATV揺籃期とはいえ、今CATVとマスメディアの独占排除の関係というのはやはりある程度の方向というのは詰めておかなければならない問題だろうと思うのです。多数の人にマスメディアに参入をしてもらう、そういう原理原則からいきますと、マスメディア集中排除というのはどんなふうに考えていらっしゃいますか。
  137. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  高木東京大学新聞研究所長を座長といたします高度化時代を迎えたCATVに関する懇談会が開催されまして、平成二年の六月に中間報告書が出たのでございますが、その中でやはり先生の御指摘のような点が主要テーマとなっております。その中で、他のマスメディア事業者有線テレビジョン放送への参入を制限するという観点から、マスメディアの集中排除原則を確立していく必要があると提言されているところでございます。郵政省といたしましてもほぼ、ほぼといいますか、この趣旨と同一のスタンスをとっておりまして、放送することができる機会をできるだけ多くの者に対して確保することによりまして、放送による表現の自由ができるだけ多くの者によって共有されるようにするため、有線テレビジョン放送施設の設置の許可を受ける者は一般放送事業者またはこれと特別の関係を有する者でないことが望ましいというふうに考えております。
  138. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 アメリカがいいというわけではないのですが、スペースケーブルネットワークの進みぐあいからいくとちょうど十五年ぐらいの開きがあり、後発という意味で、アメリカの制度はなかなか参考になるしおもしろいと思うのです。一つはアクセスチャンネルという制度があり、また商用チャンネルという制度があるわけですね。だから、マスメディア集中排除の原則とあわせてこのアクセスチャンネル、公共性の高い、あるいは公衆面、公衆衛生でしょうか、あるいは地方公共団体にチャンネルを開放しなければならないという義務規定、あるいは商用チャンネルの場合には、その放送所に対しましてチャンネルが欲しいというのに対しまして、チャンネルを開放しなければいけないんだという義務規定、こんなのが制度化されているようですが、郵政省としては我が国のCATVについてどういうふうにお考えでしょうか。
  139. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答え申し上げます。  ただいまアメリカのアクセスチャンネル、商用チャンネルについて的確な御指摘いただいたわけですが、これを我が国の有線テレビジョン放送法制と対比してみますと、それに非常に関連が深いのが有線テレビジョン放送法第九条でございまして、そこに「有線放送の業務を行なおうとする者からその業務の用に供するため」「有線テレビジョン放送施設の使用の申込みを受けたときは、郵政省令で定める場合を除き、これを承諾しなければならない。」というふうに規定しているわけでございますが、先ほど先生のお話にもございましたように、我が国では六十チャンネル程度の放送が可能な施設におきましても、現在平均しますと二十二チャンネルの放送しか現実には行われていない、そういう状況でございますので、先ほど申し上げました条文の存在により、アクセスチャンネル、商用チャンネルの制度と同じ効果が現在得られているというふうに考えております。したがいまして、我が国におきましては、当面アメリカのアクセスチャンネル、商用チャンネルの制度は必要ないものというふうに考えております。
  140. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 今後の展望でありますが、このCATVに対して郵政省としてどういう方向で取り組んでいくのか、大臣に最後にひとつ伺っておきたいと思います。
  141. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 先ほどから御質問を承っておりまして、御指摘されておられます点をこれからのこの法案の成立以後の行政の面で十分に留意しながらやっていきたいということをまず一点申し上げておきたいと思います。  有線テレビジョン放送番組充実事業というのは、放送番組の制作、流通、利用体制が少なくとも脆弱であることなどの隘路を解消して、有線テレビジョン放送発達普及を促進する施策であるということは御案内のとおりでございます。放送事業者などの利用者の利便なども勘案して、先ほど答弁申し上げましたように一年に二カ所という程度のことでありますが、やはりこういうものが平らかに全国的に平均して行われていくということが一つは大切なことであろうと思います。今の段階においては一年に二カ所程度で十年間という計画で予算措置をいたしておりますが、しかし、時代の進展、あるいはまたこういう高度情報社会というものが急激に参ったときにはそれに対応するようにしていく行政措置がなければならぬと思いながら、それらも勘案してこれからの事業の円滑な推進と実施に向けて努力をいたしてまいりたいと思っておりますので、御理解を願いたいと思います。
  142. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 次に、情報通信分野の研究開発という、二十一世紀を目指しまして極めて大事な部門だろうと思うわけです。それで、自然科学の基礎研究といいますか、創造研究開発といいますか、これが極めて弱体であると思うのです。つまり官がやるべきことが数字の上からいって現在どういうことになっているかといいますと、必ずしもこれはそのとおり物語っているかどうかということは別としまして、一つの指標だと思うのですが、研究開発費に占める政府資金、日本の場合には一七・一%、列国の中で極めてシェアが低くなっております。アメリカが四六・一、フランスが四九・九、英国が三六・七、ドイツが三二・五。こんな状況の中で我が国が一七・一、やはり相当民間の研究陣に負うところが大きかった、そういう数字一つだと思うわけです。したがいまして、電気通信技術審議会の四十号答申、四十七号答申にも明らかになっておりますとおり、政府がやるべきこと、これを明確に位置づけをいたしましてそして取り組むのだ、こういう姿勢が極めて大事なときではないのかというふうに思うわけです。研究開発につきまして取り組む郵政大臣の所信をひとつ伺いたいと思います。
  143. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 今鳥居先生指摘のとおりでして、数字の面では、先生のおっしゃった外国の方の数字は言うならば国防研究費が含まれている数字でございますね。日本の場合には、国防研究費が除かれて約一七・一、二%というのが現状であろうと思います。しかし、いずれにいたしましても実際に非常に低い。そしてまた、技術開発の面における政府の技術政策というものが言うならばまだ一歩足りてない。あるいはまたこの方向性というか、技術政策そのものも若干方向性というのもまだ定かでない面がなしとは言えない。それはいろいろな面において、郵政関係だけではなくて基礎研究等を見たときにも、各大学の研究体制、研究施設状況というのは本当に——先日も科学技術会議に郵政大臣も陪席を実はさせていただいているわけですが、こういうところなども、やはり科学技術会議そのものももう少しベースを広げたらどうかというような考えを私的に私は持っています。例えば省庁においても、今私は陪席と言いましたが、郵政省、郵政大臣は主要なメンバーではないわけです。あるいは通産大臣もしかりです。そういう点から考えてみますと、これは批判ではなくて今後の方向として、私は実は一政治家として、こういう面の今後の補いはお互いもう少し考えていかなければならぬのではないか。正しからざるは正していくということはいろいろな意味で大切だろうと思っております。  そういう意味で、我々は高齢化社会、豊かでゆとりのある生活の実現あるいはまた高福祉社会への対応などに大きく貢献することが期待されていると思いますので、この辺に向けて、高度情報社会の早期な実現のためにも郵政省としての技術開発に本当に総力を結集してかかっていかなければならない非常に大切なときだと認識をしつつ、努力をいたしながら御指導いただきたい。  あと、足りないところは局長から補足説明をさせたいと思います。
  144. 白井太

    ○白井(太)政府委員 技術開発の必要性というのは、これはもうある国の国益とかある国の国民の利益とかということに限らず、人類全体の福祉の向上ということのためにも実は大変重要なことでありまして、こういう点について、過去、いささか基礎的な研究について力の入れ方が足りないのではないかという御指摘があったことは先生のおうしゃるとおりでございまして、これからの研究開発につきましてはそうした非難をできるだけ浴びないように、我が国も積極的に基礎的な研究にやはり力を注いでいくということが必要ではないかと考えておるところでございます。
  145. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それで、研究開発に当たりまして、情報通信の分野ですから郵政省ということなんですが、郵政省として総合的、長期的研究開発指針、方針というのがやはり必要なんだろうと思うのです。どういうふうに考えていますでしょうか。
  146. 白井太

    ○白井(太)政府委員 実は、既に昭和六十二年に改定いたしました研究開発指針というのを私ども持っておるわけでありますが、ただこの点につきましては、昨年、実は電気通信技術審議会から答申がありまして、その答申の中でも、二十一世紀に向けた技術開発のガイドラインとなるような長期的、総合的研究開発指針を策定する必要があるという御指摘をいただいておるわけでありますが、この昨年の答申を受けて新たな指針をつくる、あるいは過去にありました指針の改定をするといったようなことをまだやっておりません。  と申しますのは、情報通信の分野に限ってみましても、研究開発の分野というのは極めて多岐にわたることは御案内のとおりでありますし、また、さらに、かてて加えてこの研究の分野というのはもうまさに日進月歩でありまして、こうした指針をつくってきちっとした見通しのもとに、あるいはきちっとした考え方のもとに研究開発を進めていかなければならぬということはもう重々私どもわかっておるつもりでございますが、それをつくるというのが、かなりいろいろな方の御意見も伺う必要もありますし、我々だけで決められるというようなものではないだけに少し時間がかかっておるということでございます。考え方としては、まさに先生がおっしゃいましたような指針というものをきちっと持ってやっていかなきゃならぬということを痛感しておるところでございます。
  147. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 申しわけありません、先ほど私言葉が足りませんで、科学技術会議、こう申し上げましたが、科学技術閣僚会議をもう少しベースを広げるべきだ、そして技術立国としての日本の指針、政府としての大きな大綱というものがやはりできないと、今のように結局郵政省だけでもってこの技術政策あるいは開発政策というようなものを何か小ぢんまりとつくるというような、あるいはほかの省はほかの省でやるというようなことではなくて、もう少し国全体として、この問題についてのダイナミックな取り組みが必要だという意味で、私は実は官房長官にも内々私の個人の考え方というのを申し上げてあるのです。実際もうその段階に、世界から日本の技術というものが非常に要請され期待されている、それに対して、政府の方は、科学技術閣僚会議は四省を中心にしてやっているのだということで、いつまでもそれにとらわれるべきではないということが私の考えでありまして、そういう提言を内々申し上げていること、これを今ここで言っちゃうと内々になりませんが、非常に大事なことだと思いますので、あえて一言付言させていただいたわけであります。  郵政省として、ハイテクを中心に、あるいは通信放送関係のこれから非常に期待されている分野ですから、今具体的に示せと言われても局長が言われたようなことではありますが、しかし、まさに着手すべきときだという先生の今の御指摘の点は、郵政省としてもそんな考え方で取り組むべきであろうと、私も同感の意を表しておきたいと思います。
  148. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 つまり、長期的な展望に立って、郵政省としてやらなければならないのはこういうことがあるんだ、それで、いろいろな障害があると思います。例えば予算。だけれども、その障害を克服して、そして郵政省としてやるべき研究開発の分野というのを明確にし、計画化し、取り組んでいく、こういう姿勢がやはり大事なんだと思うのですが、それがまさに問われているのだろうと思うのです。  今回具体的に三次元立体映像情報通信技術、これに着手することになったのですが、これは、言ってみれば何十項目かのうちの一つであって、二十一世紀を目指しての研究テーマ、これは分野によってそれぞれあるわけですけれども、テーマで上げれば二百を超えるほどあるわけです。どれか一つやっていればそれでいいんだという問題ではないと思うのですね。だから、郵政省がどういうふうに考えるか、何をどういうふうに計画化をしていくのかということが非常に大事だと思いますし、官学民と三位一体になった研究開発体制をしくとして、コーディネーターの役割を果たさなければいけない、そういう期待も一方にあり、自前でまた研究開発もしなければならないというものもあり、通総研の負って立つ期待というのも非常に大きいわけでありますから、どうかひとつ、この中長期計画、これをぜひ示していただきたい、こう思うのですけれども、どうでしょうか。
  149. 白井太

    ○白井(太)政府委員 先ほどお答え申し上げたこととダブりますけれども、まさに研究開発というのは私どもの受け持っておる仕事の分野におきましても極めて大切な仕事でありまして、そのためには、これだけ多岐にわたる研究開発をできるだけ効率的に、また本当にその効果が上がるように、さらにはそれが国民の利益につながるように進めていくということが必要であるわけでありまして、研究所自体もいろいろな形でありますし、予算の配分あるいは研究者の配置、いろいろ考慮に入れて決めていかなければならぬことというのがたくさんあるわけでありまして、できるだけきちっとした見通しを持って、その見通しのもとにきちっとした研究開発をやるように努めていきたいと思っております。
  150. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 特定研究開発基盤施設、これが、今回この法律措置ができますと研究者が集まりまして多様な利用の仕方ができる、これもやっぱり一つの大きな期待が集まっているわけですが、例示ではなくて、何をどこにどういうふうにつくるのか、お聞かせいただきたいと思うのです。
  151. 白井太

