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1992-04-22 第123回国会 衆議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年四月二十二日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 中島  衛君    理事 岡島 正之君 理事 小坂 憲次君    理事 福永 信彦君 理事 古屋 圭司君    理事 増田 敏男君 理事 谷村 啓介君    理事 中沢 健次君 理事 小谷 輝二君       井奥 貞雄君    石橋 一弥君       佐藤謙一郎君    田邉 國男君       中谷  元君    西田  司君       野中 広務君    森田  一君       遠藤  登君    小川  信君       北川 昌典君    北沢 清功君       小林  守君    山口 鶴男君       山口那津男君    吉井 英勝君       高木 義明君  委員外出席者         参  考  人         (福岡県知事) 奥田 八二君         参  考  人         (明治大学政治経済学部教授) 喜多  登君         参  考  人         (全国市長会相談役熊本市長田尻 靖幹君         地方行政委員会         調査室長    渡辺  功君     ————————————— 委員の異動 四月二十日  辞任         補欠選任   北川 昌典君     山元  勉君 同日  辞任         補欠選任   山元  勉君     北川 昌典君 同月二十二日  辞任         補欠選任   森  喜朗君     佐藤謙一郎君   神田  厚君     高木 義明君 同日  辞任         補欠選任   佐藤謙一郎君     森  喜朗君   高木 義明君     神田  厚君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第二五号)      ————◇—————
  2. 中島衛

    中島委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人皆様から御意見を聴取することといたしております。  参考人として御出席いただいた方々は、全国市長会相談役熊本市長田尻靖幹君、福岡県知事奥田八二君、明治大学政治経済学部教授喜多登君、以上三名の方々でございます。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  参考人皆様には、御多用のところ当委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  なお、議事の順序は、初めに参考人皆様からそれぞれ十五分程度御意見をお述べいただき、次に委員からの質疑に対し、御答弁をお願いいたしたいと存じます。  それでは、まず田尻参考人によろしくお願いを申し上げます。
  3. 田尻靖幹

    田尻参考人 おはようございます。  全国市長会相談役をいたしております熊本市長田尻靖幹でございます。  衆議院地方行政委員会の諸先生におかれましては、日ごろから、地方行政の諸問題につきまして格別の御支援と御高配を賜っておりまして、この席をおかりいたしまして、まずもって厚く御礼を申し上げる次第でございます。  本日は、地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして意見を申し述べる機会をお与えいただきまして、心から感謝を申し上げる次第でありまして、直接都市行政に携わっております市長立場から、当面する諸問題につきまして意見を申し上げたいと存ずる次第であります。  まず第一点、法案早期成立につきまして、まずお願いをいたしたいことは、ただいま本委員会におきまして御審議中の地方交付税法の一部を改正する法律案早期成立についてでございます。  御高承のとおり、最近の経済情勢は、景気が停滞し、地域経済への影響も懸念されているところでございます。国におかれましては、緊急経済対策を決定され、平成年度公共事業関係予算前倒し方針を明確にされたのでありますが、地方団体におきましても、地方単独事業の円滑な施行が強く期待されております。  そのためには、その裏づけとなります財源確保が不可欠でありますが、とりわけ地方一般財源の重要な地位を占める地方交付税総額算定方法早期に確定していただくことが必要でありますので、本法案の速やかな成立特段の御高配お願い申し上げる次第であります。  第二点であります。平成年度地方財政対策についてであります。  さて、都市におきましては、豊かな市民生活実現を図るため、生活関連社会資本整備高齢化社会に対応する福祉充実等、その果たすべき役割はますます重要なものとなっております。今回の地方交付税法改正案には、地域づくり地域福祉環境保全対策地方財政健全化措置等の当面する行政需要に対する財源措置が講じられているのでありますが、以下、その主なるものについて所感を述べさせていただきます。  第一は、地方単独事業拡充についてであります。  平成年度地方財政計画において、投資的経費に係る地方単独事業は、対前年度比一一・五%増と大幅に拡大されております。特に都市生活環境整備に着目した経費増額が図られていることは、まことに時宜を得た措置であると高く評価しているところであります。今後とも、地域振興に果たす地方単独事業役割重要性公共投資基本計画に基づく身近な社会資本整備促進観点から、引き続き地方単独事業拡充について、先生方の御理解と御支援お願いする次第であります。  また、平成年度まで実施される予定の地域づくり推進事業につきましては、これを契機に地域の魅力を生かし、自主的、主体的地域づくりの機運が大いに盛り上がっているところでございますので、ソフト事業分を含めましてぜひとも継続していただくようお願い申し上げる次第であります。  第二は、社会福祉充実についてであります。  本格的な高齢化社会に的確に対応していくため、都市においては、国が打ち出した高齢者保健福祉推進十か年戦略の着実な推進と相まって、地域住民のニーズにマッチしたきめ細やかな独自の福祉施策展開する必要がございます。  今回の地方交付税法改正案では、社会福祉系統経費の大幅な増額とともに、昨年創設されました地域福祉基金の積み増しについて市町村分が倍増されているなど、適切な配慮がなされておりますが、今後とも、ホームヘルパー等人材確保に対する支援策とともに、地域福祉基金のさらなる増強等財政措置の一層の拡充お願い申し上げる次第でございます。  第三は、国保財政健全化であります。  国民健康保険をめぐる状況は、高齢化社会の進展、医療費増大等によりましてますます厳しくなっており、これが及ぼす国保財政への影響もはかり知れないものがございます。  今回、国保事務費負担金のうち人件費及び助産費補助金一般財源化とともに、国保財政への支援策があわせ講じられており、これらは一体として国保財政健全化安定化に寄与するものと理解しておりますが、今後とも医療費適正化、給付と負担公平化保険料負担平準化等抜本的対策推進し、国民健康保険運営支障を来さないようにお願い申し上げる次第であります。  第三点、地方交付税特例減額についてであります。  昨年秋ごろから一部のマスコミ報道で、交付税率引き下げ問題が伝えられ、大変心配をいたしたところでございます。交付税率引き下げは、地方分権推進に逆行するものであり、断じて容認できないことでありますから、私ども地方団体全国大会を開催するなどの運動を行い、また、先生方の心からなる御尽力によりまして、幸いにいたしまして交付税率堅持されたのでありますが、結果的には、地方交付税総額から八千五百億円の特例減額を行うこととされたところでございます。  この件につきましては、先ほど申し上げましたとおり、地方財政対策におきまして地方単独事業の大幅な拡充地域福祉充実地方財政健全化措置など、地方団体が当面必要とする各種施策に対する措置が講じられた上で行われるものであり、しかも国の予算編成が、二兆円を超える財源不足のもとで、建設国債限度いっぱいの発行のほか増税措置も講じられるという厳しい状況にあったこと、また、今回の減額分につきましては後年度法律に基づき返済されるものでありますので、この際やむを得ないものと考えているところでございます。  ただ、このことに関連いたしまして一言申し添えさせていただきますと、いわゆる交付税総額をめぐる議論の中で、ここ数年とられてきた過去の特例的借金解消措置をとらえて、いわゆる地方財政余裕論展開する向きがあることでございます。これらの特例的借金は、過去の地方財政危機的財源不足の際、本来地方交付税率引き上げで対処すべきものを、いわば地方団体自前借金でしのいできたものでありまして、これを解消するための措置地方財政健全化のためにとられたものであり、決して余剰というべきではないと存ずるものであります。私どもといたしましては、今後ともこれら特例的借金解消措置を講じながら、地方財政健全化をさらに推進すべきであると考えておりますので、御理解を賜りたいと存じます。  第四点、今後の課題につきまして、せっかくの機会でございますので、この際、地方団体が抱える当面の重要課題につきまして何点か要望をさせていただきます。  まず第一点は、地方交付税率堅持についてでございます。  このことにつきましては、先ほども申し上げましたところでありますが、地方交付税は、憲法で保障された地方自治本旨実現するための地方団体共有固有財源であり、国のほかの歳出とは性格を異にするものであります。現在、緊急の政策課題となっております各種社会資本整備高齢化社会への対応、地域振興などの施策の多くは地方団体の手によって行われているところでありまして、これら地方団体に課せられました責務を果たしていくためには地方交付税は不可欠の財源であります。  加えて、地方分権重要性が改めて認識されている今日、地方交付税変更措置を講ずることは時代動きに逆行するものでありますので、今後とも地方交付税率堅持につきましては、先生方特段の御理解と御支援を賜りますようにお願い申し上げる次第でございます。  第二点目は、地方への権限移譲についてでございます。  私どもは、地方分権推進し、都市自治の確立を図る立場から、都市自治体人口規模能力等に応じた権限移譲とその財源付与機会あるごとに要望してきたところでございます。この問題に関しましては、現在、地方制度調査会臨時行政改革推進審議会等におきまして審議されているところでございますが、私どもといたしましては、都市自治体への積極的な権限移譲の一日も早い実現を願っているところでありますので、諸先生におかれてましても、引き続きよろしく御支援、御協力を賜りますようにお願い申し上げます。  第三点目は、国庫補助金改善合理化についてであります。  まず、国庫補助金等整理合理化に当たっての私ども基本的な考え方は、事務事業あり方そのものを抜本的に見直した上で、その整理縮小を行うとともに、国と地方機能分担費用負担あり方を十分検討し、地方自主性にゆだねるべきものについては、必要な財源措置を講じながら一般財源化を図るべきであると考えております。  また、投資的経費等に係る補助率の復元問題につきましては、昨年、補助率体系化簡素化観点から、平成年度までに結論を得るよう関係省庁検討を進めることとされたところでありますが、私ども地方団体といたしましては、一日も早く地方の納得のゆく結論が得られますように切望しているところでありますので、どうぞ御高配を賜りたいと存じます。  最後に、都市にとりまして、現在、緊急の課題となっております廃棄物処理対策について申し上げます。  御承知のとおり、近年におきましてのごみの激増及びその多様化は、深刻な都市問題となっております。全国市長会におきましては、ごみ問題の抜本的打開策を探るべく特別の委員会において総合的な調査研究を鋭意進めているところでございますが、当面の問題として廃棄物処理施設整備に係る国庫補助金予算額が十分でない等、財源の問題が大きな悩みであります。  この問題につきましては、昨年、当面の打開策といたしまして地方財政上の措置が講じられ、今回も同様の措置が講じられているところでありますが、今後とも必要な施設整備支障が生じないよう、適切な財源措置お願い申し上げる次第であります。  以上、当面する地方行財政の諸問題につきまして、お願いかたがた忌憚なく意見を申し述べさせていただきましたが、目下私どもの最大の関心事である本法案の速やかな成立を重ねてお願い申し上げまして、私の公述を終わらせていただきます。  まことにありがとうございました。(拍手)
  4. 中島衛

