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1992-02-27 第123回国会 衆議院 逓信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年二月二十七日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 谷垣 禎一君    理事 川崎 二郎君 理事 佐田玄一郎君    理事 坂井 隆憲君 理事 原田 義昭君    理事 松浦  昭君 理事 上田 利正君    理事 大木 正吾君 理事 伏屋 修治君       赤城 徳彦君    大野 功統君       小林 興起君    古賀 一成君       鈴木 恒夫君    深谷 隆司君       真鍋 光広君    松岡 利勝君       森  英介君    山本  拓君       上田  哲君    田中 昭一君       武部  文君    山下八洲夫君       吉岡 賢治君    鳥居 一雄君       菅野 悦子君    中井  洽君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 渡辺 秀央君  出席政府委員         郵政政務次官  笹川  堯君         郵政大臣官房長 木下 昌浩君         郵政大臣官房人 谷  公士君         事部長         郵政大臣官房経 山口 憲美君         理部長         郵政省郵務局長 早田 利雄君         郵政省貯金局長 松野 春樹君         郵政省簡易保険 荒瀬 眞幸君         局長         郵政省通信政策 白井  太君         局長         郵政省電気通信 森本 哲夫君         局長         郵政省放送行政 小野沢知之君         局長  委員外出席者         郵政大臣官房総         務審議官   五十嵐三津雄君         逓信委員会調査 辛島 一治君         室長     ————————————— 本日の会議に付した案件  通信放送衛星機構法の一部を改正する法律案  (内閣提出第二七号)  有線テレビジョン放送発達及び普及のための  有線テレビジョン放送番組充実事業推進に関  する臨時措置法案内閣提出第二八号)  逓信行政に関する件(郵政行政基本施策)      ————◇—————
  2. 谷垣禎一

    谷垣委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原田義昭君。
  3. 原田義昭

    原田(義)委員 おはようございます。  時間も限られておりますので、きのう大臣所信表明をされました、とりわけ国際的な変化が大変大きい現状にかんがみましての郵政省貢献、こういうことについて私はお話を伺いたいと思います。  その前に、宇宙通信株式会社スーパーバードB号の打ち上げがきょうだというふうに聞いておりますけれども、その後どうなったか、経過をお話しいただければと思っております。
  4. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 ただいまの御質問でございますが、日本時間の本日朝八時五十八分、宇宙通信株式会社スーパーバードB号南米フランス領ギアナ・フランス国立宇宙研究センターギアナ宇宙センターからアリアンロケットにより打ち上げられ、目下所定軌道を順調に飛行中であると報告を受けました。スーパーバードB号は、この後、順次静止軌道への投入、各種搭載機器機能確認試験などを経て、産業経済活動に不可欠な電気通信役務提供及び魅力ある多様な専門的放送の実現を可能とする受託放送役務提供のために利用されることとなるわけでございますが、所期の目的を果たすことができるよう心から念願、期待をいたしておるところです。  最終的に成功しますれば、通信衛星として大きな役割期待されるとともに、テレビチャンネル、音声六チャンネルの多メディア・多チャンネル時代にまことにもって対応できる、こういうことになるのではないかと期待をいたしておるところでございます。今の段階では打ち上げ成功の感の状況であることを御報告を申し上げたいと思います。
  5. 原田義昭

    原田(義)委員 大変うれしくその報告を聞かしていただきました。何とぞ順調にいきますことを心からお祈りをいたします。  さて、昨日の大臣所信表明、この一行目に、ソ連邦が解体し、欧州では統合への動きが進められておる。世界の枠組みは大きく変化している。我が国は、経済力とこれを背景とした影響力に見合った役割を果たし、新しい平和秩序の構築に貢献していかなければならない。こう高らかにうたわれたわけでありますけれども、私もそのとおりだろうと思います。  さて、郵政省として、こういう大きな流れの中で国際化への対応、そして国際貢献をどのように具体的に進めていくか、この辺を大臣お話を伺いたいと思います。
  6. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 今委員指摘のとおり、非常に世界が揺れ動いて、それに対して私ども郵政省としての国際化への対応、そしてまた国際貢献などをどのように進めていくかということは極めて大切な問題になり、喫緊の課題になってきているというふうに思っておるわけでございます。  経済活動国民生活グローバル化サービス化情報化進展に伴いまして、郵政省所管に係る通信、金融、物流の果たす国際的役割は極めて増大いたしております。そのために、国際的視野に立って国際協調国際貢献に資する郵政外交の積極的な展開を図ってまいりたい。今年度当初より、私、そのように決意をしながら大いに士気を振るってきたところでございます。  なお、平成四年度の予算案に盛り込んでおりますとおり、官房国際部の創設にぜひひとつ御理解を賜りたいのでございます。  具体的には、国際的な政策協調のため、主要国との二国間協議を積極的に推進するとともに、ガット、経済協力開発機構等多国間協議にも積極的に参画していく方針でございます。  また、世界のすべての国民がひとしく電気通信の利便を享受するために不可欠な国際標準化について、国際電気通信連合等との調整を通じて貢献していく方針でございます。  また、情報通信基盤整備が重要な課題ともなっている開発途上国、特に旧ソ連東欧地域に対しては積極的に協力をいたしてまいりたいと思っておるところでございます。  さらに、政府間の国際協力に加えまして一般の国民が参加できる国際協力重要性が増大いたしておりますが、その意味では、郵政省国際ボランティア貯金の有効な活用に一層配意してまいりたい。御期待にこたえてまいりたいと考えている次第でございます。
  7. 原田義昭

    原田(義)委員 昨年の湾岸戦争、それから夏のソ連の革命とか、世界じゅうでいろいろな出来事が起こっているわけですけれども、その過程で通信放送が重要な役割を果たしている、これはもう疑いのないところであります。私ども、あたかもテレビでドラマを見ているように湾岸戦争の推移を見ることができました。我が国はこの通信放送分野世界でも一番進んでいる国と自他ともに許しておりますけれども、このような状況の中で、郵政省はこの分野、すなわち通信放送分野における国際協力、これにどのように取り組んでおられるのか、またこれからいくのか、その辺を大臣にお伺いしたいと思います。
  8. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 通信放送は、先進国開発途上国を問わず、いずれの国においても国づくりにおける最も重要なインフラストラクチャーの一つであることは間違いございません。また、湾岸戦争、旧ソ連の改革などに見られるように、通信放送世界の平和の維持、あるいはまた民主化促進に果たす役割というものは大変な大きさであると思います。今おっしゃられるとおりでございます。したがって、通信放送分野において積極的な国際協力を行っていくことは、世界の最先進国である、しかもまだ、通信放送分野において最も発達している我が国としての責任であるというふうに認識をいたしております。  このような認識のもとに、通信放送網整備あるいは拡充及びそのために必要な人材育成あるいはまた人材の養成に今までも積極的にやってまいりましたが、これからもなお積極的な取り組み、展開をいたしてまいりたいと思っておる次第でございます。
  9. 原田義昭

    原田(義)委員 その流れの中で、開発途上国等はたくさん支援もしなければいけないと思いますが、今出てきましたソ連邦につきましては、経済、政治、社会、これからもいろいろ変動要因があるようですけれども、CIS、独立国家共同体に対する通信分野での支援について郵政省としては今どういうふうに考えておられるでしょうか。
  10. 白井太

    白井(太)政府委員 お答えを申し上げます。  昨年の四月に、旧ソ連の当時大統領であられましたゴルバチョフさんが日本に来られましたときに、旧ソ連市場経済に移行するというようなことで、市場経済移行のためのノウハウについての技術的な支援をするというお約束ができたわけでございます。  その約束に基づきまして昨年の秋とそれからことしに入ってから一回、一つNTT民営化をしたノウハウについて、それからもう一つは、貯金とか保険を私ども郵政事業が国の事業として経営をいたしておりますものですから、そのようなことにつきましてのノウハウについていろいろ提供をするというようなことをやったわけでございます。  なお、それとは別に、実は私どもとしては、ただいまお話の出ました独立国家共同体に対して、電気通信分野でもう少しいろいろな協力とかノウハウ提供などをすべきではないかということを考えておりまして、このことにつきましては、ことしできれば五月ごろに、独立国家共同体の中の幾つかの国からの代表者の方あるいは事業体代表者の方などをお招きをいたしまして、ただいま申し上げましたような特に電気通信分野に絞りましていろいろなセミナーとかあるいはノウハウ提供するというようなことも行いたいと思っております。そういう方がお招きできますと、旧ソ連あるいは独立国家共同体の中の実情がよくわからないという点もありますものですから、そのようなことについての直接の情報を得ることもできようかと思っておりまして、大変期待をいたしておるところでございます。
  11. 原田義昭

    原田(義)委員 もう一つ、今地球環境の問題が大変クローズアップされてきております。もうこれについては本当に待ったなしだ、私はこういうふうな認識でおるわけでございます。六月にはブラジルで地球環境サミットが行われる。これについても政府を挙げて取り組まなければいけない。この地球環境問題について、郵政省としてはどのような国際貢献ができるというふうにお考えでしょうか、簡単に御答弁いただきたいと思います。
  12. 白井太

    白井(太)政府委員 主として電波などの技術を利用しての地球環境の保持の問題についての国際協力関係についての実情を御報告させていただきたいと思います。  地球環境の問題として取り上げられております問題というのはいろいろございますが、その幾つかのうち、例えば特にオゾン層破壊の問題につきましては、本年度から予算措置を講じまして、アメリカとの共同研究というような体制をしきまして、特に北極圏における大気状況観測でありますとかあるいはこの大気破壊を抑えるために電波を利用することができないかというようなことを、特にアメリカ大学機関と私ども通信総合研究所とがタイアップをいたしまして、七年くらいの計画で共同研究をやっていこうということをいたしております。  それから、地球温暖化もこの地球環境の問題の大きな一つであろうかと思いますが、この温暖化の原因を調べ、また、これに対して適切な対策を講じるために、例えば海でありますとかあるいは熱帯のジャングルなどに降ります雨の量というのがなかなか正確にはかりにくいということで、これはもう数年前から、実はこれもアメリカとの共同研究でありますが、熱帯における降雨を衛星を打ち上げまして観測をしようということを考えておりまして、そのための技術について共同研究開発を行っております。これについては、主として打ち上げる衛星の入れ物といいますか、球の方をアメリカが分担し、それから観測機器の方を日本が分担するというような役割を担いまして、現在研究に取り組んでおるところでございます。  そのほかいろいろ、実は地球環境の問題というのは、どうしてもこの地球から離れた大気の中の事情というのが大きな影響を及ぼすようでございまして、そのような状況について観測をするというようなのは、やはり離れたところなものですから電波を利用するという以外に実は観測のしょうがないというようなことも言えるわけでございまして、そのようなことからいたしますと、私どもの受け持っております電波技術というのは大変大事な役割を負わなければならないのだということを考えておるところでございます。
  13. 原田義昭

    原田(義)委員 いろいろお聞きいたしますと、本当にこれから国際社会役割を果たしていくためにはやることがいっぱいある、そんな感じがいたします。  先ほど大臣の一番最初の答弁の中にもボランティア貯金の話が出ました。国やらまた郵政省、いろいろな団体が積極的な貢献をしなければいけないけれども、あわせて我々国民一人一人がそれに参画をする。私は身の回りの国際貢献というふうに認識をしておりますけれども、ただ、自分の身を振り返りましたら、ボランティア貯金というのは名前は聞いたけれども、私は入ってないということにはたと気がつきましたので、ぜひこの機会に入れさせていただきたいと思いますけれども、この国際ボランティア貯金制度の今日的な状況、それをどなたか御報告いただきたいと思います。
  14. 松野春樹

    松野(春)政府委員 大変御理解をいただきましてありがとうございます。ぜひ御加入をひとつよろしくお願いいたします。  昨年の一月の取り扱い開始でございましたけれども、大変多くの方々から御支援をいただいておりまして、順調に推移してきております。お申し込みをいただいた方も本年の一月末で約六百二十八万人の多きを数えております。この貯金郵便貯金の新しい顔として、また民間レベル国際協力の新しい形としまして、国民方々に着々と御理解を得ているのではないかというふうに実感しておりまして、心から感謝申し上げておる次第でございます。  さて、平成二年度の寄附金でございますが、これは御承知のとおり、昨年六月に約九億一千万円を配分決定いたしまして、現在、アジア、アフリカを中心に四十八カ国で援助事業展開されてきております。  さらに、この二月でありますが、当初保留しておりました一億円の緊急援助用原資がございます。この原資をもとに、干ばつ等による被災者が大変多いいわゆるアフリカ角地帯、エチオピアあるいはジブチ、スーダン、ソマリア近辺でございますが、ここを対象にNGOを公募いたしまして、三月中にこの一億円の配分決定を行う予定で今準備を進めております。これからは、これらの援助事業開発途土地域の人々の福祉の向上に実際にどのように役立ったのか、ひとつ私どもしっかり把握いたしまして、今後の私どもの参考にしますとともに、広くディスクローズすることによりまして一層国民方々の御理解を得ていきたいというふうに考えております。  なお、間もなく三月の末になりますけれども平成三年度分の進捗状況でございますが、冒頭申し上げましたように順調に推移しておるわけでございます。見込みといたしまして、平成三年度分は約二十四億円程度になるのではないかというふうに推計いたしております。
  15. 原田義昭

    原田(義)委員 関連いたしますけれども国際情勢がこうして激動する中で、日本から積極的な情報発信を行う、諸外国の対日理解を進めるということがますます重要になっております。また、数多くの日本企業海外に出て頑張っておる。旅行者の増大、お聞きしますと、今もう一年に一千万人外国日本人は行く、こういうことがございます。在外邦人に対する情報提供、こういうことが極めて必要だろうと思います。  実は、私は十五、六年前にアメリカのボストンというところにしばらく滞在したことがあるのですけれども、あるとき、日本人会を通じまして紅白歌合戦のビデオが着いたよと言うのですね。聞きましたら、大体七、八十人の地元の日本人がだれかの大きな家に集まりまして、そして紅白歌合戦を見た。それがたしか四月か五月ぐらいの話なんですよ。いかに外国におる日本人が祖国のことを思い、慕っておるか。そのときは、私はたしか森進一さんの「おふくろさん」か何か、初めて外国にいて聞きました。みんな涙を流していましたよ。しかくかように外国における同胞がどんなにそのことを熱望しているか。我が国国際放送の果たすべき役割、これについて大臣、もし御所見があれば。一言お答えいただきたいと思います。
  16. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 今、いよいよ世界が狭くなったといいますか、地球が小さくなったと反面言われるほど国際化が進み、そしてまた、日本人たちが非常に大勢外国の方に出かける、こういう時代になってきたわけでありまして、しかもまだ、一方、激動する国際情勢の中で、諸外国の対日理解促進、そして在外邦人に対する情報提供、そのための国際放送の果たす役割というのは、今までの想像以上のものであろうというふうに思っております。放送行政の最重要課題一つとして、その充実強化に取り組んでまいってきておるところでございます。  近年、欧州地域重要性が一層高まっておりますので、現在の欧州向け国際放送は、送信時間が十分でないとともに受信状況が少し不安定であるということから、早急な改善に迫られておりました。平成四年度におきまして、イギリスの中継局から欧州向け中継放送を七月から開始するということといたしまして、所要経費平成四年度予算案に実は計上いたしておるところでございます。  今後とも、地域別送信時間、そして受信状況海外中継局使用可能性、さらには映像による実施可能性などを踏まえつつ国際放送充実強化を図っていきたい、御期待に沿ってまいりたいと思っております。
  17. 原田義昭

    原田(義)委員 その流れの中で、多メディア・多チャンネルといいますか、その内容をぐっと進化させる、バラエティーに富ませる、こういうことが必要だと思いますけれども、こういう放送の将来ビジョンについてお伺いしたいと思います。
  18. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 先ほども新しい放送衛星成功の中で申し上げましたし、まさに委員が御指摘のとおりでございます。  近年の放送技術の進歩、国民情報ニーズ高度化多様化に伴いまして、衛星放送ハイビジョン放送、多チャンネルCATVなど多様な放送ニューメディアが出現、そして一方で各メディア間の競争が加速する見通したと思います。今後は、さまざまな放送メディア全国的サービス地域的サービス、あるいは総合放送専門放送高画質化や高音質化の面で、各メディアの特性を生かしつつ、放送が全体として調和ある発展あるいは発達普及を遂げることが重要であると思っております。  また、地域情報化推進生活情報基盤整備など地域社会振興への貢献及び国際放送充実など国際化への対応が極めて重要であると認識いたしております。  郵政省といたしましては、以上のような重要な政策課題を解決するために、各放送メディア別政策に加えて、地域社会振興への貢献及び国際化への対応も含めた総合的な政策推進することが必要と認識いたしまして、本年六月にそのための組織体制を実は確立してまいりたいと思って準備中でございます。  多メディア・多チャンネル時代に向けまして、放送国民の豊かな日常生活に役立てていくべく、充実した生活感というものを味わっていただけるような、そんな環境づくりのために全力を尽くしてまいりたいと思っておる次第でございます。
  19. 原田義昭

    原田(義)委員 ぜひ、大きな、世界的な視点に立って、その中で郵政省また今の通信行政を自信を持って推進をしていただきたい、こういうふうにお願いをしておきます。  ちょっとテーマを変えますけれども自動車電話、これは最近の普及はもう目を見張るものがございます。私どもも、特に選挙なんかやっていますと、五年前と今と比べると本当に昔日の感というか、そういう感を覚えるわけです。ただ、機材は調うのですけれども場所によってはなかなか聞こえない地域もあるわけです。私は神奈川県ですからそうでもないのだろうと思うのですが、実際は山間部やら、特に三浦半島を走っておりますと、なかなか使えない場所が多いのですね。恐らく郵政省さんでもそういう指導はされておるのではないかと思いますが、何かこの問題について施策展開しておられればお聞きをしたいと思っております。
  20. 森本哲夫

    森本政府委員 ご案内のとおり、自動車電話、最近、大変便利なものだということで普及が著しゅうございますが、NTTが全国展開すると同時に、新しい八つ事業者がそれぞれの地域NTTと拮抗しながらサービス提供いたしておるわけでございきす。  ただ、どこまでカバーしているかと申しますと、現在、NTT人口では九三%をカバーしているといいながら、面積では全国的には二七%しかリカバリーできていない、こういう状態でございます。これは、今申しました新しい八つ事業者も、平均しますれば、人口で九〇%までいっているところもある反面、やはり面積では一六%とか三四%とか、そんな状態になっておるわけでございます。  この関東近辺でもやはり大体そんな状況でございますが、今お話しの点に照らしますと、大体北関東から埼玉、千葉等では全体的にはほんの一部なんですが、神奈川県では、例えば葉山、これは全域がまだ入っておりません。これは近々、この四年度中にはエリアを拡大する予定でございますが、鎌倉市の一部等もまだ除外されているというようなことで、全体としては面積的にはまだまだこのカバーが難しい状況でございます。  しかし、自動車電話、こういう公共性の高いものでございますから、政府としてもいろいろな税制上の優遇措置を講じでできるだけ投資が促進できるように、あるいは財政投融資の面で低利の資金を融資するとか、いろいろな方途を講じております。また、事業者自体も特定の地域だけということではやはり利用者の信頼が得られないということで、相当地域の拡大には懸命に努力はいたしております。さればとて日本全国どこへ行っても全部聞こえるというのは、これはやはり限界のあることだろうということで、御案内でございますが、昨年から電気通信格差是正事業というものを国で補助金を出して、聞こえない地域についてはそういう措置でやろうということも始まったわけでございますので、今後できるだけ事業者努力、それからそれを支援する政府のいろいろな諸般の措置、さらに本当に聞こえないことに関して、基本的な考え方で、今のような考え方でまた取り組んでまいりたい、こういうふうな状況にございます。もう少し進展をお待ちいただければと思っております。
  21. 原田義昭

    原田(義)委員 最後に一言お話ししたいのですけれども、きょうはNHKの方、来ておられるかどうかわかりませんが、二月一日は大雪が降りました。二月二日は大地震ということで、なかなかことしも先行き大変だなと思ったのですけれども、この大地震、四時前ですか、私も慌てて飛び起きました。それでテレビをつけたところが、NHKではもう既にその地震の様子を報告しておられました。それからずっと、情報はちょっと最初は混乱していたようですけれども、私が申し上げたいのは、これは本当にありがたいことだな、確かにああいう災害のときというのはみんな気持ちが動転しておる、そのときに直ちにその情報をきちっと流してくれたということは本当にありがたいことだと思っております。これから災害とか、いろいろな不慮の事故が超こると思いますけれども、こういう通信制度がきちっとしていることが国民の皆さんの精神的な安全を守ってくれるんだ、こう思いますので、このことについて感謝をするとともに、さらにこの辺の準備をぜひ進めて、いかなることでも対応できるということにしていただければありがたいと思っております。  時間が参りましたので、これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  22. 谷垣禎一

    谷垣委員長 次に、佐田玄一郎君。
  23. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 先ほどの原田先生の世界的な見地からの御質問に引き続きまして、自由民主党を代表いたしまして今度は地方を中心に御質問をさせていただきたい、かように思うわけでございます。  近年、地方においては、平成二年の国勢調査の結果に見られるように若年層を中心とした人口減少が再び広がるなど、地方全体の活力が低下している一方、東京圏においては、人口及び諸機能の過度の集中による過密の弊害がさらに深刻化しておる。このような状況の中で、魅力ある地方の創造により東京一極集中を是正して、国土の均衡ある発展を実現することが緊急な重要課題となっておる。最近の社会経済活動における電気通信役割の増大にかんがみれば、地方の活性化により魅力ある地方を創造するためには、電気通信を活用して地方の情報化進展させていかなくてはいけない、かように考えておるわけでございます。  郵政省の中でもテレトピア構想であるとか民活法の問題であるとか、または基盤法の整備、こういうことがなされておるわけでございますけれども、この中でテレトピア計画、こういうことを私も耳にしておるのであります。これは昭和五十九年五月にモデル都市の基本計画策定要綱を定め、各地方から提出された基本計画書を審査して六十年三月以降平成元年二月末までに七十カ所を指定されておるわけでありまして、実を申しますと、大変手前みそで恐縮なんでございますけれども、私の生まれ故郷である前橋市も指定を受けておる。しかしながら、私が前橋に帰っても、あまねく情報の均衡化のためにやられておるのであろうと思うのですけれども、なかなか実感としてわいてこないわけでございます。この辺のテレトピア計画の進捗状況と申しますか、その辺をまずお伺いいたします。
  24. 白井太

    白井(太)政府委員 先生ただいまおっしゃいましたように、情報通信というのが本当に、私ども日常生活はもちろんでありますけれども社会経済のいろいろな分野においてますます重要さを増してきております。まさに先生も御指摘のように、これからの均衡ある国土の発展あるいは東京圏への一極集中の是正ということのためには、やはり情報通信役割というのを大いに考えてやらないといけないのではないかというふうに思っておりまして、いわば地域振興策として私どもとしてはいろいろなことをやってきたわけです。  一番最初と言ってもいい施策として行ったのがただいまお話が出ておりましたテレトピア計画でありまして、これは地域にニューメディアと言われるような情報通信手段を導入することによりましてその地域の活性化を図るということをねらいにしたものでありますが、そういう施設を設置する方の立場からいたしますと、無利子融資が受けられるというのが大変魅力になっておりまして、CATVでありますとかその他のいろいろなニューメディアを使った地域づくりが進められておるわけでございます。実際に始まりましたのは五十九年度の一番終わりころ、六十年三月から実際には動き始めたわけでありますが、今日までに地域としては九十四地域を指定させていただいておりまして、九十四のうち八十六の地域では実際にシステムが動き始めております。なお、これ以外にも指定を要望してきているような地域もありまして、その地域でお役に立つようなものであれば、私どもとしては引き続き指定をさせていただいて、無利子融資などの便宜を受けていただきたいと思います。  これまでの地域にどのようなメディアを導入しているのかとか、どういう使い方をしているのかというのは地域によって随分違いますし、またその地域の例えば市長さんでありますとかその地域経済界の代表の方とか農業関係の団体の方などが非常に御熱心な場合とそうでない場合の違いもありますし、あるいは社会活動のどういう分野に関心を持っている方が多いかということによっても違うわけでありますけれども、使われ方は千差万別でありますが、できるだけいろいろな意味でその地域のお役に立っているようなケースについていろいろと私ども機会をとらえましてPRをして、こういう使い方もありますよとか、こういうような形でやったものが大変住民の皆様に喜ばれておりますよというようなこともお知らせするというか、そのようなことも積極的に考えてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  25. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 今の施策に対する御熱心な態度、本当に心から感謝申し上げる次第であります。  今現在、多極分散型、とにかく地方を中心として、そしてまた都市と地方との格差をなくしていかなくてはいけない、そういう中におきまして、民間だけでは何とも事業にならないものに対しまして無利子融資であるとかいろいろな諸施策によって援護していく、本当に私もぜひともこれからもお願いをしたい。  そういう施策の中で、別に並行いたしまして民活法施設整備事業というものがあると思うのです。これもかなり私もよく聞くことなんでありますけれども、これも同じような主体で民間事業を援助していくものか、その辺をお伺いしたいのです。
  26. 白井太

    白井(太)政府委員 私どもが実施をいたしております地方振興施策というのは五つ六つございます。実はそれぞれは別の目的を持っておるものでありますが、民活法施設整備事業について申し上げますと、これはその特定の地域に、私どもの関係で言いますと情報通信関係の特別の施設をつくりまして、それで情報通信についての啓蒙を行いますとか、新しいメディアについて身近なものとして地域の住民の方がそのようなものを利用したりすることができる、あるいは施設をつくったところで研究を行うとか、そういう特定の施設をつくるということがねらいのものでございます。  この民活法としては、郵政省だけではなくて多くの省庁が実は参画をしてそれぞれの施設整備に当たっているわけですが、私ども通信関係の施設としては既に十三の地域ができ上がっておりまして、この民活法という法律を活用しているという面では一、二を争うというふうに申し上げてもよろしいのではないかと思います。  なお、このような施設は、いわゆる第三セクターといいますか、市町村も一緒になってつくりました株式会社が事業主体になっておりまして、法律に基づくような要件を満たしておるという認定を受けますと、先ほどのテレトピアと同じような無利子融資が受けられますとか、あるいは財投計画に基づきまして開発銀行からの融資などが受けられるというような支援措置を受けるということができておりまして、これについても広い意味で地域振興施策ということでお役に立てさせていただくことができるのではないかというふうに期待をいたしておるところでございます。
  27. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 先ほどのテレトピア計画、この中で指定をし、そしてまたなおかつこの民活法、これによりましていろいろな指導をしていく。非常に調和のとれた情報の均衡化というか、大変歓迎しておるわけでございます。  それに加えてもう一つ、たしか平成二年の五月に特定通信放送開発事業実施円滑化法案、これは私も質問さしていただきまして、この内容は新規の通信事業に対しまして利子補給をしたり、そしてまたワラントを発行したり、非常にこれはすばらしい法案だな、民活になるなとつくづくと感じたわけでありますけれども、これは具体的に今どういう状況で、そして進捗状況はどういうふうになっているか、御質問させてください。
  28. 白井太