    ○白井(太)政府委員 法律案の枠組みで申し上げますと、実はこの研究施設はいわゆる第三セクターのものを私どもは想定しておりますが、その第三セクターのようなものが一つの共用施設をつくろうと考えまして、そのような計画のもとに通信・放送機構に対して支援の要請をするというような仕組みに法律上はなっておるわけであります。もちろんこの法律案はまだ御審議をいただいている段階でございますので、最初出発するときは私どもいろいろ考えておりますようなことを実際には実行に移させていただくということになろうかと思いますが、今平成四年度として私どもぜひやりたいと考えておりますのは、先ほど来議論が出ております三次元通信も含みますようないわゆる高度な画像通信のいろんな実験研究等ができるような施設でありますとか、あるいは広帯域通信網を利用して行われますようないろいろな通信サービスについてのノウハウの研究ができるような施設、そういうものをつくりたいと私どもとしては考えておるところでございます。  なお、場所につきましては、まだ私どもも——もう既に早耳で、そういう施設をぜひ我が方に誘致したいなどというようなことをおっしゃっておられるところもいろいろあるようでありますけれども、まだそこまでは決めておりませんで、基本的には先ほど申し上げたような種類の研究開発施設を恐らく法律を通していただきますならば本年度中につくるように取りかかるということになるのではないかと思っております。
  152. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 昭和六十三年から電気通信フロンティア研究開発というのが始まって、この情報通信分野の基礎研究が通信総合研究所で始まっている。そして通信総合研究所の負う責務というのは極めて大きいことになってきました。それで、ここのところの予算措置あるいは研究テーマ、研究スタッフの構成、こういうのを見てみていて何がどういうふうに充実されてきているのか、ぜひ充実をさせようという方向であるならば何を今後どういうふうに充実させようとしているのか、ひとつ御説明をいただきたいと思うのです。
  153. 白井太

    ○白井(太)政府委員 ただいまお話がございましたフロンティア研究開発にちょっと焦点を当てて申し上げさせていただきますと、私どもフロンティア研究開発と言っておりますのはいわば未踏の分野の研究開発と言ってもいいような研究開発でありまして、本当にまあ基礎研究の代表例のようなものだと申し上げていいかと思っております。それで、この電気通信フロンティア研究というのは通信総合研究所が取り組んでおります極めて重要な分野でございますが、通信総合研究所だけでも足りないというようなものにつきましては部外の大学等に研究委託をするというような方法もとったり、さらには大学でどういう研究をしてみたいかということで公募いたしまして、その応募してきたテーマの中から幾つかを選んでそのテーマについて大学等で研究をしていただくとか、さらには、まあ年に一回でありますけれども、フロンティア研究に取り組んでおられます外国の研究者の方をお招きいたしまして研究発表会を二日か三日にわたって毎年一回そういうことをやらせていただいております。そういうことでフロンティア研究にはいろいろと力を入れさせていただいております。  ところで、問題のその予算でありますとかあるいは研究者の体制なんですけれども、これがなかなか、先ほど来の御指摘ではあるのですが、実は思うに任せないというのが実態であります。まあ予算もだんだん伸びておりまして、このフロンティア研究につきましては傘とすればかなりの勢いで伸びてきておりまして、平成四年度の予算案では五億八千万くらいの予算がフロンティア研究に回されるということになっております。  他方、この研究開発で一番重要なのは、実は研究者を確保するというのが大変な問題でありまして、外国人の方の研究者も通信総合研究所にはもう既に何人か加わっていただいておりますが、やはり国全体のと申しますか国家公務員の定員を少しでも減らさなければいかぬという要請のもとで、この研究者の定員だけはもう減らさない、減らさないというよりもやはり少しでもふやしていくということでやらせていただいております。まあ現在では、過去に比べましては若干は研究者の方はふえておりますが、これは定員の枠だけではなくて研究者そのものが人材不足というようなこともいろいろあるようでありまして、研究所長の方もいろいろ苦労しておるというような話を聞いておるところでございます。
  154. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 以上で質問を終わります。
  155. 谷垣禎一

    谷垣委員長 次に、菅野悦子君。
  156. 菅野悦子

    ○菅野委員 法案の具体的な内容に入る前に、大臣自身の問題でいささかお伺いしたいと思います。  これは大臣みずから国民や職員の信頼を回復する努力を表明されているところでもございます。そこで、前回の委員会大臣自身が調査を約束されました問題、中でもリクルートからの献金、この部分なんですが、この点についてもきょうまた新たに一つ出てまいりましたけれども、それは横へ置いておくとして、この前論議になりました、またお約束いただいております昭和六十三年夏の分ですね。小切手でいただいたという五百万についてなんですけれども、これをいつお返しになったのか、調査の結果どうだったかをお伺いしたいと思います。
  157. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 先日の理事懇談会で議論をいただき、その結果を私承っております。現在その趣旨に沿って鋭意努力中でございます。
  158. 菅野悦子

    ○菅野委員 ということは、調査中ということなんですが、あのときは大臣非常に明確に、わかったので返しなさいと指示されたということですから、もうその議事録云々関係なしに非常にわかりやすい話なんです。調査中、これは返却したのかどうかもはっきりしないということなんでしょうか。
  159. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 いずれにしましても、理事会でこの問題が取り上げられて、そしてお話し合いをおさっていることですから、私はその理事会の趣旨に沿って今努力をしているということ以外、この委員会の運営の問題にもかかわることであり、私はそれ以上の答弁はきょうは控えさせていただきます。
  160. 菅野悦子

    ○菅野委員 といいますのは、私は、この問題は当委員会だけでなくて予算委員会との関連もありますので、今ちょうど衆議院で予算委員会が動いておりますが、やはりこれに合わせて明確にしなければならない問題だと思うわけでございます。といいますのは、大臣は、二月の二十日の衆議院予算委員会で社会党の小岩井議員の質問に対してこんなふうにおっしゃっておられます。「五百万円の方は、実は私がその時点で承知しておりませんで、慌てて、それはお返ししなさいということで、問題がわかってから、実際に五百万円来ているということが私自身が承知をしてから実は返したのであります。ですから六十三年の九月か十月ぐらいじゃなかったかと記憶をしておりますしこういうふうに言っているわけですから。それでは、このこともまだ調査中、この予算委員会答弁も不確かなものだということになるわけてすか。
  161. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 先日の先生の質問をもう一度よく精査させていただいて、議事録を見ながら、その上で御答弁させていただきます。
  162. 菅野悦子

    ○菅野委員 返却した時期を調べるのにどうしてそんなに手間取るのかちょっとよくわからないわけなんですけれども、それでは、いつになったらその点はっきりさせて御回答いただけるか、この点はちょっとはっきりお伺いいたします。
  163. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 委員長理事の皆さんの御趣旨に沿ってやっていきます。
  164. 菅野悦子

    ○菅野委員 委員長の方に大分問題が返ってきているのですけれども、その辺ではどうでしょうか、委員長、いつまでにこれやっていただけるのでしょうか。
  165. 谷垣禎一

    谷垣委員長 今の菅野委員の御質問の件につきましては……速記とめてください。     〔速記中止〕
  166. 谷垣禎一

    谷垣委員長 速記を起こしてください。  今の菅野委員の御質問に関しましては、また理事懇で日時等を詰めさせていただきます。菅野君。
  167. 菅野悦子

    ○菅野委員 この間のやりとりの中でも、前回、この昭和六十三年八月の分につきましては、もらった日付も返した日付も結局わからなくなったということで、大臣調査をするというふうにおっしゃったわけです。そして、私も今言いましたように、これはやはり予算委員会との関係もあります。ですから、そういう意味ではぜひ早くやっていただきたいというふうに思うわけです。それと、まあきょうまた新たに二百万の問題が出てまいりましたし、この間のやりとりを聞いておりましても、この問題は、やはり私がこの前要求いたしましたように、元秘書でおられます長澤さんという方の証人喚問、これがどうしても必要だなということを強く感じる次第でございますので、その点ぜひさらに要求して、法案の具体的な質疑に移りたいと思います。  有線テレビジョン臨時措置法案についてですけれども、地方のCATVでの自主制作の能力、これを向上させることは賛成できます。しかし、機構法については、単純に賛成できない内容を持っているというふうに思うわけです。  この新たに追加される機構の業務として研究開発業務がありますが、一般論として高度な通信・放送研究開発は必要であります。しかし、科学技術研究の基本であります平和的、民主的、自主的なものになるかどうかという点で、今回の改正は非常に疑問があると思うわけです。  まず、民間においてはその実施が期待できないものという規定がありますけれども、この法案が規定しております民間ではできない研究開発とはどんなもので、なぜ、どのような制約があってそれができないのか、このことをお尋ねいたします。
  168. 白井太

    ○白井(太)政府委員 研究開発と一口に申しましても、いろいろな段階での研究開発というのがあるわけでありまして、一般的には、基礎研究でありますとか、あるいは応用研究でありますとか、あるいは開発研究でありますとかいうような言葉で、いろいろな段階の研究開発というのが呼ばれておるように承知をいたしております。  特に、基礎研究というのは、これは全く学問に近いような研究でありまして、実用化とは直接結びつかないというようなものを基礎研究と呼んでいるのではないかと思っております。それから、応用研究という言葉で使われます場合には、それほど純粋な基礎研究ではないのだけれども、まだ実用というようなレベルのものではないようなものをどうも一般的には応用研究というような言葉で呼んでいるように思うわけであります。開発研究というのは、場合によれば製品開発というようなことにもつながるわけでありまして、これは実用に非常に近いレベルでの研究開発をそんな言葉で呼んでおるのではないかと思うのです。  ところで、今回その法律案の中に書かせていただいております「民間においてはその実施が期待されないもの」というものの考え方なんですけれども、これは幾つかの理由がありますが、端的には、実用に直接は結びつかないということのために、民間企業あるいは民間の事業者においては研究開発のインセンティブが働きにくいというようなものを私どもとしてはイメージをいたしておりまして、先ほどもちょっと表現させていただきましたが、基礎研究から応用への橋渡しをするということで、実用研究までは至らないわけですが、企業が実用のための研究あるいは開発研究を行おうという気持ちになってもらえるところくらいまでのその橋渡しをする部分をここで受け持ちたいということを考えておるわけでございます。
  169. 菅野悦子

    ○菅野委員 民間ではリスクがあってできないものを結局機構が肩がわりするのかなというふうな感じがあるわけなんですけれども、では、一方、機構で新たにやろうとする研究が国の研究機関でできないという制約、これがあるんでしょうか。あるとすれば、制度的な制約か、それとも予算的な制約か、具体的にお伺いしたいと思います。
  170. 白井太

    ○白井(太)政府委員 予算的な制約ももちろん事実上の問題としてはございますし、それから制度的な問題もあると考えております。言葉としては余り適切ではないかもしれませんが、一口に申し上げますと、現在あります研究の組織だけではどうしても、どれをとってみましても帯に短したすきに長しというようなことでありまして、私どもがこれから考えようと思っております。その基礎研究から応用への橋渡しをするような研究というのは、実はその研究をする適切な受け皿が今の制度の中ではないということから、今回、この新たな法律案を提出させていただいたわけであります。  なぜ通信総合研究所で無理がというのは、やはり通信総合研究所としては、国の研究所としての使命を持っておりまして、どうしても、国の研究機関ということで、基礎的な研究にうんと重心を置いた研究開発をすることになるということから、その応用への橋渡しをするというようなことまでを通信総合研究所で行うのは制度的にも無理があるように思いますし、また、予算とかあるいは研究者等の面でも、事実上そういうことは不可能に近いと申し上げざるを得ないわけでございます。
  171. 菅野悦子

    ○菅野委員 具体的に機構がどのような研究開発業務をするのかなということで、先般来のやりとりでも、三次元映像通信とかあるいは施設の面では光通信用の光増幅装置の建設などが予定されている。場所としても横須賀、小金井などの名前も挙がっているように聞いているんですけれども、予算的にはどれくらいのめどを考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  172. 白井太

    ○白井(太)政府委員 平成四年度予算案の中身を簡単に申し上げますと、今回法律案でお願いしております三つの種類の研究活動のうち、研究開発でありますとかあるいは国際交流ということのための予算として、これは初年度でありますので半年分の予算なんですけれども、約一億七千万円の予算を一般会計予算予算案に計上させていただいております。  それから、研究開発基盤施設を整備する人に対して機構から出資をするという仕事の方でありますが、この出資のお金として、産投会計から十億円を機構に対して出資をするという予算産投会計の予算案の中に盛り込まれております。
  173. 菅野悦子