    中島委員長 ありがとうございました。  次に、奥田参考人お願いいたします。
  5. 奥田八二

    奥田参考人 福岡県知事奥田でございます。  衆議院地方行政委員会の諸先生方には、地方自治振興につきまして日ごろから格別の御理解、御高配を賜り、衷心より感謝いたしております。  本日は、このような意見を申し述べる機会を賜りましたので、県行政を預かる知事の立場から、地方交付税をめぐる諸問題につきまして、以下、数点意見を述べさせていただきたいと存じます。  第一点は、今回の地方交付税法改正案に対する考え方でございます。  まずは改正法案早期成立を期待いたしております。  我が国経済情勢は昨年後半からのバブル経済の崩壊に伴い、景気が低迷し、地域経済への影響も懸念されているところでございます。このため、政府におかれましては先般緊急経済対策を定め、平成年度の国の公共事業関係予算につきましてこのほど上半期に七五%以上をめどに前倒し施行を行う方針を定めるなど、対策を講じられたところでございます。その中におきまして、私ども地方団体に対しましても地方単独事業について前倒し実施と、その円滑な施行が強く望まれているところでございます。我が福岡県におきましても、県施行事業に関しまして七九%の前倒し施行方針を決定いたしたところであります。  もとより私ども地方団体は、地方単独事業地域経済に与える影響が大きいことから、その早期実施を望んでいるところでございまして、その裏づけとなります地方交付税を初めとした一般財源確保し、年間を通じての財源の見通しを立て、計画的に事業の確実な執行を図る必要がございます。したがいまして、今国会に提出されております地方交付税法等の一部を改正する法律案早期成立につきまして特段の御配慮を賜りますよう、まず初めにお願い申し上げます。  次に、特例減額についてであります。  今回の地方交付税法改正案につきましては、平成年度地方財政対策並びに地方財政計画において措置検討されました事項が盛り込まれており、地方単独事業の大幅な拡充、とりわけ生活関連社会資本整備地域福祉充実環境保全のための財源措置のほか、地方財政健全化措置どもあわせて講じられ、地方団体役割増大に基づき各種施策を積極的に展開できるよう措置が講じられたものと認識いたしております。  したがいまして、地方交付税総額特例としての減額につきましては、二兆円を超える国の財源不足のもとで建設国債限度いっぱいの発行のほか増税措置もとられており、後年度において地方交付税総額に加算するということで、この際地方として協力することは、公経済全体のバランスをも考慮いたしますとやむを得ない措置であると考えております。  第二点目は、地方交付税制度に関しまして若干の改善意見を申し述べさせていただきたいと思います。  まずは財源保障等基本的機能強化についてであります。  地方交付税法は、憲法で保障された地方自治本旨実現するため、地方団体自律性自主性強化する目的で定められております。地方税法に基づきます地方独立税とともに地方財政運営基本をなすものでございまして、各地方団体行政需要に応じ、その財源を保障する等の重要な機能を持っておりますことは御案内のとおりでございます。  現下の我が国は、経済力にふさわしい国際的な役割を果たしますとともに、豊かな国民生活実現を図ることが緊急の政策課題となっております。特に国民生活充実につきましては、身近な社会資本整備高齢者保健福祉推進環境保全対策など、その具体的施策の多くは地方団体の手によって行われているところでございまして、地方交付税はこれらを推進するために地方団体にとって不可欠の財源なのであります。国民生活の将来は、内政政策展開いかんにかかっており、必要な施策を着実に推進するためには、安定した財源をいかに確保するかにあると言っても過言ではないと思います。  例えば、我が福岡県におきましても、「二十一世紀プラン」の実現を図るべく、アジアを初めとした世界との交流促進広域高速交通体系整備科学技術交流拠点形成、明るい長寿社会の構築、個性豊かな地域社会形成、快適な環境保全と活用を柱とした諸施策展開を図っているところでございます。本県におきます地方交付税歳入に占める割合は約二割を占めており、県税に次ぐ重要な一般財源でございまして、これが確保なされませんとこれら諸施策実現は困難なものとなることは明らかであります。  さらに、つけ加えさせていただきますと、地方財政はおよそ三千三百団体の総体であり、国の単一の財政とは異なり、その財政状況は千差万別であります。特に、地方交付税に多く依存し、財政力の弱い地方団体ほど高齢化人口の減少など著しい地域構造の変化に直面しており、これらの団体におきましては地方交付税確保されなければ財政運営が行き詰まるおそれがあり、また将来を展望した効果的な地域振興を図るためにもその財源確保は重要であると考えます。  ちなみに、福岡県内市町村状況を御説明申し上げますと、旧産炭地を抱えているなどの事情もございまして、歳入に占める地方税割合が低く、その分地方交付税に依存する割合が高くなっております。平成年度市町村決算の概要が先般公表されたところでございますが、歳入決算に占める地方交付税割合は、全国平均が一五・五%であるのに対しまして、本県の場合は九十七市町村のうち九十四市町村全国平均を上回る依存率となっており、一番高い市町村では依存率六三%にも達しているところでございます。  したがいまして、時代動きをとらえた新たな行政需要に的確に対応するため、財源保障など地方交付税制度基本的機能強化する必要がございますので、今後の制度改正検討に当たりましては、まず地方分権強化する方向での国と地方機能分担あり方国庫補助金等整理合理化など、行財政制度改革を第一義とすべきではないかと考えております。  次は、地方交付税率堅持に関してであります。  ここ数年とられてまいりました交付税等特別会計借入金財源対策債等の過去の特例的借金解消措置をとらえて地方財政余裕論展開する向きも一部にございますが、昨年秋以来、平成年度の国の予算フレーム検討される段階におきまして、歳出削減の対象として、他の歳出とは性格が全く異なるにもかかわらず、地方交付税も俎上にのせられた模様であります。これを受けた形で、地方交付税率引き下げを含めた、地方交付税を圧縮したいとする当局の意向も再三にわたり耳にするところであり、記憶に新しいところであります。私ども地方団体では、地方交付税地方自治の根幹をなし、地方にとって不可欠な重要な財源でありますことから、これを座視するわけにはまいりませんので、地方交付税率堅持につきまして、諸先生方を初め、広く理解を求めたところでございます。おかげで地方交付税率につきましては、皆様方の御理解を賜り、その堅持が図られました。本席をおかりいたしまして、改めて感謝申し上げる次第であります。  なお、ここ数年とられてきた交付税等特別会計借入金財源対策債等の過去の特例的借金解消措置などを理由とする地方財政余裕論につきましては、これらの借金は、昭和五十年代から六十年代の初めにかけての地方財政危機的財源不足の折に、地方交付税率引き上げで対処すべきものを、いわば地方団体自前借金でしのいできたものでございまして、その解消のための措置地方財政健全化のためにとられたものでございまして、地方立場からいたすならば決して余剰というべきものではないと考えております。  したがいまして、内政基本を支えている地方団体役割重要性から、昨年の衆参両院地方行政委員会におきまして決議をいただいておりますとおり、また、内閣総理大臣諮問機関でございます地方制度調査会意見にも言われておりますとおり、地方交付税制度充実強化を主眼としていただき、今後とも、国の財政上の都合による地方交付税率引き下げは絶対に行わないようにしていただきたいと存じます。  次は、地方交付税性格明確化についてでございます。  地方交付税は、国税一定割合を、国と地方事務配分経費負担区分に基づき、税源配分の一環として地方に交付される税でありますので、国の一般会計に計上されております他の歳出とは性格を異にするものでないかと思います。したがいまして、地方団体共有固有財源であるという性格をより一層明確にし、国と地方との摩擦を繰り返すことなく、相互の信頼関係を維持していくためにも、国税法定分を、国の一般会計に計上することなく、国税収納金整理資金から直接に交付税等特別会計に繰り入れる措置を講ずることが必要であると考えます。  三つ目は、国庫補助金等一般財源化についてでございます。  国庫補助金等一般財源化につきましては、事務事業あり方そのものを抜本的に見直した上で、事務事業の廃止、縮小基本として、その整理縮減を行っていただきますとともに、国と地方との機能分担費用負担あり方から、本来地方自主性にゆだねるべきものにつきましては一般財源化することなど、その整理合理化を進める必要があろうかと存じます。  その際、特に社会保障義務教育公共事業等の基幹的な行政に対する国の支出につきましては、地方に対する財政援助的なものではなく、国の責任に対応した負担金でありますので、国と地方機能分担あり方等を見直すことなく、国の財政上の都合により単なる地方への負担転嫁となる負担割合変更整理合理化は行うべきではないと考えております。  具体的検討に当たりましては、全国的に一定行政水準を維持する必要のある事務事業がある場合でも、例えば法令等で基準を定めれば足りる場合もございますので、補助負担金による国の直接の関与は必ずしも必要でなく、できる限り地方交付税等による財源措置を講じ、具体的な運営はできるだけ地方自主性にゆだねるという方向検討を行うべきものではないかと考えます。  なお、モデル事業的予算補助金につきましては、施策の提示にとどめ、低率な財政援助的奨励補助金につきましても、一般財源化方向で再検討すべきであると考えております。  また、職員設置費に係る国庫補助金等につきましては、一部一般財源化されたものを除き、ほとんどが定額交付金化され、補助金に比べ弾力化が図られておりますものの、必要な職員の配置は本来自主財源措置すべきものであり、交付金化一般財源化への過渡的な段階と考えられますので、さらに一般財源化を進めていただきたいと考えております。  最後に、今後の地方財政対策等につきまして要望を述べさせていただきたいと思います。  今後の地方財政対策に当たりましては、地域振興等に果たす地方単独事業役割増大、また、地方団体自主性強化を図る観点から、さらには、公共投資基本計画に基づく身近な社会資本整備等を推進するためにも、引き続き地方単独事業費の大幅な増額を図る必要がございます。  とりわけ、地域の魅力を生かした自主的、主体的な地域づくり推進を図るため、平成年度まで実施される予定の地域づくり推進事業につきましては、地方で機運が盛り上がっておりますので、ソフト事業分を含めまして、ぜひとも存続の措置を講じていただきたいと存じます。  また、地域福祉基金の積み増し等高齢者保健福祉推進十か年戦略を実現するための人材の確保等に係る財源措置充実、ごみ処理問題、自然保護等の環境保全対策、担い手の確保と基盤整備による農山漁村対策保険料負担平準化等国民健康保険に係る対策などの強化をしていただくとともに、これら施策展開に資するためにも、地方財政健全化につきましても引き続き適切な措置を講ずる必要があると考えておりますので、この点もよろしくお願い申し上げます。  なお、今後の経済情勢は先行き不透明なものもございまして、法人関係税の落ち込み等、地方団体の税収の動向にも懸念がございます。このため、引き続き、これからの地方団体の行財政運営支障が生ずることのないよう、特段の御理解、御高配を賜りますことを特にお願い申し上げ、私からの意見とさせていただきます。  まことにありがとうございました。
  6. 中島衛