    白井(太)政府委員 私ども円滑化法と呼んでおりますが、一昨年の国会で法律を通していただきました。これは新規の通信放送事業を始めるというところに対して支援をすることによって情報通信振興を図ろうというものでございます。幾つかの類型がありますが、そのうちの類型の一つとして、地域通信放送開発事業というのをぜひ進めたいというのが入っております。これが実は大変多く利用をされておりまして、平成二年度で多分九件だったと思いますが、平成三年度では十三件くらいの事業がこの法律に基づく事業として認定を受けまして、利子補給などの支援措置の対象となっておるところでございます。
  29. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 今のお話によりまして、このいわゆるテレトピア構想、民活法、そしてまた円滑化法、こういうふうな諸需要によって通信網がまさにあまねくこれからも発展していくことを本当に希望するものでございます。  繰り返しになりますけれども、今地方の時代、まさにファッションであるとか教育であるとか、そしてまた労働条件、そして賃金、いろんなことが均衡化しなくてはいけない。そういう諸施策が全体で講じられておる中で、私はその中で一番大事なのは、やはり何といっても情報じゃないかなとつくづくと感じておるわけでございます。そういう中におきましてまさにこの三法案、三つの構想にょりまして、これからも情報があまねく均衡に流れるようにしていただきたい、かように思うわけでございます。この件につきまして、最後になりますけれども大臣に今後の地域情報化に向けた取り組みの仕方につきまして質問をさしていただきます。
  30. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 今までの委員の御発言を承っておりまして、まことにその感、大なるものがございます。情報化の急速な進展に伴いまして、産業あるいはまた国民生活などのあらゆる分野において情報通信の果たす役割が先ほども申し上げましたように一層大きくなっております。あるいはまた、多極分散の均衡ある国土の形成、一極集中排除あるいはまた均衡ある国土の発展、こういった地域の活性化を図るためにも、地方における情報化推進というのが大きく期待されてきているわけでございます。  情報というのは、もう言うまでもなくいつでもどこでもだれでもが公平に享受できるということが、私は近代国家あるいはまた高度情報社会の最も大切なことであろう、またそこが目標でなきゃいかぬというふうに思ったりいたしているわけですが、こんな観点から情報通信を所管いたしております郵政省としまして、特に今おっしゃられました地域情報化を進めるために実はいろんな施策を進めてまいって、しかも積極的に講じてきているところでございます。今国会に法案を提出させていただいておりますいわゆる地方拠点都市地域整備につきましても、情報通信期待する役割が極めて大きいことから、郵政行政としましても積極的にこれに参画いたしまして期待されている責任を果たしてまいりたいと思っておる次第でございます。どうぞひとつよろしくお願い申し上げます。
  31. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 今大臣の方からもございましたように、地方拠点都市地域整備、これは各省庁でやっておるわけでございますけれども、これがまさにこれから日本の諸施策の中心になっていくように願う次第でございます。  次に移りますけれども、次は郵便貯金制度のあり方について御質問をさしていただきたい、かように思うわけでございます。  郵便貯金制度は、御案内のように一八七五年、前島密によりまして創設されたわけでございますけれども、百十六年の歴史を持っておるわけでございます。この貯金は資金源として財政投融資原資になっておるわけでございますけれども、そしてまた、今までに国家建設のために大きな役割を果たしてきた。ところが、現在になりましたら残高も百五十一兆円とかなり膨らんできている。そしてまた、なおかつ我が国の個人預金の全体の三割を占める。それだけの肥大化をしてきている。そして、一方また、金融の自由化、これが今進みつつあるわけでございますけれども郵政省としては金融の自由化の対応に対して基本的な方針というのはどういうことをお考えか、御質問をさしていただきたいと思います。
  32. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 金融自由化に対応していく基本的な方針といたしまして、郵便貯金事業、この問題を私たちはもう一度基本的な認識をしていく必要がまずあるというふうに思います。あまねく公平に個人貯金サービス提供して、国民経済生活の安定、向上を図るとともに、社会資本整備などの公的分野への資金供給をいたしまして、公共の福祉増進に寄与をいたしてきていることは御案内のとおりでございます。  金融自由化は急速に進展しておりますが、郵政省としては、金利自由化の推進と商品・サービス多様化に積極的に取り組んでまいりまして、金融自由化のもたらす利益を国民に広く還元をいたしていく所存でございます。  また、金融自由化の進展に伴いましての事業の健全経営を確保するために、資金運用面の充実を図るとともに、事業全般の一層の効率化に努めてまいりたい。  全般的、基本的な考え方をまず申し上げさせていただきました次第でございます。
  33. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 公平に、そしてまたサービス充実していく、私もそれは大変結構なことであろうと思うわけでございますけれども、実を申しますと、私もいろんな方々にお会いしておると、その中では都銀の方、また地銀の方、また信組、信金、そういうような民間の金融機関の方のお話を聞きますと、どうも郵便貯金の金利がすべて市場金利に連動してないんじゃないか、その辺の多少の不公平感があるんじゃないか、そしてまた民間に対する資金の供給を多少妨げているのではないかなんという声も聞くわけでございます。そういうところにつきまして私も、それはとにかくいろいろな事情があるんだと説明はしておるのでありますけれども、いろいろなサービスそしてすばらしい商品が郵政省の方から出てくるということになりますと、そちらの方にまた資金も集中してくる。その中において、郵政省の方では預入限度額、これを設けておるのではないかと私は思うわけでございますけれども、この預入限度額、先般七百万から一千万に上がった。一千万に上がったということなんでありますけれども、例えば財形貯蓄の五百万であるとか、そしてまた住宅積立預金、この五十万を合わせますと千五百五十万。そしてまた先般、これは予算に認められませんでしたけれどもシルバープラン預金。これはどうなるかわかりませんが、これは郵政省側の皆さん方の御努力そしてまたアイデアであろうと私も思うわけでございます。そしてまた、なおかついろいろな形で運用面においてもいろいろな法案が出されておる。そういうことになりますと、民間の金融機関の皆さん方は非常に不安を持って考えられておる。この辺につきまして、郵政省が民間に対しましてどういうふうな接触をこれから持たれていくのか、その辺の御説明をお願いいたしたい、かように思います。
  34. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 大変ありがたい機会ですので、ちょっと私から基本的に郵便貯金というものを。  私、先ほど申し上げましたように、基本的にいかにこれは国民生活に大事なものであるか、あるいはまた、今おっしゃいましたように、前島密先生がこの問題に取り組まれて既に百二十年、言うならば政府国民、あるいは国家と国民、こういう信頼関係の中で培ってきた共有の財産だというふうに私は思うんです。この共有の財産をいかに、先ほど申し上げましたように国家に効率的に役立てるかということで、公共関係にも資金提供、あるいは財投という形で行ってきておるわけです。しかもまだ、昨年二度の金利の引き下げ、これも郵政省としてはいまだかつてない、民間とまさに連動した金利の引き下げを同日行ってきております。  私たちは、この郵便貯金というものに対する国民の一人一人の貯蓄熱といいましょうか、企業が貯金するわけじゃない、個人の貯金でございますから、その大切さというものを我々はお互いに共通の認識といたしながら、これから政府委員からの答弁をさせていただきますが、私は大臣就任さしていただきましたときに、この問題について特に私の考え方を記者会見でも申し上げましたので、この機会に私から一言、この問題についての認識を申し上げさしていただいた次第でございます。
  35. 松野春樹

    松野(春)政府委員 今先生御指摘の一番最後の点の民間とのかかわりということに絞りまして御説明させていただきたいと思います。  今私どももそれから民間金融機関も一番の関心事は、やはりこの金利自由化の流れをどうやって乗り切っていくかということになります。したがって、その意味では現在は、従来の規制金利中心型から市場金利型へ移行する過渡期にあるということで、若干のひずみが出てまいる要素は環境としてはございます。  そこで、郵貯の金利の決め方がいまだ市場金利連動になっていないという御指摘が冒頭ありましたけれども、私ども今の金利の決め方、三通りありまして、従来は規制金利のみでありましたが、先生御案内のように、昨年の十一月から、三百万以上につきましては、定期商品として、ニュー定期と言っておりますが、完全金利自由化商品を出しております、小口MMCといういわゆる市場金利連動の商品もあります。また、定額貯金という規制金利あるいは通常郵便貯金という規制金利も残っておるわけであります。これを、定期性のものにつきましては来年までには金利自由化する、流動性のものにつきましても遅くとも再来年の夏までには金利自由化するということで、官民の意識を、その辺のスケジュールは一致させながら今着々と進めておる最中であります。  そこで、こういう過渡期でありますから、いわゆる金利水準が、規制金利と自由金利の水準に間々ギャップが生ずることがあります。一つには公定歩合の改定発動のタイミングもあるいはあるかもしれませんし、それぞれの営業環境、昨年もいろいろ金融、証券関係で御議論がなされましたけれども、例えばああいう環境の場合、預金者がどういう選択をするであろうかというふうな問題も含めていろいろさまざまございます。ただ、これからいよいよ郵便貯金も金利自由化に入っていきますと、民間の金融機関と、先ほど先生不安の声を聞くということをおっしゃいましたけれども、私どもからも積極的にやはりよくコミュニケーションを展開してこれからは対処したい。現在、実は各地域で、いわゆる地域懇談会といいまして、地域の各金融関係の団体の代表者と、財務局も入っておりますが、私どもと今二回目の懇談会を展開中でございます。いろいろな場を通じて不安のないように、両方相まって競争しながら、なおかつ助け合うときは助け合ってというふうな観点から取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  36. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 温かいお言葉、どうもありがとうございます  しかしながら、何といっても、今のお話の中にありましたように、市場金利に連動させていくというお話があったわけでございますけれども、聞いておりますと何か切磋琢磨、そういうふうな雰囲気を感じるわけであります。同じぐらいの力を持っている者同士が闘うのであるならばこれは切磋琢磨をしてお互いに進展をしていく。しかしながら、郵便局というふうな形になりますと、信用度であるとか、また預金量の問題であるとか、かなりの力の差が民間とある。そういうことを考えた場合に、先ほどの懇談会をたくさん開いていただきまして、これからも、切磋琢磨でなくて共存共栄、ぜひともそういうふうなお考えでお願いをしたい、かように思うわけでございます。  質問、次に移らせていただきます。  二月二十六日の新聞に、「郵便事業赤字に」ということで、人件費の高騰であるとか物流費に圧迫されておる、そういうことが新聞に述べられておるわけでございますけれども、昨年度の郵便物は三七・四%増加した、そしてなおかつ郵便事業定員数は〇・九%しか伸びていない、そういうこと。もこれに書かれておるわけでございます。私も特定郵便局の局長さん方とは随分いろいろな話をさせていただいておるわけでございますけれども、その中で、どうしても人不足というか、機械化になじみにくい、人力依存度の高い郵便事業では、郵便物増加や激しい定員事情の中で要員確保という課題に本当に非常に厳しい状況が特に地方の方では展開をしておる。この辺につきましてどういうふうな対処策をお考えか、御質問させていただきたいと思います。
  37. 早田利雄

    ○早田政府委員 先生御指摘のように、郵便物数、最近大変ふえておりまして、それに要する要員の措置ということにつきまして、特に首都圏を初めといたしました大都市部におきましてそういう現象が激しくあらわれておるわけでございまして、これらの地域におきます要員の確保は私どもといたしましても最大限重要な課題だというふうに思って取り組んできたところでございます。  御承知のように、定員をめぐる情勢、事情につきましては、シーリング枠の設定であるとかあるいは定員削減計画とかいろいろございますけれども平成四年度におきましては、要員の確保ということを最重要項目といたしまして取り組みました結果、定員につきましても昨年の倍以上になります七百五十九名、また、非常勤職員といいますか、パートの職員の賃金につきましても、昨年、要するに平成三年度を四一%上回る額を確保するというようなことで、今後また予算の成立を待ちまして、都市部の郵便局、大変忙しい郵便局を中心に、そういう定員であるとかあるいは非常勤の雇用賃金というような要員措置を行っていきたいというふうに思っております。  それと同時に、やはりもっと機械化とか、部外委託であるとか、あるいは情報を利用したシステムの構築であるとか、このようなこともやっていかなければならないというふうに思っております。そういうことで、ふえます郵便の需要に対しまして適切な要員配置をやっていきたいというふうに思っております。
  38. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 人力依存度が非常に高い、そういうことで機械化もかなり難しいのでしょうけれども、その辺の効率化をぜひともお願いを申し上げたい。と同時に、繰り返しになるのでありますけれども、やはり何といってもこれから、都市においてはこれは当然でありますけれども地域に対しましても手厚い人の配分、再配分、こういうことをぜひともお願いを申し上げたい、かように思うわけでございます。  時間の関係もありますので、最後の質問にしたいと思いますけれども、いろいろな形で、生活関連法案であるとかそういう中におきまして、公共投資が叫ばれております。そういう中におきまして、民間部門ではなかなか不十分だなというふうなところで、公共投資に対しまして、郵政省がどういうふうな部門にどういうふうな形でこれから取り組まれるか、これを質問させていただきたい。
  39. 白井太

    白井(太)政府委員 平成三年度の予算から、公共投資について、いわば別枠として生活関連枠と呼ばれるような方向に投資をするという方針が決まりまして、どのような分野に公共投資の資金を回すべきかという議論が一昨年末大変激しく行われたわけでございます。  私どもとしては、かねてから、この情報通信というのはこれからの世の中においては大変な役割を担うものであるから、こちらの方面にもぜひ公的な資金を投入すべきだという考えを持って、関係の方面にいろいろとお願いをしてきたところでありますが、結果としては、平成三年度予算の中では十億余の公共投資予算を情報通信の方に振り向けることができることになりました。これは特に山間地域などにおきまして、移動電話とか自動車電話などが通じないような地域について、そういう地域をなくしていこうということのための予算でありましたり、あるいは、民間放送が全然見えないというような地域をなくそうということを目的といたしまして、そのための中継局というか、テレビの中継塔でありますが、そのようなものを設置するための予算枠をとったわけであります。  平成三年度に引き続きまして来年度予算につきましてもこれをさらに拡充しようということで予算案をつくりまして、現在国会に提出をさせていただいておりますが、平成四年度におきましては、このような事業は原則として市町村みずからが行うというようなやり方に変えようということを考えております。これは、今までの発想をむしろ転換をいたしまして、特に地方、中でも辺地と言われたり過疎地といわれたりしているような地域についても、基本的な情報通信手段については都会地と同じように利用できるというような状態にしていこうということがねらいにあるわけでございまして、当面は、そうしたものの拡充を中心に、公共投資予算を、できるだけ必要な額を確保できるように努力をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  40. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 今のお言葉、大変感激いたしました。何といってもこれから一番大事なのは、地方と都市との情報の格差の是正、そのためにはぜひとも生活関連の中からでも、また公共投資に一生懸命御努力願える、これによって本当にあまねく情報が均一化、そして公平化されると思います。ぜひともこの辺をお願い申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。
  41. 谷垣禎一

    谷垣委員長 次に、大木正吾君。
  42. 大木正吾

    ○大木委員 最初に、大臣にお伺いいたします。  きのう、所信に対しましての補足の口頭説明がございました。これに絡んで、所信の中にもございますけれども、ぜひ大臣に御自覚願いたいことは、今同僚議員の御質問たくさんございましたが、所管の大臣としまして、やはり自分の足元のお仕事の重大性、これは大きく分けますと、一つは、情報化時代におけるNTTあるいはKDDさらにはNHK、この情報がもたらす現在の産業社会に対する影響の大きさ、こういったもの、同時に、その傘下で働く従業員諸君の努力、そういったことが一面にございます。同時に、先ほど大臣も答えられた中にありましたが、個人の預金ということを中心としまして、一方で百五十兆の貯金がありまして、これは大体、一般に総額的に考えていきますと、日本国民の総預金額のほぼ三割弱になり、大変な数ですね。しかも、これが公的な資金にも大変使われますし、同時に国民サービスにも使われています。そういった面で、結果的には、百五十兆余りの貯金情報通信という問題につきまして、今日社会で非常に大事な仕事を大臣は所管されておられる。  そうして、三十万人というようにきのうありましたけれども、これは現業官庁の中における三十万でありまして、NTTとかKDDさらにNHKを含めていきますと六十万弱ですね。五十七、八万になるかと思いますが、そういった方々が懸命に汗を流しているわけでございますから、きのうの所信の最後につけ加えられた口頭部分でありますが、あれについて、しっかり責任を全うされて、いわば先頭に立って汗を流す、こういうお気持ちを大臣の所信の後段の部分についてもう一遍伺っておきたいと思います。
  43. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 大木先生からこうやって御指摘をいただいて、昨日の私の所信表明に続きますおわびの言葉にもどうも十分なものがございませんで、本当に恥ずかしく思います。  また、全く先生おっしゃられるとおりでございまして、今般の私に関する一連の報道や国会での質疑につきましては、まさに昨日も逓信委員長あるいは委員の皆さんにおわびを申し上げたごとく、本当にこの三十万人の、今現在郵政省の職員としてという感じで私実はこの三十万人の人数を申し上げたわけですが、しかし、まさにおっしゃいましたとおり、NTTあるいはまたNCC、KDDそしてNHKの職員の皆さんたち、こういう郵政省とのかかわりのある各従業員の皆さん方、しかもまだ、これらがまさに労使問題で本当にすばらしい成果と効果を上げて、国家のためにも、あるいはまた国民のためにも期待に沿っている、そして二十一世紀に向けまして、郵政省としての、あるいはまた郵政省にかかわりのあるこの事業分野といたしての飛躍しなければならない責任と使命で、まさに前向きで汗を流しておられる、日夜努力をし精励されている皆さんのことを考えましたときに、私と秘書との信頼関係、感情の行き違いということだけでは本当に済まされない責任の重大さを実は痛感してまいりました。先生、私は、全く自分でも本当に心から残念に実は思っております。  私も、きょうの一般質問で、まさに新しい時代対応する郵政業務あるいはまた郵政事業、あるいはまた新しい時代対応する、情報時代、高度情報社会の実現に向けた前向きの先生方からの御指導をいただき、まさに与野党一体の中でのこの日本の国内における、あるいはまた世界の中における日本の郵政関連の飛躍的な発展の第一歩にしたい、こんな気持ちで昨年就任させていただきましたが、本当に心の底から、私、またもう一度皆さんにおわびをしなければならないと思いますし、まさに自重自戒の私の日々であることもどうぞひとつ御理解をいただきたいのでございます。  とかく政治家は口先だけだと言われます。しかしそうでないように、昨年来、昨年の末からことしにかけましても、できるだけの自助努力をいたしてまいったという次第でございますが、何しろ不徳不明でございます。これからも御指導、御鞭撻をいただいて、私といたしましては、とにもかくにも先生方と一緒になって、先ほど申し上げました六十万人に及ぶ郵政省関連の職員の皆さん方、労使一体感の中で、私が先頭に立って裸になって汗を流して、そしてこの汚名を何としても取り返し、あるいはまたこの補いをしたい。これは本当に心の底からお誓いを申し上げたいと思いますし、そのための細部にわたる努力を、私としては、行動の面でも御理解、御認識いただくように努力をいたしてまいりたい。その悔悟の念、そしてまた反省の念でいっぱいでありますことをこの機会に私の心の底から御訴え申し上げて、御理解を賜りたいと思う次第でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。一生懸命頑張ります。
  44. 大木正吾

    ○大木委員 大臣のお気持ち、そのように受けとめていただきまして、ぜひ全責任、全努力を傾注していただくことを希望いたします。  次に、個別の問題に入りますが、最初に郵貯関係の問題について若干伺ってまいります。  日銀の公定歩合の引き下げのたびに、郵貯、特に定額等に対するシフトが起きる、こういった話が多く新聞等にも掲載されますが、この流れについて、昨年の大体夏ぐらいからですか、三回にわたる日銀の公定歩合の引き下げの都度とういう状況の変化が起きているか、もしわかっておりましたら貯金局長から伺いたいと思います。
  45. 松野春樹

    松野(春)政府委員 公定歩合が改定されますと、規制金利の場合、所定の手続に一定の期間を要します。閣議、政令改正等も必要になります。そこで、その期間の間に、これはある意味では当然のことでありますが、預金者はある程度長期性の商品に、余裕金がある場合に預入するという行動が起こります。駆け込みというふうも言葉もよく申し上げております。  昨年のケースですと、一番顕著にあらわれましたのが昨年の七月でありました。これは御案内のように、七月一日に公定歩合が改定されました。七月二十九日に規制金利が改定されました。約一カ月間で、しかもちょうどボーナス時期にかかっておりましたので、やはり私ども郵便貯金の場合、七月にしては、これはある意味ではいまだかつてない数字でありますが、三兆円程度ふえたという実績があります。これはやはり、先ほど申し上げた駆け込み預入といいますか、そういう預金者の方々の意識がお働きになったのではないかというふうに推測しております。タイミングの問題ということも一つあります。  それから、昨年の十一月の段階でありますが、これはむしろ十二月に控えました一年で最大のボーナスからくるいわゆる預全力といいますか、それを控えて、ちょうど規制金利と自由金利が少しギヤップが生じておりました。八月以降、自由金利が大口定期預金を中心にぐんぐん下がっておりまして、片や七月に改定した公定歩合はそのままでありましたから、規制金利の水準はそのままでありました。したがって、このままボーナス期に突入した場合どうなるかという点は、実は金融機関、私どもも含めましていろいろ話題になったわけであります。それに触れない形で、十一月二十五日でありましたか、規制金利の改定を行いました。この時点でのシフト問題というのはない、なかったはずであるというふうに私は考えております。  それから、十二月三十日の公定歩合の改定に基づきます一月の規制金利の改定につきましても、一月という時期がしからしめるところもありますが、これもそのシフト問題は発生していない。現在は総じてこの規制金利と市場金利水準が落ちついた形になっておりますので、今、私どもと民間の間でのいわゆる資金のシフトその他という状態は一切ございません。過去にそういう事例がありまして、それだけが理由ではないのですが、郵便貯金の御利用が順調であるという事態になっております。
  46. 大木正吾

    ○大木委員 別にこのシフトをしてはいけないということではないのですけれども、六年間で約五〇%ふえ、そのうち定額貯金が九〇%。これは新聞かなんかの記事から持ってきているメモなんですが、そういった実情であることは間違いありませんか。郵便貯金が百五十一兆五千七百七十一億円ですね。六年前に比べて約五〇%ふえている、こういう記事がありましたけれども、これは間違いありませんかね、そのうち定額が九〇%を占めているというのは。
  47. 松野春樹

    松野(春)政府委員 現時点での数字の約百五十二兆という数字は、おっしゃるとおりであります。  その五年前の数字、私ちょっと今記憶はあれですが、恐らく平常ベースに直しまして、私どもの年間の資金は平年度で十兆円はおおよそふえるという計算をしております。これは、実はそのうちの約八割近くは元加利子といいまして、たくさんの資金をお預かりして運用しておりますから、その年に発生する利子を将来いつ払い戻しになってもいいように実はあらかじめ繰り入れておるわけです。それが実際は八割ぐらいで、市場から一年当たり約十兆円という金が入ってくるわけではないという計算をしております。
  48. 大木正吾

    ○大木委員 実は大蔵省と郵政省との話が大分新聞ににぎやかに出ておりますので、大臣の先ほどの話もわかりましたけれども、とにかく、話が長引いてまだ話がついていない、こういうふうになっているようでございますけれども、この意見の食い違い、大蔵の言い方、同時に郵政省としての対処の仕方、これについて大臣なり担当局長から例えたらと思います。
  49. 松野春樹

    松野(春)政府委員 ちょっと交渉経緯にかかわりますので、私から最初に御答弁させていただきます。  定額郵貯の商品性見直し問題で、御指摘のようにるる報道されてきておりますが、この定額貯金の商品性といいますと、私どもがこの特色として考えておりますのは三点ございます。一つはやはり、十年固定金利で預入可能であるという長期性の点が一点であります。それから、預入後半年経過しますと払い戻しか自由であるという流動性も持った商品であります。それから、半年複利で計算をしているというふうな特色もあります。これが私は、定額郵便貯金の本来の特性であると思っております。  ところで、先ほど来話が出ておりますように、今金利自由化の流れを進めている過程にございますが、この規制金利である定額郵便貯金について、やはり自由金利化のらち外に置くということは不自然であるという考えを私どもも持っておりまして、遅くとも来年、一般の定期性預貯金金利が完全自由化になる時点までには、この定額郵便貯金につきましても規制金利から自由金利商品化したいということを前々から申し上げておるわけでありまして、その点の折衝を関係当局と実はやっているわけであります。  ところが、先ほど来御指摘ありますように、いろいろな経済環境の中で、むしろこの定額郵便貯金の先ほど私が申し上げました三点について、これは民間ではとり得ない商品だから改正しろという本質的な、実は、私の方から申し上げますと改悪論的ないろいろ御意見もあることは事実であります。  いろいろあれこれ議論をしてまいっておりますが、残念ながら今通常国会に御提出する法律案にはこの定額貯金の金利自由化につきましてまだ決着を見ておりません。現在は継続交渉をしておるという形で、これは必ずしも予算折衝マターではありませんので、協議そのものはこれからも熱心に続けていくつもりでありますが、先ほどの繰り返しになりますが、来年の夏ごろまでには何とかこれの自由金利化を図っていきたい、その方向で折衝の決着をつけてまいりたいということでございます。現状はそういう状況でございます。
  50. 大木正吾

    ○大木委員 ちょっと郵政省の方から資料をちょうだいいたした中で拝見いたしますと、利子の比較でいきますと、余り細かな数字は別にいたしまして、四年物くらいでもって大体民間の定期と定額貯金の金利が並ぶという状態ですね。五年くらい過ぎていきますと少しく定額がよくなる、こういう傾向値を持っていますね。あわせて、ちょっとこんなこと言って申しわけないのですが、一般の新聞なんかの書き方はまた激しいのですね。結局、「主な金融商品の金利」、「利回り」と、こう出ていまして、例えばMMC三年でもって六・二一九、これはいつのやつですかね。それで定額貯金の場合十年物でもって八・六四八、こう出ているのですね。四年物でもって比較をするというような記事になればこれは一般の方々理解しやすいのですが、ぱっと見たときにいかにもこの定額がべらぼうに金利が高いという形でもって読めますから。  そこで私、伺いたいのですが、大体定額も十年間満期で、満期まで持っているという方は恐らく田舎の素封家で余り事業なんかもやってないとかそういった方も多いと思うが、平均いたしまして定額貯金の場合には積立期間は大体何年くらいになっていますか。
  51. 松野春樹

    松野(春)政府委員 端的に申し上げまして、やはり三年たちますと相当程度お払い戻しになっておるようであります。したがって、定額貯金の金利につきまして、実は過去にもこの問題について改正した経緯がございます。現在、銀行に期日指定定期という定期性の預金がございます。これの二年の金利と定額貯金の三年の金利と同じような水準で運用を図ってきております。定額は十年まで入れられますが、もちろん預金者はいろいろ自分の預金をおろしてお使いになる場合が多うございますから、先ほど申し上げましたように、三年たちますと相当程度解約されるという統計的なデータは私どもは持っておるつもりでございます。
  52. 大木正吾

    ○大木委員 大蔵省の言い分を俗っぽく取り上げてみますと、結局十年間を三年から五年にしてくれという言い方とか、それから市場金利連動性にしてもらいたいとか、加えて引き出しのできない期間を六カ月を一年から二年にしてください、こういった話が生の話としては内輪では出ているのですか。
  53. 松野春樹

    松野(春)政府委員 先生お示しの点も含めてさまざまな議論をなされております。ただ、先ほども申し上げましたが、この金利自由化の流れに乗せるということ以外に、定額貯金、私どもの実は百五十二兆円の残高の八五%のシェアを占めておる主力商品であります。これのバランスを今後商品の多様化によってどう変えていくかということはまた別の私に課せられた課題でありますけれども、この商品の質そのものを単純に改悪するということは、私どもは到底これには応じられないという姿勢で今臨んでおるところであります。
  54. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 先ほど大木先生からの御質問の中にございましたので、一言発言させていただきたいと思うのですが、郵政省所管業務について郵政大臣が責任と権限を持って管理、遂行している郵便貯金事業については、もちろんこれは郵便貯金法にはっきり書いてあるわけでありまして、これも昨年、日銀の方でとかくの話がありました。私自身は郵政省、郵政大臣の所管にかかわる問題、これは少なくとも、閣議で国務大臣として国務大臣それぞれ発言をされるということなら別でありますが、しかし日銀の方からとかく言われるものではないのではないかという趣旨を実は発言をいたしておったのでございます。しかし、連携あるいはまた協調、協力ということは、これは国全体の金利政策を進める上においては当然意思の疎通を図り、国家国民のために、特に国民の利益を守るためにおいては協力、連携しなければならぬことは言うまでもないことだと思います。私はこうした責任と権限を踏まえながら、郵便貯金事業の遂行に当たって、しかも今局長が言われましたように自由化に向けてのいろいろな対応を考え、かつまた、適切に措置をいたしてまいりたいと思っております。事あるたびごとに郵便貯金あるいは定額貯金も含めて、これは国民の財産である、このことについて郵政大臣がその財産を預かっている、この中で私はいろいろな問題について対処、対応いたしてまいりたいと思っておりますので、ぜひひとつ御指導のほどお願い申し上げたいと思うわけでございます。
  55. 大木正吾

    ○大木委員 実は、昨年の年末ぐらいから私も中小企業の方々四、五人から陳情を受けまして、そして中小企業金融公庫に対して御紹介したことがあるのですけれども、これは茨城県だとか千葉県だとかありまして、別に自分の選挙に関係はないのですけれども、とにかくそのときに言われますことは、市中銀行、地方銀行、都市銀行は貸さないというのですね。手続が非常に面倒だ、担保についても高い、そういった話がありまして、そのうち二、三件については中小公庫の方々にお世話になったのですけれども。  先ほど大臣のおっしゃったとおり、国民の共有財産であることは間違いありませんし、同時に金融事情の変化に従いまして、政府系金融機関がどうしても面倒見ざるを得ない問題が出てくるでしょう。そういったことも非常に景気動向と関連いたしまして深く考えるべきであるし、貯金局長大臣もそうですけれども、大蔵との折衝の際には自信持って主張していただきたいし、財投資金なんかに対する問題もそうですからね。資金運用部の資金の三〇%以上が郵便貯金なんですからね。そういったことを考えていただきたい。  最後に郵貯との関係、言えば銀行と郵貯の関係について、皆さん方は体験がない、大臣なんか郵便局には貯金されていますか、どうですか。  結局こうなんですね。私の家の近くに、すぐ目の前に協和埼玉がありまして、私の月給は国会からそこへすぼっと入ってくるのですね。それから約四、五十メートル行ったら特定局がありまして、杉並の局が奥にあるのですけれども、家内なんかが行って一番言いますことは、銀行く行きましてカードでやっているうちはいいのですが、窓口へ行って二十万貯金を下げるなんて言いますと、自分の孫みたいな娘から、奥さん、これ何に使うのですか、こういう話が出るというのですね。確かに銀行はきれいな感じがいたしますけれども、郵便局へ行った場合にはそういった話は全くないので、そのまま素直に出してくれるというのですよ。しかも、あちこち現場を回りますと、田舎に行きますと、長野県とか千葉、埼玉等もそうですけれども、窓口を自分がつくった盆栽でもって飾るとか、そういったことをどんどん郵便局はやっていますよ。そういったことで、私よく言うのだけれども、サンダルで入っても気にならない雰囲気が郵便局にはあるというのです。庶民性があるわけですね。それの違いが、それはお金持ちはわかりません、一般の庶民大半というものが感じるサービスの違いというものはそういった庶民性の問題の中にあるんだということをしっかり自信を持っていただかなければなりません。  同時に、使い逆の面では、まさしく国民共有財産でございますから、金融事情によりましては政府系金融公庫が働かなければならぬときがございますし、同時に、ちょっと大臣、気になることは、日銀が金利を下げるのが最近は余りうまく機動的に有効に働かないのは、定額貯金があるからだ、こういうようなことをちらほら言い始めている紙面なんか拝見いたしますが、これについてはどうお考えですか。
  56. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 先ほど申し上げましたように、民間金融の問題点といいましょうか、あるいはまた現況について、どうしてもこの郵便貯金を何か言いわけのてこにするみたいな傾向がないとは言えない、あるとは断定しませんが、しかしどうもその感があります。現に私、実は先日の経済閣僚会議がございまして、月例の報告がございました。そこでも若干、実はそれとはまた意味が違うのですけれども、時間もございませんので詳しいことは省きますが、郵便貯金の方にシフトしているのが理由の一つだという日銀当局からの話がございましたので、私は即座に、その発言はそのまま聞き捨てにはできないと、郵政大臣として注意を促した場面も実はございました。  私は、民間金融と郵便貯金との関係というのは、そもそも本質的に同じように考えるところに無理があると思うのです。先ほど来申し上げておりますように、我々の方は個人の貯金も言うならば国民の財布がわりにお預かりしているということであり、しかもまだ、国家というものあるいはまた職員といいますか、労使一体感の中で今やっている、このすばらしい郵政事業の中の貯金業務というものに国民利用者がニーズの中から信頼をしてこの定額貯金にも移行しているという現況は、私は、先生おっしゃるように堂々と胸を張って、この問題については我々は一歩も退かず、かつまた、国民の利益を守っていく、利用者の利益を守っていくという考え方で対処すべきだというのが私の偽らない心境でございます。そのように頑張ってまいりたいと思いますので、御指導のほどをお願い申し上げます。
  57. 大木正吾

