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1992-03-10 第123回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年三月十日(火曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 中島  衛君    理事 岡島 正之君 理事 小坂 憲次君    理事 福永 信彦君 理事 古屋 圭司君    理事 増田 敏男君 理事 谷村 啓介君    理事 中沢 健次君 理事 小谷 輝二君       井奥 貞雄君    石橋 一弥君       佐藤謙一郎君    田邉 國男君       谷  洋一君    中谷  元君       西田  司君    野中 広務君       森田  一君    遠藤  登君       小川  信君    北川 昌典君       北沢 清功君    小林  守君       山口 鶴男君    山口那津男君       吉井 光照君    吉井 英勝君       高木 義明君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     塩川正十郎君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房審議官    高岡 完治君         警察庁長官   鈴木 良一君         警察庁長官官房         長       井上 幸彦君         警察庁警務局長 安藤 忠夫君         警察庁刑事局長 國松 孝次君         警察庁交通局長 関根 謙一君         自治政務次官  穂積 良行君         自治大臣官房長 森  繁一君         自治大臣官房審         議官      谷口 恒夫君         自治省行政局長 紀内 隆宏君         自治省行政局公         務員部長    秋本 敏文君         自治省行政局選         挙部長     吉田 弘正君         自治省財政局長 湯浅 利夫君         自治省税務局長 杉原 正純君         消防庁長官   浅野大三郎君  委員外出席者         国土庁計画・調         整局総務課長  柴崎 徹也君         国土庁地方振興         局総務課長   斉藤 恒孝君         国土庁地方振興         局総務課過疎対         策室長     木寺  久君         法務省入国管理         局警備課長   大久保慶一君         厚生省社会局庶         務課長     亀田 克彦君         厚生省社会局保         護課長     酒井 英幸君         厚生省保険局国         民健康保険課長 辻  哲夫君         建設省都市局都         市計画課長   林  桂一君         自治大臣官房審         議官      松本 英昭君         地方行政委員会         調査室長    渡辺  功君     ――――――――――――― 委員の異動 三月十日  辞任         補欠選任   森  喜朗君     佐藤謙一郎君   神田  厚君     高木 義明君 同日  辞任         補欠選任   佐藤謙一郎君     森  喜朗君   高木 義明君     神田  厚君 二月二十八日  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一〇号)  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第二五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一〇号)  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第二五号)  警察法の一部を改正する法律案内閣提出第一  号)  地方財政に関する件(平成四年度地方財政計画  )      ――――◇―――――
  2. 中島衛

    中島委員長 これより会議を開きます。  地方財政に関する件について調査を進めます。  この際、平成四年度地方財政計画について説明を聴取します。塩川自治大臣
  3. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 平成四年度の地方財政計画概要について御説明申し上げます。  平成四年度の地方財政につきましては、最近における経済情勢の推移と地方財政現状にかんがみ、おおむね国と同一の基調により、歳入面においては、地方債抑制に努めるとともに、地方一般財源所要額確保を図り、歳出面においては、それぞれの地域の特徴を生かした自主的、主体的な活力ある地域づくり住民生活の質の向上のための社会資本整備及び地域住民福祉充実などを積極的に推進するため必要な事業費確保に配慮する等、限られた財源重点的配分経費支出効率化に徹し、地方財政健全化にも配慮しつつ、節度ある行財政運営を行うことを基本としております。  以下、平成四年度の地方財政計画策定方針について御説明申し上げます。  第一に、地方税については、最近における社会経済情勢等にかんがみ早急に実施すべき措置を講じることとしております。  第二に、地方交付税については、地方財政の円滑な運営支障が生じないよう、その総額確保するとともに、八千五百億円を減額する特例措置等を講じることとしております。  第三に、国庫補助負担率暫定措置に伴う影響額等については、地方債等により所要補てん措置を講じ、地方団体財政運営支障が生じることのないよう措置しております。また、義務教育費国庫負担金等のうち共済費追加費用国民健康保険に係る事務費負担金等一般財源化に伴い、所要地方財源措置を講じることとしております。  第四に、地域経済振興や雇用の安定を図りつつ、自主的、主体的な活力ある地域づくり住民生活に直結した社会資本整備地域住民福祉充実、快適な環境づくり住民生活の安全の確保等を図るため、地方単独事業費確保等所要措置を講じることとしております。  第五に、地方行財政運営合理化財政秩序の確立を図るため、定員管理合理化及び一般行政経費等抑制を行うとともに、国庫補助負担金について補助負担基準の改善を進めることとしております。  以上の方針のもとに、平成四年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出規模は七十四兆三千六百五十一億円となり、前年度に比し三兆四千八百三億円、四・九%の増加となっております。  以上が、平成四年度の地方財政計画概要であります。
  4. 中島衛

    中島委員長 以上で説明は終わりました。      ――――◇―――――
  5. 中島衛

    中島委員長 次に、内閣提出地方税法の一部を改正する法律案地方交付税法等の一部を改正する法律案及び警察法の一部を改正する法律案の各案を議題とし、順次、趣旨説明を聴取いたします。塩川国務大臣。     ―――――――――――――  地方税法の一部を改正する法律案  地方交付税法等の一部を改正する法律案  警察法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  6. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案地方交付税法等の一部を改正する法律案及び警察法の一部を改正する法律案提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  まず、地方税法の一部を改正する法律案提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  最近における社会経済情勢等にかんがみ、地方税負担適正合理化を図るため、個人住民税所得割非課税限度額引き上げ住宅及び住宅用土地に係る不動産取得税税率等特例措置並びに三大都市圏特定市の市街化区域における特別土地保有税特例措置適用期限延長等を行うとともに、非課税等特別措置整理合理化等所要改正を行う必要があります。  以上が、この法律案を提案いたしました理由であります。  次に、この法律案要旨につきまして御説明申し上げます。  その第一は、道府県民税及び市町村民税についての改正であります。  個人道府県民税及び市町村民税につきましては、低所得者層税負担に配慮するため、所得割非課税限度額引き上げを行うこととしております。  その二は、事業税についての改正であります。  事業税につきましては、医療法人等が行う指定老人訪問看護事業に係る老人訪問看護療養費について課税標準算定方法特例措置を講じるとともに、新聞業等七事業に係る非課税措置の廃止に伴う経過措置を一年度間延長する等の措置を講じることといたしております。  その第三は、不動産取得税についての改正であります。  不動産取得税につきましては、住宅建設の促進を図るため、住宅及び一定住宅用土地取得に係る税率等特例措置適用期限を三年延長することといたしております。また、国の行政機関の作成した計画に基づく政府補助を受けて取得する農林漁業経営近代化等のための農林漁業者共同利用施設に係る課税標準特例措置等整理合理化を行うほか、農地保有合理化法人土地改良法等に基づく創設農用地換地取得する場合について、一定の要件のもとに納税義務を免除する等の措置を講ずることといたしております。  その四は、自動車税及び自動車取得税についての改正であります。  自動車税及び自動車取得税につきましては、昭和六十三年以降の自動車排出ガス規制に適合するトラックバスについて、昭和五十四年自動車排出ガス規制に適合するディーゼルトラックディーゼルバスを廃車した者が当該自動車にかわるものとして取得した場合には、その税率を二年度間に限り軽減するほか、メタノール自動車に係る税率軽減措置を二年度間延長する等の措置を講ずることといたしております。また、自動車取得税につきましては、平成五年自動車排出ガス規制に適合する自動車取得に係る税率軽減措置を講じることといたしております。  その五は、固定資産税及び都市計画税についての改正であります。  固定資産税及び都市計画税につきましては、公害防止設備に係る固定資産税課税標準特例措置等整理合理化を行うほか、電気通信基盤充実臨時措置法規定する認定計画に従って新設された一定電気通信設備に係る固定資産税課税標準特例措置を創設する等の措置を講じることといたしております。また、三大都市圏特定市に所在する一定市街化区域農地に対して課する平成四年度分の固定資産税または都市計画税につきまして、当該市街化区域農地平成四年十二月三十一日までに一定理由により市街化区域農地以外の農地となることが確実であると市長が認める場合には、農地課税相当額を仮に算定した税額として徴収することができることとする等の措置を講ずることといたしております。  その六は、特別土地保有税についての改正であります。  特別土地保有税につきましては、三大都市圏特定市の市街化区域内において取得される一定規模以上の土地に係る課税特例措置適用期限を一年間延長する等の措置を講ずることといたしております。  その七は、事業所税についての改正であります。  事業所税につきましては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律規定する登録廃棄物再生事業者事業の用に供する一定施設に対する資産割及び新増設に係る事業所税課税標準特例措置を創設する等の措置を講じることといたしております。  その八は、国民健康保険税についての改正であります。  国民健康保険税につきましては、課税限度額を現行の四十四万円から四十六万円に引き上げることとしております。  以上が、地方税法の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  地方財政現状等にかんがみ、平成四年度分の地方交付税総額について特例措置を講ずるとともに、各種の制度改正等に伴って必要となる行政経費財源措置するため、地方交付税単位費用改正する等の必要があります。  以上が、この法律案提出いたしました理由であります。  次に、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  まず、平成四年度分の地方交付税総額については、地方交付税法第六条第二項の額に二百十億円を加算した額から、特例措置額八千五百億円、昭和六十年度分の地方交付税総額特例に係る返済額二百七億六千万円、交付税特別会計借入金元利償還額九百二十八億円を控除した額とすることとしております。  また、このうち特例措置額八千五百億円に相当する額については、平成六年度から平成十三年度までの地方交付税総額に加算するほか、五千九百七十三億円を平成九年度から平成十三年度までの地方交付税総額に加算することとしております。  次に、平成四年度分の普通交付税算定につきましては、自主的、主体的な地域づくり推進等地域振興に要する経費財源充実することとし、新たに企画振興費を設けることとしております。また、高齢者保健福祉の増進、生活保護基準引き上げ等福祉施策に要する経費国民健康保険財政についてその安定化のための措置等に必要となる経費自然環境の保全、廃棄物の減量化等快適な環境づくりに要する経費、道路、街路、公園、社会福祉施設清掃施設等住民生活に直結する公共施設整備及び維持管理に要する経費義務教育施設整備学習用教材の拡充、私学助成充実、生涯学習推進等教育施策に要する経費消防救急業務充実等に要する経費並びに地域社会における国際化及び情報化への対応に要する経費財源等措置することとしております。  さらに、平成四年度に限り、土地対策推進に資するため土地開発基金費を、高齢化社会に対応し地域福祉向上を図るため地域福祉基金費を、地方財政健全化を図るため臨時財政特例債償還基金費を設けることとしております。  以上が、地方交付税法等の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  次に、警察法の一部を改正する法律案提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  最近における暴力団情勢にかんがみ、警察における暴力団対策の総合的かつ効果的な推進を図るため、警察庁刑事局暴力団対策部設置し、その所掌事務を定めるとともに、最近の警衛を取り巻く情勢にかんがみ、事務のより効果的な推進を図るため、警衛に関する事務警察庁刑事局保安部から警備局に移管するほか、所要規定整備を行う必要があります。  以上が、この法律案を提案した理由であります。  次に、この法律案要旨について御説明申し上げます。  第一に、暴力団対策部設置についてであります。これは、警察庁刑事局に「暴力団対策に関すること」を所掌する暴力団対策部を新たに設置するものであります。  第二に、警衛に関する事務の移管についてであります。これは、警衛に関する事務を現在の警察庁刑事局保安部から新たに警備局に移管するものであります。  その他、この法律案では、警察庁長官官房、局または部の所掌事務の一部を総括整理する職の設置に関する規定整備すること、警察官をもって充てることとされる警察庁に置かれる職に警察庁部長を加えること等所要規定整備を行うこととしております。  なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願いいたします。
  7. 中島衛

    中島委員長 以上で説明は終わりました。
  8. 中島衛

    中島委員長 この際、地方税法の一部を改正する法律案について議事を進めます。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷元君。
  9. 中谷元

    中谷委員 ただいま御説明をいただきました地方税等改正につきまして御質問をさしていただきます。  私たちは今、世界的にも戦後の米ソ冷戦構造の崩壊に伴う非常に大きな変化の中で生きているわけでございますけれども、これからの将来を展望してみましても、アメリカの大統領選挙や旧ソ連の共和国間の民族紛争がどうなるか、それから中国なんかでも、李鵬氏や鄧小平氏につきましても保守派の方から批判が出ているということで、非常に不安定、不透明な時代になってきているわけでありますが、この世界の動きにつきまして二つの流れが出てきているんじゃないかと思います。  一つグローバル化ということで、新世界秩序に伴うボーダーレスの現象、もう一つは、ECの統合とか東アジア経済圏構想など、非常に民族、宗教を中心としたローカル的な方向に移っているんじゃないかというふうに思います。  我が国地方自治も、最近の傾向としては、今までの県や市町村の範囲を越えた広域共同プロジェクトとか、また、ふるさと市町村圏構想などのように非常に広域化している一方で、最近では、町内会を法人化させたり、また、個性あるコミュニティーの町づくりということで個性化現象も起こっているわけでございますけれども、先ほどの御説明の中で、今回の四年度の地方税法改正が「最近の社会経済情勢にかんがみ」という一言で御説明がなされたわけでございますけれども、もう少し詳しく、一体どのような基本的な考え方の中で行われたのか、御説明をいただきたいと思います。
  10. 杉原正純

    杉原政府委員 今回の税制改正基本的な考え方についてのお尋ねでございますけれども、今述べられましたような全体的な国際情勢あるいは社会情勢の中で、我が国経済は、近年の好況を支えてまいりました諸要因がいろいろさま変わりしつつあるということが言えると思います。  したがいまして、そういった背景のもとで、平成四年度の税制改正に当たりましては、現下の経済に対する影響をできるだけ小さくするという配慮が求められる、一方、景気動向を反映いたしまして税収が必ずしも十分でないということで、何としても極力税収確保に努める必要がある、こんなことがございました。こういった事情から、平成四年度につきましては、財政状況にかんがみまして大きな減税措置、あるいはその経済に与える影響からいたしまして大きな増税措置、いずれもとり得ないような状況にあったということが言えるかと思います。そういった結果、地方税制改正は例年に比べまして小規模なものにとどまったものと思っております。  したがって、今回の地方税制改正内容といたしましては、そういった最近におきます社会経済情勢にかんがみまして、地方税負担適正合理化を図るため緊急に措置しなければならない事項として、具体的には個人住民税所得割等非課税限度額引き上げでありますとか、あるいは新しい自動車排出ガス規制に適合いたします自動車への買いかえに係ります自動車関係税税率軽減でありますとか、さらには、住宅及び住宅用土地に係ります不動産取得税税率等特例措置延長、そして非課税等特例措置整理合理化、こういった点に絞りました改正といった形で御提案申し上げている次第でございます。
  11. 中谷元

    中谷委員 ただいま税収確保という見地という点がございましたけれども、非常に日本経済、急速に景気が落ち込んでいるというふうに言われておりますけれども、このような地方税収見込み及び見通し、それから現在の経済状態につきまして、どのように考えておられるでしょうか。
  12. 杉原正純

    杉原政府委員 平成四年度の地方税収見込み額といたしましては、総額で三十四兆二百四十億円ということで、前年度、平成三年度の当初に比べますと、いわば四・一%の増ということにとどまっているわけでございますが、特に大きなウエートを持っております法人関係税につきましては、国の予算額の見積もりの基礎となりました法人所得見込みなどに基づきまして、マイナス計上といった厳しい積算をいたしております。  他方、もう一つの大きな柱でございます個人住民税関連につきましては、前年の所得課税であるということでございますものですから、平成三年の所得動向等を勘案いたしまして積算するなどいたしまして、最近の課税実績あるいは平成四年度政府経済見通しにおきます諸指標等基礎に、個々の税目ごとに最も適切と考えられる方法によりまして、積算、見込んだわけでございます。  したがいまして、政府経済見通しに見込まれておりますように経済が推移しますれば、全体としてこの地方財政計画に計上いたしております地方税収見込み額確保し得るものと考えておりますけれども、いずれにいたしましても、経済いろいろ流動的でございますので、今後とも景気動向でありますとか税収動向につきましては十分注視してまいりたい、かように考えております。
  13. 中谷元

    中谷委員 それからもう一つ社会現象でございます地価の問題がございますけれども、このたび固定資産税土地評価につきまして、平成六年の評価がえにおいて地価公示価格の七割程度を目途として均衡化適正化推進するという方針を立てられたわけでございますが、この理由と、それから、この公示価格の七割という数字は一体どこから出てきたのか、その根拠をお示しいただきたいと思います。
  14. 杉原正純

    杉原政府委員 固定資産税におきます土地評価、これは三年に一度やっているわけでございますが、これは、売買実例価額から求められます、不正常要素を除きました正常売買価格に基づきます適正な時価を評定するという方法によっているわけでございますけれども、お説のような最近のような地価高騰影響を受けまして、地価公示価格との関係ということで見ますとかなりな差が生じております。しかも、それが地域的にばらつきが、不均衡が生じているということになっているわけでございます。  そこで、土地基本法十六条の趣旨でございますとか、あるいは昨年一月に閣議決定されました総合土地政策推進要綱などの趣旨を踏まえまして、平成六年度の評価がえに当たりましては、地価公示価格適正化ということも前提になりますが、そういった適正化等とも相まちまして、地価公示価格の七割程度を目標にとにかく固定資産税評価均衡化適正化を図っていきたい、そういう基本的な方針を立てているわけでございます。そういうことによりまして、公的な評価一つでございます固定資産税土地評価に対します国民信頼、それがひいては市町村基幹税目であります固定資産税そのものに対する信頼確保することになるものというふうに考えるわけでございます。  そこで、地価公示価格を目安にその七割という基本方針の、その七割とは一体どういう根拠でかというお尋ねでございます。公的評価につきまして一元化というお話もございますが、それぞれの制度趣旨でございますとか経緯がございますから一元化というものは直ちに困難でございますけれども、固定資産税評価につきましては、先ほども申し上げました土地基本法などの趣旨に基づきましてできるだけ公的評価相互間のバランスをとるということで、具体的に地価公示価格ということと比較いたしますと、固定資産税は御案内のとおり、不動産をいわば継続的に保有する、それを前提にいたしまして毎年課税するという税金でございます。そういった固定資産税の性格と、片方、地価公示はいわば取引の指標として用いられるものでございますので、そういった両制度趣旨の差といったものを勘案しながら、また、昭和五十年代の比較的地価が安定しておりましたころ地価公示価格に対します固定資産税評価割合のいわば実績が七割程度といったこともあったということもございまして、こういった観点、総合的に勘案いたしまして、地価公示価格といったものを一つの物差しにいたしまして、その七割程度ということで評価均衡化適正化を図ってまいりたい、かように考えている次第でございます。
  15. 中谷元

    中谷委員 そのような趣旨に基づいて七割という数字が出てきたそうでございますけれども、現実に、全国の標準地路線価と現在の地価公示最高価格とを比較してみますと、甲府市が五九・二%で最高、最低は京都市の一四・六%と、極めて大きな差があるわけでございますが、この七割とするということで一体どのくらい評価額が変動するのか。  そしてまた、すべての自治体できちっとした評価の見直しが行われるということでございますけれども、一体どのようにして地方自治体を指導していかれるのか、その方針についてお話しください。
  16. 杉原正純

    杉原政府委員 地価公示価格の七割程度を目途に評価均衡化適正化を図るということで申し上げましたが、平成六年度の評価がえは、実際にはことしの七月一日を基準にいたしまして、それからいわば作業がスタートするわけでございます。それで、七月一日現在の都道府県地価調査はまだもちろん出ておりません。また、参考にいたします本年一月一日現在の地価公示価格の結果もまだ公表されておりません、判明いたしておりません。そういった、現時点で、一体これからの作業を通じまして平成六年度の評価がえの状況がどのようになるかということは、正確な見通しを立てることは大変困難でございます。  ただ、御指摘の例で申されましたように、地価公示価格の七割程度ということになりますと、地域によりましては、現在の状況から判断いたしましても相当な評価上昇ということが見込まれるものと思っております。ただ、最近の大都市を中心にいたします地価の下落ないしは安定化の傾向を見ますと、こういった評価上昇率を若干でも緩和することになるのではないだろうか、それは土地評価均衡化適正化推進する上では一つの望ましい地価動向になっているだろうとは思っておりますけれども、具体的にどの程度評価額の変動あるいは評価上昇になるかということは、ただいま申し上げましたように、これからの作業なり地価動向を踏まえた上でございませんと今申し上げることができないことを御理解いただきたいと思っております。  それから、そういうふうに現在ばらばらであることがとにかく問題の一つの大きな点でございます。そこで、すべての地方団体できちんとした評価をしてバランスをとっていただきたい、こういうことでございますけれども、現在固定資産の評価につきましては、自治大臣の定めております固定資産評価基準というのがございますが、この評価基準によって市町村長は価格を決定しなければならない、こういうことになっておりますし、固定資産の評価均衡化適正化確保するために、この今申しました評価基準の中では、自治大臣が県庁所在の指定市につきまして、また都道府県知事につきましてはそれ以外の市町村につきまして、それぞれ基準地価格の調整を行いまして、また市町村全体の評価額の決定に必要な平均価額の指示を行うということによりましてバランスをとるという規定になってございます。  平成六年度の評価がえに当たりましても、こうした規定に基づきまして、先ほど申しました地価公示価格の七割程度を目標として基準地価格の調整を行いますとともに、その基準地価格をもとに算定されます平均価額の指示を行うことによりまして、市町村における評価といったものが全体的にバランスのとれたものになるように努めてまいる必要があると思いますし、またそうならなくちゃならない、かように考えております。
  17. 中谷元

    中谷委員 三年前の参議院選挙でも税の問題で大衆の心理反応というのは非常に過敏なわけでございますけれども、固定資産税となると、今度は市町村長も巻き込んだ非常に大きな争点にもなってくるわけでございますが、もし評価額どおり税が上昇しますと、大衆は当然拒絶反応を示すわけでありますけれども、これに伴う住民税の扱いだとか、また宅地とか事業用地とか公共用地、山林、農地、そういう点につきましての配慮なんかも当然考えておられるのでしょうか。
  18. 杉原正純

    杉原政府委員 平成六年度の評価がえは、先ほど申しましたように、とにかく現在余りにもばらばらである、不均衡である、あるいは必ずしも適正でないといった評価均衡化適正化をまず図る、そのことに大きなる目的を持っておるわけでございます。それ自身を一つの目的としているわけでございます。しかし、お話にございましたように、その評価均衡化適正化を図ることによって納税者の負担に激変を生ずるというようなことがありましては大変な問題でございますものですから、評価がえに伴います納税者の税負担につきましては、当委員会の特別決議もございますが、なだらかな負担調整措置を導入いたしますとか、あるいは住宅用地、特に小規模住宅用地につきましての軽減措置をさらに拡充するとか、あるいは住宅用の建物につきましての経年減価なども見直すといったようなことによりまして、税負担に急激な変化が生じないような総合的かつ適切な調整措置を講ずる必要があろうと考えております。  ただ、先ほど申しましたように、評価がえの作業、これから始まるものでございますから、具体的にどの程度評価上昇になるのか、したがいまして、どの程度税負担に変動を生ずるのか、その辺をよく見きわめまして、そういった評価がえの状況も勘案しながら、平成六年度実施を前提にいたしまして平成五年度税制改正において検討することといたしております。仮に評価適正化に伴いましてそういったいろいろな調整措置を講じましてもなお増収分が生ずるというような場合につきましては、お話のような住民税の減税も含めまして住民の総合的な税負担のあり方について十分な検討をしてまいりたい、かように考えております。  なお、農地、山林の評価につきましては、宅地と異なりまして、基準とすべきいわば地価公示価格といったような指標が存在いたさないわけでございますが、農地、山林につきましての地価動向、そういったものを勘案しながら評価がえの作業を進める、これは従来からしているわけでございますが、そういった同様な考え方のもとに、農地、山林につきましても当然それぞれ均衡化適正化を図るように努めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  19. 中谷元

    中谷委員 いずれにしましても国民にとりましては税というのは非常に敏感な問題でございますので、社会的な混乱が起きないように努めて、穏便に行っていただきたいというふうに思います。  次に、地方交付税法等改正につきまして、この中で単価に関してでございますけれども、道路とか橋梁費なんかにつきましては面積とか延長の幅で見積もられているわけでありますけれども、実際に山間部の工事になりますと、擁壁の工事とか土砂崩れの落石防止とか、非常にメートルとか幅だけでは見積もられないような費用もありますし、また、雨の日も多いし過疎で人も集まりにくいというような、非常に地形的な要因による投資の非効率性を反映する要素が出てくるわけでございますけれども、地方交付税等につきまして山地の面積比率による補正の導入なんかは検討していただけないのかどうか、その点の考え方についてお話しください。
  20. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 交付税におきます道路橋梁費関係などの投資的経費につきまして、今御指摘のようにいろいろな要素で事業費がかかるわけでございますけれども、現在は御案内のとおり、道路の延長あるいは面積というようなものを基本にして、それに未改良延長の比率でございますとか未舗装の延長というようなものを加味いたしまして基準財政需要額を算入しているわけでございます。御指摘のように山間部におきまして諸経費が高くつくというような点につきましては、現段階では、例えばトンネルの延長でございますとかあるいは橋梁の延長というようなものを用いまして割り増し経費を算入しているわけでございますけれども、今御指摘のような山地面積というようなものを基準にできないかという点について、これも一つの有力な補正方法ではございますけれども、山地の態様によって道路というものの本数が決まってくるというようなものでもないということもございまして、道路に係る経費というものが山地面積の補正というようなものと直接結びつくかどうかという点については、もう少しやはり検討してみる必要があるんじゃないかなという感じがしております。  ただ、道路、橋梁というような個別の経費ではなしに、その他の諸費といういわば包括的に算入している経費におきましては、今御指摘の面積とかあるいは森林面積というようなものを指標にいたしまして山間地の団体の割り増し経費を現在も算入いたしております。  今後ともこういう点の実情というようなものをよく把握いたしまして、適切に反映するような算定に努めてまいりたいと思っております。
  21. 中谷元

    中谷委員 平地で道路をつくるのと山地で道路をつくるのと、だれが見てもやはり山地で道路をつくるのが大変でございますので、どうかこういう点も十分に配慮していただきたいと思います。  それから、同じ道路の話でありますけれども、このたび自治省と建設省の共同プロジェクトで地方特定道路整備事業という非常に画期的なすばらしい制度をつくっていただいたわけでございますけれども、実際に運用の段階になりますと、一部今回は、旧一級国道になりますけれども、主要県道には適用がなされない、これは補助事業で行えというようなことでありまして、県にとりましては、やはり町と町を結ぶ主要な県道が重点的に、緊急に取り組みたい事項でございますので、そういった地方の独自性とか自主性を生かしたような制度も考えられないかということ。それから、この事業を実施した場合、補助金とそれから地方債地方交付税事業補正等の財政措置も盛り込まれておりますけれども、この措置が、結果として今までの補助事業とか単独事業に比べて地方の一般財源にとりまして脅かすようなことにはならないかどうか。この点についてお話しください。
  22. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 地方特定道路整備事業につきましては、今御指摘のように、明年度から建設省と自治省とで協調して、緊急に道路を整備する必要のある道路について一緒にやっていこうということでお話し合いができました。補助事業と単独事業を効果的に組み合わせることによりまして重点的に整備していこうというものでございます。  御指摘のように、基本的にはこの事業を地方道整備ということで、一般道、一般県道あるいは市町村道というものを頭に置いてやったわけでございまして、主要地方道というのは主として補助事業整備されるべきものであろう、こういう考えに基本的にはなっております。ただ、絶対的にこの対象にしないということではなしに、やはり状況に応じて柔軟に対応できるようなことを考えてもいいのではないかという気もいたしております。  しかし、いずれにしても初めての試みでもございますので、これをやる上でいろいろとまた問題点が出てこようかと思います。そういうものの反省の上で、改善すべきものは改善しなければならないと思っておりますけれども、この事業は、やはり何といいましても、地方団体がどうしても必要なものというものを、これを重点的に整備していこうということで、地方団体の要望が、意思というものが一番尊重されなければならない事業ではないかというふうに私どもも考えておりますので、こういう基本的な考え方に立って、建設省とも今後、この運用についてのいろいろな改善すべき余地があれば、その点についてのお話し合いを積極的にしてまいりたいと思っております。  この制度につきましては、補助事業と地方の単独事業を効果的に組み合わせるということでございますので、補助事業につきましては従来と同じような財源措置を講ずることにいたしております。問題は単独事業の部分でございますが、この単独事業につきましては、交付税の基準財政需要額あるいは地方債をうまく組み合わせたいということで、具体的には単独事業分の七五%を地方債で充当いたしまして、その元利償還金については、財政力に応じましてその三〇から五五%を交付税へ算入いたします。そして、当該年度におきましてもその単独事業分の一五%を交付税の方に算入したい、こういうことで、事業量に応じた交付税の措置率は、財政力によりますが三七・五%から五六・二五%の間で措置がされるということになろうかと思っております。  この事業については、初年度でもございますので、補助事業で三千二百億、単独事業で二千三百億くらいということで予定をいたしておりまして、この合計額五千五百億円は地方財政計画に全額計上いたしまして、先ほど申し上げましたような財源措置を講ずることにしているわけでございまして、この事業をやることによって他の事業影響を及ぼすということは考えられないと思っております。
  23. 中谷元