    ○菅野委員 結局、横須賀、小金井という想定というのは、お聞きしているんですけれども、これはNTTの大規模な研究所がある近くなんですよね。具体的な研究テーマは、言いました三次元映像通信ということなんですけれども、これが果たして、民間は製品実用化の研究で国は基礎研究、その中間というものと言えるのかなということを疑問に思うわけです。民間での研究といいましても、もっと基礎的な研究をやっておりますし、NTTの中期経営計画によりますと、NTT一社だけで一九九四年度には年間三千億、これくらいの研究開発費を充てるとしているんですね。ですから、こうした規模と機構の研究開発業務の規模、これを見比べて、かつ、実際の建設される設備がNTTの通信研究所に隣接したところ、ここが予定されているというふうなことなどを考えると、民間においては実施が期待できないというよりも、民間のお手伝い程度と言った方がぴったりするのではないかというふうに思うわけです。本当に必要かどうかが極めて疑問な民間大企業支援策ではなかろうかと思うわけですね。  これは、通産省の方でも既に実施した、同じような種類の新エネルギー・産業技術総合開発機構、いわゆるNEDOですけれども、これも私たちは反対しております。ですからそういう点で、この改正案には賛成はちょっとできかねると思うわけであります。  関連して、通信総合研究所のことを少しお聞きしたいと思いますけれども、これは、民間でも国でもできない研究開発業務をやるということで、政府資金を注ぎ込むことも計画しておりますが、今、国の研究機関の充実こそ本当に緊急の課題になっているというふうに思うわけです。だからその点で、郵政省の御認識を聞きたいということと、また、通信総合研究所の予算と定員、それはこの十年間どのようになっているかということをちょっと簡潔にお願いをいたします。
  174. 白井太

    ○白井(太)政府委員 最初のお尋ねの研究開発施設について若干申し上げさせていただきたいと思います。  施設の設置場所は全く決まっておりません。先ほどもちょっと申し上げましたが、こういう法律案あるいは予算案が御提案申し上げであるということから、多少早耳といいますか、そういう情報を得られてこういう施設をぜひこちらの方につくってほしいというようなお話が一、二あることは承知しておりますが、もちろんどこにつくるかということまで決めておるわけではございません。  それから施設は、実は法律にも書いてありますように、共用に供するというかみんなで使うというのが施設のねらいでありまして、例えば高度画像通信研究施設でありますと、それらの研究を行っております大学とか会社とか個人とか、そういう方が一応の実費を払いまして、時間で、あるいは日にちでそのような研究施設を使って、御自分の、あるいは御自分の会社の研究をされる、そのための施設でありまして、これは大企業であろうと中小企業であろうと、個人であろうと団体であろうと、全く私どもとしては区別をいたしておりません。  それから、通信総合研究所でございますが、こちらの方の研究体制の充実をするというのはこれはもう私ども当然のこととして考えております。現実の問題としては、予算事情等からなかなか思うに任せないということも申し上げざるを得ないわけでありますが、予算規模につきましては、約十年をさかのぼって考えてみますと、昭和五十八年度が四十三億円でありましたのが来年度の予定額は五十三億円ということになっております。もちろんこれは一般の人件費も含みますので、これだけ研究費がそのままふえたということではないわけであります。  それから、研究所の定員につきましては、昭和五十八年度の定員が四百五十一名でありましたものが平成四年度の予定では四百二十二ということで、約三十名減員になりますが、研究者の数だけ、研究者の方の数をとってみますと、昭和五十八年度が二百五十七名でありますものが平成四年度の予定定員は二百八十三ということで、こちらの方は二十数名ふえておるというような内容になっております。
  175. 菅野悦子

    ○菅野委員 今、国立大学や国立の研究機関の研究環境の劣悪化というのは極めて深刻になっておりまして、これは我が国の科学技術の振興にとって最大の問題であろうと思うわけです。それで、科学技術会議、先ほどもちょっと出ておりましたが、ことし一月二十四日に内閣総理大臣に提出した答申でも、「これまで以上に多様で重要な役割を果たしていくべき大学及び国立試験研究機関は、研究資金の低迷及び施設・設備の老朽化・陳腐化が著しい。」というふうにして、「我が国の大学及び国立試験研究機関の研究環境を早急に改善し、その研究のレベルを維持・向上していくことが課題となっている。」といふうにしているわけです。  さらに、国立の試験研究機関の定員削減によりまして、研究者全体の高齢化が進んでいる問題、また研究予算そのものが少なくて給与も低いということなど、国立の研究機関が若手の研究者にとって魅力のないものになっているというふうな非常に深刻な事態が指摘されているわけなんです。先ほどこの通総研の予算をお聞きしましたけれども、わずかばかり確かに予算もふえております。しかしそれは主に関西に支所をつくったということによるものでして、しかもそれにしてもNTT一社で三千億というふうな額と比べてみても大変貧相だということを指摘せざるを得ないわけですね。ちなみに、このNTTの中期経営計画によれば、一九八九年から一九九四年、五年間に研究開発費を二五%ふやして三千億にするということ、そしてこの研究開発に携わる要員も七千三百人から一万人にするというふうにしているわけです。私どもも、昨年、国立大学の調査をずっと全国やりましたけれども、本当に大変なんですね。ですから、国立大学にしても、国立の試験研究機関の現状、まさに危機的な状況だと言ってもいいと思うのです。その改善がむしろ緊急課題であるというふうに私は思うのです。このことは、経団連でさえ昨年十月に建議書を出して主張していることなんです。ですから、この法案でたびたび言ってまいりましたけれども、民間にも国にもできない中間のことをやるんだ、そこを国が支援するんだというようなことを言われております。しかし、今最も必要なことは国の研究機関を充実させることであって、それは我が国の科学技術を思う人々が共通して心配し切望していることだ、このことを改めて指摘しておきたいというふうに思うわけです。  それで、CATVのことについて質問をしたいと思いますけれども、このCATVについてですが、今度の臨時措置法案で建設される施設についてです。建設時にどのような予算的な手当てがされるかという点では、機構を通じての出資とか無利子融資などで一応は出されている。しかし、建設されて以降の設備の更新、こういうものについてはどう考えておられるのかなと率直に疑問に思うわけです。テレビ技術なども日進月歩でありまして、放送設備などは三年から五年で更新が必要というふうに言われる場合もございます。ですから、そういう点で、つくったものの経営的に成り立つのかな、また、設備がそういう形で陳腐化するのではないかというふうな心配も出てくるわけなんですけれども、その点とうかということ。  それから、地元の自治体などから、放送番組などでなくて、広報用のビデオなどの制作、そのためにあいている時間を貸してほしいというふうな申し出があった場合にはどうするのかということをお聞きしたいと思います。
  176. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答え申しあげます。  第一点ですが、実施計画を変更いたしまして当該計画について郵政大臣認可を受けて増資するような場合には、設備の更新についても対象となり得るものでございますけれども、施設の整備を行うときに予算措置上認められました最高額、一施設について一億五千万円までの出資を受けることを想定しておりますために、施設の整備後に通信・放送機構からの出資を受けることは、実際問題として通常考えられないわけでございますが、御指摘の点につきましては、将来の研究課題とさせていただきたいと思います。  それから、第二点でございますが、今回の事業では、有線テレビジョン放送に用いないビデオの制作はその業務としていないところでございます。また、予算編成過程で各地から強い要望が多数寄せられたということ、それから平成四年度が初年度であるために、多くの実施計画が提出される、その中で二つ地域を認定しなければいけない、そういった点から見まして、施設の空き時間が生じることは特に今の段階で考えにくいわけでございますが、万一そういった事態が起こりました場合につきましては、その段階で検討してまいりたい、このように考えております。
  177. 菅野悦子

    ○菅野委員 二つ法案質疑をしっかりさせていただいたつもりなんですが、それで、時間がまだございますので初めの問題に戻りたいと思います。  リクルート献金の問題で結局委員会の方で、委員長の方でしっかり受けとめていただいて調べていただくということなんですが、先ほども言いましたように、これは急ぐべき問題ですし、事は重大でございますので、返却した時期を調べる、また、御回答をいただく、調査の問題はそれだけではないかと思いますが、それは大体いつぐらいまでにはっきり責任を持って調査、御回答いただけるのか、このことをせびお伺いしておきたいと思います。
  178. 谷垣禎一

    谷垣委員長 菅野委員に申し上げます。先ほど申し上げましたように、後日の理事会で検討させていただきます。
  179. 菅野悦子

    ○菅野委員 はっきり言いまして、私がさようお聞きした問題は理事会とか議事録の精査とか関係ない問題でございまして、大臣自身の問題ですから、御本人が先ほどの話でお金の管理はしっかりしていると、まあ事務所の秘書さんの問題は別として、お金の方はしっかり管理しているというふうに言っていたわけですから、実際その問題だけ、きょう一点だけ私はお聞きしているわけなんですね。それに対してまだ明確な答弁もらえなくて結局委員会の方へ全部調査云々ということで避けておられるということなんですけれども、そんなにこの問題で御回答いただけないというのは私、本当によくわからないのですね。ですから、その点でどうおのか。委員会理事会以外では全然大臣は答える気はないということなんですか、そのことをもう一度お伺いいたします。それだけ精査しないとわからないということなんですか。はっきりしているのでしょう、お金の管理の方は。
  180. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 さっき委員長理事会、理事懇談会でお話し合いをされるとおっしゃっていることですから、私が今ここで委員の質問にお答えするわけにはまいりません。
  181. 菅野悦子

    ○菅野委員 はっきり言いまして、そういう点では、きょうの新たに出てきた問題も含めて大臣の疑惑は私どもますます深まるばかりでございます。ですから、本委員会におきましても引き続き、いろいろと調査をお願いした問題で全くまた御回答いただいておりませんから、今後の委員会でも私はその問題で時間をいただいて法案が出てきてもやりとりをせざるを得ないということをぜひ委員長の方も御了解いただきたいということ、それから私どもの方といたしましては、先ほども言いましたけれども、証人喚問の提案、これをぜひ具体的に前向きに御検討いただきたいということ、それから予算委員会でも引き続きこの問題を私どもは追求していくということを表明いたしまして、時間が参りましたので終わります。
  182. 谷垣禎一

    谷垣委員長 次に、中井洽君。
  183. 中井洽

    ○中井委員 最初に、通信放送衛星機構法の一部を改正する法律案についてお尋ねをいたします。  平成二年度、三年度と新たな業務が追加をされて、質疑をいたしました。そのときに、これは名前を変えたらどうだということを私申し上げました。今回、名前を変えることを含めての御提案でありますが、「衛星」という言葉が取られております。第三次の臨時行政改革推進審議会で、答申の中に、この通信・放送衛星機構を通信・放送機構という形にかえて、衛星の管制体制、この業務の方を平成七年には独立をさす、民営化をさす、こういったことが打ち出されていると私どもは承知をいたしております。今回のこの法の名称改正を含めまして、そういう方向へ向かっての第一歩、このように承知してよろしいですか。
  184. 白井太

    ○白井(太)政府委員 中井先生のお言葉ではございますが、今回、機構の名称を変えたりあるいは目的に関する規定を一部改正したりということをお願いしておりますのは、機構の管制業務の民間法人化とは実は全く関係がないわけでございまして、民間法人化は、一口に申し上げますと昭和五十八年の臨調の答申で指摘された宿題を果たさなければならないということでありますが、民間法人化をする具体的な方策というのはいろいろあると考えておりまして、これは一口に申し上げます、と、衛星の管制について機構がどのような役割をこれから持っていくことになるかということとの関連で民間法人化の仕方というのも変わってこようかと思いますので、この具体的な方策については少し時間をかけて考えていきたいと思っております。したがいまして、今回御提案申し上げている研究開発業務を加えるということは、民間法人化とは直接は関係がないということを御理解いただきたいと思います。
  185. 中井洽

    ○中井委員 衛星という名前を取られたものですから、大体そういう方向へ動かれているのかな、こういうことを単純にお尋ねをしたわけであります。平成七年に民営化をしていく、このことについては承知をされておる、そして検討していく。間違いありませんね。
  186. 白井太

    ○白井(太)政府委員 お言葉にこだわるわけではございませんが、私どももあえて民営化という言葉を実は使っていないわけでございます。これは臨調の答申でも「民間法人化」という言葉で表現をされておりまして、民間法人化という場合は、もちろん民営化というのも含まれるかと思いますけれども、必ずしも民営化ということに限らず、一口に申し上げますと管制業務について特に資金面で政府への依存というのをなくすということは、これはしないとまずいと思いますけれども、そういうことをいたしますれば民間法人化のやり方というのはいろいろあるのではないかと思っておりまして、そういういろいろあるやり方の中でどの道を選択するかということは、平成七年度くらいまでいろいろなことを勘案してそれまでに具体的なやり方を決めていきたいというのが私どもの考えでございます。
  187. 中井洽

    ○中井委員 これで三年連続でこの機構に業務の追加があるわけでありますが、これからも毎年こういう形で放送・通信分野に役立つということでできる限りこの機構の業務というのを追加をしていこう、こういうお考えにお立ちですか。
  188. 白井太