    ○大木委員 今のことに関連いたしましてもう一言申し上げておきますが、結局経企庁ですらも三カ月、四カ月も景気見通しを狂わしているわけですね。そしてやはり私たちが見ている目では、私は前に大蔵委員会におったのですけれども、最近の各産業あるいは工場ごとの資金の需要を非常に抑えていますよね。だから最近のマネーサプライの二%を切るような問題につきましても、何かそれが定額貯金にシフトしたことと連動してとられてもこれは困るのでして、むしろ景気動向との兼ね合いで、企業が金を使うことを遠慮しているといいますか、控え目にしている、こういった問題が根幹にありまして、これは、景気が少し秋口に本当によくなれば都市銀行等に殺到するという感じもしないでもありませんし、そういった点を金融関係全体の議論の際には幅広く、ぜひ局長にも議論していただきたいし、私自身、郵便貯金が、特に定額貯金が敵だという形は——おっしゃるとおりですよ。個人が貯金して個人が使っていますね。しかも郵便貯金を工場の投資に貸している例はないわけです。都市銀行、地方銀行の大手は、みんなこれを会社に、法人に貸しているわけですからね、使い道が若干違うのですね。そういったこと等も分析をされながら、日銀、大蔵との問題については、これから大変御苦労でしょうけれども対応してもらいたい、こう考えております。  次に、NTT関係です。  最初大臣に伺いますけれどもNTT関係につきまして最近少し経常益がダウンしているという話がございます。この問題について大臣なり電気通信局長ですか、どういうふうにお考えになっておられますか、それから冒頭に伺っておきます。
  58. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 最初に、詳しいことは局長の方から答弁させますが、NTTにつきましては、私は、実はこれも就任以来、まさに労使一体で極めて努力をしている、しかも行政改革という大きな波を受けて、その中でもお互いが信頼し合いながら、国家そして利用者のためにどうこたえるかということで大変な汗を流してきているというふうに思います。前段そういう認識の中で、かつまた、政府として過去定められました一つNTTの進むべき方向性、そういうテンポも決して劣ることなく一歩ずつ着実に実現、実施をしているということも評価していいのではないかと思うのです。  ただ、御案内のとおり、全般的に増収減益という現況になってまいりました。まさにこのNTT自身も国がまだ三分の二という株を保有しているということから考えてみましても、これは民間ではありますが、しかし、政府に極めて大きな責任がある、こういう現状認識の中で、私は、NTTの労使それぞれが努力をしていただきまして、そしてNCC、新規参入の機関とも協調し、いい意味での競争をしながら、ニーズに対してこたえていっていただきたい。そういう環境の整備を行政として今までの当初の考え方だけで果たしていいかという問題も一面持ちながら、いや、疑問を持って見直すという意味ではなくて、しかし、時代対応し、出てくる現象というものをとらえて、これは民間に株主が存在してきている昨今ですから、当然そこの責任として、一本やり的な考え方だけでなくて、時代対応そして経営の現況、そういうものをよく見ながら、担当する局長を中心にして御期待にこたえられるNTTとしての育成かつ活性化のために努力をしていかなければならない。非常にアバウトな言い方でございますが、私は、基本的な考え方だけ申し上げておきたいと思う次第でございます。
  59. 森本哲夫

    森本政府委員 大臣から概括的なお話がございましたが、お尋ねが最近のNTTの経営状況ということの問題でございます。御案内のとおり、平成三年度の、去年の三月になるわけでありますが、この事業計画を立てました際には平成三年度の経常利益は四千二十億円ということになっておりましたが、去年の十一月の中間決算時の状況から、通期全体として平成三年度はこの計画をやはり訂正、下方修正しなければならぬ、具体的には三千七百五十億円程度と見込む、こういう御報告を受けておるわけであります。  これは計画に比べてどこがどうなっているかということも我々は子細な報告を受けたのでございますが、一つはダイヤル通話料の収入が減になっておる。あるいはムーバの、例の携帯電話でございますが、そういう増産のおくれによる携帯電話収入が思ったよりは内輪にならざるを得なかったというような収入の面での計画が異なったということと同時に、支出の面でもベアによる人件費等が予定よりは上回っておる。こんなこと等で、さっき申しましたように、全体として二百七十億円下方に修正せざるを得ない、こういうことでございます。  なお、これも大臣申しましたが、平成二年の実績と通期見通しがこのとおりになるとして、平成三年度として見ますと、収支全体では増収にはなっておるわけでございますが、費用が上回る、その結果減益になっておる、こういう状態でございます。  これには最近のNTTの料金の大幅な引き下げというものも当然原因になっていましょうし、またNCCとの競争の進展ということもこれまた計算の中に入れなきゃならない。さらにまた、最近の景気がダウンしているということも通話料収入の減になっておる、こういうことも事実だろうと思います。なお、物件費だとか業務委託費による経費の増というものも要因になっておることも、これも確かでございます。いずれにしましても我が国全体の景気が落ち込む中で、各企業とも今の見通しては相当本年度は減益になるようでございます。その中で、依然として一つの企業として三千七百五十億円という大きな利益を上げられておる。これに匹敵する企業は、見回しても日本にあと一つくらいあるかないかということだと思うのであります。そういう意味ではNTTの経営努力というものを大変多とするということでありましょうが、何にしても、しかし、電気通信市場は大変な成長分野ではございますので、さらにNTTの経営努力というものを期待いたしまして、市場の拡大あるいは経営の向上に努めていただいて、利用者期待にぜひこたえていただきたいものだ、こういうふうに考えているところでございます。
  60. 大木正吾

    ○大木委員 平成三年の場合には、平成二年三月三十日、郵政省の方から御指導いただきました電通審の答申に基づく措置ですね、これずっと私拝見いたしまして、当局にも若干聞きました。そして大きな問題としますれば、四月から始まります事業部制を徹底してもっと収支等を明確にしていかなくちゃいけない問題とか、あるいは移動体通信の分離の問題でございますとか、さらに目立ちますものは、やはり料金値下げがここ数年間に相当に競争の中でもって進んできました問題もありますし、さらには電話局の数でいいますと、私もドサ回りが多いものですからつい泣かれちゃうのですけれども、例えば千葉県の場合、館山ですね、中村正三郎さんの選挙区だけれども、館山から木更津までといったら相当な距離になる。車でもってぶっ飛ばして、すいたときでも一時間余りかかるのですね。そういったところで今NTTの場合に支店とかそういうのを含めて二百三十くらいしかないのです。民営化の前に二千何百あったのですね。ずっと仕事の面でも合理化してといいますか、効率化していることは間違いないですね。逆に今度は、今森本さんおっしゃったとおりバブルの影響がありまして、会社を経営いたしましても、例えば交際費をもっと減らせとか、あるいはハイヤーに乗っている者はチケットのタクシーに切りかえろとか、電話の市外は高いからなるべく安い方にシフトしていけとか、そういうことが出てきますわね。そういった影響を外面的に受けるということは間違いないと思うし、森本局長に伺いたいのは、要するにおたくの御指示によりまして実行しているNTT努力、これについてまだ生ぬるいというような面がもしございましたら御指摘をいただきたいし、同時に、まあまあ一年目であるからこの程度かなという感じのものであればそうでも結構です。なかなか総合的にこれ大分数がたくさん出ていますから。  同時に要員の問題等に触れていきますと、要員の方は予定の二十三万人体制に向けて着々と努力しているようでございますし、多いときには一万人以上も削減しているときもあるようですから、そういったものも含めて総合的な進捗状況に対する森本局長の評価とでもいいますかね、そういったものをいただければと思うのですがね。
  61. 森本哲夫

    森本政府委員 大変広範な御質問でございますが、政府措置についてはもう御案内のとおり、これは現下の日本電気通信市場の構造がさらに競争を伸展させるにはさまざまな措置が要るという観点から、確かに多岐にわたっている項目になってはおりますが、このうち今御指摘のように事業部制の導入の徹底を図るというのは、これはもう四月からいよいよNTTの方でも相当の御努力、御尽力をいただいて全体の仕組みがほぼでき上がっておる状態でございますし、また移動体の分離についてもこの夏の株主総会で整理をいたす、こういう状況になっておるわけでございます。  この間、こうした大変大きな、NTT内部における措置としては大きなものでございますが、こうした趣旨、その意義ということについてはNTTにおかれても十分理解をし、積極的に取り組んでもらっているものと評価をいたしております。  ただ、政府措置全体についてはこれ以外にたくさんのさまざまな項目がございます。新事業者の接続の円滑化の問題であるとか、あるいはディジタル化の前倒しの問題とか、そうしたさまざまな問題もございますので、今後ともこうした合理化の推進とともに政府措置の着実な実行というものを図ってもらうことによって、日本電気通信市場がさらに一段と競争環境の上で前進した形でその利益が利用者国民に還元できることになるものと考えておるところでございます。
  62. 大木正吾

    ○大木委員 進行過程の問題でございまするから、今のようなお答えで結構でございますけれども、ただ心配いたしますことは、財界の一部には再来年にならなければ景気は回復しないとかやばい話もございまして、十月ごろと私自身も感じてはいるのですが、やっぱりこのバブルが完全なはじけ状態ですね。どこまで調整期間が続くのかという問題もございますし、証券界はまた新しい問題を出していまして、非常に心配な面も多いのですね。結局、今の森本さんのお答えにありましたとおり、確かに各企業全体が投資は少し減らしていますし、同時に合理化、効率化をどんどんやっていますね。そういった影響を受けているのは間違いありません。  ただ、ちょっと気になることを二つほど伺っておきたいのですが、今回の国会に出されます株式に関する外国開放問題とあわせましてエクイティーファイナンス問題ですね。要するに財源調達問題、これが私の手元に来ました当初の法案要綱の中にはあったのでございますけれども、二回目に来た中にちょっと漏れていたものですから確かめたかったのですが、確かめている時間がなかったものですから、きょうここで聞いては失礼ですけれども、エクイティーファイナンス問題については、これは行政的に許認可でできるものなのか、あるいは法律改正が必要なのか。同時に、それについて郵政省といたしまして許可される、今すぐにはできませんでしょうけれども、年末等、資金がある程度出てきた、経済状況が変わったとき、機動的な発動ができる形にしておいてあげた方が、今お答えにありましたとおりまさしく一兆九千何百億かの建設資金で仕事をしてきたものですから、そういった面にも有効に働けなければいけない、こう考えていまして、その辺のことについて局長、ちょっとお答えいただけますか。
  63. 森本哲夫

    森本政府委員 お尋ねのエクイティーファイナンスの問題、これは現下に、直ちに、今の御指摘のような、先生のお話のような、資本市場の中でNTTがとり得るような状況にはないとは思っておりますが、ただやはり今後の資金調達手段をできるだけNTTの方で多様化してもらう、そういう意味で今後新株発行でありますとか、あるいは転換社債の発行とか、市場の状況に応じてその可能な措置を講じるというのが基本的な私どもの考えでございます。  昨年六月でございましたけれども、こうしたエクイティーを行います場合には端株というのが避けて通れないわけでございますが、この端株の扱いに関しましてい従前では手当てができてなかったわけでございますので、まず、昨年の、端株の取り扱いの簡素化に関する定款の変更ということを認可いたしてございます。  もう一つ、法律の問題がございますが、これは御案内のとおり、NTT法の第四条の第二項のところで政府の三分の一の保有義務を定めておるわけでございますので、こういうエクイティーによって株がふえたときに三分の一の保有義務がどうなるかという問題がございましてそうしたときに政府が新たな予算をもって買い増すということも一つの方法ではございますが、今後、市場の状況によって機動的、弾力的に対応するという意味では、そうした方法のみでは不十分ではないのか、こういう観点から、現在、必要な法律上の措置について検討をいたしておるところでございます。ただ、これはちょっと法律的にいろいろ議論があるものでございますから、まだ成案を得てないわけでございますが、外資の規制の緩和とあわせてこの問題の整理をいたして国会にお諮りをさせていただこう、今こういう状況にございます。
  64. 大木正吾

    ○大木委員 局長から前向きの答弁をちょうだいいたしまして、やや安心していますが、何分よろしくこれはひとつお願いしておきます。  それから、これはバブル問題なり経済動向との関係におけるNTTの経常益の減ですね。もう一つ、実はこれは大臣御承知ないかもしれませんが、NTTとNCCグループとの競争の中におきまして——例えば東京に汐留という駅がございますね、あそこにべらぼうに大きなトラックが入ってきたり貨車が入ってきたりするでしょう。大きなトラック、荷物はたくさん来ますから、トラックが走っている東名とかなんかという道路の場合とか、大量の荷物がばあっと来るときはそれでいいわけですね。ところが、積み込むときと荷物をおろしまして配達する、この方に実は費用は相当多くかかっているのが事実なんですね。NCCの第二電電の場合でございますと、ちょっとこれは私が自分でメモしたのですけれども、やはり中継ネットワークといいますか、要するに自分たちの道路とか鉄道とかそういった所有地、これに対して東京とか大阪、名古屋の間をずっと市外のケーブルを、光ファイバーを引きましてサービスをします。ところが、今大都市の中で土地の所有権をめぐっていろいろな問題がごちゃごちゃありますし、一番費用がかかっているのは、渡辺さんのお宅に電話をつけるとき電話局から持ってくるでしょう、この分が一番金がかっているわけですね。私のうちもそうですけれどもね。ですから、そういう関係の状態について、NCCグループとNTTが大体日にちを二年後ぐらいに切りまして話が進展しかかっているかに見受けるわけでございますけれども、これについての、森本局長なり大臣のよろしき御指導のもとに、まさしく公正な競争が本当にできまする状態に——今まではガリバーと子供、これでいってきましたね。今では、量的にはNTTは確かに大きい。しかし、質的に見ていきますと、一番収益が上がりやすいところは第二電電が仕事されておられて、端末の方の個人に対するサービスの部分はNTTの回線とか設備を利用してやっているわけでございます。その費居負担等も含めて何か話があるようでございますから、この辺は非常にデリケートな質問で申しわけないのですけれども、とにかく前向きの処理方をひとつよろしく御指導のほどをお願いしたい、こう思っております。
  65. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 現況、詳細については局長から答弁させますが、今先生の御指摘の点は私極めて大切に重視いたしております、そのことだけ申し上げさしていただきます。
  66. 森本哲夫

    森本政府委員 御指摘の問題は、いわば電気通信市場構造全体の問題についての御指摘だろうと思うのでありますが、結局、競争を昭和六十年に解禁をしてやってまいりました結果、日本の一軒一軒、今御指摘のございますような市内の電話については競争が入らなかった、事実上NTTが独占をしておる。入ったのは、いわば高速道路のような形でのNCCの長距離系あるいは自動車電話みたいな形が参入したわけであります。しかし、この新しい事業者はすべてNTTの市内網に接続をしてもらわなければ競争が成り立たない、NTTと単独でビジネスができない、そういう意味では日本の産業の中でちょっと類を見ないような格好の競争状態だろうと思うのでございます。  そうした中で、クリームスキム的な商売ではないかという議論も確かにあるようでございますが、NCCの動きを見ておりましても、やはりそういう態度でビジネスを展開しますと結局お客さんが十分ついてこない。いやでも応でも全国ネットをある程度展開して、そしてNTTとうまく接続して初めてビジネスが成り立つというようなことでございまして、NCCの方も、今の状況を見ましても、売り上げの七割程度を次の投資に振り向けないとどうにもならないというような状態で、まだまだNCCの方もイバラの道がここ当分続くのではないか。現に今六十数社新しいNCCもございますが、配当ができているところは一社だけでございまして、大半は累積赤字を抱えているような状態にもございます。そうした構造の中で、今後、市内への接続をして初めて成り立つという構造の中で、NTTとNCCが競争条件をイコールにしながらお互い切磋琢磨できるように、そして本当に実りある競争で、その利益がユーザーに還元できるような形、これをひとつ最大限の私どもの大きな関心事に置いて進めてまいりたい、こう思っておるところでございます。
  67. 大木正吾

    ○大木委員 これで終わりますが、いずれにいたしましても、バブルがはじけましてまだまだ経済的な不安定状況が残っておりますし、私たちが希望するのは、どうしてもことしの秋口、十一月ごろには遅くとも景気の回復が望ましい、そういった中で、ある程度企業、産業関係にも活気がついてくることが必要でしょうし、国の税収自身も大分今度大変なわけですから、NTTの株自身も、これは法案が出てきたら議論になりますが、配当は、たしか初代真藤社長のときに、経常並四千億円ないと配当一割確保できないということを言い残したのが私の耳に残っているのですが、当時、私自身参議院におりまして、逓信委員長としてこの法案を仕上げるときに仕事をしたのですけれども、そういった経過等を踏まえたり、特に全国ネットワークですね、アメリカ等に比べて光ファイバーの敷設なんかおくれていますから、一兆九千億前後の建設資金がことしも来年も続くわけでございますから、大臣、そういった点で、一生懸命に現場が努力しておりますのを見ていますものですから、ぜひそういったことを生かすためにも、きょう申し上げたのは、NTTなり郵政省の責任じゃありませんが、経済の進路、これについての間違い、あるいはいい方向ということを引き出すことは、単に国内的な問題じゃなしに国際的にも、さっき同僚議員の質問がありましたとおり、国際化時代に対して日本通信関係あるいは郵政関係もどんどん支援していかなければならない時代に入ってきましたし、同時に、特に黒字国ですね、黒字国として世界から、懐の、財布の中身もはっきりわからぬと思うのですけれども、何か日本の国全体が大金持ちの形で見られておりまして、そういう点からしても日本経済の立て直しか極めて大事だし、その一角をなす郵政事業全体というものはやはり大変なものだと思いますから、そういう点ぜひ御把握いただきまして、今幾つ質問の中心点で申し上げたのでありますが、ひとつ何分の御指導、同時に皆さん方の御努力をお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  68. 谷垣禎一

    谷垣委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     正午休憩      ————◇—————     午後一時開議
  69. 谷垣禎一

    谷垣委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  逓信行政に関する件について質疑を続行いたします。武郎文君。
  70. 武部文

    ○武部(文)委員 私は、時間の関係で郵政三事業に限って質問をいたしたいと思います。  大臣所信表明にも郵便、簡保、貯金の問題が取り上げられましたが、最初に郵便事業について何点かお伺いをいたしたいと思います。  百二十年の歴史を持つ郵便事業が非常に順調に、しかもモットーとする迅速性やあるいは正確性で大変高い評価を得てまいりました。特に三公社が民営化されましてから、それぞれ大変活発な営業活動が展開されまして、郵便事業でもかつてない営業というものが表面に出てまいりまして、それが成績と結びついて大変堅実な運営がなされてまいりましたことは、私どもとしては、今までの逓信委員会の議論の中でも考えられないような状況になりまして、大変御同慶にたえないと思っておるところであります。  値上げがされましてから十年たったわけでありますが、十年間料金を上げないで黒字の経営を続けてまいりました。こうした健全経営が維持された理由は一体何であると考えておられるか、これをまず最初郵政省にお伺いをしたい、こう思います。
  71. 早田利雄

    ○早田政府委員 郵便事業が民間宅配便やあるいは電気通信メディアとの競合の中で、先ほど先生からお褒めいただきましたように健全な財政を維持することができましたこと、その基盤というのは、やはり近年におきます安定した労使関係を背景といたしまして、全職員が一丸となってお客様に信頼されるサービス提供ができたことによるものというふうに考えております。加えて、その間の我が国経済の好況に伴いまして、郵便物数も順調に増加してまいりましたし、さらに私ども郵便事業といたしましても、いろいろなサービスの開発とかあるいは効率化、合理化の推進などの成果のたまものではなかろうかというふうに思っておるところです。  具体的には、幾つもございますけれども、主なものを挙げてみますと、五十九年二月に従来の輸送方式を鉄道から自動車へかえたという輸送体系の改正、そしてまた六十二年を初めといたしまして、広告郵便物の創設であるとかカタログ小包郵便物の創設、あるいはいろいろな料金割引制度の充実であるとか、あるいはふるさと小包の開発というような多種多様なサービスの開発、改善の結果でもあろうと思っております。  またもう一つは、作業の機械化とかあるいは区分運送システムの改善あるいはロールパレットシステムの導入とか、そういういろいろな効率化、合理化の推進のたまものでもあったろうと思います。そしてまた、お話ございましたように、やはり積極的な営業活動を展開するようになったということも大きな要素であろうというふうに認識しているところでございます。
  72. 武部文

    ○武部(文)委員 きのうの、きょうもそうでありますが、「郵便事業赤字に」こういう大きな活字が新聞に出たわけであります。確かに平成二年度の決算を見ますと前年度よりも収支が悪化をしておる、こういう状況が見られるわけでありますが、平成三年度決算の見通し、まだ三月はございますけれども、大体の見通しはどういうことになるか、これをお伺いをしたいのですが、この新聞報道によると、何か六億の黒字どころか百億円の赤字ベースだ、こういうようなことが相当詳しく書いてあるので、これは郵政省から出た数字ではないかと思うのですけれども、今申し上げたような三年度決算の見通し、これについてちょっと述べていただきたい。
  73. 山口憲美

    ○山口(憲)政府委員 御説明申し上げます。  先生からただいまお話しいただきましたように、郵便の財政につきましては五十六年から十年間単年度の黒字を重ねてまいりましたし、それからまた、その間、六十二年度にはそれまでの累積も消すことができたというふうなことで健全な状況で推移してまいりまして、ただいまお話平成二年度につきましても、百二十五億という利益を計上することができました。ただ、この点も先生からお話がございましたけれども平成二年度のこの百二十五億というのは、平成元年度の利益が百六十六億というふうなことでございまして、減益の傾向にあるということでございます。  そこで、平成三年度の損益の見通しということでございまして、御指摘のように昨日、けさの新聞にいろいろ出ておりますが、私どもとしましては、計数で今後の状況というのはまだ推計できるような状況にございません。したがいまして、現時点で計数をもって御説明をするということはできがたいわけでございますが、ただ、極めて厳しい状況にあるということは申し上げられるかというふうに思っております。  若干内容についてコメントさせていただきますと、まず収益面でございますけれども、郵便業務収入、これが一月末の累計で一兆四千六百七十三億となっておりますが、これが前年度の伸びの実績に比べまして四・八%というふうになっておりまして、前年同期の七・三%というのに比べますとかなりこの伸びが落ちているというふうなことがございます。  それからまた、収入印紙というのは、我々にとって取扱手数料がかなり大事な要素になっておりますけれども、これもどうも最近、昨年よりも落ちているというふうな状況にございます。これにつきましても、この三月期が非常に需要期になるものですから、それがどういうふうになるかというふうなことで大変心配しております。  いずれにいたしましても、郵便にしましてもただいま申しました収入印紙等の問題に見ましても、やはり最近の経済の減速傾向というふうなものを反映してこういう状況になってきているのかなというふうに思っている次第でございます。  それからまた、一方、費用の方でございますけれども、御案内のように三・三六という仲裁裁定が出まして、これに対する経費が必要であるというふうなこと、それからまた、この業務運行を確保していくためにいろいろと経費が増加してきていること、特に人手不足に伴いまして賃金の経費が非常にふえてきていること、あるいは集配運送費というふうなものが増加してきているというふうなことがございまして、費用の面でもかなりの圧迫要因になってきているというふうなことでございます。  いずれにいたしましても、そんなことをトータルで考えますと、本平成三年度というのはこれまでの十年間と違ってかなり厳しい結果になるのではないかなということで、この計数の推移を注視していかなければいけないなというふうに思っている段階でございます。
  74. 武部文

    ○武部(文)委員 三年の見通しは、この新聞に出ております数字を今の答弁は大体裏づけておるように思いますが、二年よりも三年はさらに経営が悪化をしておる。それならば一体四年度の郵便会計の損益の見通しはどういうふうに見ておるのか、これを簡単にちょっと御説明してください。
  75. 山口憲美

    ○山口(憲)政府委員 ただいま御審議をいただいております平成四年度予算の郵便事業の損益でございますけれども、これにつきましては、ただいま申し上げましたような傾向の上にございまして、端的に申しますと、これは損益勘定のベースでございますけれども、四百三十億円の赤字というふうなことでございます。すなわち収益が一兆九千四百五十四億円、費用の方が一兆九千八百八十四億円ということで、差し引き四百三十億円の赤字の予算を審議いただくような形になっているということでございます。
  76. 武部文

    ○武部(文)委員 お聞きいたしますように、郵便事業は非常に悪い状況に向かっておるということが今の経理部長お話でわかりました。これまでは職員の努力、そういうものによって何とか順調に経営が保たれてきたわけでありますが、不当な、シーリングというような全く特別会計には似つかわしくないやり方が郵政省にも圧力として加わってまいっておるのであります。我々は、特別会計でありながら何でそういうことをはね返せないかということを何回かここでやりとりをしたわけですが、来年度の予算にも相変わらずそういう状況が数字の上にあらわれておる、こういうふうに見なければならぬと思います。  特に、物数がどんどんふえてまいりましたので、地方と大都市とはふえ方が違いますけれども、今までは地方の比較的物数の伸びの低いところをピンはねして都会へ集中して異動させる、定員の異動をやって何とかつじつま合わせをやってきたわけですが、地方の連中から見ると、自分らのところもふえておる、なぜ自分のところを削ってあっちに持っていくか、そういう不満は非常に多いのです、地方を回ってみますと。しかし、全般的な体系の中から見れば大変忙しい、大変な状況の都市圏その他に定員を持っていかなきゃならぬということで、何か組合側もこれを了承してそういう話がずっと進んできた、そういう努力の結果、何とか今日まで保たれてきたと思うのですけれども、もう限界に来ておる。  これは郵便局の現場へ行ってみれば一番よくわかることでございまして、私どもは東京都内や神奈川の現場を視察してまいりました。想像以上に臨時職員が多い。本務者よりも臨時職員の方がどんどんふえ方が多くなっておる。しかも人件費はパートの関係がありましてふやさなきゃやってこない、若い人たちもなかなか定着しない、そういう状況が今日都市圏の郵便局の実態であります。地方もそれなりの定員が配置してあるわけですから、物数がふえていくわけですし、それぞれ労働強化になっておる、こういう実態であります。したがって、今のところ定員が増になりませんから臨時職員を増加をしなければ運営できない、そういう状況になった。したがって、人件費がかさんでくる、こういうことになるわけで、御努力によって四年度の予算では四一%ですか、お話があったように大変伸びは大きいようですが、これとて、それじゃこれで満足できるかというと、私はそういうことにはならないと思うのです。  したがって、こういう曲がり角に来た郵便事業、定員はふえない、人件費はどんどんかさむ、郵便物はふえる、しかし約束をした翌日配達は守っていかなきゃならぬ、迅速性、正確性が郵便のモットーだ、これを持続していくためには一体今のままで本当にできるだろうか。翌日配達ということを約束したけれどもできなくなってきた。どうもおかしいぞということになってくれば、信用は自然に失墜していくわけです。こういう曲がり角に来た郵便事業を四年度ではどういうふうにして運営していこうとしておるのか、これはひとつ大臣からお伺いしたい。
  77. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 大ベテランの武部先生から問題点を指摘いただいたわけでございますが、実際まず、特別会計で大蔵のシーリングの問題についてもお触れになりましたけれども、この点は確かにないとは言えませんが、かつての形よりも郵政省の考えているところにほぼ理解をいただきつつある。なぜか。これは言うまでもなく、先ほど午前中の質疑のとおりで、郵便貯金による財投資金の確保に対する貢献、あるいはまた郵政省全体のパワーアップ、こういう先生方から長年いただいてきた御指導の中における郵政省の力というのが政府行政機関内において背景として一つできたとは言いませんが、できつつある、私はこう思うわけでございます。  そういう背景の中と全く軌を同じくするように、まさに郵便事業を遂行していくのに非常な困難を克服して、今日、先ほども答弁がございましたが、労使一体の信頼関係を築き、そしてまた非常な精励恪勤といいましょうか、そういう形態に組合員の皆さんも御努力いただいてきている。  同時に、そのもう一つの背景として、ちょうど高度成長期といいましょうか、そういうものに支えられてきたというさっきの局長の答弁、部長の答弁のまさにそこが本当の理由だろうと思うのですが、しかしもう一方は、やはり技術の改革によって事務的な面における高度技術の開発を現場に導入をしたということも見逃せない一つであろうと思うのです。  そういう中で、今日なおかつ郵便特別会計というのが財政の見通しがどうもすっきりしない。結論から言ってどうするのかと言われますと、まさに与えられた今の環境の中で、これは答弁になるかどうかわかりませんけれども、何とかやりこなす以外にない。最善の努力をして、そして国民あるいは利用者の皆さんの信頼にこたえて約束の配達そして集荷、これに対して的確、適切に、迅速に処理をしていく、こういう技術的な設備機能あるいはまた人的な誠実な精励さ、こういうものの中で私はこれらの困難な問題を克服して、そして何とかこの平成四年度やり通して、健全な事業財政を維持するための最大限の努力をしなければならないのではないか。収入の確保を向上させて確率を高めていくというようなことかなあという、実はどうも余り自信のない答弁で恐縮ではございますけれども、現状、最大限の努力をさせていただきたい、御指導賜りたいと思っております。
  78. 武部文

    ○武部(文)委員 後でまた申し上げますが、今赤字に転落するということがほぼ明らかになりましたが、平成四年度に際して、それならば一種、二種、はがき、切手、そういうものの値上げを考えておるようなことはありますか、ありませんか。
  79. 早田利雄

    ○早田政府委員 御承知のように、郵便事業は独立採算のもとで事業運営を行っておりますので、郵便料金につきましては、その健全な運営を図るに足り得る収入の確保というのが必要であるということは当然のことでございまして、したがいまして、郵便事業の損益が赤字基調になれば、収入の確保や経費の節減に一層努めるほかに、やはり手紙、はがきなどの郵便料金を全面的に改定することも検討の必要が生じてくるというふうに思っております。  しかしながら、四年度においてどうかということにつきましては、郵便事業の損益計算におきましては平成二年度末で六百八十四億円という累積黒字金がございますし、現在やっております平成三年度の損益状況を見通しましても、平成四年度におきまして一種、二種、手紙、はがきの料金改定を行う状況にはないというふうに私ども思っております。
  80. 武部文