    中島委員長 ありがとうございました。  次に、喜多参考人お願いいたします。
  7. 喜多登

    喜多参考人 日夜国政について御活躍くださっている諸先生方に心から感謝申し上げます。私は、明治大学政治経済学部教授喜多でございます。このたび参考人として意見を申し述べさせていただく機会を与えられたことを大変ありがたく存じております。  それでは、参考人としての意見をこれから開陳させていただきます。  私は、今回の改正案に対する意見として、まず結論部分から申し上げます。第一は、今回の改正案には、地方の自治並びに地方の行財政運営という視点から見て、望ましいものと望ましくないものとが併存している、これが第一です。第二点は、内需拡大、地方の自立的発展という今日の重大な政策課題から見て、今回の改正案には大きく考慮すべき余地がある、こういうふうに思います。  しかしながら、こうした問題とする点はありながらも、この改正案は私は容認できると思います。そこで速やかにこの案を、早期展開していただきたい、かように思うわけであります。  では、今申し上げた第一、第二について、その理由あるいはまたそれに対する対策、これを申し述べたいと思います。  第一に関して、望ましいものということであります。  これは、地方自治体の自主的展開に関する財源措置が実に克明に措置せられているということです。私は、世界の地方財政制度の中で、なかんずくこのような財源補てんに関する仕組み、我が国は世界にない精緻な仕組みをとっておると思います。そうした中で、今回の措置は、さらに切り込んだ、非常にきめの細かいところに展開されておるのでありまして、これはすばらしいものだと思います。  例えば、臨時財政特例債償還基金を地方財政計画に計上して地方債の措置を講じられているというような点、それから地方の単独事業費の拡大、この中で、私がかねがねあったらいいなと思っていたのが出ているのですね。それは、地域づくり推進事業拡充させるとか、都市生活環境整備特別対策とか、地方の特定道路整備事業、あるいはまた土地の開発基金の拡充、こういったところに非常にきめの細かい配慮がなされた。これは大変すばらしいことだと思います。さらに、地域福祉対策拡充国民健康保険財政改善、それから国庫補助負担金一般財源化、国庫補助負担率の暫定措置に係る財源措置、それから国保に関する財源措置、こういうふうに実にきめの細かい措置をとっているのでありまして、これは大変望ましいものと私は思います。  ところが、次に望ましくないものが出てきます。  それは、現在、地方の自主的財源である地方税収入、この伸びがここで余りない。その上に、一般財源補てんの地方交付税平成年度の法定総額から八千五百億円減額されているということ。後にそれは平成年度から十三年度までに精算する措置がとられている、こういうことがあります。  しかし、なぜこういう状態が出てくるかという、ここの論点を見ますと、例えば財政制度審議会の中で、これは平成三年十二月二十日でありますが、「地方財政は、平成年度以降三年連続大幅な財源余剰となっており、」云々で始まる、こういう声があるわけです。私は、どうもこのことに対応してこのような八千五百億円の減額というところに結びついたのではないかと思うわけであります。  自治体の財政運営というのは、昭和六十年代から補助金一割カットが行われてまいりまして、そしてその結果は、地方がやろうとする意欲的な部門の勢いを随分そいでおると思います。なかんずく地方投資的経費支出が抑制されて、事業展開というのはどうもいま一歩勢いを失っているような感じがいたします。  それに、もともと、地方財政運営に関しては健全化考慮が出てきております。御承知のように決算カードには、財政運営の指針として、現況指標、運営指標、ストック指標がありまして、それを類似団体別に比較できるようになり、あなたの財政状態はどうであるか、こういう形をここで見えるようにしてあるわけです。これは非常に大切なことだと私は思う。つまり、健全化考慮という形で地方財政運営をするということについては、これはまことに当を得ている指標であるし、やり方だと思います。さりながら、先ほど言いましたように一割カットの余波があり、萎縮させておいて、そこで健全化考慮というふうになってきたら、地方の自立的発展という見地から見てまいりますと、これは余り望ましいことではないのじゃないか、こういうことになります。そしてその上で、先ほどのような、地方は黒字であるという話があります。  さて、地方の赤字黒字を仕分けする考え方というのは何かというと、一定の基準で、例えば、国の財政においては、地方財政においてはどうであるかという比較をする場合に、一定の基準で比較するならばよろしい。例えば国の場合について見ると、歳出歳入、足りない、だからここで赤字、そこで国債を出してくる、だから云々という論で始まります。では、同じ論を地方にしているかというと、違います。地方はどう見ているかというと、地方債を含めてその上での話になります。つまり、実質収支で話をとっていきます。そうしますと、同じ基準の上で話は出てこないわけです。まして今日、十八道県の人口がここでマイナス化され、市町村全体の六四%が人口減をしておる、こういう状態であるとしたならば、後にちょっと触れることになるかと思いますが、基準財政需要額を見積もる場合、非常に人口というウエートが高いわけです。その高いウエートがここで減ってくる、その減ってきたウエートに立って、つまり先ほど財政収支の話で押しつけていくということをしたならば、これはダウンスパイラルといって、だんだん縮小していく。こういうような地方自治体に対して、それを抜け出して新たな展開をさせるという措置というのがここには見られないのではないか、こういうふうに思います。  次に、地方税の伸びが経済を反映して鈍化していくことは事実であります。したがって、ここでその部分を何とか補てんしてもらおうというのが一般財源補てんの地方交付税であるわけです。ところが、予定された額から先ほど申しましたように八千五百億の減額が行われるということになります。もちろんこれにはいろいろな理由があり、ちょうどそこにはゼロサムの世界が一つあります。あるけれども、私はこの八千五百億の減額についてはもう少し考慮すべきではなかったか、こういうふうに思います。  それから次に、国庫支出金の一般財源化、これが出てきております。国庫支出金というのは、例えば三分の二補助事業があります。そうすると、残りの三分の一は一般財源から出さなきゃいけない。つまり地方税地方交付税、特に交付団体でいうと交付税であります。それからもう一つは起債があるわけです。こうした動きにならざるを得ない。そうすると、肝心かなめの頼らなきゃならない一般財源補てんの交付税減額されるということになってきますと、片一方には自主財源である地方税が減り、こちらの方が同じような形でここで減るということになったら大変困ることになります。そこでいろいろな手だてが講じられたこと、これは私は大変すばらしいと思います。さりながら、こういう仕組みを常に残すよりも、もう少しここのところを改良すべき余地があるのじゃないかと思います。つまり、国庫支出金というのはいわば指図つきの国庫支出金でありまして、地方の自主的発展という点から見てまいりますと、やはりこうした部門は一般財源化するという、今日ここに展開される措置はよろしいと思います。  さて、一般財源化されるならばなぜ交付税の方にそれが増額される形で一般財源化されないのでしょうか、つまりこういう考え方が一つ必要であるし、もう一つ一般財源化について言うならば、レーガン大統領のときにアメリカでやりましたブロックグラントがあります。包括的補助金といいます。つまり、これは今日の体制からいうとちょうど交付税と国庫支出金の中間の状態であります。地方の自由度を非常に高めていきます。今日補助率を変化させるならば、その補助率の変化に見合った部分をブロック化し、そして地方の自由度を高めるような方向をなぜとらないのでしょうか。私は今後の地方行財政といった場合について見ると、こうした点の考え方が必要ではないかと思います。  それから次に、第二の点について申し上げます。第二の点と申しますのは、内需拡大、地方の自立的発展という今日の重大な政策課題から見てこの改正案はどうだ、こういうことです。  私は現在の景気の動向から見て、内需拡大のために国・地方挙げて取り組まなければならないと存じます。したがって、一般会計には現在前倒しし、財投、財政投融資の弾力的な展開が行われていく、しかもまだ、この前政府の閣僚の方の御発言では、それでも足りなければ補正でやるというような、つまり後期の部門については、こういう御発言がございます。それならば、国と地方と一体化してやるとするならば、なぜここに前倒しができるような措置を講じないのでしょうか。地方の単独事業を大きくするということは大変よろしいことです。それならば、それを前倒しするためには一般財源が大きな意味合いを持ちます。これを例えば地方債という形でやるよりも、地方の自由度を高めていく、その措置の方が大切ではないかと私は思います。このときに当たってやむを得ない措置とはいいながら、私はこの交付税減額措置というのはもうちょっと切り込んでおいていただければありがたかったなと思うわけであります。ですから、その点を考えたならば、今後の、つまり現在の前倒しの次に出てくる新しい補正のときに、今減額された八千五百億、それの相当分を補正の中で再び復活できる余地を考えるべきではなかろうか、かように思う次第であります。  以上、私はまず最初に結論部分を申し上げ、さらにその理由を述べ、さらに今後の展開ということを含めながらも地方の自治体の、先ほどからお二方の参考人の申されたように、国と地方が一体となってこれからの景気をどうするか、この対策に当たっていかなければならない。そのためには、在来からあった機能分担、つまり中央の政府のやることと地方のやることについて、その機能分担の中で一番中心的な役割をとるのは一般財源補てんのこの地方交付税だと私は思います。したがって、その交付税あり方について余り大きな変化を与えるようなことではなくて、むしろ地方側に自主的な展開ができ、安全でしかも安心して行政展開できるような措置、これが望ましくなってくるのではないか、私はかように思う次第であります。  以上、私は参考人として、特に私は国と地方との財政関係については随分昔からやっておりますので、そういうことから特に制度的なその内面に関して立ち入ったお話を申し上げた次第でございます。(拍手)
  8. 中島衛

    中島委員長 ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。     —————————————
  9. 中島衛

    中島委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  なお、念のため申し上げますが、参考人皆様委員長にお申し出をいただき御発言をお願い申し上げます。また、参考人委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと思います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。増田敏男君。
  10. 増田敏男

    ○増田委員 本日は、参考人のそれぞれの方々には大変お忙しい時間を当委員会のためにおいでをいただきまして、まことに御苦労さまでございます。日ごろの御活躍に敬意を表しながら、時間に限りがありますので簡明にお尋ねを申し上げ、また簡明に御答弁をお願い申し上げたい、こういうことで直ちに質問に入らせていただきます。  地域づくり財源についての関係なんですが、これは田尻参考人奥田参考人にお伺いしたいと思います。  意見陳述の中で、公共投資基本計画に基づく社会資本整備や、高齢化社会に対応した施策推進や、活力と魅力ある地域づくり等、いろいろの住民のニーズにこたえ御努力をいただいている様子をお伺いいたしました。そこで、今後とも引き続いて創意工夫を凝らして地域振興を図っていかれる首長さんといたしましては、施策推進とその財源確保に対して大変御苦労なさっていると思いますけれども、今回のこの動きに対しまして今後どういうお考えを、またどういう希望をお持ちなのかお聞かせをいただきたい、こう思います。お願いいたします。
  11. 田尻靖幹

    田尻参考人 お答えをさせていただきます。  ただいまのお尋ねでございますが、今回の地方財政計画は私ども地方自治体の財政運営に対しまして適切な御指導をいただいておりまして、非常に予算の運営がやりやすい、このように私は認識をいたしている次第でありまして、特に単独事業あるいはまた町づくり、ふるさとづくりあるいは福祉、そういう面につきましてきめ細やかな措置をされているわけでありまして、今回の地方財政計画は私どもにとりましては初めての、非常にわかりやすい計画である、このように認識をいたしております。この趣旨に従いまして財源対策等には全力を挙げて取り組ませていただきたい、かように考える次第であります。
  12. 奥田八二

    奥田参考人 福岡県では、「躍動するクロスロードふくおか」という基本テーマに沿いまして、開かれた交流拠点づくり、潤いのある県民生活の形成、それに科学技術交流拠点形成広域高速交通体系整備、明るい長寿社会、これらを目指しているところでございます。そのために、非常にこの計画は後押し的な意味を持たせていただいていると感じております。私どもは、強い福岡県かつ優しい福岡県というのを目指しているところでございます。  地域振興とともに道路、公園、学校、その他の単独事業にも力を入れているところでございます。特に自動車産業の立地が盛んでございますので、そのための特定の道路整備などには金がいっております。私ども、結局そういう福岡県独自の問題あるいは産炭地振興問題、それから新しい時代に即応した県民ニーズにこたえるため高齢化社会の問題、ごみの公共広域処理の問題、それから総合女性センターあるいは福祉センター、それからスポーツセンター、体力、健康、情報、科学等の側面からスポーツを考えていこうという県全体のスポーツセンターの役割を果たす事業でございますが、そういうものも考えております。  特に緊急なのは、もう余地のない、時間的な切迫を強いられておりますのが産業廃棄物の広域公共処理でございます。これは、国にお願いするわけにもいかないし、市町村に任せるわけにもいかない、県であればこそしなければいけないという使命感に燃えて、ぜひともその課題にはこたえていき、産業の発展にもあるいは衛生の問題にもこたえていかなければならないと考えているところでございます。  そうした意味で、この一般財源、特に交付税の問題が今挙がっておりますが、何とか今申しましたような意味で、八千五百億の問題もありますけれども、私どもは国と県との協力関係ということでやむを得ないものと認識し、今後とも国の御援助を仰ぎながら県独自の考えを自由に発展させていただき、県民とともに考え、県民とともに県政を推進していきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
  13. 増田敏男

    ○増田委員 次に進ませていただきますけれども、単独事業の関係でございます。  また本年度は新しい単独事業が大変できたわけなんですが、地方財政対策において都市生活環境整備特別対策事業あるいは地方特定道路整備事業地方特定河川等環境整備事業地域文化財保全事業等が創設されたところでございます。御案内のとおりであります。これらに対する取り組みの姿勢というのは先ほどお伺いいたしたのでありますが、ざっくばらんに、実は交付税への依存度などを調べさせていただきました。そういう観点に立たれまして、こういった単独事業推進していくのにどういうことが考えられるかな、どういうふうな進め方をなさろうとしておられるかな、また単独事業に対する希望等があったらお聞かせをいただきたいな、このようにお尋ねをいたします。  これは続いて田尻奥田参考人お願いいたします。
  14. 田尻靖幹