    中谷委員 それじゃ次に、過疎問題についてお伺いをしたいわけでございます。  私は、高知県の選出の代議士になりますけれども、高知県はこのたび全国でも初めて人口の自然減の県ということにもなりましたし、また、昨年知事選挙が行われたわけでありますけれども、官僚出身の元副知事、自民党公認候補が無所属の候補に大敗するということで、今までのような制度とか仕組みではもうどうしようもないという地方の声のあらわれではないかというふうに私なりにも感じているわけでありますけれども、とにかく、今まで国からいただいた支援とか補助金を中心とした地方自治ではもうどうしようもない、依然として人口の流出が続いているという現状を踏まえて、このような生活条件の不利な地域生活している人に対して、国土保全とか地域文化の維持のために、生産者に対しては生産振興策、それから生活者に対しては生活者への所得というふうに分離をして、いわゆるデカップリング方式でございますけれども、山間部で生活できるような条件をつくってやろうという公的な助成システムが日本でも導入されればというふうな研究も始めているわけでございますが、それにつきまして自治省の基本的な考え方と、それを実現していくことに対しての可能性、日本において可能であるかということ、それからこんな問題があるというようなことにつきまして御意見を聞かしていただきたいと思います。
  24. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 御指摘のように、山村地域におきましては、最近は木材価格の低迷あるいは生産コストが上昇しているというようなことで、林業収益が非常に低下している、あるいは林業の担い手の方々の不足が著しいとかいうようなことで、林業経営が非常に厳しくなっております。そういうところでは、やはり人口の流出というような過疎化あるいは高齢化というものが非常に進んでいるということで、私どもも、こういう地域振興策というものをどういうように考えていったらいいのだろうかということで、いろいろと中では検討も進めているわけでございます。  今御指摘のように、欧米諸国では国内産業の保護育成とは別の形で生産者の所得を補償する方法といたしましていわゆるデカップリングというような議論も行われているようでございますが、現段階で私どもとしてどういう方策をとるかということについての結論というもの、あるいは方向づけというものを正直言ってまだ持っておりません。  それで、ただいま林野庁と国土庁と三省庁で検討会をやることにいたしまして、もう既に検討会をやっておりますけれども、その検討会でこの林業の振興あるいはその地域振興というものをどういうふうに考えていったらいいだろうか、それから、それに対して地方財政の面からどういうふうに支援ができるのかどうかという点について、今検討を進めているところでございまして、そういう中で、今御指摘のデカップリング方式というようなものにつきましても当然議論が出てくるわけでございますので、そこの段階でいろいろと議論をしてみたいと思っているところでございます。
  25. 中谷元

    中谷委員 この点について、大臣から一言お考えをいただきたいと思います。
  26. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私は、制度としてこういうものを導入してくるのは非常にいいと思うのでございますが、私は実は、過疎地域に対しましては、やはり従来と違った政策も必要なんではないかと思うのです。  私も実は、中村から檮原を越えまして宇和島の方へ行ったこともございました。あの当時一つの過疎のモデルのようなものを見てきたのでございますけれども、私は、過疎をあのまま置いておいたら危険だと思っております。やはり一定の集約化が必要なんだろう。その集約化していくときに所得保障というものと合わせたそういう対策を同時に講じていくようなこともやるべきではないかなと思うたりしておりまして、いろいろな制度があるだろうと思うのです。  それで、林業の活性化ということについていろいろ言われておるんでございますが、林業の活性化も、ヨーロッパ等に行きましたら物すごいやはり機械化してきております。日本でも機械化をもっと積極的に林業の中に入れていくべきではないか。そういうこと等、いろいろなものをかみ合わせたいわば過疎対策というものを講じていくべきだろう、こう思っておりまして、ここらは今まで要するに社会保障的な面だけで見ておったものを、私はやはり産業的な面からも過疎化対策というものを考えていくべきときだろうと思っております。
  27. 中谷元

    中谷委員 時間が参りましたので終わります。どうもありがとうございました。
  28. 中島衛

    中島委員長 北川昌典君。
  29. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 地方税法の一部改正法案につきまして御質問いたしたいと思います。社会党の北川でございます。  まず、経済動向を踏まえた税収見通しについてお伺いいたしたいと思いますが、大蔵省は、予算編成時点におきまして一貫して、地方の税収は伸びておる、こういうことを宣伝しながら地方財政の宮裕論を展開してまいっております。確かに首都圏を中心とした大都市圏におきましては、バブル経済による地方税の増収が続いたことも事実でございます。しかし一方、バブル経済影響の少ない地方自治体にとりましては、税収は極めて悪い。ここにも資料がございますが、歳入に占める割合が一〇%以下の市町村は全国で五百六十三団体にも上っております。  こうした大都市と地方都市との財政格差はますます広がってきているのが今日的な状況ではないかと思うわけでございますけれども、こうした実態を無視してトータル的に地方財政に余裕があるとする大蔵省の主張は、木を見て森を見ない、こういう考え方ではないかと思うのですけれども、この点について自治大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  30. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 地方財政は決して豊かではないとは思います。しかし、最近ここ五、六年の間に地方財政の基盤は固まってきたということは言えるとも思っておりますが、しかし、その基盤が固まったに伴うて、それにふさわしい財政需要をこれからマッチしたものをつけていかなければならぬだろう、こういう段階に来ているように思うのでございまして、ただ安易に地方財政の豊かさといいましょうか余裕論というもの、これには私は賛成しかねると思っています。
  31. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 バブル経済が崩壊いたしまして、国の税収も法人税あるいは不動産、証券等を中心にいたしまして税の落ち込みが始まっておる、こういうふうに聞いておりますけれども、これと同様に地方税におきましても、法人住民税、事業税不動産取得税、こういった面での減収は避けられない事態に来ておるのではないか、このように考えるわけでございますけれども、さらに個人住民税につきましても、昨年の所得税に対する課税でございますから、景気後退が続く中では当然減収というものも予想されるわけでございますけれども、今後の地方税収についてはどのような見通しをお持ちなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  32. 杉原正純

    杉原政府委員 地方税収見通しにつきまして、お話のように周囲の客観的な経済情勢を反映するものでございます。したがいまして、私ども、国の経済見通しでございますとかあるいは国の税収見通し、さらには、ちょっとお触れになりましたように、個人住民税のように前年所得課税のものにつきましてはある程度実績を踏まえたものをベースにした課税になりますものですから、最近におきます現実に所得税として上がってきている実績、そういったものを総合的に積算いたしまして、今回平成四年度の地方税収見通しといった見込み額を、トータルといたしましては四・一%というふうに見込んだわけでございます。しかし、これもお話ございましたように、法人関係税については、国も大変厳しい見通しをとっております。私どもも大変厳しい、いわばマイナス計上をいたしているわけでございます。  しかし他方、個人の住民税につきましては、先ほど申し上げましたような平成三年中の所得に対しましてこれから課税が行われるということなものですから、平成三年中の所得そのものはある程度伸びているといったような実績を踏まえまして、それなりの一〇%程度の伸びを計上させていただきました。その結果、トータルといたしまして四・一%増ということの三十四兆二百四十億を見込んだわけでございます。しかし、いずれにしましても、こういった情勢でございますので、今後とも景気動向税収動向については十分注意してまいりたい、かように考えております。
  33. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 次に、非課税等の特別措置整理合理化につきましてお尋ねいたしたいと思います。  社会党では、税負担の公正を図るとともに税の簡素化、こういう立場から従前からこの特別措置の見直しを要求してきたところでございます。今回の改正で五十件くらいの特別措置が統廃合されることになってはおります。しかし、従前から主張してまいりました社会保険診療報酬の非課税措置が見送られております。また、マスコミ等事業非課税措置の廃止にかかわる経過措置の二分の一軽減につきましては八年以上も毎年毎年延長されてきているのが現実でございますけれども、整理されなかった理由と、この整理についてはどのようなお考えを持っておるのか、お尋ねいたしたいと思います。
  34. 杉原正純

    杉原政府委員 非課税等の特別措置につきましては、特定な政策目的を実現するために、いわば例外的に講じられているものでございますけれども、やはりそれぞれの政策目的と税負担の公平の原則といったものの調和を図るべきだろうと思いますし、そういった見地に立ちまして、社会経済情勢の推移に応じまして適宜見直しを進めてまいってきたわけでございますし、今後ともそういったスタンスで臨まなければいけないと思っております。したがいまして、明年度におきましても、新設拡充につきましては厳しい態度で対応いたしましたとともに、もう既に政策目的の意味が薄れたものでございますとか、あるいは政策効果が乏しいもの、もう目的を達したもの、そういったものを中心にいたしまして、お話のように五十件ほどの整理縮減を提案させていただいておるわけでございます。  御指摘になられました社会保険診療報酬あるいはマスコミの特例措置につきましてでございますけれども、社会保険診療報酬につきましては、これはかねてから税制調査会の御指摘もございまして、私どももこの合理化につきまして努力してまいったわけでございますけれども、やはり社会保険診療といったものにつきましてのいろいろな御意見があるわけでございます。それと、来年度診療報酬の引き上げでございますとか、あるいは国税における見直しといったことを控えておりまして、そういった関連をも十分念頭に置きながら、さらに検討を進めてまいらなければいけない、かように考えております。  また、マスコミ関係、いわゆる七事業につきまして非課税措置が撤廃された後の激変緩和としての特例措置が残って、お説のとおり何回か延長されてまいったわけでございます。もう激変緩和という時期は過ぎたのではないだろうか、あるいはその事業の中にもいろいろかなりな収益を上げておられるようなところもあるようでございますので、そういった観点から私ども取り組んでまいったわけでございますけれども、これら事業、この中にもいろいろあるとか、あるいはやはり公益性、公共性があるといったような御意見もございまして結論を得ることができず、さしあたり一年とか延長するということになったわけでありますが、やはり他の事業との負担の公平といった観点に立ちまして、引き続き鋭意検討を進めてまいる、まいらなくちゃいけない、かように考えておる次第でございます。
  35. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 この問題につきましては、政府税調におきましても今お話がございましたように毎年指摘されておる事項でもございます。昭和五十七年から平成三年までの十年間、整理統合されたといいますか、内容を見てみますと、新設されたもの、拡充、延長を含めまして四百二十二件が新設されております。一方、廃止ないしは縮減合理化されたものは二百四十四件、逆に増加をしているというのが実態でございまして、こういう点ではやはり時代に即した対応というものを今後精力的に取り組んでいただきたい、このように要望を申し上げておきたいと思います。  次に、事業税について、法人事業税ですね、お伺いしたいと思いますが、この件につきましても我が党といたしましては、税収地域間の格差の拡大に対応して地方への配分を強化するための分割基準の見直しについて要求してきたところでございますけれども、これについての見通しはどうなのか、お尋ねいたしたいと思います。  続けて一緒にお答えいただきたいと思いますが、地方団体から大変要望も強いと思いますけれども、外形標準課税、これについても踏み切るべき時期ではないかと思いますが、あわせてお尋ねいたしたいと思います。
  36. 杉原正純

    杉原政府委員 事業税は、もう御案内のとおりでございますが、事業活動と地方団体が提供いたしております各種の行政サービス、この間のいわば受益関係に着目して課税される地方税にふさわしい物税であるというふうに言われているわけでございます。こういった応益原則に基づきます事業税の性格からいたしまして、お話の法人事業税の分割基準につきましては、これまでも、社会経済情勢の変化に即応いたしまして、事業活動と行政サービスとの間の受益関係をできるだけ分割基準に的確に反映させて税源帰属のいわば適正化を図るという観点から、随時見直しを行ってきたところでございます。最近では平成元年に行っております。  しかし、分割基準はいろいろございますが、その中には長い間見直しが行われていないものもあることは事実でございます。特に、近年ますます経済の一極集中現象といったものがございます。あるいは情報化の進展に伴いまして、本社機能といいますかそういった管理部門が集中化している、片方でまた工場部門につきましては省力化といいますか非常に効率化現象が見られるというようなこともございますものですから、現在、現行の分割基準が果たしてその事業活動の実態を適正にあらわしているだろうかどうか、その点につきまして問題意識を私どもも持っておりまして、現在さまざまな検証作業を行っているわけでございます。そういった結果を待ちまして、税源帰属の適正化という観点から適切なる結論を出してまいりたい、かように考えておるわけでございます。  それからもう一つお尋ねは、法人事業税課税標準につきまして、税の性格あるいは地方税源の安定的確保という観点から何らかの外形基準を導入すべきであるという地方団体の主張について、こういうことでございます。まさにお話のとおり、そういった観点からいたしますと、やはり事業税につきまして外形基準を導入するということは基本的に望ましいことだろうと私ども考えております。  この問題につきましては、従来から、企業関係の諸税でございますとかあるいは間接税など税制全般とも関連する問題でございまして、あるいは課税ベースの広い間接税といったものとの関連からも、今までいろいろ議論が、あるいは検討がなされてきたことは事実でございます。そのまま現在に至っているわけでございますけれども、導入するといたしました場合に、一体どのような外形基準を導入したらいいだろうか。それから、どのような外形基準を導入するにいたしましてもいろいろ業種、業態によりまして大変な税負担なりの変動が生ずることは予想されるわけでございますが、そういった変動を十分見きわめる必要があろう。それから、余り複雑なことを考えまして納税者あるいは税務当局に過重な負担ということになりましても問題でございますので、そういった観点も十分検討の視野に入れまして、そういった各般の課題を幅広い観点からさらに今後とも検討を進めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  37. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 次に、利子割、キャピタルゲイン課税についてお尋ねをしていきたいと思います。  昭和六十二年の地方税法改正によりましてマル優に対する五%分離課税が六十三年度からスタートしたわけでございます。これは御案内のように、課税最低限以下の世帯にも課税される、こういう逆進性の強いものでございます。一方では高額所得者に対しては、五%以下ということで軽減といいますか優遇措置となっているものでございまして、そういったことからこの審議段階で、五年経過後にこれを見直す、附則十条で見直しが決められているようでございますけれども、そして総合課税への移行を含めて検討する、こういうことになっておるようでございます。この点、ちょうど来年になるわけでございまして、ことしかまあ見直しの年になると思います。またさらに株式等のキャピタルゲイン課税につきましても、納税者番号を含めて見直す、こういうことが附則十六条でうたっております。こうした二つの条文の見直しについてどのようにお考えなのか、その手順を含めてお聞かせいただきたいと思います。
  38. 杉原正純

    杉原政府委員 現在、個人所得課税におきましては総合課税が原則でございますが、お話の利子あるいは株式の譲渡益課税につきましては、その所得の性格等あるいは技術的な観点から分離課税が採用されているわけでございます。かつては地方税が原則課税されなかったというようなことがございましたが、分離課税ということでほとんど原則課税ということになったわけでございます。  ただ、お話のように、この利子課税あるいは株式譲渡益に対します課税のあり方につきましては、まさに御指摘ございましたような地方税法の六十二年の改正法の附則あるいは六十三年の改正法附則でそれぞれ見直すということが条文としてはっきり規定されているわけでございます。そういった規定が設けられているわけでございますものですから、今後の税制調査会におきます議論も踏まえまして、この規定に定めておるような趣旨に従いまして十分な検討を進めてまいりたい、かように考えております。ちょうど五年といいますとお話のようにことしの秋ということでございますので、それを目指して税制調査会でも十分な御議論をお願いしたい、かように考えているわけでございます。
  39. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 次に、固定資産の土地評価がえについてお尋ねしてみたいと思います。  平成六年度に固定資産の土地評価がえが行われることになっておりますし、これに伴いまして本年七月を基準日として作業が始められることになっております。かなり大がかりな事務量が必要だろうと思うのですけれども、評価がえに当たって県あるいは市町村が行わなければならない内容と手順はどうなっていくのか、お示しいただきたいと思います。
  40. 杉原正純

    杉原政府委員 平成六年度の評価がえでございますが、ことしの七月一日を基準日といたしまして作業がスタートするわけでございます。一年半近く前の時点を基準日といたしておりますが、土地だけでも一億六千万筆もあるわけでございますので、そういったかなり前からスタートさせなくちゃいけないという事由でございます。  そこで、この評価がえにおきましては、地価公示価格の七割程度を目途に、とにかく評価均衡化適正化を図っていく必要がある、こういった基本方針で臨んでおるわけでございますが、一つには、地価公示の地点数そのものが極めて少のうございます。したがいまして、県知事のやっております地価調査を活用することはもとよりでございますけれども、それ以外にも市町村としまして鑑定評価をとりまして、それをもとにバランスのある個々の土地につきましての評価まで及んでいかなければいけないわけでございます。  現在、作業といたしまして、そういった鑑定評価を導入するに際しまして、大変な作業になりますものですから、不動産鑑定士あるいは不動産鑑定士補につきまして、いろいろその地域分担あるいは作業スケジュール等につきまして必要な調整を県を中心にして行っていただきたい、かように考えております。そうしましてまた、協議会などを設けまして、そこで十分なバランスのある調整を図った上、基準地の価格を決定し、さらに、全筆につきまして比準しながら評価を進めていく、こういう作業になっているわけでございます。  大変な作業であることは御指摘のとおりでございまして、こういった作業に当たります職員の研修等につきましても、事務処理、執行体制の整備充実にぜひ努めていただきたいとかねてから指導しているところでございます。また、鑑定評価、なかなか経費もかかることでございます。こういった点につきましても、普通交付税による財源措置といったことも予定いたしながらバックアップをしてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  41. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 かなりの事務量でもございますし、自治体の職員の研修ということでございますが、やはりかなりの熟度も必要だ、このように考えておりますし、そういった点、十分な配慮といいますか、そういうことが必要だと思うのです。同時に、自治体にとっては、今お話ございましたが、交付税で手当てをする、こう言っておられますけれども、大体地点が四十万件でございますか、そういうことになりますと、かなりの経費が必要になってくると思うのです。大体どの程度見ておられるのか。やはり厳しい自治体の財政状況からいって、大きな持ち出しといいますか経費ということになりますと財政を圧迫することにもなりかねない、かなりの臨時職員も雇用しなければならないという状態もあるでしょうから、そこらあたりはどのように考えておられるのか、お尋ねしたいと思うのです。
  42. 杉原正純

    杉原政府委員 標準地だけで四十万地点、お説のとおりでございます。地価公示あるいは地価調査が行われている、少のうございますけれどもそういう地点数もございます。それ以外につきましては少なくとも市町村みずから鑑定評価をしなければいけない。こんなことがございますものですから、お話のように経費的にも大変であるということで、財政当局と折衝いたしまして交付税による財源措置を予定いたしているわけでございますが、具体的には、一地点当たり十一万三千円といった単価を予定いたしております。これは地価公示の単価に比べますとかなり高いもの、かように考えております。こういった価格、標準単価でございますけれども、これによりまして標準地につきましての鑑定評価支障なくできるようになるもの、かように考えている次第でございます。
  43. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 公示価格のない標準地につきましては不動産鑑定士に委託する、こういうことでございますけれども、現実的に、田舎には鑑定士が少ないのです。私の宮崎県でも、数えるほどしかおらないと思います。しかもそれが県庁所在地に大体おられまして、ほかの地方都市におらない。こういうことで、こうした数少ない不動産鑑定士、また鑑定士不在の地域、これほどのような協力を求められていくのか、お尋ねしたいと思うのです。
  44. 杉原正純

    杉原政府委員 鑑定評価は、不動産鑑定士あるいは不動産鑑定士補にお願いするわけでございますが、御指摘ございましたように、確かに一都市町村につきましては不動産鑑定士等がそもそもいない、不在であるという場合もあろうかと思います。  そこで、先ほどちょっと申し上げましたけれども、都道府県におきまして鑑定評価を導入するに際しまして、県内の不動産鑑定士の方々のいわば地域分担あるいは作業スケジュールといったものを県の段階でひとつ調整をしていただくことによりまして、全体として組織的、計画的な取り組みが可能になってまいるんではないだろうか、かように考えております。また、今お話しのように、鑑定士の方、いろいろ出かけなくちゃいけない、こういうことでございますので、先ほど申し上げましたようないわば基準単価十一万三千円といった中には、そういったいわば旅費的な要素もカウントしでそのような単価を設定したものでございます。
  45. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 先ほどもちょっと出ましたけれども、公示価格の七〇%をめどに、こういうことが一つの基準になっているようでございます。平成元年の公示価格平成三年の固定資産税の比較ですが、京都市で一四・六%、さらに甲府市では五九・二%と、大変なばらつきがあるわけでございます。全国平均では三六・三%、こういうことでございますので、このばらつきの関係がどう調整されるのか。特に、七〇%へ引き上げということになりますと、それぞれの地域で大きな開きが出てくるのではないかと思うのですけれども、この調整についてはどのような手法で行われるのかを聞きたいと思っております。
  46. 杉原正純

    杉原政府委員 今御指摘がございましたように、非常にばらつきがあること、まさにそのことが問題である、やはり固定資産税評価、さらには固定資産税そのものに対する信頼性を損なっているというふうに考えまして、まさにその評価適正化均衡化を図らなくちゃいけないという理由になっているわけでございますけれども、非常にばらばらであるということにつきまして、現在、評価につきましては自治大臣の定めております固定資産評価基準というのがございまして、これによりまして市町村評価をしなくてはならない、価格を決定しなければならない、かようになっているれけでございますし、また評価均衡化適正化を図るという観点から、この評価基準の中で自治大臣が県庁所在市の、または都道府県知事がそれ以外の市町村の基準地価格の調整を行うのだ、また市町村全体の評価額の決定に必要な平均価額の指示を行うということが責務とされているわけでございます。  平成六年度の評価がえに当たりましても、こうした現在の固定資産評価基準の規定に基づきましてバランスのある基準地価格の調整を行うことに当然になるわけでございますし、また、その基準地価格をもとに算定されます平均価額の指示を行うことによりまして、市町村におきます評価地価公示価格の七割程度均衡化適正化が図られていくというふうに考えているわけでございます。また、用います鑑定評価の活用に当たりましても、それぞれ県単位に土地評価協議会といったものを設置いたしまして十分な調整を図ってまいりたい、かように考えております。  そういったもろもろの手段を通じまして評価均衡化適正化をぜひ図っていくべきもの、かように考えているわけでございます。
  47. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 現在の土地評価額は、全国平均でいきますと公示価格の三六%くらいに当たるようでございますけれども、これを七〇%ということになりますと、平均でございますが三四%の引き上げになる。これはまさに大幅な増税になるわけでございますけれども、一応その試算では五千億円、こう言われております。この増税は、固定資産税だけにとどまらず国民健康保険税にもはね返りが来るわけでございまして、そういった面では国民にとってはかなり大幅な負担、こういうことになりかねないわけでございます。そういう意味で、低所得者層とか障害者とか、こういった方々を含めたもろもろの軽減措置というものは考えておられるのかどうか。そこあたり、どうなんでしょうか。
  48. 杉原正純

    杉原政府委員 平成六年度の評価がえは、繰り返し申しておりますように、基本的にとにかく評価均衡化適正化を図る、いわばそれ自身を一つの大きな目的にしているわけでございますから、負担は十分考えなくてはいけないと思っております。  評価がえに伴います納税者の税負担につきましては、税負担に急激な変化といったものが生ずることのないような総合的かつ適切な調整措置を講ずる必要があろうと思っております。特に、小規模住宅用地でございますとか、そういった観点につきましては軽減措置をさらに拡充するなどの配慮をしていかなくてはならないだろう、かように考えております。  ただ、評価がえ作業そのものが、申し上げておりますようにこれからスタートするわけでございます。地価動向もございますし、評価がえの結果どの程度評価上昇になるのか、したがいまして、それからはじいた税負担がどうなるかということをこれから十分見きわめながら、納税者に不安を与えることのないような税負担の調整方法をこれから考えていかなくてはならないと思っております。そうしまして、具体的には平成五年度改正におきましてぜひ措置いたしたい、かように考えているわけでございまして、いろいろなことを配慮しながら負担のあり方を考えていかなくてはならないだろうと思っております。  ただ、お話にございましたような低所得者、障害者といったいわば人的要素に着目して、そういうことだけを取り上げましての軽減措置ということになりますと、やはり固定資産税基本的な性格といいますのが、その資産の価値に着目して市町村の行政サービスとの応益関係に応じた税負担をいただくということからいたしまして、そういった人的な配慮ということにつきましては限界があろうと思っておるわけでございます。もとより、貧困でございますとか大変な事情があるというような場合には、市町村の条例の定めるところによります減免措置といったものが別途適用があることは当然でございますけれども、制度的にそういったものを仕組むということにつきましては問題点があろうと思っております。  なお、国保への影響があろうというお触れがございましたけれども、国民健康保険税の負担を考える際の全体の保険、いわば税といいますか料といいますか、それの額の一部を構成します資産割額の案分として固定資産税を使うということでございますので、国保税全体の中の資産割一定でございますと、評価がえに伴う個々の固定資産税負担が多少変わりましても、実際に国民健康保険税の額に直接影響するということにはならないと思っております。案分のやり方の話でございますから、資産割トータルの額が一定でございますればそういうことはないだろう、直接国保税に固定資産税評価がえの結果がはね返るということはないだろうと思っております。
  49. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 所得割資産割、人頭割とあるわけでございますから、その中での資産割の中で、固定資産税が上がることによって、評価が上がることによっては当然計算上出てくると思うのですね。ちょっと意見が違いますけれども、その点は答弁を求めませんが、そのことだけ申し上げておきたいと思います。  それから次に、国保会計の安定充実、これについてお尋ねしておきたいと思います。今回の改正の中で、国民健康保険最高限度額を四十四万から四十六万に引き上げる、こういうことになっておりますけれども、この限度額を引き上げることによって、低い階層の方が多く加入している市町村等にとっては保険税が底上げのような形で引き上げられていくのではないか、このように心配をするわけでございます。この点どうなのでしょうか。
  50. 辻哲夫