    ○白井(太)政府委員 機構に関しまして今回のように本来業務として業務の追加をお願いするとか、あるいは特例業務として業務の追加を行うとか、今までいろいろやらしていただいておったことは先生のお話のとおりでありますが、来年度以降どのようにするかについて、もちろん今どうするということが決まっているわけではございません。ただ、今回のように本来業務が追加になったということは、率直に申し上げまして情報通信分野で機構に果たしてもらわなければならない役割というのがふえたということでありますので、そういう見方で機構をこれから見ていくということになろうかと思います。  したがいまして、直接来年度以降どのようにするかということを今考えているわけではありませんが、やはり政策支援を特にする場合の受け皿というのが、実は私どもの認可法人としてはこの機構一つしかないものですから、もし政策支援をするという必要が出てまいりますと、どうしても機構に受け皿になってもらわざるを得ないというような面もございます。  それからもう一つは、そうした受け皿として支援業務を機構に引き受けてもらいますと、機構としてもいろいろ仕事の範囲が広がるということもありまして、多少間接的ではありますが、仕事の範囲が広がればいろいろ仕事について御相談をしたり打ち合わせをしたりするというようなところも多くなってまいりまして、平たい言葉で申し上げますと、機構の足腰を鍛えるのにも間接的には役に立つのではないかというようなことも考えておるわけでございます。
  189. 中井洽

    ○中井委員 今回の業務の追加で人数がふえるのは何人で、トータル機構としては何人の人員組織になるのですか。
  190. 白井太

    ○白井(太)政府委員 一般に認可法人の予算につきましては、実はこれから財政当局といろいろ相談をして決めていくということになりますが、私ども、今回法律案を通していただきました場合には、こちらの方面に専属で当たるような担当の職員というのを少なくともぜひ五、六名はふやしてほしいということを考えておりまして、その方向で行いたいと思います。ただ、衛星機構の定員といたしますと、衛星管制の仕事の比重というのが非常に大きいものですから、そのようなことをいたしましても、もし数字が間違っておれば後で訂正をさせていただきますが、トータルで百十名前後になるのではないかと思っております。
  191. 中井洽

    ○中井委員 今回のこの法律を読ませていただきますと、要は、追加業務をやって高度三次元画像情報の通信技術の向上のための研究開発をやらす、この研究開発をやらすために基盤整備をする会社をつくってそこへ出資をする、援助をする、そしてその研究に必要な人を海外からも呼んできて国際交流でやる、いろいろ難しいことが書いてあります。要は、この五年間は高度三次元画像情報のことをやるのだ、このための法律改正だ、こういう理解を私どもはいたしておりますが、それでいいですか。
  192. 白井太

    ○白井(太)政府委員 このたび機構の業務として追加をさせていただきたいと思っております三つの種類の研究活動といいますか、これはもちろん相互に関連し合って一体的といいますか総合的に進めたいものでありますが、中身は、一応それぞれに内容が異なっておりまして、民間では直接実施が期待できないような研究開発を機構みずからが行うというのが一つ。それから、通信・放送技術の研究開発のためにみんなで使う、つまり共用に供するような研究開発施設で、あえて言えば、民間ではそうした施設をなかなか整備しにくいようなものについて、機構が出資をした会社、原則的には民間を含めた第三セクターのようなものですが、そういうところが施設を整備して、そのような施設を多くの人に使ってもらうというようなこと。これは結果的には、機構の仕事として見た場合には、いわば出資をするというのが機構の仕事になるわけでございますが、これは必ずしも機構みずからが研究開発を行うというような、民間では実施が期待されないような研究というよりも、もうちょっと範囲が広がりまして、多くの方が研究に携わるのだけれども、そのためにいろいろ施設が必要なのにその施設が民間ではなかなか整備しにくいというようなものを整備するというのがねらいであります。それから三つ目は、海外の研究者との交流を深めるというようなものを研究活動の内容として挙げさせていただいているわけでございます。     〔委員長退席、松浦(昭)委員長代理着席〕
  193. 中井洽

    ○中井委員 私ども別に反対しておるわけじゃありません。大いに結構だと思っておりますけれども、お聞きをしたいのは、要するに民間ではなかなか、直接投資してすぐに製品化をして回収できるというものじゃない、しかし、どうしてもやりたいということについては金を出していく、それから、それを研究する施設もつくっていく、こういうことだろうと思うのですね。この五年間でということは、五年間で高度三次元画像情報の研究が大体実用化なり、もう民間でおやりくださいというところまでいける見通しがあるのか、これが一つ。それからもう一つは、この五年間にほかのものも研究の対象としていくのか、五年間は一応めどとしてこれをやっていくのだ、こういうことなのかどちらか、この二つをお尋ねします。
  194. 白井太

    ○白井(太)政府委員 先ほどのお答えがちょっと漏れたように思いました。法律案を通していただきましたら、平成四年度からは一応五年をめどにまずは三次元通信の研究開発をテーマとして取り上げたらと思っておりますが、実はこれだけかということになりますと、事情が許しますれば、特に予算事情等でありますけれども、いろいろと研究開発をしていく必要があると言われているテーマというのはいろいろありますので、これを加えるということももちろんあり得ると思っております。  それから、五年間の成果としてどの程度のものを期待するのかということでありますが、五年間ではこの分野の研究というのはもちろん実用化というところまでは到底いかないようでありまして、三次元通信と言ってもいろいろな方式があり得るので、特に通信としてこのホログラフィー技術を使っていこうというようなことになった場合には、どういうような技術の組み合わせが一番ふさわしいのか、あえて言えば、そういうような技術の組み合わせの方式等について見通しが得られればいいのではないかというようなことを専門の者は言っておりまして、恐らく五年間という期間ではその程度のもので、とても実用というところまでは無理ではないかと思っております。
  195. 中井洽

    ○中井委員 特定研究の基盤施設の整備会社というのをつくっていただくわけでしょうが、多分NTTやら郵政関係の研究に出資をなさるのだと思うのですが、この出資に地方自治体が入っておる。地方自治体がこんなところまで出資しなければいけないのか。地方自治体が出資しなければこれはやれないのか。見せていただいて、ふとこう思うのですね。ここらはどうですか。
  196. 白井太

    ○白井(太)政府委員 予算案でお願いしております施設の規模としては、単年度だけについて見ますと、一応一つ施設で例えば五億程度を産投会計から機構を経由して出資をするということを前提にして考えますと、五億のほかに一応資本金として二億五千万を別のところから出していただく、その中には地方公共団体も含まれ得る。そして、ただいま申し上げました資本金と同じ額を限度として借り入れをするということを考えますと、単年度では、五億の三倍になりまして十五億が、ある設備の整備のために支出が一応可能になるということになるわけですが、そのような施設は単年度では仕上がらないという場合が多いのではないかと思います、まあ大きさにもよりますけれども。そうなりますと、今のところでは、高度画像研究施設については、私どもとしては二年間くらいかけて整備をしたいと思っております。したがいまして、大ざっぱに言えば、数十億というような言い方が適切じゃないかと思いますけれども、その程度の規模の施設を高度画像研究の施設としては考えたいと思っております。  それから、広帯域の通信についての研究施設につきましては、その程度かあるいはそれより多少安く上がるかというようなことで考えておりますので、おおよその規模としては一応その辺を目安にして計画を進めたいと思っております。
  197. 中井洽

    ○中井委員 地方公共団体のことを答えてくれませんか。
  198. 白井太

    ○白井(太)政府委員 またお答えが漏れまして申しわけございませんでした。  地方公共団体から出資をしてもらうというのは絶対の要件ではございません。ございませんが、地方公共団体からの出資がありますといわゆる無利子融資というのが受けられることになるものですから、どの程度の出資がなされるかはその施設によって違うと思いますけれども、恐らくその地域としては地方公共団体も何がしか出資をして、それを呼び水にして無利子融資を受けるというようなことを考える向きが多いのではないかと思っております。
  199. 中井洽

    ○中井委員 それでは、CATV法案の方に入ります。  昨年、この衛星機構に関連する法律で基盤法をやりまして、この機構を通じて人材センターという構想がございます。この人材センター、どういう形で認定というのですか、認可というのですか、進んでおるのか、状況をお聞かせをいただきます。どのくらい申し込みがあって、幾つぐらい本年度認定を出そうとしておるのか、お尋ねをします。     〔松浦(昭)委員長代理退席、委員長着席〕
  200. 白井太

    ○白井(太)政府委員 昨年、法律を通していただきました基盤法に基づきます人材研修センターでありますが、つい先日、一件認定をさせていただきまして、北海道でありますが、人材研修センターができ上がることになりました。私どもが当初考えておりました以上にやはり研修センターをつくるというのはなかなか大変な仕事のようでありまして、考えてみますと、建物をつくるということだけではなくて、ある程度その研修生が継続的にこの研修に来てくれるという見込みも立たないといけないとか、あるいは講師をどのようにするとか、あるいは研修内容をどのようなものとするかというようなことで、決めなければならないことが非常に多いようであります。そういうこともありまして今年度の場合はこの北海道の研修センターが一カ所ということで終わるのではないかと思っておりますが、しかしそれでも第一号についてめどが立ったというのは、大変私どもとしては期待をしておるところでございます。
  201. 中井洽

    ○中井委員 今回の改正で、初年度は二カ所、十年間で十カ所から二十カ所、こういうお話でございましたが、今の研修センターのお話にもありましたように、この建物を建ててこれだけの設備をつくり、人を集める、また同時にそれを利用いただく、そして採算をとる、大変難しいことかと思います。これは当然、この人材センターと放送番組充実事業のためのセンター、こういったものが重なる、あるいは同一の場所で、同じこの建物の中で別々に業務としておやりになる、これは当然頭の中におありだ、逆に重なった方が効率よく、能率よくやれる、私どもはそのように考えますが、そういう形での認可あるいは希望の受け付けをなさるものと考えてよろいしいですか。
  202. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のような点も、趣旨も踏まえまして、平成四年度におきます本事業に関する予算措置は、施設整備の効率化を図るために電気通信基盤充実臨時措置法に基づく人材研修事業と併設を要件として認められております。
  203. 中井洽

    ○中井委員 済みません、ちょっと聞き取りにくかったものですから、もう一度私の言ったような形で、重なって大丈夫だと、重なった方がいいんだ、こういうことは間違いないということについてのお答えをいただきます。
  204. 小野沢知之

    小野沢政府委員 両事業の性質とかスキームは違いますが、先生指摘のような趣旨の点では同一でございますので併設する、こういうことでございます。
  205. 中井洽

    ○中井委員 失礼しました。  これらの事業を行うセンターでありますが、私は、採算がどうだろうということを大変心配いたしております。CATVも、都市型CATVの会社を含めまして、おいおいとふえてはいるわけでありますが、御議論のありましたように、大半が赤字であります。その赤字解消のために、人を育てなければいかぬ、番組もいいものをつくっていかなければならぬ、これはもう間違いのないことであります。しかし、これらのものをつくっていく場合に、民間企業等が出資する、金を出すというのは、多分これはでATVの会社も加わりなさい、こういう話になってくるのではないかと思います。そうしますと、かなり赤字で苦しんでおる中で、さらにこういったものに投資をしていかなければならない、それが赤字になるということになったら、余計CATV経営というものを圧迫するのではないか、こんなことも実は心配をいたしますが、これらの採算性ということについて郵政省はどのようにお考えになるか。
  206. 小野沢知之

    小野沢政府委員 大蔵省との予算編成上の議論におきましても、先生の御指摘の採算性の問題がかなり大きなウエートを占めまして、この辺ぎっしり詰め合った結果認められたわけでございますので、そういった過程を通じまして一定の見通しはつけたということでございます。また、ケーブルテレビ事業界におきましては、この何十年におきますいろいろな行政の施策の中で、今度ソフト面にウエートを置いておりますけれども、これは初めて社会的に認知される大きな制度ができたということでみんな熱心に取り組んでおりますので、私どもとしても真剣に取り組んで、先生の御懸念のようなことがないように頑張りたいと思います。
  207. 中井洽

    ○中井委員 この法律を見ましても、かなり手続的に煩瑣であります。また同時に、無利子融資を受けるために地方公共団体を入れて第三セクターみたいな形でということになる、この手続がまた、市町村でとるのは議会等ありまして大変難しいことであります。  CATVというのはどんどんふえてくるけれども、また、必要とするものであるけれども、それぞれこの経営ということに関しては非常に難しい状況、しかし、これをやらなかったら情報というものが入ってこないということで、地方においても大変熱心にお取り組みをいただいておる。しかし、それをやるについて大変な赤字を覚悟してやらなければならない、こういうジレンマがあるわけであります。同時に、景気はこういう状況でありますから、地方の広告収入等もよそより入ってこない。また、私もテレビを見ておりますが、一台高いものですから、なかなかそう加入者もふえない、こういう状況にあります。  そういう状況CATVを助けながら伸ばしていこうということは大変結構なことでありますが、できる限り本当にお金をその人らが出さずに助ける、こういったことを重点的に考えるべきだ。予算編成やら法律の枠組みやら、いろいろありますから、難しいのはわかります。しかし、手続等を簡単にするとか、あるいはもう少し設備投資の面で何か対応策をとる、そういった形の直接育てていくといったことを考えるべきじゃないか。大変複雑で、また余計お金が要って、そしてまたその手続が非常に高い、時間がかかる。このことは逆にやるべきことじゃない。お役所というのは手続が多ければ多い方がいいのかもしれませんけれども、民間人から見たら手続はない方がもうかるのでありますし、佐川急便さんなんか、失礼だけれども、何でもうかるかといったら法律を無視しておるからもうかるのでありまして、そんなことを含めてもっと考えるべきじゃないか、このことを思います。  そういう意味で、このセンター、人材センターも含めて運用のあり方、民間企業といういわゆるCATVの人たちも参加をしてもらうんだろうと思いますが、その人たちに新たな財政負担といったものにならないように御努力をいただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。
  208. 白井太