    田尻参考人 ただいまは大変ありがたいお言葉をちょうだいいたしまして、ありがとうございます。  先ほども申し上げましたように、諸先生の特別の御配慮によりまして、今回の国の地方財政計画地方財政運営その他を含めまして大変わかりやすい、そしてまたやりやすい仕組みになっているような気がしてならないわけであります。もちろん、今の地方団体にはいろいろの問題がございます。国際化の問題あるいはまた文化の交流問題、そういう問題につきましても最近の市民のニーズは非常に高いものがございますけれども、私どもは今回のこのようないろいろの措置によりまして、二十一世紀を目指す新しい町づくり、ふるさとづくり、そこに原点を絞りまして、私ども熊本市におきましては六十三万市民の皆様とともに新熊本構想の実現によってこれを達成していきたい。  第一点はやはり環境の問題であります。次に福祉充実、そして社会資本整備の問題、経済の活性化、中小企業の防衛、そして基本的には人づくりと大変難しい問題が山積されているわけでありますけれども、この問題につきましても、今後国の御指導をいただきながら全力を挙げて取り組みたい。  ただ、私にもし望むところがあるということでお許しをいただきますならば、社会資本のストックでございますが、戦後四十年の間に我が国社会資本のストックは相当のものであるというふうに私ども考えているわけでございます。我が熊本市も百年の歴史を持つ都市でありまして、それだけに社会資本の累積もあるわけでありますが、社会資本整備についての更新需要につきまして特段の国の御配慮等がいただけないだろうか、こういう問題につきまして今後御検討をいただければ、まことにありがたいことでございます。  以上でございます。
  15. 奥田八二

    奥田参考人 ただいま御指摘いただきました平成年度地方財政対策、非常に私ども地方の単独事業をする上で、地方自主性を認めていただきながら、国も大いに援助をしていただけるということで、うれしい限りでございます。こういう方向に向かっていただくことに非常に感謝いたしたいと思います。  時宜を得たものと、我々の望みどおりでございまして、これから福岡県もこれを大いに利用させていただきまして、県の独自性を、そして公共的な責任性を自覚して、先生方から褒めていただけるような事業を、今御指摘いただきましたような範囲の中で精いっぱいやってまいりたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
  16. 増田敏男

    ○増田委員 続いて、実際に首長として御活躍なさっておられますので、お尋ねをしたいのですが、緊急経済対策ということで、今国も地方も取り組もうということでスタートになりました。そこで、実際にこの前倒しの関係をやっていかれる上で何か問題点がありますか。あるいは、なに国の考えたとおりの方向地方もやれるよ、その辺はどうですか。
  17. 田尻靖幹

    田尻参考人 お答えをいたしたいと思います。  何と申しましても地方はやはり力がまだ不足をいたしておりまして、単独事業推進する中におきまして、例えば人手不足の問題とか、私どもにとりましてそういういろいろ予期せぬ仕事も出てまいりまして、繰り越し事業が大変多い、このような問題もあるわけであります。こういう問題に対する解消策につきまして、もちろん私どもの努力によって解消しなければならないわけでございますが、国の方においても御認識をいただきたいと思うわけでございます。
  18. 奥田八二

    奥田参考人 先ほどの発言の中で申し上げましたとおり、福岡県におきましては全国を上回る率で七九%という前倒しをやりまして、景気の低迷、住民のニーズにこたえていく上で頑張っていきたいと努力しているところでございます。その場合に、私どもの考える、もちろん道路、公園、下水道その他でございますが、私どもの考えておりますのは、地元のいわば中小企業と申しましょうか、やはり非常に基礎が弱いものですから、地元企業を何とか助けてやるという考え方を前から持っております。そのために前倒しは非常に役立っておりますが、やはり親企業との間での中小企業の関係をだれしも納得できるような公正なものにしていくことで中小企業に役立てたいと思っております。  もとに返りますけれども、上半期の契約目標、補助事業では八〇・三%、単独事業で七七、全体として七九・〇というふうになっているところでございますが、中小企業に役立てていただきたいということも腹にございまして、その施行に当たりましては、困っているのは労力と資金、技術の面で困っている中小企業でございます。早目に手を打っていただけることを希望しております。そのために、全庁的な組織として関係各部で構成する公共事業等施行対策連絡会議を設けております。十分頑張ってまいります。
  19. 増田敏男

    ○増田委員 時間が大変貴重なので、簡明で結構でございます。お願い申し上げます。  特例減額の関係につきましては、地方交付税の八千五百億円の減額措置についてでございますが、先ほどそれぞれの参考人から細かく御意見をいただきました。特に喜多参考人には本当に細かくお聞かせをいただきましたので、この点はよく頭に、実はお尋ねをしてけじめをつけておこうと思ったのですが、わかりました。  そこで問題は、将来に向かっての話なんですが、交付税率の関係に対して堅持を図るべきであるという御意見をちょうだいいたしましたが、一方には先ほどのお話のように、地方には財源に余裕があるというような声も一部に実は入ってまいります。私は市長出身ですからそんな考え方を持っていないのですけれども、そういうような意見等がありますので、これからの展開として何かこの際ぜひこの場で言っておきたいというような意見がありましたら、これは喜多教授にぜひ参考人として御意見をお聞かせいただきたい、こう思います。
  20. 喜多登

    喜多参考人 非常に大切な御質問をいただきました。  私は、交付税については一般的に申しますと、今の税率それ自体に関してはやはり時代の流れの中で、それからもう一つは国民経済がどう動くかということ、これを勘案して考えていく。しかし、現在のところでは、百分の三十二という特に交付税の中で国税三税に関する部門は維持しておいた方がいいのじゃないか。それから消費税に関して、この消費税が今後どう動くか、税率が動くか。動かしてくるかもしれない。そういう場合に対して、私はその場合には交付税の現行のやり方についてもう少しそこの消費税関連の部分については考える余地が出てくると思います。  したがって、現段階の上にすべてが固定されているという状況のもとでは、私は交付税率は今のままでよろしいのではないか、ただし、与件が変わったら違うということ、これを申し上げておきたいと思います。
  21. 増田敏男

    ○増田委員 ついに時間が来て、答弁いただく時間がないようでありますけれども平成年度地方財政対策において国保の関係、助産費の関係、それからまた義務教育費共済追加費用等について一般財源化が図られたところであります。したがって、先ほどのお話の中にも一部喜多参考人の触れられたところがありましたけれども、これらに対して実はいろいろと議論を展開しながら廃棄物の関係等にも入っていきたい、こう思いましたけれども、時間ですのでこれで切ってしまいますが、それぞれの参考人にはありがとうございました。引き続いて私たちも一生懸命取り組みますので、きょうの御意見を聞き流しという形だけではなくて自分のものとして取り組んでいきたい、私はこのように考えておりますので、地方自治進展のためにも御活躍をください。  これで質問を終わります。ありがとうございました。
  22. 中島衛

    中島委員長 谷村啓介君。
  23. 谷村啓介

    ○谷村委員 質問は答弁を合わせて二十分間でございますから、用意いたしましたすべてが終了するかどうかわかりませんが、よろしくお願いを申し上げます。  大変お忙しい中でございましょうに、三人の参考人先生方におかれましてはわざわざ御足労いただきました。心から感謝を申し上げる次第でございます。  早速ですが、御質問をさせていただきます。  まず皆さんにお尋ねしたいわけでございますが、先ほどもお触れになりましたけれども、今回の八千五百億円の特例減額についてどのようにお考えになっているかという点であります。  御案内のとおり、昨年度地方財政対策をめぐりましては、交付税特別会計の繰り上げ償還、事実上の借金返済ということで附則三条に基づく四千五百億円の特例減額が行われたことは御承知のとおりであります。これに対しまして、我が党は、地財計画への地方の声の反映や地財計画と決算の乖離の是正その他を求めて、再び特例減額が行われないように地方財政拡充強化に努力してまいったところであります。しかしながら、今年度もまた八千五百億円に上る特例減額が行われてしまったのでございます。しかも、今回の減額の説明において、交付税特別会計借入金のうちの国の負担分の四年度償還額に見合う額、こういうふうにされておるわけでございます。特会借入金の発生事由を考えますと極めて遺憾と言わざるを得ないのであります。また、この説明どおりといたしますと、来年度以降もこのような措置が講じられることが懸念されるところであります。  そこで、再び減額されることの是非につきまして、参考人の皆さんのそれぞれの受けとめ方を承っておきたい、こう思います。
  24. 田尻靖幹

    田尻参考人 先生には日ごろ地方財政問題等大変な御考慮をいただきまして、厚く御礼を申し上げます。  さて、お尋ねの件でございますが、今回の減額特例につきましてはやむを得ざるものである、このように私は考えております。ただ、私ども地方自治体をお預りする責任者といたしまして、毎年十二月が参りますと国の予算折衝の中で地方交付税の切り下げ問題が必ず起こってくる、このことは、市政をお預かりいたしております私どもにとってまことに不安な気持ちでいっぱいでございまして、その後に予算編成に臨むということになるわけであります。こういう問題は、今後、国と地方との信頼関係に大きな動揺を与えるということでありまして、この点につきましては国側におきましても十分御配慮をいただきたいと思うわけであります。  ただ、今回の地方財政計画は、先ほども申し上げましたように大変きめ細やかに、地方の実態に即した、しかも私どもにとりまして非常にわかりやすい御指導をいただいているわけでございまして、心から感謝を申し上げているわけでございます。
  25. 奥田八二

    奥田参考人 私以外の両参考人からも、国のやり方は極めてよろしいとおっしゃいました。私も賛成であります。  ただ、御指摘のように今回の減額措置等が恒久化されるというような懸念は、これはやはり私は賛成できかねるところであります。ただし今回の場合は、私ども公共団体に責任ある者として、国がこれだけ困っている、そうするとやはり協力はすべきであろうという、協力する義務感を持ってやるべきだというふうに思っておりますし、その中身も、単に減額というのではなくて、まあ、貸すという形で、後年度処理すると約束されている限りにおいての担保をとっているということでもって私どもは協力するというふうに考えたいと思います。  ただ、できますれば、これまでのお褒めの言葉がありましたように、今後も地方財政のニーズにつきまして国の温かい御配慮を続けていただいて、地方行財政の発展こそが国の発展でもあるという点で、御配慮をますますかさ上げしていただきたいと思っているところであります。
  26. 喜多登

    喜多参考人 大変重要な御質問だと思います。  私は、先ほど申し上げたように、この減額措置というのは余り望ましいことではない。これは先ほど市長さんのお話もありましたように、自治体にとりましては、自分の持っている懐がきちっとしたお金勘定ができておって、そこで最適予算をつくろうとするわけですね。つまり、国庫支出金は幾らあるか、あるいはまた自分の自主財源はどれだけあるか、その最適予算をつくる一番基本となるのは地方税であり地方交付税なんです。ですから、地方公共団体の中で、基準財政需要額、収入額から見て、その幅が少ないような団体とうんとある団体とでは、これは内容的にずっと違ってくるわけです。そこで、一般財源の補てんのこの交付税がここにきちっとした形で安定的に給付されるということになりますと、私は、長期財政計画に基づき最適予算を組むという方向に入ってくるのではないか。したがって、今回はやむを得ないとしても、できるならばこういう措置は継続すべきではない。  それから、もう一つ申し上げます。減額措置があったら、今度は増額措置というのを逆に考えるべきだと、一言申し上げます。
  27. 谷村啓介