    ○辻説明員 国民健康保険の保険料の賦課限度額引き上げについてのお尋ねでございます。  確かに賦課限度額を二万円引き上げることといたしておりますが、この引き上げ考え方は、全体に所得が伸びておるという状況のもとで、所得の高い方も同様に上げなければむしろ被保険者の間の公平を図れないという形で、所得の伸びに応じて引き上げるという考え方に立っております。ただそのときに、一部保険者におきましては上限の限度額に対応する所得が相当低い、すなわち保険料が高いところがあるわけでございます。これは事実でございますけれども、基本的には上限額の引き上げというのは被保険者間の均衡を図るため必要であって、上限が相当所得の低いところにぶつかっているところにつきましては、むしろ医療費が高いとかそれからそれに対するさまざまな財政措置をどうするかという問題でございまして、そういう観点から、極力保険料が過度にならないように私ども厚生省としても努力をいたしておるところでございます。
  51. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 けさもテレビ等で報道されておりましたけれども、薬価基準の引き下げに伴いましてまた診療報酬が上がる、こういうことでございますから、当然保険税も今後引き上げざるを得ないという自治体が出てくるのではないか。本当に保険税というのは、大都市部は別にいたしましても、地方に行きますと農家の皆さんとか、あるいは細々と営業されておる商家の皆さん、こういった方が加入されているわけでございまして、言うならばその地域では中所得以下の皆さん方でありますので、そういう中での保険税引き上げということになりますと、大変これは問題があるわけでございます。そういう意味で十分この保険税については的確な御指導をいただくようにお願い申し上げておきたいと思います。  次に、地方財政計画の中にも織り込まれておるわけでございまして、交付税の中にも出てまいっておりますが、一般会計から国保会計に繰り入れが年間三千億とか四千億、これは国保会計が非常に厳しいからそういうことになるわけでございますけれども、この措置として今回国保財政安定化支援事業、こういうことで交付税が一千億一般財源として措置されております。これは地財法に触れないかどうか、私もちょっと疑問を持つわけでございますけれども、それは別にしまして、この支援の内容についてお尋ねしたいと思います。
  52. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 平成四年度の地方財政計画におきまして今御指摘の国保財政安定化支援事業という事業を新しく創設をいたしました。これは、やはり現在の国保財政というものが非常に厳しい状況になっているということを受けまして国保事業市町村財政からかなりの繰り出しか行われているということがあるわけでございまして、この状態というものを踏まえまして、地方財政の立場から何か支援策というものが講じられないかということで考えたものでございます。この国保事業というのは、御案内のとおり、国費と保険料で賄う、これが基本的な原則でございますから、この原則というものは一応踏まえておきながら、例えば保険者である市町村の責めに帰すことができないいろいろな事情によって繰り出しをせざるを得ないというような点に着目をいたしまして、地方財政措置を講じたらどうだろうかということで今回の支援策を考えたわけでございます。  具体的には、例えば被保険者に低所得者層が非常に多いという自治体、こういうところはただいま御指摘のような保険料の負担能力が非常に乏しい団体でございますから、保険料がなかなか思うように入ってこない、そういう問題がございましょう。あるいは、病床数が非常に多いというようなことによって給付費がかさんでいるという団体、これも保険者である市町村の責任ということではないわけでございまして、こういうような点に着目をしてこの財政支援というものを行ったらいかがかということで今回の支援措置を考えたわけでございます。これらの点に着目いたしまして、これを一定の基準に基づきまして地方交付税の基準財政需要額に算入をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。  ただ、これはあくまでも国保財政に対する地方団体からのいろいろな支援でございますが、これによって国の責任が後退する、後退させてしまうというような性格のものではないわけでございまして、やはり今後とも医療費の適正化の問題でございますとか、あるいは、医療保険相互間の給付と負担の均衡の問題とかというような基本的な問題が国保の問題にあるわけでございますから、こういう問題は引き続いて積極的に検討していただきまして適切な対策が講じられなければならないというふうに考えているところでございます。
  53. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 そういう国保会計への一般会計からの繰り入れによって一般会計が非常に窮風になる、こういった面での支援をいただく、このことは地方自治体にとっても大変ありがたいことだと思うのですけれども、ただ、根幹である国が負担しなければならない分まで、根本的に国庫支出金、補助金でしなければならない分が交付税で措置されるということになりますと、これは先ほど申しましたような地財法とも関係はしてこないのかと思うわけでございますけれども、やはり根幹は、何としましても加入者の負担の抑制を図るということと、それから国保の財政の安定化、これが大きな中心でございますので、そういった意味では国庫負担の増額、拡充というものが必要ではないかと思うのですけれども、この点はどうなんでしょう。
  54. 辻哲夫

    ○辻説明員 国保に対します国の負担につきましてお答え申し上げます。  国保制度の国の負担につきましては、原則給付費の二分の一という負担をいたしておりまして、現在総額二兆六千億円というオーダーでございます。国といたしましても、さらに国保の制度を安定させるために一連の措置をとっておりますけれども、私ども国保上特にさらに安定化を図らなければならない要因として、一つは高齢化、老人が非常にふえることに伴いまして国保の医療費の財源に対する非常に大きな圧力になる。それからやはり低所得者が多いということ。高齢者がふえることに伴ってそれはいわば裏表で低所得者がふえるという形になるわけですが、その結果また保険料が高くならないように。  この二点に着目いたしまして、例えば平成二年度に、老人保健法の加入者按分率と申しますが、制度間の医療費の負担の調整をしていただきまして、その按分率が一〇〇%になったことに伴いまして市町村、保険者からの老人保健拠出金は絶対額におきましても相当大幅に減ってきております。そのような措置をとりましたり、また、平成三年度には老人医療の一部負担の見直し、あるいは、介護という要素に着目して公費負担の拡充を行わせていただくといった形で高齢化に対して対応する。また、国保の低所得者の部分につきましては、保険料軽減分につきまして公費で補てんするという保険基盤安定制度平成二年度に導入させていただいたといった形で、国といたしましても、そのような要素に着目して公費の拡充あるいは財政の安定化のための措置をとっておりますので、今後とも努力してまいりたいと思います。
  55. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 九〇年の国勢調査結果が昨年出ましたけれども、これを見てみますと、この五年間で全国の三千三百の自治体のうち十八の道県それと二千四十の市町村で人口が減少いたしております。そのうち減少率が一〇%を超える町村が二百十余に上っております。こういう地方の人口減少の一方では、御案内のように首都圏など三大都市に人口が集中いたしまして、この圏域だけでも全人口の五〇%になっておるという数字が国勢調査の結果では出ておるわけですけれども、そういう中で、人口が減少している県でも、県内から人口が県庁所在地の方に集まって、そこでも県内一極集中というものが強まっておる、こういうふうに国勢調査の結果から私は見ることができると思うのです。そのことは、とりもなおさず過密過疎がさらに一段と進んでおるし、とりわけ過疎については、山村地域が主に大幅に過疎に向かっているということが言えると思うのです。したがって、その山村地域では高齢化が進む、こういう事態も起きております。  私、宮崎県の出身でございますけれども、四十四市町村のうち、十五の市町村が高齢人口二〇%を超えております。まさに全国平均を大きく上回った状況にございます。また、こういう中で、先ほど大臣、地域の集約という表現をお使いになったと思うのですけれども、かつて二百から三百近く人口がおりました集落、学校の分校もございました。ところが、四年ほど前でございますか、若者が流出していきまして、残ったのが六十五歳以上の方が十三名、まさに集落の維持ができない、こういうことで集団移転を余儀なくされたわけでございますけれども、まさに集落の崩壊、こういう状況がありました。  これはここだけの問題でなくて、全国的にそういう現象が、いわゆる限界集落というそうでございますけれども、それがふえておるのではないかというふうに私は思いますけれども、こうした実態は自治省として掌握されておるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  56. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 御指摘のように、今回の国勢調査で人口が非常に減少した団体がふえてきているということでございまして、そういう地域におきます今後の振興策というものが非常に緊急な問題ではないかと思っているわけでございます。御指摘のような集落ごとでどういうことになっているかということについて自治省として調査したものはございませんけれども、各種の統計あるいは他の省庁からのいろいろな説明などを伺いまして、非常に深刻な状況に立ち至っているという点については、私どもも十分認識しているつもりでございます。  特に人口が減少しておりますし、あるいはこの人口の減少がすべて若年層の方々の流出によるもの、そのために高齢化が進展している、こういうような地域においてその集落をいかに維持をしていくか、あるいは、その地域はほとんど山村であるということから考えますと、この山村の振興あるいはその基盤になる森林資源というものをどう維持していくかというような問題につきまして、これは抜本的な考え方の整理をする必要があるんじゃないかということで、現在国土庁と林野庁と私ども、三省庁で研究会を発足させております。実態調査などもその段階でしながら、どう対処していったらいいかという点について、具体的な問題として詰めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  57. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 お話がございましたように、過疎率の高い市町村につきましては、当然税の減収、そして高齢化の進行、産業の担い手も不足する、こういう事態が起きておりますし、その町では、村では老人福祉対策というものが一つの大きな柱になるわけでございまして、そういう深刻な問題を抱えているわけでございます。こうした高齢化を防ぐためには何としても若者をやはり定着させなければならない。ところが、定着させるためには方策として手だてをしなければならない、お金がない、こういう追っかけごっこのような状況にあるわけですけれども、今お話がございましたように、林野庁と国土庁で検討を進めておる。  過疎の町村は必ず八〇%から九〇%が山林なんです。この山林は地区の皆さん方が今まで営々と育ててきて、緑滴る状況につくっておるわけなんですが、これを今まさに育林する人が、担い手がおらないという状況もあるわけです。この森林の機能というのが、これは林野庁からいただいた資料でございますけれども、水資源の涵養とか土砂流出防止、それから保健休養、酸素供給、大気浄化、こういった面で、これは昭和六十年度に計算されたもののようですが、三十一兆五千億、こういう経済効果を生み出しておるわけです。これは自然と生み出しているわけじゃなくて、その地域の人たちがつくり出したものなんですが、これに対してのはね返りとして、やはり何らかの手当て、支援をしていかないと山村は滅びていく、死んでいく、崩壊していく、こういう状況にあると思うのですよ。  したがって、お話がございましたその三者での協議、いつまででなくて、急いでいただいて、どうするか。とりわけ、ことしから入っておりますが環境関係への環境保全対策費、交付税が出ておりますが、これを思い切って増額をしていただいて、担い手をそこに呼び戻す、こういうことも可能なわけでございますから、そこらあたりお考えはございませんか。
  58. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 こういう地域におきます市町村財政状況というのは仰せのとおり非常に厳しいものがございます。財政力指数で見ましても〇・二未満の市町村平成元年度で過疎市町村のうちの五七%に達するというようなことで、税収の増というものが多くを期待できずに地方交付税の交付によって財政運営をしていかざるを得ないという地域がたくさんあるということがこれで示されるわけでございますけれども、そういう中で、その地域が自主的、自律的な、自律性を発揮しながらその地域振興させるためにどういうふうにしていったらいいかということ、この点について、国は国の立場でいろいろと検討していかなければなりませんが、地方そのものも積極的にその地域の活性化に取り組んでいく必要があろうかと思います。  そのために、この地域活性化のために、御案内のとおりふるさと創生などで地域づくり推進事業を積極的に実施していただくとか、あるいは単独事業というものを積極的に推進していただきたいというようなことを今お願いしておりますけれども、こういう事業を有効に活用いたしまして市町村の活性化を図っていただきたいということを申し上げております。  また、地域福祉問題につきましても、いろいろと単独で地域福祉ができるようなそういう財政措置も講じているところでございますし、先ほど御指摘の環境保全経費、ことし一は一千七百億円を地方財政計画で計上いたしましたけれども、こういう経費もこれから充実してまいりまして、こういう地域の財政の充実のために使えるような、そういう財政措置というものをこれからも考えていかなければならないと考えているところでございます。
  59. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 もう一つ深刻な問題もございます。これは、その地域の皆さん方の生命、財産を守る消防組織の問題でありますけれども、これは何も過疎地域だけでなくて全国的な問題だと思うのですけれども、消防団に加入する人が若い者が非常に少ない。これも高齢化をいたしております。これはなぜかといいますと、やはり余りにも待遇が悪いというのが大きな原因のようであります。かつては義勇消防ということで、本当に命を捨ててもという皆さんでございましたけれども、今はそういう時代じゃない。やはり消防団が組織されている以上はこの団員に対する身分的な待遇改善、こういったものが必要だと思うのですけれども、必要だと思うのでなくて必要ですが、その点について、消防庁からお見えになっていれば、どのようにお考えになっておるのか、お聞きしておきたいと思います。
  60. 浅野大三郎

    ○浅野政府委員 御指摘のありましたように消防団員数の減少というのは私どもも非常に深刻に受けとめております。各市町村でもこれは御努力をいただいておりますが、国といたしましても、例えば消防団活性化の総合整備事業というような補助制度も設けるとか、いろんな面で努力をしております。  御指摘がございました処遇の面でございます。これは、消防団員に対する報酬等は、これは職務に対する反対給付という性格のものではございませんが、非常に御苦労をしていただいているわけでございますから、やはりそれに対して十分考えていかなきゃいけないということも確かでございます。いろんな面がございますけれども、報酬あるいは出動手当等につきまして交付税においての財源措置、我々今まで努力をしてきたつもりでございますが、これからも努力をしてまいりたいと思います。あるいは退職報償金の基礎額というようなものの引き上げなども努力をしてまいる、こういうことで対処してまいりたいと思っております。
  61. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 終わります。
  62. 中島衛

    中島委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十二分休憩      ――――◇―――――     午後一時十八分開議
  63. 中島衛

    中島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小林守君。
  64. 小林守

    ○小林(守)委員 社会党の小林守でございます。  まず最初に、去る三月六日、公職選挙法の改正に関する調査特別委員会の席上で私質疑に立ちましたときに、自治省の吉田選挙部長さんと選挙の公営化推進に関しまして議論をしたところでありますけれども、時間の関係もございまして、質疑内容、十分に意を尽くせませんでしたし、また、答弁につきましても、ちょっと日程等の変更等がございまして、事前に質疑の項目について届け出もなかった項目に展開したものですから、やはり答弁そのものも十分意を尽くしたものになっていなかったということもございますので、再度お伺いをしたい、そのように存じております。  そのときの議論の中身は、金のかからない、金をかけない選挙をいかにしていくかというような観点、それからもう一つは、やはり負担の公平化、平準化というものが進められなければならないだろう、そういう観点に立ちまして、国会議員の選挙の公営化をさらに促進する必要がある、そういう観点で論議をしたわけであります。  この問題につきましては、ただ単に国会議員の選挙ばかりでなく、地方議会や地方の首長等の選挙についても国政選挙に準じて公営化が促進されるべきである、そういう観点に立って私は考えているわけでございますが、そこでもう一度選挙部長にちょっとお聞きしたいのは、現行の公職選挙法において、地方自治体の選挙管理委員会は、国会議員等の選挙公営に準じて、条例を定めることによって、例えば自動車の使用とかビラやポスターの作成費などについて、もちろん一定の限度を設けて、無料化、公費負担、そういうことができるというふうに私は考えておりますけれども、そのとき選挙部長はできないというような答弁をなされたわけでありまして、納得ができなかったものですから再度お伺いをいたしたいわけなのですが、どうしてできないのか、その辺をもう一度お示しいただきたいと思います。
  65. 吉田弘正

    ○吉田(弘)政府委員 地方選挙の公営のお尋ねでございます。  先般の公職選挙法の特別委員会でも御質問がございまして、お答えをいたしたところでございますが、御承知のように、選挙運動の方法等につきましては、国の選挙と地方の選挙を通じまして公職選挙法で規制が行われているところでございます。そこで、御指摘の選挙公営につきましても、これは選挙運動のあり方と密接に関連するものでございますので、公選法に規定を設けて実施をしているということになっているわけでございます。地方選挙におきまして、法定されております選挙公営もございます。それから、条例で定めるところにより、選挙公報の発行でございますとか、あるいはポスター掲示場の設置ができることになっているわけでございますが、この場合におきましても、公職選挙法におきまして、条例に定めるところによりこれが実施できるというような規定でございますとか、あるいは実施する場合のよるべき基準、例えば選挙公報の発行の手続は法律規定に準じることとか、掲載文字は字数五百を超えることができないというような規定も設けているわけでございます。  この条例による選挙公営を拡大するかどうかというのは今後の検討課題だろうと思いますが、これはその場合でも選挙運動の規制との関連がございますので、実施団体間では統一のとれたものとする必要がございましょうし、また、国において行われている内容との整合性も考慮する必要があると考えられますので、法律におきましてその根拠や基準を定める必要があるということで先般お答えしたところでございます。
  66. 小林守

    ○小林(守)委員 そうしますと、基本的に、公選法の各条文等の中に自治体においてこれをすることができるというような項目を設置することによって、各自治体における選挙の公営化は国に準じて、国の国会議員等の範囲内において必要に応じてということになるのでしょうが、そういうことができる、またそういう方式がこの公選法における地方自治体における公営化を進める上に当たっては、ただ単に条例を設置するのではなくて、公選法にその条文が入って位置づけられるというような中でできるのだという回答になりますね。ありがとうございました。一応、公選法の問題で条例の制定権というか、そういう絡みで議論がなされてきたわけですけれども、選挙の公営化の問題については、地方が条例化を進めるということについては、それぞれ公選法の各関連条文の中に、法文の中に根拠規定というか、地方自治体でも条例化によって公営化ができるというような方式が正しいというようなことで理解をしたいと思います。  それで、そのときの議論の中でなぜこういう問題が行き違いが出てきたのかということをいろいろ考えてみますと、私自身基本的に、地方自治体の条例の制定権とか自治体の裁量権というものは、憲法九十四条で言われております「法律の範囲内で条例を制定することができる。」という条例制定権の規定がありますし、また、それを受けまして地方自治法の十四条第一項に「法令に違反しない限りにおいて第二条第二項の事務に関し、条例を制定することができる。」こういうものがございまして、要は、法律の範囲内とか法律に反しない限りという問題について、法律規定が全くない問題については自治体が議会の中で条例を制定することによってできるのだというような理解をしておりました。特に、青少年の健全育成条例とか環境保全のための水源保全条例とか、さらには最近、産業廃棄物の絡みである自治体では残土規制というようなことで残土条例などもつくられているようでありますし、これらの問題についてはそれぞれの法に特別根拠があるようなものではなかろうというふうに思いますが、住民の生活そして安全快適な生活環境をつくっていく、守っていく、そういう観点から地方自治体としての当然の責務であるし、また条例制定権は法律に反しないというような解釈もされているわけでありますけれども、そのような条例の自主制定権というものを考えていった場合、公選法についてはそのような今御答弁をいただいたわけですが、一般論として考えていった場合に、この条例制定権、憲法九十四条や地方自治法十四条の法律の範囲内とか法律に違反しない限りという問題について、法律がない場合には、なおかつ住民にとって必要だという問題については当然できるはずでありますけれども、一般論としてどういうふうに整理して理解したらいいのか、その辺をお示しいただきたいなというふうに思うのです。  選挙の問題、公職選挙法の関係では、法律根拠を持つことによって条例が制定できるのだというようなお話でございましたが、そうなりますと、行政内容の対応というか、行政内容によって条例制定権というのはいろいろな形があるのだということになろうかと思いますけれども、例えば一九六〇年代後半の公害国会とも言われたような時代であります。また、革新自治体がどんどん広がっていった時代には、いわゆる法律の範囲内、法律に違反しない限りというようなところについても上積みをして条例をつくったり、または横出しというか、そういうような条例制定も随分進んできたわけであります。  そういうようなことを考えますと、条例制定権の一般論的な整理の仕方、考え方について、行政局長の方から基本的な指針をお示しいただければありがたいと思っております。
  67. 紀内隆宏

    ○紀内政府委員 御質問の中でもおっしゃいましたように、地方公共団体の条例制定権は憲法九十四条に根拠を有するものでございます。また地方自治法の十四条一項に法令に違反しない限りにおいて条例を制定することができるという規定がございます。  条例が国の法令に違反するかどうかという問題につきましては、一般的には条例とそれに関連する法令につきまして、それぞれの趣旨であるとか目的であるとか対象であるとか、手段方法であるとか、そういうものを総合的に検討した上で判断しなければいけないものと考えております。  御質問の、法律規定していないことを条例で定めることができるかどうかということにつきましても、この一般論の応用の問題になるわけでございますけれども、関係法令の趣旨によって、といいますのは、やや詳しく申し上げますと、その法令に規定していない事項について、その法令の趣旨が条例で定めることを認めないという趣旨なのか、あるいは、その法律がそれについて規定していないということは地域的な実情等に応じて条例等で定めることを許容している場合なのか、これらを判断した結果定まるもの、このように考えております。
  68. 小林守

    ○小林(守)委員 それでは次に移りたいと思います。  昨年の十月に施行されました再生資源の利用促進に関する法律、いわゆるリサイクル法い十月に施行されました。また同時に、廃棄物行政の一部改正に関する法律もやはり十月に改正して議会を通ったというような状況があったわけですけれども、実は昨年のその十月時点を契機といたしまして、ここ一、二年間鉄くず価格については価格の低迷というか、下落が続いてきたわけです。ちょうどその十月ごろを境といたしまして鉄くずの価格が、今までは有償だった、その回収については、自治体から例えば回収業者に移る場合には売ることができたわけでありますが、実はその十月時点で逆有償化ということで、今度は処理手数料がかかるというような状況になってまいりまして、自治体においては一定の財政負担を伴ってくる。さらに民間のボランティアの回収団体等については、鉄くずについては回収できないというような状況に至っているところでございます。  この問題等について、既に通産大臣の方に対して、社会党の廃棄物リサイクル対策特別委員会等の組織を代表いたしましてそれぞれ申し入れをし、また厚生大臣等についても申し入れをしているところでありますけれども、特に自治体サイドにおいて、この鉄くず価格の大暴落によってどんな状況が自治省の方に、国の方に状況が把握されているのかどうか、その辺をまず、実態把握の状況について、自治省の認識状況をお伺いしたいと思います。
  69. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 資源のリサイクル問題につきましては、かねてから自治体におきまして熱心な取り組みが行われているわけでございますけれども、そういう中で鉄くずの問題あるいは紙の問題、いろいろな類型でのリサイクルの問題があろうかと思います。  今回の鉄くずの価格の下落によりまして具体的に自治体がどういう対応をしているかという点につきましては、私どもではまだ調査はしておりませんけれども、一般的に申し上げますならば、市民のボランティア団体のリサイクル活動への助成でございますとか、あるいはコンポスター設置費の助成というようなことが市町村の段階において、地域の実情に応じ、自主的あるいは多様な施策という形で展開されているというふうに理解をしているところでございます。
  70. 小林守

    ○小林(守)委員 相当新聞等に報道がされてきているというふうに思いますし、また鉄くずばかりでなく、最近では牛乳パックを回収したものも値崩れ等によって非常に在庫がたまってしまうというか、リサイクルの促進が阻害されているというような報道もされているわけであります。  廃棄物処理法の改正に伴ってできるだけごみを少なくする、再生利用していくというようなことが法の趣旨にもありますし、関連する流通業界やメーカー等に対してもその回収への協力を義務づけるというような法の内容が整って、リサイクル法と相まって廃棄物処理法も含めまして、ようやく住民そして自治体サイドから、それから製造業界まで含めましてリサイクルのシステムがつくられようとしている段階に至っているわけでありますが、こういう状況の中でどうしても困難がつきまとう課題というのは、市場経済というか需給動向によって大きくリサイクルそのものが滞ってしまったり、崩壊の危機に瀕したりするということでございますけれども、そのようなリサイクル市場に対して自治体がこれからどのような役割を果たしていかなければならないのか。  なおかつ、せっかく一生懸命集団回収をして資源に回していこう、構わなければごみになってしまうものを分別することによって資源に回していこう、そういうような市民団体の皆さん方の協力とかそういう体制ができつつあるわけでありますから、それらに対して自治体はいかに市場の動向の変動にも耐えながら、なおかつ適正な価格で市場流通をさせていく、そういう役割が期待されているのではないかというふうに思いますけれども、その辺について、自治体の役割についてどのように認識をされているのかお伺いをしたいと思います。
  71. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 今御指摘のように、ごみが最近非常に多くふえてきて、この廃棄物の処理という事業市町村にとりましては大変大きな仕事になっているわけでございまして、そういうことも契機になりまして、資源のリサイクル運動というものが市の段階では大変関心を持たれている事業でございますし、市自身の、市の行政ということではなしに、地域団体あるいはボランティア団体というものが中心になってこういうリサイクル運動を実施していくという動きが各自治体において積極的に行われているということを私どもも承知はいたしております。  そういう中で市町村もこういう運動を積極的に助成をしていくという動きがあるわけでございまして、こういう積極的に自治体が支援をしていくための財源的な措置といたしまして、今回新たに環境保全対策経費というものを地方財政計画に計上いたしました。従来は公害対策ということで約六百六十億ほどの経費が計上されておりましたが、これを改組いたしまして、全体で千七百億円の額を地方財政計画に計上いたしまして、これを環境保全あるいは今の御指摘の廃棄物の減量化、省資源というような対策に充てていただくようにということで、財政計画に計上した分を地方交付税の基準財政需要額にも算入いたしまして、そしてこういうものに的確に対応できるように措置をしたところでございます。
  72. 小林守

    ○小林(守)委員 九二年度に新たに交付税措置の中で環境保全対策経費が一千七百億円ほど盛り込まれる予定であるというようなことでありまして、そういう点では時宜を得たというか、リサイクルの問題については、やはりストックヤードを確保するとか、それから一ある一定程度の報償的な、お礼みたいな意味を含めましてリサイクル団体には、直接回収業者に渡すならば逆有償ということでお金を払わなければ持っていってもらえないというような状況も出てしまっているわけでありますから、そうではなくて、直接行政がそれを引き受けることによって業者に対しての流通促進を図る、なおかつ、市民ボランティアのリサイクル運動については、行政的に支えていくというような基金として、資金として、この環境保全の対策経費の一部が使われるというようなことも大変大きな役割を担ってくるのではないか、そんなふうに思っているところであります。  もちろんそればかりではなく、環境保全対策経費については、先ほど午前中にもお話がありました、山村地域自然環境の保全とか林業の活性化とか、そういうような形にも考えてはどうかというようなお話もありましたが、いろいろな意味で、その環境保全対策経費の使途については、膨らんでいく、大きな需要がこれから広がってくるのではないか、そのように評価をしていきたいと思いますし、大きく期待をしていきたいなというふうに思っているところでございます。それで、今予算委員会分科会等込み合っておりますので、なかなか大臣の日程等の調整も難しいかとは思いますが、近日中に、社会党の方のシャドーキャビネットの自治委員長の方から大臣の方に、日程等の調整をさせていただきまして、この鉄くずリサイクル問題について緊急の申し入れをさせていただきたい、そのように考えているところであります。  その際にも大臣にぜひお願い申し上げたいと思いますことは、今日の全国の自治体における、特に関東地域あたりがその問題が非常に深刻らしいのですが、資源回収業者は転廃業を考えるまで至っているというような状況にもあるわけでありますので、長い間余り日の当たらない産業と言われてきたそういう資源回収業界が、これからのリサイクル社会形成にとっては大事に育成していかなければならない産業ではないのかな、そんなふうに考えますと、環境保全対策費の生きた活用というような観点からも、全国の実態を把握して、そして何らかの支援措置を、ボランティア団体、さらには回収業界に対する支援措置を、ぜひお願いしたいなというふうに思っているところでございます。  これらの問題につきまして、大臣の御所見をお伺いできればありがたいと思います。
  73. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 御提案ございました件につきまして、かねてから、先ほども財政局長が説明しておりますように、環境保全対策費として既に地方財政計画の中に組み入れているのでございますが、こういうようなものこそ、まさに新しい、時代が要請する財政需要やと思っておりますので、積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  74. 小林守

    ○小林(守)委員 それでは次に、外国人に対する人道的支援という問題に移りたいと思います。人道的支援といっても、医療費の問題にかかわりまして、特に行政の谷間というふうにも言われております不法滞在の外国人に対する医療費の支払いの問題について触れてみたい、そのように思っておるところでございます。  外国人労働者の増加に伴いまして、不慮の事故や病気ということで医療費をめぐる問題が各地で発生をしまして、大きな社会問題になっているところでございます。特に、お話のように問題なのは、不法就労、不法滞在の外国人の医療費の支払いの問題であります。医療保険に入っていないということになります、また入れないということになりますので、払えない、そして、実際には病院の負担になっている、焦げついてしまっているというようなケースが多いわけであります。  しかし、もう一方で考えまするならば、このようにいや応なく国際化する日本の社会というような状況の中で、身近なところに外国人が生活をしている、路上でも行き会うというような環境になってきているわけであります。しかし、たとえ不法滞在者であろうと、例えば生き死ににかかわるような、命にかかわるような大けがをしているとか病気になっているというような方に直接目の前で会ってしまうならば、どういう不法なあり方であろうと、やはり人道的な立場からは放置しておくことはできない、こういう自然の人間的な感情が生まれるのも当たり前のことだろうと思います。しかし、法律制度的には、それに手を差し伸べる手段が今のところないというところに大きな問題を醸しているのではないかというふうに思います。  そういうことになりますと、民間のボランティア等の団体の人たちが、支援をする会とかそういう会を結成して独自にカンパ活動等を行って、医療費に対するささやかな支援とかそういうことを行っているというようなことをよく新聞等で見聞きするところでございます。  実は、昨年の五月、我が栃木県の宇都宮市におきましてもこのような問題がございまして、タイ人の女性で三十四歳のノーイさんという方なんだそうですが、不法滞在の外国人でございまして、何かの関係でビルから飛びおり自殺を行った。しかし、未遂というかそういうことに終わりまして、大けがをしたわけであります。肋骨を骨折し、また右大腿骨の複雑骨折ということで、全治六カ月以上の重傷だというような形で、救急指定病院に運ばれたわけでございます。実際のところ、病院の方としましても、このような大けがをしている方でありますから、この方が、後でわかったことですけれども、不法滞在だというようなこととか、パスポートが何か入国のときにブローカーみたいな人に取り上げられてしまったというようなことなんだそうですが、もちろんその大けがをしていた時点では所持金も全くないというようなことで、要は医療費の支払いを受けられる見込みが全くないわけなんですね。しかし、実際に指定病院では、だからといってその患者を拒否することはこれまたできないというのが医療法に定められているものではないかと思いますけれども、そういうことになりますとその医療費はだれが支払うのかというようなことで、救急病院として二カ月ほど預かってはいましたが、どうにもその医療費の支払いについて支払ってもらえる当てがないというような問題もございまして、当の救急医療病院では公的な病院に、済生会の宇都宮病院に転院してくれという形で打診をして、そちらに移ったというような経過があるわけであります。当の担ぎ込まれた救急指定医療病院では、市の方にとにかく請求はしてみるというようなことですが、市の方でも、支払う根拠というか支払える方法がないというようなことで、今滞っているというような状況であります。約七十万ぐらいの医療費が市に請求をされながら、その病院には払われていないというような状況になっております。また、新たに担ぎ込まれました済生会宇都宮病院につきましても、約六カ月ですか、六カ月近く預かって入院をさせておいて、治療そのものは終了して、あとはリハビリというような段階まで来たわけなんですが、やはり五百万近い費用負担について、もちろん本人からも、それからほかからももらえる当てがないということで、問題だということで何とか転院してほしいというような形で、あと一カ所別の、今度は鹿沼市内の病院の方に、リハビリを中心とした医療ということでその病院にも何とか受けてもらった。その病院も、医療費の支払いについては当てにできないけれどもというふうなことで、三カ月を限度にそれでは預かりましょうというようなことで預かってくれている。そして、何とか見通しがついて、タイに帰れるというような状況になったというふうに聞いているところでありますけれども、こういう医療費の問題を含めまして大変大きな問題にかかわっているわけであります。  要は、このような問題について自治体の窓口、県、そして医療機関、それぞれが人道的な問題ということを重々わかりながら、なおかつ経費の負担の問題等について本当に悩みながら、どうやったらいいのかということを国の方にいろいろ打診をしてみても一向にその方策というものが見出されてないという現状ではなかろうかと思うのですが、これらの問題について、まず最初に、どのように認識をされているのか。厚生省になろうかと思いますが、国の問題状況に対する認識をお聞きしたいと思います。
  75. 亀田克彦