    ○白井(太)政府委員 大臣のお答えの前に、若干事務的にお答えをさせていただきたいと思いますが、支援措置についてできるだけ利用しやすいように、また、一般の方々あるいは地元の方々の負担をできるだけ少くするようにというのはもう先生のおっしゃるとおりでございます。そういう方向で私どもも努力していかなければいかぬと思いますが、私どもの関係では、先ほどもちょっと出ております無利子融資というのが大変多く利用されておりまして、おそらく政府全体でも郵政省受け持ち分はかなり比率が高いのではないかと思っております。こういうものができるだけ簡単に利用できるように私どもも十分注意してやっていかなければいかぬと思っております。  また逆に、実は私どもそれぞれ地域の方などとお話をする機会がありますときには、新しい例えばCATVなどを市町村等が入って行うような場合も、むしろできるだけけちけち精神で経営に当初は当たってほしい。初めから余り派手なことをやりますと、どうしても後になって経営が苦しくなるものですから、むしろけちけち精神で始めるということをぜひお願いしたいということをお願いをしておりまして、できるだけ政府支援を受けた形での事業というのが余り赤字が続かないようなことをいろいろな角度から考えていかなければならないというふうに思っております。
  209. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 今局長答弁いたしましたことでほぼ御理解いただけると思うのですが、民間の人たちの負担をいかに軽くするかといったら、やはり金融上の支援と税制上の対策でまずは当面やることだなという感じがするわけですね。きめの細かな施策というのは、累積していきながら、積み重ねていきながら、先生方の御指導をいただいて、より効果的に、よりまた普及度も広く深く行っていただくような環境づくりをしていくということではないかという感じがいたしております。いずれにいたしましても、この有線テレビジョン放送番組充実事業というのを充実させながら、円滑に実施していくということで、これからもひとつ御指導願いたいと思っております。
  210. 中井洽

    ○中井委員 お答えでもう終わりにしたいと思いますが、ぜひ記憶の隅にでもとどめていただきたいのは、郵政省というのは本当にまじめで、しかもこの間の委員会でも申し上げましたけれども、お金を扱っている現業を持っていらっしゃる、したがって、非常に細かく注意をなさる。そのことがこういう許認可やらいろいろなことに関してもありまして、非常に書類提出等を含めて細か過ぎる。時間がかかる。これは大変な、やはり財政的な負担も生み出す原因になっておる。電波というものを使う大事なことですから、厳密にやっていただく、これはもう当然のことであります。しかし、民間の人が競争でやるんだ、そしてねらっていいのから早くできるんだ、そのことがやはり経営を健全化する基盤にもある、こんなことも御理解をいただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
  211. 谷垣禎一

    谷垣委員長 次に、真鍋光広君。
  212. 真鍋光広

    ○真鍋委員 本日はたっぷりお時間をちょうだいできるようでございますので、少し私自身の頭の整理もできるように御質問をさせていただきますので、ひとつおつき合いをいただきたい、こう思います。  初めに、通信放送衛星機構法の一部を改正する法律案につきまして御質問申し上げたいわけでございますが、改正の第一点は、機構の名称を通信・放送機構と改めるということでございます。第二点は、機構に研究開発に関する業務を追加して行わせる、こういうことであろうかと思うわけでございます。そこで、初めに名称の変更についてお尋ねを申し上げたいと思うわけでございます。  思い起こせば、昭和五十四年の八月にこの衛星機構ができて最初の本来業務というものが衛星管制業務ということでございましたし、そしてまた、これに加わって六十三年の十月に衛星の所有業務というものが加わってまいったわけでございます。まず管制業務につきましては、現在は通信衛星のCS−3a、CSI3bということでございます。さらに、放送衛星のBS−3a、BS−3b、この四機を管制しておられるということでございまして、いわば年々ふえておるという状況でございます。また、衛星所有業務の方は、産投会計の出資でハイビジョン衛星放送用としてトランスポンダー一本を所有しておられて、現在、昨年の十一月から一日八時間の試験放送をやっておる、こういうことだそうでございまして、そういった意味合いでは通信・放送衛星機構それ自体として次第に実体をさらに充実さしておる、こういうことでございまして、御同慶の至りであるわけでございます。  これに順次政策支援措置が加わってまいったということでございまして、私ども平成二年二月に当選をさしていただいた人間におきましては、最初からこの逓信委員会に所属をさしていだいておりますけれども、そこから順次この衛星機構に業務がつけ加わってきた、最初から名称の関係で何となく違和感があるな、こんな感じで受けとめておったわけでございます。  まず平成二年の三月に難視聴地域対策のための助成金交付業務というものが加わり、同年九月にはいわゆる円滑化法に基づきまして、通信・放送分野でのベンチャービジネスの支援のための特定通信・放送開発事業にかかわる業務、さらにまた昨年の六月には、基盤充実法で電気通信分野の基盤施設の整備、人材研修のための電気通信技術事業というものが加わりました。さらに、このたびの法改正で、今審議しております有線テレビジョン放送番組充実法案におきましてこの放送番組充実事業というものが加わるわけでございますし、さらにまた、この法案での研究開発業務というものが加わっていくということであるわけでございます。  そういった意味では、私どもから見ておって、通信・放送衛星機構というのに、いろいろ衛星とかかわりがあるものもあるけれども、ないものも多いというものが、それも雑多と言っては失礼ですが、厳密に言えばかなり雑多なものが入っておるわけでございます。そういった意味合いでは、いずれこのまま置いておくとすれば名称変更、衛星ということはとにかく少なくとも取り除かなきゃいかぬじゃないか、このように思っておうたわけでございまして、まことに時宜を得たものだと思うわけでございます。その意味で、これを受けたのは結局昨年暮れの行政改革の実施方針に、「通信・放送の基盤整備、高度化等に向けた政策支援業務役割の増大」、次々に加わってきた、「に対応し、通信・放送衛星機構の名称及び目的を整序」するということでこれを受けたわけであるわけでございます。  そこで、私は最初から懸念しておったのは、どんどんつけ加えていくけれども、果たしてこの政策支援業務、なかなか難しいのですね、出資であるとか債務保証とか、いかにもワークしにくい。食べ物でいったら消化のしにくいものである。しかも、まだまだ海のものとも山のものともわかりません。いわばたくさんあったら消化しにくいものでもおれこそはというものは出てくるけれども、だれも消化したものがないところに入っていくわけですから、なかなか希望者があらわれにくいのではないか。それだけに業務を進めていく上で大変だろうな、そのように考えておったわけでございますけれども、それぞれの実績はどうなっておるか、御努力のほどを、さらにまた、今後の展望というものはどうなっておるか、既に述べられたところであれば簡単で結構でございますけれども、お答えできる範囲内でお答えいただければありがたいと思います。
  213. 白井太

    ○白井(太)政府委員 確かに幾つかの支援業務を特例措置あるいは特例業務というような形で加えさせていただいてきたわけでありますが、これは一つには、そのために新たな別の法人をつくればよいのではないかという御意見も当然あり得るわけであります。やはり昨今の行財政改革といいますか、あるいはできるだけ効率的な行財政の執行というような見地から既存の法人を受け皿として使わざるを得なかったということから、一つの法人に幾つかの異なる業務が加わったということであるわけであります。  ところで、それぞれの特例業務あるいは臨時的な業務についての実績を簡単に申し上げさせていただきたいと思います。  まず最初の衛星放送の受信対策基金を利用しての衛星放送受信設備の設置経費の一部助成についてであります。またもし必要とあらば、詳しいことは放送行政局の方からお答えいただいてもと思いますが、一応実績といたしましては、平成二年度については三百三十五世帯、それから平成三年度、これはまだ年度途中でありますが千六百七十九世帯が助成の対象となっておりまして、この中には申請中のものも含んでおりますが、助成の対象として挙げられておりまして、そのほかに千数百世帯が新たに助成を受けることが本年度中に見込まれるということのようであります。  それからその次に、一昨年法律を通していただきましたいわゆる円滑化法の実施状況であります。まず支援を受ける事業として三種類の事業が挙がっておりましたが、一つ事業であります通信・放送新規事業については一件が認定をされておりまして、機構から出資と債務保証を行ったところであります。それから、地方の通信・放送開発事業につきましては、平成二年度で九件、それから平成三年度、これも年度途中でありますが十六件、今までのところ合計で二十五件について利子補給を実施いたしております。  それから、昨年法律を通していただきましたいわゆる基盤法の実施状況でありますが、基盤法につきましては御案内のように、一つ施設整備事業、もう一つは人材研修事業でありますが、施設整備事業につきましてはNTTも含めまして八つの電気通信事業者が対象事業者として認定をされております。それから人材研修事業につきましては、先ほどの御答弁と重なるわけでありますが、本年二月に北海道の人材研修事業を行う第三セクターを対象事業者として認定したところでございます。この人材研修センターにつきましては四月早々にも会社が設立されまして、一年くらいの期間をかけて建物の建築等を行い、平成五年度の初めには研修センターとして発足をさせたいという計画のようでございます。
  214. 真鍋光広

    ○真鍋委員 今ので大体わかったわけでございますが、あと一歩だけ進めてお伺いしたいと思います。結局、難視聴の関係だと十万とか十数万難視聴の対象の人たちがおられるという中で、こうやって計算すると今の実績で約二千世帯、恐らく本年度中に三千幾つになるだろう、こういうお話でございました。これはもちろん地方公共団体も分担しなければいかぬ、本人も分担しなければいかぬ、こういうことですからそう簡単にいくとは思いませんが、食いつきというのですか、当初予想したことと今の進み具合というものとどのように考えておられるか、これが一つ。  もう一つは、例の円滑化法の中の地域通信・放送開発事業につきましては二十五件利子補給ということでございました。まことに結構なことだと思うのですが、これなんかについても当初予想したこととのかかわりで順調にいっておるのか、あるいは世の中の方がこういうものに目覚めてきておるのか、そこらあたりについての感触で結構ですから教えていただければと思います。
  215. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答え申し上げます。  衛星放送受信対策基金についてでございますが、正直申し上げまして、昨年の秋調べてみましたところその趣旨が十分に生かされて普及しているとは考えられないということに気づきまして、昨年の秋以降、やはりキーポイントになりますのは市町村住民に対する制度の周知徹底が必要だということで、NHKとか通信・放送衛星機構とよく連携をとりまして、それ以降、全市町村に対するアンケート調査、郵便局、農協でのポスターの掲示など制度の周知活動を行いました結果、先ほど白井局長が申し上げましたようにピッチが上がってきた、こういうことでございます。
  216. 白井太

    ○白井(太)政府委員 いわゆる円滑化法の実施状況につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、事業の対象として三つの種類の事業を予定しておりました。通信・放送の新規事業としては先ほど申し上げたように今日まで認定したのは一件でございまして、二十五件は地域通信・放送開発事業という種類の事業でありまして、こちらの方はかなり順調に利用が進んでいるというように申し上げて差し支えないかと思います。  三つ目の類型の通信・放送共同開発事業というのは、まだ事業者としては認定を受けるものが出てきておりませんので、この辺については、まあ先生のお言葉をかりますと、当初の見込みのようにはいっていないということを申し上げざるを得ないと思っておりますが、この種のものについては私どもの周知といいますか、こういうようなものが利用できますよというお知らせ活動のようなものが不足しているというような面もあるようにも思うわけでありまして、私どもとしては皆さんにお役に立ち得るような制度等についてはできるだけPRをするというか、そういうものを有効に使っているようなところの事例をいろいろな機会に御紹介するというような努力をいたしたいと考えております。
  217. 真鍋光広

    ○真鍋委員 御苦労さまでございますが、さらなる御努力を要請したいと思うわけでございます。  そこで、こういった業務を担っております通信・放送衛星機構でございますけれども、先ほどの御答弁では、この法律が通れば五、六人ふえて全体で百十人ぐらいになるんじゃないか、こんな御答弁であったように思うわけでございますけれども、その衛星の完成あるいは所有に係る業務以外のいわゆる政策支援業務に係る職員というのはこのうちどのくらいの数になるのでございましょうか。
  218. 白井太