    ○谷村委員 時間の関係で次に移ります。  御案内のとおりに、地方交付税は国と地方税源配分の一環でございます。つまり、地方団体固有の共有財源である、これは当然の認識でありますが、私は、この交付税性格のなし崩し的な変更は到底容認できるものではない、こう思いますね。先ほどもお三方、そのとおりおっしゃったわけであります。地方交付税の額及びその交付は地方交付税法によって定められており、地方団体年度間の財政調整については地方財政法に定められております。したがいまして、地方交付税において法的に収支の差が生ずる、あるいは単年度で見た場合のすき間が生ずるという可能性はあっても、余剰というものは生じない、こういうふうに思うのであります。  しかしながら大蔵省は、一貫して地方には余剰があると主張してまいりました。国会に提出されました「予算及び財政投融資計画の説明」の中で、地方財政についての認識を、昨年度に引き続き大幅な財源余剰、二兆三千六百二十五億円と記述しておるわけでありまして、また、去る十六日の我が中沢先生の質問に対しまして大蔵大臣が、地方交付税地方固有財源ではないかのような答弁を繰り返されたのであります。  そこで、奥田知事にお伺いいたしますけれども、一つは地方交付税性格についてであります。もう一つは大幅な財源余剰ということについて、実際に知事として県政をリードされている立場から、また知事会としてどういうふうにお考えか御教示願えればありがたいと思います。
  28. 奥田八二

    奥田参考人 私から言うまでもありませんけれども地方交付税は、脆弱な地方団体に対する財源の安定的な国の施策ということ、あるいは地方の均衡ある発展ということが念頭に置かれた地方固有の税金である、それをあのような制度で処理されているのであるということで、私は、世界的にも自慢していい、これは一般財源として絶対に堅持していただきたいという意見を持つものであります。地方税のみではできないところがいっぱいありますから、そういうふうにしたいと思うわけです。  私、今県政を担当させていただいておりまして、交付税というものがいかに大事であるかということは、理屈を勉強する時間よりも実際に肌身で感ずる時間の方が多いわけでございまして、これがなかったら一体どうなるだろうかということを考えますと、今回の問題、削減継続がもしあったとすればこれは大変なことであって、我々決して余裕があるわけじゃない、いっぱいしなければならないことと、後始末をしなければならない問題をいっぱい抱えております。御承知のような累積債務の問題もあります。借入金の問題、臨時財政特例、いろいろと持っておるわけです。しりぬぐいもしなければならないし、先ほども触れましたように、まずは廃棄物問題だとかあるいは高齢化問題だとか環境整備、学校、技術の発展等々、しなければならないことが山積しておるわけでございまして、そのやむを得ない範囲内で力いっぱいやっているだけなんで、余裕というものではございません。
  29. 谷村啓介

    ○谷村委員 余談になりますけれども、先ほど言いました地方交付税性格ですね。やりとりがございました。大蔵大臣が固有の財源ということを、あるいは共有の財源だということを素直に納得しないのですね。反論するのですよ。  これは昭和四十四年四月十七日の議事録でありますが、今お見えの山口委員が当時若かりしころでございますが、当時の福田大蔵大臣が明確に「この金は地方自治団体の権利のある金なんです。そういう意味において、固有の財源であり、また自主財源である、」と明確に語っておられるのです。その後、大蔵省の態度がどうもあいまい、ファジーといいますか、そんな感じになっていますが、機会がありましたら、市長会、知事会もこの点については大蔵大臣にひとつ厳しく言っておいていただきたい、こういうふうに思います。これは答弁は要りません。  次に移ります。  さて、交付税総額の調整は、一般会計と特別会計間の調整ということで長い間行われてまいりました。一般会計における加算と減額、精算額の繰り延べ、特別会計における借り入れと返済という方法の組み合わせとなっており、複雑で難解さの一因となっております。  そこで、私は、交付税の本来の制度を守るためにも、附則三条の凍結あるいは特別会計への交付税の直接投入、直入という問題ですが、そういったことを実施した上で財源調整を行うこととして、まずは一般会計と特別会計の秩序を守るべきであると思うわけでありますが、この点につきまして喜多先生の方にちょっと御意見をいただければありがたいと思います。
  30. 喜多登

    喜多参考人 今先生が御質問をなされたところは、地方自治という点を非常に大きく重視されて、それの一般財源化のためにはもう特別会計に直入した方がいい、こういうことであろうと思います。事実、そういう論議がいろいろとされております。私はこれに対して二つの考え方があると思うのです。  一つは、地方自治という精神から見たらそれは直入すべきである、こういう論議。もう一つは、これに対して別の考え方ができます。  例えば、景気が悪くなって国税の二税、所得税と法人税、これが低落してくる。そうしたときに、自治体にとっては自動的に減額が出てくるわけです。その減額が出てきたときに、特別法をもってこれに充てていくというやり方があります。  しかしもう一つは、特別法によらないで現行の制度の中で、つまり一つは交付税率の問題がありますけれども交付税率は動かさないにしても、今度は今なされた減額と同じ、逆の考え方をして、増額考え方ができるのではないか。つまり交付税を現行のままにしておいて、一般会計の中に繰り込むことのメリットはどこにあるかといったら、そのマイナス化されてくるような条件が出てきたときに、ここでいわば交付税増額措置が図られるのではないか。しかし減額に関しては歯どめを考えなければいけない。このままの状態ではなくて歯どめを、つまり一般会計に入れながらそこでは減額に対する歯どめを出す。それから増額に対して特殊の配慮を持ってくる。  その特殊の配慮というのは何か。一つは景気変動に対して、国税二税の減収、これは非常に敏感に反応してきます。ですから、その部分に対するいわば特殊の配慮ができるように組み込めるような形ができるということが第一点。  それから第二番目に申し上げるのは、つまり国庫支出金に関して一般財源化していくというやり方をとる。その一般財源化する中に、先ほど私が申し上げた中で、一つはブロックグラントをつくる方向があります。もう一つは、交付税の中にそういうところは補てんできるようなところ、つまり一般会計に入れることによってそこに特殊の配慮が繰り込ませるような仕組み、これを考案するということが可能になってくると思います。  そこで前者の、つまり特別会計にいきなり組み込むということが果たして地方にとって望ましいのか。もう一つ、現行の中で一般会計の中に組み込むもので、しかも減額に対しては歯どめを入れ、増額措置ができるようないろいろな配慮を入れる、こういう形に法案を持っていく方が正しいか、そこのところの審議が私はまずもって大切ではなかろうかと思います。  私の見解からいうと、これはちょっとほかの先生方と違うかもしれませんが、私は今の一般会計の中に繰り込んでやる方式の方が、つまり政策的な運用という点も一つございましょうが、自治体にとってプラスになるような気がいたします。
  31. 谷村啓介

    ○谷村委員 時間がわずかになりました。田尻市長の方に国保の安定化支援事業等についてお尋ねしたいと思いましたが、先ほどお触れになりましたから割愛をしまして、最後の質問に移りたいと思います。  私は、地方は、一極集中の是正、公共投資、地域福祉の確立、国際化、環境問題、高齢化等々の重要な課題をますます担うようになってきており、今後の地方財政の一層の充実発展が必要であり、足りないとは言えても決して余っているとは言えないと理解をいたしておるのであります。また、いろいろな課題に対応していくためにも、新しい財政需要の地財計画への反映が必要だと思っております。  その第一歩として今回私どもは、山を何とかしたい、こういうことで森林交付税といいますか、言葉は適当かどうか知りませんが、そんなものを模索をしてまいったのであります。環境保全対策千七百億円が創設されました。企画振興費が新たにまた設けられたわけでございますが、新しい財政需要に対しましてどのように対処されようとしておるのか、企画振興費への評価等も含めまして最後奥田知事にお伺いしてみたい、こんなふうに思うわけでございます。
  32. 奥田八二

    奥田参考人 最後に御指摘の企画振興費について、これまでその他の部分で扱われていたものを独立して計算の単位に、項目に取り入れられたということは、私ども大変うれしく思っております。こういうふうにして、ソフトでもありますけれども地方自主性がだんだん認められていることに感謝いたしておるところであります。今後ともそのようなニーズは時代の変化とともにふえるでございましょうから、よろしくお願いいたしたいと思います。  山の問題を取り上げられましたけれども、それも含めて、私何回も申しますけれども、やはり環境問題、これほど大事なことを我々はつい忘れがちでありますので、地方公共団体は声を大にして住民とともにこの問題を叫びたい。ごみ処理の問題から始まって緑の問題に至るまで、地球規模における聞こえるような行動をとりたいと思っております。
  33. 谷村啓介

    ○谷村委員 三先生方、大変お忙しい中を本当にありがとうございました。お礼を申し上げます。  終わります。
  34. 中島衛

    中島委員長 小谷輝二君。
  35. 小谷輝二

    ○小谷委員 公明党の小谷でございます。きょうは参考人先生には、お忙しいところ当委員会に御出席いただいて貴重な意見を述べていただくことに心から感謝申し上げます。どうもありがとうございます。  先ほどからいろいろと議論をされておりますけれども、この機会交付税の本質論について御見解を伺っておきたい、こう思います。  地方交付税は、国と地方事務事業の分担によって法律で定められた地方固有財源である、これは明確でありますし、だれもこれを否定するものはないわけでございます。国が地方にかわって集めた地方固有財源である、これは現在の自治大臣もそう明確に述べておられるわけでございます。また、自治省も長年このことについては答弁を重ねてきたところでございます。  そこで、国の一般会計に入れずに交付税特別会計に直入すべきではないのか、こういう議論がございます。これは大蔵省の方ではかなり抵抗があるようでございますが、自治省関係者とし、また地方の自治体、六団体等々からもそのような意見が何回か出されておるところであります。そこで自治体を預かっていらっしゃる三千数百の市町村長、自治体の代表的な立場田尻市長さんに、交付税一般会計に入れずに、消費譲与税等の譲与税のように交付税特別会計に直入すべきではないのか、この議論に対してはいかがでございましょうか。
  36. 田尻靖幹

    田尻参考人 先生には、地方財政また行政につきまして大変な御配慮をいただいて、心から感謝を申し上げます。  ただいまのお尋ねの件でございますが、先ほどの特例減額とこれは表裏一体であると私思うわけでありまして、こういう問題が起こってまいりますのも、交付税率引き下げ問題等が常に起こっている、そういうことで、国・地方の間におきまして財政問題をめぐって非常に不信感が出てくる、そういうことから、ただいま先生の仰せのような論議が出てくると私は思うわけであります。問題は、地方交付税法に対します、いわゆる国と地方信頼関係を明確にしていく、そして、この戦後の四十年の歴史をひとつきちっと整理していけばこういう論議は出てこない、このように私は思うわけでございまして、今後とも貴重な御意見を拝聴いたしまして、全国市長会等におきましても意見を反映させていきたいというふうに考えております。
  37. 小谷輝二

    ○小谷委員 県の大変な行政を先頭に立って頑張っていらっしゃる奥田知事に、この御意見はいかがでしょうか。
  38. 奥田八二

    奥田参考人 長い歴史がございまして、私どもの経験といたしましては、やはり国が取っていただくということ、そして国がちゃんと持っておっていただく。そして、減額のみならず増額も必要だという点を考えますと、やはり国も、地方全体、全国をにらんで、減額増額については自治体と歩調を合わせ、信頼を持ち、そして国の会計の中で、特別にではなくていいんじゃないか、約束があればいいんじゃないかというふうに考えております。
  39. 小谷輝二

    ○小谷委員 日本の財政学会等で非常に活躍されていらっしゃる喜多先生先生から先ほどは、これは逆に減額することがあれば増額も当然含まれた話である。一般会計で国との均衡を図っていくのも一つの議論であろう、こう思うわけですけれども、逆に、国と地方との事務事業分担、これを明確に分けてあると同時に、それに伴った財政の配分ですから、もし交付税総額が需要額に満たなかった場合には、これは借り入れを起こして当然ではなかろうかと思いますし、また、余剰ができたときは返済をしていく方法も当然であろうと思うわけですが、先生の先ほどの意見とはちょっと違うようでございますが、その点はいかがでございましょうか。
  40. 喜多登