    ○亀田説明員 外国人の医療の問題でございますが、御案内のように日本国内に適法に居住する外国人につきましては、内外人平等の原則に立ちまして国籍を問わず所要の負担のもとに必要な医療が受けられる、こういう仕組みになってございます。しかしながら、我が国に不法に滞在する外国人につきましては、ただいま先生御指摘のように大変気の毒なケースがあろうかと思いますが、不法滞在が判明すれば出入国管理及び難民認定法の規定に基づき退去強制等の取り扱いの対象になる。また、医療補償を行うということになりますと、不法滞在を容認したりあるいは助長する、こういうような懸念も考えられます。そういうことから、大変申しわけございませんが、不法滞在を前提として医療補償を行うということは大変難しい問題であろうというふうに考えてございます。
  76. 小林守

    ○小林(守)委員 そういうお話であるということはずっと変わりないわけなんですね。ただ問題は、病院は例えばその患者が不法滞在の外国人だからといってこれは治療、診療はできませんということはできるのですか。いかがですか。
  77. 亀田克彦

    ○亀田説明員 病院等の医療機関につきましては医師法の規定がございまして、経済上等の理由根拠にしては診療行為拒否はできない、こういう規定があるというふうに承知をしております。
  78. 小林守

    ○小林(守)委員 そうしますと、病院といえども企業でありますから経営を行っていくということになるのですが、要は、もらえない、医療費が請求しても支弁していただけないということで焦げつきが出てしまうということになりますと、やはり患者のたらい回しという問題が間違いなくこれから起こってくるのではないか、そういうふうに思うのです。それらに対する、焦げついてしまうような問題について厚生省ではどのように、診るなというふうには言えないはずでありますから、診て赤字が出た問題について、焦げついてしまった部分についてはどういうふうに処置をさせようとしているのか、まずその辺をお聞きしたいのです。
  79. 亀田克彦

    ○亀田説明員 現在の状態を申し上げますと、その診療を受けられた御本人あるいは扶養義務者、そういう関係の方にお願いをする、こういうことになろうかと考えておりますけれども、なかなか難しいケースもあろうかと思いますので、その辺どういう改善の方途があるのかいろいろ勉強しておる、こういう状況でございます。
  80. 小林守

    ○小林(守)委員 ずっと前からその問題については厚生省の方でも研究課題として検討はされているのだろうと思いますが、できるだけ早くそういう問題について整備をしていただきたい、そのように思うところでありますし、希望したいと思います。  またもう一つ、この問題に関連しまして、ボランティアが医療費の一部に使ってくれというような形でカンパ活動を行って、病院の焦げつき分の一部を緩和しようというような動きをとってきているところが多いわけでありますけれども、実はそのとき、市にしても県にしても、公的な扶助なり公的な支援はできないということが明確に出されてしまったわけであります。  いろいろ考えてまいりますと、例えば、市町村にも県にも社会福祉協議会というものがございます。その中で最も公的な性格の少ないというか、準民間的な準公的な、そういう資金があるはずであります。今そういうふうにいうかどうかわかりませんが、善意銀行というような制度がございまして、要は、市民の有志、ボランティア等が、困った人に使ってくださいということで寄附などを受け入れるものとして善意銀行というものを設置して、例えばこのお金については障害者の施設に使ってくださいとか精薄の施設に使ってくださいとか、何らかの指定をされて寄附を受ける場合があります。その場合には当然速やかに指定された用途に使われるということになろうとは思うのですが、用途を指定されないで預託を受けるお金も随分あるはずなんですね。善意銀行に、困った人のために何か使ってくださいという形で預託を受けているものもたくさんあるはずであります。  いろいろお聞きしますと、善意銀行というのはそういうことで返済を予定していない、もうくれてしまうというお金でございますから、そういうことを考えますと、たとえこれが不法在留の外国人だったとしても、本当に人道的な立場に立つならば、なおかつ市民ボランティアのカンパ活動が始まっているというようなことであれば、その団体の人たちが福祉協議会に何とかならないかというように相談に行ったときに、公的な資金としては法制度上できないけれども、例えば準公的な善意銀行の金だったら、市民からお預かりしている本当にわずかな部分だけれどもぜひ足しにしてくださいという形でできないものなのかどうか。  善意銀行自身もできないという判断のもとに、実は社会福祉協議会の職員みずからが自腹を切ってカンパに応じる、善意銀行のお金は使うわけにいかないというように判断したのでしょう、しょうがないので自分自身の自腹からカンパ活動しましょうということで、福祉協議会の職員が協力をしてくれた、そんな仕組みがあるのです。市役所の福祉の職員も見るに見かねて、もちろん公的な生活保護の手続はできません、しかし自分の小遣いからカンパをする。そんなことを行ってきていることを見ますと、果たして日本の、最も柔軟に使えるはずの資金そのものの性格は何なんだ、何のための福祉なんだということを疑問に感じざるを得ない。  あくまでこれは不法な方だからもとを正さない限りだめだというのは、余りにもお役所的な、建前的な仕組みなのではないかなと思います。ファジーな部分があっていいのではないか。そして一部には、一たんそういうことをやってしまうとそういう外国人がなだれ込んできたらどうするんだというような懸念の声もあったようでありますが、それもまたお役所的な発想なのではないか。あるうちは何とか手伝いましょうぐらいのファジーな部分があってもいいのではないか。もちろん公的なものでは困ります、公的な問題については別の角度から請求されるという問題もあるでしょうが、準民間的な、何にでもいいから困った人に使ってくださいというように預託されたものについては、使っても差し支えないのではないか。例えば、社会福祉協議会の善意銀行なら善意銀行の方の運営協議会の中でこういう問題についてぜひ議論をしてもらえないものかな、そんなふうに思った次第でありますが、この問題についてどのように判断をしていらっしゃるか、ちょっと御意見をお聞きしたいと思います。
  81. 亀田克彦

    ○亀田説明員 御指摘の善意銀行でございますけれども、全国的には大変まちまちでございまして、あるところもございますし、ないところもある。また、あるところにつきましても、ボランティアセンターの別称になっているところとそれからボランティアセンターの中にあるところと、いろいろまちまちでございます。ただ、この善意銀行あるいはボランティアセンターでございますが、この趣旨は、地域住民の社会福祉に関する理解と関心を深めるとともに、ボランティア活動の推進を図ることを目的として一般に設置をされております。また、その事業の一環といたしまして、お話しの地域住民の善意に基づく金品等について預託を受け、これを必要とする社会福祉施設個人に払い出しを行う、こういうような仕事をいたしてございます。  それで、この払い出しの仕方でございますけれども、一般的には先生からもお話がございましたように、預託者の具体的な使途の指定がある場合にはその指定に従って配分をする、また、具体的な使途の指定がない場合にも地域住民の善意が生かされるように、言葉をかえて言いますと、預託者の本当の意思に沿うように、そういう形で社会福祉協議会が自主的に配分をしておる、これが一般的だというふうに聞いております。  先生御指摘のようなケースでございますけれども、私ども一般的な考え方あるいは一般的に申し上げまして、具体的な使途の指定を受けていない場合の預託金の使い道でございますが、この活動をあくまでも住民の善意に基づく民間組織でございます社会福祉協議会の自主的な活動、こういう形で行われておりますので、個々具体のケースについてどうするか、こういうことにつきましては、あくまでも社会福祉協議会が自主的に判断する、そういう事柄の問題ではなかろうかというふうに考えております。
  82. 小林守

    ○小林(守)委員 確かに、こういう問題を想定していないというか、中でつくられてきたということがあるんでしょうが、新しいこのような問題状況に対して、従来から比較的ちょっと拡大をすれば、ちょっと解釈を変えていけば適用ができるような仕組みではないのかなという観点で問題提起をしていきたいなと思っているのですが、例えば、この善意銀行なんかについても、準公的なお金というか、実際は本当に民間的なお金なんですけれども、例えば、これを各県レベルぐらいに大きなものにするとか、全国レベルで、何というのですか財団法人的なものにして、そういうファジーな問題について、当面の緊急措置として駆け込み寺的なものとして支援ができるようなものがあってもいいのではないか。もちろん、外国人の労働行政とか入国管理局の行政、これらがしっかりとするというのが前提ですよね、前提ですけれども、なおかつ現実の方が先に進んじゃっているという問題、なおかつ人道上の問題は避けて通れないというようなものに対処する一つの便法というか、一つの弾力のある支援組織として例えばそういうものを拡大的に考えていってはどうかという一つとして提起をしてみたいなと思っているところであります。  それから、もう一つは、行旅病人及行旅死亡人取扱法というのが明治三十二年にできた古い法律でありますけれども、この行旅病人というものを概念規定を見ますると、「行旅病人ト称スルハ歩行ニ堪ヘサル行旅中ノ病人ニシテ療養ノ途ヲ有セス且救護者ナキ者ヲ謂ヒ」というふうになっております。この行旅病人の中には、厚生省の通知によりまして、飢えにより歩行のできない者とか行旅中の妊産婦で手当てを要する者というようなものもこの行旅病人として含めますというような通知があるのです。  自治体の職場でこういう問題についてたまにあるわけですけれども、この辺の行旅病人、行旅死亡人、これらについては法的な体系を見ますると、まさに内外人無差別で、要は身元がわからないということについて、とにかく死んでいる方については火葬にしてそれを公告して遺骨の引き取りを求めるというような手続をするわけですね。それから、病人についても、もちろん身元確認とか身元については第一義的には警察が見るんだけれども、これは役所がやはりその手続をしなさいというようになった時点で役所の責任として、病気の治療を受けさせたり、それからさまざまな看護をする法律になっているのです。これはまさに内外人平等の原則で行われている。明治三十二年につくられたにしてはびっくりするほど進んでいると言っちゃおかしいのですが、むしろ文明開化のころの法律として体裁をとったというような感じもするのですけれども、そういう点では死人に国境はないのですね。それから行旅の病人についても国境がないのです。そういう形で、どうしても身元がわからない人については自治体が、まず市町村が立てかえをしていて、そのお金についてどうしてももらえなければそれは都道府県が弁償するという仕組みになっているのですね。  そういうことで、このようなことの仕組みが実際にあるということを考えますと、何とか不法滞在であろうと外国人の医療費の問題について方策があるのではないか、そんなふうな気がしてならないわけなんですが、これについて現行法の行旅病人の概念というのは、旅行中の者だというようなことで該当できないんだというような枠があるわけでありますけれども、これらについて何とかその枠を広げていくというか、そういう仕組みを考えていっていいのではないかと私は思っているのですが、いかがでしょうか。
  83. 酒井英幸

    ○酒井説明員 御説明させていただきます。  今先生御指摘の通達でございます。確かに、飢えにより歩行できなくなった行旅者等々法律で定めております行旅病人、いわゆる旅行中の行き倒れになった病人の方でありますが、そういう人についての補足の説明をいたしておるわけでございますけれども、その通達の趣旨も、どういう行旅者であるかといったことを補足説明させていただいているわけでございまして、やはり行旅者かどうかということが必要になってくるわけでございまして、例えば、一定地域に居を構えられてそこで働いておられるとか、そこで生活をされているとかいった生活圏を一つ形成をされている中で、このような不幸な、悲しいことであるわけなんでございますが、ことが起こった場合には、これはこの法律では、行旅つまり旅行中の出来事というふうにはなかなか言いがたいのではないかというふうな考え方で従来から来てございます。
  84. 小林守

    ○小林(守)委員 この問題について、先ほど申しました外国人の医療費、人道的支援という角度に立った場合に、何とか従来の日本の仕組みの中で、制度の中で少し変えれば何とかなるのではないかというような要素のあるものを検討の対象として私は挙げてきているのですが、この行旅病人等については確かに法律趣旨は旅行中の者だということになると、不法滞在外国人は旅行中とは確かに言えない。しかしながら、よく読んでみますると、かなり拡大的に読めるのではないかというような通知の内容ですね。厚生省が出している通知の内容でも、行旅病人の概念規定の中で、住所及び居所のない者とか、もしくは明らかでない者とか、こういうものもやはり行旅病人に、行旅者の中に入れていいんだというようなものも入っているようでありますから、むしろこういう解釈を厚生省が示しているわけですけれども、もうちょっと工夫があれば、新しい今日の状況の中で対応していこうというような姿勢があれば何か開けていくのではないかなと思えてならないのです。  それで、昭和六十二年に、従来からこれは機関委任事務だったのですね、それが団体事務化されたわけなんですけれども、先ほども申しましたように、どうしても被救護者、救護された者の扶養義務者とか相続人とか、そういうものがどうしても見つからなくてその費用負担が受けられない、市町村がどうしても受けられない場合は、それについて都道府県が弁償するというふうになっています。その機関委任事務の時点では、都道府県が弁償した場合については国が当然何らかの措置として財政的に支援をしたのではないかと思うのですが、団体事務化になってその都道府県に対する国の責任というのはどういうふうに果たされているのかどうか、それをちょっと教えていただければありがたいと思います。
  85. 酒井英幸

    ○酒井説明員 御説明申し上げます。  先生御指摘のように六十二年に団体事務化をされて、先ほどの通達もその際の通達であるわけでございますが、行旅の仕組みについては今先生がおっしゃったとおりでございますが、それの経費につきましては、現在財政上の措置といたしましては交付税で一応の経費が計上されておって、そういうものの中で対応をしていただいているという状況でございます。
  86. 小林守

    ○小林(守)委員 今まさに大事なお話があったと思うのですよ。要は、交付税で内外人無差別に最終的にはこの問題について財政的な負担を国の責任としてやるという姿勢なんだと思うのですよ、行旅病人、死亡人に対してですね。そういうことが既に行われているということを考えますと、何らかの方策ができるのではないかと思えてならないのですけれども、交付税の基準財政需要額の問題等いろいろと論議がされているところでありますが、むしろこういう問題についても、交付税の措置の中では国際交流、国際化のためのさまざまな交付税措置が導入されようとしておるわけでありますが、考え方によっては表の国際化、そういう形について取り上げられているのは結構だと思いますが、裏のシャドーの部分の国際化という問題だと思うのですね。そういう点で、ぜひ交付税も含めた何らかの方法、もちろんこれは、それが前面に出ていくこと自身いいとは思えないのですよ、入管局の行政とか労働者に対する労働行政とか、この問題をしっかりとやることが第一義的な問題だろうとは思うのですが、しかしなおかつ現実の問題としてこういうものが出てきているという問題については、やはり見捨てられない、放置できないという観点から考えていく必要があるのではないか、そのように強く思います。  それでもう一つ、法務省の古いらっしゃっていると思いますのでお聞きしたいのですが、昨年の十月四日に、このタイのノーイさんが入院している先の病院の方に、本国送還を前提として本人に対して東京入管局は事情聴取を行ったというふうに報道されております。今日まで不法滞在には変わりないのですが、病院で治療してリハビリをしていて強制送還はされていない状況になっているということで、入管局としての何らかの特別措置がとられてきているのではないか、そのように思うわけでありますが、どのような行政措置がとられてきて今日まで、一応日本の国内に不法であるというのはわかっていても、滞在して病院でリハビリの治療を受けられているのか、その辺について御説明いただきたいと思います。  それから、もう一点は、入管局として、こういう問題についてみずからの行政課題というか政策課題というか、入管局として第一義的に大きな問題を抱えているのだろうと思うのですけれども、これらに対して、これからどうしたらいいんだ、どう国として考えていったらいいのか、取り組んでいくのか、そういう問題を踏まえて、要は、入管局にも関係がある、厚生省にも関係がある、市町村、県にも関係がある、病院にも関係がある、それぞれの行政の中ですぽっと落ちてしまっているところなんですね。その問題で中心として主導権的に担っていかなければならないのはやはり法務省ではないのかな、そんなふうに私は思っているのですが、実際に本人に事情聴取をされた、本国送還を前提にしたということなのでありますが、どのような措置で今日までこのような形になってきているのかということと、これからの課題についてどのように認識されているのか、まとめとしてお聞きしたいなというふうに思います。
  87. 大久保慶一

    ○大久保説明員 お尋ねの件につきましてお答えします。  法務省といたしましては、御存じのように、入管法違反者として不法労働者、不法残留者の退去強制手続をとっておりますが、入管当局の収容施設に収容中の者が病気にかかっていると認められる場合には最寄りの病院などで治療を受けさせております。  先生の御質問ありましたような事情のある場合は、本来退去強制手続をとるべきではありますが、重傷を負っているとかそれから重い病気にかかっているというようなことで人道上直ちに退去強制手続をとるのが相当でないような事情がありました場合には、本人の治療状況などを考慮して、その手続を一時差し控えるなどの措置をとっており、事案に応じた適切な措置をとっております。  今後につきましてどうするかという点でございますが、先ほどの御質問の中にございましたように関係省庁に多岐にわたる問題でございまして、入管だけが対処していくという問題ではございません。したがって、これらの諸般の事情を十分考慮しながら適切な対処を模索していきたい、このように考えております。
  88. 小林守

    ○小林(守)委員 一つの事例をもとにいろいろな角度から、こんなふうにしてはどうかというようなことも踏まえながら、提案をしながら述べてきたわけでありますが、不法というようなことにどうしてもつまずいてしまって、その先に一歩なかなか出られないのが行政の現実なのではないかというふうに思いますが、目の前にそういう方がいたならば、どなたであろうとやはり何らかの措置をしなければならぬ、そういう気持ちになるのが極めて自然な人間の感情だろうと思うのですね。そういうふうなところを何とか行政的に支えられるような仕組みを今こそ、国際化社会の中で日本が一歩大人になっていく、なおかつそういうアジアの人たちに対して要は温かい国だと言われるような国になっていくための大きな試練なのではないかな、そのように思います。表だけの国際化ではなくて、先ほども申しましたとおり、シャドーの部分での国際化も極めて大切なものなのではないかということをつけ加えまして、終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
  89. 中島衛

    中島委員長 遠藤登君。
  90. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 社会党の遠藤登でありますが、自治体問題は多岐にわたっておりますが、日ごろ問題として考えているような点について御質問をさせていただきたいと思います。  まず、いろいろな過程を踏まえられながら八七年には四全総が策定をされてきた。しかもそれを促進するための促進法が制定、施行をされてきたという経過があって、四全総の歩みも五年目を迎えつつある。それで今最大に問われているのは、一極集中の是正という問題だと思いますが、四全総の根幹もそのねらいがそこにあるわけでありますが、地方も一極集中が非常に進んでいる。これは地方においても大変な問題を抱えて、過密過疎の問題、これは今日最大に問われているわけでありますが、自治省としては、これに対する自治省の考え方あるいは対応の仕方、いろいろな角度から検討もされて対応もされてきている経過もあると思うのでありますが、なかなか目的どおり進んでいないではないかというふうに痛切に感じるのでありますけれども、まず自治省としての考え方を、あるいは今日までの総括的な考え方をも含めて、お聞かせをいただきたいというふうに思います。
  91. 穂積良行

    ○穂積政府委員 先生お話しのように、高度経済成長の過程で我が国では、東京圏に人口なりあるいは産業が集中、諸機能の集中ということが一極集中ということで問題になってきたわけであります。その一極集中の過密の弊害に対しまして、これをどう是正するかということは内政上の最重要課題であると私どもも認識をいたしております用地方におきましては、人口減少に伴う過疎化あるいは高齢化の同時進行、さらに雇用機会の減少等の問題が生じているのは先生御承知のとおりでございます。  そこで、この一極集中を是正して多極分散型国土の形成を実現していくことがまさに課題でありまして、四全総等もその目標を掲げてきているところでありますが、そのためにはまず何よりも地方の振興を図っていくことが肝要であると考えております。あわせまして、経済機能等諸機能の地方分散、地方分権の一層の推進など、幅広い観点から総合的に施策を進めていく必要があると考えておりまして、政府といたしましてはそうした諸般の施策に努力を重ねてきたところでございます。  自治省といたしましては、地方の権限移譲の推進地方税財源充実確保などに努めるとともに、ふるさと創生関連施策によりまして自主的、主体的な地域づくりを支援してきたところでございます。  このような施策の展開の上に立ちましてさらに地方の自律的成長を牽引し、地方定住の核となる地方拠点づくりを推進することが、先ほど来申し上げてきました東京一極集中の是正、多極分散型国土の形成といったことを促進する上で重要であると考えておりまして、関係省庁と御相談をいたしまして共同して新しい法律案提出させていただいたところでございます。
  92. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 一面、今日まで対応されてきた経過についても評価する部分もあるわけでありますが、地方を活性化させる、それで地方がどういう状態がというと、それは御案内のとおり一極あるいは二極集中ということで、過疎と過密が拡大を続けてきている。国の場合もとめどないような状況下にあるのではないか、いわば集中の拡大、それから一方は過疎ですね。  そういう状況に、それは総合的に経済あるいはあらゆる分野で分散を図る、あるいは地方を発展させる、地方の核づくりを推進するということなわけでありますけれども、八八年にいわば各省庁一機関地方移転を図るというような閣議決定がなされてきたという経過があったりして、それぞれ各省庁まだ実施されていない機関もあるようでありますけれども、大体九十三機関中八十九機関が、これは横浜とか立川とか大宮とか、ほとんど関東圏域に移転をされた。それは閣議決定にもとるのじゃないかという話が指摘がされて、それはごまかしじゃないかという話も指摘もされているわけです。それはもっともっと、まず各省庁、政府あるいは国会の問題もあるわけでありますが、みずからが決定をした、そして最大の課題に挑戦をする、それを克服するということであれば、閣議決定を確実に守るということが問われているのではないだろうか。  そういう意味では、各省庁一機関、これはそれぞれ各省庁にまたがったり、その元締めは国土庁あるいは政府ということになるのだと思います。(「総理は」と呼ぶ者あり)これは国土庁の方からも来ていらっしゃると思いますが、そういうごまかしであってはならない。最大の課題を克服するということの中に、これは閣議決定されたことでありますから、国民がひとしく期待をして何とかそういう課題を克服していかなければならない、そういう願望に対して、大きな期待を寄せているわけでありまして、これらの問題については自治省としてはどういうふうにお考えですか。
  93. 穂積良行

    ○穂積政府委員 総理というお声もありましたが、私ども政府の一員としまして御質問に所感を述べさせていただきますと、方向として各省庁一機関地方移転ということを示された中で、具体論として各省庁それぞれに努力を願ってきたということであろうかと思います。ただ、実際問題として各機関、東京に在住する職員の労働問題もありますし、なかなか時間がかかったというのが実態だと承知しております。しかし、方向として御指摘のように閣議で決定されたところでありますから、せっかく今後も最大限の努力を続けるべきものと私は考えております。
  94. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 各省庁一機関地方移転、これはもちろん閣議決定されたことでありますから確実に守る。これは一機関なんというものじゃないのじゃないか。また、国民的には大きな指摘と期待が寄せられているのであります。最大の課題に対して政府みずからが、各省庁一機関地方移転を図るというちゃちな話では話にならぬじゃないかという大きな指摘と期待もあるわけでありますが、自治省としてはどのような対応経過があるのか、あるいはこれからどう対応しようとするのか。これは地方自治体、あるいは国の政府機関もさることながら、全国の自治体としては、自治省がもっともっと飛躍的な役割を果たしていく必要があるのじゃないかという期待を持っているのでありますが、自治省としての今日までの経過なり今後の対応方向などについてお聞かせいただきたいと思います。
  95. 森繁一

    ○森(繁)政府委員 お話の政府機関の移転の問題につきましては、政府の中では内政審議室が取りまとめ役になりまして、実質的に国土庁の方でそれを担当する、こういうことになっております。  これまで閣議決定されまして、その中に具体的に移転すべき機関名がそれぞれ明記されておりますし、その機関によりまして移転先まで明記されておるところもございます。既にその一部は移転をいたしておるわけでございますが、多くの部分についてなかなか進んでいないというのが現実の姿でございます。ただ、今お話がありましたように閣議決定までいたしました事柄でありますから、私ども政府といたしましても当然それを具体的に執行すべき立場にあるわけでございます。  自治省の方といたしましても、移転対象機関といたしまして自治大学校というのが挙がっておりまして、これを東京都かの立川にあります防災基地の近辺にということの計画をいたしておるわけでございます。私ども自治大学校の移転の問題につきまして現在鋭意作業を進めておりますが、一方ではあの辺の都市計画がまだ確定していないという実情もありますし、他方、移転の場合には相当膨大な経費を要するという面もございますので、現在自治大学校を中心にいたしまして、具体的にどういう建物を建てるか、レイアウトをどうするか、そういうことを含めて具体的な検討の段階に入っているという事柄でございます。  それから、自治省といたしましては、政府機関ができるだけ地方に、それもまた東京に近くないところに移転いたしました方が地方振興のためには役立つ、こういうスタンスで申し上げておるわけでございますが、それぞれ関係省庁の機関でございますので、私どもいろいろ申し上げましても、移る場所なり職員の問題なりがございましてなかなか容易にいかないというのが現実でございますが、今先生お話しのように、できるだけ国の機関を地方に分散するというのは東京一極集中の是正の一つの大きな方策でもあろうと思いますので、今後努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
  96. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 自治大学校を初め自治省所管分についてもこれからのようでありますが、まず、立川というのは首都圏域じゃないか。それは職員の問題、通勤上の問題、いろいろあるとは思いますが、これはもっと再検討する必要があるのじゃないですか。  そしてこれは自治省、国土庁、これは政府推進の責任を負うということだと思いますが、四全総、国土審議会は審議会として設置をされている。それで最大の課題、これは四全総にも合致するわけでありますから、地方移転あるいは新しい首都圏をつくっていくという問題、あるいはそういう国民的な期待、東京一極集中、首都圏域への集中を一体どう是正するか。首都圏の中でも過疎と過密が拡大をしてきている、大変な問題を首都圏内でもまたつくり上げているという問題があるようでありますが、そういう問題の克服と関連しながら、全体的に均衡のある国土の発展を図っていく、そのために集中と過疎を克服する。そのための審議会というか、各界の代表を含めたもっと徹底した権威のある一政府も執行の責任を負うけれども、なかなかできない。やる気がないのじゃないかということも指摘される部分もあると思うのでありますが、まず、もっと権威のある審議会をつくってみたらどうですか。  これは自治省だけの問題ではないのでありますが、例えば自治省の中でもそういう審議会的なものをつくるとか、全国の地方自治体を抱えてその指導的な機関にあるわけでありますから、全国の自治体は、自治省に対する期待というのは非常に大きいのです。そういう意味で、自治省みずからが先達の役割を果たすという意味でも、何らかのそういう権威のある、広く各界の意見を集めて、二十一世紀に向かって、いわば四全総に見合うような国土形成、あるいは全国の健全な自治体、均衡のあるあるいは個性豊かな自治体をどうつくるかという意味の審議会のようなものでもつくって対応したらどうなのか。そうでないとなかなか進まないのではないかという感じがするのでありますが、特に自治省の見解をお聞きしたい。
  97. 森繁一