    ○武部(文)委員 六百数十億の黒字が残っておるわけですから、さしむきはそういう状況であろうかとは思います。しかし、現実に今いろいろお話がございましたように、もう限界に来ておる、やりくりも必要でしょうし、最大の努力ももちろん必要ですが、それでは補えない事態が間もなくやってくるのではないだろうか、私はこう思えて仕方がないのであります。しかも、職員の待遇あるいは臨時職員の雇用条件あたりは、今よりももっとよくしていかなければ若年労働者の定着あるいは臨時職員の確保、そういうものはさらに困難になってくるだろうということが想定できるわけであります。  そこで、一つ飛んで、もう一つこの問題に関連して大きな問題が出てくるのが週休二日制の問題であります。  今三十数万の郵政職員の中で十六万人が郵便関係の職員の定員であります。その中で外務職に携わる諸君というのは全く週休二日制とは縁のない状況に今置かれておる。少なくとも週休二日制というのは、郵便、貯金保険という三事業が一体でなきゃならぬ。一つの郵便局の中で、二つの事業は週休二日制で、もう一つは週休二日制じゃないというような、そういうことがあってはならぬのであります。こういう点を考えますと、閣議決定で公約された、週休二日制を四年度中に実施をする、そういう約束をされたわけでありますが、この週休二日制の完全実施のために、郵政省はどういう方法をとってやろうとしておるのか、それをひとつ大臣お聞かせください。
  81. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 昨年の十二月二十七日の閣議で、今先生御指摘のとおり完全週休二日制の実施について決定をいたしました。郵政事業は、お話にございました三十万人の職員に支えられて初めて成り立つものでありまして、郵政事業の発展を考える意味から、何としてもこれは推進、実現をいたしてまいりたいと思っているわけでございます。  この場合、郵便部門につきましては、郵便物が増加する中で利用者国民本位のサービスを確保して、しかもまだ、一万定員も抑制されているという行政改革の推進の一翼の影響もあるわけでありまして、さらに完全週休二日制を実施するという、本当に二重苦、三重苦と言っていい今日の状態の中ではありますが、しかし、関係労組の皆様方の理解協力を得ながら、何とかゆとりあるいはまた安らぎのある国民生活全体の、生活大国にふさわしいそんな内容、あるいはまたその実現のためにも、この問題は克服して実現をいたしてまいりたいと思っております。どうぞひとつよろしくお願い申し上げます。
  82. 武部文

    ○武部(文)委員 その意気込みはよくわかるのですが、行政改革上定員はふやさぬ、サービスは落とさぬ、そしてこの二日制はやる、手品みたいなことができるわけはないのでして、なかなか難しいのです。難しいがやらなければならぬのですよ。そうすると、どうしてこれをやるかということが一番問題になってくる。  そこで、今問題になっておるのは、夜間勤務の問題等が出てくるのです。今よりも夜間勤務の時間を長くする。早出をもっと早くする、遅出はもっと遅く帰る。こうなってくると、やはり勤務条件が悪化していくわけですから労働者が定着しない、こういうことになるんですよ。ましてや、臨時職員はそういうところには使えない。ここがやはり問題になってくるのです。  そこで、いろいろと当委員会で長年かかって話し合ってきた郵便事業の抜本的な改革として、例えば郵便物の中で早く配達しなくていいものはその利用者の承諾を得て三日か四日後に配達する、しかし料金は下げるという、例のカラーシステムの採用ですね、こういうものをここでやっていかない限りは、こういう問題は今言ったような手品みたいなことはできないのですから。  具体的に郵便物は、今現場へ行ってごらんになればおわかりのように、前と違って小包が非常に大きくなりましたね。重くなりました。したがって、一人の集配の人物が一回で持って出れなくなっちゃたんですよ。だから、積んで出るときにいっぱいになっちゃうから、配達したら途中で戻ってもう一遍積んでまた出ていく、そういうロスが現実に生まれていますね。ですから、この配達の方法というものを基本的に変えていかなきゃならぬ。今のようなことを少しずつおやりになっておるようですが、やはりダイレクトメールというようなものは何も翌日配達しなくていいのですから、そういうものは三日、四日おくれても、このカラーシステムで色づけをしておけばそれは後で配達していく、一種、二種というようなものは、これは約束どおり翌日配達をする、そういうようなことを早急に実現をすればこの問題は一歩前進すると思うのです。それをやらない限りこれはとてもだめだと思うのです。  それともう一つ、今土曜の配達廃止の問題が浮上してまいりました。これは今日本の大きな流れですから、土曜の配達というものが郵便局にどのような影響をもたらすかということはそれはあると思います。あると思いますが、現実にカナダは郵便局の配達を土曜は廃止しています、そういうことをせめて郵政省も検討する時期ではないか。いろいろ問題があるでしょう。これは今、私は問題がないとは言いません。あるでしょう。日曜休んだ場合には、土曜日と日曜のものが月曜日にどさっと来るというようなことになればこれも重労働になって、労働がしわ寄せされますから、それもあるでしょう。しかし、現実に今、例えば丸の内とか新宿街とかというようなところへ行ってみますと、土曜日はみんな積んじゃっておるのですよ、シャッターおろして。そういうところへ配達したってしょうがない。そういう地域からまず土曜の配達廃止のモデルをつくって、モデル局でもいいですよ、そういうものをつくって、二カ月に一遍土曜日の配達を廃止してやってみる、利用者の皆さん、国民がどういう反応をお持ちになるか。そういうことをしていかない限りは、さっき言ったような、とても定員はふえぬわ、サービスはダウンするわ、それでもまだやりますと言ったってどうも我々は信用できない。そんなことが本当にできるだろうか。そして、郵便労働者というのはどんどん重労働になっておる。そういうことを考えますと、ここらあたりで郵務局は抜本的な改正を考えなければならぬ時期に来ておるのではないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  83. 早田利雄

    ○早田政府委員 ただいま先生御指摘ございましたように、現在の作業システムは、全種別翌日配達ということを原則にしておりますので、地域区分局等を中心にいたしまして大変夜間の労働時間が長いといいますか、夜間労働する職員数を大変たくさん雇用しなければならない作業形態になっておりますが、これにつきましては私どもも問題意識を持っておりまして、何とかこの作業量を平準化し、効率的な要員配置の措置を行うための施策といたしまして、現在既に、先生これも先ほどお話ございましたように、銀座郵便局の開局という形で、DMだとかカタログ小包であるとか、おくれてもいいものということで差出人の方が御承諾いただいたものにつきましては、昨年の三月から既に別の取り扱いをしておりまして、さらに十月からはその範囲も拡大いたしておるところでございます。  さらに平成四年度におきましては、現在やっております区分割引制度の中にそういう遅延承知というような形で組み入れまして、さらに郵便処理システムの改善、見直しというものをやっていきたい、そういうことによって幾らかでも夜間労働を中心とした作業形態から昼間帯の作業にも移行できるようなそういう環境整備を図っていきたいというふうに思っております。  また、週休二日制の中でも、特に土曜の郵便の配達休止につきましての問題点、あるいはどういう問題があるかにつきましても、先生も既に御質問の中に十分御披露されていたとおりでございまして、私ども、お客様の理解を得ることがまだまだ今の日本状況の中では難しいのではなかろうかということで、土曜日の配達業務を休むことにつきましては困難であるという認識をしておるところでございます。
  84. 武部文

    ○武部(文)委員 時間がなくなりましたので、この問題はこれで終わりたいと思いますが、大臣、お聞きのように、郵便事業というのは、あなたのいるところにも郵便局があるわけですから、お帰りになったときに行って見ていただければよくわかるのですが、本当に大変な状況になっておるのです。郵便物はどんどんふえていますからね。そういう中で、この週休二日制の実施というようなどうしてもやり抜かなければならぬ大きな課題も抱えておるわけですから、郵務局を中心にして郵便のあり方について早急に検討を加えて、申し上げたようなことが一日も早く実現するように最大の努力を特に要望しておきたい、こう思います。
  85. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 先生御指摘いただきました先ほど来からの問題点をしっかりと受けとめまして、私実は就任いたしましてから、昨年末に、この問題と真剣に取り組むように官房の中で研究会とでもいいましょうか、各局にもまたがる問題もこれありで、人事部長のところでまとめてひとつこの研究をしておくように、来るべき時代に備えられるように、かつまた諸先生方御心配、御心痛をいただき、組合の皆さんとも連携を図りながら本格的な検討に入るように指示いたしまして、今日、内々実はその作業に入っておりますことを、私がここで言ってしまいますと内々ではございませんが、しかしそういう努力をしていることを御披瀝させていただいて、どうぞこれからも御指導いただきたいと思います。
  86. 武部文

    ○武部(文)委員 わかりました。また改めて取り上げたいと思います。  それでは、簡易保険。  大臣所信表明の中でこの問題の報告がございました。現在の契約件数七千二百万件、これは大変な数になったわけですが、これまた、地方におきましては民間生命保険との熾烈な競合の中でこういう成果が上がっておるわけであります。特に郵便年金、年金の伸び率が非常に高い。前年比三〇%も伸びておるという報告がございました。これは七十二万から九十万に改定された、そういうことがこの三〇%の増強につながったと私は思っております。一千万円に保険の契約の限度額が改定になりましたのは五十二年、したがって十五年前のことです。十五年間一千万円、六十一年に三百万円プラスをして一千三百万円、こういうことになったわけですが、現在の老齢化社会進展状況から見ましても、あるいは金融の自由化や金利の自由化やそういうものから見ましても、もう十五年もたっていまだに簡保が一千万プラス四年目からの三百万、これでは簡易保険事業としてはやはり金額的に問題がある、私としてはそう思いますが、この限度額の問題等について簡易保険局としてはどういう考え方で進むおつもりですか。
  87. 荒瀬眞幸

    ○荒瀬政府委員 ただいま先生からお話がありました保険の限度額につきましては、年金につきましては平成三年七月に七十二万円から九十万円に引き上げていただきまして以来、お話がございましたとおり非常に順調に推移をいたしております。一方、保険の方につきましては六十一年九月に一千万から一定条件で一千三百万円となりまして据え置かれておりまして、加入者の方々からの引き上げ要望が非常に強くなっておりますし、郵政省といたしましても、社会経済環境の変化、あるいは保険としての保障機能を十分に果たすという立場から、これでは不十分である、早期に引き上げの実現を図りたいということで、近年鋭意努力をいたしておる次第でございます。  しかしながら、生命保険業界、官業、民業の役割分担という立場とか、あるいは全体を含めまして物価の問題、あるいはこれを決める保障額としてのいろいろな諸要素をめぐって関係省庁あるいは関係業界との関係、いろいろと見解の一致を見るに至ってないという状況がございまして、私どもとしても関係方面と精力的に折衝を続けております。そういうことで、今後とも必要な額を早期実現いたしますように最大限努力をしていきたいということで取り組んでいきたいと考えております。
  88. 武部文

    ○武部(文)委員 もう一点簡易保険では質問したかったのですが、もう時間があと六分しかありませんでいけませんので、あと貯金の方を一つ。  貯金事業も午前中いろいろお話がございました。承りましたが、例の六十一年かう六十二年にかけて、非課税の問題ですね、マル優の廃止の問題をめぐって当委員会は大変に大荒れいたしました。あれから五年たつわけでございますが、このマル優廃止の問題であの決着がつく際に自民党の八者会談というものが持たれて、そこに郵政大臣も署名をして申し合わせが行われて今日に至ったわけであります。その際、郵便貯金の利子の課税については五年たったら見直す、こういうことでございました。あのとき大臣の言明は、郵便貯金の根幹にかかわる利子課税の問題であって、我々は、郵政審議会の答申がたび重なってあった、それを踏まえて郵政省としてはマル優の問題は存続に向けて基本方針を貫く、こういう答弁が何回もございましたが、最終的には押さえ込まれて百八十度転換、ついに敗北、こういうことになって今日を迎えた。  聞くところによると、二年度の郵便貯金の利子に対して税金がかかった金額は約一兆二千億円という報告を受けました。一兆二千億円も税金を郵便貯金が取られておるのです。午前中も話がございましたが、銀行の預金の話もございました。預金と貯金は違うのです。預金と貯金は違うということは去年の当委員会でもいろいろ話をいたしました。性格は全く違う。これに何でこういうふうに税金を取っていくかということで、いろいろ問題があって五年後見直すということになったわけです。五年後は来年であります。したがって、ことしの秋ごろからこの問題についての折衝が始まるだろうと思います。したがって、郵便貯金の根幹にかかわるこの課税の問題、利子に対する課税の問題は、郵政省としては今のうちからきちんと態度徹底をして政府の中で発言をしてもらいたい。これは大変大きな課題でありますが、ぜひ大臣に私はそのことを希望しておきたいと思います。  時間の関係でもう一つ言って、後で一緒に答弁してください。  もう一つは、ボランティア貯金のこれまた課税の問題であります。これは法律をつくってから間もなしでありますが、きょう話をお聞きいたしますと、三年度のボランティア貯金の金額は約三十億円、六百二十八万人加入という話がございましたが、約三十億円ぐらいになるだろうと思います。そして、利子に二割税金がかかるわけですから、約六億円ほど取られて、二十四億円が郵政省に入ってきて、これがボランティア貯金として配分される、こういうことになるのですね。  この問題には、もうあの発足当時から新聞にどんどん投書が参りました。去年も我々はこの問題を取り上げました。少なくとも善意の国民ボランティア貯金の寄附に対して税金を取るとは何ということか、こういう投書が出ました。全くそのとおりだと思います。これに対して大蔵省の主税局第一課長が新聞紙上に答弁をいたしました。全く木で鼻をくくったようなお話にならぬ答弁であります。一体、この答弁を見た投書の人は、本当に納得したかどうか。私は、こんなばかげたことをよくも答弁したなと思うね。こんな石頭の、金庫頭みたいな頭をした大蔵省がこんな答弁をよくしたものだ。ボランティア貯金の利子の中であなたからいただいた貯金は、福祉や教育に使われておりますので、これもあなたの善意がそのように使われておるのですとか、いろいろなことをへ理屈つけて述べておったのですよ。利子を取らなくたって、預けた人にこの利子が入るわけではないのですよ。一緒に込めてボランティア貯金として海外に善意として届くのですよ。今までのほかの普通の利子と違うのですよ、これは。そういう内容を持ったものを十把一からげにして、そうして、これもまた皆さんの税金としてほかの公共事業に使われますから、皆さんの善意はそこへつながっております。こんなばかげた——今度大蔵省に来てもらって、この話をやっぱりやらなければいかぬと思いますが、私は大臣にせめてボランティア貯金の非課税問題だけでも、大臣同士の直談判の折衝で私はできるような気がするのですよ。わずか数億円の金ですよ。しかし、これは筋が通らぬのです。善意で、そういうことならば協力しましょうと言って自分が別な貯金に入って、そして利子が出た、その利子をみんな恵まれない人に出そう、そういう契約で入って、よく考えてみたら税金を取られるそうだ、こんなばかなことがあるか、こういう投書がたくさん出てきておるのですよ。さっき言った大きな問題は別にしても、このボランティア貯金の非課税問題というのは、大臣が政治生命をかけて大蔵大臣と折衝されれば、私はせめてこれだけでも問題は解決するような気がしてならぬし、それをぜひ渡辺大臣に要望したい、こう思いますが、大臣のお考え方を聞きたい。
  89. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 先に利子非課税制度の問題について、先生の御指摘に対しての答弁をさせていただきたいと思いますが、平成五年の見直しに当たりましては、とにかくこの利子所得に対する課税のあり方の基本的な論点について議論していかなければならないと思っております。郵政省としては、とにもかくにも今まさに先生がおっしゃった過去の歴史、あるいはまた当委員会における非常に真剣な議論、これが具体的に国政に反映していかなければなりません。そういう意味で、いわゆるマル老限度額の引き上げの問題、あるいは財形年金、財移住宅貯金の限度額の引き上げ、あるいはまたシルバープラン貯金の創設、まあシルバープランなどというのは先生御存じのように十年かかっていますね。本当にこういった問題についてこれは本格的に、そしてまた、こういう時期こそ改めて仕切り直しでなくて大きなエネルギーで問題解決に当たっていきたい、こう思っておる次第でございます。  今のボランティアの問題は、この制度そのものは実はこれはもう大ホームランだ、しかし、この税の問題がなかったらもう一つ大がつくぐらい大々ホームランになる、私はこう言っておるのであります。しかし、現実、おっしゃられる問題点につきまして、これは今平成四年の税制問題にもう今日入っておりますので、平成五年につきましては、私は本当に大蔵大臣と今の段階かも少なくとも詰めた話をある程度してまいりたいと思っております。おっしゃられる御趣旨は私も同感であります。どうぞひとつ御理解をいただき御支援を賜りたいと思っております。
  90. 武部文

    ○武部(文)委員 それでは時間が来ましたので終わります。
  91. 谷垣禎一

    谷垣委員長 次に、田中昭一君。
  92. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 私は、午前中はほかの委員会がございまして逓信委員会の議論を聞いておりませんが、昨日も郵政大臣所信表明について付言がございました。まあそういう意味では郵政大臣の決意などについて受けとめておるつもりでございますけれども、しかし、三、四日前、地元の郵政職員の集会、これはパーティでございますが、ちょっと参加をいたしました。今も武部委員からもいろいろ提起がございましたように、郵政三事業、あるいは競合が激化する電気通信事業、それから公共放送を守って頑張っておるNHKの職員方、郵政大臣を頂点にして日本における情報化社会を支えて昼夜頑張っておる職員がたくさんおるわけでありまして、これはもう私もそうでございますけれども、そういう意味では、頂点に立つ大臣の行動というものあるいは言動というものは大変士気に影響するものだと私は思っておりまして、今申し上げましたようなパーティの席でも、この郵政大臣の一連の政治倫理に触れるマスコミ報道などについて、やはり職員が非常に関心を持っておるわけです。  ですから、私はここで改めまして追及したり確認をしたりするつもりはございませんけれども、今私が申し上げましたようなことを大臣もきちんと受けとめていただきまして、そういう意味では、今後そういう職員が厳しい情勢をはねのけて業務に専念できるように、ぜひ大臣の今後の郵政大臣としてのあるいは政治家としてのきちんとした行動を私はお願いをしたいと思っております。そのパーティの席でも、私は、逓信委員会もございますからそういう場で郵政大臣にそういう職員の気持ちはきちんとお届けをする、こういう約束をしてまいりましたので、このことを申しあげまして、改めまして郵政大臣の決意というようなものをお聞きしたいと思います。
  93. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 田中先生から今御提示がございましたこの問題は、もう本当に私は百万遍の言いわけもいたしません、一言の言いわけもございません。ただすべてこの私の不徳でございまして、長い間本当に一心同体でやってきた秘書と私との感情の行き違いがそもそもの原因でございました。そういう気持ちになぜさせたのかを考えると、まさに私の至らない、人間として足りなさをつくづく痛感をいたします。そのことによって、マスコミあるいはまた議会の中における質疑で、そしてそれらを通じて、今おっしゃいますように郵政職員三十万人、そしてまた午前中も大木先生に御指摘をいただきましたが、まさに関連する郵政事業、機関等の関連職員を含めて六十万、こういった皆さんの、日夜大変な言葉に尽くせない労使一体の努力をしている、そこに、私ことから発する冷や水を浴びせるような、あるいはまた肩身の狭い思いをさせるようなことは、私としても、午前中も申し上げましたが、本当に実は残念でたまらないのでございまして、深くおわびを申し上げたいと思うわけでございます。  本当にこれからは私はこの補いをどう尽くすべきか。あるいはまた、就任のときに私自身掲げました郵政省の将来についてのロマンの実現、あるいはまた、職員の皆さんと一心同体になって汗を流して国民の皆さんや利用者の皆さんの期待にこたえようと呼びかけてきた私自身のまさに不手際、汗顔の至り、本当に恥じ入っている次第でございます。何回でも、たびあるごとにこの不明不徳をおわびしながら、この荷物を背負いながら、私は、しかし、二十一世紀に向けた郵政省の責任あるいはまた期待ということは、これはまあ本当にはかり知れないものがあろうと思います。また、郵政省が先んじて二十一世紀の高度情報社会を切り開いていく先駆者となっていかなければならない大きな役割を考えましたときに、どうしても今日のこの補いはつけていかなければならないと思います。  責任を感じ、そして先生方からのさらなる御指導をいただきながら、委員長初め諸先生方の御指導、御鞭撻をちょうだいして、私は、郵政関係に携わる職員の六十万の皆さんの先頭に立って、言葉だけでなくて細部に至るまで本当に裸になって自分自身で汗流すつもりでこの御迷惑をかけたことの償いをいたし、政治家として真剣な取り組みをして、郵政省の一層の発展のために邁進し努力をいたしてまいりたいと思いますので、どうぞ御理解と御支援のほどをお願いを申し上げたいと思う次第でございます。幾重にもおわびを申し上げる次第であります。
  94. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 郵政大臣の強い決意として受けとめておきたいと思います。  私は、以下、一昨日の郵政大臣の所信に対する幾つかの点について質問をさせていただきたいと思います。  まずその第一は、所信の中の電気通信行政の第一点で提起をされている「電波利用料制度の創設」について少しお聞きをしたいと思います。  私は、電波利用料金制度の創設というのは今回の通常国会における逓信委員会の極めて重要な案件だ、こう思っておりまして、以前から郵政省の皆さん方らも何回かレクチャーなどもいただいておりまして、有限である電波、この有限である資源の有効利用を図るために利用者に受益者負担を求めることに私はおおむね原則的には賛成の立場でございます。しかし、ここでそういう立場から申し上げますと、最近、全国知事会とか市町村会とか、いわゆる地方六団体からの緊急要請、陳情などがございまして、必ずしも私が考えてきたようにスムーズにいかない面があるのだな、こういう気持ちがあるわけであります。また労働組合の組織であります連合でもいろいろ議論があっているやにお聞きをしているわけでありまして、そういう意味では極めて郵政事業にとっては大切な、重要な案件でありますから、それぞれの団体から十分な理解を得て、正式に法案が提案された場合にはやはり鮮明な形で、国民の皆さんが納得いく形で決着をつけることが必要じゃないかな、こういう気がいたしますので、この点について、第一点として申し上げたいと思います。  また、徴収をされた利用料金の使途については、これは透明性を持ったものとして負担者が十分に納得できる、こういう意味から、例えば電波監視の強化であるとか免許などの処理能力の強化など、やはりこういうことに使用するのだということを明確にする、こういうことが必要ではないかなと思いますし、重ねて免許制度や検査制度の簡素化、規制緩和などの問題についてもこの際やはり明らかにすることが必要でないか。いずれにしても重要な案件ですから、慎重な対応が必要である、こういう立場に立つわけでありまして、この点、今日段階における郵政省としてのお考え方などについてお聞きをしたいと思います。
  95. 森本哲夫

    森本政府委員 お話しの電波利用料制度の創設については、今後予想されます急速な電波利用というものが進展してまいるとなりますと、それを円滑に進めていくためにはどうしても行政事務が増大をしてまいりますし、その結果大きな社会的コストが発生してまいる。これを、電波行政の効果を直接受益する免許人に受益者負担の考え方で一定の負担をお願いするということで、特にその負担をしていただく問題につきましては、私どもとしては、電波というのはさまざまな分野で利用されますし、特にその利用範囲も従前考えられている以上に広い範囲に広がってまいる、こう思うわけでございまして、そういう意味で電波利用に関してさまざまな、いろいろな要素を考慮する必要がある、こう思っておりまして、そういう意味で御負担を願うという意味では、何よりもやはり公平性の確保ということが大変大事な問題だろう、こう考えておるわけであります。  今御指摘にございましたように、地方公共団体の方から消防だとか防災だとかそういう特定の行政目的のための無線局については、この利用料の適用除外にしてほしいという御要望があるということは、私どもも承っておるところでございます。  現在、この件に関しましては、自治省と話し合いをいたしておるところでございます。  なお、先生の御指摘のように使途の問題の明確化あるいはこれに伴う各種の規制緩和と申しますか、行政の簡素化というようなことについても、当然これは取り組まなければならない課題でございます。  いずれにしましても、この利用料制度の創設につきましては、現在電波法の一部改正という格好でお願いをしようということで鋭意関係省庁との調整に努めておりますので、これは自治省含めてでございますが、できるだけ速やかに法案を国会に提出てきますように、そしてまた御審議を賜りたい、こういうふうに考えているところでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
  96. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 よくわかりましたが、先ほど申し上げましたように、いろいろ問題提起がされている団体などとのコミュニケーションなどについて十分配慮をいただきたいと思います。私も代議士の端くれでありまして、地方六団体などというのは非常に弱い立場でございますから、その点も御理解をいただいて、いろいろな団体とのコミュニケーションなどについてよろしくお願いを申し上げておきたい、こういうふうに思います。  それから三つ目でありますが、所信表明電気通信行政の第二点として提起をされている「技術開発政策推進」に関連をして、若干お尋ねをしたいと思います。  電気通信事業といいますか、電気通信あるいは情報通信高度化あるいは技術の向上などというのは極めて目まぐるしいものがございまして、私どもが予想する以上にテンポが速いわけでありまして、私は、当面この中で集約点として極めて重要なのは国際標準を含めたISDNだ、こう思っているわけであります。このISDNは今日どのような状況になっておるかということも必要でございますが、もう既に次の世代として、いわゆる広帯域ISDN、それからインテリジェントネットワークを基本とする新世代通信網というものがまさに二十一世紀には基幹通信網となるであろう、こういう立場から、これは日本も当然でありますけれども、国際的に研究開発が進んでいると思います。  そこで、このISDNの問題について、今日の状況などについて若干お聞きをすると同時に、日本でもさきに制定されたいわゆる電気通信基盤充実臨時措置法で、通信事業者の新世代通信整備促進するために、例えば光ファイバーであるとか複合電話交換機などの建設とか、それに従事をする人材育成などについて一定の支援措置をする、こういうようなことも措置をされておるわけですけれども、この問題について、最近郵政省はこの新世代通信網の実用化を図る推進母体が必要だ、こういうことから、新世代通信網利用高度化事業協会というものの設置構想を明らかにしているわけであります。  そういう意味で、今後の通信事業の極めて大きな柱となる将来の広帯域ISDNを目指した今回の協会の設立について、今後の広帯域ISDNの展望、それから、設立をされたのかされるのかよく私踏まえておりませんけれども、設立目的とか構想などについてこの際郵政当局のお考え方を少しこの研究開発の項の中でお聞きをしておきたい、こういうふうに思います。
  97. 森本哲夫

    森本政府委員 お説のとおり、今のネットワークは基本的に電話と申しますか、音声の伝送ネットワークでございますが、世界各国とも何とか画像通信まで可能になるような広帯域の次世代の通信網についての取り組みが大変急でございます。  今お話に出ましたように、当委員会で先生方の熱心な御審議によりまして昨年六月に電気通信基盤充実臨時措置法というものを成立させていただきました。政府としても、こういう相当大きな投資が必要でございますネットワークの構築に関しまして、税制面での支援あるいは低利融資というか財政面での支援、その他債務保証等さまざまな支援措置を設けていただきまして、その法律制定後、NTT初め既に七事業者がこの法律に基づいて各種の活動を開始しておるところでございます。  さらに私どもとしては、これだけでは十分でないということで、昨年度の税制改正の大きな問題として、新世代網の構築の固定資産税について、今まで手当てがなかったわけでございますのですが、これを従前の機器のほかに光ファイバーも含めて固定資産税の軽減対象にして、何とか事業者にそういうネットワークの構築のインセンティブにいたしたいということで、現在この準備を進められているところでございます。  ただ、このようないろいろな各般の措置というのは、新しいネットワークの主としてのハード面と申しますか、ネットワークの構築に関しての支援、これは政府としてやむを得ないところでございますが、ただ問題は、やはりこういう新しい技術をどう国民生活にうまく使っていくかという、そのソフトの面と申しますか、そうした点が大変重要でございます。今お話がございましたのは、そういう新世代網の構築が進もうとする中で、一体果たしてどんなニーズがあって、どんな体制社会的な受け入れが必要なのかということに関しまして各般の議論がございまして、民間の発意によってこうした問題についてひとつ財団というものをつくってこうした問題に取り組もうじゃないか、こういう動きが出てまいっておるということでございまして、一部報ぜられておりますが、まだ財団はその設立に向けて今準備が行われているというような状況でございます。  中身は、私ども承知いたしますところによりますれば、これはNTT初め電気通信事業者あるいは通信機器のメーカー、あるいはそのユーザー、そういう関係者が寄り寄り集まって、将来の広帯域ISDNの実用化のための実験をさまざまな機器を持ち寄って仮想のネットワークをつくって、そしてどういうことが国民生活に本当に役に立つのだろうかというようなことを検討してみたい、こういうお話のようでございます。こういう財団というものができますれば、全体のネットワークの構築も大変前進するわけでございますし、私どもとしても大いに支援をさせていただいて、新世代が本当に国民生活に定着するようにいろいろな配慮をしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  98. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 よくわかりましたが、この協会と郵政省との関係は一体どういう関係になっていますか、ここのところをもう少し。
  99. 森本哲夫