    ○白井(太)政府委員 役員を除きまして一般の職員で十四名がいわゆる管制とは直接関係のない仕事仕事というよりも政策支援業務に直接携わっておる職員が今のところ十四名ということになるようでございます。
  219. 真鍋光広

    ○真鍋委員 それは五、六人足した上ですか、これに足し算になるのですか。
  220. 白井太

    ○白井(太)政府委員 これは足してでございます。
  221. 真鍋光広

    ○真鍋委員 その次に、今お話ししたことともかかわりがあるのですけれども、昨年の暮れの、要するに行革の方の、行政改革の実施方針という閣議決定の中で通信・放送衛星機構の主たる業務内容をなしておる管制業務について、「既往方針を踏まえ、平成七年度を目途として経営の自立化(民間法人化)の実現のための具体的方策について結論を得ることとしことなっておるわけでございますが、ここで言う「既往方針を踏まえこということ、それから「平成七年度を目途」とするという「平成七年」の意味合い、それから「民間法人化」の意味合い、これについてお教えいただきたいと思います。
  222. 白井太

    ○白井(太)政府委員 通信・放送衛星機構につきましては、五十四年にこの機構ができましてから昭和五十八年に臨調の答申で機構について民間法人化をすべきであるということが答申として出され、またそれを受けて政府としては、民間法人化をするということが政府の方針として決められてきて今日に至っておるということでありまして、あえて申し上げますとまあそれが既往の方針ということになるわけであります。  それで、ちょっと余談になりますが、機構は昭和五十四年にできたわけでありますが、実際の衛星の管制業務が開始されたのは実はこの五十八年の臨調答申の出た後でありまして、臨調答申は機構の業務としては管制業務をもちろん念頭に置いておったわけでありまして、今日のようないろいろ政策支援業務というのは当時はもちろんありませんでしたし、臨調としてもそういうものは念頭には置いていなかったのではないかと思います。  ところで、五十八年に臨調の答申が出まして今日までもうかなりの年月が実はたっておるわけでありますが、この衛星の管制というものについては直ちに民間法人化をするということがいろいろ難しいというようなこともありまして今日に至ってはおるわけでありますが、しかし、少なくとも衛星の管制についてその自立化を図るという政府の方針はもう既に決まった方針であるわけでありますので、私どもとしてはいずれは民間法人化をしなきゃいかぬと思っております。  ただ、それもすぐにやるというのはなかなか難しいわけでありまして、と申しますのは、衛星につきましては、機構が管制している衛星というのは、先ほど先生もまさにおっしゃいましたが、通信衛星で二個、放送衛星で二個、合計四つの衛星の管制を現在行っておるわけであります。その衛星の管制をしている途中で管制の主体が変わるというようなことはもちろん簡単にできる話ではございませんし、また、民間法人化というような形ででも何か変更を加えるというのはいろいろやりにくい点があるわけであります。特にこの衛星の管制というのは、衛星の利用者の方が同意するといいますか、利用者の方々の考え方によってだれが管制を行うかというのが決まってくるということも言えるわけであります。そういうことも考えますと、今直ちにどういう形で民間法人化をするかということを決めるわけにはまいりませんので、平成七年度を目途として具体的な方策を決めていこうということにしたわけであります。と申しますのは、平成七年度ころになりますと、次の世代の放送衛星についてもどういう方が利用者になるのかということも大体固まるのではないか、そうすれば利用者の方々ともそのようなやり方について御相談もできるだろう、そうすれば民間法人化のやり方についての案も固めることができるというようなことが頭にありまして平成七年度ということを目途にすることにしているわけであります。  ところで、それではその民間法人化というものの具体的な中身は何かということでありますけれども、これは、私どもといたしましては、民間法人化というのは必ずしも民営化と言われるような、もっと端的に申し上げますと株式会社化というようなことまで意味するというふうには思っておりませんで、何よりも資金的に政府に依存しない、国に依存しないということが民間法人化の最低の要件であろう、つまり自立化をするということでありますが、自立化をするということが民間法人化の具体的な内容ではないかと思っているわけでありまして、そのような自立化の方策としては、もちろん民営化もそのうちの一つではありましょうが、いろいろなやり方というのがあろうかと思いますので、そのやり方のうちのどれを選ぶかということについては、これからの衛星の利用というものがどのようになっていくかとか、あるいは衛星をどのような方がお使いになるのかというようなことも頭に入れて、そういう方々の御意見も伺いながら具体的な民間法人化の方策を決めていくことにしたいというふうに考えているところでございます。
  223. 真鍋光広

    ○真鍋委員 民間法人化というのは資金的に国に依存をしないということがいわばエキスであるというふうに承ったわけでございます。そしてまた、管制業務ができる前にもう既に民間法人化の行革審の答申は出ていたのだということでございますから、平成二年から累次加わってきた政策支援業務というものは民間法人化をしてもなおこの機構の中に残るということを当初から頭に置いてやっておったことだろうと思うのですが、それはどうでしょうか。
  224. 白井太

    ○白井(太)政府委員 先生のおっしゃるとおりでございまして、逆の言い方をさせていただきますと、特に金融関連の業務ついて政策支援を行うという場合には、先ほど来お話に出ておりますように、認可法人とか特殊法人を受け皿としてそうした支援業務を行わざるを得ないわけでありますが、そのような法人が私どもの関係ではこの機構しかないということから、この機構一つを頼りにいたしましていろいろな支援業務を追加してきたということになるわけでございます。したがいまして、逆の言い方をいたしますと、この機構が本当に民間法人あるいは株式会社などであった場合にはそうした支援業務の受け皿としては成り立たないわけでありまして、名称が変わるとかいうことは仮にあり得るにいたしましても、少なくとも政策支援の受け皿となるだけの法人であってもらわないと今までいろいろお願いしてきた支援業務の土台が崩れてしまうということになりますので、いずれにしてもその部分だけはどのようなことがあろうともきちっと残していただかないといけないということになるわけでございます。
  225. 真鍋光広

    ○真鍋委員 今のお話を伺いまして安心をいたしましたけれども、確かに大変大きな問題だと思うのですね。例えばその衛星機構に国が三十億か出資しておる、これを完全に引き揚げてしまったりいたしましたら、例えば助成金交付業務などというものが、果たして認可法人で、民間もどんどん入っておるこういう法人に、国の、国のといいますか、そういったことを、補助金的なものを出す。務を委託することができるかどうか、根本にかかわってくると思うのです。それもあらかじめ民間法人化するという方針があった上での加わった業務ですから、そこはひとつ慎重に御検討賜りまして、せっかくPRよろしきを得て呱々の声を上げて順調に育っておるわけですから、どうか大いに育てるために、土台の揺らぐことのないようにひとつ頑張っていただきたい、このように御要望を申し上げて、次に移りたいと思います。  そこで次の、この法案目的でございます研究開発に関する業務に関して御質問したいわけでございます。  通信・放送分野の技術の向上を図るため、研究開発に関する業務を機構に行わせるということでございますが、まず初めに通信・放送分野での研究開発、技術開発に関して国が一体どのような役割を果たすべきか。自由主義経済でございますから、当然民間活力というもので、企業の力ですべての分野にわたって経済活動が伸びていくということでございますが、そこの中で国が果たすべき役割、これはしっかり詰めて考えていかないとごっちゃになってはおかしなことになる、こう思うわけでございまして、御質問をこれからさせていただきたいと思うわけでございます。  郵政大臣の諮問機関でございます電気通信技術審議会が、二十一世紀を展望した情報通信技術開発に関する基本方針について大臣の諮問に答えまして、去年六月二十四日に答申を出しております。これによりますれば、「情報通信網は、現在のISDNから九〇年代の広帯域ISDNを経て、二十一世紀には知的処理と情報通信が高度に融合した総合知的通信網(ユニバーサル・アンド・インテリジェント・コミュニケーション・ネットワーク)へと発展するものと予測される。このような高度情報通信網は産業・経済の基盤となるだけでなく、豊かでゆとりのある生活の実現、高齢化・高福祉社会への対応、地球環境問題の解決や災害対策による生活の安全性の確保に不可欠なものとなり、国民生活に真に溶け込んだ存在となることが期待されている。」こう記されておるわけでございます。恐らくは、この答申に基づいてこのたびの研究開発に係る三つの大変大切な業務が追加されることを御提案になったと思うわけでございますが、この答申が目指すように、国民生活に真に溶け込んだ高度情報通信網というものを構築していただきたいというふうに切望をいたすわけでございます。  人生長くなりまして、お年寄りはテレビを見るのが楽しみでございます。あるいは孫や子供と電話で通話をする、友達と通話する、腰は折れて歩けぬようになったけれどもそうなんだ。すべて我々が目指します生活大国ということと高度情報通信網というものはまことに密接に関連をいたしておるわけでございまして、そういう観点におきましてこの国民生活に真に溶け込んだ高度情報通信網というものをしっかりと足取り確かに構築するのだということを笹川政務次官、気宇壮大なお考えをひとつお示しいただいて、我々を勇気づけていただきたい、こう思うわけですが、いかがでしょうか。
  226. 笹川堯

    ○笹川政府委員 真鍋先生にお答えをいたします。  二十一世紀の高度情報社会は、多様なメディアが経済活動や家庭生活において、適正な通信コストにより活発に利用されることを通じて豊かな国民生活が実現する社会であると考えられております。そして、このような高度情報社会を支えるために情報通信基盤の整備や技術の開発などが活発に行われるような環境の整備に努めるとともに、地域格差の是正のために国としても積極的な対策を講ずることが必要であると考えております。
  227. 真鍋光広

    ○真鍋委員 ここで、この一環でございますけれども、NTTに課されたこの面での期待というのは非常に大きなものがあるわけでございます。とりわけ、また、今の日本の経済、バブル崩壊の後、我々がかつて想像したことのないような非常に難しい状況にあります。私どもが中小企業あるいは経済の実態に接して感じております実態は、バブル崩壊が整理がついているのじゃなくて、むしろ、現在拡散をしておるということでございまして、かつてない恐しい、非常に難しい経済の現状になっておるわけです。そういう中で、環境にあるから仕方がないのでしょうけれども、NTTが、大きな期待にもかかわらず、いずれかと言いましたら、営業収支とのかかわりで少し黒字でも出さなければいかぬ、こんなことで設備投資に関して腰が引けておるというふうな話もあるのです。これの真偽といいますか、そのあたりについてはどうお考えになり、また、どう御指導をしていこうというおつもりか、もしもお答えできれば、簡単で結構ですからお答えいただければと思います。
  228. 白井太

    ○白井(太)政府委員 私、直接の担当の局ではないものですから、余りきちっとしたお答えがしにくいわけでございますが、NTTは昭和六十年に民営化されまして、形としてはいわゆる民間の企業になったわけであります。ただ、それにもかかわらず、やはりNTTが背負っている社会的な責任というのは大変大きいものがあると思っておりますし、また、NTT自身も、そうしたことについては、NTTの役割ということについてはやはり重大な役割を担っておるという認識を持ってくださっていると思います。特に、新たな通信網の整備というようなことにつきましては、どちらかというと、諸外国にしても我が国の方がちょっと出足が鈍いと言われても仕方がないような状況でありまして、この点についてはできるだけ早く広帯域のディジタル通信網の整備をするというような気持ちはNTTも持っておると私ども思っておりまして、もちろんお金との相談というような面もないわけではありませんが、まあひとつ我が国における全国的な通信網を持っておるという大きな責任をNTTとしても考えていただいて、できるだけ早くこの通信網の整備というものをしていただきたいということで私どももお願いしたいと思っておりますし、NTTもそういうこともよく考えてやってくださっていると思っております。
  229. 真鍋光広

    ○真鍋委員 金融・資本市場、いろいろ難しいし、すべてが環境が難しいわけでございますけれども、やはり日本の代表選手でございますから大きな責任もあるということで、ひとつ何分の御研究、御努力をされるようにまた御指導賜るようにお願いを申し上げておきたいと思います。  そこで、国民生活に真に溶け込んだ高度情報通信網の構築を目指して、官民学というのがあるとすれば一体となって取り組んでいかなければなりませんが、この点に関しての国の取り組みについて少し頭を整理させていただきたいと思うわけでございます。  研究開発、技術開発ということになりますと、そもそものスタートというものは基礎研究ということであり、それからさらには、民間企業がまさしく製品開発ということで取り組んでまいります実用化に向けての研究ということがあるわけでございます。その間にあるとすれば、基礎研究と今言いました実用化研究への橋渡しというものが、原理と具体との間をつなぐ何らかの線を引っぱる、つなぎをつくる、その研究というものがあるいはあるのか、このように考えるわけでございます。  そして、この基礎研究面につきましては、伺ったところでは大学や国立の研究機関が取り組んでおる面もある、大きな役割を果たしておる。そして、先ほどもちょっとお話があったように伺いましたけれども、昭和六十三年からは通信総合研究所が中心になって電気通信フロンティア研究開発が推進されるということでございます。また民間におきましては、実用化に向けての研究開発が行われますけれども、これを支援する制度として、通産との共管になるのでしょうか、基盤技術研究促進センターの出資、融資の制度が設けられておる、こういうことだそうでございます。そして、基礎研究とその成果の実用化段階の間には当然時間的なずれがある上に、基礎研究そのものが実用目標に合致しておるとは限らぬのでこなしていかなければいかぬということがあるわけでございますから、この橋渡しを行う研究開発、これを先導的研究開発と呼ぶようでございますけれども、この強化が必要だ、そういう物の考え方がこのたびの法案の研究開発として業務として加わる、こういうふうに考えてよろしいでしょうか。
  230. 白井太