    喜多参考人 今の御質問の点でありますが、国と地方との機能分担をしっかりやる。これは、地方自治法にのっとり、そして二条で、そこでどういうことをやるか、それから別表の一から七、これがありまして、そしてそこでの地方のやる仕事という形がはっきりしているわけであります。  それに要する財源ということになった場合に、一つは自主財源、一つは依存財源、こういう形をもって運営していく。その場合に、一般財源と補てんとして出されてくるこの交付税というのは、これは先生のおっしゃるように、機能分担に即応して展開していくという部分については、これは全く御説のとおりだと思います。  ところが、これは一般的な、定常的な、例えば景気の変動がなく、経済が一般的に安定的な形で動いているという場合、そのときにはその機能分担論というのは非常にぴしっと動いていくと思います。ところが、経済が大きく変わってくる、あるいはまた国際的な要請という形が大きく出てくる、そしてそれを国全体挙げて、いわばこの発展の路線、内需拡大という形で動かなければならないというときに、つまり、政策課題がこうやって入ってきたときに、ここで先ほど申した機能分担だけでは足りなくなるのではないか。  私はそういうことを懸念いたしまして、一つは、減額はされないように、つまり、在来からあるルーチン化された行政、それにはきちっとした展開に向くような形の部門については歯どめをかけておく。つまりこれを減額させないような措置を講じておく。そして、しかし政策課題が新たに展開されてくるような要請のところにおいては増額ができるような措置、こういうことが望ましいのではないか。地方自治機能分担という点から見ると、その機能分担に当たる根本的なところに食い込むような、つまり切り下げていくような、そういう措置はあくまでも望ましくはない、こういうふうに思います。
  41. 小谷輝二

    ○小谷委員 時間も余りございませんので。  先ほども議論がありましたが、地方財政に大幅な剰余額がある、このような大蔵省の説明等には、地方には大幅な財源余剰がある、その額は二兆三千六百二十五億円、このようにしておるわけでございまして、地方財政計画の中で地方財政需要額、これ以上の財政需要は要りません、ありませんということは決してないのではないか。それぞれ市長さんにしましても知事さんにしましても、地域のニーズに合った、また、国民生活を豊かにするために、より一歩、より環境をよくするためには、単独事業、公共事業社会資本整備、あらゆる分野でこれもあれもという需要、要求というものはまだまだ山ほどあるのではないか、とどまるところがないほどあるのではないか、こういうふうに私どもは認識をいたしております。  ところが、実際今地方財政は、私が説明するまでもなく、七十二兆円借金を抱えており、また、公債費負担率は既に一五%以上の自治体が、全国三千三百余の自治体の中で三分の一もある。こういう状況の中で地方財政余剰額が二兆三千億からあるというふうなことは決して言えないのではないのか。私どもはこう認識もし、議論をし、また、将来の地方自治体のためにも何度かここらをもっと考えるべきではないか、地方にもっと自律性、主体性を持たす、そのためには根底から地方に大きな金の余剰がある、こういうふうな考え方は、この際きちっと打ち切るべきではないのかという議論をし、考えを持っているわけですけれども市長さんのお考えは……。
  42. 田尻靖幹

    田尻参考人 ただいま大変ありがたいお言葉をちょうだいいたしました。  国と地方の中におきまして財政問題につきましてはいろいろの御意見があることはよくわかるわけでございますけれども、私ども、市政という最前線の仕事をお預かりいたしておりますと、例えば高齢化の問題でありますが、恐らく今世紀、これほど日本が高齢化社会に到達するとはだれも予想してなかった。これについては国、県、そしてまた私ども市の段階におきましても、福祉対策には大変な戸惑いがございます。あるいはまた環境問題でございます。あるいは国際化の問題、高度情報化社会の問題、そういう変革期になりまして、しかも住民の皆様、市民の皆様方は、物も心も豊かな実感のできる社会をつくってほしい、こういう御要望があるわけでございまして、私どもは今日言われるような、地方財政が豊かである、このような意見に対しましては見解を異にするわけでございます。今後とも足腰の強い地方をつくりまして、それが国を立派にしていく、そういう信念に向かって全力を挙げてまいりたい、かように考える次第でございます。
  43. 小谷輝二

    ○小谷委員 奥田知事にも、よろしくお願いします。
  44. 奥田八二

    奥田参考人 私どもは県という立場にありますので、国と地方という関係の中に、地方の中に県と市町村というのがあるのですが、新しい計画がどんどん進められなければならない。国もそうだと思います。県もそうなんですが、その場合に、その計画を自分でできる、市町村を越えて県が実際にやるというのと、計画はできるけれども市町村にやってもらわざるを得ないというものもあります。公共関与の産廃問題などは、県がやって市町村の了解を得ればいい。ところが、ゴールドプランという場合には、国がつくっても、結局末端のといいますか市町村がやってくれなければなかなかできるものじゃありません。その他いろいろ、計画段階にできることと、実際は市町村でしかないというその差というのは、国、県、市町村、たくさんあるわけであります。  そういうことを十分御理解していただきたいし、そういう御理解があってこそ平成年度の予算も編成されたと私ども理解しております。そういう意味で、計画と実施というものの多様性と責任のあり場所、それから監視なり総括、そういう面についての御配慮を願えればよろしいというふうに思いますので、今後とも計画と実行、そこのところの違いを国、県、市町村というレベルに分けて考えていただければ大変助かります。
  45. 小谷輝二

    ○小谷委員 学者の立場から、喜多先生にお伺いいたします。
  46. 喜多登

    喜多参考人 ただいまの、地方余剰金があるという点につきましては、先ほど私が申し上げましたように、もともと地方にはこの決算カードで示されているように、健全財政主義というのをきちっとやりなさい、そうすることが望ましいのだ、下手まごつくと昭和二十九年当時に出てきた地方財政再建計画、つまり地方財政再建促進法という法律がありますが、ああいう事態にならぬようにしなければならない、そのためには各自治体、こういう基準でやっていきなさいという形を出しておるわけです。したがって、自治体としてはそういう点で非常に考慮を払いながら財政運営をやっているわけです。  その上に、昭和六十年代のときに、御存じのように、補助金一割カットをやっているわけです。そうすると、自治体としては、やりたいという事業計画をぐっと圧縮して、そしてかつての健全財政主義のその動きの中で、ここで萎縮している、圧縮しているわけです。圧縮したそれをつかまえて、そこで黒字であるという論はおかしいと私は思うのです。  もともとやらなければならない事業はいっぱいあるのです。福祉に関してもあれば、地方単独事業としてもあります。非常に大切なのは、国の、特に拠点を中心とした開発計画なんです。これは各自治体が連担してやらなければならない大事業なんです。そのときに、この事業をここで押しとどめておいて、そこで財政収支が一つの枠の中から黒字であるというふうな論で、ここで財源をそこに付与できないような仕組みになると、これはとんでもないことになると思うのです。  そういう意味で、先生おっしゃっているように、地方余剰があるというふうには思えない、そう私は思います。
  47. 小谷輝二

    ○小谷委員 最後に、中央集権から地方分権という、それぞれの審議会等におきましても、地方分権論議がかなり重ねてこられたわけでございます。  そこで、今、日本の国政は中央集権的な発想ですべて進んできておりますが、これは根底から改めて、もちろん事務事業の見直し、整理合理化、できるものから一般財源化を図って、そして権限、財源ともに地方に移譲すべきではないのか、このように強く思うわけでございますけれども市長さん、知事さん、また学者の立場から喜多先生に御意見を伺って、質問を終わりたいと思います。
  48. 田尻靖幹

    田尻参考人 お答えいたしたいと思います。  権限の移譲につきましてはぜひ実行していただきたい、このように考える次第でございます。
  49. 奥田八二

    奥田参考人 私は、意味のある中央集権は必要だと思います。  先ほども、国のレベルから見た場合の公共投資の十カ年計画とかゴールドプランとかありますけれども、あれは末端の自治体ではなかなかしにくいものであります。そういう意味では、中央は中央としての役割を果たしてほしい。これはもう祈るような気持ちで、これまでもやっていただきましたので感謝しているのですが、一概に中央集権はいけないとか地方権限移譲と言ってしまうと、私にはちょっと納得できないので、中央は中央レベルでの責任をとって地方をまとめてくれないか、県もまた市町村に対しては責任をとり、まとめる、しかし仕事はあなたたちがしてくれよ、我々はまとめるから、金は国から何とかするからというような仲介役もするわけでございますので、そういう意味で中央集権はいけないという一般論で切ってしまわないで、事柄によっては中央が先頭に立ってやってくれていることに感謝もしますけれども、その地方を抑えつけて金縛りにしてしまうことはいけない、やはりゆとりを持たしてほしいということであります。
  50. 喜多登

    喜多参考人 私は、機能分担という点から見て、国のやる仕事と地方のやる仕事、その分野が次第次第に現在クロスされてきておる、クロスされてきているがゆえにここであいまいもことしたものが出てくる、ですから、そういう分野についてはもう少し洗い直す作業が必要だと思います。その洗い直す作業の中で、シャウプ勧告に基づいた骨子から言うと、自治体に対してもう少し権限を与えていくやり方をとった方がいい。しかし、その権限を移譲するということは、いと簡単に思えるけれども財源措置がないととんでもないことになるのです。ですから、財源措置を伴った形での権限移譲、そして、そこで本来の言う地方分権体制をとるようなことが必要だと私は思います。  この点に関しては国際会議で、私どもの学会でこの国際学会がございますが、そういう部分でこういうディセントラリゼーションに関する論議は随分やっているわけでありまして、そういう点から見まして、機能分担をしっかりやり、そして今、時代とともに経済社会が変化するに従って両方の分界を超えてクロスするというところがいっぱい出てくるのです。ですから、その出てきているところをもう少し切り込んだ上で、そこで地方に権限を与えていく、そこには財源措置が必要ではないかということでございます。
  51. 小谷輝二

    ○小谷委員 ありがとうございました。終わります。
  52. 中島衛

    中島委員長 吉井英勝君。
  53. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 参考人先生方には、本日お忙しいところ、どうもありがとうございます。  同僚委員の方たちからも既にいろいろな御質問がございましたので、できるだけ重複を避けて伺いたいと思います。  一つは、一九八四年の補助金カット以来、地方事業を進めると、補助金が削られておりますから地方負担がふえるということもあって、どうしても事業は抑制的に働くといいますか、そういう傾向になってきたと思います。一方、公共料金の引き上げとか、またバブルによる固定資産税収入を初めとする税収の伸びということもありまして、見かけ上地方財政が余裕のあるような姿になったということです。しかし、これは余裕ではなくて、やはり抑制的であった事業を今こそ広げるチャンスという、それが今大事な点じゃないかと思うんですが、しかし大蔵省などの方は地方財政余裕論ということを展開しておりますが、私はそれは当たらないというふうに思っているんです。  そこで、最初にまず田尻奥田参考人の方から地方自治体の方でのことを伺いたいんですが、熊本市、福岡県で実際に財政にかなり余裕のあるような状態だというふうに見ておられるのかどうか、これが一点です。  それからもう一つ。新しい時代に見合った行政需要なりあるいは新しい住民要望に合った需要というものが次々と膨らんでくるわけですが、それに見合った交付税措置が必要であるというふうに思うわけです。そこで、何か新しい行政需要として交付税措置を求めておられるものがありましたら、具体的にお聞かせをいただきたいと思います。  それぞれお二人の参考人から伺いたいと思います。
  54. 田尻靖幹

    田尻参考人 お答えをいたしたいと思います。  地方財政のいわゆる余裕論でありますけれども、先ほども申し上げましたように、この点につきましては見解を異にするものでございます。特に、私ども熊本市でございますが、大変古い町ではございますけれども、中小企業、そしてまた地場産業の方々の多い町でもございます。特に国の出先機関等もございます。言うならばサラリーマンの多い町でもございまして、商業都市でもございます。非常に影響を受けやすいところであるということで、私どもは今日まで税収問題等につきましても特段配慮をいたしており、また国保の問題、いろいろの問題についても、公共料金等についてもできるだけ値上げを避けてまいりました。そういうことでございまして、今日いろいろの仕事をやっていくためにはその余裕はございません。  また、新しい財政需要というお尋ねでございますが、先ほど申し上げましたように社会資本のストックが、古い町ほど非常に大きくなってまいりました。これを更新しなければならない。こういう問題に対しまして今回の財政計画等で今後お認めいただけるならばと、そういう願望がございます。
  55. 奥田八二