    ○森(繁)政府委員 首都機能の移転の問題につきましては、現実には国土庁が中心になってその作業に当たっております。そのほか、先生御承知のように国会の中でもいろいろな議論がございますし、あるいは党派を超えたいろいろな検討も既に重ねられておるわけでございます。  国土庁の方におきましては、四全総のフォローアップの一環の作業といたしまして、また防災に強い首都機能というものを整備したい、こういう観点からも既に懇談会のようなものを開催して幾らかの意見交換をやっておる、こういうふうに伺っておりますけれども、私どもも、今先生のお話のございましたようなことも国土庁の方に十分伝えまして、国土庁の方の審議の中でそういう意見が反映されますように、また私どもの方の意見もそこで陳述することができますようにお願いをしてまいりたい、かように考えております。
  98. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 ぜひこの最大の課題について、特に自治省はその先達的な役割を果たすように強く求めたい。しかも、全国的にも大きな期待を寄せている。  国土庁からも来ていらっしゃると思いますが、四全総の推進の問題、あるいは四全総を見直す必要があるのではないかというような指摘もなされている部分があるわけでありますけれども、新しい首都圏をつくるあるいは一極集中を是正する、四全総を二十一世紀に向かって確実に実現をしていく、達成をしていくということが求められているわけでありますが、そのかなめであります国土庁としての考え方などをお聞かせいただきたい。
  99. 柴崎徹也

    ○柴崎説明員 お答え申し上げます。  いわゆる四全総、第四次全国総合開発計画でございますが、昭和六十二年に策定されまして五年たったわけでございます。もちろんこの四全総の最大の眼目は、先ほど来言っておられますような東京一極集中の是正、多極分散型国土の形成、こういうことでございます。五年たちまして、四全総を取り巻く情勢にもいろいろ変化があるということでございますので、昨年の十二月に国土審議会を開きまして、四全総の総合的点検が必要であるという御意見をいただきまして、近々四全総の総合的点検を始めるという運びになっているところでございます。
  100. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 これは最大の課題でありますから。しかもまだ感じるのは、これは各省庁にまたがっておって、それぞれの省庁の分野でこの四全総の達成のために計画され、しかも実行されようとしているのでありますが、この縦割りの関係を、もっと集中的に総合的にこれを点検し合う、あるいはこれを促進し合う。これは、政府がかなめの衝にあって、またそのかなめは国土庁だとは思いますが、この推進に当たってもっともっと強力な体制が求められているのであります。この四全総達成あるいは四全総の見直しの問題を含めて、この残された二十一世紀までの八年間というか九年間というものは極めて大事な期間じゃないのか。いつの期間も大事でありますけれども、これはそういうふうに問われておりまして、一極集中なり過疎なり、あるいは均衡ある国土の形成、発展を図るということが二十一世紀に向かって問われているわけでありますから、十分な対応と、その促進のための体制をとられるように強く求めたいというふうに思います。  それから、この一極集中と関連するのでありますが、このたびの議会に、地方拠点都市地域構想、この法律、法案が提起をされたわけであります。この構想、ねらいというのは先ほどもお話があったのでありますが、改めてこの地方拠点都市地域構想について、そのねらい、構想のアウトラインなどについてお聞かせをいただきたい。
  101. 穂積良行

    ○穂積政府委員 先生御指摘のように、東京圏への人口なり諸機能の集中は依然として続いている中で、何とかこの一極集中の是正という目標に向けて政策努力を進めていかなければならない、こういう判断のもとに、地方の発展の拠点となるべき地方拠点都市地域整備を促進しよう、そうして、今申しました一極集中の是正あるいは多極分散型国土の形成を図ろうということで、この法案は、地域の創意工夫を生かして地方の自律的成長を促進するということを特色として考えております。また、これを具体化するために、従来の地域振興立法と異なり、主務大臣の関与を最小限のものといたしまして、都道府県知事が地方拠点都市地域を指定し、関係市町村は共同して計画を作成し、知事がこれを承認すれば足りるというような、都道府県、市町村の自主性が最大限に発揮できるような仕組みとしているところでございます。  自治省といたしましては、法の運用面におきましても、地方の旨主性が十分に生かされるよう、この法律が成立した場合にはそのような配慮のもとに進んでまいりたいと思っております。
  102. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 この指定、これは知事が指定する、あるいは関係市町村と協力し合って知事が指定する、しかも、それを国の方との協議によって指定をしていくということになるようであります。しかも、地方の自主性を最大限に尊重していく。これは、指定のいわば年次計画、あるいは最終的にどのような指定箇所になるのか、そういう構想について、計画について、お聞かせをいただきたい。
  103. 松本英昭

    ○松本説明員 お答え申し上げます。  地方拠点都市地域の数の問題でございますけれども、地方拠点都市地域は地方の発展の拠点となるべき地域ということでございますので、その意義が希薄になるようなことは困るわけでございます。したがいまして、その拠点という意義が希薄とならない範囲内の箇所数でなければならない、かように考えているところでございます。また、予算を伴う支援の面からもおのずから限界があるものと考えておりまして、最終的には一県一ないし二カ所というぐらいかなと想定いたしております。  それから、年次別の数でございますけれども、それぞれ地方の特殊性、事情もございますので、よく地方の方と御相談をして、毎年度見当をつけていくことになるのではないかというふうに考えております。
  104. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 それで、これは結構な話だとは思いますが、大体各県一ないし二ということになります七、そこに地方も一極集中が進んでいく、例えば県庁所在地とか。それに、その指定をして社会資本初めそれぞれの機能を高めるというのはわかるのでありますが、それが地方での一極集中をさらに拡大をするということがあってはならないのではないか。そういう地方の拠点都市を進める、それぞれの機能を高めるということは結構だと思いますが、それは四全総との関連で考えてみても、東京から地方の拠点都市をまず集中的に整備をするという一段階なのか。私は、二十一世紀に向かって、四全総の目的から私が感ずるに、それぞれ全国の主要拠点都市あるいは中小の都市、それを農山村の圏域を含めて整備をしていく、いわば広域圏域を含めてですね、そして、その地域の歴史とか文化とか、そういう上に立って、個性のある豊かな地域をつくっていくというのが四全総のねらいではないのかな。あるいは、二十一世紀に向かってそういう自治体、そういう国土を形成をしていくということが問われているのではないだろうかな。  それで、各県一ないし二、あるいは、聞くところによれば大体指定年次も五年や七年ぐらいを考える、今の答弁ではそれぞれ地方とも協議をしながらこれから策定をしていく、こういう話のようであります。各県一ないし二、それで、それをさらに総合的に機能を高めていく。それを拠点都市整備として、まず四全総を達成するための、あるいは一極集中を排除するための第一段階の整備として、この地方拠点都市地域整備構想というものが打ち出されていくのかどうか。その辺の考え方をちょっとお聞かせをいただきたい。
  105. 松本英昭

    ○松本説明員 お答え申し上げます。  今回のこの構想の基底にありますものは、人口一の東京一極集中が続きます中で、そういう中にありましても、比較的地方の潜在的な成長力のあるような地域につきましては、これは今後の当該地域振興によりまして、人口の集積あるいは定住等が図れるのではないかという期待が持てるということを背景にいたしております。  したがいまして、先ほども申し上げましたように、ある程度成長のポテンシャルがある地域というものをまず考えております。この法律には、検討の規定というものを設けておりまして、法律の施行後十年以内にこの地方拠点都市地域に関する諸事情の変化等を見直しまして検討いたしまして、そしてこの法律、結果に基づいて必要な見直しを行うということにいたしております。そういうことを通じまして、将来は全国的な国土の均衡ある発展につなげていこう、そういう考えをとっておるわけでございますので、御理解を賜りたいと思うわけでございます。
  106. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 当面の課題としては理解をするわけでありますが、各県には主要な都市が幾つかあるわけであります。それを農山村の圏域が包んでいるわけであります。そういう意味で、そういう圏域も含めた指定、そこに集中的な機能が総合的に高まるような、そして全国が均衡ある個性豊かな地域や都市が農山村とともに発展していくような、そういう方向に向かってぜひ努力を積み上げていっていただきたいなと大きな期待と希望を寄せるものであります。  それから、今までの問題と関連するわけでありますが、時間がありませんから、過疎の問題、先ほどもお話あったわけでありますが、端的に、これは七〇年に大変な御努力を先輩たちがされまして、過疎地域対策の緊急措置法が制定をされた。それから二十一年を経過している。八〇年には振興特別措置法が制定をされた。それから、九〇年には活性化特別措置法が制定をされてきた。それぞれの立場から、国なり県なり自治体が一体になってこの過疎対策に対応されてきた。大体、お話によりますと、今日まで過疎対策のために二十五兆円を超える財投が行われてきた。その二分の一ぐらいは交通通信関係に充当、投資をされてきたという経過を承っているわけでありますが、それでも過疎が拍車をかけて拡大化にある。それは一体何なのか。これは社会経済的な大きな流れの中でどうにもならないという一面もあろうかと思いますが、これは日本の二十一世紀の民族と将来の上に極めて重大な問題を投げかけているのではないだろうか。  それで、九〇年に行われた世界農林業のいわばセンサスの調査結果も出されて報告もされておりますが、全国の農山村の集落は十四万百の集落がある。それで、五十五年対比で九〇年の十二月一日現在で、約八年間の間に約二千二百三十三の集落が、主に山間の集落を中心に日本列島から、長い歴史を持ったりあるいは戦後の開拓を含めて、姿を消した。これは二千二百三十三の集落。これは大変な、その後二、三年経過しておりますから、恐らく二千三百くらいの集落が日本列島から姿を消した。私たまに言うのですが、東京都知事の鈴木さんのお父さんが山形県の大江町の元七軒村の出身です。朝日山ろくの中腹の道海という集落です。それは二十年前には戸数が百七十世帯である。今は十二世帯だ。小学校が分校になって、小学校が百二十人おった、今は三人。相模原から山間留学生を含めて四人。これは何百年という歴史をつづってきた集落なんです。それが間もなくなくならんとしている。それで、今そういうふうに集落の崩壊を初めとして過疎化が進行して加速をしている。  大臣は午前中、何とかこの過疎を一定の集約をしてそこに定着できるような総合的な条件をつくり上げていかなければならないと思っているというお話があったのでありますが、二千三百ぐらいのいわば廃村廃屋、解体する費用もむだだからもうそのまま放置されている。いわば廃村廃屋の集落はそういう状態が大半なんです。それを維持する、それを何とか生かす。あるいはその施設、学校、公民館、道路、それを放置することはあってはならないのじゃないか。それを何らかの形で環境保全するなりそれを生かす、そういう市町村に特別な資金手当てをする必要があるのじゃないか、一つは。山が荒れれば下流が荒れる。これは水の問題、環境の問題を含めて歴史の教訓だと思うのです。  それから、今集落が過疎化に向かって激しいところに対する手だて、それを防止するための、これは過疎振興を含めて、あるいは交付税を含めて特別資金あるいは特別基金制度、あるいは特別交付金制度というようなものをつくって、それに少しでも歯どめをかけていくという政策が必要なのではないか。そういう手だてが必要なのではないか。まず当面の問題として強くそのことを感じるのでありますが、それらに対する対応方針やら見解をお聞かせをいただきたい。
  107. 木寺久

    木寺説明員 お答えいたします。  御指摘のように、多くの過疎地域におきましては人口の減少が引き続いているばかりではなくて、高齢者の割合が高く、あるいは若者の割合が低い等、人口の著しい減少に伴いまして地域社会の活力が低下している現況にあり、またその中で基礎的条件の著しく低下し、無人となる集落も御指摘のように見受けられるところであります。  国土庁といたしましては、こうした問題に対処をするために、国庫補助事業といたしまして、過疎地域において定住の基礎的条件が著しく低下した集落を再編整備するための過疎地域集落再編整備事業というものを推進いたしております。また、その中でも住宅を撤去するための場合の費用等を含めた移転経費につきましても、補助の対象といたしておるところであります。  さらにまた、空き家になった廃屋につきまして、これを有効に活用し公共施設としての整備を図って、そこでの交流の場としての再生を図るためのふるさとC&Cモデル事業というものも国庫事業として推進をいたしておるところであります。今後ともこうした事業推進して過疎地域の活性化に努めてまいりたいというふうに考えているところであります。  またもう一点、総合的な定住の必要性があるのではないかというお尋ねでございますけれども、御指摘のように、若者を中心といたしました定住がなかなか容易に進まないという状況にあるわけでございます。こうした現状を踏まえまして、平成二年の四月四日に制定されました新しい過疎法に基づきまして、若年層を中心とした定住促進のための産業振興、雇用確保及び生活環境の整備を重点として、関係省庁とともに積極的に取り組んでいるところであります。  また、平成四年度から自治省におきましても、こうした過疎地域等の不利な地域につきまして、地域の活性化の主たる担い手であります若者層の定住等を促進するための若者定住促進等緊急プロジェクトというものを位置づけて、地方財政措置を中心とする支援措置を講ずることとされているところであります。  国土庁といたしましては、今後ともこうした事業とともに、関係省庁あるいは関係地方公共団体と一緒になりまして、地域活性化のための総合的な施策の展開を積極的に図ってまいりたいというふうに考えているところであります。
  108. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 大変な努力を重ねられてきているわけでありますが、それでもとまらない。  それで、今おっしゃるように、いわば廃村というか廃屋の再生、あるいは活性化に伴っての手だてとか、定住を促進するとか、過疎地域の再編の問題とか、若者の定住問題。だから、先ほども私も申し上げたのですが、そういう農山村の取り巻く中核中小都市、そこにいわば雇用の場をも含め一て総合的な機能を高めていく、そういうのが四全総のねらいなのではないか、私はそう思っておるのですよ。そこに大体一時間の通勤圏域をつくっていく。まず、なぜ若者が山に定住できないかといえば、所得が足りないのですよ。生活できるだけの所得がないのです。それで交付金の問題も、ヨーロッパその地先ほども午前中お話が出たのですが、大体健全な雇用の場をそういう圏域ごとにつくっていく。そして少なくとも一時間の通勤圏域であれば、そこに定住をしてその環境を守って――山の農家の耕作面積というのは約三十アールなんです。そこではまんま食えないのです。だから若い者が通勤に出る。里におりる。お年寄りだけになる。くしの歯が折れるようにお年寄りも若い者について里に下がらざるを得ない。そしてもう過疎化に拍車をかけて廃村になっていく。  問題は、所得政策その他の総合的な文化政策、教育政策もそうだと思うのでありますが、今までは箱物をつくってきた。道路をつくってきた。そこに過疎対策の中心があった。それではご飯食えないのですよ。公民館や集落センターが立派にできても道路が立派にできても、飯が食えない。だから里におりるのですよ。その手だてをどうするかということを総合的に検討していただきたい。そして、定住できるようなそういう過疎対策というものを広域都市圏あるいは四全総、この拠点地域整備構想の中でも十分配慮してつくっていっていただきたいということを強く要請をしたい。  それから、自治省としてはこの過疎対策についてどのようなお考えと対応を持っていますか。
  109. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 過疎問題全般につきましては、ただいま国土庁からの御答弁もございましたけれども、自治省といたしましても、この過疎問題というものを非常に重要な課題として今までも取り組んできております。  御案内のとおり、四十五年に最初の過疎法ができて以来二十年の間に、いわゆる過疎債というものを活用して地域振興を図ってまいりましたわけですが、これもこの二十年間で二兆三千億円という金額の過疎債を措置してまいりました。また交付税におきましても、通学対策あるいは人口急減補正というようないろいろな補正などを通じまして、過疎市町村に傾斜的に地方交付税が配分されるような措置も講じてきたところでございます。また明年度からは、ただいま御指摘の、若者の人たちがそういう地域に定着してもらうためにいろいろな施策というものを考えていかなければならないだろうということで、そういうプロジェクトも政策の一つとして掲げておりますが、こういうものを活用して若者が定住しやすいような地域づくりというものをこれからも考えていかなければならないと思っております。  ただいま先生も御指摘のとおり、こういう地域におきまして人が定着していないということは、最終的にはやはりその地域で働く場がない、所得がないということが一番大きな原因でございますから、こういうところを一体どうしていくかということが一番の大きな課題だと思います。特にこういう地域は山村地域が多いわけでございまして、午前中にも御論議がございましたとおり、こういう山村地域の活性化それから森林を資源としたそういう地域のいろいろな所得保障というような問題、いろいろなことを総合的に考えていく必要があろうかと思います。  そのために、ただいま国土庁、林野庁、自治省と三省庁の間で、こういう政策をどういう形で遂行していくかということを早急に結論を得ようということで今研究会もやっておりますので、こういうことを踏まえて積極的に私どもも対応してまいりたいと思っているところでございます。
  110. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 それから、時間がありませんから、過疎にちなんで要請をしたいと思います。  午前中も話が出たのですけれども、年寄りだけの集落としての維持運営もできない。これはほとんど収入が老齢年金だけなんです。もうじっちゃん、ばっちゃんだけが頑張っている。特に豪雪地帯の場合、そういうところに急患が出た場合には、これは広域消防の救急班を初めいろいろ機能部分がありますが、特に山の豪雪地帯などは大変なんですよ。それで、大体各県にヘリコプターなどが購入されてそれぞれの分野で機能が生かされている部分がありますが、そういう緊急事態に少なくても二十分や三十分以内に救急対応できるような、できれば十分以内ぐらいで対応できるような体制なども配慮する必要があるのじゃないか。そのためにはヘリコプターなども活用するような、特に僻地あるいは山の奥の救急医療について、あるいは山林、いわば山の登山を初めとして山に親しむ方々がいっぱい増大をしていくとそういう急患にも対応してきているようでありますけれども、過疎あるいは山奥の集落の急患対策について、近代的な対応として十分検討をいただきたい。  それから豪雪の場合に、じっちゃん、ばっちゃんに雪おろしもできない。除雪もできない。それでこの豪雪、排雪あるいは除雪の救援隊というか、それは広域消防の部分でも検討をしているようでありますが、これらについても配慮をしていく必要があるのじゃないのか。  それから、山村留学を初めとして、これから余暇時代に入ってきているし、山村と都市の交流センターの設置とか、交流を促進するというのが拡大基調にありますが、もっともっとそれを拡大をしていくということについて十分な御配慮を願うべきじゃないか、それを推進をしていくべきじゃないかということを強く要請をさせていただきたいと思います。  それからリゾート開発の問題、これもリゾート法が施行されて五年ぐらいになるわけでありますが、バブルの崩壊などによったり、あるいは経済の減速化などによって大変な問題が惹起をしてきている。それでリゾート法の見直しあるいは相当な規制緩和が行われてきたのでありますが、余りにも乱開発あるいは自然破壊が甚だしい。それらについて、このリゾート法の見直しあるいは開発規制などについて再検討をする必要があるのではないか。  それから、バブルの崩壊や経済の減速によって、もう開発途中で断念あるいは倒産、そのまま放置をされる、これはその地域にとって、自治体にとっても重大な問題なわけであります。これは国においても何らかの対応を図るべきではないかという指摘が多く出されているのでありますが、このリゾート開発あるいはリゾート法関連の問題について、一括してその対応状況なり対応方向についてお聞かせをいただきたい。
  111. 斉藤恒孝

    ○斉藤説明員 リゾート法に基づくリゾート地域整備につきましては、全体としてはまだ緒についたところでございまして、各道府県とも地域の実情に応じまして地域づくりに取り組んでいるところでございます。したがいまして、現時点におきましては、リゾート法制定の趣旨に沿いまして、自然環境の保全等の調和に十分配慮しつつ、地域の特性を生かした魅力あるリゾート地域整備を着実に進めることが重要であると考えております。  リゾート地域整備につきましては、経済情勢の変化等によりまして、一部には当初の予定どおり進んでいないという計画もあるということは聞いておるわけでございます。しかし、リゾート地域整備そのものは、来るべき二十一世紀に向けてゆとりある国民生活の実現の場を整備するために、またリゾート整備による地域の活性化が期待されている地域も多々ございますので、そういう意味で非常に重要なものでございますので、地域整備には長い時間がかかる関係もありますので、長期的な観点から取り組むことが必要だと考えております。  国土庁としましては、関係省庁とも御相談しながら、承認基本構想の進捗状況の的確な把握等を行いまして、フォローアップを行い、長期的視点に立った地域づくりの一端として、地に足のついたリゾート地域整備が進められるよう努めてまいりたいと考えております。
  112. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 緒についたばかりだと、リゾート法関連ですね。あるいはリゾート法によらないいわばリゾート開発、目に余る部分もあるわけでありますから、これは各省庁にまたがる部分があるようでありますけれども、自然破壊あるいは乱開発にならないように、あるいはリゾート法の趣旨が、そういう意味では乱開発や自然破壊につながらないような厳重な配慮をしながら、法の趣旨にのっとって対応されるように強く求めたい。  それから、規制緩和の問題についても、一定程度見直す部分があれば見直していくべきじゃないのか。これはリゾート法施行あるいはリゾート法によらない開発部分、そういう部分も相当あるわけでありますから、これは各省庁にまたがる部分もあると思いますが、十分御配慮されていく必要があるのではないかということを強く要請させていただきます。  それから、公共事業のあり方について、特に四百三十兆円の公共投資十カ年計画、こういうことになったわけでありますが、特に公共事業の平準化の問題というか、特にこれは何年も指摘されてきた問題だとも思います。  積雪地帯は、大体公共事業が発注になるのは早くて九月なんですね。九月から十二月になってくると雪が降るのです。十二月を含めて四カ月間です。雪の中の作業というのは大変だ。これは公費のロスもあるし、事業主も大変だ、働く労働者も大変だ、仕上がりも余りうまくない。それで雪が消えた年度の初めということになりますが、四月から八月までの五カ月間、ずばり言うと、いろいろあるにしても、まあ仕事がない。そういうロスを省いていくということがいわば公費の効率的な運用、投資。それぞれ業界もいいし、働く人もいい。したがって、平準化の問題を真剣に検討してもらう必要があるのではないか。このことについて、施越しの問題とかあるいはゼロ県債の発行の問題とかいろいろ対応について配慮をされてきている部分がありますが、ぜひそれを達成して、公費のむだを省く。そして効果的な投資の仕方を考える。働く人もその請け負う人も非常に効果的だという部分について、ぜひこの実現に改善を加えていただきたいというふうに思いますが、この対応方向などについてお聞かせをいただきたい。
  113. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 建設事業を円滑に実施するためには、今御指摘のように雪の多い地帯などはできるだけ早く事業をしなければならないという問題もございますし、あるいは、建設労働力とかあるいは建設資材というものを安定的に確保していくというためにも、公共事業を平準化していく、建設事業を平準化していくということは、これは非常に大事なことだというふうに私ども考えております。関係省庁におきましても、この平準化の問題につきましては積極的に努力するように地方団体にお願いをしているということも伺っているわけでございますけれども、私どもの方も、そういう点について十分な配慮をしていただきたいということを、かねがね地方団体の方にもお願いをしているところでございます。  平成三年度におきましては、昨年よりもかなり多い団体で、今御指摘の単独事業の一部を前倒しするためのいわゆるゼロ県債なども、前年度に比べるとかなり多い団体がこういう措置を講じているようでございますので、こういうことを活用しながら、今御指摘のような平準化の問題に取り組んでいただきたいと思っております。  また、現在におきましては、特に地域によりましては、地域経済が非常に問題になっているという地域もあるようでございますので、それぞれの経済状況も踏まえまして弾力的な執行を図るというためにも、この建設事業の平準化あるいは早期着工という問題は大変大切な問題だと思っておりますので、私どもも地方団体にこれからも強力にお願いをしてまいりたいと思っております。
  114. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 それは、建設省、農林省を含めて、ぜひ――大臣もいらっしゃいましたから。公共事業の平準化、平準的に施行できるように。特に積雪地帯は、先ほど申し上げたのですが三カ月か四カ月きりないですよ。そういうことでは公費のむだ、公費のロス、やる人も大変だということについて十分御配慮願いたいという要請をしておりましたので、各関連省庁についてぜひひとつ公共事業の平準化に向けて御努力を願いたい、強く要請をさせていただきます。  時間が来たようでありますからやめますが、行政の文化化についても、これは財政的なゆとりの問題もあることでありますが、十分配慮をしていく必要があるのじゃないのか。道路をつくるにしても、橋をつくるにしても、体育館をつくるにしても、学校をつくるにしても、やはり文化的な部面に一定の配慮をしていく、それを高めていくということが各分野において大事ではないかということを強く要請させていただきます。  それから、女性の社会参加が問われておりますが、国家公務員、地方公務員、それぞれの分野で管理職を含めてあるいは各審議会の登用を含めて強く求められて、それなりの努力もされてきているようでありますが、ぜひ女性の行政あるいは政治への参加、社会参加、各分野の参加を含めて、これらの面について十分な御配慮を強く求めながら、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  115. 中島衛

    中島委員長 吉井光照君。
  116. 吉井光照

    吉井(光)委員 まず最初に自治大臣にお尋ねをしておきたいのです。  御承知のように、国家公務員の東大偏重是正についてでございますが、今御承知のように受験シーズンがたけなわでございます。去る二月二十八日の閣議でもって、宮澤総理から東大卒偏重の国家公務員の採用を改善するよう提言がございまして、これを受けて政府は、五年度の採用で上級職については東大卒を五割以下にする、こういう方針を固められたようでございます。こうしたことが大きく報道されて注目を集めたわけでございますが、これは多様な大学から多彩な人材を採用して、そして官僚機構を活性化させようという、官僚のあり方に対する反省から出たものでございまして、また、許認可権を握るところの官庁に東大卒が多いということは、許認可絡みのある民間企業の採用にも東大重視の傾向をつくっている、受験地獄の緩和に役立て、そして学歴社会にメスを、こういう教育改善の突破口の意味もある、このようにも言われておるわけでございます。  その一方で、東大卒の比率を下げても官僚機構は活性化しないだろう、問題の本質をすりかえているとか、また、東大への逆差別になるおそれもあって法的に問題はないか、こういったさまざまな点で疑問視をする声も出ているわけでございます。しかしながら肝心なことは、やはり国づくりとは人づくりだ、このように私は思うわけでございまして、国内の政治課題でありますところの生活大国づくり、このためには、それをつくる人がやはり庶民の心の痛みのわかる人でなければならないし、また、冷戦後の世界秩序の形成のためには、世界情勢をいち早く敏感に察知して、そして即応できる国際センスのある人でなければならないだろう、このように私も思います。  官庁の中でも比較的東大出身者の比率の高い自治省、それから警察庁、所管大臣としてはこの問題についてどのようなお考えをお持ちなのか、この点をお聞かせ願いたいと思います。
  117. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 このお考え方は、宮澤総理自身が閣議の席で述べられたことでございますので、総理の全くの政策であると私は思っております。蓋然的に申しまして、この政策は適宜ないい政策だと私は評価しております。と申しますことは、やはり役所に関係のある人は多様性を持っておる方がいいと思うのでございまして、そういう意味で、一大学に余りにも偏重するということは好ましくないと思っております。特に上級職等においてそれが偏在することは好ましいことではない、できれば多様化する方がいい、こう思っております。  それともう一つは、やはり東大というものがそれだけの世間集中の標的になっているというか目標になっておるということは、これは受験社会、受験生の中から見ましても、やはり東大志向型というのはそういうところから出てくる一つの原因をつくっていることとも言えると思いますし、それを是正する意味においても効果はあるんではないか、こう思います。  そういう点から考えましてこの政策はいいと思うのですけれども、少しちょっと誤解があるような感じがいたしますので正確に申しますと、国家公務員上級職の試験について、試験で合格する者は全くこれは自由競争でございまして、要するに実力のある者は合格してくる、こういうことでございますが、合格者の中から各省がさらに選別をして採用するときに、その資格者の中から多様性を持って採用をしてほしい、こういうことでございまして、試験は全く実力主義でやる、こういうことでございますので誤解のないようにしていただきたい、こう思ってます。
  118. 吉井光照