    ○白井(太)政府委員 先生のおっしゃるとおりでございます。  一点さらに加えさせていただきますと、私ども、通信網の機能の高度化とかあるいは研究開発とかということになりますと、どうも何となく自分たちにとかく無縁のようなあるいは縁が遠いような感じがいたすわけでありますが、特に情報通信分野における研究開発というのは、そうした研究開発の成果というのが本当に国民生活を豊かにするということに役立つような方向を目指してやっていかなければならないということを私ども非常に強く思っております。逆に申し上げますと、機能が高度化することによって一般の人は使いにくくなるというようなことがあっては本当の研究開発の趣旨に反するのではないかと思っておりまして、この研究開発というのは、我々の日常生活にも足をつけたような研究開発が行われていくということを特に考えていかなければならぬのではないかと思っております。  それから、さらに情報通信というものがもういろいろな分野で、生活とか社会活動の中で取り込まれてまいりますと、それが何かの拍子に中断をいたしますとか、あるいは故障が起きますとか、あるいは破壊をされるとかいうようなことになりますと、社会的な影響というのははかり知れないものがあるわけでありまして、情報通信機能が高度化し、また、その利用が盛んになればなるほど、そうしたマイナスの面に対してどういう対策を講じていくのかというのが実は非常に大きな課題になるわけでありまして、この面についてもやはり研究開発というのをおろそかにすることはできないというふうに思っております。  ところで、こういう大変多岐にわたります研究開発の分野でありますけれども、これらの研究開発というのは現実としてはどこか一カ所ですべてをやるというわけにはなかなかまいりません。例えばNTTの研究所はNTTの研究所として一番お得意の分野について研究開発に全力を挙げていただくことが必要でございますし、それから国の機関としての通信総合研究所においては、やはり国の研究機関としての責任を持たなければならない分野、先ほどのお話では電気通信フロンティア研究などはその最たるものでありますけれども、そういう分野がございます。それから、基盤センターを通じての民間の研究開発支援についても、これはこれでまた一つ目的があるわけでありまして、それぞれの研究機関等が自分の受け持ち分野というものについてある意味では責任を持ってきちっとした研究開発を進めていくということが必要であろうと思いますけれども、なお、そうしたことでも十分でないような、特に産官学が一体となって基礎研究から応用への橋渡しをするような研究についてはどうしてもそこが少し欠けているというようなことから、今回ぜひこのような法律案を成立させていただいて、そこのところをきちっとこのすき間がないようにさせていただきたいというのが今回法律案を提案させていただいた一番大きな理由でございます。
  231. 真鍋光広

    ○真鍋委員 日本にとっても極めて大事な分野のお仕事であります。その割には予算額といいますか、そうしたものが割と小さいようで、意欲が十分数字の上ではあらわれていないようでございますけれども、この点について御感想があればひとつ。
  232. 白井太

    ○白井(太)政府委員 私どもの力不足だと申し上げざるを得ないと思いますけれども、研究開発についてはもうとても十分と言えるどころか、足らぬことばかりだと思います。ただ、このことにつきましては、実は郵政省の研究所だけではなくて、国の研究機関全体についてやはり言えることのようでありまして、国の研究機関は、一緒になりまして、この点について、ぜひこれからの我が国の発展のためにも研究機関の充実が予算的な面においても人的な面においても必要であるということをいろいろな関係の向きに働きかけて、理解を得るような努力をいたしておるようでございます。  それと、もう一つ私どもが聞いております問題というのは、人材の不足というのがかなり深刻なようでありまして、これも私どもの研究所だけの話ではもちろんありませんけれども、一般に大学の新卒者のうち理科系の方の比率が非常に少なくなりつつあるとか、あるいは絶対数がもう非常に減ってきているというようなことが大きな問題だと指摘されておりまして、それやこれや研究開発をめぐる問題というのはやはり大変いろいろな面に及んでおるように思いますけれども、できるだけそういうようなところを埋めるような努力もしていかなければならないのではないかと思っております。
  233. 真鍋光広

    ○真鍋委員 郵政省だけで予算をというのはなかなか難しいのは当然よくわかるわけでございますが、全体に研究費といいますか、そういう中で、日本の場合は、諸外国、先進国に比べて国の負担割合といいますか、国が背負っておる割合というのがやはり少ないというふうに言われておるわけでございます。そしてまた、仄聞するところでは、ECでしたか何か、この電気通信分野での、新しい先導的な分野で大変膨大な金をかけて研究する、そういう計画があるようでございまして、そのあたりとの競争上、我々は民間が大いに発展しておるのだから、NECなりなんなりの売り上げの五%を出せばそれだけで千五百億になる、クレイ・リサーチの総売り上げよりも大きい、こういう話もありますけれども、しかし今言ったように、国でなければ果たせない役割ということもあるわけでございまして、このあたりひとつ大いに予算をとるべく御努力をいただきたい、こう思うわけでございますが、諸外国に比べての日本の研究費のあり方、そういったものについて何らかの御感想があれば一言笹川政務次官からお答えいただければと思います。
  234. 笹川堯

    ○笹川政府委員 真鍋議員のおっしゃるとおり、これからの国民生活の向上のためにはなるべく国の予算をつぎ込んでやっていきたいと思っておりますので、その点についての御指導もひとつよろしくお願いします。
  235. 真鍋光広

    ○真鍋委員 ありがとうございました。  続きまして、有線テレビジョン放送番組充実法案の方につきまして御質問をさせていだきたいと思うわけでございます。  繰り返しになりますけれども、生活大国を目指すということは宮澤政権の大きな眼目であるわけでございます。生活大国ということで中身を考えていきますと、まあおいしいものを食べられる、それからゆったりした家で寝られる、そして与えられた時間の中でいろいろな選択のあるアミューズメントがある、こういうことだろうと思います。ましてお年寄りあるいは身障の方、ハンディキャップを持った方、こういう方々にとりまして、映像文化といいますかテレビジョンにかける、生活の潤いを求める気持ちというのはとりわけ大きいものがあると思うわけでございまして、私どもはやはりこの分野で大いに多彩な文化を楽しめる、そうしたメディアとしてテレビジョンを充実させていかなきゃいかぬ、このように思うわけでございます。  そして、その中の有線テレビジョン放送でございますけれども、いわばこれはまだようやくその緒につき始めたというところでございまして、恐らくアメリカの一九七五年の大爆発のその前夜というか、そういうところにあるのだろうとは思うわけでございます。この有線テレビジョン放送発達普及のために従来から金融上、税制上の措置を講じてきておるわけでございますけれども、これに加えてこのたびの法案では、通信・放送機構が有線テレビジョン放送番組充実事業者に対して出資ができる、こういうふうにしたことでございまして、まことに結構なことだろうと思うわけでございます。多チャネル化がこれからどんどん進んでまいります。そういう中で、中身の濃い、豊かさを味わうことができる放送番組を確保しなければ本当の意味で国民の皆さんに豊かな生活を保障することができないということでございまして、国としてもこれに力を注いでいかなければならない状況にあると考えております。  そういうことで、まず初めに、有線テレビジョンに限らず放送全体の多チャネル化につきまして少し御質問をさせていただきたいと思うわけでございます。  これにつきましては、こういうことが言われておるのですが、本当でございましょうか。初めにちょっと御確認をさせていただきたいと思います。  現在、東京で見られるテレビジョンは、地上波放送がNHKの総合と教育、NTV、TBS、フジ、テレビ朝日、テレビ東京の七チャネル、それから衛星放送がNHK衛星第一、第二、JSBの三つある。それに本年中には通信衛星を利用した通信衛星放送が六チャネル加わるということで、本年中に十六チャネルになって、文字どおり多チャネル時代が現実のものになる。さらに、九七年に打ち上げられるBS4は八本のトランスポンダーを搭載する。その結果としてチャネル数は新たに五つふえる。そしてまた、このころになりますとディジタル帯域圧縮という技術が完成し、衛星放送では一チャネルで四チャネル分の放送ができるようになる。BS4の八チャネルだけで四、八、三十二チャネルの放送が可能になる。また、九〇年代半ばには通信衛星放送も十五チャネル程度にふえる見込みで、そうなると地上波の現行七チャネルと合わせ、家庭で見られるチャネル数は実に五十四に膨れ上がる、二十一世紀を前にした段階では五十四チャネルになる、こういうふうに言う人がいるわけでございますが、このあたりの真偽、見通しについてお教えいただければと思うわけでございます。
  236. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答え申し上げます。  技術の進歩の状況あるいはニーズのありよう、いろいろな要素がございますが、大勢として、何チャンネルかは別として、衛星放送とかCATVとか地上波とか、いろいろなメディアを通じまして先生指摘のような趨勢でもって多チャンネル化が進んでいくものというように考えています。
  237. 真鍋光広

    ○真鍋委員 これはディジタル帯域圧縮というので一つで四本、四チャネル分放送できるようになる、これはそういうことと考えてよろしいのでしょうか。
  238. 小野沢知之

    小野沢政府委員 今御指摘の点につきましても調査研究中、郵政省主催で行っているところでございます。
  239. 真鍋光広

    ○真鍋委員 今言いました五十四チャネルという話は、いわばすべてを郵政省認可というのですか、許可というのですか、したらそうなるということでございますが、先のことだから言えぬということだろうとは思いますけれども、しかし現実に目の前にもうタイムスケジュールがついて、どんどん宇宙に衛星が上がっていくわけでございますから、そのあたりの認可方針というようなものについて、大枠でも結構ですからお教えいただけたらと思うわけでございます。
  240. 小野沢知之

    小野沢政府委員 御指摘のように、時代の進展の趨勢は非常に激しいものがありますから、先ほど申し上げました各種の調査研究ですが、三月から五月とか、そのうちの幾つかは調査研究報告がまとまることになっておりますし、私どもあわせて十分調査研究、勉強いたしております。また各界からもいろいろな御意見も出ておりますので、そういったことを総合的に考えながら、でき得る限り早急に固められるものは固めていきたい、こういうように考えております。
  241. 真鍋光広

    ○真鍋委員 重ねてでございますけれども、調査研究はわかるのですけれども、どういうポイントを頭に置きながら整理をしていくのか、そこらを一声おっしゃっていただきたいと思うのです。
  242. 小野沢知之

    小野沢政府委員 やはり、技術の著しい進歩とか世界の情勢とかあるいは高度化、多様化します利用者のニーズとか、その辺を十分考えて、多チャネル化が時代の趨勢の一つだろう、そういう認識のもとに詰めているところでございます。
  243. 真鍋光広

    ○真鍋委員 御答弁がお上手なのか質問が下手なのか、恐らく後者だと思いますけれども、それじゃ、まず直近の話で詰めて御質問いたします。  本年中に十六チャネルになるだろう、これはそう考えてよろしいですか。
  244. 小野沢知之