    森本政府委員 財団でございますので、これはそれぞれの業所管の大臣のところに財団として一定の法人格を得るための認可を求める。今も御説明しましたような動きの財団だとすれば、郵政省に認可を持ってまいりたい。こんなふうな形になるわけでございまして、そういう意味で財団が郵政省の認可を受けてさまざまな活動を行いたい、今こんな動きになっておる、こういうことでございます。
  100. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 わかりました。  では、次に参ります。  「電気通信市場の活性化」について、私は、大臣所信表明について少しわからない点もございますから、まず三点お聞きをしたいと思います。  「電気通信制度の改革以降これはNTT民営化などを指しておると思うのですが、「活発な参入が進むとともに、良質で低廉かつ多様なサービス進展」をしている、こう言われておるわけですが、今日の電気通信市場の現状についてどういう見方をしておって、何が問題点なのかということをもう少しお聞きをしたいというのが一つであります。  それから二つ目は、「より一層公正で有効な競争ができる基盤づくりを推進し」、こうなっているのですが、ここのところは一体何を頭の中でお考えになっておられるのか、ここのところをもう少しお聞きをしたい。  それから三点目は、これも大臣所信表明の中で、一昨年三月に決定したNTTのあり方に関する政府措置については、「重要な課題として引き続き着実な推進に努めてまいる所存」である、こう言われておるのですが、このことは一体何を考えておられるのか。  この三つについて、もう少し大臣所信表明を補完するという立場から御意見をお聞きしておきたいと思います。
  101. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 NTTは、申すまでもなく、旧公社時代国民利用者の電話収入あるいは債券などもございました、そういった収入によって築かれたいわゆる国民的共有財産とも言える全国的ネットワーク、あるいはまたその研究開発力というものを継承してきていることは言うまでもございません。このために、現在もほとんどのサービスNTT一社で全国的に提供している、市内ネットワークを事実上独占的に保有して、NTT以外のすべての事業者というのはNTTの市内のネットワークに依存せざるを得ないという現状であることは、他の事業者とは全く条件が違う事業体であるわけです。その点については、先ほど午前中も大木先生の方から、若干、しかし、さはいうものの現状における問題点、競争的共存と言われたそういう現状から、今日的な競争環境というものについてのいわゆる問題提起とでも、指摘とでも申せましょうか、そういうお話がございまして、私は、そのお話を大事に受けとめさせていただきますと実はお答えをいたしました。要するに、今日的には今のNTTにおける現状というものはまさにそういう認識をしておかなければいかぬ、こう思います。  さらに、公正有効競争ということにつきましては、こういった優越的な地位にある事業体が、先ほどの話と若干触れる感もありますが、この地位を利用して他の事業者との競争を不当に阻害するようなこと、そんなことは私はあり得ないと思うのですけれども、むしろ逆の感ありみたいな話も先ほどあったわけですが、そういったことが行われないように、適切な競争が行われて、しかも料金の低廉化、サービスの向上等ももたらすように、電気通信市場全体が活性するようなことを考えているものだと理解していただきたいと私は思うわけであります。  一昨年三月に決定した政府措置において、事業部制の導入、徹底、移動体通信業務の分離など、公正有効競争の促進のために必要な措置が示されているところでございますことは御案内のとおりです。  私としましては、この政府措置に定めた各措置が着実に実施されることにより、事業者間の濶達な競争が展開されて、その結果として料金の低廉化、サービス高度化多様化などが一層促進されて、もって国民利用者の利益の最大限の増進が図られる、こういうことを期待して、このNTTに対する業務あるいはまたNCCとの公正な競争というものに期待をいたしておるということを概略申し述べたいと思う次第であります。
  102. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 余り時間がないのですが、いろいろ議論したいこともございますが、二つ、それでは御意見をいただきたいと思います。  一つは、NTTとNCCの競合に関連をしまして、今も大臣若干お触れになったわけですが、結局NTTは会社法であまねく公平なサービス提供する義務がございます。NCCの場合にはそれがないわけです。したがってクリームスキミングで参入するということになる。NTTは、市内中継系は保守、設備投資すべてやる。NCCの場合にはいわゆる基幹、バイパスだけをやる。バイパスをどんなにしてもおりてきて道がなければこれは通用しないわけで、そういうハンディがあるわけですね。それからまた、公共性との関係では、もうかるところでもうかって、ペイしない、利益を上げることができない、しかしあまねく公平にという立場では、離島であるとか僻地であるとか、そういうところに資金の投資もやらなければいけないし、サービス提供もやらなければいけない、そうしなければ公共性が守られない、こういう矛盾がいろいろと今出てきているわけです。そういうところをもう少しきちんと整理をしなければ、いわゆる競合態勢が激しくなってくる。しかし、その結果見捨てられる、いわゆる郵政省電気通信事業の格差是正などをいろいろやうていますけれども、そういう公共性に不平等が出てくるのじゃないかな、こういう点が実は一つ心配があるわけです。  時間がありませんから余り詳しく言いませんけれども、そこらで公正な競争条件とかそれから公共性の確保とか、こういうものをもう少し前面に出した電気通信政策といいますか、そういうものが必要ではないかなというふうに思っているわけです。まあ少し舌足らずですが、時間がありませんから、そこらを少しお聞きをしたい。別途また議論する機会があると思います。  それから、あまねく公平であるとか格差是正といった場合に、今我が日本社会党のシャドーキャビネットで、いわゆる聴覚障害者のファクス電話帳作成を実はやっているわけです。これは、電話をかけられないわけです、身障者の方は。ファクスしか通信の手段がないわけですね。ファクスの電話帳がないわけですわ。ファクスで何か頼もう、注文するとかいうことをしようとしても電話帳がない。この問題を一体どうするかという問題がある。  それから、ファクスからファクスに電話をすることができますが、例えばラーメンの注文をしたいという場合に、そのラーメン屋にファクスがあればファクス帳を見てファクスでラーメンをどことどこに持ってきてくださいと頼めるけれ。ども、ファクスがなければどこかファクスで取り次ぎをしなければそれはできない。聴覚障害者にとってみれば、これだけ高度な情報通信発達してもラーメン一つ注文できないという状況。だとするならば、そういう中継ぎをして、聴覚障害者がファクスで送った、そのことを受けとめていろいろ手配をするとかいうようなサービス業、新しいサービスなどということも考えていかなければ、聴覚障害者にとってみればあまねく公平であるとかそういうことにならないんじゃないかという議論などがあるわけです。  そうしますと、ファクス電話帳にしてもそういう中取り次ぎサービス業をするにしても、これはもうペイしなければ、赤字覚悟でやるという業者などというのはいないわけです。そうなりますと、それは一体どこが担っていくのか。NTTがやるのですか、郵政省がやるのですか、厚生省がやるのですか、あるいは地方自治体がやるのですかという議論に発展してきているわけですよ。そういうものもやはり公正、公平な政治、電気通信にしてもあまねく公平なサービス提供する、地域間格差であるとかあるいは身体にハンディを持った人の格差をなくすというようなそういうサービス提供する、そういうところを配慮した今後の電気通信政策というのを考えていかなければ、どんどん高度に発達していってもそういうものは不平等になってしまう、こういう問題点をやはりもっと議論をすることが必要ではないかな、私はこういうふうに思っているわけです。  時間がございませんから、少し端的に申し上げましたけれども、そういうものを含めまして今後の電気通信の発展について、電気通信市場を活性化することは必要でありますけれども、そういう問題点をどう解明し、きちんとしていくかという問題を非常に重要な課題として我々は受けとめていくことが必要ではないかな、こういう気がするわけです。そこらは抽象的になると思いますけれども、少し御見解をお聞きをしておきながら、今後はそういう問題について議論したい、こういうふうに思います。
  103. 森本哲夫

    森本政府委員 総括的な話は先ほど大臣が申し上げたわけでございますが、今そうした立場の中で、NTTのあまねく公平義務というのをどう考えるかという端的な御質問とまず一つ受けとめてお話をさせていただきたいと思うのです。  ニューカマーも巷間クリームスキミングだというふうに言われておる点もあると思うのであります。確かに、市内のネットワークは張らずに長距離が主として行われている。あるいは自動車電話になっている。しかし、NCCの長距離系の一つとってみましても、結局非常に狭い範囲、例えば東名阪だけではお客さんがついてこない。電気通信のネットワークというものは、やはりネットワークの特質としてあるエリア、ある地域に限定されることなく、ネットワークである以上は全国的なつながりがないと結局お客さんの信頼をから得られないというような形で、結果としてネットワークをどんどん拡大しなければNCCも立ち行かない、こんな事情にある点が一つあると思うのであります。  一方、NTTの方は、先ほど大臣も申しましたように、百年かけた国家の独占による通信事業という形の中で、各種の特例措置等を用いまして、もう昭和五十四年には全国即時化が完成し、電話のネットワークが事実上日本でも自動化ができ上がった、こういう状態のものを政府が全額出資して民営にいたしたわけでございますので、おっしゃるような過疎の問題とかというようなところは、いわば解消した上での民営だということでございまして、民営になったからといって、そうしたところを、せっかくでき上がったサーゼスをカットダウンするというわけにはいかないということで、NTT法上にもこのあまねく公平義務というものを付加したのだろう、こう思うのであります。  結果として、百年かけてやってきましたネットワークというのが、新規事業者もこれにかわるような形での参入が事実上不可能になっておるという点では、これはある意味ではNTTの大変な強みでもございますし、逆にまたNCCにとっては、このネットワークに接続をしてもらわなければビジネス自体が成り立たない。秋葉原で新しい事業者と前からいるしにせとが両方で商品をどこかで売るというふうな商売じゃなくて、お互いNTTに接続して初めて成り立つ、こういう状況になっていようかと思うのでありまして、いずれにいたしましても、このあまねく公平義務というのが大きなハンディキャップになっているというふうには現実には言いがたいのではないかな、こう思います。  ただ、今非常に特殊な産業構造になっている中で、競争原理を導入した以上、その競争が十分実りあるものでなければこの改革は失敗であったということになるだろうと思いますので、私どもとしては、先ほども質問ございましたが、政府措置を初め、要するに競争条件の整備をすることが、そしてその中で目いっぱいの競争をしてもらうということが国民の利益に一番かなう、またそれが改革のねらいでもあったろう、こう思っておるわけであります。  なお、お尋ねの社会的弱者に対する問題は確かにございます。これは一つ政府措置でもございましょうし、一つはやはり公共的役割を担っている事業者のある程度の支援というのも当然欠かせない、この辺の兼ね合いを今後どうしていくかというのは確かに重要な御指摘だろうと思いますし、新しいネットワークはこうした社会的弱者が社会参加できるという意味でも大きな武器にもなるわけでございますので、各般の面から政府役割事業者役割というものをよく見きわめながら、皆さんの御意見を外しながら、弱者が切り捨てられて置いていかれるということにならないように対処してまいらなければならぬと考えているところでございます。  大変不十分ではございましたけれども、時間の関係で短い答弁になりましたことをお許しいただきたいと思います。
  104. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 ただいま局長が答弁いたしましたとおりでありますが、つけ加えまして、弱者に対しての新しい情報時代、どのように皆さんが利用しながら、かつまたその恩恵に浴するかということは、これは政治としてもう絶対に欠くことのできない課題である、少なくとも、会社の経営とか、あるいはまた、行政面だけでなくて、その面だけの考えではなくて、政治の面としては取りこぼしのできない着眼点であろうと思ってお聞きをいたしておりました。そういう意味では、ぜひこれから新しい技術の開発あるいはまたそういうニーズにこたえられる環境整備等を考えまして、今局長が答弁いたしましたような基本線に沿いながら努力をいたしてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
  105. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 時間が参りましたから終わりますが、森本局長の意見、反論したいところも若干ございますけれども大臣は政治家としてそつのない御答弁だったと思います。いずれにしても、目的は一致するだろうという立場で、今後機会がございましたら改めてまたコミュニケーションを図るようにしたい、こういうふうに思います。  終わります。ありがとうございました。
  106. 谷垣禎一

    谷垣委員長 次に、伏屋修治君。
  107. 伏屋修治

    ○伏屋委員 我が国の抱える国内外の諸問題が非常に山積をしておるわけでございます。にもかかわりませず、国の中枢の国会が、非常に次元の低い、政治と不公正な金の問題で揺れに揺れておる。こういうことは国民全般から見て非常に苦々しい思いであろうと私は思います。そして、リクルート疑惑が完全解明されないまま共和の問題が起こり、さらにまた佐川急便の問題も取りざたされておるような状況の中で、国民の政治に対する不信感というのはもう本当にピークに達しておるのではないか、このように私は思うわけでございます。そういう面で、大臣がどう責任を感ぜられ、またどういう決意で臨まれるかということにつきましては、昨日のおわびの文書の中でも私も受けとめておりますし、さらに、さきの田中委員に対する決意、そういうものもお聞きしましたので、あえてここでお聞きをいたしませんし、衆議院の予算委員会でも強い御指摘を受けておられることでございますので、そういう反省に立って、ひとり郵政省の職員でなく、二十一世紀に向けての日本の将来の政治はかくあるべきだというその基本的な姿勢を示していただく、そういうことで大きく期待をいたしたい、このように思っております。  一点私が心配するのは、こういうことは老婆心かもわかりませんが、この二十日、私どもの同僚議員でもあります草川昭三さんの質問で、中曽根康弘さんの世界平和研究所の設立に当たりまして大臣協力を求めに行かれ、そして渡辺東京佐川急便社長とお会いした、こういう記事がありますが、もうこれだけにとどめておっていただきたい、もうこれ以上問題は広がらないだろうな、こんなことがまた広がるようだったら本当にもう何とも言いようがない、こう私は思いますので、その辺、老婆心でございますが、お聞きしたいと思っております。     〔委員長退席、坂井(隆)委員長代理着席〕
  108. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 長い間いろいろ御指導いただいてまいりました伏屋先生からまたこうやって私の不手際の中で御指摘をいただき、御指導をいただいておりますことに、本当に気持ちの上ではありがたく、しかしまた、気持ちの上では本当に残念に、自分で恥ずかしく思います。もう二度とこういうことのないように自重自戒いたしてまいります。このことは本当に心からお約束申し上げたいと思います。  また、今ほど御指摘ございました世界平和研究所と私とのかかわりは、先般草川先生から予算委員会でまさに突然御質問がございまして、私も率直に正直に実はお答えを申し上げたことでございます。設立協力者の一人として、本当に何といいますか、やみ寄附をお願いに行ったのではなくて、正規のいわゆる指定寄附に基づく寄附行為を御協力いただけないかということでお訪ねしたということが真相でございまして、それに付随するほかの諸問題は全然ございませんということも、先般ほかの、あれはどなたの質問でございましたか、私はお答えを申し上げておるとおりで、本日も、本当に親愛なる伏屋先生の御質問にも私は誠実にそのようにお答えをさせていただきたいと思っております。  先ほど来申し上げておりますように、この郵政省、関係する諸機関を含めて、しかも二十一世紀極めて重要な政府機関でございます。今後私は、将来を見据えたしっかりした足取りで前進できますように、委員長あるいはまた与野党問わず諸先生方から郵政省を挙げて御支援と御協力をいただく中で、特に不敏なこの渡辺秀央に対しまする御友情と御支援をいただいて、しっかりと努力をいたしてまいりたいという決意を申し上げさせていただいて、御理解を賜りたいと思います。ありがとうございました。
  109. 伏屋修治

    ○伏屋委員 もう二度と出てこないと確信をいたしまして、次の問題に移っていきたいと思います。  郵政行政全般にわたって質問をしてまいりたいと思います。  まず第一点に、今の電波の現況からいたしましても、不法電波の取り締まりあるいは電波行政の円滑化を図るためにという面で、電波法の一部を改正して電波を有料化するという問題が非常に取りざたされておりますけれども、いまだに私の前には法案が出てきておりません。その法案がおくれておるという理由はどこにあるのですか、その辺をお聞きしたいと思います。
  110. 森本哲夫

    森本政府委員 法案自体が当初我々の腹づもりより大変おくれていることは先生御指摘のとおりでございます。この制度の趣旨につきましては、先ほどもお話が出ましたのでもう繰り返しませんが、やはり今後の日本情報化社会のためには大変重要な法案だと思っておるわけでございまして、この新しい利用料制度について今各省といろいろな調整をしておるわけでございます。一つの問題として、この利用料というものを免許人に御負担をお願いするわけでございますが、この入れ口といいますか入れ物といいますのは、よくありますような特別会計ではなくて一般会計に入れるということで現在検討を進めておるわけでございます。そうといたしますと、この制度の目的からして一般会計に入ってどこへ使われることになるのかというようなことではまずいわけでございますので、はっきり使途を、いわば特定財源化するということが必要だろうか、こう思っておるわけでございます。そのような仕組みというのは余りほかにも例がございませんで、せっかく御負担をお願いする以上、免許人の方にいろいろの心配をかけない、あるいは安心して御負担いただけるような、そういう法律的な枠組みというものをきちんとつくりたい、こういうことで、法律技術的な問題もございまして、若干検討に時間がかかっている。なおまた、先ほども質問がございましたが、地方自治体の方から、自治体の持っている無線局の免許の目的というのは一種の公益目的なんだから負担を遠慮願えないかとか、こんなお話等もございましたり、いずれにしましても、この問題をめぐって各省間のいろいろな調整がございますので、現在鋭意検討いたしておるところでございます。できるだけ早期にこの調整を終えて御審議を賜りたく念願しておるところでございます。
  111. 伏屋修治

    ○伏屋委員 大体いつごろを目安にしてみえますか。
  112. 森本哲夫

    森本政府委員 もう二月がぼちぼち終わりに近づいておりますので、来月早々に準備をさせていただきたい、それをターゲットにして頑張りたいと考えておるところでございます。(伏屋委員「第一週ですか」と呼ぶ)なかなかそこの日程まで——相手のあることでございますので、各省間でぜひ了解がつくような形になるように、できるだけ精いっぱい、来月の早いうちに、こう思っておるところでございます。何とぞ御容赦願います。
  113. 伏屋修治

    ○伏屋委員 私ども、党内の部会においてこの法案を種々検討しまして、賛成するのか反対するのかという一応の結論を出さなければなりません。したがって、法案が出てこないことにはどうしようもないので、早く、もう可及的速やかに法案を提出していただきたい、こういうことをお願いしたいと思います。  次に、今のBS3の後継衛星としまして、BS4の打ち上げに対する考え方郵政省にあるやに聞いておるわけでございますけれども、その基本的考え方はどの辺にあるのかお聞かせいただきたいと思います。
  114. 小野沢知之

    ○小野沢政府委員 お答え申し上げます。  現在、我が国衛星放送は、平成二年八月二十八日に打ち上げられましたBS3a及び平成三年八月二十五日に打ち上げられましたBS3bの二機体制によって実施されておりますが、設計寿命がそれぞれ七年であるため、平成八年ないし同九年にはBS3後継機の打ち上げが必要になるというふうに考えております。  そこで、これに関する郵政省の基本方針についてでございますが、主要な柱が二点ございまして、第一が、現在BS3によって実施中の衛星放送の継続性を確保すること、第二点として、国際電気通信条約附属無線通信規則に基づいて我が国に割り当てられました放送衛星業務用の周波数のすべて、八チャンネルを使用した放送平成九年を目途として円滑に開始すること、この二点でございます。
  115. 伏屋修治

    ○伏屋委員 BS3の後継機としては、二機、八チャンネルという形で衛星の打ち上げを予定しておるように聞いておるわけでございますが、その打ち上げの費用はどれくらいかかると想定されておられるのか、また打ち上げのスケジュールの策定、またそれの進捗状況等々についてお聞かせをいただきたい。
  116. 小野沢知之

    ○小野沢政府委員 お答えいたします。  まず打ち上げ費用についてでございますが、従来の放送衛星は、宇宙開発の目的から、国の宇宙開発計画に基づきまして、宇宙開発事業団と衛星利用者たるNHK及び日本衛星放送株式会社が衛星の製作、打ち上げ経費を分担してきたところでございます。そのうち宇宙開発事業団の負担する費用につきましては、政府の予算に計上されていたために政府が必要な経費の見積りを行っていたわけでございますが、これに対しまして、BS3後継機は実用衛星であることからこのような仕組みをとっていないために、郵政省としてその費用の見積りは行っておりません。また、実際問題として、BS3後継機のシステム構成、個々の衛星の基本的な仕様が未定であること、調達価格が入札等により決定されることから、現段階でその費用を想定することは困難だというふうに考えております。  それから第二点目のお尋ねのスケジュール及び進捗状況についてでございますが、先ほど申し上げましたように、平成八年ないし九年にはBS3後継機の打ち上げが必要となるわけでございますけれども放送衛星の入札手続、契約の手続、設計や製造にかかる期間等を考慮した場合に、平成四年度じゅうには放送衛星の入札開始のための諸準備に着手する必要があるというふうに考えております。  また、BS3後継機の調達方法についてでございますが、現在、郵政省において鋭意検討中でございまして、衛星放送の継続性を確保する観点から、できる限り早急に結論を得たいというふうに考えております。     〔坂井(隆)委員長代理退席、委員長着席〕
  117. 伏屋修治

    ○伏屋委員 BS4に対する調達法人の設立というものを予定しておるわけですか。
  118. 小野沢知之

    ○小野沢政府委員 お答えいたします。  放送衛星の調達の形態といたしまして二つ考えられまして、一つ放送事業者がみずから調達する形態、それから放送事業者とは別の法人、いわゆる調達法人が放送事業者の決定に先立ちまして衛星を調達して、衛星が運用段階に入った時点でもって放送事業者に設備を提供する、こういう二つの形態が考えられるわけでございます。  BS3後継機の段階の衛星放送のあり方につきましては、その決定の時期につきましては私ども早くて平成五年というふうに考えておるところでございますが、今後の衛星放送のあり方の検討、放送普及基本計画の変更、放送事業者の決定の手続などと並行して放送衛星の調達を進め、平成九年ごろにはBS3後継機による放送を開始できる体制を整えておくことが望ましいというふうに考えて、今慎重かつ真剣に検討しているところでございます。
  119. 伏屋修治

    ○伏屋委員 今そういう二通りの法人の設立ということがありましたけれども郵政省としてはどちらをとる考えなんですか。
  120. 小野沢知之

    ○小野沢政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、今真剣に慎重に検討している段階でございます。
  121. 伏屋修治

    ○伏屋委員 まだ結論は出ないのですか。
  122. 小野沢知之

    ○小野沢政府委員 はい。
  123. 伏屋修治

    ○伏屋委員 わかりました。  衛星の調達方法についてですが、放送事業者衛星を所有するのか、それともリースによってこれを利用するのか、これも今の答弁の中にあるわけでございますけれども、入札の方法等は無差別の国際入札をとるのかどうなのか、その辺お答えいただきたいと思います。
  124. 小野沢知之

    ○小野沢政府委員 お答えいたします。  政府及び政府関係機関による非研究開発衛星の調達につきましては、平成二年の六月十四日に政府のアクションプログラム実行推進委員会が定めました非研究開発衛星の調達手続に従いまして、公開、透明かつ内外無差別な手続により行うこととしているものでございますが、BS3後継機はここに言う非研究開発衛星に該当するものでございます。NHKは同手続の対象外となっているわけですが、自主的に政府等の調達手続と同等の手続を採用いたしております。したがいまして、NHK等の利用を前提としますと、公開、透明かつ内外無差別な手続によりBS3後継機の調達を行う必要があるというふうに考えております。
  125. 伏屋修治

    ○伏屋委員 新聞報道によりますと、BS4の二機のうちの一機、四チャンネルの内訳を見ますと、NHKが二チャンネル、JSB一チャンネル、あとの一チャンネルのユーザーが未定である。その一チャンネルを民放局が非常に参入を希望しておる。しかし、この計八チャンネルの中で内訳を見ていきますと、放送大学とか国会中継などの公的チャンネルが入ってくると民放にチャンネルが行き渡らない、そう言う面で民放側が非常に反発しておるという記事があるわけでございます。これに対して郵政省としましてはこの問題の解決策を先送りしておる、こういうような記事でもあるわけでございますが、そのあたりはどのような経過になっておりますか。
  126. 小野沢知之

    ○小野沢政府委員 お答え申し上げます。  当面の課題を先送りしようという考え方は何事についても一切ないつもりで対処しているつもりでございますが、昨年からこの問題につきましては、打ち上げの時期から逆算したり、あるいはそれまでに検討して改正すべき問題点だとか、あるいは今いろいろな調査研究等をお願いしておりますから、そういったいろいろな結果を踏まえなければいけませんし、また、各界からいろいろな御意見があろうと思います。それもいろいろ聴取したいと思いますから、そういったものを全部含めて、早くて平成五年に決定したい、こういうふうに昨年からずっと見解を述べておりまして、そういった点でその辺は変わっておりませんが、なお、そういった検討について慎重かつ真剣にそのスピードを加えていきたいというふうに考えております。
  127. 伏屋修治

    ○伏屋委員 では、次の問題に入りたいと思います。  アメリカのタイム・ワーナーという外国企業が日本のCATV局に資本参加を決めて、伊藤忠とか東芝と資本提携し、日本での映像ビジネス拡充を図り、日本のCATVに対して本格的に乗り出す動きがある、こういうふうに聞いておるわけでございますが、それは事実かどうか。
  128. 小野沢知之

    ○小野沢政府委員 お答えいたします。  つい最近、関係者から事情聴取いたしましたところによりますと、タイムワーナーが伊藤忠と東芝と資本提携し、新会社をつくる計画があることは事実でございます。しかし、現在、日本でのCATV事業に参入する具体的計画はないというふうに聞いております。
  129. 伏屋修治

    ○伏屋委員 こういう外資の導入につきましては、いわゆる社会影響力にかんがみて出資率二〇%以下に制限され、認可しないこともできるという規定が郵政省の中にあるわけでございますし、また現実には地方資本を優先するという意味から、国内の中央資本の参入というものも事実上規制されておるわけでございますけれども、ワーナー社が許可を申請してきた場合には郵政省当局としてはどう判断するつもりなのか、お尋ねしたいと思います。
  130. 小野沢知之

    ○小野沢政府委員 お答えいたします。  ただいま伏屋先生御指摘のように、この問題につきましては、いわゆる相対的欠格事由というのが有線テレビジョン放送法で規定されておるわけでございます。これをかいつまんで結論的に申し上げますと、外国企業の出資が二〇%未満でおりますれば全く制限はなく、また、出資が二〇%以上であっても、その設置を適当と認めれば施設設置の許可を与えることは可能だ、こういう法制上の仕組みでございます。  ところで、具体的にタイムワーナーから申請があった等の場合ですが、それに対して施設設置許可を与えるか否かにつきましては、ただいまの法令に基づいて我が国におけるCATVの発達普及状況だとかあるいは国際化への対応への配慮とか、そういったことを考えながら適切に対処してまいりたい、このように考えております。
  131. 伏屋修治

    ○伏屋委員 先般、ブッシュ大統領が訪日した際にも、アメリカ企業の日本への投資促進が大きな議題になったと聞いておるわけでございます。そういう関係上、むげに外資参入を認めないというわけにはいかないと思いますけれども、そのあたり、大臣はどのようにお考えでしょうか。
  132. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 基本的には放送行政局長が今まで答弁を申し上げてきたことでございますが、立法の趣旨に立脚いたしまして、内外の情勢を的確に見きわめながら関係法令を適切に運用してまいる。実は今こういうお答えしかできないわけでございまして、ひとつ御理解いただきたいと思います。
  133. 伏屋修治

    ○伏屋委員 次は、問題を変えまして、最近問題になっております香港のスターTVの越境電波に対する郵政省対応についてお尋ねしたいと思います。どうお考えですか。
  134. 小野沢知之

    ○小野沢政府委員 お答え申し上げます。  まず、スタテレビの関係の状況ですが、スタテレビは、ハッチビジョン社という香港の財閥系の企業がアジアサット衛星を利用しまして昨年の八月から開始したテレビ番組の配信サービスを行っている、そういう企業でございますが、現在五チャンネルの番組を配信しているところでございます。  そこで、先ほど先生御指摘のありましたような報道等がなされましたので、私ども本年一月に職員を香港に派遣いたしまして、スタテレビについて現地の関係行政機関及び関係事業者にいろいろな質問等をして照会しましたのですが、その得た回答の概要は、ポイントは二つでございます。  一つが、スタテレビはアジアサット衛星を利用した地上波放送局及びCATV局向けのいわゆる番組供給サービスであり、公衆によって直接受信されることを目的とした放送サービスではないということ。第二点として、スタテレビサービスエリアには日本は含まれておらず、仮に日本で受信できるとすればそれは不可避なスビルオーバーである、こういう向こうの見解でございます。私どもといたしまして、日本国内におけるスタテレビ電波の伝搬状況等の実態につきまして、平成四年度の予算案に計上されております放送分野における国際化に関する調査研究を実施していく中で、その辺の実態を調査したいと考えております。  また、これにまつわるいろいろな問題点をあわせてその場等を活用して鋭意研究してまいりたい、このように考えております。
  135. 伏屋修治

    ○伏屋委員 このスターTVに対しましては、もう既に東大阪市あたりで衛星放送機器販売会社ワードというところでスターTVを受信できるような大型アンテナが販売をされておると聞いておるわけでございます。既にもう都市ホテルとか英語会話学校とか金融関連の企業とか外国人用マンションとか、そういうところで利用されつつあるようでございまして、郵政省の今のお考えを聞いておりますと、何か後手になっておるような感じが強いわけでございますが、そういうものに対して、また国内のCATVの業者がこのスターTVに対してどういうような考えを持ってこれから対処しようとしておるのか。それと同時に、国内で受信するとするにはどれぐらいの設備が必要なのか。もう既に日本の大きな企業、三菱電機ですか、あるいは西松建設というのはスターTVのスポンサーになって東南アジア向けのCMを放映しておるというようなことも聞いておるわけでございますが、どうも郵政省の手の打ち方がおくれておるのではないかと思いますので、その辺の郵政省の見解、また今後の取り組み、調査団を派遣して調査してきたということからして今後の取り組み、そういう見解をお尋ねしたいと思います。
  136. 小野沢知之

    ○小野沢政府委員 お答えいたします。  先生の御質問を契機といたしまして、さらに調査研究を深めたいというふうに考えます。  冒頭の御質問日本のCATV事業者の動向でございますが、関係者から事情聴取したところによりますと、スタテレビを受信するという具体的な計画を有する日本のCATV事業者はないということでございます。  なお、御指摘になりました実態等につきましては、さらに拍車をかけて調査研究したい、このように考えております。
  137. 伏屋修治