    吉井(光)委員 わかりました。  次に、島原市に対するところの財政支援についてちょっとお尋ねをしておきたいんですが、先日、島原市議会の雲仙災害対策特別委員会委員長から一通の手紙をいただいたわけでございますが、内容は、相次ぐ火砕流それから土石流等の災害におびえる島原市民また深江町民の窮状を訴えるとともに、今後の雨量次第でより一層深刻の度を増すであろうこの土石流対策に、国としても万全の体制を期してもらいたい、こういう非常に強い要望でございます。特に島原市の財政がピンチに陥っているので力強いやはり国の支援をと訴えているわけでございます。  同市ではこの災害で、災害関連経費が三年度予算で六十億円を超した。そして四年度当初予算では十八億を計上し、全体の一四・八%を占めているということでございます。そして同市の財政調整基金も、昨年までは六億円あったものが、一連の財源補てんのために今は三百万円しか残ってない。そして四年度の財源不足を補うために、退職手当基金それから公共施設整備基金、市債管理基金から計十三億一千万円を取り崩して繰り入れるほか、地方交付税の増額四億円を見込んでいる状態だ、こういうことでございます。  察するに、恐らくぎりぎりの財政状況であろうことは容易に想像がつくことでございますが、こうした島原市の財政の窮状に対して、地方の監督官庁たる自治省としてはどのような救済の手を差し伸べていらっしゃるのか、またいこうとお考えになっておるのか、ひとつ誠意ある御答弁をお願いしたいと思います。
  119. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 市の当局から申してきております。ことは、自治省としては、もう全面的にそれの実現を期するように努力しております。しかしながら、御承知のように、何といいましても市税制はもう全く停滞してしまっておるような状況でございますので非常に苦労しておられると思いますが、ついては県との関係もございますので、きょうも知事が上京されましていろいろとその筋のところへ対策の協議をしておられます。近く宮澤総理が現地を訪問される予定になっております。予算案を早期に上げていただきましたらその後すぐにでも行かれるのではないかと思っておりますが、そのときに知事と市長との間で十分な話し合いが持たれるだろう、こう思っておりまして、その話し合いの結果は、自治省あるいは建設省あるいは国土庁、それぞれの省庁におりてくると思いますけれども、その分につきましては全力を挙げてその実現に努力していきたい、こういうことを思っております。
  120. 吉井光照

    吉井(光)委員 それでは、今回の地方税法改正に関連をいたしまして、自動車に関するところの税制の公平化について若干お伺いしたいと思うのですが、第一は、現在、社会が別名車社会、このように言われておるわけですが、これは地方に行けば行くほどその感が強いわけでございまして、便利な反面、交通事故それから渋滞、環境、貿易摩擦等々の多くの問題を抱えている中で、どう両者のバランスをとりながら共存共栄していくかが今問われているわけであります。  ところで、我が国自動車税制は非常に複雑でございます。とともに、自家用乗用車の税負担が貨物車等のそれと比較をいたしまして国際的に見ても著しく重いわけでございまして、これはやはり生活者という視点から考えますならば、自動車税について車種間等での税負担の公平化を図って、そして自家用乗用車の税負担軽減を図っていいのではないか、このように思うわけでございます。  第二点目といたしまして、今や世界共通の課題となっております環境問題の一つである窒素酸化物によるところの環境汚染でございますが、この主な原因は、割安である軽油、これを燃料とするディーゼル車の普及にある、このように言われているわけでございます。この改善策として、技術開発はもちろんのことですが、今回の改正とあわせまして、軽油引取税リッター当たり二十四・三円、ガソリン税はリッター当たり五十三・八円、この公平な課税を図ってはどうかと思うのですが、以上二点について、自治省のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  121. 杉原正純

    杉原政府委員 自動車につきまして二点のお尋ねでございます。  まず第一点でございますが、自家用自動車と営業用自動車との格差の話でございます。これだけ所得水準が向上いたしまして、また国民の価値観など多様化しまして、自動車に対する欲求もさまざまなものになってまいってきております。かつてのように乗用自動車を所有すること自身が奢侈的であったという時代ではないとは思います。国民の乗用自動車に対する意識も大変変化してきていることであろう、それはそのとおりであろうと思っております。  営業用と自家用につきまして格差を設けておりますのは、営業用につきましては、物価への影響といったような観点に立ちまして自家用に比べて低い税率になっているわけでございますけれども、一方、自動車税全体の税率といたしましては昭和五十九年度以来引き上げていないわけでございます。さらにまた、平成元年度の改正におきましては、特に乗用自動車につきましては、税率構造が全体としてなだらかになるようにというようなことで普通乗用車につきましての税率をむしろ引き下げたということもございまして現在に至っているわけでございます。したがいまして、根本的には五十九年度以来そのままになっているわけでございます。その後の国民生活水準あるいは負担能力からいきまして現行の税率がおおむね妥当でなかろうか、かように考えております。  普通乗用車にかかります税負担のそもそものあり方につきましては、自動車税そのものの性格としまして、大変普及したとはいいましてもやはり資産課税という面が一つにありますのと、道路損傷負担金といった面と二つの性格を有した現在の自動車税ということから考えましても、これからその税負担水準をどうすべきかということにつきまして、車両価格その他の物価水準の動向でございますとか所得の伸びでございますとか、そういったものを総合的に勘案しながら慎重に検討してまいる必要があるのではないだろうか、かように思っておるわけでございます。  なおまた、自動車税そのものが府県の税金といたしましては、事業税、県民税に次ぎます三番目の大きな税収を支えている税目であるということも念頭に置く必要があろうかと思っております。  もう一つお尋ねの軽油引取税の方でございますが、この軽油引取税は、もう既に御案内のとおり地方団体の道路の目的財源として創設されたわ付でございますが、現在地方道路の整備水準が国道に比べますと依然として低い状況にございますし、また、国費の場合に比べますと地方の道路事業費に占めます特定財源の比率が低いということなどから勘案いたしますと、この地方道路目的財源の引き続きの拡充強化の必要性はあるものと考えておるわけでございます。  ただ、環境という点から今お話がございましたけれども、軽油引取税の税率につきましては、使用するのが専らバストラックということもございまして、運賃の値上げあるいは物価へのはね返りといったような経済的な影響というものを十分配慮する必要があろうと思っております。それから、道路目的財源でございますので、今後の地方道路の整備状況など諸情勢を勘案する必要がございます。たまたま来年が次期の第十一次道路整備五カ年計画の策定の年でもございますものですから、それに向けまして各方面の御意見を伺いながら軽油引取税の税率のあり方につきまして慎重に検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  122. 吉井光照

    吉井(光)委員 今道路財源云々とおっしゃいますけれども、大体ディーゼルの乗用車を購入される方々は、燃料がガソリン車と比べて非常に安くつく、したがってこの方が経済的ではないか、こういうことでみんなディーゼル車を購入されるわけです。確かに機能自体も非常に進歩はしてまいりましたけれども、やはりそういったものが環境に非常に大きい悪影響を及ぼしているということから考えますと、私はこの問題はぜひとも前向きでひとつ考えていただきたい、このように思うわけでございます。この点、よろしくお願いしたいと思います。  次は、国保制度の問題について触れておきたいと思うのですが、まず第一点は、継続赤字団体への取り組みでございます。  過去五年間における国保財政の状況を見ますと、徐々に赤字団体は減少傾向にはございます。しかしながら、金額的には赤字団体減少件数と比例してはいないわけでございまして、それは全赤字団体のうち継続赤字団体が約八割を占めているからでございます。こうした継続赤字団体が相変わらず一部の地域に集中しているからにほかならないわけでございまして、どうしたら黒字団体に転換できるのか、まず、その取り組みについてお伺いしたいと思います。
  123. 辻哲夫

    ○辻説明員 赤字団体についての取り組みについて御説明申し上げます。  赤字団体、今御指摘ございましたように継続赤字団体が相当ございますが、平成元年度で申しますと、減りましたというものの百五十保険者ございます。百五十保険者の赤字額が全赤字保険者の一千四十四億円のうち一千三十九億円、大部分が継続赤字保険者の赤字であると言えると思います。その中でも実は上位の十保険者だけで一千三十九億円のうち七百三億円、七割を上位十位の赤字保険者が占めておるといった形で、相当分極化傾向が見られます。  ちなみに、上位七位に一つの赤字の構造的な傾向が見えるわけでございますが、それを大ざっぱに申しますと、一つは老人医療費を原因とした高医療費の地域である。もう一点はおおむね保険料の収納率が低い。この二つが構造的な赤字の理由になっております。  したがいまして、これらの赤字保険者の赤字解消のためには、第一点は高医療費ということがございますので、国保の医療費の審査体制の強化とかレセプト点検の充実といった医療費の適正化対策はもとより、収納率がなべて低いということがございますので、収納率についての特別対策を講じる、それから中長期的には、何といいましても老人医療費の安定化を図る、工ういった形で、具体的には赤字解消基本計画といったものを策定していただきまして、全庁体制のもとで医療費の適正化や収納率の向上といったことに取り組んでいただいております。徐々にでございますが効果はあらわれてきておるというふうに考えております。
  124. 吉井光照

    吉井(光)委員 今御答弁をいただきましたように、国保財政は非常に苦しい。その一つの原因に今御答弁をいただいたような事柄があるわけでございます。  私が昭和六十三年三月三十一日の社労委員会で当時の藤本厚生大臣にお尋ねをしたわけですが、このときに大臣は、一つにはお年寄りが非常に多いということ、二つにはやはり所得の低い人、低所得者が他の制度と比べて多い、それから三つ目には医療費に地域差があるんだ、このように答弁をいただいたわけでございますが、この低所得者に対して実施している保険料の六割及び四割軽減措置状況、これがこの五年間にそれぞれどのような傾向にあるのか、ちょっとお聞かせを願いたいと思います。
  125. 辻哲夫

    ○辻説明員 保険料の軽減世帯でございますが、所得の低い世帯につきまして六割あるいは四割といった軽減を行っておりますが、最近五年間の数字を御報告申し上げますと、昭和六十二年度が、六割軽減が一八・一一%、四割軽減が五・一五%、合計二三・二六%、六十三年度が、六割軽減が一八・二四%、四割軽減が四・九〇%で計二三・一五%、元年度が、六割軽減一九・〇九%、四割軽減四・六四%で計二三・七三%、二年度が、六割軽減二〇・三三%、四割軽減四・一四%で計二四・四七%、それから三年度の見込みでございますが、六割軽減二〇・八二%、四割軽減三・六六%で計二四・四八%と、おおむね全体としては横ばいでございますが、あえて申しますと六割軽減が少し伸びておるという傾向でございます。     〔委員長退席、岡島委員長代理着席〕
  126. 吉井光照

    吉井(光)委員 そこで、この保険基盤安定制度のあり方でございますが、いわば構造的な問題であるところの今おっしゃられた低所得者層対策の視点から、政府は、昭和六十三年に暫定措置といたしまして保険基盤安定制度というものを創設をされたわけでございます。そして、低所得者負担の軽減のために国が二分の一、それから都道府県及び市町村が各四分の一ずつそれぞれ助成することになったわけでございますが、さらに平成二年には国庫負担強化とそれから財政調整交付金の重点配分の見直しが行われたわけでございます。  出生率の低下とそれから超高齢化していく今後の厳しい社会状況の中で、本当にこの保険基盤安定制度でもって対処し得るのかどうか、この点についてはいかがですか。
  127. 辻哲夫

    ○辻説明員 ただいま申し上げました低所得者につきましては、御指摘のとおり、保険基盤安定制度をつくらせていただきまして措置をとっておりますが、やはり先ほどの赤字の状況でも申し上げましたように、老人の医療費の高いところというところが非常にあえいでおりまして、高齢化に対応する具体的かつ合理的な負担システムをつくるということが非常に重要なことだと考えておりまして、これまでも退職者医療制度の創設とか老人保健制度の創設、一連の改革を行っておるわけでございますけれども、特に平成二年度におきましては、高齢者が国保は特に多いということで、各制度の合理的な負担システムとしての老人保健拠出金の加入者按分率を一〇〇%にするという措置をとりましたが、平成二年度の実績を見ますと、決算ベースで市町村の国保の老人保健の拠出金は五百八十八億円、六百億円近く純減いたしております。  そのような効果があらわれておりますのと、平成三年度には、老人医療の一部負担の見直し、あるいは介護要素に着目した公費負担の拡充といったことが行われまして、これによって国保運営安定化はさらに平成三年度も効果があるものと考えられます。  そのような観点から、特に高齢化という一番大きな国保の要素に焦点を当てて制度改善に努力をいたしておるわけでございます。
  128. 吉井光照

    吉井(光)委員 そこで自治省にお伺いするのですが、市町村国保への財政支援の面でございますが、今の地方負担を伴うところの保険基盤安定制度によって低所得者対策を講じていく一方でもって、弱小市町村の国保財政の状況は悪化しているわけです。九〇年度の決算で見ましても、国保全体で一般会計から三千二十五億の繰入金、市町村財政のこれが大きな負担になっているようでございます。  そのために自治省は、来年度から、全国平均より保険料軽減の適用世帯が多い自治体や、それから病床数が多い自治体に対しまして、重点的に地方交付税を約一千億円配分することを決めて、そして各都道府県及び政令措置都市に通知をされたようでございますが、では一体、残りの約二千億強の繰入金があるこの市町村財政はどうされるのか。  またここでちょっと懸念するのが、同じ線引き線上にいながら重点配分される自治体とそして配分されない自治体、これに格差が生じるのではないか。これは、ちょっと気を緩めますといわゆる収納率というものがすぐ落ちてくる、こういう代物でございますから、したがって、こうした格差はかえって線上にいる自治体のいわば改善意欲、努力を阻害をする要因になるのではないか、こういう感じもするわけでございますが、いかがでしょうか。
  129. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 平成四年度の地方財政計画では、今御指摘の国保財政の安定化支援事業というものを計上いたしました。一千億円でございます。  これは今御指摘のように、一般会計から国保会計に約三千億ぐらいの繰り入れが行われているわけでございますけれども、それを一般的に是認するというつもりでこれをやったわけではないわけでございます。あくまでも国保事業というものは基本的には国費と保険料で賄う、こういう基本原則があるわけでございますから、この基本原則を踏まえまして国保会計というものを運営をしていただかなければならないわけでございますが、この国保会計を困難にしている原因の中には、保険者である市町村の責めに帰することのできない事情がやはりあるわけでございます。  例えば低所得者が多いという事情、これは保険者である市町村には責任のないことでございます。また、病床数が他の市町村に比べて非常に多いという地域というものにつきましても、これは別に保険者の責任で多くなっているというようなことでもない。こういう点に着目をいたしまして、これらの要素を一定指標をつくりまして、そして一般会計からの繰り出しといいますか繰り入れといいますか、こういうものをしていかざるを得ないんじゃないか、こういうことで今回この支援事業をやったわけでございます。  したがいまして、三千億円の一般会計。からの赤字がある、そのうちの三分の一を追認する、こういうような趣旨でこの制度を設けているのではないということをまず御理解をいただきたいわけでございます。あくまでも、この国保財政というものの、市町村で責任というか責めに帰せざる部分について、あるいは、保険者である市町村の努力ではいかん上もしがたい要因に限りましてこういう措置を講じたということで御理解を賜りたいと思うわけでございます。  基本的には、国保財政に対する国の責任というものは、これはこの支援措置を行ったことによって後退するものでもございませんし、また、こういうことをやったから市町村の国保財政を厳正にやらないでいいというようなことにはならないわけでございまして、今後とも国保財政の健全化のために関係市町村は努力をしてもらわなければなりませんし、国は国で医療費の適正化あるいは医療保険間の給付、負担の均衡化という基本的な問題について、今後とも精力的に努力をしてもらいたいというふうに考えているところでございます。
  130. 吉井光照

    吉井(光)委員 そこで、今回の改正で国保税の課税限度額が四十四万から四十六万に引き上げられるわけでございますが、この限度額に達する対象者が一体何人ぐらいいらっしゃるのか。どの程度所得の人がこの最高課税限度額を納めているのか。また、限度額はどのような基準、根拠に基づいて決められているのか。さらに、どこまで券引き上げの限界と見ていらっしゃるのか。この点、いかがですか。
  131. 辻哲夫

    ○辻説明員 まず、限度額該当世帯数でございますが、平成三年度におきまして一世帯当たり四十四万円以内といたしておりまして、市町村にお当ましてまた条例で具体的にその範囲内で限度額券定めるという仕組みになっております、実際問題として市町村によって定める限度額は四十四万四の範囲内で、例えば三十三万とか三十五万といったような低いところもございますし、ばらつきがありますが、それのそれぞれの限度額に該当する世帯全部を集計いたしますと、全世帯の九・九五%、百六十七万六千世帯となっております。  それで、限度額についての所得がどのくらいであるかということでございますけれども、これは各市町村ごとの保険料の水準によります具体的な賦課の方式、それから世帯員によってさまざまでございますが、ちなみにモデル計算をやりまして、平成三年度において四十四万円に該当する世帯、四人世帯で平成元年度の全国平均の応能保険料率を当てはめて計算いたしますと、平成三年度における前年所得平成二年度所得で四百三十四万円の方が上限に該当するというような水準になっております。  それで、その限度額の引き上げ考え方でございますが、基本的には、所得が上がるに応じて各被保険者の保険料は上がっていくということになりますので、どの被保険者におきましても同じように上がりますようにというような意味での被保険者間の負担の公平という観点から、所得の伸びを勘案いたしまして四十四万円から四十六万円に平成四年度においては上げるというような考え方でございます。  具体的にそれがどの程度が負担の限界であるかということはなかなか一概に私どもも申せないわけでございますが、所得の伸びたことに応じていただくというような意味で昨今引き上げを行っておるという中で、全体として安定いたしますように、この場で申しましたように高齢化への対応、高齢化に基づく国保の負担要因の軽減、それから低所得者の増大、低所得者に着目する負担要素の軽減といったような改革を繰り返しながら保険料水準の安定化に努めておるところでございます。
  132. 吉井光照

    吉井(光)委員 このいわゆる課税限度額は、もういろいろな物議を醸しておりまして、山口県におきましても、二つの市においては、平成四年度から四十六万円になりますというと四万円アップです。一市については三万円アップ。しかもその対象者、すなわちこの最高限度額納入者のボーダーライン上の人が年収約四百万。サラリーマンの平均年収よりもまだ低いわけですよ。そういう人がこの最高限度額を納めている人の約三一%いらっしゃる。言いかえれば、年収約四百万以上、例えばそれが三千万円であろうが四千万円であろうが今度は一律で四十六万、こういうことでございます。これでは実質不公平ではないか、こういう声が非常に高くなってきている。ところが、自治大臣の地元である大阪府の高石市、ここでは四百万未満が三十五万ですね。四百万から六百万が三十六万、それから六百万から八百万が三十七万、八百万から一千万円が三十八万、それ以上が三十九万。今四十四万のラインですけれども、これがもう一千万円以上で三十九万。それから門真市、これもやはり五百万以上が四十一万、それ以下が三十九万、こういう設定でございます。  したがって、今申し上げましたそういった財政力の豊かなところ、例えばこういうところについては当然その保険者は特別調整交付金の給付は受けていないと思いますが、これはいかがですか。     〔岡島委員長代理退席、委員長着席〕
  133. 辻哲夫

    ○辻説明員 調整交付金についてのお尋ねでございますが、基本的な仕組みといたしましては、調整交付金は、所得が低いところにつきましては、低い所得によりまして納められる保険料は少ないわけでございますので、低いところにより多く出るように、こういう考え方で出ておりまして、具体的には、全国平均から見ますと相当程度所得があって保険料負担能力が高いというところは調整交付金は出ない、これが基本的な仕組みでございます。  それとあわせまして、特別にさまざまな事情があるというようなところにつきましては、特別の事情ということで特別調整交付金を交付しておりますが、基本的には、財政が豊かでありみずからの保険料収納能力があるというところについては、そのようなことから特別調整交付金は交付されないのが原則となっております。
  134. 吉井光照

    吉井(光)委員 それで、国保法の第八十一条、「この章に規定するもののほか、賦課額、料率、賦課期日、納期、減額賦課その他保険料の賦課及び徴収等に関する事項は、政令で定める基準に従って条例又は規約で定める。」こういうことでございますが、これは解釈いたしますと、政令で定めたとおり条例または規約で決めなさい、言いかえれば四十四万のいわゆる最高限度額で設定をしなさい、こういうことですか。
  135. 辻哲夫

    ○辻説明員 八十一条の政令は基準でございまして、その基準に沿ってまたそれぞれ市町村が条例で定めていただくわけですが、その場合の賦課限度額につきましては、限度でやるということで、その範囲であればという趣旨で、その限度額を必ず設定しなければ違法になるというものではございません。
  136. 吉井光照

    吉井(光)委員 そこで、こういった最高限度額の決め方、これがいろいろと答弁をお聞きしてもわかりますように、例えば高石市では三十五万円で済むわけです。これが山口県へ帰っできますと、これが四十四万円かかるわけですね。非常にアンバランスですよ。同じ日本国に住みながら、同じ地位を受けながら、市町村が変わっただけでこれだけの大きい変動があるという。これはもう国民健康保険とうたっているわけですから、もう日本国民であるならば日本の国どこへ行っても、同じ治療を受ければ保険税にしろ保険料にしろ同じであるのがこれは当たり前ではないか、以前から私はこういった疑問をずっと持ち続けているのです。  そこで、収納率の状況と対策でございますが、今さら言うまでもなく、市町村国保の保険料徴収形式には、これは二つありますね。一つは国保法に基づくところの保険料、もう一つ地方税法に基づくところの保険税として徴収する場合があるわけです。御存じのように、この二つの採用状況を見ますというと、税採用団体は全体の約九一%、この割合は長期的に変化しておりません。したがって安定をしているわけでございます。ただし、加入世帯数で見ますというと、税の占める割合が約五二%、それから被保険者数についても六〇%強、このようになっているわけでございます。これはいわゆる政令指定都市などの人口の多い団体が保険料を採用しているためであると思うのですが、大都市への人口集中傾向を反映して、税形式の加入世帯数それから被保険者数の占める割合は引き続き減少していくもの、このように考えられるわけでございます。  ところで、税から料方式に変えたら本当に収納率が低下するのかどうか、これを明らかにするためにはやはり料と税の収納率の違いを見ればいいわけですが、経年的にほとんどの年度で税が料を上回っているものの、その差は一%未満にすぎないわけでございますのであるならば、市町村が心配していると言われる料では収納率が下がるとは言えないことになるのではないか。最近は医療費の増加等に伴うところの税負担の増加から、むしろ税、料ともに収納率が低下している、この方が問題ではないかという指摘さえございます。  そこで、料税別の滞納件数と滞納額はどのようになっているのか、また、収納率向上のために厚生省は、休日夜間訪問収納のための保険料収納率の特別対策事業推進、それから調整交付金によるところの減額措置、それから悪質滞納者の適正な運営等によって努力している、このように昭和六十三年度事業でも答弁をしているわけですが、現状はなかなか改善されていないし、今後の厳しい社会また財政状況から考えますというと、もっと抜本的な手を打っていくべきではないか、このように思うわけですが、いかがでしょうか。
  137. 辻哲夫

    ○辻説明員 保険料の収納率についてでございますが、まずデータ面で料と税でちょっと滞納に関するデータを今持ち合わせておりませんので、改めて御報告したいと思います。  それで、収納率の引き上げについての施策の評価方針でございますけれども、やはり収納率の今の現状を見ておりますと、全国平均で九四・一七%でございますけれども、政策的努力を行えば必ず収納率は上がっていく、もちろん九五とか六とか七とか、もちろん一〇〇%のところもあるわけでございますけれども、上の方へ行けばその効果というのは年々難しくなりますけれども、全国平均九四というのから見まして、現在議論になっていますような九〇とか九二とかいったようなところは、きめ細かな収納のための努力を行えば確実に効果が上がっていっているという実績を私ども評価いたしております。そういう観点から、大変御苦労を伴う制度でございますけれども、幅の広い方法、徴収体制の強化から口座振替あるいは一つ一つに収納に回っていただく等非常にきめ細かな措置を含めまして、基本的な日々の収納の努力によって効果が上がるという考え方に立って、収納率の向上のための努力をお願いしておるところでございます。
  138. 吉井光照

    吉井(光)委員 そこで、先ほど申し上げましたいわゆる料と税の統一問題でございますが、この問題について従来から多くの論議があるわけですが、結論から先に申しますと、私はやはり保険料収納方式で統一すべきではないか、このように思うわけでございます。  なぜなら、第一には、料と税の制度的差異、これは要するに保険料にあっては制度上厳密な法的規制はなく、条例の制定によって市町村が自主的に決定し得る範囲が比較的広い結果、ある程度の協力性が認められるのに対しまして、保険税となりますというと、これは租税としての法的規制のもとに置かれて、三点でそれぞれの基本的な特質があるわけです。しかしながら、この両者の差異は、幾つかの規定を除けば基本的には大きな差はないということでありまして、これは厚生省も自治省も同様の認識を持っていられると思うのです。  それから第二点目としては、国保制度は、加入者がかかった医療費をお互いに負担し合ういわゆる医療保険制度であります。他のすべての医療保険と同様に本来保険料の形で対応すべき性格のものであって、また公平という税理論になじまないものではないかと思う。この点についても厚生、自治両省とも異論はない、このように私は思うわけでございます。むしろ自治体初め住民に医療保険本来の性格を認識して、そして理解し協力してもらうためにも、この料に統一することが大切ではないか、このように私は思うわけでございます。  第三点目として、昭和四十六年の「国民健康保険基本問題に関する懇談会報告」におきましても、「国民皆保険達成後十年を経過した現時点において、国保税という形式を存置させる特段の必要性はなく、標準保険料制度を創設するに際しては、これを廃止することが妥当である。」このようにはっきり明言しているわけでございます。昭和六十三年の国保法改正のときの連合審査会、このときにやはり当時の藤本厚生大臣がこの料税統一問題に触れて、自治省とよく相談して早急に結論を出したい、このような答弁があるわけでございますが、いまだに統一されたという話は聞かないわけでございまして、したがってこの藤本厚生大臣の答弁に基づいてどう相談をし、早急にどのような結論を出したのか、ここらをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  139. 辻哲夫

    ○辻説明員 国保税と国保料についてのお尋ねでございます。  国保税につきましては、昭和二十六年にまさに国民健康保険事業に要する費用が徴収しやすいという認識に立って導入されたものと承知いたしておりますが、本質的には保険料の性格を持つものであると私ども考えております。そのような観点から、私ども、税方式にしてほしいというような指導はもちろんいたしておりませんし、前回の国保法の改正のときに政令で先ほど御指摘のありました八十一条の基準を定めまして、国保税と国保料の間に不合理な違いがないようにという気持ちで政令を制定もさせていただきました。  しかしながら、税方式を選択したいという市町村の声があることも事実でございますので、今後とも市町村の意向を踏まえながら検討してまいりたいと考えております。
  140. 吉井光照