    小野沢政府委員 そのとおりでございます。
  245. 真鍋光広

    ○真鍋委員 車ほどさように急速に多チャネル化に進んでいくわけでございまして、そういう中では、それが二十四時間だか八時間の試験放送だか何だか知りませんけれども、いずれにしましても大変なソフトを必要とする時代になってきたと思うわけでございます。もちろんこれはテレビだけではなくて、ビデオレンタルというのですか、そういった分野すべてにかかわってくるのですけれども、今、日本挙げてソフトの確保というものが大変重要な問題になっておるというふうに考えるわけでございます。  そうした中で私どもの耳にも入ってきておりますのが、現実の動きとして平成元年にはソニーがアメリカのコロンビア・ピクチャーズ・エンターテインメントを四十八億ドルで買収したということでございますし、松下もMCAを六十一億ドルというすごい金額で買収する、さらには東芝も伊藤忠とともにタイム・ワーナーへの資本参加を決めた、こういう話が出ておるわけでございます。そのあたりにもソフトヘの渇望に似た需要というものを感ずるわけでございます。  一方、去年の十一月二十五日からハイビジョンの試験放送がスタートいたしております。伺うところによれば、一日平均八時間の放映であって、その計算でいくと年間三千時間のソフトが必要になる。ストックの方はNHKでは七百本、六千時間分、JSB、七十時間程度、あとは民放全部合わせて三十時間、あれやこれやで一日八時間のうちNHKが二時間、JSBが一時間半、民放十社で三十分、残り四時間はリピート、再放送だ、こういう話で、既に放送業界では石油パニックならぬソフトパニックという言葉さえ使われておる。いささか走り過ぎた解釈でございましょうけれども、こういうことが言われておるわけでございますが、このあたりについての御認識、実情把握についてお示しいただければありがたいと思うわけでございます。
  246. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答え申しあげます。  昨年放送行政局長に着任して以来、今先生が御指摘になりました放送ソフトの不足の問題、これが一番深刻な問題の一つだという認識でもって取り組んでまいりましたが、多メディア・多チャンネル化が現実化するにつれてこの問題の大事さが各界の皆様方に認識されてきた、こういう状況でございます。  そこで、私どもの施策といたしまして、昨年七月から放送ソフトの充実に関する調査研究というものを各界の有識者を集めて行っておりまして、これがこの分野における初めての調査研究でございますが、ことしの三月にまとまります。そこでいろいろ有益な意見がまとまって出ることになっておりますが、これを踏まえまして、平成五年度の予算要求に直ちに反映していくとか、そういったことに活用したいというふうに考えております。  それから、そういった調査研究をまつまでもなくということでいろいろな施策を講じてまいりましたが、例えば今回の法案も、有線テレビジョン放送についてでございますが、放送番組の充実を図る、こういう観点からでございますし、そういったことで、全知全能を傾けて放送ソフト充実のための施策に取り組んでまいりたい、このように考えております。
  247. 真鍋光広

    ○真鍋委員 その全知全能という御姿勢は高く評価するものでございます。いずれにしましても、九〇年代の終わりには五十四チャネルとか何チャネルというのが予想されるわけでございます。それがソフト不足だなんだということのために、国が先見性がなかったあるいは政策誘導が足りなかった、検討が足りなかったというがために五十四チャネルというようなものがだめになってしまう、そのためにふえるテンポを抑えざるを得ないということがないようにひとつ頑張っていただきたいと思うわけでございまして、今おっしゃられた三月というのは、まだきょうは三月の五日ですから、本年三月にまとまったというのは、つい数日前ですか。
  248. 小野沢知之

    小野沢政府委員 本年三月じゅうにという意味でございます。
  249. 真鍋光広

    ○真鍋委員 三月じゅうに。わかりました。  そこで、せっかく勉強しておられるところで先取りして答えを言えというのも変な話でございますけれども、ソフト充実のための支援策、この法案がまさしくそれであることはわかるわけですが、それ以外に、税制面であるとかあるいはその他予算面であるとか金融面であるとかいろいろあると思うのですけれども、問題になるポイントといいますか、どういうところが問題になるか、それについてはこういうことを考えていきたいんだと、政策的な考えというものを少しお示しいただいたら、今私どもが、とにかくソフト支援においておくれることがあってはいかぬ、このように思っておるわけでございますから、ひとつそのあたりについて、今少なくともある程度の太い線についてのお考えはあると思うわけですから、現状認識、問題点の指摘、そしてこういうことをやりたいんだということを一、二しっかりとお示しいただきたいと思うわけでございます。
  250. 小野沢知之

    小野沢政府委員 実は、今回の法案事業、施策を調査研究会の中で議論している中でいろいろな御意見や実証データをいただきながら固めていったもの、それを予算要求で直ちに反映して実現したということですが、そういう意味で、税制改正要求とかあるいは金融制度の改善の要求の中に映像関係のソフトの充実ということをテーマにしました施策の要求を加えまして、そういったことが幾つか実現しております。そういった既にできた施策をさらに充実させると同時に、今、先ほど申し上げましたように調査研究会の中で最終のまとめに入っておりますが、ありとあらゆる施策を考えて、いけると思うものは果敢に挑戦していきたいということで考えておるわけでございまして、今ここでこれ一つ二つということを特に申し上げることはございませんが、近く完全にまとめたいというふうに考えております。
  251. 真鍋光広

    ○真鍋委員 例えばビデオにいたしましても、既に日本アメリカでは、例えばニューヨークで売っておるビデオは日本の半額ぐらいだという話であるし、あるいはヨーロッパの方の価格は大変安いということで、日本と先進諸国とでは同じビデオ、映画のビデオにしても、値段が半分ぐらい外国の方が安い、こういうことでございまして、既にソフトの格差が出ておるわけでございますから、ぜひこの点について一層の御研さんをなされまして、そしてそれをまた法律予算に反映されるように心からお願い申し上げたいと思うわけでございます。  次に、有線テレビジョン放送につきまして御質問を申し上げたいと思うわけでございます。  有線テレビジョン放送は、平成二年度末現在で施設数が約五万、加入者数が六百七十七万世帯、その大半は再送信専用のものでございまして、都市型有線テレビジョン、つまり、一万端子以上で自主放送五チャンネル以上を持つ施設を言うのだそうでございますけれども、それは平成三年十二月末現在で許可施設数百二十五、開局施設数九十八、加入者数は約五十五万世帯になっておる、そこにとどまっておる、こういうことだそうでございます。  そこで、これらの経営状況が一体どうなっておるんだということでございます。こういうことも聞いておるわけで、例えば有線テレビジョンの場合は、やはり最低五千世帯ぐらいはなかったら収支相償わない、経営が成り立たない、こういう話もあります。また、衛星放送を利用する有線テレビジョンの場合、その各社のバランスシートは、衛星の回線料の回収は到底無理であって、黒字になるのは最低七、八年はかかるだろう、こういう話もあるわけでございますが、このあたりの経営状況についての分析をひとつお聞かせいただけたらと思います。
  252. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答え申し上げます。  CATV事業者経営状況でございますが、平成二年度末におきまして、営利目的とします有線テレビジョン放送事業者百三十五社の総収益は三百二十二億円でございますし、総費用が四百六十三億円ということで、その損失は百四十一億円ということになってございます。また、個々の社について見ますと、有線テレビジョン放送事業者百三十五社のうち平成二年度末に単年度黒字となっている社は四十五社でございます。そういうことで、非常に苦しい状況に入ってございますが、なお、加入率が大体三〇%ぐらいまでいけばほぼ明るい展望が得られるんじゃないかという資料を得ております。
  253. 真鍋光広

    ○真鍋委員 加入率というのは、許可したときに一万という一つのあれがあってその三〇%、こういうふうに考えてよろしいのでしょうか。
  254. 小野沢知之

    小野沢政府委員 NHKの受信世帯数に対する加入者の割合でございます。
  255. 真鍋光広

    ○真鍋委員 いずれにしましても、経営が成り立たなきゃ成り立たぬわけでございます。一番大事な芽でございますから、ひとつ経営状態についてもやはり目を十分配って、それぞれあるでしょう、都市型CATVにはそれはまたそれで大変悩みがあります。利用者はいるけれどもなかなか配線ができないとか、いろいろな悩みがあるでしょう。しかし一方で、また地域型の大変に重要な、しかし収益が上がらないということもあるわけでございます。事細かに分析しながら、経営が成り立つように、その一方で、やはり競争を通じてよりよい、効率のいいものが残っていくという淘汰の過程というのは残してもらわなければいかぬ。しかし一方で、やはり育ててはいかなければいかぬ。そのあたり、単に監督行政ではなくて育成していく、業界育成の観点もひとつしっかり頭に置いてこれからの大事な芽を伸ばしてやってほしい、このようにお願いいたす次第でございます。  それでは、急転、御期待にこたえまして、正規路線に戻りたいと思うわけでございます。ただし、一問だけひとつお願いをいたしたいわけでございます。  大臣、恐縮でございます。この情報通信網といいますか、それを媒介にした映像文化、これはやはり高齢化社会での一番大事な国民に対する福祉の供与になる、私はそう思うわけでございます。そういった意味合いにおいて、これこそまさしく生活関連でございます。郵政省が、一般予算がないということで、これまでいろいろ衛星機構に加えてきた支援業務というものは、大抵が産投会計からの出資ということでございます。出資であるとか債務保証であるとか、なかなか食っても消化しにくいもの、そういう中で一生懸命郵政当局が御努力をして、少しずつその緒についておるということは高く評価するわけでございますけれども、しかし何事につけ、やはり物事というのは食ってすぐ腹に入って消化できるようなものということでございまして、とにかく生活関連でご言いますから、生活関連枠でしっかりとって、少しでも国民の期待に早く追いつけるように、そのような御努力大臣にぜひしていただきたいということをお願いいたしたいと思います。
  256. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 予算委員会の方で時間を引っ張られまして、大変失礼をいたしました。  真鍋委員がおっしゃいましたように、まさに高度情報社会においては、こういった問題が何よりも優先されて、効用を発揮し、そして本当に生活の中において深さとそれから高さのある、その一番大切な要件の一つであるというふうに思います。ぜひ、生活関連の大切な一つの柱として、いつも情報はいつでもどこでもだれでもが公平にその恩恵に浴するということが一番大切でございますから、まさにそういう意味においては、その生活関連の一翼を担う大きな柱として、我々もこれから先生がおっしゃったように予算関係においても努力をいたしてまいりたい、御期待に沿いたいと思いますし、またぜひ御指導をお願い申し上げたいと思います。
  257. 真鍋光広

    ○真鍋委員 終わります。
  258. 谷垣禎一

    谷垣委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  259. 谷垣禎一

    谷垣委員長 通信放送衛星機構法の一部を改正する法律案について、日本共産党から討論の申し出がありましたが、先刻の理事会において協議の結果、御遠慮願うことになりましたので、さよう御了承願います。  有線テレビジョン放送発達及び普及のための有線テレビジョン放送番組充実事業推進に関する臨時措置法案については討論の申し出がありませんので、両案について、直ちに採決に入ります。  まず、通信放送衛星機構法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  260. 谷垣禎一

    谷垣委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  261. 谷垣禎一

    谷垣委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、坂井隆憲君外三名から附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を聴取いたします。上田利正君。
  262. 上田利正

    上田(利)委員 ただいま議題となりました通信放送衛星機構法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     通信放送衛星機構法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。  一 電気通信は技術先導的な分野であり、その研究開発に当たっては、国、NTT、NHK、その他の研究開発動向にも十分配意し、長期的・総合的な研究開発方針のもとに効率的な実施が図られるよう努めること。  一 通信・放送機構については、現在及び将来の通信・放送に係る諸施策を勘案し、今後の情報化の進展により有効な役割を果たせるよう、その機能の充実、必要な資金の確保等に努めること。 以上のとおりであります。  この附帯決議案は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党の四派共同提案に係るものでありまして、案文は、当委員会における質疑の動向等を参酌して作成されたものでありますから、各項目についての説明を省かせていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げる次第であります。  以上であります。
  263. 谷垣禎一

    谷垣委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  264. 谷垣禎一

    谷垣委員長 起立多数。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。     —————————————
  265. 谷垣禎一

    谷垣委員長 次に、有線テレビジョン放送発達及び普及のための有線テレビジョン放送番組充実事業推進に関する臨時措置法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  266. 谷垣禎一

    谷垣委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  267. 谷垣禎一

    谷垣委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、坂井隆憲君外四名から附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を聴取いたします。坂井隆憲君。
  268. 坂井隆憲

    ○坂井(隆)委員 ただいま議題となりました有線テレビジョン放送発達及び普及のための有線テレビジョン放送番組充実事業推進に関する臨時措置法案に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     有線テレビジョン放送発達及び普及のための有線テレビジョン放送番組充実事業推進に関する臨時措置法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。  一 有線テレビジョン放送は、高度化・多様化している映像情報ニーズに有効に応える高度情報社会の中核的メディアとして期待されるものであり、その発達及び普及を促進するため、必要な資金の確保等各種の支援措置の一層の拡充に努めること。  一 有線テレビジョン放送放送番組充実のための基盤整備を一層推進するための諸施策を講ずること。  一 本法の運用に当たっては、情報の地域間格差の是正等に十分留意し、有線テレビジョン放送全国的に調和のとれた発達及び普及が図られるよう努めること。 以上のとおりであります。  この附帯決議案は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議日本共産党及び民社党の五派共同提案に係るものでありまして、案文は、当委員会における質疑の動向等を参酌して作成されたものでありますから、各項目についての説明を省かせていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げる次第であります。  以上であります。
  269. 谷垣禎一

    谷垣委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  270. 谷垣禎一

    谷垣委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、渡辺郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。渡辺郵政大臣
  271. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 ただいま、通信放送衛星機構法の一部を改正する法律案及び有線テレビジョン放送発達及び普及のための有線テレビジョン放送番組充実事業推進に関する臨時措置法案を御可決いただき、厚く御礼を申し上げる次第でございます。  本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の郵政行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。     —————————————
  272. 谷垣禎一

    谷垣委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  273. 谷垣禎一

    谷垣委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  274. 谷垣禎一

    谷垣委員長 次回は、三月十一日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十二分散会