    ○伏屋委員 ではそれを詳しく調査して、後手のないように対応を進めていっていただきたい。民間業者の方がどんどんと先行するようなことは困るわけで、非常に秩序が乱されるわけでございますから、しっかりと対応をお願いしたいと思います。  その次に、電気通信格差事業の概要についてお尋ねをしたいと思います。  昨年は十億三百万という予算を獲得し、今年は二十億一千六百万ですか、平成四年の予算案でございますが、昨年の電気通信格差事業にそれだけの予算がつき、今年度もそれだけの予算がついた。それについて、その格差事業がどのように進んでおるのか具体的にお聞きをしたいと思います。  まず最初に、沖縄の先島地区の民放テレビ放送難視聴解消について、民放テレビ放送難視聴解消事業の概要、それからまたそれに対する国の負担割合、補助予定額、実施計画はどういうふうに進められておるのか、そのあたりをお尋ねしたいと思います。
  138. 小野沢知之

    ○小野沢政府委員 お答え申し上げます。  沖縄県の先島地区には約三万四千世帯、約十万七千人の方が居住されておるわけですが、沖縄本島に民放が開局されて約三十年経過した今日においても、民放テレビ放送を視聴することができない状況にありまして、この難視聴の解消方につきまして長年にわたり地元住民から強い要望が出されてきたところでございます。  そこで、この問題の解決を重要な課題認識いたしまして、御指摘地域格差是正施策の一環といたしまして平成四年度の重要施策として位置づけまして、結果として公共投資(生活関連重点化枠)として、国が難視聴解消の施設の建設費総額三十二億円の一部、内容といたしましては海底ケーブルの敷設費等の三分の二、中継局の建設費の二分の一を補助するということで、ただいま平成四年度政府予算案に九億円が計上されているところでございます。  なお、この事業の概要でございますが、事業主体は沖縄県でございます。それから、沖縄本島と宮古島との間にテレビ番組伝送用の海底ケーブルを敷設するとともに、先島地区にテレビ放送用の中継局七局を建設するというものでございますが、予算が成立しますれば、平成四年度から海底ケーブル及び中継局の建設に着工いたしまして、平成五年末には完成する運びとなる予定でございます。そういうふうに努力したいというふうに考えております。
  139. 伏屋修治

    ○伏屋委員 それと同時に、この格差是正事業の中で、中波のラジオ放送の受信障害それから外国波の混信の解消について、これも格差是正事業の中に入っておるわけでございますが、その中波ラジオ放送の受信障害の現状、それからまた、外国波混信解消のための国際間の協議はどういうふうに行われておるのか、あるいは、受信障害、外国波混信解消事業の概要ですね、それに予算措置、それをお答えいただきたい。
  140. 小野沢知之

    ○小野沢政府委員 お答え申し上げます。  まず中波放送の受信障害の現状でございますが、地域住民に密着した放送メディアであり、また、災害時等における簡便かつ確実な情報収集手段として日常生活に必要不可欠な存在となっているわけでございますが、山陰等の地形的要因や夜間に遠距離まで電波が届くことに起因する近隣諸国からの混信等によりまして、良好に聴取できない地域日本海側を中心といたしまして全国に百カ所程度散在している状況にございます。  そこで、この混信解消のための国際間の協議の問題でございますが、中波ラジオ放送は、一九七五年に制定されました国際協定に従いまして周波数が割り当てられており、また、新たに放送局を設置したり電力や周波数を変更する場合には、同協定に基づいて地域の関係国と協議を行うことになっております。  しかしながら、実際問題として同協定は、各国の強い要望によりまして混信が発生しない限界以上に放送局の設置を容認したことから、電波の到達距離が延びる夜間には周辺諸国の放送局の電波による混信が発生することは避けられない実態にございます。  このため、混信を具体的に解消するためには、混信を与えている放送局の周波数の変更や電力の低減について関係国と二国間交渉する必要があるわけでございますが、周波数が逼迫している、そういう状況の中での周波数の変更や、放送区域を狭めることとなる電力の低減等の対策の実施については、なかなか合意を得ることが困難な状況にございます。  そこで、具体的な現実的な解決策をまさぐらなければいけないんじゃないかということで考えたのでございますが、国際調整が容易な小電力の中継局を受信障害地域に設置することが有効な現実的対策ではないかということを考えまして、そこで、早速平成四年度から新たに新規施策として、電気通信格差是正事業の一環として、中継局の設置による民放中波ラジオ放送受信障害解消事業に対して国が建設費に対する補助を行う制度、補助率は四分の一でございますが、これを創設することが予算編成の過程で認められたわけでございます。そこで、平成四年度予算案においては、三地域への中継局の設置のための所要経費が計上された、こういう状況でございます。
  141. 伏屋修治

    ○伏屋委員 今この二つ以外にも、まだ難視聴解消事業というものと、それから移動通信用鉄塔施設整備事業、こういう二つがございますけれども、これも現況、概要をお聞きしたいと思います。
  142. 白井太

    白井(太)政府委員 先ほど来お話が出ているもの以外で平成四年度予算案の中で三年度と違った部分についてだけコメントをさせていただきたいと思いますが、一つは、対象事項といたしまして、テレビの難視聴解消について共同受信施設を対象として加えることにいたしました。平成三年度の場合は中継局をつくるという方法でもって難視聴を解消することにしておったわけですが、それに加えまして、共同受信施設で難視聴解消を図るというのも対象に加えるということにいたしました。  それから、もう一つ大きな違いは、事業主体が、平成三年度の場合は公益法人であったわけでありますが、これを原則として市町村が事業主体になるということにいたしました。さらに国の補助率も平成三年度の場合は四分の一でありましたものを三分の一に引き上げるというようなことをいたしました。したがいまして、平成四年度以降は市町村が事業主体になりまして三分の一を国から補助してもらえ、残りの三分の二を都道府県と市町村が負担するという形で格差是正事業が進められるということになるわけでございます。
  143. 伏屋修治

    ○伏屋委員 移動体の通信用の施設整備事業についてはいかがですか。
  144. 白井太

    白井(太)政府委員 先ほど申し上げました事業主体が市町村になるということ、あるいは国の補助率が三分の一に引き上げられるということは、移動体についてもそういう内容のものでございます。  なお、先ほどちょっと申し上げるのを忘れましたが、平成三年度の予算の執行状況でございますが、ほぼ十億三百万円の予算については、大体それに向けて事業が進められるものということで今努力をいたしておるところでございます。
  145. 伏屋修治

    ○伏屋委員 では次に、問題変わりますが、郵政省が、独立国家共同体、CISの援助のために官民共同の協議会を二月じゅうにつくる、こういうような記事がございましたけれども、これはでき上がっておるのですか。
  146. 白井太

    白井(太)政府委員 お答えの前に若干付言をさせていただきますと、ソ連邦が国の形態がいろいろ変わるというような大きな動きをいたしておりますが、この電気通信分野ではまだ基盤の整備が大変おくれておるというようなことも聞いておるところでありまして、近隣国の一つとして我が国も旧ソ連、今日の独立国家共同体情報通信基盤整備についてもできることなら協力をしたいというような気持ちを持っておりまして、どのような協力の仕方がよいのかということを昨年からいろいろと考えてきておったわけでございます。  ただ、率直に申し上げまして、旧ソ連実情あるいは実態というのがよくわからないというのが率直なところでございまして、そういうこともありまして、私どもとしては、国の形態が少し変わりましたけれども、新たにこの独立国家共同体として発足をした幾つかの国々の通信関係の責任者の方を我が国にお招きして、いろいろこちらのノウハウ提供するし、向こうの方の事情もいろいろ聞かせていただくというようなことをやったらどうだろうかということから、ただいま先生がお話しになりましたような協議会をつくろうというような話になりました。多少お金もかかるということもございますし、それから独立国家共同体実情等については大変関心を強く持っておられる通信事業者でありますとかあるいは民間のいわゆるメーカーの方々もおられますので、そういう方々にも御協力をいただきまして協議会をつくろうということになりまして、きょうを予定しておりましたが、ちょっと私、こちらの方に参っておりますので出席できませんでしたが、多分もうこの時刻には発足をさせていただいていることと思います。この協議会の中でいろいろ御相談をしながら旧ソ連とのいろいろな協力関係を深めてまいりたいというふうに考えております。
  147. 伏屋修治

    ○伏屋委員 今の構成等々にもあらましお答えがあったと思いますしその目的も大体わかりましたが、具体的な活動というのは、独立国家共同体通信事業関係者の方を招いてセミナー的なことをやるというのがまず第一段階の活動。それ以後の活動というものはお考えになっておられませんか。
  148. 白井太

    白井(太)政府委員 今のところ五月の下旬にお招きをしたいと考えておりまして、約一週間くらいをかけてセミナー等をやりたいと思っておりますが、そのセミナーの持ち方につきましてもできるだけ向こうの方からもいろいろなお話を例える、それも協議会のメンバーの方もお話が聞けるような場にしたいということも考えておりまして、まあそのときのお話いかんにもよるわけでありますが、私どもといたしましては、またそういうお話も踏まえて、今度は現地の方に日本からいわゆる調査団のようなものを送るということも考えたいと思っております。
  149. 伏屋修治

    ○伏屋委員 では次の問題に入りたいと思います。  郵政省は、関東、近畿両電気通信監理局に不法無線局に向け直接警告電波を発射するシステムの規正用無線局を開設した、こう聞いておるわけでございますが、それの効果はあらわれておりますか、どうですか。
  150. 森本哲夫

    森本政府委員 現在いろいろな不法の無線局がございますが、このうち御三家といいますか御四家といいますか、大きなのが今御指摘の不法パーソナル無線というのがございまして、これは本来のパーソナル無線の内部の回路を改造いたしまして違う業務用の周波数の電波を発射する、こういうもので、もちろん出力も正規のものから十倍あるいは二千倍という大きなパワーを出すわけでございます。しかも、特にこの隣接しておりますとこるというのが地域防災無線でありますとか、テレターミナル、あるいはMCAというトラック通運事業者が共用しているような無線システムでございまして、最近では自動車電話の周波数にも影響があるわけでございます。  それで、こうしたパーソナル無線というのは全部と言っていいぐらいなんですが、車両に積んで動き回って不法の電波を発射するわけでございますが、今お話しございましたように、特に難儀をいたしております東京、大阪でこの規正用無線局というものをつくりまして今対策を講じております。  この規正用無線局と申しますのは、事前に不法の無線が出現する周波数というものにあらかじめコンピューターを合わせておきまして、周波数をキャッチすると自動的に、こちらは電気通信監理局です、あなたの発射している電波は違法です、罰金に処せられますよ、こんなことを警告するわけでございますが、運用開始後、自動車電話のところを重点にやってまいりました結果、次第に不法パーソナル無線の出現が減少したという報告を聞いております。それで一定の効果があるものだな、こういうふうに理解をいたしておりまして、私ども今さらにこの領域に隣り合っておりますところのMCAの無線とかテレターミナルとか、こういうところにも重点を置いて警告をやろう、こういうことでございます。  ただ、この不法パーソナル無線のように発射周波数が明らかに不法無線だということが判断できるものはこういうやり方が通用するわけでございますが、さっき申しましたほかの御三家といいますか、不法のアマチュアだとかあるいはハイパワーの市民ラジオだとか不法のコードレス、こういうようなものには、一々これが適法なのか不法なのかを確認した上で対処をしなければならぬものでございますから、自動化はできないわけでございまして、まあそういう意味では、こうした規正用無線とあわせて地道な不法無線探査ということもやってまいりたい、こういう状況にあるわけでございます。
  151. 伏屋修治

    ○伏屋委員 ちなみに九〇年度には大体そういう不法無線、無線妨害の苦情処理というのはどれぐらいあったのですか。
  152. 森本哲夫

    森本政府委員 不法無線ということで混信が申告がありましたのが平成二年度では千七百七十件ばかりございます。これとは別に、重複しているものもありますが、私どもで不法無線だということでキャッチいたしましたのが約二万六千局でございます。
  153. 伏屋修治

    ○伏屋委員 この警告電波によりますと、あなたの電波は不法電波であります、一年以下の懲役または二十万円以下の罰金に処せられますよということを三回ぐらいコールするのですね。三回ぐらいコールするのですけれども、アマチュアの方はもうこういうのは病膏肓に達するというのですか、そういうのが好きな人はそれぐらいできくかどうかということですけれども、その辺はどうお考えですか。
  154. 森本哲夫

    森本政府委員 まあアマチュアといいますか、今はこういう規正がききますが、先ほど申し上げましたように、不法のパーソナルという特別の改造をした機器でございますが、やはりこういう不法無線の発射源に二つ種類があって、一つは大変意図的に、例えば代表的なのは過激派でございますが、日本にVIPが見えたときに社会秩序を混乱させようということで、あるいは陛下が国内を移動されるときにいろいな無線妨害を起こす。こういう意図的なものとは別に、電波は目に見えないものですから、自分がどれだけこの不法によって社会的損害を与えているかということについて十分自覚症状のない方も確かに残念ながらおられるわけでございます。こういう方に対して規正が入りますと、いわばびっくりして、これはえらいことだというような交信をして、もうやめようやというような音声がこちらにも聞こえるケースもあるようでございまして、そうした意味ではそれなりに有用か。ただ、これだけですべてが引っ込むほど全部が全部善意の人でないということも御指摘のとおりだろうと思います。
  155. 伏屋修治

    ○伏屋委員 確かに最初、これは初めてのケースですから最初のショックは大きいでしょうけれども、やはりなれるに従って、まあ警告はされるけれども一向にうちへ来たこともないし、まあさしずめいいじゃないかという、自分のおもしろみの方が先行してさらに広がっていくという危険性はありますので、やはりそういうものと同時にまた、それに懲りてもうやらせないというようなそういう対処の方法も新たに考えなければならないのではないかな、このように思います。  それから、私も先日関東電波監理局の方を視察させていただいたわけでございますが、そういう監視システムというのは全国で十一しかない。それで今後、もう今既に八百万を超えようとするような無線局がある中で、この十一のそういう監視体制でやっていけるのかどうなのか、これはもう到底やっていけないと私は思います。そうだとするならば、今後どういうふうにこれをふやしていこうとするのか。私の見ました関東電波監理局だけでも三固定施設があって、そして監視移動車が二台ということであって、そして最終的には人が監視機を持ってその町内かいわいをさまよい歩く、こういうような体制ですから、非常に近代的な技術の進む中で何かその辺がこれでよいのかなという疑問を持って私も帰ってきたわけでございますが、そういう固定施設をふやすという計画があるならば、いつごろまでにどれぐらいふやしたいというお気持ちでおられるのか、お考えを聞きたいと思います。
  156. 森本哲夫

    森本政府委員 確かに、御指摘のように、今こういう固定の監視施設を備えておりますのは、仙台とか札幌だとか、関東、東京でございますが、こういう電気通信監理局の所在地に大体一つずつ全国に十一、そのほかに新東京国際空港、それから福岡、それから国際の無線を監視します施設を三浦市に設置いたしておるわけで、そういう意味では常時間定監視できるのは十四カ所ということに相なっておるわけでございますが、御指摘のように、精度の上でもエリアの上でも非常にラフな状態に相なっておることは御指摘のとおりでございまして、不十分だと思っております。最近のように年間に百万近くも無線局がふえていく、こういう状態でありますればとても従前のこの対応では間に合わない。しかもこの不法無線の妨害が警察だとか消防だとか非常に社会秩序に響くような妨害がございますので、本当に放置はできないという状態になっていると認識をいたしておりまして、私どもとしてはぜひこの固定監視が可能なエリアを拡大したい、そしてまた今の周波数も非常に限定的でございますので、周波数も幅を広げて監視ができるようにいたしたい、こう思っております。  さしあたり私どもとしては、全国の政令都市、そしてその次には地方の県庁所在地、さらには地方の中核都市、こういうところまでいわばメッシュ状にこういう監視施設を整備いたしまして、不法の探査ができるだけ着実に行えるような体制をぜひ速急に組みたい、こんなふうな計画でおるわけでございますが、いずれにしても、こうした問題には大きな財源も伴いますので、先ほど御指摘もいただきましたような電波利用料は整備項目の対象に充てるべき筋のものでないかというふうに考えておるところでございます。
  157. 伏屋修治

    ○伏屋委員 電気通信の方はそれぐらいにしたいと思います。次に、郵務の方でございますけれども、郵便配達の途中にひとり暮らしのお年寄りに声をかけていくというふれあい郵便運動というものが、これは郵政省主体でなくて組合の全逓の方が主体になりまして、大分県から始めまして全国一部十四県、九十六郵便局で実施されるようになってきた。最初郵政省もこれを渋っておったようでございますけれども、それが非常に広がりを見せておるという状況からこれに協力する方針に変わってまいりまして、過疎地域活性化特別措置法に指定されている千百六十五の市町村、これを実施する対象にする、その対象世帯数は二十一万世帯に上る、こういうふうに言われておるわけでございます。これは大変結構なことですからやっていただきたいと思いますが、もう一面考えられるのは、都市の郵便物が非常に多い。都市部においてのそういうふれあい運動というものは今後の課題だ、こういうふうに郵政省の関係者も言っておられるようでございますが、今後の課題としては具体的にどういうふうにしてそういうものを都会の中にも広げていこうとお考えになっておられるのが、お考えがあれば聞かせていただきたいと思います。
  158. 早田利雄

    ○早田政府委員 今お話しの高齢者への励ましの声がけにつきましては、昨年の九月から全国的に郵政省としましての基本的な考え方を指導いたしまして取り組んでいるところでございます。御指摘のように、現在私ども指導しております対象地域は過疎地域ということで限定しておりまして、現在、全国百十八の郵便局でやっておるところでございます。  ただ、これはあくまで郵便配達の際の手あき時間を活用いたしまして高齢者の方へ声かけをするというようなものでございまして、都市部においては実は大変郵便物も多くございまして本来の配達業務にも大変苦労しているという現状から見まして、当面、高齢者への声がけを都市部において実施するということは困難であるというふうに私ども考えております。  ちなみに、東京都内の一区平均といいますか郵便配達の人、職員一人一区平均の配達の物数は二千六百通、過疎地の場合が大体二百五十通ということで、十倍以上の郵便物数がある、それを同じ勤務時間の中で配達するというようなことから、都市部におきましては、当面先ほど言いましたような形での声がけを実施するということは困難であるというふうに私ども考えております。
  159. 伏屋修治

    ○伏屋委員 確かに、郵便物の件数からいいますとそれはちょっと困難であるということは言えると思いますが、やはり気持ちだけは持っていかなければならないのではないかな。郵便物が多いからできないのだと言って都会の方は全然やらない、過疎地域だけはふれあい運動だという形でやっていくというのではなくて、それでは一貫性がないので、郵政省が取り組むとすれば、やはり都会の中にも高齢者の人はおるわけですから、そういう方のいるうちというのは自分の配達するエリアの中では大体わかると思うのですよ。だから、そういう方々に対してはふれあい運動を少しずつでも広げていくという積極姿勢が欲しいな、こういうふうに思いますが、その辺はいかがですか。
  160. 早田利雄

    ○早田政府委員 現在、過疎地で私ども指導しております郵便につきましては、普通の郵便、通常ですと各家庭のポストに入れます郵便につきましても、できるだけ高齢者の方へ直接手渡しをして、その際励ましの声がけをしていこう、こういうふうな運動でございまして、御指摘のように、都市部におきましても、例えば小包であるとかあるいは書留であるとか、そういうようなものは現在でも直接手渡しするのが原則でございますので、基本的に都市部におきましてもそういう気持ちは全職員に持ち続けさせていきたい、また、できる範囲の中でやっていきたいというふうに思っております。
  161. 伏屋修治

    ○伏屋委員 それは続けていっていただきたいと思いますし、広げていっていただいて愛される郵政にならなければならないのではないかと私は思います。  その次の問題ですが、先ほど武部委員の方からも御指摘があったわけでございますが、郵便局の週休二日制の問題でございます。  もう時間も余りありませんが、平成三年十二月二十七日の閣議決定で、国家公務員一般職非現業、これを週休二日制にする。その直後に、大臣は、土曜日の郵便物配達サービスを継続する、こういうふうに述べておられるわけでございます。今現在、郵便局職員の完全週休二日制導入に当たって郵政省と労働組合で意見が対立しておると聞いておるわけでございますけれども、意見が対立したまま次年度の労使の話し合いの大きな課題として残されておるわけでございますが、どのあたりにその対立点があるのか、御説明をいただきたいと思います。
  162. 早田利雄

    ○早田政府委員 現在、関係の労働組合と平成四年度内の実施を目指してお互いに鋭意努力しているところでございますけれども、先ほど大臣の答弁にもございましたように、定員をふやさないで、そしてサービスの水準を下げないでという形の中で実施するということになりますと、週休二日制に伴いまして、当然それに伴いまして一定の定員といいますか職員数が必要になるわけですけれども、それをどういう形で生み出すかという、その要員の産出のやり方につきまして、私ども省の考えているところと関係の労働組合の皆様方の意見と食い違っているというところでございまして、私どもの方といたしましては、例えば先ほども少し御説明をさせていただきましたけれども、夜間労働の見直しであるとか、あるいは部外委託の拡大であるとか、いろいろな提案をしておるわけでございますけれども、その辺のやり方等につきましてまだ意見が一致しないということでございます。
  163. 伏屋修治

    ○伏屋委員 終わります。
  164. 谷垣禎一

    谷垣委員長 次に、吉岡賢治君。
  165. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 渡辺郵政大臣所信表明がありましたから、それについて質問させていただきたいと思います。  まず一つ郵政外交についてであります。  昨今、ガット、ガットということで米の問題ばかり新聞に載っております。しかし、米問題ばかりでなくて、いわゆるGNS、言うなればサービス貿易についての関係があるわけでございます。郵政省の所管というのは郵政三事業あるいは電気通信それから放送、どれをとってもサービスであります。したがいまして、ガットに今日まで臨まれてこられた郵政省の基本的な態度なり経過なり簡単にお聞かせいただきたい、こう思います。
  166. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 吉岡先生御指摘のとおりでございまして、郵政省は今まで国内の利用者あるいはまた国民に対するサービスということを本旨としてやってまいったわけでありますが、国際化時代、言うならば国と国との関係の全く平らかなそんな関係になってきた昨今、どうしてもこういった郵政業務あるいは郵政行政とのかかわりというのが国と国との関係の中で非常にたくさん出てくるわけであります。いわゆるガット・ウルグアイ・ラウンドにおいては、従来の物の貿易ということに加えまして今御指摘の新分野としてのサービス分野の交渉が行われている、しかもその中で郵政省の占める割合が非常に大きい、かつまた非常に貢献をしてまいりました。必要であれば後ほど政府委員の方から答弁をいたさせますが、郵政省の所管する通信放送事業、郵政事業、いずれも今御指摘サービス分野ですから、我々としては郵政外交展開する中ではこういった問題について積極的に取り組んで今日まで参加をいたしてまいったという次第です。  産業経済国民生活に占めるサービス産業の役割が今後とも増大する、これは大いに見込まれることでありますから、サービス産業の国際的発展に資するように、ウルグアイ・ラウンドにおけるサービス貿易交渉の成功に向けまして、今後なお引き続いて努力をいたしてまいりたいと思っておる次第でございます。
  167. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 昨年の十二月にサービス貿易協定について枠組み協定、そして分野別附属書案がダンケル・ペーパーということで示されたと思います。その内容と郵政省の見解はどうなっているのか聞かしてください。
  168. 五十嵐三津雄

    ○五十嵐説明員 先生からお話ございましたように、昨年の十二月押し迫りましてから、いわゆる包括貿易協定案というような形でダンケル事務局長から示されたところでございます。  内容を簡単に御紹介をさせていただきますと、いわゆるサービス貿易協定の一般的なルールになっております枠組み協定案、これは全体で三十五条の条文から今のところ成っております。その中で、市場アクセスあるいは内国民待遇、最恵国待遇というようなことで従来のもののガットの精神にのっとったサービス貿易協定案になっているというのが現状でございます。  それからもう一つ、先生お話のございましたいわゆる附属書の関係は、私どもとの行政のかかわりで申し上げますと、電気通信の附属書案でございます。これは全条文は七条から成っております。その中身は電気通信の自由な利用を確保するための規律を定めているものでございますが、具体的には、ネットワークサービスヘのアクセスの利用の確保というような観点とか技術協力というようなものについて定めております。  こう申し上げますと抽象的でございますので、一、二ちょっと例を拾って御紹介をさせていただきますと、例えば電気通信附属書案の中に、七条から成っておりますが、いわゆるサービスアクセスと利用の確保というようなものがございます。第五条でございますが、要旨を申し上げますと、「外国サービス供給者に対し、公衆電気通信伝送網及びサービスのアクセス等利用を合理的、無差別な条件で確保する。」いってみますと公平の条件みたいな書き方になっております。それから技術協力等につきましては、「締約国は、開発途上国間の電気通信協力を奨励する。」というような趣旨になってございます。  先生、これについてどういうふうに考えているかというお尋ねでございますが、今交渉段階でもありますが、現段階での私どものこれに対する評価を申し上げさせていただきますと、まずサービス協定案の方につきましては、若干懸念されるという面もあることはあるのですが、全体的には受け入れられないというようなものではないというふうに考えております。  その若干の懸念と申し上げますのは、アメリカが、いわゆる日本の法律構造とはちょっと違うのでございますが、べーシックテレコムと言われる、電話の基本サービスと言われるようなことにつきまして、これを最恵国待遇の例外にしたいというような考え方がありますので、これはEC、日本アメリカとの間に意見の対立があります。この辺の整理がどうなるかというところがありますが、基本的には、このサービス貿易協定案は受け入れられないというようなものではないというふうに考えております。  それから、電気通信附属書の方についてでございますが、電気通信が二十一世紀に向かってますます重要なものになっていくというようなことでございまして、その位置づけ、認識というものは私どもと全く同じ考え方でございますし、これまでの私どもとの二年余に及ぶ交渉の中でいろいろ日本の案が盛り込まれているというふうに私ども受けとめておりまして、それぞれの国が自由化のために確保すべき措置とそれぞれの国が行うことのできる規制とのバランスが保たれているというふうに考えておりまして、おおむね評価をいたしているということでございます。
  169. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 本年一月に約束表の提示ということを求めていると思うのですね。三月中に提示するということになっているようでございますが、平成三年に我が国は第二種電気通信事業について、例えばパケット交換データ伝送サービスやVANサービス、こういうものに対して自主的にオファーを行っていらっしゃるように思っております。今回このオファーをどういうようにされるのか聞いておきたいと思います。
  170. 五十嵐三津雄

    ○五十嵐説明員 ガットの取り運びの現在の段取りとして申し上げますと、先生お話のありましたとおり幾つか期限がございますが、電気通信のタイムテーブルにつきましては、二月二十日に具体的にそれぞれの国が自由化するものを提出することというのが一度ありました。この後は三月九日にまた改定するものがあれば出しなさいという形になっております。最終的には、目下のスケジュールでは三月の三十一日に最終的なものを提出する、こういう段階になっております。  先生お話のありましたように、私どもとしましては、第二種電気通信事業提供するパケット交換あるいはテレックスあるいはファクス、専用線、そういったもののサービスを自由化業種としてオファーをいたしております。現在の段階はまだ交渉は続いておりますが、目下の段階はそういったところでございます。
  171. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 第一種電気通信事業について外資規制等あるわけでございますが、先ほども少し触れられたようでございますが、これが交渉の対象とされる可能性が今後出てくる、こういうように思うところであります。アメリカやあるいはECあるいは日本ということの中で、国際通話と国内の長距離通話市場の開放を求めるということがアメリカの方から出ておるようでございますね。その辺についてどう考えていらっしゃるのかお聞かせいただきたいと思います。
  172. 五十嵐三津雄

    ○五十嵐説明員 今の先生のお尋ねの前にちょっと私訂正を申し上げさせていただきますが、先ほど約束表の提出のタイムテーブルで二月二十日と申し上げたかと思うのですが、二月十日の間違いでございますので訂正させていただきます。  それでお尋ねの、いわゆる第一種電気通信事業についてはどういうことになるかということでございますが、現在私どもがオファーしているのは第二種電気通信事業でございますけれども、いわゆる第一種電気通信事業、必ずしもアメリカ、ヨーロッパの法制と一緒ではございません。一種というふうに考えた場合これが今後どうなるかということでございますが、実は率直に申しあげますと、アメリカやEC諸国がどういうオファーをこの分野でしてくるか、目下のところはちょっと見えないというところでございます。まだ時間的な猶予もあるということもあろうかと思いますが、そういった現状でございます。ただ、我が国の第一種電気通信事業者は国内法制的に見ますと外資の参入を認めております。そういった意味で、必ずしも今諸外国の出方がわからないというところがあって、オファーはいたしておりません。  今後どうするかということでございますが、主要国あるいは諸外国の出方を十分注視をしながら、交渉事でございますので適切に対処してまいりたいというふうに存じております。
  173. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 第一種の関係で認められているということですが、KDDに対してC&Wですか、そんなのが今あるわけですから、そういう意味では認められておることになるのでしょうが、これは安易にやりますと大変混乱することもあるというふうに思いますし、また我が国では一種、二種と言っておりますけれども外国の方に行ったら一種も二種もない。また、一種、二種でも、ほかの国でやっておっても内容が異なるというようなことがあると思いますから、その辺で単に一種、二種というふうに言っておっても仕方がないというふうに思いますから、例えばNTTであるとかKDDとか、あるいは第一種のNCC、そういう分野にも入れる予定なのか、ちょっと聞いておきたいと思います。
  174. 五十嵐三津雄

    ○五十嵐説明員 先生から今御指摘のございましたように、日本の法制とアメリカあるいはECの法制とが違っておりますので、同じレベルで交渉事で出していくときにはそれなりに注意深い整理が必要だというふうに存じております。  それから、国内の参入問題につきましても、そういう周辺部の状況で申しあげますと、例えばイギリスは、最近、競争政策をもう一回見直して方針を出しましたが、相変わらず国際分野通信につきましては参入は認めていない。当面は従来どおり二社だけでやる、そういう方針を出したりしております。それぞれの国の、ある意味からいいますと極めて戦略的なところもございまして、私どもとしても、電気通信事業法に一定の制約はございます、許可につきましても一定の基準があり、ますが、電気通信の健全な発達のためにどう考えていくかというような物差しもありますので、具体的な参入に当たっては法律にのっとりながら適切に対処していく必要があるというふうに考えております。そういった意味では、一種のオファー、今後どういうことになるか、今直ちに申し上げられないところがありますが、周辺部の状況を注意深く見守って対処してまいりたいというふうに思っております。
  175. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 それから、ちょっと変わるのですが、国際電気通信連合、ITU、これの管理理事国に日本はなっていると思っています。無線周波数であるとかあるいは静止衛星軌道の国際調整あるいは監理、電気通信に関する国際標準化開発途上国に対する技術援助などの主たる任務が示されているようでございますけれども郵政省としてどう対応してきたのか。  さらにまた、私企業の立場でNTT等がITUに参加をしているようでございます。その活動の状況を明らかにしていただきたいと思います。
  176. 白井太