    吉井(光)委員 そこで、先ほど若干触れたわけでございますが、保険料の平準化の問題、これについて三点についてお伺いするわけでございますが、先ほども触れましたいわゆる全国一律の標準保険料制についてでございますが、本来医療保険におきましては、一定の医療給付を受けた場合に、保険者たる市町村が異なることによって保険料の負担水準というものに格差が生ずることがあってはならないはずであります。それが国保では、他の被用者保険と比べ大きな地域格差が生じているというのが現状でございます。この格差是正というものが長い間の大きな政治課題となってきていることもまた事実でございましょう。いわゆる保険料の平準化の問題でございますが、この問題について政府は決まって、国庫負担を通じて調整努力している、このように言われるわけですが、私から言いますれば場当たり的な継ぎはぎだらけの応急対策でしかない、このようにしか思えません。本当の意味での給付と負担の公平化、すなわち医療保険制度の二元化を真に目指そうというのであるならば、この一元化につながるように、まず保険税を廃止し、本来の保険料に統一した上で、全国一律の標準保険料を設定をして、そして国庫負担も標準保険料との関係で決定すべきではないか、このように思うわけでございます。  私の近所の人でも、広島に住んでおったときは月約千円だった。それが山口県に帰ってくると、今度は千七百円強、これだけお金がかかる。これではもう大変だからといって、また広島へ帰っていった人がおる。また、同じ山口県でも、私のところは防府市ですが、これがいわゆる最高限度額が四十三万、山口市が四十四万、トンネル一つ越えれば一万円も違う、こういうこともあるわけでございます。本当に何か納得ができないような、皆さん方から考えれば、ここはこうこうこういうわけで四十四万円、こういうわけで四十三万円とおっしゃるけれども、納める方から見れはこれは一円だって安い方がいいに決まっているわけでございます。  二番目は経営主体の拡大、より根本的な保険基盤の安定を考えるのであるならば、やはり経営主体を拡大をしなければならないと思うのです。都道府県経営について、私は昭和六十三年の国保法改正のときにも社労委員会で取り上げたわけですが、そのとき厚生大臣は、議論としてはいろいろ出てきたが、国保懇における議論としては、現状に即して考えると、個々の住民を対象とする行政であり、やはり市町村の力をかりて運営することが適当ではないかというのが大方の意見だった、このように答弁をされているわけでございます。しかし、現状に即して考えれば考えるほど、市町村単位ではもうやっていけない段階に来ているということを私は言いたいわけでございます。  私は何も市町村の力をかりなくていいと言っているのではありません。経営主体は県であるが、やはり事務処理等は従来どおり市町村に委託してやれば今までどおり何ら支障はないのではないか、このように言っているわけでございます。もっとこれをわかりやすく言えば、金は県でサービスは市町村、これでやったらどうかということでございます。さらに言わせてもらえば、政管健保それから船員保険のように政府自体が国保経営者になるべきではないかと思います。そうすれば、国庫負担だの、やれ財政調整交付金だの、また地方交付税措置だの、このように煩雑でわかりにくい制度、仕組みにあえてする必要がなくなって、もうすっきりとわかりやすい形で、しかも有料道路のプール制の原理でいけば、盤石な国保基盤ができるのではないかとも思うわけでございます。この県あるいは国経営でという点について、厚生省のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  141. 辻哲夫

    ○辻説明員 第一点目の保険料の標準化といいますか平準化についてお答え申し上げます。  平成二年度の実績でございますけれども、保険者の保険料比較をしますと、全国平均で、一人当たりでございますけれども、六万二千百円に対しまして、一番高いところが九万五百円になっておるということで、約一・五倍の水準になっておるというようなことで、保険料の格差というものが国保における一つの大きな問題点だという認識を持っております。  これにつきましては、まず保険者ごとに保険料を設定すると保険者ごとに経営責任を負いますことから、保険者ごとに保険料を設定します場合に、先ほど申しましたように所得の差につきましては、低所得のところへよりたくさん調整交付金が回るようにということで調整いたしておるわけでございますが、医療費の差につきましては、医療費の高いところは基本的にはその高さに応じて、保険料を設定していただくということを前提にした調整交付金の流し方をいたしております。そういうような観点から、基本的には医療費の差というものが一つは保険料の格差につながっている。それからもう一つは、個々の保険者ごとに保険料設定方式が応益割合、応益保険料、それから所得に応じた応能保険料と二種類大きく言ってございますけれども、この賦課割合がばらばらでありますことから、結果として出てくる保険料の負担の形というのは非常にさまざまな形になっている。  こういうような医療費の差に基づく保険料の差とか賦課方法の違いに基づく違いとか、こういったものが混然一体となってこのような格差につながっておると理解いたしております。  しかしながら、これにつきましては、やはり同じ医療費で同じ所得であれば同じような保険料になるべきでありますし、それから、医療費の高いところもなるべく調整交付金をきかして少し圧縮できるようにというような議論がございます。このようなことにつきまして、私どもさまざまな検討をいたしておりますが、例えば調整交付金に関しましては、医療費の高いところに傾斜配分するためには、今医療費が低いところで所得の低いところに出ているような調整交付金を減らさなければならないといったような形で保険者間の利害関係が生じるといったようなことから、さらに検討をしなければならないということで、保険料の平準化は必要であるという認識のもとで引き続き検討いたしているところでございます。  それから、経営主体の広域化の問題でございますけれども、従来よりこれにつきましてはもうさまざまな議論がございまして、御指摘のとおり実際の運用とか、それからこれからは特に高齢化に対応して、老人の医療費の安定ということが国保にとって非常に大きな問題になりますが、それにつきましてのゴールドプランいわゆる十カ年戦略の推進といった市町村の役割を考えますと、やはり市町村による運営が現実的な選択である。しかしながら、そういう状況のもとで、高額の医療については県単位の再保険制度としての共同事業といったものをこれまで導入させていただきまして、小さな規模に伴うリスクを少しでも分散させるようにといった努力をしながらこれまで取り組んでいるわけでございますけれども、現在国会において御審議いただいている健康保険法等の一部を改正する法律案において、医療保険審議会、仮称でございますけれども、国保を含めまして医療保険全体を審議する医療保険審議会を創設することとしておりますので、このような問題についても医療保険審議会における検討課題の一つではないかと考えております。
  142. 吉井光照

    吉井(光)委員 では最後に、この医療費の適正化対策でございますが、政府は、この医療費の地域格差をもたらす最大の原因は年齢構成である、このような観点のもとに昭和六十三年に地域医療費適正化プログラムを創設したわけですが、この三年間でどの程度医療費の地域格差が是正されたのかが一点。  それから、国民医療費の規模でございますが、この点に関する六十三年改正時の私の質問に対して、当時の竹下総理と厚生省は、当面は医療費の伸びを国民所得の伸び程度とする政策目標のもとで医療費の適正化を進めていくとの答弁があったわけですが、現在の国民医療費の規模はどうなっているのか。  それから、新しい医療費保障システムでございますが、これは昭和六十年の厚生白書にうたっていた医療費保障システムの長期安定化内容について、厚生省は、医療費の自然増が大き過ぎる原因が現在の出来高払い制度の欠点にあり、その欠点の主な原因が、薬の問題、検査の問題、入院日数、この三つが医師の裁量によって左右されるからである、このように指摘されているわけでございますが、厚生省としてはそうした欠点を是正する新しい医療システムを考えていく、こういうことでございました。  医療費の適正化ができなければ、この保険料税の統一の問題も収納率向上の問題も、また課税限度額の問題も、何一つ先へ進まぬ話でございまして、ともに表裏一体の関係にあるということはこれは今さら言うまでもございませんが、あえて確認させていただいた上で、あれから三年、この出来高払い制度の欠点にどのようなメスが入れられ新しい医療システムが考えられたのか、以上の三点についてお考えをお伺いして終わりたいと思います。
  143. 辻哲夫

    ○辻説明員 まず、第一点目の高医療費市町村安定化対策のことについてのお尋ねについて御説明申し上げます。これは、昭和六十三年の改正地域差指数、年齢要素で、年齢が高いから医療費が高いという要因を除去いたしましてなおかつ医療費の高いところ、これにつきまして計画を策定して医療費を落としていこうとするための高医療費市町村安定化対策というものを導入させていただいたわけでございます。この実績でございますけれども、まず指定市町村を申しますと、特に医療費の高い指定市町村でございますが、昭和六十三年度以降、一四六、一四七、一三〇、一二二、そして平成四年度は一一一といったように少しずつ減ってきております。あわせてその評価でございますけれども、翌々年度に実績が出ますので、ただいま実績が出ておりますのは六十三年度、元年度、二年度の三年度分の実績でございますけれども、この三年度分の指定市町村について見ますと、およそ三分の二の市町村においてその地域差指数が下がっております。また、三年分でございますので評価、分析はまだ十分できておりませんが、恐らく医療費適正化対策に一つの効果が出てきたものかと考えております。  それから、最近の医療費の規模でございますが、現在平成三年度推計ベースで二十一兆七千億円ということで、二十二兆円に達する見込みでございます。これにつきましては毎年一兆円ずつ増大するという傾向でございますが、問題となるその国民所得との比較で申しますと、六十一年度、二年度は医療費の伸びが国民所得の伸びを上回っておりましたが、六十三年度以降はこれまで医療費の伸びは国民所得の伸びを下回っております。  それから、三点目の出来高払いについての対応の状況でございますが、診療行為に応じて診療報酬は加算されるという出来高払い制には、患者の病状に応じたサービスが行えるという利点がある一方、過剰診療を誘発するという欠点が指摘されておるところでございます。従来よりこれにつきましては、例えば検査の回数がふえますと単価は低減いたしますとか、それから老人の寸介護力強化病棟といっておりますが、介護要員を一定の基準で配置して老人のお世話を十分やるところはむしろ一日の診療報酬を定額制にしまして、必要な薬は使わねばならないわけですが、薬をたくさん使って診療報酬を上げるよりもお世話をすることによって老人の状態をよくする、こういうような形で出来高払いではなくて一日の定額制にする、こんな形で部分的な補正を行ってきております。今回四月一日から施行されます診療報酬改定におきましても、一定のルールがございますけれども、一回の処方でたくさんの薬剤を出すときには低減させるとか、それから、一年以上の長期入院患者につきましての薬剤については、例えば一日二百五十点とするとかいったような出来高払いの修正というものをその都度やってきておりまして、今後ともその短所を是正しながら国民に適切なサービスが提供されるように努めてまいりたいと考えております。
  144. 吉井光照

    吉井(光)委員 終わります。
  145. 中島衛

    中島委員長 吉井英勝君
  146. 吉井英勝

    吉井(英)委員 私は、時間も限られておりますから、きょうは固定資産税そして生産緑地法との関係ですね、それが一つと、もう一つ非課税限度額制度の問題について質問したいと思います。  まず最初に、生産緑地法に関連する問題でありますが、三大都市圏において生産緑地法に基づく生産緑地の申請が出されたその割合というのは、今何%ぐらいですか。
  147. 林桂一

    ○林説明員 改正後の生産緑地の指定につきましては、現在関係地方公共団体で指定に関する農地所有者等の意向把握を行っておるところでございまして、その期限は多くの地方公共団体で三月末ということになっております。したがって、現時点ではまだ全体の量が未確定ではございますけれども、現時点での申し込み状況から判断いたしますと、おおむね三、四割前後の指定になるものというふうに推計しております。
  148. 吉井英勝

    吉井(英)委員 最終的に三、四割ぐらいと推計していらっしゃるようですが、少ないところは一〇%台ですね。二〇%会もありますし、三〇%を超えているところもあります。これは逆に、悪くすると七割から八割の農地農地でなくなってしまう、そういう問題を持っているわけです。  それで、生産緑地法第二条の二には、国と地方自治体の責務というもの、都市における農地等の適正な保全を図ることを義務づけているわけでありますが、一体、この適正な保全を図る計画を立てた自治体は今どれぐらいありますか。
  149. 林桂一

    ○林説明員 都市計画の中におきます緑地の保全の計画ということになりますと、各都市計画区域の中におきまして当該都市計画区域の長期的な見通しに立ちまして緑地の確保計画である緑のマスタープランというものがございますが、これを都市計画法の七条四項の市街化区域及び市街化調整区域の整備、開発、保全の方針に示していくというようなことがなされているわけでございます。この緑のマスタープランにおける緑地の確保の目標水準につきましては、原則的には、市街化区域の面積に対して約三割以上を標準として定めるように各公共団体にはお願いしております。しかしこれはいろいろな形の緑地ということが含まれるわけでございまして、この目標の達成に当たりましては、都市公園等としての緑地の積。極的な整備とか、良好な樹林地等を緑地保全地区として積極的に指定するとか、そういったような方法もあるわけでございますが、今回改正された生産緑地も重要な手段の一つであるというふうに考えておるところでございます。
  150. 吉井英勝

    吉井(英)委員 一番大事な点は、農家の方から生産緑地についての指定の申請があって、そしてそれに基づいて審議をして都市計画決定をするということ、まあ手続上はそうなっていくわけですが、その生産緑地の申請が出てきたときに、いやそこはうちの市としては将来の公共事業用地として、これは農地としてもう少し頑張ってほしいとか、いろいろな計画はあらかじめあってそれで本当に適正な保全を図るということになっていくと思うんです。そういう点で、大きな目標はあるようなお話なんですが、今のお話を伺っていると個々具体のそういう計画というものは全国的にはないようなんですね。  自治体自身を考えてみますと、七割から八割近い市街化区域農地農地でなくなってしまったら一体どうなるか。それは都市における生鮮野菜の供給源が打撃を受けることになりますし、また緑地や防災空間の確保ができなくなります。東京だけじゃなくて、大阪などでも事実上準一極集中とでもいいますか、そういう形で非常に異常な大都市集中が進んでいるものですから、例えば都市部における大規模火災が起こったときの焼けどまり線ですね、これはかって酒田の大火のときなんか焼けどまり線というのが一定の効果をその部分で果たしているわけですが、現在の農地、こういうオープンスペースというものが、焼けどまり線の効果も果たしている、緑地機能とか防災機能とか公害対策機能とか、いろいろな機能を持っているわけですね。また将来の公共事業の用地を確保することを考えたときにも、これがもう既に開発されてしまったらどうしようもないわけですが、農地としてやってもらっている限り、将来確保する上でも一定のめどが立ってくるわけです。そういったことを考えたときに、農地農地でなくなるという問題は自治体行政にとっても大変なことだと思うわけです。  そこで、自治大臣にちょっと伺っておきたいのですが、私は、こういう自治体行政にとっても大変な事態を招きかねないという問題について、大臣はどういうふうに見ていらっしゃるか、大臣の見解をちょっと伺っておきたいと思います。
  151. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 今、吉井さんのお話の中に、農地が一〇%ぐらいになる、そういうことですか、極端なことを言うと。
  152. 吉井英勝

    吉井(英)委員 いや、七割から八割が農地農地でなくなってくる、一〇%台の申請をするところもあるということです。それは市によって違います。
  153. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 それはちょっと極端な話だと思います。(吉井(英)委員「いや、実際に出ている数字」と呼ぶ。)いや、それはまだ最終出ておりませんから。私も随分と自治体と相談しておりますが。しかし、五割以上の農地が開発されていくということ、これはもう間違いない事実だと私は思います。そうなった場合にどうするかということの問題に絞りまして説明いたしたいと思います。  一つは、開発すべきところは、私は、必ず都市計画との関係をより密接にすべきだ、そのためにはその買い上げする地域を優先的に、都市三要件と申しましょうか、道路、下水、公園、これを進めていく、そのためにまず土地の公有化を進めていくべきだ、そういう対策で対処していきたい。残るべき農地、ここはおっしゃるように、環境のいいように保存していく措置を市の方でより積極的に講じていって、農地として、あるいは緑地として残していく方法をとっていくべきだと思っております。  それからもう一つ、開発すべき土地の中で全部が住宅という、そういうことは私は考えられないと思いまして、そこを強く市に指導いたしまして、少なくとも相当な区画の分は緑地として、あるいはオープンスペースとして残すような行政指導もしていきたいと思っております。
  154. 吉井英勝

    吉井(英)委員 土地の公有化ということをおっしゃったんですが、まさに生産緑地としてとりあえずは耕作を続けておいてもらったらまだいいんですが、そうでなくなったときに、公有化ということ、一遍に買うということになったら大変な話になってくるんですね。ですから私は、さっき言いましたように、将来の公共事業用地の確保ということを考えても、急速な農地農地でなくなるという事態についてはよほど、地方自治体のこれからの行政を考えても、真剣といいますか、深刻といいますか、そういう発想を持たなければならないということを指摘をしているわけなんです。  それで、実は大阪府が昨年六月三日に農業者の皆さんと話をしたときに、大阪府が示した最初の「生産緑地地区指定の基本方針」というのを見てみますと、「宅地供給の促進を円滑に図る」というのがその基本方針だったんですね。農業者の皆さんからしかり飛ばされまして、慌てて昨年の九月十日には大阪府もこれは訂正しました。私は、やはり国として地方自治体に生産緑地法の問題についてちゃんとした指導をしてこなかったんじゃないか、この点がかなり気になっているんですが、建設省どうですか。
  155. 林桂一

    ○林説明員 生産緑地地区は、営農行為が行われることによりまして初めて緑地としての機能も果たすという性格のものでありますので、地区の指定に当たりましては、農家の意向を十分尊重して、営農意思の確認をした上で都市計画を定めるということにしておりますが、そのためには制度の周知が不可欠であるというふうに考えております。  したがいまして、生産緑地の指定を行う都市計画担当部局だけでなく、いろいろ農業の実態を十分把握しております農林水産部局、農業委員会、また税務を担当している税務担当部局、あるいは国税の当局とも協力をしていただきまして、説明会の開催、広報等の活用を行うよう、関係公共団体にお願いしておるところでございます。
  156. 吉井英勝

    吉井(英)委員 農業者の方がどう見ているかということを紹介しておきたいと思うんですけれども、建設省は宅地供給法という発想が強い、それから、農水省は建設省に追随しているじゃないか、自治省の方は宅地並み課税固定資産税の増収を図る方の発想がどうも強いじゃないかというのが、農業者の方とお話ししていますと、率直な意見といいますか、感想なんです。地方自治体の中でもやはりそういうふうな見方をしているところがあります。  私は、国自身が第二条第二項に基づいて、「都市における農地等の適正な保全を図る」というこの義務を果たしていく、こういう発想に立って、やはりこの生産緑地法の問題についても地方自治体が、農業者に説明されるときにもっと周知徹底を図るように努力をしてくるべきであったと思うんですよ。それがどうも宅地供給の方に走り過ぎているというのが、大阪府の当初の基本方針にはっきり出ているということを指摘をしておきたいと思うんです。  ところで、この一年間見てみましても、地方自治体の方は、みずからの義務を果たすための独自の生産緑地保全目標というものを設定して、その目標に基づいて農業団体とか農家と相談しながらやっていかなければならないのに、それをやってきていない。そればかりか、農民への生産緑地法と地方税法改正内容について周知徹底を図っているようにはどうも思えない。その結果が、現在申請率がかなり低いということにあらわれているというふうに思うわけです。一体、自治体がどのような内容説明会をどの程度やってきているかということを、つかんでおられますか。
  157. 林桂一

    ○林説明員 個々の自治体がどのような説明会、例えば何回開催したとかどういう規模のもので行ったということについての個別の詳細については、まとめて把握している調査は行っておりません。  ただ、建設省といたしましては、昨年以来、法に関する事前説明会を十一都道府県で開く、あるいはパンフレットを二十八万部作成するとか、あるいは各農業協同組合あるいは農業委員会等に、これは県単位でございますが、出向きまして説明会を行い、また、そういったところからのPR、説明会等の開催等を要請しているということに努めてきておりまして、そのような結果として、かなりの密度で周知徹底の措置がそれぞれのところで図られているというふうに考えて、期待しているところでございます。
  158. 吉井英勝

    吉井(英)委員 少し具体的に伺いたいと思うんですが、これは農業者の方たちともお話ししておりまして、どういう説明をやっているかということをいろいろ聞いてみたんです。そうすると、生産緑地申請をしない場合には宅地並み課税で税額が五十倍から百倍以上くらいになることとか、九四年度から地価公示価格の七割に評価するわけですから、さらに固定資産税が高くなるわけですね。また相続税は、公示価格の八割に対して税率をかけるので億円台になる、そして納税猶予制度が設けられないということになる。こういうことがちゃんと説明されていない、このことを農業者の方たちは指摘をしております。そういうことで申請率は非常に低いんですね。  そこで、例えば大阪府農協中央会や大阪府の農業会議が今、こういうことじゃ大変だということで資料をつくって独自に説明をしているものの中でも、例えば五反の農地をすべて生産緑地指定を受けたときには固定資産税六万三千円だが、これを全部宅地化にすると三百十五万円になる。五十倍ですね。それから、五反の農地をすべて生産緑地指定を受けた場合の相続税は四百六十五万円だけれども、全部これが宅地化となると八億四千万円になる。二百倍近い。そういうものを具体的に示して独自の努力をやっておるんですが、今言いましたように、こういうふうな問題が市の説明の中でちゃんと説明されていますか。
  159. 林桂一

    ○林説明員 生産緑地に指定されましたときの税の取り扱いにつきまして、固定資産税あるいは相続税の制度としてどのような取り扱いたなるかということについてはパンフレット等で明記しておりますので、そういった内容説明はされておるかと思います。個別に具体の税額がどういうふうになるかということについては、もちろんそれぞれのことについて数字が明らかでありませんので、そういった形の説明をこちらの側から積極的にするということは、基本的に全員の方々にするというのは難しいとも思われますけれども、私の伺っている範囲では、例えばそういうことの問い合わせがあった場合には、何倍程度になるかというふうなお答えをしているという公共団体もあるように伺っております。
  160. 吉井英勝

    吉井(英)委員 現場はそこのところがちゃんと説明されていないというのが実態なんです。  それから、生産緑地申請をした場合にはどうなるかということで、今度は三十年営農の義務づけと言っておりますが、実際は農業ができない事情が生じた場合には市に買い取り請求を出して、市が買い取るときは農地価格じゃなくて宅地に準ずる価格、時価でということですね。それから、請求後三カ月過ぎたら自由に転用できるということになっているわけですが、ところが実際には三十年間縛りつけられるものではないんだということを、市の方はちゃんと説明していないんですよ。ですから物すごく不安に思っておられるんですね。それがまた申請が非常に少ないという事態になっているんですが、この点、ちゃんと市の方は説明しているというふうに建設省つかんでおられますか。
  161. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 建設省は恐らく現場を知らないと思いますよ。私の方がよく知っていますから私が答えた方がいいと思います。  それは説明に行ってないと思いますよ。それはそうだと思います。そういう心配があるのです。それは市の方がきちっと説明をいたしましても、農家の方が迷ってしまっているのです。本当は農家が迷っているのです。だから、農家と市当局がもう少し親密に話をする必要があると私は思っております。その際に、おっしゃるような要件が全部出そろっていかなければいかぬ。ところが、相談に来る農家が全部年配者ですから、年いっている方ですから、その方が自分の将来の問題、相続の問題、こういったいろいろなものが絡んできまして、だから、事態は知っているのですけれども、どちらに進むことが有利なのかということで迷ってきて、その結果、恐らく一回共産党でも相談に行ったらまたすぱっとしたことを言ってくれるかなと思って行くのが多いのじゃないかと思いますけれども、私は、もう一度市の方が呼びかけて、今現在進行しています、やっていますから、もうしばらく事態の推移を見てほしい。  ですから、私が冒頭に一〇%というのはどういう根拠ですかと聞いたのはそこなんですね。だから、今のところは迷っている人が多い状態においていろいろとおうちの方で推測されたらそういう数字が出てくるかもわかりませんけれども、しかし、実態はまだそこまでもいってないということでございますので、吉井さんのおっしゃるように十分市の方がより一層密接に話し合いをするように、私の方からも指導いたします。
  162. 吉井英勝

    吉井(英)委員 自治省の方が多分市の方を指導しておられるというふうに私は思ったんですが、どうも事前のレクの段階で、やはりそこは建設の方でということですから伺っておりましたので。なお、これは二月二十一日付の日経に、一〇%台というのは例えば取手市であるとか岡崎市とか四日市市とか出ているわけです。私の推測じゃありませんので。推測で物を言っているわけじゃありません。  それで、大阪でも八尾市のように、農家にダイレクトメールを送って親切によく説明をやっているところはやはり六割を超えているんですね。ところが、ほとんどの自治体はやはり十分な手を尽くしていない。大体聞いておりますと、市主催は一回きりで、しかも大阪府のつくったマニュアルの棒読みで終わってしまっている。よくわからないという事態なんですね。他方、不動産屋や建設業者の方は、指定されますと三十年間動かせませんよ、指定解除を申し出るとそれまでの分の税金が一遍にかかってくるんだ、市に買い取ってくれと言ったころはもう農地価格だから安いので損じます、こういう間違った説明に個別に行ってやっておるものですから、だから農家の皆さんが本当に迷ってしまって申請率が非常に少ない、これが将来のそれぞれの都市の過密化した中での都市計画上も随分大変な問題を引き起こしているということを私は申し上げているわけであります。  ですから、大臣今おっしゃいましたけれども、自治体に対して、生産緑地法の問題ともう一つ地方税法改正内容と結びつけて、どこがどういうふうに問題として皆さん心配しているところはどうなんだ、そこをもう少し親切でわかりやすい説明をして指導していくということが大事なわけです。大阪府の場合は十八日からさらに今月末までありますし、市によっては四月に入ってからと言っているところもありますが、大臣、十八日からということで時間がありませんから、緊急通達というか、通達というのはあれかもしれませんが、緊急指示を大臣の方からも出してもらって、三大都市圏を抱えたところで、本当に農家の皆さんに腹に落ちてどうするかという判断をしてもらうとともに、もう少し生産緑地申請がふえるような手だてというものを、判断されるのは農家の問題になってきますが、そういう手だてを尽くすように大臣としてぜひ取り組んでいただきたいと思いますが、そこのところだけちょっと伺っておきます。
  163. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 えらい勝手な話ですけれども、私の選挙区のところへ行きますと、各市町村にずっと連絡が行っておりますが、農地として保有する希望が大体五〇%を超えております。  確かにおっしゃるように、今は役所の文書がむちゃくちゃ難しいのです。読んでも全然わかりません。専門家同士、役人同士だったら、それで責任逃れといいましょうか、突っ込まれてもこういうぐあいに説明できるということでやっていますから、それはそれで通じると思うのですが、一般の者は全然わかりません。おっしゃるとおりです。ですから、あれをかみ砕いて説明しなければいけない。だから、市役所の担当の者は知らないのじゃないかと思う。中身に何が書いてあるかわからぬ、私、そうだと思いますよ。難しい。課長補佐の文章というのはみんなそうなんです。局長ぐらいになると少しはわかりやすい文章を書くのですけれども、課長補佐の通達で行っていますから、これは私も読みましたが全然わかりません。だから一回かみ砕いて説明するように、私はそういう指導をいたします。
  164. 吉井英勝

    吉井(英)委員 大臣は現場もよく御存じですから、今おっしゃったように現場の課長さんが読んでもわからないようなものを、とてもじゃないけれども農家の皆さんに理解してもらうのは大変なんです。  そこで私は、周知徹底に努力してもらうとともに、既に農業者の方から地方自治体や議会に対して、三十年営農義務の条項を、通常の都市計画のサイクルは大体十年なんですね、五年ごとにローリングというのをやりますね、そういうふうに改めてほしいとか、五百平方メートル以上の農地という面積制限条項を生産緑地を希望する農地すべてに改正してもらいたいというふうな請願なんかも寄せられて、今三月議会なんかでも随分議論になっておりますが、大臣に、この二つの要請内容を生かした生産緑地法の改正を図る、大阪都市圏なんか深刻ですから、そういう立場で関係大臣に働きかけてもらうなど取り組んでいただく、そういうお考えはないかどうか、これをこの問題の最後に伺っておきたいと思います。
  165. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 今おっしゃった要件は、法案の非常に中心的な根幹となるものですから、これを変えるわけにいかないと思います。変えられません。しかし指導いたします。ただ、吉井さんも現場をよく御存じだと思うのです。例えば開発すべき用地として指導しておるのは、下水道計画が中心となりまして、この流域が十年後においては大体この地域までいける、十五年後には大体こういう地域まで拡大できる、したがってこの土地を優先的に市街化に持っていきたい、だから開発すべきものとして、あるいはこちらの方はまだ都市計画がなかなか進まないから農地として保有をしてほしい、そういう個々の指導も市町村においてやっていますから、そこは要するに市と農家との信頼関係なんです。信頼関係説明はもう少し親切に市町村がやるべきだと思います。  私もいろいろ聞きましたけれども、あれは全然わかりません。ですから、おっしゃるようにもう一度関係市町村に、もっと綿密な打ち合わせといいましょうか、説明もし、農家との間の話し合いもするように通達もし、指導していきたいと思います。
  166. 吉井英勝

    吉井(英)委員 それで、次には、少し時間が短くなってまいりましたが、非課税限度額制度について伺いたいと思います。  一九八一年に、住民税所得割課税最低限が生活保護基準を下回る事態が想定されたことからこの制度を導入したわけですが、しかし八八年度になりますと、課税最低限が非課税限度額を上回ってきた。それ以降は、課税最低限が生活保護基準額はもちろん、非課税限度額も上回っているわけですね。ですから、もう八一年度のこの制度を、当時の大臣が本年度限りと言ったときは地方財政上の事情があった、財政上の事情があったわけですが、しかし今日は、今年度四千億、来年度は八千五百億の交付税を国に貸し付けるというような財政余剰という言葉が使われるような状態になっているわけですから、いつまでも非課税限度額を続ける必要はなくて、むしろ課税最低限の引き上げによって、財源余剰が出ているのですから、積極的に減税を進める、こういうことができるときなんですから、この非課税限度額制度というものを続ける必要はないんじゃないかと思うわけですが、この点についてのお考えを伺いたいと思います。
  167. 杉原正純