    奥田参考人 余裕論という声が聞こえますけれども、私どもはあり得る財源の中から支出予算を組んでおりますし、しかも用心に用心を重ねてやっています。そのために国よりもゆとりがあるように見えるのじゃないか、私はそう思います。国は非常に大胆にやっていらっしゃるように思うので、いいのですけれども、私どもは本当にもう非常に小さな気持ちでしかやっておりませんので余裕があるように——御承知のように地方にも、借金とか返すべき、なすべきことがいっぱいあるわけです。そのために、余裕じゃなくて謙虚にあるいはつつましやかにやっているというふうに受け取っていただきたいと思います。  それと、交付税に対する要望について、ちょっとお尋ねの点を二、三指摘したいのですが、例えば道路。これはもう無数にというほどお金が欲しいのです。住民からも苦情ばかり出ているわけであります。それから在宅福祉でも、ゴールドプラン、いいことが言ってあるのだけれどもなかなかできない。それで市町村と一緒にやろうとしても、市町村はそんな金あるものかというふうに言われるというようなことで、できたらやはり交付税措置というのはもう少しこの辺で力を入れていただける——我々がしたい、道路をちゃんときれいにする、きちっと道路をつけるということができるというゆとりが欲しい。そのための一般財源としての交付税をよろしくお願いしたいと思います。
  56. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 今の問題とも関係するわけですが、別な角度から少し見てみます。交付税の基準財政需要額の算入問題についてです。  第二臨調の方で地方財政計画の圧縮を答申して、そして地方財政計画の圧縮が実際に行われてきたということについては政府の方も認めているわけでありますが、これは交付税の需要額の算入にも連動してくる問題です。この点で、基準財政需要額の算入についての意見、既にお二人の参考人から大体伺ったこととかなり重複するわけですが、この交付税の需要額の算入という問題についての意見、そういう角度から行政責任者のお二人の参考人と、また研究者の立場から喜多参考人の方から御意見を伺いたいと思います。
  57. 田尻靖幹

    田尻参考人 お答えをいたしたいと思います。  特に最近都市の中にございまして、ごみの問題が非常に大きな関心事になっております。例えばA市に生じたごみをB市の方に持っていって捨てるとか、いろいろ混乱が生じているわけでございます。こういう問題の解消に当たりまして、国におかれましてはどうかひとつ積極的にお取り組みをいただきたいな、そのように私はお願いをいたしたいと思います。一つの例で大変恐縮でございますけれども、今後そういう都市が進展していく中において起こってくる諸問題、こういう問題を的確にすくい上げていただきたいなという願望でございます。
  58. 奥田八二

    奥田参考人 もう触れておるのですが、基準財政需要額の算定につきましては、今回もまた改善されたことを聞きましてうれしく思います。もう既に触れられましたけれども、自主的な、主体的な地域づくりを進めていく上で、都市基盤、住宅問題あるいは農山村等の社会資本充実、それから高齢化対策、それから先ほども触れました在宅福祉の問題、公共交通体系の問題、たくさん持っているわけでございまして、そういう面で、基準財政需要額についてはやはりもう少し算入をしていただけるように、低目のものは高く、芽が出てないものは出すという方向で見直していただければと思います。
  59. 喜多登

    喜多参考人 私は二つの点を指摘しておきたいと思います。  基準財政需要額の算定に当たって先ほど私が申し上げた中で、今回の交付税の中に非常にありがたいものが出てきた。それは計画というところ、これを重視されている。これはすばらしいと私は思うのですね。そうすると、これは各自治体についての計画であって、そのときのプランをつくるに当たっていろいろここで考える。それの財源的な展開です。もちろんこれを増加していただきたいのですが、どうでしょうか。  これから私が申し上げるのは、今の行政というのは地域の枠組みを離れて、かつてはありますよ、それは広域行政というのがそうです。しかし、それとは違った形で経済圏域がぐっと大きくなってくる。そしてまた、人々の生活圏域が変わってきている。こういう広域的な展開過程が、今度は行政といった場合に一つの目標を設定して地域連担する。つまり地域連担というのは、一つの枠の中での各自治体が協力し合って何かをしようとする動きがあるわけです。その具体的な話となりますとテクノポリスなのです。テクノポリスは一つの例にしかすぎません。こういうような形の政策要請が出てきて、各地域のそれぞれの市町村、時には県と県とがここで協力し合った形のいわば連担行政が必要になる。その際のプランニング、その際の行政展開に関して、地方単独事業ということになってきたときには当該自治体を乗り越えたやり方でせざるを得ない。そこでこうした部門を考えるならば、基準財政需要額の中にその考え方を盛り込んだ措置をとるべきであるということが第一点です。  それから、第二点はこういう点があります。先ほど私が申し上げたように今人口が減ってきている。これは自治体にとってはゆゆしき問題であります。下手にまごつくと過疎になるわけです。それをならさないために必死になって頑張っているわけです。  さてそのときに、このような通常基準財政需要額の中には補正という手段があります。補正の中で在来の補正を見ますと、態容補正とか密度補正がありますが、もう一つ、数値急減補正というのがあります。私は、数値急減ではなくて、数値の変化が出てきたときの補正をもっと真剣に取り上げていくべきだと思う。つまり、ここでは人口が減ったことに対して、ただ減ったのではなくて、より積極的にその減ったものを取り戻し、そして活力ある自治体を再生させるためには、もっと違った視点から補正をやる必要がある。あるいはまた、もう一つは人口急増。急減に対して急増に関する補正がありますが、これまた問題があるのです。特に多極分散型の、こういう現在のところを直そうとするならば、地方にもっと、特に人口の減りつつあるところを活性化させていかなければならない。そこに思いをいたした補正の仕方が必要ではなかろうか、かように考えます。
  60. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 次に、今年度地方財政計画の方について少し見てみますと、地方単独事業の伸びが一一・五%ということでかなり伸ばしているということなんですが、せんだって四月十日に自治省が都道府県の当初予算でまとめた数値によりますと一五・五%。ですから一層大きな伸び率になっているわけでありますが、そういううんと拡大していく地方単独事業の執行に当たって、特に国に対する要望とか、こういう点を改善してもらいたいとか、その辺、行政を担当しておられる立場からお聞かせいただければと思いまして、お二人の参考人から伺いたいと思います。
  61. 田尻靖幹

    田尻参考人 お答えをいたしたいと思います。  単独事業が非常に大幅にふえてまいりまして、それは地方の経済、特に地場産業振興あるいは中小企業にいい意味の非常に大きな影響を与えているわけでございまして、この点につきましては国に対して心から感謝をいたしておる次第でございます。今後、執行に当たりましては、適正に、また全力を挙げて地域の発展のためにつないでいきたいと考えております。
  62. 奥田八二

    奥田参考人 御指摘のように、思いのほか伸ばさせていただきましてありがとうございます。これも国の地方財政計画の中で認められた規模を超えて、私どもがゆとりがあると言われるような状態があったことも事実であります。  それで、私どもはしたいことがいっぱいある。これまでじっと我慢してきた。でも国がうまく指導してくれるのでこういうことができたというふうに私はむしろ感謝していることで、これ見よというようなことではありません。精いっぱいのことがまた一つでできるようになったという意味での感謝でございまして、国のレベルから見てわからないような、すべき仕事が余りにも多過ぎるわけであります。私ども県から市町村に望むこともたくさんあるのですけれども、これからも単独事業あるいは一般財源の問題をクリアしながら市町村と連携してお国のために立ちたいと思っております。国の指導をむしろ感謝しているところでございます。よろしくお願いします。
  63. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 事業が拡大するということは、特にハードなものになってまいりますと、これは技術者の問題とか求められている問題がありますし、どっちかといいますと、事業を抑制的な時代にまた行革でかなり圧縮したときもありまして、一遍に事業を進めるときに、今度はマンパワーの面で、経験を持った技術者がその間に民間に引き抜かれておったりとか、事業の拡大に追いつかないとか、いろいろな問題もありますし、これは結構でございますが、具体的に実際に事業を拡大して進める上で、人的な面であるいは財政上の面で配慮をしてもらいたいとか、またそういう御意見等があればこれまた聞かせていただければと思うのですが、次の問題に移りたいと思います。  八千五百億円の交付税減額措置については、既に参考人の方から冒頭にお話もあり、他の同僚委員から質問等もありました。この八千五百億の減額措置の問題とあわせまして、国の一般会計から交付税特会への繰入金の先送りが三兆三千億円、これは今年度地方へ配分される交付税額の大体二〇%以上にもなる金額です。政府はこれを交付税年度間調整だという説明をしているわけですが、それにしても額が余りにも巨額であるということが問題だと思うのです。  本来地方固有財源である地方交付税が、それも非常に巨額に上るものが、本来交付税は当該年度に配分するという原則から外れて国の都合で左右されるということが常態化してしまいますと、これは地方自治の原則にかかわってくる問題でもあると思うわけです。  そこで、地方自治の原則に照らしてどうなのかという点で御意見があれば伺いたいと思いますし、また減額措置年度間調整そのものについて、こういうあり方について御意見があればお聞かせいただきたいと思うんです。これはそれぞれ三人の方から御意見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  64. 田尻靖幹

    田尻参考人 お答えをいたしたいと思います。  先ほど来申し上げますとおりに、交付税の問題をめぐりまして、国と地方の間に一つの大きな信頼関係がやや揺らいでいるということを私は懸念するわけでございまして、そのようなことからただいま先生のいろいろの御意見を承ったわけでございますが、今後、私ども全国市長会等を通じまして、信頼関係の揺るがないような地方交付税の配分につきまして力を尽くしていきたい、このように痛感をいたしているところでございます。
  65. 奥田八二

    奥田参考人 三兆三千億の御指摘がございましたが、本当は残念なんですけれども、やむを得ない処置であると先刻も申しました。  私どもは、地方固有の財源であり、地方の権利だと思っておりますし、地方住民に対する私どもの義務がまだ残っているということを痛切に感じておるわけでございまして、どうか国の側でも、地方の発展は国を阻害するということじゃなくて、地方の発展こそが国のためになっているという点を十分考えていただきたい。ただし、もちろん大蔵、自治等々、国から地方には十分な監督もあり、その他の省庁では地方に対する十分な指導があってこそのことでございますけれども、野放しじゃなくて、十分見ていただきながら、地方の発展こそが国の発展だということで、私どもはその信頼関係でいずれは返していただくし、その三兆三千億分、地方発展を取り残したという感じを持っております。国は返していただけるということで、相ともに手を携えて、地方の発展が国の発展につながるようにお互いに努力をしていく。県が県民に対して、市町村市町村住民に対して借金を、荷物を背負わされているという感じで、国に対して今後とも善処方をお願いしますということであります。
  66. 喜多登

    喜多参考人 ただいまの御質問でございますが、今回のところはこれは私はやむを得ないと思います。  しかし、今回というたがを外して、それでは国と地方との間の年度間調整はなくていいかというと、私はそうではないと思います。そういう年度間調整というのは、国民経済における資金循環を考えた、そして国と地方との間の機能分担を考え、そこで資金がどういうふうに国と地方との間に流れていくか、そうした部門を考えてみたならば、現時点というんじゃなくて一つの制度として見たならば、年度間調整というのが必要じゃないか、私はかように思います。
  67. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 終わります。
  68. 中島衛