    白井(太)政府委員 国際電気通信連合についてのお尋ねでございますが、冒頭お話ございましたように、我が国は国際電気通信連合の管理理事会のメンバーでございまして、この立場というのは、一九五九年ですから昭和三十四年になりますが、それ以降もう三十数年にわたってずっと管理理事会の理事国という立場でITUの活動に参画をしてきております。この管理理事会というのはITUの運営につきましての重大事項を審議するというための組織でありまして、大体年に一回開催をされておるようでございます。  それから、これも先生の方からお話ございました、例えば周波数の監理でありますとか、あるいは標準化の問題でありますとか、あるいは途上国に対する協力問題でありますとか、そのような活動ももちろんITU、国際電気通信連合の重要な活動でありますが、これらに関しましてはそれぞれ例えば周波数登録委員会でありますとか、あるいはCCITT、国際電信電話諮問委員会、あるいはCCIR、国際無線通信諮問委員会のほか、現在も開かれておりますが、無線主管庁会議というような会議も開かれて重要な事項が決められるというようなことになっております。それから開発途上国については、BDTというような常設機関がやはりITUの中にありまして、そちらの方を通じてITUの活動が行われているということでございます。  ところで、NTTとかKDDがこれらのITUの活動についてどのように参画をしているかというようなお尋ねもあったわけでありますが、まずCCITTとかあるいはCCIRというのは、標準化の作業というのが大変重要な作業になっております。どのような標準化が行われるかということは、これはもう電気通信事業に携わっておられる方にとっては最大の関心事でありまして、これに関係する会合には、もう必ずこれらNTT、KDDの方にはメンバーとして参加をしていただいておりまして、中にはそういう会合の議長役のようなものもやっていただくというようなこともお願いをしております。なお、NHKについてもこの無線通信分野ではそのようなことをやっていただいておるところでありまして、この点ではもう政府といわず、そうした通信事業者あるいは放送事業者といわず、一緒になってITUの活動に参画をしておるということではないかと思います。
  177. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 ガットであるとかそういうところで活躍をいただいておりますので、しっかりやっていただきたいというふうに思います。  最後に、郵政外交についての最後ですけれども、過日のマスコミでNTTとKDDは海外事業で提携して東南アジアやあるいはCISあるいは東欧の需要に応えるために新会社を発足さしていくというようなことが報じられていたわけであります。先ほどからお聞きしておりまして、KDDあるいはNTT海外事業活動に積極的に参加しようという意欲があり、海外の方も、非常に国際社会の変化といいますか需要といいますか、それが急ピッチだ。こういうことを考えるときに、早急な郵政省の方の決断が要るのではないか、こういうように思っておるところでございますが、その辺についてお聞かせいただきたい。
  178. 森本哲夫

    森本政府委員 もう改めて言うまでもないところでございますが、NTTNTT法によりましてこの一条で何を目的とする会社が、これは国内電気通信事業、KDDの方は国際だ、こういう大きな枠組みで設立されておるわけであります。しかし、通信事業者としてはITU初めさまざまな、あるいは技術援助への貢献とかやっていただいておるわけでございますが、今お話しの問題は投資の問題だろうと思うのでございます。これについても投資自体については本来の事業の達成に役に立ち、なおかつ本業に支障がないような投資でなければならぬ。同時にまた、国内、国際の区分というものも当然法律が予定しているところでもございます。  最近、新聞で報じられまして、海外NTTとKDD両方の共同出資で新会社をこさえようじゃないかという記事が載りましたのですが、どうも現時点では両社ともそういう具体的な事実は今はない、こういう報告を受けております。しかし、例えば海外において、ある国の国内電気通信事業NTTあるいはKDDが共同で出資するということ自体は、私、特段の問題はないんじゃないか、こう思うのですが、ただあくまでもやっぱりこれは投資でございますから、しかもその投資の源泉というのは何かというと、例えばNTTで申せば、国内の電気通信のユーザーから料金を徴収した、それが源泉でございますから、そういう海外の投資というのは果たして利用者の共感が得られるような投資規模であるのか、内容であるのか、はたまた相手国の国民感情というようなことを考えて、一体どういうリアクションが起きるのか、そんなこと等々、あるいは財務の状況がどうなるかというようなことも当然見てまいらなければならないわけでございまして、そういう意味で、法律的には私は可能ではあろうと思いますが、具体的な実施については案件の中身で十分慎重な対処が要るものだ、こういうふうに考えておるところでございます。
  179. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 今までの経過からいえばそう言わざるを得ないと思いますね。しかし、先ほど言いますように国際情勢も変化してきておりますし、国内、国外といったって、法律、こう言われますけれども、すみ分けですね。先ほど言いますように、世界通信というのは国内も国外も一つになっている国の方が多いわけですから、そういう意味では国内だ、国外だ、会社としてはそうだけれども、すみ分けとしてそういうふうにあれで、とりわけ制限はないのでいいのですね、そういう方向で。
  180. 森本哲夫

    森本政府委員 現行法がNTTは何をやる会社がということになりますと、国内の電気通信事業を営むということになるわけでございますから、当然そういう法律的な制約というのはついて回っているものだ、こういうことを申し上げたわけであります。
  181. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 今言いましたのは、法律でそういうふうになっているけれども、特定の国に投資をしたいという場合に、向こうの国は市外だ、市内だということで分けるわけではないわけです。ただ、日本の中では会社として設立する段階では、すみ分けとして市内ですよ、国際ですよ、こうなっておるわけでしょう。それを一つにしてやろうじゃないかということでおれば問題はないという理解に立ったらいいのでしょうというふうに言っているのです。
  182. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 吉岡委員のおっしゃられることは、要するにNTT海外のそういう期待、希望にまず一つは本当にこたえられるのかという点をここでしっかりただしておきたい、こういう意味もおありだろうと思うのです、お聞きしておりまして。事務的に答弁しますと、今局長がおっしゃった答弁になります。私は就任の時期に、実はこの問題につきましては記者会見のときにも記者さんの方から質問がございまして、私は、少なくとも日本で最大と言っていい、世界でも最大と言っていい通信情報機関を握る会社である、しかも技術の最先端を行っておる会社である、この技術のノーハウとソフトのノーハウは、まさに国際化時代において国際社会貢献する日本という国家的な役割から考えたときには、今の法律で許されている範囲を逸脱していいとは言えないが、しかしそこにはおのずと、限界を考えながら、NTTにはこの国家的な、国民的な期待感の中で国際化時代対応していく責任と使命の一端があることは見逃せないな、こういうことを実は私記者会見で言ったことを今思い出しまして、吉岡先生のおっしゃられることに対して事務的に答弁しますと先ほどのようになりますが、しかしこれからのNTTの方向性や、あるいはまた、世界各国、特に開発途上国と言っていいでしょう、そこから期待されるNTTに関しては、私は少なくとも今の経営陣はそんな考え方で、限界、限度をわきまえながら最大のNTTとしての使命を達成するであろうという期待をしている、こう申し上げておきたいと思います。
  183. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 大臣の丁寧なお話、ありがとうございました。しっかり受けとめるようにしたいと思います。  続きまして、電気通信行政についてお尋ねをしたいと思います。  まず、NTT事業運営についてお聞きしたいわけであります。もう時間がございませんから、簡潔に言います。  平成三年度の経常利益の予測が中間決算を終えて三千七百五十億円ということで、前年度比九・五%減という下方修正をされました。民営化後、初めて四千億を割ったわけであります。収支構造の問題もいろいろあるけれども、結果としては、見てみますと収入が減ったという理由は、ダイヤル通話料が平成元年から減少しておるのです。そして本年度も、特に市外通話料の落ち込みというのがマイナス五・二になっていますから、非常に大きい。これが理由になっているのじゃないかというように思っているところです。一言で、今の現状をどう認識しておられるのか、ひとつお聞きしたいと思うのです。
  184. 森本哲夫

    森本政府委員 これは午前中にも御質問ございましたところでございますが、ダイヤル通話料が減収したり、あるいはムーバの携帯電話が減収したりで、収入は、当初の予定より下回った、それから費用の方は当初の予定よりは上回った、こういうことが原因でただいまお話しのような下方修正せざるを得なかった、こういうことだと思います。ただ、前年の実績との対比では全体としては増収になっておるわけですが、費用の方が上回った結果、増収減益になった、こういうことだと思います。  今のお話のダイヤル通話料の動向でございますが、確かに平成元年から、ダイヤル通話料というのは市外通話料は減少いたしております。ただし、市内通話料は毎年増高いたしております。そういう構造でございますが、いずれにしましても市外が減ってきているのはこれは事実でございまして、原因は料金の値下げ、あるいはNCCの競争の進展、あるいは最近の景気の動向、こうしたものを反映したものだろう、こう思っておるわけであります。また同時に、出費についても物件費だとかあるいは業務委託費が相当大きくなっているということも事実だろうと思うのでありますが、いずれにしても今の景気全体がこういう状況の中でございますので、どの企業体も日本の企業体は前年よりは相当内回った経営成績にならざるを得ない中で、下方修正するとしても、利益は大変大きな金額には違いない、こういうふうに判断いたしておりまして、この間の経営努力というものは大変なものがあるだろうと思います。しかし、非常に成長産業でもございますので、ぜひもっと経営の向上に努めてもらいたいものだ、こう期待しているところでございます。
  185. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 三千七百五十億といったら大変大きいように思われます。額そのものは大きいですが、比較をしてみるとそういい数字じゃない。むしろ四千億を割ると、先ほどもお話が出ていましたように一割の配当ができないだとか、あるいは世界に冠たる研究所だということで非常に高度な技術を開発している研究費に回らないとか、設備投資に回らないとか、こういうことになってくるわけでございますから、四千億というのはぎりぎりの線だということを私たちは思っておりますので、額だけでいいとか悪いとかということを思わないで、やはり僕は、正直言いましてNTTの経営というのは病み始めたか、こういうふうに一言で言って差し支えない状況だというように思っているわけであります。  さて、そこでお尋ねしたいと思います。  NCCの問題等は、先ほども大木議員の質問に対しましてもいろいろお話があったようですが、例えば売り上げの七割を投資しているという、これは大変ないい会社だと私は逆に思って森本局長お話を聞かしていただいたのです。七割も投資ができるなんというのは大変ないい会社だなというように思ったりしたのですが、それほどNCC、特に一種のNCCは伸長してきているというように私は思っております。東名阪の関係ではもう五〇%のシェアをとっていますね。そういう状況の中でございまして、やはり収益もどんどん倍々ゲームのように上がってきておる、こういうことですから、ある意味では非常にスムーズな立ち上がりどそして今後に見通しが持てる状況になっているのではないか、こういうように私は理解をしているわけですが、また見解をお聞かせいただきたいと思います。  それで、なぜ私がそういうふうに申し上げるかといいますと、NTTの設備投資がどこに回っているかということを少し考えていかなきゃならぬと思っています。平成二年度の有価証券報告書によるいわゆる固定資産の関係から見てみますと、市内設備に八五%、市外に一五%しか回っていないのです。その八五%の中身は何かといろいろ聞いてみますと、例えばPOIの設置であるとかID化であるとか、これがどんどん広がって、今やID化は平成二年で八〇%に達しているのです。これをまだずっと進めていくわけですから、そのたびごとに接続の箇所がどんどんNCCの関係は伸びていくわけです。  そういうことを考えていきますと、これからもNCCの経営というのは順調に推移していく、このように私は思っているところでございますが、そういう理解でよろしいのかということをお尋ねしたいと思います。
  186. 森本哲夫

    森本政府委員 NCCの経営状況についての御判断というか評価といいますか、余り繰り返しになりますので詳細は避けたいと思いますが、やはりこういうネットワーク事業というのは、相当の投資をしない限りお客様が使ってやろうということにならないという状況の中で、各社ともやはり相当まだこれから巨額の投資を続けていかなければ事業として安泰な格好で推移をするという状態にはないのではないか。そういう意味では、NCCとて財政基盤は依然として安定した状況にもう立ち至ったというわけにはいかないのではないか。まあ全体でNCCは収益の七割ということで、現に三千六百七十億ばかりの投資がございましたが、同時期にNTTは一兆八千二百億の投資をいたしました。これは売り上げに対して三〇%だということにもなっておりまして、まだNCCの方の投資は相当なことを続けていかない限り十分な競争が実らない状態になっておるのかな、こういうふうにまず思っているわけでございます。  お話がございましたNTTの設備投資額の市内、市外の問題でございますが、これは私どもNTTからの具体的報告はないのですが、固定資産評価額に占める市内網の比率はもう八割を超えるということは承知をいたしているところでございます。これは市内網というのは、各加入者までの回線を全部引っ張るわけでございますから、ネットワーク構成上、大きな比率になることは当然事実だろうと思いますが、ただ、このこと自体が直ちに競争上の問題になるんだというふうに即断していいのかなということではあろうかと思います。  問題は、そうした投資に見合う収入がどんなふうになっているか、こういう議論が出てきておるところでもございますし、特にこの点に関しまして、私どもとしては、NTTの市内網とそれから長距離系の事業者の接続条件の問題でございますが、これは昨年の夏に郵政省として、これからの接続のあり方についての基本的な考え方を整理をいたしたわけでございます。その中で、NTT事業部制が新年度から導入されるわけでございますが、そうした際の市内電話網の設備を有する地域通信事業部の収支等を踏まえまして、平成六年の四月ごろを目途に、新しい事業者間のいわば料金といいますか、接続料金というものをどういうふうに考えるか、その時期に考えてみたい、こういうふうな方針を立てているわけでございますので、いずれにしても、御指摘のような状態を踏まえながら、新しい枠組みの中でNTTとNCCの公正な条件を確保して利用者期待にこたえるような方向へ持っていかなきゃならぬ、こう思っておるわけであります。
  187. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 八〇%以上の固定資産があるということを認めていただけましたから、それだけ投資をしておるということですね。  私がここから言いたいのは、NTTの料全体系の問題で、やはり投資に見合っていく、それに見合う料全体系といいますか、そういうものをすべきだということで、例えば昭和六十年三月の「高度情報社会にふさわしい電気通信料金の在り方」、その中で、事業に投下された資産に報酬率を乗じて事業報酬を定めるレートベース方式を採用すべきだというようなことが書いてあります。また、その中では、NCCの急展開というのは、そこでは、ちょっともう少し長いんじゃないかというようなことも感じられるような内容になっております。したがいまして、私は、またこれで、続いて次の機会に質問をさせていただきたいと思いますが、料金問題のことにつきまして、今申し上げたような方向の中で煮詰めていただけるのかどうか、最後にちょっとお尋ねしておきたいと思います。
  188. 森本哲夫

    森本政府委員 昨年暮れに、NTTの方から現在の料全体系を見直したいという提案がございました。ちょうどまた、私どもも、この料全体系の基本になっているMAのあり方、これも政府措置で三十年代から引っ張ってきているものでございますし、いわば国民の共有財産みたいになっているわけでございますので、全体の料全体系をその設備の加入者負担金であるとか基本料であるとか事住の区分であるとかさまざまな問題を含めて今検討いたしているところでございます。  そういう意味で、今の料全体系が電電公社時代の料金を引きずっているという側面は、それはそのとおりでございまして、なるべくコスト構造に見合った料金にすべきだという考え方は、私らもそれはそれなりの一定の合理性があるものだ、こう思っているわけです。  ただ、問題は、そのコストというのが本当に必要なコストなのか、営業努力の成果あるいは合理化の努力というものを十分反映したコストなのか、あるいはただ実態がかかっているというだけのコストなのか、そういう点がこれから大きな問題になってこようかと思うのでありまして、こうした点は、事業部制初めいろいろなさまざまな手段でNTTにおいてもぜひ明らかにしていただく必要がある、こういうふうに考えておるわけでございます。
  189. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 終わります。
  190. 谷垣禎一

    谷垣委員長 次に、菅野悦子君。
  191. 菅野悦子

    ○菅野委員 一連の大臣の疑惑、これは、郵政事業への国民の信頼と、それから六十万以上の郵政関連職員の皆さん、この士気にもかかわることでございますので、そこをはっきりさせるということが、まず本委員会として大事であろうというふうに考えます。そこで大臣に、ぜひ真実を簡潔明瞭に御答弁いただきたいということをまず申し上げておきたいと思うんです。  まずリクルートからの献金についてお尋ねをいたしますけれども大臣は、週刊誌で報道された直後にその事実を認められました。記者会見の報道によりますと、八七年十二月に三百万、八八年八月に五百万の献金を受け取って、そのうち五百万は返したというふうにおっしゃっておられます。あなたの記者会見では、この五百万の方ですが、小切手で振り込まれていたので現金化して返したというふうに言ってらっしゃいますけれども、その小切手は八月のいつごろ振り込まれていたのか、そのことをだれから、いつ知らされたのかということをお尋ねしたいということと、それでこの五百万を返したということですけれども、これ、事実かどうか、そのことをお伺いいたします。
  192. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 端的にということですから、まず、五百万はお返しをいたしました。それから、振り込まれたというのではなくて、五百万の小切手をいただいて、そして現金にしたと、こう私は記者会見で言ってあります。(菅野委員「いついただいたんですか」と呼ぶ)そこはちょっと明確でありません。記憶ございません、私が受け取ったんじゃないですから。気がついた、私が気がついたので、すぐにお返ししなさいということで現金化していたのでお返ししたと、こういうことです。(菅野委員「気がつかれたのはいつかということです」と呼ぶ)よろしいですか、委員長。今のは質問がな。
  193. 谷垣禎一

    谷垣委員長 発言を求めてください。
  194. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 六十三年の八月に五百万円の献金を受け、そして事件が明らかになってきたものですから、そういう事実の中で、これはいただくお金ではないというのでお返ししたと、こういうことですね。
  195. 菅野悦子

    ○菅野委員 ということは、確認いたしますけれども、あなたの指示で、あなたの責任できちんと返却をした、これは間違いないということですね。では、返されたのはいつ返されたのか、そこをちょっとはっきりとお答えいただきたいんですが。
  196. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 これはよく覚えていませんが、九月か十月か、その辺じゃなかったかと思います。
  197. 菅野悦子

    ○菅野委員 予算委員会でも九月か十月というふうに、八八年の九月か十月ということをおっしゃっておられるんです。そうすもと、ちょっとこれ、おかしいことになるわけなんですね。あなたが気がつかれて五百万円を返したという翌年の八九年三月末、結局半年後くらいなんですけれども、リクルートからの献金が大問題になったんですね。それでそのとき、あなたがこの八八年夏に献金を受け取ったのではないかという報道がこの時点でされているんです。例えば八九年三月三十日の毎日新聞ですけれども、リクルート社小切手献金先リスト、渡辺元官房副長官の名という見出しで、リクルート国会さなかの昨年夏にその小切手をばらまいた、その献金先の中にあなたの名前があることが関係者の証言からわかったという報道があるわけです。ところが、このときあなたは、四月の二日にその報道を受けまして新潟県三条市の事務所で記者会見をなさっているんです。それで全面的に否定していらっしゃるのですね。  例えば四月三日付の旧経では、「「昨年、今年とリクルート社からの接触はなく、金銭の授受もあったわけではない。リクルートをめぐる問題は承知しているので秘書にも問いただしたが、そういう形跡はない」と献金を否定した。」と、明確に否定されているんですね、この報道によりますと。それ以前の毎日も、まあ身に覚えがないという、あなたの話っていらっしゃるということを報道しているんですけれども、そうなりますと、今の答弁を聞きますと、あなた自身がはっきり、八月、五百万を小切手でいただいたということを知って、慌てて九月、十月にはきっちり返しましたというふうに述べられている。ところが、当時まさにこの問題が大きく取り扱われたときに、献金の授受が問題になった、このときにあなたは、この事実を平然と否定していらっしゃるんですね。はっきり言ってうそをついていらっしゃるのかなと思わざるを得ないわけですけれども、これはどういうふうに御説明なさいますか。
  198. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 ちょっと記憶が定かでないんですけれども、その五百万円を受けたのは、私が受けたと今申し上げたわけじゃないので、気がついたからお返ししたと、こう申し上げているんですね、そこはお間違えにならないように。  その年度のところが、今おっしゃられる千九百何年、私は昭和六十三年とこう言っているのですが……(菅野委員「そう、一九八八年」と呼ぶ)昭和六十三年にそういうものを受け取ったと、そして六十三年のこの九月か十月だったのか、平成元年の九月か十月だったのか、ちょっとそこは今まさにあなたが御指摘されましたけれども、いずれにしても事件が表ざたになってきたその時期であることは間違いないんです。その時期に点検、私は確かに記者会見でそう言って、それがもし時間の誤差があるとしたら申しわけないのですけれども、何しろ前の話ですから。その時期に私は、自分としては受け取っていませんので、そこは自信を持っていたわけですね。だから、私は受け取っていませんよと、こう申し上げたところが、実際にそうでない面があったということを、小切手で受けたみたいな話ですから、それはいかぬということで、実はまさに即刻、早く返しなさい。これは、そのときは新聞にも報道されましたよ。だから一向に、私、うそをついているのではなくて、新聞に報道されているわけですので、私の方がちょっとあるいは勘違いしているかもわかりませんけれども、何も隠す必要ないのでして、そのこと自体は。一向に隠したからどうなるということでもありませんから、もしも私が勘違いでしたら、勘違いかもわかりまぜん。しかし、とにかく五百万円の小切手をいただいて、そしてそれを現金にしてお返しした、このことだけは事実でありますから、時間のもし食い違いがありましたら、それはお許しいただきたい。
  199. 菅野悦子

    ○菅野委員 大臣、本当にちょっとそこのところ、肝心なところなんですよ。八八年八月にあなたは受け取っていらっしゃる。そして、気がつかれて九月か十月返されたというのは八八年、その年の九月か十月に返された、予算委員会ではそうおっしゃっているんです。
  200. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 申しわけないです。それはちょっと私の方の調査が不十分かもわかりません。いずれにしても、それの、私の方は要するに事件の前にいただいたのが三百万円。それがこの間わかった、こういうことですね。それで、この五百万円がもしかしてその翌年であったとするならば、その年、六十四年、平成元年ですかな、平成元年にあるいは受けて、その元年にお返ししているということで、私が六十三年というのを間違えて言っているかもわかりません。これはちょっと調査ミスかもわかりませんが、いずれにしましても、その事件が起こる前、要するにリクルート社というのはまだそんなふうに世間を騒がしたり、あるいはそういうことを行っているという——優良会社だと思って、悪いことをやっていると思いませんから、優良会社だと思っていましたから政治資金を受け取ったわけですね。それが私が先日申し上げた三百万円。それは確かに政治資金規正法の方から見まして、そして……(菅野委員「簡潔にお願いします」と呼ぶ)いや、これは説明ですから聞いてください。だって、質問しているのですから。私答えているのですから。  それで私は、その三百万は受け取って、いただいてありましたと、こう申し上げた。五百万についてはその後のことかもわかりません、それは本当に。だって、もしも事件発覚前、六十三年だったらこれは事件発覚前ですわ。事件発覚前の政治資金は一変な話ですけれども、我々の党内においては、正式な政治資金規正法に照らしてというので、返す必要はないのですよ。だからこの六十三年の八月というのは、平成元年の八月のこれは間違いかもわかりませんね、今御指摘していただいて。そうでなかったら返す意味がないのです、これは。
  201. 菅野悦子

    ○菅野委員 大臣はちょっと明らかに私はうそをついているんじゃないかというふうに思わざるを得ません。といいますのは、この八七年十二月と八八年八月、つまり今おっしゃっている六十三年八月ですね、昭和の。この五百万円、これは最近、あなたの元秘書の方が週刊誌に発表されて、それであなた、認められたんですよ。ですから、それがもしそうでなくて、平成元年とかもっとぐうっとこっちなのだということになれば、これはこれでまた大変問題ですよ。リクルート問題が物すごく大きくなって、決着ついて、そして襟を正さなあかんという後で、まだあなたはもらっていたということになるわけですからね。ですから、もしそうではない、六十三年八月つまり一九八八年八月でないと言うなら、明確なその証拠を出していただかないと納得はできません。  そしてこの八八年八月の献金というのは、実は本当に重要なんですよ。このときは、これはリクルート事件が既に発覚した後でありまして、当時国会では大問題になったんです。この時期のリクルート社の献金というのは、事件のもみ消し工作という意味もありまして、例えば楢崎議員へのリクルート社の贈賄申し込み事件、これが八八年八月なんです。そのときに、未公開株をこのもみ消しのためにということで、相当たくさんの、十数人の自民党議員に総額四千万に上る献金を計画して、リストをつくって、そしてそこそこの人にはばらまいたということが言われている時期なんです。ですから、あなたの秘書が言っている八八年八月の献金というのはまさにこれに当てはまるわけなんです。  その後、リクルートコスモス社の松原社長室長が逮捕されたのが十月二十日、十九日には東京地検がリクルート本社などの家宅捜査を行ったんです。だからあなたが慌てて、どうなんだということで慌てて返したというのが本当これはつじつまが合うわけなんです。だけど、その半年後、疑問を持たれたときには、確たる証拠がないということで、うそでごまかして乗り切ったということなんではありませんか。  ところが最近、元秘書が本当のことを暴露したために、あなた、認めているじゃないですか、予算委員会で。八七年十二月と八八年八月にもらったということを言っているじゃないですか。それをこの逓信委員会でひっくり返すんですか。そうでなかったら明確な証拠を出していただきたい。このことをぜひ要求いたします。
  202. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 昭和六十二年にいただいたその三百万円は、確かに週刊誌の記事によって精査をいたしまして、これは大きな見落としてあった。これはおわびをして、しかもこれは、事件が表ざたになったり発覚していない時期なんで、これはまことに素直にいただいちゃいました、こういうことで釈明をいたしましたとおりでございます。  その五百万の問題なんですけれども、どうもはっきりしないで申しわけないのですが、八月に五百万はいただいていた、前に。その事件がこう出てぎているので、どうもこれはおかしい、これは私が金銭のことを全部やっていませんからね、大変申しわけないのですけれども。それで、その秘書に確かめさしたら、実は小切手でいただいて入っている、現金になっている、こういうことですから、それは返しなさいと言って返したのが元年の七、八月ではないかな、こういうことなんです。だからこれは、この当事者がその元秘書なものですから、私としては確かめるということよりも、実際に確かめられる点は確かめているのですよ、今申し上げたように。しかし、これがちょっとわからないのですね、実は。ですから、この問題はお返しをさせていただいている問題。  それから、さっき委員がおっしゃった、何か国会でもみ消したと。私は国会で何にも役員やっていませんよ、はっきり言いまして当時は。無役ですよ。そんなもみ消しなどやれる立場にありませんし、それからもみ消しなどそんなことできようはずもないし、全くそれは少し言いがかりだと私は思いますよ。
  203. 菅野悦子

    ○菅野委員 八八年八月、つまり昭和六十三年八月に現金が入っていたという事実は、これは認められて、返したのはたとえ平成元年ということで若干年が違うということであっても、やっぱりこれ、あなたの記者会見のときというのは、その報道を見てもらったらわかりますけれども、リクルートで株を一万株もらっていたということで、それこそ慌てて、もうすぐに報道された次の日に、名前が出たら、それこそ一日地元に帰っておられたんだけれども、慌てて二日に記者会見なさったということで、そして、そのことがあるので秘書に言って非常によく調べさしたと、リクルートをめぐる問題は承知しているので秘書にも問いただしたが、そういう形跡はないというふうにあなたは言っているんですけれども、じゃ今の話では、もらっていたにもかかわらず、よく調べたけれどもわからなかったという。そのよく調べだというのが、じゃそうじゃなかったということになりますよ。いずれにしろ調べ方が足らなかったということで、もし返したのがその年でないというと、しばらく持っていたわけですから、じゃ政治資金規正法の届け出は出ていたのかという問題。そして平成元年になって返したということであれば、その平成元年で間違いないと、九月か十月だということがわかる証明をぜひ出していただきたいというふうに思うわけです。  これは本当、大事なんですよ。やっぱり政治倫理綱領というのは、疑惑を持たれた際には進んで事実を明らかにするということになっているわけなんですから。もしあなたが故意に適当にしか調べなかったとか、故意にうそをついたということになったら、これは政治倫理綱領を踏みにじることになるわけです。あなたは二日ですか、記者会見の時に言っています。当時中曽根前総理についてけじめをつけなさいとあなたが言っているという記事も出ているんですよ。ですから、その言葉はひょっとしたらあなたにそっくりそのまま返ってくるかわからぬ話ですからね、これは。ですから、いつ気がつかれて、いつ返されたのかということは、その記者会見の問題との前後の関連を含めてきっちりとこの委員会へ証明するものを提出していただきたいということをお願いしておきます。  じゃ、続けて入りますけれども、ユウコウ・インターナショナルについて続いてお尋ねいたしますけれども、あなたは予算委員会でこの会社は自分とは関係ないというふうな答弁をしております。ところが、はっきり言いまして、設立時の代表取締役というのはあなたの奥さんです。そしてあなたの御子息も、あなた自身のあれはどうかわかりませんが、家族で株を持っていらっしゃる。はっきり言って筆頭株主は奥さん、二番目の株主があなたということで、大体半分以上はお二人の持ち株になっているんですね。この点はどうですか。関係ないと言えますかね。何株お持ちなのか、ちょっと言っていただけますか。
  204. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 この問題は、委員はちょっと、前段、私が就任、昨年の間もないころだったと思うのですけれども、週刊誌に出ました。そのときに私は実は記者会見で申し上げているのです。全然うそを言ってないのです。あなたは今そこでうそだ、うそだとさっきからおっしゃっていますけれども、全然うそを言ってないのです。私は、設立のときにはこの秘書がそういう提案をして、しかも私が昭和四十何年でしたかに求めた、資料をお持ちでしょう、その土地を有効利用しようということで提案をしてくれましたから、それではというんで会社は当時設立確かにしたんです。ところが、マンションをつくるのにみんな担保に入れて借金しました。もうこれも調べてあるでしょう。ですから、実際問題今度は金利を払っていかなきゃならない。ところが、それを提案した元秘書はやめちゃった。とても私はそんなのを見ていけませんし、それから家内も、事実上、そういう名前は出しであったにしても、二十年来私と一緒に政治活動をやってきた秘書ですから、全部任せてきたわけですね。ところが、本人はいなくなる、選挙運動というか後援会活動もしなきゃいかぬ、家内はとてもそれを見ておれないということで、しかも金利も払わなきゃいかぬ、いろいろなことがあって、彼がやってくれたものをとてもこちらでは整理できないというんで、第三者に、親戚の者にこれをお願いした、会社を。  ですから、そこで役員はかわっているわけですね。株ももう昨年金部、昨年の四月か五月ですわ、これは。四月か五月ですよ、たしか。あるいは六月かもわかりません。要するにその辺ですわ。その辺で全部これは株も譲渡をしてある。私は何か四十株持っているそうですが、ばかにでっかい株みたいにおっしゃいますけれども、四十株で、家内が百二十株持っていますね。現在はもう株主になってないです、昨年の五月か六月からは。しかも私は、経営は全然、そんなこと見ておれませんで、わからないです、それは。どうぞひとつ憶測でなくておっしゃっていただきたい。
  205. 菅野悦子