    杉原政府委員 今ちょっと例示でおっしゃいましたが、世帯の類型によりましては、残念ながらまだ非課税限度額の方が課税最低限より上回っているという類型があるわけでございまして、そういう世帯類型については、非課税限度額制度を直ちに廃止してしまいますと増税になる対象者が出てくるわけでございます。したがいまして、今直ちに非課税限度額制度を廃止するのはできない、かように思っております。  さらば、今お説のとおり、課税最低限をもっと上げたらいいじゃないか、こういうことでございますが、平成三年度も六千五百億円、平年度ベースのいわば減税を住民税としてさせていただきましたけれども、さらにということになりますと、現下の財政状況から見まして大変困難である、かように考えておりまして、課税最低限を今直ちに上げるというわけにはいきませんものですから、低所得者への配慮としての非課税限度額制度はやはり浅さざるを得ない、かように考えておる次第でございます。
  168. 吉井英勝

    吉井(英)委員 八一年三月の地方行政委員会でも、当初の自治省のお話は、今おっしゃったように、いかなる家族構成であっても生活保護基準所得の人には住民税はかからないように、矛盾を解消するために非課税限度額制度を設けるんだと言ってはりましたね。ところが、今度の分で見てみるとどうなるかということですが、母と子一人、これで生活保護基準額、これは母子加算がありますが、百七十七万八千円、これはちゃんと厚生省の方で計算してもらいましたから。これに対して改正案は百五十二万円ですね。だから生保基準より非課税限度額が低いのですね。それから母と子二人、これは厚生省の試算で二百二十一万四千円、これに対して百九十六万四千円。それから母と子供三人の母子家庭、この場合二百五十八万五千円が生保基準です、これは父子家庭の場合も同様になるわけですが、これに対して二百四十五万円。ですから、今おっしゃったのは、こういう矛盾を解消するためには非課税限度額制度がやはり必要なんだ、役割を果たしているんだというお話なんですが、実は今私が挙げました三つの実例について見ただけでも、既に矛盾を来して役割を果たしていないということになるわけですね。  ですから、もう時間が来てしまいましたので、もう一度私はこれは大臣にぜひお考えいただきたいと思うんですが、この減収額を大きくしないようにという発想といいますか配慮から非課税限度額制度が非常にだんだん複雑になってきているんですね。家族数に一定額を掛けた数字、これを限度額に使っていたんですが、八二年度からは加算額がプラスされる、その家族数に掛ける数字り方も少しずつふやし、加算額も少しずつふやす。かつて消費税のことを議論したときに簡素な税制度ということを言いましたね。ところがだんだん複雑になってきているんですね。  ですからこの際、やはり複雑な措置をとるのではなくて、課税最低限の大幅な引き上げによって、もう実態からしても非課税限度額制度そのものの必要性をなくするように、私はそういう方向へやはり持っていくべきだと思うんです。この点について最後に大臣のお考えを伺って、時間が参りましたので、質問を終わりたいと思います。
  169. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 目標として理想的におっしゃったことはわかりますけれども、やはり税の公平で公正を期すということは一番大事だろう。そのためにはいろいろな計算が必要になってくることで複雑化したと思いますけれども、できるだけ簡素化のためにも努力していきたい。要は公正を期すということだと思っております。
  170. 吉井英勝

    吉井(英)委員 時間が参りましたので、終わります。
  171. 中島衛

  172. 高木義明

    高木委員 私は、二、三の問題につきましてお尋ねをします。先ほどからの議論と重複する点もございます。しかし、立場を変え、しかも確認の意味も含めてさらにお尋ねするわけでございます。  まず、市街化区域農地の宅地並み課税についてお伺いをいたします。  御承知のとおり第百二十回国会におきまして成立をしました地方税法改正法におきましては、三大都市圏特定市内の市街化区域農地に対する課税が見直されております。原則として平成四年度以降宅地並み課税を行うこととされましたが、いわゆる生産緑地法に基づく生産緑地内の農地とされたものについては、一般農地として課税されることになっております。農地としていずれかを選択する必要に迫られているわけでありますけれども、先日の新聞報道などによりますと、農地として申請する件数が激減をしている。地方公共団体はそういうことから、緑地保全という観点から大変一方で危惧を抱いておるという状況にもあります。  実際、宅地として申請するケースと農地として申請するケースの比率が一体どうなっておるのか、この点について具体的な状況をお聞かせをいただきたい。
  173. 林桂一

    ○林説明員 生産緑地の指定につきましては、現在農地の所有者の意向を把握をしている段階でございますが、そういった状況でございまして確定的な数字ではございませんが、現時点における申し込み状況から見て、おおむね三、四割前後の指定になるものと推測しております。この数字につきましては、当初生産緑地法の改正の際にいろいろなアンケート調査等から推計した数字とおおむね一致しているというようなことでございます。
  174. 高木義明

    高木委員 これに関連をしまして、いわゆる地方公共団体が条例等によりまして、宅地と申請する場合の税負担軽減措置を模索する動きがあると私は一部に聞き及んでおりますが、その場合、前回の生産緑地法の趣旨に沿って問題はないのか、この点について御所見を賜りたい。
  175. 杉原正純

    杉原政府委員 お話しのような動きが一部にあることを私どもも聞き及んでおります。平成三年度の生産緑地法の改正あるいは地方税法改正によりまして、宅地化する農地と保全する農地とはっきり明確に区分いたしまして、それに応じた課税をしっかりやっていく、こういうことで制度をお決めいただいたわけでございますので、その制度趣旨に沿った運用がなされなくてはいけないと思っております。一部のとこみで、宅地化する農地というふうに仕分けされるものについて農業継続といったものを前提にしたいわば一種の助成策といったようなものも模索されているようでございますが、それはやはり今の生産緑地を含みます保全する農地という仕分け、それから宅地化する農地というその仕分け作業そのものに支障を来しますし、そういった新しい都市計画考え方に沿わないものであろうと思います。また、税制の面からいきましても、宅地化する農地とされたものにつきましては、周辺宅地との税負担均衡ということから宅地並み課税ということに決めていただいているわけでございますので、その税額の一部をいわば何らかの形で、名目のいかんを問わずバックするような形で助成するということは、趣旨に反するものと私どもは考えております。
  176. 高木義明

    高木委員 もしそういうことがあった場合には、いかが対応されるでしょう。
  177. 杉原正純

    杉原政府委員 そういう動きが一部ありますものですから、先ほど申し上げましたように、これは平成三年度の法律改正趣旨に反するのではないかということで、ぜひ再検討をということで関係地方団体にも要請をしているところでございます。
  178. 高木義明

    高木委員 農地として申請されるケース、これが激減をした場合、これは宅地供給という観点からは非常に喜ばしいわけでございまして、それはそれなりの趣旨に合致するものでありますが、同時に一方、いわゆる緑地保全、先ほども申されておりますように、オープンスペース、こういったものの確保の観点からすれば非常に問題があると私は思います。緑地保全はある一つの重要な政治の課題でもございますので、こういった緑地保全のためにどういうことを今後おやりになるのか。具体的な施策がありましたら、そのお考えを賜りたい。
  179. 林桂一

    ○林説明員 都市計画区域におきます緑地の保全につきましては、緑のマスタープランなど長期的な整備、開発、保全の方針に位置づけられました計画の中で目標の水準を定めております。原則として市街化区域面積におおむね三〇%以上を確保するということで公共団体を指導しておりますが、具体的にはその目標は各公共団体で定めることとしているところでございます。  また、こういった定められました目標を実現するために、公園の整備あるいは良好な樹林地等を緑地保全地区等に指定する等による保全の措置を図ること、さらに今回の改正によります生産緑地を指定すること等によりまして、これらの目標を達成していくということで公共団体に指導をしているところでございます。
  180. 高木義明

    高木委員 次に、固定資産税について伺います。  自治省は、固定資産税評価水準につきましては、これまで平成六年度評価がえにおいて地価公示価格のおおむね七割程度を目標に評価均衡化適正化を行う、こういうことを言っております。現在、固定資産税評価額は全国平均で公示価格の三六・三%であります。これを七〇%まで引き上げると、単純計算でいつでも全国平均の約二倍の引き上げ、こういうふうになり、特に地価の高い東京を初めとする都市圏というところは、約三倍から四倍ぐらいのアップになる場合があるのではないかというふうに思われております。いわゆるバブル経済による狂乱地価のツケを住民に押しつけない、負わせない、こういう意味からも、これまた大切であります居住用住宅土地については思い切った負担軽減措置を図るべきだ、このように私は思っておりますけれども、まず、この点についての御見解を再度お聞きします。
  181. 杉原正純

    杉原政府委員 次期評価がえてあります平成六年度の固定資産税評価に当たりましては、土地基本法十六条の趣旨あるいは土地対策推進要綱の趣旨に沿いまして、余りにもばらばらの評価であり、かつ評価レベルが一般的に大変低い固定資産税の特に宅地の評価につきまして、やはりしっかりした評価をするということによって、固定資産税そのものに対する国民の、住民の信頼確保したい、こういうことで評価均衡化適正化を図ろうといたしておりますが、それは今申しましたように、あくまでも評価均衡化適正化ということ自身が大きな目的でございますので、その評価がえによりまして、おっしゃいましたような二倍だ、三倍だというような税負担の増になることは到底考えられない話でございまして、評価均衡化適正化に伴います税負担につきましては、急激な負担の変更が生じないように、総合的かつ適切な調整措置を講ずることが必要だろうと思っております。  特に、例に出されました居住用の住宅用地といったようなものにつきましては、当委員会の特別決議でもお触れになっていただいておるわけでございますので、十分配慮をし、税負担に適切な配慮をするようなことを五年度税制改正に向けて検討してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  182. 高木義明

    高木委員 この固定資産税評価額地域間でかなりまちまちばらばらでございますが、これを七割に引き上げるということになりますと市町村間に新たな格差の拡大というものが出てくるのではないかというふうにも思われますけれども、この点についてはいかがお考えでしょうか。
  183. 杉原正純

    杉原政府委員 評価がえに伴い市町村へ特に財政格差についてどのような影響を与えるかということにつきましては、まずは、その評価がえの作業自身がことしの七月一日を基準日にしてスタートいたすわけでございます。これからの地価動向、それを踏まえました評価状況といったもの、そしてそれを前提にいたしました先ほど申し上げましたような税負担の調整方法いかんによるわけでございまして、それらがまだ未定の現時点におきまして、格差が広がるとかあるいは狭まるということを申し上げるわけにいきませんけれども、評価がえの状況を見ながら格差の是正、拡大につながらないような適切な対応をしてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  184. 高木義明

    高木委員 この固定資産税に関連しまして、地方公共団体の固定資産税課税ミスの問題についてお伺いしますが、最近マスコミでも地方公共団体による固定資産税課税ミスに関連した報道が多くあります。この問題は以前からも言われておるのでありますが、これらは氷山の一角ではないかな、私はこのようにも思っております。自治省としてどの程度課税ミスの実態を把握しておられるのか、お聞きをしておきたいと思います。
  185. 杉原正純

    杉原政府委員 御指摘の固定資産税課税誤りがあったということにつきましては、本当に住民の税務行政に対します信頼を損なうものでありまして、大変遺憾なことであると思っております。  課税誤りの内容につきましては、住宅用地に関しまして現在いろいろな特例があるわけでございますが、そういった課税標準特例措置の適用をいわば計算誤りといいますか、そういったものが最も多いようでございますが、そのほかにも所有者の認定誤りでありますとか、あるいは既に滅失した家屋に対して引き続き課税していたというような誤り、そういったものなどがございまして、態様が非常に多種多様でございますので、その悉皆調査というのは行っておりませんけれども、いろいろな報告を受けておりまして大変遺憾に思い、さらに指導を厳しくしてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  186. 高木義明

    高木委員 言うまでもなく、住民の税に対する信頼を確立するためには、私はこういったものの一層のチェックの徹底というのが大切であると思いますが、具体的に地方公共団体に対してどういうふうな御指導をしていくのでしょうか。
  187. 杉原正純

    杉原政府委員 固定資産税課税誤りがあった点につきましては、先ほど申しましたように、住民の税務行政に対します信頼を損なうことになりかねないわけでございまして、大変遺憾なことでございまして、今後こういうことのないように、具体的には現地調査を徹底するとか、あるいは土地と家屋がよく連動いたしておるものですから、その土地と家屋のデータの相互連係といったようなものを電算システムでチェック体制を整えるとか、あるいは航空写真を活用するとか、さらには大事なことは、職員自身の研修を充実させるということが必要でございますので、こういった点を強調いたしまして、ますます課税作業が増大する中で効率的でかつ適正な課税確保されるように、地方団体をさらに強力に指導してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  188. 高木義明

    高木委員 固定資産税課税ミスに対するいわゆるその後の還付については、還付請求権の五年という問題もありまして、時効になった件については地方公共団体によって対応はまちまちでございます。自治省として、時効となった件について例えば国家賠償法を適用するなど一律に対応すべきと考えますけれども、その点についていかがでしょうか。
  189. 杉原正純

    杉原政府委員 固定資産税課税誤りによります過誤納金のうち消滅時効に係るものの取り扱いにつきましては、最高裁の判決もございまして、地方税法上は還付措置を講ずることはできないものだと思っております。  ただ、税として還付できないといたしましても、納税に対します住民感情といったものを配慮しまして、その信頼確保するために何らかの措置がとれないかというような観点から、現実に過誤納金の発生いたしました横浜市とか神戸市におきましては、法律学者などによります研究が行われまして、地方自治法二百三十二条の二の規定に基づく支出でありますとか、あるいは今お触れになりました国家賠償法に基づく補てんが法律的には可能であるという旨の報告が取りまとめられた次第でございます。実際、個別具体のケースになりますと、国家賠償法も過失を前提といたしておりますから、個別具体的には地方団体におきます過失の有無などの実態に即した判断が必要であろうとは思いますけれども、自治省としましては、そういった今の研究報告などを全地方団体に通知をいたしまして、適切な対応ができるよう指導しているところでございます。
  190. 高木義明

    高木委員 次に、自動車税に関連をする問題に移ります。  今回の改正では、公害防止対策の観点からいわゆる地球に優しいという意味合いを含めて、低公害車であるメタノール自動車の普及促進のために、自動車税軽減措置適用期限を引き続き二年間延長するとしております。今までの軽減措置によってどの程度のメタノール車の促進に役立ったか、効果があったか、この点についてどのように把握をしておるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  191. 谷口恒夫

    ○谷口政府委員 メタノール自動車にかかわります自動車税軽減措置特例でございますが、これは昭和六十一年度に創設されまして過去二度にわたって延長してきたところでございます。  お尋ね実績でございますが、昭和六十一年度には十五台でございました。しかし、平成三年末に百九十九台というふうにふえてございます。もちろんこの台数の増加すべてが税制面の支援によるものかどうか不明でございますが、側面的には効果があったものと考えでございます。
  192. 高木義明

    高木委員 私は、促進に大きく役立った、こういうふうには思えないわけであります。いわゆるメタノール車促進のために自動車税軽減をするといえば聞こえは非常にいいわけでありますが、その内容を見てみますと、乗用車、一リッター以下、軽自動車についてでありますが、メタノール営業用車七千円に対し一般自動車七千五百円、メタノール自家用車二万五千五百円に対し一般自動車二万九千五百円と、それぞれわずか五百円と四千円しか差がないわけであります。これで本気でこのメタノール車を普及させようと考えておられるのか。とにかく環境問題が叫ばれておる今日、ただ建前じゃなくて実態としてそのようなものが実を結ぶようにすることが大切であろうと私は思っておりますが、その辺のところについていかがお考えであるのか、お聞かせをいただきたい。
  193. 谷口恒夫

    ○谷口政府委員 メタノール自動車の普及促進のために各関係省庁におきまして、その普及に係る車両、燃料の供給体制の整備等環境条件の整備を図る、あるいは関係者の御理解を深めるような努力をしているというふうに聞いておりますし、さらに今後一般ユーザーへの普及を促進していくというふうに聞いておるところでございます。税制上の措置は、これらの普及促進を側面から支援する措置一つでございまして、現行以上に税率軽減するということにいたしますと、道路損傷負担金的な税である自動車税等の性格あるいは納税者の負担の公平の観点ということから適当ではないというふうに考えておりますので、御理解いただきたいと思います。
  194. 高木義明

    高木委員 私は、先ほど申し上げましたように、もう少し深くわかるような形で軽減をすべきだと強く要求したいと思うのですが、再度、この点についていかがお考えか、どうでしょう。
  195. 谷口恒夫

    ○谷口政府委員 先ほども申しましたように、自動車税というのは自動車が道路を走る、そのことによって道路を損傷する、そういった道路損傷の負担金という性格が非常に強い税でございます。したがいまして、できるだけ道路を損傷するものについては例外をつくらないというのが第一の原則でございます。そういう意味で過去から、御指摘のように五十九年改正前の税率メタノール自動車には使うということで今日まで来ておるわけでございまして、そういう先ほど申しましたような税の負担の公平という観点からはこれ以上の軽減というものはいかがなものであろうかというふうに考えておる次第でございます。
  196. 高木義明

    高木委員 同様に、自動車排気ガスによる環境に対する影響抑制する、そして買いかえを促進するために、昭和五十四年自動車排ガス規制に適合するディーゼルトラックディーゼルバスを廃車して新たに昭和六十三年以降の自動車排出ガス規制に適合するトラックバスに買いかえる場合、自動車取得税を現行税率から百分の一控除した傘とするとか、あるいはまた、平成五年度自動車排ガス規制に適合する自動車に係る自動車取得税税率を規制前の取得に当たっては一%、規制後の取得に当たっては〇・一%軽減する特例措置を創設する、こういうふうにしております。しかし、金額的には微々たるものでありまして、到底これでは私は買いかえが促進されるとは思っておりません。だから、もう少し私は深く善処すべきではないかと思うのですが、この点についていかがでしょうか。
  197. 谷口恒夫

    ○谷口政府委員 今回環境対策の観点から買いかえ特例制度を創設しようとしておるわけでございますが、この点につきまして環境庁あるいは運輸省におきましては、この軽減措置によりまして、昭和五十四年規制車のディーゼルバスディーゼルトラック、これを廃車するもののうち、おおむね六割程度は最新規制適合車に買いかえるものというふうに予想しておるところでございます。さらに、関係省庁におきましては、これらの買いかえを促進するために関係業者及び関係者に対しまして早急に実効性のある強力な指導を行うというふうに聞いております。私ども、税制面における措置はこれらを側面から支援するものでありまして、税制の措置だけですべてを解決できるものとは考えていないわけでございます。  また、御指摘のように一%というといかにも小さいような印象を与えますが、三%のものから二%を引く、あるいは三%のものから一%を引くというようなものでございますので、大きな取得価格を要するバス、ドラックにつきましてはかなりな軽減措置になるものというふうに考えておるところでございます。
  198. 高木義明

    高木委員 私は、税制面だけでこれらのことをすべて解決しようなんというのは初めから申し上げておりません。やはりこれは側面的なものでございまして、国として総合的に低公害車の普及というのは今大切な課題だと私は思っております。したがって、きょうはこういう委員会でございますから、特に関連をした問題について取り上げたわけでございまして、ぜひ今後とも総合的な見地に立って、この税制につきましても趣旨が十分図られるような、実現するような、促進されるような、そういう立場でさらに御努力をお願いしたい、御要望申し上げまして、私の質問を終わります。
  199. 中島衛

    中島委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
  200. 中島衛

    中島委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。中沢健次君。
  201. 中沢健次

    ○中沢委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案につきまして、政府案に賛成の討論を行います。  政府地方税法改正案は昨年度に比べ小幅な改正にとどまっていながらも、来年度以降利子課税等の見直し、固定資産税評価がえに向けての議論等重要な改正が控えており、日本社会党・護憲共同は、問題点を指摘しつつも今後積極的な改善がなされることを期待し、政府案に対し賛成することにいたしました。  以下、我々の考える問題点につきまして簡単に述べることといたします。  問題点の第一は、非課税等特別措置が整理されているとはいえ、地方税における不公平の是正はまだまだ不十分であるという点であります。例えば、従前から不公平税制の象徴であると言われてきた社会診療報酬に係る特別措置も存続しており、なおマスコミ関係七業種の非課税措置廃止に係る経過措置の再三にわたる延長もなされております。またさらに、国税の特別措置影響や他の法律による特例措置も縮減を進めていかなければならないと考えます。  第二は、地方税源の拡充策に積極性がない点であります。今後の地方税収動向を踏まえ、また地方自治体の果たす役割、累積七十二兆円に上る借金を抱え厳しい地方財政状況等を考えますならば、住民の負担を軽減しつつも、地方税財源の安定的確保が図られなければなりません。そのため、国と地方の積極的な税源配分の見直し、課税目主権の強化等地方税源の拡充策が求められておりますが、それらについてはほとんど考慮されていないのであります。例えば事業税の分割基準の見直しや、かねてから要望の強い外形標準課税の実施などを真摯に検討すべきではないかと考えます。  第三に、住民税減税が盛り込まれていないことであります。基礎控除、給与所得控除もここ数年据え置かれたままであり、せめて国税並みの非課税限度にすべきであります。  政府案は以上のような問題点を含んでおりますが、一方、政府案にも評価すべき点がないわけではありません。  例えば、三大都市圏市街化区域農地に係る固定資産税及び都市計画税について、徴収猶予、仮算定措置を講じ、長期営農制度廃止に伴う課税の円滑化を図るとされている点であります。これは九一年度の税制改正では、宅地並み課税実施後も生産緑地に指定されれば農地課税が適用されることとされておりましたが、生産緑地指定と固定資産税課税時期にずれがあるため、生産緑地指定を希望する農家も一たん従来の何十倍という宅地並みで納税をし生産緑地に指定後に還付されることになり、軽減措置も講じられるにしても農家の負担が余りにも大きくなることから、社会党は改善策を要望していたところであり、この点は評価できるということができましょう。  私は、さきに指摘いたしました国と地方の税源配分問題、総合課税への移行の問題を初め、住民税、事業税固定資産税都市計画税等の各税につきまして、次回の改正の際、これまでの委員会での論議や国会決議を踏まえ、また地方団体の意見も尊重し、住民負担の軽減と不公正の是正、そして地方税源の充実確保の点から積極的なおかつ抜本的な改善が図られますことを期待し、今回については附帯決議を採択することをもって政府案やむなしとするものであります。  以上、政府案の問題点と評価いたします点、そして今後への期待を述べまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  202. 中島衛

    中島委員長 吉井英勝君。
  203. 吉井英勝

    吉井(英)委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました政府提出地方税法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  反対の第一の理由は、必要とされる特例措置を廃止する一方で、目的を果たしたにもかかわらず大企業に対する優遇税制は温存されているからであります。  改正案では、振動防止用設備に関する固定資産税特例措置を廃止する一方で、特例措置が創設されてから何年にもなる外国貿易用コンテナや国内路線に就航する航空機に対する特例措置延長が図られています。廃止される振動公害の特例措置の対象の多くは中小零細企業であり、現に行政機関への苦情があり、発生源となる施設を持つ工場は減少どころかふえ続けております。一方、特例措置延長される外国貿易用コンテナについて言えば、制度創設以来二十二年を経過しているものであります。国内航空機に至っては三十年を経過しており、いずれも特例措置創設の目的は既に果たされています。また、こうした特例の対象は海運業界、航空業界の大手であり、担税力も十分あり、しかもここ数年間の営業実績はいずれも黒字を出しているところであります。このように、公害対策の観点から必要とされる特例措置を廃止するのみならず、既に果たされた導入目的を持つ大企業に対する特例措置をいつまでも温存することは、納得できるものではありません。  第二は、国民健康保険税最高限度額の引き上げであります。  八四年度の国民健康保険国庫補助負担率の引き下げを契機に、国保税の最高限度額の引き上げはほぼ毎年のように繰り返されています。こうした政府方針のもとで、所得の伸びを無視した保険税や保険料の引き上げが相次ぎ、加入者の負担は、時の厚生大臣が「限界に近い状況」と認めた八六年当時をさらに上回るものになっています。政府最高限度額の引き上げは低所得者層の負担の軽減のためと説明しますが、直近の数字で見れば、所得階層別の所得に対する国保税の割合を見ますと、上位三階層の伸びが〇から〇・三ポイントに対して、下位三階層の伸びは〇・八から一・〇ポイントと、政府説明とは逆に低所得者層ほど負担割合が重たくなっている実態が明らかになっています。また、国保財政の基金と黒字額の合計額は、九〇年度決算ではさらにふえて四千八百七十五億円に上ることが明らかになりましたが、これは一世帯当たり実に二万九千円にも相当する額であります。今こそ、所得の伸びを無視した税の引き上げ方針をやめ、国庫負担をもとに戻して、加入者の命や健康を守り、社会保障及び国民保健の向上に寄与するという制度本来の運営に立ち返ることが求められているのであります。  第三は、みなし法人課税制度の廃止の問題であります。  みなし法人課税を選択した場合の特例措置を廃止して新たに青色申告特別控除を創設する租税特別措置法の改正案が提案されています。新たに特別控除を認めるとはいえ、適用となる対象者は正規の簿記の原則に従い記帳していることが要件となっているように、ほとんどが簡易記帳で申告していた個人事業者が青色申告特別控除の適用を受けられる可能性は極めて少なく、みなし法人課税制度の事実上の廃止を意味するものであります。十七万人余りに上るみなし法人課税を選択する個人事業者への負担増は必至となるとともに、自家労賃を認めてほしいという中小零細業者の切実な要求をも踏みにじるものであります。今回の措置は国税の改正に連動してとられたものであり、その意味では国税の改正と一体のものであり、容認できません。  以上、反対の主な理由を述べまして、反対討論を終わります。
  204. 中島衛

    中島委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  205. 中島衛

    中島委員長 これより採決に入ります。  地方税法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  206. 中島衛

    中島委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  207. 中島衛

    中島委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、増田敏男君外三名から、四派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨説明を求めます。増田敏男君。
  208. 増田敏男

    ○増田委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党の四会派を代表し、地方税法の一部を改正する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により、趣旨説明にかえさせていただきます。     地方税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、国際化高齢化社会等に対応する行政需要の増大、引き続き厳しい地方財政状況等にかんがみ、左の諸点についてその実現に努めるべきである。  一 地方団体の自主的で責任ある行政運営推進するに重要な自主財源である地方税源の拡充を図るため、国と地方の税源配分の見直しを検討するとともに、総合課税への移行を展望しつつ、利子課税・株式譲渡益課税の見直し等の措置を講ずること。また地方団体の行政需要の増加にかんがみ、住民負担に配意しつつ課税自主権の強化に努めること。  二 非課税等の特別措置については、税制の簡素化・税負担の公正化を図るため、今後とも整理・合理化等の見直しを推進すること。特に、事業税の社会保険診療報酬に対する非課税措置については、所得課税との均衡を図るとともに、いわゆるマスコミ等七業種に係る非課税措置の廃止に伴う経過措置適正化を図ること。    また事業税については、税収地域間格差の拡大に対応し、地方への配分を強化するため分割基準の見直しを行うとともに、地方団体の要望も強い外形標準課税の導入を積極的に検討すること。  三 特別地方消費税収の使途については、担税者の理解と公正が確保されるよう十分留意すること。  四 土地税制については、引き続き資産課税適正化に努めるとともに、評価適正化を図り財源の安定的確保に資すること。なお固定資産税評価替えに当たっては、住宅用地・居住用家屋等に対する負担軽減措置を講ずること。また都市計画税についても、住宅用地に係る負担の軽減を検討すること。  五 国民健康保険会計に対する市町村の負担の増大の現状にかんがみ、国保財政の安定化を図りかつ加入者負担の抑制に資するため、国として各般の努力をするとともに、国保財政安定化支援事業等の趣旨に沿って、一般会計からの適切な繰り入れを推進すること。  右決議する。 以上であります。  何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたします。
  209. 中島衛

    中島委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  210. 中島衛

    中島委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、塩川自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。塩川自治大臣
  211. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重し、善処してまいりたいと存じます。ありがとうございました。     ―――――――――――――
  212. 中島衛

    中島委員長 お諮りいたします。  ただいま議決されました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  213. 中島衛

    中島委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  214. 中島衛

    中島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十七分散会      ――――◇―――――