  69. 高木義明

    高木委員 参考人皆様方には貴重な御意見をいただきまして、大変ありがとうございます。  結論的には、それぞれ本法案については早期成立ということでお伺いいたしました。そこで、せっかくの機会でございますので、私は率直に、それぞれ自治体の責任者たる市長さん、県知事さんがおられますので、お伺いしてみたいわけです。  今、国・地方を通じまして陳情政治ということが言われております。これにつきましてはこれまでの長い経過の中でそれなりのことはいろいろあるわけでありますけれども、実際に熊本市長さんにおかれましては一年のうちに何回ぐらい、まあ会議は別にいたしまして、陳情という活動をおやりになっておられるのか、お伺いいたします。
  70. 田尻靖幹

    田尻参考人 私はただいま内閣の経済審議会補充委員を務めさせていただいており、また厚生省の環境部会の委員を仰せつかっているわけでありますが、純然たる陳情といたしましては月に一回、大体そのくらいでございます。ただ、十二月の予算折衝になりますとトンボ返りの日が大変多いということでございます。
  71. 高木義明

    高木委員 その点につきまして、奥田知事さん、どうでしょうか。
  72. 奥田八二

    奥田参考人 御承知のように予算編成の前、六、七月ごろ、それから八月、それから十二月、それで残されたらあるいは後でということもありますけれども、大体この三回は基本的なことで、全国的な動きではなかろうかと思います。そのほか県ごとに持っている問題がありますので、やはり個別のものも含めて全体、予算陳情は大体三つの核でございますけれども、それを含めて個別の問題など数えますとやはり十五回ぐらいだと思います。
  73. 高木義明

    高木委員 ありがとうございます。  そこで、この陳情の政治ということについてそれぞれのお立場からいかがお考えであるか、これが地方にとっていいことであるか、そうでないか、その点についての御所見を少しお伺いしておきたいと思います。
  74. 田尻靖幹

    田尻参考人 陳情によって事が果たされるということは決していいことではないということを私は感じております。ただ、この問題につきましてはいろいろの歴史もございますし、そういう問題を私ども今後十分反省しながら、できるだけ陳情が少なく、そして事がスムーズにいけるように、そのように心から願っております。
  75. 奥田八二

    奥田参考人 陳情に行かなかったら来なかったと言われる、それがつらいわけであります。しかし、よく考えてみると、私、県の立場から市町村を見た場合に、来なかったなと言うのもやはり事実でございまして、やむを得ない政治上の欠点がこういうところに共通に出てきているようにも感じます。  書類でわかるじゃないか、あるいは一遍したじゃないか、これでその重要性というのは理解していただくということがもっとふえた方が、陳情が少なくて済むと思います。少ない方向に努力していただくことをお願いいたしまして、終わります。
  76. 高木義明

    高木委員 昨年の暮れには地方団体がこの交付税の八千五百億円の減額措置について大変熱い熱い反対の行動を起こしておりましたし、これについては私は敬意を表するわけでございます。  まあそれなりの措置がとられたということでやむなく今のこのような状態になったわけですが、地方自治にとって、額の大小ではなくて、交付税そのものにこのような形で手をつけていくということは、そのこと自体が問題があると僕は思っておりますが、この点につきまして喜多参考人の御意見を賜りたいと思っています。
  77. 喜多登

    喜多参考人 先ほど少し申し上げましたが、国と地方との間の機能分担がきちっとされ、そして経済社会の状態が安定的な状態においては、私は、その機能分担に基づいた、そして財源保障の現在の補てんの仕組みは稼働していくと思うのです。  ところが、与件が変化する、経済社会が変わってくる。例えば老齢化社会がうんと進んでくる、あるいはまた国内において非常に大きな伝染病が出てくる、あるいはまた景気が急激に衰えてくる、あるいはまた非常に大きな国際的な要請がここでかかってくる、こういう事態があると思うのです。そうしたときに、国と地方とが一体となってその点に対して対処しなければならぬ事態があると思うのです。その対処するときに、在来型の機能分担で行われた現行の交付税のそのやり方だけで果たして対応できるか。後それは全部特定財源補てんでやってよろしいという論が出るけれども、特定財源の補てんということになれば地方一般財源は全部食い込まれてくることになります。あるいはまた地方債を起こしてくる、後にその地方債を交付税の中でひとつ面倒を見てやるという仕組みはあったとしても、当該自治体としてはこれはやはり負担負担であり、そして圧縮された行政になることは、これは見えてくるわけです。  そこで私は、こういうようなことを考えるとするならば、この交付税自体についてある程度弾力性を持った仕組みを持つ、こういう必要があるのではないか、かように思います。
  78. 高木義明

    高木委員 私は先ほどからのいろいろなお話を聞いておりまして、地方財政富裕論ということも言われております。これは総体的に総額として見るとそういうことにもなるわけでありますが、しかしいこれは今大きな格差がある。したがってその格差是正の意味を持っておる制度があるわけなんですが、これが本当の意味で機能してないのではないか。特に人口がさらに減少しているところもありますし、若者が東京へ東京へと東京一極集中ということで集まってくる。  そういう中で、地方財政の格差是正についてどのようなお考えを持たれ、そして東京一極集中に対して、この際これを是正するためには、それぞれのお立場で、一体どうした方がいいのか、時間が限られておりますので一つ二つで結構でございますので、この際ぜひお伺いをしておきたいと思います。
  79. 田尻靖幹

    田尻参考人 お答えをさせていただきます。  交付税機能につきましては、いわゆる財源確保、そしてまた先生仰せのとおりに、いわゆる格差是正、そういう調整機能を持っているというふうに私は考えております。そういう意味におきまして、今日、交付税地方都市に対する影響は非常に大きいわけでございます。今回、国会議員の先生方、特に地方行政委員先生方の御援助によりましてこのような形で地方財政計画を組み立てていただきましたことに、私ども深く感謝をい たしております。  一極集中は、これはもう国論として大変な問題でありますが、きょうは奥田知事もいらっしゃいますけれども、九州におきましては福岡への一極集中、我々はこの問題に対して非常に否定的であるわけでございまして、どこの地域におきましても格差を解消していくという問題が、今、地方自治運営の一番大きな悩みでございます。この点はやはり各界の多くの方々の御支援を受けながらやっていかなければならない、最も難しい問題で あるというふうに私は認識をいたしております。
  80. 奥田八二

    奥田参考人 先ほども述べましたが、地方交付税は、特に過疎問題を抱えておりますと十分わかります。福岡県の場合は二〇%を依存している。先ほど述べましたけれども、もっとひどいところが市町村で本当にたくさんあります。なくてはならないものであります。地方交付税によってやっと地方自主性を持っているし、日本の国土も辛うじてバランスを保っていると思います。  東京一極集中につきましては、やむを得ない面もあるということを認めた上で、集中し過ぎている、早く分散してほしい、そのためには地方にというふうに思います。  それから、地方も東京みたいになりたいと思っているんじゃなくて、自主性を発揮したい、個性を発揮したい。今福岡一極集中という声もありましたけれども福岡の中ではまた福岡市一極集中という声があるわけです。そんなことを言ったら切りがなくなってしまう。結局私はそれぞれが主体性と自主性、それを発揮できるようにしなければいけない、過度はいけないということで是正を望むと同時に、地域の方は主体性、自主性を十分自覚し、中央におる者はそれを認めてあげるということの必要性を訴えたいと思います。
  81. 喜多登

    喜多参考人 格差是正、私はこれは非常に大切なことであると思います。先生おっしゃるとおりです。  さて、それじゃ一極集中をどう是正するかという話になります。私は、この一極集中を直すためには、やはり地方に核となる地域をつくり上げていく、そしてその地域というのは、先ほどから申し上げているように、地域の連担でつくり上げていくということです。なるほどそこには研究ができるもの、つまり現在で言うとハイテク関係に関連するもの、そうした部門が核となれるような措置が必要になってこようと思います。  それと同時に、中心となっている核と、それから地方との間の結びつきを非常にうまくやっていかなきゃならぬ。例えば今の東京一極集中といったらば、東京一極集中けしからぬ、だから分散しなさい、それだけです。ところがそうではなくて、東京は国際都市としての機能を持っているわけです。ある意味においては日本の全国都市としての機能を持っているわけです。その機能をここで持ちながら、地方の核となるところとの間の有機的な結合をしっかりやることであろうと私は思います。私はこれを外国の言葉で言うとエンクレーブといいますが、この拠点となるような飛び地をここで育成させて、そこに人材なり核となるような産業を起こしていくという施策、これが大切じゃなかろうか、かように思います。
  82. 高木義明

    高木委員 私たちは地方の自律、自主性、こういうものを強めるために、我が党ではいわゆる国庫支出金の中で普通建設事業費については一般財源にする、そういう意味で第二交付税的なものをつくるということの財源の一つの自主性あるいは権限、そしてまた国、地方の人材の交流、こういうことも私は大切な課題ではないかと思っております。  そこで、それと同時に、今大きく言われておりますのが地方債ですね。地方債については許可を受けなくて、みずからの責任でみずからの事業の展望を抱きながら、それぞれがやっていくという制度、国からのいろいろなしがらみはなくなる、そのような地方債の自由な措置ができるようなことについて、私たちは進めていくべきだと思っていますが、私が先ほど述べましたことにつきまして、熊本の市長さん、奥田県知事さん、そして先生の方からよろしくお願いをしたいと思います。
  83. 田尻靖幹

    田尻参考人 ただいま先生の仰せのようであり、地方債につきましては、単独事業等がふえてまいりまして、できるだけ制約を受けずに、地方の力でその種の起債事業が起こせるようにぜひともしていただきたいと思います。その前提として、やはり国と地方の不信感を除くということが大事じゃないだろうか、このように思いまして、地方自治体そのものが努力をしなければならないと深く反省をいたしているところでございます。
  84. 奥田八二

    奥田参考人 自主性ということは大事でございますけれども、私ども能力の不足を感ずる、つまり足りなさを感ずるわけでございまして、中央が見ていてくれるという安心感もあるわけでございまして、勝手にせいというふうに言われるとかえって不安を覚えるくらいに本当に、頭の低さかなと思ったりしますけれども地方にはまだまだ信頼をしていただけない面があるんじゃないか、だから十分親心を持って見ていただきたいし、全国の配分をうまくやっていただくことがその制度の安定という面からいって、これも過度であっては困りますけれども、やわらかいあるいは優しい気持ちで取り扱っていただければ、やはり見ていただきたいという感じであります。
  85. 喜多登

    喜多参考人 地方債の自由という形についてであります。地方債は地方債計画があり、地方発行に関して適債性条件がございます。ですから、それをクリアできるような形での自由化という形になると、私はこれはある程度できるんじゃないかと思います。  さりながら、ここで考えておかなければならないのは、例えばかつて東京都で唱えられていた地方債の自由化という問題があります。そうしますとどんなことが起きるか。東京都のような非常に有力な団体が起債をやってくる。そうすると、日本の全体の資金のボリュームがあります。それが民間部門と政府部門にある。その政府部門の中の地方の部門で有力団体が起債を大きく出されてくると、弱小の地方団体の起債は吹っ飛んでいきます。この起債のやり方については、一つは適債性条件が先ほど言ったようにありますし、と同時に、市場性を持った起債をやるという形で、これはできるところもあるし、そうでないところもあります。そうすると縁故債に頼らざるを得ない。縁故債に頼るということになったら、仮に景気が低迷しておるときならば、これはどうぞ借りてください、ところが景気上昇となり自治体自体としても資金需要が必要だといった場合に、ここでクラウディングアウトが出てきます。つまり民間の資金と政府の資金との間で奪い合いの状況が出てきます。  私は、そう見てまいりますと、この地方債計画が日本全体の中における資金循環の流れを考えた上で、そこで位置づけて、そしてその位置づけた中からこの地方債の自由度というものを高める方策をとらざるを得ないんじゃないか、かように思います。
  86. 高木義明

    高木委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  87. 中島衛

    中島委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。 委員会を代表いたしまして心から厚く御礼を申し上げます。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十九分散会