    ○菅野委員 憶測でなく御説明申し上げます。  このユウコウ・インターナショナルというのは、登記簿を見ますと、不動産の賃貸、管理、売買及び仲介というのが目的の一つになっておりまして、これは宅地建物取引法によりまして東京都の不動産指導課に株主総会などの報告をすることになっています。これは閲覧できるんですよ。見れるんです。だから、ユウコウ・インターナショナルの届け出、当然確認しました。あなたは四月か五月か六月ごろもう株を放していますと言ってますが、昨年末現在ちゃんとございます。奥さんとあなたの株がちゃんとあるんです。閲覧してきたんです。この種の届け出というのは東京都にもありますが、法務局にもございます。  ですから、私がなぜこれをお聞きしたのかといったら、閣僚就任時に資産公開ありますよね。そのときにあなたの株というのは全然ゼロだった。奥さんもゼロになっているということなので、それで預貯金が二十万ですか、大臣のところにありましたけれども、そういうことになっているんですが、厳然とあるんですよ、昨年末現在には。その後は確かにこの不動産取引云々というのは外れたから、今は変わっていますけれどね、ことしになってからは。だから、きっといろいろ週刊誌などをにぎわわせられてちょっとその辺を変えられたのかなと思いますけれども、私ちゃんと見てきていますから、これは。それこそ空想で物言ってるんと違うんです。  そうなると、大臣が、いや、ないんだないんだということになりますと、国とか都の書類がじゃおかしいということになりますよ。そんなはずないでしょうよ、東京都やら国の書類は。それは事実でないと言うんだったら、これはなぜなのか。あなたのおっしゃるのが事実で、国やら東京都の書類というのはでたらめきわまりないということであるんだと、これは大変な問題になりますからね。そこのところを納得のいくようにぜひ説明をお願いします。
  206. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 これはちょっと私、納得いくように説明できません、今。しかも、私が株主でないことだけはこれは間違いありません。それはもう私、資産公開のときに確認をしていますからね。株は譲渡してあるはずです。ただ、あなたのおっしゃっている書類というのは、それはそこのところの手続ということなのかどうなのか、それは調べてみましょう、そこは。しかし現実には、私は、少なくとも資産公開においてそれはうその、何といいますか、申告はしていませんよ。していません。それははっきり申し上げておきます。
  207. 菅野悦子

    ○菅野委員 そうしたら、ここでも一つお願いせんとあきません。四月か五月か六月、あなたが株をもうお売りになった。今は持っていないんだ。その時点で、その株をお売りになった売買約定書、これを証拠としてぜひ御提出いただきたい。それが出てきたらまた納得をいたしますけれども。私は、やはり東京都とか国にある書類、これを信頼しますので、うそのあれが出てるなんて思いませんから。昨年末のことなんですから、あなたが大臣になった後ですよ。その事実もありますから、株が、奥さんとあなた、両方ね。ですから、お売りになったんだったら売買約定書、これをぜひ出していただきたいということをお願いしておきたいと思います。  それから、ちょっと時間がありませんのでなかなか、いろいろとお聞きしたいこともいっぱいあるんですが、入学あっせんの問題、これについても私は非常に不自然だなと思いますので、その点だけちょっとお伺いしておきたいと思うんですけれども、合否を早く知らせたが、あっせんはしていないというふうにおっしゃっている。その一方で、入学問題を親身になって相談に乗ったとして、受け付け簿なども常備されている、事務所に。合格発表の日に秘書が大学に行って掲示板を見て知らせるというふうなことなら、これは学生サークルの合否電報程度のことなんです、はっきり言うたら。そうしたら、その程度のことで新潟から上京して、何を親身になって懇切丁寧に御相談をなさったのかな。また、合否電報程度のことで、わざわざ忙しい受験生や親御さんが上京してお金を置いて帰ってというふうなこと、なかなか納得できませんし、しかもこれも相当大臣の言っていらっしゃることと、それからもらっているお金とか回数なんというのも、大分ちょっといろいろとまだまだよくわからない部分があるわけなんですけれども、この点とうなんですか。
  208. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 今まで私が予算委員会で答弁をいたしてまいりましたとおりであります。
  209. 菅野悦子

    ○菅野委員 もうちょっと時間をいただきたいところなんですが、なかなかあれですので、本当に、大臣自身の一連の疑惑についていろいろ質問させていただきましたが、率直に言いまして、疑惑が晴れるところか深まるばかりという状況でございます。  大臣自身のこの昨日の所信表明でも、御自身が述べておられましたけれども、やはりこれは、真相の究明というのは、私も逓信委員会のこれは責務であるというふうに思うわけなんです。入学あっせん、今の弁明を聞きましても、全然わかりませんね。具体的なことになると、結局さっきからお話が出ていますけれども、秘書が秘書がということになるわけで、だからそうなると、この入学あっせんの場合でも、元秘書がリストを持っているとか、元秘書に任せていたのでわからぬとか、そのまま持っていってしまっているとかいうふうに、元秘書になすりつけていらっしゃるということがあるわけですから、ですからこれは全然解明できぬわけですわ、大臣にいろいろお聞きしても。引き続き大臣自身にもお聞きせなあかんことがいっぱいあるわけですけれども、時間がございません。だから、大臣と同時に、ぜひこのリクルート献金での問題、それからいろいろな入学あっせんの問題、それからいろいろと資産公開の問題などについても、私ははっきり言って明確な答弁はいただけてないというふうに思いますので、委員長にお願いですが、この上はやはり元秘書の長澤秀幸氏、この方を証人として当委員会に呼んでいただいて、ぜひやはり真実を明らかにしていただきたいというふうに思いますので、その点をお願いいたします。
  210. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 私は、先ほどおっしゃいましたけれども、入学あっせんはいたしておりません。それから秘書になすりつけてもおりません。それから疑惑とおっしゃいますけれども、私は誤解を招いたかもわかりませんけれども、疑惑はない。政治資金規正法に照らして処理するものはきちんと処理してある。それからおっしゃいました時間の違いは、私はこれは精査してみます。一方的にあなたの方でおっしゃっていることを私はそのままそうですかということで承って、この委員会、あなたの質問を終わるわけにまいりませんので、私から、今あなたがおっしゃったことについては、今でもそうでありますが、強く否定さしておいていただきます。
  211. 菅野悦子

    ○菅野委員 時間の違いの精査ということをおっしゃっていただきましたが、株の問題も、これちゃんとしていただけますね、今持ってないとかいう……。
  212. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 基本的には会社の問題であります。これは、私はもう全く手を引いている問題ですが、私に関する問題ですからこれは調べてみます。
  213. 菅野悦子

    ○菅野委員 いろいろと、予算委員会でもそうですが、政治資金規正法というふうなお話もあるわけですが、私は実はそこにもいろいろと疑問を持っております。この場ではもう時間がございませんので、そこもできません。  先ほど提案いたしました元秘書の長澤秀幸氏の証人喚問、これはどう取り扱っていただけるのか、委員長としての御見解、ちゃんと聞いておかぬと私困りますから、それをはっきりしてください。
  214. 谷垣禎一

    谷垣委員長 ただいまの菅野委員の御要請は、後日理事会で検討さしていただきます。
  215. 菅野悦子

    ○菅野委員 時間がありませんので、終わります。
  216. 谷垣禎一

    谷垣委員長 次に、中井洽君。
  217. 中井洽

    ○中井委員 先ほどから御質問をいろいろと聞いておりましたら、ほとんど私も用意したのに重なっておりまして、できるだけ重複を避け、違う観点からお尋ねをしたいと思います。しかし、最初大臣に、大臣も各党お答えになりまして、おくたびれでありましょうが、私も党を代表していますので、同じようなことを聞かしていただきます。  私も逓信委員をさせていただいて長いのですが、前の前の郵政大臣、そして今回の郵政大臣委員会初めての所信のときに金銭にまつわる不祥事で質疑が行われるというのは大変残念であります。特に郵便事業あるいは貯金保険世界一の信用を得て組織を動かしておる長が続けざまにそういうこと、こういうことを逓信委員あるいは逓信行政に携わる者全体が何か非常に残念な思いをしておると思うのであります。そういった私の思いを含めて、大臣の今回のこういう騒がれ方に対する反省の言葉、率直にお尋ねをいたします。
  218. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 中井先生にもこれまでいろいろ御指導をいただいてまいりました。また、昨年大臣に就任いたしましたときも御激励をちょうだいいたしました。私としてはまさに、昨日も申し上げましたし本日も申し上げておりますが、本当に、たとえ私と秘書という二十年来の、肉親以上の関係で来たこの人間関係が感情のすれ違いというか、そういうことの惹起から諸般の問題提起をしてしまった、本当に私自身が残念で悔しくて、自分の至らなさを本当に恥じてきているわけであります。また、おわびも申し上げてきたところでございます。  二十一世紀に向けて郵政関連の情報問題あるいはまた郵政事業そしてまた放送通信、こういう関係を考えてみましたときに、まさに郵政省はこの二十一世紀を担う最も大切な役所だ、またそのように総理に期待されて就任をさせていただきました。そういう観点から考えますと、ただ私の不手際であり、あるいはまた私の不徳であるということだけで済まされないこの責任を本当に毎日私は、まさに先日も予算委員会で申し上げましたが、身の細る思いで実は過ごしている、そんな心境でございますし、実態でございます。  しかし、私は何とかこの問題を補い尽くして、そして先生方からも御指導いただき、この二十一世紀に向けた郵政事業、郵政関連の分野における円滑な発展と責任達成のために渾身の努力でこの償いをさせていただきたい、また、そのために先頭に立って、三十万職員、関連する各事業の機関における三十万、合わせて六十万の職員の皆さんの先頭に立って汗を流して、一緒になって努力をして責任を果たしてまいりたいと思っておりますので、何とぞ、今日の反省を機に自重自戒し、そして中井先生初め諸先生方からの御指導をいただいて、この職務を全うさせていただきたいと思っておる次第でございます。一生懸命に頑張りますので、どうぞよろしく御指導をお願い申し上げたいと思います。
  219. 中井洽

    ○中井委員 郵政省に働く職員の方々は、私が言うまでもなく、お客様のお金、十万、二十万あるいはもっと小さなお金の不始末でも実は戯言されるわけであります。同時にまた、切手販売や収入印紙を売っているところでも、本当に、紛失したり破ったりしますと弁償というような形でこの制度を守っていただいておる。そこに信頼も続いているわけであります。  私、昨日実は大蔵委員会で、共和事件のことで国税庁に質問いたしました。もちろん個々の事案については答弁がありません。一般事案ということで答弁をいただきました。それを引用すると、大体、阿部議員には国税非常に関心を持って調査をする、塩崎議員には、まああれはあれで申告を受け付ける、重加算がかからないというのでびっくりしておりますが、鈴木前総理のは預かり金だ、こういう話のようでございます。そんな預かり金というのはあるのかなと僕らはびっくりしているわけであります。私はそのときに、例えばオリンピックの金メダルで報奨金もらった人も課税対象になる、政治家だけどうなんだということを申しました。しかし、政治資金の制度あるいは国税の仕組み、こういうのがあるわけであります。いろいろと私どもはわからない大きなお金の流れがあったやに聞いておりますけれども、政治資金規正法に基づいてきちっと届け出られる、処理をされる、そして同時に、今二月ですからもう申告を済まされたかどうかはおかりませんが、いろいろと週刊誌に書かれている等も、事実であるならばきちっと個人申告をなさる、あるいは政治資金としての届け出をなさる、そういう処理をきちっとされる、これも一つの身のあかしの立て方だ、私は友人としても思うのですね。  大変先輩に対しても失礼なことがあるかもしれませんが、そういったことをきちっとやる、ひとつお答えをいただきたい。
  220. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 御忠告ありがとうございます。  政治資金規正法に照らした処理はきちんといたしてある、これは私はその秘書が——秘書が秘書がと言うのですけれど、その秘書が自分で責任を持って申告をしたことですから、私はこれを全面的に信頼している。今までも遺漏のあったことはありません。また、昨今における、その秘書がやめた後の政治資金規正法に対する届け出は、遺漏のないようにいたしております。したがって、今先生おっしゃられるようなことは、昨年の政治資金規正法においては手落ちはないのではないか。しかもまだ、入学に関してそういうようなことは、その秘書がやめた以後は実はほとんどと言っていいほど、そこまで手も回りませんし、またなかなかやりにくい。事実上……(発言する者あり)いやいや、今の問題じゃなく、ことしの問題じゃなくて、秘書がいないものですから手が足りませんでできない、こういう環境でありますから、それももちろん念のため申し上げて、先生せっかく御心配ですから、ないであろうというふうに確信をいたしております。  確定申告は、実は私はまだだと思います。これからだと思いますが、遺漏のないように、これはまあこの問題とは全く別の問題でありますが、そんなことでまたおっしゃられるように御指摘を受けないように、少なくとも自重自戒ということはそういうことだろう、自分の身の回りの問題をきちんとしておくことだと思って、今回の指摘はまさにその第一歩だと思いながら、この反省を荷物にしてしっかりと政治活動の中で償いをいたしてまいりたいと思います。
  221. 中井洽

    ○中井委員 次に移ります。  きのうの新聞に、本年度郵便事業が赤字になるのじゃないかと、私どもびっくりするようなニュースが出ておりまして、先ほどから議論のあったところでございます。実はこれまた大蔵委員会でも論議があったのですが、去年の暮れで収入印紙収入の落ち込みが約四千五百億円以上になる、こういうことでありましたから、これの手数料がかなり大幅に落ち込んだ。事業全体としては一生懸命御努力いただいたし、経費節減もやってこられたし、ある意味で収入の伸びもあった。しかし、不動産の冷え込み、これによる収入印紙の販売の減少、そして手数料の減少、これらが直接的には予算上赤字になる、こういうふうに理解してよろしいですか。
  222. 山口憲美

    ○山口(憲)政府委員 郵便事業の財政の問題でございますが、これは先ほども武部委員にもお答えを申し上げましたけれども平成二年度までは、平成二年度がちょうど十年目になりますけれども、十年間はおかげさまで黒字で推移をしてまいりました。ただ、その平成二年度の実績を見ますと百二十五億というふうな形で、黒字ではありますけれどもやや陰りが感じられるというふうな状況でございました。平成三年度に入りましてからの状況でございますけれども、まずやはり一番大きい部分というのは、郵便自体の収入の規模が欠きゅうございます。これが実は昨年に比べまして伸びが四・八%、もちろん減ってはおりませんけれども、四・八%というふうな形で、その前の年の七・三%というふうな伸びに比べますとかなり伸びが落ちてきているということ、これがかなり大きな影響を与えているわけでございます。  それからまた、今中井先生御指摘の収入印紙でございますけれども、これは実は絶対額が減っているというふうなことでございます。これにつきましても収支に与える影響はかなり欠きゅうございますが、特に三月、いわゆる民間企業の決算期のころにかなり集中して御利用いただいているという傾向がございまして、その推移によってかなりこれが実際の決算上の数字に影響を与えてくるのではないかというふうなことで、年度末にどんな状況になるかなというふうなことを今非常に心配しながらちょっと注視をしているというふうなことでございます。  いずれにいたしましても、平成三年度につきましては、計数で御説明はまだ申し上げられませんけれども、極めて厳しい状況にあるなというふうに思って今非常に数字の動向に注視をしているというふうなことでございます。
  223. 中井洽

    ○中井委員 先ほど武部先生の御議論の中で、郵政省は四年度値上げをせずに何とかやれる、こういうお話で、私どもは大変結構なことだと思います。しかし、気になりますのは、十年黒字で来た、値上げをせずにやってきた、ぼちぼちいいのじゃないかという空気が伝わをわけでございます。十年というのは大変立派なことでありますし、この間の御努力、私どもはつぶさに承知をいたしております。しかし、NTTだって十円でずっと続けてもっと長い期間来たわけでありますし、御努力いただいて五年度以降も値上げをしなくてもやれる、こういう方向に向かっていろいろな発想での議論をしていただきたい。そういう意味で武部先輩議員の御提案というのは、私は大変貴重なものがあったと思います。  私自身、去年の委員会でしたか、一度このことで議論したことがあります。逆の意味で、赤字の地区ですね。郵便事業は全国でやっていますから、地区地区で赤字という計算の仕方は難しいというお話がございましたが、私は、地方郵政局単位にやはりここ数年間の黒字、赤字、こういったものをぴしっと出していただく、これも議論の材料になると思いますが、決算後、そういう資料を私どもに出していただけますか。
  224. 山口憲美

    ○山口(憲)政府委員 毎度そういうふうなお答えを申し上げましてまことに恐縮でございますけれども、郵便事業というのは、今、全国を一本でやっておりまして、例えば東京でお引き受けをした郵便物を地方で配達をするという、その間いろいろな段階を経ていくというふうなことでございまして、それらを一つ一つ分析をいたしましてそれぞれの郵政局に分計をするということはなかなか大変な作業でございます。確かに、御指摘をいただいておりますように経営のこれからのいろいろな指針を得るということになりますと、そういった計数というのはぜひ必要だなというふうに思っておりますが、今にわかにそういった形のものはなかなか出しにくいというふうなことでございます。  ただ、そういった計数管理につきましては、今度実は私どものところも組織改正がありまして、財務部というふうなことになりますので、もう少し経営管理というふうなことにも力を入れていきたいなと思っておりまして、今中井先生の御指摘の点も、これは私自身も直観的にちょっと難しいなという感じを非常に持っておりますが、ぜひそういったことも含めていろいろ研究をさせていただきたい、こういうふうに存じます。よろしくお願いいたします。
  225. 中井洽

    ○中井委員 おととし北海道へ視察に行きましたときにそういうことをお願いをいたしまして、随分御議論あったのですが、簡単な計算ということで、私見せていただいたことがございます。数百億の赤字ということであります。職員数を比べさせていただきますと、大変失礼ですが、私の住まいをしております東海地区と余り職員数は変わらない。広さということはあろうかと思います。しかし、そういうところも考えることは必要じゃないかと思うのであります。  先ほど、過疎地では一日二百五十通、東京では二千五百通という配達の話もございました。そういう赤字あるいは郵便物の少ないところで本当に毎日配達をしなければならないのか。電話がある、テレビがある、しかも電気も全部通っておる。電話、電気、テレビ、これは世界一の普及率でございます。どんな山里に住んでおっても、どことでも連絡をとれる時代であります。都会では全く人手不足、去年、おととしと続けざまに質問しましたが、アルバイトなんかきちっと確保できている、人手は何とかやっている、こういう自信いっぱいのお答えをいただきましたけれども、現実には、いわゆる人手不足というのは各地区、特に都会では大変人件費のアップにつながり、赤字要因を生み出していくと私は思います。そういう意味で、配置転換をうまくやっていく。そして、赤字が続いておる地域、郵便物の少ない地域については、やはり土曜、日曜の配達からあるいは二日に一遍の配達等を御了解いただく。特にそういう地域は、毎日何を運ぶのかといったら新聞を運ぶのであります。郵便物ではなしに、第三種の新聞であります。割り引きされた新聞を運んでおる。それでは、新聞を本当にお読みになっているのかというと、新聞社の方がおられて悪いけれども、みんなテレビの広告欄、番組欄が一番大事だ、こういう格好になっていらっしゃる。こういう国民のニーズのあり方、率直に見て、絶対赤字を出さずに、値上げをせずにやるということが大事だと私は思うのです。そういう方向での議論というものも十分やっていただいて、御工夫と御努力をいただきたいと思いますが、大臣いかがですか。
  226. 早田利雄

    ○早田政府委員 ただいま、業務量の多い地域と少ない地域との定員の異動の問題ございましたけれども、現在私どもも、少ない地域から増加が著しい大都市の地区につきましては積極的にやっておりまして、ちなみに、この五年間で二千六百名という数字で動かしております。  ただ、先生御指摘の、過疎地については二日あるいは三日に一回の配達でいいのではないかということにつきましては、私ども、二万四千の郵便局ネットワークで全国均質のサービスをしているという点からいきまして、にわかには、直ちに検討をいたしますという答えにはならないということだと私は思っております。
  227. 中井洽

    ○中井委員 私は、過疎地がどうだこうだということを言っておりません。だけれども、国政全体でいえば、補助金なんというのは猛烈に行っているということもあります。それから、郵政の赤字だけではないのですね。ほかのいろいろな赤字、公共のサービスというのも、納めていただいている税金からそういう地域には随分手厚く行っているわけであります。そういったことも含めて、柔軟な発想で御議論をいただきたい、私どももいろいろな機会に考えたり議論をしていきたい、このように思います。  次に移りますが、郵政省の予算の中で郵便局のネットワークの高度化促進ということで三十数億の予算化がなされております。これはどういうことをお考えになっていらっしゃるのか、そして、何年ぐらいでこれは完成して、総予算どれくらいの見積もりで行われているのか、お聞かせをください。
  228. 五十嵐三津雄

    ○五十嵐説明員 郵便局のネットワークの高度化ということで予算をお願いしている中で、幾つかの要素がございます。郵政省全体のネットワークをどう構築していくかというような調査研究に類するところがありますが、予算の多くのところは、通信衛星を使いまして郵便局、郵政局、そして本省と結びます、私ども、これをPSAT、こういうふうに呼んでおりますが、そのネットワークの構築に係る部分でございます。  先生お尋ねの、現状と今後の取り組みにつきまして概要を申し上げさせていただきたいと思います。  私ども、郵政事業の大きな特徴と申しますのは、全国津々浦々に広がっております二万四千の拠点、郵便局ですが、このネットワークがございます。また一方で、私ども政策上の重要な課題という意味から申しますと、地域情報化推進によります地域間の情報格差是正というようなことも重要な課題であるというふうに考えているわけでございます。そういった意味で、私ども事業の運営の高度化を図るというような観点あるいは国民利用者サービスの向上を図るというような観点に立ちまして、地域情報化推進ということに貢献したいというふうに考えてもおりまして、平成二年度からPSAT、先ほど申し上げました通信衛星を使ってのネットワークでございますが、これを現在のところは全国で四十一拠点を結んで試行的に運用をいたしております。それが概要でございます。  申し上げるまでもないかと思いますが、衛星を使うことによりまして即時に同報的にやれるとか、あるいは全国一気に、しかも同容量なものですから映像が使えるというのが大変大きな特徴にもなっております。そんなことで、最新の業務情報を職員に提供するとか、あるいは職員の研修、あるいは地域情報の紹介ということで特産品の紹介とか、そんなことも今試行的にやっておりますが、そういうことで事業の運営の高度化あるいはサービスの向上を図ってまいりたいというふうに考えてやっておるところでございます。  今後のことでございますが、平成四年度におきまして新たに二百三十五局にネットワークを拡大してまいりたいというふうに考えておりまして、現在のネットワークと合わせますと二百七十六局になるわけでございますが、そういうことで事業高度化地域情報高度化ということに努めてまいりたいというふうに思っております。  将来のことにわたることでございますが、とれは、その効果とかいろいろなことも見きわめなければならないというふうに考えておりますが、私どもの目下の計画として頭の中にありますことは、ネットワークというのはある程度広がりを持ちませんと効果がないというようなこともありまして、できましたら全普通局にネットワークを張っていくことがどうかということで、目下検討中のところでございます。
  229. 中井洽

    ○中井委員 私ども勉強会でお聞かせをいただきましたときに、どうもはっきり意味がわからない、郵政事業は赤字だというような時期に急いでやらなければならないことかな、こんな思いも抱きました。全局に張るというのは大変な金額も要る。金額をお聞きしたけれども、一向に金額は言ってくれなかったものですから、大き過ぎて言えないのかな、こう思ってはおりますけれども、十分この利用の方法というものを考えておやりを賜りたい。注文をつけます。  時間がなくなってまいりました。二つ一遍に聞きますので、それぞれお答えをいただきます。  先ほど吉岡議員の方からお話がありましたNTTとKDDの海外事業での経営のことであります。お答えを聞いておりますと、大臣は、やれるならやればいいことだ、それから局長は、法律の第一条を変えなければならない、こういうことでありましたが、これは子会社でやるとかあるいは出資してやるとか、こういうことであればいいということであろうかと思いますし、私どもも大いに日本技術力というものを海外で活用してほしい、このように思いますが、そういうふうに理解していいか、このことが一点であります。  それから、電波利用税のことでも御質疑がございました。これは私どももたびたび党で勉強させていただいて、郵政省も自分の本省の予算並みの料金を取るという大々的なことでありまして、さまざまに議論がございます。関係省庁と調整をしている中で、一般財源として受け入れて、そして特定利用をする、ここの難しさで停滞をしておる、こういう話を承りました。  たびたび大蔵委員会の話で恐縮でありますが、地価税というのがございます。去年大変な論議になりました。しかし、この論議も結局二千億余りのお金を土地対策に使う、特定財源みたいな形で使うんだという論議の中で、実は各党賛成でこれは成立をいたしたわけであります。しかし、実際やってみたら、大蔵省のことでありますから名目はいろいろと言っておりますが、一般財源的に使われておる。このことは大変残念なことであります。どうぞこういうことがないように、いい知恵を絞って大臣も頑張っていただいて、きちっと目的どおり使われる、そういう形でこの電波利用税というのが出てきて審議の中で成立する、私どもはこのことを強く望みますが、この二つの点お答えをいただいて、質問を終わります。
  230. 森本哲夫

    森本政府委員 第一点のNTT海外出資の問題でございますが、若干先ほどのやりとりが不分明であったかと恐縮いたしております。具体的な事実、新聞記事というものを踏まえての話でございましたので若干混乱いたしたかと思うのですが、NTT海外の国内通信事業に出資すること自体はまあ法律的に問題があるわけではないのです。ただ、その出資の源泉を考えたり、規模を考えたり、相手方の問題を考えたり、あるいはNTT事業がだんだん今問題が出ていくというときに大丈夫なのかとか、さまざまな問題をよく考慮しなければならぬということを申し上げておるわけでございまして、これは具体的な中身を想定しないと、一般論で片づけるのはなかなか難しい側面があろうか、こう思っているところが第一点でございます。  第二点、大変いろいろ御心配いただいておりますが、私どもとしても、せっかく御指摘のとおり電波利用料を負担いただくことが結果的に免許人の利益になるようなそういう構造にいたしたいということで今必死の努力をいたしております。できるだけ早期に提出をさせていただきたいと思っておりますので、ぜひ御審議をひとつ円滑にお願い賜りたいと思っております。ありがとうございました。
  231. 中井洽

    ○中井委員 終わります。      ————◇—————
  232. 谷垣禎一

    谷垣委員長 通信放送衛星機構法の一部を改正する法律案有線テレビジョン放送発達及び普及のための有線テレビジョン放送番組充実事業推進に関する臨時措置法案の両案を議題といたします。  順次趣旨の説明を聴取いたします。渡辺郵政大臣
  233. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 最初に、通信放送衛星機構法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、電気通信分野における最近の急速な技術革新の動向を踏まえて、通信放送衛星機構に通信放送技術の向上を図るための業務を追加するとともに、通信放送衛星機構を通信放送機構と改称することその他所要の規定を整備しようとするものであります。  次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。  まず第一に、この法律の題名を通信放送機構法に改め、通信放送衛星機構の名称を通信放送機構に改めることとしております。  第二に、通信放送機構の業務として、従来からの業務に加え、通信放送技術の水準の著しい向上に寄与する先導的な研究開発を実施させ、基礎研究から応用への橋渡しを図るとともに、通信放送技術に関する研究開発のための基盤的な施設の整備推進海外からの研究者の招聘による国際研究交流の促進等の業務を行わせることとしております。  その他所要の規定の整備を図ることといたしております。  なお、この法律の施行期日は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日としております。  次に、有線テレビジョン放送発達及び普及のための有線テレビジョン放送番組充実事業推進に関する臨時措置法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、有線テレビジョン放送発達及び普及促進するため、有線テレビジョン放送放送番組に関する業務の効率的な実施を支援する有線テレビジョン放送番組充実事業推進しようとするものであります。  次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。  第一に、有線テレビジョン放送番組充実事業の定義をいたしております。  第二に、郵政大臣は、有線テレビジョン放送発達及び普及促進に関する基本的な方向、有線テレビジョン放送番組充実事業を実施する者の要件に関する事項、同事業の内容及び実施地域等に関する基本指針を定めることといたしております。  第三に、有線テレビジョン放送番組充実事業を実施しようとする者は、その実施計画が適当である旨の郵政大臣の認定を受けることができることといたしております。  第四に、通信放送機構の業務として、郵政大臣の認定を受けた実施計画に係る有線テレビジョン放送番組充実事業の実施に必要な資金の出資の業務を追加することといたしております。  第五に、その他所要の規定の整備を行うことといたしております。  なお、この法律の施行期日は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することといたしております。  以上が、これら二法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  234. 谷垣禎一

    谷垣委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五分散会      ————◇—————